○議長(石川良一君) 百二十番秋田一郎君。
〔百二十番秋田一郎君登壇〕
○百二十番(秋田一郎君) 令和三年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問します。
初めに、名誉都民の篠原儀治さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意をあらわし、心よりご冥福をお祈りいたします。
今定例会をもって第二十期都議会は四年間の任期を終えることになります。
今、人類の脅威となっている新型コロナウイルス感染症から都民の命を守るために我々が優先すべきは、どの政党とか、どの会派とかではなく、我々全てが一丸となって団結し、終息に向けて行動していくことです。
大事なのは、都民に寄り添い、都民の声に耳を傾けて、都民の思いを聞き、この国難を都民とともに乗り越えていくことであります。
今のコロナ禍において一刻も早い社会経済活動再開のため、この逆境を乗り切り、都民とともに東京に明るい光を取り戻す、そのための努力を惜しまないことを誓い、質問に入ります。
最初に、新型コロナ対策について伺います。
政府の方針を受け、東京都も都内在住の六十五歳以上のワクチン接種について、七月末を目途に完了を目指すとしています。
そこで、都内におけるワクチン接種のスピードを全体的に高め、七月末完了を実現するための取り組みについて伺ってまいります。
都内六十二自治体のうち五十一の自治体では、七月末までに接種を終える予定ですが、十一の自治体では困難との回答があったと聞いています。都のキャパシティーは無尽蔵ではありません。都内全体として、ワクチン接種を速やかに実現させることが都内の感染抑止に資すると考えます。
都は、八月までかかるとする自治体に対して、重点、優先的な支援に傾斜すべきと考えますが、見解を伺います。
また、スケジュール的に厳しいとされる自治体の多くは多摩地域です。
都は、自治体の既存計画に重複しない形で支援策を検討すべきと考えます。
都は、築地市場跡地を活用した独自の接種センターの設置を検討していますが、多摩地域にも都独自の接種センターを速やかに検討、設置すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
東京都は、今定例会において、東京都の令和三年度六月補正予算案を提出しました。
その中に、かかりつけ医など地域の診療所が接種を行った場合、都が協力金を支給するという新型コロナウイルスワクチン接種促進支援事業五十八億円が計上されております。七月末までに一日六十回接種した診療所などが対象で、支給額は一日当たり十七万五千円です。
この取り組みにより、七月末までに最大二百万回接種できる計算となり、これは、都内の高齢者のおよそ三分の一の人が二回接種できる回数に相当するということであり、接種数拡大の観点からは大いに期待されます。
一方で、一日六十回接種した診療所に限定すると対象となる医療機関は限られてくるのではないか、既に座組みを組んで七月末までに完了することが見えている自治体に新たな接種ルートをつくると混乱が生じるなどの懸念する声も聞かれています。
都の矢継ぎ早の施策提案は評価しておりますが、実効性のある施策であることが前提です。
そこで、本事業の実効性を高めるための運用について、都の見解を伺います。
ワクチンの配分は、現在、第八クールまで決まり、これにより高齢者用のワクチンは一〇〇%供給されることになります。今後、さらに接種スピードを高めていくためには、接種するための医療人材の確保と接種会場の確保が課題となります。
ワクチン接種の円滑な実施に向け、都としてどのように医療人材を確保していくのか、具体的な取り組みについて伺います。
都立、公社病院は、地域で必要とされる一般医療を継続しながら、コロナ専用病床を二千床確保するなど体制を強化し、積極的に患者を受け入れてきました。一方、ワクチン接種では、医療人材の確保が課題となっています。
ワクチンの速やかな接種を実現するために、施設提供や人材の提供など、都立、公社病院もできる限り協力すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、接種会場の確保について伺います。
集団接種においては、各自治体がそれぞれ対応していますが、特に接種が遅れている地域は、医療人材とともに会場にも制約があります。
都施設はもとより、都の働きかけにより、大学、企業などからの協力を得て、会場確保についての支援を進めるべきと考えますが、現在の計画、検討状況を踏まえ、都の見解を伺います。
昨日の知事の所信表明において、代々木ライブサイト会場を築地会場閉鎖後のワクチン接種の会場とする計画が発表されました。
こちらの会場については、使用期間はどのような予定なのか、今後も、こうした都独自の接種会場を設置する予定はあるのかについて伺います。
各自治体において、接種予約もおおむね落ちつき始めた一方で、在宅中の要介護、障害者の方やご家族からは、接種会場に連れていくことは難しい、いつ接種ができるのかわからずに不安といった声もございます。
訪問医療が一時期に比べて進んだとはいえ、コロナワクチン接種の場合、ワクチンの保管の問題と経過観察時間を要することもあり、重症化リスクが高いにもかかわらず、在宅介護中の方への接種については、どの自治体もいまだに見通しが立っておりません。重症化リスクの観点からも、早急に対策を講じるべきことを強く指摘しておきます。
とりわけ、多摩地域の中でも都心部に比べ交通網が脆弱な西側の交通不便地域では、在宅で暮らす介護が必要な高齢者や障害者が集団接種会場に来ることは極めて困難です。
都は、こうした交通不便地域に暮らす要介護、障害者への接種について、どのように都内で取り組みを進める方針か、見解を伺います。
このことは多摩地域のみならず、都内全体でも重要な課題です。
例えば、在宅で介護されている同居家族に優先接種をしていただくことで、ご本人の感染リスクを抑制するなど、視野を広げた対応策を講じていただきたいと要望しておきます。
七月末のワクチン接種完了に注力しながらも、都が行うべきことは、ワクチン接種の優先順位づけを明らかにすることであります。
医療人材はもとより、災害時に必要となる職種の方や高齢者福祉施設のスタッフ、常に生徒児童と接する教師や保育士など、有事も見据えた社会活動の観点やクラスター対策など、幾つかの観点から決めておく必要があります。また、糖尿病患者など年齢を問わず重症化リスクが高いとされる方もいます。
このような、今後のワクチン接種計画の優先順位について、都の見解を伺います。
さて、きのう、経団連が緊急提言をされました。
いわく、この暗いトンネルを抜け出す方策は、ワクチンによる集団免疫の獲得しかない、接種が進む諸外国では、既に社会経済活動が再開されつつある、早期に集団免疫を獲得することで、一日も早い経済の再生、社会経済活動の正常化が求められる。
具体的には、冬の到来までに、国民の七、八割の接種が完了する形で集団免疫の獲得を目指し、そこからバックキャストしてワクチン接種を一気呵成に進めるべきであると述べ、経団連は、ゴールを明確に設定しています。
いうまでもなく、東京は経済の中心です。
知事は所信表明で、ワクチンについて、状況を打開するゲームチェンジャーと述べましたが、ゲームチェンジの目標設定を伺います。
また、集団免疫に関し、iCDCの先生方は、知事にどのように説明してきたのか伺います。
コロナ禍が一年以上にわたり続いていますが、常に医療逼迫などの報道がされてきました。中でも人工呼吸器やECMOなどの重症患者の受け入れ体制の確保は最優先事項であり、我が会派も機会あるごとに体制強化、病床確保を要請し続けてきました。
政府も、都道府県に対して一日当たり最大の感染者数の二倍程度の感染者数となった場合を想定して、医療提供体制整備を求めてきました。
都では、重症者を受け入れる体制を国の要請以上の病床数である三百七十三床が確保されているとのことですが、今後、二〇二〇大会の開催により、懸念されている感染拡大が生じた場合においても、十分対応は可能であるといえるのか、見解を伺います。
東京二〇二〇大会まであと二カ月を切りました。先日、組織委員会の橋本会長が大会の準備状況を公表し、その中で、来日する大会関係者の全体像や大会時の医療体制などが詳細に示されました。
特に、医師や看護師、病院などの確保に当たっては、地域医療に支障がないように取り組むこととし、規模や進捗状況なども明らかにされました。
このように、コロナ対策など安全対策が着実に進められている状況を正確に伝えていくことが、都民、国民の不安を払拭し、大会への理解、そして、機運の醸成につながると考えます。
地域医療と両立した大会時の医療、検査体制の確立に向け、どのように取り組んでいくのか、都の見解を求めます。
ライブサイトは大会の感動を分かち合うとともに、開催都市の魅力を発信する重要な場です。一方、今、何よりも優先されるべきは、ワクチン接種の加速化であります。
そういった状況の中、代々木公園のライブサイト会場について、昨日、小池知事から、ワクチン接種会場として使用するとの発言がありました。
代々木公園を使用するとなると、オリンピック期間中、代々木公園のライブサイトは中止することになるのか。また、その後はどうするのか、見解を伺います。
残された課題は観客の取り扱いです。
さきの五者協議では、国内基準に準じることを基本として、今月中に決定することで合意がなされました。
安全・安心な大会開催に向け、都としても、IOCに対して具体的な提案をしっかりと伝えつつ、関係者が一枚岩となり、最後の総仕上げに取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、財源確保について伺います。
今回の補正予算により、確かに財政調整基金はほぼ底をつきました。
しかし、都にお金がないわけではありません。目をつけるべきはバランスシートです。二度にわたる財政再建など、この間の都政の努力もあり、都は実に三十五兆円もの膨大な資産を有しています。負債は六兆円、資産から負債を引いた純資産の額は二十九兆円。民間会社でいえば、超優良企業です。あのトヨタを凌駕する額でございます。
底をついた財政調整基金は、純資産のごく一部でしかありません。コロナ禍はスペイン風邪以来、百年に一度の危機です。こうした万が一のときに備え、都は努力を重ね、良好な資産を築いてきたのではないのでしょうか。今こそ使うべきときです。
未利用の都有地、建物、そして我が会派が統廃合を求める特定目的基金など可能性を秘める資産、純資産は残されています。負債を見ても、その割合は極めて低く、法令上の制約があるとはいえ、都債にも増発余地がございます。
今、なすべきことは、お金がないと嘆くことではなく、あらゆる方策を尽くし、ひねり出すことです。お金のつくり方は問いません。長引く自粛や休業要請に苦しみ、瀬戸際にある都民や事業者の方々に速やかに還元すべきときです。
今こそ、コロナ対策の財源確保に手を尽くすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、減税についてお聞きします。
そもそも都が減税できる体力があるのか、バランスシートに引き続き損益計算書からも見ていきます。損益計算書は、年間の売り上げと費用、利益を示し、会社の経営成績がわかるもので、自治体では行政コスト計算書と呼ばれています。
都では、売り上げが費用を大きく上回り、その差額は七千億円、いわば年間七千億円もの巨額の利益が出ている状態です。自治体における売り上げの大部分は税収です。非常時といえる今、都民のために減税しても、莫大な純資産もあり、都の経営は十分成り立つ水準にあります。長引くコロナ禍が家計を直撃し、多くの都民が暮らしを守るため、支出を切り詰める毎日を余儀なくされています。
そもそも、都内でかかる生活費は高く、国の調査では、東京の中間層世帯の経済的豊かさは全国最下位です。そこにコロナの追い打ちです。大多数の都民が全国で最も苦しい生活を強いられているといっても過言ではありません。今求められるのは、全ての都民が実感できる大胆かつ骨太な支援策です。
たび重なる休業や自粛で経済は停滞し、都民の所得が上向く兆しは見えません。あしたの生活に不安を募らせ、本来必要な生活費を切り詰める。こうした日々の長期化に都民の我慢と疲労が限界を迎えています。都がなすべき政策は、家計で使えるお金を増やすことです。この閉塞感を打ち破り、都民の可処分所得を向上させるために、広く一律に行き渡る減税こそが最も効果的です。コロナが終息し、経済がもとに戻るまでの時限で構いません。
都民を守るため、都民の暮らしを守るため、今こそ、個人都民税二〇%減税を断行すべきときと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、緊急事態宣言延長に伴う中小企業振興について伺います。
昨年四月に初めて緊急事態宣言が発令されて以来、都は飲食店などへ休業や時短営業の要請などを繰り返し行い、既に一年以上が経過しています。
この間、都議会自由民主党は、事業者の立場に立ち、当初から飲食事業者やその関連事業者への手厚い支援を要望してきました。飲食事業者の疲弊は今に始まったことではなく、事業者の声に耳を向けると、既に限界を迎えつつあります。
こうした中で、緊急事態宣言が六月一日から再度延長されることが決定されました。時短に協力した飲食店に対して協力金を支給していますが、その支払いは遅れており、飲食事業者からは、資金繰りが厳しく、協力金の支給を受ける前に倒産しそうだとか、役所は税金の徴収は期限厳守で求めてくるが、支払いの事務は遅いといった厳しい声が上がっています。
支給が滞ってしまっては事業者の経営が立ち行かなくなることは自明の理であり、事業者の立場に寄り添い、審査手続に工夫を施すなど、迅速に支給すべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、飲食店が休業や時短営業することで、酒類販売事業者を初め、割り箸、貸しおしぼりなどの納入業者や食品の加工製造業者、生産者などの飲食関連事業者も同様に受注機会の減少などに苦しんでいます。
さらに、外出自粛などの措置により、ホテルや旅館、バス会社などの旅行関連事業者なども厳しい経営状況に追い込まれています。先の見えない中で、都内経済を支える中小企業に対する支援はまさに待ったなしの状況といえます。
こうした中、我が党は、これまでの売り上げの減少に苦しむ事業者に対して、都は責任を持って支援を行うよう重ねて主張し、国の月次支援金に対する上乗せや横出しによる独自の支援制度を創設したところです。
深刻なダメージを受けている多くの事業者に対して、月次支援金の上乗せや横出しによる手厚い給付などのセーフティーネットの取り組みの充実に加え、コロナ後を見据えた事業者の取り組みに対する支援もしっかりと行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
今回延長された休業などの要請により、現に、飲食店の経営者の方からは、もう限界だ、自分たちは感染症対策も行っているし、早く営業を再開させてほしいとの声が我が会派に数多く寄せられています。
懸命に歯を食いしばって耐えているこうした飲食店にとって、例えば、一人の来店客に限定する、滞在時間を絞るなど何らかの制約のもとであっても、酒の提供を認めるなど、将来に希望を持てるように考えておくべきであります。いわば、孤独のグルメを進めていくべきでございます。
また、都内のライブハウスやクラブは、昨年の緊急事態宣言発出以降、徹底した感染予防対策や体調不良者の入店拒否や休演などの対策を行ってきました。ライブハウスやクラブの多くは、既に存続の危機に直面しており、今後、各店舗の規模に準じた十分な補償なき要請は、即座に廃業を余儀なくされてしまいます。
特に、これらの活動に携わる方々は、昨年春から事実上の営業休止状態であり、このままでは、東京のカルチャーを支えてきたライブやエンタメなどの音楽文化が途絶えてしまいます。
アートにエールをなどの形だけの支援ではなく、根本的に本格活動が行えるよう、彼らの存在に光を当てて、どうしたらライブハウスやクラブをあけられるかを明確に示すべきと考えますが、都の所見を伺います。
例えば、大箱のクラブをワクチン接種拠点に設定すれば、若い世代への注意喚起にもつながります。活動再開につながるよう、見解を伺います。
次に、女性の就業支援について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、雇用環境は一層厳しさを増し、国の発表によると、都において、解雇や雇いどめに遭った方は、これまで累計で二万三千人を超えています。とりわけ、宿泊や飲食などの業種において、その影響が深刻化しています。
これらの業種では、育児や介護などの事情により、あえて正規雇用ではなく、パートや派遣など非正規雇用という働き方を選択している女性もたくさんいらっしゃいます。コロナ禍は、こうした女性たちの雇用の場を直撃しました。
実際に雇いどめにあった女性からは、離職し経済的に困窮しており、今後は正規雇用の職を探したい、同じ職種で引き続きパートで働きたいが、なかなか新たな職が見つからず将来が見えない、不安だなど、さまざまな声が我が党にも寄せられています。
コロナ禍では、非正規雇用で働く女性など、社会的に弱い立場の方々が真っ先に深刻な状況に追い込まれています。こうした方々の気持ちに寄り添い、必要な支援をしっかりと行うことが行政の役割であると考えています。
東京都は、女性がみずから抱える事情に応じて、希望する働き方で再就職できるよう支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
代表質問の結びに当たり、一言申し上げます。
都議選の投票日は七月四日と、残すところあと一月となりました。
都議会自民党は、都民の皆様の声をじかに聞く中で、都民の目線に立ち、命を守る、東京を動かすをスローガンに掲げ、コロナウイルスという惨禍を乗り越え、東京の未来を切り開くために全力で取り組んでまいります。
責任ある政治を貫き、国や区市町村と連携をとり、都政をリードしていくのは、都議会自民党に課せられた責務であります。コロナの終息に向け、全力を傾注し、日常を取り戻す決意を表明し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 秋田一郎議員の代表質問にお答えいたします。
まず、大規模接種会場を活用したワクチン接種についてのご質問であります。
ワクチンは新型コロナウイルス感染症を抑え込んでいくための有効な手段であり、まさにゲームチェンジャーであります。
大規模接種会場の設置に当たりましては、都は広域的自治体として住民接種の実施主体である区市町村と協力しながら、ワクチン接種を迅速かつ円滑に進めていくことが必要と考えております。
このため、都は、ことし二月に立ち上げたワクチンチームにおきまして、区市町村や関係団体等と緊密に連携をとりながら、接種の促進を図ってまいりました。都がこれから設置する大規模接種会場の選定に当たりましても、区市町村の接種計画や地域バランスなどを考慮しながら、ワクチンチームも活用いたしまして具体的に検討してまいります。
一日も早い接種の完了に向けまして、区市町村や関係団体等と一丸となって全力で取り組んでまいります。
次に、新型コロナワクチンの接種についてであります。
新型コロナウイルス感染症を抑え込んでいく、まさにゲームチェンジャーとして多くの方が心待ちにしているのがワクチンでありまして、まずは希望する全ての方のワクチン接種が完了する、そのことが現在の目指すべき一つの大きなゴールだと、このように考えております。
こうしたことから、区市町村が実施しております住民接種とともに、都が今後、大規模接種施設を設置することで、ワクチン接種のさらなるスピードアップを図ることが重要であり、引き続き、国や区市町村とも連携しながら、全力で対策を講じてまいります。
また、東京iCDCの専門家からは、感染症に対する集団免疫の獲得には人口の一定割合の接種が必要であって、新型コロナウイルスに関しても、より多くの方への接種がなされることが望ましいと、このように伺っております。
東京二〇二〇大会についてであります。
大会を成功に導くためには、安全・安心な環境を整えることが最優先であり、実効性のあるコロナ対策を行うことが重要であります。
そのため、都、国、組織委員会等で構成されますコロナ対策調整会議において、専門家も参画し、水際対策、入国後の行動、健康管理の徹底など、幅広く議論を行いまして、その結果を選手、大会関係者が守るべきルールとしてプレーブックにまとめております。
ことしの四月には、変異株に対応いたしました対策の具体化を行ったところでありまして、今後さらに、テストイベントや最新の知見をもとにいたしまして、最終版を策定いたします。
これらの取り組みは、大会参加者はもとより、日本に居住する方の安全を守るためのものでもあり、WHOからも、リスク管理を確実にするための正しい判断と取り組みへの努力として評価をされているところであります。
海外から来日する大会関係者につきましては、IOC、IPCと、これまでも五者協議や調整委員会を初めとしたさまざまな場面で議論をいたしまして、都としての考えや意見を主張しております。そして、約十八万人から七万八千人と来日人数を半減以下にするなどの削減の徹底を行いました。
今後とも、関係者の精査や行動管理、健康管理の徹底を強く求めてまいります。
また、大会時の医療体制につきましては、引き続き、地域の医療への影響が出ないよう丁寧に調整をしてまいります。
今後とも、感染の再拡大を防ぎ、徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力で取り組むとともに、国、組織委員会を初め、IOC、IPCなど全ての関係機関と一層強く連携をいたしまして、また協力をしまして、安全・安心な大会の開催に向けて着実に準備を進めてまいります。
財源の確保についてのご指摘がございました。
新型コロナウイルス感染症対策は、現下の都政におきまして、総力を挙げて取り組むべき課題であり、感染拡大を阻止する対策や都民、中小事業者のセーフティーネット対策など、必要な取り組みを実施していくことが求められております。
同時に、少子高齢化への対応を初め、多岐にわたる都政の諸課題の解決に向けまして、着実かつ安定的に取り組みを進めていくことが必要であります。
こうした状況を踏まえまして、今後とも、都有財産について最適な利活用を図り、財政環境が厳しさを増す中において、歳入、歳出の両面から不断の見直しを徹底した上で、昨年度決算の状況を見極めながら、基金や都債などの財政対応力を有効に活用して、戦略的な財政運営に取り組んでまいります。
個人都民税の減税についてのご質問がありました。
個人都民税は、住民が地域社会の費用を広く負担するという考え方から設けられているわけであります。また、個人都民税の税収は、都税収入の約二割を占めておりまして、財政運営上、重要な役割を果たしております。
税制面では、高額の所得者ほど減税額が大きくなる一方で、所得が一定以下の方に対しては効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識もいたしております。
都としては、引き続き、コロナ禍におきまして厳しい境遇にある方々に対しまして、さまざまな施策を講じて、都民の生活をしっかりと守ってまいりたいと考えております。
なお、その他の質問につきましては、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕
○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 私からは、九点のご質問にお答えさせていただきます。
まず、高齢者へのワクチン接種の早期完了についてでございます。
高齢者接種の七月末の完了が困難と国の調査で回答した自治体では、現在、会場の増設や日程の追加などさまざまな工夫が行われており、都としても、これらの自治体の実情等を個別に伺い、会場となり得る都有施設等を紹介するなど、重点的に支援してございます。
あわせて、こうした区市町村をさらに後押しするため、接種を担う医療従事者の確保について関係団体に協力を要請するとともに、より多くの診療所等にワクチン接種に携わっていただけるよう、協力金を支給する新たな支援を開始いたします。
今後も、全ての区市町村で七月末までの高齢者接種の完了を目指し、ワクチン接種が迅速かつ円滑に進むよう、効果的できめ細かな支援を展開してまいります。
次に、ワクチン接種促進支援事業についてでございます。
この事業は、全ての区市町村で七月末までの高齢者接種の完了を目指し、高齢者が身近な医療機関で早期にワクチン接種を受けられるよう、都が接種にかかわる医療機関に協力金を支援するものでございます。
この事業に関し、東京都市長会や東京都医師会等からは、医療機関の実情を踏まえ、一日当たりの接種回数を取り組みやすい回数とするなど、支給要件の弾力化を求める意見が寄せられております。
今後、制度の運用に当たりましては、こうした関係団体の声も踏まえ、政策の効果を高められるよう検討してまいります。
次に、ワクチン接種を担う医療人材の確保についてでございます。
都は、優先接種対象者等への接種が円滑に行えますよう、東京都医師会等と連携して医師の確保に取り組んでおります。
また、東京都看護協会と連携して潜在看護師の活用に取り組むほか、都内に勤務する歯科医師や東京都歯科医師会等に協力を依頼するとともに、歯科医師向けの筋肉内注射にかかわる実技研修の準備を進めております。
あわせて、こうした接種にかかわります人材情報を集約し、会場ごとの人員配置や日程調整等を行う仕組みを早急に構築することで、より多くの医療人材の活用を図ってまいります。
次に、接種会場の確保に係る支援についてでございます。
都は、集団接種会場の確保に苦慮しております区市町村を支援するため、全ての区市町村から実情等を伺いますとともに、都有施設等の使用希望を継続的に調査しており、現在、五つの区市に都の施設等を無償で貸与しております。
加えて、都内に所在いたします大学施設等を対象に、接種会場としての活用の可否について情報を収集し、依頼のありました区市町村に提供してございます。
引き続き、住民接種の実施主体でございます区市町村において接種が円滑に進むよう、きめ細かく支援してまいります。
次に、代々木ライブサイトを活用した接種会場についてでございます。
この会場は、今月八日に開設いたします東京都築地ワクチン接種センターで一回目の接種を終えた方々が、確実かつ円滑に二回目の接種に臨めますよう、新たに設置するものでございます。使用期間につきましては、七月中を予定しており、現在、詳細について調整をしてございます。
今後、ワクチン接種をさらに加速させるため、都として大規模接種会場を設置することについても、現在検討を進めております。
次に、交通不便地での高齢者等へのワクチン接種についてでございます。
きめ細かな接種体制を整え、在宅での介護が必要な高齢者や障害者が円滑にワクチン接種を受けられるようにすることは重要でございます。
このため、都は、ワクチンチーム等を通じ、お話の西多摩地域の町村が抱える課題につきましても共有し、現在、東京都町村会を通じて医師や看護師等の派遣が必要となる自治体の具体的なニーズを確認しているところでございまして、今後、各自治体の求めに応じて個別に対応を検討してまいります。
次に、高齢者以降の住民接種についてでございます。
都が設置いたします大規模接種会場での対象につきましては、現在、交通機関従事者や保育従事者、教職員など、さまざまな要望をいただいております。
今後、ワクチンチームにおいて、区市町村や関係団体等と情報共有や課題の把握などを行い、区市町村の接種計画との整合性を図りながら接種対象を決定し、早急に接種を進めてまいります。
次に、新型コロナ感染症の医療提供体制についてでございます。
都は、今後の感染拡大に備え、都が要請した場合に通常医療を制限することなどにより、新型コロナ患者のために転用する病床を含め、最大確保病床として六千四十四床まで確保することとしております。
重症患者用の病床につきましては、段階的に確保を進め、入院中の重症者数が過去最多の百六十名となった本年一月には二百五十床確保いたしました。
本年四月、今後の急速な感染拡大に対応できるよう、入院重点医療機関等に病床確保を要請し、現在、入院中の重症者数が過去最多の二倍になった場合にも受け入れ可能な三百七十三床を確保してございます。
今後とも、患者の病状に応じました医療提供体制を着実に整備してまいります。
最後に、ワクチン接種会場の設定についてでございます。
都が実施いたします大規模接種施設につきましては、地域バランスや区市町村の接種計画などを考慮する必要があることから、会場の選定につきましては、ワクチンチームを活用し、区市町村と丁寧に調整をしてまいります。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕
○病院経営本部長(西山智之君) 都立、公社病院のワクチン接種への対応についてでございますが、ワクチン接種は感染対策の有効な手段であり、一層加速させることが重要でございます。
そのため、都立、公社病院では、地域の医療従事者や高齢者等の速やかな接種に向けて、地区医師会や区市町村等の要請に応じまして、医師や看護師など医療従事者を五月末時点で延べ百五十名派遣してございます。また、四カ所の病院施設において地域の医療従事者や高齢者向けの接種を行ってございます。
さらに、都が六月八日から新たに設置いたします東京都築地ワクチン接種センターにも医師等を派遣することとしてございます。
今後とも、区市町村等と緊密に連携し、ワクチン接種が円滑に進むよう取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 東京二〇二〇大会に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、大会時の医療、検査体制についてでありますが、競技会場等の医療スタッフについては、組織委員会において合理化を進めまして、当初計画より全体で約三割削減し、一日当たりピーク時の医師、看護師は七百人から五百四十人となる見通しであります。現在、必要数の約八割を確保する見込みであります。
さらに、地域医療やワクチン接種に支障のないよう、協力金の支給や勤務シフトの弾力化など、勤務条件、環境整備等にも配慮してまいります。
選手等の入院につきましては、大会指定病院と組織委員会、保健衛生拠点等が連携いたしまして、的確に対応する体制を構築いたします。
なお、選手等の検査につきましては、民間事業者と調整いたしまして、行政検査とは別に対応できる体制としております。
引き続き、新型コロナの感染状況等を踏まえまして、地域医療に支障のない形で医療、検査体制を構築してまいります。
次に、代々木公園のライブサイトについてでありますが、ライブサイトは、競技中継を観覧し、大会の感動と興奮を共有するとともに、開催都市として東京の魅力や各種文化発信等を行う重要な場であります。
しかしながら、今月八日からワクチンの接種会場として使用される築地の車両基地が六月末で閉鎖されることから、二回目の接種を行う会場として七月中は代々木公園を使用することを検討しております。
そのため、オリンピック期間中、代々木公園はライブサイトとしては使用いたしません。
なお、八月以降、代々木公園をライブサイトで使用するかどうかにつきましては、ワクチン接種の進捗や大会の運営状況などを踏まえ、検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕
○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、協力金の申請や支給についてですが、厳しい経営状況が続く事業者に対しましては、速やかに協力金を支給していくことが重要でございます。
このため、都は、協力金の申請及び審査の両面から必要な対策を講じてまいりました。
具体的には、申請手順を動画でわかりやすく解説するとともに、ポータルサイト上にマイページ機能を設けることで、審査の進捗状況や着金予定などを申請者が確認できるような工夫を行っております。
さらに今後は、関係局と連携し、営業実態や感染防止対策に係る提出書類を大幅に省略するなど、申請者の負担軽減を図ってまいります。また、民間の力を一層活用することで、審査体制及びコールセンターのさらなる拡充を行ってまいります。
こうした取り組みにより、迅速な支給に努めてまいります。
次に、中小企業に対する支援についてですが、厳しい経営環境が続く中小企業を支えるためには、経営安定と新たな事業展開に向けた支援が必要でございます。
このため、都は、飲食店の時短営業等の影響を受けた酒類販売事業者に加え、外出自粛等の影響を受けた旅行関連事業者など、幅広い業種を対象とする支援制度を創設いたします。
具体的には、売り上げが減少した事業者に国の月次支援金への上乗せ支給を行うほか、国制度では対象外となる事業者に対して、都独自に三カ月合計で最大三十万円を支給いたします。さらに、専門家による経営相談、新製品の開発に向けた設備投資や販路開拓への支援など、コロナ後を見据えた中小企業の成長を着実に後押しいたします。
中小企業への支援を的確に行い、都内経済の回復を図ってまいります。
最後に、女性の就業支援についてですが、コロナ禍では非正規雇用で働く多くの女性が職を失うなど厳しい雇用環境に置かれております。こうした女性の再就職支援では、給与等の収入面のほか、家庭との両立など、多様な就労ニーズを踏まえた支援が重要でございます。
こうしたことから、都は現在、コロナ禍で離職を余儀なくされた方々を早期の再就職につなげるため、カウンセリングにより希望や適性を把握した上で、さまざまな業種の企業とのマッチング機会を提供する就職面接会を実施しております。
今後、女性の就労機会のさらなる拡大に向けて、多様な就業スタイルに配慮した幅広い求人の開拓を進めるなど、女性一人一人のニーズを踏まえたきめ細かな再就職支援を展開してまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕
○総務局長(黒沼靖君) ライブハウス、クラブ等の遊興施設についてでございます。
緊急事態措置におきまして、遊興施設に区分される施設につきましては、当該施設が酒類を提供する場合には休業を、その他の場合には営業時間を短縮して営業することを法律に基づいて要請してございます。
施設の営業に当たりましては、それぞれの業界団体が作成したガイドライン等に基づき、感染防止対策に取り組んでいただいていると認識をしております。
現在、新規陽性者数は漸減傾向にあるものの、人流の増加や変異株の影響などを踏まえると予断を許さず、今後の感染状況次第では措置を強化する必要もございます。
こうした状況を踏まえ、都民、事業者、行政とが一体となり、感染症対策に全力で取り組んでまいります。
○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時三十七分休憩
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