令和三年東京都議会会議録第四号

   午後三時三十五分開議
○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十三番林あきひろ君。
〔十三番林あきひろ君登壇〕

○十三番(林あきひろ君) 初めに、都市基盤整備について、東京外かく環状道路工事現場付近での陥没、空洞確認を受けて伺います。
 このことについては、地元調布市議会では、昨年十二月、早期の原因究明、再発防止策の説明、地域住民に対してのきめ細やかな相談体制の整備などを要望する決議が満場一致で可決されています。
 今月十二日の有識者委員会において、調査結果、再発防止対策の基本方針、沿線にお住まいの方への対応等が示されましたが、地域にお住まいの方々からは不安の声が数多く聞こえてきます。
 事業者であるNEXCO東日本は因果関係を認めているとはいえ、住民の不安払拭のためには、家屋の損傷等への補償など、住民に対するより丁寧な対応が何より重要と考えますが、事業者の対応状況と都の見解を伺います。
 次に、家屋の損傷に関連することですが、今月九日、調布市を流れる都管理の入間川分水路において、軽微ながらも管渠に損傷が確認されたことを都が公表いたしました。
 この施設は、平成十七年九月の豪雨による浸水被害が発生したことを受けて、平成二十五年に完成したもので、地域を浸水から守る重要な治水施設であります。
 公表された資料によりますと、その損傷は直ちに機能への影響はないとのことですが、地表面陥没箇所に近いこともあり、その原因が大変気になるところであります。
 地域の安全・安心の確保ということを大前提として、周辺家屋の補償はもちろんのことですが、重要な治水施設である入間川分水路の損傷についても、従前の状態に修復することが必要と考えますが、都の見解を伺うものであります。
 また、今回の件を教訓に、今後、工事について何よりも大切な安全を第一に行っていくことが求められるわけですが、どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺うものであります。
 防災対策について伺います。
 東日本に広く甚大な被害をもたらした昨年の台風十九号は、多摩川が増水したことに伴い、調布、狛江両市管理の樋管の排水不良及び河川からの逆流等で、周辺は浸水被害を受けました。都の管理する野川では、増強工事中とはいえ、大沢調節池が多くの水を取水したことなどもあり、河川からの溢水を防ぐことができました。これまでの整備効果があらわれたことと評価をいたします。
 一方で、平成十七年九月の豪雨においては、野川流域のほぼ全体を覆うように、時間五十ミリを上回る雨が原因で大きな浸水被害が発生しており、現在、野川流域で進めている時間六十五ミリ対応とするための河川や調節池の整備などの豪雨対策は、これまでに増して非常に重要な取り組みであります。調布、狛江両市の豪雨対策への協力とあわせて、これまで以上に防災対策を講じていただくよう強く要望いたします。
 そこで伺いますが、今申し上げた野川とその北東部を流れます仙川の整備に関する取り組み状況について伺います。
 新型コロナ感染症対策について伺います。
 昨年秋に第三波といわれる感染の波が来る中で、果たして都と国の連携はどこまで図られていたのでしょうか。事実関係からお尋ねしますが、都として、政府のたび重なる時短要請に対して応じなかったこと、十二月の新型コロナウイルス感染症対策分科会からの深刻な医療提供体制の機能不全を避けるために、さらなる時短強化をとの提言にもかかわらず、なぜ対応しなかったのか。その結果が師走から年末年始にかけて感染者の急増でした。
 事態の深刻さを考慮すれば、年明けの緊急事態宣言要請の前に、メッセージだけではなく、時短要請のさらなる強化等を行うことが先決ではなかったのではないでしょうか。緊急事態宣言の要請は最後の手段です。どのような経緯を経て、知事の決断に至ったのか、ご見解をお伺いします。
 さて、多摩地域の保健所は、町田市、八王子市以外は、五カ所の都の保健所がそれぞれ複数の自治体を所管しています。特に、都内最大級の都民の健康を預かる多摩府中保健所は、管轄する人口は百万人を超えています。鉄道路線も、中央線、京王線、小田急線と沿線が異なり、人口規模からも、コロナ有事では大きな負荷がかかったことは容易に想像ができます。
 保健所については、公衆衛生審議会の意見を受け、地域保健法が施行、地域保健の第一線を市町村に移行、そして保健所は専門的、広域的見地から支援する機関としての位置づけ、所管区域の見直しが進みました。
 グローバル化の進展する我が国において、地域保健対策が社会構造等の変化に対応していく中で、組織体制を整えていくことは理解しますが、今回、コロナ有事におけるあり方が大きく問われたことは事実です。
 有事の際のあり方として、保健所本来の機能を最大に発揮する即応体制、機能強化、そして広範な地域、人口規模の大きな地域の保健所配置なども含め、総合的に検証を行うことを強く求めるものですが、今回は、平時体制から有事体制へ、感染拡大に伴い、多摩地域における都の保健所の対応力をどのように確保してきたのか伺います。
 次に、産業振興について伺います。
 政府の月例経済報告を見ますと、昨年二月に初めて新型コロナウイルスが経済に与える影響に対して注意喚起を促す記述が見られて以来、厳しい状況という表現が一年経過した今月まで続いています。
 また、景気ウォッチャー調査では、昨年四月、統計開始以来最低の数字を記録、GO TOキャンペーンの効果が見られたと思われる十月以外、この一年間は景気判断分岐点の五〇を下回ったまま推移してきました。地域経済は疲弊し、低迷し続けています。
 都内の中小零細企業、事業所は、地域の経済を活性化させ、雇用を創出するなど、東京の地域産業の基盤となる重要な存在です。しかし、高い技術力がありながらも、経営資源が乏しく、商圏も限られていることが多いため、社会経済の構造変化の影響を受けやすく、長引くコロナの影響により厳しい経営を強いられているのが現状です。
 現在は、業績悪化に苦しむ事業者への下支えが求められる局面が続いていますが、今後は生産性の向上、新規事業の立ち上げ、販路の開拓、状況によっては業態転換など、中長期的な取り組みへの支援も必要と考えます。
 地域により産業構造は異なりますが、いずれにしても、区市町村と連携した取り組みをより厚く、前に進めることで、地域産業の持続的発展を支援していくことが地域経済の振興発展につながるものと考えますが、ご所見を伺うものであります。
 最後に、水道事業について伺います。
 ご承知のとおり、水道は生活を支える大切な社会資本です。多摩地区の水道は、給水人口として四百万人近くの人口を抱えており、全国第二位の横浜市を超える規模となっています。そして、東京都は、急速に人口増加が進む多摩地区の都営一元化による広域水道を推進してきました。
 しかしながら、多摩地区における浄水所などの水道施設の多くは、市営、町営時代に整備されているため、老朽化が進行しているという事実、そして自治体間の地域を超えたバックアップ機能が不十分であり、災害時や事故時の給水安定性等、多くの課題があります。
 現在、水道局は、多摩水道運営プラン二〇一七を策定し、多摩地区を四つのエリアに分け、配水区域の再編を図るべく、拠点となる給水所等の新設や配水池容量の拡充等を行っていると伺っています。
 調布市の深大寺浄水所においては、平成二十六年度より工事を実施しており、完成の見込みは令和十年度とのことですが、深大寺浄水所の工事目的と具体的な整備効果について改めて伺うものであります。
 一方、区域の再編や浄水所等の整備等を着実に実施することは重要ですが、災害時、特に震災の際のライフラインとしての水道の供給体制の確保は最も重要です。
 先日の東日本大震災の余震でも、一部地域で長期間の断水が発生するなどの被害が出ました。過去を遡れば、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、熊本地震と、同じ震度七クラスの大きな地震においては、期間に差こそあれ、いずれも長期間の断水が生じています。東京都においても、首都直下、あるいは多摩直下地震に備え、水道施設の耐震化は重要かつ喫緊の課題であります。
 そこで、多摩水道運営プラン二〇一七における水道施設及び配水管の耐震化の進捗状況と今後の取り組みについて伺いまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 林あきひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外環工事現場付近での陥没事象についてでございますが、国など事業者は、陥没発生以降、住民説明会の開催、専用フリーダイヤルや補償に関する相談窓口などにより、陥没箇所周辺住民の方々の事情を伺ってきております。
 二月十四日と十五日に開催された住民説明会におきまして、事業者は補償の方針を示し、建物等の損害に関して、原状回復を行うとともに、家賃減収相当額や地盤補修工事完了後の不動産売却損などについても補償することとしております。
 また、住民に寄り添った対応を行うため、引き続き状況を伺い、誠意を持って対応することとしております。
 都は、住民の不安払拭に向け、引き続き、国など事業者に対し、補償を含めた丁寧な説明やきめ細やかな対応などを確実に行うことを求めてまいります。
 次に、入間川分水路の損傷についてでございますが、入間川分水路は、豪雨による水害から地域の安全性を確保する重要な施設であり、今回発生した分水路内の損傷に対して、速やかな原因究明と修復が必要でございます。
 外環工事との因果関係は不明でございますが、分水路の取水口付近でシールドトンネルを施工していたことから、外環の事業者とともに、損傷状況の把握及び施設の監視を行ってきておりまして、現在、損傷箇所の修復に向けた準備を進めております。
 引き続き、事業者に対して、原因究明に必要な調査等を求めていくとともに、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。
 次に、工事を安全に行うための取り組みについてでございますが、二月十二日に開催された有識者委員会では、特殊な地盤条件下において、シールドマシン前面のカッターが回転不能となり、それを解消するための特別な作業などが陥没、空洞事象の要因であることが確認されました。また、これを踏まえて、今後のシールドトンネル施工を安全に行うための再発防止対策の基本方針が示されました。
 引き続き、有識者委員会では、再発防止対策の実施に向けた検討を進めるとともに、地盤変状の監視や振動対策の強化など、安心確保のための対策についても検討を進めることとしております。
 都は、国など事業者に対し、有識者委員会による再発防止対策などの検討結果を住民の安全・安心確保に向けた取り組みに反映させ、確実に行うことを強く求めてまいります。
 最後に、野川及び仙川の整備についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、河道及び調節池の整備を推進していくことが重要でございます。
 野川におきましては、流下能力を向上させるため、下流から順次、河床掘削を進めておりまして、令和三年度は、入間川合流点付近の約二百八十メートルで実施いたします。
 また、野川大沢調節池について、貯留量をこれまでの一・八倍の約十六万立方メートルに拡大する工事が完了する予定でございます。
 さらに、仙川の上流部などにおいて、新たな調節池の事業化に向けまして、候補地等について引き続き検討してまいります。
 今後とも、水害に強い都市の実現に向けて、野川流域の豪雨対策を着実に推進してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 新型コロナウイルス対策の経緯についてでございますが、都は、緊急事態宣言発出前の昨年十一月末から、最大の感染経路であった家庭内にウイルスを持ち込ませないため、長時間の飲酒、飲食につながる酒類を提供する飲食店等への営業時間短縮の要請を行いました。
 要請に当たりましては、感染拡大防止と経済社会活動との両立、実効性確保のため、事業者の協力が得やすい時間設定など、総合的に判断し、国とも協議し、感染症対策審議会の意見も踏まえ、埼玉県、千葉県、神奈川県の三県とも一致する夜十時までの時間短縮としてきました。
 なお、時短要請のさらなる実効性を確保し、徹底して感染を抑え込んでいくためには、まず、緊急事態宣言の発出が必要であるとの認識のもと、本年一月二日に、一都三県の知事で緊急事態宣言の発出を国に要請いたしました。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 多摩地域の都の保健所に関するご質問にお答えいたします。
 多摩地域で二次保健医療圏に一カ所設置している都保健所は、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
 都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、都保健所の体制強化を図っており、管轄人口の規模等を踏まえ、多摩府中保健所には、本年二月一日現在、庁内各局からの応援職員、会計年度任用職員、人材派遣職員を合わせて、最も多い三十二名を配置しております。
 また、受診相談窓口の委託化などによる保健所の負担軽減も図っているところでございます。
 今後、今回の感染拡大から終息に至るまでの保健所の取り組みについて検証した上で、改めてそのあり方を検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 地域産業の発展に向けた支援についてですが、新型コロナウイルス感染症による都内経済への影響が深刻化する中、地域の産業特性を踏まえた事業者支援を区市町村と連携して進めることは効果的でございます。
 都は今年度、区市町村の緊急対策を後押ししており、地域の経済団体等と連携した経営相談や飲食店のテークアウト情報の発信などを支援してまいりました。
 来年度は、感染症による社会変革への対応等を促すため、例えば、企業間連携の拠点を活用したオープンイノベーションの促進や、業界団体と連携したECサイトの構築など、区市町村みずからが計画を策定して実施する地域産業の活性化策を支援してまいります。各区市町村の実情を踏まえた主体的な取り組みを支援いたしまして、地域産業の持続的な発展を図ってまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、深大寺浄水所の整備効果についてでございますが、水道局では地域特性に応じて、多摩地区を四つのエリアに分け、拠点となる施設の整備や、市や町の区域にとらわれない合理的かつ適切な配水区域への再編を進めております。
 このうち調布市を含む多摩川左岸東部地域は地形が平たんなことから、大規模な配水区域へ再編することとしております。
 深大寺浄水所はこの拠点となる重要な施設でございますが、昭和三十年代に築造され、耐震性が低く、配水池容量も不足しているため、令和十年度の完了を目指し、配水池の耐震化や拡充を進めております。
 この整備と配水区域の再編が完了することにより、三次救急医療機関を含む調布市等の約十三万人について、事故時や震災時における給水安定性を向上させるとともに、施設管理を効率化してまいります。
 次に、多摩地区の水道施設の耐震化についてでございますが、水道局では、多摩水道運営プラン二〇一七に基づき、拠点施設の配水池の耐震化を進めており、今年度末に八王子市にある大船給水所が完了することで、耐震化率が六三%となります。
 引き続き、計画的に拠点施設の配水池の耐震化を進め、令和十二年度末までに概成させる予定でございます。
 配水管の耐震継ぎ手化は、これまで優先的に取り組んできた救急医療機関等への供給ルートが令和元年度末に概成しており、引き続き四年度末までに避難所等への供給ルートの完了を目指しております。
 今後は、令和十年度までに、震災時の断水率が高い取りかえ優先地域の解消を目指して耐震継ぎ手化を進め、多摩地区における耐震性を向上させてまいります。

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