令和三年東京都議会会議録第九号

   午後一時開議
○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十三号、子どもの属する世帯に係る国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十五番荒木ちはるさん。
〔百十五番荒木ちはる君登壇〕

○百十五番(荒木ちはる君) 令和三年第二回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 初めに、過日、名誉都民である篠原儀治さんがご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられました方々に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 小池知事の誕生、そして私たちが最大会派となる前の都政に対しては、膨張する一方のオリ・パラ大会経費や市場移転問題など都政の透明性の欠如、そして当時、過去二十五年に一本しかなかった政策関係の議員提案条例、女性蔑視と捉えられても仕方のないやじなど、多様性の認識への疑問など、都民の皆様から極めて厳しい視線が向けられていました。
 そのような中、私たちは古い議会を新しくと、都政、都議会の刷新を掲げ、都民の皆様の多大なご支持をいただき、都議会最大会派となりました。女性議員比率の上昇、都議選時の公約進捗の自己検証などを通じた説明責任の強化や、小池知事との強力な連携により、この四年間、車の両輪として都政改革、都議会改革を前に進めてきました。
 都内で約九割減少した待機児童対策、国より踏み込み、原則屋内禁煙とする受動喫煙対策、報酬二割カットの継続、議員公用車の大幅削減など一連の議会改革による二十七億円超の削減など、多くの取り組みを実現してきました。
 都議会の対外的評価も上昇し、大手メディアによる議会活力度ランキングでは、東京都議会は、私たちが最大会派となる前の二〇一五年には四十七都道府県中四十五位、全国でワースト三位でした。私たちが最大会派となって以降の二〇一九年には一桁である八位まで上昇しています。
 しかし、一部では、古い都政、そして古い都議会の復活の動きがあります。コロナ禍の中、都民の皆様の命、暮らし、経済を守り抜くためには、都政を再び停滞、そして混乱させるわけにはいきません。
 まず、私たち都民ファーストの会東京都議団が小池知事とともに進めてまいりました東京大改革と、続く東京大改革二・〇の成果について、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 新型コロナが引き続き世界中で猛威を振るっています。日本国内においても、国の甘い水際対策もあり、変異ウイルスが拡大をし、全国の重症者数が過去最多を更新する事態となっています。
 感染爆発、医療体制の極限状態となった大阪の死者数が全国最多となるなど、全国各地で大変厳しい状況の中、都内の感染状況は都民の皆様の多大なご協力により、何とか踏みとどまっていますが、新たな変異株の影響なども懸念をされ、引き続き予断を許さない状況です。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、これまで五十九回にわたり、小池知事に直接要望書を手交し、現場の声、そして地域の声を届けてまいりました。
 都内の感染状況を継続的に好転させていくためには、今こそ効果的な対策を講じる必要があります。
 そこで、都が本定例会に新型コロナ対策として提案している補正予算により、都民の命、暮らしを守り抜くべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都民の命、健康を守り抜くために必要不可欠な対策の一つが、希望される方へのワクチン接種の迅速化です。
 現在の日本の接種回数は、国のワクチン確保の遅れなどにより、世界各国の中で大きくおくれをとっており、世界最低レベルといっても過言ではありません。また、緊急事態宣言が発令されている大都市等に戦略的に優先供給をしなかったことも非難をされるべきものであります。このような中でも、都として接種の迅速化に向け、対策を強化していく必要があります。
 想定どおり国から十分なワクチンの供給がなされた場合、都が担当する医療従事者向け接種を速やかに完了させるとともに、都内自治体が実施する住民向け接種、とりわけ高齢者の接種について国が方針として掲げている七月末までの完了を目指し、接種の迅速化を全力で推し進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都が新たに設置する東京都築地ワクチン接種センターでの接種対象について、我が会派は、都民の安全・安心を日々守っている警視庁、東京消防庁の職員に加え、消防団員や都民に広く医療的行為を行う柔道整復師、鍼灸師なども追加するように知事に要望書を提出しており、一層拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、介護従事者を初め、社会活動に必要とされるエッセンシャルワーカーの皆さんなどへの優先接種もあわせて求めておきます。
 都民、国民の命や健康を守り抜く安全保障の観点から、ワクチンの国産化は極めて重要な課題です。東京都は昨年から先を見据え、東京都医学総合研究所において、変異ウイルスに対しても効果が期待されるワクチンの開発支援を継続してきました。
 国産ワクチンの一刻も早い実用化に向け、支援をさらに強化すべきであります。また、治療薬につきましても、都として後押しすべきと考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 新型コロナにより、現在の医療提供体制の課題がさまざま明らかとなりました。新型コロナ患者が速やかに入院できるよう、民間医療機関などとの適切な役割分担を図るとともに、医療人材の待遇向上、育成を図るなど、感染症対応体制を強化すべきです。
 今後も、新型コロナウイルス感染症や新たな感染症に対しても迅速に対応することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 第一回定例会において、私たちの議員提案により、東京都コロナ対策条例が改正をされ、医療体制の強化に加え、新たにコロナ差別解消の取り組み強化が明記をされました。
 条例に基づき、学校、職場などにおけるコロナ差別解消の取り組みを強化し、安心して検査、療養できる体制を整備すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナの影響は広く都民に及んでいますが、特に非正規雇用、サービス業に従事する例が多い女性に極めて深刻な影響を及ぼしています。
 ひとり親家庭の方々、そして子供の貧困も顕在化しており、こうした子供や家庭への支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供の貧困については、特に子供食堂が行う配食や宅食、そしてフードパントリーなどの支援強化を強く求めておきます。
 今回、三度目の緊急事態宣言が発動されていますが、これまでも休業要請や外出自粛等の要請などが断続的に続き、都民や事業者の皆様の生活や経済への負担は大変大きなものとなっています。また、宣言に伴う経済活動への制約がおもしとなり、依然として都内中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況にあります。
 特に、酒類を飲食店に提供する酒類販売事業者は、飲食店の時短営業や酒類提供の取りやめ要請のあおりを直接受け、売り上げが大幅に減少するなど、苦境に陥っています。感染の再拡大のおそれがある以上、徹底した人流抑制の取り組みは不可欠でありますが、こうした措置により、経営に深刻な影響を受ける事業者への支援もあわせて考えなければなりません。
 このような状況の中、都は、私たちの緊急の要望を受けて、国の月次支援金に対しまして、酒類販売事業者への支援の充実を含む支給金額の上乗せと、対象要件の緩和により、支給対象を拡大する都独自の支援給付金の制度を打ち出したことは高く評価できるものです。
 こうした支援金は、企業の傷んだ経営に対する止血ともいえるべきものであり、売り上げの回復に向けた新たな事業展開など、企業が将来の成長につながる取り組みを進めるには、さらに経営に関する総合的な支援が不可欠です。
 そこで、中小企業がコロナ禍の厳しい経営環境を生き抜くためには、今回創設される都独自の支援給付金に加え、経営面での手厚い支援が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 また、新型コロナは飲食、酒販、観光、ライブエンターテインメントなどの産業に極めて深刻な影響を及ぼしています。
 テークアウト、デリバリー、オンライン活用への支援をさらに強化するとともに、VR、AR等の新たな映像、音響体験の活用を後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 緊急事態宣言の発出に際して、休業要請が行われている飲食店を初めとする業種に対して、感染拡大防止協力金や支援金などが支給されている体制がとられています。
 一方で、自主的に閉鎖している都立施設の中で営業してきた一部店舗は、休業や時短要請の対象かどうかにかかわらず、一律自動的に休業を余儀なくされている事態がこの間続いてきたにもかかわらず、直接的な休業要請の対象ではないことから、協力金の支給対象にはならず、経営上、甚大な打撃を受けてきました。
 都立施設が休業する場合に、その施設内で営業するこのような事業者に対して、何らかの支援が行われるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 専門家からは、感染者数と人流との強い関係性が指摘されており、人流抑制は感染拡大を抑えていく上で極めて重要な視点であります。実効的な人流抑制のためにはテレワークが欠かせませんが、従業員三十人以上の都内企業におけるテレワーク導入率は、二〇一七年には六・八%でしたが、現在は六割まで上昇しています。
 東京都の調査では、テレワークを実践していない理由として、テレワークをしたいが、勤務先が許可をしてくれないからが上位に挙がりました。テレワークの導入支援のさらなる強化に加え、国も企業に対して開示を求めていますが、都としても業態や企業規模にも配慮しながら、都内企業のテレワーク取り組み状況の対外的な開示を促すことも視野に入れるべき時期です。
 テレワークの普及定着に向けて実効的な取り組みを強化していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 新型コロナ対策について、私たちは、国と歩調を合わせるだけでなく、都内の感染状況を踏まえ、都独自の対策を強く推進してまいりました。検査、医療体制の強化や、今では完全に全国で定着をしましたが、休業、時短要請時の協力金に関しても、私たちの求めを受け、小池知事が全国初として創設をされたものです。
 一方、国はこれまで、緊急事態宣言発令の遅れ、甘い水際対策、遅い法改正など、後手後手の対応を繰り返してきたといわざるを得ません。
 私たちは、国への政策提言、独自の条例案の公表、水際対策強化に向けた署名活動など積極的な対応により、国政政党の単なる出先機関ではないからこそできる、真の都民ファーストの対策を継続してきました。国にしっかりと物申すことができない古い都議会では、都民の命や暮らしを守り抜くことができるのか大いに疑問です。
 今後も国に対して、コロナ対策の遅れの是正を積極的に求めるべきですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍により、日本の抱えている構造的な課題が明らかにされています。世界のワクチン獲得、開発競争での敗北、デジタル後進国、そして日本経済の国際競争力、生産性の地盤沈下、さらに気候変動危機への対応、世界最低レベルのジェンダーギャップ、共生社会の実現に向けたマイノリティーへの配慮や国と地方間の統治機構、社会保障の制度疲労など、山積する課題に対して、東京都が日本全体をリードする改革を前に進めていく必要があります。
 コロナ禍により、雇用環境が厳しい情勢の中、私たちの提案により、ICTや福祉業界等と連携したスキルアップ支援、トライアル就労等を組み合わせた東京版ニューディールが実現をしました。
 この大規模雇用就労支援を展開、そして強化し、二万人規模の雇用創出を早期に実現すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍により、都民の家計、所得への悪影響が懸念されています。消費者である都民が自由に使える所得が増えれば消費も増え、都内経済の活性化にもつながるものであり、家計、所得の向上に向けた支援の強化が必要です。
 リカレント教育の強化、スキルアップ、資格取得への支援など、都民の稼ぐ力の向上を強力に後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍により、地域経済が大きなダメージを受けている中、私たちの提案により、デジタルプレミアムつき商品券を発行する自治体支援が開始しており、各自治体において、感染状況を踏まえながら検討が進められています。
 非接触のキャッシュレス決済を普及させる観点から、原則デジタルで実施をされていますが、原則デジタルとすることにより、紙での発行に比較して、自治体の事務手数料の大幅削減も見込まれ、さらに地域のお店からは、消費データ等により、経営に対する新たな気づきの機会を得ることができたとの声も、私たちのもとに寄せられています。
 非接触のデジタルプレミアム商品券により、感染拡大防止と地域経済の振興につなげるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍の影響により、フレイルが進展する懸念や、医療機関において、各種検診や健康診断の受け控えが懸念されています。都民ファーストの会東京都議団の提案により、在宅での健康維持をサポートするため、オンラインを活用した介護予防活動への支援が開始をしています。
 また、四月七日に小池知事に要望しました、がん検診を初めとする検診が、コロナ禍によって受診率が大きく低下する中での都民の命や健康を守るためにも、がん、生活習慣病等の自宅検査キットの提供を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 町会、自治会においては、昨年から新型コロナの流行に伴い、お祭りなどのイベントは中止が相次いでおり、コロナ禍で活動ができない、また、地域コミュニティが軽薄になってしまうという声を聞いてまいりました。
 このような状況に対しまして、我が会派は都に対し、緊急対策を行うよう要望するとともに、多くの町会等に利用してもらうために、申し込みの簡素化もあわせて提案をいたしました。
 その結果、新型コロナ感染拡大防止普及事業助成が創設をされました。コロナ禍においては、ひとり住まいの高齢者や子育て世帯の見守りが極めて重要となっています。
 そこで、今後、多くの町会、自治会がこれらの事業を活用し、その活動を活性化していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍を踏まえ、ご家族とのコミュニケーションや地域の町会、自治会活動、キャッシュレス決済等の多くの場面でスマートフォン、そしてタブレット端末を活用すべき場面が増加しています。
 私たちの提案により、地域のさまざまな場でのデジタル活用が進んできていますが、新型コロナワクチン接種の場面においても、接種を受けたいが、電話がつながらず、また、オンラインでの予約がうまくできないなど、誰ひとり取り残さない、シニアの方々へのサポートの必要性が改めて認識をされています。
 シニアの皆様の暮らしを豊かにするデジタル活用支援を強化すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 コロナ禍の前から、介護、地域の見守り活動等の人手不足が深刻な課題となっていました。介護、健康増進、見守り等の場面におけるデジタル機器、スマート家電等の活用を一層進めるべきと考えます。
 介護人材の確保、介護の質の向上、在宅高齢者の孤独の解消など、高齢者を取り巻くさまざまな課題に対し、デジタル技術を生かして積極的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 激甚化、頻発化する風水害から都民の命を守り抜くため、私たちは調節池の整備強化を強く推進してまいりました。長期戦略においても、都内全域の調節池貯留量を、現状の二百五十六万立米から、二〇三〇年度には事業中箇所も含め、約五百十万立米へ倍増させることが示されています。
 改めて、都民の命を守るため、都として中小河川の水害対策に一層取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 災害対策において、新型コロナウイルス感染症と自然災害との複合型災害の対策は喫緊の課題です。とりわけ、複合災害対策において、避難所対策は極めて重要です。
 私たちはこれまで、避難所テントの配備など、感染症対策の取り組みをさまざま提案してまいりました。
 そこで、感染症と自然災害との複合型災害における避難所対策を一層充実強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事の就任、そして私たちが都議会最大会派となって以降、殺処分ゼロの達成など、動物との共生社会の実現に向けた取り組みが進んできました。安全・安心な東京の実現のためには、大切な家族の一員であるペットの災害時の対応は重要な課題です。
 災害時に大切な家族の一員であるペットと一緒に避難できるよう、避難所のペット受け入れ環境の整備等を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 自治体である東京都の使命は、都民の命を守り抜くことであり、そのためには、安全保障、国防は極めて重要です。国防は政府が行うべき事項ですが、甘い水際対策や対外的脅威に対する現在の国の対応について、都民の命を守り抜くには不十分ではないかとの不安の声も届いております。
 都内の国境離島の管理を強化し、都民の命を守り抜く対策を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 世界経済フォーラムの公表するジェンダーギャップ指数において、日本は世界最低水準となっており、特に政治経済の分野における取り組みの強化が必要不可欠な状況です。
 私たちは所属都議の約三割が女性であり、現在、都議会全体の女性議員の比率は全国トップとなっています。私自身、地域政党である都民ファーストの会の代表を務めさせていただいておりますが、私のような三十代の女性が代表を務めていることは、日本では極めてまれだと思います。
 しかし、例えばニュージーランドでは、三十代での女性首相が誕生しているなど、世界では、政治の場における女性活躍は大きな流れとなっており、東京から日本全体の政治、行政の流れを変えていかなければなりません。
 また、過去に都議会では、賛成多数で選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願が採択されています。都議会としても、形だけではない、中身の伴った実効的な意思表明などを通じて、国に法制化を強く求めていくべきであると改めて申し上げます。
 そこで、女性初の防衛大臣、そして環境大臣を務められ、女性初の都知事として二期目を務められている小池知事に対しまして、女性活躍に向けた見解を伺います。
 私たちが最大会派となる前に、十分に光が当てられてこなかった課題の一つが子育て支援です。私たちが都議会最大会派となって以降、多くの新たな子育て支援が実施をされています。
 特に、長い期間、八千人前後を繰り返すなど、減少の糸口が全く見えていなかった待機児童対策は大きく進展をし、私たちが最大会派となって以降、保育の待機児童数は実に九割に近い減少となっています。
 今後も、保育の待機児童ゼロに向けた取り組みを強化するとともに、学童クラブについても取り組みを強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはこれまでも、幼児教育、保育の無償化に対する都独自の上乗せ支援、とうきょうママパパ応援事業など産前産後ケアの強化など、多くの子育て支援策を実現してまいりました。
 さらに、今年度は、コロナ禍の中で妊娠、出産件数が大きく落ち込む中、私たちの提案により、出産に対して、子供一人当たり十万円相当の支援が開始しており、多くの喜びの声が私たちのもとにも届けられております。
 引き続き、出産、子育てを強力に推し進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ことしの出生数は過去最少を更新し、八十万人を割り込む可能性も出てきました。特に、都内においては教育費、そして住宅費等、家計への負担が大変厳しく、本当は二人目以降の子供が欲しいにもかかわらず断念するという声も届いています。
 私たちの提案により、保育料の第二子半額、第三子無償化や、私立高校授業料の多子世帯への支援の強化がされていますが、長期戦略で示された合計特殊出生率二・〇七というあるべき東京の姿に向け、さらに取り組みを強化していく必要があります。
 全ての夫婦が理想とする人数の子供を産み育てられるよう支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内家庭の夫の家事、育児時間は二時間一分、全国平均を上回ってはいますが、妻は七時間五分と、その差はまだまだ大きいのが現実です。
 私たちはかねてより、そもそもの家事、育児の時間短縮、分担を容易にするため、時短、スマート家電の導入支援を求めており、未来の東京戦略、三カ年のアクションプランの中においても、スマート家電の普及など、官民連携による家事、育児負担の軽減策の展開が盛り込まれました。
 また、私たちが予算要望の最重点項目の一つに挙げ、実現されたコロナ禍における赤ちゃんファーストにおいても、支援メニューの一つとして、一部スマート家電が含まれるなど進展も見られますが、さらなる後押しが必要です。
 例えば、スマート家電を活用した家事、育児時間の合理化策などで、男性が家事、育児に取り組みやすくし、男性の家庭での活躍をこれまで以上に強力に後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちの提案により、都内小中学校における一人一台端末環境の整備が大きく進展をしてきました。今後も引き続き、端末を活用した学びの質の向上に向けた取り組みの後押しが必要です。
 他方、都立高校では、より高度、専門性の高い学びが求められる場面が多く、学校ごとに端末の指定、家庭での購入が想定されており、このようなデジタル端末購入の家庭負担の軽減策を実施すべきと考えます。
 この間、負担軽減策の検討も含めた取り組み状況について、教育長の見解を伺います。
 少人数学級への対応や少人数指導、教科担任制の強化など、都内の実情に即した学びの個別最適化の推進は極めて重要な課題です。私たちの提案により、全国初の東京学校支援機構、TEPROが創設され、人材バンクの機能など、都内公立学校への支援が進展していますが、学びの個別最適化のためには、教員に加え、専門性の高い外部人材を積極的に活用することも重要です。
 TEPROの機能も生かし、外部人材を活用しながら、教育の質の向上を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 議員提案により成立をしたこども基本条例の中に、都民ファーストの会の提案により、子供の権利とその救済に関する規定が明確化されました。
 東京都こども基本条例の趣旨を踏まえ、子供の権利擁護に関する取り組みとして、アドボケート制度など、子供の意見表明を支える仕組みを強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年の第四回定例会において、都民ファーストの会の議員からの質問に答える形で、都は国の調査の独自集計やヒアリングを行い、庁内関係局で構成する会議などでその結果を共有し、ヤングケアラーに対する支援のあり方を検討していく旨の答弁がありました。その後、国でも検討が進められていますが、子供を守る観点からも迅速な対応が必要です。
 改めて、ヤングケアラーの支援を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちはかねてより、一人一人が違いを生かして輝く共生社会の実現に向けて、多くの取り組みを推進してまいりました。
 その重要な取り組みの一つがソーシャルファームです。障害者、ひとり親、ひきこもり等の就労に困難を抱える方が自分らしく働くことができる企業、ソーシャルファームに関し、私たちは強くその推進を求め、都による民間企業のソーシャルファーム認証が開始をしています。
 ソーシャルファームを普及拡大し、誰もが自分らしく働くことができる環境整備を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都民ファーストの会の提案により、性的マイノリティーの方々への差別禁止を盛り込んだ東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が制定されました。
 人権尊重条例が制定されて以降、さまざまな取り組みが進展してきましたが、性的マイノリティーの方々が抱える諸課題に関し、先日の予算特別委員会における私たちの質問に対し、海外や国内の同性パートナーシップ制度の仕組みや居住、就労等の支援について幅広く調査を行い、必要な施策を検討する旨の答弁をいただきました。
 さらに、本定例会には、所属議員が後押ししてまいりました、東京都にパートナーシップ制度の創設を求める請願が提出され、総務委員会では、全会一致での趣旨採択となりました。本来であれば、採択という結果が望ましいものでありましたが、大きな一歩であることは間違いありません。
 都にとって、公的にファミリーとして取り扱うパートナーシップ制度を推進すべきですが、知事の見解を伺います。
 都内における人権課題の解決に向けた取り組みは、引き続き強化をしていくべきですが、世界の諸都市においても、世界基準に照らして、人権上の課題を抱えている都市も見受けられます。東京は、人権課題の解決においても、アジア、そして世界をリードしていく必要があります。
 諸外国都市における重大な人権侵害事案も踏まえて、人権尊重の理念に基づいた都市外交を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 気候危機に立ち向かうためには、私たちが要望しました環境基本計画の改定はもとより、再生可能エネルギーの導入を飛躍的に進めていかなければなりません。
 都が強力に進めているEVの導入推進に加え、ベイエリアの活用、他自治体、そして民間との連携や、水素発電、風力発電、浮体式太陽光発電、波力発電など再生可能エネルギーの導入の可能性を幅広く検討する必要があります。
 太陽光発電の最大限の導入に加え、ベイエリアの活用、他自治体や民間ビジネスとの連携等も視野に入れ、例えば将来の水素発電、浮体式太陽光発電の可能性を幅広く検討し、再生可能エネルギーの導入を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、東京都はこれまで、東京版環境減税など先駆的な取り組みを実施してきました。
 脱炭素社会の実現という大きな目標を達成するためには、税制面からも、サステーナブルシフトを強力に後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍の中で、区部にはない多摩・島しょの独自の魅力が改めて注目をされています。都民ファーストの会東京都議団の提案により、東京都から多摩・島しょの自治体に対する市町村総合交付金は、過去最高の金額となっています。
 今後も増額を進め、世界から選ばれる多摩・島しょ地域の実現に向けた行政サービスの強化を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍でテレワークが進み、都心から自然豊かな地方に移住する人や、都心と地方の二拠点生活が増えています。東京都にも、自然豊かな西多摩や島しょ部があります。
 そこで、都としても、他の道府県が行っているように、住む場所や働く場所などの条件を整え、NPO等の民間団体と協力をして、それらの情報を提供することなどにより、都心部から自然豊かな西多摩や島しょ部で仕事や生活をしたいと考えている都民のニーズを満たす取り組みを推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、議員提案条例を積極的に活用し、みずから政策をつくる、働く議員団として都議会をリードしてきました。都民ファーストの会東京都議団が第一会派になる前は、過去二十五年間で一本しかなかった議員提案による政策条例を、四年間で四本成立させました。今後も積極的に議員提案条例に取り組み、都民の皆様の声を都政に反映してまいります。
 先ほど述べましたとおり、都民ファーストの会東京都議団が第一会派となり、さまざまな議会改革を進めた結果、議会活力度ランキングでは、四十七都道府県中四十五位、全国ワースト三位から一桁である八位にまで急上昇をしています。引き続き、議会基本条例の制定や、前回の定例会でも明らかとなった不合理な議会慣行の見直しなど、議会改革をさらに強化していくことが必要です。
 このような都議会の改革と、都庁の改革が互いに刺激し合い、まさしく車の両輪として都政改革が進展してきたと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍の中で、国と地方自治体との権限分配のあり方が改めて問われることになりました。コロナの感染状況を初め、地域の実情に即した機動的な政策を実施するため、権限、財源のセットによる自治体への大幅な権限移譲を国に求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、都の事業の聖域なき見直しを主導し、四年間の事業評価の取り組みにより、約三千九百億円の新規財源を確保してきました。
 今後も、賢い支出、ワイズスペンディングを徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国は、偏在是正措置として、他の自治体と比較して余分に東京都から税収を吸い上げることを長年継続しており、その金額は一年間で約七千六百八億円、つまり都民一人当たり五万四千円にも及びます。
 国にこの金額の返還を強く求め、新型コロナ対策を初め、地域の実態に即した必要な行政サービスにつなげていくべきですが、偏在是正措置の撤廃に向けた知事の見解を伺います。
 国は、二〇一八年、東京二十三区の大学の定員増を抑制する法令を制定しました。
 学生の選択肢を狭め、学びの機会を奪うだけでなく、都内大学の国際競争力の低下にもつながりかねない愚策であり、早期撤回を国に求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症が引き続き世界中で猛威を振るっている中、私たちの最大の使命は、都民の命と暮らしを守り抜くことです。これまでも、私たちは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たっては、大会における安全・安心の確保、都民、国民の皆様の理解が得られることが何よりも重要であり、第一回定例会の代表質問においても、開催に当たっては無観客も含め想定すべきと提案してまいりました。
 先日、組織委員会から、海外から来日する大会関係者数が公表され、オリンピックで約五万九千人、パラリンピックで約一万九千人とされています。今までより削減されたとのことですが、緊急事態宣言が引き続き延長され、都民、事業者の皆様に引き続き多大なご協力をお願いする中で、この中身で理解が得られるのか、大いに疑問です。
 さらに、この間、一部のIOCや政府関係者の発言から見受けられる、都民、国民の理解と共感を得ようとしない姿勢は、決して許されるものではありません。
 新型コロナの感染状況は引き続き予断を許さない中で、都民の命と暮らしを守り抜くためには、科学的、論理的な分析に基づき、今後の感染状況などについて、都民、国民の皆様の理解と共感を得ながら判断していくことこそ、都民ファーストの姿勢であると考えます。
 例えば、アスリートオンリーの視点で、海外からの関係者を極限まで絞った形での無観客開催や再延期など、感染状況を見据えながら、あらゆる可能性を想定し、IOCや組織委員会に検討を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オリ・パラ大会の基本方針次第とは理解をしていますが、仮に無観客開催の場合、子供の大会観戦やパブリックビューイングも当然見直しの必要があります。
 無観客開催の場合、子供の観戦事業について、子供たちの安全・安心を守り抜く観点から見直すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、所信表明で、知事から、代々木ライブサイトを接種会場とするというお話もありましたが、ライブサイトやパブリックビューイングも見直しが必要と考えますが、見解を伺います。
 さて、東京二〇二〇大会の開催都市契約は、二〇一三年九月七日付であり、契約当時の都知事は猪瀬知事です。開催都市契約では、想定されるリスクの極めて多くがIOCではなく、都が負担することとなっています。
 日本は地震など災害と常に隣り合わせであり、想定外の事態において都の利益を十分に守る規定が含まれていない契約の締結が果たして妥当なものであったのか、大いに疑問であり、当時の政治、行政の責任も問われるべきものであると指摘をしておきます。
 以上、私たちは、小池知事とともに車の両輪として、議会から都政、都議会の改革を進めてまいりましたが、改革は道半ばです。コロナ禍の中、都民の皆様の命、暮らし、経済を守り抜くためには、都政を再び停滞、そして混乱させるわけにはいきません。
 私たちは、今後も、新型コロナ対策に全力で取り組むとともに、次の時代の東京に向けて、常に都民ファーストの視点で闘い続けますことを改めてお誓いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 荒木ちはる議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京大改革の成果についてであります。
 所信表明でも申し上げましたとおり、今、我が国は世界から大きく取り残される瀬戸際、まさに危機的な状況にございます。東京みずからがゲームチェンジャーとなり、日本の持続的な発展を牽引していくため、改革の手を緩めてはなりません。
 誰もが希望と活力を持って安心して生活し、世界の中で輝き続ける持続可能な首都東京をつくり上げる。この揺るぎなき信念のもと、知事就任以来、東京大改革を力強く進めてまいりました。
 この間、議員提案によります子どもを受動喫煙から守る条例の制定が都の提案による受動喫煙防止条例の成立につながるなど、議会と知事が切磋琢磨しながら政策を練り上げ、よりよい東京をつくり上げてきたことは改革の一つの象徴であります。
 こうした成果は、議員一人一人の高い専門性やきめ細かな視点を生かしながら、常に都民に寄り添ってきた御会派と手を携えて東京大改革を大車輪で進めてきたからこそ生み出すことができた、このように考えております。
 都民の皆様の都政を大きく進化させる上で、御会派は大きな役割を果たしてこられたと考えております。
 引き続き、都民を第一に考えて行動される改革派の皆様とともに、常に都民ファーストの姿勢で東京大改革二・〇を推し進め、世界から選ばれる都市として、誰もが幸せに暮らし続けられる東京を築いてまいります。
 補正予算についてのお尋ねでございます。
 新型コロナウイルス感染症に関しましては、新規陽性者数は減少しておりますものの、都内では既に感染力の強い変異株が流行の主体となっていて、依然として予断を許さない状況にあります。
 こうした局面で、今、都がなすべきこと、それは都民の命と暮らしを守り抜くために、感染の再拡大を何としても食いとめ、効果的な対策を重点的に実施をしていくことであります。こうした考えのもと、先日、追加でご提案したものも含めまして、総額四千五百五十二億円の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、ゲームチェンジャーとなるワクチン接種を加速するため、医療機関へ協力金を支給し、接種の担い手を確保する、また、都が主体となって集団接種を行う大規模会場を都内複数箇所に設置するなど、迅速なワクチン接種に向け積極的に手だてを講じます。
 同時に、国におきまして、十分な量のワクチンを円滑に供給し、安定的な接種体制を確保するよう、さまざまな機会を捉えまして国に求めてまいります。
 都内経済を下支えする取り組みといたしましては、飲食店の休業等の影響による売り上げ減少など、経営面で大きな影響を受けている事業者を支援するため、国の月次支援金に都がさらに上乗せをするとともに、国の制度の対象とならない事業者にも、売上高の減少が三〇%以上の場合に都独自の支援金を支給いたします。
 特に、酒類販売事業者の皆様につきましては、私自身、御会派のご紹介によって直接切実な訴えを伺っております。厳しい状況を踏まえて、さらなる上乗せをして支給をいたします。
 加えて、中小企業制度融資につきましても、事業者の業態転換を後押しする融資メニューを新設するとともに、信用保証料に対する補助を拡充するなど、資金繰り支援を一層充実させてまいります。
 今回の補正予算では、これらの取り組みの財源として国庫支出金を最大限活用することはもとより、厳しい財政環境下におきましても、基金を有効に活用することで、東京の実情に応じたきめ細かな施策の展開につなげております。
 改めまして、都民、事業者の皆様にご協力をお願いするとともに、本補正予算に盛り込みました対策を迅速かつ着実に実行して、感染拡大の抑え込みに全力を尽くしてまいります。
 新型コロナウイルスワクチンの接種についてのお尋ねであります。
 ワクチンは、新型コロナウイルス感染症を抑え込んでいくための有効な手段であり、まさにゲームチェンジャーでございます。
 医療従事者については、今月中の接種完了予定のさらなる前倒しに向けて取り組んでまいります。
 また、高齢者につきましては、区市町村において会場の増設や日程の追加など、さまざまな工夫によって七月末までの接種完了に向けた取り組みが行われております。
 都は、こうした区市町村をさらに後押しするため、接種を担う医療従事者の確保につきまして関係団体に協力を要請するとともに、集団接種会場の確保のため、五つの区市に都有施設等を無償で貸与しております。
 これらに加えまして、今回、より多くの医療機関にワクチン接種に携わっていただけますよう、協力金を支給する新たな支援を開始いたします。
 住民接種の大半を占める高齢者接種以降の段階におきましては、都といたしましても、区市町村によるワクチン接種を加速させるため、大規模接種会場の設置を検討いたしておりまして、今後、関係団体との連携を図るとともに、区市町村の意見も伺いながら具体的な調整を進めてまいります。
 国に対しましては、円滑な区市町村での接種に向けて、ワクチン供給等に関する情報を早期に提供するように要望してまいります。
 こうした取り組みを複合的に展開することで、ワクチン接種のスピードをさらに加速させ、住民接種における区市町村の取り組みを全力でバックアップをしてまいります。
 次に、東京都築地ワクチン接種センターについてのお尋ねであります。
 この接種センターでございますが、都が設置する初めての大規模接種会場であり、今月八日から三十日まで、土日を含めた計二十三日間、一日当たり約五千回の接種を目標といたしております。
 接種の対象は、都民の安全・安心を日々守っている警視庁職員、東京消防庁職員に加えまして、御会派のご要望も踏まえて、六十四歳以下の消防団員、柔道整復師、鍼灸師などの医業類似行為に従事する方、獣医師を予定いたしております。
 接種を担う医療従事者につきましては、都立、公社病院の医師を確保するほか、潜在看護師や歯科医師にも協力を依頼しまして、体制を整備しているところでございます。
 現在、会場整備の最終段階にありまして、六日後に迫りました開設に向けて、円滑なスタートを切ることができますよう、全力で取り組んでまいります。
 新型コロナウイルス感染症に関する差別の解消の取り組みについてであります。
 新型コロナウイルスに感染された方や医療関係者、そのご家族などへの誹謗中傷や不当な差別的扱いは決して許されるものではありません。安心して検査、療養できるためにも、差別や偏見は断じてあってはなりません。
 先般、御会派からの議員提案によります条例改正を踏まえまして、本年四月に新たに設置した新型コロナウイルス感染症に係る専門の人権相談窓口におきましては、一人一人の状況や要望をしっかりとお聞きし、相談者が抱える問題の解決を図るなど、コロナ差別解消の取り組みを強化してまいりました。
 学校では、新型コロナウイルス感染症に関するいじめを防止するとともに、医療従事者等への感謝の気持ちを育むため、イラストを用いました教材等を活用しながら、児童生徒の理解を促進しております。
 また、都教育委員会におきましては、いじめ等について悩んでいる子供に対しての相談窓口を設置いたしております。
 職場におけるハラスメントのほか、解雇や雇いどめなどにつきましては、東京都労働相談情報センターに新型コロナウイルス感染症に関します緊急労働相談ダイヤルを設置いたしまして、従業員の方からの相談に対応しております。
 都民の皆様へ向けましては、専門の人権相談窓口に加えて、私自身、動画を通じてメッセージを発信するとともに、啓発ポスターや電車内広告などを通じて、人権に配慮した行動をとるよう呼びかけております。
 今後は、学校や職場を初め、広く都民に対しましてコロナ相談窓口のさらなる周知を図るとともに、SNSを活用いたしました啓発を強化するなど、区市町村や経済団体等の関係機関と連携しつつ、効果的な取り組みを展開してまいります。
 新型コロナウイルス感染症に関連いたしました差別や偏見があってはならないという人権意識、これを広く都民に浸透させるとともに、いわれのない差別に遭った方々に寄り添い、そうした方々の人権が守られるよう全力で取り組んでまいります。
 子供と家庭への支援についてであります。
 コロナ禍という未曽有の危機の中、生活や仕事など、さまざまな悩みを抱えながら子育てをしている家庭も多うございます。
 都はこれまで、子供・子育て支援総合計画に基づいて、福祉、教育、就労など、さまざまな分野の関係機関が連携をしながら、子供の貧困対策の取り組みを総合的に進めてまいりました。
 昨年からは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって支援を必要とする子供と家庭を支えるため、弁当の宅配等を行う子供食堂などへ補助するほか、ひとり親家庭が利用できるさまざまな制度や相談先をまとめたサイトの運営などに取り組んでおります。
 今回の補正予算案におきましては、生活相談などを行うひとり親家庭支援センターの相談時間の拡充やTOKYOチャレンジネットを活用した就労支援、生活資金の貸し付けに要する経費を計上いたしまして、ひとり親家庭への支援を充実してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中にありましても、東京に暮らす子育て家庭が安定した就労や生活のもとで子供を健やかに育むことができますように、しっかりと支えてまいります。
 次に、中小企業に対する支援についてでございます。
 コロナ禍が長引く中にありましても、東京の稼ぐ力の源泉である中小企業、その中小企業が事業を継続していくためには、経営の下支えや環境変化への対応など、きめ細かな支援を展開していくことが重要であります。
 このため、都は、数次の補正予算を編成いたしまして、ガイドラインに基づく感染防止対策や飲食事業者の業態の転換など、都内中小企業の事業継続に向けた取り組みを支援してきたところでございます。
 これらに加えて、四月以降の緊急事態措置の影響によって六月までの売り上げが減少した中小企業に対しましては、国の月次支援金への上乗せと売り上げ減少三〇%まで対象要件を拡大しまして、支給する都独自の支援制度を新たに創設いたします。
 特に、飲食店の時短営業等の影響を受けている酒類販売事業者については、御会派からのご要望や業界の声も踏まえまして、国の月次支援金と同額の三カ月で最大六十万円を上乗せ支給をしてまいります。
 さらに、事業転換等に取り組む事業者向けの制度融資メニューを創設するほか、売り上げの回復に向けました販路の拡大やコロナ後を見据えた設備投資など、新たな取り組みに対する支援の充実を図ってまいります。
 中小企業の経営安定に向けたサポート、そしてさらなる成長に向けた取り組みを後押しすることで、都内経済の着実な回復につなげてまいります。
 テレワークの普及と定着についてのお尋ねでございます。
 テレワークは、感染症の拡大防止に有効であるのみならず、ライフワークバランスの実現や生産性の向上など、働き方改革を大きく進展させる重要な取り組みでございます。
 このため、都はこれまでも、テレワーク環境の整備に向けた支援や東京ルール宣言制度の普及など、ハード、ソフトの両面からさまざまな後押しを行ってまいりました。
 しかしながら、テレワークの実施率を見ますと、大企業が約八割に達しているのに対しまして、中小企業では六割程度にとどまっております。また、業種によりましては、現場に出向く必要から、テレワークにはなじまない業務もあるといった企業からの声も聞いております。
 こうした現状を踏まえまして、中小企業における実施を後押しするため、テレワークが実現可能な部署におきまして、週三日、社員の七割以上、三カ月間取り組んだ企業を、一万社を目標としまして、マスター企業として認定、公表して、奨励金を支給することといたしました。
 さらに、中小企業の従業員の方が身近な場所でテレワークを実施できる環境を整備するため、地域の商業施設や店舗等にスペースを設置する際の新たな補助事業も開始をいたします。
 これらの取り組みを通じまして、中小企業におけるテレワークの一層の加速化を図ってまいります。
 次に、コロナ対策の国への働きかけについてでございます。
 一年を超えまして、長きにわたる新型コロナウイルスとの闘いにありまして、都民の生命、そして暮らしを守るため、これまでも全力で取り組んでまいりました。
 感染症対策を効果的に進めるためには、地域の実情に応じた取り組みを実行することが極めて重要であって、都は、現場を担う立場から、国に対してあらゆる機会を通じて提言や要望を行ってまいりました。
 国の水際対策の強化につきましては、羽田空港を有し、成田空港と隣接する東京都の知事といたしまして、一都三県で連携をして繰り返し要望、提案をしてまいりました。
 特に、御会派の緊急活動で強い危機感を示したいわゆるインド型変異株、デルタ株の国内流入に関しましては、都といたしましても、対策のさらなる強化を国に強く要望いたしました。
 今回の第四波におきましては、感染拡大の兆候を早期に捉えまして、都が実効性ある措置を講じられますよう、国に対しさまざまな要望を行ってきたところでございます。
 今後も、現場の状況や課題を正確かつ丁寧に把握をいたしまして、その解決に資する効果的な提言を時機を逸することなく行うことで、実効性あるコロナ対策の展開につなげてまいります。
 次に、雇用対策の強化であります。
 感染症の影響が長期化して、雇用環境も厳しい状況が続いております。解雇や雇いどめにより職を失い、困難に直面する方々に対しまして、早期に雇用を確保、生活の安定を図ることは重要であります。
 このため、御会派の要望も踏まえて実施をいたします東京版ニューディールによって、二万人を超える雇用創出を実現するため、マッチングや職業訓練など着実に進めるとともに、非正規雇用の方々などが安定した職につけますよう、支援の強化を図ってまいります。
 マッチング支援につきましては、五千人規模で正社員就職を支援するトライアル就労事業を先月より開始をいたしました。また、昨年度試行したデジタル人材育成訓練ですが、就職率が六割を超えておりまして、規模を拡充して実施をし、成長分野であるIT産業等への人材シフトを促してまいります。
 さらに今回、コロナ禍で休業を余儀なくされた非正規雇用の方々などがスキルアップを図れますよう、オンラインも活用した短期集中型の訓練を千人規模で新たに実施をいたします。
 こうした施策によりまして、都民生活の基盤となる雇用確保に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、がんや生活習慣病等の自宅検査についてであります。
 コロナ禍におけるがんや生活習慣病の検診等への影響を把握するために都が実施した調査におきましては、特に昨年四月と五月で、検診等の実施を控える区市町村が多く、受診者数に大きな減少が見られました。
 このため、都は、受診率の向上に向けまして、さまざまな機会を通じて、区市町村に感染防止を徹底した検診等の実施を働きかけるとともに、SNSなどを活用して、都民に検査受診の重要性などを発信してまいりました。
 コロナ禍におきましても、都民が自分の健康を維持するために、体の状態や生活習慣に向き合って、みずから行動することは重要です。
 お話の自宅検査キットですが、みずから検体を採取し、測定結果をオンラインや郵送などで受け取るものでありまして、自己健康管理の一助となることが期待されますが、その結果のみをもって健康であると自己判断してしまうことがないように、医療機関を受診し、早期発見につながるような仕組みが必要となります。
 今後、区市町村や関係機関、有識者のご意見などを十分に踏まえながら、その活用等について検討してまいります。
 次に、地域コミュニティの活性化についてであります。
 町会、自治会は、防災、そして防犯活動、見守り活動など、地域の安全・安心の確保や魅力ある地域づくりに大きな役割を果たしています。
 しかし、コロナ禍において住民同士の交流が制約をされて、町会などとしても多くの取り組みが困難となって、地域のつながりの希薄化が懸念されております。
 そこで、御会派のご要望も踏まえまして、都は、コロナ禍で活動のきっかけとなる事業を行うこととして、緊急対策として新型コロナウイルス感染拡大防止普及啓発事業助成を立ち上げたところであります。
 町会等の有する地域への影響力、これを発揮してもらうために、コロナ感染症対策の啓発チラシを配布してもらうなど、町会などが取り組みやすい事業といたしました。
 その結果、都内の九千のうち約三千の町会等が事業を活用されまして、コロナ禍において活動を再開させるきっかけとなったとの声もいただいております。
 これをきっかけに、町会等の持つ本来の見守り活動など、地域コミュニティの中核としての機能を発揮していただくことが重要であります。
 また、人と人とをつなぐツールとして、デジタルの重要性が認識されております。その活用によって、町会等においてもリアルとデジタル双方のコミュニティが実現をいたします。
 そのため、今年度からは、地域の底力発展事業助成におきまして、町会等が行うひとり暮らしの高齢者や孤立している子育て世帯等へのさまざまな見守り活動や、デジタル活用を促進するため、新たなメニューを設けて支援することといたしました。
 こうした取り組みを通じまして、町会等が有する支え合う機能を高めて、地域コミュニティの活性化につなげてまいります。
 次に、デジタル技術を活用した高齢者への支援についてであります。
 都は、未来の東京戦略において、長寿を戦略の核の一つに据えまして、人生百年時代において、全ての高齢者がデジタル化のメリットを享受し、QOL、クオリティー・オブ・ライフの向上を図ることができる社会の実現を目指しております。
 このため、介護施設などにおきまして、介護記録の電子化や見守りセンサーの導入など、デジタル環境の整備を促進するほか、ロボット技術を応用した次世代介護機器の効果的な導入や活用を支援しまして、介護の質の向上や介護者の負担軽減、利用者の安全・安心の確保を図っております。
 区市町村に対しましては、デジタル技術を活用した在宅高齢者の見守り体制の構築を支援するほか、今年度からは新たに、高齢者が自宅にいながらテレビ会議システムなどのオンラインツールを活用して仲間と一緒に行う健康づくりなど、コロナ禍における介護予防、フレイル予防のこの取り組みを支援してまいります。
 高齢者を取り巻くさまざまな課題の解決に向けまして、東京におけるデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。
 次に、国境離島についてのご質問がございました。
 世界有数の海洋国家であります我が国の地位を堅持するため、そのためには、排他的経済水域の根拠となります、いわゆる国境離島の維持保全が重要であります。
 また、国境離島に暮らす島民の生命と財産は、本土に住む国民と同様に等しく守られるべきものでありまして、そうした方々が不安を抱えながら生活をするようなことがあってはなりません。
 こうした国境離島の維持や保全、そして島民生活の安定という観点から、都といたしましても、国とともに、どのような取り組みが可能かを検討していくために、昨年十月、総務局に新たに人員を配置いたしまして、執行体制を強化いたしております。
 本年度は、沖ノ鳥島、南鳥島の利活用のあり方などの基礎調査を行いまして、今後の方向性の検討や、両島の重要性の幅広い発信など、国とも連携しながら取り組みを強化することといたしました。
 こうした取り組みに加えて、医療資源の限られた小笠原村において、新型コロナウイルス感染症から島民の命と健康を守るため、東海大学の協力を得て医療スタッフを派遣して、今月及び来月にかけましては、一般島民向けにワクチンの前倒し接種も行います。
 今後も、国境離島の適切な管理、そして島民の安全・安心の確保に尽力をしてまいります。
 次に、女性活躍についてのご質問であります。
 人の持つ活力こそが、コロナ禍を乗り越え、持続可能な東京を築き上げる源であります。女性の力を最大限に生かさなければ、この実現はあり得ません。
 国際社会では、あらゆる分野で企画立案など意思決定過程への女性の参画は当然のこととなっておりますが、日本は本当に女性の力を生かし切れておりません。
 都におきましては、都庁の女性管理職は約二〇%に増加をして、都議会の女性議員の比率は約三〇%に上昇、都道府県議会で一位となっております。
 女性の力をさらに生かして、多様な価値観、発想を取り入れることは重要であります。
 知事就任以来、女性活躍の推進を都政の重要課題と位置づけまして、さまざまな施策を積極的に展開をして、待機児童対策、女性起業家の支援、女性の首長や経営者との連携など、幅広く取り組んでまいりました。
 さらに、都の審議会等の女性委員の任用率を、令和四年度末までに男女それぞれが構成員の四〇%以上とし、目標を大幅に前倒しをしております。
 都といたしまして、さらに女性活躍を加速させるとともに、配偶者暴力、DVの増加の懸念など、コロナ禍で顕在化した課題にも対応していくため、多角的な視点から議論を進めまして、今年度末、東京都男女平等参画推進総合計画を改定いたします。
 いつの時代も未来を切り開くのは人であります。今後とも、女性を初め、誰もが生き生きと、あらゆる分野で活躍できる社会の実現を目指しまして全力で取り組んでまいります。
 次に、保育所、学童クラブの拡充についてであります。
 誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えていくことは重要であります。
 そのため、私は、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実のこれら三つを柱に、待機児童の解消に向けて、保育サービスを拡充してまいりました。
 その結果、平成二十九年四月には八千五百八十六人でありました待機児童数でございますが、本年四月の速報値ベースで、現在確認できる昭和四十五年以降の統計では初めて一千人を切る見込みとなりました。
 また、小学校に入学後も保護者が安心して就労を継続できますよう、学童クラブにつきましても、整備費の補助、開所時間の延長、職員の資質向上のための研修など、量と質を拡充する取り組みを推進しております。
 引き続き、区市町村としっかり連携しながら、子育て家庭を支援する環境の整備に全力で取り組んでまいります。
 そして、出産、子育て支援についてでございます。
 都は、平成二十七年度から、妊娠、出産、子育て、これらの切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援しておりまして、昨年度から、産後の支援を大幅に充実したとうきょうママパパ応援事業を開始いたしました。
 また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、妊産婦の方が抱える不安を軽減するために、助産師によるオンライン相談、分娩前のPCR検査費用の助成、感染した妊産婦の方に対する保健師等による相談支援も実施するなど、出産、子育てに係る施策を充実してまいりました。
 さらに、御会派のご要望によりまして、今年度からは、赤ちゃんファーストの考えのもとで、本年一月一日以降に子供が産まれた家庭を対象にしまして、十万円分の子育て支援サービスや育児用品等を提供する東京都出産応援事業─コロナに負けない!─を開始いたしました。
 検索サイトのバナー広告、「広報東京都」などで周知をしつつ、対象となる家庭には、区市町村の協力を得て個別に通知をしておりまして、既に多くの家庭に利用していただいております。
 引き続き、区市町村と連携しながら、コロナ禍におきましても安心して子供を産み育てられますよう、出産、育児に臨む方々を後押ししてまいります。
 子供を望む方への支援であります。
 私は、この東京を、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれるまちとしていきたい。
 そのため、産前産後の母子への支援や、保育サービスの充実、不妊検査や治療に係る費用の助成など、子供を持ちたいと願う人や子育て家庭を後押しするための施策を、御会派のご要望も受けまして進めてまいりました。
 また、多子世帯に対しましてのベビーシッターを活用した育児支援や保育料の負担軽減などにも取り組んでまいりました。
 都は、ことし三月、未来の東京戦略を策定しまして、子供の笑顔のための戦略を第一に掲げて、現在、出産、子育て全力応援プロジェクトやチーム二・〇七プロジェクトなど、さまざまな取り組みを進めております。
 子供は未来を担う社会の宝であります。妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援、チルドレンファーストの社会の創出に向けました取り組みを全庁を挙げて推進して、子供を持ちたい人がためらうことなく安心して子供を産み育てられる東京を実現してまいります。
 次に、ソーシャルファームの普及、拡大についてであります。
 就労に困難を抱える方々が、企業的な形態の中で個性と能力を発揮して働き、活躍できるソーシャルファームにつきましては、御会派からの提案も踏まえまして、全国で初となる条例を制定しまして、ことし三月、認証事業所を誕生させました。
 今回認証いたしましたソーシャルファームでは、障害者のほか、ひきこもりを経験された方などを多数雇用する見込みとなっております。
 今後、こうしたソーシャルファームを大きく育てていくためには、事業者への支援とともに、社会全体で支えていく仕組みづくりが必要でございます。
 このため、昨年度開設いたしましたソーシャルファーム支援センターにおきまして、事業の立ち上げ等に対する補助のほか、経営や就労困難者の方の雇用ノウハウ等に関するコンサルティングを実施するなど、創設に向けた事業者の取り組みを後押ししてまいります。
 また、経営者団体や就労困難者の支援団体等とのネットワークを新たに形成するなど、ソーシャルファームの活動を支える輪を広げまして、社会的な機運を醸成してまいります。
 こうした取り組みによって、ダイバーシティーの象徴といたしまして、ソーシャルファームを社会に根づかせてまいります。
 同性パートナーシップ制度の推進についてのお尋ねでございます。
 いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念を広く浸透させていく上で、性的マイノリティーの方を初めとする全ての都民が個人として尊重されることが重要と認識をいたしております。
 都はこれまで、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの解消のため、人権尊重条例に基づいて、令和元年度に基本計画を策定をいたしまして、啓発教育の推進や相談支援体制の充実などに取り組んでまいりました。
 あわせて、性的マイノリティーの方々からのご要望をお聞きするとともに、他の自治体の類似の取り組みにつきましての情報収集を行ってまいりました。
 この間、都内でも十二の自治体が同性パートナーシップ制度を導入するなど、性自認及び性的指向に関する社会情勢は大きく変化をしておりまして、制度に関する国民の理解は広がってきております。
 都におきましては、今年度、広く都民や当事者の意見を把握するための実態調査等を実施するとともに、国内外のパートナーシップ制度の仕組みなど、幅広く調査を行うことといたしております。
 これらの調査結果も踏まえまして、都としての同性パートナーシップ制度の検討を進めてまいります。
 人権尊重の理念に基づいた都市外交の推進についてのお尋ねであります。
 私はこれまで、誰もが輝く多様性こそ東京の活力の源泉であるとの認識のもとで、人に焦点を当てた政策に取り組んでまいりました。
 人権尊重は、その礎ともいえる理念でございます。平成三十年に都は、人権尊重条例を制定いたしまして、さまざまな人権に関する不当な差別を許さないとの姿勢を明確にいたしました。
 また、さきの第一回定例会で、御会派などの議員提案により可決されました新型コロナウイルス感染症対策条例の改正におきましても、コロナ禍での差別禁止が盛り込まれております。
 こうした人権尊重の姿勢は、海外都市との交流におきましても例外ではありません。国境を越えて互いを尊重し合うこと、それは大都市に共通する課題の解決やグローバル都市東京の実現に向けた国際協力関係の構築に不可欠であります。
 この認識のもとで、例えば、東京を初め、パリやロンドンなど世界の主要都市が参加する都市間ネットワーク、U20では、毎年、人権の重要性を盛り込んだコミュニケを各都市と共有をいたしまして、G20への提言を行っております。
 引き続き、人権尊重の理念に基づいて、世界各都市との関係をさらに強固にしながら、一人一人が自分らしく生き生きと活躍できる多様性に富んだ真のダイバーシティー東京を実現してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてのお尋ねであります。
 新型コロナの猛威によって世界が未曽有の危機に直面する中、気候変動の危機は一層深刻化しております。
 この気候危機に立ち向かって二〇五〇年のCO2実質ゼロを実現するためには、二〇三〇年までの十年間の行動がとりわけ重要であります。
 このため、都は、都内の家庭等に、リースなどによって初期費用の負担なく太陽光発電設備を設置する事業への支援や、事業所において地産地消を目的として再エネ設備や蓄電池等を導入する際の支援など、さまざまな施策を積極的に推進をしております。
 また、RE一〇〇宣言企業の増加など、民間事業者の再エネ電力の大量調達ニーズが拡大していることを踏まえまして、今年度から、都外で再エネ設備を新設して、都内で利用する事業者の取り組みに対して支援を実施いたしてまいります。
 加えまして、今後の再エネ大量導入時代を見据えまして、地域で発電された再エネを無駄なく利用する再エネシェアリングのモデル事業を、再エネ由来水素などの活用も図りながら、南大沢地区で進めてまいります。
 さらに、本年四月に開始をいたしました東京ベイeSGプロジェクトにおきまして、民間事業者からの提案に基づいて、ベイエリアで活用可能な都有地や水面を、例えば風力発電や浮体式太陽光発電など再エネ関連技術のフィールドとして提供する。水素の活用につきましては、臨海部等での燃料電池トラックなどの実装に向けた取り組みを展開してまいります。
 現在、御会派の要望も踏まえまして、環境基本計画の改定に着手しており、未設置の数多くの住宅やビルにおいて太陽光発電設備等を最大限導入する方策など、さまざまな検討を進めてまいります。
 今後、市民生活、都市づくりなど、あらゆる分野で民間ビジネスとも連携しながら、再エネの基幹エネルギー化に向けました取り組みを加速してまいります。
 サステーナブルシフトを後押しする税制についてのご質問であります。
 脱炭素社会を実現してサステーナブルな東京をつくっていく、そのためには、省エネや再エネの拡大など、あらゆる分野の取り組みを進化、加速させていく必要がございます。
 これらの政策目標の実現に向けましては、補助や規制などの施策に加えて、税制の活用も施策を推進するための有効な方策の一つと認識をいたしております。
 こうした観点から、これまで都は、独自に東京版環境減税を導入して、ZEVに係る自動車税を最大六年度分免除するとともに、中小事業者が省エネ設備を導入する際の費用の二分の一を減免するなど、先駆的な取り組みを講じてまいりました。
 都といたしましては、今後、公平性とのバランスやインセンティブ効果、財政への影響などを十分に踏まえまして、国や諸外国におけますカーボンプライシングの動向も注視しながら、脱炭素社会の実現に向けた税制について幅広く検討を進めてまいります。
 次に、市町村総合交付金を活用した多摩・島しょ地域の行政サービスの強化についてであります。
 市町村総合交付金は、地域の発展に向けました市町村の取り組みに対する包括的な財源の補完制度として重要な役割を果たしております。
 こうした重要性に鑑みまして、この間、御会派の後押しもあって、予算の拡充に努め、就任時に四百九十億円であった予算を、令和三年度には過去最高の五百八十五億円まで増額しております。
 多摩地域は、豊かな自然とともに、東京の三分の一に相当する四百万人の人口を抱え、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関も集積をしております。また、島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれて、島々がそれぞれ特産品や文化など個性豊かな宝物を有しています。
 こうした各地域の特性を生かすとともに、コロナ禍における大きな社会の変化、変革をさらなる発展のチャンスと捉えまして、多摩・島しょ地域の魅力の向上や行政サービスの強化に取り組んでいく必要がございます。
 引き続き、市町村の皆様のご意見も伺いながら、総合交付金によって市町村の積極的な取り組みを支援してまいります。
 次に、議会と都政改革についてのご質問であります。
 私は、五年前の知事就任直後に都政改革本部を立ち上げて、都民ファースト、情報公開、賢い支出、これら三原則を掲げて都政のさまざまな改革に着手をいたしました。
 我々、執行機関の生産性の向上や機能強化に向けました二〇二〇改革においては、仕事改革、見える化改革、仕組み改革、この三つの手法を柱に職員主体の自律的な改革に取り組んで、改革マインドが都庁に着実に根づいてきたものと考えております。
 一方、議会では、この間、幅広く改革を進めてこられ、御会派は、第一会派として、まさに先頭に立って取り組んでこられました。タブレットを活用したペーパーレスの推進、常任委員会のインターネット中継の実現など、取り組みの成果は、都民の目に見える形で確実にあらわれています。
 都は、今まさに都政改革を継承、発展させ、DXをてこに、制度や仕組みの根本にまで遡った都政の構造改革に挑戦をしておりまして、これは議会改革と方向性を同じくするものでございます。
 議会と執行機関が切磋琢磨し、ともに成長していくことこそ、都政発展の源であります。引き続き、互いに取り組みを高め合いながら、新たな改革を力強く推し進め、都民の誰もが幸せを享受できる社会を実現してまいります。
 そして、国から地方自治体への権限移譲についてであります。
 現在、我が国は、新型コロナウイルス感染症によりまして国難ともいえる厳しい事態に直面をしております。この状況を克服して持続的な発展を遂げていく、そのためには、それぞれの地域が個性や強みを生かして、スピード感を持って施策を展開しなければなりません。
 しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、国と地方が連携して取り組みを進める必要があるにもかかわらず、特措法における知事の権限や責任の範囲が不明確なことや、財源の裏づけが不十分なことなど、さまざまな課題が浮き彫りとなりました。
 現場を抱える地方自治体が、地域の実情に即した実効性ある対策を機動的に講じていくためには、それにふさわしい権限と十分な財源を、国から地方へ移譲することが急務であります。
 こうした課題の解決に向けまして、全国知事会や一都三県などと連携しまして、特措法改正による地方の権限強化、行政需要に応じた確実な財政支援などを国に要望してまいりました。
 今後とも、国と地方の適切な役割分担に基づく権限の移譲や税財源の配分見直しなど、真の地方分権に向けた抜本的な改革を国に対して強く求めてまいります。
 次に、歳入歳出両面での財源確保についてであります。
 元来、都財政は、収入の大宗を占める都税収入が景気変動の影響を受けやすく、不安定な構造にございます。
 さらに、本定例会に提案をいたしております補正予算案を含めまして、総額四兆五千億円規模のコロナ対策の財源確保のため、基金を大幅に取り崩しておりまして、残高は大きく減少をいたしております。
 こうした中にありましても、感染拡大の抑え込みに向け、対策を加速させるとともに、東京の持続的な成長を実現するための取り組みを展開していく、そのためには、賢い支出の徹底など、あらゆる方策を講じて財政対応力を確保していくことは不可欠であります。
 そのため、今年度予算の編成におきましては、事業評価の取り組みの強化や一層の経費精査に加え、政策連携団体に対する出捐金につきまして、御会派のご提案も受けて実現した早期の返還を含め、総額百六十五億円の歳入確保にも取り組んでまいりました。
 また、予算の執行に際しましても、デジタルを活用したオンライン手続の実施等によります経費の節減など、これまで以上に効率的、効果的な執行を図りますよう、全庁に対しましての指示を行っております。
 加えて、政策評価と事業評価、それぞれの強みを生かしまして一体的に評価を行い、その結果を令和四年度予算に反映させていくことで、より一層、効率性、実効性の高い施策、事業の構築につなげてまいります。
 今後、厳しい財政環境が続くことが想定されますが、ワイズスペンディングの徹底を初め、歳入歳出の両面から財政対応力の確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、いわゆる偏在是正措置についてであります。
 これまで国は、累次にわたる地方法人課税の見直しによって法人二税の国税化を進めておりまして、こうした一連の措置による令和三年度当初予算における都の影響額は七千六百八億円となっております。
 そもそも、真の地方自治とは、地方自治体がみずからの権限と財源に基づいて主体的に行財政運営を行うことで初めて実現できるものではございます。
 東京を標的とした税財政制度の見直しを繰り返し、地方間の税制格差を調整したとしても、地方が抱える財源不足の本質的解決にはつながりません。東京、ひいては日本全体が持続的な成長を遂げるためには、果たすべき役割と権限に見合った財源を確保していくことこそが重要であります。
 そのため、都は、国への提案要求や九都県市の首脳会議を通じまして、都市の財源を狙い撃ちするのではなく、国、地方間の税財源の配分の見直しを含めました地方税財政制度の抜本的改革を推進すべきである旨、国に対して要望しております。
 コロナ禍を通じまして、地方の取り組みの重要性、改めて浮き彫りとなっております。その中で、地方税財政制度のあるべき姿を目指し、今後も国に対し、しっかりと働きかけてまいります。
 東京二十三区の大学の定員増の抑制措置への対応についてのご質問であります。
 世界各国は熾烈な国際競争を繰り広げておりまして、高度人材、留学生の獲得、先端産業の集積など、先を見据えた取り組みを進めております。戦略的に政策を展開していかなければ、世界から大きく取り残されて、国際的な地位はますます低下しかねません。
 グローバル化やデジタルテクノロジーが進展する中で、我が国が持続的な発展を果たすためには、大局的な視点に立って、大学の競争力を高め、次代を担う人材の育成やイノベーションの創出を加速していくことが大きな鍵となります。
 世界の大学と伍していくためには、AIやデータサイエンスを初め、各分野で未来を先取りした研究が急務となっております。それにもかかわらず、場所だけを理由に大学の定員増を抑制することは、最先端分野の学部新設を目指す大学にとりまして大きな障害となって、質の高い魅力的な教育の実現や国際社会で活躍する人材の輩出を妨げるものといわざるを得ません。
 教育は国家百年の計であります。これまでも大学の競争力の低下につながる本規制の見直しを国に繰り返し求めておりますけれども、大学関係者などとも連携をしながら、さまざまな機会を捉えて、今後とも国に対して早期の撤回を強く訴えてまいります。
 東京二〇二〇大会についてのご質問でありました。
 大会を成功に導くためには、安全・安心な環境を整えることが最優先であって、実効性のあるコロナ対策を行うことは重要であります。
 そのため、都、国、組織委員会で構成されるコロナ対策調整会議におきまして、専門家も参画し、水際対策、入国後の行動、健康管理の徹底など幅広く議論を行い、その結果を選手、大会関係者が守るべきルールとしてプレーブックにまとめております。
 本年の四月には変異株に対応した対策の具体化を行ったところでありまして、今後さらに、テストイベントや最新の知見をもとに、最終版を策定いたします。
 これらの取り組みは、アスリートを初めとした大会参加者はもとより、日本に居住する方の安全を守るためのものでありまして、WHOからもリスク管理を確実にするための正しい判断と取り組みへの努力として評価されております。
 海外から来日する大会関係者につきましては、安全・安心な大会を実現するために、IOC、IPCに対しまして、約十八万人から七万八千人と、来日される人数を半減以下にするなどの削減の徹底や、行動管理、健康管理の徹底を求めております。
 また、大会時の医療体制につきましては、引き続き、地域の医療への影響が出ませんよう、丁寧に調整をしてまいります。
 なお、観客数に係る判断は、今月中に、国内のスポーツイベント等におけます上限基準に準じることを基本に決定することといたしております。
 引き続き、総力を挙げまして感染の再拡大を防ぎ、徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力で取り組むとともに、関係機関と連携協力をして、安全・安心な大会の開催に向け、着実に準備を進めてまいります。
 そして、二〇二〇大会に向けたさまざまなレガシーを発展させて、サステーナブルリカバリーを実現してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタル活用支援の強化についてお答えいたします。
 シン・トセイ戦略にも掲載したデジタル化に関する都民の実態調査におきまして、都民の行政サービスへのアクセス手段はスマートフォンが六割を超えています。
 その一方で、今般の新型コロナウイルスワクチン接種では、高齢者の中にはインターネットやスマートフォンが使えずに予約ができない方もいらっしゃるなど、DX施策を進めていくに当たって、デジタル化による格差、いわゆるデジタルデバイドの是正に向けた取り組みの重要性が改めて浮き彫りになりました。
 デジタル化の推進に向け、これまで御会派からはさまざまなご提案をいただく中で、都は今年度、高齢者向けにスマートフォンの利用を普及啓発するための新たな事業として、スマートフォン教室の開催や端末の貸し出しのほか、学生などの力もかりた身近な場所での相談事業を実施いたします。
 まずは、支援を受ける高齢者と支援をする若者の両者のニーズや課題等をきめ細かく把握するために、区部、多摩及び島しょ地域において、スマートフォン教室と相談事業をモデル的に行ってまいります。
 そして、今後の都内全域での展開に当たっては、モデル事業で得られたニーズ等を講習内容などに反映するとともに、地域の底力発展事業助成にも新たに加わったデジタル活用支援のメニューにより、デジタルデバイド対策に取り組む町会、自治会に対しても支援してまいります。
 これらの取り組みを進めることにより、誰もが情報機器を使いこなし、デジタルサービスの利便性を共有できる社会を実現させてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、高校段階の学びにふさわしい端末導入の検討状況についてでございますが、都教育委員会はこれまで、生徒所有のスマートフォン等を使用し、高校生一人一台端末による学習を実施してまいりました。学びの質を一層高めるため、保護者負担に配慮しつつ、学校が推奨する端末を保護者が購入し、生徒の所有とする方式によることといたしました。
 現在、義務教育段階で一人一台の環境で学んだ生徒が高校段階に進学する令和四年度入学生から統一された端末で生徒一人一台体制が構築できるよう、高校段階の学びにふさわしい端末の形態や性能、購入に向けた仕組みづくり等について検討しているところでございます。
 今後は、こうした検討とあわせて、保護者への周知などの準備や端末購入に係る保護者への支援策の検討など、制度の導入に向けて着実に取り組んでまいります。
 次に、外部人材の活用による教育の質の向上についてでございますが、子供の成長を社会全体で支え、主体的に学び続ける力を育むためには、教員に加え、実社会での多様な経験を積んだ外部人材を積極的に活用することが有効でございます。
 都教育委員会は昨年度から、東京学校支援機構のサポーターバンクによる外部人材の紹介事業を通じ、各学校の支援を開始したところでございます。学校では、地域のつながりによる人材に加え、バンクを利用し、ICT活用や放課後学習の支援など幅広い分野で意欲ある人材が活躍をしております。
 今後、こうした取り組みに加え、小学校三、四年生の外国語活動などにおいて、専門性の高い外部人材を一人で授業を受け持つことができる講師として、区市町村教育委員会が任用する場合に、都独自の補助を行うなど、子供たちの学びの充実に向けた取り組みを推進してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会における学校観戦についてでございますが、東京の子供たちは、これまでさまざまな学習や交流を通して、オリンピック・パラリンピックについての理解を深めてまいりました。都教育委員会は、こうした学びの集大成として、世界最高峰の競技をじかに感じられることが、子供たちにとって貴重な経験になると考え、競技観戦を希望する学校にその機会を提供する取り組みを進めております。
 現在は、学校が安全・安心な競技観戦を実施できるよう、感染症対策の徹底や教員向けの引率の手引の配布等の準備に全力で取り組んでいるところでございます。
 今後、感染状況を踏まえて定められる観客数の方針に基づき、子供たちにとって安全・安心な競技観戦となるよう、関係機関とも連携を図りながら、準備に向けた調整を進めてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国産ワクチン、治療薬の開発支援についてでございますが、東京都医学総合研究所では、昨年度から新型コロナウイルスのワクチン開発研究を行っており、現在、実用化に向けて、共同で研究している製薬企業において、人を対象とした臨床試験の開発に向けた準備を進めております。変異ウイルスへの効果も期待できるものであり、都は引き続き、東京都医学総合研究所におけるワクチン開発研究を支援してまいります。
 また、創薬、医療分野のイノベーションに貢献する人材や企業を育成し、革新的な医薬品や治療手法の実用化につなげる取り組みも進める中で、国や企業とも連携しながら、国産ワクチン、治療薬の開発支援に努めてまいります。
 さらに、治療薬の早期開発、実用化に向けた取り組みを推進するよう国に提案要求してまいります。
 次に、子供の意見表明についてでございますが、子供の意見表明を支援し、必要に応じてその意向を適切に代弁する子供アドボケートは、児童相談所がかかわる子供の権利擁護を図る観点から重要な取り組みでございます。
 国は、子供の意見表明を支援する仕組みについて、令和元年にワーキングチームを設置して検討を進め、先月、子供の意見が適切に関係機関に届くよう、意見表明支援員などの仕組みを構築すべきとの取りまとめを提示いたしました。
 都は今後、学識経験者や弁護士などで構成する検討委員会を立ち上げ、この取りまとめも踏まえながら、御会派からご要望のありました子供アドボケートを初め、東京都こども基本条例における子供の権利及び利益を擁護する仕組みの充実に向け、具体的な検討を進めてまいります。
 最後に、ヤングケアラーへの支援についてでございますが、先月、国の実務者によるプロジェクトチームが取りまとめた報告書で、早期発見のための関係機関への研修や、支援者団体による相談支援、広報媒体等を通じた社会的認知度の向上策等が示されました。
 都は現在、国が昨年度実施したヤングケアラーに関する実態調査の都内分を独自に集計し、これに基づき、具体的な事例について、子供家庭支援センターや学校にヒアリング調査を行っております。
 来月には、関係各局で構成する連絡会を立ち上げ、実態調査等の結果を共有するとともに、ヤングケアラーの現状や必要な支援等に関して、有識者や当事者からの意見をお聞きし、国の動向も踏まえながら、効果的な対応策を検討してまいります。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 都立、公社病院の感染症対策についてでございますが、現在、都立、公社病院では二千床のコロナ病床を確保し、他の医療機関で対応が困難な認知症や精神疾患等の合併症患者を積極的に受け入れてございます。また、重症患者の治療に当たる大学病院と連携し、回復した患者を受け入れ、都内重症病床の効率的な運用を図ってございます。
 さらに、最前線で働く職員を支援するため、特殊勤務手当の特例で対応するとともに、感染症の専門医や認定看護師など人材育成、確保を図っております。
 今後、新型コロナに加えて新たな感染症にも速やかに対応できるよう、感染防護具の備蓄の強化や病棟全体の陰圧化工事等を進めるとともに、一層の専門人材の確保、育成を図るなど、日ごろから備えを万全とし、都民の生命と健康を守るため、都立、公社病院の医療資源を最大限活用してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症で影響を受けた産業への支援についてですが、飲食、観光事業者等を取り巻く環境は一層厳しさを増しておりまして、こうした産業分野への支援を強化し、経営を下支えしていくことは重要でございます。
 このため、都は、飲食事業者のテークアウトや宅配等への業態転換に係る経費の助成につきまして、申請期限を十月末まで延長するとともに、売り上げが減少した飲食事業者へECサイト出店経費等を助成し、販路開拓を後押しいたします。
 また、厳しい状況にある観光事業者への支援といたしまして、VRなど新技術を活用した海外向けのオンラインツアーなど、新たな旅行商品の開発への助成を拡充いたします。
 コロナ禍における制約のもとでも新規事業の開拓に意欲的に取り組む中小企業をサポートし、都内経済の回復を図ってまいります。
 次に、都民のスキルアップに対する支援についてですが、労働力人口が減少する中で東京の持続的な成長を実現するには、労働者等の能力開発を強力に支援し、経営を支える人材等へと育成することが重要でございます。
 このため、都は、都立大学において、社会人が働きながらスキルをアップデートできますよう、夜間開講やリモート配信等の方法も活用し、実践的な講座を提供しているところでございます。また、生産性向上に資する資格取得等の民間訓練の受講経費を助成するなど、中小企業の従業員のスキルアップを図っております。
 今後は、社会情勢や受講ニーズの変化を踏まえ、大学の講座のラインナップや内容の見直しを図ってまいります。加えて、従業員向けの多様な職業訓練において、オンライン化の試行の成果を踏まえ、さらなる受講機会の拡大を図るなど、都民のスキル向上を後押ししてまいります。
〔政策企画局長中嶋正宏君登壇〕

○政策企画局長(中嶋正宏君) 休業要請の対象になっていない都立施設で営業する店舗などの事業者への対応についてでございますが、都は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けまして、徹底した人流抑制を図るため、都立施設の休業等を実施してまいりました。昨年来、都立公園など休業要請の対象外である施設の中の店舗につきましても、都の感染防止対策へのご協力のため休業いただいてまいりました。一方で、その一部につきましては、休業要請等に係る協力金や支援金の対象外となっており、ご負担をおかけしております。
 そのため、現行の協力金などの支給対象となる事業者との均衡を考慮しつつ、今後、関係局と連携し、こうした店舗の事業者に対しまして、個別に営業実態を確認するなど、丁寧に対応いたしまして、現行制度の活用なども含め、必要な支援に向けた具体的な検討を行ってまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕

○総務局長(黒沼靖君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、キャッシュレス決済についてでございます。
 この決済方法は、非接触型の衛生的な決済手段であり、新型コロナウイルスの感染拡大防止にも資するものでございます。また、生活利便性の向上や売り上げデータの収集、活用など、利用者、事業者双方にさまざまなメリットがございます。
 東京都生活応援事業では、こうした特色を生かし、ポイント還元などの取り組みを通じて、キャッシュレス決済の利用を促すことで、地域の小売店等の消費を喚起し、経済の活性化を図ることとしております。
 都はこれまで、実施主体である区市町村に対し、担当者向け説明会等を通じて、キャッシュレス決済のメリットを周知し、現在、ほぼ全ての区市町村が本事業を活用する意向でございます。
 今後、区市町村と好事例の共有等を通じて丁寧な支援を行い、感染拡大防止と地域経済の振興につなげてまいります。
 次に、感染症と災害の複合災害への備えについてでございます。
 コロナ禍における災害発生を見据え、感染症対策にも配慮した避難対策を進めることが重要でございます。
 このため、都は、先般策定をいたしました東京防災プラン二〇二一におきまして、複合災害への対応を重要な課題として位置づけ、避難対策について重点的に推進することといたしました。
 具体的には、コロナ禍における本格的な大雨シーズンに備え、区市町村等と連携した避難先の一層の確保や、マスクや消毒液などの購入に係る補助の実施、屋内テントの備蓄などの取り組みを早急に進めてまいります。
 また、発災時におきましても、新たな災害情報システムの活用により、避難所の混雑状況を即時に発信することで、感染予防に資する適切な分散避難につなげるなど、複合災害時の避難対策に万全を期してまいります。
 最後に、西多摩や島しょ地域への定住促進についてでございます。
 コロナ禍により、暮らし方や働き方に変化があらわれているまさにこの機を捉えまして、西多摩や島しょ地域の豊かな自然など多様な魅力を最大限に生かして定住を促す取り組みを進め、東京の持続的発展につなげていくことが重要でございます。
 都はこれまでも、西多摩や島しょ地域におきまして、定住人口等の増加を図るため、ホームページ、雑誌などさまざまな媒体を通じまして、地域それぞれの魅力発信を行ってまいりました。
 また、島しょ山村地域に新たに住み、働く人に対し、町村が支給する支援金への補助制度を設けております。今年度は、コロナ禍における取り組みとしまして、島しょ山村地域でテレワークを行う場合も補助対象に加えることとしております。
 今後、地元自治体と連携をいたしまして、定住を希望する方々に寄り添った情報発信のあり方などにつきまして検討を進めてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 中小河川の水害対策についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、ハード、ソフト両面から効果的に対策を進めることが重要でございます。
 ハード対策では、護岸改修や城北中央公園調節池等八施設の整備に加えまして、新規調節池の事業化に向けた取り組みを推進しております。このうち、新たに対策強化流域に追加した柳瀬川流域では、奈良橋川の調節池等の検討に着手いたします。
 ソフト対策では、河川の状況をわかりやすく伝える河川監視カメラについて、これまで都内三十八カ所で静止画を公開してまいりました。今月中には新たに空堀川など二十カ所で公開し、豪雨時の急激な水位上昇等の状況を確認できるよう、全ての箇所で動画の配信も開始いたします。
 こうした取り組みにより、豪雨に対する安全性を高めてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 避難所の動物受け入れ環境の整備等に関するご質問についてお答えをいたします。
 都は、災害時に飼い主と動物の安全を確保するため、避難所を設置する区市町村に対し、地域防災計画に動物救護対策を位置づけるよう働きかけております。
 また、災害時に区市町村が動物との同行避難の受け入れを的確に行えるよう、避難所で必要となるケージや応急処置用品の備蓄などを財政面で支援するとともに、避難所の管理運営体制の整備などを盛り込んだマニュアルを作成し、提供してございます。
 今後、関係団体やボランティア等と連携し、このマニュアルを活用して避難所運営の仕組みづくりを行うなど、地域の実情に応じました災害時の同行避難の受け入れ体制の整備等を進める区市町村を支援してまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 男性の家事、育児参画についてでございますが、男性の家事、育児参画を促進し、男女の家事、育児時間の差を埋めていくためには、働き方改革を進めるとともに、男性も女性も家事、育児をともに担えるよう、あらゆる都民の意識を変革していく必要がございます。また、家事、育児時間そのものの軽減を図ることも有効でございます。
 そこで今年度、男性の家事、育児参画への気づきを促す動画や、家事のアウトソーシング、スマート家電の活用など家事負担を軽減する工夫等、さまざまな情報を掲載するウエブサイトを制作いたしまして、SNS広告やインフルエンサーの発信力を活用したメッセージを広く発信してまいります。
 こうした取り組みによりまして、未来の東京戦略に掲げる二〇三〇年に向けた政策目標でございます家事、育児関連時間の男女差の半減を目指してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 東京二〇二〇ライブサイト等についてでありますが、ライブサイトは、競技中継を観覧し、大会の感動と興奮を共有するとともに、開催都市として東京の魅力や各種文化発信等を行う重要な場であります。
 その実施に当たりましては、来場者数の削減や事前申し込み制による来場者の分散化を図るとともに、専門家の助言も得ながら、エリアごとのきめ細かな飛沫感染防止などにも取り組んでおります。
 今後とも、感染症の状況等も踏まえまして、大会の観客や国内の他のイベントの状況も参考に、国、組織委員会などと連携しながら準備を進め、調整してまいります。
 なお、築地の大規模接種会場が六月末で閉鎖され、その後、接種会場として代々木公園を使用することから、オリンピック期間中はライブサイトとしては使用いたしません。

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