令和三年東京都議会会議録第六号

○議長(石川良一君) 二十六番斉藤れいなさん。
〔二十六番斉藤れいな君登壇〕

○二十六番(斉藤れいな君) 無所属東京みらいを代表して質疑を行います。
 今般上程された補正予算は、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金でありますが、緊急事態宣言の再延長に伴うものであり、この間に都が講じるべき対策についても一体的に議論すべきとの考えから質問を行います。
 まず、医療提供体制について、国は、病床の使用率が高い地域があるとし、医療への負荷を減らす必要があるとしていますが、そのためには、感染者を抑えることと医療提供体制を強化することの両面からのアプローチが必要です。
 今後の本格的なワクチン接種に向けて、新型コロナ対応に振り分けられる医師や看護師などの医療資源が今よりも少なくなることも予想され、現在の指標の分母となる病床の確保が難しくなることも念頭に戦略を立てる必要があります。
 そこで、ワクチン接種と新型コロナ対応とを同時に行う場面を迎えた際に、現実的に提供可能な病床数と、その確保に向けた取り組みについて伺います。
 次に、リバウンドや変異株のリスクについて、国では、繁華街のスクリーニングやSNSのAI解析等を用いて、その兆候を早期につかむ必要性に言及しています。
 また、国の感染症対策分科会の尾身会長は七つの提言を行い、客観的な指標に照らし合わせ予兆を発見した段階で、直ちに具体的な対策を打つべきなどとしています。
 都においては、リバウンドを防ぐ、変異株に備えるために徹底的に感染を抑えるとしていますが、数値の指標だけではなく、その兆候を検知する具体的な取り組みが必要と考えます。見解を伺います。
 感染症対策の基本は、検査、追跡、隔離であり、その対策の強化の必要性についてたびたび述べてきましたが、その根幹になるのは保健所です。その体制強化について、尾身会長は、広域連携や現場のリーダーの重要性を指摘しています。
 先般、都は、保健所業務の一部を支えるトレーサー班の増員を表明したところですが、これ以上現場が抱え込むことのないように、業務を整理し振り分けるとともに、業務フローを改善し、情報共有や保健所間の横連携を円滑にする司令塔機能の強化をあわせて行う必要があります。
 そこで、保健所の広域連携及び体制強化を行うための司令塔機能を整備する重要性について見解を伺います。
 続いて、感染を抑えるためのアプローチについて質問します。
 都では、テレワークや不要不急の外出自粛などの人の流れを抑える対策、飲食店等の時短要請やイベントの制限、花見を避けるための都立公園の一部制限などの感染リスクの高い行為への対策、高齢者施設等でのクラスター対策の三つの柱を掲げています。
 こうした対策は、事業者や都民の皆様に対して一定の制約を課すものであり、ご理解の上でご協力いただくためには信頼関係が非常に重要です。本補正予算は、ご協力いただく仕組みの一つである協力金ですが、複数の会派から、一律は不公平である旨の指摘がなされたとおり、かえって都民の信頼を失うことにつながるのであれば本末転倒です。
 本補正予算の財源は大部分が国庫支出金ですが、その要綱には、休業補償はできないとする一方で、要請に応じ協力する事業者に対して売り上げ減少額や休業中も必要となる家賃等について、その一定割合を給付することはできるとしています。つまり、必ずしも一律、一定額である必要はないと読み取れます。また、菅総理は、事業規模に応じた対応も検討すべきと国会で答弁しています。
 こうした状況を踏まえて、実務を担う自治体こそが、協力金のあるべき制度設計について積極的に進言するとともに、国が一律ではない協力金の基準を求めた場合には、すぐに対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 一方で、感染を徹底的に抑えるのであれば、飲食店への時短要請だけでいいのかという指摘もあります。これまでの対策の効果検証とあわせて、補償とセットにした、より強力な対策によって短期間で抑え込む方向性の検討をすべきと申し述べておきます。
 最後に、セーフティーネットについてです。
 宣言の再延長による経済損失は七千億円ともいわれ、コロナ解雇は都内で二万人を超えたとされています。閉店、倒産、解雇の憂き目に遭われた方々やシフトの減少等を強いられる非正規の方々、あるいは退学や休学を考える大学生、学習塾に通えなくなり進学に不安を抱える中高生に対して、私たちは全ての手を尽くしているでしょうか。
 知事は、都民の命と健康を守るためと繰り返し強調していますが、緊急事態宣言の再延長によって、新型コロナの感染という直接的な意味合いとは異なる、命と健康の危機が今なお広がっています。その状況を踏まえ、国では、三月末をめどに緊急の支援策を取りまとめるとしています。
 今回、イベント等の開催制限も延長されていることから、文化関係者、関連事業者や警備などの現場スタッフからも悲鳴に近い訴えが届いています。
 新型コロナで苦しむ方を減らしたい、救いたい、医療従事者の負担を減らしたい、その気持ちは私たちも変わりません。しかし、それと同じように、宣言の延長で日々の生活に悩み、苦しむ方々に対してセーフティーネットを強化するためのさらなる補正予算を編成すべきと考えます。見解を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 斉藤れいな議員の質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナ患者を受け入れる病床についてでございます。
 これまで都は、通常医療への影響も考慮しながら、重症度に応じた病床の確保を段階的に進め、現在、五千床の病床を確保しております。
 今後、お話のワクチン接種の体制確保も含め、新型コロナ患者を確実に受け入れられるよう適切に対応してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の対策についてでございます。
 変異株は、従来株より感染力が強いとされており、リバウンドを防ぐためには、変異株による感染拡大リスクも視野に入れながら感染対策を徹底することが必要でございます。
 都民や事業者には、不要不急の外出自粛や営業時間の短縮の要請などにより、徹底的に感染を抑え込んでまいります。
 都はこれまでも、健康安全研究センターや民間検査機関で変異株の有無を確認するスクリーニング検査に取り組んでおり、引き続き監視体制の強化に取り組んでまいります。
 加えて、保健所の調査機能を最大限発揮し、リバウンドのきっかけとなるクラスターの芽を早期に摘み取り、感染の再拡大を防いでまいります。
 最後に、保健所についてでございます。
 都は、政策立案や調査、分析など効果的な感染症対策を一体的に担う常設の司令塔として東京iCDCを設置し、その専門家の知見も生かしながら、保健所との連携体制の構築を図っております。
 本年二月には、東京iCDCの専門家ボードから、新規陽性者数が減少し、感染経路が特定し得る段階においては、クラスター対策を強化し、再拡大を予防すべきとの考え方が示され、都は、保健所が状況に応じた適切な対応をとれるよう、この考えを示してございます。
 また、都は、日ごろから保健所との意見交換を行っており、今後、一層の連携強化を図ってまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 協力金の制度設計等についてですが、一都三県においては、協力金について情報共有や意見交換を行い、必要な事項については、これまでも国に要望しているところでございます。
 一都三県からの要望を踏まえ、国から協力金の制度設計に関する基準が示された場合には、必要な対応を検討することとしております。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) セーフティーネットの強化についてでございます。
 都はこれまでも、都民生活を守ることを最優先に対策を強化してまいりました。
 具体的には、失業等により生活資金を必要とする方々への貸し付けの拡充、SNSによる児童虐待、DV等相談窓口の新たな開設など、さまざまな対策に取り組んでまいりました。
 加えまして、今回の緊急事態措置の延長に合わせまして、緊急的な一時宿泊場所の受け付け期間を延長する追加対策を講じております。
 さらに、来年度は、二万人を超える雇用を創出するほか、離職者等に対する一時利用住宅の拡充を図ってまいります。
 今後とも、状況を的確に見きわめつつ、必要に応じて対応を検討してまいります。

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