令和三年東京都議会会議録第四号

   午後一時開議
○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、東京都青少年問題協議会条例の一部を改正する条例外条例四件、知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二十三件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 十六番細田いさむ君。
〔十六番細田いさむ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(細田いさむ君) 初めに、東京ベイeSGプロジェクトについて質問します。
 四十、五十ははな垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら百まで待てと追い返せ。
 この人生百年時代を予見するがごとき言葉を残されたのは、渋沢栄一さんです。そして、渋沢栄一は、日本資本主義の父ともいわれています。
 また、明治九年から十二年間、深川に本邸を構え、明治二十二年からは深川区議会議員を務められるなど、江東区と大変に縁が深く、もったいなくも私にとっても大先輩に当たります。
 渋沢が唱えた道徳経済合一説は、誰ひとり取り残さない持続可能な社会を追求するという点で、現代のSDGsにもつながる考え方であります。
 そして、先般公表された東京ベイeSGプロジェクトは、渋沢栄一、後藤新平を初めとする偉大な先人たちの精神を受け継ぎ、未来の東京をつくるものであります。
 この考えは、SDGs推進委員会を設置し、その実現に全力を挙げて取り組む都議会公明党とも軌を一にするものと考えます。
 今後、東京ベイエリア、なかんずく江東ベイエリアにおいて本プロジェクトを推進していくに当たり、持続可能性の視点に基づく施策をより多く盛り込んでいくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、東京オリ・パラ大会に民間船舶を活用した搬送について質問します。
 東京ベイエリアでは、東京オリ・パラ大会の競技会場が多く存在し、多数の選手や観客が訪れる予定です。真夏の大会での熱中症や災害時の被災などの救急救命に機動的に対応できる取り組みが課題となっています。
 この問題の解決のために、公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル、略称MHIが中心になって活動しています。日本救急医学会の大学の関係者などが、これまで救急艇を出航させて人々の命を守ろうと、海上保安庁などとともに研修と協議を重ねて取り組んできています。
 そこで、東京消防庁は、東京オリ・パラ大会開催中に災害などで多数の傷病者が発生し、救急車が不足した場合や渋滞時での救急搬送の取り組みとして、こうした民間船舶の活用を図るべきと考えますが、東京消防庁の見解を求めます。
 協定においては、昭和大学江東豊洲病院への救急艇による傷病者の搬送に関する協力要請について定められています。
 こうした救急艇の運用に関して、大会期間中における防災船着き場などの使用や係留を認めるなど、都は可能な支援を行っていくべきですが、見解を求めます。
 次に、東京臨海部にある東京夢の島マリーナの環境改善について質問します。
 都が設置したこのマリーナは、東京オリ・パラ大会で、アーチェリーの競技会場となる夢の島公園アーチェリー場の北隣に位置し、ボート、ヨットなどの出入港が三百六十五日二十四時間可能で、都内最大規模の六百六十隻が係留でき、あきを待つ人気の施設になっています。
 水泳会場の東京アクアティクスセンターからも近く、東京オリ・パラ大会のラストマイルに入るレストランでは、海を見ながらバーベキューが楽しめる貴重なスポットになっています。周辺環境もこれまで、都を初め、国や地元の江東区が万全の体制で整備を進めてきました。
 このような中で、昨年十月、私は地域や利用者の方々からの声をいただき、現地の視察調査を行いましたが、令和元年東日本台風の被害により、壊れたままになっている浮き桟橋や駐車場に放置されている多くの自転車、使用されているのかわからない車やバイクなどの放置状態を確認し、都に改善を求めました。
 都民や利用者、観光客などのために、浮き桟橋の改修、放置車両の適切な対処、安全で清潔な環境創出と美観の回復などを速やかに実現すべきですが、都の対応について答弁を求めます。
 次に、地下鉄八号線の延伸について質問します。
 私はこの三年間、二度の本会議一般質問で、小池都知事に延伸の早期実現を求めてまいりました。
 本年一月二十日、知事は赤羽国土交通大臣に対して、東京圏における地下鉄ネットワークの充実に向けて積極的な支援を要請されました。
 そして国は、翌々日の二十二日に、交通政策審議会に新たな東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会を設置し、今後の東京メトロが果たすべき役割とその株式の売却のあり方について具体的な検討が開始されました。
 このことは、地下鉄八号線の延伸に向けて極めて重要であり、大きな前進です。八号線の延伸は、事業主体の選定が大きな課題であり、最有力である東京メトロが新線建設を行わない方針を維持している中で、これまで都は、東京メトロによる整備運行が合理的という考え方に基づいて、事業主体や費用負担の考え方などを国や東京メトロと粘り強く協議を行い、調整を重ねてきました。
 そして、このほど審議会において、今後の地下鉄ネットワークのあり方や東京メトロが果たすべき役割の議論も始まり、いよいよ事業化に向けた道が開けていく可能性が出てまいりました。
 これが進めば、東京メトロによる新線建設が対象外となっている地下鉄補助の要綱改正の課題も現実的に進んでいくものと期待が高まっております。
 この機を逃さず、地下鉄八号線の早期実現に向け、今後の審議会の議論も踏まえながら、早急に関係者との協議を進めるべきと考えますが、知事に見解を求めます。
 また、国と都が所有しているメトロ株が仮に売却される場合に、首都東京を担う世界に冠たる東京メトロの公共性が確実に守られる範囲での売却とするべきですが、メトロ株の取り扱いについて都の見解を求めます。
 次に、中小企業の危機管理対策、サイバーセキュリティー支援について質問します。
 コロナ禍の影響により、多くの中小零細企業が長期間にわたって事業活動に大きな制約を受けています。このような中でも、事業活動を続けるため、テレワークやウエブ会議、ネット販売といったオンラインツールの活用に前向きに取り組む事例も数多く見受けられます。
 しかし、オンラインツールは時間や場所を選ばず利便性が高い一方で、機密情報の漏えいやサイバー攻撃などのリスクも潜んでいます。こうしたリスクに対応するためには、高度な知識や経験が必要であり、中小零細企業だけの取り組みでは限界があります。
 そこで、中小零細企業が安心してオンラインツールを活用できるよう、対策に意欲を持つ中小企業を守るために、セキュリティー対策の取り組みを後押ししていくべきでありますが、都の見解を求めます。
 次に、都営住宅を活用した垂直避難についてです。
 二〇一九年十月、大型で強い台風十九号が東日本や東北地方を襲い、広範囲で記録的な大雨をもたらし、多数の河川が氾濫しました。この日、私は東京湾間近の東部低地帯、江東区の荒川沿いの避難所を深夜まで回り、不安に過ごす都民の方々のお声を伺いました。
 そして、翌日、東部低地帯の都営住宅の低層階には、災害時の要援護者等が居住しており、水害時にこの方々も含めて地域住民の避難場所として、都営住宅上層階の空き住戸を活用させてほしいと小池都知事に要望いたしました。
 この年の第四回定例会で都議会公明党は代表質問を行い、都は空き住戸の活用について、入退去により空き住戸は随時変更するものの、避難所を確保し、運営する役割を担う地元区の意向も踏まえて、相談に応じていくとの見解を示しました。
 さて、私の地元、江東区の都営東砂八丁目アパートは、二〇一八年に高層集合住宅に建て替えられましたが、近辺を含めて地盤の高さは、海面よりマイナス二メートルほどの低さであり、高潮や洪水では二、三階になる高さ五、六メートルほどの浸水が想定されます。調べたところ、全百五十八戸のうち、浸水しない高さの比較的広い十数戸ほどの住戸は、都によると、しばらくの間は入居予定がないとのことでした。
 こうした実態を踏まえて、この空き住戸を本年の出水期を迎える前に、水害時の避難用途に活用すべきです。さらに、江東区内の亀戸、大島、砂町という荒川に近い地域には、都営アパートが四十二団地、一万八百五十六戸の部屋があります。
 都は、江東区の求めに応じ、速やかに江東区と協定を結び、利用可能な空き住戸を一戸でも多く提供していくべきですが、あわせて都の見解を求めます。
 また、その際には、地元区が緊急避難先として準備して使用できるよう、鍵を事前に渡すだけではなく、出水期間中は継続的に鍵を借用できることなど実質的な支援の対応を柔軟に進めるべきですが、都の答弁を求めます。
 最後に、糖尿病の重症化予防について質問します。
 国の調査によると、都内の糖尿病の推計患者数は約二十万人に上ります。新型コロナ感染症では、基礎疾患として重症化リスクが指摘されています。コロナワクチン接種の際に移動が困難な透析患者などには、訪問巡回による接種の支援も必要であり、糖尿病の予防、重症化の防止は速やかに実行しなければならない政策です。
 そこで、コロナ禍において、糖尿病対策の現状について都の見解を求めます。
 糖尿病は治療中断期間が長くなるほど重症化リスクが高くなります。二〇一九年三月に厚労省より出された糖尿病性腎症重症化予防に関する事業実施の手引きによると、国保データベースシステム、略称KDBからレセプトデータを分析すれば、健診を受けていない都民の中から治療中断者が抽出でき、受診勧奨が可能になります。
 過去五年間を遡り、健診未受診者や治療中断者のレセプトの点検を行い、直近一年間の未受診期間がある方、それより以前の四年間の受診履歴のある方を抽出して、区市町村が受診勧奨に取り組んでいくことは極めて重要です。ところが、都内区市町村がこれを実施していくことは大変な作業です。
 本年度、国は都道府県に対して全額補助の国保ヘルスアップ支援事業を実施しました。これを利用すれば、都は二億五千万円までの交付金を国から受けて、保険事業の対象者の追跡及び支援ツールを開発し、区市町村に提供していくことができます。
 国保の共同保険者である都は、国保連合会と連携して、過去五年まで遡った治療中断者を洗い出す支援ツールを開発し、区市町村を支援していくべきですが、都の見解を求め、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 細田いさむ議員の一般質問にお答えいたします。
 東京ベイeSGプロジェクトについてであります。
 渋沢栄一氏は、日本資本主義の父であると同時に、養育院の初代院長を半世紀にわたり務めるなど、多くの社会貢献活動に尽力されてこられました。
 その取り組みは、誰ひとり取り残さないというSDGsの考えを先取りしたともいえるものでありまして、持続可能な社会を追求するその精神は、現代を生きる我々への示唆に富んでおります。
 こうした先人たちの精神を受け継ぎまして、高いポテンシャルを秘めたベイエリアを舞台に、五十年、百年先を見据えて持続可能な都市を構想していくために立ち上げたのが今回の東京ベイeSGプロジェクトでございます。
 今後、一〇〇%クリーンエネルギーやゼロエミッションの実現に加えまして、グリーンファイナンスの活用など持続可能性やSDGsの視点からのさまざまな施策を検討し、地元区など多様な主体と連携を図りながらプロジェクトを展開してまいります。
 次に、地下鉄八号線の延伸についてであります。
 地下鉄八号線の延伸は、東西線の混雑緩和はもとより、臨海地域のさらなる発展にも寄与する重要な路線であります。
 これまで都は、東京メトロによる整備、運行が合理的との考えを示し、これに基づき関係者と調整を進めてまいりました。
 先月、国の審議会におけます議論が開始される機会を捉えて、私みずから国土交通大臣へ地下鉄八号線の課題解決を要請いたしております。
 引き続き、審議会での議論と並行して関係者との協議、調整をさらに加速し、本路線の実現に向けて取り組んでまいります。
 残余のご質問については、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) メトロ株の取り扱いにつきましてのご質問にお答えいたします。
 東京地下鉄株式会社法では、国と都はできる限り速やかにその保有する株式を売却することが規定されております。
 東京が将来にわたり持続的に発展していくためには、地下鉄を初めとする鉄道ネットワークのさらなる充実等が必要でございまして、東京メトロが重要な役割を果たすと考えております。
 先月、国の審議会での議論が始まる機会を捉え、首都中枢エリアを担う公共的役割を十分勘案し、東京メトロの果たすべき役割を検討するよう、都として国に対し要請をいたしました。
 メトロ株の取り扱いにつきましては、まずは審議会での議論を注視し、その上で東京メトロが果たすべき役割等を踏まえながら、都としても検討してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 船舶による傷病者搬送の取り組みについてでございますが、災害等により多数の傷病者が発生した場合、迅速に医療機関へ搬送するためには、搬送体制の多様化が重要でございます。
 このことから、東京消防庁では、東京二〇二〇大会開催中の災害に備え、船舶による傷病者の搬送体制を強化するため、地域防災計画に基づき、医師等の医療従事者が同乗する船舶を有する団体と協定を締結いたしました。
 船舶の活用は、傷病者の搬送体制の多様化を図る上で大変有効であると考えます。
 今後とも、東京二〇二〇大会の安全・安心の確保に努めてまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会時における船舶による傷病者搬送の取り組みについてでございますが、東京消防庁の要請に基づく、民間団体による船舶を活用した傷病者搬送の取り組みを実施するに当たっては、あらかじめこれらの船舶の係留場所を確保することが必要となります。
 このため、都は、船舶の係留場所として、アクアティクスセンターの近くに設置されております船着き場を提供するなど、可能な支援を行ってまいります。
 今後、民間団体との協議を重ねつつ、船着き場の利用に関する具体的な手続を進めてまいります。
 次に、夢の島マリーナについてでございますが、都はこれまでも、マリーナを運営する民間事業者とともに、適切な維持管理に努め、老朽化した施設の改修工事を計画的に進めてまいりました。
 今回、台風により破損した桟橋のうち、早期の改修が可能なものについては、計画を前倒しして今年度中に改修工事に着手することとしており、引き続き適切に改修を実施してまいります。
 また、放置自転車等の早期の解消を図るとともに、放置防止に向けて運営事業者による巡回警備を開始するなど、施設の環境美化の取り組みについても強化してまいります。
 今後も、利用者の声に耳を傾け、マリーナが快適で使いやすい施設となりますよう取り組みを進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 中小企業のセキュリティー対策支援についてですが、コロナ禍を機に、中小企業によるオンラインツールを活用した事業活動の機会が増加しておりまして、サイバー攻撃等のリスクへの対応力向上が急務となっております。
 都は現在、中小企業の積極的な取り組みを促すため、セキュリティー機器の試行導入や技術的なアドバイスを行っているところでございます。これらに加え、来年度はセキュリティー対策の状況診断やセキュリティーポリシーの策定等を専門家がサポートいたします。
 また、重要データの喪失リスクの低下などに有効なクラウドサービスの導入経費を新たに助成いたします。
 中小企業の危機管理対応力の向上を促し、オンラインツールを活用した事業展開を着実に後押ししてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 水害時の都営住宅の空き住戸の活用についてでございますが、水害のおそれのある地域におきまして、災害時の都民の安全・安心の確保に資するよう、都は、都営住宅の上層階の空き住戸を緊急避難先として一時的に活用する仕組みを整備し、地元区市町からの要望に応じ、速やかに協定を締結することとしております。
 同協定に基づき提供する空き住戸につきましては、公募や建て替え事業での入居時期を考慮しつつ、地元区市町の意向を踏まえ、可能な戸数の確保に努めてまいります。
 あわせて、鍵の受け渡しなどの手続につきまして、地元区市町と協議しながら運用改善を図ってまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、糖尿病対策についてでございますが、糖尿病は新型コロナウイルス感染症を初めとする感染症の重症化リスクが高い疾患といわれており、発症予防や重症化予防の取り組みを着実に進めることが必要でございます。
 都は、糖尿病を正しく知り、重症化を予防するために必要な情報をリーフレット等により周知するとともに、糖尿病予防教室等に取り組む区市町村を財政的に支援しております。
 また、平成三十年三月に策定した東京都糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、都医師会や区市町村等の関係機関と連携して、国民健康保険等に加入する治療中断者等の重症化予防に取り組んでおります。
 今後とも、区市町村等と連携しながら、糖尿病の発症や重症化の予防に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、糖尿病重症化予防の取り組みについてでございますが、都内の区市町村では、重症化予防プログラムに基づき、健診データ等を活用して、糖尿病の重症化リスクの高い方を医療機関の受診や生活習慣の改善につなげております。このうち、レセプトデータから治療中断者を抽出し、受診勧奨を行っている自治体は、本年一月時点で二十一となっております。
 都は、こうした取り組みを推進するため、地区医師会等と連携して効果的な対策を実施している好事例の紹介や、財政面での支援も行っております。
 国が来年度から複数年のレセプトデータ等を用いて実施する重症化予防プログラムの効果検証も注視しながら、区市町村が地域の実情に応じて行う糖尿病重症化予防の取り組みを支援してまいります。

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