令和三年東京都議会会議録第九号

○議長(石川良一君) 二十六番斉藤れいなさん。
〔二十六番斉藤れいな君登壇〕

○二十六番(斉藤れいな君) 都は、緊急事態措置として、四月二十五日から五月十一日までイベント関連施設の運営者に対し、原則として無観客での開催を要請しました。
 それに伴い、無観客が難しく休業する場合には、独自の支援金を支給する一方で、無観客で開催した場合には、支援金の対象外としました。
 無観客開催は必ずしも利益の出るものではなく、要請に応じた施設運営者及びイベント事業者等からは悲痛な叫びが上がっています。要請に従い、無観客開催とした事業者等に対しても十分な支援が必要です。見解を伺います。
 そもそも、こうした事業者の多くは、決してクラスターを発生させてはならないとの強い決意のもと、感染防止対策の徹底に努めており、一律の要請には疑問が残ります。
 海外では、イベント開催実験などにより、事前検査や陰性証明などの基準をつくる動きも見られますが、事業者の負担は増すばかりです。
 そこで、文化イベント等について、感染防止対策として効果が認められる検査費用の支援などにより、観客を入れた安全な開催、活動の継続を支援すべきです。見解を伺います。
 次に、ワクチン接種に関して、多摩地域からは、国の大規模接種センターが区部に一カ所しか設置されないことに対して不満の声が上がっています。都として、多摩地域にも大規模接種センターを設置すべきです。
 これから都が行う集団接種事業においては、利便性等を考慮し、地域の偏りが出ないよう工夫すべきです。見解を伺います。
 教育施策について伺います。
 現在、都立高校では、分散登校とオンライン授業が実施されていますが、公立と私立、学校や教員ごと、あるいは家庭の通信環境などから、学習環境に格差が生じているとの指摘があります。
 そこで、都立高校におけるオンライン学習の実施状況と課題、改善に向けた取り組みについて伺います。
 都立高校の男女別定員制について、合格者の性別による成績の差が生じないよう繰り返し求めてまいりました。
 低迷する日本のジェンダーギャップ指数に関しても、もとをただせば教育であるとの指摘もあり、義務教育を終え、高校、大学等へ進む、いわば高等教育の入り口である都立高校の入試制度もまた、丁寧に改善を重ねていく必要があります。
 その意味で、都では、いわゆる緩和枠を設けていますが、合格最低点の格差是正に十分な成果を得られているのか検証するとともに、緩和枠の採用校を増やすべく取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 日本の就学前教育における公的な財源の割合は約四五%、つまり半分以上を私費で負担する状況であり、OECD平均の約八二%を大きく下回っています。
 幼児期の教育は、将来の社会性獲得や所得向上に効果が大きく、家庭の経済状況に左右されてしまう現状を変え、社会全体で支えていくべきものであり、虐待や貧困の連鎖を断ち切る上でも重要と考えます。
 都では、就学前教育の質向上や小学校との円滑な接続を目的としたモデル的な取り組みを進めています。
 その取り組みを伺うとともに、今後は都内全域へ広がるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺い、無所属東京みらいの一般質問を終わります。(拍手)
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 斉藤れいな議員の一般質問にお答えいたします。
 三点のご質問をいただきました。
 初めに、都立高校におけるオンライン学習についてでございますが、都教育委員会は、昨年の一斉臨時休校以来、生徒のスマートフォン等の使用による一人一台端末体制のもと、学習支援ソフトの導入や動画の作成、配信の方法等の教員研修の実施により、各校のオンライン活用を進めてまいりました。
 ことし五月の時点での都立高校の実施状況につきましては、昨年六月と比べ、同時双方向型の授業は三一ポイント増の七八%となり、オンデマンド型なども含めると、約九割の学校でオンラインを活用した学習の取り組みを進めております。
 今後、オンライン学習のより一層の充実に向け、全都立学校の無線LAN設置を九月までに行うとともに、各校のデジタルサポーターによる校内研修やデジタル活用推進の中核を担う教員向け研修を行うなど、教員のデジタルスキルの向上を図ってまいります。
 次に、男女別定員の緩和についてでございますが、都立高校入学者選抜では、全日制普通科において男女別定員を設けており、一部の学校で、募集人員の一割について男女合同の総合成績により合格者を決定する緩和策を導入しているところでございます。
 平成三十一年度三十一校、令和二年度四十校、令和三年度四十二校で導入をしてまいりました。これらの取り組みにより、合格最低点の男女間の差の縮小を図るとともに、中学校の進路指導等への影響を考慮し、緩和実施校の段階的な増加に努めているところでございます。前年度の状況を踏まえ、例年、実施校等を九月に公表しております。
 今後とも、男女別定員による不公平感を低減し、より男女平等な入学者選抜とすることを目指してまいります。
 最後に、就学前教育についてでございますが、子供たちの資質、能力を育成するためには、幼稚園や保育所等の就学前施設における遊びを通した学びを充実させるとともに、小学校における各教科の学習との連続性を考慮することが、より効果的でございます。
 そのため、都教育委員会は、三地区をモデル地区に指定し、荒川区とは五歳児から小学校低学年を一まとまりにした教育の内容や方法に関する研究に、福生市とはやり抜く力や好奇心等の学びに向かう力等の育成方法に関する研究に、また、国立市とは福祉部局との連携による幼保小の接続プログラムの開発に関する研究にそれぞれ取り組んでおります。
 今後は、研究成果を都内就学前施設や公立小学校に広く周知し、学びの連続性を重視した取り組みを推進することで、さらなる教育の質の向上を図ってまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 無観客開催要請に応じた事業者への支援についてですが、国は、休業要請に協力いただいた大規模施設等を対象に、協力金を支給する制度を構築いたしました。
 都は、国が休業要請の対象としていない小規模な施設に対し、独自に休業の協力依頼を行っており、全面的に協力いただいた中小事業者等に対して支援金を支給いたします。
 また、無観客開催を要請する施設については、国において協力金の対象外とされておりますが、都においては、その要請により休業を余儀なくされた中小事業者等に対しては、支援金を支給することといたしております。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 芸術文化活動への支援についてでございますが、都では、文化振興を図るために、助成制度を活用して民間団体等の支援を行っております。
 助成事業の実施に当たりましては、感染防止対策を講ずるものとし、その経費を助成対象としております。また、一部の事業では、より積極的な対策に対し、別途上乗せして助成することとしております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、芸術文化活動を安全に実施できるように支援してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 大規模接種会場の設置に関するご質問にお答えをいたします。
 都はこれまで、ワクチンチーム等を通じ、区市町村や関係団体等と緊密に連携してまいりました。
 今後、会場の選定につきましても、地域バランスなどを考慮する必要があることから、ワクチンチームも活用し、区市町村と丁寧に調整してまいります。

ページ先頭に戻る