令和三年東京都議会会議録第四号

○副議長(橘正剛君) 四番龍円あいりさん。
〔四番龍円あいり君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○四番(龍円あいり君) 私は、誰もが仲間であると思えるインクルーシブシティー東京を実現したいのです。そのために、子供時代から変えていくという視点から質疑をいたします。
 スペシャルニーズ、障害のある子もない子も一緒に楽しく安全に遊べるインクルーシブ公園が、去年、都立砧公園の中にみんなのひろばとしてオープンいたしました。
 広場では、車椅子ユーザーの子がスロープつきの遊具に登ったり、円盤状のブランコで揺れたり、体幹が弱い子が背もたれがついた回転遊具で、ほかの子たちと会話をしながら、ぐるぐる楽しむ光景に出会いました。
 また、園内で来園者に話を聞くモニタリング調査をしているのも拝見しました。この調査では、どのような実態が見えてきたのでしょうか。また、そこからの意見を今後の公園整備にどのように生かしていくのか伺います。
 最近、全国各地からこの件で問い合わせを受けることが増えてきました。そこで必ずお伝えしているのが、公園整備によって、その地域にインクルーシブなコミュニティができることがポイントですということです。
 そのためには、スペシャルニーズのある子、ない子、保護者と地域住民で、みんなで遊びたい公園をテーマに話し合ったり、公園が完成した後、運営面での工夫が重要です。
 区市町村がインクルーシブ公園を整備しやすいように、都が新たに策定するガイドラインに、こういったコミュニティを育てる取り組みについても触れていただきたいと思います。
 都は、インクルーシブな公園整備を区市町村に広げていくために、来年度はどのように取り組んでいくのか伺います。
 子供の成長には自然も重要です。ある調査によると、自然体験活動をよりした子の方が、想像力、発想力、探究心などが伸びるそうです。しかし、都内においては、一人当たりの公園面積がまだ不足しています。私の地元の代々木公園は自然豊かなのですが、週末ともなると来園者であふれ、子供と安全に遊べるような状況ではないときもあります。
 そこで、都は、公園や緑地が不足している地域において、新たな緑を創出する取り組みをさらに強力に推進していただきたいと考えますが、見解を伺います。
 また、今ある緑の質を向上させていくことも大切な取り組みです。都内には手を加えることで、より豊かに過ごせる空間になり得る場所がたくさんあります。今後、区市町村への支援をさらに拡充していくことも検討いただくようお願いいたします。
 話は少しそれますが、渋谷区の宮下公園が去年七月にリニューアルされました。渋谷の一等地の商業施設の屋上にビーチバレーが楽しめるサンドコート、スケートボード施設、天然芝がある空中庭園です。
 ここでスポーツ大会開催などのニーズが高まっていて、区としては、それらのスポンサー広告収入が上がることで、公園の管理コストを低減させ、ひいては新たなにぎわい創出など、公園の魅力向上に寄与する可能性に期待を寄せています。
 東京都屋外広告物条例では、公園での看板や張り紙などを規制していますが、こういう新しい公園づくりをしている事例については、柔軟に対応していただきたいと思いますが、都の見解を伺います。
 次は、私が全力で注力しているインクルーシブ教育です。
 学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業について、今年度は豊島区と日野市が研究に取り組んでいますが、研究の実施状況について伺います。また、来年度のこの事業に関して、都教委の取り組みの方向性についても伺います。
 さて、都教委は、公立小中学校の通常の学級にいる発達障害のある児童生徒が、学習する困難さを改善するための指導をする特別支援教室を導入していて、来年度に全ての小中学校で設置が完了すると伺っています。
 特別支援教室を導入することで、より一層分断が進むのではなくて、逆に発達障害のあるお子さんが通常の学級の中で、より生き生きと学び育つことができるインクルーシブな支援につなげる必要があります。
 今後、都教委として、発達障害のある児童生徒への支援体制について、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 続いて、スポーツのインクルーシブです。
 スペシャルニーズのある人が身近な地域で日常的にスポーツを楽しむために、障害者スポーツ指導員を育成し、都立特別支援学校を活用した場や機会を増やす取り組みは大変すばらしいです。
 しかし、スペシャルニーズのある人や団体と支援する人とのマッチングがなかなかスムーズにいかない面がこれまでありました。民間では、トップアスリートと子供をマッチングするドリームコーチングのような好事例となるサービスも登場しています。
 都でも、知識やスキルがさまざまである指導者やボランティアの方々を上手に活用して、スペシャルニーズのある人が、やりたいスポーツに取り組めるような環境をつくってほしいと思います。
 そこで、東京二〇二〇大会を機に、スペシャルニーズのある人がスポーツをより日常的に楽しむために、支える活動により多くの人がかかわり、その活動が活発になるよう、さらに取り組んでいくべきだと考えますが、都は、今後どのように対応していくのか伺います。
 なお、スペシャルニーズのある子供は、スポーツがしたくても、競技によっては特殊な器具が必要で、その使用方法が難しいことがハードルとなることがあります。
 例えば、義足ユーザーが走る際に使用するブレードは、カスタムメードのため高価で調整も難しく、どんどん成長する子供が利用するのは難しいといわれています。
 ところが、先日、パラアスリート用のブレードを開発する団体が、安価なものをつくり、専門家による調整、練習方法まで継続的に支援をするプロジェクトがあることを知りました。子供時代から体育やスポーツに参加することも可能になり、後のクオリティー・オブ・ライフを向上させることにもなるという夢あふれる取り組みです。
 今後、都としても、スポーツをするために必要な器具にアクセスしやすくなるような取り組みを応援したり、進めていただきたいと思います。
 続いて、誰もが移動しやすい取り組みについてです。
 都営地下鉄大江戸線の子育て応援スペースは、電車を利用しにくかった親子連れが安心して移動できる、すばらしいインクルーシブな取り組みです。
 去年の一般質問で、都営地下鉄が乗り入れするほかの鉄道会社とコミュニケーションをとって、東京全域に支援の輪を広げてほしいとお伝えしましたが、おとといの我が会派の代表質問に対して、ことしの夏以降に都営地下鉄のほかの路線にも順次拡大していくとの答弁があり、大変うれしく思います。
 さて、子育て世代として、今後どんなキャラクターがスペースに登場するのか気になります。よりインクルーシブな観点から、違いがあるお子さんも電車を利用することがあるということが自然とわかるようなデザインも取り入れてほしいです。
 そこで、本格導入に向けて、よりインクルーシブな視点で、さまざまな親子連れが安心して利用でき、周囲の乗客も温かく見守れるようなデザインを増やすべきだと思いますが、都の見解を伺います。
 次に、母子手帳です。
 スペシャルニーズのある子の親は、母子手帳で傷つくことがあり、ダウン症向けのしあわせのたねなど、違いやニーズに合わせた民間が作成する手帳を活用すること、都の子供手帳モデルの改良をすることを提案し、検討すると答弁をいただきました。
 普通の発達とは違う子供たちも、ひとしくその成長が祝福される取り組みをさらに進めていただきたいと思います。その後の都の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、医療的ケア児と災害についてです。
 十三日の深夜に東北で強い地震があり、一部地域で停電がありました。その後、医療的ケア児の保護者らから、停電の場合、人工呼吸器が停止してしまうかもしれないという深刻な不安があるとの相談を受けました。蓄電池や発電機は非常に高価なため、なかなか家庭で用意するのが難しいとのことです。
 そこで、都では、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児にどういった支援をしているのか伺います。
 なお、発電機については、ガソリンを使用するものだと火災などの不安があるため、保護者らからは、蓄電池の支援があるとありがたいという声がありましたので、ここでお伝えさせていただきます。
 次は、スペシャルニーズのある子供が学校に行くと、保護者が働くことが難しくなる問題についてです。
 世間では小一の壁といいますが、スペシャルニーズの場合だと、小一の断崖絶壁という感じです。まさに我が家も小一で、毎日が綱渡りです。
 周りにヒアリングしてみると、障害種別にかかわらず、全ての親がこの問題に直面していることがわかりました。
 その現状を踏まえ、去年、我が会派の代表質問で、この件について質問をしました。都知事はその後、特に難しい状況にある医療的ケア児の保護者らとも面談をし、仕事を続けることが厳しい現状を強く感じたと話し、支援策について検討を続けてこられました。
 そこで、医療的ケア児を含む全てのスペシャルニーズのある児童生徒の保護者が、子育てと仕事を両立し、安心して働き続けることができる社会の実現に向けて、就学後の支援についてどう取り組んでいくのか、都の取り組みをお伺いいたします。
 社会的養護のもとに育つ子供たちも、インクルーシブシティーの仲間です。
 日本では、二〇一六年に法改正され、子供が権利の主体であることが認められましたが、これまで社会的養護では個人情報の保護や親権が圧倒的に強く、時には子供の最善の利益が侵害されていることが指摘されました。ですので、アドボケート制度が都で導入されるのは非常に重要なことです。
 この制度は、純粋に子供のみに寄り添い、気持ちと考えを踏まえた意見表明をする支援ですので、子供が本当に利用しやすいものでないといけません。
 制度をつくる過程に、必ず社会的養護出身の若者らを交えていただきたいと思いますが、子供のアドボケートの仕組みを構築するために、今後の取り組みについて伺います。
 さて、最近、日本各地の社会的養護にあるお子さんたちと会話する機会があり、自立することの困難さを知りました。
 その中で、すぐにでも改善すべきだと感じたのが、ネット環境です。施設によってかなり格差があるようなんですが、国内には子供がオンラインにアクセスすることが全くできない児童養護施設もあるようです。それでいて、退所すると、あとはネットで調べてねと放り出されるのは酷なことです。
 東京は、未来の東京戦略に、デジタルデバイド、情報格差で取り残さない社会をつくることが示されています。
 都の児童養護施設にいるお子さんたちが、日常的にインターネットを利用し、ネットリテラシーを身につけて、自立に向けて情報社会を生き抜くことができる支援をしていくべきだと考えます。
 あわせて、コロナ禍で、オンラインへアクセスする必要性も増しています。都の見解を伺います。
 最後に、都では、人権尊重条例が施行され、性的マイノリティーの方々の困り事を解消する動きが進められていますが、それでもなお多くの当事者の子供や若者は、未来が見えない、私はこの世に存在していないことになっていると絶望しているというのです。
 同性のパートナー関係にある二人がファミリーとして社会生活をするという道が塞がれているため、将来がイメージできず、死を意識するようになるのだと聞きました。
 全国的に広がりを見せているパートナーシップ制度は、法的な効力はないものの、パートナーとファミリーとして社会参画することが可能になり、自分らしい人生を歩む道が未来へとつながっていると希望が持てて、生きてていいんだと勇気づけられるそうです。
 パートナーシップ制度は、婚姻制度にかわるものでもなく、補うものでもなく、性的マイノリティー当事者の命と心を守る制度です。
 都は来年度、大規模な実態調査をすることにしていますが、あわせて、パートナーシップ制度の創設について検討を進めるようお願いいたします。
 最後に、性的マイノリティーの方々も含めて全ての都民の命と心を守ることは都の責務だと考えますが、都知事の見解をお伺いいたします。
 未来の東京が、誰もが大切な仲間として輝くインクルーシブシティーとなるよう願って、質疑を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 龍円あいり議員の一般質問にお答えいたします。
 性的マイノリティーの方々への支援についてであります。
 性的マイノリティーの方々の多くは、誰にも相談できず、一人で悩みを抱えており、さらに、周囲の無関心、無理解、偏見などの中で、学校、職場などさまざまな場面で困難に直面していると認識いたしております。
 そのため、都におきましては、専門電話相談や当事者同士が安心して集える交流の場の提供など、声を上げられずに悩む当事者に寄り添う取り組みを進めてまいりました。
 さらに、民間企業等の社員を対象とした研修や、都民が理解を深めるための啓発冊子の配布など、さまざまな方法によりまして、多様な性のあり方を尊重し合う風土の醸成を図っております。
 こうした取り組みを通じまして、当事者がみずからの性のあり方や生き方に迷い悩むことなく、自分らしく生きることができ、誰もが輝ける社会を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業についてでございますが、共生社会の実現には、障害の有無にかかわらず互いの違いを認め合い、相互理解を深める教育が重要でございます。
 そこで、都教育委員会は、豊島区と日野市の協力を得まして、交流及び共同学習を活発化するため、特別支援学級の子供が通常の学級で一緒に学ぶ際の目標設定や指導、評価方法の研究、また、特別支援学校と小中学校とのオンラインによる日常的な交流のあり方についての研究を進めているところでございます。
 来年度は、これらの研究に引き続き取り組みますとともに、新たに都内全区市町村を対象に交流及び共同学習の実態調査を行い、インクルーシブな教育のあり方について検討を深めてまいります。
 次に、発達障害のある子供への小中学校での支援体制についてでございますが、都教育委員会は、通常の学級に在籍する発達障害のある子供たちが学校生活を有意義に過ごせるよう、全ての公立小中学校に特別支援教室を設置することとし、障害に起因する学習上の困難等の改善に向け、個々の教育的ニーズに応じた指導を行っております。
 特別支援教室の仕組みが本年四月に全校で整いますことから、今後は、特別支援教室で学んだ成果を在籍学級で発揮できるよう、子供たちへの支援を手厚くする必要がございます。
 このため、来年度から、全ての公立小中学校を対象に、特別支援教室と連携しながら、在籍学級で子供たちに寄り添って適時適切にサポートする人材の配置促進事業を開始することといたしました。
 こうした取り組みにより、発達障害のある子供たちの学びを支えてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな緑を創出する取り組みについてでございます。
 公園などの緑は、都民の快適な暮らしや都市の魅力を高めるほか、防災の面からも大きな役割を果たすことから、公園や緑地の整備による緑の創出は重要でございます。
 未来の東京戦略案におきまして、区や市町への新たな支援策をお示しいたしました。
 具体的には、昨年度創設いたしました緑あふれる東京基金を活用いたしまして、特に緊急の対応が求められる東京の緑が直面する課題の解決につながる事業につきまして、支援することといたしました。
 来年度から、身近な公園が不足する地域の解消や、貴重な自然を保全する広域的な緑のネットワークの確保等を行う区市町への支援を開始いたします。
 こうした取り組みによりまして、区市町とともに、公園緑地の整備を加速させまして、ゆとりと潤いのある東京の実現を図ってまいります。
 次に、屋外広告物条例についてでございます。
 道路や公園区域でありましても、地域の活性化やにぎわいの創出、スポーツ振興の機運醸成に寄与する広告物の掲出などにつきましては、条例の柔軟な運用を図っております。
 例えば、企業名が入りました営利目的の広告でも、その広告料収入を環境美化や行政情報の発信など、公益的な取り組みに充当するものにつきましては、条例に基づき、良質なデザインや安全性を確保することなどを条件に特例許可を行うことによりまして、広告禁止区域等での掲出を認めております。
 宮下公園内での広告掲出につきましても、具体の案件を見ながら、渋谷区と協議の上、特例許可などの活用を通じて、地域の魅力向上につなげてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、モニタリング調査を受けたインクルーシブな公園の取り組みについてでございますが、昨年の三月にオープンした砧公園の遊具広場は、障害の有無にかかわらず、多くの子供たちに利用されております。
 利用者の親を対象に、半年後に実施したモニタリング調査では、この遊具広場ができたことを喜ぶ声や、子供たち同士の交流が深まったとの声が寄せられております。
 一方、誰もが遊べる遊具広場であることが知られていないことや、けがをすることへの不安、遊具の種類や使い方などに関する意見がございました。
 都は引き続き、モニタリング調査等を実施いたしまして、こうした利用者の意見を生かしながら、公園の新規整備や遊具広場の改修の機会を捉えて、誰もが楽しめる遊具広場の整備を推進してまいります。
 次に、インクルーシブな公園を区市町村にも広げていくための取り組みについてでございますが、区市町村が管理する身近な公園におきましても、誰もが安心して楽しめる遊具広場を整備していくことは重要でございます。
 このため、都は現在、整備や管理運営の際に留意すべき項目や、国内外の最新の事例等を取りまとめたガイドラインを作成しておりまして、令和三年度に区市町村に提供いたします。あわせて、新規整備や改修に要する費用の補助を開始し、遊具広場の整備を促進いたします。
 ガイドラインには、地域コミュニティなどが設計段階から参画している整備の事例や、利用者の意見等を反映させるなど、内容の充実を図ってまいります。
 今後、区市町村との一層の連携を図りながら、インクルーシブシティー東京の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 障害者スポーツを支える人材についてでありますが、東京二〇二〇パラリンピックを契機として、障害者スポーツを社会に定着させていくためには、より多くの方に、支える活動に参加していただくことも重要であります。
 そのため、都は、ボランティア希望者に対する活動機会の周知のため、これまでの募集情報誌にかえて、タイムリーに、より多くの情報を配信できるシステムを来月の稼働に向けて構築しております。
 来年度は、さらにこのシステムを活用し、障害特性に応じた支援方法などが学べるeラーニング研修等を実施いたします。また、システムに登録された方に活動希望内容等を丁寧に伺い、具体的な活動先とのマッチングを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、より多くの方が障害者スポーツを支える活動を行えるよう環境を整備してまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 子育て応援スペースに関するご質問にお答えいたします。
 子育て応援スペースの導入拡大に当たりましては、装飾デザインに、より工夫を凝らすことが必要であると考えてございます。
 昨年実施したアンケートでも、現在のデザインに対して、子供が親しみやすい、周囲の人にもわかりやすいなど好意的なご意見が多くあったほか、子供連れ以外の方にも配慮すべきなどのご意見もございました。
 これらの貴重なご意見等を踏まえまして、子育て応援スペースの取り組みが、より多くの方々に身近なものとして親しまれるよう、現在のデザインに加えさまざまな装飾デザインを採用してまいります。
 こうした取り組みを通じ、小さなお子様連れのお客様が安心して気兼ねなく都営地下鉄を利用できる環境づくりを進め、社会全体で子育てを応援する機運の醸成に寄与してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供手帳モデルについてでございますが、都は、平成二十九年度に母子健康手帳をもとに、低出生体重児等に対応する成長の記録や発育曲線、学齢児にも対応する記録欄等を盛り込んだ独自の子供手帳モデルを作成いたしました。
 今年度、一人一人の子供の状況に応じた発達状況等を記録できるよう、ゼロ歳から六歳までの成長、健康の状況を自由に記録できるページを新たに設けるとともに、成長、発育に不安がある場合の相談窓口や関係機関の情報を充実させる予定でございます。
 今後とも、このモデルを活用した母子健康手帳やアプリなどの作成、お話の子育て手帳、しあわせのたねの活用など、さまざまなニーズに応える区市町村の取り組みを財政面で支援してまいります。
 次に、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児の安全確保についてでございますが、災害発生時の停電は、在宅で人工呼吸器を使用している患者にとって生命の危機に直結することから、災害時に備えた非常用の電源確保は不可欠でございます。
 このため、都は、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児などの患者に対し、自家発電装置等を無償で貸与、給付する区市町村を包括補助で支援するとともに、補助事業の説明会でその活用を促してございます。
 今後、台風や大雪等で被災した他の道府県等から、実際に生じた課題などを収集し、都内の自治体に提供して意見交換を行うなど、より多くの区市町村で停電への備えが進むよう働きかけてまいります。
 次に、障害児の放課後等支援についてでございますが、医療的ケア児等が放課後などに安心して過ごせる場を確保するため、都は来年度から、区市町村に対して新たな支援を開始いたします。
 具体的には、放課後等デイサービスや日中一時支援、学童クラブで、医療的ケア児や重症心身障害児等の受け入れを促進するため、看護師などの専門職の手厚い配置や保護者の送迎負担の軽減、開所時間の延長など、区市町村の実情に応じた取り組みに対し、財政面で支援いたします。
 今後、区市町村担当者に対する説明会などを通じて、参考となる取り組み事例を共有するとともに、積極的な事業の活用を働きかけ、障害児の日中の居場所づくりや保護者の就労継続に資するさまざまな取り組みを推進してまいります。
 次に、子供アドボケートについてでございますが、子供の意見表明を支援し、必要に応じてその意向を適切に代弁する子供アドボケートは、子供の権利擁護をより一層推進する観点から重要な取り組みでございます。
 現在、国は、子供の意見表明を支援する仕組みのあり方などを検討するため、ワーキングチームを設置し、子供アドボケートの役割や求められる資質、要件などについて議論しております。
 都は、こうした国の動向を踏まえ、その導入に向け、来年度、学識経験者や弁護士などの専門家等で構成する検討委員会を立ち上げます。
 委員会では、児童養護施設退所者などからも意見を聞きながら、子供がみずから意見を表明する機会の確保方法や、子供アドボケートの養成方法などについて具体的な検討を進めてまいります。
 最後に、児童養護施設入所児童等のインターネット利用についてでございますが、都はこれまで、児童の学習環境などを整えるため、施設に対してパソコン等の購入を支援しており、コロナ禍においては、オンライン学習に必要なタブレット端末等の購入やWi-Fi環境の整備を支援しております。
 また、退所後の自立支援を図るため、民間団体と連携して、社会に出て自立する際に必要な知識や心がけを学ぶソーシャルスキルトレーニングを実施しており、その中でSNSなどのリスクや安全な使い方に関するセミナーなど、インターネットリテラシーの啓発にも取り組んでおります。
 今後とも、児童養護施設入所児童等が退所後、適切にインターネットを利用できるよう支援してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時七分休憩

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