令和三年東京都議会会議録第十五号

令和三年九月二十八日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番成清梨沙子君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十八番保坂まさひろ君
二十九番米川大二郎君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十八番石川 良一君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 三名
七番  木下ふみこ君
三十番 清水やすこ君
百一番 山口  拓君

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事多羅尾光睦君
副知事梶原  洋君
副知事武市  敬君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長中嶋 正宏君
総務局長黒沼  靖君
財務局長潮田  勉君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長野間 達也君
オリンピック・パラリンピック準備局長中村 倫治君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長吉村 憲彦君
福祉保健局健康危機管理担当局長初宿 和夫君
産業労働局長村松 明典君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長國枝 治男君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長武市 玲子君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局長後藤 啓志君

九月二十八日議事日程第一号
第一 第百五十八号議案
令和三年度東京都一般会計補正予算(第十四号)
第二 第百五十九号議案
令和三年度東京都病院会計補正予算(第三号)
第三 第百六十号議案
東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第四 第百六十一号議案
職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十二号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百六十三号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第七 第百六十四号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十五号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十 第百六十七号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十八号議案
東京都雨水貯留浸透施設及び保全調整池の標識の設置の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十九号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十号議案
都道における移動等円滑化の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十一号議案
東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十二号議案
東京都公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十三号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十四号議案
東京都高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る信号機等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十五号議案
東京都水上安全条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十六号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百七十八号議案
東京都しごとセンター(三)改修工事請負契約
第二十二 第百七十九号議案
東京消防庁本所消防署緑出張所庁舎(仮称)(三)改築工事請負契約
第二十三 第百八十号議案
東京消防庁福生消防署庁舎(三)改築工事請負契約
第二十四 第百八十一号議案
都立南多摩地区特別支援学校(仮称)(三)新築工事請負契約
第二十五 第百八十二号議案
東京アクアティクスセンター(三)改修工事その二請負契約
第二十六 第百八十三号議案
都営住宅三H─一〇二西(村山)工事請負契約
第二十七 第百八十四号議案
都営住宅三H─一二〇東(江戸川区西瑞江四丁目第四)工事請負契約
第二十八 第百八十五号議案
都営住宅三H─一〇三東(板橋区板橋富士見町)工事請負契約
第二十九 第百八十六号議案
都営住宅三H─一二七東(江東区亀戸七丁目)工事その二請負契約
第三十 第百八十七号議案
東京都しごとセンター(三)改修電気設備工事請負契約
第三十一 第百八十八号議案
東京都しごとセンター(三)改修空調設備工事請負契約
第三十二 第百八十九号議案
中川護岸耐震補強工事(その五十)請負契約
第三十三 第百九十号議案
新中川護岸耐震補強工事(その十二)請負契約
第三十四 第百九十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十五 第百九十二号議案
地方独立行政法人東京都立病院機構定款について
第三十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和三年度東京都一般会計補正予算(第十三号)の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(三財主議第三三一号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(三財主議第三三二号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について(三財主議第三三三号)
第四 議員提出議案第十七号
木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議

   午後一時開会・開議
○議長(三宅しげき君) ただいまから令和三年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   三番   石島 秀起君 及び
   六十五番 清水 孝治君
を指名いたします。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和三年九月二十一日付東京都告示第千百六十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案三十五件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、公安委員会委員長より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の委任変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会教育長より、令和三年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、令和二年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、警視総監斉藤実君の退任に伴い、新たに大石吉彦君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 大石吉彦君。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 去る九月十六日付で警視総監に就任をいたしました大石でございます。一言ご挨拶を申し上げます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきましてご理解とご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 まず、先般終了いたしました東京二〇二〇大会につきましては、当庁におきましては、大会の安全かつ円滑な開催の確保と、首都東京の安全・安心の確保、この両立に向けまして各種対策を講じてまいりました。おおむね所期の目的を達成することができたと考えております。
 大会警備に当たりまして、ご理解とご協力をいただきました都民、国民の皆様、そして、多大なるご支援を賜りました都議会の皆様方に、この場をお借りしまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 現下の都内における治安情勢でありますけれども、依然として多大な被害が発生している特殊詐欺への対策、そしてサイバー空間の極めて深刻な脅威への対処、さらには、いつ発生してもおかしくない首都直下地震や、近年激甚化しております水害をはじめとした災害への備えなど、取り組むべき重要課題が山積しております。
 当庁といたしましては、こうした課題に的確に対応することなどにより、引き続き、都民の皆様の安全・安心を守るため、関係機関との連携を図りながら、世界一安全な都市東京の実現に向けまして、各種対策を推進してまいります。
 東京都議会の皆様方におかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきたいと思います。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十七号、木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議及び知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月十三日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) この際、知事より発言の申出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和三年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対しましての所信の一端を述べさせていただきます。
 約一か月にわたり熱戦が繰り広げられた東京二〇二〇大会は、世界中に勇気と感動を届け、その幕を閉じました。今なお、アスリート一人一人の圧倒的なパフォーマンスに心を躍らせたこの夏の記憶が鮮やかによみがえります。
 コロナ禍による一年の延期、さらには無観客。かつてない逆境の中、東京はその精緻な運営能力と徹底した感染防止対策によって、オリンピック・パラリンピックの歴史に新たな一ページを刻みました。この大会を成功へと導いた経験は、我々が誇るべき、かけがえのない財産であります。都民、国民の皆様、世界各国の皆様、そして、全ての関係者の皆様の多大なるご支援とご協力に、改めまして、心からの感謝を申し上げます。
 世界的な祭典を終えた今、我々はこの経験を跳躍台に、東京の明るい未来を切り開いていかなければなりません。安全が確保され、多様性が尊重された今回の大会は、アスリートやボランティアの皆様など、人の輝く光景が何よりも印象的でありました。この大会を経て、改めて、何としてもやり遂げなくてはならないと意を強くしたもの。それは、あらゆる事態から都民の命を守り抜く危機管理の徹底。そして、一人一人の個性が輝く未来に向けた大会のレガシーの発展であります。
 気候変動の影響により、頻発化、激甚化する風水害。首都直下地震をはじめ、いつ起こるとも知れない大規模地震。そして、現下の新型コロナウイルスはもとより、世界レベルで大きな脅威となり得る、目に見えない未知の感染症。いかなる災害からも都民を守る万全の危機管理は、誰もが存分に活躍するための大前提であります。それぞれの特性を踏まえ、これらが同時に、あるいは立て続けに発生する事態も想定しながら、いつ何どきも、都庁の総力を結集し、都民の安全・安心を確実に守らなければなりません。これこそ、都としての最も基本的な責務であります。
 そして、大会の経験を通じて生み出された大いなるレガシー。これを東京の真の成熟へと結びつけていく。とりわけ、我々の社会に色濃く残る物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除き、いわば段差のない社会を創り上げる。それは、ハードのまちづくりだけではなく、支援や配慮を必要としている人々に自然に手を差し伸べることができる優しさと思いやりにあふれた社会であります。その中で、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが持てる翼を広げ、思うままに羽ばたいていく。その環境を整備してまいります。
 都民の幸せを実現するべく、都政を次なるステージへ。私は、万全の危機管理、そしてバリアフリーをはじめとした大会のレガシーの発展こそ、そのための礎であると確信しております。この揺るぎない土台を築きながら、サステーナブルリカバリーの視点に立ち、あらゆる政策の進化を図る。こうした都政を戦略的に進めるため、今後、都の組織の強化についても検討を深め、なすべき取組を着実に実施する体制を構築いたします。都庁一丸となって、首都東京をさらなる高みへと導き、日本全体の持続的な発展を力強く牽引してまいります。
 危機管理を徹底し、かけがえのない都民の命を守り抜く。そのために乗り越えなくてはならないのが、我々が現に直面している危機、新型コロナウイルス感染症であります。現在、今月末までを期間とする緊急事態措置を実施しており、ご協力をいただいている都民、事業者の皆様、そして、昼夜を問わず奮闘していただいている医療従事者の皆様に、改めて深く感謝を申し上げます。来月以降の取扱いにつきましては、国の基本的対処方針や専門家の意見等を踏まえ、改めて、都としての対応を決定してまいります。
 皆様の多大なるご尽力により、新規陽性者数は減少傾向にあるものの、ここで気を緩めれば、再び感染の拡大を招きかねません。これまでの努力を水泡に帰さないためにも、改めて、感染しない、させない。そのことの重要性を、都民の皆様お一人お一人と共有したい。そして、何よりも大切な命を確実に守るべく、量と質の両面から盤石な備えを固めなければなりません。
 これと同時に、今後の行動の制限の在り方などを見据え、感染防止との両立を図りながら、経済を再生、回復させる取組を進めていく。コロナ禍の影響が長引く中にあって、都民、事業者の皆様が、希望を持って生活を営むことができる道筋を示すことは急務であります。
 万全な医療提供体制の確保と感染終息に向けた対策の加速。そして、経済再生に向けた取組の段階的な展開。こうした考えの下で、今、必要な施策を早期に実行するべく、総額三千三百八十七億円の補正予算案を編成し、本定例会に提案いたしました。
 危機管理の要諦は、まず、大きく構えることです。この冬を見据え、災害級の感染状況になった場合でも対応可能な医療提供体制を確保してまいります。具体的には、新たな臨時医療施設の整備や、酸素・医療提供ステーションの増床などにより、病床等を約九千二百床まで引き上げます。また、宿泊療養施設におきましては、抗体カクテル療法の実施などにより療養環境を充実させてまいります。自宅療養者に向けましては、助産師による妊産婦への健康観察を実施するほか、オンライン診療システムを活用し、インターネット上に設ける仮想の診療待合室で、医師との迅速なマッチングを図ります。こうした取組によりまして、症状に応じたきめ細かな対応を強化し、安心して療養していただける体制を整えてまいります。
 感染終息に向け、鍵となるのはワクチン、そして検査の充実であります。今月末には、都内で二回目のワクチン接種を終える十二歳以上の方が約六三%となる見込みであり、この流れをさらに確実なものにするべく、新たに中小企業や大学等が実施する職域接種に必要な経費補助を行います。三回目の接種、いわゆるブースター接種につきましては、都の医学総合研究所において、ワクチン接種後の抗体の保有状況に関する研究を進め、有効な手法等を検討してまいります。また、繁華街や高齢者施設等における戦略的、集中的なPCR検査を継続するほか、児童生徒等の感染拡大を未然に防止するため、学校や保育所等での検査体制も整備してまいります。
 経済の再生、回復に向けましては、今後の行動制限の緩和を想定した準備として、コロナ禍で特に打撃を受けている飲食業、観光業に対する支援を重点的に実施いたします。本格的な営業再開を目指す飲食店に対し、専門家の派遣や経営基盤の強化に向けた取組への助成を行うほか、デジタル化への対応やマイクロツーリズムのプランづくりなど、観光事業者の収益力向上につながる取組を支援してまいります。
 感染の波が落ち着きを取り戻しつつある今こそ、中長期的な視野に立ち、いかなる状況にも耐え得る備えを固めなければなりません。補正予算案で掲げた政策を早期に実行し、死者を出さない、重症者を出さないことを最優先に、都民の命や健康を守るための体制を一層強化していく。そして、東京のエネルギーとなる事業者の活動を強力に後押ししてまいります。さらには、将来的な経済活動の正常化を見据えた対策の検討も進めるなど、引き続き、なすべき取組を果敢に推し進め、この危機を何としても乗り越えてまいります。
 史上初、二度目の夏季パラリンピックを開催した東京で、自らの限界を超えて躍動したパラリンピアンたち。その姿は、まさに一人一人の違いこそが大いなる輝きを生み出し、どんな困難をも乗り越える力となることを我々に示してくれました。この大会が、人々の心に目に見えない確かな足跡を残し、いかなる差別や障壁もない多様性あふれる社会へとつながっていく。我々はこのレガシーを大切に育て上げ、人が輝く東京の実現を確かなものとしなければなりません。
 パラリンピアン一人一人が我々に届けてくれた勇気と感動を、未来にもつないでいきたい。この思いを胸に、パラスポーツのさらなる振興を図ります。身近な活動の場や機会の確保、それを支える人材育成などを柱として、パラスポーツを至るところに根づかせていく。障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる環境を整備してまいります。
 東京二〇二〇大会では、過去最多となる二百名を超える選手が、自身がLGBTQであることを明らかにしました。今、世界中の性的マイノリティーの方々が自分らしく生きたいとの切実な思いを抱えています。
 都民、国民の理解も広がりを見せつつある同性パートナーシップ制度について、都は来月より、当事者や都民の意見などを把握するための実態調査を開始いたします。この結果なども踏まえまして、都としての制度の在り方について検討を深めてまいります。
 特別支援教育の充実にも取り組みます。障害のある子供もない子供も、共に学び、支え合い、そして、互いを尊重する心を育む。こうした理念の下、特別支援教育における次期実施計画の策定に向けた検討に着手いたしました。発達障害のある児童生徒への多様な学びの場の確保や医療的ケア児への支援の充実など、現下の教育ニーズを捉えた施策を推進し、誰一人取り残さないインクルーシブな教育を展開してまいります。
 都立高校の入学者選抜につきましては、男女合同選抜へ移行いたします。移行に当たりましては、現在一部で実施している男女別定員の緩和措置を、来年春の入試から全校に拡大いたします。都教育委員会におきまして、関係者との協議を進め、男女合同選抜の早期実施に向け、精力的に取り組んでまいります。
 かつてない難局の中で大会を成し遂げ、世界からの信頼と注目が高まる今、東京は国際社会でイニシアチブを発揮するまたとないチャンスを迎えています。気候危機への対応、国際金融都市としての地位の向上、そして、ベイエリアの発展。東京が世界の中で輝くためになすべき施策について、この機を逃すことなく、果敢に展開してまいります。
 オリンピック・パラリンピックの開催に合わせまして、都は、パリやロサンゼルスなど世界五大陸の都市と共に、サステーナブルリカバリーの実現を世界に提唱いたしました。このプレゼンスの高まりを背景に、東京発の実効性ある気候危機行動を発信するべく、来月より始まるCOP26に先駆け、都主催の国際フォーラムを開催いたします。
 タイム・ツー・アクト。この言葉を合い言葉に、建物のゼロエミ化や水素関連技術の活用など、都の持つ知見や経験を共有し、世界の脱炭素化に貢献してまいります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けた二〇五〇年を見据え、数十年にわたり使い続ける住宅等の建物を、環境面、防災面にも優れたサステーナブルな性能に転換しなければなりません。新たに、一定の新築建築物に太陽光発電の設備設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始いたします。環境基本計画の改定に合わせまして、今後、専門家等との集中的な議論を進めながら、あらゆる主体を巻き込んだ抜本的な取組強化も図り、都の環境政策を新たなステージへと導いてまいります。
 人類が克服すべき気候危機を前に、脱炭素化に向けた行動を資金面で支えるサステーナブルファイナンスへの期待は高まるばかりであります。こうした中、Tokyo Green Finance Initiativeを推進いたしまして、社会課題の解決に資する分厚い金融市場を構築することは、環境分野のみならず、世界を引きつける国際金融都市として、東京の地位を飛躍的に高めることにつながります。さらには、金融のデジタライゼーションを加速させ、多様な金融プレーヤーの誘致を促す魅力的なビジネス環境も整備していく。この秋には、国際金融都市東京構想を改定し、これらの施策にさらに磨きをかけ、世界をリードする国際金融都市へと力強く歩みを進めます。
 今大会における競技施設の多くが集積する臨海副都心エリア。選手村から臨むアーバンビューの美しさは、SNSを介して世界から大きな注目を集めました。列島を沸かせたスケートボードなど、新競技の舞台となった有明の仮設会場については、都市型スポーツの活況を背景に、いかなるレガシーが残せるか、地元区などと調整を深めてまいります。
 大会を契機に、ますます期待が高まるベイエリアは、都心部及び羽田空港と直結することで、そのポテンシャルは大いに向上します。国の審議会答申を踏まえ、地下鉄ネットワークの充実に向けた取組を、関係者と連携しながら推進してまいります。
 地下鉄八号線の延伸と品川地下鉄の整備につきましては、国等と共に、事業主体となる東京メトロへの財政支援を行いながら、早期の事業化を図ります。都心部と臨海地域を結ぶ臨海地下鉄につきましても、事業計画の策定に向けた検討を積極的に進めます。
 また、東京メトロの株式につきましては、地下鉄ネットワークのさらなる充実や利用者サービスの向上を図る観点から、保有割合を都と国で二分の一まで売却するための準備につきまして、新線整備の進捗状況等を踏まえながら進めてまいります。
 開会式で披露されました約一千八百台のドローンによる一糸乱れぬパフォーマンス。全ての競技会場に導入され、安全な大会運営に大きく貢献した顔認証システム。DXがもたらす未来社会の到来を予感させた今大会の経験をてこに、デジタルや先端技術を社会の隅々まで行き渡らせる。その力をまちづくりや防災、教育など多岐にわたる分野で活用し、快適で利便性の高い都市を築き上げてまいります。
 スマート東京の実現に向けましては、オンラインツールを生かし、地元企業等と対話を重ねながら、地域と一体となって取組を推進しています。西新宿におきましては、都が整備を進めるスマートポールを活用し、様々な社会課題の解決に結びつける実証実験を展開いたします。年明けには、バスやタクシーの自動運転車両を運行させるほか、ロボットを使った新たな自動配送サービスの取組を開始するなど、知見や実績を積み重ね、先端技術の早期実用化に弾みをつけてまいります。
 また、南大沢におきましても、今年度、坂道や高低差が多い地域におきまして、電動シェアサイクルなどを導入したMaaSの実証実験を始めます。こうした取組を推し進め、誰もが円滑に移動できる、豊かさと活力に満ちたまちの実現につなげてまいります。
 防災力の強化にもDXを巧みに活用してまいります。東京の建物やまち並みをサイバー空間上に再現するデジタルツイン。渋滞情報などのリアルデータを使った分析で、都が抱える様々な課題解決に結びつけます。先般、そのベータ版を作成したところであり、今後、人流データを可視化し、発災時の安全な避難ルートを提示する取組など、様々な実証プロジェクトを行ってまいります。
 また、都民の迅速かつ正確な避難行動につなげるべく、発災時のリアルタイム情報の発信を強化いたします。現在、ユーチューブにおきまして、河川監視カメラの映像や東京港の潮位を表す海面映像などを、二十四時間途切れることなく配信しております。さらには、携帯電話の位置情報等を活用し、帰宅困難者の滞留状況等を可視化するシステムの構築を進めるなど、頻発する自然災害から都民の命を守るため、あらゆる対策を講じてまいります。
 いかなる状況におきましても学びを止めない。そのための教育現場のDXは急務であります。都立高校における一人一台端末の整備に向け、保護者負担の軽減策について方向性をまとめました。授業に不可欠なツールとして、生徒全員が確実に所有できますよう、全世帯を対象に端末購入の負担額が一定となる補助制度を創設してまいります。来年度からの導入に向けまして、引き続き具体化のための検討を深めてまいります。
 都政におけるDXの推進に向けて、四月に発足いたしましたデジタルサービス局を核として、サービスの開発基盤を整備する取組を進めております。先般、開発プロセスに利用者の意見を取り入れるユーザーテストのガイドラインを作成したところであり、今後、職員が共有するべき価値観や技術基準などを行動指針として取りまとめます。都政のクオリティー・オブ・サービスの飛躍的な向上を目指し、この指針で掲げた理念を浸透させ、都政の構造改革をさらに加速してまいります。
 続いて、本定例会に提案している主な議案等について申し述べます。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化に伴い、東京都立病院機構の設立に向けた定款を整備いたします。超高齢社会の到来により、今後も医療需要の増加が見込まれる中、将来にわたり行政的医療を確実に提供するとともに、医療を取り巻く様々な環境変化に迅速に対応できる体制を早期に構築しなければなりません。来年七月の設立を目指し、必要な準備を着実に進めてまいります。
 また、このたび、名誉都民の候補者として、宇井理生さん、小田島雄志さん、室井摩耶子さんの三名の方々を選定させていただきました。
 宇井理生さんは、長年にわたる薬学、生化学の研究が新薬の開発につながるなど、感染症が脅威となる今、学術進展への貢献は多大であります。
 小田島雄志さんは、英文学者、翻訳家として、ユーモアあふれる紹介等によって、シェークスピアを日本人にとって身近なものにしました。
 室井摩耶子さんは、百歳という年齢を迎えてもなお、現役ピアニストとして活躍されており、多くの聴衆に感動を与え続けております。
 お三方につきましては、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 世界各地で続く紛争や気候危機、そして、新型コロナウイルス感染症。今、人類は地球規模で広がる難題に直面しています。各国は、時に自国優先的な行動をかいま見せながら、経済や防衛など様々な分野で従来の枠組みにとらわれない多国間の連携を模索しています。社会経済活動の正常化など、ポストコロナを見据えた動きも一段と加速しており、世界は歴史的な転換点を迎えているのであります。
 混迷が深まるこの新たな時代において、国家の競争力を決定づけるのは、人が集まり、ビジネスや生活の拠点となる都市の力であります。世界から選ばれる都市の存在こそ、国全体の成長や人々の豊かな生活の原動力であり、我が国において、その役割を担うのは首都東京にほかなりません。コロナ禍の中、オリンピック・パラリンピックを完遂した東京は、世界からの信頼を大いに高めました。これを追い風として、人、物、金、情報を引きつけ、多様な集積を源泉に、常にイノベーションを生み出す都市として成長を続けていく。そして、全国とも連携し、我が国の発展を力強く牽引することこそ、東京が果たすべき使命であります。
 そのためには、いかなる危機にも揺らぐことがなく、また、あらゆる面で段差のない真の成熟社会を築き、一人一人の人の力を最大限に引き出していかなければなりません。大会を終えた今、まさしく成長と成熟が両立した、誰もが輝く東京を創り上げる決意であります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力、よろしくお願いを申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案二件、条例案十八件など、合わせて三十六件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴誠にありがとうございました。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
〔広瀬議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

三財主議第三三一号
令和三年九月二十八日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 三宅しげき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     宇井 理生

      略歴
現住所 東京都文京区
宇井 理生
昭和八年二月二十日生
昭和八年   東京府(現東京都)生まれ
昭和三十年  東京大学医学部薬学科卒業
昭和三十三年 北海道大学医学部薬学科助手
昭和四十八年 北海道大学薬学部教授
昭和六十一年 東京大学薬学部教授
平成二年   日本薬学会賞(学術賞)
平成三年   日本学士院賞
平成五年   北海道大学名誉教授
同年     東京大学名誉教授
平成七年   財団法人東京都臨床医学総合研究所所長
平成十四年  財団法人東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所名誉所長
平成二十年  瑞宝中綬章
平成三十年  文化功労者

      事績
宇井 理生
昭和八年二月二十日生
 昭和八年二月二十日、東京府(現東京都)に生まれる。
 昭和三十年、東京大学医学部薬学科卒業後、同大学大学院に入学する。
 昭和三十三年、北海道大学医学部薬学科助手となる。
 昭和四十八年、北海道大学薬学部教授に就任する。
 昭和六十一年、東京大学薬学部教授に就任する。
 平成二年、「情報伝達系におけるGTP結合蛋白質の役割」により日本薬学会賞(学術賞)を受賞する。
 平成三年、「細胞情報伝達におけるGTP結合蛋白質の役割に関する研究」により日本学士院賞を受賞する。
 平成五年、北海道大学名誉教授、東京大学名誉教授に就任する。
 平成七年、財団法人東京都臨床医学総合研究所(現公益財団法人東京都医学総合研究所)の所長に就任する。
 平成十四年、財団法人東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所(現公益財団法人東京都医学総合研究所)の名誉所長に就任する。
 平成二十年、瑞宝中綬章を受章する。  平成三十年、文化功労者として顕彰される。
 氏は、ホルモンなどの刺激が細胞内部に情報として伝えられる仕組みを明らかにし、受容体刺激を仲介するGTP結合蛋白質を発見するなど、細胞内情報伝達研究の発展に尽力してきた。また、数多くの人材を育成し、優秀な研究者を輩出してきた。氏の功績は多大であり、公共の福祉を増進し、学術の進展に寄与する姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

三財主議第三三二号
令和三年九月二十八日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 三宅しげき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     小田島雄志

      略歴
現住所 東京都世田谷区
小田島雄志
昭和五年十二月十八日生
昭和五年   満州国奉天市(現中華人民共和国瀋陽市)生まれ
昭和二十四年 東京大学へ入学し授業でシェイクスピアの原文に触れる
昭和三十一年 國學院大學専任講師
昭和三十四年 津田塾大学専任講師
昭和三十六年 東京大学専任講師
昭和五十三年 東京大学教養学部教授
昭和五十五年 シェイクスピアの全戯曲三十七作品を完訳
同年     芸術選奨文部大臣賞
平成三年   文京女子短期大学教授
平成五年   東京芸術劇場館長
平成七年   紫綬褒章
平成十四年  文化功労者
平成二十年  小田島雄志・翻訳戯曲賞を設立
平成三十一年 演劇功労者

      事績
小田島雄志
昭和五年十二月十八日生
 昭和五年十二月十八日、満州国奉天市(現中華人民共和国瀋陽市)に生まれる。
 昭和二十四年、東京大学へ入学する。在学中、授業でシェイクスピアの原文に触れる。神田の古本屋で購入した「新修シェークスピヤ全集」(坪内逍遥訳)を読み、氏にとってシェイクスピアは人生の先輩になる。
 昭和三十一年、國學院大學専任講師に就任する。
 昭和三十四年、津田塾大学専任講師に就任する。
 昭和三十六年、東京大学専任講師、昭和五十三年、同大学教養学部教授、平成三年には同大学名誉教授に就任する。
 昭和五十五年、シェイクスピアの全戯曲三十七作品を完訳し、その功績により芸術選奨文部大臣賞を受賞する。
 平成三年、文京女子短期大学教授に就任する。
 平成五年、東京芸術劇場館長に就任し、平成十九年、同劇場名誉館長に就任する。
 平成七年、紫綬褒章を受章する。
 平成十四年、文化功労者として顕彰される。
 平成二十年、小田島雄志・翻訳戯曲賞を設立する。
 平成三十一年、演劇功労者として表彰される。
 氏は、イギリス現代劇の紹介、劇評の執筆や演劇台本の翻訳などに取り組むとともに、シェイクスピアの全戯曲の翻訳を成し遂げた。また、多くの演劇賞、芸術賞の選考委員を務めることに加え、自ら小田島雄志・翻訳戯曲賞を設立し翻訳劇の振興、後進の育成にも貢献している。長年の活動を通じて、多くの人に希望や活力を与えてきたその姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

三財主議第三三三号
令和三年九月二十八日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 三宅しげき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     室井摩耶子

      略歴
現住所  東京都世田谷区
室井摩耶子
大正十年四月十八日生
大正十年   東京府(現東京都)生まれ
昭和十六年  東京音楽学校卒業
昭和二十年  財団法人日本交響楽団のソリストとしてデビュー
昭和三十一年 モーツァルト生誕二百年記念祭に日本代表としてウィーンに派遣される
同年     ベルリン音楽大学に留学
昭和三十五年 ベルリンでベートーヴェンのソナタ四曲のリサイタルを開催
昭和三十九年 ドイツで出版された「世界百五十人のピアニスト」において紹介される
昭和四十六年 著作「ピアニストへの道」を発表
昭和五十五年 帰国、日本に活動の拠点を移す
平成七年   「トーク&コンサート・シリーズ」開始
平成二十四年 第二十二回新日鉄音楽賞特別賞
平成三十一年 平成三十年度文化庁長官表彰
令和三年   「百寿記念スペシャル・コンサート」開催

      事績
室井摩耶子
大正十年四月十八日生
 大正十年四月十八日、東京府(現東京都)に生まれる。
 昭和十六年、東京音楽学校(現東京藝術大学)を首席で卒業後、研究科に進み、レオニード・クロイツァー氏に師事、昭和十八年、研究科を修了する。
 昭和二十年、日比谷公会堂で財団法人日本交響楽団(現公益財団法⼈NHK交響楽団)のソリストとしてデビューする。終戦後、本格的にリサイタル活動を開始し、エリック・サティやポール・デュカスなど多くの作品を日本で初演する。
 昭和三十一年、オーストリアのウィーンで開催されるモーツァルト生誕二百年記念祭に日本代表として派遣される。
 同年、第一回ドイツ政府給費留学生に推挙され、ベルリン音楽大学に留学。ベルリンを拠点に、ヘルムート・ロロフ氏やヴィルヘルム・ケンプ氏等に師事し研鑽を積む。
 昭和三十五年、ヴィルヘルム・ケンプ氏の推薦を得て、ベルリンでベートーヴェンのソナタ四曲を並べたリサイタルを開催。まれにみる好評を収め、ヨーロッパでの活動の第一歩を踏み出す。現地でマネージャーがつき、以降世界十三か国で公演を重ねる。
 昭和三十九年、ドイツで出版された「世界百五十人のピアニスト」において紹介される。
 昭和四十六年、著作「ピアニストへの道」を発表し、以降、執筆活動も盛んに行う。
 昭和五十五年、帰国し、日本に活動の拠点を移す。
 平成七年、音楽の醍醐味を伝えるため「音楽を聴きたいって何なの?」と題した「トーク&コンサート・シリーズ」を始める。
 平成二十四年、第二十二回新日鉄音楽賞特別賞を受賞。
 平成三十一年、平成三十年度文化庁長官表彰を受ける。
 令和三年、「百寿記念スペシャル・コンサート」を開催する。
 氏は、六歳の時からピアノと共に歩み続け、ヨーロッパでの研鑽を経て、今もなお国内最高齢の現役ピアニストとして活躍している。作曲家の思いを大切にし、楽譜や一つ一つの音と真摯に向き合い、物語を奏でるようなピアノの音色で多くの聴衆に感動を与え続ける姿は、人々に希望や活力を与え、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(三宅しげき君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(三宅しげき君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 追加日程第四、議員提出議案第十七号、木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十七号
木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条第一項の規定により提出します。
  令和三年九月二十八日
(提出者)
北口つよし  かまた悦子  石島 秀起
吉住はるお  森澤 恭子  松田りゅうすけ
上田 令子  漢人あきこ  岩永やす代
成清梨沙子  おじま紘平  もり  愛
関口健太郎  清水とし子  玉川ひでとし
竹平ちはる  かつまたさとし たかく則男
鈴木  純  土屋 みわ  平田みつよし
西山  賢  星  大輔  磯山  亮
龍円あいり  あかねがくぼかよ子 保坂まさひろ
米川大二郎  清水やすこ  中田たかし
斉藤 りえ  アオヤギ有希子 原  純子
福手ゆう子  古城まさお  慶野 信一
細田いさむ  うすい浩一  浜中のりかた
本橋たくみ  渋谷のぶゆき 林あきひろ
伊藤しょうこう 田村 利光 菅野 弘一
白戸 太朗  たきぐち学  田の上いくこ
関野たかなり 後藤 なみ  五十嵐えり
西崎つばさ  須山たかし  原 のり子
斉藤まりこ  藤田りょうこ 原田あきら
小林 健二  加藤 雅之  斉藤やすひろ
大松あきら  伊藤こういち 川松真一朗
清水 孝治  三宅 正彦  やまだ加奈子
早坂 義弘  山加 朱美  菅原 直志
平けいしょう 内山 真吾  森口つかさ
福島りえこ  藤井あきら  風間ゆたか
竹井ようこ  阿部祐美子  曽根はじめ
とくとめ道信 池川 友一  米倉 春奈
まつば多美子 中山 信行  谷村 孝彦
長橋 桂一  鈴木あきまさ こいそ 明
鈴木 錦治  ほっち易隆  松田 康将
山崎 一輝  森村 隆行  村松 一希
入江のぶこ  桐山ひとみ  本橋ひろたか
石川 良一  宮瀬 英治  藤井とものり
山口  拓  とや英津子  尾崎あや子
里吉 ゆみ  あぜ上三和子 小磯 善彦
高倉 良生  東村 邦浩  中嶋 義雄
宇田川聡史  柴崎 幹男  小松 大祐
小宮あんり  三宅しげき  高島なおき
山田ひろし  伊藤 ゆう  荒木ちはる
小山くにひこ 増子ひろき  尾崎 大介
酒井 大史  西沢けいた  中村ひろし
白石たみお  大山とも子  和泉なおみ
東京都議会議長 三宅しげき殿

木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議
 木下ふみこ議員は、本年七月、無免許運転中に交通事故を起こし、衝突した車の運転手と同乗者にけがを負わせたことが大きく報道された。東京都議会は、このような違法行為及び信用失墜行為に対する社会的、道義的責任を重く受け止め、令和三年第一回臨時会において、木下ふみこ議員に対する辞職勧告決議を行った。
 しかし、その後も運転免許停止期間中にバイクを運転していると思われる映像などが報道され続けている。木下ふみこ議員からは都民に対して直接の説明や謝罪はなく、会議への欠席を繰り返している上に、議員を辞職する意向も示されていない。
 このような中、警視庁は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律等に違反した疑いで、起訴を求める「厳重処分」の意見を付し、九月十七日に木下ふみこ議員を書類送検した。事故後の捜査では、運転免許停止期間中に計六回、都内で無免許運転をしていたことも判明しているという。今後は、一刻も早い真相の究明が求められている。
 今回の行為は、都民の信託を受けた都議会議員としての自覚を欠く恥ずべきものである。議員一個人の問題にとどまらず、東京都議会に対する都民の信頼を著しく失墜させ、品位と権威を著しく傷つけたことによる社会的、道義的責任は極めて重く、断じて許されるものではない。
 よって、東京都議会は、議会への都民の信頼を回復するため、木下ふみこ議員が今回の書類送検に至った経緯を厳粛に受け止め、自らの意思と責任により直ちに都議会議員を辞職することを、改めて強く求めるものである。
 以上、決議する。
  令和三年九月二十八日
東京都議会

○議長(三宅しげき君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(三宅しげき君) 起立総員と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十九日から十月四日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十九日から十月四日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十六分散会

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