令和三年東京都議会会議録第六号

○議長(石川良一君) 二十九番柴崎幹男君。
〔二十九番柴崎幹男君登壇〕

○二十九番(柴崎幹男君) 東京都議会自由民主党を代表して、本定例会に急遽提案されました第百四号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)に関する質疑を行います。
 一月八日に発出された緊急事態宣言は、二月八日に一カ月間延期され、今回、三月八日に、一都三県においては二週間を目途にさらに延長されました。
 今回の延長に関して、小池知事は、国が緊急事態宣言の期限を二週間程度延長する方針を表明した際に、延長という考え方は基本的に都の考え方とも一致するとの発言をされています。
 小池知事は、いつの時点で宣言を延長すべきと決定いたしたのですか。また、延長する期間についても、政府と同じ二週間ということで考えていたのでしょうか、知事にお伺いいたします。
 さて、今回、緊急事態宣言が延長されたということは、都内の感染状況は依然厳しい状況にあるということであります。
 これまでも医療関係者の方には大変なご尽力をいただいていますが、緊急事態宣言が延長される中、コロナとの闘いがまだまだ続くということになります。
 そこで、コロナ感染拡大防止に関する医療面での対応について幾つか伺います。
 最初に、都と国で重症者のカウントの仕方が異なっていた点について、改めて確認させていただきます。
 三月二日に、厚生労働省が毎週公表している新型コロナウイルスの感染状況の指標のうち、東京都の重症者向け病床の使用率が、前週比で八六%から一気に三二%に激減したことが話題を呼んでいるとの報道がありました。
 これまで都は、重症患者数については、国の基準に沿って厚労省に報告する一方で、確保病床数については、国と異なる都の独自基準に沿って報告していました。
 ところが、この都の基準によると、ことし一月、都の重症患者数が確保病床数を上回り、使用率が一〇〇%を超える異常値が発生し、病院の廊下で重症患者を診ているのかといった声も上がっていました。
 ところが、その時点では特に対応せず、今回、緊急事態宣言を解除できるか否か、その検討が進められている中、都は、宣言解除の判断基準である重症者の病床使用率の考え方を急遽変更し、使用率を大幅に下げ、この項目を、いきなりステージ三相当となったことで、多くの人に東京都が意図的にデータをいじっているとの疑念を抱かせることになりました。
 そこで、都は、一月に重症者の病床使用率が一〇〇%を超えてしまった時点では判断基準をそのままにしていたのに、三月になって重症患者の病床使用率を変更したのですが、この間の経緯と変更した理由を伺います。
 最初に、軽症の方や病院での治療で回復された方がご自宅に戻る前、一定期間、外部との接触を避けていただくために設置し、運営している宿泊療養施設について伺います。
 現在、都が確保している宿泊療養施設の規模と、これまで運営してきた中で明らかになった運営上の課題と対策について伺います。
 次に、ワクチン接種について伺います。
 感染拡大防止対策を大きく前進させることが期待されているワクチン接種ですが、現在、医療関係者の方々から接種が始まりました。
 今回、緊急事態宣言の解除が見送られたという現実を直視し、都として一日も早いワクチン接種に取り組む必要があります。ワクチン接種に向けた現在の取り組み状況を伺います。
 首都圏の緊急事態宣言が継続される中、医療関係者やエッセンシャルワーカーへの支援が欠かせません。緊急事態が実質一年以上に及ぶ中、感染防止対策の充実、看護師の方の託児所の確保や待遇改善といった勤務条件の整備から風評被害対策まで、さまざまな取り組みが行われています。
 今後、さらなる長期化に備え、より継続的かつ組織的なバックアップが必要と考えます。今後の取り組みについて、福祉保健局、病院経営本部、それぞれに伺います。
 こうした医療関係の取り組みと並行して、都は、この三カ月近くに及ぶ緊急事態宣言のもと、飲食店などに営業自粛を要請し、協力金を支給しています。
 一方、営業自粛要請の対象から外れていても、外出自粛の影響によって、都内の多くの業種、業界も実質的に営業自粛状態に陥り、極めて厳しい経営状態にあります。
 そうした中、飲食店の方からは、コロナ対策に万全を期し、アルコール消毒はもとより、換気など懸命の取り組みをしているにもかかわらず、感染源のようにいわれ続けることへの不満の声も聞こえてきます。
 そこで伺います。
 東京都は、昨年八月の一カ月と九月の半月、その後、昨年十一月下旬から現在まで、飲食店やカラオケ店への営業自粛要請を継続していますが、感染の拡大防止策としての効果を都はどのように分析しているのか伺います。
 飲食店等の営業自粛措置が続いていますが、感染している方が他の方に感染させるのを防ぐという観点からすると、そもそも飲食店が汚染されているのではなく、そのお店に来店した感染者の方が感染防止マナーを守らない振る舞いをすることで周りの方に感染するということではないでしょうか。
 複数の方が飲食をともにすると感染の危険性が大きくなるのはわかりますが、一定の食事マナーを守れば、その危険性を最小限に抑えることもできると聞いています。
 今後、緊急事態宣言の解除後も見据え、こうした観点からの取り組み、都民への周知も重要ではないでしょうか。
 いつまでも営業自粛を続けることができない以上、お店にだけ負担を強いるのではなく、お客とお店の双方で感染防止に取り組む必要があることを都として強く発信すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 この営業自粛要請に関して、特措法が改正され、二月三日に施行されました。緊急事態宣言の前段階として蔓延防止等重点措置を新設し、命令や過料など私権の制限を強化する内容になっています。
 東京都は、この改正された特措法に基づいて、四十程度の店舗に対して時短営業に応じるよう求めたとのことですが、こうした措置の前提として、当該店舗に対する個別の対応だけでなく、そもそも知事による営業時間短縮の要請が、都内全域において公平かつ的確に適用されていることが必要です。
 そこで、都は、営業時間短縮要請という施策を都内全域で満遍なく適切に適用するために、どのような対策を実施しているのか伺います。
 また、都は、飲食店、カラオケ店に対する営業時間の短縮要請に伴い、実態調査も行っているようですが、実態調査の結果と、こうした調査によって東京の営業自粛の実情をどれほど把握できていると考えているのか、あわせて伺います。
 次に、飲食店などへの協力金支給の実態について伺います。
 都の協力金については、昨年の八月と九月に、まず、東京都の単独事業として、事業者単位で二回行われています。
 その後、国の補助制度を活用したものを十一月に開始したのですが、この国制度に基づく協力金は、まず、二十三区と多摩地域を対象に十一月から一月七日までの間、事業者単位で実施され、その後、緊急事態宣言が発出された一月八日から現在までは店舗単位で都内全域で実施しています。
 そして、この店舗単位で実施した協力金の支給については、一月二十二日から大企業も支給対象に追加されています。
 このように、国の財政支援制度も変わってくる中、都の協力金支給は、適用範囲も支給対象も支給額も目まぐるしく変わっています。
 こうしたことを反映してか、我が会派にもさまざまな方面から給付金に関するお問い合わせがあります。
 次々と制度の内容が改正される中、懸命の対応をされているというお話も伺っておりますが、現時点の協力金の支給状況と関係事業者への周知及び説明の実態について伺います。
 一方、この協力金に関して、飲食店の営業に関する業界の方や、全く異なる業種、業界の方からは、外出自粛の影響で営業活動がほとんどとまっているのが実態であるとして、飲食店等に限定した要請と協力金のあり方について、強い不満の声が上がっているのも事実であります。
 コロナという感染症への対応はあくまで科学の領域であり、コロナ対策はその科学的知見をもとに行う必要があります。
 一方で、コロナ対策も行政施策であることに変わりありません。施策の効果を都民が実感し、その意義や必要性を多くの都民が納得できることも必要です。
 しかし、現実には、飲食店への営業時間短縮の要請と協力金支給という、これまでの都の施策の効果や内容の妥当性について、多くの方が懐疑的になっているというのも事実ではないでしょうか。
 都は、営業自粛と協力金支給に関して、行政施策としての妥当性、合理性をどのように考え、そして他の業種、業界の方も含め、都内事業者の方にとって納得のいく事業になっていると考えているのか伺います。
 そして、国は、ことし一月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、不要不急の外出、移動自粛によって売り上げが五〇%以上減少した中小企業や個人事業者を対象に、緊急事態宣言の影響緩和に係る一時金の給付を発表しました。
 ことし一月から三月までの売り上げが前年、もしくは前々年と比較して五〇%減少という条件で、中小企業は上限六十万円、個人事業者は上限三十万円を給付するというものであります。
 国はこうした対応を開始したのですが、都として、都内事業者を対象に独自の支援策を検討しているのでしょうか。国の一時金支給の取り組みへの認識と都の今後の取り組みを伺います。
 この一年という長期間にわたるコロナ禍は、まさに非常事態であり、その意味では、自然災害への対応と共通する部分があると考えます。
 災害の発生直後は救出救助が最優先です。それは、コロナ対策でいえば、PCR検査や入院治療であります。
 そして、こうした初期対応と並行して、直ちに復旧、復興への手だてを講じていくのが災害時、緊急時の鉄則です。都がBCPを強力に推進しているのはそのためであると理解しています。
 では、コロナ対策はどうなっているでしょうか。小池知事も都民に対して、気をつけてください、自粛してくださいと何度も繰り返し発言されていますが、それを除けば営業自粛の要請以外、特に目立った対策はありませんでした。
 ワクチンが開発され、接種が始まった今こそ、都民の皆様が納得できる、そしてコロナ後に向けて歩み出していける力となるような支援が必要です。
 国は、緊急事態宣言延長に伴い、これまで同様、一日六万円の協力金を支給するとのことであります。
 そこで、延長された二週間、この期間の感染防止対策の取り組みが、より実効性あるものになるよう、東京都としても独自の取り組みを行うべきと考えます。知事の見解を伺います。
 続いて、今後二週間が経過し、二十一日に緊急事態宣言が解除されてから三月末までの十日間の段階的緩和措置期間について伺います。
 この期間は、あくまでも段階的な緩和ということですから、三月八日から二十一日までの延長期間中に営業を自粛していたことを前提に、二十二日以降の十日間は、その措置を段階的に緩和するものだと理解しています。
 そうした措置である以上、この段階的緩和措置の十日間だけ営業を自粛する店舗等を、協力金の支給対象にするのは制度の趣旨に反すると思うんですが、この点について都の見解を伺います。
 また、国は、この段階的緩和措置の間、営業時間短縮を継続した場合、限度額を四万円に引き下げた上で協力金を支給するとしています。
 今回、都が提案した補正予算案には、この国負担の協力金に要する予算も含まれています。営業時間短縮への協力金については、国が二月二日に要綱を改正して、即時対応特定経費交付金を追加したことで、都の負担分は実質的にはほぼゼロになっています。
 そこで、この四万円に減額された協力金の支給とは別の形で、都としての支援策を検討することは考えていないのか、都の見解を伺います。
 今回、緊急事態措置は延長されましたが、三月末を目途に、コロナ対策は新しい局面に入っていきます。最も恐れなくてはいけないのは、気の緩みによる感染の再拡大です。
 先ほど飲食店における感染防止に関連して申し上げましたが、電車やバスといった交通機関、旅館、ホテルなどの宿泊施設、劇場など、施設自体が汚染されているのではなく、利用する方の中に感染マナーを守らない方がいると、他の方に感染してしまうリスクが高い、そのことが問題なのです。
 交通機関、宿泊施設の方々も懸命の努力をされていますが、利用する方のご理解、ご協力がどうしても必要です。これは非常に息の長い取り組みであり、恐らく一気に解決できる名案はないと思います。一人一人が粘り強く感染防止マナーをしっかり守っていくことが、遠回りのようで、最も確かな対策ではないでしょうか。
 東京都には、そうした都民の方々の日々の暮らしをしっかり支えながら、抜かりなく医療体制を整備、強化し、ワクチン接種を支援していくことが求められています。感染の再拡大を許さない、そうした強い気持ちで必要な情報発信に取り組んでいくことを要望しておきます。
 そして、この感染の再拡大防止に関連して、小池知事は、変異株の感染拡大を防止するため、積極的疫学調査を各保健所で取り組むとして、保健師や看護師を四十人採用すると発表しました。
 保健所業務は多忙をきわめていると伺っています。三月下旬以降、順次採用していくとのことですが、実際、保健所にいつごろ配置され、具体的にはどのような業務に取り組むことを計画しているのでしょうか。採用人数の規模の根拠も含め、今後の取り組みについて伺います。
 緊急事態宣言は延長されました。今後、コロナ感染者数を抑え込むことで、コロナ後に向けて東京が歩みを進めていけるか否かは、本日三月八日から二十一日まで二週間、そしてその後の十日間にかかっているといっても過言ではありません。
 知事も三月五日の対策本部会議、その後の記者会見で、テレワークを強力に推進するなど、感染者数を抑え込む決意を表明されています。
 知事は、原点に返って、感染者数を徹底的に抑え込むと決意を明らかにされました。都知事として成果を出す一カ月です。
 最後に、小池知事の決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 柴崎幹男議員の質問にお答えいたします。
 まず、緊急事態宣言の延長についてのお尋ねがございました。
 菅総理は今月三日、緊急事態宣言を二週間程度延長されることを表明されました。これはその時点での一都三県の感染状況、医療提供体制等を十分に勘案された上でのご判断であったと認識をいたしております。
 延長の要否、そしてその期間につきましては、国が感染状況及び医療提供体制等を踏まえて、専門家の意見も聞きながら適切に判断するものでございますが、一連の流れの中で都内の感染状況の推移、医療提供体制の状況を踏まえまして、都民の命と暮らしを守るためにも、基本的に必要な措置と認識をいたしていたものでございます。
 次に、感染拡大防止に向けた取り組みの発信についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが長きにわたる中で、感染の拡大を防止しながら、社会経済を動かしていくことが重要であります。
 そのため、事業者に対しましては、店舗等における感染防止対策の基本的な取り組み例をまとめた感染拡大防止ガイドラインを策定して、事業者による適切な感染防止策の実施と遵守を積極的に促しております。
 また、都民、利用者に対しましては、記者会見などあらゆる機会を通じまして、会食時の注意事項について発信するとともに、これをわかりやすく示したポスターの掲出などを通じまして、感染防止策への協力を呼びかけております。
 さらに、飲食店等の店舗ごとに従業員の中から、仮称でございますが、コロナ対策リーダーを選任していただいて、マスクの着用や小声での会話など、利用者からの円滑な協力を促す仕組みを検討いたしております。
 都民、事業者それぞれが適切な感染防止対策をとりながら経済社会活動を行えますよう、さまざまな取り組みを効果的に発信するなど、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 続いて、緊急事態宣言延長期間中の取り組みについてでございます。
 感染拡大を徹底的に抑制していく、そのためには、営業時間の短縮要請などに対しまして、できるだけ多くの店舗の協力を促して、集中的に人流の、人の流れの抑制を図ることは重要であります。
 都はこれまで、繁華街などにおける営業時間短縮要請への協力状況を把握するとともに、警察や消防などと連携いたしまして、外出自粛への協力の呼びかけなどを行ってまいりました。
 宣言の延長期間中も警察や消防、地元自治体との連携を一層強化しまして、主要駅の周辺で重点的に呼びかけを実施するとともに、独自の取り組みといたしまして、都と地元自治体がそれぞれのホームページやツイッターなどでこうした取り組みを積極的に発信をしてまいります。
 営業を継続している店舗には、個別訪問などによりまして、繰り返しの協力、働きかけを行い、それでも応じていただけない店舗につきましては、特措法第四十五条第二項に基づきました要請などを順次行って、取り組みの実効性を高めてまいります。
 今後の決意についてのお尋ねでございます。
 都内の新規陽性者数は下げどまりが継続しております。現状は依然として非常に厳しく、これまでの都民、事業者の皆様方のご協力に改めて感謝を申し上げます。と同時に、今般の緊急事態宣言の延長につきましては、大変重く受けとめているところでございます。
 何よりも大事なこと、それは感染の再拡大を招かないように、今ここで新規陽性者数をしっかりと減少させ、感染を徹底的に抑え込むことであります。
 感染再拡大の防止に向けた東京iCDCの専門家からの提言を踏まえまして、今後、不要不急の外出の自粛、営業時間短縮の要請や都立公園などの利用制限の順次強化、テレワークの徹底などの対策をやり切ることで、国の指標のステージツーを目指すとともに、わかりやすい情報発信に努めてまいります。
 国や一都三県で連携を図りながら、都民の命と暮らしを守るために万全の対策を講じてまいります。
 なお、残余のご質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナ重症患者の病床使用率についてでございます。
 国と異なり、都は、専門家の意見を踏まえ、現場の実態を反映して、人工呼吸管理またはECMOも使用している患者を重症患者と定義し、モニタリング項目として活用するとともに、この患者を受け入れている病床数と合わせて公表してございます。
 国は、都の定義に加え、診療報酬上のICUやハイケアユニットなどの特定入院料を算定する患者も重症患者としており、都は、国の依頼を受け、この基準による重症患者数を毎週報告してございます。
 今般、国基準の患者を受け入れる病床数について、改めて確認の依頼があったことから、医療機関への調査を行い、二月二十六日に報告いたしました。
 今後とも、都基準による重症者数等をモニタリング項目として活用いたしますとともに、国の依頼にも適切に対応してまいります。
 次に、宿泊療養施設についてでございます。
 都は現在、無症状者及び軽症者向けの宿泊療養施設を十四施設、約六千室確保してございます。
 宿泊療養施設への入所は、保健所が判断し、本人の同意を得て決定してございますが、宿泊療養を断る方が多く、説得に時間を要しておりました。また、事前にアレルギーの有無など、多くの事項を聞き取る必要がございまして、これらも保健所の負担となっておりました。
 このため、都は、ホームページ等で宿泊療養の利点をわかりやすく周知いたしますとともに、保健所にかわり患者への説明や問い合わせに対応する取り組みを全都で開始いたしました。
 また、居室の消毒等を速やかに行うため、入所期間が長い方には居室の階を移動いただくなど効率的な運営にも取り組んでおり、引き続き適切に対応してまいります。
 次に、ワクチン接種についてでございます。
 都は、対象者を約六十万人と推計しております。医療従事者等へのワクチン接種に向け、現在、約六百八十カ所の接種施設を確保いたしますとともに、定められた温度管理などの条件でワクチンを適切に配送するため、運送業者等と共同した仕組みを整備してございます。
 あわせて、接種希望者が円滑に接種を受けられるよう、都独自の予約システムを開発し、また、今月一日には、副反応等の問い合わせに応じる電話相談センターを開設するなど、体制整備を進めております。
 来月から始まります住民接種が円滑に進みますよう、先月立ち上げましたワクチンチームで、区市町村や医師会等と接種に向けたさまざまな課題の把握や調整を行っており、引き続き区市町村などの関係機関と緊密に連携してまいります。
 次に、医療従事者への支援でございます。
 これまで都は、新型コロナウイルス感染症の対応を行う医療従事者の勤務環境改善のため、医療機関に対し、特殊勤務手当の支給や深夜に及ぶ業務に従事する際の宿泊先確保にかかわる経費を補助してまいりました。
 また、感染拡大を防ぐための取り組みを行う際の経費を補助することで、医療現場の感染防止対策を進めるほか、医療従事者等への慰労金の支給も行ってまいりました。
 さらに、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中、医療従事者の負担が増大していることから、特殊勤務手当の支給に対する支援について、本年一月八日の緊急事態措置の開始時に遡り、基準額を三千円から五千円に引き上げるなどの対応を行っており、引き続き、最前線で働く医療従事者を支援してまいります。
 最後に、保健所支援のための職員の採用についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症に確実に対応していくためには、積極的疫学調査等を実施する保健所がその機能を十分に発揮することが必要でございます。
 都は、昨年九月以降、積極的疫学調査などの業務を担う保健師や看護師等をトレーサーとして採用し、都保健所や保健所支援拠点に配置し、保健所の体制強化を図ってまいりました。
 さらに、今般、トレーサーとして新たに保健師や看護師、准看護師、事務職、計四十人の採用に向けた募集を開始いたしました。
 具体的な採用時期や配置先等につきましては、今後の感染状況や応募状況などを踏まえながら調整してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立、公社病院職員の安全確保に向けた組織的取り組みについてでございますが、医療従事者がより一層安全を確保できるよう、来年度から多摩総合医療センター及び荏原病院の病棟を改修するなど施設整備を進めます。
 また、N95マスクや手袋など防護具の備蓄規模を拡充するとともに、新規採用など感染症対応の経験がない職員に対する研修や訓練を継続して行ってまいります。
 さらに、看護師の負担軽減に向けた病棟清掃委託の拡充や、職員の心理的負担に対する精神科医によるケア等も引き続き実施をしてまいります。
 今後とも、病院経営本部と各病院が一丸となって職員の勤務環境を整備し、他の医療機関では対応困難な患者を積極的に受け入れるなど、医療サービスの充実を図ってまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、営業時間の短縮要請の効果についてでございますが、昨年八月及び九月の営業時間の短縮要請におきましては、繁華街における人手が減少し、新規陽性者数にも減少傾向が見られました。また、会食や、いわゆる夜のまちにおける新規陽性者数も大幅に減少いたしました。
 さらに、十一月下旬からの営業時間の短縮要請においても、多くの飲食店等の事業者のご協力を得ました。
 この結果、新規陽性者数は一定程度に抑えられており、営業時間の短縮要請は感染者の増加の抑制に効果があったと認識してございます。
 次に、営業時間短縮要請の実施についてでございますが、都は職員に加え、民間委託等も活用し、短縮要請への協力状況の確認を現時点で都内の繁華街を初め、百二十カ所以上の地域で行っておりまして、二十時以降の開店が確認された店舗においては、職員が個別に訪問し、時間短縮への協力依頼を行っております。
 個別訪問を実施した後、電話や文書等で改めて依頼を行い、協力が得られなかった店舗を対象に職員が現地確認を行った上で、順次、特措法第四十五条第二項の要請を行うなど、適切な対策を実施してございます。
 最後に、営業時間短縮要請の協力状況の確認についてでございますが、現時点で約四万店舗以上の営業状況を確認いたしまして、約九七%の店舗で時短に協力をいただいてございます。
 こうした確認に加えまして、区市町村等からの情報提供も活用し、都内における時間短縮要請への協力状況を広範囲にわたり把握をしてございます。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の支給状況と事業者への周知についてですが、飲食店等に対し、昨年の十二月十八日からことしの一月七日までの間に要請した営業時間短縮に係る協力金については、先月二十六日に申請受け付けを終了いたしまして、現在、申請件数の五割を超える約三万二千件の支給を行っております。
 また、店舗ごとの支給となりました一月八日から二月七日までの営業時間の短縮に係る協力金については、先月二十二日からの申請の受け付けを開始いたしまして、今月四日から千件を超える支給を行っております。
 事業者への周知につきましては、専用のポータルサイトやSNSを通じた発信を行うとともに、区市町村や商工団体、金融機関等を通じて、事業者にリーフレットを配布するなどにより対応しているところでございます。
 次に、協力金の支給等の施策についてですが、営業時間の短縮要請は、感染リスクが高いとされる飲食店等を対象に行い、そうした要請に全面的に協力いただいた店舗に協力金を支給することで、要請の実効性を確保していると考えております。
 こうした飲食店と取引のある事業者など、多くの事業者に感染症の影響が及んでいることから、国は、一時支援金の支給を行うこととしております。今回の緊急事態措置の延長も踏まえ、改めて、一時支援金の支給額の充実や対象要件の緩和を国へ要望してまいります。
 次に、一時支援金によるサポート等についてですが、国は、緊急事態宣言に伴う外出自粛等により影響を受ける中小企業に対して一時支援金の給付を行うこととしております。
 都といたしましては、一時支援金について、一都三県で連携して、支給額の増加や申請要件の緩和などの制度拡充を図るよう、改めて国に働きかけてまいります。
 また、これまでも都は、コロナ禍において厳しい経営環境にある中小企業に対して、資金繰りの確保を下支えする金融支援や事業継続を後押しする独自の支援策を行ってまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを進めるとともに、新しい日常に対応する中小企業の意欲的な事業展開を後押ししてまいります。
 次に、協力金の支給対象となる期間についてですが、感染拡大を徹底して抑えるため、緊急事態措置期間と段階的緩和期間において、飲食店等に営業時間の短縮を要請することに伴い、今回、協力金を支給いたします。
 協力金は、この要請の実効性を確保するため、三月八日から三十一日までの全ての期間にご協力いただいた場合に支給することとしております。
 最後に、協力金の支給に合わせた施策展開についてですが、緊急事態宣言が延長されるなど、都内の中小企業にとって依然として厳しい経営環境が続いており、引き続きの適切な支援が必要でございます。
 都はこれまで、経営と金融の両面からさまざまな支援を行い、その充実を図ってまいりました。無利子融資の制度をつくり、先日からは、その借りかえを可能とし、円滑な資金繰りを後押ししているところでございます。
 また、感染症対策の業界のガイドラインにのっとった中小企業の取り組みへの助成を実施し、その補助限度額等の充実を行ってきております。
 これらの施策を着実に進め、今後ともコロナ禍における中小企業の経営を支えてまいります。

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