令和二年東京都議会会議録第二十二号

○議長(石川良一君) 四十三番細谷しょうこさん。
〔四十三番細谷しょうこ君登壇〕

○四十三番(細谷しょうこ君) 新型コロナウイルスの感染者が急増しています。質問の前に、感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 また、感染拡大の防止にご尽力されている医療従事者、そして、多くの関係の皆様に心から感謝を申し上げます。
 それでは、三点の質問をいたします。
 東京都のみならず、国全体で感染者が急増しております。現在の感染の状況を見ますと、危機的な段階であるといっても過言ではないでしょう。感染の拡大に伴って、重症化のリスクの高い高齢者や幼児などにも感染は広がっております。また、どこで感染したのかわからない感染経路不明の数もふえており、水面下の感染は世代や職種を超え、高齢者施設や学校などにも広がっております。
 今後も、一人の感染者が出ると集団感染につながりかねません。こうした人々を感染から守り、安全な生活を送れるよう取り組むことが行政の役割であります。
 国は、緊急事態宣言を全国で解除した五月二十五日以降、これまで段階的に自粛要請を緩和し、社会経済活動を引き上げてまいりました。都道府県の境をまたがる移動の自粛を全国で緩和したのを初め、イベントやコンサートの会場では、客席の収容人数を半数以下に抑えることを条件に、観客を入れることも認めてまいりました。
 自粛の緩和は、裏返せば感染リスクが高くなることにつながります。また、規模の大きなイベントが開かれることによって、都道府県をまたいで移動する機会もふえることなど、さまざまな人の往来から多くの自治体に感染が広がったと感じております。各自治体では危機感を強め、対応に苦慮していること、皆様ご周知のとおりでございます。
 東京都においては、新型コロナ発生とともに知事がいち早く対応し、しっかりとした対策を重ねてこられました。先日は、コロナ専門病院となる旧療育センターを訪ね、工事が順調であることから、備えを万全に進めていることを確認いたしました。
 小池知事は、アメリカの経済誌フォーブスが選ぶ、ことしの世界で最もパワフルな女性百人に日本人として唯一ランクインされ、東京都の新型ウイルス対策について適切に対応したと報じられました。
 また、副知事がみずから街頭に立たれ、自粛を呼びかけることなど、今までにないことです。東京都が一丸となってコロナ対策に取り組んでいるという本気度が都民にも伝わったはずです。
 先般、国と東京都がともに努力される体制をとりました。さらにこの難題を乗り越えるためには、各自治体、業界や住民との一層の連携のもと、効果的な対策を進めることが望まれています。
 また、都民は、コロナ対策のかなめとして小池知事の発信を求めています。新型コロナウイルス感染症の対策をさまざまな関係者と連携協力して進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、東京都所管の医療体制について質問いたします。
 都立病院は、明治の初期、赤痢やコレラなどの感染症に苦しむ患者を受け入れる医療機関として設置され、以来、地域の民間病院等とも連携し、長きにわたり運営されてきました。また、現在は十四の都立病院、公社病院が東京都の医療を担っています。
 さきのコロナ対策についても、令和二年の一月末には武漢からの帰国した感染者を受け入れるために、いち早く当たりました。その迅速な対応に、公的医療機関としての重要な役割を果たしてきたと評価いたすところです。
 また、都立、公社、それぞれの病院が地域性などを生かし、住民の生命を守るためにさまざまな努力をしております。
 例えば、駒込病院はがんや造血幹細胞等の移植に取り組み、広尾病院では伊豆や小笠原諸島などの島しょの地域をカバーし、松沢病院ではほかでは対応が困難な精神科の医療に力を尽くしています。
 先日、私は、多摩総合医療センターの新たな試みとして準備されたハイブリッド手術室を視察させていただきました。当センターは、重篤な患者を受け入れることのできる三次医療機関として地域において頼りにされておりますが、より高度な手術を安全に受け入れられるようになりました。
 一方、私の居住する東久留米市、隣接の清瀬市、東村山市等では、多摩北部医療センターを多くの方が利用しています。当センターは、開設以来、北多摩北部医療圏において地域に根差した病院として歩んできました。コロナへの対策においても、かかりつけ医や地域の医療機関等からの要請に応え、感染が疑われる患者や陽性患者を積極的に受け入れています。
 こうした中、さきの第三回定例会で、知事は当センターの改築に着手することを表明し、直ちに地元の医師会や自治体の関係者、学識経験者などが参加する検討委員会を立ち上げ、病院の医療機能等の検討に入りました。
 私は、当センターが地域の期待に応え、求められる医療として提供していくために、地元の声や課題に丁寧に耳を傾けることが重要と考え、先日、現場で状況を細かにご案内いただきました。また、基本構想の第一回委員会が開催された際も傍聴し、改めて、当センターが地域医療で果たしてきた役割の重要性と、地域住民の期待を再認識したところです。
 今後、委員会の意見をどのように反映させ、地域のニーズに沿ったものに構築されるのでしょうか。多摩北部医療センターの改築の検討をどのように進めていくのか、東京都の見解をお伺いいたします。
 次に、地域の公共交通についてお伺いいたします。
 今議会、小池知事は所信表明の中で、人生百年時代を安心、元気に暮らせる東京として、地域公共交通の目指す姿を示されました。その中で、デマンド交通実験運行を私の地元東久留米市に実施したとの説明をされております。
 東京都の多くの自治体では、都民の生活を支える手段としてコミュニティバスを導入しております。しかし、以前から運行の収支状況は厳しく、各自治体の財源を圧迫している状況です。今後、さらに本格的な人口減少、少子高齢化社会を迎える東京都においては、公共交通の利用者減少に伴い、現在の公共交通のサービス水準を維持することが困難になる可能性も否定できません。
 将来にわたって持続可能な地域公共交通実現のため、今こそ、区市町村を初め、地域の関係者が知恵を出し合い、改めて、地域の交通について真剣に考えていく必要があると思います。
 そこで、近年、コミュニティバスの代替あるいは補完する手段として、利用者のニーズに応じて柔軟な運行を行うデマンド交通が全国的に注目されています。
 東京都と一口にいっても、各自治体によって地域事情はさまざまです。縦横に地下鉄等の乗り入れのある特別区に比べ、多摩の地域は移動手段に限りがあります。
 現在、東京都においてデマンド交通を本格運行しているのは武蔵村山市と檜原村の二市のみです。自然環境には恵まれていますが、区部に比べ人口密度の低い多摩地域の自治体にとって、自宅からピンポイントで目的地に、しかも低料金で移動できるデマンドは、利便性が高く、今後さらに注目され、求められていくと思います。
 今回デマンド運行実施となった東久留米市ですが、市では、道路事情、財政面から、コミュニティバスの導入が長年見送られてきたという事情があります。
 しかし、何とか移動手段を確保してほしいという市民の強い要望があり、平成二十八年三月、市は、基本計画の策定に基づき、改めて財政面を勘案し、地域性や道路関係を考慮、デマンド型交通実験運行の決定に踏み切った次第です。その際、今まで東京都の補助対象になかった新たな事業の第一号として、東久留米市のデマンド実験運行に支援いただきました。
 コロナという厳しい状況にありながら、本年三月から始まった東久留米市のデマンドの実験運行、一貫して利用者数が増加しており、地元では利便性が高い交通モードとして高く評価をされております。このような事例をモデルとして、デマンドという新たな取り組みについて、多くの自治体でも関心を高めていただけるのではないでしょうか。
 財政の厳しい区市町村、特に交通手段のとりにくい都民に優しい、東京都の新たな事業展開を高く評価したいと思います。東久留米市デマンド実験運行同様、多くの区市町村への支援充実を求め、東京都の見解を伺います。
 質問は以上です。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 細谷しょうこ議員の一般質問にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策におけます連携協力についてのご質問でございます。
 感染防止対策の実効性を高めていくには、国、区市町村との連携とともに、都民や事業者の皆様の協力が不可欠でございます。
 都は、感染状況に応じまして、医療提供体制や検査体制の整備、宿泊療養施設の設置等、命と健康を守る取り組みを、国や地元自治体、医療機関等と連携をしながら、先手を打って進めてまいりました。
 また、都民や事業者の方々には、感染状況に応じまして適切な行動をとっていただくことが何よりも重要と考えまして、私自身、正確な情報を積極的に発信をしてきたところでございます。
 現在、感染が急速に拡大し、予断を許さない状況にございますが、関係機関や都民、事業者と一層緊密に連携をとりながら、死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ、この三つの柱を軸といたしまして、引き続き、実効性のある対策を講じてまいります。
 都議会の皆様からも、地域の方々に感染予防を引き続き呼びかけていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 残余のご質問につきましては、東京都技監及び病院経営本部長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) デマンド交通についてでございます。
 高齢者を初め、誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくには、路線バスやコミュニティバスに加え、デマンド交通など、移動手段の選択肢を充実させる必要がございます。
 東久留米市におきましては、公共交通の空白地域がございまして、住民の方々の需要に応じて、時間や場所にとらわれず機動的に利用できるデマンド交通の導入が求められていることから、現在、その実証実験を行っております。
 都は、同市の取り組みに対し財政支援を実施しておりまして、さらに、他の区市町村に対しましても、この支援制度の活用を働きかけております。
 今後とも、区市町村の主体的な取り組みを支援し、地域公共交通の充実を図ってまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 多摩北部医療センターの改築についてでございますが、多摩北部医療センターは、救急医療やがん医療などの提供を通じまして、北多摩北部医療圏で極めて重要な役割を果たしてきております。先日開催をいたしました基本構想検討委員会では、超高齢社会を迎える中でさらに需要が高まる高齢者医療を初めといたしまして、小児医療や小児救急など、地域で必要とされる医療の充実などを求める意見がございました。
 今後、改築後の病院が担うべき役割や機能強化の方向性等について、委員会の意見を幅広く聞きながら検討し、令和三年夏ごろに策定いたします基本構想をもとに、改築を具体化してまいります。
 将来にわたり、多摩北部医療センターが地域のニーズを踏まえた質の高い医療を提供し、地域住民の安全・安心の確保に貢献できるよう取り組んでまいります。

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