令和二年東京都議会会議録第二十三号

○副議長(橘正剛君) 百五番あぜ上三和子さん。
〔百五番あぜ上三和子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百五番(あぜ上三和子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 我が党は、第三回定例会で、小池知事による専決処分の濫用を厳しく批判し、都民と決めるという二期目の知事の公約と正反対に、知事が勝手に決めるという重大な問題点があることを指摘しました。
 今回、知事が、緊急の補正予算案を、専決処分ではなく、都議会に提出したのは当然のことです。
 また、本日の本会議質疑で、わずか三分ずつとはいえ、一人会派の質疑が保障されたことは重要です。さらに議会の民主的運営を発展、前進させていくことを各会派の皆さんに呼びかけるものです。
 新型コロナウイルス感染症の第三波により、医療崩壊の危機が現実のものとなり始めています。本日の東京都内の新規感染者数は過去最高の六百七十八人に上り、重症者は昨日時点で七十八人となりました。
 感染拡大の影響は、飲食、観光業を初め、多くの事業者を直撃しており、このままでは年を越せない、運転資金が底をつき先がないとの悲鳴が上がっています。廃業、倒産、雇いどめなどによる生活困窮への対策も、一刻の猶予なく求められている事態です。都民の命と暮らしをどう守るのか、都政が鋭く問われているのだと思います。
 今回の補正予算は、新規感染者数がふえ続ける中で、飲食店等への時短要請を延長せざるを得なくなったことに伴うものです。
 そもそも知事は、今回の十一月二十八日から十二月十七日までの時短要請は短期集中といっていました。つまり、十七日までに新型コロナ感染拡大を抑えるということではなかったのですか。
 しかし、感染はおさまらなかったばかりか増加しています。その要因を知事はどう分析していますか。知事、お答えください。
 時短要請を延長せざるを得なくなったのは、知事がこの間、五つの小や、ひきしめようという呼びかけに象徴されるように、都民に注意を促し、都民の責任で感染拡大を抑えることばかりを強調してきたことが成功しなかったことの結果です。
 感染拡大を抑えるために都知事として真っ先に取り組むべきなのは、自己責任の強調ではなく検査の拡充です。
 新型コロナウイルス感染症への対応が難しい原因は、何といっても無症状の方が感染を広げるということにあります。そのため、感染拡大を抑えるためには、無症状の方も含めて幅広く検査を行って感染者を特定し、感染を広げないように保護をする必要があります。幅広い検査の実施が対策の鍵となります。
 しかし、知事は、感染対策短期集中と述べた十一月下旬の記者会見で、検査について一言も触れませんでした。一昨日の記者会見でも、検査の実施を強化する方針は示されませんでした。そのもとで、この間、新規陽性者数は減少せず、むしろ増加しています。
 知事、都民や事業者の協力を中心にするのではなく、大規模な検査の実施を新型コロナウイルス感染症対策の中心に据え、知事が先頭に立って推進することこそ、今求められているのではありませんか。
 保健所が検査の実施主体となっているため、都全体で幅広い検査が実施されるようにするには、二十三区、八王子市、町田市においても積極的な検査が行われる必要があります。そのため、知事が検査を幅広く行う姿勢を明確にし、区市との調整を積極的に行い、必要な支援も行って検査を推進していく必要があると思いますが、いかがですか。知事、いかがですか。
 医療施設や高齢者施設は、重症化リスクの高い方々が集まっている場所であり、とりわけ感染拡大への警戒が必要です。
 一昨日の都の記者会見では、療養病床や有料老人ホーム等で数十人単位のクラスターが出ており、対策を強化していかなければならないという見解が示されました。東京都のモニタリング会議での専門家のコメントでも、高齢者施設や医療施設に対する積極的な検査の実施が必要であるとされています。
 国の通知でも、高齢者施設等の入所者または介護従事者等への検査の結果、陽性が判明した場合には、その施設の入所者及び従事者の全員に対して、原則として検査を実施することが要請されています。また、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院、入所者全員を対象に、いわば一斉、定期的な検査の実施を行うようお願いするともされています。
 少なくとも、通知で求められている内容は速やかに実施されるようにする必要がありますが、いかがですか。
 新たな時短要請について伺います。
 飲食業者の方々にとっては、年末年始は一番の稼ぎどきです。しかも、ことし春から九カ月間のうち、実に五回、約四カ月間も時短要請を受け続けているのです。時短の再延長を要請する以上、事業者への説明責任は不可欠です。
 知事は、事業者に話を伺ったと話していますが、多くの飲食業者からの不満や疑問の声が寄せられています。
 飲食業者の方からは、今回も飲食店とカラオケ店を対象に夜十時までとしたのはなぜなのか、会食による感染の割合は減っているのに、時間短縮要請の対象がどうしてまた飲食店とカラオケ店なのか説明してほしいとの声が上がっています。
 再延期を求める以上、酒類提供飲食店とカラオケ店だけを対象にしたこと、なぜ夜十時までなのかについて説明すべきです。いかがですか。
 飲食業の多くは、営業を続けられるかどうかの崖っ縁に立たされています。ある飲食店からは、自粛要請の延長がこのままであれば先の見通しは立ちませんとの声が寄せられました。
 知事、どういう状態になったら時短要請を解除するつもりなのですか。その判断基準を伺います。
 協力金についてもさまざまな声が寄せられています。協力金は、二十五日間で支給額を百万円としています。協力金を引き上げたことは重要ですが、従業員の給与や家賃の支払いを考えたら、百万円ではとても足りないという声もあります。
 国に引き上げを求めるとともに、都として上乗せをし、協力金をさらに引き上げることを求めますが、いかがですか。知事、いかがですか。
 十八日からの時短要請について、これまでと対象は変わらないのか、前回の四十万円の協力金との関係はどうなるのかなど問い合わせが相次いでいます。迅速で効果的な周知が求められています。具体的にどう行うのですか。
 レストランなどからは、既に予約が入っている、これを逃せば経営が続けられません、だから十二月十八日からの全期間の時間短縮はできません、しかし、その後、一月十一日までの期間は何とか協力したいと思うという声が寄せられています。
 愛知県は、年末年始の感染防止対策協力金について、一店舗ごとに交付する仕組み、一日四万円で時間短縮した日数分が交付されます。
 一方、東京都は、複数店舗ある事業者であっても一事業者にしか協力金を出さないこと、また、全期間にわたって営業時間短縮を行わなければならないことと比べて、大きな違いがあります。
 対象の事業者が休んだ日にちに応じて協力金を支給するなど、柔軟な対応をするべきではありませんか。
 飲食店が仕入れ先の酒屋や氷屋、仲卸、美容師さんや花屋さんなど、さまざまな関連事業者にも打撃となっています。ある野菜の仲卸の方は、仕入れ先は確実に減っているが国の持続化給付金の対象にはならない、何の補償もなく苦しいといっていました。飲食店やカラオケの関連業者の影響をどう認識していますか。
 さらに、新型コロナの事業者への影響は、業種を問わずはかり知れないものになっています。
 十二月に入って一週間通してお店を開いたけれど、お客はたったの一人でした、常連さんも来られなくなった。この数カ月、収入がほとんどないのに固定費は着実に出ていく、自死だけはしないようにと自分を保つのに必死。工場の売り上げは、昨年八月は百五十万円、ことしの八月は五万五千円。国の持続化給付金や家賃補助、都の協力金など全て使って頑張ってきたけれども、もう限界など、深刻で切実な声が上がっています。
 国と都が協力して、都内全ての中小企業、小規模企業に一律五十万円の年越し給付金を支給することを改めて求めます。いかがですか。
 同時に、国に対し、持続化給付金や家賃補助の継続、再開を強力に求めるべきです。
 そもそも、都の協力金は補償ではありません。中小事業者にとって、時短営業や営業自粛は、生活、事業継続、従業員の暮らしなどに直結し、死活問題です。要請に応じられるかどうかの苦渋の判断の上、行っている事業者は少なくありません。感染拡大防止にしっかりと取り組めるよう、事業と従業員を守るのに十分な補償を行うことが不可欠です。自粛と補償はセットという考えがますます重要となっています。知事の認識を伺います。
 そもそも、専門家が感染急増のきっかけになったと指摘しているのに、人の移動を促進するGo Toキャンペーンに固執してきた菅政権の責任は重大です。世論の批判で、ようやく二十八日から一月十一日まで一時停止をしましたが、余りにも決断が遅かったといわざるを得ません。
 Go Toキャンペーンで、東京を目的地とする旅行は一時停止なのに、東京が出発地の旅行については、二十七日までの間は利用自粛の呼びかけという中途半端な対応です。
 直ちに東京が出発地の旅行も停止すべきではありませんか。また、新型コロナ感染が終息するまで、Go Toキャンペーンは停止するよう国に求めるべきではありませんか、伺います。
 さらに、中小の観光、旅行業者に直接支援が必要ではありませんか、伺います。
 いまだに新型コロナ感染が拡大している緊迫した状況の中、都民や事業者の不安を正面から受けとめ、全力で守ることが都政に求められています。検査の抜本的拡充を図ることが重要です。
 東京の経済や雇用を支える重要な産業である中小企業、小規模事業所をしっかりと守り抜き、事業継続できる強力な支援を行うことが、コロナ禍を乗り越えた後に、再び経済を活性化させることにつながります。
 絶対に倒産も廃業もさせない強い決意を持って、営業の危機に応える対策をしっかりと講ずることを求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あぜ上三和子議員の質問にお答えいたします。
 現在の営業時間の短縮要請の効果についてのお尋ねがございました。
 これまでの間、営業時間の短縮要請につきましては、多くの飲食店等の事業者のご協力をいただいておりまして、急激な感染者の増加は抑えられてまいりましたが、一方で、感染拡大に伴って、医療現場には長期間、重い負担がかかり続けており、医療提供体制を確保するためにも、この年末年始の取り組みは極めて重要でございます。
 このため、今般、改めて営業時間の短縮要請を行ったところでございます。
 大規模な検査の実施についてのお尋ねがございました。
 都は、三千二百を超える診療・検査医療機関を指定するとともに、検査が可能な医療機関の紹介などを行う東京都発熱相談センターを設置しております。
 また、民間検査機関等への検査機器の導入支援を行って、一日当たり最大約六万八千件の処理能力を確保し、こうした取り組みを通じまして、適切に検査を実施してまいります。
 協力金の支給額でございますが、営業時間の短縮に係る協力金は、都の要請に応じまして、夜の二十二時までに営業時間を短縮していただいた事業者に対して、百万円の支給を行うことといたしております。
 こうした協力金のほかに、中小事業者に対しましては、資金繰りを支えるための無利子融資や家賃支援など、総合的にサポートを行っております。
 こうした取り組みにより、今後とも、これまでにない厳しい状況に置かれている中小事業者をしっかりと支えてまいります。
 残余のご質問は、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市への支援についてでございますが、都は、保健所が実施いたします行政検査に加え、重症化リスクが高い高齢者や障害者の施設等における感染予防策といたしまして、発症の有無にかかわらず、職員や利用者に対して検査を実施する区市町村を独自に支援するなど、地域で迅速に検査を受けられる体制整備を進めております。
 次に、高齢者施設等への行政検査についてでございますが、国の通知では、特定の地域や集団、組織等において、関連性が明らかでない患者が少なくとも複数発生し、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる状況にあると認められる場合は、濃厚接触者に当たらない場合であっても行政検査の対象にすることができるとしております。
 また、クラスターが発生した場合に影響が大きい医療施設、高齢者施設等については、地域における感染状況を踏まえまして、感染拡大を防止する必要がある場合、現に感染が発生した施設等に限らず、地域の関係者に対し幅広く行政検査を実施することが可能としており、都は、こうした国の考え方に基づき、今後も適切に対応してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、営業時間短縮の要請についてでございますが、都はこれまで、最大の感染経路であります家庭内にウイルスを持ち込ませないため、長時間の飲酒、飲食を行う店舗の営業時間を短縮することが効果的であると考え、酒類を提供する飲食店及びカラオケ店の事業者に対して、営業時間の短縮を要請してまいりました。
 営業時間の短縮要請に当たりましては、感染拡大防止対策と社会経済活動との両立を踏まえる必要がございます。
 このため、既に多くの事業者が感染拡大防止対策を適切に講じていることも踏まえまして、今般の短縮要請についても、引き続き夜十時までとすることが最も適切であると判断をいたしました。
 次に、営業時間の短縮要請の解除についてでございますが、新規陽性者数、重症者数等の感染動向や医療提供体制の状況に加えまして、東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議における専門家の意見等も踏まえまして、感染防止と経済社会活動との両立を図る観点から、総合的に判断をしてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の周知についてですが、十二月十八日から一月十一日までの営業時間の短縮要請に係る協力金につきましては、その内容を一昨日公表しておりまして、年内にはより詳しい実施概要を周知するなど、速やかに対応してまいります。
 次に、協力金の対象についてですが、協力金は、営業時間の短縮要請の実効性を確保するために実施するものでございまして、要請に全面的にご協力いただいた事業者の方に対して支給することとしております。
 次に、飲食店の関連事業者への影響についてですが、新型コロナウイルス感染症による影響は、さまざまな中小企業に及んでいるものと認識しております。
 次に、お話の年越し給付金の支給についてですが、都は、感染症により経営に影響を受けている都内中小企業に対し、年末に向けて、より重点的に支援を提供するため、制度融資による金融支援の強化のほか、資金繰りや経営に関する年末特別相談の実施、感染予防対策への助成金等の申請受け付け延長など、きめ細かく対応しているところでございます。
 次に、自粛要請に対する補償の考え方でございますが、休業や営業時間短縮に伴う補償につきましては、国が特措法の改正などにより経済的な支援を盛り込むことが必要と考えております。
 次に、Go Toトラベル事業についてですが、一時停止にするか自粛にするかは、全国的な視点で国が判断するものでございまして、都からの要請を踏まえ、事業の実施の責任を持つ国が、十二月二十七日までの間は利用の自粛を呼びかけるという判断を行ったものと考えております。
 最後に、中小の観光事業者に対する支援についてですが、都はこれまでも、感染拡大の影響により厳しい経営状況が続く中小の観光事業者の資金繰りを支える融資制度のほか、感染症防止対策への助成や旅行商品の販売支援などを実施してまいりました。
 今後とも、都内観光事業者へのサポートを適切に進めてまいります。

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