令和三年東京都議会会議録第四号

○副議長(橘正剛君) 七番西郷あゆ美さん。
〔七番西郷あゆ美君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○七番(西郷あゆ美君) 初めに、島しょ部の医療体制についてお伺いをいたします。
 命だけは平等だ、これは私の母の地元であり、私の第二のふるさとでもある鹿児島県奄美群島の徳之島で、同じ町内出身の徳之島町名誉町民である徳田虎雄先生の言葉です。離島医療に格差があってはならないと医療活動を始め、離島や僻地医療、緊急災害医療に重点を置いた病院運営をされていることでも知られています。
 一九四六年二月二日、連合国軍総司令部は、奄美群島や沖縄など北緯三十度以南の島々を日本から分離すると宣言しました。本土と島々は渡航や物流が禁止、制限され、往来にはパスポートが必要となり、住民は物資不足などに苦しみ、医者にかかるのは死の直前だけでありました。
 一九五一年二月に奄美大島日本復帰協議会が発足し、何としてでも日本復帰をという声が集い、心を一つに復帰がかなうまで幾度も集会が開かれ、約七年十カ月後の一九五三年十二月二十五日に日本に復帰をしました。私の一族も代々議員をしていますが、当時の人々の怒りや悲しみ、喜びの話を祖父から聞かされて育ちました。
 島しょ部、離島地域は、一たびクラスターが発生すれば、たちまち住民全員の命に危機が迫ることが次第に明らかになってきました。一月ほど前も沖縄県宮古島で厳戒態勢がとられたことは周知の事実です。東京都の島しょ部においても、こうした危機的状況を未然に防ぐ必要があります。特にPCR、抗原検査の体制、そして今後行われるワクチン接種の体制は、都心以上に細心の注意を払って行うことで、ようやく都心並みの体制となります。
 そこで、島しょ部のコロナ対策におけるPCR検査の現状について、都心以上に手厚い体制を整える必要があると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 次に、尖閣諸島基金についてお伺いいたします。
 東京都は、都民、国民の皆様から寄せられた東京都尖閣諸島寄附金を、主に尖閣諸島の所有者となった国に、島々を活用していく資金として託すため、東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金として管理してこられました。コロナ禍において基金の取り崩しが相次ぐ中、この基金は現在手つかずとされているということです。
 尖閣諸島基金について、コロナ対策に活用すべきという一部の声もあることは承知しておりますが、条例の目的に沿うように活用し、寄附者の声に応えるべきであり、国や地元自治体と定期的な会合を増やすなど、小池都政のもとでしっかりと道筋をつけるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 先日も、武器の搭載がされているとみなされる中国海警局の船が尖閣諸島の沖合で日本の領海に侵入し、その数は増加しています。防衛大臣も務められた知事におかれましては、事の重大性は重々承知のことと思います。
 中国が武器使用明記の海警法を施行させ、日本の実効支配の後退が懸念される中、改めて中国に対して意思表示を行うべきと考えますが、政治家としての知事の見解を伺います。
 次に、東京の地下鉄についてお伺いをいたします。
 先月二十二日に国土交通省主催で、東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会の第一回会合が開催され、東京都も参加したと伺いました。この会合では、東京メトロが果たすべき役割及びその役割を踏まえた株式売却のあり方について議論するということになっています。
 特に東京メトロ株については、法に基づき、同社の株式を国と東京都においてできる限り速やかに売却するのが基本的な原則であるところ、一向に売却の道筋が立っておりません。
 昨年から、我が党の音喜多駿参議院議員が、国会で財務大臣、国土交通大臣に相次いで株式売却について質問したところ、それぞれ東京都の問題である、都知事との検討が必要であると答弁がありました。この会合で、東京都がどのような姿勢で臨むかが問われているということだと思います。
 知事は、大臣にテレビ会議において東京圏における地下鉄ネットワークの充実について要請されたことも承知しておりますが、改めて東京都としてビジョンを持ってこの会議に参加すべきと考えます。
 そこで、現時点で東京メトロが果たすべき役割及びその役割を踏まえた株式売却のあり方についてどのようなビジョンを持っているのか、都の見解を伺います。
 東京維新の会は、東京の地下鉄のグランドデザインとして、将来的に東京メトロと都営地下鉄とを一元化した上で民営化することを構想しております。この構想について一足飛びには進まないことは承知しておりますが、東京メトロ、都営地下鉄の一元化は、長らく議論もされ、我が党の柳ヶ瀬裕文参議院議員も以前より都議会で質問してきたところであります。
 そこで、改めて、東京メトロにつき、将来に都営地下鉄との一元化をすべきと考えますが、現時点での都の見解を伺います。
 次に、児童手当について質問させていただきます。
 先般閣議決定された児童手当法の改正案は、特例給付の対象を縮小し、年収一千二百万円以上の世帯へ支給を廃止するものであり、本法案が成立すると、地価等が高い都内子育て世代は直撃を受けることが容易に想像できます。
 都民を守る政治家として、率直に本法案についての所見をお伺いします。
 私案ではございますが、本法案が成立したとしても、現行制度が継続されるのと同額の都独自の支給を年収一千二百万円以上の世帯へ行うことも一案と考えます。そもそも子育て支援は高収入世帯とそれ以外の世帯を分けて考えることは不合理であり、子育て支援については都民平等の抜本的な支援が必要と考えますが、今後の取り組みについて局長の見解をお伺いし、私の質問を終わりにいたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西郷あゆ美議員の一般質問にお答えいたします。
 中国の海警法の施行についてのご質問でございました。
 国境離島の維持保全、我が国の国際的な地位を堅持する上で重要な課題であります。領域警備、安全保障、責務とする国において、引き続き毅然とした対応をしていただくことを望んでおります。
 次に、児童手当法の改正についてのお尋ねがございました。
 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案は、総合的な少子化対策を推進する一環といたしまして、保育の需要の増大等に対応して、子供、子育て支援の効果的な実施を図るため国会に提出されたものであると、このように伺っております。
 以上であります。
 なお、その他のご質問につきましては、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、メトロ株についてでございます。
 東京が将来にわたり持続的に発展していくためには、地下鉄を初めとする鉄道ネットワークのさらなる充実等が必要でございまして、東京メトロが重要な役割を果たすと考えております。その役割について検討するに当たりましては、首都中枢エリアを担う公共的役割を十分勘案する必要がございます。
 メトロ株の取り扱いにつきましては、まずは国の審議会での議論を注視し、その上で東京メトロが果たすべき役割等を踏まえながら、都としても検討してまいります。
 次に、東京メトロと都営地下鉄の一元化についてでございます。
 経営一元化は、東京の地下鉄のサービス改善、一体化を進める上で有効な方策であるものの、財務状況や組織形態などさまざまな点につきまして、関係者間で意見の隔たりが大きいと認識しております。
 こうしたことから、まずは、都民を初めとする利用者の方々にとって東京の地下鉄が一層使いやすいものとなるよう、地下鉄全体のサービス向上や鉄道ネットワークの充実に取り組んでいくことが重要と考えております。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 島しょ地域における新型コロナの検査体制に関するご質問にお答えいたします。
 都は、島しょ地域の十カ所の医療機関を診療・検査医療機関等に位置づけ、有症状の診療や検体採取のための体制を整備してございます。
 その上で、海運会社等に協力を依頼し、迅速に検体を搬送しており、検査につきましては民間検査機関を活用した体制を整えてございます。
 なお、検査で陽性となり入院が必要と判断された場合は、東京消防庁等と連携して搬送することとしており、今後とも、島しょ地域の検査体制の充実を図ってまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 尖閣諸島活用基金の活用についてでございますが、都は、尖閣諸島の購入等を目的に募った寄附金について、同諸島の国有化を踏まえ、寄附された都民等の意思を受け、平成二十五年、国による同諸島活用の資金とするための基金を設置して厳格に管理をしております。
 また、地元の石垣市等と継続的に意見交換をしながら、所有者の国に対し、同諸島の戦略的な活用を要望してございます。
 今後も地元自治体等とも連携し、国への働きかけなど適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 子育て支援に関するご質問にお答えいたします。
 都は、第二期子供・子育て支援総合計画に、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援の仕組みづくりや、乳幼児期における教育、保育の充実など五つの目標を掲げ、福祉、保健、医療、雇用、教育などさまざまな分野から成る三百六十三の事業を盛り込んでおります。
 今計画に基づき、全ての子育て家庭が地域において安心して子育てができるよう、引き続き、区市町村等と連携しながら子供、子育て支援の取り組みを推進してまいります。
 なお、児童手当は、児童手当法に基づく国の制度でございまして、支給対象とする世帯の範囲などについては国において議論すべきものであると考えてございます。

○議長(石川良一君) 以上をもって質問は終わりました。

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