令和三年東京都議会会議録第七号

○議長(石川良一君) 二十六番斉藤れいなさん。
〔二十六番斉藤れいな君登壇〕

○二十六番(斉藤れいな君) 無所属東京みらいを代表して、補正予算について質問をします。
 都では、二月中旬ごろから、リバウンド防止のためのさらなる対策の徹底を呼びかけてきましたが、残念ながら、現在、むしろ微増傾向にあります。三月二十一日まで、飲食店では二十時までの時短営業が継続されており、実に九八%が応じていたと報告をされています。
 そのような状況下で、本気でリバウンドを防ぐのであれば、対策の強化、もしくはこれまでとは異なるアプローチが必要ですが、都は、検証を行うことも、根本的な対策を強化することもなく、本補正予算で実施するのが飲食店へ二十一時までの時短要請となったことには疑問が残ります。
 そこで、リバウンド防止期間における感染拡大防止対策について、どのような議論、具体的には、客観的な事実に基づく検証や効果の試算があって意思決定に至ったのか伺います。
 民間のさまざまな活動について制限を要請する以上、都としてあらゆる手を尽くし、検査、隔離、療養の体制を整えることは大変重要と考えます。
 東京都の検査体制は、現在一日六万八千件まで拡充すべく、都内の保健所や医療機関、民間検査機関での検査に加え、PCR検査機器の稼働時間の延長や抗原検査の簡易キットの活用も含め取り組まれたと認識していますが、現在の検査実施件数は、日に一万件を超えることはないという実情が続いています。
 現在の検査可能数を伺うとともに、実情との格差が生じている要因について見解を伺います。
 感染抑制に成功しているオーストラリアでは、誰もが無料で検査を受けられる体制をつくり、一日当たりの検査実施数は六万件、延べ検査実施率は四五%で我が国の十倍です。イベント事業者、保育や教育、サービス業従事者等、まだまだ自費で検査を受けざるを得ないとのお話も伺います。
 都として、無症状者も含め誰もが検査を受けられるよう、検査体制のさらなる拡充や必要な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 神奈川県では、飲食時以外のマスク着用の呼びかけを協力金支給の条件としていますが、飲食店からは、客に声がけするとトラブルになりかねないとの懸念が寄せられました。そのため、会話に夢中のあなた、マスクしていますかと書かれた鏡つき卓上ポップの配布により、顧客側がみずから気づき、行動するよう促すとのことです。
 都のコロナ対策リーダー登録は、協力金の支給要件となりました。その後、研修を受けると王冠ステッカーを張れるとのことですが、認知の広がった虹のステッカーでさえ、必ず確認している人は二割程度とのことです。
 今回の仕組みでは、飲食店側がリーダー登録、研修、呼びかけ、お客様側が王冠マークのついたお店を必ず選び、呼びかけに応じるという高度な協力関係が必要です。
 では、この仕組みをどのように機能させるのか、また、この仕組みによってどれだけの感染防止効果を見込んでいるのか伺います。
 また、飲食店での感染リスクを下げるには、日中も含めて、一グループの人数制限や滞在時間制限などについての要請が有効だと考えますが、見解を伺います。
 長引くコロナ禍に苦しんでいるのは、協力金の支給される飲食店等だけではなく、また、その協力金も不公平さが改善されない現状は残念でなりません。
 数多くの都庁職員が書類の確認や問い合わせ対応、支給手続に追われている中にあって、都庁全体のパフォーマンスが下がっていることを危惧しております。マンパワーの必要な業務に責任感を持って取り組むことは重要ですが、それ以上に、客観的な事実に基づく効果検証、実社会の変化に対応して、PDCAを回していく政策立案機能こそがより重要であり、都庁にしかできないことであると考えます。
 そこで、コロナ禍という非常事態における人材マネジメントについて、都庁内外の力を最大限引き出すために、どのような認識で取り組んでいるのか伺い、質問を終わります。(拍手)
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 斉藤れいな議員の質問にお答えします。
 四点の質問にお答えします。
 感染防止対策についてでございますが、国の分科会では、飲食を介しての感染が感染拡大の重要な要素の一つとして提示され、飲食店の営業時間の短縮の要請を含め、会食、飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要との提言がされてございます。
 このため、国の基本的対処方針に基づき、リバウンド防止期間におきまして、一都三県で連携して、二十一時までの営業時間の短縮を要請してございます。
 次に、コロナ対策リーダー事業についてでございますが、感染の再拡大を防止するには、店舗と利用客双方の協力を得て、より安心なお店づくりを推進する必要がございます。
 都はこれまでも、感染防止徹底宣言ステッカーの仕組みを導入するなど店舗の感染防止対策を促してまいりました。
 こうした取り組みに加え、今後は、コロナ対策リーダー事業を展開いたします。感染リスクやその対策を学ぶ東京iCDC監修による研修や、お声がけに当たっての対応方法などの紹介を行います。
 また、研修を修了したリーダーが配置された店舗であることを示す王冠マークを発行し、これをステッカーに貼付していただくことで、都民にも周知をしてまいります。
 これらにより、利用客に対しても感染防止につながるマナーを効果的に浸透させ、リバウンドの防止に努めてまいります。
 次に、飲食店での感染リスクの低減についてでございますが、都は、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、当面、四月二十一日までの間、飲食店等への営業時間の短縮要請を初めとした感染防止対策を実施してございます。
 今後とも、都内の感染状況等を踏まえ、国や一都三県と連携し、専門家の意見も聞きながら、適宜適切に対応してまいります。
 最後に、非常事態における人材マネジメントについてでございますが、長期化する新型コロナ感染症対策におきましては、業務の性質や緊急度等を的確に捉えまして、状況に応じた人材マネジメントを講じることが重要でございます。
 都はこれまで、福祉保健局感染症対策部の設置や人事異動による増員、局組織を超えた応援職員による対応など、全庁を挙げて取り組みますとともに、任期つき職員の採用、非常勤職員や業務委託の活用等、マンパワーも拡充してまいりました。
 引き続き、危機管理の中核を担う都職員に加えまして、適切な分担により、都庁外の力も活用いたしますことで、感染症対策に万全を期してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の検査数についてでございます。
 都内で新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行を見据えたピーク時の検査需要に対応できるよう、検査機関の体制拡充や抗原検査キットの活用促進により、一日当たり最大約六万八千件の検査能力を確保してございます。
 また、モニタリング会議におけます感染状況のデータを一月十四日と三月二十五日で比較いたしますと、新規陽性者に占める無症状者の割合は増加しており、また、接触歴不明等の割合は減少していることから、必要な検査は適切に実施できていると考えております。
 次に、無症状者への検査についてでございます。
 先月二十六日に変更されました国の基本的対処方針では、感染拡大の予兆や感染源を早期に探知するため、感染リスクの高い場所を中心に、無症状者に焦点を当てた幅広いPCR検査等を実施することを重要事項の一つとしてございます。
 これを踏まえまして、都では、特別養護老人ホーム等を対象に集中的なPCR検査を実施しており、今月から有料老人ホーム等での検査も支援し、今後は、通所サービス等にも支援対象を拡大いたします。
 また、保健所と連携して、医療機関の職員や特定エリアの飲食店を対象とした検査を行うほか、今月からは、国と協力して交通要所でのモニタリング検査も実施するなど、戦略的に検査を進めてまいります。

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