令和三年東京都議会会議録第七号

○議長(石川良一君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 百十一番入江のぶこさん。
〔百十一番入江のぶこ君登壇〕

○百十一番(入江のぶこ君) 都民ファーストの会東京都議団を代表いたしまして、質疑いたします。
 新型コロナ第三波に対し、都内の感染状況はピーク時の一日当たり二千四百人超えから大きく減少し、首都圏に発令していた新型コロナウイルス緊急事態宣言は、三月二十二日に全面解除されました。
 この間の都民並び事業者の皆様の多大なるご理解、ご協力、そして何よりも、日々の現場で感染のリスクと向き合いながら、目の前の患者の命を救うため、必死に治療を続けてこられた医療従事者の方々に対して、心より感謝申し上げます。
 しかし、都内では、緊急事態宣言下で七週間続いた新規陽性者数の減少傾向がとまり、その増加比が再び二週連続で一〇〇%を超えている状況にあります。今後、感染力の強い変異株などにより急激に感染が再拡大する可能性も踏まえ、一層の警戒と対策の再構築が必要です。
 また、花見、歓送迎会や卒業旅行などの行事により、例年どおりに人の流れが増加すれば、第三波を超える感染の急激な拡大も危惧されます。
 そうした中で、都は、緊急事態宣言の解除によるリバウンドを防止するため、四月一日より三週間にわたって、飲食店などに対して時短営業の延長を要請する方針を示しました。
 そこで、今回の協力金の支給や医療機関への融資に関する追加の補正予算を提案した趣旨について、知事の見解を伺います。
 都から営業時間短縮の要請延長を受けて、都内の飲食店は経営の先行きに大きな不安を抱えています。特に、これまでの期間の協力金でまだ支給が完了していないものもあり、資金繰りが厳しく、既に瀬戸際の状況に置かれている事業者も少なくはありません。
 協力金が店舗別とされたことなどによる審査の複雑化など、さまざまな事情があると承知はしていますが、事業者から迅速な交付を求める声が私たちのもとにも数多く寄せられています。
 そこで、令和二年度における協力金の支払い状況と、年度のかわり目における迅速支給に向けた対応について伺います。
 また、協力金の申請書類や審査プロセスの効率化などに一層取り組み、厳しい状況に置かれている飲食店などに対して、一刻も早く協力金を届けるべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、令和二年度、数次にわたり協力金を制度化してきたところですが、我が会派はその都度、制度改善に関する提案を行い、事業のブラッシュアップにつなげてきました。本定例会においては、事業規模に応じた協力金の支給の必要性を訴えるとともに、協力金の公平、合理的な算定基準を早急に策定することを国に対して要望しています。
 これについて、都からは、事業規模に応じた制度構築が都単独では困難なことと、また、今後一都三県で連携して国に要望していく旨の答弁がありました。協力金の制度構築に当たっては、近隣自治体と密に連携するのはもちろんのこと、都としても現場の実情を国にしっかりと共有し、国で実施すべきことを明確にした上で要望すべきと考えます。
 そこで、国との協議は行っているのか、また、その後の国の検討状況はどうなっているのか、あわせて副知事に伺います。
 昨日の都のモニタリング会議で示された最新のデータによると、都内の濃厚接触者における感染経路は、経路が判明しているもののうち、同居する人からの感染が四六・二%と最も多く、次いで、施設での感染が三〇・〇%、職場での感染が九・〇%、会食による感染が五・一%となっています。
 一方、経路不明者が依然として五割近くいる中で、その多くは飲食の場を通じたものと国の分科会でも分析されており、こうした見解は、飲食店に対する営業時間短縮の要請の根拠となるものです。
 そこで、基本的対処方針で述べている感染リスクが高いと指摘されている飲食の場に関する科学的知見について、国からどのような情報提供を受けているのか、また、都としてどのように考えているのか伺います。
 都は、都内にある飲食店の店長や店員の中から、率先して感染防止策に取り組むコロナ対策リーダーを登録する制度を始めました。登録されたスタッフには、コロナ対策のポイントを紹介した動画を視聴する研修や確認テストを受けると修了シールが発行され、店に掲示できる仕組みです。既に登録が始まり、多くの事業者の皆様に登録いただいていると聞いていますが、店舗の感染防止対策をさらに徹底する上で効果的な仕組みとなるよう、制度を構築していく必要があります。
 一方、一部の飲食店からは、コロナの影響によりスタッフも限られている中で、さらなる負担になるということは避けたいという声や、お客とのトラブルを懸念する声も上がっています。
 そこで、本事業の実施に当たっては、飲食店など事業者の負担を可能な限り軽減しながらも、実効性のある取り組みとして考えていくべきですが、見解を伺います。
 また、入店の段階でマスク着用ルールについてお客様に確認するなど、トラブルの可能性を極力減らせるように制度設計を工夫するべきと考えますが、見解を伺います。
 こうした利用客のマナー働きかけの取り組みに加え、会食、飲食を伴う店舗の感染防止対策の再徹底も欠かせません。
 これまでも、ガイドラインなどに基づく対策を行う事業者が、感染防止徹底宣言ステッカーを発行できる取り組みを行ってきたところですが、リバウンドを阻止するためには、改めて飲食店などにおける感染防止対策が徹底されるよう、都としても働きかけを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、先月末以降、時短営業の要請に従わなかった計百二十九店舗を対象として、特別措置法に基づく要請を実施し、その中で正当な理由なく応じていないと判断した飲食店三十二店舗に対して、全国初となる命令を出しました。そして、既に命令を出した店舗の営業状況を確認しており、今後は事実関係を精査した上で、速やかに過料を科すための手続に入るとのことです。
 一方で、一部の飲食店は、都が特措法に基づいて出した時短営業の命令は違法だとして、東京都に対し損害賠償を求め提訴しています。都の一連の手続は、国が改正した特措法に基づき実施されたものであり、時短営業を実施している他の店舗との公平性の観点などからも、丁寧な手続を経ながら、しっかりとした対応も必要です。
 そこで、都は、特措法に基づいてどのような基準とプロセスで命令の対象となる飲食店を選定してきたのか、また、公平な選定であることに疑念を抱かれることがないよう、丁寧に説明、発信していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 飲食店の時短営業、外出自粛などにより、都民の生活環境は大きく変化を遂げております。その影響は、飲食店のみならず、多くの中小企業に及んでいます。取引先の廃業や営業縮小など、さまざまな影響から、中小企業は思うような事業活動ができなくなっており、感染防止対策の継続が必要となってきている中で、早期の収支改善が期待できない状況が続いています。
 コロナ禍のように大きな社会変革のうねりを乗り越えるためには、中小企業がみずからのビジネスを見直し、新たなニーズや販路の開拓に向けた具体的な行動を起こす必要があります。
 また、時代の変化に的確に対応し、今後の道筋を切り開いていく取り組みは、本来はコロナ禍にかかわらず必要であり、感染症を機にビジネスの転換を図ろうとする懸命に努力する中小企業に対しては、一層寄り添ったサポートが求められます。
 そこで、中小企業が長引く感染症を乗り越え、新たな活路を見出すことができるよう、都の経営サポートがますます重要となると考えますが、今後の取り組みを伺います。
 新型コロナウイルスの経済への影響が長期化し、先行きが見通せない中で、中小企業の経営を下支えする金融支援も欠かせません。
 都はこれまで、昨年三月に、制度融資の新たなメニューとして、新型コロナ対応融資を立ち上げ、さらに今年度は、中小企業の資金需要に的確に応えるため、四回にわたって補正予算を編成し、融資目標を四兆円まで積み上げました。
 また、昨年五月には、コロナ融資の実質無利子化を行い、また先月には、コロナ対応融資そのものの借りかえも可能とするなど、手厚い資金繰り支援を行ってきています。これにより、多くの都内中小企業が事業継続できるようになったことは確かです。
 一方で、飲食店への時短要請は四月以降も継続することになるなど、感染者の状況や経済の動向次第では、一層きめ細やかな金融支援が必要となることも考えられます。
 国は、こうした状況を踏まえ、政府系金融機関による融資の充実などを図る予定です。
 都は、来年度予算でも、制度融資全体で二兆二千億円、コロナ対応融資だけで一兆円の融資目標を掲げており、都は資金繰り支援に力を大変入れております。
 今後、より一層、中小企業への金融支援に取り組むべきと考えますが、都はこうした事業者のニーズにどう応えていくのか、見解を伺います。
 緊急事態宣言の解除によるリバウンドの防止のためには、屋外における対策も欠かせません。
 東京でも桜が満開となる中、花見、歓送迎会や卒業旅行などの行事により、例年どおりに人の流れが増加すれば、年末年始を超える感染の急激な拡大も危惧されます。屋外においても、人と人の距離を十分にとり、マスクを外しての会話を避けるなどの感染防止対策を徹底する必要があります。
 都立公園では、宴会行為やシートを広げての飲食の禁止を呼びかける立て看板などを設置するとともに、夜の花見対策として警備員による巡回も実施しています。
 そこで、都内の区市町村立公園においても、花見によって感染が拡大することのないようにするなど、今後も一層、区市町村と連携して対策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症の流行により減収等の影響を受けた医療機関が多くあることから、我が会派は、中小企業向けの制度融資を医療機関にも拡充するとともに、従業員数が三百人を超える規模の病院も制度の対象とするよう繰り返し提案してきました。
 こうした我が会派の提案を受け、都は、医療機関へ融資を実施する金融機関に対し、利子補給に必要な補助を行い、融資を受けた医療機関の利子負担軽減を図ってきたところです。
 そこで、現在実施している大規模な医療機関への利子補給事業について、改めて事業の目的と今回の補正予算が必要となった理由について、知事に伺います。
 また、我が会派が本事業を提案した背景には、コロナ禍以前より都内の民間病院特有の経営の困難さがあります。都立病院など公費による補填がない民間病院は、全国一律の診療報酬のもとで、都内に特有の高い家賃など、経営に必要な経費を捻出しなければなりません。
 その結果、感染症などを初め、公衆衛生医療を地域で中核的に担う規模の大きな民間病院は、慢性的に経営が困難な状況が続いています。今回は、融資に関する利子補給などの優遇措置ですが、このような都内民間病院を経営する方々は、地域医療の安定的提供のため、より一層の支援を望まれているのが現状です。
 今後、国の診療報酬への物価相当の上乗せ分として、都独自の支援策についても検討するよう強く要望しておきます。
 感染の再拡大に対する備えで最も重要なものは、医療提供体制の強化です。直近の検査陽性者の全療養者数を見ると、三月十七日の時点の二千七百九十七人から三月二十四日時点で二千九百七十六人と高い値で推移しています。
 特に入院患者が千二百七十人から千三百七十一人に増加しており、重症患者数についても、新たな発生も続いているのが現状です。
 先日の予算特別委員会の締めくくり総括質疑でも、我が会派は医療提供体制の課題を取り上げ、知事から、医療機関と連携し、体制の構築に万全を期すとの答弁がありました。
 そこで、リバウンド防止期間の延長でつくり出した時間も有効に使って、次なる感染拡大への備えとして、病床の確保を急ピッチで進めることが重要ですが、見解を伺います。
 また、医療提供体制の充実は、病床の確保のみにとどまりません。確保した病床の効率的な活用も、医療提供体制を強化する上で重要なポイントです。国の通知でも、確保病床の効率的、効果的な活用が求められており、そのための取り組みが不可欠です。
 そこで、第三波の経験も踏まえ、より多くの患者数を受け入れられるよう、病床の確保とあわせて、効率的な活用のための取り組みを総合的に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 新規陽性者数がいまだに高い水準で推移する中、病院や高齢者施設においてクラスターが数十人規模で複数発生しており、重症化リスクの高い六十五歳以上の高齢者層への感染が続いています。
 また、院内感染の多発によって新規の患者受け入れを停止せざるを得ず、周辺の救急病院への負担が増大し、救急医療を含む通常の医療体制にも影響を与えています。
 我が会派は、かねてより高齢者施設におけるPCR検査の重要性を指摘し、都は、高齢者施設の全職員に対して検査を実施してきました。
 加えて、都は、保健所の要請により、施設内感染が発生した病院、高齢者施設などに感染対策支援チームを派遣し、感染拡大防止を進めてきました。
 今後、クラスターのさらなる発生を防ぐためにも、支援チームが収集したクラスターの発生事例から、その原因をより詳細に分析し、他の施設、病院にも周知していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内では、依然としてPCR検査における経路不明率が約五割に上がっており、今後のリバウンド防止のためにも、無症状や症状の乏しい感染者の追跡は重要です。国の基本的対処方針では、再度の感染拡大の予兆や感染源の早期探知のための検査の重要性が盛り込まれています。
 また、民間を含めて廉価な検査が拡大している中で、検査の網を広げ、無症状者を早目にピックアップし、感染拡大を防ぐ手法も提唱されています。
 都の最大の検査能力は一日当たり約六・八万件であり、この能力を有効に活用しながら、高齢者施設以外の感染リスクが高いところにも積極的に検査を拡大し、無症状者の早期発見に向けた取り組みを拡大していくべきです。
 都は、保健所と連携して積極的疫学調査を進めており、繁華街や特定の地域で感染拡大の兆候をつかむため、飲食店従業員を対象にした検査を実施するなど、クラスターを早期に発見する対策を計画しています。
 そこで、再拡大防止に向け、改めて今大切なのは戦略的検査を推進することだと考えますが、知事の見解を伺います。
 検査を拡大していく上で大きな課題が、検査で陽性と判明した後のフォロー体制のあり方です。陽性者が急激に拡大した場合、無症状であっても本人自身に行動制限が求められる点に加えて、保健所での積極的疫学調査、入院調整や、受け入れ病床体制の逼迫が生じないよう、制度全体の再構築も必要です。
 都はこれまでも、保健所の体制強化や受け入れ病床の拡大など、さまざまな取り組みを強化してきました。
 今後の戦略的な検査拡大に備えて、宿泊療養や自宅療養の場合のフォロー業務、入院先の調整業務などの保健所業務の集約化や負担軽減をさらに進める必要がありますが、見解を伺います。
 今後のリバウンドを防止し、医療機関の負担を軽減するためには、新型コロナの発病や重症化を予防する効果が期待できるワクチンの早期接種が重要になります。
 しかし、世界各国のワクチン総接種数と比較した場合に、日本のワクチンの総接種数は大幅に少ない状況です。国際的なワクチン獲得競争の中で、自国での開発のみならず、調達においても大きくおくれをとったといわざるを得ません。
 現時点で国から都に示されたワクチンの供給量は、都内医療従事者約六十万人に対して十万人分に満たない量ですが、来月からは高齢者へのワクチン接種も始まります。都内の約三百十二万人の高齢者のワクチン接種を円滑に進めていくためには、現在、都が中心となって進めている医療従事者などの接種が滞りなく行われることが必要です。
 今後、ワクチンの配送や接種の予約方法などについても、医師会や関係機関ときめ細かく調整を図りながら、迅速に接種を実施していくよう強く求めてまいります。
 都は、新型コロナウイルスへの対応を強化し、危機に対する備えをさらに高めるため、昨年十月に東京iCDCを立ち上げました。この東京iCDCには、専門家の知見を感染症対策全般に生かせるように、幅広い分野の専門家の方々に参画いただく専門家ボードを設置して、最新の科学的知見やエビデンスに基づいて政策につながることを提言しているとのことです。
 新型コロナウイルスへの対応について、いまだ科学的エビデンスが少ないなどの批判もありますが、この一年で次第に知見が蓄積されてきました。新しい感染症であり、手探りで試行錯誤しながら行っていくことが余儀なくされる部分もありますが、今後、より科学的なアプローチで、感染状況や都民の人流の変化、政策効果の測定などを行っていく必要があります。
 そこで、感染症対策を強化するため、東京iCDC専門家ボードのさらなる活用をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、この新型コロナウイルス感染症という国難ともいうべき危機を克服し、その先にポストコロナの新たな時代を見据え、東京の未来をつくり、都民の安全と安心を守るために、私ども都民ファーストの会東京都議団は全力を尽くしてまいりますことを改めてお誓い申し上げて、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 入江のぶこ議員の質問にお答えいたします。
 補正予算についてのご質問でございます。
 現在、新規陽性者数は増加傾向にあって、引き続き強い危機感を持って対策を徹底していく必要がございます。
 このため、都は、当面、四月二十一日までをリバウンド防止期間といたしまして、一都三県で連携しながら、飲食店に対し、四月以降も、引き続き二十一時までの営業時間の短縮を要請することといたしました。
 この要請に全面的にご協力いただける事業者の皆様に対しましては、店舗ごとに八十四万円の協力金を支給いたします。
 また、新型コロナウイルス感染症により減収等の影響を受けた医療機関に対します融資資金の利子補給につきましても、直近の申請状況等を踏まえまして予算を追加いたします。
 これらの対策を新年度も切れ目なく実施をするために、総額一千七十四億円の補正予算を編成いたしたところでございます。
 何としてでもリバウンドを防ぐ、新しく迎える年度を実りあるものにするためにも、都民、事業者の皆様のご理解、ご協力を改めてお願いを申し上げ、都庁一丸となって全力で対策に取り組んでまいります。
 次に、医療機関に対する利子補給事業についてのご質問でございます。
 本事業は、御会派の要望も踏まえまして、新型コロナウイルス感染症の流行で減収となったものの、中小企業制度の融資の対象とはならない医療機関を緊急的に支援することを目的として開始をするものであります。今年度中に申し込んだ十億円までの融資に対しまして、来年度から三年間にわたって、最大二%分の利子補給を行うものでございます。
 都は、この事業が積極的に活用されますように、東京都医師会等を通じまして、対象要件やスケジュールなどを周知するとともに、必要に応じまして、早期に取引金融機関等へ相談するよう働きかけてまいりました。
 その結果、当初、五十五件を想定していた申し込みですが、今月十九日の時点で既に八十七件となっておりますため、今般、追加で補正予算案を提出いたしまして、年度末までの医療機関のさらなる資金需要に対応してまいります。
 新型コロナウイルスの戦略的な検査についてでございます。
 都の感染状況は依然として厳しい、そして感染拡大の予兆を確実に捉えるために、このリバウンド防止期間に戦略的に検査を進めていく必要がございます。
 都は、ことし二月から、特別養護老人ホーム等を対象にして集中的なPCR検査を実施しておりまして、今月からは有料老人ホームなどでの検査も対象として、今後はさらに通所サービスなどにも対象を拡大してまいります。
 また、保健所と連携いたしまして、医療機関の職員や特定エリアの飲食店を対象とした検査を行いますほか、国と協力して交通の要所でのモニタリング検査も実施をいたします。
 来月からは、こうした取り組みを担うポストを設置するなど、組織体制の強化を図る予定でございまして、戦略的に検査を進めることで、感染の抑え込みに全力で取り組んでまいります。
 残余のご質問は、副知事及び関係局長からの答弁といたします。
〔副知事多羅尾光睦君登壇〕

○副知事(多羅尾光睦君) 協力金の制度構築についてですが、協力金は営業時間の短縮要請の実効性を確保するために支給するものであり、いわゆる損失補償ではございません。
 また、仮に事業規模に応じて協力金の支給額に差を設ける場合、その規模をあらわす指標を決めることが必要となりますが、こうした指標が自治体ごとに異なると、新たな不公平感を生むおそれがございます。このようなことから、事業規模に応じた協力金制度の構築については、国において行うべきものと考えております。
 緊急事態措置が実施されて以降、国と関係する都道府県との間で迅速な情報共有や調整を行うことを目的とした事務レベルの連携会議が設置されております。
 都からは、私を初めとする関係職員が出席し、緊急事態措置の実施に伴うさまざまな課題について意見交換や要望を行ってまいりました。
 その会議の中で、国は協力金についても議題として取り上げており、事業規模に応じた制度構築に関する課題を国及び関係自治体と共有しております。
 また、協力金の制度構築について、三月十八日に、改めて一都三県で連携して要望を行ったところでございます。
 こうした要望について、現時点でどのような検討がなされているのか、国は明らかにしておりませんが、都としては、引き続きさまざまな場面で要望してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の支給状況と執行体制についてですが、先月二十六日まで受け付けておりました協力金につきましては、ほぼ全て審査に着手しておりまして、年度末には、申請件数の八割を超える約四万九千事業者の支給を行う予定でございます。
 また、それに引き続く協力金につきましては、七割以上審査に着手しておりまして、年度末には約三万店舗に支給予定であるなど、可能な限り支給事務を進めているところでございます。
 また、年度のかわり目におきましても、速やかに支給事務が行えますよう、四月に初めて協力金業務を担当する職員については、今月中に当該業務を兼務する体制を整えているところでございます。
 次に、協力金の迅速な支給に向けた取り組みについてですが、都はこれまで、協力金の早期支給につなげるため、必要書類を簡素化するなど、申請者の負担軽減を図るとともに、オンライン申請の受け付けや情報発信を行う専用のポータルサイトを構築するなど、利便性の向上に努めてまいりました。
 また、ポータルサイトにつきましては、申請者からの改善提案を受け付けるフォームをサイト上に設置し、いただいたご意見等を踏まえ、わかりやすく使い勝手のよいサイトへと、繰り返し改善に取り組んできたところでございます。
 四月一日から四月二十一日までの営業時間短縮要請に係る協力金では、過去の申請データを十分に活用できる申請システムを構築いたしまして、申請手続の簡素化や審査の効率化につなげるなど、支給のさらなる迅速化を図ってまいります。
 次に、中小企業に対する経営サポートについてですが、中小企業がコロナ禍において新たな事業展開を図るためには、経営面からのきめ細かな支援が重要でございます。
 都は、中小企業が直面する経営課題の解決に向け、豊富な実務経験を持つ専門家を派遣しておりまして、今年度は、経営環境が厳しい中、前年度を上回る二千件を超える支援を行っております。
 具体的には、コロナ禍の克服に向けた経営戦略の策定やオンラインによる販路拡大などへのアドバイスを提供しており、今後も新たな取り組みを着実に支援してまいります。
 また、売り上げの回復を後押しするため、展示会出展等への助成を行っておりまして、来年度は助成率を引き上げるなど充実を図り、新たな販路の開拓に着実につなげてまいります。
 コロナ禍の厳しい状況にある中小企業に対しまして、今後も経営面からの支援を積極的に行ってまいります。
 最後に、中小企業への資金繰り支援についてですが、コロナ禍で厳しい経営状況下にある中小企業が事業継続を図っていくためには、円滑な資金繰りが不可欠でございます。
 このため、お話のように、都は制度融資において、今年度四月、六月、九月及び十二月に補正予算を編成しまして、融資目標を拡大するほか、実質無利子化などの制度の充実により、事業者の資金需要に的確に応えてまいりました。
 また、来年度におきましても、金融機関の経営サポートとあわせた新たな低利融資を行うこととしております。
 今後とも、経済の動向を見きわめながら、必要な金融支援を実施し、都内中小企業の資金繰りを支え、事業の継続を後押ししてまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、飲食の場に関する科学的知見についてでございますが、国の分科会では、飲食を介しての感染が感染拡大の重要な要素の一つとして提示され、会食、飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要との提言がされてございます。
 このため、都は、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、当面、四月二十一日までの間、飲食店等への営業時間の短縮要請を初めとした感染防止対策を実施してまいります。
 今後とも、都内の感染状況等を踏まえ、国や一都三県と連携し、専門家の意見も聞きながら、適宜適切に対応してまいります。
 次に、コロナ対策リーダー事業についてでございますが、リバウンドの防止に向け、コロナ対策リーダーが中心となって、利用客に対して感染防止マナーを促す取り組みを実践していただけるよう、リーダーをきめ細やかに支援していくことが重要でございます。
 このため、登録後に受講する東京iCDC監修による研修では、科学的根拠を示しながら、店舗内で起こり得る感染リスクや対策を学んでいただきます。
 その際、対策のポイントごとに短く区切った対談形式の動画を用意することで、簡便に視聴できるようにいたします。また、それぞれの動画の最後に知識を確認する問題を設けることで、より理解を深めていただけるような工夫を行います。
 これらにより、リーダーの登録を行った多くの事業者が研修を修了していただけるよう取り組んでまいります。
 次に、飲食店等利用客への働きかけについてでございますが、会食や飲食などによる感染リスクを低減していくためには、利用客の感染防止マナーへの理解と協力が重要でございます。
 そのため、研修動画で学んだ対策をリーダーが中心となって実践できるよう、利用客へのお声がけに当たっての対応方法などを紹介する動画も用意をいたします。
 具体的には、手指消毒、食事以外のマスク着用など、感染防止マナーごとに利用客に呼びかけるタイミングなど、接遇のポイントや工夫について、事例を交えながら紹介をいたします。
 また、利用客向け感染防止マナーのポスターなどを修了シールの発行時に合わせて提供するとともに、都としても都民に対する普及啓発を行うなど、研修を修了した事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、飲食店等への感染防止対策の徹底についてでございますが、都はこれまで、職員がステッカー掲示店舗を直接訪問し、感染防止策の確認を行ってまいりました。
 また、業界団体が自主的な点検を行い、その結果をステッカーに掲示する取り組みを支援することで、都民が感染防止策の実施状況を確認できるようにしてございます。
 こうした取り組みに加え、感染防止策や利用客への働きかけなどの確認を飲食店に対し重点的に行いますとともに、民間への委託についても検討してまいります。
 また、コロナ対策リーダーの王冠マークの送付の機会等を捉え、改めてガイドラインの徹底を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、事業者による継続的な点検の実施を促し、都民が安心してステッカーのある店舗を利用できるよう、感染防止対策の徹底を図ってまいります。
 次に、特措法に基づく命令についてでございますが、都は、時短要請への協力状況の調査を幅広く行った上で、開店が確認された店舗に職員が個別に訪問し、繰り返し時短要請への協力をお願いしています。
 こうしたたび重なる要請に応じない店舗に対して、特措法第四十五条第三項に基づく命令を行ったものでございます。
 今回の命令は、営業を継続し客の来店を促すことで飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていることに加え、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店等の二十時以降の営業継続を誘発するおそれがある店舗を対象としてございます。
 都は、こうした状況等が確認できた店舗につきまして、特措法等にのっとった手続により命令を行い、その旨を公表しており、今後も同様の手続で丁寧に対応してまいります。
 最後に、区市町村と連携した感染防止対策についてでございますが、感染を徹底的に抑え込み、感染の再拡大を招かないよう取り組むことが何よりも重要でございます。
 このため、都は、感染の再拡大を防ぐため、都民に対し飲食を伴う花見等についての自粛の要請を行いますとともに、都立公園で酒類を伴う宴会、飲食等を禁止するなどの対策を実施しており、こうした都の取り組みを区市町村にも情報提供を行い、周知を図ってございます。
 今後、行楽シーズンを迎えるなど、人流が増加することも踏まえ、区市町村に対して、それぞれが管理する公園等の施設における酒類を伴う宴会、飲食等の自粛要請を行うよう改めて働きかけるなど、区市町村と連携して感染防止対策に、より一層取り組んでまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナ患者用の病床についてでございます。
 都は、専門家の助言をいただきながら、都内の感染状況を踏まえ、段階的に病床の確保を進めてまいりました。
 現在、新規陽性者数は再び増加傾向に転じることが懸念される状況にあり、今後、感染が拡大した場合に速やかに対応できるよう、新型コロナ患者用に転用可能な病床の確保を進め、最大確保病床は、都立、公社病院の二千床を含め、六千四十四床となってございます。
 国は、今後の感染拡大に備えた医療提供体制の整備を進める考えを示しており、こうした動きも踏まえ、感染者急増時における緊急的な患者対応方針とともに、新たな病床確保計画を策定するなど、医療機関とも連携しながら医療提供体制の強化を早急に進めてまいります。
 次に、病床の効率的な活用についてでございます。
 都は現在、新型コロナウイルス感染症の入院病床を五千四十八床確保するほか、回復後も入院が必要な患者を受け入れる病院を二百確保してございまして、転院支援システムなども活用しながら、病院間の転院を進めております。
 来年度は新たに、病院間の転院に係る民間救急車や介護タクシーなどの経費も支援することで、さらに円滑な転院を促進してまいります。
 また、退院基準を満たしていないものの、医療機関での治療が必要な状態から回復した患者につきましては、宿泊療養施設でも受け入れが可能なことから、医療機関などに対し、宿泊療養を紹介するリーフレットを配布して利用を呼びかけるなど、病床の効率的な活用につなげてまいります。
 次に、感染対策支援チームの活動成果についてでございます。
 病院や高齢者施設などでの感染拡大を防止するため、昨年十月、東京iCDCに医師や看護師などの専門家から成る感染対策支援チームを立ち上げました。
 これまで約五十の病院や高齢者施設などの現場にチームを派遣し、保健所と連携しながら、現場で汚染区域と清潔区域を区分けするゾーニングの方法や、手指衛生、消毒、防護服の着脱などの指導を行っております。
 これまでの支援実績を踏まえた事例の分析を行い、今後、こうした知見を保健所と共有するとともに、施設、病院にも周知を図ってまいります。
 次に、保健所の負担軽減についてでございます。
 都は、保健所に職員を派遣するほか、保健所設置区市には看護師等の雇い上げ経費などを支援しております。
 また、保健所にかわって患者等への宿泊療養施設の説明や問い合わせへの対応を行うほか、自宅療養者を支援するフォローアップセンターや、夜間に自宅療養者等の容体が急変した場合に入院先の調整を行う窓口を設置しております。
 今後、保健所のさらなる体制強化のため、積極的疫学調査などの業務を担うトレーサーとして、新たに保健師や看護師、事務職等、計四十名以上を採用する予定であり、都の保健所で取り組んでおります未来型オフィス実現プロジェクトを保健所設置区市に紹介するなど、業務のデジタル化に向けた支援も推進し、保健所の一層の負担軽減に取り組んでまいります。
 最後に、東京iCDCの専門家ボードについてでございます。
 専門家ボードでは、夜間の滞留人口のモニタリングや入院患者のデータ分析、感染予防ハンドブックの作成のほか、緊急事態宣言解除後を見据えました戦略的検査の実施等に関する提言など、さまざまな活動を行っております。
 来年度は、新型コロナウイルスのゲノム解析による新たな変異の有無や特徴などの実態把握に取り組むほか、繁華街での人の移動にかかわるビッグデータなどを分析して感染動向を把握するなど、分野ごとの調査研究をさらに進め、今後の対策に生かしてまいります。
 また、今年度、人材育成チームを設置して人材の育成プログラムの検討に着手し、来年度からは、専門医の養成に向けた取り組みを開始するなど、中長期的視点に立った感染症対策の強化にも取り組んでまいります。

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