令和三年東京都議会会議録第十八号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和三年十月五日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百九十四号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十六号)が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番小宮あんりさん。
〔百十三番小宮あんり君登壇〕

○百十三番(小宮あんり君) 質問に入る前に、東京都名誉都民さいとう・たかを氏のご逝去に際し、故人の多大なご功績に敬意を表するとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 令和三年第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問します。
 昨日、成長と分配による新しい日本型資本主義を掲げる岸田新内閣が発足しました。岸田新総理は、国民の声を丁寧に聞く中で、ゼロにはできないコロナへの対策として、臨時の医療施設の備えや自宅療養者を地域の医師に積極的につなぐなど、実態を踏まえた医療体制の整備を推進するとしています。
 また、自粛により不利益や影響を受けている国民に対して、十分な経済対策を今後数十兆円規模で実施するとしています。
 本日、都においても、国に合わせて、急遽十月分の月次支援金が提案をされたところです。
 コロナの終息や経済回復の行方が見えず、日々の生活や将来に対する都民の不安が広がる中、今後、国において策定される経済対策に対して、都も連携をし、低所得者から、また中間層を支えていくことが重要です。知事の見解を伺います。
 昨日、東京の新型コロナ感染者は十一か月ぶりに百人を切りました。都民の皆さんの様々な理解と協力に改めて感謝するとともに、私たちは気を許すことなく、次への備えを進めていかなければなりません。
 去る八月、知事は初めて厚労大臣と連名で、都内の全医療機関に対して、感染症法十六条の二第一項に基づき、都内一万四千の病院や診療所、また医師や看護師の養成機関に対して、病床確保や人材の派遣を要請しました。
 この要請に対して、病床確保にはかなり限界があるということがうかがえる中、第六波に備えて臨時の医療施設の確保を進めておくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 人材派遣の要請に応えた医療人材を、今後の第六波に備えて、病床運営やワクチン接種、酸素・医療提供ステーションや在宅医療、相談業務など、役割分担をし、限られた人材を効果的に活用する仕組みの検討が欠かせません。今回の協力要請の結果を最大限生かすべきと考えますが、今後の都の取組を伺います。
 また、第五波の大きな課題となった自宅療養者への対応として、基本的な往診体制の強化と併せて、自宅療養する妊産婦への支援や、往診を夜間帯に受けた方が速やかに処方薬の交付を受けられるなど、自宅療養者への医療支援体制を整備すべきと考えます。
 あわせて、自宅療養者への都の配食サービスについて、昨年、都と災害協定を結んだ栄養士会からは、長期にわたる療養期間の中で、療養者にふさわしい内容を検討すべきという指摘もあります。外出できず、困難な状態の療養者に対してきめ細かな配慮が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 多摩地区におきましては、都の保健所と市町村との間で、患者情報の共有が課題となっていました。さきの新型コロナウイルス感染症対策特別委員会での我が会派の質問に対し、自宅療養者の情報を市町村に早急に共有していくとの答弁がありました。
 この市町村への情報提供の進捗状況について伺うとともに、地域での支援を充実させるため、現在、自宅療養者に限定している情報について対象の拡充も含め検討すべきと考えます。見解を伺います。
 提供された情報を活用し、自宅療養者に対する的確で迅速な支援がなされるよう、市町村とのさらなる連携を図るよう求めておきます。
 現在、国は、コロナワクチンの三回目接種の実施に向けて、対象者や実施時期等を検討しており、現在のところ、二回目接種が終了しておおむね八か月以上経過した方を対象に、同じワクチンによる追加接種を行うという方向性を示しています。
 都内においては、これまで医療従事者への接種をはじめ、高齢者や基礎疾患を有する方、六十四歳以下の住民接種のほか、モデルナ社ワクチンを活用した国や都の大規模接種会場での接種、民間企業等による職域接種など、様々な方法でワクチン接種が進められてきました。
 今後、三回目接種を円滑に実施していくために、都は、区市町村と連携して、医療従事者や高齢者などの接種を進めていくとともに、一、二回目接種をモデルナ社ワクチンで受けられた方への対応、これは、規模的にも、またファイザー中心の区市町村の住民接種では対応できないですから、都が大規模接種会場を設置して対応する必要があると考えます。見解を伺います。
 また、国の令和三年九月十日付通知によれば、今冬のインフルエンザワクチンの供給量は昨年を下回り、供給ペースも昨年より遅くなるとされています。昨年、インフルエンザは流行しなかったとはいえ、今なお続くコロナ禍の中で、高齢者の方からはやはり接種をしておいた方がいいのかといった不安の声も届いております。引き続き都としてインフルエンザ対策にも取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 今回、都立、公社病院の独立行政法人化に向けて定款が示されました。これまで都立、公社病院は、感染症医療や災害医療など、民間だけでは担うことが厳しい行政的医療を提供し、都民の命と健康を守ってきました。現下のコロナ禍においても、率先した患者の受入れなど、大きな役割を果たしています。
 もともと都立、公社病院の独法化は、人、物、予算の面で、今よりもより柔軟な運営が一体的にできるよう検討されてきたものですが、このコロナ禍で経営形態を変えるということについて心配する都民の声もあります。
 災害など緊急の事態に当たっては、知事の求めに応じて、その業務を実施することが定款にも明記されましたが、コロナ禍の今この時期にあえて独法化を進める、その意義について伺います。
 コロナ禍の長期化は、多くの都民生活に多大なる影響を与え続けています。中小零細企業は大変厳しい経営状況に苦しみ、サービス業を中心とした業種を中心に、解雇や雇い止めが続き、離職を余儀なくされた方々は、再就職もままならず、生活に困窮しています。一刻も早くコロナが終息に向かい、経済の再生、回復に向けて力を尽くしてまいりますが、目の前の現状を乗り越えるためには、都が積極的に雇用支援を行う必要があります。
 東京の経済を支える中小、小規模事業者の発展のためには、多様な人材ニーズに応えられる人材の確保が不可欠であり、雇用側への支援も重要です。雇用支援を加速させる必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 また、緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑えるのが、事業の継続や復旧を図るための事業継続計画、BCPです。
 従来は、地震や風水害といった自然災害への対応を主としてきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自然災害のみならず、企業へのあらゆる脅威に対応するための計画策定が求められ、改めてBCPの重要さが認識されています。
 災害や感染症以外にも個々のニーズに見合ったBCPの策定支援、BCPに実効性を持たせるための実行支援を行うためには、一層の支援の充実強化を図る必要があります。都の見解を伺います。
 コロナ対策の長期化に伴い、今まさに正念場にある都財政には、この先も多くの対処すべき課題が待ち受けています。
 コロナ対策だけでなく、首都直下地震や風水害など災害への備え、高齢者や子育て施策の充実強化、身近な行政サービスを預かる区市町村への支援など、都政の重要課題に対する積極的な施策展開も必要不可欠です。
 税収動向が不透明な中、こうした財政需要への対応と健全財政の両立を図るためには、前例にとらわれることなく、効果的に財源確保を進めるべきです。優先順位の低いものや成果の乏しい事業、しっかりと見直すことが、こうしたことにおいて必要であります。
 当面は厳しい財政運営が続く中、山積する都政の課題に対応するため、今後どう具体的に取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。
 この東京二〇二〇大会では、コロナ禍という困難な状況にもかかわらず、世界中から感染対策への協力と理解を得て、アスリートが集まり、多くの感動を与えてくれました。
 知事は、昨年九月の第三回定例会で、人類が一丸となって見えざる敵に打ちかち、スポーツを通じて絆をさらに強め、人々に希望と自信を与える極めて意義の高い大会であり、大会後のレガシーも見据えながら、安全・安心な大会の実現に向けて着実に準備を進めるとおっしゃっておられました。
 コロナ禍で大会を開催できたことへの所見と、今後どのようなレガシーにつなげていくのか、知事の見解を伺います。
 また、大会経費については、一年の延期やコロナ対策への対応を反映し、大会経費V5を昨年末に公表していますが、その後、無観客開催など、様々な状況の変化がありました。これらを踏まえ、最終的な大会経費をどのように整理していくのか伺います。
 平成二十八年から全ての小中高等学校や特別支援学校において実施してきたオリ・パラ教育の中には、子供たちに身につけてもらいたい資質や能力の一つとして、スポーツ志向があります。
 心と体を大きく育てるスポーツの力や魅力を、今回、二〇二〇大会で国内外の多くのアスリートの姿を見て、再認識しました。大会後も、オリ・パラ教育を継続し、開催都市のレガシーとして、子供たちがスポーツの意義や価値について学べるよう取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。
 パラリンピックも連日様々な競技が放映され、注目が集まりました。体を目いっぱいに使い、動きに工夫を凝らして、自らの可能性の限界に挑むパラリンピアンの活躍は、それを見た方々に感動を与えました。大会を通じて、パラスポーツの認知度や理解も進みましたが、大会後もパラアスリートの育成や練習できる環境の整備など、支援が不可欠です。
 障害者がそれぞれの個性に応じてパラスポーツに挑戦し、アスリートを目指せるよう、選手や競技団体を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、都はこれまで、パラリンピックを契機に、障害者が身近な地域でスポーツに親しめる環境整備に取り組んできました。その成果もあって、障害者のスポーツ実施率も、コロナ禍の影響を受ける前までは上昇の兆しを見せています。
 しかし、場の整備と同時に重要なのは、障害者と健常者がスポーツを共に楽しむことでお互いの理解が深まるということです。それこそが、パラリンピックのレガシーであり、共生社会の実現に向けた一歩だと考えます。
 そこで、身近な地域で障害者がスポーツに取り組めるよう環境を整備するとともに、障害者と健常者がパラスポーツを通じて交流する機会を提供するなど、場の充実に取り組む必要があると考えますが、都の取組について伺います。
 また、今大会では、多くの日本人選手の活躍とともに、新競技も注目を集めました。例えば、スケートボードでは、堀米雄斗選手、西矢椛選手、四十住さくら選手の金メダルをはじめ、五人がメダリストとなり、若者を中心にアーバンスポーツへの関心が高まっています。
 東京大会のスケートボード施設は仮設で設置されたものでしたが、新競技への期待と盛り上がりを将来につなげていくため、競技施設が集積する有明レガシーエリアにおいて、今後も活用すべきと考えます。都の見解を伺います。
 都は、二〇二〇大会をビジネスチャンスに結びつけるため、ロンドン大会において有効だったポータルサイトの東京版として、ビジネスチャンス・ナビを新設し、東京のみならず全国の中小企業の取引機会の拡大を支援する取組を始めました。
 新たなビジネスマッチングが行われ、一定の成果を得ることはできましたが、大会終了後も一層の拡大を図り、多くの中小企業の販路拡大、マッチングによる成果を生むために、さらなる取組の強化が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、知事も以前から発言されているとおり、スポーツだけでなく、文化の祭典でもあると私たちも認識をしています。
 東京都では、二〇二〇大会へ向けて、平成二十八年からの事業として、東京文化プログラムを展開し、東京、日本の多彩で奥深い芸術文化の魅力を国内外に発信してきました。
 東京二〇二〇大会は、残念ながらコロナ禍での開催となり、Tokyo Tokyo FESTIVALも、大会期間中に予定されていた様々な文化プログラムの中止や縮小を余儀なくされましたが、その中でもどのように東京の文化を発信できたかが重要だと考えます。二〇二〇大会へ向けた文化プログラムの成果と課題をどのように捉えているのか、そして、今後どう生かして文化政策を進めていくのか、都の所見を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 近年、東京をはじめ、広く被害が発生した令和元年東日本台風や、本年七月に九州南部などを襲った記録的な豪雨により、全国各地で大規模な水害が発生しています。
 都は、三月に策定した未来の東京戦略において、環状七号線地下広域調節池の延伸に関する検討を位置づけましたが、気候変動による台風の大型化や、近年、全国各地に被害を及ぼしている線状降水帯などへの対応も見据えた検討を進めていくことが重要です。
 そこで、環状七号線地下広域調節池の延伸について伺います。
 また、災害による電柱倒壊や断線により、避難や救急活動への支障、停電や通信障害が生じており、無電柱化による防災機能の強化が必要です。
 都は、無電柱化について、防災上重要な歩道幅員が二・五メートル以上の第一次緊急輸送道路の整備を推進していますが、一方で、地域の中で防災上重要な道路であっても、幅員の狭い都道では無電柱化が進んでいません。こうした道路においても無電柱化を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 知事がさきの所信表明で触れたとおり、近年、気候変動の影響により、風水害が頻発化、激甚化しており、都内でも東部低地帯における大規模風水害がいつ発生してもおかしくなく、行政区域を越える避難、いわゆる広域避難の取組が急がれます。
 こうした中、都は先月、国立青少年教育振興機構と広域避難先の提供に関する協定を締結しました。約七十四万人と想定される広域避難者に対し、まだまだ対策が足りないのは間違いありませんが、今後、実際の避難先を想定して、関係区と具体的な議論ができるという意味においては、ようやく一歩前進したといえます。
 一方で、高齢者、障害者等の要支援者など、避難に支援が必要な方にも配慮した避難手段の確保や避難情報の伝達方法などについて、タイムライン、時系列に整理した防災計画に沿った具体的な検討が行われていなければ、いざというときに円滑な避難はできません。
 この広域避難は、複数の区に関わる課題であるため、広域自治体である東京都が中心となって検討を行い、あらかじめ実効性を確保しておくことが極めて重要です。東部低地帯における大規模風水害の発生を見据え、都が先導して、広域避難体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 同時に、地下鉄の浸水対策も大きな課題です。あらかじめ、浸水被害を想定し、ハード面、ソフト面の備えを具体的に講じるため、私たち都議会自民党の提言を受け、整備計画を策定すると仄聞しており、都市としての防災力を高めていくことが期待されます。
 万一被災した場合には、早期に都市機能を回復させる上で、人々の移動を支える地下鉄の早期復旧は重要な課題です。都営地下鉄の浸水対策にどのように取り組むのか、所見を伺います。
 また、災害に強いまちは、こうした行政が支援するハード整備だけでなく、民間の力を生かすことが必要です。地域に密着した消防団は、地域防災力の要として、極めて重要な役割を担ってくれています。全国的に消防団員の成り手が少なく、どの消防団も定員割れとなるなど、危機的な状況にあります。
 消防団員の成り手を増やすためには、社会環境の変化に合わせ、若い方や働く方でも消防団に参加しやすいものとする必要があります。
 また先般、総務省消防庁の消防団員の処遇等に関する検討会では、消防団員の災害時の報酬について、処遇改善に関する方針も示されました。消防庁の今後の対応について見解を伺います。
 また、今、国も進めている行政のデジタル化は、いざというときに備えるための災害対策等にも活用すべきと考えます。
 都が構築を目指しているデジタルツインによって、これまでの平面の地図上だけでなく、三次元空間の中で、まちや経済活動、人の流れを捉えることにより、災害に強い都市整備や、地下埋設物の維持更新の迅速化も図れるなど、都政の効率化、高度化を可能にするものと期待されますが、こうした取組が都民生活にどう活用されるのか、分かりやすく伝えることが重要です。
 いわゆるデジタルツインの実現に向けた現在の取組と今後の方向性について、宮坂副知事の見解を伺います。
 また、デジタル化が進む中で、都民や行政の重要なデータを守る整備も欠かせません。
 二〇一二年ロンドン大会において、大規模のサイバー関連事案が発生したことを受け、警視庁は、二〇二〇大会におけるサイバー攻撃に対応するために、取組の強化を行ってきました。
 二〇二〇大会期間中には目立ったサイバー関連事案は発生しなかったと聞いておりますが、新たな犯罪が危惧されています。現在までのサイバー関連事案の発生状況と、今後ますます増加のおそれがあるサイバー関連事案に対して、警視庁はどのように対応していくのか伺います。
 次に、環境先進都市を目指す東京の取組について伺います。
 国は、二〇五〇年の地球温暖化対策のための脱炭素社会実現に向け、エネルギー基本計画案を取りまとめました。この中で、二〇三〇年までの温室効果ガスの削減目標とともに、部門別の削減目標や施策による削減量の積み上げが、併せて公表されています。
 都も、二〇五〇年の脱炭素社会実現を目指し、二〇三〇年の温室効果ガス五〇%削減を掲げていますが、国と違い、具体的にどのような施策により、どの程度の削減を行って、目標を達成するのか、その道筋が明らかになっていません。
 知事は、本定例会の所信表明の中で、新築建築物への太陽光発電設備の導入義務化を検討することを表明しました。
 今後、都民、事業者に協力を求めるのであれば、早急に対策の全体像を明らかにした上で、施策の必要性や効果について分かりやすく説明し、理解を得た上で取組を推進していかなければなりません。見解を伺います。
 都は、一昨年度から、省エネ性能の高い家電等への買換え支援を行っていますが、この事業で対象となるエアコンは、対象外のものと比べて価格が二倍近くする、そもそも高額の商品で、広く都民に行き渡るものとなっていません。実際この二年間の実績は、都内約七百三十万世帯中約七万五千件にとどまっています。
 都が行う環境施策、とりわけ助成制度などは、様々な都民に広く届きやすいものであるべきと考えますが、都の認識を伺います。
 また、都内の産業、業務部門のCO2排出量の約六割が中小、小規模事業所によるものですが、脱炭素社会実現のためには、これらの事業所による省エネの取組の強化が重要です。長引くコロナ禍によって、中小企業等は厳しい経営環境下に置かれており、対策を行う意思があっても、資金的な余力が乏しく、古くて環境性能の低い設備を使い続けざるを得ない状況があります。
 さらに、感染防止対策として事業所での換気の確保が必要になるなど、事業を継続するための新たな対応が必要になってきています。
 そこで、コロナ禍で打撃を受けた中小企業が積極的に省エネ対策を実行していくための支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 令和三年六月二十八日、千葉県八街市において、下校中の児童にトラックが衝突し、五人が死傷する痛ましい事故が発生し、現在、学校や道路管理者、交通管理者が連携して、全国において合同点検が行われています。
 これまでも、平成二十四年に京都の亀岡市、令和元年五月には滋賀大津市での事故により、児童や園児の尊い命が失われました。
 そうした中、我が会派は繰り返し、子供たちの安全を確保するための取組を強く要望してきました。
 警視庁は関係機関と連携して、通学路における合同点検を実施し、今後、子供らの安全のために様々な道路交通環境整備を進めていくべきと考えますが、警視庁の安全対策について警視総監に伺います。
 また、令和元年の第二回定例会の我が会派の代表質問で、歩行者の安全がしっかりと確保できる強度の防護柵への取替えを進めるべきと提案したことに対して、事故のおそれのある箇所などにおいて強度の高い防護柵への交換等を着実に行っていくと答弁がありました。
 そこで、子供を含めた歩行者の安全を確保するための防護柵の交換状況について伺います。
 また、視覚に障害がある方にとって、音響式信号機の整備は重要ですが、夜間や早朝など、地域住民の理解が必要なことから、誘導音が停止されている時間帯があり、早朝出勤中の視覚障害者が事故に遭い、亡くなられるといった痛ましい事故がありました。
 コロナ禍の外出自粛や時差出勤で、障害者に配慮するべき周囲の人の流れや状況も変化しています。
 警視庁では、こうした交通弱者への対策を今後どのように講じていくのか、見解を伺います。
 また、東京は世界で初めて二回目の夏季パラリンピック大会を開催した都市として、今後さらにバリアフリーのまちづくりを進めていかなければなりません。そのためには、ハードからソフトまで、多岐にわたる分野での施策の実施が必要です。
 ホームからの転落防止など、デジタルの力も活用しながら、バリアフリーを促進し、障害者だけでなく、高齢者やベビーカーを押す子育て中の方など、支援が必要な方々が地域で安心して暮らせる環境整備が重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 本年六月の都議会第二回定例会において、パートナーシップ制度の導入の請願を趣旨採択しました。多様な価値観を受け入れる共生社会の実現という理念は重要であり、我が会派もその実現を目指し取り組んでいます。
 都は、さきの定例会において、同性パートナーシップ制度の検討を進めるとの答弁を行いましたが、制度の在り方については、都民や当事者においても考え方が多岐にわたっている実態があります。
 都は、制度の検討に当たって、当事者への調査や有識者へのヒアリングをできるだけ早く実施した上で、検討を深めていくことが必要ですが、都の見解を伺います。
 都立高校では、来年度から、保護者購入方式による生徒一人一台端末の教育環境を整備するために、全世帯を対象に保護者負担の軽減策も実施するとのことが、先日の知事所信表明で示されました。
 都内在住の高校生のうち、六割が私立高校に通学しておりまして、喫緊の課題であるデジタル教育環境整備については、公私間の格差なく進めていく必要があります。
 私立高校においても生徒一人一台端末の環境整備が進むよう、都として支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派では、特別支援学校PTAの皆さんと意見交換を続けていますが、近年、特にICT教育に対する期待の声は根強く、これまでにも着実な推進を強く要望してきたところです。
 先日の知事所信表明でも、特別支援教育の充実、推進の方針を知事自らが示されました。
 特別支援学校に通う児童生徒へのデジタル化対応は幾つかのハードルが存在します。例えば、全盲の生徒には、点字ディスプレーが必要となるなど、それぞれの障害特性に応じた附属機器が必要となりますが、いずれの機器も高額です。ところが、子供の介助が必要な家庭では共働きが難しく、経済的にも負担が大きいのが現状です。
 知事の目指す、誰一人取り残さない教育の展開には、こうした生徒、家庭にこそ経済的な支援が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 さて、全国高等学校総合文化祭は、文化部のインターハイともいわれ、演劇や吹奏楽などの文化部活動の発表を行う大会であり、来年七月、初めて東京都を開催地として、第四十六回目の大会が行われる予定です。コロナ禍の中にあり、高校生の部活動や学校行事が制限されている状況にありますが、東京大会ならではの特徴ある大会を期待するところです。
 そこで、令和四年度開催の全国高等学校総合文化祭東京大会に向けて、コロナ禍においても開催に向けた準備を着実に進めるべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。
 東京の経済活動を支えているのは、都内の中小企業です。
 一昨年に改正された担い手三法が位置づけた基本的な責務の一つが、災害時の緊急対応強化であり、災害対応の担い手の育成、確保も基本理念としてうたわれています。
 いざ災害が発生した際に迅速に対応が可能なのは、いうまでもなく、地元を熟知した中小の事業者であり、都も発注者として地域の事業者を確保、育成する責務を負っています。
 中小事業者の育成のために発注者としての東京都がなすべきことは、受注機会の確保であり、具体的には分離分割発注やJV結成による技術力の向上、でき得る限り優先的に都内業者を活用する取組です。
 公共調達を通じて都内中小事業者をさらに支援するために、入札契約制度からも確保、育成の取組を図るべきと考えます。都の見解を伺います。
 令和元年の品確法改正において、設計等委託についても公共工事同様、ダンピング受注の防止措置を講ずることが発注者の責務として位置づけられました。
 都では、我が会派からの要請を受け、印刷請負契約において最低制限価格制度を導入し、試行から、はや六年目を迎えています。また、設計、測量、地質調査といった委託契約においても、昨年、最低制限価格制度の試行が開始されました。
 制度の導入は、いうまでもなく業務の品質確保やダンピング防止に資することであり、試行にとどまることなく、本格実施に向けた検討を行うべきときが来ていると考えます。
 本格実施に当たっては、試行によって都が積み上げてきた実績を丁寧に検証した上で、改正すべき点は改正するとともに、受注者からの意見も踏まえて改正に反映すべきと考えます。今後の取組について伺います。
 さて、今年三月、障害者の法定雇用率が二・二%から二・三%へ引き上げられ、障害者を雇用しなければならない対象企業の範囲が広がりました。
 東京の障害者雇用率は全国最下位であり、法定雇用率を達成している大企業と違い、中小企業には障害者雇用のためのサポートが不可欠です。障害のある方が担う仕事は業種によっても異なるため、各業界の実態を踏まえて、都として絞り込んだ効果的な支援策が求められます。
 中小企業における障害者雇用のさらなる促進に向けた見解を伺います。
 平成十三年の創設以来、二十年が経過した認証保育所は、大都市東京の課題であった待機児童対策の先駆けとしてその役割を担ってきましたが、近年、認可保育園を中心に多様な保育サービスの整備が進む中で、認証保育所に求められる保育ニーズが変化しています。
 認証保育所事業者が、今後も都民のニーズに合ったサービスを提供できるよう、制度の見直しが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、保育園の先、小学生の放課後の居場所づくりが、地域社会の中でますます必要な時代となりました。都は、学童クラブ事業をはじめとして、放課後の子供の居場所づくりのため様々な取組を行っていますが、地域によっては、学童クラブで待機児が発生しているなど、十分とはいえません。
 放課後、子供を地域で孤立化させないためにも、安全で安心して過ごせる環境をさらに確保していくことが重要です。都の見解を伺います。
 また、障害のある子供の居場所である放課後等デイサービスは、事業者が急激に増加する中、支援の質に問題がある事業者が指摘され、国は報酬の見直しを行いましたが、それによって質の確保に努めているにもかかわらず、大幅な減収といった影響の出ている事業者からの切実な声が届いています。その求めに応じて、都は報酬改定後の実態把握を行っていますが、今後どのように対応するのか伺います。
 子供や障害者を守り、支援するだけでなく、これからの超高齢社会をどう支えていくのか、区市町村への支援だけでなく、国の介護保険制度だけでなく、都として担わなければならない課題に集中しなければなりません。
 東京の高齢者数は三百万人を超え、今後も増加する中で、介護サービスを支える人材を確保するため、対策の充実を図るべきと考えます。知事の見解を伺います。
 東京は、我が国経済の中心であり、世界に冠たる国際金融都市の地位を取り戻すため、国や民間等と連携しながら、金融の活性化に向けた取組を推進してきました。
 都が力を注いできた海外金融系企業の誘致に向けては、ビジネスや生活環境の整備が欠かせないことから、我が会派はこれまで、税制や規制の権限を有する国との連携の重要性を訴えてきたところです。
 また、少子高齢化による潜在成長率の低下という構造的な課題に加え、コロナで大きなダメージを受けた経済をいかに回復させていくか、東京の新たな成長戦略をどう描いていくのかが問われており、成長分野に資金を円滑に供給する金融の果たすべき役割は大きいと考えます。
 国際金融都市の実現に向け、都は、七月に構想の改訂案を公表しましたが、今回の改訂案で何を目指し、その実現のためにどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 高機能で安全な都市づくりを進め、東京の活力を向上させていくには、人と物が円滑、活発に行き交うための鉄道の機能強化が重要です。
 これまで、我が会派の働きかけにより設置された国と東京都の実務者協議会の中でも、首都圏鉄道網の拡充は最重要のテーマの一つとして、課題解決に向けた積極的な協議がなされてきました。
 加えて、我が会派は、東京都と国のかけ橋として、国の様々な機関と独自に協議を進めてきたところです。
 そのような中、本年七月にまとめられた国の交通政策審議会の答申では、地下鉄新線の事業化に向けて、乗り越えるべき課題について、その解決の方向性が踏み込んで示されました。これらのことは、まさにこれまでの国との協議の成果にほかなりません。
 この答申で、事業化に向けた道筋が示された地下鉄八号線の延伸及び品川地下鉄については、この機を逃さず、事業化に向けた取組を早急に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、国の審議会からは、併せてメトロ株の売却についても答申されました。
 答申では、完全売却が法律で規定されているメトロ株について、地下鉄八号線の延伸や品川地下鉄の整備を確実なものとする観点から、段階的に売却をしていくべきという新たな方針が示されました。その観点からも、都と国が保有するメトロ株の売却は、地下鉄ネットワークの拡充と両輪で、国と連携しながら対応していくことが必要と考えます。
 都が保有するメトロ株の取扱いについて、今後どのように対応するのか知事の見解を伺います。
 東京港は、国内トップクラスの外貿コンテナ航路数を誇る国際貿易港であり、首都圏四千万人の生活と産業を支えています。
 現在、世界の海運市場においては、コンテナ船が大型化し、国際航路の再編が進むなど、海上物流を取り巻く状況が変化しつつあり、東京港もこうした世界の潮流から取り残されるわけにはいきません。
 現在の東京港における課題は、諸外国の港に比べてバックヤードが狭小であり、ふ頭内の荷役作業が非効率であることや、車両の集中によりふ頭付近の道路が混雑していることなどが挙げられます。
 こうした状況を踏まえ、都では、昨年より長期構想を検討中と聞いておりますが、我が会派が重ねて主張してきたように、新たなふ頭整備も含めた抜本的、戦略的なふ頭の再編により、東京港全体の機能強化を行っていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 二〇〇九年、国連環境計画、UNEPがブルーカーボンの報告書を発表し、CO2吸収源としての海の可能性を提示しました。
 アマモなどの海草、ワカメなどの海藻、植物プランクトンなど、海の生物によって海中に取り込まれる炭素を、陸上のグリーンカーボンに対しブルーカーボンと呼んでいますが、ブルーカーボンによって年間総排出量の約〇・五%を吸収、隔離できるとのIPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告にもあったように、海に囲まれた我が国においては大きな役割が期待できると考えます。
 既に横浜市においては、ブルーカーボンを対象としたクレジット認証制度を立ち上げ、福岡市においては、オフセット制度がスタートしています。
 東京湾のみならず、多くの離島を有する東京都においても、新たな吸収源であるブルーカーボンの重要性を認識し、今後は取組の推進を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都議会自民党は、多摩地域の発展は東京の発展に欠かせないものと考え、これまで、現場に根差した政策提言を行い、多摩地域の振興に長く取り組んできました。
 こうした中、都においては、様々な施策や事業を進めてきましたが、人口減少や少子高齢化の進展、道路交通インフラのさらなる充実など、引き続き対応が求められる地域の課題は、いまだ多く残されています。
 さらに、令和元年東日本台風など自然災害の激甚化や、デジタルシフトの加速によるデジタルデバイドへの対策、そして何よりも現下のコロナ禍への対応など、解決が困難な新たな課題も相次いでおり、多摩地域を取り巻く環境は厳しさを増しています。
 こうした状況を踏まえ、魅力ある多摩地域を創り上げるために、今まで以上に現場に寄り添い、様々な事業を推進していくべきです。
 今般、新しい多摩の振興プランが策定されたところですが、今後の多摩振興に向けた知事の基本姿勢について伺います。
 プランは策定して終わりではなく、プランの内容を現場の声を聞きながら着実に実施し、そして実現することが極めて重要です。
 本プランで掲げられている安全・安心な暮らしを守るまちや道路交通ネットワークの充実等の施策は、多摩地域の市町村にとって、いずれも優先順位が高いものであり、その確実な実現が期待されています。
 コロナ禍という厳しい現実があるものの、様々な手だてを講じつつ、各局が連携して進めていくべきです。
 そこで、都は、本プランを実現するため、どのように取組を進めていくのか伺います。
 国においては、総選挙の日程が決まりました。どういう結果であっても、コロナ対策や災害対策、子育て支援や高齢社会を支える介護人材の確保など、都は引き続き国との連携や協調をもって、様々な課題を解決していかなければなりません。
 都議会自民党は、常に都民のために、そうした視点に立って全力で働いてまいることを最後にお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げます。
 九月二十四日、名誉都民であるさいとう・たかをさんが逝去されました。ここに謹んで追悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 小宮あんり議員の代表質問にお答えをいたします。
 低所得層から中間層への支援についてのお尋ねがございました。
 東京の活力の源泉は、一人一人の人であることは論をまちません。年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる社会こそ、私が目指す人が輝く東京の姿であります。
 こうした考えの下、私はこれまで、人に焦点を当てた政策に力を注いでまいりました。
 現下のコロナ禍におきましても、様々な不安を抱える方に寄り添って、その生活を支えるため、セーフティーネットの強化充実を進めております。
 そして今、喫緊の課題であるコロナ対策につきまして、量と質の両面から盤石な備えを固めていくとともに、人々が希望を持って生活を営むことができますよう、経済の立て直しを進め、サステーナブルリカバリーを実現していかなければなりません。
 岸田新総理には、都民、国民生活の向上を図り、東京、そして我が国のさらなる活性化につなげるため、スピード感のある政策展開を期待いたしております。
 国とも緊密な連携を図りながら、人に寄り添い、誰もが幸せを実感して暮らすことができる東京を創り上げるべく、全力で取り組んでまいります。
 次に、独法化を進める意義についてでございます。
 現在、都立、公社病院は、コロナ患者に医療を提供するため、重点医療機関化や専用医療施設の開設などによって、都内の感染状況に合わせ、確保病床を二千床まで順次拡大をし、十四病院が連携しながら、患者の受入れに率先して取り組んでいるところでございます。
 一方、地方公務員法など現行制度の下では、兼業や給与設定等に制約があり、迅速、柔軟な人材の確保、活用や、地域医療機関等への人材の派遣などにおきまして、課題が改めて明らかになったところです。
 独法化は、こうした現在の制度を改革し、人、物、予算の面から柔軟な病院運営を可能とするための取組であり、今後、コロナ感染症への対応や新たな感染症の発生に備えるために、感染症医療提供体制を一層強化することを目指しております。
 具体的に申し上げますと、独法化により、病院現場のニーズに合った柔軟な勤務制度や、より働きがいのある人事給与制度等を構築いたしまして、人材の迅速、柔軟な確保、活用が実現できる。また、十四病院のスケールメリットをさらに生かして、人材等の医療資源を集約化することで法人全体の対応能力を高め、より効果的な医療の展開が可能となります。
 感染症をはじめとする行政的医療の提供は、都民のセーフティーネットである。この都立病院の使命を果たすため、独法化の準備を着実に進め、都民の安全・安心、これを医療から支えてまいります。
 東京二〇二〇大会についてのご質問がございました。
 史上初の一年延期、そしてコロナ禍という状況の中で、安全・安心な大会を実現するため、国、組織委員会と一体となって水際対策、入国後の移動、行動管理、健康管理など、感染防止対策を徹底いたしました。
 こうした取組の結果、大会関係者の陽性率は、空港検疫、スクリーニング検査とも当初の想定を下回りまして、訪日大会関係者の都内の入院数につきましては、ピーク時で二人と低く抑えられたところであります。専門家からも大会は安全に行われた、対策がうまく機能したとの評価をいただいております。
 また、都民の皆様には、テレワークやステイホームの呼びかけに協力をいただいて、交通量や人流の減少、抑制を図りました。
 なお、感染状況の動向を示す指標であります実効再生産数でありますが、厚生労働省のアドバイザリーボードによりますと、推定感染日ベースで、七月二十一日をピークに下落傾向に転じまして、九月九日には〇・六三まで減少いたしました。
 こうした様々な対策の下で、世界中から多くのアスリートにお越しをいただいて、コロナによって分断された世界をスポーツの力で一つにして、世界中の人々に勇気と感動を届けることができました。
 このように大会を安全に開催できましたことは、関係者全てのご協力のたまものであり、感謝申し上げます。
 今後、大会における感染防止対策の様々な取組を、コロナ禍における社会経済活動のレガシーとして発展させてまいります。
 大会経費についてでありますが、大会の開催に当たりましては、組織委員会、国、東京都の三者は、平成二十九年五月の大枠の合意による役割分担に基づいて連携協力して大会準備を進めてまいりました。
 大会の延期後も、延期に伴う追加経費や新型コロナウイルス感染症対策が必要となる中、それぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組んでまいりました。
 一方で、コロナの影響によって、オリンピックとパラリンピックにおける観客は大部分が無観客となり、これに伴うチケット収入の減収が見込まれております。現在、組織委員会におきまして収入及び支出の両面における精査を進めているところであって、今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 次に、広域避難体制の構築についてのご質問であります。
 本年七月の熱海の土砂災害や八月の西日本を中心とした浸水被害など、全国各地で毎年のように大規模な風水害が発生しております。
 東京の東部低地帯におきまして、このような大規模風水害が発生した場合、約七十四万人に及ぶ都民の広域避難が必要とされておりまして、広域避難体制の構築は喫緊の課題でございます。
 こうした認識の下、都は先月、国立のオリンピックセンターを広域避難先として活用する協定を締結いたしました。
 今後、都立施設の活用はもとより、国や民間施設のさらなる避難先の確保に加えまして、避難先への移動手段や誘導、施設運営の方法等につきまして具体的な検討を進めてまいります。
 この検討結果等を踏まえまして、今年度末までにガイドラインとして取りまとめ、その後の都と関係区それぞれの広域避難計画の策定につなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、都が避難先確保に向けた主体的な役割を果たすとともに、計画策定に係ります総合調整機能を積極的に発揮し、実効性ある広域避難体制を構築してまいります。
 次に、バリアフリー環境の整備についてのお尋ねであります。
 東京二〇二〇大会が成功に終わり、今後、都政はその成果を都市のレガシーとして発展させていかなければなりません。中でも、我々の社会に色濃く残る数々のバリアを取り除き、障害者をはじめ、誰もが不自由を感じることなく生活できる環境を東京全体に定着させていく必要があります。
 未来の東京戦略では、ダイバーシティ・共生社会戦略を掲げておりまして、バリアフリー推進のプロジェクトに取り組んでおります。
 具体的には、これまで競技会場周辺などを中心に進めてまいりました道路の段差解消や勾配改善、主要駅でのホームドアやエレベーター設置などの取組を、区市町村とも連携しながら都内各地に広げてまいります。
 さらに、DXの力も活用いたしまして、様々な障害特性に配慮した情報バリアフリーや遠隔ロボットによる障害者の社会参画など、ソフト面の取組も進めまして、成熟都市にふさわしい環境を整えてまいります。
 ハード、ソフト両面から様々な施策を展開することで、優しさと思いやりにあふれた東京を創り上げてまいります。
 次に、私立高校における一人一台端末の整備についてのお尋ねに関しましてでございます。
 ソサエティー五・〇時代に生きる子供たちは、ICTを活用し、膨大な情報から何が重要か判断する力、自ら問いを立てて課題解決を目指す力、他者と協働して新たな価値を創造する力などを身につけていく必要がございます。
 そのためには、双方向での学習や多面的、多角的な考察を行う学習が可能となるデジタル教育環境の確保が大変重要でありまして、公私の区別なく、私立高校においても、一人一台端末の整備を推進していく必要がございます。
 私立高校は、学校ごとの教育方針に基づいて、これまでも様々な手法で教育環境の整備に取り組んでこられました。生徒の端末整備につきましても、学校がまとめて整備する方法や保護者が学校の指定する端末を購入する方法など、各学校によって異なっております。
 このため、各学校の整備方法に応じまして、保護者の負担軽減にも配慮しながら、生徒一人一台端末の整備が確実に進みますよう、具体的な手法について検討を進めてまいります。
 特別支援学校でのデジタルを活用した教育についてであります。
 障害のある子供たちが、デジタルを存分に活用して学習していくためには、タブレット等の端末と併せ、学習上の困難さを軽減する支援機器を効果的に組み合わせて活用することが有効でございます。
 特別支援学校の小学部、中学部におきましては、昨年度、一人一台の学習用端末を学校に配備するとともに、音声読み上げソフトや視線による入力を可能とする支援機器等の整備を行いました。
 学校では、体の動きに制約がある子供がタブレット端末の描画アプリを活用して絵画を創作することや、視覚に障害のある子供が、音声読み上げソフトを活用して、入力した文字を音声で確認しながら文章を作成するなどのデジタルを活用した学びの実践が始まっています。
 今後、高等部におきまして、障害の特性に合わせた生徒所有の一人一台端末に加えまして、支援機器等を整備してまいります。こうした機器の整備に当たりましては、保護者負担の在り方を検討してまいります。
 特別支援学校のデジタル環境を一層充実させて、子供たちの能力や可能性を伸ばして、私が目指しております、誰一人取り残さず、全ての子供が自ら伸び、育つ教育を実現してまいります。
 次に、介護人材対策であります。
 世界に類を見ない急速なスピードで高齢化が進んでいる我が国におきましては、介護ニーズが今後も一層増大し、令和七年には、都内で約三万一千人の介護人材の不足が見込まれております。高齢者が住み慣れた地域で、必要なサービスを利用しながら安心して暮らし続けられるためには、介護サービスの担い手の確保が重要な課題であります。
 都は、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員の宿舎の借上げや奨学金返済相当額の手当支給に取り組む事業者への支援など、様々な施策に取り組んでおります。
 本年三月に策定いたしました第八期高齢者保健福祉計画におきましても、介護人材対策の推進を重点分野の一つに位置づけております。そして、介護現場の業務改革や働きやすい職場の環境づくり、地域の実情に応じました支援の拡充など、計画に盛り込みました新たな視点も踏まえながら、総合的に施策を推進してまいります。
 国際金融都市東京構想についてでございます。
 世界では、脱炭素化とデジタル化の新たな潮流が生まれていて、経済、金融の世界にも大きなインパクトが及んでおります。
 今回の構想改定におきましては、こうしたグリーンとデジタルを基軸としたグローバルな変化を踏まえた上で、金融の活性化を通じましてイノベーションや産業構造の変革を促す、そして東京の持続的成長につなげていくことを目指しております。
 具体的には、地域金融機関と連携しまして、中小企業の脱炭素化を後押しするグリーンファイナンスを推進するとともに、都民の利便性向上に資する革新的なサービスを提供するフィンテック企業の育成に取り組んでまいります。
 また、国との緊密な連携を図りながら、金融系外国企業の誘致における重要な課題でありますビジネスや生活環境の整備を進めてまいります。
 構想の推進に当たりましては、今回新たに都内GDPの押し上げ効果などの意欲的な数値目標を設定いたしまして、事業効果を検証しながら、さらなる施策の展開を図ってまいります。
 新たな構想を基に、激しく変化する世界の情勢に的確に対応して、実効性の高い取組を強力に進めることで、国際金融都市をめぐる競争を勝ち抜き、東京のさらなる成長につなげてまいります。
 次に、地下鉄八号線及び品川地下鉄についてのお尋ねでございます。
 東京の地下鉄ネットワークは、中枢広域拠点におきまして首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、国際的な都市間競争を勝ち抜き、持続可能な東京を実現するためには、そのさらなる充実が不可欠であります。
 実現に向けましては、国や東京メトロをはじめ、多くの関係者の協力が必要でございますが、皆様の働きかけもあって、その第一弾となる地下鉄八号線の延伸及び品川地下鉄につきましては、このたび事業化に向けた課題の解決が図られたところであります。
 今後、関係者との協議、調整をさらに加速し、早期の事業化を図り、地下鉄ネットワークのさらなる充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、メトロ株の取扱いについてですが、東京の地下鉄は、都心部を中心に高密なネットワークを形成して、都民をはじめとする利用者の快適で自由自在な移動を可能とすることで、東京の発展や都民生活を支える重要な交通インフラであります。東京メトロはその一翼を担っています。
 本年七月、国の審議会から、東京メトロが果たすべき役割を踏まえまして、国と都は、その保有する株式を段階的に売却していくべきと答申されました。
 この答申を踏まえまして、地下鉄ネットワークのさらなる充実や利用者サービスの向上を図る観点から、保有割合を都と国で二分の一まで売却するよう準備していくことを国と合意いたしました。
 メトロ株の取扱いにつきましては、今後、新線整備の進捗状況等を踏まえながら、国と連携して売却の準備を進めてまいります。
 次に、海域でのCO2の吸収などについてのお尋ねであります。
 二〇五〇年のCO2排出実質ゼロの実現に向け、省エネルギー対策、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を通じて、排出量を最小化した上で、なお残る部分につきましては、植林などによる森林吸収や革新的技術開発などによって相殺していく必要がございます。
 海洋生態系に取り込まれた炭素、いわゆるブルーカーボンにつきましては、現在、国が定める算定方法におきまして、その温室効果ガスの排出、吸収量が一部を除き確定していないものの、クレジット取引の試行など、トライアルですね、様々な検討が行われていると認識をしております。
 都は、島しょ部を含め広い海域を有しております。沿岸部の藻場などは、そこに生息、生育する水生生物による水質浄化作用に加えまして、CO2の新たな吸収源としての可能性を秘めております。
 今後、都は、生物多様性保全の観点から、東京の海洋生態系にとりまして良好な水環境の創出に貢献していくとともに、国による吸収源対策としてのブルーカーボン活用の試行や算定方法についての検討を注視してまいります。
 次に、今後の多摩振興でございますが、多摩地域は、東京の人口の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁しています。緑豊かな自然に恵まれ、企業や大学が集積するなど、多面的な魅力、そしてポテンシャルに満ちた、東京の持続的な発展に欠かせないエリアでございます。
 一方で、人口減少、少子高齢化への対応をはじめ、道路、交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、地域ごとに様々な課題を抱えております。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は、多摩地域にも社会経済活動の制限など、大きな影響を与えております。
 こうしたコロナ禍の下におきましても、新しい働き方や暮らし方、デジタル化の進展など、社会の新たな動きも生まれており、このような社会の変化、変革を的確に捉え、多摩地域が一層発展するチャンスにしていく必要がございます。
 今般策定いたしました新しい多摩の振興プランでは、サテライトオフィスの充実や先端技術を活用したイノベーションの創出など、多摩地域だからこそ輝く取組を戦略的に掲げました。
 さらに、多摩南北方向の道路や多摩都市モノレールなどの交通インフラの充実、豪雨災害から地域の暮らしを守る防災力の強化など、地域それぞれの課題に応じた取組を推進してまいります。
 私は、知事就任以来、多摩三十市町村長と毎年意見交換を行うなど、地域の実情のきめ細かな把握に努めてまいりました。
 今後も市町村の意見をしっかりと受け止め、一つ一つの課題に丁寧に向き合い、にぎわいと活力に満ちあふれた、よりよい多摩を市町村の皆様方と共に創り上げてまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長及び関係局長からの答弁といたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタルツイン活用の取組についてお答えします。
 現実空間で収集したデータを仮想空間に3Dで再現し、様々な分析、シミュレーションが可能となるデジタルツインは、英国やシンガポールなど、世界の先進都市で都市計画や交通政策などの分野への活用が進んでいます。一方、国内でも、さきの熱海の土砂災害において、3D地図データの有効性が改めて注目されたところです。
 都におきましても、本年六月、有識者による検討会を新たに設置し、活用が特に期待される防災をはじめ、まちづくりなど九つの分野で、目指すべき姿等の議論を開始しております。検討会には、民間事業者など延べ七百名を超える方々にオンラインでご参加いただくなど、大きな関心が寄せられています。
 今後、特定エリアにおいて、災害時の安全な避難経路を3Dで案内する実証や、地下埋設物の維持管理業務のスマート化に向けた検証を行い、技術的、法的課題を整理するとともに、これらの検証結果を踏まえ、庁内データの連携方法や運用ルール等を定めたロードマップの初版を年度内に策定いたします。さらに、策定後も、区市町村や民間事業者などと連携を図り、改定を重ねてまいります。
 また、都民の皆様の理解を促進するため、各局のデータを重ね合わせ、3Dビューアーで実際に見て体感できるサイトを立ち上げました。今後も掲載するデータを拡充するなど、より一層のサイトの充実を図り、都民の皆様に向け、分かりやすく情報発信してまいります。
 こうした取組を通じて、国が3D都市モデルとして整備しているプラトーとも連携しながら、二〇三〇年までにデジタルツインを構築し、東京を世界で最も便利で生活満足度の高い都市へと進化させてまいります。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、サイバー空間の情勢と脅威への対策でございます。
 まず、先般終了いたしました二〇二〇大会におきましては、各種対策を推進したところ、期間中、大会運営に影響を及ぼすサイバー攻撃は確認されませんでした。
 次に、令和三年上半期におけるサイバー空間の脅威情勢につきましては、ランサムウエアによる被害件数が増加しただけでなく、その手口も巧妙化が認められました。データの暗号化と窃取がなされた上、当該データの復旧と非公開を口実に身の代金を要求される、いわゆる二重恐喝事案が確認されるなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢であるというふうに認識をしております。
 このような情勢を受け、警視庁では、サイバー関連事案に対処するための人的、物的基盤の強化を図り、積極的な事件化を図るとともに、中小企業者に対する実践型セミナーの開催やスマートフォンの利用に不慣れな高齢者への注意喚起など、最新の脅威情勢を反映した各種対策を推進しております。
 今後もサイバー空間における安全・安心の確保に向けた諸対策に取り組んでまいります。
 次に、通学路における合同点検を踏まえた安全対策についてであります。
 警視庁においては、交通安全対策に関する関係閣僚会議決定を受け、現在、関係機関と連携しながら合同点検を実施した上で、対策が必要な箇所を抽出しているところであります。
 警視庁といたしましては、通学路の安全を確保するためには、関係機関と連携した道路交通環境の整備を進めることが重要と考えております。必要箇所に対する横断歩道や道路標識等の設置を実施可能なものから速やかに進めることとしております。
 また、こうした取組に加え、速度違反取締りなどの交通街頭活動や歩行者の安全確保に資する交通安全教育をより一層推進するなど、今後とも通学路等における交通安全の確保に向けた取組を推進してまいります。
 最後に、視覚に障害を有する方に対する交通安全を確保するための対策についてであります。
 議員ご指摘のとおり、警視庁では、視覚に障害を有する方の歩行を支援するため、音響式信号機の整備を推進しているところでありますが、音響式は、夜間や早朝に誘導音を鳴らすことに対して、地域住民の理解を得ながら整備していく必要があります。
 このため、誘導音を鳴らすことが困難な時間帯に、音声で歩行者用信号の状態をお知らせするタッチ式スイッチの整備を順次進めております。
 また、歩行者用信号の状態をスマートフォンを通じてお知らせする高度化PICSが開発されたところでありまして、現在、都内二か所において試験運用を行い、利用される方のご意見を伺っているところであります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、オリ・パラ教育の今後の展開についてでございますが、本教育では、スポーツ志向を育成すべき資質の一つとし、スポーツ体験を通じて子供たちがフェアプレーの精神を学び、体力向上などに自ら取り組む態度を養い、心身ともに健全な人間へと成長することを目指しております。
 各学校では、アスリートを招聘して競技体験や交流活動をしたり、体育の授業や運動会等の学校行事において、オリ・パラの競技種目を実体験したりするなど、子供たちが東京二〇二〇大会を身近に感じ、スポーツに親しむことができるよう、様々な取組を行ってきております。
 今後、こうした取組を各学校がレガシーとして継続できるよう、都教育委員会は、先導的な取組を表彰するとともに、全公立学校に対して普及啓発し、学校でのスポーツに関する多様な体験や活動の充実を図ってまいります。
 次に、全国高等学校総合文化祭東京大会についてでございますが、本大会は、全国の高校生が一堂に会し、日頃の文化部活動の成果を発表する国内最大の芸術文化の祭典でございます。また、開催地の高校生自らが企画、運営を担うことに特色があり、相互交流を深める貴重な機会でもございます。
 現在、大会運営に意欲を持つ都内国公私立学校の生徒七百三十三名が中心となり、コロナ禍にあってもリモートによる会議を重ね、来年の開催に向けた活発な議論を行っております。
 具体的には、開会式での発表内容のほか、海外の高校生との交流会や特別支援学校と高等学校の生徒との合同演奏、展示会等の実施について協議をしているところでございます。
 都教育委員会は、生徒の主体的な活動を支援し、これからの共生社会に必要な協働性や創造性等の資質を育むとともに、大会成功に向けて着実に準備を進めてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨時の医療施設についてでございますが、病床の確保だけでなく、感染状況を踏まえ、患者の症状等に応じたきめ細かな医療を提供できる体制を構築することが重要でございます。
 具体的には、酸素・医療提供ステーションについては、感染が抑えられている間は救急搬送に対応しつつ、抗体カクテル療法を積極的に実施するとともに、再拡大時には療養者の急変時対応や軽症者の経過観察など、医療機関を補完する施設として活用してまいります。
 また、様々な症状の患者に対応するための機能等を勘案し、病床の空床や既存施設などを活用した臨時の医療施設等の整備へ向け調整を進めております。
 引き続き、必要な施設を整備し、第六波を見据えた即応体制を構築してまいります。
 次に、医療人材の確保についてでございますが、本年八月、全国で初めて国との連名による感染症法第十六条の二第一項に基づく協力要請を実施した結果、多くの医療機関及び医師、看護師養成機関から、医師、看護師の派遣やワクチン接種等への協力の意向が示されました。
 都は現在、病床運営、ワクチン接種、相談業務などの目的に応じて、人材を速やかに派遣するため、あらかじめ医療人材を登録し、従事につなげる仕組みを検討しております。
 この実施に向け、医療機関や医師会、看護協会、区市町村などの関係機関と意見交換を進めており、今後の感染拡大に備え、総力戦で臨む体制を構築してまいります。
 次に、自宅療養者への支援についてでございますが、都は、本年四月から東京都医師会等と連携した往診等を実施しており、八月からは東京都訪問看護ステーション協会とも連携するなど、医療支援を強化しております。
 また、先月から多摩地域で開始したオンライン診療を、今後、都内全域での実施に向け調整していくとともに、平日夜間及び土曜、休日に調剤等を行う薬局に対し、配送に係る経費を新たに支援いたします。
 さらに、自宅療養中の妊産婦に対し、東京都助産師会と連携し、地域の助産師による健康観察を実施してまいります。加えて、自宅療養者に配送している食料品を、体調などに応じて食材の組合せと味付けを簡単にアレンジできるレシピの作成等を東京都栄養士会の協力を得ながら進めております。
 これらの取組により、安心して療養できる環境を整備してまいります。
 次に、市町村への自宅療養者の情報提供についてでございますが、自宅療養者にきめ細かな支援を行うには、地域に密着した支援が可能な市町村と連携して取り組んでいくことが重要でございます。
 都は先月から、急増した自宅療養者への支援を強化するため、都保健所管内で申請のあった十三自治体に情報提供を開始いたしました。個人情報保護に留意する観点から、市町村の利用目的を明確にした上で、必要な範囲で情報提供しております。
 今後、市町村と協定締結に向け協議を進めていくほか、療養中の方の家族へのサポートなど、地域の実情に応じた多様な支援が可能となるよう、情報提供の対象範囲の拡大について、情報公開・個人情報保護審議会の意見を聴きながら検討してまいります。
 次に、三回目のワクチン接種についてでございますが、国は、本年十二月の開始に向け、区市町村は住所地で接種できるよう体制を確保し、都道府県は区市町村を支援しながら進捗管理を行うとの分担案を示しております。
 医療従事者等は、都内に大学病院等が集積することなどにより、住所地以外で接種する方が多数存在するなどの課題があるため、区市町村と協働して接種を推進する体制の構築を念頭に、具体的な役割分担や実施方法等について、区市町村と調整してまいります。
 また、都内の企業などで二回接種する都民は約百五十万人と見込んでおり、こうした方々の三回目の接種機会を確保することは重要な課題であるため、国の動向を踏まえ、職域接種の継続を要望するとともに、都の大規模接種会場での実施についても併せて検討してまいります。
 次に、インフルエンザ対策についてでございますが、インフルエンザの予防には、基本的な感染予防策の徹底とともに、ワクチン接種を受けることも重要でございます。
 インフルエンザワクチンの供給量は、昨年比で二割程度下回るものの、例年並みの量は確保される見込みであり、都は、罹患した場合に重症化するリスクが高い高齢者などには、「広報東京都」やホームページ等を通じ、積極的な呼びかけを行っていきます。
 また、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合も含め、発熱した患者が速やかに医療機関を受診できるよう、公表の同意を得た診療・検査医療機関のリストを公開しており、東京都医師会と連携し、掲載する医療機関をさらに増やすなど、円滑に受診できる環境を整備してまいります。
 次に、認証保育所についてでございますが、都は、事業者の創意工夫を生かし、大都市特有の保育ニーズに的確に対応するため、ゼロ歳児保育と十三時間開所を義務づけた認証保育所を平成十三年度に創設いたしました。
 その後、子ども・子育て支援新制度の開始に伴う小規模保育や居宅訪問型保育の導入、認可保育所の充実など、保育サービスは多様化しております。
 また、育児休業制度が充実してきたほか、テレワークや短時間勤務の導入により働き方が変化するなど、子供と家庭を取り巻く状況も変容しております。
 こうした都民の保育ニーズも変化している中で、制度の見直しを検討し、今後も認証保育所がニーズに対応したサービスを提供できるよう取り組んでまいります。
 次に、子供の放課後の居場所づくりについてでございますが、都は、子供が放課後に安全・安心に過ごせるよう、保護者が働いている子供の遊びや生活の場である学童クラブ、学習やスポーツなどを行う放課後子供教室、地域における活動拠点の一つである児童館等を整備する区市町村を支援しております。
 また、民間団体等と連携して、学習支援や食事の提供、保護者からの相談対応を一体的に行う場を整備する取組等も支援しております。
 現在、都内では、民間団体による居場所づくりが活発になっております。今後、区市町村がこうした団体のノウハウを活用しながら、地域のニーズに応じて、子供たちが放課後に安心して過ごせる居場所を整備できるよう、積極的に支援してまいります。
 最後に、放課後等デイサービスについてでございますが、令和三年度の報酬改定では、放課後等デイサービスの経営状況などを踏まえ、基本報酬や加算の見直しが行われました。
 放課後等デイサービスの支援内容は、事業所により様々であることから、都は、専門職の配置状況やサービス提供の実態のほか、今回の報酬改定が収支に与える影響について調査し、都内約千か所の事業所のうち約七割から回答を得ました。
 あわせて、経営やサービスの向上に向けた取組について、個別の事業者や関係団体と意見交換し、実態把握に取り組んでまいりました。
 今後、その結果も踏まえながら、放課後等デイサービスのさらなる質の向上に向けた取組を検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、経済の再生、回復に向けた雇用対策についてですが、コロナ禍で職を失った方々を地域経済の担い手である中小企業への再就職につなげ、必要な人材の確保を進めることは、企業活動を推進する力となり、経済の再生、回復を図る上で重要な取組でございます。
 このため、都は、離職した方々に対して、コロナ禍でも採用意欲の高い企業の求人を重点的に開拓し、トライアルでの派遣就労を経て、正社員就職を進める支援を実施しているところでございます。また、就職活動のノウハウの提供から就職面接会までを一日で集中的に行う事業を実施するなど、再就職支援を強化してまいりました。
 今後も、求職者の希望や適性に応じたきめ細かな支援と、業界団体やハローワークとのネットワークを生かした企業の人材ニーズに応えるマッチング支援により、効果的な雇用対策を進めてまいります。
 次に、中小企業の事業継続に向けた支援についてですが、中小企業が事業活動を継続するため、感染症も含めた様々なリスクを想定して、企業実態に合わせたBCPの策定や実行に向けた準備を行っていくことは重要でございます。
 都では、今年度より、普及啓発セミナーや感染症にも対応したBCP策定支援講座に加え、業界や地域の団体の会合に専門家が直接出向き、現場の実態に合わせたサポートを行う出張版の講座を開始しているところでございます。
 あわせて、BCPの実施に必要となる経費の助成も行っており、コロナ禍において、感染症も踏まえた対策を進める企業からの申請も増えてきているところでございます。
 こうした状況を踏まえ、より多くの中小企業がBCPの策定のみならず、計画の実行支援も行えるよう、事業継続に向けた支援に取り組んでまいります。
 次に、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇についてですが、東京二〇二〇大会を契機としたビジネスマッチングの仕組みをレガシーとして活用し、中小企業の受注機会の拡大に向けて発展させていく必要がございます。
 ビジネスチャンス・ナビは、二十九の政策連携団体等の電子入札や民間企業の連携先企業の発掘にも活用されておりまして、約三万八千の企業にご利用いただいているところでございます。
 また、システムの高度化を図るため、デジタルサービス局と連携し、ユーザーテストの実施やオンライン商談の導入を進めるほか、都の電子調達システムの入札情報の活用など、大幅な機能拡充に向けた取組を行っており、利便性を高めた上で、改めて道府県や商工団体などに対してPRを行ってまいります。
 今後とも、利用企業の増加や発注案件の掘り起こしにも努め、一層の利用拡大につなげてまいります。
 最後に、障害者雇用の促進についてですが、中小企業における障害者雇用の促進を図るためには、業種の特性を踏まえつつ、職場の実情に応じたきめ細やかな支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、障害者を初めて雇用する中小企業に対して、障害者が担う業務の選定など採用の準備から職場体験実習の受入れ、採用後の職場定着まで、専門アドバイザーによる伴走型の支援を実施しているところでございます。
 今後は、業界団体や関係機関とも連携し、障害者雇用に精通した支援員が、業種ごとの業務内容に即した仕事の切り出しや、同じ業界の企業における取組事例を具体的に紹介するなど、各企業に対するサポートを行ってまいります。
 これらの支援により、障害者雇用の一層の促進を図ってまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 初めに、財政運営についてでございますが、限りある財源の中、コロナ対策をはじめ、都政の諸課題に積極的に対応するためには、見直すべきものは見直すとともに、無駄をなくす取組を強化し、施策の実効性、効率性を一層高めることが不可欠でございます。
 そのため、来年度予算では、客観的な指標等に基づき見直しが必要な事業に対し、マイナスシーリングを導入するとともに、新たに政策評価と事業評価を一体的に行い、評価の取組を充実することで、より成果重視の見直しを行ってまいります。
 さらに、今年度予算の執行についても、事業環境の変化等を踏まえつつ、経費節減に努めてまいります。
 こうした取組を行った上で、基金や都債なども活用し、都がなすべき施策を財政面から支える持続可能な財政運営を図ってまいります。
 次に、公共調達を通じた中小事業者の支援についてでございますが、都内に本拠地のある中小事業者は、地域社会の活力や雇用の創出とともに、災害発生時には機動的に応急復旧を行う地域の守り手として、地元に根差し、都民生活の基盤を支える大切な役割を担っていると認識しております。
 特に、現下のコロナ禍における厳しい環境を踏まえると、分離分割発注の徹底や都内の事業者に対する地域性等を考慮した優先指名、総合評価における災害協定や緊急工事の実績への加点措置などにより、受注機会を確保し、地域を支える中小事業者の育成を図ることが重要でございます。
 こうした取組を通じ、東京の持続的な成長に欠かすことができない都内中小事業者の発展に向け、入札契約制度面からもしっかりと支援をしてまいります。
 最後に、最低制限価格制度についてでございますが、改正品確法では、調査、設計へのダンピング対策が発注者の責務と位置づけられており、都においても適切な履行の実現に向け、過度な低価格での契約を防止し、品質確保に取り組むことは重要であると認識しております。
 そのため、設計等委託では、昨年、財務局発注の案件に最低制限価格制度を導入し、本年十月からは、各局等が発注する案件に試行範囲を広げたところでございます。
 また、印刷請負においては、平成二十八年度から試行を開始し、その間、積算手法の利便性を高めながら、案件を拡大してまいりました。
 こうした創意工夫を積み上げ、ノウハウの定着を図りつつ、事業者の様々な声にしっかり配慮しながら、試行を踏まえ、本格実施に向けた取組を着実に進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラアスリートを目指す方への支援についてでありますが、都は、国際大会を目指すアスリートを発掘、育成するため、平成二十七年度から、本人のご希望と体力測定結果に基づき、専門家からの助言や競技スポーツの体験機会を提供してまいりました。
 本事業はこれまで十八回開催し、延べ千二百十二名が参加しておりまして、この事業をきっかけに競技活動を始めた方の中から、東京二〇二〇パラリンピック大会に四名の代表選手を初めて輩出したところでございます。
 また、競技団体に対しましては、練習会や合宿等の活動経費を助成するほか、ガバナンス講習会や専門家による相談会等により体制強化を支援しております。
 今後は、これに加えまして、パラアスリート等が継続的に競技力向上に取り組めるよう、味の素スタジアム内の施設を練習拠点として整備してまいります。
 次に、障害者スポーツの場の充実についてであります。
 都は、身近な地域におけるスポーツの場が広がるよう、区市町村スポーツ施設のバリアフリー化等の補助を行うとともに、民間施設等における障害者の利用促進に向けたマニュアルの周知を図っております。
 また、二十七校の都立特別支援学校の体育施設における体験教室や、参加体験型イベント、チャレスポTOKYOを実施し、障害の有無にかかわらず交流できる場を提供しております。
 さらに、今後、東京都障害者スポーツ大会において、障害のある方とない方が一緒に参加し、競い合うオープン競技を新たに実施することとしております。
 引き続き、こうした取組を通じまして、ハード、ソフト両面から、誰もがスポーツを楽しめる環境づくりを進めてまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会の仮設施設の活用についてであります。
 日本人選手の活躍もありまして、スケートボードをはじめ、アーバンスポーツという新しいジャンルの競技が大いに注目を集め、東京大会の一つのレガシーとなりました。
 こうしたレガシーを大会後に引き継いでいくため、今年三月に発表した未来の東京戦略においても、有明地区に、大会時の仮設施設を活用して、若者に人気のある都市型スポーツの場を整備することとしております。
 現在、スケートボード施設をはじめとした仮設施設の活用方法や効率的な運営について、総合的に検討を進めておりまして、今後、具体的な方針を取りまとめてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 文化プログラムの成果と文化政策についてでございますが、都はこれまで、伝統から最新鋭のものまで、様々な文化プログラムを多くの芸術文化団体の協力を得て実施し、大会期間中も選手村等で伝統文化を体感できる空間を提供するなど、東京の芸術文化の魅力を広く発信してまいりました。
 コロナ禍でも、茶道などを疑似体験できる動画を作成し、選手村で放映する等の取組の中で、文化発信の新たな可能性を見いだすことができましたが、一部のプログラムにおいては、都民等に十分な参加の機会を提供できませんでした。
 こうした成果や課題を踏まえ、東京の芸術文化をさらに発信し、都民により親しんでもらえるよう、担い手との連携による新しい体験型事業や、最新の映像技術の活用などの取組の方向性を今年度中に策定する文化戦略において示し、今後の文化政策に反映してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、環状七号線地下広域調節池の延伸についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、河川施設の整備を今後の気候変動への対応も見据えながら進めていくことが重要でございます。
 現在、都は、時間最大七十五ミリの降雨に対応するため、環状七号線地下広域調節池を整備しておりまして、完成いたしますと、調節池容量の相互融通により、時間百ミリの局地的短時間の豪雨にも効果を発揮いたします。
 さらに、広域調節池を延伸し、目黒川流域の新たな調節池として機能させることを検討しております。これにより、相互融通機能を拡充し、より広範囲の豪雨への対応も可能となります。
 あわせて、長時間の豪雨への対応力を一層強化いたします、将来の地下河川化を見据えた施設となるよう検討してまいります。
 こうした取組により、豪雨に対する安全性を高めてまいります。
 次に、幅員の狭い都道の無電柱化についてでございますが、地震や台風などの自然災害に備えるため、緊急輸送道路などの都道の無電柱化を推進することは重要でございます。
 都は、本年六月に東京都無電柱化計画を改定し、歩道幅員が二・五メートル以上の都道におきまして、年間の整備規模を倍増させ、スピードアップを図ることといたしました。
 この計画の中で、緊急輸送道路につきましては、歩道幅員が部分的に二・五メートル未満の箇所を含む路線でも、地上機器を周辺の公共用地や幅員が広い区間に集約させる工夫などによりまして、新たに整備に取り組むことといたしました。
 さらに、道幅や歩道幅員の狭い都道につきましては、変圧器と一体となった街路灯など、引き続き、電線管理者と連携して技術開発を進めてまいります。
 こうした取組により、無電柱化を一層推進してまいります。
 最後に、子供を含めた歩行者の安全の確保についてでございますが、子供が日常的に移動する経路におきまして、交通安全対策を進めることは極めて重要でございます。
 都は、令和元年の大津市での交通事故を受けまして、未就学児の移動経路を対象に緊急安全点検を実施し、対策を行っております。令和二年度には、対象を広げまして、信号機のある都道の交差点について、防護柵の設置状況を調査いたしました。
 その結果、約千五百か所の交差点内に歩行者等の横断を抑止する柵が設置されていることが確認されました。
 このうち、今年度は約千か所を対象に、より強度の高い車両用防護柵に交換してまいります。残る箇所につきましても、路面補修などの工事に合わせまして、早期に交換いたします。
 引き続き、子供を含め、誰もが安全で、安心して利用できる歩行空間の確保に取り組んでまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄の浸水対策に関するご質問にお答えいたします。
 交通局では、最新の浸水想定を踏まえたシミュレーションを重ね、地下鉄の出入口やトンネル等を通じて、浸水被害が順次拡大する状況を把握したところでございます。これを踏まえ、東京メトロ等と連携を図りながら、駅出入口の止水板のかさ上げや通風口の浸水防止機の増強等のほか、防水ゲートなどによる地下部の浸水拡大防止策につきまして検討を進めてございます。
 今後は、優先して対策を講じる施設や対策の手法、その工程等を定め、来年度策定予定の整備計画に盛り込むこととしております。
 あわせて、タイムラインに基づきまして、お客様の命を守るための訓練を継続して実施するほか、被災した際にも早期の運行再開が図れるよう、車両の避難や、施設の復旧に関する手順を整理し、検証等を通じて随時実効性を高めていくなど、浸水対策を着実に進めてまいります。
〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 消防団の活動環境と処遇改善についてですが、特別区消防団では、消防団員がより活動しやすい環境を整えるため、特定の任務に限定した機能別団員や震災時等に限定して活動する大規模災害団員の制度を創設し、入団の門戸を広げるなど、多様な人材の確保に努めております。
 また、消防団員に支給する報酬等は、国の基準、都の地域特性や社会情勢等を加味し、改善を図ってまいりました。
 さらに、全国的に消防団員が減少傾向にある中、団員確保を目的に国が示した処遇改善の方針を参考とし、特別区の消防団員が災害に従事した場合の処遇等について検討を進めております。
 今後とも、消防団員の士気高揚と消防団活動に対する家族や地域等の理解を促進し、活動を継続しやすい環境の整備に努めてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ゼロエミッション東京に向けた取組についてございますが、都は、環境基本計画改定に向け、業務、家庭等各部門のCO2削減策の在り方等を審議会で検討してございます。
 都内CO2排出量の約七割が建物に由来し、今後建てられる建築物が二〇五〇年を左右することから、都は、住宅等の一定の新築建築物への太陽光発電設備設置義務化に向けた検討を開始いたします。
 審議会では、若者世代等へのヒアリングも実施しており、引き続き、国の検討状況も踏まえ、関係団体等からの意見を聞きつつ、議論を深めてまいります。
 あわせて、速やかに強化すべき支援策等につきましては、計画策定を待たず、実効性ある施策を構築してまいります。
 今後、部門別の具体的施策の方向性を明示し、広く共感と協働を得ながら、あらゆる主体の抜本的な取組強化策を結集し、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 次に、ゼロエミッション東京の実現に向けた都民の行動を促す取組についてでございますが、気候変動対策は全ての都民と共に進めていく必要があり、そのための支援策につきましても、多様なニーズに対応するとともに、広く周知を図りながら活用につなげていくことが重要でございます。実際に都民一人一人に取組の裾野を広げていく過程において、より身近できめ細やかな対応が可能な区市町村とも連携することが効果的でございます。
 このため、都は今年度から、使用年数の浅いリユースの省エネ家電への買換え支援や、集合住宅において比較的簡便に暑さを緩和できる遮熱塗装への費用助成を区市町村と連携し、実施してございます。
 今後、さらに広く支援が活用されますよう、区市町村との連携を強化し、ゼロエミッションに向けた施策を、より多くの都民に浸透させてまいります。
 最後に、中小企業の省エネ対策についてございますが、気候変動への対応を進めていくためには、全ての事業者が省エネ対策の徹底により、CO2排出量を抑えていくことが必要でございます。
 一方、コロナ禍にあって、事業所等においては、感染症対策として、より多くの換気が求められ、空調に必要なエネルギー消費量の増加が見込まれるところでございます。
 このため、都は今年度、中小企業等が都内の中小規模事業所に省エネ性能の高い換気設備や空調設備を導入するに当たりまして、その経費を助成する事業を七月から開始いたしたところでございます。現在までに、飲食業や製造業等、幅広い業種の事業者から利用の問合せを多数受けてございます。
 今後、積極的な事業周知によりまして利用の促進を図るとともに、さらなる中小企業の省エネ対策と経営との両立を後押しする方策について検討してまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕

○総務局長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、同性パートナーシップ制度の検討についてでございます。
 性的マイノリティーをはじめとする全ての都民が個人として尊重されることが重要であり、都はこれまで、人権尊重条例等に基づき、啓発等の推進や相談支援体制の充実などを実施してまいりました。
 同性パートナーシップ制度の導入は、性的マイノリティー当事者の人権尊重とともに、多様な性に関する都民理解の促進につながることから、現在、都は、他自治体の導入事例等を参考に、制度の在り方を検討しております。
 今後は、都民や当事者の意見を把握するための実態調査を速やかに行うとともに、様々な立場の学識経験者等に対し、制度設計の内容や現行法制との整合性等について幅広く意見聴取を行うなど、多角的に検討を進めてまいります。
 次に、新しい多摩の振興プランの実現でございます。
 都では、本プランの取組を着実に進めるため、多摩島しょ振興担当の副知事を本部長とする多摩島しょ振興推進本部を、庁内連携の推進力として活用してまいります。
 具体的には、関係各局で多摩振興に係る認識を共有するとともに、各種事業の進捗状況を毎年度調査、把握し、これを取りまとめ公表するなど、本プランで導入した工程表に基づき、的確に進行管理を行ってまいります。
 さらに、市町村が地域それぞれの課題を自ら解決できるよう、各種交付金、補助金等の効果的な活用、技術職も含めた職員派遣、DX推進の技術面からのサポートやまちづくりに関する相談などの支援を行ってまいります。
 こうした取組により、本プランに掲げた施策を着実に推進し、多摩地域のさらなる発展につなげてまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 東京港の機能強化についてでございますが、近年、中国をはじめとするアジア諸港が貨物取扱量を急拡大させている状況の中、東京港の国際競争力を向上させていくことは喫緊の課題でございます。
 都はこれまでも、計画的にふ頭整備を進めてまいりましたが、今後予想される船舶の大型化や貨物量の増加も視野に入れ、二〇四〇年代に向けた長期構想を検討しております。
 この構想の下、中央防波堤外側地区に加え、隣接する新海面処分場地区において、大型船にも対応できる高規格ターミナルを整備するとともに、既存ふ頭の再編整備を着実に進め、東京港全体の施設能力を向上させてまいります。
 あわせて、デジタルトランスフォーメーションを活用した物流効率化にも取り組んでまいります。
 今後とも、都は、利用者から選ばれ続ける港となるよう、将来を見据えて戦略的に東京港の機能強化を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

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