令和三年東京都議会会議録第六号

   午後一時開議
○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 本日は、休会の日でありますが、知事より、第百四号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)が提出されましたので、会議規則第八条第三項の規定により、特に会議を開くことにした次第であります。ご了承願います。

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和三年三月五日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 予算特別委員の辞任の件を本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) これより日程に入ります。
 日程第一、第百四号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)を議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事武市敬君。
〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) ただいま上程になりました議案についてご説明申し上げます。
 第百四号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)は、都内の飲食店等に対して、緊急事態措置期間及び段階的緩和措置期間中の三月八日から三月三十一日まで営業時間の短縮を要請することに伴い、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金を支給するため、一千五百四十八億円を増額するものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
○議長(石川良一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。

○議長(石川良一君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 百十九番尾崎大介君。
〔百十九番尾崎大介君登壇〕

○百十九番(尾崎大介君) 新型コロナの第三波に対し、都内の感染状況は都民の皆様の多大なご理解、ご協力により、一日当たり二千人超から大きく減少しております。改めまして、都民の皆様のご理解、ご協力に心より感謝を申し上げます。
 しかし、都内の感染実態は感染減少の下げどまり傾向もあり、引き続き予断を許さない状況であります。さらに、感染力が大幅に強いと懸念をされる変異ウイルス、ワクチン接種の円滑な実施に向けて医療体制の再整備も必要であり、引き続き都民の皆様のご理解、ご協力が必要不可欠でございます。
 この間、知事は感染拡大を抑え、都民の命、健康、経済を守り抜くことを最優先に、一都三県で連携しながら国に対し宣言延長を求め、国は一都三県の緊急事態宣言を二週間延長いたしました。今回提案した補正予算には、緊急事態宣言中の三月二十一日までの二週間分に加えて、その先を見据えた三月末までの協力金も提案されているところでございます。
 三月は、通常であれば卒業旅行や歓送迎会、お花見の機会などがある時期であり、感染が再拡大をする懸念があります。都民の皆様のこれまでの努力を無駄にしないため、これまで以上に感染拡大を抑えるため、全力を尽くしていかなければなりません。
 まずは緊急事態宣言の延長に伴い、国にこれまで延長を求めてきた考え方や、さらに感染を抑えていくための今後の対応方針について、知事の見解をお伺いいたします。
 また、緊急事態宣言の延長に伴い、今回協力金の支給に関する追加の補正予算を提案した趣旨について知事の見解を伺います。
 先ほど述べたとおり、三月は、通常であれば卒業旅行や歓送迎会、お花見の機会などがあり、すぐに感染が拡大をするリバウンド、第四波の懸念があるわけでございます。
 都内で再度の感染拡大を抑えるため、総合的なリバウンド対策を進めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 今では全国で定着をしている協力金でありますが、そもそもは小池知事が第一回目の緊急事態宣言の発令時に私たちの求めを受けて全国で初めて創設をされたという経緯がございます。
 多くの事業者から感謝のお声をいただいておりますが、それから一年近くが経過をし、協力金の交付については迅速な支給のため、やむを得ない面もありますけれども、現状は一律の金額であることで、事業者間の公平性に疑問の声が上がっているのも事実であります。
 ただ、県境の店舗同士で対応が異なった場合、さらなる不公平感を招きかねないこともあり、家賃や事業規模等に応じた協力金の公平、合理的な算定基準について、私たちはかねてより、近隣自治体とも連携をしながら、国に対して早急に基準の明確化を要請するよう東京都に求めてきた次第であります。
 国も検討を開始したとのことでありますが、東京都としても現場の実情を共有するなど、国に対して規模等に応じた協力金の公平、合理的な算定基準を早急に策定をするよう求めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 仮に三月二十一日に緊急事態宣言が終了した場合にも、都は段階的緩和期間を設けて、飲食店等に対して三月三十一日まで営業時間の短縮を要請する予定であり、これらの期間に対しても協力金を支給する方針が公表をされています。
 緊急事態宣言の期間と段階的緩和期間では、その意味づけや要請内容が異なるところでありますが、協力金については一体的な対応が適切と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 緊急事態宣言の延長に関し、都内の飲食店等からは感染拡大防止策の必要性は理解するものの、長引く感染拡大の状況に対して、経営の先行きに不安を抱える切実な声が数多く上がっております。
 家賃等の固定費は店舗を閉めていてもかかるわけでありまして、協力金の申請をしていても、いまだ支給をされていない事業者からは、預金などを切り崩して資金繰りをしてきたが、そろそろ限界だという声も寄せられております。これまでの期間の協力金でまだ支給が完了していないものもあり、迅速な対応が必要だと考えます。
 こうした厳しい状況の中で、再び緊急事態宣言の延長を行う以上、必要十分な金額の協力金を一刻も早く事業者の手元に届けるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都はこれまで、私たちの要望を受け、飲食店のテークアウト、デリバリーなどの業態転換支援、またアクリル板の設置、店舗の換気工事などへの支援の拡大など、ガイドラインに基づく感染防止策への支援を初め、さまざまな支援策を実施してまいりました。
 都が緊急で創設をした無利子、無担保型の新型コロナ対応融資について確認したところ、昨年四月から十二月までの貸付件数は約十八万件、額は四兆七千五百億円となっており、コロナ前の年に比べると貸付額が四倍に上がっております。さらに返済猶予の期間を設けているのも特徴であり、すぐに返済を開始することもできれば、最大五年間の返済猶予の仕組みもございます。
 緊急事態宣言の延長に伴い、このような事業者の資金繰り支援、感染防止ガイドラインに基づく取り組みや飲食事業者の業態転換への支援が、これまで以上に重要となります。特に、制度融資について、事業者を支える観点から、借りかえなど、返済を猶予する方策について柔軟な対応が必要であります。
 飲食店や関連事業者に対する制度融資を初めとする資金繰り支援をこれまで以上に強化をするとともに、借りかえの柔軟化等により、都内事業者の資金需要に着実に対応していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 都内飲食店においては、大変なご苦労を引き続きおかけすることになり、店舗の感染防止策の徹底に対する改めての支援強化が必要であります。
 この間、小池知事は私たちの要望に応じる形で、事業者への感染予防対策の助成金のあり方を常に改善されてきました。当初はパーティション設置工事を希望する飲食店に対しては、一社当たり百万円まで助成していたものを、店舗数に応じて物品購入は五十万円まで、換気設備工事に関しては二百万円まで助成をするといたしました。
 この対応により、例えば十店舗経営をする事業者が全ての店舗で換気設備工事をする場合には、最大二千万円が助成をされるなど、営業実態に即した支援策へと進化をしております。現時点で約五千件が助成金を受け、感染防止にご協力をいただいているとのことでありますが、支援策のさらなる周知徹底を求めるものであります。
 また、政府の分科会では、二酸化炭素濃度測定器、これを用いて店内の二酸化炭素濃度が一定基準を超えないよう、換気や収容人数を調整する、また、濃度が一定基準を超えた場合に、自動的に換気が行われる技術を導入することも提言されており、このような測定器の活用も促していくべきであります。
 緊急事態宣言の延長も踏まえ、とりわけ飲食事業者の感染防止対策の徹底が重要であり、そのためには東京都の支援のさらなる充実が重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 緊急事態宣言の延長に伴い、改めて都内事業者、そして利用者一人一人にも感染防止策の再徹底が求められます。
 専門家からも、体調不良者の入店のお断りや消毒液やアクリル板の設置、他の人との間隔の確保などに加え、大声とならないよう店舗のBGMを小さくするなど、さまざまな提案が行われており、東京都としても、都内店舗に引き続き協力を求めていくべきであります。
 飲食店を初めとする事業者と、その利用客の双方による感染拡大防止策の徹底につなげていけるよう取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 店舗の感染防止徹底宣言ステッカーについては、専門家からその有効性が指摘をされており、都民、事業者の皆様とともに感染防止対策を徹底し、コロナ禍を乗り越えるための有効なツールとして、さらに磨き上げていくべきであります。
 そこで、感染防止策の再徹底のため、ステッカーの趣旨を改めて周知をし、店舗における感染防止策を徹底することに加えて、店舗及び利用者の双方に対する呼びかけを強化すべきと考えますが、東京都の見解を伺います。
 先ほど、都の助成を活用して感染防止対策を実施した店舗は約五千件にも上ると指摘をいたしましたが、このような店舗の情報は、安心して飲食を楽しみたい利用者にとっても、飲食を提供する事業者にとっても、貴重な情報資源であります。
 この間、私たちは都に対し、感染対策の助成を受けた店舗情報を整理するように要請をしてまいりました。
 都の助成金を受けて、感染防止対策を講じた店舗リストをオープンデータとして公開をし、例えば民間のグルメサイトに感染対策店舗として掲載されるように働きかけるべきと考えますが、宮坂副知事の見解をお伺いいたします。
 さまざまな価格帯において、世界的に評価が高い飲食店が集積しているのが東京の大きな魅力の一つであります。食産業は飲食店に加え、納入業者、農林水産業、観光など関連産業の裾野が極めて広いのが特徴の一つであり、より支援の裾野を広げていく必要があります。
 飲食店のみならず、その関連事業者にも幅広く支援が届くようにすべきでありますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 コロナ禍が長期化する中、多くの都民が利用する商店街においても、多くの個店が協力をし、創意工夫を凝らした感染症対策が行われております。商店街のキャラクターを用いたチラシやステッカーを店頭に掲示し、感染防止対策を呼びかけるなど、地域の方々が安心して買い物ができるような環境づくりが進められております。
 生活インフラを支える商店街が、感染症対策に継続して取り組めるよう支援をすべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 先日の私たちの代表質問において、今後、社会経済活動を徐々に再開をする際に、再びの感染拡大を防ぐためにも、検査体制を再構築すべき点を指摘いたしました。
 そして、現状は施設内感染が頻発をしていることから、高齢者施設の全職員に対して検査を実施し、重症化リスクの高い高齢者の感染拡大防止を図る旨の答弁が得られました。スクリーニング検査として、積極的かつ迅速に実施をすべきであります。
 特に、民間を含めて、安価な検査が拡大をしている中で、検査の網を広げ、無症状者を早目にピックアップし、感染拡大を防ぐ手法も提唱されております。都の最大の検査能力は一日当たり約六・八万件であり、この能力を有効に活用しながら、高齢者施設以外の感染リスクが高いところにも積極的に検査を拡大し、無症状者の早期発見に向けた取り組みを拡大していくべきであります。
 高齢者施設以外にも、感染リスクが高い集団、そして場所を中心に、積極的にPCR検査を実施すべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 感染者が多発している状況においては、集団における感染経路が複数存在しており、クラスター対策よりも行動制限が効果的と考えられます。しかし、新規陽性者数が減少し、クラスターの感染経路が特定し得る段階であれば、保健所の積極的疫学調査を通じて、感染の再拡大を防ぐ措置を重視すべきであります。
 都では、東京iCDCの提言も受け、積極的疫学調査を再開するとのことでありますが、デジタルの力や外部人材の活用なども含め、効率的に実施できる体制の整備が必要であります。
 保健所における積極的疫学調査を再開するに当たり、保健所で行っている業務の集約化や人員体制の増強など、保健所の積極的疫学調査の実施の負担を軽減すべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 新型コロナの感染拡大を受け、高齢者施設内での感染拡大防止、感染症発症時のサービス継続のため、感染リスク低減に向けた環境整備が急務となります。
 これまで東京都は、高齢者施設等における感染症対策の環境整備を行い、新型コロナウイルスの感染拡大や新たな感染症の発生に備えるための対策を進めてまいりました。しかし、簡易陰圧装置の設置を希望する施設は多く、さらなる補助を進めるべきであります。
 これまで私たちは、高齢者施設の感染拡大を防止するため、陰圧装置等の導入など環境整備の促進を後押ししてまいりました。
 そこで、高齢世代の感染リスク低減のためにも、高齢者施設における陰圧設備の導入など環境整備をさらに強化をすべきと考えますが、見解を伺います。
 先日の私たちの代表質問において、これまで以上に感染力が強いとされる変異ウイルスの対応もさらに強化すべき旨を指摘してまいりました。
 今回の緊急事態宣言の延長においても、専門家からは、既存のウイルスが変異ウイルスに置きかわって感染が拡大をしているのではないかとの懸念も示されております。
 東京都でも、iCDCを中心に都内感染実態の分析が進められており、今月からは国も全国の地方衛生研究所で、変異ウイルスを短時間で検出するPCR検査を実施するとも聞いております。
 正確な実態把握のため、都内のスクリーニング件数を増やすとともに、変異ウイルスについて知見を有する大学や民間検査機関と連携し、分析、実態把握を迅速に進めるべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 特に、年末年始にかけて、国の水際対策の遅れがあったことは否定できません。都民、国民の皆様に行動制限をお願いしている以上、水際対策についても、入国後、一定期間の待機や公共交通を利用しない点の徹底等、厳格な対応が必要であり、国は今のうちから、その体制整備をしっかりと進める必要があります。
 さらに水際対策では、接触確認アプリCOCOAの有効活用も期待されておりましたが、国の方ではアプリの機能障害が長期間にわたって放置されておりました。コロナ対策のみならず、政府のデジタル推進体制に対しても疑問を持たざるを得ません。
 国に対し、水際対策の実効性の確保と国内の感染状況に基づく徹底した対応を繰り返し要請すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 ワクチンの安全、迅速な接種に対する期待が高まっております。しかし、現時点で国から東京都に示されたワクチンの供給量は、都内医療従事者約六十万人に対して、十万人分に満たない量と聞いております。また、四月から接種予定の高齢者向けでは、約三百十二万人の都内対象者に対して、わずか〇・七%にとどまっており、残念ながら現状では、都民の期待に応えることは困難な状況であります。
 また、世界各国のワクチン総接種数と比較した場合に、日本のワクチン総接種数は大幅に少ない状況であります。国際的なワクチンの獲得競争の中で自国での開発のみならず、調達においても大きくおくれをとっているといわざるを得ません。
 東京都は国に対して、ワクチン供給を求めるとともに、ワクチン供給計画を明確にしていくよう求め、希望する都民が安心かつ迅速にワクチン接種を受けられる体制の整備を進めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 ワクチンの早期の安定的な供給が見込めない中、日本の安全保障、危機管理の観点からも、国産ワクチンの開発を後押しすべきであります。国産ワクチンの開発がなかなか進まないことを踏まえ、科学技術に関する研究開発への支援や、スタートアップ支援、エコシステムの形成支援をさらに強化していく必要があります。
 東京都医学総合研究所においてワクチン開発が進められており、都として支援をすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 経済への影響が長期化していることに加え、とりわけ年度末を迎え、生活や住まいに困難を抱える方々への影響も懸念されております。
 私たちは、五月の緊急事態宣言時に、当時休業要請対象となっていたネットカフェなどで寝泊まりをしながら就労をしている方々に対する支援制度について延長を求めるなど、コロナ禍における生活者のセーフティーネットの充実に努めてまいりました。
 都は、緊急事態宣言の実施に伴い、既に住まいを失った方に対し、ビジネスホテルなど緊急的な一時宿泊場所の提供を行っておりますが、今回の延長に伴い、支援も延長すべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 約一年前の突然の一斉休校を初め、コロナ禍で児童生徒には多くの想定外の負担が生じました。カリキュラムの圧縮や学校行事の中止、縮小など、困難な状況の中で学びを修了した都内の児童生徒の皆さんに、心から祝福をする場を提供する意味でも、この卒業式は一生に一度でありますから、感染防止策を徹底した上で実施をすべきであります。
 緊急事態宣言下でも、万全の感染防止策を講じた上で、卒業式を実施すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
 また、首都圏の鉄道事業者には、緊急事態宣言に伴い、終電時刻の一斉繰り上げを要請しております。
 今回の緊急事態宣言の延長を受け、終電時刻の繰り上げの期間の延長も必要であると考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 都がかねてよりテレワーク導入の促進を進めてきた中で、新型コロナウイルス感染症への対応として、多くの都民が実際にテレワークを経験することとなりました。この間、感染症への対応はもちろんのこと、ライフワークバランスの改善や、時間や場所に制約なく働くことができるインフラとして、有用性が広く認識をされるに至りました。
 都の最新のテレワーク利用状況調査によると、都内事業者のテレワーク導入率は、三月から四月に二四%から六二・七%まで大幅に伸びた後は、五割台と横ばいにとどまり、今般の緊急事態宣言下では、再び約六割まで上昇をしております。また、従業員数三百人以上の企業の導入率が約八割であるのに対して、三十人から九十九人の企業では約五割となっており、企業規模による導入率の差が明らかとなりました。
 加えて、テレワークを利用する社員の割合が五割前後にとどまっていることから、先般、小池知事は会見で、半日時間単位のテレワークとローテーション勤務の組み合わせによるテレハーフを提案するなど、新たな取り組みを促しています。
 私たちは、コロナ前から一貫してテレワークを推進してまいりましたが、特に女性が七割を占める非正規雇用者に着目をした対応を求め、都からは必要な調査を行うと、こうした答弁を得ておりました。
 テレワークのさらなる普及に向けて、導入企業の割合を追いかける段階から、各企業の取り組みの中身を精査する段階に来ております。
 調査等によって明らかとなった課題に対応し、今後、いまだ導入が進んでいない企業に対しては、伴走型の導入支援に取り組むべきであり、また、非正規雇用者等のテレワーク利用を進めるための雇用環境の整備に民間企業と連携をして取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 テレワークのさらなる普及を図る上で、書斎等がない、通信環境が整っていないなど自宅でのテレワークに課題がある場合が多く、これは東京都の実態調査でも、サテライトオフィスの整備など自宅以外の場所でテレワークができる環境、これが上位に挙がっております。特に、サテライトオフィスなどは区部に九割が立地をしており、現時点では偏りがあることから、多摩地域での環境整備の加速が必要であります。
 東京都がこれまでに実施をした多摩地域におけるモデルサテライトオフィスの設置事業や、今回の緊急事態宣言に伴い実施した宿泊施設の借り上げによるサテライトオフィス環境の提供は非常に人気が高く、軒並み満室であったと聞いております。
 多摩地域のサテライトオフィスの設置促進に向けて、空き家、空きテナントの活用促進や事業所の用途転換等、よりきめ細かな設置促進策を講じていくとともに、サテライトオフィスの設置が望ましいエリアや条件等について、より詳細な調査により、需要と供給双方のニーズを調査し、事業の検証を行っていくべきですが、見解をお伺いいたします。
 コロナ禍の経済的な影響は、非正規雇用やサービス業の従事者が多い女性に偏りが出ているとの指摘もあり、特に重点的な支援が必要でございます。
 非正規雇用、サービス業の従事者が多い女性の就労支援に注力をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今月四日、全国の警察が二〇二〇年に把握をしたドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVでありますけれども、八万二千六百四十三件で、過去最多を更新したとの発表がありました。私たちはこれまでも、DVのリスク増加に対して適切な相談、支援体制の強化を求めてまいりましたが、さらなる強化が必要であります。
 DV、配偶者などからの暴力に対する相談、支援体制、環境整備など、さらに強化をすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 また、DVなどの相談体制を、生活支援や隔離場所の確保など、具体的な支援につなげる仕組みの構築、そして強化を強く求めていくものであります。
 コロナ禍におけるDV被害の増加とあわせて、連日、児童虐待被害に関する報道も後を絶ちません。児童虐待の疑いがあるとして、全国で警察が児童相談所に通告をした十八歳未満の子供の数は前年比で八・九%増加をし、十万六千九百六十人に上り、統計をとり始めて以降、初めて十万人を超えたとのことであります。
 コロナの感染拡大、長期化に伴う生活への不安、ストレスや、家庭での滞在時間の長期化の影響が懸念されます。また、家族以外との接触機会の減少により、児童虐待が潜在化していないか、大きな懸念があるところであります。
 また、外出自粛により、育児や家庭に関することを相談したいという意思がある親も、密を避けるために相談に行きづらくなっているとの話も聞きます。
 コロナ禍において、児童虐待が増加をしているのではと大変懸念をされ、都として、コロナ禍における児童虐待対策に一層取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 これまでも私たちは、自殺対策の強化を強く訴えてまいりました。コロナ禍において想定をされる自殺と失業率の課題に対しては、大胆な雇用対策等とともに、失業や廃業等を自殺に結びつけない取り組みの両輪が必要でございます。加えて、女性の自殺が増加している傾向にも留意した対策が必要です。
 生きづらさや自殺リスクにつながる悩みを抱える方の相談に関し、これまでの実績を踏まえながら、さらに強化をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 新型コロナとの闘いの中で浮き彫りとなった課題を乗り越え、東京の国際競争力を高める上でデジタルの力を活用しながら、キャッシュレスなど非接触型の事業モデルへの転換を促すことは必要不可欠であります。
 私たちはかねてより、東京、日本のデジタル化の遅れを危惧し、国に先駆けて都政のデジタル化を推進してきましたが、さらなる取り組みの加速が必要であります。特に、新たな技術やサービスを果敢に生み出すスタートアップへの支援は重要であります。
 特に、非接触型事業など最先端技術を大胆に活用したスタートアップ企業が、その可能性を最大限生かせるように、資金面、経営面での支援、製品やサービスの実用化に向けた検証や大企業等への導入促進など、新たに支援策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 今後も都財政のかじ取りは難しい局面を迎えます。都はこれまで、継続的に事業評価による新規財源の確保を強化し、今回の新規財源確保額は約一千百十億円に及んでおります。
 しかし、国は平成二十年度税制改正以来、いわゆる偏在是正措置として不合理な都税収奪を継続し、このコロナ禍においても継続をしております。
 この偏在是正措置による令和三年度の影響額は、年間でマイナス七千六百八億円にも及びます。これは都民一千四百万人で割ると、都民一人当たり約五万四千円を国に取られ、都として独自に、新型コロナ対策を初め、地域の実態に即した必要な行政サービスを提供する財源を奪われていることを意味しております。
 このような偏在是正措置に加え、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に関し、二次交付までの都への交付総額は約五百七十二億円でありますが、都道府県交付額全体のわずか約四・六%となっております。さらに、今回の第三次補正における交付額は約二百六十二億円で、全体の約五・二%と極めて少ない金額となっています。
 改めていうまでもなく、これはコロナ対策のための交付金であり、財政力を理由とした割り落としを行うことなく、感染実態を踏まえた合理的な算定方法の採用が必要であります。
 改めて、国に対して、コロナ交付金の感染実態に即した金額の算定を求めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 これまで長期間にわたる感染の拡大、緊急事態宣言の延長等により、既に都民、都内事業者は多大な負担を強いられ、先が見えない不安に襲われていることと思います。
 緊急事態宣言の解除については、国基準では、ステージフォーは爆発的な感染拡大、スリーは感染者の急増と定義をされており、ステージスリーの感染者の急増の状況での解除は、直ちに第四波を招きかねない危険性があります。
 変異ウイルスやワクチン接種体制の整備など、新たな考慮要素もある中、社会、経済活動との両立など総合的な判断が必要となりますが、ステージツーを目指す方向性に関し、都民の皆様のさらなるご理解、ご協力を求めていくべきであります。
 国は新型コロナの一連の対応に関し、後手後手の対応が目立っております。都民ファーストの会東京都議団は、今後も都民や都内事業者の不安に寄り添いながら、必要な対策を積極的に提言、実現をしていくことを改めてお誓いをし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 尾崎大介議員の質問にお答えいたします。
 今後の対応方針についてのご質問がございました。
 一都三県に対する緊急事態宣言が三月二十一日まで延長されました。これまでの都民、事業者、それぞれの皆様方に、ご協力を感謝申し上げたいと存じます。都内の新規陽性者数ですが、下げどまりが継続しておりまして、現状は依然として非常に厳しい。この延長につきましては、大変重く受けとめております。
 今ここで新規陽性者数をしっかりと減少させ、感染を徹底的に抑え込んで、再拡大を招かないことこそが我々が全力で取り組むべきことであります。
 先日、東京iCDCの専門家からも、感染再拡大の防止に向けて、リバウンドへの警戒、変異株への対応、ワクチン接種の推進など都として優先すべき取り組みについての提言がありました。
 この提言を踏まえまして、改めて原点に立ち返り、不要不急の外出自粛、営業時間短縮の要請や都立公園等の利用制限の強化、テレワークの徹底などの対策をこの二週間でとことんやり切ることで、医療現場の負荷を軽減し、国の指標のステージツーを目指してまいります。
 また、その日々の状況につきましては、さまざまな媒体を利用いたしまして、継続的に発信して、都民の皆様に協力を呼びかけてまいります。
 国、そして一都三県で連携を図りながら、都民、事業者、行政の総力を結集しまして、ここで何としても感染を抑え込む決意で、万全の対策を講じてまいります。
 次に、令和二年度補正予算についてのお尋ねでございます。
 私はこれまで、都民の命を守る、このことを最優先に考えまして、今回追加でご提案をした補正予算も含めて、総額二兆九千億円を超える対策を迅速に講じてまいりました。
 こうした中、国が緊急事態宣言を延長したことを受けとめまして、都として徹底した対策を講じるため、飲食店等に対して三月八日から三月二十一日まで、引き続き二十時までの営業時間の短縮を要請することといたしました。
 また、緊急事態宣言が解除された場合につきましても、段階的緩和期間として三月三十一日までの間、二十一時までの営業時間の短縮を要請する予定でございます。
 この要請に全面的にご協力いただける事業者の皆様に対しまして、一律百二十四万円の協力金を支給するため、追加の補正予算を編成いたしました。
 昨年末から四カ月以上にわたります、飲食店等の皆様方には大変ご苦労をおかけすることとなりますが、感染拡大、何としても抑え込むために、ぜひともご協力をいただきたい。
 そして、感染を終息させるためには、今、集中して対策を徹底的にとことんやり切ることが重要でございます。都民、事業者の皆様のご理解、ご協力よろしくお願いするとともに、都庁一丸となって全力で対策に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナ感染症のリバウンド対策についてでございます。
 都民や事業者の皆様のご協力のおかげで、新規感染者数は減少傾向にはございますが、一方で、従来のウイルスよりも感染力が強いとされる変異株による感染拡大のリスクが生じております。今後危惧される感染の再拡大、リバウンドを防ぐためには、この変異株による感染を徹底して抑え込むなど、新規感染者数をさらに減少させていく必要がございます。
 このため、保健所の調査機能を最大限発揮し、リバウンドのきっかけとなるクラスターの芽を早期に摘み取るとともに、変異株の発生状況を把握するために、健康安全研究センターに加えまして民間検査機関も活用し、スクリーニング検査を拡充、国とも連携しながら監視体制を強化してまいります。
 また、現在、特別養護老人ホーム等を対象に実施しております高齢者施設等での集中的なPCR検査でございますが、今後、介護療養型医療施設や有料老人ホーム、認知症高齢者グループホームなど約千五百カ所、約五万人に対象を拡大してまいります。
 さらに、都民に対しましては、不要不急の外出自粛や基本的感染対策の徹底、卒業旅行、花見での宴会等の自粛の呼びかけ、事業者に対しましては、営業時間の短縮の要請やガイドラインの遵守、テレワークの強化などによりまして、徹底的に感染を抑え込んでまいります。
 感染状況はまだおさまってはおりません。また、ここで集中して徹底的に対策をやり切る、そのことが感染の終息に向けて極めて大きな意味を持ちます。これまでの皆様の努力に報いるためにも、都はリバウンドや変異株への対応などを徹底して、感染の抑え込みに全力で取り組んでまいります。
 協力金の支給対象期間についてでございます。
 緊急事態宣言が延長されたことに伴いまして、飲食店等に対して営業時間の短縮を改めて要請をするとともに、その後、宣言が解除された場合には、段階的緩和期間を設けまして、引き続き営業時間短縮のお願いを予定しております。
 これは、段階的緩和期間の終了まで切れ目なくご協力いただくことが、感染抑制に不可欠であるとの思いからでございます。
 このため、三月三十一日までの全ての期間において全面的にご協力いただいた場合に、一店舗当たり百二十四万円の協力金を支給することといたしました。
 飲食店等の皆様に対しましては、引き続き営業時間の短縮をお願いすることとなりますけれども、感染の徹底した抑え込みに向けまして、ぜひご協力いただきたいと、このように考えております。
 感染拡大防止に向けた取り組みについてでございます。
 新型コロナウイルス感染症との長きにわたる闘いが続く中で、感染拡大防止と経済社会活動の両立という、我々に突きつけられた大きな命題に果敢に挑んで克服していかなければなりません。
 そのためには、事業者みずからが感染拡大防止の徹底を図るとともに、都民、利用者の理解、そしてご協力を得ながら、感染防止対策の取り組みを積極的に促していく必要がございます。
 緊急事態宣言が解除された場合も見据えまして、感染の再拡大を防止して、経済社会活動の活性化につなげていくため、従来の取り組みに加えまして、会食や飲食などは感染リスクが高いとされておりまして、店舗、そして利用者双方の感染防止対策の徹底が欠かせない。そこで、新たに飲食店等におけます、仮称ですが、コロナ対策リーダーの仕組みを検討いたしております。
 これは店舗ごとに従業員の中から、仮称コロナ対策リーダーを選任し、ガイドラインに基づく対策や、会食時のマナーの普及などの旗振り役になっていただくというものであります。都はリーダーを中心とした店舗の取り組みをサポートしてまいります。
 こうした取り組みによって、感染拡大防止に向けた都民や事業者双方による適切な行動や対策の実効性を高めていくことで、経済社会活動との両立を目指してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の水際対策についてでございますが、新規陽性者数は減少しているものの、直近では下げどまりの傾向にございます。医療提供体制も逼迫した状況にあるなど厳しい状況は続いております。
 そうした中で、国外に目を向けますと、フランスでは、英国で広がった変異株が新規感染者の六割以上を占めているとの報道もございます。
 都におきましては、昨年十二月から変異株の有無を確認する検査をいち早く開始しております。これまでのところ、都内で変異株が広がっているということは確認されてはおりませんが、他県ではクラスターが発生しているなど、変異株による感染拡大が生じることが懸念されております。
 こうした危機意識を埼玉、千葉、神奈川の三県と共有いたしておりまして、都は、国内での変異株の検出、伝播を常時監視するほか、各国からの入国制限や入国時の待機時間等の条件を必要に応じて見直すなど、水際対策を強化、徹底するよう、一都三県で国に対し要望してまいります。
 新型コロナウイルスのワクチンについてのご質問がございました。
 新型コロナとの闘いでゲームチェンジャーとなることが期待されておりますのがワクチンであります。このワクチンの医療従事者等への優先接種が先週から都でも開始されております。
 現在、都に割り当てられておりますワクチンの供給量は、都内の医療従事者の六分の一の約十万人にすぎません。また、来月十二日の週から開始する高齢者向け優先接種のために、都に示された配分量につきましては約二万一千人分でありまして、これは都内の高齢者人口の一%にも満たず、極めて少ないものであります。
 都はこれまで、全国知事会も通じまして、国にワクチンの供給量を十分に確保するように求めてまいりました。また、一都三県におきまして、医療従事者等に向けたワクチンの配分について、医療従事者のみによる割り当てではなく、陽性者数や新型コロナ患者を受け入れる病床の確保数を勘案するように国に求めてまいります。
 今後、医療従事者等への接種や、その後の高齢者を初めとした住民へのワクチン接種が円滑に進みますよう、国にはワクチンの確保に向けて努力いただき、都は引き続き、区市町村や医師会等の関係機関と連携をいたしながら、接種体制の確保に万全を期してまいります。
 また、東京都医学総合研究所のワクチン開発についてのご質問がございました。
 先月からファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチン接種が我が国でも開始されたわけでございますが、国産のワクチンも待ち望まれております。
 東京都医学総合研究所におきましては、がん、感染症を初めとする未解明の重要疾患等に関する研究を行っておりまして、これまでも新型インフルエンザやデング熱に関するワクチン開発研究に取り組んでまいりました。
 今年度から、これまでに確立した技術を生かしまして、都の特別研究の一つとして、今後、新たなコロナウイルスが発生した場合にも対応可能なワクチンの開発に着手しております。
 この研究の中で作製したワクチンですが、新型コロナウイルスへの一定の効果を確認しております。今後、共同で研究を進めている製薬企業において臨床試験を開始する予定と聞いております。
 東京都医学総合研究所は、研究成果の普及を通しまして、都民の医療や福祉の向上に寄与することを使命としております。その使命を果たせるよう、都は新たなワクチン開発に資する特別研究を来年度も支援してまいります。
 続いて、配偶者などからの暴力に対する相談体制の強化についてのご指摘がございました。
 配偶者などからの暴力はいかなる状況にありましても決して許されるものではありません。犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であります。男女平等参画社会の形成を阻害する要因でもございます。
 コロナ禍は多くの方々にさまざまな影響を与えておりますけれども、生活不安などからストレスを感じることも多く、社会制度や慣習、そして慣行もありまして、特に女性に対する暴力被害の増加、深刻化が懸念されております。
 今年度、都におきましては、LINEを活用した相談を試行実施いたしました。一カ月で友達登録数は約七千八百人になり、合計で二百件を超える相談が寄せられております。年代別で見ますと、通常の電話相談と比較いたしまして、若い世代からの相談割合が多かったところでございます。
 この結果等を踏まえまして、若年層や電話では相談しづらい被害者が一人で悩むことのないように、来年度から本格的にLINE相談を開始いたします。
 さらに、より多くの相談に対応できますよう、相談員を増員するなど、体制の拡充を図ってまいります。
 また、被害者の状況や意向に沿った生活など、さまざまな支援につながるよう、関係機関等と連携をいたしまして、さらなる環境整備に努めて、一人でも多くの被害者が自分らしく暮らしていける社会の実現を目指してまいります。
 続いて、児童虐待への対応についてでございます。
 都内の児童相談所で受けます虐待の相談や通告の件数は、近年、増加の一途をたどっております。
 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都は今年度、児童福祉司や児童心理司を五十八名増員するとともに、人材育成等を担う専門課長を増員するなど、児童相談所の体制強化を図っております。
 また、コロナ禍におきましては、外出を控え、育児のストレスが高まることなども懸念をされておりまして、児童相談所では、在宅指導中の全てのケースにつきまして、改めて対面等で状況を把握し、安全確認を徹底するとともに、オンラインを活用した保護者や子供との面談も行っております。
 来年度は、児童福祉司や児童心理司、専門課長をさらに増員いたしますほか、職員が効果的かつ効率的に業務を進められますように、スマートフォンやテレビ会議システムの活用など、さまざまな業務のデジタル化を進めてまいります。
 児童虐待は、子供たちの心に深い傷を残すだけではありません。その将来の可能性をも奪いかねない、決して許されない行為であります。コロナ禍にありましても虐待対応や相談支援を適切に行って、子供の安全・安心をしっかりと守ってまいります。
 地方創生臨時交付金についてのお尋ねがございました。
 大切な都民の命を守り、都内経済を下支えしていくためには、実効性ある施策を切れ目なく実施しなければなりません。そのために必要な財源を、国庫支出金を含め、積極的に確保することが重要であります。
 地方創生臨時交付金につきましては、財政力に応じた割り落としを行うことなく、配分すべきという都の主張などを踏まえまして、先般、協力金の財源として実績に応じて交付金を配分する制度が創設をされたところでございます。
 一方で、地方が独自に行う事業の財源として措置される部分につきましては、財政力が高い自治体への配分を抑える算定方式がいまだに残っており、都はこれまでも、国に対し、感染者数などの実態を十分に反映した算定となるよう強く求めてまいりました。
 今回の緊急事態宣言の再延長を踏まえまして、一都三県の連名で、交付金について財政力による補正を行うことなく、実態に即した配分となりますよう、改めて関係大臣に要望することといたしておりまして、今後とも、国に対し時宜を得て訴えてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
 以上です。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) ガイドライン助成金にかかわるデータの公表についてお答えします。
 都が保有する多岐にわたる行政データの公開は、コロナ禍の新しい日常を踏まえた民間企業等によるサービスの創出など、大きな可能性を秘めています。
 現在、都では、都政の構造改革において、オープンデータ徹底活用プロジェクトを実施するなど、データの利活用を推進する取り組みを行っております。
 こうした中、今年度より、感染症の影響で厳しい状況にある飲食店等に対し、業界ガイドラインに基づく換気設備工事や備品購入等の取り組みへの助成事業を開始しましたが、飲食店等の積極的な感染症対策の取り組みを広く周知することは、都民の皆さんが安心して利用することにつながります。
 そのため、事前に了解が得られた事業者を対象に、名称や所在地、取り組んでいる感染防止対策の内容などを取りまとめたリストを、今後新たに都のホームページなどでオープンデータとして広く公表し、民間企業等の利活用を促してまいります。
 こうした行政データをオープンデータとして積極的に公開し、民間企業等がサービス開発に必要な情報を手に入れられる環境をつくっていくことで、クオリティー・オブ・サービスの向上につなげ、都民の皆さんが利便性を実感できる社会を実現していきたいと考えております。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 卒業式の実施についてでございますが、卒業式は、学校生活における重要な節目として、厳粛で清新な雰囲気の中で、新しい生活の展開への動機づけとなる貴重な教育活動でございます。
 都教育委員会は、今年度の卒業式について、マスク着用や換気の徹底などの基本的な感染防止対策に加え、式全体の時間短縮、在校生や保護者などの参列者の限定、座席の間隔の十分な確保などの対策を講じた上で実施するよう都立学校に方針を示すとともに、区市町村教育委員会に対しても、この方針を参考として情報提供をいたしております。
 卒業式につきましては、三月上旬から順次行われておりまして、各学校では万全の感染防止対策を講じた上で実施することといたしております。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 鉄道の終電繰り上げについてのご質問にお答えをいたします。
 東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の一都三県は、本年一月七日に国及び首都圏の鉄道事業者に対しまして、終電時刻の繰り上げを実施するよう要請を行いました。
 これを受け、都内の鉄道事業者十五社におきましては、緊急事態宣言後の準備期間を経て、一月二十日から一斉に繰り上げを実施しておりました。
 今回の緊急事態宣言の延長後も引き続き継続して実施をしておりまして、大方の鉄道事業者は、昨年から予定しておりました今春のダイヤ改正の終電繰り上げに基本的につなげることとしております。
 引き続き、終電繰り上げなどの取り組みを通じまして人流の抑制を図り、感染拡大防止に全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の給付額についてですが、感染拡大防止協力金は、売り上げの減少を補填する営業補償ではなく、飲食業等の店舗に対する営業時間の短縮要請の実効性の確保を図るため支給を行っているものでございます。
 この協力金に関し、事業の大きさに応じ支給額に差を設ける場合、その規模をあらわす指標を決めることが必要となります。こうした指標に関し、店舗ごとの売り上げや面積、賃料、従業員数のいずれを用いても、各事業者による準備の負担は大きく、審査にも時間がかかり、迅速な申請や支給に支障が生ずる懸念がございます。
 また、協力金につきましては、事前に国との協議が必要となりますが、店舗ごとの売り上げ等のデータはないため、事業総額の推計が難しく、仮に実際の支給額が推計を上回った場合、その部分は国の財政支援を得られず、自治体の負担が増すことも見込まれているところでございます。
 国は、協力金に係る単価を自治体が柔軟に設定できるとしておりますが、事業の規模をあらわす指標などはいまだに示しておりません。そうした基準は自治体ごとに異なると、新たな不公平感を生むおそれがございます。こうしたことは一都三県の間でも懸念が出ているところでございます。
 このため、事業規模に応じた協力金制度の構築とそれに係る財源の確保に関しまして、一都三県で連携し、引き続き国に要望を行ってまいります。
 次に、協力金の支給についてですが、都は、今回の緊急事態措置の延長に引き続き、三月末まで段階的緩和期間を設け、飲食店等に営業時間の短縮を要請する予定でございます。この全ての期間にご協力いただいた店舗を対象に、国の交付金も活用し、百二十四万円の協力金を支給いたします。
 厳しい経営環境の続く飲食店等に協力金を速やかに支給するため、現在、審査方法等の工夫を重ねているところでございます。具体的には、民間の力も活用した審査体制の拡充や支給事務の一部を金融機関に委託するなど、業務の効率化も図っているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、迅速で円滑な支給につなげてまいります。
 次に、事業者の資金繰り支援についてですが、都が実施する新型コロナ対応融資では、これまで既存の融資からの借りかえに対応する一方で、コロナ対応融資そのものの借りかえはできないこととしておりました。
 しかしながら、長期化するコロナ禍の影響を踏まえ、二月下旬から制度を変更し、借りかえへの対応を開始しているところでございます。
 事業者にとりましては、この借りかえを行うことによりまして、実質的に返済が猶予されるとともに、無利子の期間が延長されることとなります。
 都は現在、金融機関等とも連携しながら、この制度の周知を図っており、さらにSNSによる発信のほか、業界団体や区市町村を通じたPRを実施してまいります。
 今後とも、こうした借りかえの制度も活用しながら、都内中小企業の資金繰りを支えてまいります。
 次に、感染防止対策への支援の充実についてですが、緊急事態宣言が延長される中で、都内での感染拡大を食いとめるためには、中小企業の感染防止対策の取り組みに対する支援の強化が必要でございます。
 都はこれまで、感染症防止ガイドラインに基づく取り組みへの助成事業といたしまして、換気設備工事に係る助成限度額の引き上げや、助成対象を事業者ではなく店舗単位に切りかえるなど支援の充実を図るとともに、消耗品の購入費を助成対象に追加してまいりました。
 今後は、感染防止対策に徹底して取り組む飲食事業者を下支えするために、業界団体が傘下の事業者が使用するCO2濃度測定器等の消耗品を共同購入する場合に、助成率の充実を図ることといたします。こうした取り組みによりまして、飲食事業者の感染防止対策を的確に後押ししてまいります。
 次に、飲食の関連事業者への支援についてですが、都は、コロナ禍で大きな影響を受けた食関連事業者に対して、新製品の開発やテークアウト、宅配サービスの導入など、経営維持のための緊急支援を行ってまいりました。
 来年度は、食品技術センターと産業技術研究センターの統合により、今後の市場拡大が見込まれるバイオテクノロジーを活用した食品関連の研究開発等を充実いたします。
 また、製造過程のデジタル化や商品価値を高めるパッケージデザインの開発などを支援いたしまして、食品製造業者の収益力の向上を促してまいります。
 さらに、こうした開発の成果を中小企業の経営に活用できますよう、中小企業振興公社による手厚いサポートを実施いたします。
 技術面や経営面から重層的な支援を展開することで、食関連産業の経営力強化を図ってまいります。
 次に、商店街による感染症対策への支援についてですが、都民生活に欠かせない存在でございます地域の商店街において、コロナ禍の中でも安心して買い物ができる環境を整備することは重要でございます。
 このため、都は今年度、商店街の取り組みへの緊急支援を実施しており、消毒液の購入や換気設備の設置等の感染防止対策のほか、動線の確保による三密防止対策や来街者に対する啓発グッズの作成など、これまでに五百を超える商店街の取り組みを支援してまいりました。
 今後も、感染拡大を防ぐための取り組みが重要となりますことから、来年度は、区市町村との連携により、引き続き、商店街による独自の感染防止対策を後押ししてまいります。
 感染拡大防止のための主体的な取り組みを後押しすることによりまして、商店街の持続的な発展を促してまいります。
 次に、テレワークの定着に向けた支援についてですが、テレワークのさらなる普及と定着を図るためには、労働時間の管理等を規定する就業規則の整備や情報共有の方法、セキュリティーの確保など、導入、運用上の課題に対しまして、企業の実情に応じたきめ細かな支援が必要でございます。
 このため、都は年度内に、テレワークを導入する際の個別具体的な課題に対する相談体制を整えるとともに、モデルとなります先進的な取り組みを表彰し、幅広く発信してまいります。
 また、来年度は、企業の相談にワンストップで対応するオンライン窓口を設置するとともに、社会保険労務士やIT等の専門家を職場に派遣し、助言を行っていくこととしております。
 さらに、非正規雇用労働者のテレワーク利用の促進に向けて実態調査を行い、雇用環境を整備し、導入を図った企業の事例をセミナー等で発信するなど、取り組みを強化してまいります。
 次に、多摩地域のサテライトオフィスの整備についてですが、多摩地域においてサテライトオフィス整備の促進を図ることは、テレワークの普及に加え、職住近接のワークスタイルを実現し、地域振興にも効果的な取り組みでございます。
 このため、都は来年度、民間事業者や市町村が多摩地域で行うサテライトオフィスの整備、運営に対する助成事業の規模を拡充いたします。
 また、地域の経済団体が商店街の空き店舗等を活用し、小規模なサテライトオフィスへ転換するモデル事業を実施するとともに、多摩地域の宿泊施設をサテライトオフィスとして低額な利用料で提供するなど、テレワークの実施環境の充実を図ってまいります。
 さらに、利用者ニーズ等の調査を行い、こうした多摩地域の実情に応じた多様なサテライトオフィス整備の促進に活用してまいります。
 次に、非正規雇用の方や女性の就業支援についてですが、コロナ禍では、非正規雇用の方や宿泊、飲食等のサービス業に従事する女性の解雇、雇いどめが数多く発生しておりまして、こうした方々の安定した就労に向けた支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は来年度、非正規雇用の若者が職場実習等により実践的な業務スキルを身につけるプログラムやトライアル就労を通じて、派遣先での正社員就職を支援する事業の規模を拡充し、安定した就労への支援を強化いたします。
 また、女性向けのセミナーや就職面接会を組み合わせたサポート事業を開始するなど、コロナ禍においても採用意欲の高い企業とのマッチングの充実を図ってまいります。
 これらの取り組みにより、非正規雇用の方や女性の早期の再就職を強力に支援し、安定した就労につなげてまいります。
 最後に、スタートアップ支援についてですが、非接触技術などの活用によりDXを推進し、東京の新たな成長につなげるためには、スタートアップによる革新的な製品やサービスの創出を支援することが重要でございます。
 都は今年度、DXを推進するスタートアップによるビジネスモデルの検証を支援するため、実証実験の場の確保に向けた手続や、必要となる費用面でのサポートを開始いたしました。
 来年度は、スタートアップによる製品等の普及や実装に向け、大企業等とのマッチングや販売契約の締結等を後押しいたします。
 また、新たなファンド出資を通じて資金と経営の両面からスタートアップを支援してまいります。
 これらの支援を通じて、斬新なアイデアを持つスタートアップの取り組みを一層加速化させ、DXの普及促進を着実に図ってまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 店舗、利用者への感染防止策の徹底についてでございますが、飲食店等において、事業者と利用客双方が感染防止対策を徹底する意識を共有し、実行することが重要でございます。
 都はこれまでも、事業者にはガイドラインの遵守とステッカー掲示の徹底、利用客には小まめなマスクの着用や会食時の注意事項の徹底を促してまいりました。
 また、職員によるステッカー掲示店舗の確認や業界団体による自主点検などにより、感染防止対策の実効性確保に努めており、職員による確認は、これまで一万四千件以上実施し、業界団体による自主点検は、計画ベースであるが、一万八千件以上の実施を見込んでございます。
 今後も、店舗へのチラシ配布や利用客向けのメッセージを今まで以上に普及させるなど、店舗における感染防止対策の徹底に向けた取り組みを進めてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、積極的なPCR検査の実施についてでございます。
 都は、特別養護老人ホームなどの高齢者施設や障害者入所施設での検査を支援するほか、グループホームや通所施設等の検査は区市町村を通じて支援しており、来年度は、訪問看護ステーションや訪問系の介護サービス事業所などの検査につきましても新たに対象としてまいります。
 また、先月二十六日に変更されました国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針では、感染拡大の予兆や感染源を早期に探知するため、感染リスクの高い場所を中心に、無症状者に焦点を当てた幅広いPCR検査等を実施することを重要事項の一つとして挙げてございます。
 東京iCDCでは、歓楽街などでの感染拡大の予兆を早期に探知する方策を検討しており、その議論を踏まえ、検査に関する効果的な対策を検討してまいります。
 次に、保健所の業務負担の軽減についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症に確実に対応していくためには、健康観察、入院調整、積極的疫学調査などを担う保健所がその機能を十分に発揮することが必要でございます。
 このため、都は、本年一月から、自宅療養者の健康観察などを行いますフォローアップセンターの対象を保健所設置区市の区域に拡大いたしますとともに、夜間に自宅療養者等の容体が急変した場合に、入院先の調整を行う窓口の運営を開始いたしました。
 また、保健所設置区市に対して、看護師等の雇い上げ経費などを支援しておりますほか、東京iCDCから新たに示されました積極的疫学調査の強化に向けた考え方を踏まえ、保健所の体制を強化するため、こうした業務を担う保健師などトレーサーの追加募集を開始しており、さらなる負担軽減を図ってまいります。
 最後に、新型コロナウイルスの変異株についてでございます。
 東京iCDCでは検討チームを立ち上げまして、昨年十二月から健康安全研究センター、本年二月からは民間検査機関でも変異株の有無を確認いたしますスクリーニング検査を開始し、現在までに合わせて二千五百件を超える検査を実施いたしました。
 これまで国が公表した都内の変異株の検出例は十四例でございまして、うち六例が海外との関連がない市中感染が疑われるもので、いずれもスクリーニング検査をきっかけといたしまして判明したものでございます。
 今後、変異株の急速な拡大が懸念されるため、スクリーニング検査を実施していない民間検査機関に働きかけ、四月までに累計四千件を目指し、規模の拡大を図ってまいります。
 また、大学や研究機関等との連携により変異株の実態把握を進め、その結果につきまして積極的に情報を発信してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者施設における感染症対策についてでございますが、介護を必要とする高齢者が集団で生活している施設では、利用者や職員が密集、密接となる状況が生じやすく、都は、施設内での感染予防や拡大防止を図るため、感染が疑われる方のための居室等への簡易陰圧装置の設置や、多床室に間仕切り等を設置する個室化改修等の費用を補助しております。
 来年度は、発熱者などをケアする際に必要な防護具の着脱スペースの確保や、面会者と入所者の動線を分けるための面会室への複数の出入り口設置など、施設内でゾーニングを徹底するための改修費用を新たに補助するなど、感染リスクの低減に取り組む高齢者施設を支援してまいります。
 次に、住まいを失った方への支援についてでございますが、都は、年末年始及び引き続く緊急事態宣言期間中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により住まいを失った方等に対し、区市と連携し、一時的な宿泊場所としてビジネスホテルを提供しており、昨年十二月二十一日から本年三月四日までの間に、延べ六百十二人の方が利用しております。
 今般、緊急事態宣言が再延長されたことに伴い、一時的な宿泊場所の提供期間も三月二十一日まで延長することといたしました。
 今後も、区市や関係機関とも連携し、住まいを失った方の居住の場の確保など、生活の安定に向けた支援に取り組んでまいります。
 最後に、自殺対策についてでございますが、都は、コロナ禍での心理的不安に対応するため、昨年六月からSNS相談と電話相談の体制を強化するほか、民間団体の相談体制の拡充を支援してまいりました。
 また、昨年十二月から、悩みを抱える方を社会全体で支える取り組みや相談事業の拡充、普及啓発の強化など、都民の心と命を守る緊急対策を進めております。
 さらに、普及啓発と相談等を重点的に行う自殺防止東京キャンペーンを、例年より時期を早めて先月から開始しており、今月下旬には、SNSと電話の受け付け時間を延長する特別相談を実施いたします。
 こうした相談の内容等を踏まえ、ハローワークや経営相談の窓口、民間団体などの関係機関と連携し、自殺対策の強化を図ってまいります。

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