令和二年東京都議会会議録第二十二号

○議長(石川良一君) 四十番本橋ひろたか君。
〔四十番本橋ひろたか君登壇〕

○四十番(本橋ひろたか君) まずは、新型コロナウイルス感染症対策について質問いたします。
 世界の新型コロナウイルス感染症の感染者は約六千四百万人、死者は約百四十八万人となっており、いまだ終息の兆しが見えておりません。また、世界経済も大きく落ち込んでおり、新型コロナウイルス感染症対策と経済対策が世界の課題となっております。
 その中にあって、発生源となった中国では、徹底した都市封鎖や有無をいわせぬ迅速かつ大規模なPCR検査を実施し、国民の移動を監視し、コントロールするという強権体制のもとで、新型コロナウイルス感染症を封じ込め、経済を成長軌道に乗せるとともに、輸出管理法の制定や、経済の相互依存ではなく、世界各国の経済を中国のサプライチェーンに依存させるといった戦略を進めております。コロナ禍の中で世界の経済構造も大きく変化しております。
 日本、そして東京が世界に輝いていくためには、できるだけ早く新型コロナウイルス感染症の危機を克服し、経済を回復軌道、成長軌道に乗せていかなければなりません。
 そのためには、民主主義を採用しつつ、新型コロナウイルス感染症を克服している台湾やニュージーランドの成功例を参考にし、新型コロナウイルス感染症対策が最大の経済政策であるを基本として政策を進めるべきと考えます。感染症対策も経済対策も、の小出しの政策展開では、都民の命も経済も守れず、共倒れになるおそれさえあります。
 都の指標では、感染状況は四段階のうち最も高い警戒レベル、感染が拡大していると思われるにあり、医療提供体制については、上から二番目の警戒レベル、体制強化が必要であると思われるとなっております。
 これとは別に、国は、特別措置法の規定の発動指標ともなるステージスリーやステージフォーなどの指標を設定しております。
 そこで、東京都の指標と国の指標の二つがあることの意義及びなぜ都は独自の指標で感染状況を把握しているのか伺います。
 国のステージフォーでは、全面的な接触機会の低減のため、緊急事態宣言など、強制性のある対応を検討せざるを得ないとし、接触機会の低減を目指した外出自粛の要請、県境を越えた移動の自粛要請、感染リスクやガイドラインの遵守状況等を考慮しつつ、生活必需品等を取り扱う事業者等を除き、施設の使用制限、人が集中する観光地の施設や公共施設の人数制限や閉鎖など、イベントは原則開催自粛、集会における人数制限、生活圏での感染があれば学校の休校等も検討、テレワーク等の強力な推進を初め職場への出勤をできるだけ回避する等の対策を掲げております。
 そこで、現在の都の感染状況は、国の指標のどのステージに該当すると考えているのかお伺いいたします。
 また、国のステージフォーでは、さまざまな施策が必要だとされておりますが、これらの対策は知事の判断で行えるのでしょうか。それとも、国との協議が必要となるのか、それぞれ伺います。
 国の指標と対策を見ますと、ステージフォーにならないと、緊急事態宣言の発出をしないように見受けられます。あるいは経済対策優先の観点から、ステージフォーになっても、緊急事態宣言は発令しないのかもしれません。
 そこで、新型インフルエンザ等特別措置法における緊急事態宣言の発出基準、解除基準について、国はどのように考えているのか、情報があればお示しください。
 新型コロナウイルス感染症対策については、特別措置法に基づき、法定受託事務として都道府県に事務が委任されており、国との連携のもと、都道府県が地域の実情に応じて、各種の措置を実施することとされております。
 そうした法の趣旨を踏まえれば、現場を預かる知事がその責任を果たせるよう、国が実効性のある法的手段と十分な財源を担保することこそが、国と都道府県の一番の連携だと考えます。
 全国知事会も、特措法や感染症法の改正などを繰り返し要望しておりますが、国は、現場の声にしっかりと耳を傾け、都道府県が実効性のある対策を講じることを可能とする制度を早急に整えるべきであり、都としても粘り強く訴えることが必要であります。そして、国が法改正を行わないならば、また、法改正のタイミングを失するようならば、都として独自に条例改正を行って、都民の命と健康を守るべきと考えます。
 一方、東京都を初め全国の都道府県は、この間、新型コロナウイルス感染症に立ち向かうため、さまざまな工夫や努力を重ねてきました。こうして得た経験や知見は、同様の事態が発生した他の自治体にも活用し得るものであり、今後の対策の質を高めることにもつながってまいります。
 第三波ともいえる感染拡大に直面している今、都民、国民の命を守るためには、全国知事会の場などを通じて、都道府県がこれまでの蓄積を生かし、情報共有や共同の取り組みを行うなど、相互に連携協力していくことが重要です。
 そこで、新型コロナウイルス感染症対策を進める上で、都は、全国の道府県とどのような連携を図っていくのか、知事にお伺いいたします。
 次に、SDGsについて質問いたします。
 SDGsは、二〇三〇年を年限とする国際目標で、地球上の誰ひとり取り残さない社会の実現を目指し、経済、社会、環境の諸課題を統合的に解決しようとするもの、持続可能な開発目標と訳されているものであります。
 SDGsにおいては、国や地方公共団体だけでなく、企業やさまざまな民間団体、NGO、NPO、個々人の協働した作業が必要であります。
 ここでは、地方自治体の取り組みについて伺いますが、都内では、令和元年度の日野市に続いて、令和二年度は、私の地元の豊島区が、内閣府のSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業のSDGsの達成にすぐれた取り組みを行うSDGs未来都市に選定されましたのと、また、経済、社会、環境の三側面において、新しい価値の創造や、地域における自律的好循環が期待される自治体SDGsモデル事業にもダブル選定されました。
 豊島区では、としま文化の日とした十一月一日にSDGs都市宣言を行い、個性ある四つの公園の整備と連携を中心とした公園を核とするまちづくりにより、持続可能な発展を支える環境、社会、経済の相乗効果から、さまざまなイノベーションを生むことで、未来都市としての進化を目指すことにかじを切ったのであります。
 そこで、都は、みずからSDGsを強力に推進するとともに、日野市や豊島区、その他のSDGsに積極的に取り組みまたは取り組もうとする都内自治体に対して、SDGsを普及させるための連携、支援を行うべきと考えますが、この点に関します知事の見解を伺います。
 最後に、発達障害のある児童生徒への教育について質問いたします。
 都の公立小中学校における子供の数の推移を確認しますと、小中学校における通常学級の児童生徒数の増加率に比べて、障害のある子供が在籍する特別支援学級の児童生徒数の増加率が高いことがわかります。
 同様に、通級指導学級で指導を受ける児童生徒数の増加率も高い状況が見受けられますが、とりわけ、情緒障害等通級指導学級や特別支援教室で指導を受けている児童生徒の数の増加率は顕著であります。
 具体的には、この十年間で、小学校は平成二十三年度の四千五百十二人から令和二年度の二万一千七百一人と約五倍になっており、中学校は平成二十三年度の千百五十四人から令和二年度の四千四百三十四人と約四倍になっております。
 特別支援教室は、発達障害のある児童生徒が対象であることから、小中学校において発達障害のある児童生徒が多くなってきているといいかえることができます。
 私が発達障害のある子供たちに関心を向けますのは、区議会議員時代を通じまして、発達障害のあるお子さんを抱える親御さんの皆様方が大変なご苦労をされていること、そして、子供たち自身が成長とともに社会生活になじみ、自立していくことを望んでいるにもかかわらず、保護者も子供も教員も、寄り添い、向かい合いつつも、悩み続けている現実を目の当たりにしてきたからであります。
 平成十六年に成立した発達障害者支援法は、発達障害の定義のみならず、その早期発見、国及び地方公共団体の責務、自立及び社会参加に資する支援について明確に書いております。一貫した支援の促進と専門家との連携を進めることで、発達障害に悩む保護者や子供への支援を打ち出しております。
 そこで、都内公立小中学校における発達障害のある子供たちに対する教育施策とその評価について、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 また、都内公立小中学校における施策の評価を踏まえ、都立高校における発達障害のある生徒への支援の充実について、都教育委員会の見解を伺います。
 発達障害者支援法には、自治体の責務とともに、自治体は必要な措置を講じなければならないと規定されており、発達障害のある子供たちへの対応には、都と市区町村が総力を挙げて取り組んでいくことが求められています。
 その音頭取りは都の責任ではないかと考えます。法の趣旨を実現し、発達障害のある子供への支援を充実するためには、教育部門と福祉部門との連携や協調が欠かせません。
 障害のある子供は、その状態や程度が一人一人異なることから、学校の教員や福祉の職員は大変な思いをしていることと推察いたします。学校の教員や福祉の職員それぞれが専門性を磨き、組織が持つ力を最大限に発揮できるよう、都から現場に働きかけることが重要であると考えます。
 こうした考え方は、発達障害に限らず、全ての障害に通ずるものでもあります。
 そこで、最後に、学校が障害のある子供たちへの支援を行うに当たって、福祉などの関係機関と連携、一致協力することについて、知事の見解を伺い、私の一般質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 本橋ひろたか議員の一般質問にお答えいたします。
 全国の道府県との連携についてのご質問がございました。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、各都道府県が地域の実情に応じた対策を講じるとともに、広域的な連携を図っていくことが重要であります。
 全国知事会におきましては、感染状況や取り組み内容を初めとする最新の情報を共有するとともに、水際対策の徹底や財政支援の充実などを提言いたしました。これらを全国共通の課題として国に発信することで、感染拡大の防止に向けた取り組みを着実に前進させてまいりました。
 また、人々の往来が多く、一体的な生活圏、経済圏を構成する近隣自治体と連携いたしまして、タイミングを捉え、住民や事業者に行動変容を呼びかける共同メッセージを発信するとともに、担当大臣に対する共同要望なども実施してまいりました。
 感染が急速に拡大しまして、日々刻々と状況が変化する中、各都道府県が危機意識を共有して、連携した取り組みを展開していく重要性はますます高まっております。
 今後、全国知事会や一都三県など、これまで築いてきたネットワークに加えまして、個別自治体との連携会議などを通じて、道府県との連携をさらに強化、新型コロナウイルス感染症という見えざる敵に打ちかってまいります。
 SDGsの取り組みについてのご質問です。
 国連が採択した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて、あらゆる分野における課題解決を目指しておりまして、これは、私が目指す、人が輝く東京の実現に向けた政策と一致するものであります。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、都の政策とSDGsの関係を明確にするとともに、昨年策定いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきましては、SDGsの視点から、環境や金融など、さまざまな政策のブラッシュアップを図っております。
 また、SDGsの達成に向けましては、都みずからの取り組みに加えまして、都民に身近な行政サービスを提供する区市町村が、地域の課題を踏まえた特色のある取り組みを推進していくことが重要であります。
 そのため、都の取り組みを発信するとともに、豊島区や日野市のように積極的に取り組む区市町村の先駆的な事例等を取りまとめまして、他の区市町村に情報提供を行ってまいります。
 都と区市町村が連携、協働しながら、課題解決に向けた取り組みを進めることで、都民一人一人が豊かに生き生きと活躍できる明るい未来の東京を実践してまいります。
 障害のある子供たちへの支援についてのご質問でございます。
 全ての子供たちが自分らしい生き方を見つけ、将来の夢や希望を実現するためには、社会全体で子供たちの健やかな成長を支えていくことが重要であります。
 とりわけ、障害のある子供たちにとっては、乳幼児期から卒業後の自立した生活までを見通して、学校と医療、保健、福祉、就労などの関係機関との連携したサポートが必要であります。
 そのため、各学校は、児童相談所や子供家庭支援センター、障害福祉サービス事業者や就労支援機関などと相互に連携をして、一人一人の子供たちの状況に応じた支援を行っております。
 また、都におきましては、都立小児総合医療センター、都立大塚病院におきまして、発達障害のある子供たちに医療の提供を行っております。
 今後、障害のある子供たちの自立と社会参加に向けまして、関係機関の一層の連携を促し、人が輝く東京の実現を目指してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都内公立小中学校における発達障害のある子供たちへの教育施策と評価についてでございますが、都教育委員会は、通常の学級に在籍する発達障害のある子供たちの学習上の困難等を改善するため、全ての公立小中学校に特別支援教室を設置することといたしました。
 小学校には平成三十年度に設置が完了し、中学校には令和三年度に完了予定となってございます。特別支援教室が設置された学校では、校内において、子供たちが障害に応じた特別な指導を受けております。
 これにより、支援を必要とする多くの子供たちの利用が可能となるとともに、特別支援教室を担当する教員と学級担任等との連携が進み、学校全体で特別支援教育への取り組みが充実し、子供たちの障害による学習上や生活上の困難さの改善が図られるようになったところでございます。
 次に、都立高校における発達障害のある生徒への支援についてでございますが、高校においても、発達障害のある生徒への支援を行う環境整備が必要でございます。
 このため、都教育委員会は、平成二十八年度から都立高校生に対し、土曜日等に学校以外の施設で民間のノウハウ等を活用して特別な指導、支援を行うコミュニケーションアシスト講座を実施しております。
 加えまして、小中学校と同様に、校内でも指導、支援を受けたいという生徒のニーズがあることを踏まえまして、令和三年度から、生徒が進学した都立高校において、教員が専門人材と連携をして特別な指導を行う仕組みを導入することといたしました。
 これにより、全ての公立小中学校及び都立高校において、切れ目のない支援の仕組みを整え、発達障害のある子供たちへの教育の充実を図ってまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染状況に関する指標についてです。
 都は、新型コロナウイルス感染症について、都内の感染状況と医療提供体制を二つの柱といたしまして、七つのモニタリング項目を設定し、毎週、専門家が項目ごとに状況分析を行い、四段階で評価しております。
 また、国においては、感染対策を強化する目安として六つの指標を設定し、今後想定される感染状況を四つのステージに区分してございます。
 国は、本年八月の事務連絡で、国の指標を機械的に判断することなく独自の指標を設けるなど、地域の実情に応じた積極的な対応を行うことが期待されるとしております。このことから、都は、感染状況等の判断において、国の指標を用いず、独自の指標を用いて対応してございます。
 次に、都の感染状況が国の指標のどのステージに該当するのかについてでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、感染状況等の判断において、都は、国の指標に基づく判断は行っておらず、独自の指標を用いてございます。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国の指標における施策への対応についてでございますが、国の事務連絡では、感染状況のステージフォーで講ずべき施策として、外出自粛の要請、施設の使用制限、イベントの開催制限などが示されておりまして、都道府県は、適宜、これらの施策を組み合わせる、あるいは地域を限定するなど、地域の実情に応じて適切に実施することとされております。
 また、現行の基本的対処方針では、都道府県が外出の自粛要請等を実施する際には、あらかじめ国と迅速に情報共有を行うこととされてございます。
 今後とも、都民、事業者に感染防止対策を呼びかけるとともに、国や区市町村とも連携して、感染状況に応じた施策を適時適切に実施するなど、感染拡大を食いとめるため、全庁一丸となって取り組んでまいります。
 次に、緊急事態宣言の発出の基準等についてでございますが、緊急事態宣言は、現在の状況が国民の生命などに著しく重大な被害を与えるおそれがある、そしてまた、急速な蔓延で国民生活などに甚大な影響を及ぼす、そのおそれがある事態が発生したときに、新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条に基づきまして、国が行うものでございます。
 また、宣言の解除につきましては、国が、新たな科学的知見、感染状況、施策の実行状況等を考慮いたしまして、基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえ臨機応変に対応すると、国の基本的対処方針において現在の方向性が示されているところでございます。
 今後とも、国の動向を注視しながら、感染拡大の防止に努めてまいります。