令和三年東京都議会会議録第七号

○議長(石川良一君) 百七番高倉良生君。
〔百七番高倉良生君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百七番(高倉良生君) 都議会公明党を代表して、令和二年度最終補正予算案、追加分その三及び令和三年度補正予算案、追加分について質問をいたします。
 今回の補正予算は、東京都が都内の飲食店等に対しまして、リバウンド防止期間中の四月一日から四月二十一日まで営業時間の短縮を要請することに伴い、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金を支給するものであります。
 当初、都は、リバウンド防止期間を段階的緩和期間と呼んでいましたが、都民によりわかりやすく理解をしていただくために、期間の名称を変更したとのことですが、それでも都民には浸透していないのか、緊急事態宣言が解除された三月二十二日以降は、都内繁華街において、連日のように人流が増加をしています。
 ましてや、地方から東京に来る人は、東京はまだリバウンド防止期間中であるということを知らず、緊急事態宣言が解除されたということで、春休みを利用して家族連れや友人同士で東京に来る人が連日増加していると宿泊関係者も話しておられました。
 そこで、都民や地方から来る方々が必ず利用する鉄道駅の主要ターミナルや空港、高速道路のサービスエリア、料金所において、東京は四月二十一日までリバウンド防止期間中であることをアナウンスや電光掲示等により周知してもらうよう、関係各所に働きかけていくべきと考えますけれども、知事の見解を求めます。
 また、改めて都民や地方から東京に来る方々に、緊急事態宣言期間とリバウンド防止期間の違い、さらには、リバウンド防止期間において、どういったことに取り組んでいけばよいのか、具体的かつわかりやすく知事に説明をしていただきたいと思います。
 次に、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金の支給について質問いたします。
 本年二月に成立した改正特措法等では、新たに罰則規定が設けられました。本来、こうした罰則規定が設けられた規制対象に対しては、その実態に見合った支援を行うべきであります。
 具体的には、対象となる飲食店等の売上高や従業員数等の事業規模に応じた感染拡大防止協力金を支給すべきであります。このことについては何度も質問をしてまいりました。
 都は、一都三県でまとまらないと実効性がないとか、事業規模に応じて支給すると支給までに時間がかかるとか、さまざまないいわけをしております。そうであるならば、現行の一律支給においては、せめて申請をしてから一カ月以内に飲食店等に感染拡大防止協力金を支給すべきであります。私たちのもとには、申請をして二カ月たっても協力金の支給がないという声が届いております。
 昨年十二月十八日から本年一月七日までの感染拡大防止協力金の申請締め切りは二月二十六日でしたが、一カ月たった段階での申請件数に対する支給割合は七四%で、二六%の事業者は、一カ月たった今でも支給されていません。昨年の十二月十八日から換算すると、三カ月間も資金的な困難を強いられているわけであります。
 そこで、なぜこのように申請から支給まで時間がかかっているのか、都の見解を求めます。
 三月二十一日に緊急事態宣言が解除されましたが、その三日前の三月十八日に時短営業に協力をしない二十七施設について、初めて改正特措法第四十五条第二項に基づく施設の使用制限の命令を行いました。
 都は、特措法が改正され施行された二月十三日に、直ちに緊急事態宣言下において時短営業に協力をしない施設の要請及び命令の手続に入ったとのことですが、実際に命令が行われたのは、手続に入ってから一カ月以上たってからであります。これでは余り実効性がありません。
 都はこれでも、最短で手続を行ったとのことですが、国の内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室に確認をしたところ、最初の業界全体に対する時短要請時に、特措法第四十五条に基づく要請であること、応じない場合は命令することもあり得ることを公表しておけば、個別店への要請の事前通知や要請は不要であるとのことであります。
 また、弁明の機会の付与についても、命令の事前通知の際に、弁明の希望があれば申し出てくださいと、あわせて文書に書いておくことで省略できるとのことであります。
 今後、緊急事態宣言や蔓延防止措置が発令された場合に、時短営業に協力をしない施設については、速やかに特措法第四十五条の要請、命令が発せられるように、こういったことを事前に検討しておくべきであります。都の見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対応資金融資利子補給事業について質問します。
 都議会公明党は、東京都病院協会の先生方から強い要請があったため、緊急事態宣言が発出された翌日の一月八日、小池知事に緊急要望した際、要望の一番目に掲げたのが、コロナ対応を行っている地域医療を担う医療機関への金融支援策であります。
 東京都病院協会の先生方からは、医療機関に対する融資制度としては、福祉医療機構の無利子貸付事業があるが、融資限度額や無利子となる融資額の制限など、医療機関の資金需要に十分に対応していないとのことでした。
 そこで、都議会公明党は、都が独自に医療機関が融資を受ける際の利子補給相当分の補助を行うとともに、借入額を資本とみなすことができる資本性劣後ローンとしても融資可能な新たな制度の創設を提案いたしました。
 我が党の要望を踏まえて創設された新型コロナウイルス感染症対応資金融資利子補給事業では、融資限度額が十億円、融資実行後三年間、最大二・〇%までの利子分を補助するとともに、資本性劣後ローンとして借りた場合には、返済期間到来後に元本一括返済となるなど、医療機関側にメリットが大きい制度となっています。
 コロナ禍において、引き続き厳しい状況にある医療機関の資金需要に十分に応えるため、今回、本事業の予算額等が引き上げられたことは評価いたします。
 緊急事態宣言は解除されましたが、今後のリバウンド対策は重要であります。我が党は、対策の一つとして、さらなる病床確保を要望しておりますが、多くの医療機関に病床確保のご協力をいただくためにも、コロナによりダメージを受けた経営を支援する本事業は有効と考えます。
 そこで、本事業の特色や事業を利用する医療機関の見通しと都の取り組みについて、知事の見解を求めます。
 また、本事業については、医療機関の状況を把握している福祉保健局と金融面からの支援策に精通している産業労働局とが連携した取り組みとなっています。今回、非常に短い期間の中で、予算の追加が必要になるほど医療機関の活用が進んだのは、両局の連携の成果であるというふうにいえると思います。
 そこで、本事業の実施や活用拡大に際して、産業労働局の取り組みについて所見を求めます。
 最後に、今後増加をし、深刻化してきている新型コロナウイルスの後遺症について質問をいたします。
 都議会公明党は、過日の本会議代表質問や予算特別委員会総括質疑において、新型コロナウイルスに感染し、回復したものの、強い倦怠感や気持ちの落ち込みといった後遺症に苦しむ人が増加している状況を踏まえ、感染者数の多い東京都みずからが実態調査し、その結果を踏まえ、後遺症の対策を講じるべきと都の対応を求めました。
 これに対し、都は、東京iCDCの専門家ボードにおいて、後遺症の調査に取り組むとともに、自宅や宿泊施設で療養をされる方に向け、後遺症についてわかりやすくまとめたリーフレットを作成すること、また、後遺症についての相談窓口を都立病院に設置することを明らかにいたしました。
 また、これまで約千三百人以上の後遺症が疑われる患者を診察してきたヒラハタクリニックの平畑医師にお話を伺ったところ、多くの方に強い倦怠感から来る鬱状態の傾向が見られ、このままでは自殺者が増加することが心配である、また、倦怠感が強い方の中には起き上がることも困難な方もおり、治療に行くことができないため、オンラインによる診療を受けやすくすることが大事になってくるとのご意見を伺いました。
 そこで、都は、強い倦怠感や気持ちの落ち込み、息苦しさ、せき、胸や関節の痛み、味覚、嗅覚の異常などの多彩な後遺症の症状に苦しむ人に対し、治療とともにメンタルケアについても対策を講じるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、オンラインによる診療については、医師が得られる患者の心身の情報が限定されることや、十分な情報セキュリティー対策が必要であることは承知をしておりますが、これまでにオンライン診療のノウハウと実績を積み上げてきた医療機関を相談窓口から紹介するなど、支援策を講じるべきと考えます。都の見解を求めます。
 冒頭にも申し上げましたが、都は今回、四月二十一日までをリバウンド防止期間とし、飲食店等に対し、午後九時までの時短営業を引き続き実施することを柱とした感染防止対策を講じることとしています。
 都議会公明党は、この時短営業とともに、飲食店等にコロナウイルスを持ち込ませないように、そして無症状の感染者を一人でも多く確認し、感染拡大を防ぐ意味からも、繁華街の商店街に協力をお願いし、その商店街の入り口で簡易な抗原検査等を実施することを改めて要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の質問にお答えいたします。
 リバウンド防止期間の周知についてのご質問が最初にありました。
 都内の感染状況等は依然として非常に厳しい、感染はまだおさまっていない状況であります。
 このため、都は、四月二十一日までをリバウンドを防止する期間といたしまして、強い危機感を持って時短要請を初めとした感染防止対策を徹底してまいります。
 また、現在リバウンド防止期間中であること、また、期間中の取り組み内容につきましては、ホームページやSNSなどを活用いたしまして、広く関係機関に周知を図っているところでございます。
 今後は、入学、そして転勤の時期を迎えることなども踏まえまして、交通の要所などでさまざまな媒体を用いて、都民や東京を訪れる方々などに対しまして幅広く周知を行うように取り組んでまいります。
 次に、リバウンド防止期間の取り組みについてでございます。
 緊急事態宣言につきましては、国が特措法に基づいて、全国的かつ急速な蔓延によって国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、またはそのおそれがある事態が発生したと認めるときに発出されるものでございます。
 一方、リバウンド防止期間でございますが、国の基本的対処方針を踏まえまして、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むために、一都三県の共同取り組みとして設定したものでございます。
 このリバウンド防止期間におきましても、緊急事態宣言下と同様に、都民や東京を訪れる皆様には外出自粛のほか、謝恩会、歓送迎会、飲食を伴う花見などについて自粛をお願いいたしております。
 引き続きご負担をおかけいたしますが、何としてもリバウンドを防ぐため、ぜひともご協力をお願いしたく存じます。
 医療機関に対する利子の補給事業についてのご質問がございました。
 この事業は、御会派の要望も踏まえまして、医療機関が今年度中に運転資金などの融資の申し込みを行った場合に、来年度から利子補給を行うものでございまして、多様な資金調達需要に対応するために、資本性劣後ローンも支援の対象といたしております。
 都は、医療機関が速やかにこの事業を活用できるように、一月の補正予算案公表後に、対象要件やスケジュールなどについて、東京都医師会等を通じまして情報提供するとともに、今月上旬の補正予算成立後も重ねて周知を行っております。
 この結果、想定を大幅に上回る申し込みがございまして、総額で六百億円を超える融資の利子補給にも対応できますよう、今般、追加で補正予算案を提出いたしておりまして、医療機関の資金需要に対応をしてまいります。
 残余のご質問は、関係局長からの答弁といたします。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の支給についてですが、先月二十六日まで受け付けておりました協力金につきましては、ほぼ全て審査に着手しておりまして、今月末には申請件数の八割を超える約四万九千事業者の支給を行う予定でございます。
 また、それに引き続く協力金につきましては、七割以上審査に着手しておりまして、今月末には約三万店舗に支給する予定となっております。
 この協力金から店舗ごとに支給することとなり、営業許可書を初めて提出する場合も多く、申請者名と許可書上の名義が異なるなど、さまざまな確認に時間を要しております。
 このため、間違いやすい事例をポータルサイトに掲載しているほか、提出書類に関して申請者からの問い合わせに対応するスタッフを増員するなどによりまして、きめ細かな対応を行うこととしております。
 こうした取り組みにより、支給の迅速化を図ってまいります。
 次に、医療機関への融資に係る利子補給についてですが、この取り組みは、感染症拡大の影響を受ける地域の医療機関を支えるための新しい対応でございまして、その内容を都内の金融機関に幅広く伝えることが重要でございます。
 このため、各金融機関に直接、事業の詳細をお知らせするとともに、全国銀行協会、東京都信用金庫協会、東京都信用組合協会などに対しても丁寧に説明を行い、そのネットワークを通じた周知を依頼したところでございます。
 さらに、利子補給等の手続に関するさまざまな相談などにもきめ細かな対応を進めてまいりました。
 こうした取り組みが福祉保健局による医療機関への周知とも相まって、本事業が広く認知され、利用されることにつながったものと考えております。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 命令等における事前の検討についてでございますが、都はこれまで、開店を確認した店舗に対して、職員が直接訪問するなどして時短要請への協力をお願いし、開店を継続する店舗には、個別に協力要請を行ってまいりました。
 また、要請に応じない店舗に対しては、順次、特措法第四十五条第二項に基づく要請を行ってまいりました。
 さらに、なお要請に応じない店舗には、実地確認等を行った上で、専門家の意見聴取や弁明の機会の付与などの手続を重ね、それでも要請に応じない店舗に、特措法第四十五条第三項に基づく命令を行いました。
 このように、店舗への命令等については、事業者に与える影響などが大きいことから、慎重な手続が必要でございますが、引き続き、根拠規定を含め、迅速かつ的確な事務の執行のため、手続の流れを整理するなどの対応を図ってまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございます。
 後遺症の実態は、現段階では明確になっておらず、確立された治療法もないことから、東京iCDCの専門家ボードでは、後遺症の現状を把握するための調査に取り組み、その結果、回答いただいた患者の七割以上の方が呼吸困難、倦怠感など、何らかの症状を持っていることが明らかとなりました。
 また、東京iCDCの専門家らとの意見交換を通じ、多様な後遺症の症状の中で、身体症状に加え、睡眠障害やメンタル面の不調を訴える方が多いとのことも聞いております。
 今後、こうしたことも踏まえ、精神面の状況も含めた実態把握を進め、後遺症に悩む方に寄り添い、対応策を検討してまいります。
 次に、新型コロナの後遺症のオンライン診療についてでございます。
 東京iCDCの専門家ボードの調査によりますと、後遺症が疑われる方の多くが倦怠感を訴えており、また、意見交換の中では、仕事に影響が出てしまう方や、入浴すること、ドライヤーを使うことさえも困難な方、寝たきりの方もいるとの話もございました。
 東京iCDCでは、新型コロナの後遺症を重要な課題と捉えており、今後、専門家ボードにおける後遺症に関する検討や、国が検証を行っておりますオンライン診療の指針の見直しに関する動向も踏まえながら適切に対応してまいります。

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