令和三年東京都議会会議録第四号

○議長(石川良一君) 四十八番奥澤高広君。
〔四十八番奥澤高広君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○四十八番(奥澤高広君) 無所属東京みらいを代表して一般質問を行います。
 多摩都市モノレールの町田方面延伸は、町田市にとっての悲願であるとともに、多摩地域の交通の背骨を形づくる一大事業です。都では、そのルートについて検討を進めているところですが、地域の足となる、いわゆるフィーダー交通もあわせて計画していくことが重要です。世界に目を向けると、今、急激に交通イノベーションが起きようとしており、自動運転や空飛ぶ車については、近い将来の実用化が見込まれています。こうした世界の潮流や最先端技術の導入を見据えた交通の未来像を描くべきです。
 地域公共交通については、区市町村が主体的に検討すべきものではありますが、自動運転やMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスなどに取り組んできた東京都としても、その知見を共有するなどして積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩都市モノレール町田方面延伸ルート周辺には、大規模な団地が複数あります。ご高齢の方も多く、近くのスーパーに行くことにも苦労している方々がいます。
 今般、その一つである町田山崎団地において、小田急電鉄、JR東日本、町田市、東京都が共同でMaaS実証実験を行っていることは意義深いものです。
 先日、実際にサービスを利用しましたが、これまで交通不便地域とされていた場所が次世代交通の舞台となるのはわくわくするものでした。今後は、都が行ってきた自動運転や東京ユアコインのポイント付加などの知見も組み合わせて、未来の地域交通を具体的に描いていくことを期待しています。
 そこで、現在行われているMaaS実証実験において、都が果たしている役割と現時点での成果について伺います。
 日本経済を牽引してきた自動車産業について、世界の潮流は、所有からシェアへ、数年以内に自動運転に変わると予見をされています。日本は、制度の壁に阻まれ、シェアリングエコノミーによる利便性や新産業の創出、個人の副収入といったメリットを十分に享受できていません。イノベーションを起こすには、従来の制度や仕組み、価値観といった制約を取り払うことが不可欠だと痛感するものです。
 そのような観点から、新たな都政改革ビジョンに示されていた、縛る事前規制からサポート主眼の事後規制に見直し、民間の発想、技術、知見を行政運営に融合させていくという姿勢には大変期待を寄せていました。
 一方、今般発表されたシン・トセイを見ると、規制改革の観点が後退したようにも見えます。庁内のデジタル化を進めることに異論はありませんが、東京の成長を阻害する要因は、デジタル分野だけに存在するわけではありません。東京が真に成長する都市となるためには、全庁的に聖域なく規制改革に立ち向かう方向性を示すことが重要です。
 そこで、東京都が取り組む規制改革とは一体いかなるものか、その目的や意義を伺うとともに、規制改革に取り組む職員の意識改革をいかにして進めていくのか、民間出身でさまざまな規制を突破してきた宮坂副知事に伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 来年度予算では、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトが掲げられ、一人一台端末を初め、教育環境は大きく変化しようとしています。エビデンスに基づく教育により、一人一人の興味、関心や能力、特性に寄り添った、公正に個別最適化された学びが進むことだけではなく、教員の指導力向上や学級崩壊などの兆候を見出すなどの効果も期待されます。さらに、学習ログと学校内外の生活環境等を組み合わせた分析と対策によって、真の教育格差解消につながるよう願うものです。
 こうしたさまざまな可能性を秘めたTOKYOスマート・スクール・プロジェクトですが、データをより効率的に集め、効果的に分析し、活用する体制や仕組みも必要です。
 都では、平成十五年から独自の学力調査を行ってきたと承知しており、これまで培ったノウハウも生かしつつ、より一層効果的な調査にすべきと考えますが、見解を伺います。
 いじめを早期に発見し、解決へと導くために、私たちは、傍観者、つまり、いじめの現場の周辺にいる人たちの関与が重要だと訴えてきました。民間調査では、傍観者による早期介入によって、その五七%でいじめをとめる効果があったとの報告もあり、児童生徒や学校に加えて、広く周囲の大人がいじめを理解することは重要です。
 また、学校や教員が行った対策を個人の経験則とせず、その効果を客観的な事実として裏づけていくことで、よりよい対策を見出すことにつながると考えます。
 そのような観点から、今般改定した学校のいじめ防止マニュアルであるいじめ総合対策について、保護者プログラム、地域プログラムという記載があることに注目をしていますが、その目的と内容について伺います。
 文部科学省によると、昨年、全国で自殺した小中高生は、過去最多の四百七十九人で、特に女子高校生が百三十八人と二倍近くに増えている。これは憂慮すべき問題です。
 下は小学生から、命を絶つという選択をさせてしまったことを、私たち大人は深刻に受けとめなければなりません。悩みを抱える児童生徒に寄り添い、支える体制を今すぐにでも強化する必要があります。
 そこで、これまで進めてきた相談体制の強化のみならず、深刻な状況に至る前に、初期の段階から予防的な対応を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 自殺の要因として挙げられる進路や学業不振は、家庭の経済状況とも密接な関係であり、コロナ禍の経済悪化の影響も少なくないはずです。また、緊急事態宣言に伴う社会的不安の増大や孤立化、家庭内不和など、新型コロナの及ぼす影響を多角的に捉え、経済的な支援も含めた抜本的な対策を求めます。
 次に、ジェンダー平等の実現に向けて、性別によって、個人の能力や可能性、人生の選択肢が狭まる環境を生み出さないことは重要です。しかし、都立学校においては、男女別定員制がいまだに残り、結果として、男女間に合格点に差が生じているとの指摘があります。
 都は、他県に比べ私立高校が多いという事情については一定の理解をしますが、結果として進路変更を余儀なくされているとすれば、看過できません。
 こうした男女間の合格点の差を埋めるための措置として、都立高校では緩和枠を設けているとのことですが、改めてその導入状況と果たす役割を伺うとともに、都立中高一貫校の対応状況についても伺います。
 関連して、都道府県立高校入試における性別記入が残るのは、全国で六自治体のみとなりました。性自認や性的指向にセンシティブな若年層への配慮も含め、男女別定員とあわせて見直すよう求めるものです。
 続いて、ソーシャルインクルージョン、社会的包摂という観点から、再犯防止について質問をします。
 平成二十八年に再犯防止推進法が施行され、これまで法務省を中心に行われてきた取り組みについて、地域とともに暮らし、働き、時に治療しながら取り組んでいく、地域が主体の共生モデルへと転換が始まりました。都においても、再犯者率の高どまりなどの現状を踏まえ、令和元年七月に再犯防止推進計画を定め、組織横断での取り組みを始めたところです。
 一方、国では、再犯防止推進計画に基づく各自治体の取り組みへの財政支援について、来年度から大きく削減する方針と聞いており、大変遺憾です。
 そこで、改めて、これまでの再犯防止に関する取り組みと今後の展開を伺うとともに、国に対しても、今まで以上に取り組みの成果を伝えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 障害があってもなくても、自分らしく働き暮らしていく社会の実現に向けては、これまでの制度や常識にとらわれず、テクノロジーも活用し、一人一人の可能性を信じ、伸ばしていく発想が重要です。
 そのような意味で、福祉的就労と呼ばれる就労支援B型事業所の工賃向上については、長年目標を達成できておらず、令和元年度の都内事業所の平均は月一万六千百五十四円という状況を変えたいと思っています。民間企業が行った支援ではありますが、三カ月間で一万二千円から四万五千円にはね上がった事例も報告されており、参考にすべきです。
 来年度は、経営的視点を取り入れたモデル事業を初め、これまでの発想を超えて障害者の就労を後押しする取り組みがあり、期待をするものです。
 そこで、働くという視点から障害者の可能性を広げていく取り組みに対して、都の見解を伺います。
 私たちは、児童虐待の未然防止の重要性について、斉藤れいな議員を中心に一丸となって、繰り返しその重要性を訴えてきました。
 来年度から、予防的支援推進東京モデル事業が始まることに期待をしています。この事業は、中長期的な視点で、社会全体の子育てに関する考え方を変えていくような取り組みになると考えており、成果検証を行いながら改善を繰り返し、将来的には全都的に広げていくことが重要です。
 予防的支援は、虐待が起きた後の事後対応から、起きる前の未然防止へと転換するもので、新しい取り組みともいえます。そのような意味では、子供家庭支援センター等の関係職員のスキルアップも必要だと考えます。見解を伺います。
 昨年九月、都内の私立幼稚園で、四歳男児が給食に出された大粒のブドウを喉に詰まらせて死亡する事故がありました。それまでの知見や経験を集めたガイドラインがあり、また年に一度の講習会で伝えているにもかかわらず、毎年のように同じような事故が繰り返されることは残念でなりません。
 そこで、今後の講習会については、オンライン配信やアーカイブ動画などを用いて、保育施設等の全ての職員、さらには保護者等にも、子供の事故予防に関するガイドラインが周知されるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、新型コロナ対策について伺います。
 緊急事態宣言のもと、事業者や都民の皆様のご協力のおかげで、直近の新規陽性者数は、七日間の移動平均で三百人を下回るまで低下をしました。一方で、足元の社会経済活動に目を向けると、閉店、倒産、失業、自殺といった問題が顕在化してきており、緊急事態宣言はもろ刃の剣であることを改めて痛感しています。
 感染状況と社会経済状況を両にらみにした上で、関西圏では宣言の解除を要請し、解除後の対策についても考えを明らかにしています。一方、都においては、目安とされてきたステージスリーに近づいているものの、宣言解除の段階にはないとしています。
 知事は、感染を徹底的に抑え込み、再拡大を招かないという考えを述べていますが、そうであれば、まず、これまでの取り組みの客観的な事実に基づいた多角的な検証を行う必要があります。その上で、見るべき指標や解除の目安、より効果的な対策や支援策をあわせて示さなければ、事業者や都民の皆様の理解と納得、さらなるご協力を得ることは難しくなります。
 また、都は、独自の指標でモニタリングをしていることから、国に判断を委ねるのみならず、都としての考えをはっきりと伝えなければ、今後の国と都の間での意思決定においても混乱が生じかねません。
 そこで確認をしますが、感染拡大を抑え込み、再拡大を招かないとは、どのような状況を指して、今、新型コロナ対策に臨んでいるのか、伺います。
 知事のいうように、感染拡大を徹底的に抑える方針であれば、そのダメージに応じた、より一層のセーフティーネットを講じる必要があります。
 今般、都民生活を支えるセーフティーネットとして計上された補正予算は百五十億円ですが、その中心は生活応援事業です。これは、いわばキャッシュレス版のプレミアム商品券であり、一定の消費喚起効果は認められるものの、買い物や飲食をして初めてポイント還元されるという仕組みでは、本当に困っている方々への支援となり得るのか危惧するものです。
 昨年末にユニセフが公表した先進国のコロナ対策に関する報告書では、今後五年間、子供の貧困が増加するとされています。百五十億円といえば、都内十四歳以下の子供百六十万人に対し、一人当たり一万円弱を配布可能な金額であり、そういった意味でも、今回の補正予算がセーフティーネットとして機能するのか注視しなければなりません。
 そこで、質問します。
 生活応援事業は、新しい生活様式への対応ということで、キャッシュレスの場合はプレミアム率を高めると聞いています。同じような仕組みで、ひとり親や若年層、生活困窮者などに対象を絞る場合には、補助率やプレミアム率を引き上げるなどの工夫を講じて、必要とする人に確実に届く取り組みとすべきと考えますが、見解をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 奥澤高広議員の一般質問にお答えします。
 規制改革についてでございます。
 都政のQOS、クオリティー・オブ・サービス向上に向け、サービスのイノベーションを次々と起こしていくためには、制度のイノベーションである規制改革の推進が不可欠です。テクノロジーやデジタル化の進展等に合わせた大胆な規制の見直しにより、民間のアイデアや先端技術の社会実装を進め、東京の成長や成熟につなげていくことが重要です。
 ここで大切なのは、実践をし、結果を積み重ねていくことです。昨年十一月には、私も国の規制改革会議に参加し、行政のデジタル化を阻む規制の解消を訴えました。その後の法令改正により、自治体における民間クラウドサービスを活用した電子契約が認められることとなり、新たなデジタルサービスの提供に向けて、早速、今月から、民間事業者と連携した実証実験に着手しております。
 このように、シン・トセイ戦略に基づき、行政の枠を超えて社会全体で課題解決に取り組む中で、さまざまな規制緩和にチャレンジしていきたいと考えております。
 また、昨年十月に有識者の皆さんからいただいたポスト・コロナにおける東京の構造改革提言でも、大胆な規制緩和で都市の変革を進めることの重要性が指摘されております。
 これを受け、東京ベイeSGプロジェクトのドラフトでは、二〇三〇年までに目指す姿として、大胆な規制緩和による巨大実装エリアを設け、ドローンや自動運転など最先端テクノロジーの実装を進め、ベイエリアから東京全体、さらには日本中に波及させることなどを示しております。
 都政の構造改革と社会の構造改革のそれぞれでこうした実践を積み重ね、都民、事業者の皆さんの視点に立った制度のイノベーションを推進し、都政のQOSの向上につなげてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都の学力調査についてでございますが、新しい学習指導要領におきましては、これからの予測困難な時代にあっても、子供たちが新たな価値を創造していけるよう、学んだことを人生や社会に生かしていくことのできる資質、能力の育成が重視されております。
 そのため、都独自の学力調査を、令和三年度からは、教科の知識等を重点的に問う内容から、学習への興味、関心や学び方など、子供の意識や実態を、より的確に把握できる内容に変更して実施をいたします。
 都教育委員会では、この調査結果と国の学力調査で明らかになった知識等の定着状況とを結びつけて分析し、各学校で授業改善を促進して、子供たち一人一人の主体的に学習に取り組む態度を育む教育の一層の充実を図ってまいります。
 次に、いじめ防止のためのプログラムについてでございますが、いじめの防止に当たっては、教職員が組織的に対応することに加え、学校と家庭、地域が緊密に連携して、子供たちの健全な育成を担っていくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、本年度、学校や保護者、地域の方々が、いじめ問題についてともに考え、理解を深める演習形式のプログラムを開発いたしました。
 具体的には、保護者会で、いじめられた子供といじめを行った子供の保護者双方の立場から対応のあり方を考えたり、教員と地域住民等の協議会で、いじめを生まない環境づくりのための地域の役割について話し合ったりする内容となっております。
 今後、このプログラムを都内の全公立学校に配布し、活用を促すとともに、有識者会議において、その効果の検証を行い、子供を守り育てる取り組みの充実を図ってまいります。
 次に、子供の深刻な悩みへの予防的な取り組みについてでございますが、これまでの日常とは異なるコロナ禍において、子供が深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう心配があることから、子供の小さな変化を見逃さないようにするとともに、安心して相談できる環境を整えることが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、学校に対し、アンケートの例を示し、定期的に子供たちの悩み等を把握できるようにするとともに、心配な様子が見られる子供に対し、早期に教員やスクールカウンセラーが相談に乗り、寄り添って支えるよう徹底を図ってまいりました。
 また、子供がつらいときに信頼できる大人に助けを求めることができるよう、都教育委員会が開発した、SOSの出し方を学ぶDVD教材の活用を促進してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みにより、子供の不安や悩みを解消に導くための支援の充実を図ってまいります。
 最後に、都立高校等の男女別定員制についてでございますが、高校入学者選抜では、全日制普通科で男女別定員を設けており、合格者の成績に男女差を生じる場合があることから、募集人員の一割につきまして、男女合同の総合成績により合格者を決定しております。こうした方式の実施校は、平成三十一年度三十一校、令和二年度四十校、令和三年度四十二校となっております。また、中高一貫教育校では、一般枠は男女別定員としておりますが、繰り上げ合格者を男女合同での総合成績で決定をしているところでございます。
 これらの取り組みにより、合格最低点の男女間の差の縮小を図りますとともに、中学校の進路指導等への影響を考慮し、実施校の段階的な増加に努めているところでございます。
 今後とも、男女別定員による不公平感を低減するとともに、より男女平等な入学者選抜とすることを目指してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 地域公共交通に対する支援についてでございますが、少子高齢、人口減少が一層進む将来を見据え、都市活動や身近な地域での生活を支える地域公共交通につきまして、自動運転などの先端技術を活用しながら、利便性や快適性を高めていくことが重要でございます。
 都は、有識者等とともに、二〇四〇年代における地域公共交通のあり方を検討する中で、自動運転の社会実装に向けた動向や、各地で実施されておりますMaaSの実証実験の成果等を踏まえ、シームレスな移動の実現に資する先端技術の活用方策につきましても検討を深めております。
 得られた知見につきましては、区市町村の施策の検討に資するよう情報提供するとともに、意見交換を行っておりまして、今後とも、区市町村の主体的な取り組みを支援し、地域公共交通の充実を図ってまいります。
〔戦略政策情報推進本部長寺崎久明君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(寺崎久明君) MaaSの実証実験についてでございますが、MaaSの社会実装には、関連する多様な事業者の連携が課題となっておりますことから、都が旗振り役となりまして、事業者間の結びつけを促し、公共性、広域性、事業性を兼ね備えたモデルの構築を支援しているところでございます。
 昨年度の実証実験では、日本初となる鉄道とバスのリアルタイム運行データを用いた経路案内等を実施いたしました。
 今年度は、町田市山崎団地周辺において、このリアルタイム経路検索サービスに加え、有料でのオンデマンド交通サービスの提供や駅周辺商業施設との連携など、機能を拡充して実証実験を実施しております。
 今後、関係局と連携しながら、これまでの実証実験で得られた成果を、交通不便地域対策やスマート東京先行実施エリアの取り組みなどに生かしてまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 再犯防止に関する取り組みと展開等についてでありますが、都は、令和元年に再犯防止推進計画を策定し、関係機関と連携して、さまざまな取り組みを進めております。
 都はこれまで、再犯防止のための相談事業を実施しており、犯罪をした者等からの相談をアセスメントした上で、適切な機関へとつなぐなど必要な支援を行っております。さらに、相談事例を冊子化し、地域に身近な窓口を持つ区市町村に活用していただいております。
 また、支援団体の能力向上や団体間の連携強化等に向けた研修会を開催するなど、さまざまな事業を実施しております。
 引き続き、関係機関と緊密に連携して、犯罪をした者等の個々の事情に応じた的確な支援を実施するとともに、その成果を国等へ確実に伝えてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の就労支援についてでございますが、都は、障害者がみずからの希望や力量に応じた働き方を選択し、生き生きと働ける社会の実現のため、就労支援や福祉事業所への支援に取り組んでおり、就労継続支援B型事業所に対しては、利用者が働くことの喜びや達成感を得られるよう、工賃向上のための取り組みを行っております。
 令和三年度からは、デジタル技術の活用に向けた調査や事業所の課題を踏まえた商品開発等を行うモデル事業を実施する予定であり、今後、効果を検証し、成果を広く情報提供することとしており、工賃向上に取り組む事業所を支援してまいります。
 次に、児童虐待防止のための予防的支援についてでございますが、子供を虐待から守るためには、孤立しがちな家庭を早期に発見し、必要な支援につなげることが重要でございます。
 都は来年度、区市町村が支援の必要な家庭に専門職によるチームを派遣して、リスクやニーズを把握しながら予防的な支援を行うモデル事業を開始し、専門家の助言を得ながら効果検証を行います。
 今後、区市町村や関係機関の職員が予防的支援ができるよう、実践マニュアルや研修プログラムを作成することとしており、虐待の未然防止に向けて着実に取り組んでまいります。
 最後に、事故防止ガイドラインの周知についてでございますが、都は、児童の安全確保等を含めた保育施設の適正な運営を図るため、指導監督を行っており、国が作成した事故防止ガイドラインについては、実地検査で周知をしているところでございます。
 また、保育施設を対象に毎年実施している講習会で、児童の状況に応じた食事の提供や睡眠中の窒息リスクの除去方法などの事故予防のポイントを説明しております。
 来年度は、内容をいつでも確認できるよう、講習会の動画配信を行うこととしており、過去に発生した事故事例や再発防止策などを紹介するとともに、ガイドラインについても引き続き周知してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、再拡大を招かない状況についてでございますが、現在、都内の新規陽性者数は減少傾向にあるものの、医療提供体制の逼迫は長期化しており、予断を許さない状況でございます。今大事なことは、感染の再拡大を招かないよう、ここで新規陽性者数をしっかりと下げ、感染を徹底的に抑え込むことでございます。
 次に、東京都生活応援事業についてでございますが、本事業の目的は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを行う区市町村を支援するものでございます。
 実施に当たりましては、先行事例の紹介や技術的な助言などにより、区市町村の取り組みを促進してまいります。

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