令和三年東京都議会会議録第八号

令和三年六月一日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番平  慶翔君
四番龍円あいり君
五番上田 令子君
六番山内れい子君
七番西郷あゆ美君
八番森澤 恭子君
九番大場やすのぶ君
十番やまだ加奈子君
十一番西野 正人君
十二番林あきひろ君
十三番栗下 善行君
十四番藤井とものり君
十五番原田あきら君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番保坂まさひろ君
二十一番関野たかなり君
二十三番米川大二郎君
二十四番菅原 直志君
二十五番清水やすこ君
二十六番斉藤れいな君
二十七番伊藤しょうこう君
二十八番田村 利光君
二十九番柴崎 幹男君
三十番舟坂ちかお君
三十一番清水 孝治君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番米倉 春奈君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番白戸 太朗君
四十一番木下ふみこ君
四十二番増田 一郎君
四十三番本橋ひろたか君
四十四番馬場 信男君
四十五番細谷しょうこ君
四十六番中山ひろゆき君
四十七番たきぐち学君
四十八番奥澤 高広君
四十九番小宮あんり君
五十番神林  茂君
五十一番早坂 義弘君
五十二番高橋 信博君
五十三番石毛しげる君
五十四番西沢けいた君
五十五番河野ゆりえ君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とくとめ道信君
五十九番遠藤  守君
六十番上野 和彦君
六十一番のがみ純子君
六十二番まつば多美子君
六十三番田の上いくこ君
六十四番両角みのる君
六十五番森口つかさ君
六十六番鳥居こうすけ君
六十七番村松 一希君
六十九番つじの栄作君
七十番後藤 なみ君
七十一番岡本こうき君
七十二番桐山ひとみ君
七十三番石川 良一君
七十四番川松真一朗君
七十五番小松 大祐君
七十六番中屋 文孝君
七十七番鈴木あきまさ君
七十八番山口  拓君
七十九番曽根はじめ君
八十番清水ひで子君
八十一番とや英津子君
八十二番池川 友一君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番佐野いくお君
八十九番おじま紘平君
九十番あかねがくぼかよ子君
九十一番もり  愛君
九十二番内山 真吾君
九十三番成清梨沙子君
九十四番藤井あきら君
九十五番鈴木 邦和君
九十六番滝田やすひこ君
九十七番森村 隆行君
九十八番菅野 弘一君
九十九番鈴木 章浩君
百番宇田川聡史君
百一番吉原  修君
百二番中村ひろし君
百三番里吉 ゆみ君
百四番尾崎あや子君
百五番あぜ上三和子君
百六番橘  正剛君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番入江のぶこ君
百十二番山田ひろし君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番木村 基成君
百十五番荒木ちはる君
百十六番小山くにひこ君
百十七番増子ひろき君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番秋田 一郎君
百二十一番三宅 正彦君
百二十二番山崎 一輝君
百二十三番三宅しげき君
百二十四番高島なおき君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 一名
  二十二番 福島りえこ君
 欠員
    六十八番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事多羅尾光睦君
副知事梶原  洋君
副知事武市  敬君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長中嶋 正宏君
総務局長黒沼  靖君
財務局長潮田  勉君
警視総監斉藤  実君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長野間 達也君
オリンピック・パラリンピック準備局長中村 倫治君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長吉村 憲彦君
福祉保健局健康危機管理担当局長初宿 和夫君
産業労働局長村松 明典君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長國枝 治男君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長武市 玲子君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局長後藤 啓志君

六月一日議事日程第一号
第一 第百七号議案
令和三年度東京都一般会計補正予算(第七号)
第二 第百八号議案
令和三年度東京都病院会計補正予算(第二号)
第三 第百九号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百十号議案
非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百十一号議案
東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の一部を改正する条例
第六 第百十二号議案
東京都特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百十三号議案
東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第八 第百十四号議案
東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第九 第百十五号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百十六号議案
東京都地域医療医師奨学金貸与条例の一部を改正する条例
第十一 第百十七号議案
東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第十二 第百十八号議案
東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百十九号議案
東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十四 第百二十号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百二十一号議案
東京都母子及び父子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十六 第百二十二号議案
東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百二十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十八 第百二十四号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百二十五号議案
東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第百二十六号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百二十七号議案
東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百二十八号議案
東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百二十九号議案
東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百三十号議案
東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第百三十一号議案
東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第百三十二号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第百三十三号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第百三十四号議案
東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百三十五号議案
都道における道路構造の技術的基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第百三十六号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第百三十七号議案
都立立川地区チャレンジスクール(仮称)(三)新築工事請負契約
第三十二 第百三十八号議案
東京消防庁清瀬消防署庁舎(三)改築工事請負契約
第三十三 第百三十九号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その十一)請負契約
第三十四 第百四十号議案
都道の路線の廃止について
第三十五 第百四十一号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第三十六 第百四十二号議案
交通事故に伴う損害賠償の額の決定について
第三十七 第百四十三号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その一)について
第三十八 第百四十四号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その二)について
第三十九 第百四十五号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その三)について
第四十 第百四十六号議案
特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れ(その一)について
第四十一 第百四十七号議案
特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れ(その二)について
第四十二 第百四十八号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その一)について
第四十三 第百四十九号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その二)について
第四十四 第百五十号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その一)について
第四十五 第百五十一号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その二)について
第四十六 第百五十二号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その三)について
第四十七 第百五十三号議案
撮影機外三点の買入れについて
第四十八 第百五十四号議案
無線装置(固定用(多重無線装置))外三点の買入れについて
第四十九 第百五十五号議案
令和三年度東京都一般会計補正予算(第八号)
第五十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和三年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認について
第五十一 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和三年度東京都一般会計補正予算(第四号)の報告及び承認について
第五十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和三年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について
第五十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第五十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和三年度東京都一般会計補正予算(第六号)の報告及び承認について

   午後一時開会・開議
○議長(石川良一君) ただいまから令和三年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   九番   大場やすのぶ君 及び
   七十五番 小松 大祐君
を指名いたします。

○議長(石川良一君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 調査部長古賀元浩君。
〔部長挨拶〕

○議長(石川良一君) 以上で紹介は終わります。

○議長(石川良一君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民篠原儀治氏は、去る四月十一日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和三年五月二十五日付東京都告示第七百四十七号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案四十九件の送付がありました。
 次に、本定例会に提出するため送付された議案について、令和三年六月一日付で変更の通知がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分五件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、令和三年第一回定例会の会議において同意を得た教育委員会教育長、収用委員会委員、収用委員会予備委員、海区漁業調整委員会委員及び固定資産評価審査委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び監査委員外二行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、令和二年度東京都一般会計予算外二件の明許繰越について、令和二年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び令和二年度東京都病院会計予算外九件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 また、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(九ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) 次に、先般、教育長に就任されました藤田裕司君をご紹介いたします。
 教育長藤田裕司君。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 令和三年第一回都議会定例会におきまして、教育長の再任にご同意をいただき、引き続き教育長の職を務めることになりました藤田裕司でございます。
 学校における新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中、持続可能な都市東京を担う子供たちが希望を持ち、伸び育つ教育に今後とも全力で取り組む所存でございます。
 都議会の皆様方には、引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

○議長(石川良一君) 以上をもって教育長の紹介は終わりました。

○議長(石川良一君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 総務局長黒沼靖君、政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君、デジタルサービス局長寺崎久明君、消防総監清水洋文君、会計管理局長堤雅史君、下水道局長神山守君、病院経営本部長西山智之君、中央卸売市場長河内豊君、監査事務局長岡安雅人君、労働委員会事務局長鈴木勝君、収用委員会事務局長後藤啓志君。
〔理事者挨拶〕

○議長(石川良一君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(石川良一君) 会期についてお諮りいたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月七日までの七日間といたしたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(石川良一君) 起立多数と認めます。よって、会期は七日間と決定いたしました。

○議長(石川良一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和三年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 四月十一日、名誉都民である篠原儀治さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 今、我が国は世界から大きく取り残される瀬戸際、まさに危機的な状況にあります。長きにわたる新型コロナウイルス感染症との闘いの中、デジタル化の遅れや道半ばの働き方改革など、数々の課題が私たちに突きつけられました。これらは、先を見据えた戦略的な備えが十分でなかったことが浮き彫りとなったものであり、ワクチンもその一例であります。状況を打開するゲームチェンジャーとして、早くから期待されていたにもかかわらず、開発、確保、接種ともに世界主要国の後塵を拝しております。
 コロナ禍からの景気回復の遅れにもつながっていて、二〇二〇年のGDPはリーマンショックを超える落ち込みを記録したほか、国民の間には、長い闘いによる閉塞感も漂っております。同じく人類の脅威となる気候危機の問題につきましても、脱炭素に向けた世界の動きが一段と加速しており、我が国におきましても、環境やエネルギー政策に関する具体的な方向性や戦略を示していくことが、一刻を争う、まさに焦眉の急であります。
 国際社会におけます日本の地位の低下が叫ばれている中、世界との競争からさらに立ち後れるような事態は、何としても食いとめなければなりません。この未曽有の危機にあって、厳しい現実から目をそらすことなく、とるべき戦略を明確にし、希望ある未来へつなげる行動を起こす。そして、東京みずからがゲームチェンジャーとなり、日本の持続的な発展を牽引し、世界をリードしていく。改めて、こうした強い思いを都議会の皆様、都民の皆様と共有したいと思います。
 まず、現下の最大の課題であります新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 四月二十五日に発出されました緊急事態宣言が再び延長され、都としても、不要不急の外出自粛や施設の特性に着目した休業、時短の要請といった措置を講じております。都民、事業者の皆様には、この間多大なるご協力をいただいております。また、医療従事者の皆様は、日夜を問わず、現場の最前線で奮闘いただいております。都知事として、心より感謝を申し上げます。
 感染者数は漸減傾向にあるとはいえ、依然として高い水準が続いており、医療提供体制も厳しい状況にあります。流行の主体が感染力の強い変異株N501Yに置き換わっているほか、インドで最初に確認され、さらに感染力が強いとの報告がある変異株L452Rにも警戒しなければなりません。専門家の方からは、ゴールデンウイーク後に人流が増加しており、この傾向が続きますと、早い段階でリバウンドする可能性が高いとの指摘もいただいております。
 感染者数が減少しつつある今の流れをさらに確実なものとし、何としても再拡大を招かない。都民の皆様、事業者の皆様には大きなご負担をおかけしておりますけれども、人流を抑える、そして、基本的な感染拡大防止対策を徹底する。改めて、皆様のご協力をお願いいたします。
 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策を推進するための補正予算について申し上げます。
 四月、二十三区及び多摩地域の六市を対象区域とする蔓延防止等重点措置の実施に当たりまして、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金の支給などに関する補正予算を編成いたしました。また、この間の緊急事態宣言の発出とその延長に伴う措置の実施に際しまして、感染拡大防止協力金や、休業の協力依頼に伴う都独自の支援金等を支給するための補正予算を三度編成いたしました。
 これらは、いずれも都民、事業者の皆様と一体となって迅速な対策を進めるべく、専決処分を行ったものであります。都議会の皆様のご承認のほどよろしくお願い申し上げます。
 そして、本定例会におきましては、現下の感染状況や社会経済情勢を踏まえた的確な措置を講じるべく、総額四千五百五十二億円の補正予算案を提案いたしました。
 各区市町村で本格化する高齢者向けのワクチン接種を確実に実施するための取り組みや、集団接種を行う大規模会場の設置など、感染拡大の抑え込みに向けた対策を加速させてまいります。また、事業者の資金繰り支援の拡充に加え、都独自の支援制度を創設し、経済の下支えを図ります。あわせまして、生活福祉資金の貸し付けを継続するとともに、女性や若年層がみずから命を絶つ例が増えていることを踏まえまして、相談体制を拡充するなど、セーフティーネットの強化に向けた取り組みも進めてまいります。
 感染終息に向け多くの方が心待ちにし、最大の武器となるのがワクチンであります。二月に立ち上げたワクチンチームのもと、区市町村や医師会等との情報共有や連携の強化を図るとともに、副反応などの不安にも専門家が対応する相談センターを開設するなど、接種を着実に行うための体制を確保しております。
 そして、高齢者向けの接種について、区市町村を強力にバックアップするべく、集団接種会場として都有施設を提供するほか、地域の診療所等がワクチン接種に専念できる環境を整えられますよう、都が協力金を支給する取り組みを開始いたします。
 こうした取り組みに加え、都が主体となる集団接種を行い、さらなるスピードアップを図ります。まずは、今月八日から、東京二〇二〇大会で使用する築地の車両基地におきまして、警察や消防関係者等を対象とした接種を開始いたします。
 なお、築地の会場は、大会時には車両基地とするため、六月末で閉鎖することとなりますが、代々木ライブサイト会場をワクチン接種の会場として転用する予定であります。
 今後とも、国や区市町村とも連携いたしまして、あらゆる方面からの対策を全力で講じてまいります。
 また、刻々と変わる感染状況に的確に対処していくためには、検査体制や医療提供体制等を強固なものとすることが欠かせません。感染拡大が想定される場所や、重症化リスクの高い方が利用する高齢者施設等における検査を徹底することで、感染の端緒を捉える。スクリーニング検査の拡充により、変異株の監視を強化する。急速な感染拡大にも対応できるよう、必要な病床や宿泊療養施設を確保する。そして、自宅療養者向けの往診やフォローアップの体制を充実させるほか、後遺症への相談にもしっかり応えていく。こうした取り組みを戦略的に展開しまして、都民の皆様の安心につなげてまいります。
 東京のエネルギーを生み出すのは、都民の日々の生活や事業活動であります。コロナ禍が長引く中にありましても、その下支えを図るとともに、感染拡大防止と社会経済活動を両立しなければなりません。飲食店の時短営業等の影響によりまして、売り上げが減少した中小企業等に対しましては、国の支援金への上乗せを行いますほか、国制度の対象とならない厳しい状況に置かれた事業者を支援する都独自の給付金を支給いたします。
 また、飲食店等での感染防止マナー定着の旗振り役となるコロナ対策リーダーは、既に十万を超える方々が研修を修了しておられます。徹底点検TOKYOサポートチームによる個別訪問も進めておりまして、タブレット端末の活用により徹底した効率化を図るとともに、リーダーの取り組みをきめ細かく支援するなど、引き続き都民、事業者と一体となった感染対策を浸透、定着させてまいります。
 感染拡大防止はもとより、働き方改革にも資するテレワークにつきましては、多くの皆様に実施をしていただいておりますが、人流抑制の観点から、より一層の推進が必要であります。企業の経営方針としてスピーディーに実施環境を整えていただくため、経済団体との会談等を通じまして、経営者によるトップダウンの呼びかけをお願いしております。
 また、一万社を目標といたしまして、週三日、社員の七割以上が継続的に取り組む中小企業を認定して、奨励金を支給する事業を新たに開始するなど、テレワークの普及定着に向け、実効性ある取り組みを進めてまいります。
 これ以上の感染拡大を何としても阻止し、大切な都民の命と健康、そして日々の生活を守り抜く。都としての最も重要な責務を果たすため、これまでの闘いの中で積み重ねてきた知見や経験を生かしながら、あらゆる手だてを講じ、この難局を乗り越えてまいります。
 次に、開会間近となった東京二〇二〇大会について申し上げます。
 一年延期という前例のない事態の中、活躍の舞台を信じ、大会本番のその瞬間に向けて厳しい鍛錬を重ねているアスリートの皆様に心から敬意を表します。
 現在の感染状況などから、東京二〇二〇大会の開催への不安を感じる声があることは承知しております。安全・安心な大会運営が最優先であることはいうまでもなく、とりわけ実効性あるコロナ対策が極めて重要となります。そのため、三つの徹底、すなわち来日人数の削減の徹底、行動管理、健康管理の徹底、医療体制見直しの徹底。この三徹の考え方のもと、国、組織委員会、専門家といった関係者とともに、さまざまな対策の具体化を進めております。
 今後、多角的な観点から課題をさらに精査するとともに、各地で実施されてきたテストイベントにおける実証も踏まえながら、感染症対策の実効性を高めてまいります。そして、こうした対策の強化につきまして、今月中に更新されます大会参加者が守るべきルールを定めたプレーブックに反映させてまいります。
 国内の観客につきましては、スポーツイベントでの上限規制に準じることを基本としつつ、今月中にその方針を示せるよう、関係者との協議を詰めてまいります。また、海外からのお客様をお迎えできない中にあっても、この大会期間中、オンラインによる海外発信を強化してまいります。多種多彩な芸術文化を初めとした東京の魅力や、水素社会の実現に向けた都の取り組みなどを発信し、東京の国際的なプレゼンスの向上につなげてまいります。
 福島県Jヴィレッジからスタートしたオリンピックの聖火は、感染防止対策との両立が求められる厳しい環境の中、そのともしびを絶やすことなくつながれております。皆様のご協力に改めて感謝を申し上げます。
 大会の原点である復興オリンピック・パラリンピックとして、東日本大震災からの復興の姿を世界に発信する。世界で初めて、夏季パラリンピックを二度開催する都市として、パラスポーツの魅力を多くの人に伝えるとともに、多様性と人権が尊重される社会を築き上げる。そして、サステーナブルリカバリーを目指すオリンピック・パラリンピックの新たなモデルを示していく。これらはまさに、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すオリンピック憲章の理念の具現化そのものであります。
 オリンピック開会まで五十二日、パラリンピック開会まで八十四日。組織委員会、国、IOCやIPCを初め関係機関と連携しまして、開催に向けた総仕上げを着実に行って、安全・安心な大会運営に全力を尽くしてまいります。
 目前に立ち塞がる新型コロナウイルス、その闘いの中であぶり出される我が国の構造的課題、そして、地球規模で深刻化する気候危機。私たちは、こうした幾多の困難を乗り越え、希望に満ちた未来を紡いでいかなければなりません。その羅針盤となります未来の東京戦略を力強く前へと進め、東京二〇二〇大会に向けて磨き上げてきた数々のレガシーを発展させるなど、あらゆる政策分野でサステーナブルリカバリーを実現し、世界から選ばれる、強靭で持続可能な都市をつくり上げてまいります。
 未来の東京の創出をリードする主要プロジェクトとして、多彩な魅力と高いポテンシャルをあわせ持つベイエリアを舞台に立ち上げたのが、東京ベイeSGプロジェクトであります。
 東京を、さまざまな危機にも対応できるサステーナブルな都市へと進化させる。そのための手がかりは、遡ること数百年前の江戸のまちに見出すことができます。世界最大規模の人口を擁しながら、環境に配慮された循環型社会が成立されていたとされており、私たちが見習うべきまちづくりの視点が数多く残されております。
 こうした先人たちの知恵や伝統を受け継ぎ、現代日本が誇る技術力を徹底的に活用しながら、自然と便利が融合した未来の東京を築き上げる。この実現に向け、今年度より臨海副都心と中央防波堤エリアにおきまして、先行プロジェクトに着手するとともに、民間開発を促すためのまちづくり戦略を策定いたします。大胆な規制緩和や最先端技術の活用など、社会の構造改革をスピーディーに実装し、未来の水準点となる都市モデルをベイエリアから世界へと発信してまいります。
 人々の生活領域まで深刻な影響を及ぼしつつある気候危機を前に、我々に残された猶予はありません。二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現。そのためには、この十年間の行動が勝負を決するといわれており、世界は今、脱炭素に向けた熾烈な国際競争の様相を呈しております。
 こうした中、都は、二〇三〇年までの温室効果ガス排出量の半減など、世界をリードする目標の実現に向けて、先般、アップデートしたゼロエミッション東京戦略に掲げた政策を総動員してまいります。
 さらに、現在、環境基本計画の改定に着手しており、これらを推進力としてあらゆる主体を巻き込んだカーボンハーフスタイルを実践し、社会システム全般が脱炭素型へと移行した持続可能な都市基盤を築いてまいります。
 とりわけ、都内CO2排出量の七割以上を占める建物のゼロエミッション化は、喫緊に取り組むべき課題であります。一千四百万都民が居を構える住宅屋根等のポテンシャルを最大限に生かすべく、太陽光パネルや蓄電池の設置を強力に推進し、防災性にもすぐれた住宅の普及を通じて、都市のサステーナビリティーを一層高めてまいります。
 また、一事業者として多くのエネルギーを消費する都庁自身も、ゼロエミッション都庁行動計画のもと、省エネ、再エネのさらなる推進や庁有車のZEV化など、都民、事業者の範となる率先行動を起こしてまいります。
 東京の総力を挙げて気候危機に立ち向かう。そのためには、さまざまな主体による脱炭素に向けた取り組みを資金面で支える金融市場の活性化が不可欠であります。目覚ましい勢いで拡大するESG投資を国内外から東京に呼び込み、グリーンファイナンスで世界をリードするための方策を検討しておりまして、近日中に有識者からの提言が取りまとめられます。こうした取り組みを通じまして、世界に冠たる国際金融都市の地位を確立するべく、構想の改定に向けた検討を深めており、この夏までに素案を公表してまいります。
 都が、二〇三〇年カーボンハーフの実現を表明したのがことしの一月。そして、先般、日本政府は、二〇三〇年の温室効果ガス削減目標を四六%まで引き上げる方針を打ち出しました。こうしたグリーンシフトの動きは、国家や都市、企業を初め、社会経済活動を行うあらゆる主体に求められており、気候危機時代における世界のスタンダードとなる流れであります。今こそ、タイム・ツー・アクト、行動を加速するときであります。
 東京は、脱炭素を起点とした一連の施策を果敢に展開をし、環境先進都市、国際金融都市として世界をリードしてまいります。
 次に、安全・安心で魅力あふれる東京の実現に向けた取り組みについてであります。
 ことしの四月、熊本地震の発生から五年が経過をいたしました。震度七の地震が立て続けに二度発生するという、この観測史上類を見ない地震の教訓を盛り込んだ従前の計画をバージョンアップしたものが、先般公表いたしました東京防災プラン二〇二一であります。防災分野におけるDXの推進や、感染症と自然災害との複合災害への備えなど、新たな課題にも的確に対応できるよう、防災対策の強化を図りました。引き続き、自助、共助の担い手である都民、事業者と公助を担う都が一体となり、安全・安心な東京をともに築き上げてまいります。
 六月に入り出水期を迎える中で、日本各地で甚大な風水害が毎年のように発生していることを踏まえ、豪雨対策を強化してまいります。リアルタイムの情報発信によって都民の迅速な避難行動につなげるべく、これまで都内三十八カ所における河川監視カメラの画像の公開を進めてまいりました。本日より順次、新たに二十カ所でカメラを稼働させ、あわせてユーチューブを活用した動画配信を開始いたします。
 各地の避難所におきましては、マスクやアルコール消毒液といった感染症対策用の物資を充実させるべく、区市町村への支援を開始するなど、複合災害への備えも固めます。また、河川の氾濫防止に大きな効果を発揮する調節池の整備に向けまして、新たに柳瀬川、奈良橋川を事業化に向けた検討に加えますほか、環状七号線地下広域調節池について、将来の地下河川化を含めて、その延伸の検討を進めてまいります。
 防災機能の強化に欠かすことのできない無電柱化につきましては、本年二月に策定した加速化戦略において、都道等における年間整備規模の倍増など、七つの戦略を掲げました。これを踏まえ、先般、その基本的な方針や目標を定めた無電柱化計画の改定案を公表したところであります。今後五カ年で、第一次緊急輸送道路や島しょ地域の都道を初めとした約一千四百キロメートルの整備に向けて取り組みを進めてまいります。
 こうした安全・安心を高める取り組みに加えまして、地域の特色を生かしたまちづくりにより、都市の魅力を最大限に引き出してまいります。
 渋谷地区の児童会館跡地を中心とした再開発につきましては、その歴史を踏まえ、子供の創造性を育む施設の整備や、多世代が交流できる空間の創出などを通じまして、出会いと成長の拠点を形成してまいります。この夏には、事業者の募集を開始しまして、民間の創意工夫を活用しながら、具体化を進めてまいります。
 また、泉岳寺駅地区での市街地再開発事業におきましては、高輪ゲートウェイ駅とのアクセス性を向上させるとともに、緑と光あふれるガーデンエリアを整備するなど、新たなにぎわいを創出してまいります。
 さらに、九十年以上にわたり都民に親しまれ、昨年夏に閉園したとしまえんの跡地におきましては、今月、新たな都立公園となる練馬城址公園の整備事業に着手いたします。地域の歴史や緑豊かな自然を生かしながら、都民が安らぎ、防災拠点ともなる公園をつくり上げてまいります。
 テレワークを活用した職住近接のゆとりある生活など、そのポテンシャルが改めて注目される多摩地域の魅力をさらに高めてまいります。
 先日、素案を公表いたしました新しい多摩の振興プランでは、社会構造の変化をさらなる発展のチャンスと捉え、サテライトオフィスの充実や先端技術を生かしたイノベーション創出など、今後の目指すべき方向性や振興策を取りまとめたところであります。市町村や都民の皆様のご意見、都議会での議論を踏まえまして、九月の策定を目指してまいります。
 あわせて、多摩・島しょ地域の重要な産業であります林業、水産業の新たなプランを策定しまして、一層の振興を図ります。社会情勢の変化に対応しながら、担い手の確保、育成やデジタル技術を活用した経営力の強化などを進め、東京の林業、水産業の持続的な発展につなげてまいります。
 都市の活力の源泉は人であります。誰もが自分らしく、生き生きと活躍し、未来へと発展し続ける社会を築くため、人が輝く東京の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
 子供は可能性にあふれたかけがえのない存在、まさに社会の宝であります。その宝を社会全体で大切に育み、全ての子供たちが夢と希望を抱きながら伸び伸びと育ち、笑顔であふれる東京にしたい。こうした思いのもと、未来の東京戦略におきましては、子供の笑顔のための戦略を一番目の戦略に位置づけております。
 例えば、私が力を注いでまいりました待機児童対策につきましては、これまでの取り組みが着実に実を結びつつあります。知事に就任した平成二十八年に八千四百六十六人を数えました都内の待機児童数は、本年四月一日時点での速報値ベースで、一千人を切る見込みとなりました。今後とも、子育て世帯が直面するさまざまな困難に寄り添いながら、子供の健やかな成長に向けまして、あらゆる施策を講じてまいります。
 さきの第一回定例会におきまして、都議会の皆様からのご提案によるこども基本条例が成立をいたしました。子供を権利の主体として尊重する。いかなる状況においても子供の幸福を最優先にする。この条例に込められました思いをしっかりと受けとめ、チルドレンファーストの東京を築き上げる。その実現に向けまして、子供に関する政策を幅広い観点から検討するため、全庁横断的な体制を整備したところであります。都の子供政策をリードするべく立ち上げたこども未来会議での議論も深めながら、子供目線に立った施策を率先して推進してまいります。
 子供たちの個性や能力に向き合い、その成長を社会全体で支える東京型教育モデルの実現。その柱となる教育のデジタル化を強力に推進するべく、都立高校等における無線LANの整備計画を一年前倒ししまして、今年度中に全校への整備を完了させます。
 また、各校が特色ある教育活動を行うために選定する学習端末を生徒が所有する、いわゆるCYOD方式につきましては、令和四年度からの導入に向け、端末購入における保護者支援のあり方等について検討を進めております。こうした取り組みにより、子供たち一人一人の力を最大限に伸ばす学びを着実に進めてまいります。
 東京から世界へ羽ばたくグローバル人材を育成するべく、多摩地域に展開する体験型英語学習施設につきましては、多くの児童生徒が利用しやすいアクセス性等の観点から、立川駅至近の複合商業施設内に開設することといたしました。来年度中の開業に向けまして、着実に準備をしてまいります。
 三月末に発表されましたジェンダーギャップ指数の国際比較におきまして、日本の順位は昨年とほぼ変わらずで、百五十六カ国中百二十位でありました。私が危機感を覚えるのは、こうした現状になれ切ってしまった我が国が、世界から見たその異常さに気づかないまま、いつまでも遅れを挽回できないことであります。いつの時代も未来を切り開くのは人であり、意思決定の場など、あらゆる場面で女性を初めとした多様な視点が反映されてこそ、誰にとっても住みやすいまちが実現をいたします。
 こうした認識のもと、男女平等参画推進総合計画の改定に着手をいたしました。コロナ禍を背景に、在宅時間が増えたことに伴う家事、育児負担の増加、不安定な就業環境など、女性を取り巻く新たな課題にも対応するべく、行動変容を促すための意識改革と社会の仕組みづくり。この二つの柱を両輪に多角的な視点で検討を深めてまいります。
 地域で支え合いながら、高齢者が生き生きと心豊かに、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる東京の実現。こうした理念を掲げ、三月末に新たな高齢者保健福祉計画を策定いたしました。団塊の世代が後期高齢者となる令和七年、さらには団塊ジュニア世代が高齢者となる令和二十二年といった中長期を見据えつつ、目の前にある新型コロナウイルスを踏まえた対応も盛り込んでおります。
 その重点分野の一つである介護予防、フレイル予防では、高齢者によるオンラインツールを活用した非対面での交流や、感染症対策を講じた対面での活動を支援する事業を開始したところであります。不安やストレスを抱えやすい現下の状況だからこそ、人と人とのつながりを保ち、心身ともに健康でいられるよう、高齢者の方々の活動をサポートしてまいります。
 雇用情勢の回復の兆しが見えない状況にある中、就職氷河期世代や、解雇、雇いどめなど、困難に直面している方々に寄り添った就業支援を展開いたします。コロナ禍にありましても、採用意欲の高い企業の求人を掘り起こし、トライアル就労を通じて正社員となる機会を提供するなど、二万人を超える雇用創出を目指す東京版ニューディールの取り組みを開始いたしました。安定した雇用の場の確保に向け、取り組みを着実に実行してまいります。
 また、三月に都として初めて認証したソーシャルファームにつきましては、さらなる拡大を図るべく、新たな事業者の募集を開始いたしました。ひとり親や障害のある方など、一人一人が個性や能力に応じて活躍するソーシャルファームは、まさにダイバーシティーの象徴であります。こうした社会的意義や、そこで働く方々の生き生きとした姿を広く発信し、都民や事業者の理解を促していくことで、社会でともに支え合うソーシャルインクルージョンの輪をさらに広げてまいります。
 人が輝き、誰もが活躍できる東京。安全・安心で世界から選ばれる持続可能な都市東京。こうした目指すべき未来の東京の実現に向けて、政策を大胆に展開していくためには、都庁みずからが都民の期待に応える組織へと変貌を遂げなければなりません。その鍵となるDXをてこに、構造改革を徹底的に推進をして新しい都政を切り開く。その道筋を示すのがシン・トセイ戦略であり、デジタル人材を結集し、改革の先導役となる組織が、この四月に新設したデジタルサービス局であります。各局や区市町村が推進するDXを技術面からサポートするほか、職員全体のデジタルスキルを向上させるなど、行政のデジタル化を強力に推進をし、都政のクオリティー・オブ・サービスを飛躍的に高めてまいります。
 短期集中で数々の改革ミッションをなし遂げる。既に取り組みは動き出しております。例えば、都庁の職場で初めて導入したフリーアドレス制は、固定デスクと紙を前提とする働き方から解放し、プロジェクトに合わせた柔軟なチーム編成を可能にいたします。行政手続のデジタル化に向けましては、東京デジタルファースト条例に基づく推進計画の素案を取りまとめたところであり、利用件数の多い手続から重点的に取りかかるなど、ユーザー視点に立った取り組みを加速させます。
 また、八丈島における学習支援アプリを活用したエドテックサービスの導入など、教育や医療を初め、島しょ地域のさまざまな社会課題をデジタルで解決する新たな取り組みも始まっております。職員一人一人が改革マインドを共有し、都政の新しいスタンダードを定着させる。シン・トセイ戦略の実践とともに、未来の東京戦略を果敢に展開することで、東京大改革二・〇を実現し、誰もが幸せを実感できる都市東京をつくり上げてまいります。
 幕末から昭和初期の激動期を駆け抜けた渋沢栄一は、明治の末、近代化がもたらした新たな生活に国民が安住し、世界へさらに飛躍しようとする気概を失いつつあった風潮を憂い、次のような言葉を残しております。
 社会全般が元気をなくしており、発展が停滞している。今までの仕事を守って間違いなくするよりも、さらに大きなことを計画し発展させ、世界と競争しなければならない。
 私たちは今、百年に一度の災禍により、大きな社会変革が生じている激動と混沌のただ中にあります。こうしたときだからこそ、偉大な先人である渋沢の言葉を肝に銘じ、これまでの延長線上ではなく、大胆な発想と高い理想を掲げ、成長と成熟が両立した社会をつくり上げなければなりません。コロナ禍からの復興に当たり、より強靭で持続可能な都市へと進化するサステーナブルリカバリーの実現は、今を生きる我々の使命であります。
 そのためにも、東京の総力を結集し、この難局を何としても乗り越える。そして、その先の希望ある未来を切り開いてまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 さて、本定例会は、都議会の皆様にとって現任期最後の定例会となります。改めて振り返りますと、平成から令和への改元という時代の転換点を迎える中で、都内各地に甚大な被害をもたらした台風や、今なお続く新型コロナウイルス感染症への対応のほか、急速に進む少子高齢化や気候危機など、さまざまな諸課題にともに向き合ってきた四年間でありました。
 都議会での真摯な議論を通じ、都政は、直面する課題への具体的な解決策や、先を見据えた先駆的な施策を生み出し、持続可能な未来の東京に向けた歩みを着実に進めてまいりました。東京の発展に力を尽くされたことに、心より感謝を申し上げます。
 現任期を最後にご勇退される方々には、これまでのご労苦に対しまして、都民を代表して改めて深く敬意を表します。また、改選を迎えられる皆様には、心よりご健闘をお祈りいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案三件、条例案二十八件など、合わせまして五十四件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いをいたします。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(石川良一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(村松一希君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

3財主議第117号
令和3年5月24日
東京都議会議長
 石川良一殿
      東京都知事
小池 百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和3年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

石毛しげる議員
上田令子議員
斉藤れいな議員
斉藤まりこ議員
藤田りょうこ議員
河野ゆりえ議員
星見てい子議員
とや英津子議員
里吉ゆみ議員
尾崎あや子議員
あぜ上三和子議員
和泉なおみ議員

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる
質問事項
一 東京都の葬儀所等行政について

一 東京都の葬儀所等行政について
都内区部の火葬は、民間に頼る歴史的背景がある。また、新型コロナウイルス感染症への対応の課題がある。
かかる状況に、公衆衛生を維持しながら都民生活に欠かせない故人追悼や先祖を敬う精神を具現する場である、都立葬儀所の在り方や民間火葬場との連携に関し次に申し述べる。
1 都立瑞江葬儀所の運営に関する件
瑞江葬儀所の火葬受け入れは現状1日あたり25体が上限となっているが、現在、新型コロナウイルス感染ご遺体の受け入れ、なども行っており、通常にも増して利用が多いと聞いている。
長期間の火葬待機が出来ない地域住民は、やむなく民間火葬場へ高額の火葬料金を支払い利用せざるを得ないという問題がある。
都内遠方より生活保護対象ご遺体火葬予約が相当先までされていることが一因と思われる。
ア 瑞江葬儀所を円滑に運営するため、都はどのように取り組んでいるのか、伺う。
イ 民間火葬場との協調政策によりバランスをとるべき民間の生活保護受給者の受け入れ拡大を促し同所の混雑緩和を図るなどを要望するが、生活保護受給者が亡くなられた場合の葬祭を行う者について、見解を伺う。
ウ 民間火葬場における新型コロナウイルス感染症のご遺体の受け入れ枠を拡大するよう促すべきと考えるが、見解を伺う。
瑞江葬儀所は、現在、友引の日を休業日としている。多死社会を迎える今、慣習にとらわれず、休業日のあり方について、検討することを要望する。
2 青山葬儀所建替えに関する件
都民生活に寄与し、東京らしい葬儀文化をそこに表現できるような、素晴らしい葬儀所となるよう切に願うものである。
風習や習慣の中で営まれてきた葬儀は単純な営利目的の事業とは異なり、公衆衛生や葬儀文化の継承、宗教性、地域慣習伝承、葬家における家業継承など、都民の生活に寄り添い維持することが重要であり、その精神が強く求められる。
先行している民間の知見や技術を反映した計画となるよう、是非とも葬儀業界等や専門的知見を有する経験者等との対話を求めるものである。
そこで、青山葬儀所の建替えをどのように進めていくのか伺う。

令和3年第一回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都の葬儀所等行政について
1 都立瑞江葬儀所の運営に関する件について
ア 瑞江葬儀所を円滑に運営するため、都はどのように取り組んでいるのか伺う。

回答
瑞江葬儀所では、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の受入体制を整えていますが、該当の方の予約が見込みより少なかった場合には、それ以外の方の火葬を受け入れるなど、柔軟に対応しています。
また、会葬者のいる火葬については、告別式に続けて火葬を行える時間帯に優先的に受け入れるなど、利用者のニーズを考慮した運営を行っています。

質問事項
一の1のイ 民間火葬場との協調政策によりバランスをとるべき民間の生活保護受給者の受け入れ拡大を促し同所の混雑緩和を図るなどを要望するが、生活保護受給者が亡くなられた場合の葬祭を行う者について見解を伺う。

回答
生活保護受給者が亡くなった際、遺族等葬祭を行う方がいる場合は、その方が火葬場の選択を含めて葬祭を行います。
身寄りがないなど葬祭を行う方がいない場合は、関係法令に基づき、死亡地の区市町村が行います。

質問事項
一の1のウ 民間火葬場における新型コロナウイルス感染症のご遺体の受け入れ枠を拡大するよう促すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都は、令和2年4月、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、都内火葬場等との連絡会を開催し、各火葬場における新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の遺体の保管方法や感染防止策等を説明するとともに、火葬場の現状について意見交換しました。
また、令和3年1月には、新型コロナウイルス感染症による死亡者数の増加に対応するため、都内火葬場に対し、受入れを増やすよう依頼しました。

質問事項
一の2 青山葬儀所建替えについて、先行している民間の知見や技術を反映した計画となるよう、是非とも葬儀業界等や専門的知見を有する経験者等との対話を求めるものである。そこで、青山葬儀所の建替えをどのように進めていくのか伺う。

回答
青山葬儀所は格式のある施設として多くの方に利用されてきており、新たな葬儀所においても、この歴史を継承していくことが重要です。
また、既存の施設において指摘されていた使い勝手やバリアフリーの観点からの改善に加え、葬儀の在り方に関する考え方の変化などについても対応していくことが必要です。
このため、利用者や葬祭業に関わる団体等の意見や要望等をヒアリングにより把握しながら、青山葬儀所の建替計画を検討していきます。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子
質問事項
一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
二 新型コロナウイルス感染症対策について
三 子ども・教育政策について
四 行政のデジタル化について
五 国勢調査の実施状況等について

一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
小池知事は、全国知事会は欠席されていながら、都民には緊急事態宣言期間延長に陳謝もせず、外出自粛要請を求め「認識がない」「原点にかえるべし」と強く求めていました。しかしながら、緊急事態宣言下、元都民ファーストの会千代田区選出樋口たかあき氏の千代田区長選直前1月30日には公務を絡めて、千代田区保健所を訪れた上に、選挙期間中は、人手の多い秋葉原等嬉々として密な中にはせ参じていました。一方ご自身の二期目の東京都知事選の時は、当時問題視されていたカイロ大卒業証書提示の真贋について街頭で有権者に質されることをおそれたのか、「コロナ禍だから」と一切街頭に出ず、昨年行われた北区補選の都民ファースト候補の応援にもおもむくことはありませんでした。この一貫性のなさについて、都議会補正予算質疑で上田は質しましたが「適時適正に判断した」と言い切られました。また、知事答弁を求めてもほとんどを局長に答弁させるという不誠実な対応に終始し、都民の代表である都議や、長期間にわたり不要不急の外出を知事の要請通りに従っていた都民を愚弄するものであります。ついては、以下の質問につき全て知事にお尋ねいたします。
1 都議会議員が知事答弁を求めていながら議員や会派によって回答を回避する基準、理由をお示し下さい。
2 都民に「不要不急の外出自粛」を求めていましたが、小池知事においての千代田区長選挙応援は、「不要不急」ではなく「必要緊急」であったという解釈でよろしいでしょうか。
なぜ、自身の二度目の東京都知事選挙には街頭へ出なかったのか、なぜ北区補選の都民ファースト候補の応援へはいかなかったのか、であるのになぜ緊急事態宣言下に千代田区長選応援に行ったのか3点にお答えいただきましたうえで、東京都の新型コロナウイルス感染症の全ての対策との整合性に照らし合わせた整合性に基づき、千代田区長選応援に出向いた正当性、緊急性、不要不急ではないのかどうかについてご説明下さい。
3 緊急事態措置について、補正予算対応が余儀なくされる中、他県では臨時会を開き、議会に諮り、感染拡大防止時短協力金は大手チェーン店も対象としていました。小池知事は、説明もなく大手飲食チェーン企業を除外したまま専決処分を乱発したことは、議会軽視であり民意をないがしろにすることを指摘させて頂いております。今年度、専決による補正予算が相次ぎました。緊急性があり、やむをえないのは他府県も同じです。つきましては他自治体との知事対応の差を踏まえた上で、以下を伺います。
ア 第二回定例会閉会直後に補正予算を専決されましたが、期間中に議会に諮らなかった理由をお示しください。
イ 臨時会を招集せず、専決処分を乱発されたのか知事の見解を伺います。
4 1月2日の緊急事態宣言の政府への要請につき、上田独自調査及び情報公開請求により、関係書類は不存在であり、小池知事が福祉保健局・保健所・区市町村に事前調整していなかったことが明らかになっています。これら関係各機関との事前の庁内調整・情報提供や連携を知事はされていたのか、いなかったのかご説明下さい。
5 緊急事態宣言の再延長について、黒岩神奈川県知事も小池知事と事前調整がなされてなかったことを明らかにされています。全て報道ベースの内容となっておりますことから、本年に入って当初の緊急事態宣言、再延長について、神奈川、千葉、埼玉県知事との事前調整・情報共有・連携の詳細について改めてご説明下さい。
6 聖火リレー中止を表明された丸山達也島根県知事により、小池知事が全国知事会「新型コロナウイルス緊急対策会議」を5回も欠席していたことが世に知れ渡りました。この件についての、経過と欠席理由、欠席されていた日には何をされていたのか、ご説明ください。
7 これまで、大手飲食チェーン店を支援対象外としていたものの1月13日に上田も、事業者らと知事要望を届け、大きく報道機関に取り上げられたところ、急きょ支援対象となりました。一方、時短要請に従わないとして株式会社グローバルダイニングへは去る3月18日都は営業時間短縮命令を下し、3月22日同社は東京都を提訴いたしました。大手飲食店企業支援と指導・命令に係る知事の判断基準とその適正な時期についての考え方をお示し下さい。
8 命令措置について、都内で2,000店舗以上が営業時間短縮の要請に協力しなかったにもかかわらず、命令を出した店舗のほとんどが同社の店舗でした。行政指導に応じない考えなどをネット上で発信したことを理由に、東京都が命令を出した点につき疑義の声が上がっております。同社は、「発令された事業所が27カ所で、そのうち26カ所が当社ということで、憲法で保障されている表現の自由と法の下の平等に違反しているのではないかと(の思いが)、確信に変わりました。これは民主主義国家として看過できません」旨、表明しております。ダイバーシティをうたい多様性を尊重し、東京の経済発展こそが日本をけん引すると国際金融都市推進等独自の経済支援策を講じてきた首都東京の知事として、なぜグローバルダイニング社を狙い撃ちするような命令を最終決裁者として了承したか所見を伺います。

二 新型コロナウイルス感染症対策について
1 株式会社グローバルダイニングへの命令措置について
ア まず、営業時間短縮命令を下す根拠条例・法律などお示し下さい。
イ なぜ、緊急事態宣言解除の方向性が見えてきたタイミングで突如命令を下したのか、その理由と起案から決裁までの詳細を時系列でご説明下さい。
ウ 対象となったほとんどの店舗は同社のものでした。なぜ、同社を狙い撃ちするような命令を同社に下したのか、決裁過程を含めてご説明下さい。
エ 「加えて、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発するおそれがある」とした根拠についてお示し下さい。
オ そもそも、当該命令は公権力の行使にあたるのか、処分性と権原について、ご説明ください。
カ 今後、類似の争訟が提起されることを想定しているのか、その対応についてご説明ください。
キ また、訴訟に至る前に事業者と協議するのか、取り組み状況をご説明ください。
2 営業時間短縮協力金について
ア 二度目の緊急事態宣言、延長、再延長における時短協力金の申請数と対応、支払い状況についてお示し下さい。
イ 支払いの遅滞状況、書類の不備などの対応状況についての現状と課題をご説明下さい。
ウ 第一回目からこれまでの不正受給の実態と対応、それらを踏まえた予防策についてご説明下さい。
3 コロナ対策リーダー事業について
ア コロナ禍にあって売り上げ激減、人手も絞っており、多くの個人飲食店はパソコン作業も、ままならず、そもそも時短協力金支払いも遅滞しているところ、効果性も薄い正気の沙汰とは思えぬ天下の愚策と言わざるを得ません。起案から決定、決裁まで詳細を伺います。
イ 当該事業の感染拡大防止への科学的効果・エビデンスをお示し下さい。
ウ 店舗の負担につき配慮したのか、検討にいれなかったのならその理由を伺います。
エ リーダーの法的地位について、ご説明ください。
4 都立広尾病院の妊婦の転院にかかる対応について
令和3年1月13日午後3時22分に「広尾病院が新型コロナウイルス専門の病院にすることで、臨月ですが転院することになりました。転院先が決まりましたが、広尾病院で予定していた分娩費用よりも、プラス25万上乗せが決定。東京都と広尾病院に問い合わせたが協力金は出せないとのこと」という広尾病院に入院している妊婦がTwitter投稿をし、全国的に広がり大きく報じられるに至り、世論の批判が一気に高まりました。それを受けてなのでしょうか、小池知事は翌14日に突如として都立広尾病院など3病院で新型コロナウイルス感染者の受け入れを拡大するため、広尾病院から転院が必要となる妊婦への財政支援などを急きょ打ち出しました。妊婦支援は評価するものでありますが、他の疾病で入院している患者らも都立病院のコロナ対策により転院を余儀なくされている中、マスコミで話題になったからと妊婦のみの支援を突然表明したことに強い違和感を持ちました。当初、担当部署に確認をしても即答もできず、現場を省みず、負担を押し付ける小池知事自身の「やってる感」を出すためだけの独断専行ではなかったかと危惧するものです。つきましては、以下をお尋ねいたします。
ア 何が契機となり誰が発案したのか知事、副知事の関与も含めた決裁の過程について具体的に時系列でご説明ください。
イ 妊婦以外で転院を余儀なくされた患者への対応はどのように当時なっていたのか、現状はどうなっているのか、診療科別にご説明下さい。
ウ 広尾病院の現場からは、どのような反応があったのか、それに対して病院経営本部はどのように対応しているのか具体的に時系列でご説明下さい。
5 保健所との連携状況について
2月15日、新型コロナウイルスの感染者数について、年末年始を中心に計838人分の集計漏れがあったことが明らかになっています。報告漏れの経緯として、複数の保健所から未報告の症例がある連絡があり、内容を確認したところ報道発表していない症例であることが判明したとのことです。12月以降患者の急増で業務が増大しHER-SYSへの保健所確認済ボタンが押されていなかったということが背景だったようです。一方、未報告となっていた症例について、患者への対応は適切に行われていたことは確認しているとのことです。結果、患者数の修正は838名分の追加となり、患者確定した日に報告があった者として追加されました。都は「業務の増大によりミスが発生した」としているとのことです。今後の対応として、定期的に行われている保健所とのWeb会議において「保健所確認済」ボタンを押すように周知を徹底し、また、未確認のリストを定期的に保健所へ提供し、未確認の解消を促すとのことであります。つきましては以下伺います。
ア 昨年7月、病院経営本部長、福祉保健局長と歴任され新型インフルエンザ対応など感染症対策に精通された内藤淳氏が突如転属となりました。7月をめどとして内藤福祉保健局長以前と以降における福祉保健局長による各保健所長への感染者数把握業務におけるミス防止等注意喚起の状況について詳細をお示し下さい。
イ これまでも私はこれまで文書質問にて、ファックス対応、政府・東京都の導入システムの齟齬などについて各保健所の支援体制ともども確認をしてきたところです。ところが残念ながら未だに「業務の増大によりミスが発生」する状況のようですが、現状と課題を伺います。
ウ 東京iCDC、モニタリング会議などの会議体がどのように保健所に貢献・寄与しているのか具体的にご説明下さい。
6 都内病院体制について
ア 都立・公社病院では、新型コロナウイルス感染症への対応として、各病院において、その専門性を活かしながら、都民の皆様に必要とされる医療を提供しています。急増する感染者への医療を最優先に提供するため、新型コロナウイルス感染症病床を、14病院合計で1,700床まで拡大している一方、一般疾病入院を制限せざるをえず、病床稼働率が落ち込み、指定感染症機関ではない病院も含め、救急救命や周産期などの行政の担う地域医療にも支障が出ていないか危惧するものです。一般外来・入院機能が損なわれたことの影響の状況と課題と対応策をご説明下さい。
イ 「新型コロナウイルスの感染拡大で病床が逼迫する中、東京都内の14の特定機能病院でコロナ重症者の受け入れ数に偏りがあることが、読売新聞が入手した都の資料でわかった。都は重症者用として6床以上の確保を求めてきたが、1日平均6人以上を受け入れているのは2病院にとどまり、8病院は3人より少なかった。識者は「一部の医療機関に負担が集中しないよう、都などが偏りを是正すべきだ」と指摘する。」(1月20日付読売新聞)と報道されています。医療が逼迫しているということで、都民は外出自粛、事業者には時短営業の協力をして頂いていながら、病院の受け入れ態勢に偏りがあるということに課題を感じております。「医療現場の逼迫」が具体的に説明されないままでは今後の協力を求めることは酷なことです。特定機能病院はもちろんのこと重症者受け入れについて偏りの是正は進んでいるのか、現状と対応状況をご説明下さい。
ウ 医療現場の実態を都民に理解を求めるためにも「国の指標及び目安における重症者数」を東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト「モニタリング項目」に併記すべきと考えます。なぜ週一回、都民がにわかに探すことのできない、階層の深いモニタリング会議資料で公表しているのか全く理解できません。併記を求めますが、ご所見を伺います。
エ 同じ観点から、ホテル療養施設が事務やゾーニングのため使用している部屋を除き、実際に利用できる部屋数も「検査陽性者の状況」に掲載すべきと考えますが、ご所見を伺います。

三 子ども・教育政策について
1 キッズラインへの対応について
ア 本年1月19日、ベビーシッターマッチングサイトのキッズラインに登録するおよそ4,500人のシッターのうち、一部で、児童福祉法でベビーシッターに法律で義務づけられた都道府県などへの届け出を行っていなかったことが判明しました。かねてより警鐘を促してきた私としては驚愕を超えた憤りを感じました。
キッズラインについて昨年6月12日に、目黒区のマンションで5歳の女の子への強制わいせつ行為で、東京都がベビーシッター利用支援事業を認定している株式会社キッズラインが提供する、マッチングアプリを通じて派遣されていた30歳の男性ベビーシッターAが警視庁に逮捕されました。同社のアプリ事業では許しがたいことに別の29歳の男性シッターBも、2019年11月、東京都中央区のマンションで5歳の男の子の体を触るなど、わいせつな行為をしたとして、2020年4月に逮捕されたほか、2019年11月、足立区に住む別の保育園児の男の子にもわいせつな行為をしたとして、再逮捕されていました。
警視庁によると、2020年4月下旬から先月にかけて、ベビーシッターとして派遣されていた目黒区のマンションなどで5歳の女の子の体を触るなど、わいせつな行為をしたとして、強制わいせつの疑いが持たれて、当時、女の子の母親は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をしていたため、ベビーシッターを紹介するマッチングアプリを通じて、8回にわたってA容疑者の派遣を依頼。母親の目が届かないマンション内や近くの公園のトイレで繰り返し女の子の体を触ったとみられ、調べに対し、容疑を認めたうえで、「気持ちをおさえきれなかった」と供述していました。この容疑者は保育士の資格を持っていて、2019年7月ごろキッズラインのマッチングアプリに登録、犯罪が発覚するまで、これまでにおよそ80人の子どもの保育にあたっていたとのことです。
かねてより、私は同社代表取締役経沢香保子氏について、東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT)に参加している点についても懸念を持ち公明・公平性につき質してきました。
現在、東京都ベビーシッター利用支援事業は19区市町村が本事業を実施、小池知事鳴り物事業であったにもかかわらず令和元年度利用者は290名にとどまり、同社も含め15社が認定されております。2019年の強制わいせつ事件が発生した際に「認定取り消しはしないのか」を確認したところ「都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者として、株式会社キッズラインを認定。なお、都が認定した事業は、株式会社キッズラインの事業の内、「請負型事業者」に係る事業であり、「マッチングサイト」に係る事業ではない」と、問題はないということでしたが、児童のされたゾッとするような行為とその計り知れない精神的苦痛、肉体的被害を鑑みれば「子どもの権利条約」、児童福祉法、児童虐待防止法、「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」等の理念や個別規定に反する極めて重大な子どもへの性的虐待(暴力)事件です。
同じくキッズラインのシッターサービスでも「マッチングサイト」と都の利用支援事業は別の事業としていても、結局逮捕者Bは、東京都の支援事業でもシッター業務を請け負っていたのです。
例えば、リニア中央新幹線工事をめぐる談合事件で大手建設会社幹部が逮捕された際、都発注の公共事業ではなかったものの、都の事業指名停止となる厳しい基準が設けられ、厳格に適用されていました。公共事業以上に大切な子どもの命、心身の健康・成長発達、人権を守り、子どもの最善の利益を最優先に確保するために早急に、ベビーシッター利用支援事業においても、入札参加者指名停止基準に準じた同様の厳粛な対応が求められるものではなかったでしょうか。
イ 逮捕者が二人もおり、逮捕者Aはキッズラインとは別の場所で犯行を繰り返し、被害児童は合計七人に上る点からしても、2019年11月時点で東京都が看過したことは大問題です。
少なくとも2019年の事件発生時に、認定取消や当面の事業委託を注視するなど厳しい処分を東京都が下していれば、キッズライン自体の管理体制も早急に見直され二人目の被害者を防ぎ子ども達を守れたはずです。
そこで私は、ベビーシッター利用支援事業の認定取り消しも含めて、東京都は事件後適切な措置を講じたか、進捗について確認していましたが、さすがに全国的にセンセーショナルに報道され、世論に押された東京都は、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款に基づく立入調査を実施し、その結果、認定事業者は、本事業に従事するベビーシッターに、保育の質の向上、事故防止等の研修及び指導を受ける機会を提供し、常にサービスの質の向上に努めなければならないとするサービス提供約款第8の第2項等に適合しない事実を確認したため、速やかな改善を指示。あわせて、改善までの間は、本事業における新規の利用契約を停止し、保育の質向上等に優先して取り組むよう指導したということです。まるで、ほとぼりが冷めた頃を見計らってか2020年12月22日に、あっさり都は新規受け入れ開始の許可を与えてしまったのでありました。
キッズラインは、この新規受け入れが始まるのを待っていたかとも思われかねない6日後に冒頭の「不手際」を公表したのでありました。
東京都は毎度、「マッチングサイト事業には関与しない」といっていますが、そもそも子どもという命を扱うベビーシッターという仕事にネット上のマッチングサービスはなじまない、破綻しているスキームと私は考えております。事実、都の他の認定事業者はどこも「マッチングサービス」を行っていないことがその証左です。
しかも、キッズラインはマッチング契約の場合は手数料30%を毎回取りながらも、「一切の法的責任をとらない」としています。利用者に責任の全てを押し付けるシッター事業者を東京都は認定を出していることにより「マッチングサービス」も東京都のお墨付きだと多くの利用者は誤解することとなっており、実際に事件が二度も発生したのです。
同じマッチングサイトを担う他社では「法的責任はスマートシッター側にある」としています。マッチングサービスだから責任取らないというのは詭弁に過ぎずこのような保育理念の事業者に引き続いて東京都がベビーシッター利用支援事業の認定を与えることに大きな危機感しかありません。
東京都自身が行っているように別の事業であるはずの「マッチングサイト事業」に結果お墨付きを与えてしまっていることの自覚が著しく欠如していることから、この点を質すと「都は、ベビーシッター利用支援事業の事業者として、令和2年10月末時点で17事業者を認定しています。そのうちマッチングサイトを運営しているのはキッズラインのみ」と回答しています。逮捕者Bについても「強制わいせつ容疑で逮捕されたベビーシッター2名のうち1名が、ベビーシッター利用支援事業に従事していたことを確認している」としていながら、キッズラインの認定取消にも及ばず、新規受け入れ停止も昨年12月に解除し、無罪放免にしてしまいました。
強制わいせつ事件を受けて、参加事業者認定基準を見直すべきと考え、現時点の福祉保健局の所見を確認したところ、都は、認定事業者への指導監督を強化するため、令和2年9月11日付けで、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款を改正し、立入調査から認定取消しまでの指導等の手順を明記しました。具体的には、指導を行っても改善されない場合の改善勧告、改善勧告に従わなかった場合のその旨の公表や、認定取消し要件の追加等の改正を行っているということ。「認定取消」を上田がうるさく言い続け、昨年6月には自由を守る会より緊急請願も小池都知事宛に提出したことも功を奏し、小さな一歩は踏み出したようですが、「認定取消」を行使しなければ同じ過ちは繰り返されます。
当該児童に甚大な被害が及び社会的悪影響を及ぼした点につき、今般の4年半もシッター届け出の未確認を受けても、東京都の最高意思決定者、任命責任を負う者として同社の認定取り消しを含めた厳峻な処断を今こそ、小池百合子東京都知事及び東京都は下さなければならないと、強く求めるものです。
ついては認定取り消しを検討するかどうか、取り消しをしないとして、どう再発防止ができるのか伺います。
ウ 認定し続けるにあたり、キッズラインへの指導強化をどのように実施していくのか伺います。
2 ベビーライフについて
2019年第一回定例会の私の一般質問にて、同社について危機感をいだいていたことから以下のように質しました。
「民間団体支援ですが、悪徳里親ビジネスが入り込む余地のない各団体の人権感覚も不可欠かつ、毎々おなじみの法人選定という偏りがあってもならず、広く呼びかけるべきです。どのように的確性、公平性を確保し、選定し、支援していくのか、所見を伺います。」
福祉保健局長答弁は「子育て支援等にかかわる民間団体への支援についてでございますが、都は、子育て支援等に関する施策を推進するため、養育家庭等への支援を行う団体への業務委託や養子縁組のあっせんを行う団体への補助等を行っております。
業務の委託に当たりましては、活動の理念や実績等を精査した上で、団体を選定しており、補助金については、事業目的に合わせて補助の条件を定め、その条件を満たした団体等に対してのみ交付してございます。
なお、委託契約につきましては、法令や規則等に基づき、透明性、公正性、競争性を確保した上で、適正に行っております。」というものでした。
ア 前述のキッズラインの事案でも、当初「問題ない」との答弁をいただきましたが最悪の事件が発生しました。まず、都の「精査」とは何か、所見を伺います。
イ 事件発覚が報道ベースでなされましたが、なぜ公表に至らなかったかも含め、これまでの経緯を時系列で詳しくお示し下さい。また、これ以外の指導の状況等もあわせて伺います。
ウ 都の法的責任、監督権限についてのご所見を伺います。
エ 代表理事と連絡が取れなくなったことに関しての問題意識と、そのような状況で今後どのような支援策をこうじるのかご説明ください。
オ 「養子あっせん300人の半数超、養親が外国籍「原則国内」反故で多数の子供が海外へ」と追加報道されております。東京都は実態を詳しく調べ、子ども達のその後の養育状況などについて、政府他関係機関と連携をして追跡調査をすべきと考えますが、現時点、把握している実態、及び対応状況と対策を伺います。
カ 相次ぐベンチャー系事業者による事故や不祥事を受けて、今後、都は事業者への補助、認定、許可の在り方を見直すべきと考えます。具体策をお示し下さい。
3 小規模保育所について
令和2年度から土曜日開所しない場合、補助金が減算になると、内閣府から区市町村に通知が令和2年2月になされ各保育所に周知されています。園によっては4月から遡りで補助金を返還することになりかねず、突然の通知と補助削減に各保育園は困惑しお困りの声が私に届いております。各保育所は土曜日利用者がいることを前提に月曜日から土曜日まで保育が出来るよう職員体制を整えております。この減算は、利用しようとする児童がいない場合、当日キャンセルは認めるものの、事前にキャンセルがあった場合でも、実際に利用希望児童がいなければ、保育所を開けていても閉所として扱われ補助金を減算され毎月の補助金が減ってしまうことになります。利用者がいなくても保育士の雇用は当然継続しなければならず、人件費は発生するわけですから保育所の経営に大きな悪影響を及ぼすことは自明です。保育士確保は子どもの心身の安全に直結するものであり、事故防止、虐待防止、子ども虐待防止条例を制定し、今般子ども基本条例も制定しようとする都として保育の質の担保は何よりも優先されるべきです。つきましては、保育所の経営基盤の安定と人材確保のために弾力的な運用を求める観点から以下を伺います。
ア 通知の内容と、目的、決定に至るまでの経緯をご説明下さい。
イ この通知がどのように東京都、区市町村、保育所に周知されたのか具体的に時系列でご説明下さい。
ウ 保育所からどのような反応があったのか、件数と内容をご説明下さい。
エ 都としての対応方針についてお答えください。
オ 今後、保育所事業者及び現場保育士、保護者、利用児童等の声や意見を都としてどのように把握し集約し最適な土曜日保育の運営を促していくのか所見とそれに基づく具体的な対応策を伺います。
4 養育費確保支援事業について
ア 養育費の取り決めの対象となる子ども(18歳に達した日以降最初の3月31日までに該当する子ども)を扶養していること。養育費の取り決めに係る債務名義を有していることとなっておりますが、2018年6月13日に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立したことに伴い、都でも関係する広報において対象年齢の記載を18歳としたのかお示し下さい。
イ 子の養育費については「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることが多々あります。このような取り決めが民法改正施行以前にされた場合については成年年齢が20歳であったことから成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。このことは2018年10月4日法務省見解でも示されています。
しかしながら、養育費は、そもそも子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので、子が成年に達したとしても、経済的に未成熟である場合には、養育費を支払う義務を負うことになります。このため、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
例えば、子が大学に進学している場合には、大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
これら法務省見解について前提にされた上で18歳に達した日以降最初の3月31日までに該当する子どもと対象者を規定することは適切だと判断されているのか、所見を伺います。
5 公立学校におけるいわゆる「地毛証明」について
頭髪の色について、黒色ではない、あるいはパーマがかかっているように見える児童・生徒やその保護者に対し、いわゆる「地毛証明」を求める学校があります。
ア 都立学校における「地毛証明」の実施状況をご説明ください。
イ 「地毛証明」を提出しない場合、学校教育法第11条による懲戒の対象になり得るか、当該児童・生徒に不利益となることがあるのか、現状を踏まえて、ご所見をお示しください。
ウ そもそも「地毛証明」は、憲法、子どもの権利条約に反し、基本的人権を侵害するものではないか、法的見解をお示しください。
6 千葉福祉園の障害児施設の廃止方針に伴う対応について
ア 入所児童・保護者・地域住民・所在自治体等への説明の状況をご報告ください。
イ 都の児童相談所において措置した障害児入所施設の種別ごとの児童数についてご説明ください。
ウ 東京都における中軽度知的障害を持つ障害児の総数と、福祉型障害児入所施設(主として知的障害児対象)に入所する過年齢児の人数をお示しください。
エ 千葉福祉園の障害児施設廃止後の運用についてご説明ください。
オ 児童の地域移行支援、退所後のフォローアップの状況と課題につき、ご説明ください。

四 行政のデジタル化について
来年度、戦略政策情報推進本部が改組されようとしています。都におきましても、行政のデジタル化は喫緊の課題です。
1 戦略政策情報推進本部設置の成果と課題をお示しください。
2 都のデジタル政策は、元ヤフー社長の宮坂学副知事が主導し、同本部が実動部隊として動いてきましたが、改組により、行政手続きのオンライン化やスマートフォンからの申請、都民の意見を踏まえたシステムの改善がどのように進展するのか、各局にどのように浸透させていくのか、ご説明ください。
3 ホームページをはじめとする都政情報のアクセシビリティ対応につき、都民からはどのような声が寄せられているのかを踏まえ、現状と課題認識、今後の対応につき、ご説明ください。
4 予算、決算資料、監査報告のデジタル化は必須です。財務局、会計管理局、監査事務局の取り組みの現状と課題認識、今後の対応につき、ご説明ください。
5 4について、予算・決算額においては款項目節まで明示することはもちろんのこと、それらに紐づく全ての事務事業を連関させて記載するのは当然と考えますが、実現可能性を踏まえた所見を伺います。

五 国勢調査の実施状況等について
5年に一度の国勢調査の実施が、コロナ禍の中、昨年10月に実施されました。以下、都内における実施の状況等について、伺います。
1 調査員・指導員の募集数と応募状況、採用数について、男女の内訳を含めてお答えください。不足状況と対応策についても、あわせてご説明ください。
2 調査員・指導員の研修について、取組状況と調査実施までの流れをご説明ください。
3 国勢調査の実施にあたっての感染症対策について、ご説明ください。
4 調査員・指導員に感染者が発生した例はないか、その場合の対応状況についても、ご説明ください。
5 調査員・指導員の研修の内容について、お答えください。個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪事案や児童・高齢者・障がい者等虐待に遭遇した際の対応については、告発・通報義務の徹底をはじめ、具体的にどのような研修をしているのか、ご説明ください。また、万が一、このような事態に遭遇した際の調査員らの安全の確保と相談・支援体制についても、都や区市町村の対応状況についてもご説明ください。
6 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務について、5年前の国勢調査での調査員・指導員からの告発や通報はゼロでしたが、告発・通報義務についての周知と運用についてどのように行われたのか、ご説明ください。
7 調査員・指導員からの刑事告発や虐待通報についての相談が、都や区市町村に寄せられているか、把握の状況をご説明ください。
8 調査では、学歴についても問いがありましたが、義務教育の未修了者の把握についてはどのように行い、支援につなげるのか、取り組みをご説明ください。
9 国勢調査の実施後に、事後調査が行われることがありますが、今回は都内では実施されたのでしょうか。実施されたとすれば、その時期、規模、本調査との違いを含む調査内容、予算額とそもそも事後調査の必要性について、ご説明ください。
10 国勢調査の都議会議員定数への反映につき、ご所見をお示しください。

令和3年第一回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
1 都議会議員が知事答弁を求めていながら議員や会派によって回答を回避する基準、理由を伺う。

回答
法令上、議員の質疑における答弁者の指名に関する規定はありません。答弁者の指名は法律に基づく行為ではなく、事実上の行為となることから、議員による答弁者の指名は執行機関を拘束しないとされています。

質問事項
一の2 都民に「不要不急の外出自粛」を求めていたが、小池知事においての千代田区長選挙応援は、「不要不急」ではなく「必要緊急」であったという解釈でよいか。なぜ、自身の二度目の都知事選挙には街頭へ出なかったのか、なぜ北区補選の都民ファースト候補の応援へはいかなかったのか、であるのになぜ緊急事態宣言下に千代田区長選応援に行ったのか3点に答えたうえで、都の新型コロナウイルス感染症の全ての対策との整合性に照らし合わせた整合性に基づき、千代田区長選応援に出向いた正当性、緊急性、不要不急ではないのかどうかについて伺う。

回答
いずれの点についても、その時の状況を勘案しながら、適時適切に判断したものです。

質問事項
一の3 専決処分について
ア 第二回定例会閉会直後に補正予算を専決されたが、期間中に議会に諮らなかった理由を伺う。

回答
予算の専決処分は、補正予算を編成する必要が生じたものの、議会を招集する時間的余裕がない場合などに、地方自治法第179条第1項の規定に基づき行うものです。
昨年8月3日に専決処分した営業時間短縮の要請に伴う補正予算については、7月27日の第二回臨時会閉会後、都内の酒類の提供を行う飲食店及びカラオケ店の事業者等に対して、8月3日から8月31日まで営業時間の短縮を要請したことに伴い、協力金を支給する必要が生じたことから、都として必要な対策を直ちに実施するために行ったものです。

質問事項
一の3のイ 臨時会を招集せず、専決処分を乱発されたのか知事の見解を伺う。

回答
都はこれまで、令和2年度末までに合計23回に及ぶ補正予算を編成し、感染拡大を阻止する対策や、都民生活等を支えるセーフティネット対策などを迅速かつ的確に講じてきました。
そのうち、議会の閉会中に新規感染者が増加する局面などにおいては、直ちに対策を講じる必要があり、議会を招集する時間的余裕がなかったことから、地方自治法第179条第1項の規定に基づき、専決処分による予算措置を行ったものです。

質問事項
一の4 1月2日の緊急事態宣言の政府への要請につき、独自調査及び情報公開請求により、関係書類は不存在であり、小池知事が福祉保健局・保健所・区市町村に事前調整していなかったことが明らかになっている。これら関係各機関との事前の庁内調整・情報提供や連携を知事はしていたのか伺う。

回答
都は、総務局や福祉保健局をはじめとする関係各局が連携の上、都内の感染状況や医療提供体制、保健所の体制等を踏まえ、一都三県で連携し、国に対し、緊急事態宣言の発出を速やかに検討することを要望しました。

質問事項
一の5 緊急事態宣言の再延長について、黒岩神奈川県知事も小池知事と事前調整がなされてなかったことを明らかにしている。全て報道ベースの内容となっていることから、本年に入って当初の緊急事態宣言、再延長について、神奈川、千葉、埼玉県知事との事前調整・情報共有・連携の詳細について改めて伺う。

回答
都は、令和2年12月末の感染の急拡大や医療提供体制のひっ迫等を踏まえ、一都三県で連携し、国に対し、令和3年1月2日に緊急事態宣言の発出を速やかに検討することを要望しました。
また、その後の一都三県の感染状況等を踏まえて協議を重ね、令和3年3月5日に、引き続き、一都三県の連携を確認の上、飲食店等に対する時短要請など、「緊急事態宣言の延長に係る一都三県共同取組」を発表しました。

質問事項
一の6 丸山達也島根県知事により、小池知事が全国知事会「新型コロナウイルス緊急対策会議」を5回も欠席していたことが世に知れ渡った。この件についての、経過と欠席理由、欠席した日には何をしていたのか伺う。

回答
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、この間、都として様々な対策を切れ目なく講じるとともに、全国知事会等を通じて各自治体とも連携して対応を図ってきました。
全国知事会の「新型コロナウイルス緊急対策本部」の会議は、国への緊急提言などを議題として開催されており、都は、現場の実態を踏まえた必要な意見を毎回提出し、提言等に反映させるとともに、必要に応じて知事が出席して意見を述べています。

質問事項
一の7 時短要請に従わないとして株式会社グローバルダイニングへは去る3月18日都は営業時間短縮命令を下し、3月22日同社は都を提訴した。大手飲食店企業支援と指導・命令に係る知事の判断基準とその適正な時期についての考え方を伺う。

回答
都はこれまで、会食・飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要との国の提言を踏まえ、飲食店等に対して、営業時間の短縮の要請を行い、協力金を支給してきました。
また、度重なる要請に応じず、営業を続けている店舗のうち、営業を継続し客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていることに加え、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店等の午後8時以降の営業継続を誘発するおそれがある店舗に対して、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)等に基づいた手続により命令を行いました。

質問事項
一の8 命令措置について、都内で2,000店舗以上が営業時間短縮の要請に協力しなかったにもかかわらず、命令を出した店舗のほとんどが株式会社グローバルダイニングの店舗であった。行政指導に応じない考えなどをネット上で発信したことを理由に、都が命令を出した点につき疑義の声が上がっている。なぜグローバルダイニング社を狙い撃ちするような命令を最終決裁者として了承したか所見を伺う。

回答
都は、時短要請への協力状況の調査を幅広く行った上で、開店が確認された店舗に職員が個別に訪問し、繰り返し時短要請への協力をお願いしてきました。
こうした要請に応じない店舗のうち、営業を継続し客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていることに加え、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店等の午後8時以降の営業継続を誘発するおそれがある店舗を対象として、特措法第45条第3項に基づく命令を行ったものです。

質問事項
二 新型コロナウイルス感染症対策について
1 株式会社グローバルダイニングへの命令措置について
ア 営業時間短縮命令を下す根拠条例・法律など伺う。

回答
特措法第45条第2項及び第3項、特措法施行令第11条第1項第14号及び政府の基本的対処方針により、施設管理者に対し営業時間の短縮を命じたものです。

質問事項
二の1のイ なぜ、緊急事態宣言解除の方向性が見えてきたタイミングで突如命令を下したのか、その理由と起案から決裁までの詳細を時系列で伺う。

回答
都は、時短要請への協力状況の調査を幅広く行った上で、開店が確認された店舗に職員が個別に訪問し、繰り返し時短要請への協力をお願いしてきました。
こうした要請に応じない店舗のうち、営業を継続し客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていることに加え、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店等の午後8時以降の営業継続を誘発するおそれがある店舗を対象として、特措法第45条第3項に基づく命令を行ったものです。

質問事項
二の1のウ 対象となったほとんどの店舗は同社のものであった。なぜ、同社を狙い撃ちするような命令を同社に下したのか、決裁過程を含めて伺う。

回答
都は、時短要請への協力状況の調査を幅広く行った上で、開店が確認された店舗に職員が個別に訪問し、繰り返し時短要請への協力をお願いしてきました。
こうした要請に応じない店舗のうち、営業を継続し客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていることに加え、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店等の午後8時以降の営業継続を誘発するおそれがある店舗を対象として、特措法第45条第3項に基づく命令を行ったものです。

質問事項
二の1のエ 「加えて、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発するおそれがある」とした根拠について伺う。

回答
対象施設の対応は、更なる新型コロナウイルス感染症のまん延につながるおそれがあることから、まん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するために特に必要があると認め、命令を行ったものです。

質問事項
二の1のオ そもそも、当該命令は公権力の行使にあたるのか、処分性と権原について伺う。

回答
特措法第24条第9項は、不特定の相手に対して協力の要請を行うものです。
また、同法第45条第2項は、特定の相手に対して要請を行うもので、行政手続法の行政指導であり、同条第3項に基づく命令は、行政手続法の不利益処分に該当します。

質問事項
二の1のカ 今後、類似の争訟が提起されることを想定しているのか、その対応について伺う。

回答
都としては、特措法等にのっとり、これまで丁寧に時短要請等の手続を進めてきました。
今後も、特措法等にのっとり、対応していきます。

質問事項
二の1のキ また、訴訟に至る前に事業者と協議するのか、取り組み状況を伺う。

回答
都は、これまで開店を確認した店舗に対して、職員が直接訪問するなどして時短要請への協力をお願いし、開店を継続する店舗には、個別に協力要請を行っています。
また、特措法第45条第3項に基づく命令は、行政手続法の不利益処分に当たることから、事業者に対して、弁明の機会を付与しています。

質問事項
二の2 営業時間短縮協力金について
ア 二度目の緊急事態宣言、延長、再延長における時短協力金の申請数と対応、支払い状況について伺う。

回答
緊急事態宣言に伴う令和3年1月8日から2月7日までの営業時間短縮要請に係る協力金については、申請数は約11万店舗となっており、支払件数は約9万店舗となっています。
また、これに引き続く2月8日から3月7日までの営業時間短縮要請に係る協力金については、申請数は約11万店舗となっており、支払件数は約5万店舗となっています。
なお、件数はいずれも5月11日時点の数値となっています。
さらに、3月8日から3月31日までの営業時間短縮の要請に係る協力金については、4月30日より受付を開始し、5月11日時点で申請数は約4万店舗となっており、初回の支払は5月14日に行いました。

質問事項
二の2のイ 支払いの遅滞状況、書類の不備などの対応状況についての現状と課題を伺う。

回答
2度目の緊急事態宣言期間における協力金についての状況は、次のとおりです。
本協力金から、支給対象が店舗ごとになり、営業許可書や光熱水費の検針票など営業実態を示す書類の提出を店舗ごとに求めましたが、営業許可書の申請者名と許可書上の名義が異なるなど、申請者への電話確認や再提出等により審査に時間を要する事例もありました。
このため、間違えやすい事例をポータルサイトに掲載しているほか、提出書類に関して申請者からの問合せに対応するスタッフを増員することなどにより、迅速な支給に努めております。

質問事項
二の2のウ 第一回目からこれまでの不正受給の実態と対応、それらを踏まえた予防策について伺う。

回答
不正受給を防止するため、申請の受付後にその内容について不明な部分や疑問がある場合、職員による現地確認や電話でのヒアリング、文書による問合せなどにより、受給要件を満たしているか否かを確認しております。
また、支給後においても、不適切な事例が明らかになった際には、申請時に提出のあった誓約書に基づき、違約金の請求を行うなど厳正に対処することとしております。
なお、これまで違約金の請求を行った事例はありません。

質問事項
二の3 コロナ対策リーダー事業について
ア 起案から決定、決裁まで詳細を伺う。

回答
感染の再拡大を防止するには、店舗と利用客双方の協力を得て、より安心なお店づくりを推進していくことが必要です。
都はこれまで、感染防止徹底宣言ステッカーの仕組みを導入し、その実効性を確保するため、職員による感染防止対策の確認に加え、業界団体による自主的な点検に対する支援を行ってきました。
こうした取組に加え、飲食店等の各店舗に配置したコロナ対策リーダーが中心となって、店内の感染対策とともに、利用客への感染防止マナーを促す、コロナ対策リーダー事業について3月15日に決定し、同月18日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において公表しました。

質問事項
二の3のイ 当該事業の感染拡大防止への科学的効果・エビデンスを伺う。

回答
会食や飲食などは感染リスクが高いとされており、これを低減させていくためには、飲食店等を利用する方々の感染防止マナーへの協力が重要です。
また、国の分科会では、リバウンド防止のためには、緊急事態宣言解除後の地域においては、当面の間の会食の在り方の周知や、飲食店を利用する際の店舗から求められる感染防止策への協力、ステッカーなどを用いた独自の認証制度の実施又は強化を行うことなどが必要と提言されています。

質問事項
二の3のウ 店舗の負担につき配慮したのか、検討にいれなかったのならその理由を伺う。

回答
コロナ対策リーダー事業は、飲食店等の事業者の方々が店舗ごとにコロナ対策リーダーを選任・登録し、東京iCDC監修による研修を受講いただき、研修を修了した店舗には、感染防止徹底宣言ステッカーに貼付することができる修了シールを発行する取組です。
こうした取組は、原則オンラインとしたほか、研修動画を感染防止対策のポイントごとに短く区切るなど、事業者が簡便に手続を行えるような工夫を行っています。

質問事項
二の3のエ リーダーの法的地位について、伺う。

回答
コロナ対策リーダー事業は、各店舗が選任するリーダーが中心となって、店舗の感染対策はもとより、利用客に感染防止マナーを促し、店舗と利用客双方による協力の下、より安心なお店づくりを推進することを目的に実施するものです。

質問事項
二の4 都立広尾病院の妊婦の転院にかかる対応について
ア 何が契機となり誰が発案したのか、知事、副知事の関与も含めた決裁の過程について具体的に時系列で伺う。

回答
令和2年末から新型コロナウイルス感染症の新規陽性者が急増したことを受けて、本年1月2日、都立・公社病院のコロナ病床を拡充する方向性を決定し、都は、感染者の更なる受入れを都立・公社病院に対して要請しました。
同月7日、都立・公社病院において、コロナ病床を1,100床から1,700床へ増床する旨を公表しました。
これを受けて、広尾病院においては、病床を拡充するに当たり他の診療科を縮小する必要が生じたため、妊婦を含む患者の転院を進めることとしました。
その後、多くの妊婦の方から経済的支援の要望が寄せられ、また、分娩は保険外診療であり、病院によって分娩料が異なることなどを踏まえ、同月14日、都は、妊婦に対する支援を行う旨を決定し、公表しました。
同月19日には支援制度の詳細を定め、支援を開始しました。

質問事項
二の4のイ 妊婦以外で転院を余儀なくされた患者への対応はどのように当時なっていたのか、現状はどうなっているのか、診療科別に伺う。

回答
広尾病院のコロナ病床を拡充するに当たり、従来の診療機能を縮小する必要があることから、産婦人科以外の診療科においても、患者に転院をお願いしました。
その際、医師は、患者に対して、転院先を提示するとともに、治療方針について患者とその家族に丁寧に説明した上で、診療情報提供書を作成することにより、患者が安心して転院先で治療を受けられるよう努めました。
また、医療連携担当等の職員は、転院に対する不安などについてきめ細かく相談に応じました。
現在、広尾病院の医師が、転院をお願いした患者について、転院先の医師からの相談などに対応しています。

質問事項
二の4のウ 広尾病院の現場からは、どのような反応があったのか、それに対して病院経営本部はどのように対応しているのか具体的に時系列で伺う。

回答
病院現場からは、島しょ医療の休止について住民への周知の必要性や、救急医療の休止について関係機関と事前調整が必要との意見に加え、妊婦の方から経済的支援の要望が寄せられているとの報告がありました。
そのため、病院経営本部では、島しょ医療の休止に当たり、病院と連携しながら島しょ町村を通じてお知らせを配布するなど丁寧に住民への周知を図りました。
また、救急医療の休止に当たり、救急搬送に混乱が生じないよう、福祉保健局や東京消防庁などと十分な調整を行いました。
加えて、病院によって分娩料が異なることなどを踏まえ妊婦への支援制度を開始しました。

質問事項
二の5 保健所との連携状況について
ア 昨年7月をめどとして内藤福祉保健局長以前と以降における福祉保健局長による各保健所長への感染者数把握業務におけるミス防止等注意喚起の状況について詳細を伺う。

回答
都は、保健所から新型コロナウイルス感染症の新規陽性者の報告をファクシミリで受けていましたが、令和2年3月の陽性者の急増により、保健所と都の双方で情報の確認や共有が滞った状況を踏まえ、5月に保健所に対し、発生届の提出徹底を改めて依頼しました。
その後、同年10月には、都内全保健所で国が新たに導入した新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の運用が開始されました。
陽性者が爆発的に増加した令和3年1月を中心に、複数の保健所で新規陽性者の未報告が発生しましたが、こうした事態が起きないよう、保健所に対し、ウェブ会議等でHER-SYSへの入力の徹底を改めて依頼するとともに、未報告と思われる事例を把握した場合には、適宜確認しています。

質問事項
二の5のイ 私はこれまで文書質問にて、ファックス対応、政府・東京都の導入システムの齟齬などについて各保健所の支援体制ともども確認をしてきた。ところが残念ながら未だに「業務の増大によりミスが発生」する状況のようであるが、現状と課題を伺う。

回答
都は、国の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の導入に当たり、保健所に対して、説明会を開催するなど円滑な導入に向けた支援を行い、令和2年10月には、都内全保健所でHER-SYSの運用が開始されています。
その後、陽性者が爆発的に増加した令和3年1月を中心に、複数の保健所で新規陽性者の未報告が発生しましたが、こうした事態が起きないよう、保健所に対し、ウェブ会議等でHER-SYSへの入力の徹底を改めて依頼するとともに、未報告と思われる事例を把握した場合には適宜確認するなど、保健所と連携して対応しています。

質問事項
二の5のウ 東京iCDC、モニタリング会議などの会議体がどのように保健所に貢献・寄与しているのか具体的に伺う。

回答
東京iCDCでは、幅広い分野の専門家の方々による専門家ボードを設置し、最新の科学的知見やエビデンスに基づき、政策につながる提言を行っています。これまで、新型コロナウイルス感染症予防のための都民向けハンドブックや、入院や宿泊療養の円滑な調整のための「療養・入院判断フロー」を作成し、こうした成果はその都度、保健所と共有しています。
新規陽性者数が減少し、感染経路が特定し得る段階における積極的疫学調査の考え方を取りまとめた際にも、保健所にこれを示し共有するなど、様々な取組を行っています。
また、都民及び保健所などの関係機関が現在の感染状況等を分かりやすく把握できるよう、都では原則として週に1回、モニタリング会議を開催し、新規陽性者数など医療の需要を示す「感染状況」と入院患者数など医療の供給を示す「医療提供体制」の二つの区分を柱とした7つのモニタリング項目について、感染症対策等の専門家や医師が分析して、これに基づくコメントを公表しており、毎週開催している保健所との会議で共有しています。

質問事項
二の6 都内病院体制について
ア 都立・公社病院では、急増する感染者への医療を最優先に提供するため、一般疾病入院を制限せざるをえず、病床稼働率が落ち込み、指定感染症機関ではない病院も含め、救急救命や周産期などの行政の担う地域医療にも支障が出ていないか危倶する。一般外来・入院機能が損なわれたことの影響の状況と課題と対応策を伺う。

回答
都立・公社病院は、各病院の特性や地域事情を踏まえながら新型コロナウイルス患者の受入体制を整備しています。
重点医療機関とした広尾病院、荏原病院、豊島病院では、新規外来患者の受入停止や、一部の行政的医療を除き大幅な入院の制限を行っていますが、地域の医療機関や都立・公社病院間で緊密に連携を図りつつ、地域の医療提供体制への影響を最小限にとどめるよう運営を行っています。例えば、荏原病院、豊島病院では周産期医療と精神科救急医療を継続しています。
その他の病院においては、新型コロナウイルス感染症の対応と一般診療との両立を図りながら、救急医療や周産期医療など行政的医療を継続しています。

質問事項
二の6のイ 「新型コロナウイルスの感染拡大で病床が逼迫する中、都内の14の特定機能病院でコロナ重症者の受け入れ数に偏りがあることが、読売新聞が入手した都の資料でわかった。特定機能病院はもちろんのこと重症者受け入れについて偏りの是正は進んでいるのか、現状と対応状況を伺う。

回答
都はこれまで、新型コロナウイルス感染症の重症者の受入れのため、感染症指定医療機関をはじめ、都立・公社病院や公立・公的医療機関のほか、大学病院やがん診療の専門的医療機関など、一般の医療機関では診療が難しい患者に高度な医療を提供する特定機能病院等に対して、病床の確保を要請してきました。
また、病床を有効に活用できるよう、都の調整本部で各医療機関の患者受入状況などを踏まえながら入院調整を行っています。

質問事項
二の6のウ 医療現場の実態を都民に理解を求めるためにも「国の指標及び目安における重症者数」を都の新型コロナウイルス感染症対策サイト「モニタリング項目」に併記すべきと考える。なぜ週一回、都民がにわかに探すことのできない、階層の深いモニタリング会議資料で公表しているのか。併記を求めるが、所見を伺う。

回答
都は、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会が示す「医療提供体制等の負荷に関する指標」におけるステージⅡの水準を満たすのに必要な「療養者数」等の減少数を福祉保健局のホームページで公表しており、この中で「国の指標及び目安における重症者数」も表示しています。
なお、これら国の指標等は、福祉保健局ホームページのトップページにリンクを掲載しています。

質問事項
二の6のエ 同じ観点から、ホテル療養施設が事務やゾーニングのため使用している部屋を除き、実際に利用できる部屋数も、「検査陽性者の状況」に掲載すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
「検査陽性者の状況」は、日々公表する時点の検査陽性者について、入院、宿泊療養、自宅療養等の区分ごとの人数を記載しています。

質問事項
三 子ども・教育政策について
1 キッズラインヘの対応について
ア 本年1月19日、ベビーシッターマッチングサイトのキッズラインに登録するシッターのうち、一部で、児童福祉法でベビーシッターに法律で義務づけられた都道府県などへの届け出を行っていなかったことが判明した。大切な子どもの命、心身の健康・成長発達、人権を守り、子どもの最善の利益を最優先に確保するために早急に、ベビーシッター利用支援事業においても、入札参加者指名停止基準に準じた同様の厳粛な対応が求められるものではなかったのか、見解を伺う。

回答
都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者認定基準において、児童福祉法に基づく、都道府県知事等に対するベビーシッター事業者の届出を要件として定めており、認定する際に、お尋ねの事業者も含めて全ての事業者の届出状況を確認しています。

質問事項
三の1のイ キッズラインの認定取り消しを検討するか、取り消しをしないとして、どう再発防止ができるのか伺う。

回答
都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者認定基準において、児童福祉法に基づく、都道府県知事等に対するベビーシッター事業者の届出を要件として定めており、認定する際に、お尋ねの事業者も含めて全ての事業者の届出状況を確認しています。
お尋ねの件は、本事業とは異なる、個人間で契約するマッチングサイトに登録しているベビーシッターが事業者の届出を行っていなかったもので、本事業の指導監督の対象外であり、立入調査、指導、認定取消し等は実施していません。
なお、マッチングサイトの運営事業者が遵守すべき事項は、国がガイドラインを定めており、都は、お尋ねの事業者に対し、マッチングサイトに登録しているベビーシッターについて都道府県知事等に対する届出の提出が確認できていない状況を早急に解消するとともに、登録を受け付ける際は、都道府県知事等への届出状況を確認するよう通知しています。

質問事項
三の1のウ 認定し続けるにあたり、キッズラインヘの指導強化をどのように実施していくのか伺う。

回答
都は、令和2年6月、お尋ねの事業者に対し、ベビーシッター利用支援事業の運営に関してサービス提供約款に基づく立入調査を実施しました。その結果、認定基準等に適合しない事実を確認したため改善を指示し、同年12月に改善されたことを確認しています。
今後も、認定基準等に基づくサービス提供が行われるよう、サービス提供約款に基づき、指導監督を実施していきます。

質問事項
三の2 ベビーライフについて
ア キッズラインの事案でも、当初「問題ない」との答弁をいただいたが、最悪の事件が発生した。まず、都の「精査」とは何か、所見を伺う。

回答
民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(以下「あっせん法」という。)では、国、都道府県及び市町村以外の者が養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。
都は、平成30年9月に一般社団法人ベビーライフ(以下「ベビーライフ」という。)からの許可申請を受け、あっせん法第7条に基づき、ベビーライフが「養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有すること」、「営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものではないこと」などについて説明を求めるとともに、実地調査を行っています。

質問事項
三の2のイ 事件発覚が報道ベースでなされたが、なぜ公表に至らなかったかも含め、これまでの経緯を時系列で詳しく伺う。また、これ以外の指導の状況等もあわせて伺う。

回答
ベビーライフは、平成21年6月、社会福祉法第69条第1項の規定による第二種社会福祉事業の開始届を都に提出し、養子縁組あっせん事業を開始しました。
都は、平成25年12月、ベビーライフが、その代表者が代表取締役を務める株式会社と保育サービス等の委託契約を結んでいることは、両者が利害関係にあり不当な利益をあげることが可能となるなど、あっせん事業の営利目的を禁じる児童福祉法に抵触するおそれがあるとして、改善指導を行いました。
その後、平成30年4月にあっせん法が施行され、国、都道府県及び市町村以外の者が養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされました。また、法施行前に社会福祉法に基づく届出をし、あっせん業を既に行っている者が許可申請を行った場合、許可又は許可の拒否があるまでの間、養子縁組のあっせんを行うことができるとする経過措置が設けられました。
都は、同年9月にベビーライフからの許可申請を受理し、審査してきましたが、令和2年7月2日に同許可申請の取下げを受理し、同月3日にベビーライフが養子縁組のあっせんを今後できなくなることを公表しました。
あっせんに係る文書は都に引き継ぐよう指導し、同年9月10日、一部の文書の引継ぎを受けたことを公表しました。あわせて、養親等の支援について各都道府県等へ対応を依頼しました。

質問事項
三の2のウ 都の法的責任、監督権限についての所見を伺う。

回答
あっせん法では、国、都道府県及び市町村以外の者が養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。
許可申請を受けた都道府県知事は、あっせん法第7条に基づき、「養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有すること」、「営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものではないこと」などの基準に適合しているか審査し、基準に適合していると認めるときは許可しなければならないとされています。

質問事項
三の2のエ 代表理事と連絡が取れなくなったことに関しての問題意識と、そのような状況で今後どのような支援策をこうじるのか伺う。

回答
あっせん法では、法施行前に社会福祉法第69条第1項の規定により届出をしてあっせん業を行っている者が許可の申請を行った場合、許可又は許可の拒否があるまでの間、養子縁組のあっせんを行うことができるとする経過措置が設けられています。
ベビーライフは、この規定により養子縁組のあっせんを行ってきましたが、令和2年7月2日に許可申請を取下げたため、その後はできなくなりました。
都は、ベビーライフが実施した養子縁組あっせんに係る文書を都に引き継ぐよう繰り返し指導し、同年9月に一部の文書の引継ぎを受けたことを公表しました。
さらに、児童相談所を所管する全国の自治体に対し、ベビーライフがあっせんし支援が必要な養親等を把握した場合の協力を依頼するとともに、養親等の相談を受ける民間あっせん機関を紹介しました。
ベビーライフの元代表理事に対しては、その後もメールや手紙などで連絡していますが、返信が無い状況となっています。引き続き、全ての文書の引継ぎと養親等への真摯な対応を求めていきます。

質問事項
三の2のオ 「養子あっせん300人の半数超、養親が外国籍「原則国内」反故で多数の子供が海外へ」と追加報道されている。都は子ども達のその後の養育状況などについて、政府他関係機関と連携をして追跡調査をすべきと考えるが、現時点、把握している実態、及び対応状況と対策を伺う。

回答
都は、ベビーライフが、海外へあっせんしていたことは把握していますが、平成30年9月の許可申請以降、海外へあっせんしたとの報告は受けていません。
引き続き、国とも連携しながら、ベビーライフの元代表理事に対して、全ての養親等への真摯な対応を求めていきます。

質問事項
三の2のカ 相次ぐベンチャー系事業者による事故や不祥事を受けて、今後、都は事業者への補助、認定、許可の在り方を見直すべきと考える。具体策を伺う。

回答
あっせん法では、国、都道府県及び市町村以外の者が養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。
許可申請を受けた都道府県知事は、あっせん法第7条に基づき、「養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有すること」、「営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものではないこと」などの基準に適合しているか審査し、基準に適合していると認めるときは許可しなければならないとされています。
また、あっせん法第38条では、都道府県知事は、必要があると認めるときは、民間あっせん機関に対し、その業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができるとされています。

質問事項
三の3 小規模保育所について
ア 令和2年度から土曜日開所しない場合、補助金が減算になると、内閣府から区市町村に通知が令和2年2月になされ各保育所に周知されている。通知の内容と、目的、決定に至るまでの経緯を伺う。

回答
保育所等の公定価格の単価は、開所日が原則として月曜日から土曜日までの週6日とされていることから、日曜日や祝日等の日数を考慮して年間300日開所するものとして設定され、常態的に土曜日を閉所する場合に減算調整する仕組みとなっていました。しかし、土曜日の開所日数にばらつきがあることや、土曜保育の利用児童や職員が平日より少ないことなど、公定価格上の減算の仕組みと運営実態とにかい離が生じていました。
そのため、国の子ども・子育て会議で土曜日開所の公定価格上の評価について検討が行われ、一部の土曜日だけ閉所した場合も全て開所した場合と同様に評価する算定方式は根拠に乏しく、開所日数に応じた調整を検討すべきとの対応方針が、令和元年12月に示されました。
令和2年2月、内閣府が開催した子ども・子育て支援新制度説明会で「令和2年度の公定価格の改定(案)」が示されました。その中で、保育所や認定こども園、小規模保育所等について、「月の全ての土曜日に閉所している場合に限り適用している減算調整について、その月の土曜日に閉所した日数に応じて設定する割合により段階的に減算する仕組みに見直す。」こととされました。
令和2年度から、土曜日に閉所する施設や開所していても保育を提供していない施設は、その日数に応じて、公定価格の1パーセントから6パーセントまで段階的な減算が適用されることになりました。なお、事前に利用希望があり開所したのであれば、当日キャンセルにより利用する子供がいなくなった場合であっても、開所しているものと取り扱われています。

質問事項
三の3のイ この通知がどのように都、区市町村、保育所に周知されたのか具体的に時系列で伺う。

回答
令和2年2月、内閣府が開催した子ども・子育て支援新制度説明会で「令和2年度の公定価格の改定(案)」が示されました。
同年4月、国から「特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」が公布され、土曜日に閉所する場合の単価が示されました。
同年5月、国から都道府県に「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」が通知され、土曜日に閉所する場合等、公定価格の具体的な算定方法などが示されました。
都は、その都度速やかに区市町村に周知し、区市町村は管内保育所等に周知しています。

質問事項
三の3のウ 保育所からどのような反応があったのか、件数と内容を伺う。

回答
保育所等から、土曜日に閉所する場合の公定価格の減算について、意見等をいただいたことはありません。

質問事項
三の3のエ 都としての対応方針について伺う。

回答
都は国に対し、子供・子育て支援のための財源を十分に確保するとともに、保育所や認定こども園、小規模保育所等の公定価格の単価などについて、大都市の実情に応じた財政支援をするよう、提案要求しています。

質問事項
三の3のオ 今後、保育所事業者及び現場保育士、保護者、利用児童等の声や意見を都としてどのように把握し集約し最適な土曜日保育の運営を促していくのか所見とそれに基づく具体的な対応策を伺う。

回答
土曜保育のニーズには、保育の実施主体である区市町村が、それぞれの地域の実情に応じて対応しています。

質問事項
三の4 養育費確保支援事業について
ア 養育費の取り決めの対象となる子ども(18歳に達した日以降最初の3月31日までに該当する子ども)を扶養していること。養育費の取り決めに係る債務名義を有していることとなっているが、成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立したことに伴い、都でも関係する広報において対象年齢の記載を18歳としたのか伺う。

回答
養育費確保支援事業では、対象者は「ひとり親等であって、養育費の取り決めに係る債務名義を有している者」としており、子供の年齢は定めていません。

質問事項
三の4のイ 子の養育費について「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることが多々ある。このような取り決めが民法改正施行以前にされた場合は成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うと考えられ、2018年10月4日法務省見解でも示されている。しかし、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではない。法務省見解について前提にされた上で18歳に達した日以降最初の3月31日までに該当する子どもと対象者を規定することは適切だと判断されているのか、所見を伺う。

回答
養育費確保支援事業では、対象者は「ひとり親等であって、養育費の取り決めに係る債務名義を有している者」としており、子供の年齢は定めていません。

質問事項
三の5 公立学校におけるいわゆる「地毛証明」について
ア 都立学校における「地毛証明」の実施状況を伺う。

回答
都立学校の中には、校則で染色等の加工を行わないことについて定め、頭髪指導を行うために、頭髪に関する届出を求めている学校があります。
これまで都教育委員会は、生徒の髪が生来のものであることを書面により届け出ることとしている学校については、事実誤認による指導を未然に防止することが目的であり、その提出は任意であることを生徒及び保護者に明確に伝え、理解を得るよう、各学校に対して通知してきました。

質問事項
三の5のイ 「地毛証明」を提出しない場合、学校教育法第ll条による懲戒の対象になり得るか、当該児童・生徒に不利益となることがあるのか、現状を踏まえて、所見を伺う。

回答
生徒が頭髪に関する届出を提出しないことをもって、学校教育法第11条による懲戒の対象となることも、不利益を被ることもありません。

質問事項
三の5のウ そもそも「地毛証明」は、憲法、子どもの権利条約に反し、基本的人権を侵害するものではないか、法的見解を伺う。

回答
都教育委員会は、各学校が頭髪に関する届出の提出を求める際は、生徒の人権尊重を基本として行い、その目的が事実誤認による指導を未然に防止するためであることや、その提出は任意であること、提出をしないことをもって生徒が不利益を被ることがないことを通知するとともに、校長連絡会等で指導しています。

質問事項
三の6 千葉福祉園の障害児施設の廃止方針に伴う対応について
ア 入所児童・保護者・地域住民・所在自治体等への説明の状況を伺う。

回答
都は、令和3年3月、千葉福祉園の障害児施設に入所する児童の保護者を対象に説明会を開催し、廃止方針等を説明するとともに、欠席者には資料を送付しています。
また、施設所在地である千葉県や都内自治体にも説明しています。入所児童や地域住民に対しては、今後、適切な時期に説明する予定です。

質問事項
三の6のイ 都の児童相談所において措置した障害児入所施設の種別ごとの児童数について伺う。

回答
障害児入所施設の措置児童数は、令和2年3月31日現在、福祉型が224人、医療型が78人です。
なお、平成24年4月改正前の児童福祉法の施設種別でみると、知的障害児施設が215人、ろうあ児施設が8人、肢体不自由児療護施設が1人、肢体不自由児施設が42人、重症心身障害児施設が36人となります。

質問事項
三の6のウ 都における中軽度知的障害を持つ障害児の総数と、福祉型障害児入所施設(主として知的障害児対象)に入所する過年齢児の人数を伺う。

回答
都における、中軽度の知的障害に区分される愛の手帳3度及び4度の18歳未満の交付者数は、令和2年3月31日現在、12,721人です。
また、都における、主として知的障害児を対象とする福祉型障害児入所施設に入所する過年齢児の人数は、令和2年3月31日現在、17人です。

質問事項
三の6のエ 千葉福祉園の障害児施設廃止後の運用について伺う。

回答
千葉福祉園の障害児施設廃止後の建物利用計画は、現時点においてありません。

質問事項
三の6のオ 児童の地域移行支援、退所後のフォローアップの状況と課題につき、伺う。

回答
入所児童に対する地域移行支援は、一人ひとりの特性や意向などを踏まえた方針に基づき、関係機関と連携しながら、生活訓練、グループホームの体験入居、実習等を行っています。
また、児童が退所後も安定した生活を送ることができるよう、移行先のグループホーム等へ児童の特性等を丁寧に引き継ぐとともに、退所後も必要に応じて相談や関係機関との調整等を行っています。
現在、被虐待や広汎性発達障害など特別な支援を必要とする児童が増加しており、児童の状況に応じた地域移行支援等に取り組んでいます。

質問事項
四 行政のデジタル化について
1 戦略政策情報推進本部設置の成果と課題を伺う。

回答
戦略政策情報推進本部では、東京の成長に資する戦略的な事業を推進するなど、様々な課題に迅速かつ的確に対応してきました。
具体的には、デジタル化の推進に向け、スマート東京実施戦略の策定、行政手続のデジタル化を強力に推し進める東京デジタルファースト条例の制定、コロナ禍において各局事業を技術的に支援する組織横断的な取組の実施など、様々な取組を進めてきており、引き続き、都政のQOSを飛躍的に向上させていくための取組を、デジタルサービス局において進めてまいります。
また、国際金融都市・東京の実現に向け、「国際金融都市・東京」構想に掲げる施策等を推進するとともに、「フィンシティー・トーキョー」の設立、海外金融系企業の誘致などを実施してきており、加えて、グリーンファイナンスの活性化や中長期的な視点に基づく「構想」の改訂などにも着手をしたところです。

質問事項
四の2 都のデジタル政策は、宮坂学副知事が主導し、同本部が実動部隊として動いてきたが、改組により、行政手続きのオンライン化やスマートフォンからの申請、都民の意見を踏まえたシステムの改善がどのように進展するのか、各局にどのように浸透させていくのか、伺う。

回答
「シン・トセイ」戦略では、都政の構造改革を進める上で、改革の突破口となるコア・プロジェクトの1つである「ワンストップ・オンライン手続プロジェクト」において、行政手続のデジタル化に当たり、「ユーザー目線に立ち、スマートフォン申請を推進」、「ユーザーの意見を聞きながら、利用しやすいシステムへ改善」の2点を基本方針として掲げています。
こうした方針の下、都のDX推進の旗振り役・けん引役を担うデジタルサービス局において、各局の取組をサポートし、デジタル化を適切に推進していきます。
 

質問事項
四の3 ホームページをはじめとする都政情報のアクセシビリティ対応につき、都民からはどのような声が寄せられているのかを踏まえ、現状と課題認識、今後の対応につき、伺う。

回答
ホームページのアクセシビリティ対応については、高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページで提供される情報や機能を支障なく利用できるよう、東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を定め、JIS規格に基づくウェブアクセシビリティの確保を図っています。
日々コンテンツが更新され、技術の進展もあることから、本統一基準のより一層の徹底を図るため、準拠状況を定期的に把握するとともに、講習会を実施するなど、ウェブアクセシビリティの意識の向上に努めています。
今後も、誰もが必要な情報にアクセスできるウェブアクセシビリティ対応の強化に向けて取り組んでまいります。

質問事項
四の4 予算、決算資料、監査報告のデジタル化は必須である。財務局、会計管理局、監査事務局の取り組みの現状と課題認識、今後の対応につき、伺う。

回答
予算に関する資料については、都民の皆様に都財政への理解を更に深めていただく上で、デジタルの力をより活用していくことが重要です。
そのため、令和3年度予算案の発表に当たって、デジタルを活用した都財政の見える化の取組として、様々なデータを表やグラフを用いて視覚化するダッシュボード、「TOKYO予算見える化ボード」を新たに開設しました。
財務局ホームページに開設した本サイトでは、Web上から簡単な操作で予算案の全体像やポイントとなる事業の概要などを検索でき、グラフなどの分かりやすい形式で閲覧できるようにするとともに、各種データを取得することができます。
同時に、普通会計決算や財務諸表の情報についても、予算と同様に、ダッシュボードを作成し、公表しています。
今後とも、都民の皆様に分かりやすく都財政への理解を深めていただけるよう努めていきます。
全庁的な会計事務に係る基幹システムである、財務会計システムを用いて作成する「歳入歳出決算書」等の決算書類については、各局がシステムに入力した情報に基づき、数値が自動的に反映されるなど、デジタル化に取り組んできています。
作成した決算書類については、PDFデータとして第三回定例会の本会議に提出するとともに、数値情報を可視化した図やグラフを使用し、財務諸表について解説した「東京都の財務諸表(概要版)」を公表するなど、都民に分かりやすい決算情報としています。
今後も、デジタル技術を活用し、決算情報の加工・検索等のしやすさに配慮するなど、適切な決算調製と決算のアカウンタビリティー向上に努めていきます。
監査報告のデジタル化については、現在、監査結果に関する報告書の議会への提出を、都議会のペーパーレス化に伴い、電子データで行っています。
また、監査結果に関する報告書は、ホームページで公表しているとともに、各種監査で行った指摘、意見・要望事項及び知事等が講じた措置の検索も可能となっています。
今後とも、監査報告のデジタル化により監査結果を広く公表していきます。

質問事項
四の5 4について、予算・決算額においては款項目節まで明示することはもちろんのことそれらに紐づく全ての事務事業を連関させて記載するのは当然と考えるが、実現可能性を踏まえた所見を伺う。

回答
予算に関する資料については、地方自治法及び地方自治法施行令に基づき、予算議案のほか、款項目節まで明示した予算説明書を作成していることに加え、一般会計予算説明書については、各目に計上されている事業を記載しています。
さらに、各年度の予算案のポイントを整理した「予算案の概要」や局別会計別に主要な事業をまとめた「主要事業」を作成しています。
また、決算に関する資料については、法定調書に加え、会計管理局が款別決算の執行概要や増減額を説明した決算参考書を作成するとともに、各局において、主要な事務事業の執行概要をまとめた決算説明書を作成しているほか、「年次財務報告書」や「主要施策の成果」などの各種資料においても事業別財務諸表などを公表しています。
今後とも、都民の皆様に分かりやすく都財政への理解を深めていただけるよう努めていきます。

質問事項
五 国勢調査の実施状況等について
1 調査員・指導員の募集数と応募状況、採用数について、男女の内訳を含めて伺う。不足状況と対応策についても、あわせて伺う。

回答
令和2年国勢調査における東京都の調査員は定数78,371人に対し任命数が58,043人、そのうち男性29,881人、女性28,162人で、指導員は定数12,625人に対し任命数が9,325人、そのうち男性5,358人、女性3,967人です。
定数に対する充足率は調査員74.1パーセント、指導員73.9パーセントですが、今般の新型コロナウイルス感染拡大を受け、原則として世帯と調査員が対面しない非接触の調査方法による実施とすることで、限られた調査員により適切に対応しました。

質問事項
五の2 調査員・指導員の研修について、取組状況と調査実施までの流れを伺う。

回答
調査員及び指導員への調査活動等に関する説明・指導は、国の事務要領に基づき、都が実施した事務打合せ会を受け、区市町村が調査員及び指導員の事務打合せ会で実施しました。
指導員は、事務打合せ会後、区市町村の統計担当と連携し、調査員に対して、調査の説明・指導・支援を行っています。
調査員は、事務打合せ会後に区市町村の統計担当や指導員の指導・支援の下、実際の調査活動に従事しています。

質問事項
五の3 国勢調査の実施にあたっての感染症対策について、伺う。

回答
令和2年国勢調査では、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大を防止するため、原則として世帯と調査員が対面しない非接触の調査方法により実施しました。
調査員には、調査活動前の体温測定を徹底させ、調査活動中、やむを得ず世帯と対面する場合は一定の距離を保ちつつ、必ずマスクを着用するなど感染防止に努めさせるとともに、体調が優れない場合は、直ちに調査活動を中断するよう指導しました。
また、都及び区市町村が実施する会議においては、可能な限り書面開催で実施するとともに、対面で開催する場合は、集まる人数を減らすなどの感染予防策を講じた上で実施しました。
なお、国からマスク、消毒液等の保健衛生用品購入経費が予算措置され、都を通じて区市町村において調査員等に対し手当てされたところです。

質問事項
五の4 調査員・指導員に感染者が発生した例はないか、その場合の対応状況についても、伺う。

回答
区市町村から報告のあった感染者は5名でした。都は直ちに国に報告するとともに、他の者が交代して調査を継続しました。
なお、いずれも調査世帯との接触はありませんでした。

質問事項
五の5 調査員・指導員の研修の内容について、伺う。個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪事案や児童・高齢者・障がい者等虐待に遭遇した際の対応については、告発・通報義務の徹底をはじめ、具体的にどのような研修をしているのか、伺う。また、万が一、このような事態に遭遇した際の調査員らの安全の確保と相談・支援体制についても、都や区市町村の対応状況についても伺う。

回答
区市町村は調査員及び指導員の事務打合せ会で、国が作成した手引き等を基に、調査の内容・方法等について説明するとともに、個人情報保護、安全対策、関係法令の遵守についても指導しました。
また、調査員・指導員が犯罪事案や虐待に遭遇した場合は、法令に従って通報等を行い、区市町村は関係機関と連携し対応することとしていました。都はこうした区市町村の取組を支援する体制で臨みました。

質問事項
五の6 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務について、5年前の国勢調査での調査員・指導員からの告発や通報はゼロであったが、告発・通報義務についての周知と運用についてどのように行われたのか、伺う。

回答
調査員及び指導員への調査活動等に関する説明・指導は、都が実施した事務打合せ会を受け、区市町村が実施しました。
都は区市町村に対し、事務打合せ会において、調査員及び指導員の指導に際しては、国勢調査令、国家公務員法等各種法令に従った適切な対応をするよう説明しています。それに従い、区市町村から調査員及び指導員に対し周知をしました。

質問事項
五の7 調査員・指導員からの刑事告発や虐待通報についての相談が、都や区市町村に寄せられているか、把握の状況を伺う。

回答
都において調査員・指導員からの刑事告発や虐待通報についての相談は入っていません。また、区市町村から都に対してそのような相談に関する連絡は入っていません。

質問事項
五の8 調査では、学歴についても問いがあったが、義務教育の未修了者の把握についてはどのように行い、支援につなげるのか、取り組みを伺う。

回答
国において、全ての義務教育の未修了者の把握はできないものの、少なくとも最終卒業学校の種類が小学校の者の数を年齢階級別に集計する予定と聞いています。
その結果が公表されることで、今後の政策立案に資するものと考えています。

質問事項
五の9 国勢調査の実施後に、事後調査が行われることがあるが、今回は都内では実施されたのか。実施されたとすれば、その時期、規模、本調査との違いを含む調査内容、予算額とそもそも事後調査の必要性について、伺う。

回答
令和2年国勢調査の事後調査は、新型コロナウイルス感染症に関する対応を踏まえ、国において実施しないこととなりました。
なお、前回の事後調査は、本調査の調査対象の把握状況や調査結果の精度を実地に検証し、本調査の結果利活用上の留意点把握等を目的として実施されています。

質問事項
五の10 国勢調査の都議会議員定数への反映につき、所見を伺う。

回答
都議会議員の定数については、これまで国勢調査人口を基に都議会での議論、検討を経て議員提案による条例改正が行われてきました。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤れいな
質問事項
一 コロナ禍における教育活動について
二 わいせつ行為により懲戒免職となった教員への厳正な対応について
三 戦争の記憶を引き継いでいく為の取組について
四 公文書管理について

一 コロナ禍における教育活動について
コロナ禍において、さまざまな児童生徒にとって大変熱意を注いできた学校行事や協働的学びにつながるイベントなどが中止とされることが相次いでいる。感染状況の悪化等により、緊急事態宣言が発令される度に各地の児童生徒やその保護者より、感染防止対策を施した上で学校行事等が実施できるよう支援を求める声が届きます。適切にご対応いただきたく、以下伺わせていただきます。
今後、再び新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令されたとしても、学習や学校行事などが行えるよう最大限配慮すべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。

二 わいせつ行為により懲戒免職となった教員への厳正な対応について
1 過去に児童生徒に対してわいせつな行為をしたとして懲戒免職処分を受けたことを隠し、長期間にわたり教員として勤務していたということがわかり再度懲戒免職処分となるなどの事件があり、都内にとどまらず全国各地の保護者や子どもの育成に関わる方々からも不安の声を頂いています。
文部科学省では令和3年2月より教員採用権者に提供している「官報情報検索ツール」の検索可能な情報の期間を直近40年とするなどの対応をとられていますが、教員の採用にあたり懲戒免職処分を受けた者の情報を区市町村も含め教育委員会が把握する仕組みはどのようになっているのか?
2 教員がわいせつ事故を起こさないために、どのような未然防止の取組を行っているのか?

三 戦争の記憶を引き継いでいく為の取組について
都は3月10日を東京都平和の日と定め、毎年記念式典をはじめとした記念行事を行っています。戦争の記憶を次世代にしっかりと引き継いでいくためには、若い世代を含め多くの方が戦争の悲惨さを伝える資料や戦争体験者の話に直接触れる機会を提供することが重要です。
都は、建設が凍結された東京都平和祈念館(仮称)で展示するために寄贈を受けた遺品など、多くの空襲資料や東京空襲を体験した方たちの協力を得て作成した証言ビデオを保有しています。
この貴重な資料を積極的に活用し、多くの都民に見ていただくべきと考えますが見解を伺います。

四 公文書管理について
都では公文書管理条例において、政策の形成過程及びその実施については、この条例の定めるところに従い、文書を適正に作成、管理していかねばならないということを定められています。この際に、どの文書が政策の形成過程に係る文書であるのか、その基準や判断主体を明確にする必要があると考えます。
条例の第6条3項において、実施機関は、重要な事案の決定に当たっては経過等を明らかにする文書を作成しなければならないと規定されていますが、具体的にはどのような事案が「重要な事案」に当たるとしているのか、見解を伺います。

令和3年第一回都議会定例会
斉藤れいな議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 コロナ禍における教育活動について
今後、再び新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令されたとしても、学習や学校行事などが行えるよう最大限配慮すべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。

回答
都教育委員会は、昨年の5月の「緊急事態宣言」解除に伴う学校の再開に当たり「新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドライン」を策定しました。その後、都内の感染状況を踏まえ、6月と9月にガイドラインを改訂し、都立学校における感染予防の具体的方策や、教育活動の実施方針等を示しました。各学校はこのガイドラインに基づき、感染症対策を徹底しつつ、いかなる状況においても学びを継続できるよう、工夫して教育活動を行ってきました。また、感染予防や感染不安から登校できない児童・生徒に対しては、丁寧に心のケアや学習支援を行うなどしてきました。
例えば、都立高校の中には、分散登校により、対面での学習とオンラインによる学習を交互に実施したり、学年単位での体育祭やオンラインを活用した文化祭を行ったりする学校もありました。
今後とも、都教育委員会は、国の通知も踏まえ、各学校において、感染症対策を万全に講じた上で、教育活動を充実させることができるよう支援していきます。

質問事項
二 わいせつ行為により懲戒免職となった教員への厳正な対応について
1 文部科学省では令和3年2月より教員採用権者に提供している「官報情報検索ツール」の検索可能な情報の期間を直近40年とするなどの対応をとられているが、教員の採用にあたり、懲戒免職処分を受けた者の情報を区市町村も含め教育委員会が把握する仕組みはどのようになっているのか伺う。

回答
教員が懲戒免職処分を受けた場合は、法律により教育職員免許状が失効し、以後3年間再取得ができないことになっており、この免許の失効等の情報は、国の「官報情報検索ツール」により各教育委員会へ提供されています。
都教育委員会は、このツールを活用するとともに、区市町村教育委員会にもその活用を促しています。

質問事項
二の2 教員がわいせつ事故を起こさないために、どのような未然防止の取組を行っているのか伺う。

回答
都教育委員会では、教員の規範意識を高めるため、採用候補者へのガイダンスや、採用後の経験年数に応じた研修等において、服務の理解を促す機会を設定しています。
また、全公立学校に対して、校長等による日常的な指導に加え、年2回の校内研修を実施するよう義務付けています。
さらに、機会を捉えて服務の厳正について通知しているほか、懲戒処分発令の都度、処分公表資料及び服務事故防止を掲載した啓発資料を全教員に向けて配布し、情報共有と規範意識向上に取り組んでいます。

質問事項
三 戦争の記憶を引き継いでいく為の取組について
戦争の記憶を引き継いでいく為の取組について、都は、建設が凍結された東京都平和祈念館(仮称)で展示するために寄贈を受けた遺品など、多くの空襲資料や東京空襲を体験した方たちの協力を得て作成した証言ビデオを保有している。この貴重な資料を積極的に活用し、多くの都民に見ていただくべきと考えるが見解を伺う。

回答
都は、収集した資料を活用し、毎年3月10日の東京都平和の日に合わせて東京空襲資料展を開催し、昨年度は都内4か所の会場で展示を行うとともに、10区10市が主催する延べ23会場の資料展へ貸し出しを行いました。
加えて、証言映像についても、改めて証言者の同意を得てダイジェスト版を作成し、都が主催する東京空襲資料展で公開しています。
今後とも、保有する東京空襲関連資料をより多くの都民に見ていただけるよう、引き続き、広報の充実等、工夫を図っていきます。

質問事項
四 公文書管理について
公文書管理について、条例の第6条3項において、実施機関は、重要な事案の決定に当たっては経過等を明らかにする文書を作成しなければならないと規定されているが、具体的にはどのような事案が「重要な事案」に当たるとしているのか、見解を伺う。

回答
公文書等の管理に関する条例第6条第3項の「重要な事案」とは、実施機関の政策などの組織の基本的な方針、計画等に関わるものをいいます。
具体的には、決定権者が局長以上で都又は局等の政策決定に関わるもの、意思決定を伴わない場合であっても、局長以上の職にある者に対して説明を行ったときや、会議で局事業の方針に係る重要な判断が行われたときなどには、経過等を明らかにする文書として会議の説明の際の議事要旨、会議資料、説明資料等の作成と保存を義務付けています。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ
質問事項
一 スクールセクハラについて
一 スクールセクハラについて
学校の児童・生徒が被害に遭うスクールセクハラ、性犯罪の問題が深刻化しています。文部科学省に昨年12月に、2019年度にわいせつ行為やセクハラをして処分された公立小中高校などの教職員が273人いたことを発表しました。過去最多だった2018年度の282人に次ぐ多さで、このうち児童生徒に対するわいせつ行為での処分は半数に近い126人と発表されています。
教員から児童生徒へのスクールセクハラは、指導し評価する者と、教え子という力関係のなかで起こるため、児童生徒が被害を訴えにくく、また、とくに小中学生の場合は性的な行為の意味がわからず、相談をすることができずに長期間に渡って心身に影響を及ぼすことがあきらかになっています。
札幌市立中学校に在籍中に、男性教員に性暴力を受けた石田郁子さんが教員と札幌市を相手に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は昨年12月に、時効などにより損害賠償を認めなかったものの、教員による性行為の事実を認めました。石田さんは信用していた教員からの行為が性暴力だったと認識するまでに20年以上かかったと言います。また、石田さんが学校の教員からの性的被害について調査した結果、被害を認識できるまでに5年以上かかった人が5割以上のぼっていることがあきらかになっています。
1 児童・生徒たちの尊厳を傷つけ、長期にわたって影響を及ぼす教員からの性暴力やセクハラの問題の重大性について、都教育委員会の見解を伺う。
昨年11月の事務事業質疑でも取り上げましたが、政府が2020年6月に策定した「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」をうけて、文科省は、子どもが性暴力の加害者や被害者、傍観者のいずれにもならないよう、教育、啓発内容の充実、相談を受ける体制の強化、わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分、社会全体への啓発について、今後取り組みを強化していくとして、都道府県教育委員会に対して、この趣旨を踏まえた教育、啓発の強化について協力を求めています。厳正に対応していくためにも、実態を把握していくことが重要です。
2 東京都でわいせつ行為や性暴力による懲戒免職等の処分が行われた数について、5年間の経緯で伺います。
懲戒免職等の処分になるのは、ごくわずかで、表になるのは氷山の一角と言われています。千葉県では、特別支援学校を含む県立学校、市立小中学校の在籍者を対象に、「セクシャルハラスメント及び体罰に関する実態調査」を行っています。また神奈川県でも、県立学校のすべての生徒を対象に、セクハラに係るアンケート調査を行っています。
3 都教委では公立小中高等学校の児童・生徒全員を対象に、体罰のアンケートを行っていますが、セクハラについては行っていません。子どもたちに安心できる教育環境を保障していくためにも、都教育委員会として、実態調査に踏み出すことを求めますがいかがですか。
「子どもへのわいせつ行為の前歴がある人に、教員免許の再交付をしないでください」と署名を集めて国会に提出した全国学校ハラスメント被害者連絡会の保護者の方々にお話を伺いました。ある保護者の方は、娘さんが小学生のときに、教員からセクハラ行為を受けたことがきっかけで、学校に行けなくなったとのことです。学校で子どもたちの尊厳が傷つけられ、学習の機会も奪われるようなことはあってはなりません。前歴のある人に教員免許の再交付をしないように求める署名は国会への提出のあとも、延べ7万筆以上が寄せられているとのことです。
法務省が行っている再犯率の調査では、小児わいせつでは、再犯率が10%、同種犯罪での前科が2回以上ある人に関しては約85%までになることがあきらかになっています。
4 こうした調査から、小児わいせつは再犯率が高いと言われていますが、都教育委員会では、教員の採用時にわいせつ行為による処分歴については確認をしているのか伺います。
WHOやアメリカでは、子どもに対して性的欲求を抱くことが小児性愛として精神障害の1つと分類されています。性犯罪者の治療に携わっている筑波大学の原田隆之教授は、治療のために必要なのは犯罪を誘発する「引き金」に近寄らせないことが必要だと述べています。子どもがそばにいるだけで理性が及ばず、引き金が引かれる可能性がある以上、教員免許を再取得させて学校に戻すということは再犯リスクにつながるということです。
「官報情報検索ツール」は2018年以降、文科省が都道府県教委などに提供し、教員免許の失効に関する情報が検索できるようになっていましたが、処分から3年後以降に教員免許の再交付を受けた後は検索ができずに、それ以前の処分歴を隠して再任された教員が再びわいせつ行為におよぶリスクが指摘されていました。子どもを性暴力やわいせつ行為から守ろうという世論の高まりのなかで、本年2月から40年間へと検索範囲が広がったことは重要です。しかし、この一覧には戒告や減給の場合は掲載されません。免許失効にならなくても、わいせつ行為による戒告や減給を受けている場合は、保護者として心配だという声があります。こうした声をよく聞いて、都教育委員会として、子どもを守る最善の対策を行うように求めます。
5 子どもたちを守るためには、教員への啓発やわいせつ行為への厳正な対応とともに、子どもたちにどんなことがわいせつ行為や性暴力なのか、また、被害に遭ったときに我慢しなくてよいことを教え、相談できる場所があることを伝えることが重要です。神奈川県では、被害を受けた児童・生徒からの相談に対応するため専用の窓口を県立学校対象に、県教育委員会内に設置しています。どういうことがセクハラ行為なのかを例示し、学校内外の相談窓口を掲載したポスターやリーフレットを作成して、児童・生徒に配布しています。こうした先進例に学んで、都教育委員会としても取り組みを進めるべきと考えますが、いかがですか。
スクールカウンセラーやSNS相談、また教員向けの人権教育プログラムなど、都教育委員会が現在行っている取り組みでは、スクールセクハラの問題は、他のことと一緒に扱われているため、新たな教育や注意喚起になかなかつながりません。神奈川県では、児童生徒向けのポスターやリーフレット、また教員向け資料もスクールセクハラを単独に扱っていて、子どもたちにもよりわかりやすいものになっています。さらに、学校現場の負担を減らし、児童生徒が第三者に話しやすいようにするために、県教育委員会内にスクールセクハラの相談窓口を設置しています。
6 スクールセクハラを単独に扱って、新たな教育や注意喚起につなげる重要性について都教育委員会はどのように認識していますか。政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」をうけて、都教育委員会も対策を強化する必要があるなか、こうした先進例を学んで、取り組みを進めるよう求めますが、いかがですか。
昨年11月の質疑では、「児童生徒が性暴力の被害者、加害者、傍観者のいずれにもならないようにするためには、学校において、危険を予測し回避する能力、生命を尊重する態度、お互いを思いやる心などを育む教育を充実させることが重要」という答弁が指導部長からありました。
性暴力は人間の尊厳を傷つける重大な人権侵害です。先のご答弁のとおり、児童生徒、また教員にとっても、性暴力の加害者にも被害者にも、また傍観者にもならないためにも必要なのが、性教育の実践ではないでしょうか。
7 この間、学校での性教育がないために、どういうことが暴力なのかわからず、適切な相談や対応につなげることができずに子どもたちを守れない事態が続いています。子どもたちを性犯罪や予期せぬ妊娠から救うためにも、性教育の重要性が増しています。従来の取り組みだけでなく、都教委として何ができるか、探求していく必要があると考えますが、都教育委員会の見解と今年度の取り組みについて伺います。
今年度はコロナ禍にあっても、取り組みができるように、産婦人科医を活用した講話を映像にして授業を行ったり、教員の指導力の向上を図るために研修動画を作成したり、取り組みを進めていただいているところだと思います。
しかし、今の子どもたちが置かれている現状を出発点にみて、また世界の性教育の到達点からみても、日本の取り組みはまだまだ子どもたちの健やかな発達を支えていくうえで、不十分だと言わなければなりません。
私は足立区内で総合の時間を活用して人権教育と位置付けた性教育の授業をまた拝見させていただきました。昨年は多様な性・LGBTQの授業を見せていただきましたが、今回はデートDVについて考える授業でした。ロールプレイングを通して、話し合う授業は、生徒も先生もとても生き生きとしていました。お互いの気持ちを尊重し、人権があることを理解して、豊かな人間関係を築いていくことは、人生を幸せに生きることにつながるんだ、という先生の言葉に、大人も学びを深め、感銘を受ける内容でしたし、何よりも子どもたちがとても楽しく前向きに学んでいる様子でした。
日本やこの東京で、性教育を当たり前のこととして教えられるときがくるまでにはまだまだ条件整備の課題が多くあると思います。しかし、歩みを進めなければ、いつまでも辿り着けません。都教育委員会が、こうした先進事例の視察から体感し、学んでいただけるように強く求めるものです。

令和3年第一回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 スクールセクハラについて
1 児童・生徒たちの尊厳を傷つけ、長期にわたって影響を及ぼす教員からの性暴力やセクハラの問題の重大性について、都教育委員会の見解を伺う。

回答
児童・生徒を守り育てる使命を持つ教職員が、その立場を利用して児童・生徒に対してわいせつ行為等を行うことは、被害に遭った子供たちの心と尊厳を大きく傷つけるものであるとともに、児童・生徒や保護者に対する重大な背信行為であり、断じてあってはなりません。

質問事項
一の2 都でわいせつ行為や性暴力による懲戒免職等の処分が行われた数について、5年間の経緯で伺う。

回答
過去5年間に、児童・生徒に対し、わいせつ行為やセクシュアル・ハラスメントを行った教職員に対する懲戒処分件数は、平成27年度6件、28年度15件、29年度8件、30年度13件、令和元年度11件です。

質問事項
一の3 都教委では公立小中高等学校の児童・生徒全員を対象に、体罰のアンケートを行っているが、セクハラについては行っていない。子どもたちに安心できる教育環境を保障していくためにも、都教育委員会として、実態調査に踏み出すことを求めるが見解を伺う。

回答
各学校では、児童・生徒が教員との関わり方について不安や悩みなどがある場合には、学級担任のほか、スクールカウンセラーや養護教諭など、話しやすい教職員に相談を行うよう促しています。
また、学校だけでなく、東京都教育相談センターや区市町村教育委員会が設置する教育相談所などでも、悩みを抱える子供達からの相談に応じており、これらを含めて様々な相談窓口の連絡先を、児童・生徒に定期的にお知らせしています。
今後とも、児童・生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、環境づくりに努めてまいります。

質問事項
一の4 法務省が行っている再犯率の調査では、小児わいせつでは、再犯率が10パーセント、同種犯罪での前科が2回以上ある人に関しては約85パーセントまでになることがあきらかになっている。こうした調査から、小児わいせつは再犯率が高いと言われているが、都教育委員会では、教員の採用時にわいせつ行為による処分歴については確認をしているのか伺う。

回答
わいせつ行為に限らず、教員が、懲戒免職処分を受けた場合は、法律により教育職員免許状が失効し、以後3年間再取得ができないこととなっています。
免許の失効・取上げ情報は、国の「官報情報検索ツール」により提供されており、都教育委員会は同ツールを活用し、懲戒免職処分歴を把握しています。

質問事項
一の5 神奈川県では、被害を受けた児童・生徒からの相談に対応するため専用の窓口を県立学校対象に、県教育委員会内に設置している。どういうことがセクハラ行為なのかを例示し、学校内外の相談窓口を掲載したポスターやリーフレットを作成して、児童・生徒に配布している。こうした先進例に学んで、都教育委員会としても取り組みを進めるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、児童・生徒が、セクシュアル・ハラスメントの被害を含む様々な不安や悩み等について、ちゅうちょすることなく相談できるよう、都内公立小・中・高等学校にスクールカウンセラーを配置するなど、学校における相談しやすい環境の構築を図っています。
また、都教育相談センターにおいて、児童・生徒・保護者を対象とした面接や電話による相談、中・高生を対象としたSNS相談等を実施しており、これらの相談窓口やその他の関係機関が実施している様々な相談窓口の連絡先を、児童・生徒に定期的に周知しています。
さらに、人権教育の実践的な手引として、都内公立学校の全ての教員に配布している「人権教育プログラム」に、セクシュアル・ハラスメントを含む人権課題「ハラスメント」に関わる指導事例等を掲載し、学校における指導の充実を図っています。
引き続き、児童・生徒がいつでも、どんなことでも安心して相談できるよう、相談体制等の充実を図ってまいります。

質問事項
一の6 スクールセクハラを単独に扱って、新たな教育や注意喚起につなげる重要性について都教育委員会はどのように認識しているか。政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」をうけて、都教育委員会も対策を強化する必要があるなか、こうした先進例を学んで、取り組みを進めるよう求めるが、見解を伺う。

回答
教職員が、児童・生徒等に対するセクシュアル・ハラスメント等により、児童・生徒等の心と尊厳を傷付けることは、断じて許されるものではなく、セクシュアル・ハラスメント等の根絶に向けた取組を徹底することが重要であると認識しています。
今後とも、これまでの取組に加え、文部科学省が示す予定の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」等を踏まえ、セクシュアル・ハラスメントの被害の未然防止に向けた児童・生徒等への教育の推進を図っていきます。

質問事項
一の7 子どもたちを性犯罪や予期せぬ妊娠から救うためにも、性教育の重要性が増している。従来の取り組みだけでなく、都教委として何ができるか、探求していく必要があると考えるが、都教育委員会の見解と今年度の取り組みについて伺う。

回答
学校における性教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、学習指導要領の内容を踏まえ、児童・生徒が性に関する正しい知識を身に付け、今日的な課題にも適切な行動を選択できるよう進めていく必要があります。
そのため、都教育委員会は、これまで実施してきた産婦人科医を活用した授業について、令和2年度は、コロナ禍により講師の来校が難しかったことから、講話を収録した映像資料による授業を中学校19校で実施しました。また、教員の指導力向上を図るため、平成30年度に改訂した「性教育の手引」に掲載している性教育の目的や意義、指導方法等に関する研修動画を作成・配信しました。
今後、これらの実践事例や研修動画の活用について、区市町村教育委員会の担当者連絡会や保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知することにより、引き続き、各学校における性教育の適切な実施を支援していきます。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ
質問事項
一 東京都看護師等修学資金について

一 東京都看護師等修学資金について
新型コロナウイルス感染症が蔓延し、医療機関が逼迫する中、医療従事者の増員は喫緊の課題です。中でも、病棟運営の根幹となっているのが看護師です。しかし看護師は女性が占める割合が高く、中堅となる年齢になると同時に、職員数も減少する特徴があります。夜勤があるという特殊な労働条件の中においても、看護師が不足することのないよう、東京都は看護師の養成・定着・再就業への支援を行う必要があります。
私は東京都立医療技術短期大学の看護学科に通っていた3年間、東京都の看護師等修学資金を借りていました。経済的な問題があっても看護師を目指すことができ、学業に集中できたのは、都の修学資金があったからです。
コロナ禍により経済的に困難となる家庭が多い中においても、看護師を志望する方があきらめることなく就学できることは重要です。
1 東京都が看護師等修学資金を行う意義は、なんですか?
現在、看護師等修学資金には、設置主体による違いや、2年生の准看護師、3年生の看護師による違いによって金額が異なる第1種と、一律2万5,000円の第2種とがあります。私は当時、どちらもお借りすることができましたが、第1種は返済免除規定があったため、卒業後都内の指定の民間医療機関に5年以上勤務することによって、返済が免除されました。
2 看護師等修学資金に返済免除規定があるのはなぜですか?その期間についても理由を教えてください。
返済免除は、指定の施設で一定期間就業することが条件となっていますが、診療所や、保健師であれば特定町村という場合も含まれる一方、これまでは訪問看護ステーションは4年目以降に就業する場合しか指定施設には含まれていませんでした。
私は2018年の本会議一般質問にて、医療現場や看護協会からも、返済免除となる施設に訪問看護も含めてほしいという要望が出されていると訴えてきました。その理由は、看護学生の間でも、利用者を生活そのものから支え、生き生きと働いている訪問看護師の姿を見て、卒業直後に訪問看護を希望する人も増えていたからです。都の調査でも、病棟に比べ訪問看護では利用者とじっくり関わることができる、やりがい・生きがいをもてる仕事であると答える割合が高いと報告されています。改めて、看護師等修学資金の返済免除となる指定施設の中に、訪問看護を含めるよう要望いたします。
3 また、2021年度の予算案概要では、貸与月額などに変更が見られていますが、これはどういう理由から変更されたのですか?
4 看護師等修学資金の変更について、いつ入学の学生から適用されるのですか?その場合の、返済免除となる条件が変更となる時期についても教えてください。
看護師等修学資金は、地方から東京の学校に入学する学生にとっても、生活を支え、就業を継続するために大変重要な制度となっています。また、学生の志望する職業で看護師は常に上位であり、こうした学生に対して、経済的な理由で将来をあきらめなくていいというメッセージにもなります。さらに修学資金を借りた学生が看護師として就労する場合は、その就職先についても、多くの選択肢を作っていただくよう、要望いたします。

令和3年第一回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都看護師等修学資金について
1 コロナ禍により経済的に困難となる家庭が多い中においても、看護師を志望する方があきらめることなく就学できることは重要である。都が看護師等修学資金を行う意義について伺う。

回答
都の修学資金貸与制度は、都内の看護師等の養成施設に在学する者や、看護師免許を取得し都内の大学院の修士課程に在学する者で、将来、都内で看護業務に従事しようとする者に対し修学資金を貸与し、修学を容易にすることにより、都内の看護職員の確保及び質の向上に資することを目的としています。

質問事項
一の2 看護師等修学資金に返済免除規定があるのはなぜか伺う。その期間についても理由を伺う。

回答
都の修学資金貸与制度は、将来、都内で看護業務に従事しようとする者に対し修学資金を貸与することにより、都内の看護職員の確保を図ることを目的としていることから、都の指定施設等での従事を要件とした返還免除規定を設けています。
第一種貸与の返還免除要件は、看護師等の養成施設を卒業した者は都内の指定施設で5年間従事した場合、大学院の修士課程を卒業した者は都内の施設で5年間従事した場合となっています。
なお、本制度は国の制度として開始された経緯から、国が定めた要件と同様の扱いとしています。

質問事項
一の3 2021年度の予算案概要では、貸与月額などに変更が見られているが、これはどういう理由から変更されたのか伺う。

回答
都の修学資金貸与制度は、これまで、看護師、助産師などの養成課程ごとに一律に貸与金額を定めていましたが、金額を選択できるようにするなど、より多くの方が利用できるよう個別の事情等に応じたものとする考えです。

質問事項
一の4 看護師等修学資金の変更について、いつ入学の学生から適用されるのか伺う。その場合の返済免除となる条件が変更となる時期についても伺う。

回答
都の新たな修学資金貸与制度は、令和4年4月以降に実施する予定です。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ
質問事項
一 5Gのインフラ整備について
一 5Gのインフラ整備について
都は、デジタル社会に対応するとして、5G基地局を都内各地に設置する方針です。
科学技術の進歩は、社会の発展に貢献する役割を果たしますが、一方で、人体や環境への影響も十分な配慮が必要と考えます。
5Gについては、その活用について、様々な分野で実証実験がされています。イベントの中継映像や、工事車両の遠隔操作など多岐にわたります。
その一方、強力な電磁波を発しますから、健康へのリスクが懸念されています。
5Gが、都民の不安、懸念にきちんと応え、適切に活用されることを望む立場から、以下、質問します。
1 5G基地局は、都有施設にも多く設置されます。例えば、オリンピック・パラリンピック準備局所管のスポーツ施設では、東京スタジアム、武蔵野の森スポーツプラザ、有明アリーナ、有明アクアティクスセンター、東京体育館があります。オリンピック・パラリンピック準備局の2021年度予算案の概要によると、使用料及手数料収入は、8,291万9千円で、2020年度比で379.2%増になっています。
5G基地局設置で、使用料・手数料は、どのような事業者が、どれだけの負担をするのでしょうか。また、使用料・手数料の額は、どのような根拠により算定されるのでしょうか。お答えください。
2 5Gは、強い電磁波による被曝が心配されています。5Gで使われるマイクロ波、ミリ波の安全性の立証がされていないことが、不安を広げています。東京都は、5Gの電磁波が、人体にどのような影響を及ぼすか、把握、または検証していますか。
3 国内の地方議会では、5G被曝を出さないよう求める陳情が出され、また、電磁波過敏症の子ども達への配慮が必要であるとの論議が進んでいます。都議会でも、わが党の原のり子議員が、昨年11月12日の総務委員会で、住民から出された要望に基づき、5Gの電磁波に対する都民不安に、東京都が対応するよう求めています。
世界保健機構・WHOは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定めた国際ガイドラインを認めていますが、海外では、健康リスクがわかるまで5G波を使用しないとしている国や、地方自治体があります。
東京都は、海外の国々や、自治体の動向を把握していますか。諸外国の状況をお示しください。
4 5G波被曝のリスクは、ガンの発生、男性不妊、先天異常などの調査が進んでいて、被曝をできるだけ抑える努力が必要とされています。東京都にも努力が求められる問題です。都は、調査、研究について、どのようにお考えですか。お答えください。
5 5G電磁波の影響について、第三者機関で調査すべきと考えますが、いかがですか。
6 総務委員会で原のり子議員は、5G基地局設置場所周辺の住民に対しての説明会が必要だと、都に要望しています。都は「施設管理者からアンテナ基地局の設置者である通信事業者に対しまして、必要に応じて説明会を開催するなど、近隣にお住まいの方などへの説明を行うよう求めてまいります」と答弁しています。
基地局設置者である通信事業者の判断に委ねると受け取れる答弁です。
設置の際は事前に、通信事業者に住民説明会を開催させること、また、東京都が有する施設については、都が責任を持って説明会を開催すること、そして大前提として都民への情報公開をきちんと行うことなどを明確にしていただきたいと思いますが、御所見をお聞きします。
7 5G基地局の設置に関して、周辺住民への相談窓口を設置するべきと考えますが、いかがですか。
8 5G基地局は、建物の外に設置されるものだけでなく、小型で地下に設置されるものもあります。道路を歩行する人々の被曝も想定されます。
都は、あらゆる場合を想定し、人体への健康リスクを防ぐための5G基地局など電磁波のインフラ整備に関する条例を制定する必要があると考えます。都の御所見を伺います。

令和3年第一回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 5Gのインフラ整備について
1 5G基地局設置で、使用料・手数料は、どのような事業者が、どれだけの負担をするのか伺う。また、使用料・手数料の額は、どのような根拠により算定されるのか伺う。

回答
都保有アセットへの5Gアンテナ基地局の設置は、他の設備等の設置と同様に、通信事業者の申請に対して使用許可の手続が行われており、東京都行政財産使用料条例に基づき算定された使用料を当該事業者から徴収しています。

質問事項
一の2 5Gは、強い電磁波による被曝が心配されている。5Gで使われるマイクロ波、ミリ波の安全性の立証がされていないことが、不安を広げている。都は、5Gの電磁波が、人体にどのような影響を及ぼすか、把握、または検証しているか伺う。

回答
電波については、人体に対する安全性を確保するため、国が電波防護指針を策定しています。
本指針は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の定めた国際的なガイドラインと同等であり、世界保健機関(WHO)もこのガイドラインを支持しています。
5Gの実用化に当たっても、高周波領域における電波防護指針の改定等を踏まえ、無線設備規則等の改正がなされており、国が電波法に基づき運用を図っているものと認識しています。

質問事項
一の3 国内の地方議会では、5G被曝を出さないよう求める陳情が出され、また、電磁波過敏症の子ども達への配慮が必要であるとの論議が進んでいる。海外では、健康リスクがわかるまで5G波を使用しないとしている国や、地方自治体がある。都は、海外の国々や、自治体の動向を把握しているか。諸外国の状況を示すよう求める。

回答
諸外国では、様々な内容の報道がされています。国内では、電波については、人体に対する安全性を確保するため、国が電波防護指針を策定しています。
本指針は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の定めた国際的なガイドラインと同等であり、世界保健機関(WHO)もこのガイドラインを支持しています。
5Gの実用化に当たっても、高周波領域における電波防護指針の改定等を踏まえ、無線設備規則等の改正がなされており、国が電波法に基づき運用を図っているものと認識しています。

質問事項
一の4 5G波被曝のリスクは、ガンの発生、男性不妊、先天異常などの調査が進んでいて、被曝をできるだけ抑える努力が必要とされている。都にも努力が求められる問題である。調査、研究について見解を伺う。

回答
5G携帯電話の電波については、国内では国が調査や専門家からの意見聴取等を実施し、電波法令による規制を行っていると認識しています。

質問事項
一の5 5G電磁波の影響について、第三者機関で調査すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
5G携帯電話の電波について、国が調査や専門家からの意見聴取等を実施しています。

質問事項
一の6 総務委員会で原のり子議員は、5G基地局設置場所周辺の住民に対しての説明会が必要だと、都に要望している。設置の際は事前に、通信事業者に住民説明会を開催させること、また、都が有する施設については、都が責任を持って説明会を開催すること、そして大前提として都民への情報公開をきちんと行うことなどを明確にしていただきたいと思うが、見解を伺う。

回答
5Gアンテナ基地局設置に当たり、都のアセット開放の取組においては、アンテナを設置する通信事業者が必要に応じて、近隣住民などに対し説明をしているものと認識しています。

質問事項
一の7 5G基地局の設置に関して、周辺住民への相談窓口を設置するべきと考えるが、見解を伺う。

回答
電波に関する各種の相談については、電波法を所管する総務省及び各総合通信局に相談窓口が設置されています。

質問事項
一の8 5G基地局は、建物の外に設置されるものだけでなく、小型で地下に設置されるものもある。道路を歩行する人々の被曝も想定される。都は、あらゆる場合を想定し、人体への健康リスクを防ぐための5G基地局など電磁波のインフラ整備に関する条例を制定する必要があると考える。見解を伺う。

回答
5Gを含めた携帯電話基地局は、国が電波法令の規制基準値を満たしていることを確認した上で設置されています。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 星見てい子
質問事項
一 子どもショートステイの推進について
二 児童養護施設等の職員確保と育成について
三 駅にアクセスできる障害者用乗降場の設置について

一 子どもショートステイの推進について
1 地域での子育てを支える子どものショートステイは、保護者の入院等により一時的に養育困難な状況が生まれた場合に、子どもを預かり支援する事業として役割を発揮しています。また、保護者の育児への不安や疲れからの回復を促し、子どもへの虐待を未然に防ぐうえでも効果を発揮しており、更なる拡充が重要です。新年度の、ショートステイの位置づけと事業の展開について伺います。
2 コロナ禍で、子育て家庭は、経済的に大きな打撃をうけ、就労の不安定な家庭が急増しています。「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の報告によると、とりわけ、ひとり親家庭は、支援を申請したうち、「非正規雇用・無職・休職中が7割」という深刻な状況です。
子どものショートステイ事業の利用料設定は、各自治体に任されており、1日3,000円・1泊6,000円程度で、ひとり親家庭や生活保護家庭への減額も様々です。この利用料が払いきれない家庭は使えません。必要な家庭が、安心してショートステイ事業を利用できる額に引き下げる必要があります。都として、区市町村と調整をして、ショートステイの利用料の引き下げをすすめるべきです。見解を伺います。
3 東京都は、独自事業で展開している要支援家庭を対象としたショートステイ事業では、実施場所になっている児童養護施設等の人件費を年間約600万円の補助を行っています。しかし、子どものショートステイには、人件費補助がありません。制度を事業化している区市町村は、実施を受けた各施設等に年間の定額補助を出し、この補助が施設等での職員確保に充当されていますが、自治体によって補助額に大きな格差があり、事業拡大を困難にしています。都は、区市町村ごとに、この実態を把握していますか。ショートステイの財源は、国が3分の1、都が3分の1、区市町村が3分の1です。これに加えて、都として、ショートステイへの独自補助を設け、自治体によって補助額が大きく違う施設等への年間の定額補助を底上げするべきです。見解を伺います。
4 子どものショートステイや要支援家庭を対象としたショートステイ事業を利用する子どもが、落ち着いて短期入所生活を送るためには、実施場所に独自の居室の確保等が必要です。国の制度も活用し、ショートステイの実施に伴う施設の増・改修への補助を実施すべきです。見解を伺います。

二 児童養護施設等の職員確保と育成について
1 家庭で虐待を受けた子どもをはじめ、様々な情緒・行動上の問題を抱える子どもが、コロナ禍で増えています。このような中で、児童養護施設、乳児院、児童自立支援施設や自立援助ホームなど、社会的養護を支えている施設の役割・重要性をどのように認識しているのかを伺います。
2 施設の小規模化や地域分散化の促進、グループホーム等での家庭的な養育環境の促進等で、国から自立支援員等の職員配置の拡大や配置の制度改善が示され、職員確保が事業推進の要になっています。また、児童養護施設等には、一時保護児童の受け入れや地域での子どもショートステイ事業など多機能的な役割も求められています。しかし、「3年間で、退職して行く職員が多い」などの実態もあり、職員確保と定着、専門的な育成が課題になっています。社会的養護の施設職員の人材確保の重要性をどのように認識していますか。都として人材確保への支援のさらなる充実が必要です。見解をうかがいます。
3 都が独自に実施している社会的養護の各施設職員への家賃補助制度は重要です。しかし、保育士の宿舎借り上げ支援制度に比べて、施設側の負担額が大きい等、職員の確保、専門職の育成を進めるうえで、更なる充実が求められています。見解を伺います。

三 駅にアクセスできる障害者用乗降場の設置について
車椅子等を利用している都民から、「介護タクシーやハンディキャップ等の車を利用して駅にアクセスする時に、駅前に障害者用乗降場が無い駅が多く、遠くの駅まで行かざるを得ない」「時間や費用もかかり、日常生活に支障が出ている」と改善を求める声が出ています。
1 駅前広場において、介護を必要としている高齢者や障害者等の利用に配慮した障害者用の乗降場は、どのような規定によって設置されているのかを伺います。
2 都道で、障害者用の乗降場が設置されているところは何か所ありますか。また、その中で、駅利用のために設置された、障害者用の乗降場は、ありますか。
3 目黒駅や中目黒駅は、目黒通り、山手通りとそれぞれ都道に面していますが、障害者用の乗降場がありません。障害者用の車を利用する都民から、駅にアクセスするために、障害者用の乗降場の設置を求める声があります。設置の調査・検討を行うべきです。見解を伺います。

令和3年第一回都議会定例会
星見てい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 子どもショートステイの推進について
1 地域での子育てを支える子どものショートステイは、保護者の入院等により一時的に養育困難な状況が生まれた場合に、子どもを預かり支援する事業として役割を発揮している。また、保護者の育児への不安や疲れからの回復を促し、子どもへの虐待を未然に防ぐうえでも効果を発揮しており、更なる拡充が重要である。新年度の、ショートステイの位置づけと事業の展開について伺う。

回答
国の短期入所生活援助事業、いわゆるショートステイは、保護者の疾病その他の理由により家庭で児童を養育することが一時的に困難となった場合等に、一定期間、養育・保護することにより、これらの児童及びその家庭の福祉の向上を図ることを目的とするもので、区市町村が地域の実情に応じて実施しています。
これに加え、都は独自に、虐待のリスク等が見られる要支援家庭を対象としたショートステイに取り組む区市町村を支援しています。

質問事項
一の2 子どものショートステイ事業の利用料設定は、各自治体に任されており、1日3,000円、1泊6,000円程度で、ひとり親家庭や生活保護家庭への減額も様々である。必要な家庭が、安心してショートステイ事業を利用できる額に引き下げる必要がある。都として、区市町村と調整をして、ショートステイの利用料の引き下げをすすめるべきである。見解を伺う。

回答
ショートステイの利用料は、事業の実施主体である区市町村が定めています。
都は、ショートステイの利用枠を常時確保する区市町村を独自に支援しており、児童又は家庭の状況により利用がやむを得ないと区市町村が認めた場合は、所得にかかわらず利用者の負担を免除するよう取扱要領で定めています。

質問事項
一の3 制度を事業化している区市町村は、実施を受けた各施設等に年間の定額補助を出し、この補助が施設等での職員確保に充当されているが、自治体によって補助額に大きな格差があり、事業拡大を困難にしている。都は、区市町村ごとに、この実態を把握しているか。ショートステイの財源は、国が3分の1、都が3分の1、区市町村が3分の1である。これに加えて、都として、ショートステイへの独自補助を設け、自治体によって補助額が大きく違う施設等への年間の定額補助を底上げするべきである。見解を伺う。

回答
都は、ショートステイの当日受入れを可能とする体制を整備する区市町村に対し、平成30年度から子供家庭支援区市町村包括補助事業で独自に経費を補助しており、補助率は、開始から3年間は10分の10、それ以降は2分の1となっています。
利用枠を常時確保している自治体は、令和2年度交付申請ベースで19であり、これら自治体における利用枠の数や施設への支払金額を把握しています。

質問事項
一の4 子どものショートステイや要支援家庭を対象としたショートステイ事業を利用する子どもが、落ち着いて短期入所生活を送るためには、実施場所に独自の居室の確保等が必要である。国の制度も活用し、ショートステイの実施に伴う施設の増・改修への補助を実施すべきである。見解を伺う。

回答
ショートステイを社会福祉施設等で実施する場合、必要な増改築や改修等の費用は、国の次世代育成支援対策施設整備交付金の対象になります。

質問事項
二 児童養護施設等の職員確保と育成について
1 家庭で虐待を受けた子どもをはじめ、様々な情緒・行動上の問題を抱える子どもが、コロナ禍で増えている。このような中で、児童養護施設、乳児院、児童自立支援施設や自立援助ホームなど、社会的養護を支えている施設の役割・重要性をどのように認識しているのか伺う。

回答
児童養護施設等に入所している児童は、被虐待児や発達障害がある児童などケアニーズが高い者が多く、その養育や自立を支援するに当たり、施設は重要な役割を果たしています。

質問事項
二の2 施設の小規模化や地域分散化の促進、グループホーム等での家庭的な養育環境の促進等で、国から自立支援員等の職員配置の拡大や配置の制度改善が示され、職員確保が事業推進の要になっている。社会的養護の施設職員の人材確保の重要性をどのように認識しているか。都として人材確保への支援のさらなる充実が必要である。見解を伺う。

回答
児童養護施設等では、虐待を受けた児童や障害がある児童等が増えており、一人ひとりの児童に適切に対応するためには、質の高い人材の確保・育成が必要です。
都は、施設への就職を希望する実習生を指導する職員の代替職員に係る経費や、児童指導員を目指す者を補助職員として雇う経費などを補助するほか、独自に職員宿舎を借り上げる事業者を支援しています。

質問事項
二の3 都が独自に実施している社会的養護の各施設職員への家賃補助制度は重要である。しかし、保育士の宿舎借り上げ支援制度に比べて、施設側の負担額が大きい等、職員の確保、専門職の育成を進めるうえで、更なる充実が求められている。見解を伺う。

回答
都は、令和元年度から職員宿舎を借り上げる児童養護施設等に対し、一戸当たり月額8万2千円を上限に賃借料等の半額を独自に補助しています。
また、国に対し、児童養護施設等の人材確保及び定着を図るため、職員宿舎を借り上げる事業者に補助するよう提案要求しています。

質問事項
三 駅にアクセスできる障害者用乗降場の設置について
1 駅前広場において、介護を必要としている高齢者や障害者等の利用に配慮した障害者用の乗降場は、どのような規定によって設置されているのかを伺う。

回答
国の「道路の移動等円滑化整備ガイドライン」において、駅前広場で自家用車乗降場を設置する場合は、車いす使用者の利用に配慮したものを1以上設けることが望ましいとされています。

質問事項
三の2 都道で、障害者用の乗降場が設置されているところは何か所あるか。また、その中で、駅利用のために設置された、障害者用の乗降場は、あるか伺う。

回答
都道において、障害者用等を含め自家用車乗降場を設置しているところはありません。

質問事項
三の3 目黒駅や中目黒駅は、目黒通り、山手通りとそれぞれ都道に面しているが、障害者用の乗降場がない。障害者用の車を利用する都民から、駅にアクセスするために、障害者用の乗降場の設置を求める声がある。設置の調査・検討を行うべきである。見解を伺う。

回答
目黒駅や中目黒駅の駅前の都道区域における障害者用の乗降場については、バスやタクシーの乗降場など、沿道の利用状況から、設置スペースの確保に課題があります。また、設置に当たっては、交通管理者等との調整が必要です。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子
質問事項
一 特別支援学校高等部卒業生の進路について
二 大規模特別支援学校の教育条件の改善について
一 特別支援学校高等部卒業生の進路について
特別支援学校を卒業した生徒の進路についてうかがいます。
国連「障害者権利条約」は2006年に国連総会で採択され、日本は2014年に批准しています。第24条には「教育」についての記述があります。ここでは、「締約国は教育についての障害者の権利を認める。締約国はこの権利を差別なしの教育制度及び生涯学習を確保するとあります。また、締約国は、障害者が差別なしにかつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を享受することができることを確保するとも述べられています。
しかし、実際はどうでしょうか。特に特別支援学校高等部卒業生は、自身の希望に沿った進路を選び、生涯学習を体験する機会はあるのでしょうか。
練馬区内にある自立訓練事業所「More Time ねりま」にうかがい通所者の方々に話を聞きました。
この施設に通所することになったきっかけは様々ですが、共通しているのは、高等部卒業までの間にじっくりと自分の進路について考えるゆとりがなく、職場などでうまくいかず、行き詰ってしまった方が多いということでした。また、もっと学びたいという方もいます。以前も紹介しましたが、この事業所では性教育や多様性を学び、自分らしく生きることを学んでいきます。また、生活の基礎を知り、調理などを通じて主体的につくることを学んでいく。さらに、意欲を持って働くことを学ぶために、将来の夢を語ったり、職場見学も行っています。人生を豊かにするために、文化や教養を身につける講座も開催をしています。希望者は、文科省の補助事業である生涯学習にも参加ができます。多種多様なプログラムを体験することもできます。
人間形成に必要な豊かな経験は、高等部3年間では得られないものがあると思いました。
昨年11月に特別支援学校高等部卒業生の進路について質問させていただきましたが、
1 知的障害を持つ生徒の進学率についてたずねたところ、過去五年間の大学及び短期大学などの進学率と生徒の進路希望や保護者の意向に応じて多様な進路先の中から自分の適性に合った選択を行えるよう適切に指導しているとお答えになっています。
では、5年間でどこの大学や短期大学が受け入れてくれていますか。
2 都は、特別支援教育推進室に東京都就労支援員を配置し支援をしており、実習先や就労につながる事業所に就職するなどの実績を積み、各学校ではおおむね3年間の定着支援も行っていると聞いています。
3年間の定着率について過去10年分お答えください。
3 特別支援学校によっては、自立訓練事業所関係者があいさつに行くと、就労率に響くからと生徒や保護者に紹介するのを断られたこともあるそうです。生徒や保護者、また教員自体が情報を知らないのでは進路の選択肢も広がらないのではありませんか。そもそも就労率を上げることを都教委が推奨しているわけですから、選択肢の広がりは見込めません。
特別支援学校にさまざまな選択肢があることを周知し、自立訓練事業所などのパンフレットも置けるよう通知すべきですがいかがですか。
4 特別支援学校高等部在学中に、卒業後の「生涯学習」について生徒や保護者に情報提供はあるのでしょうか。

二 大規模特別支援学校の教育条件の改善について
都立特別支援学校は、児童・生徒数の増加に加え、都教育委員会が隣接する2つの特別支援学校の統合をすすめたことにより、児童生徒数が300人、400人を超える大規模校が多数存在します。これらの学校では、校舎を改築して数年しか経過していないのに、すでに教室不足となり、カーテンやパーテーションで間仕切りをしたり、特別教室を普通教室に転用したりする状況が生じています。
私は先日、鹿本学園を視察しました。鹿本学園は、江戸川特別支援学校と小岩特別支援学校が統合し、白鷺特別支援学校の中学部も移転して2014年に開校した特別支援学校です。肢体不自由部門は小中高等部、知的障害部門は小中学部があり、2020年度の児童・生徒数は455名、106学級の大規模校です。
6年前の2015年1月に知的障害部門の新校舎が竣工しましたが、すでに教室不足が生じ、知的障害部門の生徒が肢体不自由部門の校舎を使用し、両部門ともいくつかの教室をカーテンやパーテーションで区切って複数の学級で使用しています。感染防止のため子どもたちのいない時間帯に伺いましたが、学習内容がまったく違う6年生と4年生がカーテンで仕切って同居している教室もあり、決して良い教育環境とはいえません。
南花畑特別支援学校(知的)と城北特別支援学校(肢体)が統合して今年度開校した花畑学園も、すでに間仕切り教室が存在しています。
1 改築や増築をしたばかりの特別支援学校でも、教室不足となり、特別教室を転用したり、1つの教室をカーテンなどで間仕切りして2学級で使ったりする状況が生じているのはなぜですか。
2 教室不足は、教室の増設に加え通学区域の調整で解消するといいますが、鹿本学園や花畑学園の通学区域の調整はどのように行う予定なのか、伺います。
2019年度に開校した臨海青海特別支援学校は、臨海部の住民がほとんどいない地域に建設され、通学区域が千代田、中央、港、品川、江東、江戸川の6区にまたがります。子どもやその家庭の地域のつながりや生活圏と合わないため、開校当時、同校に移らない選択をする児童・生徒が少なくありませんでした。
3 地域社会とのつながりを重視した教育や卒業後の生活を考えれば、通学区域は、学校施設の収容可能人数だけでなく、居住自治体や地域のつながりに配慮したものにすることが重要だと思いますが、いかがですか。
不足しているのは教室だけではありません。大規模校の職員室は、200人以上の教員の事務机が詰め込まれ、着席すると椅子と椅子の背中が接触し、奥の席の教員は手前の席の教員にどいてもらわないと移動できない状況です。事務机のサイズも小さく、袖引き出しの開閉も、椅子や物にぶつかってスムーズにいかないといいます。
4 都教委の施設整備の標準では、職員室の面積は、1人あたり3.5平方メートルを確保することになっています。例えば鹿本学園の職員室は、この標準で計算すると教員の収容人数は何人になりますか。実際にその部屋を使用している教職員は何人ですか。
5 教員の職場環境としても職員室の改善は急務です。いかがですか。
大規模校では、教職員の配置も規模に対応できるものになっていません。
6 学校事務職員の定数は55学級までは4人ですが、56学級以上の学校はどんなに大規模でも5人にしかなりません。栄養士もどんなに大規模校でも定数は1人です。
事務職員も栄養士も、就学奨励費の対応や、給食のアレルギーや欠食への対応をはじめ、児童・生徒数に応じて仕事量が増えるのですから、児童・生徒数に応じた配置基準が必要ではありませんか。
養護教諭の配置も、児童・生徒60人までは1人、61人以上は何人でも2人にしかなりません。かろうじて肢体不自由と知的障害の併置校に限り、それぞれ児童・生徒が121人と181人、合計302人以上の場合は3人になるという状況です。
1人ひとり異なる基礎疾患があり、細かい配慮が必要な障害児学校の実情に合っていません。ある養護教諭は「前の学校では、毎朝1時間かけて全部の教室を回り、子どもの様子を観察していた。今はとてもできない」「最低限処理が必要な仕事すら終わらず、養護教諭としてやりたい指導もあるが、できない」と語っています。
7 61人の次の区分を302人としている理由、肢体不自由121人、知的障害181人としている理由、他の障害種の併置は3人配置の対象とならない理由について伺います。
8 事務職員、栄養士、養護教諭の配置基準を都独自に改善し、増配置することを求めます。
そもそもこれらの問題は、学校が大規模すぎることから生じています。都教委の掲げる教室不足の解消は切実で重要な課題ですが、教室数を確保するだけでは様々なひずみが生じます。教育条件全体が改善されるような解決方法をとるべきです。
9 全日本教職員組合・教組共闘連絡会と「障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会」は昨年12月に提言を発表し、1校当たりの児童・生徒数の上限を150人以下にすることを求めています。「自分の学校の子ども」として把握できる限界が150人程度だとの声が多く寄せられているとのことです。重要な提言だと思いますが、いかがですか。
10 国は、特別支援学校の教育環境の改善を目的に、学校設置基準の策定を検討しています。都としても、現在の特別支援学校の学校規模や施設設備、教職員の定数について、障害児の教育の向上の観点から、学校現場や保護者の意見も踏まえ、改善することが必要ではありませんか。

令和3年第一回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特別支援学校高等部卒業生の進路について
1 昨年11月に特別支援学校高等部卒業生の進路について質問したが、知的障害を持つ生徒の進学率についてたずねたところ、過去五年間の大学及び短期大学などの進学率と生徒の進路希望や保護者の意向に応じて多様な進路先の中から自分の適性に合った選択を行えるよう適切に指導していると答えている。では、5年間でどこの大学や短期大学が受け入れているか伺う。

回答
公立学校統計調査では、知的障害のある生徒の大学及び短期大学等への進学率は公表されていますが、個別の進学先は公表されていません。

質問事項
一の2 都は、特別支援教育推進室に東京都就労支援員を配置し支援をしており、実習先や就労につながる事業所に就職するなどの実績を積み、各学校ではおおむね3年間の定着支援も行っていると聞いている。3年間の定着率について過去10年分を伺う。

回答
都教育委員会が、統一した基準で平成29年度から調査してきたところでは、平成28年度に都立特別支援学校を卒業して企業に就職した者のうち、3年間離職せずに継続して勤務した者の割合は84.5パーセント、同様に平成29年度の卒業生の割合は86.6パーセントでした。

質問事項
一の3 特別支援学校によっては、自立訓練事業所関係者があいさつに行くと、就労率に響くからと生徒や保護者に紹介するのを断られたこともあるとのことである。生徒や保護者、また教員自体が情報を知らないのでは進路の選択肢も広がらないのではないか。特別支援学校にさまざまな選択肢があることを周知し、自立訓練事業所などのパンフレットも置けるよう通知すべきであるが見解を伺う。

回答
都教育委員会は、生徒の障害の程度や進路希望等に応じて自立と社会参加を果たすことができるよう、知的障害特別支援学校には、普通科のほか、就業技術科と職能開発科を設置しています。
各学校においては、個別面談や職場見学、産業現場等における実習等を通じて、生徒・保護者の理解を得ながら丁寧な進路指導を行っています。
今後とも、都教育委員会は、御指摘にあった進路先に係る情報について、各学校が生徒・保護者に適切に提供できるようにしていきます。また、進路指導担当者が情報共有を図ることにより、生徒の進路希望や適性に応じた進路選択がなされるよう、各学校を支援していきます。

質問事項
一の4 特別支援学校高等部在学中に、卒業後の「生涯学習」について生徒や保護者に情報提供はあるのか伺う。

回答
学校教育から卒業後における学びへの接続を図るためには、卒業後の生涯学習の機会に関する情報提供が重要となります。
都立特別支援学校では、障害のある人々の豊かな地域生活と社会参加の促進を目指して、都立学校公開講座の一環として、都内在住、在勤又は在学の障害のある成人等を対象に「障害者本人講座」を実施しています。
障害者本人講座への参加募集は、同講座を実施する都立学校において、学校の実情に応じ、卒業年次の高等部の在校生等に対して案内を行うとともに、実施の際には、当該学校のホームページ等を通じて周知しています。

質問事項
二 大規模特別支援学校の教育条件の改善について
1 改築や増築をしたばかりの特別支援学校でも、教室不足となり、特別教室を転用したり、1つの教室をカーテンなどで間仕切りして2学級で使ったりする状況が生じているのはなぜか伺う。

回答
都教育委員会は、知的障害特別支援学校の在籍者数が増加する中、平成29年に10年間の長期計画である「東京都特別支援教育推進計画(第二期)」を策定し、現在、第一次実施計画に基づき、特別支援学校の規模と配置の適正化を図っています。
特別支援学校の教室の確保に当たっては、配置バランスを考慮し、学校の新設や増改築を行うとともに、通学区域を工夫するなど、地域全体で教育環境の整備を進めています。
規模の適正化には、児童・生徒の状況などを踏まえ、経過措置を設けて通学区域の調整を行うことから、一定の期間が必要となります。
超過する学級数分の普通教室については、特別教室等の転用や間仕切りした普通教室で対応し、今後、知的障害特別支援学校の整備を着実に進める中で、必要な教室数を確保していきます。

質問事項
二の2 教室不足は、教室の増設に加え通学区域の調整で解消するというが、鹿本学園や花畑学園の通学区域の調整はどのように行う予定なのか、伺う。

回答
都立鹿本学園の知的障害教育部門については、令和元年度の都立臨海青海特別支援学校の開校に伴い、順次学年進行で通学区域の調整を行うことにより、必要教室数の確保を進めています。
また、都立花畑学園の知的障害教育部門は、令和元年度の都立王子特別支援学校の開校に伴い、通学区域の調整を行った上で、令和2年度には隣接する城北特別支援学校との統合による改築を行い、必要教室数を確保しました。
今後も、周辺の特別支援学校の整備状況や児童・生徒の在籍状況の見込みなどを勘案し、必要に応じて通学区域の調整を図っていきます。

質問事項
二の3 地域社会とのつながりを重視した教育や卒業後の生活を考えれば、通学区域は、学校施設の収容可能人数だけでなく、居住自治体や地域のつながりに配慮したものにすることが重要だと思うが、見解を伺う。

回答
都立特別支援学校の通学区域は、学校までの交通事情や通学に要する時間を考慮して設定しています。
また、各学校では、保護者や地域の医療、福祉の関係者を含めた支援会議を開催し、個別の教育支援計画を作成するなど、地域と連携して児童・生徒の生活や学びを支援しています。

質問事項
二の4 都教委の施設整備の標準では、職員室の面積は、1人あたり3.5平方メートルを確保することになっている。例えば鹿本学園の職員室は、この標準で計算すると教員の収容人数は何人になるか伺う。実際にその部屋を使用している教職員は何人か伺う。

回答
都立鹿本学園においては、現在、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、他の部屋も活用して職員室を一時的に分散化させる対応を取っているところであり、元々の第一職員室と第二職員室に加えて、第三職員室と第四職員室を設けています。
職員室の面積は、第一職員室が399平方メートル、第二職員室が約132平方メートル、第三職員室が58平方メートル、第四職員室が170平方メートルと合わせて約759平方メートルであり、施設整備標準で計算すると、それぞれ114人、約37人、約17人、約49人と合わせて約217人の教職員を収容できる計算です。
一方で、令和3年4月1日時点で、これらの職員室を使用している教職員の人数は、第一職員室が178人、第二職員室が35人、合計で213人であり、第三職員室及び第四職員室は教材や資料等を作成するためのスペースとして使用しています。また、4月中旬以降は、第一職員室が125人、第二職員室が35人、第三職員室が25人、第四職員室が28人の教職員が使用しています。

質問事項
二の5 教員の職場環境としても職員室の改善は急務である。見解を伺う。

回答
都教育委員会は、知的障害特別支援学校の在籍者数の増加に適切に対応するため、「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画」に基づき、施設整備を着実に進めています。
施設整備に当たっては、児童・生徒の教育環境に加え、職員室をはじめとした管理諸室を整備しています。
引き続き、学校の新築や増改築をはじめ、仮設校舎の活用、通学区域の調整、可変性の高い教室の整備など、多様な方法を用いて教育環境を改善する中で、職員室等の環境改善を図っていきます。

質問事項
二の6 学校事務職員の定数は55学級までは4人だが、56学級以上の学校はどんなに大規模でも5人にしかならない。栄養士もどんなに大規模校でも定数は1人である。事務職員も栄養士も、就学奨励費の対応や、給食のアレルギーや欠食への対応をはじめ、児童・生徒数に応じて仕事量が増えるのであるから、児童・生徒数に応じた配置基準が必要ではないか。見解を伺う。

回答
都の教職員定数は、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により定めており、事務職員や学校栄養職員については、学校単位で算定しています。
教職員定数については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えています。
このため、都は国に対し、特別支援学校の事務職員や学校栄養職員について、現実の学校の実態を踏まえて児童・生徒数等に応じた定数改善を行うよう要望しています。

質問事項
二の7 61人の次の区分を302人としている理由、肢体不自由121人、知的障害181人としている理由、他の障害種の併置は3人配置の対象とならない理由について伺う。

回答
養護教諭については、国の基準では1校1名の配置を基本としつつ、児童・生徒数が61人以上の学校においては2名配置することとしています。
加えて、都教育委員会では、平成24年度の都立府中けやきの森学園の開設を機に、特に知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する特別支援学校の大規模化が進んでいる状況に鑑み、児童・生徒数が一定規模以上の当該部門の併置校については、その実態を踏まえて都独自の措置として3名配置できるよう基準を改正しました。
都は国に対し、特別支援学校の養護教諭について、児童・生徒数等に応じた定数改善を行うよう要望しています。

質問事項
二の8 事務職員、栄養士、養護教諭の配置基準を都独自に改善し、増配置することを求める。

回答
教職員定数については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えており、都は国に対し、特別支援学校の養護教諭、学校栄養職員及び事務職員について、児童・生徒数等に応じた定数改善を行うよう要望しています。
なお、都においては、令和3年度における都定数と標準法定数を比較すると、いずれの職種も都定数が標準法定数を上回っています。

質問事項
二の9 全日本教職員組合・教組共闘連絡会と「障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会」は昨年12月に提言を発表し、1校当たりの児童・生徒数の上限を150人以下にすることを求めている。「自分の学校の子ども」として把握できる限界が150人程度だとの声が多く寄せられているとのことである。重要な提言だと思うが、見解を伺う。

回答
特別支援学校については、校種、障害種別、建築条件や地域事情等を考慮して、学校ごとに規模を定めています。
今後も、「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画」に基づき、児童・生徒の増加が著しい知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を進めていきます。

質問事項
二の10 国は、特別支援学校の教育環境の改善を目的に、学校設置基準の策定を検討している。都としても、現在の特別支援学校の学校規模や施設設備、教職員の定数について、障害児の教育の向上の観点から、学校現場や保護者の意見も踏まえ、改善することが必要ではないか。見解を伺う。

回答
施設設備の整備に当たっては、「特別支援学校施設整備標準」を定めて、教育環境の充実に努めています。また、学校に対するヒアリングを行う等、学校運営上の必要性等を踏まえた上で整備を進めています。
また、教職員定数については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えており、引き続き国の動向を注視していきます。
なお、「東京都特別支援教育推進計画」の策定に当たっては、今後とも、都民の意見等を聴く機会を設けていきます。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ
質問事項
一 都営烏山アパートの建て替えに伴う創出用地の活用について
二 交通事故を防ぐための歩車分離信号の設置について

一 都営烏山アパートの建て替えに伴う創出用地の活用について
世田谷区では、区の介護施設等整備計画で「住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を基本理念とし、地域包括ケアシステムの構築の取組みをすすめています。その一つの柱が区内28か所のまちづくりセンターの各所管地域を、日常生活圏域と位置付け、その中に必要な施設を整備する計画としています。
地域で特に要望の強いものが、地域密着型の小規模特養ホームです。ところが、定員29人以下の規模では経営が厳しいこともあり、整備はなかなか進みません。
一方世田谷区内には、現在3か所の地域密着型特養老人ホームがありますが、成城、上北沢は、都営住宅の建て替えに伴う創出用地に整備されたものです。
1 現在都営烏山アパートの建て替えがすすんでいます。この建て替えに伴う創出用地、公共公益ゾーンについては子育て施設や高齢者、障害者の福祉施設の整備など、別途協議すると聞いています。
都営烏山アパートの創出用地、公共公益ゾーンは1,000平方メートル程度と聞いているが、いつ頃、確定されるのか、伺います。
2 創出用地の活用について、民間への売却や定期借地などもあるのか、伺います。
3 都営烏山アパートの建て替えに伴う創出用地についての地元区との協議は、いつごろから行われているのか、具体的に福祉施設の検討は行われているのか、まだだとすれば、どのような条件が整えば協議を始められるのか伺う。
4 地元住民からは、世田谷区に対して繰り返し、地域密着型特養ホームの建設の要望が出されている。地域密着型特養老人ホームの整備を支援すべきと考えるが見解を伺う。

二 交通事故を防ぐための歩車分離信号の設置について
今年1月3日、世田谷区内の環状8号線と用賀七条通りの交差点で小学生の死亡事故が起きました。このような事故から子どもたちを守るための対策が改めて求められます。私も視察しましたが、事故発生現場は見通しのよい交差点でした。
この事故の後、区内の小学生保護者の方々から、学校の近くにはもっと危ない交差点がある、併せて解決してほしいと要望がだされました。どちらの交差点も、最も求められている解決策は、信号機を歩車分離信号機に変えることでした。そこで、歩車分離信号機について伺います。
1 都内では、現在どれくらいの歩車分離信号機が設置されているのですか。
2 歩車分離信号の設置基準をお示しください。場所によっては交通渋滞解消にもなるなど、交通事故の防止以外にもメリットが指摘されています。設置の課題をどのように認識していますか。
3 都内の、環状8号線、また同等の広さの国道、都道には、歩車分離信号機は設置されているか、伺います。また、ある場合は、具体的な場所についてお示しください。
4 今後の歩車分離信号機の設置についての計画について伺います。
5 少なくとも、今回死亡事故が発生した交差点については、歩車分離信号機を設置すべきです。見解を伺います。

令和3年第一回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営烏山アパートの建て替えに伴う創出用地の活用について
1 現在都営烏山アパートの建て替えがすすんでいる。この建て替えに伴う創出用地、公共公益ゾーンについては子育て施設や高齢者、障害者の福祉施設の整備など、別途協議すると聞いている。都営烏山アパートの創出用地、公共公益ゾーンは1,000平方メートル程度と聞いているが、いつ頃、確定されるのか、伺う。

回答
都営烏山アパートの建替えに伴う創出用地については、団地南西側に想定しており、今後、建替工事が完了した後、測量や分筆等を行い、用地の面積を確定していきます。

質問事項
一の2 創出用地の活用について、民間への売却や定期借地などもあるのか、伺う。

回答
創出用地の活用手法等については、未定です。

質問事項
一の3 都営烏山アパートの建て替えに伴う創出用地についての地元区との協議は、いつごろから行われているのか、具体的に福祉施設の検討は行われているのか、まだだとすれば、どのような条件が整えば協議を始められるのか伺う。

回答
都営烏山アパートの建替えに係る地元区との協議は、平成28年度から実施しており、創出用地の活用については、別途協議を行うこととなっています。

質問事項
一の4 地元住民からは、世田谷区に対して繰り返し、地域密着型特養ホームの建設の要望が出されている。地域密着型特養老人ホームの整備を支援すべきと考えるが見解を伺う。

回答
地域密着型特別養護老人ホームは、区市町村が指定及び指導権限を有しており、自ら策定する計画に基づき整備を進めています。
都は、区市町村に対し、国制度である地域医療介護総合確保基金による補助に加え、施設の定員数に応じた独自の補助を実施し、整備を支援しています。

質問事項
二 交通事故を防ぐための歩車分離信号の設置について
1 都内では、現在どれくらいの歩車分離信号機が設置されているのか伺う。

回答
信号機のうち歩車分離で運用しているものは、令和元年度末時点において、1,538か所の交差点に整備されています。

質問事項
二の2 歩車分離信号の設置基準について伺う。場所によっては交通渋滞解消にもなるなど、交通事故の防止以外にもメリットが指摘されている。設置の課題をどのように認識しているか伺う。

回答
歩車分離信号の設置基準について、警視庁では、警察庁の指針に基づき、歩車分離制御により防止することができたと考えられる事故(信号交差点で歩行者等が横断歩道等を横断中に発生した人対車両の事故のうち、右折流出部及び左折流出部で発生した事故で、歩行者等が第1当事者の事故及び自動車等の信号無視による事故を除いたもの)が過去2年間で2件以上発生している場合、又はその危険性が高いと見込まれる場合、公共施設等の付近又は通学路等において、生徒、児童、幼児、高齢者及び身体障害者等の交通の安全を特に確保する必要があり、かつ、歩車分離制御導入の要望がある場合、自動車等の右左折交通量及び歩行者等の交通量が多く、歩車分離制御の導入により歩行者等横断時の安全性向上と交差点処理能力の改善を図ることができると認められる場合、のいずれかに該当するときに導入を検討しています。
また、歩車分離制御の方式には、「歩行者専用の青時間を確保する」方式や、「右折車や左折車と歩行者を分離する」方式があり、交通事故の形態、交通量、車線構成等から方式を選択しています。
導入の検討に当たっては、歩車分離制御の導入により渋滞が悪化し、又は新たに渋滞が発生することによって、交通の円滑に著しい影響が及ぶと見込まれないか、歩車分離制御の導入により信号の待ち時間が増加することによって、歩行者等又は自動車等の信号無視を誘発するおそれがないか等、交通の安全と円滑の両方の観点から歩車分離制御の効果と影響を総合的に勘案して導入することとしています。
次に、設置の課題について、歩車分離式信号は、一般的な信号制御よりも複雑になり、信号の待ち時間が増加することから渋滞が悪化又は発生しやすいという課題があります。また、歩行者等の信号待ちスペースが狭い場合は歩行者等の安全が確保できないこと、右左折専用の車両通行帯が確保されていない場合又は通行帯の長さが十分でない場合は、渋滞の悪化や右折車両が直進車線にはみ出すことによる追突事故等が懸念されるため、交差点や道路の改良が必要となる課題もあります。
他にも、複雑な信号制御が原因の信号無視も多く確認されており、例えば、歩行者信号を見て次は自分が進行できるとの思い込み発進や、隣車線の車両の動きにつられて赤信号で進行してしまう事例があるなど、「信号無視の増加によりかえって危険な信号になった。」、「交通渋滞が新たに発生した。」との理由により、元の信号制御に戻して欲しいとの意見が寄せられることもあります。
さらには、交通の円滑に著しい影響があれば、バスダイヤの乱れや渋滞を迂回する交通が生活道路に進入する新たな課題も考えられるほか、交通渋滞の悪化や新たな渋滞が発生した場合は、CO2排出増加による環境問題や経済損失面からも課題があると警視庁として認識しています。

質問事項
二の3 都内の、環状8号線、また同等の広さの国道、都道には、歩車分離信号機は設置されているか、伺う。また、ある場合は、具体的な場所について伺う。

回答
広幅員道路においても、交通事故の形態、交通量、車線構成等を考慮した数種類の歩車分離式信号が多く導入しており、広幅員道路上の全てを抽出することは困難です。
環状八号線では、例えば、以下の場所に導入されています。

  ○羽田旭町交差点 大田区羽田旭町11番1号
                  【歩行者専用現示方式】
  ○田園調布二丁目交差点 世田谷区東玉川二丁目6番12号
  ○調布学園前交差点 大田区田園調布二丁目16番3号
  ○藤森稲荷前交差点 大田区千鳥三丁目3番31号
  ○蒲田郵便局前交差点 大田区蒲田五丁目50番6号
                【一部右左折車両分離方式】
  ○羽田ランプ交差点 大田区東糀谷三丁目18番9号
                 【一部右折車両分離方式】

質問事項
二の4 今後の歩車分離信号機の設置についての計画について伺う。

回答
過去の交通事故発生状況に加え、通学路等の安全確保の必要性や地域住民の要望等のほか、交差点の形状や交通量など、歩車分離化の効果と影響を総合的に勘案し、交通の安全と円滑を考慮した整備を推進していきます。

質問事項
二の5 少なくとも、今回死亡事故が発生した交差点については、歩車分離信号機を設置すべきである。見解を伺う。

回答
当該事故を抑止するための歩車分離制御は、左折車両分離方式と歩行者専用現示方式がありますが、左折車両分離方式は、交差路に左折専用車線の整備が必要であり、道路構造上整備が困難なため導入できません。
歩行者専用現示方式による信号制御では、環八通りの青信号時間を約20秒減少させることとなります。現在、世田谷清掃工場前交差点を先頭とした交通渋滞が9時から21時の間に断続的に発生している現状があり、歩車分離式信号を導入した場合、環八通りの交通に著しい影響が及ぶと予想されます。
また、過去3年間に同一形態の交通事故は発生しておりません。
これらを総合的に勘案して、当該場所での歩車分離式信号の導入は困難であると判断します。
なお、今回の事故は夜間における発生であり、事故のあった横断歩道付近は他の場所と比較して、やや暗い状況が認められたため、安全対策として街路灯の設置を道路管理者に要請しています。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子
質問事項
一 児童相談所の新たな多摩格差について
二 東村山キャンパスについて
三 都営住宅の駐輪場・駐車場について

一 児童相談所の新たな多摩格差について
東京都児童相談所のうち、23区内に所在している6カ所、多摩地域に所在しているのが4カ所です。東京都の児童相談所は、そもそも数が少なく、1カ所あたりの所管人口が多すぎます。その中でも、多摩地域の児童相談所は、区部に比べて人口、面積が広すぎるという多摩格差が存在しています。
1 東京都児童相談所10カ所それぞれの所管人口、および所管児童人口を伺います。
2 東京都児童相談所10カ所それぞれの児童福祉司、および児童心理司の配置数を伺います。
児童相談所の多摩格差は、23区の各区で特別区児童相談所を設置する動きが進むもとで、是正に向かうどころか、いっそう広がりつつあります。
特別区児童相談所は、現在は世田谷区、江戸川区、荒川区の3カ所ですが、2021年度には、港区、中野区が設置する予定です。その後、2025年度までに、板橋区、豊島区、葛飾区、品川区、文京区が設置を検討しており、さらに12区が検討を進めています。練馬区を除く22区に、特別区児童相談所が設置される方向となっています。
3 2021年度に予定通り港区、中野区で特別区児童相談所が設置された場合、東京都児童相談所の担当地域は、どう変わるのですか。
4 2025年度までに、さらに板橋区、豊島区、葛飾区、品川区、文京区が、特別区児童相談所の設置を計画しています。これらの特別区児童相談所が設置された場合、東京都児童相談所の担当地域は、どう変わりますか。
5 その他さらに12区が、特別区児童相談所の設置を検討しています。それぞれが実現した場合、練馬区を除く22区で、特別区児童相談所が設置されます。その際、東京都児童相談所の役割、担当地域について、どのように検討しているのですか。
6 新たな多摩格差を是正するため、特別区児童相談所が設置されるのにあわせて、多摩地域に東京都児童相談所を順次、増やしていくべきです。見解を伺います。

二 東村山キャンパスについて
東村山キャンパスの敷地には絶滅危惧種の「キンラン」「ギンラン」などがあります。敷地の中を横断する道路建設の時に住民の運動があり、キンラン・ギンランは移植されました。その後も住民の保護する取り組みが広がり昨年も素晴らしい花を咲かせました。
専門家の方は、絶滅危惧種であるキンラン・ギンランを移植して根付くことは大変困難で、5年が勝負だと言われていました。しかし、5年過ぎても花を咲かせ、根付いたことは、都の支援と住民の協力の成果だと痛感しています。
1 2018年(平成30年)秋の台風で倒木があってもすぐに処理してもらえず、住民がボランティアで何日もかけて片付けました。草刈りなどのこれまでの整備費の推移はどうなっていますか。
2 地元住民からは、多摩北部医療センターの改築があっても絶滅危惧種であるキンラン・ギンランを保護するため、草刈りなどの整備は継続してほしいとの要望があります。新年度の対応について伺います。

三 都営住宅の駐輪場・駐車場について
都営住宅に入居している方々から、「駐輪場が狭く置けないため、困っている。駐輪場をもっと増やしてほしい」との要望が寄せられています。
2月17日の第1回定例会に報告された「包括外部監査人説明」では、「都営住宅の駐車場は、令和2年3月末において839団地、48,163区画に対し、契約区画数が31,190区画、空き区画が16,973区画となり、契約率64.8%、空車率35.2%となっています」と報告がありました。
空いている駐車場を活用して、要望の強い駐輪場にも活用できるように要望するものです。
1 都営住宅の駐輪場に何台の自転車が入るようにするのか、基準はあるのですか。
2 入居者の方たちは長く住む中で高齢化し、子育て中の家族では子どもが成長していきます。状況の変化に伴い、車をやめて自転車に乗る人や子たちが自転車に乗って通学することも増えていきます。入居時の情報と、現状に変化があります。現状に応じて駐輪場を増やす必要がありますが、都の認識を伺います。
3 駐輪場が狭いため、はみ出す自転車が増え、玄関や通路に自転車を置くことで、何かあったときに障害となります。安全のためにも駐輪場を増設すべきですが、いかがですか。
4 都営住宅の家賃は減免制度がありますが、駐車場の料金の減免制度はありますか。
5 コロナの影響で収入が減って駐車場の料金を支払うことも困難になっています。駐車場の料金についても減免制度が必要と考えますが、いかがですか。
6 都営住宅において、地域開放型の駐車場やコインパーキング設置について、現状を伺います。また、新年度の計画は、どうなっていますか。

令和3年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 児童相談所の新たな多摩格差について
1 東京都児童相談所10カ所それぞれの所管人口、および所管児童人口を伺う。

回答
都児童相談所10か所の管轄人口及び児童人口は、令和3年1月1日現在、次のとおりです。
児童相談所名【管轄】 管轄人口 児童人口
児童相談センター
【千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区、練馬区、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村】 2,555,118人 323,208人
江東児童相談所
【墨田区、江東区】 801,948人 106,925人
品川児童相談所
【品川区、目黒区、大田区】 1,421,393人 182,928人
杉並児童相談所
【中野区、杉並区、武蔵野市、三鷹市】 1,245,905人 153,483人
北児童相談所
【北区、板橋区】 923,371人 111,625人
足立児童相談所
【足立区、葛飾区】 1,154,693人 150,428人
八王子児童相談所
【八王子市、町田市、日野市】 1,178,007人 169,453人
立川児童相談所
【立川市、青梅市、昭島市、国立市、福生市、あきる野市、羽村市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町】 754,874人 104,719人
小平児童相談所
【小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、西東京市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市】 1,153,107人 170,762人
多摩児童相談所
【府中市、調布市、多摩市、稲城市、狛江市】 822,079人 122,954人
 出典:「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」
    令和3年1月1日現在(東京都総務局)

質問事項
一の2 東京都児童相談所10カ所それぞれの児童福祉司、および児童心理司の配置数を伺う。

回答
都児童相談所10か所の児童福祉司及び児童心理司の定数は、令和3年4月1日現在、次のとおりです。
児童相談所名【管轄】 児童福祉司 児童心理司
児童相談センター
【千代田区、中央区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区、練馬区、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村】 72人 35人
江東児童相談所
【墨田区、江東区】 26人 13人
品川児童相談所
【品川区、目黒区、大田区】 45人 21人
杉並児童相談所
【中野区、杉並区、武蔵野市、三鷹市】 35人 17人
北児童相談所
【北区、板橋区】 30人 15人
足立児童相談所
【足立区、葛飾区】 42人 20人
八王子児童相談所
【八王子市、町田市、日野市】 43人 21人
立川児童相談所
【立川市、青梅市、昭島市、国立市、福生市、あきる野市、羽村市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町】 31人 15人
小平児童相談所
【小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、西東京市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市】 34人 16人
多摩児童相談所
【府中市、調布市、多摩市、稲城市、狛江市】 28人 14人

質問事項
一の3 2021年度に予定通り港区、中野区で特別区児童相談所が設置された場合、東京都児童相談所の担当地域は、どう変わるのか伺う。

回答
特別区が児童相談所を設置した場合、その行政区域は都の児童相談所の管轄から外れることになります。
港区は、令和3年4月1日に児童相談所を設置したことから、都の児童相談所の管轄から外れています。
中野区の児童相談所については現在、都と区の間で、設置計画案の確認作業をしています。

質問事項
一の4 2025年度までに、さらに板橋区、豊島区、葛飾区、品川区、文京区が、特別区児童相談所の設置を計画している。これらの特別区児童相談所が設置された場合、東京都児童相談所の担当地域は、どう変わるのか伺う。

回答
特別区が児童相談所を設置した場合、その行政区域は都の児童相談所の管轄から外れることになります。
板橋区の児童相談所については現在、都と区の間で、設置計画案の確認作業をしています。

質問事項
一の5 その他さらに12区が、特別区児童相談所の設置を検討している。それぞれが実現した場合、練馬区を除く22区で、特別区児童相談所が設置される。その際、東京都児童相談所の役割、担当地域について、どのように検討しているのか伺う。

回答
児童相談所は、虐待、非行、障害など、18歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しています。
児童福祉法は令和元年6月の改正により、「児童相談所の管轄区域は、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする」との規定が追加され、令和5年4月1日に施行される予定となっています。
国は今後、具体的な基準を政令で定めることとしており、都の児童相談所の管轄は、地理的状況、相談件数の動向、人材確保の状況、特別区児童相談所の設置状況など、様々な要素を踏まえて検討することが必要と考えています。

質問事項
一の6 新たな多摩格差を是正するため、特別区児童相談所が設置されるのにあわせて、多摩地域に東京都児童相談所を順次、増やしていくべきである。見解を伺う。

回答
児童福祉法は令和元年6月の改正により、「児童相談所の管轄区域は、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする」との規定が追加され、令和5年4月1日に施行される予定となっています。
国は今後、具体的な基準を政令で定めることとしており、都の児童相談所の管轄は、地理的状況、相談件数の動向、人材確保の状況など、様々な要素を踏まえて検討することが必要と考えています。

質問事項
二 東村山キャンパスについて
1 2018年秋の台風で倒木があってもすぐに処理してもらえず、住民がボランティアで何日もかけて片付けた。草刈りなどのこれまでの整備費の推移はどうなっているか伺う。

回答
平成30年度は、草刈りや樹木剪定などの植栽管理、害虫駆除、構内通路や庭園の清掃等、東村山キャンパス全体の環境整備に要する経費として、約1,400万円を予算に計上し、令和元年度及び令和2年度は、樹木の老化等に伴う費用の増加に対応して、各年度約1,900万円を計上しています。

質問事項
二の2 地元住民からは、多摩北部医療センターの改築があっても絶滅危倶種であるキンラン・ギンランを保護するため、草刈りなどの整備は継続してほしいとの要望がある。新年度の対応について伺う。

回答
令和3年度も約1,900万円を予算に計上しており、草刈りや樹木剪定を行うなど、キンラン・ギンランが生育する雑木林を引き続き適切に管理していきます。

質問事項
三 都営住宅の駐輪場・駐車場について
1 都営住宅の駐輪場に何台の自転車が入るようにするのか、基準はあるのか伺う。

回答
都営住宅の建替えに当たり、自転車置場については、住宅の戸数に一定の係数を乗じて得た台数を上限として、入居予定者の世帯構成等を考慮し、整備しています。

質問事項
三の2 入居者の方たちは長く住む中で高齢化し、子育て中の家族では子どもが成長していく。状況の変化に伴い、車をやめて自転車に乗る人や子たちが自転車に乗って通学することも増えていく。入居時の情報と、現状に変化がある。現状に応じて駐輪場を増やす必要があるが、認識を伺う。

回答
既存の都営住宅の中には、若年ファミリー世帯の入居等により、自転車の保有台数が増加している場合もあることから、団地自治会からの自転車置場増設の要望があった際には、実態調査を行い、簡易な舗装などにより、必要なスペースを確保しています。

質問事項
三の3 駐輪場が狭いため、はみ出す自転車が増え、玄関や通路に自転車を置くことで、何かあったときに障害となる。安全のためにも駐輪場を増設すべきであるが、見解を伺う。

回答
既存の都営住宅において、団地自治会から自転車置場増設の要望があった際には、実態調査を行い、簡易な舗装などにより、必要なスペースを確保しています。
なお、都営住宅の共用廊下等は、火災等における重要な避難路となることから、居住者向け広報誌「すまいのひろば」などで、自転車を置かないよう注意喚起しています。

質問事項
三の4 都営住宅の家賃は減免制度があるが、駐車場の料金の減免制度はあるのか伺う。

回答
都営住宅駐車場の利用料金は、東京都営住宅条例に基づき、指定管理者が定めることとしており、利用者が身体障害者であること等の事由に該当する場合には、利用料金を減免することができます。

質問事項
三の5 コロナの影響で収入が減って駐車場の料金を支払うことも困難になっている。駐車場の料金についても減免制度が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
都営住宅駐車場の利用料金は、東京都営住宅条例に基づき、近傍の民間駐車場の賃料水準等を考慮して地域ごとに知事の定める額の範囲内において、指定管理者が定めることとしています。
利用者が身体障害者であること等の事由に該当する場合には、減免の対象としていますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に駐車場の利用料金の支払が困難な方については、令和2年4月10日から同年9月30日までに申請をした方を徴収猶予の対象としました。
当該猶予期間については、利用者からの申請により、1か月単位で最長3か月分を猶予できることとし、さらに、再度の申請により、既に猶予している期間を含め最長6か月分までとしました。

質問事項
三の6 都営住宅において、地域開放型の駐車場やコインパーキング設置について、現状を伺う。また、新年度の計画は、どうなっているのか伺う。

回答
令和3年2月末現在、都営住宅駐車場における地域住民向けの貸し出しは、273団地、1,639区画で、コインパーキングの設置については、37団地、292区画で実施しています。
駐車場における空き区画については、居住者の利用に支障のない範囲で地域住民向けに貸し出しており、用途廃止の手続き等を進めながら、設置区画数の拡大を図ります。
また、コインパーキングについても、同様に用途廃止の手続き等を進めながら、設置区画数の拡大を図ります。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 あぜ上三和子
質問事項
一 治療用装具と保険適用について
二 都職員のジェンダー平等について

一 治療用装具と保険適用について
1 東京都後期高齢者医療の被保険者都民が被っている不利益について
現在、東京都後期高齢者医療広域連合の被保険者が、保険医の指示で治療用装具を作製し、療養費支給を申請したところ、保険医が指定した技術者が義肢装具士でないことから、「義肢装具士が関与しない治療用装具には療養費を支給できない」との理由で、不支給にされたり、申請が受理されない事態が続いています。
東京都後期高齢者医療広域連合は、従来の申請手続では確認できなかった治療用装具の療養費支給の要件である「義肢装具士の関与」が、平成30年の厚生労働省通知による手続きの変更で確認できることになり、義肢装具士が関与しない治療用装具に療養費を支給するという旧来の違法な状態が改善された、と主張しています。
義肢装具士法で「義肢装具士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいう。となっていますが、国家資格として義肢装具士が有する「免許」は、その「業」とされたこれらの業務の内、従来は医師、看護師等にしかできなかった「医行為の範疇にわたる義肢装具の採型、適合等」に関しても行うことが許可されているというものです。
そのため、患者に触れる行為が侵襲性を伴うことのない治療用装具の提供を、保険医が義肢装具士でない技術者に指示し、治療効果を上げている事例もあり、当然療養費も支給されています。ところが、東京では、広域連合が上記のような主張で不支給にすることにしたため、75歳を超えた都民が療養費を支給されなくなって困っています。
ア 東京都は、都の関与する医療保険の被保険者の内の後期高齢者医療制度に加入する都民が、「義肢装具士が関与しない治療用装具」の療養費の支給を広域連合によって拒否されている事実を把握していますか。
都が関与している都民に対する医療保険給付には、都が中心的役割を果たし各市区町村が実施する国民健康保険給付と、市区町村によって組織され都が費用の負担で関与している東京都後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療給付とがありますが、いずれの給付も根拠法が別とはいえ、保険給付に関しては同質のものと理解されます。したがって、療養の給付に代えて行われる療養費の支給に関しても、後期高齢者医療に移行させられた都民のみが、療養費の支給要件において差別されるというようなことはあり得ないはずです。
ところが、先に見た広域連合の判断は、都内各市区町村国民健康保険には見られず、結果的に、都が関与する健康保険制度下の被保険者都民の中に、療養費の支給に関して明らかな格差が生じており、74歳までの都民には支給されている療養費が、75歳を過ぎると支給されないことになり、現に、再作製の指示が医師から出ているにも関わらず、75歳を過ぎたために作製を断念し、療養の困難に直面している都民もいます。
東京都後期高齢者医療広域連合が主張する通り法的根拠に基づいて「義肢装具士が関与しない治療用装具には療養費を支給できない」のであれば、「義肢装具士が関与しない治療用装具」であっても、保険医が被保険者の療養に必要な治療材料として作製させた治療用装具の購入費は、療養の給付に代えて支給すべき療養費であると判断している国民健康保険が、違法な判断を行っているということになってしまいます。
イ 都は、上述のような東京都後期高齢者医療広域連合の主張は正当であると考えているのですか。
次に、広域連合が「義肢装具士の関与」の確認ができるようになったと主張している平成30年2月9日(保医発0209第1号)通知についてです。
この通知は、治療用装具の療養費に関する不正請求が多発しているとの新聞報道を受けての厚労省調査を踏まえて、都道府県の主管部課長宛に「関係者に対し、周知を図られたい」として発出された厚労省医療課長通知です。都から市区町村及び東京都後期高齢者医療広域連合へ周知が図られています。
通知発出の大前提であります「不正請求」について、厚労省が調査結果として具体的に挙げている事例は、「請求金額の水増し」「治療目的でないもの」「領収書の不実記載」「現物と請求内容の相違」「支給対象外のものを付加」等で、確かに保険者としては容認できない、不正請求です。
そのような事例をなくすために発出された通知ですから、保険者がその通知に従って、不正請求を根絶することは、本来の保険給付を求める都民にとっても大切なことです。
ウ 東京都後期高齢者医療広域連合が通知によって不正を確認することができるようになったと言う「義肢装具士の関与のない治療用装具」に関しては、「不正請求」の事例、また不正防止の対象としても一言も触れられていません。義肢装具士の関与のない治療用装具と不正請求の関係について、東京都はどう認識していますか。
今回の通知によって、業者が発行する領収書に「治療用装具を取り扱った義肢装具士の氏名」を書かせることになりましたが、厚労省によれば、その狙いが、「きちんと誰々の責任で作ったと書いてもらう」ことで「牽制効果」を持たせるところにあるということですから、確かに治療用装具の取り扱い業者を規制する法的な根拠がない中での、業者による「請求金額の水増し」「領収書の不実記載」等の類の不正抑止策としては、直接的な規制ではないこのような施策に一定の効果を期待するのも頷けます。ところが広域連合は、領収書へ義肢装具士の氏名記載を求めるのは、従来確認できず違法状態が放置されていた義肢装具士の関与のない治療用装具への療養費支給を防止するためであると理解し、実際、広域連合以外の保険者とは異なって、義肢装具士の関与が確認できることを優先するため「氏のみでも可」と但し書きを入れ、「牽制効果」はなくても良いと考えているかのようです。義肢装具士の関与した不正請求の抑止のために義肢装具士の実名記載を求めよと言う通知の趣旨が、義肢装具士が関与していれば不正はないと確認できると言うのでは、無駄な支出を抑制するための効果は望むべくもないことになります。
エ 義肢装具の療養費についての取り扱いが、東京都後期高齢者医療広域連合と市区町村国保とは異なった対応になっています。都としては、本通知の趣旨をどのように理解しているのですか。東京都後期高齢者医療広域連合の理解が正しいと考えているのか、お答えください。
2 都の補装具費支給制度における義肢装具士と靴型装具について
東久留米市にお住いの後期高齢者が現在申請を拒否されている治療用装具は、足首、膝等の痛みに対して医師が室内用靴型装具の処方指示を出し作製されたものですが、それは、医師が、痛みの原因が、幼少時の疾病の後遺症による歩行困難によるものであり、裸足での室内生活の無理が原因と診断し、処方したものです。
ただ、この方は、障害者認定を受けた幼少時より、外出時の靴に関しては、病院、国立リハビリテーションセンター、義肢装具業者、オーダー靴店、等々で、靴型装具としては公費で、オーダー靴としては自費で、何十年もの間、数限りなく作るもうまくいきませんでした。2001年に義肢装具士ではありませんが、オーソペディック・シューズ技術を身につけた技術者に出会い、やっと歩ける靴で生活できることになり、それ以後、当該技術者から補装具制度に則って靴型装具として提供され続けています。
それが今回、疼痛の直接の治療のために、医師が処方した治療用装具を作製しましたが、義肢装具士ではないとの理由で、自費で購入することになってしまい大変な経済的負担を負わされています。
ア 靴型装具に関して、この方が訴えられているように、義肢装具士によって提供されたものが利用できず、公費支給されても結局無駄になってしまった、というケースは、幾人かの当事者からだけではなく、福祉用具の事情に詳しい方からも聞いています。そのような声は、心身障害者福祉センターにも届いていますか。実情とどのように対応しているのか現状をお答えください。
イ 靴型装具を長年作製している技術者から、義肢装具士によって提供されたものが利用できず、公費支給されても結局うまくいかないというようなことが起こる原因について、話を伺いました。
制度上は「靴型装具」とされているけれど、本来障害のある方達のための靴の技術は装具技術とは別で、現在の義肢装具士養成課程だけでは到底十分に身に付けることができないからとのことでした。都はどう認識していますか。

二 都職員のジェンダー平等について
世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ(世界男女格差)レポート2020で、日本は153カ国中121位となっています。
その大きな理由に、日本の経済的なジェンダー・ギャップがあります。女性役員・管理職は全体の約15%に過ぎず、女性の所得は平均すると男性の約半分です。
こうした経済格差の最大の要因は、日本の働く女性の56.0%は、パートや派遣、契約社員などの非正規雇用であるということです。また、女性の賃金は、正社員同士で比べても男性の75.6%です。さらに、民間企業の管理職の女性比率は14.8%にすぎません。
働く女性は増え続け、全就業者の44%にあたる2,946万人となっています。とりわけ、結婚、出産、子育てなどの時期とも重なる25歳から44歳の女性の増加が大きく、2001年から2018年までの間に、就業率は62%から76.5%へ15%近くも上昇するものの、多くの女性が、仕事と家庭の両立の大変さがあり、こうした事情がキャリア形成や昇進の機会が奪われること、またもともと男女賃金格差があることなどによって男女間の経済格差につながっていると考えます。
都も実現を目指すSDGsでは「ジェンダー平等の実現」が掲げられており、その実現のターゲットの5番目は「政治や経済や社会のなかで、何かを決めるときに、女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにする」ことです。
こうした問題を解決するうえでも、都職員においても女性職員比率、女性管理職比率を引き上げるなど、ジェンダーギャップを解消するため、都が率先垂範する必要があると考えます。
1 今年の予算特別委員会資料によると、行政系の都職員の新規採用者に占める女性の比率は、過去10年間で概ね、42%〜47%弱で推移しています。しかし、これらに比べ現在、行政系の全職員に占める女性の比率は39.9%と下回っています。都職員の男女別の離職率について年代別にお示しください。また、主な離職理由について、男女別にどういったものがあるのかお示しください。
2 全職員の男女比率を、50%前後まで引き上げるため、休暇制度の改善や、キャリア継続への支援、福利厚生の改善など、定着を図る取り組みが必要と考えますがいかがですか。
都の東京都男女平等参画推進総合計画の東京都女性活躍推進計画では「男女平等参画社会を実現するためには、男女が政治・行政、地域活動、教育などあらゆる分野における活動に参加することはもとより、企画、方針・意思決定段階に女性の参画を拡大していくことが重要です」「とりわけ政治・行政の分野において女性の参画が進むことは、多様な価値観や発想を政策に取り入れ実現することにつながるものであり、社会全体に与える影響が大きいことから、重要かつ喫緊の課題と言えます」とあります。
3 東京都の職員は、行政系の全職員の内、女性は39.9%ですが、管理職になると20.2%と半減します。都は女性の管理職が少ない理由をどのように考えていますか。
4 東京都は女性管理職の比率を、2025年までに25%、2030年までに30%に引き上げる目標を持っていますが、現時点では20.2%に留まっています。都は、この目標達成にどう取り組むのですか。
5 来年度改定を議論する東京都女性活躍推進計画において、都職員の女性管理職の目標を引き上げることも検討すべきと考えますがいかがですか。
東京都の職員の処遇改善についてです。
処遇改善を考える上で、会計年度任用職員と都職員の処遇の格差は是正すべきです。とりわけ、女性に関する妊婦通勤時間や生理休暇などは、 都職員は有給なのに対し、会計年度任用職員は無給です。こうした格差は早急に是正すべきです。
6 全職員中、会計年度任用職員は何人で、内女性は何人ですか。
7 東京都の会計年度任用職員の休暇制度は、妊婦通勤時間、育児時間、子どもの看護休暇、生理休暇などは無給です。これらを都の常勤職員と同様に有給休暇にすべきですが、いかがですか。

令和3年第一回都議会定例会
あぜ上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 治療用装具と保険適用について
1 東京都後期高齢者医療の被保険者都民が被っている不利益について
ア 都の関与する医療保険の被保険者の内の後期高齢者医療制度に加入する都民が、「義肢装具士が関与しない治療用装具」の療養費の支給を広域連合によって拒否されている事実を把握しているのか伺う。

回答
東京都後期高齢者医療広域連合や区市町村など、医療保険の各保険者は、法令等に基づき、治療用装具に関する療養費の支給を判断しています。
また、支給申請した者は、支給又は不支給決定処分に不服があるときは、行政不服審査法に基づき審査請求することができます。

質問事項
一の1のイ 東京都後期高齢者医療広域連合が主張する通り法的根拠に基づいて「義肢装具士が関与しない治療用装具には療養費を支給できない」のであれば、「義肢装具士が関与しない治療用装具」であっても、保険医が被保険者の療養に必要な治療材料として作製させた治療用装具の購入費は、療養の給付に代えて支給すべき療養費であると判断している国民健康保険が、違法な判断を行っているということになってしまう。都は、東京都後期高齢者医療広域連合の主張は正当であると考えているのか。見解を伺う。

回答
高齢者の医療の確保に関する法律等により、保険医が疾病又は負傷の治療上必要であると認めて患者に装具を装着させた場合に、患者が支払った装具購入に要した費用について、医療保険の保険者はその費用の限度内で療養費を支給することとなっています。
国が平成30年2月9日に発出した通知では、保険医の診察や義肢装具士への指示を経ずに患者に採型・採寸、装着又は販売等された治療用装具について、保険者が療養費を支給することは適当でないとされています。
都としては、東京都後期高齢者医療広域連合や区市町村など、医療保険の各保険者は、法令等に基づき、治療用装具に関する療養費の支給を判断していると認識しています。

質問事項
一の1のウ 広域連合が「義肢装具士の関与」の確認ができるようになったと主張している平成30年2月9日(保医発0209第1号)通知について、「義肢装具士の関与のない治療用装具」に関しては、「不正請求」の事例、また不正防止の対象としても一言も触れられていない。義肢装具士の関与のない治療用装具と不正請求の関係について、都はどう認識しているのか伺う。

回答
国は、治療用装具に係る療養費の不正請求が相次いでいるとの新聞報道を受け、平成29年12月に開催した社会保障審議会医療保険部会治療用装具療養費検討専門委員会で、義肢装具の装着部位の採型や身体への適合等は、医師から義肢装具士への指示を経て行うこと、事業者が患者に交付する領収書に治療用装具を取り扱った義肢装具士の氏名を記載することなどの手続の明確化を検討しました。
国は、専門委員会での議論を踏まえ、平成30年2月9日に、治療用装具の療養費支給申請手続を明確にした通知を発出し、都はこの内容を各保険者に周知しています。

質問事項
一の1のエ 義肢装具の療養費についての取り扱いが、東京都後期高齢者医療広域連合と市区町村国保とは異なった対応になっている。都としては、本通知の趣旨をどのように理解しているのか。東京都後期高齢者医療広域連合の理解が正しいと考えているのか、見解を伺う。

回答
国が平成30年2月9日に発出した通知では、保険医の診察や義肢装具士への指示を経ずに患者に採型・採寸、装着又は販売等された治療用装具について、保険者が療養費を支給することは適当でないとされています。
都としては、東京都後期高齢者医療広域連合や区市町村など、医療保険の各保険者は、法令等に基づき、治療用装具に関する療養費の支給を判断していると認識しています。

質問事項
一の2 都の補装具費支給制度における義肢装具士と靴型装具について
ア 靴型装具に関して、義肢装具士によって提供されたものが利用できず、公費支給されても結局無駄になってしまった、というケースは、幾人かの当事者からだけではなく、福祉用具の事情に詳しい方からも聞いている。そのような声は、心身障害者福祉センターにも届いているのか。実情とどのように対応しているのか現状について伺う。

回答
補装具費は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等に基づき、区市町村が支給しています。支給に当たっては、東京都心身障害者福祉センターで補装具の処方及び適合判定を行っており、国が令和2年11月17日に発出した通知では、「義肢及び装具に係る装着部位の採型並びに身体の適合が、医行為に該当する場合には、義肢装具士の資格を有する者が行わなければならない。医行為に該当しない場合においても義肢装具士が行うことが適当である。」とされています。
また、補装具に関して、適合判定後に障害の状態が変わるなどにより、変更や修理をしたいとの声を頂くことはありますが、御質問のような声を頂いたことはありません。

質問事項
一の2のイ 靴型装具を長年作製している技術者から、義肢装具士によって提供されたものが利用できず、公費支給されても結局うまくいかないというようなことが起こる原因について、話を伺った。制度上は「靴型装具」とされているけれど、本来障害のある方達のための靴の技術は装具技術とは別で、現在の義肢装具士養成課程だけでは到底十分に身に付けることができないからとのことだった。都はどう認識しているのか伺う。

回答
義肢装具士とは、義肢装具士法により、厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者と定められています。
義肢装具士国家試験の受験資格は、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した義肢装具士養成所で、3年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得した者等とされています。

質問事項
二 都職員のジェンダー平等について
1 今年の予算特別委員会資料によると、行政系の都職員の新規採用者に占める女性の比率は、過去10年間で概ね、42%~47%弱で推移している。しかし、これらに比べ現在、行政系の全職員に占める女性の比率は39.9%と下回っている。都職員の男女別の離職率について年代別に伺う。また、主な離職理由について、男女別にどういったものがあるのか伺う。

回答
平成31年度における知事部局等の職員に占める自己都合等退職者の割合は、男性では20代以下が2.1パーセント、30代が3.5パーセント、40代が1.4パーセント、50代以上が0.4パーセントであり、女性では20代以下が5.5パーセント、30代が4.0パーセント、40代が2.1パーセント、50代以上が0.8パーセントでした。
また、当該年度の自己都合等退職者の主な退職事由は、男女ともに「民間等転職」「家事都合」によるものでした。
なお、知事部局等の職員は、公営企業、教育委員会、警視庁及び東京消防庁職員を除く知事部局等の常勤職員を対象としています。

質問事項
二の2 全職員の男女比率を、50%前後まで引き上げるため、休暇制度の改善や、キャリア継続への支援、福利厚生の改善など、定着を図る取り組みが必要と考えるが見解を伺う。

回答
都はこれまで、男女ともに職員が育児や介護等と仕事とを両立し、働き続けられるよう、様々な取組を進めてきました。
平成29年度には、子どもの看護休暇を拡充するとともに、令和元年度には、不妊症・不育症の各種検査、治療及び療養について病気休暇の対象として取り扱うなど、多様な観点から休暇制度の見直しを行っています。
また、福利厚生については、育児支援や介護支援等、公務能率の維持・向上に寄与する人材支援型の福利厚生事業を実施しています。
今後も、全ての職員が活躍できるよう、職員のライフ・ワーク・バランスを推進していきます。

質問事項
二の3 東京都の職員は、行政系の全職員の内、女性は39.9%であるが、管理職になると20.2%と半減する。女性の管理職が少ない理由をどのように考えているのか伺う。

回答
女性職員が昇任をためらう理由として、家庭との両立等の不安や、現在の仕事の継続を希望する声が挙げられており、こうした個々の事情等により、行政系管理職に占める女性職員の割合が、都職員全体の女性割合より少なくなっているものと認識しています。

質問事項
二の4 東京都は女性管理職の比率を、2025年までに25%、2030年までに30%に引き上げる目標を持っているが、現時点では20.2%に留まっている。この目標達成にどう取り組むのか伺う。

回答
行政系管理職に占める女性割合の引上げに向けては、職員個々の事情へのきめ細かな対応が必要であるため、都では、SNS等で先輩管理職に相談できるキャリア・メンター制度を、令和2年度、全庁へ展開しました。こうした取組により、今後も女性職員の活躍推進に努めていくこととしています。

質問事項
二の5 来年度改定を議論する東京都女性活躍推進計画において、都職員の女性管理職の目標を引き上げることも検討すべきと考えるが見解を伺う。

回答
現行の東京都女性活躍推進計画では、女性活躍推進に向けた数値目標として、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに掲げる女性管理職割合を令和2年までに20パーセントとする目標を掲げており、本目標は、平成31年に一年前倒しで達成しています。
このプランについては、令和3年3月に改定し、令和7年までに25パーセントとする目標を新たに設定しました。

質問事項
二の6 全職員中、会計年度任用職員は何人で、内女性は何人か伺う。

回答
令和2年8月1日現在、知事部局における会計年度任用職員は9,324名であり、このうち、5,077名が女性です。

質問事項
二の7 東京都の会計年度任用職員の休暇制度は、妊婦通勤時間、育児時間、子どもの看護休暇、生理休暇などは無給である。これらを都の常勤職員と同様に有給休暇にすべきであるが、見解を伺う。

回答
会計年度任用職員の休暇制度の報酬の取扱いについては、報酬が職務に対する反対給付であることや国の非常勤職員の報酬の取扱いなどを踏まえた上で、労使交渉を経て適切に設定しています。
なお、令和3年4月1日から、母子保健健診休暇及び妊婦通勤時間について、報酬の減額を免除しています。

令和3年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ
質問事項
一 中川の荒川と並行している区間の左岸における堤防の強化策について
二 水泳教育の意義と、学校プールの重要性について

一 中川の荒川と並行している区間の左岸における堤防の強化策について
2019年の台風19号によって、全国142か所で堤防が決壊し、各地で甚大な浸水被害が発生しました。その大多数が県管理の河川堤防でした。これを受けて、国は、「令和元年台風19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」を立ち上げ、出水における決壊の要因等を踏まえ、危機管理として河川堤防の強化を実施するために必要な技術的検討を行っています。
この検討会では、かつて1980年代後半から1990年代にかけて事業実施されたアーマーレビー工法やフロンティア堤防等もあらためて検討され、引き続き検討を続けていくこととされています。
一方で、一昨年、小池都知事は江戸川区小松川地区の高規格堤防を視察したことをきっかけに、国と連携し、「災害に強い首都「東京」に向けた連絡会議」を立ち上げ、4回の会議を経て「災害に強い首都「東京」形成ビジョン」を発表しました。そこでは、高規格堤防が越流による決壊を防ぐ効果を持つ唯一の手法と記載されています。
1 都のこれまでの洪水対策は、おもに高潮対策でした。そして、伊勢湾台風級の高潮でも耐えられる高さの堤防を整備してきました。
しかし、現在国が行っている高規格堤防は、越流を想定しています。都は、中川の荒川と並行している区間の左岸について、今後このような超過洪水を想定した対策が必要であるという認識なのか、伺います。
2 「令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」(以下、技術検討会という)では、どのような議論が行われて、どのような方向が示されたのか伺います。
3 技術検討会において、国の高規格堤防は、どのように議論されたのか、伺います。
4 「災害に強い首都「東京」形成ビジョン」には、技術検討会の報告はどのように反映されているのか伺います。
5 都として独自に、技術検討会の報告を踏まえた検討・研究を行うべきと思いますが、いかがですか。
6 荒川において超過洪水の発生が迫っているときにおいても、下水道からポンプアップして雨水を河川に排出することは、可能なのか伺います。

二 水泳教育の意義と、学校プールの重要性について
1 東京都内の公立小中学校で、プールのない学校は何校ありますか。それは、どのような理由によるものですか。
2 学校の整備や学校教育は、保護者、地域住民の参画やニーズを踏まえることが重要だと思いますが、いかがですか。
3 小学校の学習指導要領では、水泳や水遊びは、どのような目標と内容でおこなうことになっているのか伺います。
4 生涯にわたり心身の健康を保持し、豊かなスポーツライフを実現するために、学校の体育の授業で多様な運動を経験することは、大きな意義があると思いますが、いかがですか。
5 学校プールは、その多くが消防活動における水利に指定されています。200立方メートルから300立方メートルの容量を持つ学校プールは、消防活動において重要な水利だと思いますが、消防庁の見解を伺います。

令和3年第一回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中川の荒川と並行している区間の左岸における堤防の強化策について
1 都のこれまでの洪水対策は、おもに高潮対策だった。そして、伊勢湾台風級の高潮でも耐えられる高さの堤防を整備してきた。しかし、現在国が行っている高規格堤防は、越流を想定している。都は、中川の荒川と並行している区間の左岸について、今後このような超過洪水を想定した対策が必要であるという認識なのか、伺う。

回答
中川では、計画規模の洪水を安全に流下させるために必要な堤防の高さは既に確保されており、「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(東京都管理区間)」において、適切な保全のための措置を講ずることとしています。
一方、国は、「荒川水系河川整備計画(大臣管理区間)」において、計画規模を上回る超過洪水対策として、高規格堤防の整備を行うこととしており、荒川と並行する中川の左岸側もその対象となっています。
一たび荒川の堤防が決壊した場合には、甚大な被害が想定されることから、国に対し、高規格堤防事業の着実な推進を、引き続き要望していきます。

質問事項
一の2 「令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」(以下、技術検討会という)では、どのような議論が行われて、どのような方向が示されたのか伺う。

回答
令和2年2月に国が設置した技術検討会では、令和元年東日本台風により被災した堤防の調査・分析や、堤防強化に向けた対策工法などが議論され、同年8月に報告書がまとめられています。
報告書では、洪水時の河川水位を下げる対策を今後とも治水対策の大原則としつつ、越水した場合であっても粘り強い河川堤防の整備を、危機管理対応として実施すべきとしています。
また、今後の取組に当たっては、堤防強化の工法及びその効果や、維持管理などの課題の解決に向けて、技術的検討を継続すべきとされています。

質問事項
一の3 技術検討会において、国の高規格堤防は、どのように議論されたのか伺う。

回答
技術検討会では、高規格堤防についての議論はなされていないと、国から聞いています。

質問事項
一の4 「災害に強い首都「東京」形成ビジョン」には、技術検討会の報告はどのように反映されているのか伺う。

回答
令和2年12月に公表した「災害に強い首都「東京」形成ビジョン」においては、国管理河川における堤防整備が謳われていますが、「粘り強い河川堤防」については、国が引き続き技術検討を行っているところであり、その成果はビジョンには反映されていないと聞いています。

質問事項
一の5 都として独自に、技術検討会の報告を踏まえた検討・研究を行うべきと思うが、見解を伺う。

回答
都は、中川において、計画規模の洪水を安全に流下させるために必要な措置を講じることとしています。
一方、「粘り強い河川堤防」は、国管理河川における、計画規模を上回る超過洪水時の越水に対する危機管理対応として、国が検討を行っているものです。
こうした状況を踏まえ、今後とも、国の検討の動きを注視していきます。

質問事項
一の6 荒川において超過洪水の発生が迫っているときにおいても、下水道からポンプアップして雨水を河川に排出することは、可能なのか伺う。

回答
内水氾濫を防止するため、荒川には、小菅水再生センター、梅田ポンプ所及び熊の木ポンプ所の3施設から排水を行っています。
超過洪水の発生が迫っている場合におけるポンプの運転については、河川管理者と調整することなどにより、適切に対応します。

質問事項
二 水泳教育の意義と、学校プールの重要性について
1 東京都内の公立小中学校で、プールのない学校は何校あるか。それは、どのような理由によるものであるか伺う。

回答
区市町村立小中学校の施設整備については、学校教育法に基づき設置者である区市町村の責任において行うものであり、都教育委員会としては、プールのない学校の校数及びプールを整備しない理由については調査していません。

質問事項
二の2 学校の整備や学校教育は、保護者、地域住民の参画やニーズを踏まえることが重要だと思うが、見解を伺う。

回答
区市町村立小中学校の施設整備については、学校教育法に基づき設置者である区市町村の責任において行うものであり、保護者、地域住民の参画等についても、区市町村が地域の実情等に応じて判断するものです。

質問事項
二の3 小学校の学習指導要領では、水泳や水遊びは、どのような目標と内容でおこなうことになっているのか伺う。

回答
小学校学習指導要領では、体育科の目標について、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力の育成を目指すとされており、また、発達段階に応じて、低学年、中学年、高学年ごとの目標が示されています。
水泳等の内容については、低学年では、水遊びとして、「水の中を移動する運動遊び」及び「もぐる・浮く運動遊び」を行うこととなっており、中学年では、水泳運動として、「浮いて進む運動」及び「もぐる・浮く運動」、また、高学年では、「クロール」、「平泳ぎ」及び「安全確保につながる運動」を行うこととなっています。

質問事項
二の4 生涯にわたり心身の健康を保持し、豊かなスポーツライフを実現するために、学校の体育の授業で多様な運動を経験することは、大きな意義があると思うが、見解を伺う。

回答
生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成することは、小学校学習指導要領の「体育」の目標として示されています。
各学校においては、この目標を達成するため、学習指導要領に示されている、体つくり運動系、器械運動系、陸上運動系、水泳運動系、ボール運動系及び表現運動系の全ての運動領域を取り扱い、発達の段階を踏まえながら、児童が各種の運動の特性に触れる楽しさや喜びを知り、基本的な動きや技能を身に付けるよう指導することが重要です。

質問事項
二の5 学校プールは、その多くが消防活動における水利に指定されている。200立方メートルから300立方メートルの容量を持つ学校プールは、消防活動において重要な水利だと思うが、消防庁の見解を伺う。

回答
震災時には常時貯水された水利が必要であることから、防火水槽や学校プールなどのほか、河川等の消防水利は重要であると認識しています。

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