令和三年東京都議会会議録第四号

○議長(石川良一君) 八十八番桐山ひとみさん。
〔八十八番桐山ひとみ君登壇〕

○八十八番(桐山ひとみ君) 近年、記録的な豪雨により水害が全国で多発し、東京でも、令和元年の台風十九号では多摩地域を中心に深刻な被害が発生しました。
 二月に公表した未来の東京戦略案において、台風、豪雨へのハード、ソフトの備えをさらに高める取り組みとして、護岸や調節池を位置づけ、西東京市を流れる石神井川の上流部では、今年度、貯留量約三十万立方メートルとなる新たな調節池を事業化することを昨年の第一回定例会の一般質問で確認をさせていただき、現在、基本設計を進めております。
 こうしたハード整備対策に加え、地元からは、河川監視カメラの設置要望もあり、その充実など、ソフト対策をあわせて実施していくことが重要です。
 そこで、石神井川上流部における豪雨対策の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 水害対策として、下水道事業における雨水浸水対策も急務な課題です。
 西東京市ではこれまで、一定規模以上の宅地開発時に開発区域内に雨水浸透施設等の整備を義務づけ、また、平成二十九年度に白子川上流六号雨水幹線の一部を整備等により、雨水貯留施設を整備するなど、浸水対策を行ってきています。
 しかし、その後も、白子川支川では、台風接近時や集中豪雨時に支川周辺では道路冠水がたびたび発生しているため、西東京市では、白子川上流六号雨水幹線未整備区間の整備検討を進めており、下流の接続先である白子川一号幹線の事業化に対して、周辺住民から大きな期待を寄せています。
 その白子川一号幹線は、都市計画道路放射七号線の道路整備に合わせ、地下に東京都が施工するトンネル工法による整備が予定されており、整備に必要な発進立て坑や到達立て坑の位置などの検討が行われておりますが、他方で、都市計画道路の土地収用の進捗を見ながら進めるとも聞いており、着工が遅れるのではないかとの地元の心配の声も上がっております。
 災害は待ったなしであり、下水道工事を先行する手法として、都市計画道路予定地の土地所有者や土地使用者から工事承諾をいただき、地下で深く掘る下水道を先行して整備することも可能ではないかと考えます。都の白子川一号幹線の取り組み状況についてお伺いいたします。
 私は、議員生活二十二年の間、健康づくりと予防対策は自治体の責務であると申し上げ、提案し続けております。
 予防対策では、各種検診事業への受診率の向上や、生活習慣病、フレイルや認知症対策など、運動、栄養、休養といったバランスのよい生活習慣の必要性や、健康に対する動機的支援など、住民の健康意識を高め、参加しやすいきっかけや環境を整えることが重要だと訴えてきております。まさにヘルスプロモーションの考え方です。
 しかし、コロナ禍においても断続的に各区市町村のイベントや健康スポーツ事業は軒並みストップしている現状があり、特に高齢者や障害をお持ちの方々の運動不足は深刻な問題です。
 我が会派は、一昨日の代表質問で、介護予防、フレイル予防活動支援について質疑を行い、令和三年度はオンラインツールを活用した支援等、対面、非対面双方にて感染対策を講じ、活動する区市町村に対して支援が行われるとの答弁をいただきました。
 今後、感染予防対策を徹底することを前提に、創意工夫し、EIM、運動は薬という考え方に基づいた対策ができるよう、都は積極的に後押しをすべきと考えます。
 例えば、オリンピックの機運醸成のための、みんなでラジオ体操プロジェクトの取り組みのように、知事が先頭に立って、いつでも、どこでも、誰でもできるラジオ体操を積極的に推進していくなど、知事が前面に立ってはいただけませんでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、都民の運動不足が懸念されることから、その解消に向けた取り組みが重要であり、知事の強いメッセージが必要だと考えます。知事の見解を伺います。
 知事は、待機児童対策を最重要課題として捉え、これまで課題だった認可と認可外、認証保育の保育料の価格是正に伴う支援を初め、保育士の家賃補助やキャリアアップなど、多様な保育への支援策を講じ、着実に待機児童が減少してきております。
 私は三人の子供がいるのですが、市議会議員中に妊娠、出産、子育てを経験し、生後三カ月から認証保育所に預け、夜間まで続く議会時にも延長保育が大変ありがたく、さまざまな面で助けていただきました。
 認証保育所は、東京都独自の認証保育所制度としてスタートしてから二十年経過し、二十年前は認可保育園の待機児童の補完する役割として、事業所が増加をしてきました。しかし、現状では、待機児童対策が進んでいけばいくほど認証保育所の定員割れや経営難などさまざまな弊害も顕在化をしております。
 我が会派は、待機児童対策を持続的なものとするために、認証保育所制度について、定員見合いの職員配置を廃止し、在籍見合いでの職員配置等、制度の見直しと運用面の弾力化などをこれまで要望してきております。
 そこで、在籍児童数が年度前半から後半にかけて増えていく状況を踏まえ、認証保育所制度について、信頼を確保しつつ事業者が柔軟に施設を運営できるよう見直しを検討すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 現在では、がんは治る病気といわれるようになり、小児、AYA世代の十年相対生存率は平均約五割といわれています。
 がん患者は、告知から治療まで、限られた時間の中で多くの選択をこなさなければなりません。特に小児、AYA世代は、社会経験や周囲の方の闘病経験もなく、無知のまま自分の将来に絶望して、現実を受け入れるのに多くの時間がかかります。
 治療によっては卵巣や精巣への影響などにより、子供を持つことが困難になる場合もあり、がんと診断された女性のQOLの向上、維持を考える中で、妊孕性の温存治療は重要です。しかし、卵子や精子の凍結保存に係る費用、保管料にその更新料、がん治療が終了した際の妊娠のための費用などは保険適用外で、高額な患者負担となるため、自治体や国でのサポートが必要です。
 我が会派は、平成三十年十一月、厚生事務事業質疑、平成三十一年第一回定例会、私の一般質問、そして令和元年第三回定例会代表質問にて、AYA世代のがんに対する妊孕性温存について、他の自治体での支援の実態調査を行い、AYA世代のがん患者が必要な治療と支援が受けられる体制として、生殖機能温存の助成を検討すべきと質問し、強く要望してきております。
 そこで、AYA世代のがん患者が将来子供を持つことに希望を持ってがん治療に取り組めるよう、生殖機能温存助成の支援をしていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。
 都は、プラスチック削減プログラムで、二〇三〇年までに家庭や大規模オフィスビルから排出される廃プラスチックの焼却量を四〇%削減する目標を設定していますが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が一月八日から再び発出され、家庭で過ごす時間が増える中、本年一月における家庭から排出されるごみ量は、東京二十三区では昨年と比べて一割近く増加をしております。また、飲食店のテークアウト容器等、使い捨てプラスチックが大変多く利用されております。
 国は、昨年来、プラスチックの資源循環に関する施策の議論を進めてきており、本年一月、審議会から意見具申を受けて、近々新法を国会に提出すると聞いております。
 報道によれば、現在のプラスチック製容器包装に加え、バケツやおもちゃなど、いわゆる製品プラスチックについても区市町村が一括回収し、リサイクルすることが示されているとのことです。
 しかし、都内では、現在、製品プラスチックの分別収集を行っている自治体はごく少数にとどまり、また、プラ製容器包装についても、区部では十一、市部では三自治体が分別収集の対象をペットボトルや白色トレーなどの一部に限定しています。
 我が会派は、繰り返しプラ製容器包装の再資源化について質疑で取り上げてきましたが、今後、テレワークの普及など、新しい日常の定着が進む中で、ごみを出さないためのリデュース、リユースの取り組みが脱炭素の観点からも一層重要です。
 また、飲食、小売店においては、リユース容器による商品提供や、容器包装をそもそも利用しないはかり売りによる販売、シェアリングなど、リユース革命と呼ばれる新たなビジネスが創出されており、その普及に向けて、都としてもより多くの都民に利用を働きかけていく必要があります。
 また、リデュース、リユースを徹底した上で、それでも使用されるプラスチックについては、着実にリサイクルしていくことが重要です。
 都は、事業者のリユースの取り組み事例を広く都民に周知するなど、普及啓発を図り、リデュース、リユースのさらなる促進を図ることが重要と考えますが、見解を伺います。
 また、都は、国の動きを注視しながら、都内の基礎自治体に対して、今年度開始した分別収集の実施等にかかわる補助制度をてことして、全ての容器包装プラスチックの分別収集を実施するよう強く働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇組織委員会森喜朗前会長の女性蔑視発言を受け、国内外から多くの批判や反響があり、オリンピック憲章に抵触をしている、アジェンダ二〇二〇に反している、日本はインクルージョン、多様性、ジェンダー平等に対して社会全体の認識が甘く、環境さえも整っていないかのように報じられたことは残念でなりません。
 東京都もオリンピック開催都市として注目をされ、抗議の電話やメールなどを受けたことも承知をしております。
 知事は、昨年の入江のぶこ議員の一般質問に対して、人権尊重都市東京の実現のためには、一人一人の多様性が尊重されるダイバーシティーの実現が重要であると答弁をされております。
 そこで、コロナ禍で開催意義が問われている今のような機会にこそ、東京都として、なぜオリンピック・パラリンピックを開催するのか、特に東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定している東京都として、あらゆる人権侵害、不当な差別を許さないとの姿勢を国内外に改めて明確にし、東京に集う多様な人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重されるよう、誰もが認め合う共生社会を実現するなど、人権尊重の理念のメッセージを強く発していくべきと考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 コロナ禍での運動不足解消に向けた支援についてでございます。
 私は、誰もがいつまでも自分らしく健康で生き生きと過ごせる東京の実現を目指しまして、都民一人一人に運動習慣の定着を呼びかけてまいりました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛等によりまして、都民の皆様の体を動かす機会が減少し、健康の維持に影響が及ぶことも危惧をいたしております。
 こうした状況下でも、都民の皆さんがみずから健康づくりに取り組めますよう、都は、区市町村が作成したウオーキングマップの紹介などを行うポータルサイトで、みずからの体調をチェックした上で、周囲の人と十分な距離をあけるなど、ウオーキングの際の感染予防対策をお示しいたしております。
 来月には、このサイトの情報やウオーキングの効果などを紹介する動画を作成しまして、駅や街頭、東京動画などさまざまな場で展開をいたしてまいります。
 コロナ禍におきましても、必要な感染症対策を講じた上で、身近な地域で適度な運動を楽しんでいただくよう、お話にありましたEIM、エクササイズ・イズ・メディシン、すなわち運動は薬という考え方を発信してまいります。
 その他のご質問につきましては、関係局長からご答弁いたします。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 石神井川上流部における豪雨対策についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池の整備などのハード対策に加え、住民の迅速な避難につながるソフト対策を進めることが重要でございます。
 令和三年度は、ハード対策として、都立東伏見公園の整備と一体的に進めている護岸工事に加えまして、新たに事業化した調節池の基本設計において、工法や構造の比較検討などを進めますとともに、それを踏まえた関係機関との協議、調整等を本格化してまいります。
 また、ソフト対策としては、河川監視カメラにつきまして、ことしの本格的な台風シーズン前までに、向台運動場及び柳沢橋付近の二カ所に設置し、画像を公開する予定でございます。
 水害に強いセーフシティーの実現に向け、ハード、ソフト両面から豪雨対策を推進してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 白子川一号幹線の取り組み状況についてでございますが、下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、地区を重点化し、幹線などの施設整備を進めており、白子川一号幹線は、西東京市の浸水被害を軽減するために重要な幹線でございます。
 この幹線は、西東京市と練馬区にまたがる都市計画道路下に整備し、雨水を白子川へ放流するものでございます。
 整備に当たりましては、都市計画道路の進捗状況に合わせるとともに、ルート沿いに大規模な工事用地が必要となることから、現在、関係者との協議を進めているところでございます。
 今後は、工事用地等の確保に合わせ、実施設計等を速やかに進め、早期の工事着手を目指してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、認証保育所についてでございますが、大都市特有の保育ニーズに対応する認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つでございます。
 来年度からは、事業者の創意工夫を生かした、より柔軟な施設運営が行えるよう制度を改正し、定員数ではなく在籍児童数に応じた保育従事職員の配置を可能といたします。
 そのうち、常勤の保育士等については、保育の質を確保するため、引き続き、定員数に応じて必要となる職員の六割以上の配置を求めることといたします。
 また、定員数に満たない保育所でも、利用の申し込みがあれば、利用開始希望日に合わせて職員の配置基準を満たした上で、定員数までは確実に受け入れ、利用者のニーズに的確に対応していくことといたします。
 今後とも、区市町村と連携しながら認証保育所の取り組みを支援してまいります。
 次に、AYA世代のがん患者への支援についてでございますが、思春期や若年成人のAYA世代のがん患者が、将来、子供を持つことに希望を持ってがん治療に取り組めるよう、生殖機能温存治療に係る環境を整備するため、都はこれまで、都内の医療機関や患者、家族への調査や、他の自治体への調査を行い、支援策を検討してまいりました。
 この結果を踏まえ、来年度から、生殖機能温存治療に加え、受精卵や卵子などの凍結期間の更新、妊娠のための治療までを一体的に支援する都独自の助成制度を開始いたします。
 さらに、患者や家族が生殖機能温存治療やがん治療への影響等について正しく理解し、適切な判断ができるよう、意思決定支援の取り組みを実施するなど、AYA世代のがん患者への支援を充実させてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、プラスチック削減に向けた普及啓発についてでございますが、新型コロナウイルスの影響によりプラスチックの排出実態が変化する中、使い捨て製品のリデュースやリユース容器等の利用拡大を促すことが一層重要でございます。
 都は今年度、大規模ビルや百貨店と連携し、飲食店等のテークアウト容器をリターナブル化し、使い捨てプラスチックの削減を図る取り組みなど、新たなビジネスの構築を支援してございます。
 また、環境学習に活用できるウエブ動画を制作いたしまして、区市町村や学校と連携して、広く普及啓発に取り組んでございます。
 今後、国内外のリユースビジネス等の最新動向に関する多国間セミナーを開催し、脱使い捨てに向けたビジネスの創出を後押しするとともに、こうした先進企業や区市町村の好事例を収集し、広く発信するなど、リデュース、リユースを基調とした生活様式への変革を促してまいります。
 次に、プラスチックのリサイクルについてでございますが、地球規模の環境、資源制約のもと、使用が避けられないものは、より高度な循環利用を目指すことが重要でございます。
 都は今年度、区市町村によるプラスチック製容器包装の分別収集開始等への支援制度を立ち上げまして、分別収集未実施の自治体に対して、制度の活用を強力に働きかけてまいりました。
 これまでのヒアリングでは、分別収集未実施の二自治体が令和四年度までの開始を予定してございまして、その他ほとんどの自治体も実施に向けた検討を行うとしてございます。
 今後、国が示すプラスチック製の容器包装と製品の一括回収、リサイクルの実施に向けた課題の把握等に努めるとともに、新型コロナウイルスの影響も注視しながら、こうした区市町村の動きをしっかりと後押しし、プラスチックのさらなる資源循環に取り組んでまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 東京二〇二〇大会に向けた人権尊重の理念の発信についてでございますが、多様性が尊重され、誰もが活躍する都市となるためには、性別、障害、国籍など、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくことが重要でございます。
 このため、都は、人権尊重条例を制定し、東京二〇二〇大会に向けたシンポジウムを開催するなど、人権意識の醸成に、より一層取り組んでまいりました。
 今年度からは、人権プラザにおきまして、新たに体験、交流型の展示を始めるなど、創意工夫を凝らした手法により、効果的な啓発を展開してございます。
 多様性と人権尊重の理念を社会に一層根づかせ、これをレガシーとして、人が輝く東京を実現してまいります。

ページ先頭に戻る