令和三年東京都議会会議録第二号

   午後三時五十分開議
○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番山崎一輝君。
〔百二十二番山崎一輝君登壇〕

○百二十二番(山崎一輝君) 質疑に入る前に一言申し上げます。
 コロナ禍が長期化する中、医療関係者の方々の粘り強い取り組みと都民の皆様のご理解、ご協力に心より感謝を申し上げます。
 我々都議会自民党は、この難局を乗り越えるべく、現場の声を伺いながら、都民の皆様とともに、さまざまな課題にスピード感を持って取り組んでまいります。
 令和三年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 本定例会は、東京がコロナ禍の現状を切り抜け、コロナの後の発展に向けた道筋をつけるための議会です。そして、ワクチン接種、都内経済の回復、東京大会の準備など、目前の課題への対応も待ったなしです。さらに、首都直下地震や激甚化する風水害への備え、少子高齢化への対応、医療福祉の充実、教育環境整備などの課題が山積しております。
 そうした中、都は、未来の東京戦略案、二〇四〇年代のビジョンと二〇三〇年に向けた戦略、都政構造改革、東京ベイeSGプロジェクトのドラフトを発表いたしました。
 コロナによる税収減が見込まれる中にあっても、都の財政基盤をしっかりと維持しながら、多岐にわたる喫緊の課題に迅速に対応しつつ、東京の将来を見据えた取り組みも着実に進めていくというバランスのとれた都政運営が求められています。こうした観点から質疑を行います。
 一年以上にも及ぶコロナ対策は、都財政にも大きな影を落とすこととなりました。この間、我が党は、必要な財源を確保するため、まずは今年度予算で実施予定の施策のうち、不要不急の事業を直ちに精査、選別し、見直しを図るよう、いち早く、そして幾度となく求めてまいりました。
 コロナ対策による二兆円を超える支出だけでなく、景気の悪化に伴い、今年度の税収も約二千億円の減少に陥っています。今年度予算は、年度の途中で確実に見直しを行うことができたのか伺います。
 来年度予算では、さらに大幅な税収減が予測される一方、当初予算の歳出総額は過去二番目に膨れ上がりました。
 今回は、先人の努力によって蓄えられた基金や都債により予算を工面できましたが、都財政に残された余力は少なく、いつまでも同じ手法が使えるとは限りません。
 東京都には財政危機が迫っているといわざるを得ませんが、その一方で、将来を見据えた大胆な投資やコロナで苦しむ都民、事業者への手厚い支援も不可欠です。都にはこうした支出に耐え得る強靭な財政運営が求められます。
 来年度予算に計上した事業についても、改めて施策の優先度を厳しく選別しながら予算を執行し、将来につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、防災、減災対策やコロナ対策のみならず、デジタル化への対応など、区市町村の財政は逼迫しています。来年度は多くの自治体で大幅な減収見通しとの報道がありました。
 都は、厳しい財政運営を強いられる中でも、引き続き区市町村を支えていく必要がありますが、今後はより一層めり張りをつけた対応が不可欠です。
 都も区市町村も双方が厳しい状況の中、財政支援をどのような方針のもと行っていくのか、見解を伺います。
 都は、我が党の提案を受け、平成三十一年一月に実務者協議会を立ち上げ、都政の最重要事案八項目二十施策について、国との連携や支援を協議してきました。三年目を迎え、徐々に具体的な成果があらわれることは承知をしておりますが、あらゆる課題が山積する都政を鑑みると、危機感が希薄といわざるを得ません。さらにスピード感を持って、積極的かつ戦略的に取り組むべきと考えます。
 今後、どのように実務者協議会を進めていくのか、都の代表である武市副知事の見解を伺います。
 国際金融都市構想の推進に当たっては、東京にこれまで厚く集積してきた金融機能を最大限に生かしながら、市場のプレーヤーである金融業の活性化を通じた成長企業への資金供給や新たな金融サービスの提供などにより、都民生活の水準向上、都市としての東京の成長につなげていく必要があります。
 我が党はこれまでも、国や経済界との連携を進めてきましたが、特にビジネス、生活環境の整備において大きな焦点となっていた税制については、税負担軽減などの面で着実な成果を得ることができました。
 その一方で、気候変動による脱炭素社会の実現に向けた動きが加速化する中、この取り組みに資金を供給するグリーンファイナンスに世界が注目をしています。また、金融のデジタル化に向けた動きも急速に進展を見せています。
 こうした国際金融の大きな情勢変化をにらみながら、ポストコロナの世界において、東京が国際金融都市としてニューヨークやロンドンと伍していくためには、これらの動きに的確に対応していく必要があります。
 都は、今般、国際金融都市東京構想の改定やTokyo Green Finance Market(仮称)の創設に向けた検討を開始すると発表いたしましたが、これらの取り組みを実効性あるものとするためには、税制や金融に係るルールづくりを所管する国との連携を緊密にし、これまで以上にスピード感を持って施策に取り組むことが肝要です。
 そこで、今後、国際金融都市の実現に向けた取り組みを推進していくに当たり、都は一層国と連携し施策を進めていく必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
 デジタル庁は猛烈なスピードで設立準備を進めています。周回遅れとやゆされる我が国の行政においても、急速に巻き返しの機運も高まりつつあります。我が会派でも、従前より、内閣府を初めとする関係機関との意見交換などキャッチアップを行っています。
 先般、都からシン・トセイが公表されました。都政の構造改革推進に当たっては、デジタル化を強力に進めていくことは期待をしておりますが、都民生活にはどのような便益があるのかについても具体的に示し、共感を得るよう努力することを強く求めておきます。
 さて、デジタル技術の進歩は日進月歩であり、時には積極果敢な投資も必要です。同時に、今後あらゆる行政サービスがデジタル上で処理されるようになれば、データのトラフィック量が膨大になるなど、維持管理経費は膨らむわけであります。
 構造改革におけるデジタル化、DXは、行政内部の効率化にとどまることなく、投資コストを上回る都民サービスの向上につなげていくという視点に立って強力に進めていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 平成二十八年度から令和元年までかけて、都が島しょ部に光ファイバー網整備を着実に取り組んできたことは評価をしています。
 都のTOKYO Data Highwayプロジェクトに示されている島しょ部での5Gを活用した遠隔医療への期待はコロナ禍でさらに高まっています。
 しかし、5Gの基地局が整備されていないため、実証を行うことも困難な状況にあり、いまだ具体的な計画がありません。こうした取り組みにこそ、官民連携への強い働きかけが期待されます。今こそ早急な基地局整備が望まれています。宮坂副知事の見解を伺います。
 都市づくりには長期的な視点が必要であり、後藤新平に学ぶというのがこれまでの我が党の主張でありました。コロナ禍の今、ポストコロナを見据えた東京の成長戦略をしっかり描くことが大変重要になっています。
 そして、東京の国際競争力を高めていくには、羽田空港のさらなる機能強化を初め、首都圏全体との結びつきを強める道路交通インフラ整備が欠かせません。中でも、東京の陸海空の玄関口である臨海部の将来像を示すことは極めて重要であると我が党はかねてから主張をしてきました。これを受け、都においては臨海部でベイエリアビジョン策定に向けた作業を行ってきたと理解しています。
 ところが、今般、突如、東京ベイeSGプロジェクトのドラフトが発表されました。しかも、この対象エリアはベイエリアビジョンの範囲とは異なっており、相互の関連性も不明確です。
 そこで、今回発表したプロジェクトの目的、これまで検討を進めてきたベイエリアビジョンとの関係について見解を伺います。
 臨海部開発は、東京の将来の発展にとって非常に重要な位置を占めています。その一方で、持続可能な社会の実現のためには、中央防波堤は最終処分場としての延命を図る必要があり、当面、本格的な土地利用ができるとはいいがたい状況にあるのも事実であります。
 また、五十年、百年先を見据えた土地利用を語るのであれば、将来に向けたインフラ整備も不可欠です。もちろん周辺地域とのアクセスなど地域の発展に必要不可欠な道路や鉄道などもセットで計画をしないと、まちづくりはできません。また、地元の協力なしでは前に進めません。後藤の発想、教訓を用いるなら、必要なインフラを先行整備することも重要と考えますが、都は、このプロジェクトを具体的にどう展開していくのか、見解を伺います。
 次に、コロナ対策について伺います。
 緊急事態宣言が再延期となり、国内の他地域では一定の成果が出ておりますが、都内の感染者数の減少は鈍化し、場所によっては人流がリバウンドしています。再び都内で感染拡大させないことは都の責務であります。仮に緊急事態宣言期間が終了しても、状況を楽観視して、蔓延防止等重点措置期間の中で必要な対応を怠ることがあってはなりません。宣言解除後の経済活動や都民の行動制限はどうするのか、都民、事業者の理解をどのように得ていくのか、知事の見解を伺います。
 国が取り組む医療従事者向けの先行ワクチン接種が開始されました。いよいよ来月には都が調整主体となって実施する都内医療従事者等に対するワクチン接種が始まります。円滑な接種体制を構築するためには、医療機関との連携はもちろん、ファイザー製ワクチンの特性上、その保管や輸送にきめ細かな対応が求められております。
 これまで都は、ワクチン接種を行う医療機関を都内に約六百五十カ所確保していますが、ワクチンの輸送に関しては綿密なスケジュール管理が不可欠であります。都内全域、島しょ部も含めて、どのような輸送体制で臨むのか伺います。
 今回のワクチン接種は、個人の感染や重症化を予防するだけでなく、多くの国民が接種を受けることで集団免疫を獲得し、社会を守ることにつながります。諸外国では既に接種の効果などが伝えられているものの、国内においては、まだまだワクチン接種に不安を抱える声を多く耳にします。
 知事として、東京iCDCも活用しながら、ワクチン接種に関する意義や効果を都民に発信する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 家庭内感染を防ぐためにも、陽性と判断された方が、軽症や無症状であってもホテルなど宿泊施設で療養することが大切です。
 都はこれまで、宿泊療養施設を拡充し、現在十四施設で六千十室、受け入れ可能数三千二百九十室を確保していますが、利用は二割と低迷しています。もちろん、感染拡大のピークと施設の確保数に時間的な差が生じることは理解できますが、四月以降の利用状況を平均すると三割程度という利用率について、利用が進まない課題をどう認識し、今後どう解決するのか伺います。
 二十三の特別区では、それぞれ地域保健法に基づいて保健所が設置されています。平時には円滑に運用されてきましたが、猛威を振るう感染症の蔓延を前に、この体制は果たして正しいのかとの指摘がなされています。第四波に備え、命を守れる体制に見直しをしておかなければなりません。
 例えば、入院調整本部です。我が党の要望を含め、設置したまではよいのですが、法的な設置根拠が曖昧なまま稼働しており、第三波の対応においては、各保健所や現場の医療関係者から苦情や改善の声が寄せられています。現場が求めている調整本部の役割に、現在の調整本部の機能は応えられていない側面もあることを真摯に受けとめるべきであります。
 そこで、都が入院調整本部を設置した経緯、事業目的及びその根拠について改めて伺います。
 我が会派は、コロナの影響を受けた事業者への財政支援を都や国に求めてまいりました。現在、国ではコロナによる影響を受けた中小事業者に対する一時支援金の給付に向けて検討が行われています。
 都はこれまで、時短要請に応じた飲食店への協力金の支給を実施してきましたが、飲食店の取引先や観光産業などを支える皆さんからは、コロナの影響が長期に及ぶ中、支援を求める悲痛な声が上がっております。
 都はこれまで、国に対し支給額の拡充や要件の緩和を求めてきたところですが、本日更新された一時支援金の概要を見ても、給付額などについて、事業者が必ずしも納得できるものとはいえないと考えます。
 厳しい状況の中で、東京の産業を支える事業者の思いに知事としてどう応えるのか伺います。
 都民の二人に一人が花粉症といわれています。コロナ対策としてマスクの着用が定着する中、くしゃみをすると周囲の視線が気になるため、花粉症であることを周囲に知らせるシールやバッチなども市販されているようであります。花粉症の方、くしゃみを気にする方、それぞれお気持ちはわかりますが、くしゃみをするたびに、コロナではありませんといいわけを強いるような風潮を社会に蔓延させてはなりません。
 さらに、知的障害や発達障害のために触覚や嗅覚などが非常に敏感な、いわゆる感覚過敏が理由でマスクの着用が困難な方もおられます。
 くしゃみが抑えられない方、マスクを着用できない方も暮らしやすい東京となるよう、知事が都民へ積極的に情報発信をしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国では、子供施策の所管が複数の省庁にまたがり弊害が生じているとして、総合調整機能を持つ子ども家庭庁(仮称)の創設が検討されています。
 また、都議会自民党は、今定例会で、子供の笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定める東京都こども基本条例案を、都議会公明党とともに共同提案をし、子供の健やかな成長に寄与する社会づくりに取り組んでおります。
 そして、都が、二〇四〇年に向けた長期戦略案、未来の東京戦略の中に、子供の笑顔のための戦略を位置づけたことを評価するとともに、大きな期待をするところであります。
 そこで、都の子供施策について、各局横断した連携の取り組みをどのように行うのか、知事の見解を伺います。
 認証保育所制度は、創設から二十年が経過をし、当時と比較して、認可保育園など保育サービスが拡大するとともに、保育ニーズが変化していることから、我が党は事業者の声を聞きながら、制度の見直しの必要性を主張してきました。
 さきの定例会では、必要な制度の見直し等について検討するとの答弁がありましたが、その検討内容について伺います。
 児童養護施設などを退所した後の自立支援ニーズが高まっております。都ではこれまで、国に先駆けてさまざまな制度を拡充してまいりました。一方で、児童養護施設で自立支援コーディネーターを複数配置しているのは昨年度でわずか五施設にとどまるなど、課題も残っております。
 こうした中、国により新たに自立支援のための職員を配置するための制度が導入されることになったと聞いています。
 そこで、児童養護施設や自立援助ホームに入所していた児童の退所後の自立に向け、支援のさらなる強化に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 新型コロナの影響により、障害者や家族、サポートをする事業者等の暮らしにも大きな影響を及ぼしております。
 都は現在、次期東京都障害者・障害児施策推進計画の改定を進めています。この改定に合わせた新型コロナ対策の取り組み強化と生活様式の変化を十分考慮し、障害者の暮らしを守る計画になるよう求めておきます。
 さて、障害者施策では、社会環境や障害種別にかかわらず、障害が重くても希望する地域で安心して暮らせる社会を実現することが重要です。中でも児童発達支援センター等については、第一期東京都障害児福祉計画の目標に対し、整備が十分に進んでおらず、都は、これらの施設整備にさらに注力すべきと考えます。
 そこで、障害者、障害児の地域での生活基盤の整備について見解を伺います。
 第七期東京都高齢者保健福祉計画にも示された都の需要推計によれば、今後も介護職員の需要は増加します。一方、供給推計によれば、少なくとも数万人という単位で不足することは明らかです。
 これまでにも介護人材の確保、定着、育成の推進に取り組んできましたが、実際には課題解消に至っていません。東京都の介護関連職種の有効求人倍率は、保育士等と比較をしても明らかに高く、人材不足は深刻であります。
 今後ますます増大する介護ニーズに対応するために、介護人材対策をより一層推進する必要があると考えますが、都は、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大により、孤独問題が国内のみならず国際的にも深刻化しています。国内でも自殺者は増加しており、特に若い女性や子供に顕著な傾向が見られ、コロナによる社会背景の変化が指摘されております。
 菅首相は、国会において、望まない孤独の問題が顕在化していること、多様なつながりの中で支え合い生きることのできる社会の構築が重要と述べ、担当大臣を設置し、総合的な孤独対策の検討に着手をいたしました。孤独問題は性別や世代を超えて広がりつつありますが、抱える悩みやライフスタイルは大きく異なります。
 若い世代は電話はほとんど使用しない一方、高齢者でデジタル機器を不得手とする方はいまだに多く存在しており、支援にも多様なアプローチ手段が求められます。
 都は、コロナ禍による社会変化や新しい日常を踏まえ、総合的かつ、きめ細かな対策を早急に講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、環境対策について伺います。
 二〇三〇年までに電力における再エネ利用割合を五〇%まで高める目標に対し、都内の再エネ電力利用割合は二〇一八年度にようやく一五%に達したところであります。脱炭素社会の実現に向け、最大のエネルギー消費地である東京において再エネ電力の利用割合を高めていくことが重要です。
 これまでの取り組みを踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 国も二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて大きくかじを切った中で、自動車の脱炭素化は重要であります。
 都は、都内で新車販売される乗用車を二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン化することを掲げましたが、これに関し、我が会派はこれまで一貫して、利用時にCO2を排出せず、将来に向けたエネルギーの安全保障や温暖化対策の切り札となる水素エネルギーの利用拡大の重要性を訴えてきました。
 特に、土地が限られる都内においては、既存のガソリンスタンドへの水素ステーションの整備が有効な手段となるため、その足かせとなっている過重な規制の早期解消を国に働きかけ、一定の成果を上げてきたところであります。
 しかし、現状においても、経営環境が厳しいガソリンスタンドでは、水素ステーションの整備、運営になかなか一歩が踏み出せない状況にあります。重要なエネルギー供給インフラであるガソリンスタンドの事業者が安心して取り組めるよう、都がしっかりと支えていくことが必要であります。
 そこで、ガソリンスタンドにおける水素ステーションの整備や安定的な運営確保に向けた都の取り組みについて伺います。
 太陽光発電など天候や季節により発電量が変動する再生可能エネルギーの導入がさらに拡大すると、電力系統の安定運用についても配慮が必要となります。
 これに関し、我が党が繰り返し利活用の重要性と将来性を主張してきたのが水素エネルギーであります。水素は利用時にCO2を出さず、エネルギーを長時間かつ大規模に貯蔵できるため、再エネ大量導入時の電力需給の調整にも大きく貢献します。
 また、水素の製造、輸送、利用といった幅広い分野で我が国の高い技術力を生かせることから、これまでも国内企業が積極的に技術開発を進め、世界をリードしてきました。
 今後、国際的な競争が激化していくことが予想される中、都は水素利用のさらなる拡大を図りながら幅広い企業の参画につながる施策を展開するべきと考えますが、見解を伺います。
 再生可能エネルギーを本格的に普及させていくためには、関連産業の裾野を広げていく取り組みも必要です。
 例えば、太陽光発電では、部材の加工、洗浄、検査、設備のメンテナンスなど、周辺技術が確立されてきた結果として導入が進んできたという経緯があります。
 再生可能エネルギーは、将来にわたり確実に市場が拡大していくことが見込まれるとともに、中小企業が持つ高い技術力に対するニーズがあることを想定され、極めて参入の余地が高い産業分野といえます。しかし、中小企業が一歩踏み出すためには、一定のサポートも必要です。
 都は、再生可能エネルギーの普及に向け、周辺技術の開発等に参入する中小企業を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出量二〇〇〇年比五〇%削減、再エネ電力の利用割合を五〇%まで高めていくことを掲げました。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現には、これからの十年が重要ということはわかりますが、いうはやすく行うはかたしで、具体的に何にどう取り組んでいくかが肝要であります。
 これは東京だけで実現できるものではありません。エネルギーの大消費地である東京が、日本全体での二〇五〇年カーボンニュートラルの実現をリードしていく上でも、他の自治体と連携した効果的な取り組みを展開していくことが重要です。
 二〇三〇年までの温室効果ガス半減に向けた行動を加速するため、九都県市と連携した取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 続いて、都市インフラ、災害対策、そして安全・安心なまちづくりについてお聞きします。
 国土交通省は、二月八日に社会資本整備審議会計画部会を開催し、災害時の交通機能の確保など、自然災害から国民の命と暮らしを守る社会づくりや安全な移動空間の整備、新技術活用によるインフラメンテナンスの高度化、効率化などの議論を進め、新しい社会資本整備重点計画において重点的に進める見通しです。
 都も、コロナ禍を乗り越えた先の社会を見据え、新技術の活用、脱炭素社会の観点なども含め、中長期的な視点に立って、安全・安心を支える社会資本整備を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京が世界で一番の都市として日本を牽引し続けるためには、国際競争力と経済活力、防災機能の強化にも寄与する都市づくりの基本となる道路整備が不可欠です。
 新型コロナウイルスとの闘いが長期化を余儀なくされる中においても、変化、変革に正面から向き合い、東京が世界の都市間競争を勝ち抜くためには、あらゆる生産活動の根幹となる広域的な人の流れと物流の変化に対応することが鍵を握っております。
 また、激甚化する自然災害から都民の生命、財産を守るため、山間部等においては、災害時の代替機能の確保など、東京の強靭化を推進していくことも必要であります。首都東京の成長を支えるとともに、災害の脅威から都民を守るためには、道路整備を着実に推進し、その効果を最大限発揮させることが重要です。
 そこで、都におけるストック効果が高い道路整備の推進に向けた取り組みについて伺います。
 東京港は、国内最大の外貿コンテナ貨物取扱個数を誇る国際貿易港として、首都圏、ひいては東日本の生活と産業を支える重要な役割を果たしています。
 しかし、海運業界では、コンテナ船の大型化が世界的に進展しており、東京港への入港が困難となる事例も発生していると聞いています。
 また、東京港のふ頭周辺では、依然として交通混雑が課題となっており、この状況が続けば、ほかの港を利用する荷主が増加するのではとの懸念も生じています。
 こうした課題に対応するためには、これまでも繰り返し我が党が主張してきたように、東京港の抜本的な機能強化が必要ですが、港湾整備には時間を要することから、港湾関係事業者とともにしっかりと連携しつつ、長期的な視点から取り組みを進めていく必要があります。
 東京港が引き続き東日本を支える物流拠点であり続けるためには、将来を見据えた戦略的な取り組みが必要ですが、都の見解を伺います。
 次に、地下鉄ネットワークについて伺います。
 我が党が尽力して設置された実務者協議会の中でも、首都圏鉄道網の拡充は最重要テーマの一つであり、課題解決に向けて集中的に国との協議を進めるべきです。各路線それぞれ課題はありますが、特に地下鉄八号線の事業主体、東京メトロによる整備、運行の問題については、まさに国との協議なくしては解決できない課題であります。
 こうした中、先月、国が地下鉄八号線を含む地下鉄ネットワークのあり方に関する審議会を立ち上げたことは、今後の進展の大きな一歩になるものと期待されます。
 国際競争力の強化に資する地下鉄八号線の整備に向けて、国としっかり連携して取り組むべきと考えるものであり、我が党も進んで汗をかいていく覚悟でありますが、知事の見解を伺います。
 先月、審議会では、地下鉄ネットワーク拡充に向けたプロジェクトとして、地下鉄八号線に加え、臨海地下鉄構想や品川地下鉄構想についても取り上げています。これら構想二路線は、都心と臨海副都心、あるいはリニア中央新幹線の始発駅となる品川とのアクセス利便性を向上させ、国際競争力の強化に資する重要なインフラです。
 一方、検討の熟度が低い構想段階の路線であるとされており、実現に向けては、国などとしっかりと連携をし、早期に具体化を図る必要があります。
 これらの構想二路線の具体化に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
 また、国の審議会では、地下鉄ネットワークのあり方とあわせて、復興財源確保法の観点から、メトロ株の取り扱いについても議論が始まりました。地下鉄ネットワークの実現に向けては、東京メトロが果たすべき役割を踏まえながら、メトロ株の取り扱いをどうするかといった議論は避けて通れません。
 都が保有するメトロ株の売却も含めた取り扱いについて今後どのように対応するのか、知事に伺います。
 近年、大規模な水害が全国各地で頻発しております。都内で最も水害の危険性が高いのが江東五区といわれ、区部東部低地帯の住民二百五十万人は常に危機感を持って暮らしております。
 江東五区の浸水想定区域は広範にわたり、いわゆるゼロメートル地帯は百二十四キロ平米もの広がりがあります。これは、大正時代以降、特に戦後から高度成長期にかけ、地下水を過剰にくみ上げた結果であり、数メートルも地盤沈下を引き起こした大きな要因の一つです。
 その後、揚水規制により地盤沈下は鎮静化したものの、地下水の実態はいまだ解明されていない部分が多く、地下水の保全と利用は慎重に行うべきです。
 都は、さまざまな機関と連携をし、地下水の実態把握を進めているとのことですが、現状の取り組みについて伺います。
 地下水は、揚水規制のみにとどまることなく、涵養していくことも重要です。都市化が進み、地面に雨水が浸透しにくくなっているのが現状であり、近年、崖線に存在する井の頭池などの湧水が渇水し水質悪化しているのもこの証左であります。
 上水道を全て地下水で賄う熊本県の施策のように、地下水の涵養を都としても進めていくべきことを申し上げておきます。
 この区部東部低地帯における水害の危機の一つに、台風等による高潮があります。大正六年に発生した大正大津波と呼ばれる高潮では、都内の死者、行方不明者が五百六十三名にも及ぶ大災害となり、東京都では、この高潮を契機に、翌年、非常災害事務取扱規程を策定しました。後の関東大震災では、この規程が生かされることとなりました。
 都は、長年にわたり防潮堤などの整備を進めてきましたが、近年報告されるIPCC等によると、地球温暖化による気温の上昇と海面水位上昇は顕在化し、台風強大化なども伴って、高潮の脅威は増す一方であります。
 こうした状況を鑑みれば、被害想定を改め、計画を見直し、より強固な高潮対策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年の施政方針演説において、高台を増やすまちづくりについて知事が言及され、第二回定例会における我が党の代表質問では、土地区画整理、公園、高規格堤防の整備による高台まちづくりや、避難スペースを確保した建築物の整備、浸水区域外への移動を可能にする道路整備など、幅広く議論を進めていくとの答弁がありました。
 昨年十二月には、災害に強い首都「東京」形成ビジョンが示され、モデル地区の設定や具体の地域における高台まちづくりの実践を推進するとしています。
 国土交通省とも連携を深め、災害に強い東京をつくるために今後どのように取り組むのか、都の見解を伺います。
 我が国は、令和元年の台風災害や令和二年七月豪雨など、大規模自然災害の深刻な被害に直面しています。
 昨年の十一月、江東区など東部低地帯に位置する十三区で構成される東京高潮対策促進連盟が、予算確保と事業推進などを求め国へ要望活動を行うなど、地元区も一致団結をして取り組んでおります。そして、十二月、国は、令和三年度以降の国土強靭化施策を閣議決定いたしました。
 これまでの地盤沈下等の影響により、災害に脆弱な地域が広がる東部低地帯において、都は、国や地元区とより一層連携して、安全性向上に向けた取り組みを推進していくことが重要です。
 そこで、東部低地帯を守る河川施設整備の推進について伺います。
 想定最大規模の高潮やカスリーン台風のときのような大河川の上流部決壊等による大水害の発生時では、最長二週間にわたり水が引かないエリアが出てくると予想されています。
 第四回定例会では、浸水期間の短縮のため排水ポンプの機能等の強化を促進すべきとの提言を行いました。
 こうした大規模、広範の水害の際に都民の命を守るためには、河川堤防や防潮堤、高台まちづくりなど、ハードの整備はもとより、避難経路を確保し、適切に避難行動がとれる仕組みづくりも重要だと考えます。
 区部東部低地帯に住まう約二百五十万人の安全確保のためには、垂直避難、広域避難をより実効性のあるものとしなければなりません。
 広域避難のあり方について都はどのように考えているのか、見解を伺います。
 令和二年四月に、我々自民党が必要性を主張し続けてきた八ッ場ダムの運用が開始されたことで、利根川上流ダム群は九つのダム体制となり、都の水源量は約八割が利根川水系となりました。その実際の治水効果は、さきの令和元年東日本台風で発揮されました。また、利水効果についても、昨年十一月から、利根川水系の降水量は平年の六割程度しかないにもかかわらず、利根川上流ダム群の貯水量は平年を上回っています。
 このように、八ッ場ダムが完成したことにより、貯水量が飛躍的に増加し、利根川水系は渇水に対しての安全度がさらに向上したのです。
 この利根川水系を最大限活用することで、多摩川水系にある小河内ダムを安定的に貯留し、平常時はもとより渇水時においても給水の安全度をさらに向上させる必要があります。
 そこで、八ッ場ダムの完成に伴い、都の水源の安定性向上につながる取り組みについて伺います。
 八ッ場ダム完成により利根川水系の水源開発はおおむね完了いたしました。
 一方、都の固有水源である小河内ダムは、六十年以上にわたり都民の暮らしを支えてきていますが、異常気象の影響により想定を上回る堆砂等の課題があると聞いています。また、将来、無降水日数の増加などの気候変動の進行により、厳しい渇水のリスク増大が懸念されております。さらに、構造物の老朽化に伴い、予防保全型管理による施設の長寿命化が求められています。
 小河内ダムを将来にわたり渇水時の最後のとりでとして十分活用できるよう、八ッ場ダムの完成により利根川の安全性が向上した今こそ、長期的な視点に立った総合的な事業計画が必要と考えます。
 そこで、小河内ダムの管理について今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 今月公表された耐震改修促進計画の改定素案では、住宅の耐震化の目標は、引き続き令和七年度末までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消していくとなっております。
 さきの第四回定例会においても、我が党から、いつ起きるかわからない大地震災害時に都民の生命を守るため戸建住宅の耐震化への対応をただしましたが、これまでの取り組みだけでは目標達成は困難であり、より踏み込んだ施策が必要と考えます。とりわけ平成二十八年の熊本地震でも、多くの被害が見られた戸建て住宅等への対応が重要です。
 そこで、戸建て住宅等の耐震化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 今般策定された無電柱化加速化戦略では、都道の整備目標を再設定し、完了時期の大幅な前倒しを行うべく、年間当たりの整備規模を倍増させ、無電柱化のスピードアップを図ることとしています。整備規模の倍増には大変期待するところでありますが、無電柱化には長い時間と費用を要するだけでなく、事業を担う人の確保が不可欠であります。
 都道の電柱ゼロを公約に掲げる知事として、この加速化戦略をどのように実行していくのか伺います。
 車中心のまちづくりから人を中心としたまちづくりに転換すべき今、駐車場の附置義務に関するあり方を考え直す必要があります。
 都はこれまでも、我が党の主張により、平成十四年、地域ルール制度を設けて附置義務の緩和を行ってきたところでありますが、その後の交通量や交通手段の変化、荷さばき場の不足など、近年の地域課題を踏まえ、駐車場条例の改正を視野に、より柔軟な制度見直しが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、中小企業振興について伺います。
 令和元年、いわゆる新担い手三法の改正が行われ、公共工事における発注者、受注者の基本的な責務が改めて示されました。その大きな柱の一つが働き方改革の推進であり、働き方改革関連法の成立を受け、災害への対応、生産性の向上とともに、働き方改革の促進が急務となりました。
 その中で、休日や準備期間等に配慮した適正な工期設定、施工時期の平準化や適切な設計変更などが発注者の責務とされておりますが、適正な請負代金や労務時間等の労働条件を当然加味し、働き方改革を真に実現するために、都もその責任を果たしていかなければなりません。
 公共工事において、都は、いかに働き方改革を進めていくのか、知事に伺います。
 コロナの感染は日本経済全体に深刻な打撃を与え続けています。都の基盤であり、都財政を支えている中小企業の損失ははかり知れず、来年度以降の税収減は明らかであり、先を見据えた商業施策が求められております。
 都内でも、杉並区や江戸川区などでは、区内産業活性化のために区内業者優先の取り組みが進められています。
 都政と都税を支える都内中小企業者に元気を取り戻し、安定した財政基盤を確立するためには、一層の中小企業支援に加え、都内業者優先の取り組みを進めるべきと考えます。
 公共調達における都内業者優先の考え方と商業施策の推進について、財務局並びに産業労働局、それぞれに伺います。
 都内企業の九九%を占める中小企業は、独自の知識や経験を生かした製品や技術、サービスを生み出しており、地域産業の活性化に貢献するのみならず、伝統ある文化やコミュニティの形成にも大きく寄与してきました。
 しかし、新型コロナウイルス感染症との闘いは依然として続いており、深刻な影響を受けております。
 これまで我が党は、知事に対し、厳しい環境下にある中小企業への手厚い支援を再々要望し、本会議でも、倒産や廃業を防ぐための施策の強化を求めてきました。
 都は、コロナ禍が長引いている現状を重く受けとめ、中小企業の事業継続に向けた支援を一層充実させる必要があると考えますが、見解を伺います。
 こうした中で、国の発表によると、都においても、解雇や雇いどめに遭った方は、これまでの累積で約二万人に上っており、特に宿泊業や飲食業などでは深刻な状況です。
 また、成長分野である情報通信業を初め、医療、介護などの分野においても人手不足の状態が続いており、業界ごとに雇用環境は大きく異なっております。
 こうした状況を踏まえ、離職を余儀なくされた方が、未経験の分野であっても、本人の希望や適性に応じて幅広い業界に再就職できる機会を提供することが重要です。
 今後、コロナ禍で職を失った方が、異なった業界にチャレンジでき、業界の状況を踏まえた中小企業の人材確保にも資する支援を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ポストコロナを見据えた観光振興について伺います。
 現在、世界各国で感染拡大の長期化に伴い、外国人の入国制限が続いています。我が国においても、一昨年まで右肩上がりに成長してきたインバウンドの観光需要が消滅し、以前の水準まで回復するには、まだかなりの時間を要することが予想されます。
 こうした状況下において、都内の観光産業を支えていくためには、事業者の感染防止対策の支援に加え、まずは国内からの旅行者をしっかりと取り込むことが先決であります。その上で、インバウンドについても、国内外の感染状況等を見きわめながら、将来を見据えて誘致していく必要があると考えます。
 都は、感染終息後を見据えてどのように観光振興を取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、中央卸売市場について伺います。
 都は、先月末、今後の市場経営のビジョンを示す経営指針の案を公表しました。
 今回、都が、市場経営の将来展望を示したことは重要でありますが、本当に大切なことは、市場業者を交えて策定してきた各市場の経営展望を基礎に、都と市場業者がさらに膝詰めで議論を重ね、紡ぎ上げられた信頼のもとで、未来の市場をいかにして実現していくのかということであります。
 我が党が、かねてより主張してきたように、個々の市場の特色を生かした活気あふれる市場づくりを進めていくことが重要であり、市場を実際に動かしているのは市場業者の方々であります。押しつけでは決してうまくいきません。市場業者との協働がなければ、この指針はもとより、来年度に策定するとしている経営計画も、まさに絵に描いた餅で終わってしまいかねません。
 都は、指針に加え、策定済みの各市場の経営展望を踏まえて市場業者との協働した取り組みを進め、ポストコロナなど時代の変化を見据えた新たな市場づくりを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 教育環境の整備について伺います。
 国は、小学校における三十五人学級を、令和三年度から五年かけて実現する方針を示したところです。
 一方、都教育委員会ではこれまで、教員加配による習熟度別指導など実施をしてまいりました。国は、少人数指導などのための加配の一部を振りかえることを検討しており、都の習熟度別指導実施への影響が生じる可能性も懸念されます。大事なことは、一人一人の個性や能力に合った最適な学びの実現です。
 改めて、習熟度別指導のこれまでの成果と今後の方向性について伺います。
 先日、都立高校の志願者倍率が公表されました。特に工業や商業などの専門高校については、入学者選抜の応募倍率が低迷するなど厳しい結果でした。
 近年、都立高改革によってカリキュラムに特色を際立たせる学校や、進学の実績などの面で成果を出すことで評価を高めた学校がある一方で、工業、商業などの専門高校は、中学生や保護者のみならず、進路指導を行う中学校の現場に、その特色や魅力が十分伝わっていないのではないかと危惧しています。
 我が党は、第四回定例会で、工業高校における改革について取り上げましたが、農業や商業など工業以外の専門学科についても、カリキュラムやプログラムの充実に向けた方策を打ち出し、専門学科ならではの魅力を高めるとともに、PRについても、より工夫すべきと考えます。都の見解を伺います。
 都教育委員会は、都立高校及び都立特別支援学校高等部の生徒一人一台端末整備をCYOD方式により進めるとの方針を示されました。
 まず、各学校で端末を積極的に活用し、より高い学習効果を出せるようにするには、校内、寄宿舎等の無線LAN環境整備が前提です。この事業をさらに加速するべきです。
 また、CYOD方式の導入に当たっては、各校の特徴に応じた端末を活用することができるなどの利点もありますが、端末購入に対する保護者負担については十分に配慮すべきと考えます。見解を伺います。
 国が進めるGIGA端末の整備は、今年度末、都内の全公立小中学校で整備が無事終了する予定と聞いております。内外で端末を積極的に活用し、子供たちの学習効果や意欲をより高めてくれることを期待しています。
 しかし、自治体によって使用制限の範囲が異なるなどの話も聞いております。
 今後、都内のどの公立小中学校や家庭など、あらゆる場所と機会で端末の活用を促進すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 DXの活用について伺います。
 先日、兵庫県の貯水槽で排水弁の閉め忘れによる業務上の過失によって、県職員が約三百万円を個人弁済したとの報道がありました。過去には、都立高校でも、プールの水が流出する事故などがありましたし、都内の小中学校の使用実態を調査したところ、複数の学校で漏水が確認されたケースもあります。
 特に、長時間の休みがある学校施設では、漏水の発見が遅れることが予想されますが、スマートメーターの導入の効果の一つは漏水の発見の早期化です。学校へのスマートメーター設置は、漏水の早期発見のみならず、水使用の見える化により、学校現場のコスト意義や児童生徒への教育素材にもなり得るなど、特に導入効果が期待されます。
 昨年三月公表された実施プランでは、都内公立学校に約二千個のスマートメーターを設置するとのことですが、スマートメーターの導入を加速し、導入効果を高めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 首都直下地震などの大規模災害発生時には、多くの都民が避難所で生活を余儀なくされ、避難所生活を支えるためには多くの物資が必要となります。
 都では、食料や日用品などの生活支援物資を区市町村に提供する役割を担いますが、災害時には道路の被害が発生するなど物資輸送が円滑に行えないケースも想定されます。
 いかなる事態であっても円滑に避難所に物資を届けられるよう、デジタル技術の活用や運送事業者との緊密な連携を図るなど、輸送体制を強化しておくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 近年、全国的にも大規模な災害が頻発しており、都内でも一昨年の台風第十五号や第十九号の際には、家屋の損壊や浸水被害が発生いたしました。特に台風第十九号では、幅広い地域で被害が発生し、建物被害は約二千三百棟にも及びました。首都直下地震では、最大で建物被害は約六十三万棟にも及ぶ甚大な被害想定がされています。
 被災者の迅速な生活再建を支援することは行政の責務です。しかし、近年の災害直後に、罹災証明の申請のためだけに地元の役所で長時間待たされている様子もよく報道されています。
 都では、被災者生活再建支援システムの都内区市町村への導入を促し、システムの共通化など、発災時の迅速な罹災証明発行体制の整備を進めています。
 一方で、首都直下地震の発生時は、被害の規模はこれまでの被害とは比較にならないほど大きく、こうした取り組みを講じても、罹災証明の発行には多くの時間を要し、ひいては被災者の生活再建の長期化を招くことが懸念されます。
 そこで、被災者の円滑な生活再建を支援するため、罹災証明発行にもデジタル技術を活用した仕組みを早急に導入すべきと考えますが、見解を伺います。
 建築行政において、建築基準法に基づくさまざまな手続が行われています。中でも、建築確認は、建築物を建てる際に必ず必要となるもので、都内全体で毎年約五万件もの申請が行われている代表的な手続です。
 建築設計業務においては、CADなどを利用して建築図書を電子的に作成することが一般的であり、建築確認申請も、紙の書類の提出ではなく電子申請が可能となれば、設計者にとっては業務の迅速化、効率化につながり、利便性も高まります。
 一方で、セキュリティー、デジタルデバイドなどの課題もあり、申請者の目線で、より使いやすい電子申請のシステムを構築することが重要です。この観点は、あらゆる行政サービスのデジタル化に今後問われる課題です。
 都は、建築確認のデジタル化に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 東京都のDX化の推進には、同時に、高齢者等への丁寧なデジタル化への普及啓発ときめ細かな支援、いわゆるデジタルデバイド対策をしっかりと行うことが重要であります。
 都議会自民党が平成十九年度に提案をし、活用がされている現行の地域の底力発展事業助成制度に、来年度からデジタル活用支援の新たな事業区分が加わり、町会、自治会の活動、デジタルデバイド対策の支援が推進されます。
 一方で、これらの助成事業の活用を検討する町会、自治会の役員も高齢化しており、町会、自治会だけでは十分な取り組みが難しいと考えられます。
 町会、自治会活動には高齢者も多くかかわるため、地域の底力発展事業の実施に合わせて、各局でのデジタルデバイド対策事業ともしっかり連携をし、活用が促進される工夫を講じることが重要であると考えますが、見解を伺います。
 東京大会について伺います。
 東京大会では、男女共同参画が基本的原則の一つとなっており、女性アスリートの割合は、オリンピックで四八・八%、パラリンピックでは四〇・五%と、過去大会で最も多くの女性が参加する大会となります。大会を契機に、女性のスポーツへの参画を広げ、大会の先のレガシーとしていくことが重要です。
 そのためには、女性アスリートへのさまざまな理解を醸成するとともに、女性アスリートの活躍を支える都内スポーツ団体の組織運営における女性参画のための支援が必要です。見解を伺います。
 また、スポーツ界だけでなく、都がみずから取り組む必要がある中で、都の女性管理職の割合については現在二〇・二%となり、二〇二五年には二五%を目指すとしていますが、都の重要なパートナー、いわゆる政策連携団体の管理職における女性比率についても、明確に目標値を示すべきと考えます。都の見解を伺います。
 現在、コロナに対応するため、医療機関、医療従事者への負担は非常に大きなものとなっています。このような状況を踏まえ、大会時は、都内の病床や医療従事者が不足するのではないか、確保が難しいのではないかという不安の声が聞こえます。安全・安心な大会とするため、大会における医療体制の確保は不可欠です。
 しかしながら、その医療体制を構築するために都民の地域医療が犠牲になるようなことがあれば、大会への都民の理解を得ることはできません。大会開催に向けては、大会に必要な医療体制の構築と都民向けの医療の維持を両立し、その姿をできるだけ早く明らかにしていく必要があります。
 今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 次に、オリンピックを契機とした経済刺激策について伺います。
 都は、生活応援券を補正予算で事業化しましたが、都内の現状を見ると、こうした施策で、コロナ禍から立ち直る都民の背中を押すことは有効であると考えます。そして、その先には東京大会も控えています。
 大会後には、競技施設を初め、さまざまな分野にわたり、有形無形のレガシーが次世代へ継承されていくこととなるのでありますが、過去の大会では、翌年に都内の景気が大きく落ち込んだのも事実であります。
 都民の方々がオリ・パラをやってよかったと実感できる施策を大会前後に実施することで、明るい気持ちで大会を迎えていただくとともに、大会後を見据え、東京の経済活動を刺激することも必要です。
 都民マインドを改善し、大会を盛り上げ、経済を活性化し、新たな好循環を生み出していくような経済刺激策を大会期間の前後に実施することをぜひ検討していただきたいと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会まで残された時間はわずかです。今回新たに就任された橋本組織委員会会長、丸川オリ・パラ担当大臣とともに、安全・安心な大会として成功に導くため、改めてIOC、IPCなど関係者が一体となり、ワンチームで取り組む必要があると考えます。
 知事はこれまで、折に触れて、何としても大会を成功させると明言を続けてまいりました。私を初め、多くの都民、国民もその言葉を信じ、期待をしております。
 一方で、コロナ禍が長期化し、国内外からのさまざまな意見も出ております。開催の可否や延期についての決定権は都にはありませんが、開催都市の責任者として、小池知事の発言には大変注目が集まっています。
 何としても大会を成功させるという小池知事の意気込みは、我が党もまさに同じ思いであります。最終決定時期が近づいている今、改めて大会開催に向けた知事の決意を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山崎一輝議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、国際金融都市の実現についてでございます。
 国際金融都市東京を実現するためには、官民が一体となったオール東京の体制で戦略的に中長期的な施策展開を図るとともに、効果的な取り組みを機を逸することなくスピード感を持って進めることが不可欠であります。
 このため、策定から三年が経過いたしました国際金融都市東京構想の改定に着手をいたしました。特に世界の潮流となっておりますグリーンファイナンスの分野におきましては、有識者によります検討委員会を立ち上げたところであります。
 また、足元の環境変化に対応すべく東京進出を検討する海外企業に対するビジネスコスト軽減などを図る施策を拡充するほか、誘致した企業の東京への定着に向けました支援も行うなど、海外からの企業誘致を一層強化してまいります。
 さらに、制度を所管する国に対しましては、引き続き税制や規制の見直しに係る要望を行う一方で、構想実現に向けました都の取り組みについて、一層密接な連携を図ってまいります。
 今後も、都と国が一体となりまして施策を推し進めることで、東京を世界、そしてアジアの金融ハブとして、再びニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融都市にしてまいります。
 次に、宣言解除後の経済活動、都民の行動などについてのご質問がございました。
 現在、都内の新規陽性者数でありますが、都民、事業者の皆様方のご協力によって減少傾向にはございますものの、医療提供体制の逼迫は長期化しておりまして、予断を許さない状況にございます。何よりも大事なことは、感染の再拡大を招かないように、ここで新規陽性者数をしっかりと下げて感染を徹底的に抑え込むことであります。
 国の対処方針におきましては、緊急事態宣言の解除後も、外出の自粛や営業時間の短縮要請など必要な対策は、感染状況や医療提供体制が十分に改善されるまで続けるとされておりまして、都民や事業者への要請につきましては、こうした方針や特措法の改正などを踏まえて、専門家の意見も聞きながら、都として迅速かつ適切に対応をしてまいります。
 今は、都民の皆様の健康を守る、命を守る、まさに重要な時期であります。都の取り組みに共感をいただけますように、世代や活動の場面などに応じました行動変容につながるメッセージを、都民目線に立ってわかりやすく丁寧にお伝えをし、都民の皆様の理解を得てまいります。
 次に、新型コロナウイルスのワクチンについてであります。
 新型コロナとの闘いで、今ゲームチェンジャーとなることが期待されておりますワクチンの接種が、我が国でも医療従事者を対象に先週から開始されております。先行しております国々から効果などに関する情報は増えつつございますが、副反応が生じる可能性も否定できてはおりません。
 現在、国民の最大の関心事でありますこのワクチンにつきましては、その効果や副反応などに関する正確でわかりやすい情報発信を国に強く求めていくとともに、東京iCDCの専門家のご意見も踏まえながら、ワクチンに関する情報をさまざまなチャンネルを通じまして時機を逸せずに発信してまいります。
 また、今回のワクチンにつきましては、私自身についていえば、条件が整えばその段階で、知事として、また、一都民として接種を受けたいと考えております。
 都民の皆様方におかれましては、今回のワクチンの社会的な意義についても十分ご理解いただいた上で、適切にご判断いただきたいと存じます。
 次に、産業を支える事業者への支援についてのご質問がございました。
 緊急事態宣言が発令される中で、飲食店の方はもとより、関係する多様な事業者の方も含めまして、多くの都民、事業者の皆様方に感染症対策の徹底にご協力いただいておりますことを、この場をおかりいたしまして、改めて感謝を申し上げたく存じます。
 現在、国におきまして、時短営業を要請された飲食店と取引のある事業者等を対象として、一時支援金の支給が検討をされているところであります。
 先般、国の制度の構築に先駆けて一都三県で要望いたしまして、支給額の拡充や要件の緩和につなげております。
 また、都といたしましても、飲食事業者のみならず、都内の中小事業者を広く支援するために、実質無利子融資によります資金繰りの支援や家賃等の固定費負担の軽減などによって、経営の下支えに万全を期しております。
 さらに、コロナ禍におきましても事業の継続が図られますよう、感染防止対策や業態転換など事業者の取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、都内の産業や事業者の状況を的確に把握いたしまして、国、区市町村とも連携した多面的な支援を講じていくことで、早期の経済回復につなげてまいります。
 次に、マスクに関する都民への情報発信についてのご指摘がございました。
 コロナ禍におきましても、さまざまな事情からマスクの着用が難しい場合もございます。
 例えば、触覚や嗅覚などが非常に敏感な、いわゆる感覚過敏の場合や、聴覚障害の方に口の動きを読み取ってもらう必要がある場合などが挙げられます。
 また、花粉症の方は、薬を飲んでおられても、くしゃみなどの症状が抑えられずに、電車内で肩身の狭い思いをしているとの話もあります。
 このため、都におきましては、こうした方々に対して配慮していただくよう、広くホームページやツイッターなどでも発信をいたしております。
 私は、新型コロナ感染症により不安な日々を送られている方々が少しでも心の負担なく安心して過ごせるように、都民の皆様方に、引き続き呼びかけてまいりたいと存じます。
 次に、子供政策についてであります。
 子供は大いなる可能性を秘めた、かけがえのない存在であります。未来を担う社会の宝であります。少子化の進行に加えて、コロナ禍によって子供と子育て家庭を取り巻く環境が厳しさを増す中で、その宝を大切に育てていくという意識を社会全体で改めて共有をして、未来を担う子供への投資に本気で取り組んでいかなければなりません。
 そのため、未来の東京戦略におきましては、子供の笑顔のための戦略を第一に掲げまして、出産、子育て全力応援プロジェクトによって切れ目のない支援や、男性、女性双方の仕事と家庭の両立を実現する家事、育児負担軽減プロジェクト、さらには、子供を大切にすることを最優先とする社会に向けた機運の醸成など、さまざまな取り組みを展開してまいります。
 未来の東京戦略で掲げましたプロジェクトを実行いたしまして、成果につなげることが重要であります。子供や子育て世帯に寄り添う政策を組織横断のチームで推進するなど、都の総力を挙げて取り組んで、誰もが将来に夢と希望を持って生き生きと暮らし続ける東京を実現してまいります。
 望まない孤独への対応についてのご質問でございます。
 核家族化、価値観の多様化などによって、人と人とのつながりが希薄化しつつあります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の流行は人々の生活に大きな影響を与えておりまして、社会との交流が制限されることによる不安などから、あらゆる世代の人が孤独の状態に陥りやすい状況にございます。
 こうした状況を踏まえまして、心と命を守る緊急対策として、電話やSNSによる相談体制の充実強化や若年女性への支援を強化するなど、機動的に対応いたしておりまして、引き続き効果的な対策を講じてまいります。
 さらに、今後は、リアルとオンラインの双方の強みを生かしまして、悩みを抱える人々が相談しやすい体制の構築や居場所を創出する区市町村の取り組みを支援することなどによって、誰ひとり取り残さない社会を実現してまいります。
 地下鉄八号線についてでございます。
 東京の地下鉄ネットワークは、中枢広域拠点におきまして首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、国際的な都市間競争を勝ち抜いて持続可能な東京を実現するためには、そのさらなる充実が不可欠でございます。
 これまで、地下鉄八号線の実現に向けましては、皆様のご尽力もあり設置された国と東京都の実務者協議会の場を活用いたしまして、国などの関係者と協議、調整を重ねてまいりました。
 先月、国の審議会での議論が始まる機会を捉えまして、私が直接、国土交通大臣に対して、審議会においてしっかりと議論を前に進めて、課題を解決していただくよう要請もいたしたところでございます。
 引き続き、審議会での議論と並行いたしまして、関係者との協議、調整をさらに加速して、国と連携しながら、本路線の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、メトロ株の取り扱いについてでございます。
 東京地下鉄株式会社法におきまして、国と都は、できる限り速やかにその保有する株式を売却することが規定をされております。
 先月、国の審議会におきまして、東京圏における地下鉄ネットワークのあり方に加え、東京メトロが果たすべき役割を踏まえたメトロ株の取り扱いについても議論が開始されました。
 東京が将来にわたり持続的に発展していくためには、地下鉄を初めとする鉄道ネットワークのさらなる充実やサービスの向上が必要であり、それに向けましては、東京メトロが重要な役割を果たすと考えております。
 メトロ株の取り扱いにつきましては、まずは、審議会での議論を注視して、その上で、東京メトロが果たすべき役割等を踏まえながら、都としても、しっかりと検討してまいります。
 次に、無電柱化加速化戦略についてでございます。
 私は知事といたしまして、都道府県初の無電柱化推進条例を制定するなど、無電柱化に積極的に取り組んでまいりました。近年激甚化する自然災害に備えるために、一刻も早く無電柱化を進めていかなければならないと考えております。
 さらなる無電柱化の推進に向けまして、このたび無電柱化加速化戦略を策定いたしました。その中で、まず、都道のスピードアップを掲げまして、年間の整備規模を倍増させることによって、対象路線全線の二〇四〇年代の完了を目指すことといたしました。
 その実現に向けましては、執行体制の強化が重要でありまして、都として政策連携団体の一層の活用を進めるとともに、電線管理者とのさらなる連携によりまして、既存の管路などを活用した整備の拡大を図ってまいります。
 また、本戦略に基づきまして、電線管理者などとともに、整備計画の策定を進めて、今後五カ年で無電柱化を実施する箇所や延長などを示してまいります。
 こうした取り組みによって、無電柱化を加速し、世界に誇れる安全・安心な都市東京を実現してまいります。
 次に、公共工事におけます働き方改革についてのご質問であります。
 東京の生産年齢人口は、二〇二五年をピークに減少へと転じることが見込まれる中、建設業におきましては、現場を支える労働者の高齢化が進んでおりまして、担い手不足が課題となっております。
 こうしたことから、東京の建設業が、将来にわたり担い手の確保、育成を図り、地域経済を支え、災害時の対応を担う地域の守り手としての役割を継続的に果たしていくためにも、建設業の働き方改革は重要であると認識をしております。
 そのため、都発注の公共工事におきましては、長時間労働の是正に資するよう、工事の平準化を進めるとともに、適切な工期の設定や週休二日を義務づけるモデル工事の拡大を図っております。
 また、建設業への就業の促進や担い手育成のため、発注におきまして、女性や若手技術者を配置する事業者にインセンティブを付与するとともに、DXを積極的に推進し、生産性向上の取り組みを進めております。
 都は、こうした取り組みを全庁で共有いたしまして、各局の工事現場で実践することによって、東京の建設業におけます働き方改革を着実に後押ししてまいります。
 東京二〇二〇大会を契機とした経済活性化についてでございます。
 都はこれまで、東京二〇二〇大会に向けて万全の準備を整えるべく、ハード、ソフト両面にわたる多面的な取り組みを進めてまいりました。世界の注目が集まる大会を契機に、経済の活性化を図り、新たな経済の循環を生み出すことは非常に重要であります。大会後は、これを都市のレガシーとして発展させることで、都民の豊かな生活につなげていく必要がございます。
 大会での再生エネルギーや水素の活用などを契機として、ゼロエミッション東京に向けた取り組みを加速するとともに、5Gやロボットなどの最先端テクノロジーやさまざまなバリアフリー化の取り組みを都市全体の実装へとつなげてまいります。
 また、中小企業のビジネスチャンスの拡大や、食の魅力発信、国産木材の利用拡大など、大会を通じまして生まれたさまざまな取り組みを発展させて、東京、ひいては日本経済の持続的な成長につなげてまいります。
 さらには、スムーズビズの定着によって、人々が、生き生きと働き活躍できる社会を実現してまいります。
 こうしたさまざまな大会のレガシーを受け継ぎまして、社会に定着させる取り組みを通じて、経済の好循環を生み出し、世界をリードする持続可能な都市東京を実現してまいります。
 東京二〇二〇大会についてでございます。
 史上初の延期となった大会を安全・安心な大会として開催するためには、組織委員会、国、そして東京都が一体となって取り組みを進める必要がございます。
 橋本組織委員会会長、丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣には、就任直後に直接お会いをしまして、コロナ感染症対策、男女平等参画、女性活躍など大会に向けた連携を確認したところであります。
 最大の課題であるコロナ対策につきましては、都、国、組織委員会等で構成されます新型コロナウイルス調整会議において中間整理を取りまとめて、対策の具体化を着実に進めているところであります。
 東京二〇二〇大会は、これまでもさまざまな困難に直面してまいりましたが、その都度、関係者が協力し、知恵を出し合いながら準備を前に進めてまいりました。関係者との連携を一層強化するために、都、国、組織委員会、IOC、IPCによる五者協議を来週にも開催するよう調整をしているところであります。
 大会まで既に百五十日を切っております。安全・安心な大会の開催に向けまして、引き続き関係者と一体となって全力で取り組んでまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) 国と東京都の実務者協議会についてでございます。
 都の重要施策の実現に向け、これまで三回にわたり実務者協議会を開催したほか、各局による関係府省庁との協議を通じ、国に対し働きかけを行ってきているところでございます。さらに、昨年十一月には、私みずからが要請活動を行うなど、全庁が連携して取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みにより、五年間で十五兆円規模となる国土強靭化施策や、東京圏の地下鉄ネットワークのあり方などを検討する委員会の設置を初めとする重要施策が着実に前進するなど、一定の成果を得ているというふうに考えております。
 今後、各局が関係府省庁と協議を重ね、国との連携を一層強化するとともに、協議事項につきましても、達成状況の検証や将来の方向性の整理を行い、協議内容に反映させるなど、残された重要施策の実現についても、引き続き努力してまいります。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、都政の構造改革におけるDXの推進でございますが、都政の構造改革の目的は、都民の皆さんに対するサービスの質、QOSの飛躍的な向上であります。
 インターネットの利用率が九〇%に上る現在におきましては、行政のデジタル化を進めることで、時間や距離の制約を超え、誰もが、いつでも、どこからでも行政サービスにアクセスできるようになり、都民の皆さんの利便性を向上させ、生活の質を高めることが可能となります。
 このたび実施したデジタル化に関する都民実態調査では、今後、デジタル化を進めてほしい行政手続として、医療、介護の四八%を筆頭に、教育、防災が続き、生活に身近な分野が上位を占めました。私たちには、こうしたニーズに真摯に向き合い、ユーザーである都民の皆さんの目線に立ったデジタルサービスを提供していく使命があります。
 このため、紙や対面が中心であったこれまでの都政から脱皮し、デジタルの力を駆使してサービスのあり方を変革する新たな都政、シン・トセイの実現に向けて、戦略では、行政手続のワンストップオンライン化、五つのレスの推進などをコアプロジェクトに位置づけ、最優先で取り組んでいくこととしております。
 これらを効果的に進めていくため、職員の働く環境も大きく転換いたします。費用対効果を踏まえながら、最新のデジタル機器やクラウドの活用を拡大して生産性を高め、マンパワーをきめ細かな都民対応やイノベーティブな業務へシフトさせてまいります。
 また、都民の皆さんからの行政サービスに対する評価やニーズを極力数値化して把握し、改善を繰り返すことで、都民の満足度向上につなげてまいります。
 私は、行政のDXとは、情報技術の力でクオリティー・オブ・サービスを高め、サービス開始後も都民の顧客体験を改善し続ける永久運動が行政組織に定着した状態になることだと考えております。変化や批判を恐れず、柔軟な発想で改革を実践し、都民の皆さんの誰もが安全・安心で、幸せを享受できる社会を実現していきたいと考えております。
 次に、島しょ地域の5Gエリア化についてでございますが、私は、TOKYO Data Highway、電波の道の構築を進めることが、遠隔医療など多様なサービスの実現を促進し、ひいては都民の皆さんのクオリティー・オブ・ライフの向上につながるものと信じて取り組みを進めております。
 インターネットは、距離の壁を越えて、どこからでもアクセスできることにメリットがあり、島しょ地域や山間地域等でこそ、その真価が発揮されます。
 都はこれまで、島しょ地域の光ファイバー網の整備に取り組み、令和元年度に全島でブロードバンドサービスの提供を開始するとともに、令和二年度には、台風に備えた光ファイバーのループ機能の強靭化を図りました。
 次は、モバイルインターネット網の整備が必要となってきます。国の計画では、令和五年度までに、全国で二十八万局のアンテナ基地局を整備することとしており、島しょ地域においても、段階的な整備が想定されます。
 一方、都においては、各通信事業者のトップと、サミット等を通じて顔の見える関係を築き、5G基地局の整備促進を図ってまいりました。
 島しょ地域では、既に約八百件の都保有アセットを公開しており、今後は、区市町村が保有するアセットの公開に向けた説明会等の開催やワンストップ窓口の体制強化に取り組む等、通信事業者による基地局設置の加速化に向け、取り組みを進めてまいります。
 こうした取り組みを通じ、島しょ地域において、モバイルインターネット網の整備を進めるとともに、インターネットの特徴を生かした新たな行政サービスを創出していく決意でございます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、公立小学校における習熟度別指導についてでございますが、都教育委員会は、教科の特性に応じたきめ細かい指導を充実させるため、国の制度を活用して、小学校に教員を追加配置し、算数において、学級を複数の学習集団に分け、児童の習熟の程度に応じた指導を推進しております。
 この取り組みにより、国の学力調査では、都内公立小学校の正答率は、全国平均を上回り、上位層の児童の割合は、全国平均より多く、また下位層の割合は少ない状況となっております。
 また、都の調査では、算数がわかると回答した児童が九割に達しており、その多くが、習熟度別指導を理由に挙げております。これらは、この取り組みによる成果であると認識をしているところでございます。
 今後とも、この取り組みの着実な実施に向け、国に対して教員の追加配置の継続を要望するとともに、指導内容を充実させ、児童一人一人の学力向上を図ってまいります。
 次に、商業高校と農業高校における教育活動の充実についてでございますが、専門高校は、産業や経済の発展を担う創造性と実践力を身につけた人材の育成が求められており、都教育委員会は、専門高校において、実社会に直結した学びのさらなる充実を図っているところでございます。
 商業教育では、企業と連携してコンソーシアムを設置し、生徒と企業が協働して商品開発や販売戦略等について学ぶ都独自の事業を展開しております。
 また、農業教育では、全校でGAP認証を取得し、持続可能な農業を学ぶ取り組みを推進しております。来年度は新たに、都立農業高校と東京農工大学との連携により、大学レベルの研究に触れるプログラムを構築してまいります。
 あわせて、専門高校ならではの魅力を、進路選択を迎える中学生にアピールするために、在校生の様子や卒業生の声を冊子や動画で紹介する取り組みを行ってまいります。
 次に、高校段階の一人一台端末導入に向けた環境整備についてでございますが、都教育委員会は、高校段階の学習にふさわしい一人一台体制の整備について、学校が推奨する端末を保護者が購入し生徒の所有とするCYOD方式によることとし、令和四年度入学生から導入いたします。今後、端末購入に係る保護者支援のあり方について検討してまいります。
 また、学校でのデジタル活用の推進に向けては、校内の通信環境の充実が不可欠であることから、当初、今年度から三年間を予定しておりました校内無線LANの整備計画を一年前倒しをいたしまして、二カ年で進めることといたしました。
 具体的には、今年度八十七校、来年度は百六十七校で整備し、特別支援学校を含む都立学校全校で利用可能といたします。
 こうした取り組みを着実に推進し、生徒のデジタル活用を促し、学びの質を一層高めてまいります。
 最後に、小中学校の学習者用端末の効果的な活用についてでございますが、未来を生きる子供たちは、問題を解決する力や新しい価値を創造する力を身につけることが重要でございます。
 そのためには、一人一台端末を学習用文具のように日常的に活用していけるよう、校外学習や家庭への持ち帰り等も含め、有効活用を図ることが大切でございます。
 このため、都教育委員会は、小学校から高校までの発達段階別に身につけるべき機器の操作や情報を活用する力、情報モラル等を系統的にわかりやすく一覧にして学校に示したところでございます。
 加えまして、端末活用を促すための教員向けチェックリストを掲載した都独自のリーフレットを都内全公立学校に配布、配信し、デジタルの効果的な活用を支援しております。
 これらを通して、教員のデジタル活用指導力の向上を図り、全ての子供たちの端末を活用した学びを充実させてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、社会資本整備についてでございます。
 東京が持続的に発展していくためには、中長期的観点から、既存の都市基盤施設等を最大限活用し、さらに充実させ、国際競争力を強化するとともに、激甚化、頻発化する自然災害などにも的確に対応していく必要がございます。
 このため、人、物、情報の活発な交流を支え、かつ渋滞解消にも資する道路鉄道ネットワークを充実強化するとともに、首都直下地震や大規模水害に備え、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化や無電柱化の加速、調節池等の整備、高規格堤防の整備と連携した高台まちづくりなどを推進してまいります。また、安らぎと潤いを与え、CO2吸収源ともなる緑の保全、創出を進めてまいります。
 地球環境と調和を図り、先端技術も活用しながら、社会資本整備を推進し、都民の安全・安心を支えてまいります。
 次に、構想二路線についてでございます。
 将来にわたり東京が持続的に発展し、日本全体の成長を牽引するためには、活発な都市活動を支える鉄道網のさらなる充実が不可欠でございます。
 臨海地下鉄構想と品川地下鉄構想は、国際競争力の強化に資する路線でございまして、特に臨海地下鉄構想は、都心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有しております。
 とりわけ、大いなるポテンシャルを有するベイエリアにおきまして鉄道網を充実することは、東京を持続可能な都市にしていく上で重要でございまして、ひいては日本の成長を確かなものにつなげることになります。
 国の審議会での議論も踏まえ、国や地元区など関係者間で連携いたしまして、事業計画の検討を進めるなど構想の具体化を加速してまいります。
 次に、高台まちづくりについてでございます。
 都は、防災まちづくりを強力に推進していくため、国とともに連絡会議を設置し、幅広く検討を重ね、昨年十二月に区画整理と高規格堤防による高台づくりや再開発事業による避難スペースの確保などの方策を盛り込んだビジョンを公表いたしました。
 こうした方策につきまして、地区特性を踏まえた適用を図るため、連絡会議のもとに、地元区も含めたワーキンググループを設置し、地域の避難計画とも連携しながら、江戸川区船堀地区等のモデル地区ごとに検討してまいります。
 その中で抽出されました課題に対しまして、制度の充実を国に働きかけることで、事業者への支援につなげることが可能となります。
 国や関係自治体と、より一層連携を図りながら、災害の脅威から都民を守る強靭な東京を実現してまいります。
 次に、戸建て住宅等の耐震化についてでございます。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守るだけでなく、都市の防災性向上の観点から重要でございまして、今年度末に改定いたします耐震改修促進計画では、令和七年度末までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することとしております。旧耐震基準の戸建て住宅等につきましては、耐震改修だけではなく、除却や建て替えによる耐震化を積極的に促進してまいります。
 特に、除却につきましては、老朽化が進む中、住宅ストックの耐震化を推進する上で有効であることから、整備地域外におきまして、新たに助成対象といたします。
 また、区市町村による所有者への積極的な働きかけをさらに促進するため、専門家を活用いたしまして、個別訪問等を行う区市町村への補助を拡充いたします。
 こうした取り組みにより、戸建て住宅等の耐震化をさらに促進してまいります。
 次に、駐車場条例による地域ルールの制度についてでございます。
 この制度は、地区の特性に応じた駐車場の附置を可能とするものでございますけれども、課題といたしまして、まず、都心部などの対象エリアにおきまして、より積極的な活用が求められております。
 また、近年では、対象エリア外でも、鉄道駅周辺等で駐車場の供給過多や荷さばき車の路上駐車等の問題が生じているほか、人中心のまちづくりの取り組みなども見られることから、こうした地域ごとの課題にも対応できるよう、駐車場整備に関する方策を見直す必要がございます。
 このため、都は、有識者による検討委員会を設置いたしまして、条例改正を視野に、地域ルールの対象エリアの拡大や制度の活用促進策などにつきまして検討を行っておりまして、本年秋ごろまでに検討結果を取りまとめてまいります。
 最後に、建築確認のデジタル化についてでございます。
 建築確認は、都民生活や経済活動を支える建築物の安全性を確保する上で重要な手続でございまして、都政のQOSを高めるため、積極的にデジタル化を進める必要がございます。
 一部の民間確認検査機関では、既に電子申請を導入しておりますけれども、外部の関係機関との必要な手続がオンライン化されていないことなどから、対象が戸建て住宅等に限定されております。
 そこで、都が率先して、一連の手続全体をオンラインでカバーできる仕組みの構築に取り組んでまいります。情報セキュリティーやデジタルデバイド等の問題にも留意しながら、令和五年度からの運用開始を目指します。
 あわせて、まだ電子申請に対応していない民間機関や区市も含め、関係者の統一的な取り組みを促し、効率性と使いやすさを向上させ、都民サービスの充実を図ってまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、今年度の事業の見直しについてでございます。
 財政環境が厳しさを増す中にありましても、都民の命を守り、都民生活や経済活動を支えるとともに、社会の変革を促し、東京の未来につなげる取り組みに財源を的確に振り向けていくことが必要でございます。
 このため、令和二年度予算につきましては、当初予算以後の状況変化等を踏まえつつ、三年度予算編成作業と一体的に検証しながら、歳出の精査を図っていくことといたしました。
 こうした考え方に基づきまして、最終補正予算において、予算の執行状況の総点検を行いまして、現時点で執行しないことが明らかな事項など、歳出ベースで約三千億円を精査し、財源の確保に努めたところでございます。
 次に、来年度予算の執行についてでございますが、令和三年度予算では、新型コロナウイルス感染症対策に加えまして、少子高齢化への対応や災害への備えなど、都政の課題解決に向け、的確に対処することとしておりまして、施策の目的に沿いまして、着実に事業を実施していくことが求められるところでございます。
 一方、厳しい財政環境の中、限られた財源を有効に活用するため、予算執行に当たりましては、創意工夫を凝らしつつ、経済性、効率性のさらなる向上に努めるとともに、不断の見直しを行いながら取り組むことが重要でございます。
 来年度の予算執行段階におきましても、各局とともに、無駄をなくす取り組みを徹底いたしまして、事業環境の変化等に応じて、必要性や緊急性などを見きわめながら、的確に対応してまいります。
 最後に、公共調達におけます都内中小事業者への対応についてでございます。
 都内に本拠のある中小事業者は、地域社会の活力増進や雇用の創出に加え、都民生活の向上に重要な役割を果たしております。
 そのため、都におきましては、入札契約制度面から中小事業者を支える仕組みとして、これまでも分離分割発注や人員の有効活用に資する施工時期等の平準化などの取り組みを進めてまいりました。
 一方、現下のコロナ禍におきまして、都内中小事業者の受注機会の確保は、その重要性を増しており、引き続き地域性や企業規模を考慮した優先指名、事業協同組合の活用、工事発注における技術者育成モデルJV工事等の取り組みの実効性を高めまして、都内中小事業者を支えてまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、区市町村への財政支援についてでございますが、区市町村が地域の実情に応じたきめ細かな施策を講じられるようにするには、幅広い財政需要に対応可能な形で支援していくことが重要でございます。
 市町村に対しては、一般財源を補完する市町村総合交付金を五億円増額いたしますとともに、政策連携枠の対象項目を拡充し、行政のデジタル化など、喫緊の課題に対して重点的な支援を行ってまいります。
 特別区に対しては、新型コロナウイルス感染症対策経費に特別区財政調整交付金を活用するとともに、今年度から令和四年度までの三年間、投資的経費の財政負担緩和として区市町村振興基金を無利子での貸し付けをしてまいります。
 これからも、各区市町村が持続可能な財政運営を自律的に行えるよう、必要な支援や助言に努めてまいります。
 次に、区部東部における広域避難についてでございますが、大規模水害から都民の命を守るため、都はこれまで、国や関係自治体などと連携し、多摩地域や近隣県などへの広域避難を軸に避難の検討を進めてまいりました。
 こうした中、令和元年東日本台風では、広範囲での被害や鉄道の計画運休による避難時間の制約など、さまざまな課題が明らかとなりました。このため、浸水の危険性などの地域特性や避難に時間を必要とする高齢者など個々の事情を考慮し、早期の自主避難や建物の上層階への垂直避難などを検討いたしますとともに、区部東部に近い大規模施設を避難先として活用していくことといたしました。
 今後、都として、地元自治体と連携しつつ、自主避難等の重要性の住民周知や広域避難先の確保などの取り組みを推進し、大規模水害に備えてまいります。
 次に、災害時の物資輸送体制の強化についてでございますが、大規模災害の発生時には、各避難所に迅速かつ確実に必要な物資を提供することが重要でございます。
 このため、都は来年度から、災害対策本部と支援物資を搬送する車両との間で、スマートフォンで双方向に情報の伝達が可能となる仕組みを導入をいたします。
 具体的には、最適な輸送経路の選択が可能となるよう、道路の被害状況や復旧情報を輸送車両に伝達するとともに、輸送車両管理の円滑化を図るため、災害対策本部において輸送車両の現在地を確認できるようにすることで、物資の輸送状況を把握いたします。
 こうした取り組みを通じ、協定事業者とも連携を図りながら、災害時の物資輸送体制を強化してまいります。
 次に、罹災証明のデジタル技術の導入についてでございますが、首都直下地震の発災時には、膨大な件数の住家の調査が必要となり、被災者の生活支援を進めるに当たって大きな課題となります。
 都はこれまで、罹災証明書の迅速な交付や区市町村の住家被害認定調査の標準化を実現するため、被災者生活再建支援システムを開発し、区市町村と共同で運営するとともに、調査等を行う人材の育成にも努めてまいりました。
 来年度からは、住家被害認定調査に際しまして、被災家屋の画像から被害の程度をAIに判定させるシステムの開発を進めます。これを国や区市町村のシステムと連携させ、罹災証明の発行手続のデジタル化につなげてまいります。
 こうした取り組みを通じて、発災後、都民が早期に日常を取り戻せるよう努めてまいります。
 最後に、政策連携団体の女性管理職割合についてでございますが、都庁グループの一員として、都とともに政策実現を目指す政策連携団体におきましても、女性の力を最大限に生かしていくことが重要であり、これまで各団体において、固有職員の女性管理職登用に努めてまいりました。しかし、一部の団体では、都の水準を超えているものの、団体全体としては、都の平均を下回ってございます。
 女性管理職割合については、都と同水準となることが望ましいことから、各団体に対して、人事制度、職員構成など団体固有の実情を踏まえながら、女性の固有職員が組織の中心的な役割を担える職場環境の整備に努めるよう指導監督をしてまいります。
〔政策企画局長中嶋正宏君登壇〕

○政策企画局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京ベイeSGプロジェクトと仮称ベイエリアビジョンとの関係についてでございますが、都ではこれまで、おおむね四半世紀先であります二〇四〇年代を見据え、東京、ひいては日本の今後の成長を牽引するベイエリアの将来像を示すため、ベイエリアビジョンの検討を進めてまいりました。
 今回立ち上げましたプロジェクトは、新型コロナで浮き彫りになりました社会の構造的な課題を克服し、持続可能な都市を実現するため、ベイエリアを舞台に、五十年、百年先までを見据えたまちづくりを構想するものでございます。
 今後、ベイエリアビジョンとの関係を整理しつつ、その検討成果も踏まえながら、本プロジェクトにつきまして取りまとめてまいります。
 次に、東京ベイeSGプロジェクトの今後の展開についてでございますが、本プロジェクトは、ただいま申し上げましたとおり、五十年、百年先までをも見据え、持続可能な都市を構想するものでございまして、そのためには、まちづくりの長期的な時間軸に合わせて必要なインフラ整備を進めていく必要がございます。
 このため、今回のドラフトでは、戦略の一つとして、サステーナブルな都市交通ネットワークを掲げ、地下鉄の事業化などによるアクセスの向上やZEVの活用などを検討事項として示しております。
 今後、有識者などから幅広く意見を伺い、先見性を持って都市の将来像を描くとともに、これを踏まえてまちづくりの進展を見据えたインフラ整備などを検討し、目指すべき都市の実現に向け、地元区などとも連携しながらプロジェクトを展開してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナワクチンの輸送体制についてでございます。
 都は、来月開始予定の医療従事者等への優先接種に向け、現在、ディープフリーザーでワクチンを保管する基本型接種施設を約百六十カ所、基本型施設からワクチンの移送を受ける連携型接種施設を約四百八十カ所確保してございます。
 ワクチンの品質は、温度管理や輸送方法などの影響を大きく受けることから、定められた条件で適切に配送する必要がございます。
 このため、都は、特別区及び多摩地域では、民間事業者等と協同した輸送の仕組みを構築するとともに、島しょ地域では、各町村と緊密に連携しながら、個別の交通事情を考慮した輸送体制を検討しております。
 今後、確実なワクチンの輸送に向け、医療機関や地元自治体などとも連携しながら、万全の体制を整えてまいります。
 次に、宿泊療養施設についてでございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するため、宿泊療養施設を順次拡充し、現在、保健所から要請があった宿泊療養の対象者は全て受け入れております。
 しかし、宿泊療養よりも自宅療養を希望する方が多く、その利用率は二割程度となっているため、二月十九日に、入院対象者以外の感染者は、自宅療養ではなく、原則宿泊療養とする通知を発出するよう国に要望いたしました。
 また、保健所にかわり、患者への説明や問い合わせに都が対応する取り組みを一部の保健所で試行しており、あす二十五日から全都で行うことといたしました。
 さらに、ホームページに宿泊療養施設での生活やその安全性をわかりやすく紹介するなど、宿泊療養施設の利用促進に向けて引き続き取り組んでまいります。
 最後に、新型コロナ患者の入院調整についてでございます。
 新型コロナ患者数が大幅に増えた際には、病床の確保や患者の受け入れ調整は、都道府県での対応を基本とすることとした令和二年三月十九日の国の通知に基づき、同年四月二日に東京都入院調整本部を設置し、入院先の調整が困難な場合等に、保健所からの要請に応じて、受け入れ先となる医療機関を調整する取り組みを開始いたしました。
 先般、感染症法が改正され、同法第二十二条の三に、都道府県知事による入院に関する総合調整の規定が設けられました。
 都は、この趣旨等も踏まえ、都内の医療資源を最大限に活用し、患者の重症度に応じた入院先の決定を速やかに行うことを目的に調整本部を運営してございます。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、認証保育所についてでございますが、大都市特有の保育ニーズに対応する認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つであり、都は、開設準備経費や運営費等を補助するほか、今年度は、空き定員を活用して、待機児童数の大半を占める一歳児の受け入れを促進するための支援を開始いたしました。
 来年度からは、利用児童数に応じて、より柔軟な施設運営が行えるよう、一定の条件のもと、定員数ではなく、在籍児童数に応じて職員を配置できるようにいたします。
 また、きょうだいで同じ施設を利用したいというニーズ等に柔軟に対応できるよう、三歳児までとしている認証保育所B型の補助対象を就学前児童まで拡大することとしており、今後とも、区市町村と連携しながら、認証保育所の取り組みを支援してまいります。
 次に、児童養護施設退所者等の自立支援についてでございますが、都は、児童養護施設や自立援助ホームの退所児童等が自立し安定した生活を送ることができるよう、自立支援コーディネーター等を配置する施設を独自に支援してまいりました。
 今般、国制度により、自立支援を担当する職員を一名配置した場合に、運営費を増額して支援することが可能となりましたが、国が求める配置要件を満たせず制度を活用できない施設に対しては、都独自の支援を継続して行います。
 また、一人一人によりきめ細かい支援を行うため、来年度から児童養護施設の複数配置に係る支援対象者数の要件を、年間八十人以上から四十人以上に引き下げるなど、より多くの施設が都の制度を活用して職員を複数配置できるようにする予定でございまして、今後とも、施設を退所した児童等の自立支援に取り組んでまいります。
 次に、障害者児施設の整備促進についてでございますが、都はこれまで、障害者・障害児施策推進計画に障害者の地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームや児童発達支援センター等の整備を促進してまいりました。
 新たな障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、令和三年度から五年度までにグループホームの定員を二千五百人分増やす目標を掲げ、施設整備に係る設置者負担を軽減する特別助成等を行うこととしてございます。
 また、児童発達支援センターや、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所等を各区市町村に一カ所以上設置することを目指し、未設置地域に整備する際の補助基準額を来年度から上乗せいたします。
 こうした取り組みにより、地域における障害者、障害児の生活基盤の整備を推進してまいります。
 最後に、介護人材対策についてでございますが、都は、介護人材の確保、定着、育成のため、職場体験や資格取得支援のほか、奨学金返済相当額の手当支給を行う事業者を支援するなど、さまざまな取り組みを実施してございます。
 来年度は、職員の負担軽減のため、デジタル機器等の導入に取り組む事業者を支援するとともに、働きやすい職場環境づくりのためのセミナーを開催いたします。
 また、介護の仕事への理解促進に向けた介護事業者による学校訪問など、地域の実情に応じたさまざまな取り組みのほか、小規模事業者等が合同で職員研修、採用説明会を行うなど、地域の事業者の連携体制の構築に向けた取り組みを実施する区市町村を支援することとしており、今後とも、効果的な介護人材対策を進めてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギー電力の利用拡大についてでございますが、二〇三〇年のカーボンハーフに向けては、再エネの設備導入と利用拡大をあわせて進めることが重要でございます。
 設備導入については、住宅や事業所への設置支援を行っており、来年度は、都内での再エネ電力利用のために都外で新規再エネ電源を設置する取り組みに対し、新たに支援を行ってまいります。
 利用拡大につきましては、キャップ・アンド・トレード制度等での再エネ利用を促す仕組みの導入やRE一〇〇等を目指す事業者の取り組みを後押ししてございます。
 加えて、都は、二〇三〇年に都有施設の使用電力RE一〇〇化を目指してございまして、来年度は、都立学校や島しょの施設等での再エネ利用拡大を図ってまいります。
 今後、設備導入と利用の両面での取り組みを積み重ねながら、二〇三〇年、再エネ電力利用割合を五〇%に高めてまいります。
 次に、ガソリンスタンドにおける水素ステーションの整備等についてでございますが、土地が限られる都内で水素ステーションの整備を進める上で、ガソリンスタンドは貴重な拠点である一方、整備、運営費の負担や設置スペース確保等の各課題がございます。
 このため、都は、これまでの整備、運営に係る支援を拡充するとともに、工事期間中の営業損失や屋根上に水素供給設備を設置できる次世代型キャノピー整備への支援などを新たに導入いたします。
 また、水素ステーション等に燃料電池自動車のカーシェア等の導入を図るなど、水素需要を高め、経営にも資する取り組みの提案、支援を行ってまいります。
 これらの取り組みにより、ガソリンスタンドにおける水素ステーションの整備拡大を図ってまいります。
 次に、水素利用の拡大と企業参画についてでございますが、再生可能エネルギーの導入とともに、これを支える水素の利用を拡大し、サプライチェーンにかかわる幅広い企業の参画を促すことは、経済波及効果の面からも重要でございます。
 都は、昨年十二月、東京及び首都圏における水素利用の一層の拡大や水素技術のさらなる社会実装に向けた取り組みの連携につきまして、国内の水素関連企業に呼びかけたところでございます。
 来年度は、企業と連携しまして、再エネ由来水素設備等を活用して電力の最適な需給調整を行う実証事業を開始するほか、水素消費量が大きい燃料電池トラック等の実証に向けた検討を進めてまいります。
 これらの取り組みによりまして、水素の普及拡大を図りながら、さらなる企業の参画を促してまいります。
 次に、カーボンハーフに向けた九都県市等との連携についてでございますが、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けては、マイルストーンとなる二〇三〇年までの十年間の取り組みが非常に重要でございます。
 そのためには、都みずからが、都民や企業等の共感を得ながら、行動変容を促していくとともに、九都県市等とも協力しながら行動を加速していく必要がございます。
 こうした観点に立って、例えば、家庭の再エネ電力利用を促す、みんなで一緒に自然の電気のキャンペーンにつきましては、今年度は九都県市に参加を呼びかけ、連携して実施してございます。
 今後、二〇三〇年のカーボンハーフに向けた具体的な方策を検討するとともに、引き続き九都県市等にも連携を働きかけながら、実効性ある取り組みを加速してまいります。
 最後に、地下水の実態把握の現状の取り組みについてでございますが、地下水のくみ上げに伴い沈んだ地盤はもとには戻らないことから、地下水の実態の解明は重要でございまして、地下水の揚水には慎重な対応が必要でございます。
 都は、継続観測している地下水と地盤変動のデータ等を用いまして、揚水が地下水位や地盤に与える影響について、環境科学研究所や大学など学術機関と連携し、研究を進めてございます。
 最新の研究成果では、低地部の地層の水圧を解析したところ、軟弱な粘土層から水が絞り出される余地が残っていることが判明しまして、地下水位の低下で地盤沈下が再発する可能性があるとの知見が得られたところでございます。
 引き続き、揚水規制を継続しながら、研究機関と連携を深め、さまざまな科学的データを収集、蓄積し、さらなる地下水の実態把握を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギー周辺技術の開発支援についてですが、再エネの普及促進には、基盤技術のほか、部材の開発から装置の保守点検まで、多くの周辺技術が必要となるため、高い技術力を持つ中小企業の参入が期待できます。
 都は、中小企業が大学等との連携により、再エネ等の分野における研究開発や事業化に取り組む場合に、費用助成等の支援を行っているところでございます。また、製品等の品質向上や量産体制の構築に必要な設備投資費用も助成しております。
 加えて、都立産業技術研究センターにおいては、再エネ周辺技術に活用可能な部材の強度や耐久性に関する試験のほか、最新の技術動向に係る情報提供等によりまして、中小企業の参入を技術面から支援しているところでございます。
 これらの取り組みを通じて、中小企業による再エネ周辺技術の開発を後押ししてまいります。
 次に、都内中小企業の官公庁からの受注についてですが、厳しい環境にある都内中小企業の経営安定化を図る上で、官公庁による受注機会の確保は重要でございます。
 産業労働局は、財務局と連携いたしまして、庁内各局に対して、中小企業等の新規参入者への配慮や分離分割発注の推進等に努めるよう要請しているところでございます。
 また、ウエブサイトを通じて、都や政策連携団体等の発注情報を広く提供しております。
 今後、発注情報のさらなる充実を図るとともに、都内中小企業の新製品等を都が試験導入するトライアル発注認定製品の情報も掲載いたします。
 さらに、全区市町村に認定製品を周知して、購入を直接呼びかけてまいります。
 引き続き、都内中小企業の受注機会の拡大に取り組み、その経営をしっかり後押ししてまいります。
 次に、中小企業の事業継続に対する支援についてですが、長引く感染症の影響により、都内経済を取り巻く環境は一層厳しさを増しており、中小企業の事業継続や経営の安定化をしっかり支えていく必要がございます。
 都はこれまで、実質無利子融資のほか、家賃等支援給付金や感染防止対策のための助成金を実施するなど、中小企業の事業継続の下支えに取り組んでまいりました。
 来年度は、新しい日常に対応した事業展開を後押しするため、新製品の開発等に必要な設備投資について、デジタル技術の導入を重点的に支援するほか、オンラインの活用などによる新たな販路開拓の取り組みへの支援も強化いたします。
 今後とも、中小企業の経営基盤強化に向けたさまざまな取り組みを展開してまいります。
 次に、業界の状況を踏まえた再就職支援についてですが、コロナ禍において、一時的に雇用過剰となっている業界がある一方で、ITや介護など人手不足が継続している業界も存在しておりまして、こうした業界への再就職支援は効果的な取り組みでございます。
 このため、都は来年度、業界団体と連携いたしまして、人材確保に資する新たな就労支援の仕組みを構築いたします。
 具体的には、業界特有の業務知識や技能を付与する短期間の講習と職場実習などを組み込んだ実践的なカリキュラムを開発し、人材を育成してまいります。
 さらに、カリキュラムを修了した方々と業界傘下の企業との就職面接会を開催いたします。
 この新たな支援スキームによりまして、離職された方々の再就職を促進してまいります。
 最後に、ポストコロナを見据えた観光振興についてですが、コロナ禍でインバウンド需要が見込めない中、国内観光の活性化に向け、着実に取り組みを進めていく必要がございます。
 そのため、都は、まず近隣県と連携いたしまして、地元の観光資源を組み合わせ、行きなれた場所でも楽しめる観光ルートを創出いたします。
 加えて、旅行者の多様な志向に対応し、文化体験や地域との交流など東京ならではの観光を紹介してまいります。
 感染終息後には、日本各地と連携した参加型キャンペーンを実施し、国内誘客につなげてまいります。
 また、コロナ禍におきましても、インバウンド回復を見据えまして、安全・安心な東京や最新の観光情報を世界に発信し、渡航状況に合わせて日本全国の魅力をPRしてまいります。
 こうした取り組みにより、着実な需要回復につなげてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、道路整備の推進についてでございますが、道路は、人や物の移動時間の短縮による生産性の向上や防災力の強化などのストック効果を将来にわたりもたらすことから、その整備を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、例えば、羽田空港やリニア中央新幹線の玄関口となり、我が国の成長を牽引する品川駅周辺では、環状第四号線の港南─高輪区間におきまして、来年度から鉄道をまたぐ橋梁部で工事に着手いたします。
 山間地域では、ダブルルート化により地域の孤立化を防止するため、日の出町と青梅市を結ぶ梅ヶ谷トンネルにおきまして、令和五年度の完成を目指し、掘削工事を進めていきます。
 今後とも、一たび完成すると絶大な効果を永続的に発揮する道路整備に着実に取り組んでまいります。
 次に、東部低地帯におけます河川施設の整備についてでございますが、三百万人の都民が暮らすこの地域には、都と国が管理する多くの河川が流れており、地震や台風等による水害に対処するためには、河川整備の一層の推進が重要でございます。
 都は、隅田川等におきまして、堤防や水門などの耐震、耐水対策を実施しており、来年度には、堤防計画延長の約八割と水門等十六施設の整備を完了させるとともに、次期整備計画を策定し、切れ目のない整備を推進してまいります。
 国は、高規格堤防に加え、荒川第二、第三調節池などの整備を進めております。さらに、国及び都県や地元自治体が連携して、荒川水系流域治水協議会などにおきまして、水害の防止、軽減に資する対策を総合的に検討しております。
 こうした取り組みにより、東部低地帯における河川整備を推進し、首都東京の安全性を高めてまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港の機能強化についてでございますが、東日本を支える物流拠点である東京港が、今後もその役割を果たしていくためには、荷主や船会社のニーズを的確に捉えた港の整備を進めることが重要でございます。
 このため、都は、国際航路のさらなる充実に向けて、大型船の受け入れが可能なふ頭を新たに整備いたすとともに、増え続けるアジア貨物に的確に対応できるよう、既存ふ頭の再整備により、荷役効率を大幅に向上させてまいります。
 また、道路網の整備や港湾関連施設の移転、再配置、ふ頭背後地の高度利用など、狭隘な東京港の機能を最大限に発揮させるための取り組みについて、長期的な視点から検討を進め、効率的な港湾物流の実現を目指します。
 都は、将来を見据えた施策を戦略的に推進し、東京港を物流の拠点としてさらに発展させてまいります。
 次に、東京港の高潮対策についてでございますが、高潮による水害から都民の生命や財産を守るためには、東京港の沿岸部において、背後の市街地等を防護する防潮堤、水門などの海岸保全施設の機能を確保することが重要でございます。
 都はこれまで、伊勢湾台風級の台風を想定いたしました東京湾沿岸海岸保全基本計画に基づき着実に整備を進めるとともに、東日本大震災を機に、施設の耐震強化を図ってまいりました。
 今後は、これまでの取り組みに加え、将来の気候変動で引き起こされる台風の強大化による高潮や海面水位上昇などのリスクについては、長期的な視点で対応していくことが必要でございます。
 このため、国などの関係機関と連携を図りながら、来年度、基本計画を見直し、施設の機能や能力の強化等を進めることにより、首都東京の防災力向上に努めてまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の水源の安定性の向上についてでございます。
 都の水源の約八割を占める利根川水系は、昨年四月の八ッ場ダムの運用開始により、水道などの都市用水を取水できる量が約二割増加し、安定性が向上いたしました。
 一方、多摩川水系は、小河内ダムの流域面積が利根川水系ダムと比べて小さく、また、積雪も期待できないことから、貯水量をできる限り確保しておく必要がございます。
 このため、利根川水系と多摩川水系の相互融通を行う原水連絡管を二重化し、利根川の水源を効率的かつ安定的に活用できるシステムを構築いたしました。
 これにより、小河内ダムの貯水に努め、平常時はもとより、気候変動による厳しい渇水時等にも対応が可能となるよう、水源の安定性を向上させ、首都東京の安定給水を確保してまいります。
 次に、小河内ダムについてでございますが、小河内ダムは、昭和三十二年の完成以降、六十年以上、貴重な水がめとして都民生活と首都東京の都市活動を支え続けてきております。
 しかしながら、日常の点検や補修等の維持管理を適切に行ってはいるものの、経年によるダム堤体や水路の劣化、近年の豪雨や台風による予想を上回る土砂、倒木の流入等の課題が顕在化しており、さらに、将来の気候変動に伴う原水の水質悪化も懸念されております。
 このため、小河内ダムを今後も百年以上使い続けられるように、長期的視点に立ち、堤体の機能強化や土砂流入対策など、総合的な予防保全計画を令和四年度までに策定し、五年度から計画的に対策を講じることで、小河内ダムを次世代へ確実に引き継いでまいります。
 次に、学校へのスマートメーターの導入についてでございますが、学校は長期間の休みがあるなど、漏水に気づきにくい環境にありますことから、スマートメーター導入による見える化サービスや漏水アラーム等の効果が大きい施設でございます。
 このため、昨年三月に策定した水道スマートメータトライアルプロジェクト実施プランでは、都内の小中学校や高等学校等を先行導入の対象とし、令和四年度から六年度の三年間において、約二千個のスマートメーターを導入することとしております。
 また、導入に当たっては、導入効果等のPRをあわせて行うこととしておりまして、学校においても、データの有効活用が図られるものと考えております。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 市場業者と協働した市場づくりについてでございます。
 卸売市場を取り巻く環境の変化やポストコロナを見据えた新たな市場を実現するためには、都と市場業者が目標を共有した上で協働することが重要でございます。
 このため、経営指針案で示した将来像や、それに基づく個々の市場の特色を生かしたブランドの確立、今後の施設整備など、多岐にわたるテーマにつきまして、市場業者と真摯かつ丁寧な議論を積み重ね、ビジョンを共有化してまいります。
 また、経営計画の実効性を確保するための協働の仕組み等の検討を進めるとともに、意欲ある市場業者による取り組みを力強く後押しし、市場の強靭化など経営指針の方向性に即した具体的な行動を促進してまいります。
 こうした取り組みにより、市場業者との協働を推し進め、業界と一体となって新しい卸売市場をつくり上げてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 町会、自治会のデジタル活用支援についてでございますが、町会、自治会がデジタルを活用し、住民同士の交流を図り、地域コミュニティのつながりを強めていくことは重要でございます。
 そのため、来年度の地域の底力発展事業助成において、デジタル活用支援の区分を追加いたしまして、例えば、電子回覧板の導入に向けたスマートフォンの使い方講習会を町会、自治会が行う場合に支援いたします。また、町会、自治会が取り組みやすいよう具体的な開催事例を示し、デジタル化の有効性などをわかりやすく紹介いたします。
 さらに、デジタル機器にそもそもなじみのない方々もいらっしゃることから、関係局が実施するスマートフォンになれ親しんでいただく教室等と密に連携を図り、効果的に事業を展開することで、町会、自治会のデジタル活用の促進を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、スポーツにおける女性の活躍についてですが、都はこれまでも、女性アスリートの健全なスポーツ活動と競技力向上に資するため、成長期の身体的特徴や指導上の留意点などを掲載した冊子を作成し、選手や指導者に対する普及啓発に取り組んでおります。
 また、差別やハラスメントの根絶などを図るため、都内競技団体の役員や指導者に対する研修など、スポーツ・インテグリティ推進事業を実施しております。
 さらに、東京都体育協会では、スポーツ庁が定めたスポーツ団体ガバナンスコードを周知し、組織運営における女性参画を促しているところでございます。
 今後とも、スポーツの世界で女性がより一層活躍できるよう、関係団体と連携して、競技団体の役員への啓発や研修など、積極的に取り組んでまいります。
 次に、大会時の保健医療体制についてであります。
 大会の安全と地域の安全の両立を図ることは重要であります。昨年十二月のコロナ対策調整会議の中間整理では、大会時における保健衛生機能を強化するための拠点や診療、検査体制を構築することとし、現在、検討を進めております。
 また、選手村、競技会場、ラストマイル等における医療体制につきましては、感染状況や地域医療への影響、医療スタッフの安全対策等も踏まえ、組織委員会と連携し、検討、精査を進めております。検討に当たりましては、救急、感染症医療の専門家等からのご意見を聞きながら、東京都医師会、医療機関等と丁寧に調整を進めております。
 今後とも、多くの知見を生かしながら、安全・安心な大会の実現に向け、精力的に準備してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時六分休憩

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