令和三年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議
○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和三年二月十九日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案五件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第九十九号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十八号)外議案四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十七番増子ひろき君。
〔百十七番増子ひろき君登壇〕

○百十七番(増子ひろき君) 令和三年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復をご祈念申し上げます。
 あわせて、医療従事者を初め、エッセンシャルワーカーの皆様には心からの敬意を表します。
 また、昨日、青梅市沢井で発生した火災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、消火活動に当たっておられる消防署、消防団、自衛隊の皆様に心から敬意を表します。
 この件につきましては、現状と対応について、知事にお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルスの本格的な流行から一年がたち、感染者は世界で一億一千万人を超え、死者は二百四十六万人に達しました。
 また、コロナ禍による経済不況は、短期的にはリーマンショックや九十年前の世界恐慌をも上回る状況にあります。人類の長い歴史の中でも、これだけの被害をもたらしたパンデミックは過去に数えるほどしかありません。
 この一年、私たちが当たり前だと思っていた日常の多くを新型コロナウイルスは奪い去りました。二度の緊急事態宣言による社会経済活動の制限、外出や移動の自粛、医療体制の逼迫などは、いずれも私たちが今まで経験したことのないものです。しかし、この苦難を乗り越えるために、多くの方々が必死の努力を重ねられ、今なおコロナとの闘いを続けています。
 都政を預かる私たちの使命は、そうした都民一人一人に寄り添い、都民の命と生活を守り抜くことです。
 そして、十年先、二十年先の未来から振り返ったときに、今このときが歴史の転換点だったと、東京は大きく変わることができたといえるように、東京の未来を描き、実現していかなければなりません。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、新型コロナウイルスの対策に全力で取り組むとともに、次の時代の東京に向けて提案を重ねていくことを改めてお誓い申し上げ、質問をいたします。
 これまで私たちは五十一回にわたり、新型コロナウイルス感染症対策のための要望を重ねてきました。
 また、昨年十二月には、東京都令和三年度予算に対し、千七百以上の項目にわたって予算要望を行い、デジタルトランスフォーメーション、世界一子育てしやすい東京に向けての子育て支援、災害時の避難所における感染防止とプライバシーが守られるテントの整備など、幅広い分野に関する提言を行ってきました。令和三年度予算にはこうした私たちの提案が数多く盛り込まれています。
 東京、そして日本国内に閉塞感が漂う中、令和三年度予算案をてこに、東京に活力を取り戻し、その先の未来に向けた足取りを確かなものにしていくべきですが、知事の見解を伺います。
 また、今回追加提案された補正予算についても、例えば、医療従事者に対する支援や、ワクチン接種体制の整備に加え、経済的に大きな影響を受けている都民の生活応援として、デジタル技術を活用してポイント還元を行う区市町村を支援する取り組みや、芸術文化に係るアーティストへの支援など、私たちが緊急要望した事業が多く計上されたことを評価するものです。
 追加提案された令和二年度及び三年度補正予算案は、どのような考えで編成し、この直面する事態にどのように対応していくのか、知事の見解を伺います。
 令和三年度予算において、都税収入は、コロナ禍に伴う企業収益の減少により、法人二税を中心に大きく落ち込み、リーマンショック以来の約四千億円の減少となりました。
 一方、令和三年度当初予算案では、歳出総額は、追加補正予算案も含めれば実質的には過去最高の規模となっています。
 今後も厳しい財政環境が続くことが見込まれる中、三年度の予算編成に当たっては、ワイズスペンディングの観点から、どのような努力や工夫がなされたのか、また、今後の執行や四年度予算編成に向けて、その取り組みを強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 目下の新型コロナウイルスとの闘いにおいて、多くの都民や事業者、そして医療従事者の方々に多大なるご協力をいただいていますが、都内では依然として二千名近くの入院患者がいます。
 こうした中で、特に陽性者の受け入れ先の医療機関を調整する入院調整が、長期化する保健所業務の大きな負担となっています。入院調整に必要となる患者の情報は保健所が有しており、区部では区が保健所を直接所管していますが、都としても、入院調整がより円滑となるよう取り組みを強化する必要があります。
 保健所に対する人員派遣の強化や、夜間も調整を行うなど、入院調整を円滑化する取り組みを強化すべきですが、見解を伺います。
 また、今後は、病床のさらなる確保に加えて、民間医療機関の協力を得て、都立、公社病院の一般患者の転院受け入れ、民間医療機関からの人員の派遣などの適切な役割分担の促進や、今ある病床を効果的に活用する取り組みの強化も必要です。
 特に、回復した患者の転院調整は、受け入れ医療機関への財政的支援や回復患者からの感染拡大リスクに関する正確な理解の促進など、さらに対応すべき課題があります。
 そこで、民間医療機関と一層連携を深めながら、転院調整を含め、新型コロナに対する医療提供体制をさらに強化すべきですが、見解を伺います。
 入院、転院調整の効率化に加えて、自宅療養者のフォローは特に重要です。これまでも、宿泊療養を基本としながらも、ご家族の事情でやむを得ず自宅療養を選択される方はいらっしゃいましたが、患者の命を救うという観点からも、自宅療養時の容体の急変には細心の注意を払う必要があります。
 自宅療養者の方の健康管理に関しては、都も、健康管理アプリや食料品等の配送、医療相談対応など、都の直轄である多摩地域の保健所で先行実施し、区部保健所での実施も支援してきました。看護師が常駐し、健康観察を実施している宿泊療養施設のさらなる利用促進を図る必要もありますが、自宅療養者の数の増加に伴い、その健康をフォローする体制の強化が重要な課題となっています。
 そこで、パルスオキシメーターの配布や、二十四時間対応の医療相談窓口のさらなる活用を図るなど、自宅療養者のフォロー体制を一層強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 今後、社会経済活動を徐々に再開するに当たり、再びの感染拡大を防ぐためにも、検査体制を再構築していかなければなりません。特に、民間を含めて安価な検査が拡大している中で、検査の網を広げ、無症状者を早目にピックアップし、感染拡大を防ぐ手法も提唱されています。
 他方で、信頼感のある検査をどれだけ確保できるのか、陽性判明後のフォロー体制のあり方などの課題もありますが、現場のキャパシティー等も踏まえながら、さまざまな角度から検査を拡大していくことは重要です。特に、重症化するリスクの高い高齢世代に対しては、今後さらに検査体制を拡大すべきです。
 昨今、施設内感染が頻発していることから、高齢者施設の全職員に対して検査を実施し、重症化リスクの高い高齢者の感染を防ぐべきですが、見解を伺います。
 また、検査体制の再構築を進める上で、これまで以上に感染力が強いとされる変異ウイルスの対応も欠かせません。都でも、iCDCを中心に、都内感染実態の分析が進められており、今後は変異ウイルス用検査の導入も必要です。
 そこで、都として、変異株の感染実態等の分析を進めていくべきですが、見解を伺います。
 あわせて、都民、国民の皆様に行動制限をお願いしている以上、水際対策についても慎重な対応が必要です。年末年始にかけての国の水際対策の遅れがあったため、国に対し、水際対策の実効性の確保と、国内の感染状況に基づく徹底した対応を繰り返し求めるべきです。都としても独自に状況を分析し、迅速な対策を国に促す体制の整備を要望します。
 年末年始の新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、ことしの一月八日に政府から発出された二度目の緊急事態宣言は、本日二月二十四日で四十八日目を迎えました。緊急事態宣言下では、多くの都民、事業者の方々が外出自粛、時短要請等の取り組みに協力してくださった結果、足元の感染動向は全国的にも減少傾向にあります。
 現在の緊急事態宣言について、首都圏の一都三県を除き、当初予定されていた三月七日の期限を待たず先行解除されるとの報道が出てきておりますが、病床の使用率等を踏まえれば、いまだ予断を許さない状況です。これまでの多くの方々の必死の努力を無駄にしないためには、しっかりとした状況判断のもと、緊急事態宣言の取り扱いが議論されるべきです。
 そこで、緊急事態宣言の期限である三月七日に向けて、都はどのような考え方を持っているのか、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルスは、無症状者からの感染拡大や突然の重症化など、多くの厄介な性質を持ち合わせていますが、最近では後遺症に悩む方の声が広く取り上げられるようになっています。
 iCDCからも後遺症に関する分析結果が示されており、その分析結果によれば、発症して数カ月経過した後も、一定割合の患者に何らかの後遺症があったということです。また、重症化リスクは低いとされる二十代、三十代の若年層において後遺症を有する事例が多いことも示されています。
 そこで、後遺症の実態に関する分析調査を継続するとともに、後遺症に関する正しい理解、情報発信を強化すべきですが、見解を伺います。
 後遺症への対応に加えて、新型コロナウイルスに感染された方々に対するさまざまな面でのサポートは欠かせません。特に、感染者や医療従事者に対する心ない差別が存在している中で、先般の特措法改正により、自治体にも明確に差別解消に向けた取り組みの強化が求められることとなりました。
 私たちは、国の特措法改正に先駆けて、より実効性のある新型コロナウイルスへの対策を目的とした条例案を提案しており、本条例案には差別解消の強化についても盛り込まれています。
 今後は、例えば国の障害者差別解消法への上乗せを規定した都の障害者差別解消条例なども参考にしながら、都として、感染者の心理的ケア、差別解消への取り組みをより進めるべきです。
 そこで、改めてコロナ差別解消に向けた体制を強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルスの流行終息に向けた出口戦略として期待されているのはワクチンです。先日、全国百カ所の国立病院機構の職員などを対象とした新型コロナワクチンの先行接種が開始され、四月には高齢者への接種についても一部始めるとのことです。
 しかし、ワクチンの円滑な接種体制の整備には、希望者に適切に行き渡る必要十分な量の確保、安全性やリスクに関する適切な情報提供、医療従事者の確保や適切な接種環境の整備などさまざまな課題があります。
 都内でも、地域の実情に合わせた個別接種等との適切な組み合わせや、特に多摩地域における医師等の人手不足も懸念され、都が立ち上げたワクチンチームの主導的役割が期待されます。
 そこで、国に対し要請すべき事項、都として主体的に取り組むべき事項、区市町村に対する都としての支援のあり方などを整理し、希望する都民が安心かつ迅速にワクチン接種を受けられる体制の整備を進めるべきですが、知事の見解を伺います。
 先日公表された未来の東京戦略案は、長引くコロナ禍において浮き彫りとなった課題や社会の変化に対応した東京都の長期戦略であり、アフターコロナの東京のあるべき姿を描いたものです。
 私たちは、未来志向で都政を推進するために、長期戦略の必要性や、都政の抜本的な改革を強く訴えており、今回、デジタル化をてこにした構造改革や、世界一の美食都市実現プロジェクトなどが追加されたことを評価します。
 長期戦略案の策定においては、コロナ禍を踏まえることはもちろん、国際競争に打ち勝つとともに、都民の暮らしが豊かになる魅力ある都市東京の未来の絵姿を描くべきですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍によって、政府のマイナンバーを活用した十万円の定額給付金の支給の遅れや、接触確認アプリCOCOAの不具合等、日本のデジタル化の遅れが改めて浮き彫りになりました。
 日本の行政のデジタル化は、二〇〇一年の森内閣のときに公表されたe-Japan戦略を初めとして、この二十年間、さまざまな戦略が打ち出されながらも一向に実現をしていません。
 その原因は、行政におけるデジタルの専門人材が極めて少なかったこと、主体となる区市町村にあらゆるリソースが不足していること、そしてデジタル技術を活用した未来のビジョンを具体的に描けなかったことにあります。こうした反省に立って組織を機能させなければ、国も都も、過去と同じ失敗を繰り返すだけです。
 私たちは、デジタル技術の活用こそが停滞する日本の構造改革の活路になると考え、四年前から、民間専門人材の採用、デジタル専門部局の創設、社会課題の解決に資するデジタル技術の実証事業などを提案し、都政のデジタル化を牽引してきました。
 今般、都が新設するデジタルサービス局には、全庁を俯瞰して局横断的に都政のデジタル化をリードする統括機能と、サービスを具体化するに当たって、解決策を各局とともに考えて伴走する二つの機能が求められます。そのいずれが欠けても実効性は伴いません。
 そこで、新たに設置するデジタルサービス局にどのような機能を持たせるのか、また、それにより期待する効果について知事に伺います。
 都政のデジタル化は、都民に身近な行政サービスから導入していくことが効果的です。例えば、都営住宅の入居者募集には年間約十二万人が応募しており、そのデジタル化は都政のQOSのみならず、都民のQOLの向上に資するものです。
 そこで、都営住宅においても募集事務のオンライン化など、デジタル化を進めていくべきですが、見解を伺います。
 あわせて、都のさまざまなサービスをデジタル化していくに当たっては、行政の視点だけではなく、ユーザーの利便性を第一に考えて設計することが重要です。
 特に、都民サービスの向上の観点からは、都民に広く普及しているスマートフォンが重要であり、LINEなど広く普及しているサービスを活用し、例えばウエブサイトをスマートフォン向けに最適化するモバイルファーストに取り組むべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 今後、行政のデジタル化を進める上では、より都民に近い住民サービスを提供する区市町村に対するサポートが極めて重要です。四月一日より施行される東京デジタルファースト条例においても区市町村の支援が明記されており、区市町村のデジタルツール導入支援が盛り込まれています。
 こうした中で、一部の区市町村からは、何をしたらいいのかわからないとの声も聞こえている一方、渋谷区での住民票発行にLINEを使っている例や、品川区のグラファー社を活用した認可保育園の申し込みに必要な手続のオンラインでの事前確認等、民間サービスを使った手続のデジタル化が進んでいます。
 そこで、このような都民のQOL向上に向けた取り組みを具体的に提示して、都内区市町村に横展開することが必要ですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 また、市町村のDXの推進に向けても、市町村総合交付金を活用できるようにすべきですが、知事の見解を伺います。
 行政のみならず、社会全体のデジタル化の推進に当たっては、情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差、いわゆるデジタルデバイドの解消が不可欠です。
 総務省の通信利用動向調査によると、高齢者のうち四人に一人が一年間に一度もインターネットを利用したことがない状況にあり、デジタルデバイドによる孤立も懸念されます。また、デジタルデバイドには、年齢以外にも年収や障害などのスペシャルニーズなどさまざまな要因が存在します。
 私たちは、高齢世代を初め、デジタル機器になじみのない方々に対する支援を強く求め、令和三年度の予算案には、デジタルデバイドの解消を目的とした事業が多く盛り込まれました。
 今後、デジタルデバイドの解消に向けては、実態把握のため、高齢者へのグループインタビューを行うなど、実態を調査すべきです。加えて、デジタル政府の最先端を行くエストニアでは、その黎明期に大学生がバスで国内の高齢者施設を訪問し、出張授業するなど、アウトリーチ型の支援を行ったことも踏まえて、都もアウトリーチ型の支援を検討すべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 今回の補正予算に盛り込まれた生活応援事業は、新しい日常において、新型コロナウイルスの感染防止に資する非接触型の決済方法を普及させるとともに、社会全体のデジタルシフトを加速させる大きな可能性を秘めた事業です。
 これまでの紙によるプレミアム商品券事業では、紙の商品券の印刷、発行や配布、換金の窓口業務などで、多額の事務手数料や人手が必要となる点が課題とされています。
 デジタルによる実施では、必要となる事務手数料や人手が大幅に少なくなることが見込まれ、浮いた財源と人手を他の必要な施策に活用することができます。
 さらに、紙ベースでは困難であった利用回数、地域や購入商品などさまざまなデータを取得でき、事業効果の詳細な検証も可能となります。
 都内でも既にコロナ対策として、十七自治体がデジタルを活用したプレミアム商品券等を実施していると聞いていますが、この取り組みを拡大していくことが社会全体のデジタルシフトの推進と賢い支出の徹底につながるものです。この事業の成果を生かし、都の施策においてデジタル活用を一層進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、残念ながら、今年度予定していた大東京商店街まつりは中止となりました。しかし、商店街は、生活に必要な食料品等を販売する店舗等で成り立っており、地域の消費活動を支えるため、懸命な努力を続けています。
 地域の活力の源泉である商店街がコロナ禍を乗り越えていけるよう、来年度こそは大東京商店街まつりを開催するなど、さまざまな支援をしていくべきですが、知事の見解を伺います。
 あわせて、協力金の交付については、迅速な支給のため、やむを得ない面もありますが、現状は一律の金額であることや、規模の大きい事業者には不足する一方で、規模の小さい事業者は通常営業と比較してもらい過ぎであり、不公平ではないかとの指摘もあります。
 特に、県境の店舗同士で対応が異なった場合、さらなる不公平感を招きかねず、規模等に応じた協力金の公平、合理的な算定基準について、国に対し、早急に基準の明確化を求めるよう要望しておきます。
 新型コロナウイルス感染症は、雇用市場にも大きな影響を及ぼしています。感染拡大の影響で、解雇や雇いどめに遭った労働者は、この一年間で見込みを含めて八万人近くに上りました。二〇二〇年平均の完全失業率は二・八%で、リーマンショックの影響があらわれた二〇〇九年以来十一年ぶりに上昇しており、有効求人倍率も、オイルショックの影響を受けた一九七五年以来、四十五年ぶりの大幅低下となっています。
 私たちは、こうした社会情勢にあらかじめ備えるため、昨年五月の段階から、東京版ニューディールともいうべき大胆な雇用対策を講じるよう、都に提案してきました。
 今後は、IT分野や介護分野など、採用意欲のある成長分野に労働力をシフトし、離職を余儀なくされた方々を早期に再就職へと導くために、成長分野において積極的な求人開拓を進めていくとともに、職業訓練等を通して業界未経験でも就労ができる環境を整えることは極めて重要であり、人手不足の業界団体や民間企業などとも連携した新たな雇用就労対策を、数千人から数万人規模で大規模かつ強力に講じていくべきですが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染対策が長期化する中で、飲食等の営業時間短縮や会食等の自粛を要請するなど、食材等の流通の中核を担う市場関係者にも大きな経済的な影響を与えています。
 厳しい経済的な影響を緩和するため、これまでも市場業者の経営を支えるべく、使用料等の支払い猶予、金融支援、家賃支援給付金の円滑な給付、経営改善支援など、市場業者に寄り添う丁寧な支援を実現してきました。
 また、コロナ以前から、食卓における魚食量の減少、食材の市場経由率の低下は深刻であり、ニーズの変化を捉え、新たな時代と向き合って進化していくことは、ポストコロナの観点からも、中央卸売市場にとって大きな課題です。
 年間百三十億円にも上る市場会計の赤字をなくし、持続的な市場を形成していくためには、戦略的な施策を立案し、関係者間で一丸となって取り組んでいく必要があり、その前提として、十一ある市場別の財務状況等を明らかとするなど、現在地を適切に把握する財務状況やKPIとなるデータについて見える化を行うとともに、市場のみならず、生産から消費まで連携した高付加価値化の具体的な取り組みを描くなど、実効性ある経営計画を策定すべきですが、知事の見解を伺います。
 東京の次なる成長を支える分野として期待されるのが金融です。
 都は、東京をアジアナンバーワンの金融都市にするため、国際金融都市東京の実現を掲げ、官民連携の金融プロモーション組織であるフィンシティー・トーキョーの創設、英国シティーとの連携、金融系外国企業の発掘、誘致等、さまざまな施策を展開してきました。
 私たちは、東京の発展のためには国際金融都市の実現が不可欠と考え、二〇一九年十二月に、東京都国際金融都市条例の素案をまとめています。その骨子は、国内の個人金融資産千九百兆円という強みを生かし、5Gなどの最新のデジタル技術も駆使して、サステーナブルファイナンスやESG関連投資にそれらの資金をうまく結びつけることで、東京の発展を大きく後押しする原動力とするものです。
 今後、国際金融都市東京の地位確立に向けて、国際金融都市条例の制定を強く求めるとともに、グリーンファイナンスを初めとするサステーナブルファイナンスの取り組みを積極的に推進していくべきですが、知事の見解を伺います。
 都は昨年、ポストコロナにおける東京の構造改革について、有識者会議を設け、さまざまな分野の第一人者から意見を募り、十月には提言をまとめました。今般、それらの提言を踏まえ、社会の構造改革を早期に実装していくため、ベイエリアを起点として、さまざまな事業を先行展開していく東京ベイeSGプロジェクトのドラフトが長期戦略案とあわせて示されました。
 その中には、私たちが長期戦略の策定に当たり提案してきた自然と都市の融合、先端技術の実装、ゼロエミッションの実現、水辺空間を生かした舟運や泳げる東京湾などがコンセプトとして掲げられており、評価します。
 今後、ベイエリアを起点として、先端技術の大規模実装ができるように包括的な規制緩和を実施するなど、デジタルとグリーンに関する民間の投資や先端的アイデアを集中的に呼び込むことで、社会の構造改革を一気に加速すべきですが、知事の見解を伺います。
 未来の東京に向けた構造改革を進める上で、デジタルとともにゼロエミッションという視点が不可欠です。
 本年一月の世界経済フォーラム主催ダボス・アジェンダにおいて、知事は二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現に向けては、二〇三〇年までの十年間の行動が非常に重要であり、都は二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比五〇%削減、再エネ電力の利用割合を五〇%まで高めていくことを表明されました。
 今後、都として、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比五〇%削減、再エネ電力の利用割合を五〇%まで高めていくための具体的な計画を示すべきですが、知事の見解を伺います。
 また、世界各国の自動車市場においてガソリン車の新車販売が次々と禁じられるなど、ゼロエミッションビークル化の波は大きく加速しています。このような世界の潮流の中、東京でもZEVの普及を一層推進していくことは非常に重要です。
 都は昨年、二〇三〇年乗用車非ガソリン化一〇〇%、二〇三五年二輪車非ガソリン化一〇〇%という新たな方針を打ち出しました。
 そこで、二〇三〇年乗用車非ガソリン化一〇〇%という目標を着実に実現するため、車両やインフラに対する補助金等の導入支援策を拡充し、ZEVについてそのメリットを広く啓発しながら、ユーザーの導入を強く後押ししていくべきですが、知事の見解を伺います。
 ポストコロナのサステーナブルリカバリーの視点からは、水素エネルギーを活用していくこともまた重要です。一方で、水素エネルギーはまだ普及の初期段階にあるため、導入のための諸コストは高く、普及のためには行政のさまざまな支援が必要です。
 都では、既存ガソリンスタンドにおける水素ステーション併設及び転換に対する補助や、屋根上のスペースを活用するための次世代キャノピー活用に対する補助など、新たな支援策を打ち出してきました。
 今後、水素ステーションの普及をより確かなものにするため、補助メニューの拡充や燃料電池バスの導入拡大等の需要面での取り組みなど、あらゆる角度から支援を拡充していくべきですが、見解を伺います。
 都内の約六十六万事業所の多くが中小規模事業所であり、都内全体のCO2排出量の約三割を排出しています。中小規模事業所のCO2排出量削減に向けて、都は、省エネルギー診断の支援などを実施しており、令和二年度からは、照明スイッチの細分化工事など、運用改善の実施に至る中小企業への助成も追加しました。
 これまで私たちは、幾度となく感染防止と経済の両立を求めてきましたが、コロナ禍での事業運営の見直しを余儀なくされている多くの中小規模事業者の厳しい現状があります。
 一方、コロナ禍であるからこそ換気の確保が求められており、今後そうした中小規模事業者の省エネ対策には、都としても積極的に支援していくべきですが、見解を伺います。
 コロナ禍における東京二〇二〇大会の成功のためには、都民、国民、そして国際社会の理解と共感を得ることが必要不可欠です。
 そのような中、組織委員会の森前会長が女性蔑視と受け取られても仕方のないご発言をされ、国内外から多くの疑問の声が上がりました。森前会長のご発言が、性別その他いかなる種類の差別も許さないと定めるオリンピック憲章の趣旨に反することは明確であり、世界に広く発信されたことは、日本、東京の国際的信用を失墜させ、東京二〇二〇大会の成功に極めて大きな支障を来すものです。
 世界経済フォーラムの公表するジェンダーギャップ指数では、日本は百五十三カ国中で百二十一位と世界最低水準となっており、特に政治経済の分野における取り組みの強化が必要不可欠と考えます。
 都庁内外における女性活躍をさらに推進すべきですが、遅れた日本を切り開いてきた女性初の防衛大臣であり、女性初の東京都知事である知事の見解を伺います。
 組織委員会の新会長に橋本氏が就任したことで、前会長の発言に端を発し、約二週間にわたり続いた混乱は、一旦は収束を迎えたものの、今回の一件で、大会運営を担う組織委員会についても、都民、国民の批判や国際社会から問題を指摘させる事態となりました。大会まで残された時間はわずかであり、これ以上、大会準備の時間を無駄にするわけにはいきません。
 そこで、大会運営を担う組織委員会について、新会長のリーダーシップのもと、都も連携して、大会ビジョンで掲げる多様性と調和などの問題に関する改革に取り組み、組織委員会に対する国内外からの信頼回復につなげるとともに、多様性と調和という観点から、IOCに加え、IPCも含めた会議を速やかに開催するなど、一体での取り組みを強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、アスリートファーストの視点で、大会環境の整備を進めながら、開催を期待している子供たちを初め都民、国民の理解と共感が得られる大会であるべきです。
 そして、都民、国民の理解を得るためには、組織委員会の文書管理体制を初め延期に伴う追加分を含めた大会経費の合理性や、大会時の新型コロナ対策の徹底など、状況を見据えながら、諸課題にしっかりと向き合っていくことが必要です。
 大会開催に向けた今後の検討において最も重要となるのは観客のあり方であり、私たちはこれまで、VRやARを活用した新しい観戦のあり方を提案してきました。
 大会時の感染状況を見据えながら、無観客や国内観客のみとするなど、現実的な方針を早急に定めるようIOC、組織委員会に求め、大会の成功に向けた取り組みを加速させるべきですが、知事の見解を伺います。
 全国の二〇二〇年一月から七月の妊娠届け出数は前年同期比五・一%マイナスの五十一万三千八百五十件の減少となっており、新型コロナの影響による出産をめぐる環境の激変、雇用環境の悪化などが懸念されます。
 特に、東京の出産費用は平均約六十二万円と全国的に高額であり、出産費用と出産育児一時金には大きな乖離があるため、出産に関し、東京特有の産みづらさが存在しています。
 また、都立、公社病院のコロナ専門病院化により、地域の分娩施設が減少しており、里帰り出産もコロナ禍で制限される中、妊産婦への支援が求められます。
 都民ファーストの会東京都議団では、この課題について、かねてより都知事に強く要望を重ね、昨年末には、予算要望の最重点項目として、出産一時金の十万円以上の上乗せを求めるなど、子育て、出産に対する経済的支援の強化に取り組んでまいりました。
 コロナ禍であっても子供を産み育てやすい東京を築き、東京の目指す姿、合計特殊出生率二・〇七を達成していく東京都としての力強い支援が求められます。
 東京の未来を担う子供たちのためにも、妊娠、出産に係る支援を一層強化していくべきですが、見解を伺います。
 社会全体で子供を見守り、育てる社会にしていくためには、子供や子連れの方が安心・安全かつ楽しく移動できる環境を整備していくことが必要です。
 私たちが提案し、実現した都営大江戸線の子育て応援スペースについては、ユニバーサルデザインの観点から、ベビーカーに配慮したスペースを確保するとともに、きかんしゃトーマスの装飾を施すなど、親子で楽しめるよう工夫したもので、令和元年七月の導入以降、子育て世代を中心とする多くの乗客に好評をいただいています。
 都は、この反響を受け、当初三編成で導入されていたところを七編成に増やすとともに、幅広い方々を対象に調査を行い、その結果をもとに、乗り入れしている他の鉄道会社と協議を進める方針が示されました。
 そこで、先般実施した調査を踏まえて、都営地下鉄の全路線へ子育て応援スペースを拡大していくべきですが、見解を伺います。
 一昨年、目黒区で起きた児童虐待死事件は、多くの関係者に、未然に防げなかったのかとの悔しさを与えました。さらに、昨年度の児童虐待件数は十九万三千七百八十件と過去最多となり、コロナの影響もあり、家庭内の深刻な問題がより一層扉の向こうに閉ざされています。
 こうした中で、東京都児童福祉審議会は、昨年十二月に提言をまとめ、虐待の未然防止に向けた予防的支援や地域ネットワークの強化などについて都に提言を提出しました。
 今後、東京都児童福祉審議会の提言を受け、都は、児童虐待防止の予防的支援モデルを確立すべく、実効性の高い取り組みを区市町村と連携して構築していくべきですが、見解を伺います。
 また、さきの定例会で明らかとなったヤングケアラーの課題について、これまで私たちは、ヤングケアラーなどのケアの担い手についての実態を調査し、支援が必要な対象として位置づけ、個別の支援策を講じるよう求めてきました。
 今般、ヤングケアラーについて、都は、子供家庭支援センターや学校など関係機関にヒアリング調査等を実施するとのことですが、現在の取り組み状況について伺います。
 新型コロナウイルスの影響によって、国のGIGAスクール構想が前倒しされ、義務教育段階では一人一台のキーボードつきノートPC等が本年度中に配備される見込みです。
 一方で、高校段階では、より高度かつ複雑な学習で活用するために、高スペックな端末が本来必要ですが、高校段階においてはそもそも一人一台端末が整備されていないのが現状です。特に、高校段階の学びにふさわしい高スペックの端末は、義務教育段階の端末よりも高額となるため、保護者の負担を考慮した上で、裾野が広い支援が必要になります。
 今後、高校教育のデジタル化を進めるに当たり、家庭の状況により端末の整備状況に差が生じないよう、端末購入に対して、都として独自の支援策を検討すべきですが、見解を伺います。
 グローバル化が進む中、日本のTOEFLスコアランキングがアジア圏三十カ国中二十七位という結果からもうかがえるとおり、世界一の都市東京の実現を目指す上で、日本人のグローバルなコミュニケーション能力には大きな課題があります。
 こうした課題に対して、都は、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、英語学習の意欲向上のきっかけづくりとなるよう、TOKYO GLOBAL GATEWAYを開設しており、利用者からの評価も高いと聞いています。
 一方で、多摩地域からは移動距離により利用が限られるため、地域によらず、都内の多くの児童生徒にリアルな英語を提供するべきです。
 そこで、これまでの江東区青海のTGGにおける実践を生かしながら、多摩地域ならではの体験型英語学習施設の整備を進めていくべきですが、見解を伺います。
 政府は、今通常国会において、小学校に限り、学年進行で令和三年から令和七年に順次、一学級当たりの上限を三十五人に引き下げる方針を示しています。
 一方、東京都では現在、小学校一年生三十五人、小学校二年生から六年生は四十人としていますが、既に小学校二年生は加配により三十五人学級を実施しています。国は、少人数指導等のための加配の一部を振りかえることを検討しており、都が推進している習熟度別指導の実施に影響が生じる可能性があります。
 これまで私たちは、三十五人学級実現のためにも、第一に、教員の確保と魅力向上が不可欠であり、そのためにも教員の事務的負担を軽減することは重要であると訴えてまいりました。
 また、都が行っている習熟度別指導や教科別担任制の導入、さらには不登校の子供たちに対するフリースクールの支援等、多様な教育のあり方を確保する必要があります。
 今後は、少人数学級を拡充していくために必要な教員を確保するとともに、教員免許がなくてもできる業務は教員以外の者を雇用する等により、教員の負担を一層軽減すべきですが、見解を伺います。
 私たちはかねてより、全世界で流行の兆しを見せ、我が国においてもさらなる発展が見込まれるeスポーツと関連産業の振興に積極的に取り組んできました。先日、二回目となる東京eスポーツフェスタ二〇二一がオンライン形式で開催され、大いに盛り上がったと聞いています。
 eスポーツや関連するコンテンツ産業は、東京の今後の国際競争力を支えるものになる可能性を秘めています。他方で、子供たちがネットやゲームに依存するという一部の声もあり、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例は、一日当たりのゲーム利用時間を平日六十分までと定めていますが、その妥当性についての疑問の声も上がっています。
 ICT教育や社会全体のデジタル化が進む中、ネットやゲームと適切につき合っていく力は必要不可欠であり、科学的根拠に基づき、家庭や子供たちの自主的取り組みを後押しすることが必要です。
 香川県のように条例で規制するのではなく、子供たちにインターネットやゲーム等の適切なかかわり方の検討を促し、子供たちの自己管理能力を養成する取り組みが重要ですが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛により、特に高齢世代は、筋力低下によるフレイル、免疫力低下、エコノミークラス症候群による肺塞栓や肺梗塞などを発症することが懸念されています。コロナ禍においても適切な運動や人とのつながりを築くことが重要であり、自宅での運動やオンラインツールによる会話は推奨されるべきです。
 これまで私たちは、高齢化社会に対応するため、高齢者ができるだけ健康で介護を必要としない状態を続けられるようにするため、介護予防、フレイル対策を充実すべきことを主張してまいりました。
 そこで、コロナ禍において高齢者が安心して地域の活動を継続できるよう、介護予防、フレイル予防の取り組みを強化すべきですが、見解を伺います。
 都内の町会、自治会は、コロナ禍の中で地域活動が大幅に制限され、活力を失いかけています。地域のコミュニティは社会秩序に貢献するだけではなく、地域の見守り、高齢者の健康、防災力の向上に欠かせないだけに、コロナ禍であっても失われないように対策を講じていかなければなりません。
 都はこれまでも、地域の底力事業を展開し、都内の町会、自治会が地域の課題解決のために事業を実施する際には助成金を支給するなど支援を行ってきましたが、コロナが感染拡大をする中で、今、町会、自治会が求めていることは、地元における感染防止対策の徹底です。
 そこで、私たちは、都に対し、町会、自治会の感染防止対策事業を支援するように要望し、今回、緊急対策として実現しました。この対策が町会、自治会にどのような効果があったか、見解を伺います。
 また、人と接触できないコロナ禍によって、人とのつながりを失い、不安を抱く人が増加しています。コミュニケーションの変化によって、孤独感を抱える人の増加も懸念されており、高齢者や子育て世帯などを孤立させない見守りの機能が重要ですが、見解を伺います。
 加えて、コロナ禍における経験も生かし、住民同士がつながる地域活動においてもデジタルの力を活用することも検討すべきと考えます。
 高齢化が進む町会、自治会に対し、こんな時代だからこそ、スマホなどデジタルデバイドの対策支援を都として積極的に行うべきですが、知事の見解を伺います。
 これまで私たちは、三年にわたって民間の芸術文化への支援を研究し、都に繰り返し要望してきました。そうした中で、コロナ禍における芸術文化支援として、私たちの要望をもとに実現したアートにエールを!東京プロジェクトは、さまざまな文化芸術におけるアーティストや演劇やコンサート等の関係者の皆様の活動の場を提供することができました。
 リアルとオンラインのハイブリッドにより、多様な形で文化芸術を楽しむことができる新たな環境を整えていくことは重要です。感染が終息しない中、公演の中止や延期が続き、アーティストやスタッフは非常に厳しい状況に置かれています。
 今後は、アートにエールを!東京プロジェクトで得られた知見や多様な担い手とのつながりを生かし、アーティストや芸術文化関係等を幅広く支援すべきですが、知事の見解を伺います。
 東京都は、いかなる種類の差別も許さない東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の第二章において、多様な性の理解の推進として、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認、性的指向に関する啓発等の推進を図るものとするとしています。
 私たちは、当初より本条例の成立を推進しており、特に私たちが提案してきた性自認、性的指向に関する大規模実態調査が来年度予算の中に含まれていることを評価する一方で、都営住宅や公社住宅における同性パートナーの同居ができない問題については、解消に向けた検討を一層進めるべきと考えます。
 今後、同性パートナーの都営住宅への入居に関しては、住宅政策審議会での議論も必要ですが、見解を伺います。
 コロナ禍により、人と人とのつながりが希薄化しています。これまでも、ひきこもりや孤独死など、望まない孤独にかかわるさまざまな課題に対し、都の対策も進められてきました。
 しかし、コロナ禍の影響により、ひきこもりや孤独死などに加え、特に女性や若者に多い傾向が指摘されている自殺や、高齢者のフレイル、認知症の進展など、あらゆる世代を問わず、孤独に関連する課題が指摘されています。
 そこで、望まない孤独に関連する施策を整理し、総合的に推進すべきですが、知事の見解を伺います。
 先月、知事は、国土交通大臣に対し、地下鉄ネットワークの充実に向けた要請を実施されました。その要請には、都心部・臨海地域地下鉄構想や都心部・品川地域地下鉄構想の事業化に向けた課題解決が盛り込まれています。これらの構想路線は、都心部と開発が進む臨海地域や品川とのアクセス性を向上させる極めて重要なものです。
 コロナ禍を乗り越えた先の将来を見据え、東京の社会経済活動の基盤となる構想二路線の具体化を加速すべきですが、知事の見解を伺います。
 あわせて、都心部と臨海地域を結ぶ鉄道構想については、将来の中央防波堤の活用を見据え、羽田空港まで結ぶ鉄道構想を検討するよう要望しておきます。
 私たちは、一昨年、昨年と二年連続して、江戸前干潟である三枚洲の視察を行いました。この三枚洲は、二〇一八年にラムサール条約登録湿地となった葛西海浜公園の中にあり、東京が世界に誇る空間の一つです。
 元来、私たち日本人と水辺の境界線はよい意味で曖昧でした。葛西海浜公園は、まさに水辺とともに生きてきた日本人の生き方を体現した場所だといえます。
 後世にわたって葛西海浜公園を守り育てるためには、今、保全や利活用などについて関係者と連携し、しっかり進めていく仕組みが必要ですが、見解を伺います。
 また、今後の水族園の再整備や、カヌースラローム会場の大会後の利活用など、葛西臨海公園と葛西海浜公園が連携して、全体の魅力を高められるよう構想していくことを求めます。
 かつて旧江戸城外堀には、多摩川の水が玉川上水や江戸市中を通って流れ込んでおり、美しい水の都を形成していました。しかし、現在では導水が停止しており、大雨が降ると、下水が流入して水質が悪化してしまっている状況です。
 そこで、本年開催される東京二〇二〇大会に向け、即効性のある水質改善の取り組みを行うとともに、外堀への導水などの抜本的な対策を通じて外堀における水質改善を一層図っていくべきですが、見解を伺います。
 都立公園は、緑と広場の活用により都民の心身の健康に大きく寄与する財産であり、温暖化対策や避難場所としての機能も重要な役割を担っています。
 平成三十一年第一回定例会において、都立公園を都市戦略の中核に明確に位置づけ、都民のサードプレースとなる機能を持たせていくべきという私たちの質問に対して、新たな発想、地域と都民との連携、サードプレース機能という三つの視点で都立公園大改革に取り組むと答弁されました。特に日比谷公園においては、その成果が一定程度出ていると評価します。
 一方で、都立公園の大部分を管理するのは東京都公園協会であり、その組織運営体制の改革も急務と考えます。
 これまでも私たちは、都立公園の改革に当たって、計画的に予算を組むとともに、指定管理者募集要項の見直しをするなど、民間事業者の企画力や経営力、地域コミュニティの形成力などを活用すべきと提案してきました。
 知事が目指す都立公園大改革を進め、都立公園をより親しみ、楽しみを感じる公園に生まれ変わらせ、東京の魅力を一層高めていくためには、民間の創意工夫を引き出すとともに、地域や都民との連携を進めることが極めて重要であり、今後どのように進めていくのか伺うとともに、指定管理者制度の見直しを含め、効果的に活用していくべきですが、知事の見解を伺います。
 令和二年度中の交通事故発生件数は一月十四日現在二万五千六百四十二件と、前年度比四千八百二十五件のマイナスで、著しく減少しています。これは、コロナ禍における不要不急の外出自粛要請による影響で交通量そのものが減少していることに原因があると推測されますが、一方で、死者数は百五十五名に上り、前年比二十二名増と、全国最多を数える状況にあり、早急な対策が必要と考えます。
 私たちはこれまで、交通事故から都民を守るための施策として、高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違え防止装置の導入補助、自転車の保険加入義務化や、それに伴うマナー啓発、自転車走行空間の整備促進、道路の安全確保のための自動二輪車の適正な駐車を促す提案など、幅広い政策領域にわたる提言を行ってきましたが、現在の死亡者数の増加についても看過することはできません。
 そこで、交通事故件数が著しい減少を見せているにもかかわらず、死亡者数が著しく増加している原因についてしっかりと分析し、的確な対策をとっていくことで、交通事故から都民の命を守るべきですが、警視総監の見解を伺います。
 また、現在都は、コロナ禍の中で売り上げの減少に直面する飲食店が行う宅配やテークアウト事業を推進する取り組みを行っていますが、自転車によるデリバリー事業者の交通マナーの悪化や、交通ルール違反などに対する苦情が増加しています。デリバリーに従事する事業者が使用するロードバイクは、時に自動車にまさるとも劣らないスピードでの走行が可能であり、歩行者との接触があれば、簡単に大けがや死亡事故につながる危険があります。
 都民の安全を守るため、警視庁としても適正な交通ルールの遵守を促す取り組みを推進すべきですが、警視総監の見解を伺います。
 東京外かく環状道路は整備効果の高い重要な道路ですが、昨年十月に調布市内の道路が陥没したことで、特に工事区間の住民の不安は大きく広がっています。
 本事業は、国、NEXCO東日本、NEXCO中日本が主体となって実施しているものの、都としても不安を払拭する努力を最大限行うべきであり、事業者に対しては再度、安全を最優先にした工事を要請すべきです。
 令和三年二月十二日に開催された有識者委員会において、シールドトンネルの施工が地表面陥没の原因とされたことを受けて、住民の不安払拭に向けた取り組みとともに、必要な対応策をとった上で事業を進めるべきですが、知事の見解を伺います。
 近年、地震や台風等の大規模災害が頻発し、全国各地で甚大な被害が発生しています。地域防災力のかなめである消防団員の確保は重要ですが、全国的には減少傾向が続いています。
 都でも平成二十二年度以降、消防団員数の減少が続いてきましたが、機能別団員制度の導入など、消防署と消防団が一体となって取り組みを進めてきた結果、今年度は十年ぶりに人員の増加に転じたところであり、その取り組みについて高く評価します。
 一方で、特別区消防団運営委員会は、大規模災害に対応した新たな制度導入を促す答申を出すなど、いまだ団員数の充足、向上は必要不可欠な状況です。
 首都直下地震等大規模災害への対応を盤石なものとするためには、必要な人員を早急に確保すべく、新たな取り組みをさらに進めるべきですが、都の見解を伺います。
 加えて、多摩・島しょ地域の市町村においても、市町村総合交付金の政策連携枠を活用し、消防団の情報収集、共有環境の整備を促進するべきですが、見解を伺います。
 都は、災害に強いまちづくりのため、二〇一七年に都道府県で初となる東京都無電柱化推進条例を制定するなど、無電柱化の取り組みを着実に進めており、特に山手通りの内側や五輪会場付近などのいわゆるセンター・コア・エリアの都道については、おおむね無電柱化を達成しました。
 一方で、ロンドン、パリ、香港など、世界の主要都市では、既に無電柱化率一〇〇%を達成しているのに対して、東京二十三区の無電柱化率は、依然として八%と二桁にも届いていないのが現状です。今後、無電柱化を進めていくためには、やはり都内の道路の九割を占める区市町村道の整備を推進させなければなりません。
 そこで、無電柱化加速戦略を踏まえ、都内全域で無電柱化をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 今後の到来が予測されている首都直下地震では、都内で最大二十万千二百四十九棟が延焼し、四千名を超える方々が火災により命を落とすと想定されています。
 これまで都は、特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げて重点的に不燃化を進めるなど、燃えない、燃え広がらない、そして倒れない防災都市づくりを推進してきました。
 また、区部だけでなく、多摩地域にも木密地域は存在しており、地区計画等の策定支援などに取り組んでいるところですが、木密地域の解消、拡大防止のための支援策をさらに強化していくことを期待しています。
 整備地域については、令和二年度を一つの目標として不燃化を推進してきており、一定の進捗は図られているものの、その目標達成に向けてはいまだ道半ばという状況です。
 今後、不燃化特区の取り組みについて、地区指定を見直すとともに、地区内の建て替えを促進するための支援策についても拡充していくべきですが、見解を伺います。
 ことしは、東日本大震災から十年という大きな節目を迎えます。被災地では、揺れや津波によって多くの人命が失われ、また、都内では、帰宅困難者や計画停電による電力不足などの課題が顕在化しました。
 また、近年は、地震だけでなく、気候変動等により、毎年のように日本各地で台風や豪雨による被害が発生するなど、防災対策の重要性は増すばかりです。
 そうした中、一昨年の台風第十五号及び第十九号の被害を受けて、都でも大規模風水害に対する防災対策の検証を行うとともに、コロナ禍における避難所等での感染症対策や、段ボールベッドを活用したスフィア基準など、私たちの要望等を踏まえ、速やかに防災対策の見直し、強化を図ってきました。
 今後いつ発生してもおかしくない首都直下地震や大規模風水害等への備えを強固なものとするためには、防災分野においてもデジタルトランスフォーメーション、DXの推進が重要であり、帰宅困難者対策や日常備蓄の推進に関してもDXを加速していくべきですが、見解を伺います。
 また、現在、防災関係に関しては、総務局総合防災部の東京都防災アプリを初め、下水道局の降雨情報システム、東京アメッシュや、建設局の水防災総合情報システム、生活文化局の外国人向け防災情報など、それぞれの局から個々に配信されています。東京都防災アプリから都の持つ防災、災害情報に容易にアクセスできるよう集約すべきですが、見解を伺います。
 およそ百年前の一九二三年に発生した関東大震災は、死者、行方不明者が十万五千人に上るなど、痛ましい震災でありました。今を生きる私たちは、こうした過去の大震災の記憶を受け継ぎ、日ごろからの防災の大切さを胸に刻まなければなりません。
 東日本大震災から十年、そして関東大震災からもう間もなく百年という節目に際して、過去の大震災の記憶を風化させないよう、都として取り組むべきですが、改めて知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、今後も新型コロナ対策に全力で取り組むとともに、次の時代の東京に向けて、常に都民ファーストの視点に立って都政の改革を進めていくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えをいたします。
 青梅市の山林火災の対応でございますが、東京消防庁、そして地元消防団の懸命な消火活動によりまして、現在のところ民家などへの影響は確認はされておりません。一方で、山林への延焼が広がっておりますことから、本日の未明、自衛隊へ災害派遣要請を行ったところであります。
 現在、東京消防庁と自衛隊が連携して消火活動に当たっております。また、昨日から都の職員を青梅市に二名派遣をいたしまして、情報収集、そして調整に当たらせているところでございます。
 引き続き、青梅市や自衛隊と緊密に連携をいたしまして、速やかな鎮火に向けて、消火活動に万全を期してまいります。
 令和三年度当初予算についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが続く中で、改めて浮き彫りとなりましたのは、我が国が世界の変革のスピードから大きくおくれをとっているという現状であります。東京が世界と伍していく競争力を取り戻して国際舞台で再び飛躍していく、そのためには強い危機感を持って、東京の構造改革を一層加速させていかなければなりません。
 また、安全・安心な東京二〇二〇大会の開催に向けました準備を進めるとともに、次世代へとレガシーを継承していくことも重要であります。
 こうした都がなすべき役割を着実に果たすとともに、コロナ禍からただもとに戻るというのではなくて、コロナを乗り越えて持続可能な回復、サステーナブルリカバリーを実現すべく、積極果敢に施策を展開していくという考えのもとで、令和三年度予算案を編成いたしました。
 具体的には、コロナ禍で困難に直面する方々に寄り添いまして、緊急雇用対策を軸とし、二万人を超える雇用を創出するとともに、新たな需要の喚起に向けた投資などを集中的に行う東京版ニューディールTVA作戦を展開いたしまして、雇用と経済の早期回復へとつなげてまいります。
 また、行政のデジタル化を初めとするDXを推進することで、新たな成長の原動力を生み出すための構造改革を推し進めてまいります。
 同時に、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスを高め、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフを向上させることで、誰もが住んでよかったと幸せを実感できる東京をつくり上げてまいります。
 加えまして、誰もが輝く多様性こそ東京の活力の源泉であるとの認識のもとで、コロナ禍での出産、子育てを社会全体で応援する東京都出産応援事業を開始いたします。
 また、高齢者のデジタルデバイド対策や介護、フレイル予防の充実、教育のデジタル化、テレワークの活用による障害者雇用促進など、人に焦点を当てた施策に力を入れてまいります。
 さらには、東京を世界に冠たる国際金融都市とすべく、グリーンファイナンス市場の拡大に向けましたESG投資を推進していくとともに、ゼロエミッション東京の実現のための取り組みといたしまして、ZEV導入支援、水素エネルギーの利用拡大など、気候危機への行動を積極的に展開してまいります。
 このように、令和三年度予算は、未来の東京戦略に掲げる政策に重点的に財源を配分いたしまして、将来にわたって成長し続ける都市東京の実現に向けて、そのてことなる施策をしっかりと盛り込んでおりまして、これらを着実に実行することで、都民ファーストの視点に立って、東京の明るい未来を切り開いてまいります。
 令和二年度及び三年度補正予算についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えていくためには、変化する情勢を踏まえた実効性ある対策を迅速に実行していかなければなりません。
 こうした観点から、今般、追加提案いたしました補正予算は、直近の感染状況や当初予算案発表後の状況の変化などに的確に対応するため、ぎりぎりまで議論を重ねて対策を練り、具体化したものでございます。
 令和二年度補正予算におきましては、収入の減少などにより生活に困窮された方に対する福祉資金の貸付原資を確保するほか、医療従事者への特殊勤務手当を引き上げるなど、今年度直ちに行うべき対策を速やかに実施してまいります。
 また、令和三年度補正予算では、感染拡大を阻止する対策といたしまして、新型コロナウイルスワクチンの接種について迅速かつ効率的に実施する体制を整備するほか、患者受け入れ体制の確保や宿泊療養施設の借り上げなど、当面の備えといたしまして、四月から六月までの三カ月分の医療提供体制を確保いたします。
 加えまして、経済活動や都民生活への支援として、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向けまして、キャッシュレスによるポイント還元などの区市町村の取り組みを支援してまいります。
 そのほか、コロナ禍におきましても文化の灯を絶やさないようにするため、アートにエールを!東京プロジェクトを追加で実施をしてまいります。
 さらには、感染症防止と経済社会活動との両立に向けまして、宿泊施設を活用したテレワークを一層促進するなど、新しい日常におけます働き方改革を後押しする取り組みをさらに強化してまいります。
 今回の補正予算に盛り込んだ施策を当初予算の施策と一体的に展開することによって、感染症対策に万全を期すとともに、都民生活と経済活動を支える手だてを迅速に講じてまいります。
 次に、ワイズスペンディングの取り組みについてであります。
 都税収入が減少する中にありましても、現下の課題と未来に向けた施策に重点的に予算を振り向けていくためには、無駄を一層なくすなど、これまで以上にめり張りをきかせた予算とし、持続可能な財政基盤を堅持する必要がございます。
 そのため、令和三年度予算編成に当たりましては、その見積もり方針におきまして、十六年ぶりとなるマイナスシーリングを設定、例年以上に施策の見直しを徹底するなど、全庁的に自己改革の取り組みを促したところでございます。
 その上で、事業評価につきましては、終期を迎える事業に対する事後検証を徹底するとともに、対面からオンラインサービスへの移行といった新しい日常に対応するための事業見直しなど、創意工夫を凝らして取り組んでおります。
 こうした取り組みの結果、過去最高となる一千三百六十件の評価結果を公表いたしまして、約千百十億円の財源を確保するとともに、四百三十件、約八百億円の新規事業の構築につなげております。
 今後、執行段階におきましても、最少の経費で最大の効果を生み出すための工夫を重ねてまいりますとともに、来年度は事業評価と政策評価を統合しまして、一体的な評価を行うことで、ワイズスペンディングの取り組みの深化を図って、東京大改革を引き続き推し進めてまいります。
 次に、自宅療養者のフォロー体制についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症で自宅で療養される方々や同居されるご家族は、健康管理や食事の用意などさまざまな不安を抱えておられます。
 このため、都は、昨年九月からLINEを活用した健康観察を、十一月には二十四時間対応の医療相談を多摩地域の都保健所の管内でそれぞれ開始いたしまして、ことしの一月からは、これらの取り組みを特別区や保健所設置市の区域にも拡大するほか、医療相談窓口の人員や電話回線数を大幅に増強するなど、健康面の支援を充実させております。
 同様に、多摩地域の都保健所管内で開始をいたしました食料品等の配送を、本年の一月から特別区や保健所設置市の区域に拡大するなど、生活面での不安にも対応いたしております。
 さらに、東京iCDCにおきまして、自宅療養中に療養者ご自身が気をつけるべきことや、ご家族など同居者の方に知っていただきたいことなどをわかりやすくまとめた自宅療養者向けハンドブックを作成いたしまして、食料品などとあわせて配布をいたしております。
 加えまして、自宅療養中に容体が悪化した場合に速やかな対応が可能となりますように、本年一月から、酸素飽和度を測定いたしますパルスオキシメーターを保健所設置区市に約七千二百台配布いたし、これを活用した健康観察を開始いたしております。
 こうした取り組みによって、自宅で療養される方の健康面と生活面の一体的な支援を充実させてまいります。
 次に、緊急事態宣言についてのご質問であります。
 現在、都内の新規陽性者数は、都民、事業者の皆様のご協力によりまして減少傾向にあるものの、その速度は低下をいたしており、医療提供体制の逼迫も長期化しております。
 また、東京iCDCの専門家からも、新規陽性者数の減少の鈍化、変異株の広がり、ワクチン接種時期が不透明との三つの懸念が示されております。
 今ここで、新規陽性者数をしっかりと減少させて、感染を徹底的に抑え込み、再拡大を招かないことこそが、我々が全力で取り組むべきことであります。
 都といたしまして、営業時間の短縮の徹底、都立公園等の利用制限の順次強化、テレワーク等の徹底などによりまして、さらなる人流の抑制を強力に推進してまいります。
 また、昨日、一都三県の知事でテレビ会議を実施いたしまして、感染防止対策をとことん徹底するための共同メッセージを発出、強い決意を持って、ともに取り組むことといたしました。
 都民の命と暮らしを守ることは都知事としての責務でございます。早期の感染終息に向けまして、国や一都三県と緊密な連携を図って、感染拡大防止に万全を期してまいります。
 新型コロナに関する差別解消に向けた体制の強化についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症に感染された方や、医療現場の最前線で闘ってくださっている医療関係者、そのご家族などが心ない差別や偏見に苦しんでいるという話を私自身も聞いております。全ての人の存在や尊厳は尊重されるべきでありまして、こうした差別は決して許されるものではありません。
 都は、人権に関する一般相談におきまして、新型コロナウイルス感染症に関連した不当な差別などにつきましての相談に応じておりますが、相談者のさまざまな実情に即したきめ細かな対応を図るため、新たに専門の人権相談窓口を設置いたします。
 専門相談では、一人一人の状況や要望をしっかりとお聞きいたしまして、相談者が希望する場合には、人権擁護機関として要請や勧告等を行う東京法務局と協力して対応するなど、関係機関とも積極的に連携しながら、相談者が抱える問題の解決を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、新型コロナウイルス感染症に関連いたしまして、いわれのない差別に遭った方々に寄り添って、そうした方々の人権が守られますよう全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルスワクチンの接種についてのご質問でございます。
 新型コロナとの闘いで今、ゲームチェンジャーとなることが期待されておりますワクチンの接種が先週いよいよ我が国でも始まりました。来月には、都が中心となって準備を進めております医療従事者等への優先接種を開始する予定でございます。
 都では、都内の対象者数約六十万人を想定した接種に向けまして、ディープフリーザーでワクチンを保管する基本型接種施設を約百六十カ所、ワクチンの移送を受け接種を行う連携型接種施設を約四百八十カ所、現時点において確保いたしております。
 今後、ワクチン接種を円滑に進めるため、都が独自に開発した予約システムも活用しながら、準備をさらに加速させてまいります。各区市町村が行う住民の接種につきましても、広域的な立場から積極的に支援をしてまいります。
 今回のワクチンの接種でありますが、かつて経験したことのない大規模な国家プロジェクトであり、実施に当たりましては、さまざまな課題や混乱も予想されるところではございますが、これを乗り越えて確実にやり遂げなければなりません。
 先日、区市町村や医師会などから成るワクチンチームを立ち上げたところであります。こうした関係機関と情報を共有して連携を深め、現場の課題を適切に把握した上で、国に対して必要な改善なども求めながら、接種体制の確保に万全を期し、都民の大きな期待に応えてまいります。
 次に、未来の東京戦略についてのお尋ねがございました。
 私たちは、依然として新型コロナとの厳しい闘いのただ中にありますが、そうした中にありましても、その先にある未来の東京の姿を思い描いて、その実現に向けた歩みを進めていかなければなりません。
 東京、日本が直面している構造的な課題に正面から向き合って、目指すべきビジョンとその実現に向けた戦略を明らかにして、都政の新たな羅針盤として策定いたしましたのが未来の東京戦略でございます。
 コロナ禍が浮き彫りにした東京の課題を克服し、未来に向けた復興を目指すサステーナブルリカバリーをあらゆる政策分野で実現することで、強靭で持続可能な社会を築き上げる。
 グリーンファイナンスマーケットの新設など、アジアで一番の国際金融都市を目指す取り組みや、ゼロエミッション東京戦略のバージョンアップ、スマート東京実現の取り組みなど、世界をリードし、都市間競争力を高める政策を展開してまいります。
 加えまして、デジタルデバイド対策など長寿東京の実現に向けた取り組みや、リアルとバーチャルのハイブリッドによります新たな居場所づくり、世界一の美食都市のための戦略的な取り組み、人中心の歩きやすいまちづくりなど、新しい日常を実現するにふさわしい踏み込んだ政策を大胆に展開してまいります。
 未来の東京戦略は、実践、実装してこそ意味があります。目まぐるしく変化する世の中の動きを的確に捉えまして、実効性ある取り組みを全庁を挙げて推進、目に見える形で成果を上げることで、成長と成熟が両立した明るい未来の東京を切り開いてまいります。
 次に、デジタルサービス局についてであります。
 デジタル社会の形成は、都民の生活の質や利便性の向上、東京の国際競争力強化のほか、新型コロナウイルス感染症対策を初め、都政が直面するさまざまな課題を解決する上で極めて重要でございます。
 そのため、デジタルによる変革を強力に先導する新たな視点と発想に基づく実行力を持った推進体制を構築すべく、四月にデジタルサービス局を設置することといたしました。
 新たな組織におきましては、東京が目指すDXの方向性を描いていくとともに、効果的なサービス提供につなげるためのデジタル関連経費の把握、分析、ICT職の全庁的な配置管理に関する調整、都政の構造改革に掲げたコアプロジェクトの推進など、デジタルに係る全庁統括機能を担ってまいります。
 また、開発から実行段階まで、技術面からサポートする体制を構築いたしまして、各局のDXを強力に後押しするとともに、区市町村のDX推進に関しまして連携を行う専管窓口を設置して、東京全体の行政サービス水準も高めてまいります。
 さらには、こうした取り組みを支えるため、多様な外部人材の採用を拡大するほか、育成計画の策定や新たな研修を実施するなど、DX推進の中核となる専門人材の育成を行ってまいります。
 今後、統括とサポートの二つの機能をあわせ持つ都政のデジタル化の牽引役として、都政のQOS、ひいては都民のQOLを高めて、未来の東京を築き上げてまいります。
 次に、デジタルトランスフォーメーション推進に向けました市町村総合交付金の活用についてでございます。
 市町村総合交付金は、地域の発展に向けて市町村が取り組む各種施策に要する一般財源の補完制度として重要な役割を果たしております。
 これまでも市町村総合交付金が市町村にとって使いやすい制度となるように、支援体制の拡充など、制度の充実に努めるとともに、待機児童対策など喫緊の課題につきましては、政策連携枠の対象として、市町村の取り組みを強力に後押ししてまいりました。
 コロナ禍で浮き彫りになった課題を克服して未来の東京を切り開いていくため、そのためには、住民と身近に接する機会の多い市町村におきましてもデジタルシフトを推進していくことが必要であります。
 市町村では、証明書交付等におけるスマートフォンの申請やチャットボットの導入など、住民サービスの向上を目指したデジタルツールの活用が進められております。こうした市町村の幅広い取り組みを加速させるため、令和三年度から政策連携枠の対象に、新たに行政のデジタル化を加えます。
 引き続き、市町村の皆様のご意見を十分に伺って、総合交付金を有効に活用していただくことで、新たな課題に対します市町村の積極的な取り組みを支援してまいります。
 次に、東京都生活応援事業によりますデジタル活用の一層の推進についてでございます。
 新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向けまして、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを行う区市町村の支援を目的として、東京都生活応援事業─コロナに負けない!─を実施することといたしました。
 コロナ禍におきまして新しい日常を定着させていく上で、キャッシュレス決済の普及は最優先で取り組むべき課題であります。
 キャッシュレスは非接触型の衛生的な決済手段でありまして、感染拡大の防止につながるとともに、現金取り扱いに係る社会的コストの削減や生活の利便性の向上など、さまざまなメリットがございます。
 デジタル技術の活用は、人的負担の軽減やコスト削減が図られるなど、行政メリットも大きいことから、今年度、都内十七の区市がキャッシュレス決済によるポイント還元などによって、地域経済の活性化施策を展開しておられます。
 また、施策の効果測定が容易であることから、この事業におきましても決済事業者の協力を得て、さまざまなデータを収集、分析して、成功事例などを各区市町村に水平展開してまいります。
 さらには、事業の成果を四月に設置されるデジタルサービス局における今後のデジタル施策の立案にも役立ててまいります。
 商店街の活性化に向けた支援についてでございます。
 インターネット販売の普及や空き店舗の発生など、商店街を取り巻く環境が厳しい中で長期化する感染症の影響は、その状況に一層の拍車をかけております。
 東京二〇二〇大会後に開催を予定しておりました大東京商店街まつりにつきましても、やむを得ず中止させていただきました。
 このような中にありまして、商店街が地域コミュニティの中心として輝き続けるためには、安心・安全で、快適に買い物ができる環境の整備やキャッシュレス化による利便性の向上などが重要であります。また、こうした商店街の魅力や地域における役割などを都民へ伝えていく必要がございます。
 このため、デジタル化の一層の推進など、新しい日常に対応するための幅広い取り組みを支援するとともに、商店街の取り組みに弾みをつけるため、改めて準備を整えまして、コロナ禍の克服と経済活力の回復を目指すイベントとして、大東京商店街まつりを開催し、多様な魅力をアピールしてまいります。
 商店街の意欲的な活動を後押しして、さらなる活性化につなげてまいります。
 ポストコロナを見据えた雇用対策についてでございます。
 感染症の影響が長期化する中で、経済が大きな打撃を受けて、雇用情勢も回復の兆しが見えておりません。解雇や雇いどめによって困難に直面する方々に対して、早期に雇用を確保し、生活の安定を図ることは喫緊の課題でございます。
 こうした中にあって、成長が見込まれる産業や人手不足が続く分野などへの人材シフトをこの機会に促していくことは、東京の持続的な発展にもつながるものと考えております。
 このため、都は来年度、求人企業とのマッチングや職業訓練など、多様な施策を質と量ともに大幅に拡充いたしまして、二万人を超える雇用を創出する東京版ニューディールを実行してまいります。
 マッチング支援におきましては、コロナ禍にあっても採用意欲の高い企業の求人を重点的に開拓いたしまして、最大半年間のトライアル就労を経て、正社員となる機会を提供するなど、雇用の場の確保を図ってまいります。
 また、IT分野におけます職業訓練の充実を図って、デジタル社会を担う人材の育成を強化していくほか、介護などの業界団体と連携いたしまして、職場実習と就職面接会を組み合わせた、新たな就労支援プログラムの実施によって、再就職を促進してまいります。
 こうした重層的な施策展開によりまして、都民生活の基盤となる雇用確保に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
 今後の市場経営についてのご質問であります。
 人口構成の変化に伴う消費者のニーズの多様化や今般の新型コロナウイルス感染症のような新たなリスクへの対応、急速なデジタル化の進展による流通環境の変化など、卸売市場は大きな転換点を迎えております。
 こうした中にありましても、卸売市場は将来にわたり重要な使命を果たしていく必要があって、コロナ禍で先鋭化した課題を乗り越え、加速度的に進む物流の変化などにも対応できるよう、このたび今後の市場経営の羅針盤となる経営指針の案を取りまとめております。
 この指針におきましては、市場機能の本質的な要素である結びと信頼を考え方の基軸に備えて、二〇四〇年代の卸売市場の姿と持続可能な市場経営の実現を目指すこととしておりまして、来年度、この指針に基づく経営計画を策定し、実効性のある具体的な取り組みを進めてまいります。
 まず、今後の経営の礎となる市場会計につきましては、管理会計の手法を活用して、市場別の収支構造等を精緻に分析した上で、個々の課題に即して、経常収支の黒字化に向けた手だてを講じてまいります。
 また、取引の担い手であります市場業者を力強く後押しして、Eコマースを初めとするデジタル化への対応や、エシカル消費といった消費者ニーズに即した販路開拓など、付加価値の高いサービスを創出してまいります。
 こうした取り組みで戦略的な市場経営を推進して、将来にわたって都民生活の幸せの実現に貢献できる、新たな卸売市場を築き上げてまいります。
 グリーンファイナンスを初めとするサステーナブルファイナンスの取り組みについてのご質問がございました。
 私は、金融と環境との連携による好循環をいかに生み出していくのか、このことに長く取り組んでまいりました。都におきましては、ポストコロナを見据えて、脱炭素社会の構築など、持続可能な経済をつくり上げるサステーナブルリカバリーを推進しておりまして、今般、金融の力でその動きを加速するために、グリーンファイナンスの取り組みに注力をすることといたしました。
 そこで、仮称ですが、東京グリーンファイナンスマーケットの創設に向けました検討を開始いたしました。環境を中心とするESG投資に関する資金が国内外から東京へ集まる仕組みの構築を目指してまいります。
 あわせて、来年度、仮称ですが、サステーナブルエネルギーファンドも創設をいたします。これは、官民連携ファンドの手法を用いまして、再生可能エネルギーの発電所に加えて、水素ステーションや電気自動車の充電拠点なども投資対象とすることで、新しい資金の流れを生み出していくものでございます。
 東京が今後、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融都市として発展していくため、グリーンファイナンスを初めとするサステーナブルファイナンスの分野でリーダーシップを発揮していくとともに、条例化の検討を含めまして、さまざまな施策を積極的に展開することで東京の持続的な成長につなげてまいります。
 東京ベイeSGプロジェクトについてでございます。
 歴史を振り返りますと、S、渋沢栄一や、G、後藤新平といった偉大な先人たちは、幾多の困難に直面する中で、東京の将来を見据えた取り組みを進めてきました。こうした先人たちの精神を受け継いで、大胆な発想で未来の東京を築き上げたい、その思いから、このプロジェクトを立ち上げております。
 新型コロナという百年に一度の危機に直面している今だからこそ、浮き彫りとなった社会の構造的な課題を克服して、持続可能な社会を実現していく必要がございます。
 このプロジェクトでは、東京でも高いポテンシャルを秘めたベイエリアを舞台として、デジタル化による利便性の追求、そして環境との共生など、五十年、百年先を見据えて、自然と便利が融合する都市を構想してまいります。
 今回公表いたしましたドラフトですが、二〇三〇年までに目指す姿として、仮称Tokyo Green Finance Marketの活用でグリーンテック企業の集積を図る、また、大胆な規制緩和による巨大実装エリアを設けて、ドローンや空飛ぶ車、自動運転など、最先端テクノロジーの実装を進めることなどをお示しいたしております。
 このドラフトをたたき台にして、有識者などから幅広く意見を伺って、都市の将来像を大胆に描くとともに、民間事業者の力を活用して、地元区などとも連携しながらスピード感を持ってプロジェクトを展開してまいります。
 次に、二〇三〇年までの温室効果ガス削減と再エネ電力利用拡大に向けた計画に関してであります。
 都は昨年度、ゼロエミッション東京戦略を策定して、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けて多面的な行動を展開いたしております。
 この間、気候危機の状況はより深刻化しております。そして、行動の重要性が一層高まってもおります。とりわけ重要なマイルストーンとなります二〇三〇年までの今後十年間に、実効性ある行動をさらに加速していく必要がある。
 このため、二〇三〇年までに温室効果ガスを五〇%削減すること、再エネ電力の利用割合を五〇%に高めていく、これらのことを掲げまして、都民、企業、行政などあらゆる主体が今から行動をチェンジするタイム・ツー・アクト・フォー・カーボンハーフスタイル、これを呼びかけてまいります。
 また、都みずからの率先的な取り組みや他の自治体等との連携の強化とともに、国に対しましては、引き続き意欲的な再エネ導入目標の設定など、必要な提案要求を行ってまいります。
 こうした多様な観点からの取り組み強化の方向性につきましては、ゼロエミッション東京戦略を来月中にアップデートする中で提示をいたしまして、環境審議会などでさらに検討を深め、そして二〇三〇年カーボンハーフの実現を目指してまいります。
 自動車の非ガソリン化についてであります。
 都内で新車販売される乗用車を二〇三〇年までに、二輪車を二〇三五年までに一〇〇%非ガソリン化する目標の達成に向けましては、実効性の高い施策の積み重ねが重要であります。
 都は、二〇二一年度を非ガソリン化元年と位置づけまして、車両の導入促進、充電設備等のインフラ整備、この両面から施策を展開しまして、ZEVの普及を一気呵成に拡大してまいります。
 具体的には、都税の減税措置の延長に加えまして、環境省と連携した補助を活用した場合に、電気自動車では、購入及び維持に係る総コストがガソリン車を下回る水準まで軽減できるなど、ZEV車両の購入に係る支援を大幅に拡充。
 また、今後拡大が見込まれるカーシェアリングなどへのZEV導入を促進するため、事業者に対する補助額を拡充いたします。
 さらに、インフラの整備促進のため、急速充電設備の導入に当たりまして負担が大きい電力基本料金や受変電設備の工事費用、これを新たに補助対象といたします。
 都は、これらの支援策の拡充とともに、災害時にも活用可能であるZEVに関する多くの利点につきまして、自動車メーカーやディーラーなどとも連携しながら、広く周知をしてまいります。
 こうした取り組みを通じて社会全体でZEV化の機運を醸成、自動車の脱炭素化を強力に推進してまいります。
 都庁内外における女性活躍の推進でございます。
 コロナ禍を乗り越えて、持続可能な社会を築き上げるため、女性も男性もみずからの希望に応じて輝ける、誰にとっても住みやすい社会の実現が重要であります。
 こうした社会の実現には、あらゆる場における意思決定過程への女性の参画を広げるとともに、社会全体の意識や働き方の変革で多様な価値観や発想などを共有することが必要であり、このため、まずは都庁におきまして、審議会などへの女性委員の任用促進を図って、令和四年度末までに男女それぞれが構成員の四〇%以上として、目標を前倒しいたします。庁内の意識改革を一層進めるとともに、専門知識を有する女性を公募するなどによって目標を達成してまいります。
 また、都職員の約四〇%を占める女性の力を最大限生かすことができるように、都庁の管理職に占める女性割合につきましても、令和七年に二五%へ向上させることを目指し、先輩管理職にSNSなどにより相談ができるキャリアメンター制度を拡充するなど、女性活躍推進に向けた取り組みをさらに進めてまいる。
 さらに、未来の東京を創出するために、コロナ禍がもたらした暮らしや働き方の大きな変化を契機といたしまして、女性も男性も家事、育児等をともに担えるよう、社会全体の意識や行動の変革が必要であり、その機運をより一層高めてまいります。
 来年度は、インフルエンサーの発信力も生かしながら、家事、育児の魅力を広く伝えるキャンペーンを展開いたします。
 こうした都庁内外の取り組みを通じまして、誰もが生き生きとあらゆる分野で活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 続いて、組織委員会などとの連携についてのお尋ねがありました。
 東京二〇二〇大会の準備を円滑に進めまして、大会を成功に導くためには、運営を担う組織委員会と開催都市である東京都が密接に連携しながら、お互いの役割をしっかりと果たしていくことが重要であります。
 今般、橋本新会長とお会いした際に、会長は、多様性と調和を新たな形でしっかりと世界に示していくと、男女平等参画、女性活躍などの進展に尽力されることを表明されておられます。
 都におきましても、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定して、人権意識の醸成などに取り組んでおります。組織委員会の目指す方向は、都の方針と合致するものであります。
 大会の理念である多様性と調和を具体化するためにも、組織委員会と連携協力し、取り組みを進め、都民、国民に発信をしてまいります。
 なお、本日はパラリンピック開催の半年前であります。多様性と調和という理念のもと、パラリンピックを成功させ、共生社会の実現につなげていくことは、大会のレガシーとなります。
 そのため、これまでの都、国、組織委員会、IOCとの四者協議にIPCを新たに加えた五者協議を来週にも開催するよう調整をしているところでございます。
 引き続き、組織委員会を初めとする関係者と一丸となりまして、大会の成功に向けて全力を尽くしてまいります。
 東京二〇二〇大会でございますが、安全・安心な大会に向けましては、新型コロナ対策が最大の課題であって、現在、コロナ対策調整会議の中間整理に基づいて、対策の具体化に取り組んでいるところであります。
 このうち、観客数の上限や外国人観客の取り扱いにつきましては、国内外の感染状況や渡航制限、検疫等の水際対策、国内外のイベントの実施、対策の状況等を踏まえまして、この春に決定することといたしております。
 一方で、観客の安全と地域の安全の両立を図る観点から、観客の出入国時の適切な防疫措置、入国後の行動ルール、体調不良者への対応など、安全対策も重要であります。
 これらの観客の取り扱いにつきましては、現在、感染症、救急医療の専門家の知見も踏まえまして、国、組織委員会等の関係者と議論を行っておりまして、IOC、IPCとも協議の上、調整会議で取りまとめてまいります。
 今後とも、国、組織委員会など関係者と連携協力をいたしまして、さまざまな場面に応じた対策を幅広く精力的に検討いたしまして、安全・安心な大会の実現に向けて準備を加速してまいります。
 次に、妊娠、出産に関する支援についてのお尋ねがございました。
 都は、平成二十七年度から全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握をいたしまして、継続した支援を行う区市町村を支援いたしております。
 今年度からは、子育て家庭が抱えるさまざまな悩みによりきめ細かく対応するため、産後の支援を大幅に充実したとうきょうママパパ応援事業を実施いたしております。
 現在、コロナウイルス感染症が拡大する中で、子供を産むことに対して不安な気持ちを抱く方々が増えていることと存じます。
 都は今年度、妊娠や出産に関する相談に専門職が電話やメールで応じる妊娠相談ほっとラインで、新型コロナウイルス感染症に関する悩みや相談にも対応いたしております。また、助産師によるオンラインの対面相談を実施して、感染予防のため外出を控える妊婦をきめ細かく支援しています。
 さらに、分娩前のPCR検査を希望する妊婦に対して検査費用の助成を行うとともに、感染した妊産婦に対しましては、助産師や保健師等が寄り添う相談支援も実施をいたしております。
 こうした取り組みに加えて、御会派のご要望も受け、来年度開始する東京都出産応援事業につきましては、本年一月一日以降にお子様が生まれた家庭に対して、新たに開設する専用サイトを用い、子供一人当たり十万円分の子育て支援サービスや育児用品などを提供して、経済的負担の軽減を図ってまいります。
 また、あわせまして実施するアンケートによって、各家庭の子育てニーズを把握して、今後の効果的な施策の展開につなげてまいります。
 こうした取り組みを通じて、コロナ禍という未曽有の状況において、不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをしてまいります。
 インターネットやゲームの適正な利用についてのお尋ねがございました。
 インターネット、ゲーム依存への対策といたしまして、都は、冷静に情報を見きわめまして、都民に情報を提供していくことが必要と考えておりまして、科学的根拠に基づかない内容で、条例による一律の時間制限などを行うことは考えておりません。
 インターネットやゲームの適正な利用につきましては、啓発講座や相談窓口を設けて対応しておりまして、子供や保護者の自主性を尊重して事業を推進してまいります。
 高齢者のフレイル予防についてであります。
 年齢を重ねても、いつまでも健康を保つためには、一人一人が日ごろから食事や運動、そして休養などの生活習慣に気をつけるとともに、地域における健康づくりやフレイル予防の取り組みを進めることは重要でございます。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛などによりまして、高齢者の心身機能の低下が危惧されているところであります。
 このため、都は、高齢者の筋力維持に効果的な運動を紹介した動画を配信するほか、感染を防ぎながら定期的な外出や適度な運動などを促すリーフレットを区市町村などを通じまして、高齢者の方々の手に届くよう配布、健康的な生活習慣を維持できるよう働きかけてまいりました。
 これに加えまして、高齢者の通いの場は、地域の人と交流することで生きがいにもつながるわけでございまして、来年度から、対面、非対面双方での介護予防、フレイル予防の取り組みを支援してまいります。
 具体的には、活動グループの小規模化や高齢者が自宅にいながらスマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を活用してオンラインで仲間と一緒に行う健康づくりなどに取り組む区市町村を支援してまいります。
 新しい日常におきましても、高齢者の方が安心して地域の活動を継続し、いつまでも健康に暮らしていただけるよう、区市町村と連携しながらフレイル予防の取り組みを強化してまいります。
 次に、町会、自治会のデジタルデバイド対策についてであります。
 生活のあらゆる場面でデジタル化が進み、その利便性は急速に高まっており、誰もがデジタル化がもたらす利便性を享受できる社会を実現することは重要であります。
 地域におきましては、コロナ禍によって、当たり前だった人の交流が希薄になり、人と人とのつながりの大切さを再認識させられました。各地域で毎年行われ地域住民を結びつけていた盆踊りや餅つき大会、お祭りも開催を見送らざるを得なくなっております。
 このような状況だからこそ、町会、自治会におきましても、デジタルを活用して新たな交流のあり方を模索して、見守りや防災など、さまざまな地域の課題の解決につなげていく必要がございます。
 実際に、LINEを活用して打ち合わせを行う町会、自治会があるなど、デジタル化を活用する芽も出てきております。
 このため、来年度からは、電子回覧板の導入や、災害時のSNSを活用した安否の確認に向けたスマホ講習会など、町会、自治会活動の電子化に資するデジタルデバイド対策に対しまして、地域の底力発展事業助成に新たなメニューを設けて、その取り組みを支援してまいります。
 こうした取り組みを通じて住民の交流を促し、地域の一体感を高めるとともに、より多くの住民の参加にもつなげて、地域力の向上に取り組んでまいります。
 芸術文化支援についてでございます。
 コロナ禍において、御会派のご要望を踏まえまして、都が実施したアートにエールを!東京プロジェクトは、全国的な芸術文化への支援にもつながりました。参加者からは、コロナで気持ちが折れそうになったが、このプロジェクトによって改めて東京で活動する意欲が湧いたなどの声が寄せられておりまして、芸術文化の灯を絶やしてはならないとの思いを一層強くしたところでございます。
 そこで、このプロジェクトのレガシーを生かし、さまざまなアーティストを支援していくため、これまでの芸術文化への助成事業を再構築して、Tokyo Arts Fundとして立ち上げを行います。
 具体的には、新たな取り組みとして、新人アーティストに対して創作活動への助成や活躍の場の提供などをパッケージで支援を行う。また、伝統芸能の裾野の拡大につながりますように、都民が体験してその魅力を感じていただける事業への支援など、分野の特性に応じた多様なメニューを用意いたします。
 また、緊急事態宣言などによって、現在も厳しい状況にある芸術文化団体等に対しまして、アートにエールを!東京プロジェクトの追加実施も行います。
 今後とも、アーティスト、そして関係団体などへの切れ目のない支援を行いまして、芸術文化都市東京の魅力を高めてまいります。
 次に、望まない孤独への対応についてのお尋ねであります。
 核家族化、そして価値観の多様化が進むことで、人と人とのつながりが希薄化する中、ひきこもりやひとり暮らし高齢者の孤立といった問題が顕在化してきております。
 また、新型コロナウイルス感染症の流行下におきましては、失業に伴う経済的な困窮、社会との交流が制限されることによる心理的な不安の増大など、女性や若者を含めまして、あらゆる人が孤独に陥りやすい状況にあります。
 私は知事就任以来、一貫して人に焦点を当てて、誰もが安心して暮らせるよう、高齢者の活動の場づくり、子供食堂の推進、ひきこもりの方へのサポートなど、各種支援を実施してまいりました。
 さらに、コロナ禍の状況も踏まえまして、心と命を守る緊急対策として、電話やSNS相談の体制強化、女性への相談窓口の周知などにも取り組んでおります。
 今後は、さまざまな理由で不安や孤独感を抱える方をきめ細かくサポートするため、全区市町村での分野横断的な相談支援体制の構築や、リアルとオンライン双方の強みを生かした居場所の創出に取り組む区市町村を支援するなど、誰ひとり取り残さない社会を実現してまいります。
 次に、地下鉄ネットワークの充実についてでございます。
 将来にわたり東京が持続的に発展をして、日本全体の成長を牽引するためには、活発な都市活動を支える鉄道網のさらなる充実が必要でございます。
 臨海地下鉄構想と品川地下鉄構想は、まさにご指摘のとおり、国際競争力の強化に不可欠な路線でありまして、特に臨海地下鉄構想は、都心部と開発が進む臨海地域とをつなぎます基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有しております。
 とりわけ、大いなるポテンシャルを有しますベイエリアにおきまして鉄道網を充実することは、東京を持続可能な都市にしていく上で重要であります。
 先月、国の審議会での議論が始まる機会を捉えまして、私みずから国土交通大臣に対して、具体化に向けて要請を行ったところでございます。
 審議会での議論も踏まえまして、国や地元区など関係者間で連携をして、事業計画の策定に向けた検討を進めるなど、構想の具体化を加速することで日本の成長を確かなものにつなげてまいります。
 次に、都立公園の改革についてであります。
 都立公園は、都市の生活において身近な憩いの場として大きな役割を果たしております。
 公園の魅力を一層高めるためには、都立公園大改革をさらに進めて、民間の発想の活用や、都民や地域等との連携を強化していくことは重要であります。
 このため、公園の多面的活用の一環といたしまして、浮間公園で飲食店の事業者選定を進めるとともに、来月からは明治公園と代々木公園におきまして、都立公園で初めてパークPFI制度によります事業者を公募するなど、官民連携の取り組みを加速してまいります。
 公園の運営を担う指定管理者につきましても、ボランティアやエリアマネジメント団体等との協働を進めておりまして、次期選定に当たりましては、都民や地域等との連携の視点を取り入れるなどの見直しを行って、多様な発想に基づく魅力ある公園づくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを効果的に進めて、都民、来園者の多様化するニーズに対応しながら都立公園の大改革を推進して、都市における豊かなライフスタイルを生み出してまいります。
 外環事業についての都の対応についてのお尋ねであります。
 昨年十月に発生した地表面陥没につきまして、先般の有識者委員会におきまして、陥没、空洞の発生メカニズムが示され、外環シールド工事が要因とされましたことは、まことに遺憾であります。
 都は、国など事業者に対しまして、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明や対応などを求めてまいりました。
 有識者委員会におきましては、緩んだ地盤の補修の実施や再発防止の基本方針が示されておりまして、今後さらに検討が進められ、取りまとめがなされる予定でございます。
 都は、引き続き国など事業者に対しまして、住民の不安払拭に向け、補償を含めた丁寧な説明やきめ細やかな対応を確実に行うことや、都や地元自治体との情報共有を図ることを求めてまいります。
 さらに、有識者委員会によります検討結果を住民の安全・安心確保に向けた取り組みに反映させ、確実に行うことを強く求めてまいります。
 無電柱化についてのご質問です。
 私は知事として、都道府県初の無電柱化推進条例を制定するなど、無電柱化に積極的に取り組んでまいりました。近年、激甚化する自然災害に備えるため、一刻も早く無電柱化を進めていかなければなりません。
 このたび策定いたしました無電柱化加速化戦略では、電柱を減らす、これ以上電柱を増やさない、無電柱化の費用を減らす、この三原則に基づきまして、都内全域の無電柱化をこれまでの歩み以上に推進するため、七つの戦略を取りまとめたところであります。
 都道におきましては、年間の整備規模を倍増させ、整備を二十年程度前倒し、対象路線全線の二〇四〇年代の完了を目指してまいります。
 島しょ地域におきましては、小型ボックス型の共同溝など、島しょならではの簡易な手法を採用いたしまして、コストや工期の縮減を図るとともに、被災リスクの低減に効果が大きい区間約十キロメートルにつきましては、二〇二五年度までに完了させるなど、整備目標を新たに設定しまして、緊急に整備に着手をいたします。
 さらに、区市町村道の整備やまちづくりにおきまして、無電柱化が標準仕様となることを目指しまして、防災に寄与する路線の補助対象に設計費などを新たに加えるなど、あらゆる支援メニューを拡充いたしまして、面的な無電柱化を実現いたします。
 無電柱化加速化戦略を踏まえまして、電線管理者などとともに、今後五カ年で実施する箇所や延長などを示した整備計画を策定して、無電柱化を推進することで電柱のない東京のまちの姿を早急に実現してまいります。
 震災の記憶の風化防止への取り組みについて、最後にお尋ねがございました。
 私自身、東日本大震災の被災地を何度も訪問いたしまして、復興にご尽力される多くの方々にお会いをしてまいりました。復興支援への思いを強くするとともに、大きな災害を決して忘れてはならないと改めて感じております。
 このため、さまざまな機会を捉えまして、震災の風化防止や被災地の復興支援を都民に対して広く呼びかけてまいりました。
 震災から十年を迎えまして、被災地の復興が進む一方で、震災の記憶が薄れていくことが懸念されております。
 東日本大震災で思い起こされますのは、釜石の奇跡であります。古くからの伝承で、いち早く各自てんでんばらばらに逃げるという津波てんでんこの教育を受けた子供たちが、発災時にみずからの判断で高台へ避難して多くの命が救われた、まさに、備えよ常にであります。
 関東大震災から間もなく百年を迎えます。第七代東京市長を務めました後藤新平の帝都復興計画の理念は、東京、そして日本の持続可能な発展の基盤を築くものでありました。
 その理念とともに、震災の記憶と教訓を確実に将来に伝えられるよう、こうした節目に合わせたさまざまな事業を検討するなど、都民の防災意識の向上を図ってまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 三点の質問にお答えします。
 まず、モバイルファーストのサービス提供についてでございますが、国の情報通信白書によると、東京都における個人のインターネット利用率は二〇一九年時点で九五%を超え、端末別ではスマートフォンがパソコンを上回って広く活用されております。
 シン・トセイ戦略に掲載したデジタル化に関する都民実態調査におきましても、都民の行政サービスへのアクセス手段はスマートフォンが六割を超えており、都民に広く普及しているスマートフォンでのサービス提供は、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスを高める上で重要な視点であります。
 私はかねがね、よいサービスとは、提供側がつくりやすいものではなく、ユーザー側が使いやすいものであることが決定的に重要であると考えております。
 こうした観点から、シン・トセイ戦略のワンストップオンライン手続プロジェクトでは、デザイン思考の考えを取り入れ、ユーザー目線に立った使いやすいツールの利用、ユーザーの意見を聞きながらの改善を基本方針に掲げました。
 この方針に基づき、施設の利用や講座の受け付けなど、都民や事業者にとって身近な手続を中心に、二〇二二年度末までに約四十の手続でスマートフォンによる申請を開始いたします。あわせて、LINEなど広く普及しているSNSを活用した新たなサービス提供手法についても検討を進めてまいります。
 また、測定なくして改善なしのセオリーを踏まえ、サービスの開発や試行の段階からユーザーレビュー等を実施し、より使いやすいシステムへとアジャイルな改善を積み重ねることで、利用者の満足度向上につなげてまいります。
 デジタルで大事なのは聞く力です。スマートフォンの積極的な活用などにより、ユーザーの声を起点としたデザイン思考に基づくサービス提供を推進し、都民が利便性を実感し、安心・安全で幸せを享受できる社会の実現へとつなげてまいります。
 次に、区市町村の手続のデジタル化についてでございますが、デジタル手続に特化した民間サービスは、ゼロからシステムを構築するものに比較し、スピード感を持った対応が可能であり、行政のデジタル化を迅速に進めていくための手段としては有効性が高いものであると認識しています。
 また、柔軟なサービス改善が見込めるという点でも、ユーザー目線に立った使いやすいサービス提供に結びつけることが可能となります。
 一方、日進月歩ともいえる分野であるため、各社のサービスの内容や質の見きわめが必要となり、区市町村間でサービス格差が生じないよう、情報の共有を進めていくことが極めて重要です。
 こうした点を踏まえ、都では、昨年末にクラウドサービス等を活用した助成金や補助金の申請、罹災証明の申請交付サービスなど、自治体向けのオンライン申請サービスを展開しているベンチャーやスタートアップ等の六社による区市町村向けの事業説明の場を設定するなど、積極的に情報提供を実施してまいりました。
 さらに、来年度には、区市町村の窓口業務などの中から典型的な手続を選定し、クラウドサービス等を使った業務のデジタル化を実施するとともに、この事業を通じて得られたノウハウ等を都内の自治体とも共有してまいります。
 身近な行政サービスを担う区市町村のデジタル化は、東京全体のデジタル化を図る上で不可欠な要素であります。新たに設置するデジタルサービス局において、手続業務のデジタル化を初め、区市町村の取り組みを強力に支援していくことにより、都政のQOSの向上と都民のQOLの向上に寄与してまいります。
 最後に、デジタルデバイドの解消に向けた支援についてでございますが、都では、行政手続のデジタル化を徹底するべく、東京デジタルファースト条例を施行し、今後、行政手続の原則デジタル化を徹底して推進してまいります。
 他方、デジタル社会においては、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるようになることが重要であります。
 このため、来年度より、高齢者等のデジタルデバイドの解消に向けた取り組みを推進していくこととし、まずはリーフレットなどを通じて、スマートフォンの利便性や使い方をご理解いただけるよう、普及啓発に取り組んでいくこととし、その際には、高齢者の方々のご意見を伺う機会を設けてまいります。
 加えて、通信事業者等とも連携して、スマートフォンの操作方法等に関する教室を開催し、希望する方には一カ月程度貸し出しをすることで、所有に向けた後押しをしていくとともに、スマートフォンを使用する中での日常の困り事に対し、高齢者施設等の身近な場所や大学などの地域の資源を活用したアウトリーチ型の相談会を開催してまいります。また、主な相談を取りまとめることにより、実態把握と事業へのフィードバックにつなげてまいります。
 さらに、行政手続のデジタル化に向けては、本年度から実施した区市町村に対するヒアリングにより、NPOや地域の団体といった多様な主体と連携した取り組みの重要性を確認いたしました。
 こうした区市町村による取り組みを財政的にも後押しするモデル事業を実施し、先駆的、効果的なデバイド対策を事例として蓄積した上で、ガイドライン化するなどの支援を行っていくことにより、地域間での取り組みの格差を最小限にしてまいります。
 これらの取り組みをシームレスに展開しつつ、自分らしく暮らせる長寿東京プロジェクトにおける高齢者のデジタルデバイド解消の取り組みなどの関係事業とも連携を図ることで、誰もが情報機器を使いこなし、デジタルサービスの便益を共有できる社会を実現させてまいります。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、昨年の交通事故死者数増加の原因と対策についてであります。
 昨年の都内の交通人身事故は、発生件数及び負傷者数は減少した一方で、死者数については百五十五人と、前年に比べて二十二人増加をいたしました。
 死者数の増加につきましては、さまざまな要因が考えられますが、死亡事故の特徴として、歩行中と二輪車乗車中が全体の七割を占めていることなどを勘案すると、都内全体の交通量減少に伴う車両速度の上昇や、密の回避等に伴う二輪車の利用増加などによる個々の事故の重大化が死者数増加の一因と考えられます。
 警視庁といたしましては、こうした交通事故の特徴などを踏まえ、事故多発地点や生活道路の危険箇所における交通指導取り締まりなどを推進しており、今後とも、悲惨な交通事故を一件でも減少させるための各種対策に取り組んでまいります。
 次に、自転車の安全利用に向けた取り組みについてでありますが、警視庁では、自転車利用者の交通ルールの遵守を図るため、スタントマンによる交通事故の再現を活用した自転車教室を開催するなどの安全教育を推進しているほか、違反者に対する街頭における指導警告や取り締まりを徹底しております。
 また、自転車利用の各種デリバリーの増加に伴う一部の配達員による交通ルールを無視した走行が社会問題化していることを受け、デリバリー事業者等を対象とした講習会や連絡会議を開催するなど、交通安全意識の向上を図るための対策を強化しているところであります。
 今後、自転車の適正な交通ルールの遵守を促す取り組みをより一層推進してまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、高校段階における一人一台端末の整備等についてでございますが、高校では、義務教育段階より、学習内容が高度かつ複雑となり、進路実現に向けた資格取得など、生徒の興味、関心に応じた多様な学びを可能とする必要がございます。そのため、端末にはマルチタスクに対応できる性能とともに、生徒が自在に活用できる使い勝手のよさが求められます。
 このため、都教育委員会は、その整備に当たり、保護者負担に配慮しつつ、学校が推奨する端末を保護者が購入し、生徒の所有とするCYOD方式によることといたしました。
 今後、義務教育段階で一人一台の環境で学んだ生徒が高校段階に進学する令和四年度入学生から整備を開始できるよう、令和三年度に端末の詳細な性能や購入の仕組み等の検討を進めるとともに、端末購入に向けた保護者支援のあり方について検討してまいります。
 次に、多摩地域での体験型英語学習施設の整備についてでございますが、青海に開設したTOKYO GLOBAL GATEWAYは、子供たちが体験的な活動を通じて外国人と英語を話す機会を提供しており、学校から高い評価を得ているところでございます。一方、多摩地域からは、移動に時間を要するため、利便性を高めてほしいとの声がございます。
 そのため、都教育委員会は、多摩地域に体験型英語学習施設を設置することといたしました。新たな施設は、多くの学校がアクセスしやすい場所に設置してまいります。
 また、外国人留学生を有する大学や地域に所在する企業との連携、自然や文化財等の地域資源の活用など、多摩地域ならではのプログラムが可能となるよう取り組んでまいります。
 今後、整備方針に基づき、整備運営事業者の募集、選定を行い、令和四年度中の開設に向けて準備を進め、子供たちの生きた英語を学ぶ機会を拡充してまいります。
 最後に、三十五人学級の実現に向けた小学校の教員確保等についてでございますが、東京の教育の充実には、熱意と資質を備えた教員の確保とともに、教員が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、教員が児童への指導や教材研究等に集中できるよう、成績管理等の校務を支援するシステムの導入を促進するほか、印刷や資料作成などを担うスクールサポートスタッフの活用を支援するなど、教員の業務の負担軽減に取り組んでおります。
 来年度は、スタッフの全校への拡充に加え、授業中や休み時間の児童への見守りや声かけなど、きめ細かなサポートを行う外部人材を配置するモデル事業を新たに実施いたします。
 これらの取り組みを通して教職の魅力をより一層高め、教員の確保につなげてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、外堀における水質改善の取り組みについてでございます。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることが重要でございます。
 外堀における水質改善につきましては、東京二〇二〇大会に向け、アオコの発生を抑制する水質改善処理剤の散布等を実施しております。
 効果的な水質改善方策につきましては、関係局が連携して幅広く検討し、未来の東京戦略におきまして、荒川の河川水等の導水に向けた調査検討や、導水路の整備手順など、プロジェクトの今後の展開をお示ししたところでございます。
 引き続き、関係局はもとより、国や地元区とも連携し、水質改善を着実に進め、人々が憩う外堀の水辺を再生してまいります。
 次に、木造住宅密集地域の不燃化の取り組みについてでございます。
 都は、木密地域の改善を一段と加速させるため、来月末に防災都市づくり推進計画の整備プログラムを改定することとしておりまして、不燃化特区につきましては、地区の見直しや支援策の拡充を図る予定でございます。
 具体的には、地区指定につきまして、地元区と進捗状況や地域の実情を踏まえて調整を進めておりまして、完了地区を外し、新規地区を追加するなどによりまして、現在の約三千二百十ヘクタールから約三千三百五十ヘクタールに拡大をいたします。
 支援策につきましては、これまでの施策に加え、除却後五年以内の不燃化建て替えや、無接道敷地の解消に向けた専門家派遣を新たに補助対象といたしまして、建て替えなどを促進いたします。
 強靭な東京の実現に向けて、今後も地域の特性を生かしながら工夫を加え、市街地の不燃化に取り組んでまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、患者の入院調整の円滑化についてでございます。
 新型コロナ患者を重点的に受け入れる病床を有効に活用するためには、患者の重症度に応じた入院先の決定を速やかに行えるよう、保健所を支援することが必要でございます。
 このため、都は、入院先の調整が困難な場合等に、保健所からの要請に応じ、日中は都のコロナ調整本部で入院調整を行っております。また、先月から新たに、夜間に自宅療養者等の容体が急変した場合に、入院先の調整を行う窓口の運営を開始いたしました。
 さらに、保健所に対し、都の職員を継続して派遣するなど、業務負担の軽減を図っております。
 今後、患者をより速やかに医療の管理下に置くことができるよう、医療現場や医師会の意見も踏まえながら、保健所とも連携して適切な対応を検討してまいります。
 次に、転院調整を含めた医療提供体制の強化についてでございます。
 都は、新型コロナ患者を重点的に受け入れております病床を五千床確保しておりまして、これらの病床を有効活用するため、病院に対し退院基準を改めて周知し、適切な退院や転院を働きかけております。
 また、今月から、新型コロナからの回復後も引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる病院への支援を開始しましたほか、診療体制確保のための国の助成金の活用も促しております。
 あわせて、転院等の情報を病院間で共有いたします転院支援システムの一層の活用を勧める、勧奨するほか、転院先が見つからない患者等については、新型コロナ入院調整本部で受け入れ病院に働きかけを行っていくなど、多くの医療機関の協力を得ながら、円滑な入院や転院が可能な体制の強化に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルスの変異株についてでございます。
 変異株の国内での感染拡大を防ぐためには、国が責任を持って水際対策を行うとともに、迅速な対策を講じていく上では、国と都道府県が緊密に連携して感染状況を把握していくことが有効です。
 こうしたことから、昨年十二月、東京iCDCにおいて専門家によるゲノム解析検討チームを立ち上げ、変異株の発生状況を把握するため、国立感染症研究所と連携し、陽性者の検体からの変異株の検出の有無を確認する検査をいち早く始めました。
 これまで検査した約二千件のうち二例が確認されており、今後、検査対象をさらに拡大するとともに、国や他の道府県とも連携しながら、監視体制のさらなる強化を図ってまいります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございます。
 後遺症の実態は、現段階では明確になっていないことから、まず現状を正確に把握した上で、正しい理解につながるよう情報発信をしていくことが必要です。
 このため、東京iCDCの専門家ボードでは後遺症の調査に着手し、新型コロナウイルスに感染した方への聞き取りの結果、多様な症状が月単位で長引き、発症から四カ月経過した後にも後遺症を有する方が一定数いることや、若い方にも嗅覚障害や味覚障害などの後遺症に苦しんでいる方がいることなどが明らかになりました。
 こうした情報をわかりやすく発信するとともに、今後、専門家ボードにおいて、さらに詳細な調査を医療機関と連携して、来月三月に着手し、都はこの調査結果も踏まえ、わかりやすい情報発信の方法などの対応策を検討してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者施設の職員への検査についてでございますが、都ではこれまで、感染者が発生した場合に影響の大きい高齢者施設等に対して、衛生資材の購入やPCR検査等の費用を助成するほか、陽性者が発生した施設に対して応援職員を派遣する体制を構築しております。
 今般、国の基本的対処方針が改定され、緊急事態宣言の対象都道府県は高齢者施設の従事者等への検査を三月までに実施するとされたことを踏まえ、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の職員等を対象に、集中的な検査を行うことといたしました。
 実施に当たっては、施設の意向に応じて検査機関から検査キットを直接送付できるよう現在準備を進めており、三月末までに全施設で確実に検査を終えられるよう、施設と連携して取り組んでまいります。
 次に、児童虐待防止のための予防的支援についてでございますが、都は来年度、区市町村と連携して、支援が必要な家庭を早期に発見し、継続して予防的な支援を行うモデル事業を開始いたします。
 モデル事業では、心理職や保健師を含む区市町村の予防的支援チームが、健診未受診や未就園の子供がいる家庭など、地域から孤立しがちな家庭を訪問し、ニーズやリスクを丁寧に把握して作成した支援プランに基づき、関係機関と連携して継続的に支援いたします。
 都は、児童福祉司等をチームに派遣し、家庭への支援に協働で取り組むほか、専門家の助言も得ながら効果検証を行い、予防的支援の実践マニュアルや関係機関向けの研修プログラムを作成いたします。
 こうした成果は広く区市町村に展開することとしており、今後、区市町村と連携した虐待の未然防止に向けた取り組みを一層強化してまいります。
 最後に、ヤングケアラーに関する調査についてでございますが、国は今年度、全国の要保護児童対策地域協議会や学校を対象にヤングケアラーに関する調査を行っており、都は、この調査における都内の回答を独自に集計することとしております。
 その集計結果により得られた情報をもとに、詳細な実態を把握するため、要保護児童対策地域協議会の構成員である子供家庭支援センターや学校に対して、具体的な対応事例等を聞き取る調査を来月から開始する予定であり、現在、実施に向けた準備を進めております。
 その調査結果については、庁内各局で構成する会議などで共有するとともに、ヤングケアラーに対する支援のあり方について検討してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅募集のデジタル化についてでございますが、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上の観点から、これまで郵送により行ってまいりました入居者募集の申し込みや抽せん結果の通知などの手続をオンライン化することとしております。
 来年度、入居者情報等を一元管理している既存システムの安全性などを確保しながら、これと相互にデータ連携させる募集オンラインシステムを開発いたします。
 公開抽せん方式により当せん者を決める募集や、住宅困窮度を点数化して決めるポイント方式による募集などについて、順次オンライン化してまいります。
 さらに、AI活用の検討も進め、手続の効率化、迅速化など事務の改善や、都民サービスの向上を図ってまいります。
 次に、同性パートナーの都営住宅への入居についてでございますが、都営住宅では、使用者の資格の一つとして、東京都営住宅条例で同居親族要件を定めており、入居の際、親族関係については住民票により確認しておりますが、同性パートナーについては、親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
 現在、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画も踏まえ、他の自治体における動向や入居資格の確認方法等の課題を調査しております。
 また、東京都住宅政策審議会において、入居者層の変化に対応した新たな住まい方に関し議論いただくこととしておりまして、今後こうした調査の結果や審議会での議論を踏まえながら、都営住宅の管理制度等における取り扱いについて検討してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水素ステーション整備への支援についてでございますが、水素ステーションのさらなる設置拡大のためには、整備、運営に係る負担の軽減とともに、経営の自立化に向けた需要創出が重要でございます。
 このため、補助対象設備を拡大するとともに、ステーションが未設置のエリアで整備する際の土地造成費用を補助対象とするなど、支援メニューを大幅に拡充してまいります。
 あわせて、安定的な水素需要が期待できる燃料電池バスの新規導入を促すため、水素と軽油の燃料費差を補助する支援策を新たに導入してまいります。
 加えて、水素消費量の大きいトラック等の商用燃料電池車両の実証に向けた検討も開始いたします。
 こうした需給両面の取り組みを多角的に展開しながら、水素ステーションの整備、拡大を図ってまいります。
 次に、中小規模事業所の省エネ対策についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策として、密閉空間を避けるための換気が必要となってございまして、空調の効率低下等によるエネルギー消費量の増加が見込まれてございます。
 一方、脱炭素社会の実現に向けましては、こうした中にあっても、エネルギー消費量とCO2排出量の増加を抑えることが重要でございます。
 このため、都は、令和三年度に中小企業者が都内の中小規模事業所に高効率な換気設備や空調設備を導入するに当たり、その経費を助成する事業を新たに実施してまいります。
 これにより、中小規模事業所における脱炭素化に向けた投資とエネルギーコストの削減の両立を促し、持続可能な事業運営を後押ししてまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 子育て応援スペースに関するご質問にお答えいたします。
 都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用いただけるよう、先導的な取り組みとして、大江戸線の一部の車両に子育て応援スペースを設置してございます。
 昨年十一月、この取り組みにつきまして、幅広い年齢層の方々約千五百人を対象にアンケート調査を実施いたしました。その結果、子供連れで電車を利用する際に約九割の方が周囲の目が気になるなどの不安を感じていること、また、全世代の約七割の方がこのスペースを好意的に受けとめ、拡大を望んでいることが明らかとなりました。
 こうしたご意見を踏まえまして、子育て応援スペースを都営地下鉄の全路線に展開する準備を進めており、本年夏以降、順次拡大してまいります。
 小さなお子様連れのお客様を初め、誰もが公共交通機関を利用しやすい環境づくりを丹念に進めてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、町会、自治会の感染防止対策事業への支援についてでございますが、コロナ禍により、町会、自治会の活動が困難になり、地域としてのつながりの希薄化が懸念されております。このような状況の中で、現在、都は、感染症の拡大防止を図っていくため、町会等が主催して行う感染拡大防止普及啓発事業に対して助成を実施してございます。昨年十二月の事業開始以来、二月十日時点で、約九千ある町会等のうち約二千百件の申請がございました。
 この事業によりまして、感染防止を呼びかける啓発チラシ等が多くの住民に行き渡り、その周知に多大な貢献をしていただいております。
 また、この事業を行うことで、地域のコミュニティの中核を担う町会等が活動を再開させるきっかけとなったとの声をいただいてございます。
 次に、町会、自治会の見守り活動への支援についてでございますが、町会、自治会は、防災、防犯活動や地域の見守り等、住民を結ぶ共助の中核を担ってございまして、地域にとって欠かせない存在でございます。
 その中でも、高齢者のサロンなどの見守り活動は、孤独感を抱える人たちの支えになっておりますが、コロナ禍において活動が困難になってございます。
 このため、来年度から、ひとり暮らしの高齢者宅を訪問してサポートする活動や、孤立している子育て世帯が交流できる居場所づくりなど、町会、自治会のさまざまな見守り活動を活発化させることを目的として、地域の底力発展事業助成の特例措置を適用して支援いたします。
 この取り組みによりまして、町会、自治会が有する支え合う機能を発揮していただき、地域の結びつきを強化してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 葛西海浜公園についてでございますが、ラムサール条約湿地に登録されましたこの公園は、自然環境の保全と利活用を両立させる取り組みを着実に進めていくことが重要でございます。
 そのためには、清掃活動や海水浴など、これまで活動を積み重ねてきた団体等と連携いたしまして、共通の目標に基づいて取り組みを行うことが必要でございます。
 そこで、有識者による検討会や地元の活動団体等との意見交換を行いながら、この公園の目指す姿や、三枚洲の豊かな自然環境の保全と幅広い利用の方針を明らかにする計画を新たに策定することとしました。
 今後、多様な主体とも連携しながら、計画に基づく取り組みを着実に進めることで、この大都市に残された貴重な水域環境の魅力を守り、確実に次世代へ継承してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 特別区消防団員の確保等に向けた取り組みについてでございますが、消防団の活動は、火災への対応や各種警戒、防災訓練指導など多岐にわたっており、震災時の同時多発火災等にも対応するためには、さらなる人員を確保する必要がございます。
 このため、東京消防庁では、特定の活動等に限定した機能別団員制度を導入しており、看護学生が専門知識を生かし応急救護指導を担うことで、全ての活動に従事する団員の負担軽減が図られるとともに、知識、技術の向上につながった事例もあることから、導入への理解促進を図っております。
 さらに、来年度からは、新たに大規模災害時における情報収集や消火等の活動を行う約千三百人を上限とする大規模災害団員の導入を予定しております。
 今後、機能別団員のさらなる拡充や、大規模災害団員による人員確保等を図り、総合的な活動力の向上に取り組んでまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、市町村消防団の災害情報収集、共有環境の整備についてでございますが、消防団が迅速かつ的確に活動を実施していくためには、地域を問わず、災害現場の状況やインターネット等から収集した情報を、市町村と消防団との間で共有できる体制を確保することが重要でございます。
 また、オンライン会議やeラーニング等を積極的に活用することで、消防団活動の効率化を図るとともに、コロナ禍においては、活動時の接触機会の低減を図ることも可能となります。
 このため、区部における装備の配備状況等も踏まえつつ、市町村総合交付金を活用し、多摩・島しょ地域の消防団におけるWi-Fi環境やタブレット端末の配備等による災害情報の収集、共有環境の整備を支援してまいります。
 次に、防災分野におけるDXの推進についてでございますが、都では、帰宅困難者の滞留状況や一時滞在施設の受け入れ状況を迅速に収集、把握するため、来年度、携帯電話の位置情報やカメラの画像解析等のデジタル技術を活用した新たなシステムの構築に着手し、発災時の帰宅困難者の安全確保を図ってまいります。
 また、都民の具体的な備蓄を促すため、個々の家族構成や、戸建てか集合住宅かなどの情報を入力することで、必要な備蓄品目や数量が提示される防災備蓄ウエブサイトを来月にも公開いたします。これには購買サイトとの連携機能やハザードマップの表示機能もあわせて備えてまいります。
 こうした取り組みを通じ、防災分野におけるDXの推進をさらに進め、いつ発生してもおかしくない災害への備えを万全なものとしてまいります。
 最後に、東京都防災アプリへの情報の集約についてでございますが、行政等の発信する多様な災害情報の中から都民が必要な情報を容易に収集できるようにすることが、災害時の都民の適切な行動には重要でございます。
 このため、都は、アプリの改修を行いまして、ホーム画面の構成変更により、各局の防災情報など、必要な情報へのアクセスを容易にいたしますとともに、個人の使い方に合わせて各メニューをホーム画面上で変更できるようにいたします。
 また、現在作成中の防災備蓄ウエブサイトなど、防災アプリに集約を図るとともに、東京都災害情報システムとの連携を強化いたしまして、避難所開設情報をリアルタイムで反映できるよう改修をいたします。
 これにより、防災アプリからのアクセシビリティーを高め、利用者の目線に立った防災情報の集約をさらに強化してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩

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