令和三年東京都議会会議録第四号

   午後五時三十分開議
○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十二番山田ひろし君。
〔百十二番山田ひろし君登壇〕

○百十二番(山田ひろし君) コロナ禍が長期化する中、改めて私たちの生活はエッセンシャルワーカーを初めとする多くの皆様のご尽力により成り立っていることを強く認識いたしました。心より感謝申し上げます。
 病床はあっても対応できる人材が不足しているなど、コロナ対策を支えているのは現場の人です。感染拡大に伴い、都立病院、保健所などの医療従事者、さらに警視庁、消防庁の職員も変死への対応や救急活動など感染リスクが高い業務に従事しており、私たちは、そのような職員に対する追加の支援を求めてきました。
 長期化する新型コロナとの闘いで、大きな負担のかかる医療現場における医師、看護師、さらには感染リスクが高い業務に従事する警視庁、消防庁職員に対し、リスクや業務内容に照らした追加の支援が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナの後遺症に関する私たちの代表質問に対し、後遺症に関する詳細な調査を行い、その結果も踏まえて、分かりやすい情報発信の方法などの対応策を検討するとの答弁がありました。
 しかし、私が、後遺症として、長期間にわたり比較的若い方であっても、倦怠感、嗅覚、味覚の障害、脱毛などに悩む方がいるとお話しすると、多くの方が驚かれます。後遺症に関する都民の理解がまだ十分ではないと思われる現状で、そのような取り組みで本当に大丈夫なのか疑問もあります。
 新型コロナの後遺症に関し、引き続き分析を進めるとともに、現在明らかになっている内容について、伝わる広報を徹底すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちは、冬の大幅な感染拡大をあらかじめ想定し、幾度となく特措法等の改正を訴え、対策の実効性を高める独自の条例案の検討も進めてきました。ようやく先日、国の方で法改正がなされました。罰則規定はあくまで最後の手段として位置づけ、慎重な運用を行うべきことは当然ですが、夏、秋の間にしっかりと議論、法改正されていれば、第三波に対しても、より効果的な対応も可能であったと考えられ、国の一連の後手後手の動きは極めて残念です。
 都内の感染状況はいまだ予断を許しません。現在、都は飲食店等に対する営業時間の短縮要請などを実施し、感染拡大を抑え込む取り組みを進めていますが、引き続き都民、事業者のご理解、ご協力を得ながら、地道な取り組みを進めていく必要があります。
 その一つは感染防止徹底宣言ステッカーです。政府の尾身会長からも、ステッカーなどを用いた独自の認証制度の実施、強化が提言されております。私自身、都内でかなり掲示され、浸透している印象も受けており、都が、都民、事業者の皆様とともに感染防止対策を徹底し、コロナを乗り越えるための有効なツールとしてさらに磨き上げていくべきです。
 そこで、現在都が行っている感染防止徹底宣言ステッカーの意義について見解を伺います。
 さて、もう六年ほど前になりますけれども、私は社会人経験を経た後、アメリカに留学いたしました。アメリカ人に限らず、多くの外国人と交流する機会がありましたけれども、率直に感じたのは、世界から見た日本は、今後の成長が見込めず、特に議論する意味がないジャパン・パッシングとでもいうべき状況でした。日本に憧れている、称賛している外国人が極めて多いかのようなテレビ番組もありますが、それは幻想です。
 他方で、アメリカに行って、私は改めて日本、東京の持つ多くのすばらしさにも気づきました。過去の成功モデルにとらわれるのではなく、構造的な問題を冷静に分析し、適切な対策を進めることで、必ず東京、そして日本を前に進めることができます。
 脱却すべきものの一つが、年功序列、終身雇用などの高度経済成長モデルです。現在は多くの物があふれ、ニーズの個別化も進み、製品をつくればつくるだけ売れる時代は終わりました。コモディティー化から抜け出して、破壊的なイノベーションを生み出す一人一人の創造性こそが新たな富を生み出す時代となっています。
 つまり、工場などの物的な資本ではなく、一人一人の人の力を引き出す人的資本への投資こそが、東京の新しい成長を生み出すものであり、リカレント教育はその鍵となるものです。これまでの趣味や教養が中心といったイメージから脱却し、東京の大きな成長戦略の一つと位置づけ、全庁一丸となって強力に進めるべきです。
 リカレント教育の充実に加え、いつでもどこでも学ぶことができる、そしてその学びを生かし、さまざまなことにチャレンジできる環境を都として創出するなど、社会人、高齢者といった幅広い世代にリカレント教育の取り組みを後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 学び直し、スキルアップ支援強化のためには、多面的な取り組みが必要であり、都内企業で働きながらスキルアップを考えている方に対する支援の強化も必要です。
 都立職業能力開発センターで提供されている働く人、在職者のための職業訓練に関し、DX社会の進展を見据えたプログラム内容の見直しやオンライン化を実施すること等により、中小企業における働く人のスキルアップを強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京で働く人の稼ぐ力を向上させる対策の一つが、私が前回の一般質問でも取り上げました副業、兼業です。国の調査でも、副業を実施中の人は一一・六%ですが、副業に関心があるが行っていないという人は五二・二%という高い結果となっています。副業を行っていない理由として、本業の勤務先で副業が許されていない、適当な副業が見つからないなどが挙げられており、企業への働きかけやマッチング機能の強化などが課題です。
 副業、兼業を推進するため、企業と都民、双方への支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、コロナ禍で飛躍的に定着したテレワークですが、最近では、本当はテレワークが可能であっても、会社が消極的で実施できないという声もあります。テレワークになじみやすい業態、企業がある一方で、難しい業態、企業があるのも重々承知しておりますが、女性活躍推進法に基づき、女性活躍に関する企業の取り組みが開示されているといった例も参考にし、テレワークの取り組み状況の開示を促すテレワーク条例の制定も視野に入れるべきと指摘しておきます。
 日本、東京の大きな構造的な問題の一つが少子高齢化です。少子化対策には、子育てに要する総合的な費用負担、特に教育費の議論を避けて通ることはできません。
 例えば、都内の大学の授業料は、国立の文系学部の四年間の学費が二百から三百万円、私立ではその一・五から二倍要することも想定されます。私立の理系の学部、大学院、医学部の場合はさらに上積みも必要です。さらに、都内特有の事情として、望む、望まない双方あると思いますが、私立の中学、高校に通う可能性が相当程度あり、塾代なども合わせると、教育費は子供一人当たり一千万円以上となることもあり得ます。子供が二人以上いる家庭においては、教育費として年間数百万円が継続的に必要となる可能性が生じ、家計への負担は極めて大きくなります。
 このように、当事者目線に立って、総合的、現実的な分析を行い、子育て、教育支援に関して、単なる所得制限に限らず、二人目以降への傾斜的な支援の強化など、常に少子化対策をアップデートしていく必要があります。そのほかにも、幼児教育の質が子供の長期的な成長に肯定的な影響を及ぼすという経済学の知見も示されております。
 都として、最も出生率が低いという都内の事情や最新の知見も踏まえながら、子育て支援の所得制限の是非、二人目、三人目以降への経済的な支援方針、幼児教育の質の向上など、今後の子育て施策の抜本的な方針を定め、展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 最新の経済学の知見では、男性の家事、育児参加など、家庭内におけるジェンダー平等の促進策が少子化対策として有効との指摘があり、都も長期戦略案で、家事、育児関連時間の男女差を半減し、二〇三〇年度に二時間三十分にするという目標を掲げています。
 男性の家庭進出を強く促すためには、社会人になって、そして家庭を持って以降、家事、育児の意義を理解し、取り組むことも重要ですが、より早い段階でのアプローチも効果的です。
 今でも家庭科の授業はありますが、男性も女性も、家庭、仕事の双方で活躍する時代に即した家事、育児教育を促進すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 超高齢社会対策として、地域の医療、介護の体制やコミュニティ、都市構造を持続可能な形に再編していくことが必要です。
 三鷹市の杏林大学病院は、都の災害拠点病院に指定され、都も施設整備の補助などさまざまな協力体制を構築してきました。また、新たに東京都ドクターヘリの基地病院にもなり、都全域の医療提供体制の強化に大きく寄与されています。
 また、杏林大学病院は、認知症疾患医療センターにも位置づけられています。共生と予防の視点に基づく今後の認知症施策を展開するには、認知症のご本人、ご家族への早期集中、伴走型支援を地域で行う核となる認知症疾患医療センターの役割は極めて重要です。
 コロナ禍においても、認知症のご本人、ご家族を支援できるよう、杏林大学病院を初めとした認知症疾患医療センターの機能をしっかりと支えていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍の長期化により、都内保健所の負担は極めて大きくなっています。特に、都が直轄する多摩府中保健所は、所管する地域は三鷹市を初め、人口、面積の双方で大きく、かつ二月四日のモニタリング会議では、その週の保健所別の届け出数で最も多くなるなど感染者の数も多く、その機能強化は極めて重要な課題です。
 都直轄保健所に対し、エリアごとの感染実態を踏まえながら体制を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナの前から町会、自治会の担い手不足は深刻であり、コロナの影響により一層困難となるおそれもあります。また、PTAに関しても、共働きや介護などで忙しい保護者世代の担い手不足は深刻です。持続可能な地域活動のためには、外部の人材を活用しながら、時代の変化に即した運営の効率化への支援が必要です。
 都のプロボノプロジェクトは、その観点から有意義な取り組みであり、私のもとにも、三鷹市内でプロボノを活用した町会から大変有意義であったという声が届いています。しかし、やはり多くの町会、自治会では、外部との交流が少ない傾向があり、まず、外部との交流、協働に関する意識変革を支援していく必要があります。
 町会、自治会が、さまざまな場面で外部人材を積極的に受け入れることができる仕組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 私は、小中高大と大学卒業まで日本の公立学校で英語教育を受けてまいりました。しかし、留学に必要となるTOEFLの試験を受け、また、その後、アメリカで生活し、授業を受ける中で、日本の英語教育がいかに世界基準とかけ離れたものであるか痛感いたしました。私の経験からも、できるだけ多く、質の高い生の英語に触れる機会を増やすことが重要であり、学校の一人一台の端末環境を特に英語の聞く、話す力の育成に活用することが期待されます。
 都教委では、TGGなど国内外のさまざまな機関と協力して、英語の動画教材を制作しているということですけれども、うまく活用されれば、デジタルの力を通じて、幅広い層が質の高い英語学習を可能となります。都内の小中高校、場合によっては大学や社会人に対しても、具体的な利用方法とあわせて動画の活用を促すべきです。さらに、都教委では、来年度、デジタルを活用した英語教育の新たな取り組みを進めると聞いています。
 デジタルをさらに活用し、グローバル人材育成に向けた有意義な英語教育を提供していくべきですが、教育長の見解を伺います。
 最後に、先ほど述べましたとおり、日本、東京には、多くのすばらしい魅力がありますが、残念ながら英語ベースで展開されている世界の人、物、金、情報のスピードに追いつけていない側面があり、東京全体の英語対応力の強化は必要不可欠です。
 新たに示された長期戦略案では、目指す二〇四〇年代の東京の姿として、ビジネスの公用語が英語、グローバルスタンダードのビジネスルールが適用される戦略的ビジネスエリアの形成が掲げられており、これは私のかねてよりの主張と一致するものでございます。
 東京都がこれまで取り組んできた外国人の受け入れ環境の整備に加え、一部企業で実施されている社内での英語の積極的な活用やTGGでの社内研修のさらなる後押しなど、英語対応力の強化に取り組む都内企業への後押しも必要です。また、環境問題など世界的な課題に対応するためにも、都庁の英語対応力の強化も進めていかなければなりません。
 目指すべき姿と現状とのギャップは大きいですけれども、このランゲージバリアが解消されない限りは、東京がアジアナンバーワンの国際金融センターとしての地位を確立することも、世界に誇るスタートアップ都市東京へと進化することも難しいのではないかと考えています。
 外国人の受け入れ環境の整備、都内企業の英語対応力強化への支援、都庁職員の英語研修など、あらゆる手段を用いて、都内の英語対応力を向上させ、外国企業の誘致や国際金融都市構想を加速させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山田ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 都職員の特殊勤務手当についてであります。
 見えざる敵である新型コロナウイルスとの闘いが続く中、医療従事者を初めとする都職員は、都民の命や健康を守るため、日夜奮闘しています。
 現在、都内の新規陽性者数は減少傾向にはございますものの、医療提供体制の逼迫が長期化しているなど、感染症に係る業務の困難性、特殊性が増大をいたしております。
 こうした状況を踏まえまして、民間の医療従事者に対する支援策と同様に、都立病院、保健所等の医療従事者につきましても、一月からの緊急事態宣言以降の手当額を引き上げることとする条例改正案を本定例会に提出をいたしております。
 御会派のご要望も踏まえまして、警視庁、東京消防庁の職員についても、変死事案への対応や救急活動など、感染の危険性の高い業務に従事しておりまして、取り巻く状況の変化は医療従事者と変わらないことから、条例改正に合わせて同様に対応してまいります。
 さまざまな現場の最前線で感染症対策に当たる職員とともに、この危機を乗り越えるため、都庁の総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、リカレント教育の展開についてでございます。
 私は、都市の活力の源泉である人が持てる力を存分に発揮し、生涯を通じて活躍することができる東京を目指しております。
 みずからのスキルや知識を常にアップデートできるリカレント教育は、その実現に向けた重要な基盤でありまして、人生百年時代における都民のクオリティー・オブ・ライフの向上にも資するものであります。
 こうした認識のもとで、情報セキュリティーや起業、創業プログラムなど実践的な学びを提供する取り組みを積極的に展開するとともに、都立大学におけるプレミアム・カレッジの拡充やAI、データサイエンスを学べる社会人向け講座の実施など、プログラムの充実を図ってまいります。
 また、都民の皆様に対しまして、学び直しやキャリアアップのきっかけづくりを行っていくことも重要です。
 そのため、来年度から新たに、経営や金融、ものづくりなどさまざまな分野の教育コンテンツ動画の作成、提供を通じまして、都立大学等での学びや各局が展開する各種施策へ誘導するなど、都民の学び直しなどにつなげるプラットフォームづくりに取り組んでまいります。
 これらの取り組みを通じまして、年齢やキャリアにかかわらず、誰もが新しいことにいつでも挑戦できる環境を整えまして、都市の活力向上や持続的な発展につなげてまいります。
 次に、子供政策についてであります。
 将来への不安や経済的、精神的な負担感に、新型コロナによる影響が加わって、予想を超えるスピードで少子化が進行しております。
 改めて、強い危機感を社会全体で共有し、この問題に正面から向き合い、少子化を克服していく必要がございます。
 こうした決意で、未来の東京戦略では、合計特殊出生率二・〇七を目指す姿に掲げ、子供や子育て世帯に焦点を当てた戦略を最優先課題と位置づけたところであります。
 妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の充実や、家事、育児の負担軽減に向けた取り組み、保育料や教育費の経済的負担の軽減など、子育て世帯に寄り添った政策を多面的、複合的に推進してまいります。
 こうしたさまざまな負担軽減策に加えまして、今年度新たに立ち上げたこども未来会議において、家族ファーストの理念が社会に浸透し、十八時には自宅で家族と過ごすことが徹底されているオランダの事例など、海外の先進事例やエビデンスに基づき、幅広い議論を行っております。
 今後、こうした議論の結果を子供政策に反映してまいります。
 将来に希望を持てない社会に未来はない。夢と希望にあふれる未来の東京の実現に向けまして、重層的な取り組みを展開し、子供を産み育てやすい東京をつくり上げてまいります。
 都市間競争を勝ち抜く英語対応力の強化についてであります。
 世界の都市間競争が熾烈さを増す中、東京が有数の経済金融都市としてプレゼンスを発揮していく上で、世界標準でのビジネス環境の整備が決定的に立ちおくれていると、私は、強い危機感を持っております。
 例えば、日本のTOEIC受験者の国別平均スコアですけれども、年間五百名以上が受験している四十九カ国の中で、日本は四十三位であります。また、アジアの主要国でも下位であるように、英語対応力は大きな課題であります。
 英語がビジネスの公用語として当たり前に使える東京を一日も早く実現するため、揺るぎない信念のもとで、多面的な取り組みを進めていかなければなりません。
 このため、ビジネスコンシェルジュ東京におきまして、ビジネス面から生活面まで幅広く英語で外国企業の相談対応を行うとともに、国家戦略特区を活用して、多言語対応のサービスアパートメントや医療施設、インターナショナルスクールなどの整備促進に取り組んでおります。
 また、TOKYO GLOBAL GATEWAYでは、英語体験型の教育プログラムを提供いたしております。
 今後、多摩にも同様の体験型英語学習施設を整備してまいります。
 さらに、外国企業誘致等の施策に関する都職員の対応力を向上させるため、英語研修も実施をいたしております。
 こうした取り組みを戦略的に展開することで、国際競争を勝ち抜くビジネス環境を整え、世界から選ばれる都市を実現してまいります。
 その他のご質問については、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 家事や育児に関する教育についてでございますが、子供たちが、互いを尊重し、一人一人が個性と能力を発揮しながら生きていくためには、小学校段階から家庭や社会の中での役割を担い、協働することの大切さなどについて、継続的に理解を深めていくことが重要でございます。
 そのため、各学校では、家庭科や道徳などの授業において、よりよい社会や生活の実現に向けて、男女が協力して家庭生活や地域貢献に主体的、協働的にかかわることができるよう、発達段階に応じて指導を行っているところでございます。
 今後、都教育委員会は、都立学校における子育て家庭との交流や育児の体験、仕事と家庭を両立しながら活躍している方による講話等の実施を促し、男女が協働してよりよい社会を築こうとする意識を育む教育の充実を図ってまいります。
 次に、デジタルを活用した英語教育についてでございますが、児童生徒が英語でコミュニケーションする意欲を高め、英語力を伸長させるためには、一人一人の習熟の度合いや興味、関心に応じた学習機会を増やすことが重要でございます。
 このため、来年度、いつでもどこでも生きた英語に触れられるデジタル英語学習空間、東京イングリッシュチャンネルを創設いたします。
 そこでは、小学校低学年から高校段階まで、日常生活の場面を通して英語に親しむものから、アートや最先端研究を学ぶものまで、多様な動画教材を提供してまいります。
 また、都内と海外の生徒が東京イングリッシュチャンネルに集い、国内外の大学の講座を受けるほか、スポーツ、文化、SDGsなどさまざまなテーマについて議論する場を設定いたします。
 これらにより、児童生徒が英語を主体的に学び、使う機会を創出し、英語を使いこなせるグローバル人材を育成してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 新型コロナウイルス感染症の後遺症に関するご質問にお答えをいたします。
 東京iCDCの専門家ボードでは、これまで、新型コロナウイルスに感染した方への聞き取り調査を行い、その結果、若い方でも何らかの後遺症に苦しんでいる方がいることなどが明らかとなりました。
 今後、呼吸困難や味覚障害、嗅覚障害など、この調査で明らかとなった後遺症の具体例や発症後の状況などを盛り込んだリーフレットの作成を直ちに着手し、自宅や宿泊施設で療養される方を初め、区市町村の窓口などで、六月ごろを目途に広く都民に配布するとともに、こうした情報をホームページやSNSで発信してまいります。
 さらに、医療機関と連携しながら、専門家ボードにおいて後遺症を抱える方を対象といたしました、倦怠感や息苦しさ、集中力低下などの症状の有無や継続している期間などについて詳細なオンライン調査を三月から実施するとともに、コロナ対策において大きな役割を担う都立病院などを中心に実態を把握してまいります。
 こうした調査結果なども踏まえ、都民によりわかりやすく伝わるよう、後遺症に関する情報発信の充実を図ってまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 感染防止徹底宣言ステッカーについてでございますが、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図るためには、店舗や事業所等における感染の防止を徹底させていく必要がございます。
 このため、都は、昨年六月に、事業者に業界別ガイドライン等に基づいて適切な感染防止対策を講じていただき、都民が安心して利用できる施設であることをわかりやすく示すため、感染防止徹底宣言ステッカーを導入いたしました。
 このステッカーの取り組みの意義につきまして、新型コロナウイルス感染症対策審議会の委員であるみずほ総合研究所の太田智之委員からは、行動経済学によると、人は無意識のうちに、参照点と呼ばれる何らかの基準をもとに意思決定する傾向がある、感染防止徹底宣言ステッカーは、まさに新たな参照点である、この非常に明確でわかりやすい基準を都民に提示することにより、ステッカーの張ってあるお店しか行かないという行動変容を促す試みであるとのご意見をいただきました。
 ステッカーの取り組みを通じて、事業者はガイドラインを徹底し、感染防止を徹底し、都民はステッカー掲示店舗を選び、ルールに従い、安心して過ごしていただく。事業者と都民の皆様双方のこうした行動変容を促し、新しい日常としてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、在職者のための職業訓練の強化についてですが、労働力人口が減少する中で、中小企業の生産性や競争力の向上を図るためには、従業員のスキルアップを図り、経営を支える人材として育成することが重要でございます。
 このため、都は、職業能力開発センターで、中小企業の従業員に対して、ものづくりや情報分野等において、技能の向上や資格取得に資する多様な訓練を実施しているところでございます。
 来年度は、デジタル技術を活用した加工機や三次元測定機の操作方法を習得する新たな訓練科目を設置するなど、デジタルトランスフォーメーションに対応したものづくり人材の育成の充実を図ってまいります。
 また、IT関連の資格取得講座などの学科科目において、オンラインによる訓練を試行し、受講機会の拡大を図る取り組みを進めるなど、中小企業の従業員のスキルアップを後押ししてまいります。
 次に、副業、兼業についてですが、副業、兼業は、企業にとっては優秀な人材の獲得や流出の防止により競争力の向上につながること、労働者にとっても、新たな経験やスキルを得てキャリアを形成する機会となることから、労使双方にメリットがございます。
 このため、都は、来年度新たに、副業、兼業の人材活用を検討する企業向けに相談窓口を設置するとともに、労働時間管理や健康管理の取り扱いなどを定めた国のガイドラインにつきまして、内容の周知を図るセミナーを開催いたします。
 また、副業、兼業人材を受け入れるための就業規則の整備など、個別の企業に合わせた専門家による助言、コンサルティングを実施いたします。さらに、副業、兼業に関心のある労働者の方々に対して、その実践事例などを紹介するセミナーを実施しまして、普及啓発を図ってまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知症疾患医療センターについてでございますが、都は、都内五十二カ所の医療機関を認知症疾患医療センターに指定し、認知症の診断、治療、本人や家族への相談支援、専門医療を支える人材の育成や地域で認知症の方の支援に携わる関係者のネットワークづくりに取り組んでおります。
 今年度は、コロナ禍において対面での活動が困難であったため、各センターでは、認知症カフェによる支援やかかりつけ医研修等をオンラインで実施するなど工夫しており、都は、こうした事例を全センターに周知するとともに、活動実績を取りまとめております。
 今後、地域の関係機関による会議で、コロナ禍における支援のあり方や課題、対応策等を検討し、これからの取り組みに反映させるなど、認知症施策を推進してまいります。
 次に、多摩地域の都の保健所についてでございますが、都は、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、都保健所が感染症対策の機能を的確に発揮できるよう、庁内各局からの応援職員の配置、会計年度任用職員や人材派遣の活用などにより、体制の強化を図っております。
 来年度は、都保健所の感染症対策業務に従事する保健師の定数を十一名増員し、各保健所に管轄区域の地域特性を考慮して配置することとしており、そのうち多摩府中保健所には最も多い三名を配置する予定でございます。
 今後、今回の感染拡大から終息に至るまでの保健所の取り組みについて検証した上で、改めてそのあり方を検討してまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 町会、自治会活動への外部人材の受け入れについてでございますが、地域コミュニティの中核を担う町会、自治会の多くは、担い手不足等の課題に直面してございます。
 都は現在、企業で培った経験等を生かしたボランティアが町会等を支援いたしますプロボノ事業を実施しております。本事業の利用団体からは、外部の意見を聞き、新たな発想で活動できたとの反響をいただいております。
 こうしたメリットを多くの団体に伝えていくため、来年度からは、区市町村と連携して、地元のボランティアなど外部人材を受け入れやすくし、町会、自治会活動のちょっとした困り事を解決してもらう事業を実施いたします。
 この事業を契機に、町会、自治会のさまざまな課題の解決や新たな担い手の発掘につなげ、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。

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