令和二年東京都議会会議録第二十三号

○議長(石川良一君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 四十番本橋ひろたか君。
〔四十番本橋ひろたか君登壇〕

○四十番(本橋ひろたか君) 都民ファーストの会東京都議団を代表いたしまして、質問をいたします。
 国内外において、新型コロナの第三波というべき状況が到来しております。他の自治体では、自衛隊の派遣が行われるなど、医療提供体制の危機は極めて深刻な状況です。東京でも多くの新規陽性者が発生し、重症者数の推移も引き続き予断を許さない状況です。
 国の新型コロナウイルス対策分科会を初め、多くの専門家から強い疑問の声が上がる中、今般、ようやく国の方から、東京を目的地、出発地とする旅行の双方に関し、全ての旅行者を対象にして、Go Toトラベル事業を一時停止する方針が示されました。感染爆発、医療崩壊を防ぐため、都民、国民が一丸となった取り組みへつなげていく必要があります。
 都はこれまで、国からの要請も踏まえ、飲食店等への営業時間の短縮要請を行ってきましたが、営業時間の短縮要請について、令和三年一月十一日まで延長する方針が示され、協力金に関する補正予算が追加で示されることとなりました。
 まずは、飲食店等への営業時間の短縮要請の期間を延長し、今回、協力金の支給に関する追加の補正予算を提案した趣旨について、知事の見解を伺います。
 今回の営業時間の短縮要請の延長は、期間を令和三年一月十一日までとするものであり、都内の飲食店等にとっては、本来であれば、年末年始のまさしく書き入れどきの時期となります。
 都内の飲食店等からは、感染爆発、医療崩壊を防ぐという趣旨に賛同はするものの、長引く感染拡大の状況に対して、経営の先行きに不安を抱える切実な声が数多く上がっております。
 厳しい状況の中で再び営業時間の短縮要請を行う以上、協力金に関しては、できる限りの上乗せをした金額を一刻も早く事業者の手元に届けるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都はこれまで、我が会派の要望を受け、飲食店のテークアウト、デリバリーなどの業態転換支援やアクリル板の設置など、ガイドラインに基づく感染防止策への支援を初め、さまざまな支援策を実施してきました。先日表明された店舗の換気工事等への支援の拡大も極めて重要な取り組みです。
 しかし、ただでさえ資金繰りが厳しくなる年末年始の時期に、時短要請が延長されることとなったため、事業者の資金繰り支援、感染防止ガイドラインに基づく取り組みや、飲食事業者の業態転換への支援がこれまで以上に重要となります。
 飲食店や関連事業者に対する制度融資を初めとする資金繰り支援をこれまで以上に強化し、都内事業者の資金需要に着実に対応できる体制を整備する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 また、都の飲食店等に対する各種の支援策に関しては、申請期限の延長、助成対象や上限額の拡大などによる柔軟化など、これまで以上に強化する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 感染爆発を防ぐためには、都内事業者、そして、利用者一人一人にも感染防止策の再徹底が求められます。しかし、店舗からは、お客様である利用者に対して感染防止策の徹底を依頼することは容易ではないという声も届いております。
 都としては、各店舗の感染防止策の徹底を改めて促すことに加え、利用者一人一人へのアプローチも必要です。
 感染防止策の再徹底のため、業界団体等と幅広く連携しながら、各店舗の感染防止対策の点検指導を実施するとともに、利用者に対する感染防止の取り組みへの協力の呼びかけもさらに強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 これまで都は、春先には緊急事態宣言に伴い、広く休業要請を実施し、夏の第二波においては飲食店等に時短営業を要請しました。この冬の第三波というべき状況においても、国からの要請も踏まえ、改めて時短営業の要請を実施していますが、今回、さらにその期間の延長を求めることになります。
 時短要請には一定の効果があるとされる一方で、さまざまな課題もあります。
 例えば、要請に真摯にご協力いただく事業者も多数いらっしゃる一方で、さまざまな理由で協力することが困難な事業者もいらっしゃり、公平性の観点から疑問が生じ得るものであります。
 また、常日ごろより、感染防止対策に真摯に取り組みながら営業していらっしゃる店舗に対しても、対象エリアに含まれる場合には、一律に要請の対象にせざるを得ないものです。感染拡大の防止と経済活動の両立に向けて、これまでの取り組みの課題を踏まえ、対策をブラッシュアップしていく視点も必要不可欠となります。
 冬の大幅な感染拡大はあらかじめ想定できたものであり、本来であれば、夏、秋の間に、国の方で休業要請等の実効性の確保や適切な金銭的補償のあり方などの議論と法改正が行われるべきものであり、我が会派は、特措法等の法改正の必要性を強く訴えてまいりました。
 残念ながら、国の方で十分な動きはなく、現行の法制度のもとでは、都として時短要請以外に効果的な策を講じることが容易でないことは理解しますが、都民、事業者のご理解、ご協力を得るため、引き続き都には最大限の対応が求められます。
 知事が迅速かつ実効的な措置をとることができるよう、知事への大幅な権限、財源の移譲、休業要請や時短要請の実効性確保、適切な金銭補償のあり方などに関し、特措法などの法改正を強く国に求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 これまで、長期間にわたる感染の拡大、時短要請の延長等により、既に都民、都内事業者は多大な負担を強いられています。今後、冬の寒さの本格化により、さらなる感染拡大の可能性も見込まれ、都民、都内事業者は、先が見えない不安に襲われていることと思います。
 Go Toトラベル事業の一時停止の判断に関しても、多くの専門家から強い疑問の声が上がりながら、国は、対応の小出し、後手後手の対応となってしまったといわざるを得ません。
 より早期に広範な対応をとっていれば、年末年始の時期に、さらなる各種の要請を行うことを避けることができていたかもしれません。国との調整は極めて重要ですが、都としても、最も重要なのは、都民の命と健康、暮らしを守り抜くことであり、そのために必要な対応は、ちゅうちょすることなく迅速に行っていくべきです。
 都民や都内事業者の不安に寄り添いながら、現在の感染状況のみならず、先を見据え、先手先手で必要な対策を講じることが求められますが、今後の対応方針について、知事の見解を伺い、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔発言する者あり〕

○議長(石川良一君) 静粛に願います。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 本橋ひろたか議員の質問にお答えをいたします。
 私はこれまで、都民の命を守る、このことを最優先に考えて、先般提案した年末年始の対策も含めまして、一兆八千億円を超える補正予算を編成するなど、迅速に対策を講じてまいりました。
 現在も、感染拡大の防止に向けまして、飲食店等への営業時間短縮を要請しておりますが、感染者数の増加に伴い、医療機関には重い負担がかかり続けており、先日のモニタリング会議におきましても、医療提供体制が逼迫し始めているとのご指摘をいただいたところであります。
 このような状況を踏まえて、会食や人出がふえる年末年始の期間に徹底的な対策を講じるため、営業時間の短縮について、国からの要請を踏まえて、一月十一日まで継続することを前提に、必要な財政上の支援を行うよう、国に求めてきたところであります。
 こうした都の要望も受け、先般、国が財政措置の充実などの方針を示したことを踏まえ、十二月十八日から来年の一月十一日まで、営業時間の短縮要請を決定するとともに、全面的にご協力いただける事業者の皆様に対し、一律百万円の協力金を支給するための追加の補正予算を編成することといたしました。
 協力要請の終期が近づく中で、事業者の皆様に一日でも早く、改めてのご協力のお願いをお伝えすべく、国と財政措置を含めた調整を行った上で、今回の対応を行うことといたしました。
 都民や事業者の皆様には、年末年始の大切な時期にご苦労をおかけいたしまして、大変心苦しい思いでございますが、ご自身、そして大切な人の命を守るため、そして、今も懸命な思いで医療の現場を支えてくださっている医療従事者の皆様に思いをはせて、改めてご理解、ご協力をお願いしたいと存じます。
 今後も、感染拡大の防止に向けまして、国、他の自治体などとも連携をしながら、対策の手を緩めることなく、都庁の総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、特措法の改正に向けた国への要請についてのご質問がございました。
 国難ともいえる危機に直面している中で、新型コロナウイルス感染症の対応においては、国と密接に連携を図りながら、手を緩めることなく対策を講じていくことが必要不可欠であります。
 感染拡大防止対策の実効性の確保に向けまして、知事の権限を拡充するためには、休業要請に伴う経済的な支援措置などを特措法に明記することは極めて重要でございます。
 これまで、特措法の改正につきましては、私自身から西村担当大臣に対して、幾度となく直接お訴えするとともに、全国知事会を通じても要望してまいりました。
 今般の急速な感染拡大を受けまして、対策の実効性を確保するためには、特措法の改正の必要性を改めて強く実感しております。
 今後とも、国に対して特措法の早急な改正を強く訴えることにより、感染拡大の防止に全力を尽くしてまいります。
 次に、今後の対応方針についてのご質問がございました。
 私は、危機管理の要諦として、初めに大きく構えて、総合的に集中した取り組みを行う、そのことを掲げております。新型コロナウイルス感染症対策におきましても、これは同様であります。
 この間、感染症対策を展開するに当たりましては、私を本部長といたします感染症対策本部を中心に、外出の自粛や営業時間の短縮等の要請、検査、医療体制の確保、中小事業者への経営支援、経済活動と都民生活を支えるセーフティーネット、テレワークの推進などについて、各局におきまして、施策の充実強化を図ってまいりました。
 現時点の都内の感染状況でございますが、重症者数も高い水準で推移するなど、依然として非常に厳しく、予断を許さない状況にあります。
 医療提供体制を確保し、都民の命を守り抜くためには、年末年始にかけて、これ以上の感染拡大を食いとめる、医療機関などの負担を軽減する、そのことが肝要であります。
 引き続きまして、都民の命を守ることを最優先に考え、死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ、この三つの柱をもとに、都民、事業者と一体となりまして、気を緩めることなく、将来を見据えた、あらゆる手段を講じまして、感染の拡大を食いとめてまいります。
 残余のご質問は関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染拡大防止協力金についてですが、今回の要請は、年末から年始にかけての繁忙期に行うものでございまして、営業時間短縮による事業者への影響が大きいことを考慮いたしまして、国の交付金も活用しながら、金額を百万円とすることといたしました。
 また、これまで都は、申請者が円滑に手続を進められるよう、オンライン申請に関し、申請サイトの改善の提案を受け付けるコーナーをサイトの中に設け、その内容をシステムの改善につなげるなどの対応を図ってきたところでございます。
 さらに、審査を速やかに進める工夫として、協力金の審査事務の経験がある職員を多く確保して審査を行うなど、さまざまな取り組みにより、迅速な支給に努めてまいります。
 次に、事業者への資金繰り支援についてですが、都は、感染拡大の影響を受ける都内中小企業の事業継続を支援するため、本年三月、制度融資の新たな融資メニューといたしまして、新型コロナ対応融資を創設いたしました。
 さらに、五月には、一億円を限度として三年間無利子とする制度を開始いたしまして、順次、融資目標額の拡充を図ってまいりました。これまで多くの事業者がこの制度を利用しており、その実績はリーマンショック時の対応を上回っております。
 今回の補正予算でも、中小企業の年末の資金需要の増加等を考慮して、融資目標額を二千億円追加し、四兆円とすることとしております。
 今後とも、感染者の状況や経済情勢等を踏まえた的確な金融支援を実施し、都内中小企業の資金繰りをしっかりと支えてまいります。
 最後に、飲食店等に対する支援の強化についてですが、新型コロナウイルス感染症の拡大が続いており、飲食店等による感染防止対策のさらなる徹底が急務となっております。
 こうしたことから、都は、飲食店等による三密対策のためのテラス営業や宅配サービス等の導入への助成を行っているほか、ガイドラインに基づく感染防止対策への支援では、換気設備工事を対象に、助成限度額を二倍に引き上げたところでございます。さらに、これらの助成金の申請受け付け期間を来年二月二十六日まで延長するとともに、CO2濃度測定器など消耗品の購入費につきましても、支援対象に新たに加えることといたしました。
 こうした取り組みにより、飲食店等が感染防止対策を講じながら事業を継続できるよう、着実に支援してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 感染防止策の再徹底についてでございますが、感染拡大を防止するためには、店舗において事業者及び利用客双方が協力して、感染防止対策を徹底していくことが重要でございます。
 このため、都は、業界団体と連携し、業界団体が自主的に行う事業者への点検指導及び普及啓発の取り組みに要する経費の補助を開始いたしました。この点検指導は、点検済みの標章を感染防止徹底宣言ステッカーの上に掲示し、都民が感染防止策の状況を一目で判断できる制度となってございます。
 また、会食時の注意事項である、五つの小や会食時のマナーをわかりやすく図解したポスターにより、利用客に対し、感染防止策への協力を呼びかけるとともに、職員が直接店舗を訪問し、当該ポスターを配布し普及啓発を行うなど、利用客への協力の働きかけを強化してまいります。

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