令和三年東京都議会会議録第九号

○議長(石川良一君) 五番上田令子さん。
〔五番上田令子君登壇〕

○五番(上田令子君) 自由を守る会を代表し、東京都議会二十期最後になる一般質問をいたします。
 児童虐待について、東京都子供への虐待の防止等に関する条例、こども基本条例が制定されて、具体的な救済、支援に結びついた事例及び都独自の取り組みがいかに効果を発揮したか伺います。
 一時保護所、児童養護施設内等における性的虐待、性被害の発生状況と、児童らの支援体制、通報、相談体制につきご説明ください。
 虐待情報の警察との全件共有に向け、児童相談所体制と、共有に係る目黒区五歳女児虐待死事件を受けての知事の所見を伺います。
 本年五月、わいせつ教員を再び教壇に立たせない対策新法が成立。都教委では、昨年十二月に免許失効者の官報登載漏れが発覚しており、都教委の管理体制を懸念しております。官報頼みではない独自の対策が求められます。私学も含む対応状況を伺います。
 児童生徒の被害状況と相談支援体制はどうなっていますか。
 江東区では、わいせつリピーター教員が逮捕されましたが、加害教職員への服務監察とその後の処遇、厳罰化へのご所見をお示しください。
 インターネット上での差別的な表現の書き込み、誹謗中傷、ハラスメント被害対策、被害者支援について、刑事事件となれば警察が動いてくださいますが、そこまで至らない被害が大多数です。
 木村花さんの自殺事案を受けて、国会も動き出しましたが、日常的な嫌がらせや差別にさらされ苦しむ被害者に対し、警察マターになる前の支援や相談につき、都独自にどう対応しているのか、ご説明ください。
 アスベスト訴訟で、国と企業の賠償責任を求める最高裁判決が出ました。長い闘いでした。
 そこで、都内の民間建築物におけるアスベスト台帳の進捗状況と、平成二十四年、国の公表以降の都内対象建築物の状況がどうなっているのか伺います。
 都民にも未確認の被害者は多数いると思われます。小池知事は、環境大臣時代、二〇〇五年十一月二十六日、尼崎のホテルで被害者と家族の会から直接話を伺っていましたが、直後に制定されたアスベスト新法は、請求額が労災補償に比べて著しく低い給付水準となり、被害者に大きな落胆を与えました。
 今回の最高裁判決及び被害者と家族への救済策を含めた知事の所見を伺います。
 葛西臨海水族園について、存続へ向けて日本建築家協会などから提案が出ております。サステーナブルリカバリーの象徴とするべきです。スクラップ・アンド・ビルドは時代に逆行し、コロナ禍にあり、多額の建築費はもう投資できません。
 都民のものである近代建築文化財である葛西臨海水族園の保存方針、具体策と、その象徴となる本館長寿命化に係る所見を伺います。
 コロナ禍の経済損失は大きく、税収は約四千億円も減少し、歴代知事らが堅実に積み上げてきた財調基金約一兆円の九割方を小池都政では使い果たし、直近残高見込みが二十一億円に激減し、底をつこうとしております。
 このような財政状況に至った小池知事自身の政治責任について明らかにするとともに、どのように健全性を回復していくのか、具体的なビジョン、方策に基づいた説明を求めます。
 小池知事独断専行の予算の専決処分は、令和二年度から実に十一件に及び、今年度に入り行った専決処分四件の総額は一兆円を超え、地方自治法、地方財政法、地方財政計画も想定外の異常事態です。議会を開かなかったことにより、大手飲食チェーン支援が取りこぼれ、一社つるし上げの命令を二度も下しました。
 議会招集や命令措置の最終決裁者は東京都知事です。これまで局長答弁で逃げていましたが、なぜ他府県議会では臨時会を開いていながら、東京都だけ独断専行を繰り返しているのか、費用対効果があったのか、具体的な根拠をもとに都民益にかなっているのか、乱発したことによる効果を明確にされた上で、その理由をご説明ください。
 感染拡大防止時短協力金において、支払いが遅滞、添付書類がその都度変わる、コールセンターがつながらない、連絡が来ない、そのために申し込み期間が過ぎてしまったなどの事態が発生しております。
 委託事業者と九十八億円もの契約を結んでいながら、一年もたっているのに、なぜこのような事態が発生し続けているのか、原因の説明と今後の具体的な改善策につきご説明ください。
 都は、DX戦略推進を掲げていながら、医療者向けワクチンサイトのサーバー不具合が発生するなど、あってはならない状態となりました。この期に及びDX実証実験トライアル事業などを実施していますが、今は不要不急のデジタル事業より、コロナに係る実効的なインフラ確保をすべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
 上田調査により、小池知事が一回目の緊急事態宣言からたびたびCMに登場した広告費は、令和二年度総額約十二億円となりました。他府県に比べ異常な巨額ですが、今日現在、残念ながら第三回目の緊急事態宣言下にあります。
 小池知事に伺います。知事がCMに頻繁に出ることに何の効果があったのでしょうか。当初の合理的指標と結果の検証、十二億円費やしたことへの具体的成果を明確にしてください。
 広告費について指摘した芸能人の所属事務所とテレビ局へ都が異例の注意文を出したことが、全国的に批判にさらされました。注意文送付に当たり開示請求をしても、意思決定の過程は不明瞭なままです。一々芸能人の言動を監視するよりも、やるべきことは山積なはずですし、お上が庶民の笑いにまで指図をすることの反省を、さきの戦争で我々は経験したはずです。二度とこのようなことをしないでいただきたい。知事には猛省を促し、所見を求めます。
 ワクチンです。都から、医療従事者分として三月に都立病院に届けたのが六月末期限だったはずです。七月期限のものを先に提供し、六月期限のものが余ったとしたら大問題です。期限別ワクチンの在庫状況、開始から現時点までの高齢者、医療者への接種率の区市町村別推移をご報告ください。
 大人数に接種する能力のない医療機関が医療従事者接種委託先に選ばれる事態が各区で発生しました。都は、接種を委託する基本型、連携型施設の指定について、各区に確認したのでしょうか。地元自治体や医師会に聞けば、ほかの施設の医療者にも献身的に接種する医療機関が選定でき、今日のような混乱は防げたはずです。
 また、各区にワクチン用冷蔵庫を配分する際、地域医療に熱心ではない機関に配ってしまい、そこで目詰まりを起こしたのではないかとも懸念するものです。各区に確認をしたのかしなかったのか、目詰まりは発生していないのか確認します。
 医療従事者は、ワクチンなしで第四波に立ち向かう事態に陥りました。片道分しか給油させず若者を特攻に駆り出した戦争末期と重なります。これはコロナ、医療対策の前に人権問題であり、安全保障問題であり、東京都として重い責任があります。政府に責任転嫁をせず、知事自身の責任を明らかにしてください。
 かねてより、小池都政における人事体制を指摘してきました。昨年七月、感染症の経験値の高い福祉保健局長が、なぜか交通局長へ異動、八月には福祉保健局健康危機管理担当局長が異動となり、政策企画局次長が後任となる事態が発生、感染症の専門家で医師でもあった幹部職は退職。
 一方、小池知事の私設秘書、都知事特別秘書兼都民ファーストの会代表だった現東京水道代表取締役野田数氏については、水道行政の経験値ゼロであるのに重用。しかし、東京都環境公社理事長であった元都庁官僚澤章氏は、「築地と豊洲」を著した途端に、直後に退任が通知されるというダブルスタンダード人事では、都庁内モラルハザードを起こしかねません。
 職員の士気低下、自殺、長期休職、依願退職を防ぐためにも、一連の経過について明らかにされた上で、当該人事の妥当性と狙い、知事がどのような関与をされたのか、知事ご自身の説明を求めます。
 去る五月十一日、「女帝」「築地と豊洲」「仮面 虚飾の女帝・小池百合子」「知事の真贋」について、一般質問を予定しているのでご一読いただくよう、知事宛てにこれらの書籍を含む請願書を提出しておりました。
 「女帝」著者石井妙子さんは、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されており、都民の注目も高まっております。当然、憲法十六条及び請願法第五条、判例に基づいた対応がなされたものと思料します。
 知事は読まれましたか。知事が読まれていないとしたら、知事にかわってどなたが読まれたのか、さらに、これらの書籍に事実誤認や知事の見解との相違はあったのか、お答えください。
 以上です。再質問を留保し、反問があれば対応いたします。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 上田令子議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、一問お答えさせていただきますが、いずれも読んでおりません。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、教員免許が失効等となった者の把握についてでございますが、非違行為等により、教育職員免許状が失効、取り上げとなった教員につきましては、教育職員免許法の規定により、官報に登載されることとなっております。
 国は、これらの情報を取りまとめた官報情報検索ツールを全国の教育委員会や私立学校等へ提供しており、検索できるようになっております。
 昨年度、文部科学省からの全国への依頼を契機に、都教育委員会におきましては、過去四十年間分につきまして点検をいたしました結果、三件の官報登載漏れを確認いたしたところでございます。この三件につきましては、速やかに官報登載を行うとともに、事務処理手順等についても既に改善済みとなっているところでございます。
 次に、教職員のわいせつ行為への対処についてでございますが、教職員が児童生徒に対し、悪質なわいせつ行為を行った場合、同意の有無を問わず、免職処分としており、従前から厳正に対処するとともに、教職員の不適切な行為の根絶に取り組んでおります。
 児童生徒が被害を受けた場合には、保護者と連携し、学校が児童生徒の状況を把握しながら、スクールカウンセラーとの面談を行い、丁寧に心のケアを行っております。また、必要に応じまして、教育相談センター等の支援につなげております。
 さらに、学校に対しては、都が設置する性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターについても周知をしており、活用を促進しております。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 民間建築物のアスベスト調査等についてでございます。
 これまで都は、建物利用者等の健康被害を防止する観点から、国や区市等と連携いたしまして、民間建築物のアスベスト使用の実態把握や対策に取り組んでまいりました。
 まず、飛散性の高い吹きつけアスベストを使用した可能性のある対象建築物の台帳につきましては、昨年度末現在、都及び三十一の区市において整備済みでございます。
 また、平成二十四年の国の公表以降も、都は区市と連携し、所有者等への調査等を行ってまいりました。
 その結果、令和元年度末時点で、台帳記載の対象建築物約二万八千棟に対しまして、約二万三千棟につきましては、特定行政庁への報告があり、そのうち約二万一千棟につきましては、アスベストの未使用が確認されております。残りの大部分の建物につきましても、除去等を働きかけたことによりまして、所有者等において対策済みでございます。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童虐待防止への取り組みについてでございますが、東京都子供への虐待の防止等に関する条例と東京都こども基本条例は、子供を権利の主体として尊重し、その最善の利益を実現することを目的としております。
 都はこれまで、深刻化する児童虐待に対応するため、児童福祉司や児童心理司、専門課長の増員など、体制を強化しており、今年度は一時保護所の定員を二百五十名まで拡大いたします。
 また、都独自に定めた行動指針に基づき、迅速的確に児童の安全確認を行い、必要に応じて一時保護をしており、虐待を理由に保護した児童の人数は、平成三十年度は千三百三十八人、令和元年度は千五百四十九人となってございます。
 次に、一時保護所や施設における児童虐待への対応についてでございますが、都は、入所児童向けに、相談用のはがきを挿入した権利ノートやリーフレットを配布しております。
 相談や第三者からの通告等を受けた場合、児童の安全を速やかに確認するとともに、警察等関係機関とも連携して調査を行い、児童福祉審議会に意見を聞いた上で、虐待に該当するかどうかを判断いたします。
 令和二年度に虐待となった事案は三十八件であり、うち性的虐待に該当するものは七件でございました。
 被害児童には、面接等でアセスメントを行い、状態等に応じたプレーセラピーや心理教育、認知行動療法等のケアを行うほか、医療機関への通院なども支援しております。
 最後に、児童相談所と警察との連携についてでございますが、都は、平成三十年十月、児童虐待に係る警視庁との協定を見直し、警察との情報共有の範囲をリスクが高いと考えられる全てのケースに拡大しており、それ以降、毎年約二千件の情報提供を行っております。
 また、都独自の安全確認に係る行動指針では、通告後、子供の安全が四十八時間以内に確認できなかった場合、立入調査の実施を決定した上で、警察への援助要請を行うこととしております。
 さらに、警視庁からの現職警察官の派遣や警察OBの児童相談所への複数配置など、児童虐待の防止に向け、連携強化を図っております。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕

○総務局長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、インターネット上での誹謗中傷等による被害者支援についてでございます。
 都では、インターネット利用時のルールやマナーに関する普及啓発を行うとともに、東京都人権プラザにおきまして、インターネット上の人権侵害についての相談、助言を行っております。
 相談者が法的なアドバイスを希望する場合は、弁護士による相談を実施しているほか、人権侵犯事件としての調査、救済を希望する場合は、国の人権擁護機関である東京法務局等の相談窓口を紹介しております。
 次に、都職員の人事管理についてでございます。
 個別の人事異動の経過等につきましては、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため、お答えはできません。
 なお、人事異動は、その時々の行政課題に迅速かつ的確に対応できるよう、職員の能力、実績を踏まえて実施をしております。
 また、政策連携団体の人事に関しましては、必要に応じて都から適切な人材を推薦しておりますが、団体みずからの経営判断により決定をされております。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、アスベスト救済制度についてでございます。
 現在、国は、中皮腫等を発症した労働者に対する労災補償に加え、アスベスト取扱工場の近隣住民等に対して、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づき、医療費等の救済給付を行っております。
 都は、東京都健康安全研究センターや保健所において、アスベストに関する健康相談や救済制度等の情報提供を行っております。
 今般の建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受け、国は、原告団等と基本合意書を締結し、和解を進めるほか、被害者に対する救済制度として議員立法を検討しており、都は、その動向を注視してまいります。
 次に、ワクチン接種予約システムについてでございます。
 不具合の原因となったソフトウエアの脆弱性への対策に加え、システム監視の強化など、一層のセキュリティー対策を実施し、五月十一日から受け付けを再開しており、現在はシステムにより予約が順調に行われております。
 また、コールセンターは、当初の三十五回線を五月一日から五十回線に、五月二十四日から百回線に増設し混雑緩和を図っております。
 今後も、円滑に予約できる環境を確保し、医療従事者等向けのワクチン接種を確実に進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルスワクチンについてでございます。
 都は、先月からワクチンを保有する基本型接種施設の状況を調査しており、他の施設に再配分することが可能なワクチンは、現在、約六万回分でございます。
 そのうち、有効期限が六月末のものが約千二百回分、七月末のものが約四千二百回分、八月末のものが約五万一千回分、その他が約四千八百回分となってございます。
 また、都内の対象者で一回目の接種を終えた方の割合は、現時点で医療従事者等が約八割、高齢者が約二割であり、区市町村別の接種率は把握してございません。
 次に、ワクチン接種施設の確保についてでございます。
 都は、医療従事者等への接種に向け、基本型接種施設百八十四カ所、連携型接種施設二千六百七カ所を確保してございます。
 接種施設の選定に当たりましては、病院等に対し、接種能力や地域の医療従事者等への接種に関する意向を調査した上で、基本型接種施設は区市町村に照会し、連携型接種施設は必要に応じて区市町村に照会してございます。
 なお、この連携型には、地域の医療従事者等への接種を実施している施設と実施していない施設がございます。
 また、接種施設をさらに拡充するため、東京都医師会とも協議を重ね、連携型接種施設の追加も行ってございます。
 最後に、医療従事者等へのワクチン接種についてでございます。
 現在、対象者約五十七万人全ての方二回分のワクチンが供給されており、今月中には接種を完了する予定でございますが、今後、さらなる前倒しに向け取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 葛西臨海水族園の保存についてでございますが、都は、昨年十月に策定した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画におきまして、新たな水族園の整備と並行して既存施設の利活用の可能性とその採算性等について検討を行い、水族園機能を移設した後、施設の状態等を調査の上、そのあり方について決定していくこととしております。
 現在、周辺一帯の魅力を向上させる利活用策について検討を行っておりまして、今後、基本的な考え方を取りまとめてまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、財政の健全化についてでございます。
 都はこれまで、本定例会に提案中のものも含め、合計二十九回に及ぶ補正予算を編成し、基金の有効活用などにより財源を確保することで、感染拡大を阻止する対策や、都民生活を支えるセーフティーネット対策などを迅速かつ的確に講じてまいりました。
 当面は厳しい財政環境が続くことになりますが、今後確定する昨年度決算の状況を見きわめつつ、予算の執行段階における経費の節減や、予算編成過程における政策評価と事業評価の一体的な実施など、あらゆる方策を講じて財政対応力の確保に取り組んでまいります。
 続きまして、補正予算の専決処分についてでございます。
 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症に迅速かつ的確に対処するために、専決処分を含め累次にわたり補正予算を編成し、感染拡大を阻止する対策などを切れ目なく講じてまいりました。
 その中でも、新規感染者数を抑制するため、営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金の支給などに必要となる補正予算を編成し、議会の閉会中においては専決処分により直ちに予算措置を行い、施策の内容を早期に都民の皆様にお示しすることで、取り組みの実効性を担保してまいりました。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 協力金の迅速な支給についてですが、都はこれまで、民間の力も活用し、協力金の迅速な支給に努めてまいりましたが、支給対象が事業者単位から店舗単位に変わり提出書類が増え、不備があった場合の確認などに時間を要しております。
 また、コールセンターにつきましては、新たな要請が出された際などに一時的に問い合わせが集中し、電話がつながりにくいという声があることは承知しております。
 こうした状況を踏まえ、間違いやすい事例をポータルサイトで紹介するとともに、申請書類の作成手順を動画で案内するなど、申請者の負担軽減を図ってきたところでございます。
 今後とも、コールセンターの人員拡充や審査体制の強化により、支給の一層の迅速化に努めてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 新型コロナウイルス感染症に関する広報についてでございますが、感染防止対策の徹底には情報発信が重要であることから、知事や訴求力のあるタレントを起用したCM等を多様なメディアで展開いたしました。実施に当たりましては、目標視聴率等を設定し、履行を確認してございます。
 都民三千人を対象とし約千五百人から回答を得た調査では、マスク着用について約八三%が都の広報に共感し行動したと回答するなど、多くの方の行動変容に結びついたと考えてございます。
〔政策企画局長中嶋正宏君登壇〕

○政策企画局長(中嶋正宏君) お話のテレビ局などへの申し入れについてでございますが、これまでも事実と異なる情報が報道されました場合には、報道機関等に対しまして適切に訂正を求めております。
 今回も視聴者及び都民に誤解を与えたことから、正しい報道を行うよう訂正等を申し入れたものでございます。
〔五番上田令子君登壇〕

○五番(上田令子君) 知事の就任以来、約五年間さまざまな議論を重ねてまいりましたが、昨今は答弁拒否、答弁逃れ、一般職員への押しつけが繰り返されております。これこそ東京大改革の変質であり、古い議会を新しくと高らかに掲げた理念を否定するものではないでしょうか。
 今回は、知事に大きく九点答弁を求めています。知事は都庁の事務所長の役割とともに、政治家としての責務を負っています。私は知事の政治姿勢、政治責任を問うておりますが、全く誠実なお答えをいただけませんでした。
 知事与党や国政政党の質問には前向きに答えるのに、一人会派は相手にしないというのは、議会ハラスメントであり、知事の掲げるダイバーシティーにもとるものであります。これは都民と都民代表である議員を冒瀆し、愚弄し、民主主義をも冒瀆するものでございます。
 まず、虐待情報の警察との全件共有の必要性について、知事の所見を求めます。
 アスベスト被害者、家族への救済について、行政責任を求めた最高裁判決を受けて、環境大臣当時の対応は正しかったのか、考えは変わらないのか、真摯な言葉でお答えください。
 コロナ禍による財政悪化から健全性をいかに回復していくのか、政治責任を明らかにしてください。
 臨時会招集を回避し、専決処分を乱発したことの政治責任と、何を意図し、見合う効果があったのか、欠落してしまった視点はなかったのか、現状を顧みてお答えください。
 時短協力金について、事業者へ多大なる迷惑をかけているのに、知事からはおわびもありません。まず、政治家としておわびするべきではないでしょうか。いかにお考えでしょうか。
 知事出演の巨額広告費につき、合理的根拠と具体的成果につき、知事としてご説明ください。
 また、これを批判した芸能人、関係先への抗議は、言論の自由を侵すものではないか、お答えください。
 医療者たちは、ワクチン接種が間に合わないまま、第四波に立ち向かっています。この事態に陥った政治責任を明らかにしてください。
 前述の人事への知事の関与とその妥当性につき、知事の判断根拠を明らかにしてください。
 私が提出した請願書の一部である四点の書籍について、読まれていないということでございますが、今後は読まれないのでしょうか。
 なお、誠実な答弁がなされないのであれば、知事不信任と受けとめ、決議を準備せざるを得ないことを申し添え、自由を守る会の最終質問を終わります。
〔副知事多羅尾光睦君登壇〕

○副知事(多羅尾光睦君) 先ほどの知事の答弁の際に、なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁すると答弁しております。
 おっしゃる九問中の八問については、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁したとおりでございます。

○議長(石川良一君) 以上をもって質問は終わりました。

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