令和二年東京都議会会議録第二十二号

   午後三時二十五分開議
○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問者は、質問時間を厳守してください。
 質問を続行いたします。
 四十四番栗下善行君。
〔四十四番栗下善行君登壇〕

○四十四番(栗下善行君) まず初めに、東京ビッグサイトについて質問します。
 今からちょうど一年前、昨年の第四回定例会、この場所で行った一般質問の中で、台風十九号が上陸した際、交通機関が計画運休を行い、都も不要不急の外出を避けるよう呼びかけたにもかかわらず、東京ビッグサイトで中止したイベントのために、数千万円にも上る会場費を払わなくてはならなかった中小事業者のお話を取り上げ、イベント参加者の安全を最優先した判断ができるように改善を求めてまいりました。
 あれから一年がたちました。まず改めて、台風などで計画運休となった際の東京ビッグサイトにおける会場費の返還についてお伺いをいたします。
 会場費の問題は、本年さらに深刻になってイベント事業者にのしかかっています。新型コロナの影響で、中止や規模縮小を余儀なくされるイベントが相次いでいる中、東京ビッグサイトは、イベントの中止を決定した際の会場費につき、今年度のイベント分については返還を行うとしていますが、実態としては条件つきになっています。
 緊急事態宣言が解除された直後の六月から九月にかけて、それぞれの事業者に対して意思確認を行い、そのときにイベントを中止すると答えた事業者には確かに返還をしておりますが、一方で、そのときに中止を決断できなかった事業者に対しては、その後に中止を余儀なくされた場合においても、会場費は返還されていないというのが現状であります。
 新型コロナの感染拡大の動向を予測することは、誰にとっても不可能であり、昨年の台風のときと同様に、高額な会場費が足かせとなり、イベント中止の判断を逡巡させるようなことがあれば、新型コロナ感染拡大予防の観点からも大きな問題であります。
 そうしたことから、大阪市が誇る国際展示場インテックス大阪や名古屋市のポートメッセなごやにおいては、新型コロナの影響によって直前にキャンセルを余儀なくされた場合においても、会場費を特別に返還する対応がとられており、私も過日の委員会質疑などを通じて、東京ビッグサイト等でも配慮をするよう求めてまいりました。
 改めて質問します。
 東京ビッグサイト等の会場において、新型コロナウイルスの影響で直前に中止や規模の縮小を余儀なくされたイベントについても、会場費の返還を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 非常事態宣言解除後も、新型コロナの影響と会場利用制限によって多くのイベントが開催中止を余儀なくされ、今後も当面は大幅な規模縮小が見込まれる中、イベント産業とその関連企業はかつてない危機に直面をしております。
 会場が求めるガイドラインにある入場者数五〇%制限下においても、東京ビッグサイトを初めとする都の会場では、会場費について減免等の措置がなく、据え置かれていることが事業者の大きな重荷になっているとの声があります。
 大阪市、名古屋市では、今年度いっぱい、インテックス大阪やポートメッセなごやを初めとする大規模展示会場で、ガイドラインの制限に合わせて、会場費を五〇%減免する取り組みを既にスタートさせ、多くの事業者の支えになっております。大阪市においては松井一郎市長が決断をされ、名古屋市においては河村たかし市長が決断をされ、市の予算を投入してこれが実現をしてまいりました。
 東京においても知事の決断を必要としております。回復期も見据え、東京都においてもイベント主催者に寄り添った支援がますます重要になっていくと考えますが、知事に見解を伺います。
 次に、水害対策について質問します。
 東京都内にも大きな被害をもたらした台風十九号の上陸から一年余りが経過をいたしました。
 気候変動の影響による災害の激甚化、頻発化は、今なお進行が憂慮されており、相次いだ豪雨災害によって、民間の住宅メーカーでも、水害に強いということをテーマに続々と技術開発が進んでおります。
 特に、先日メディアで大きな話題を呼んだ耐水害住宅は、こちらが実際の写真でありますが、あらゆる箇所からの浸水や逆流を防ぎ、電気系統も水没しないように高い位置で設計をされ、水位が一階の天井の高さまで上がっても、浸水被害が発生することや住宅が流されることもなく、水位が下がった後は、そのまま以前の生活を続けられるというものです。これは未来のお話ではありません。国の防災科学技術研究所で官民連携の効果検証が重ねられた末、既に販売がスタートしております。
 私も過日、つくば市で行われた、人為的に豪雨時と同じ環境をつくる実験を視察してまいりましたが、水位三メートルの状態になっても、この耐水害住宅には一切浸水をすることがありませんでした。一般的な新築住居に五十万円から百万円程度上乗せするだけで、こういった機能を付加できるとのことであります。
 そのほかにも、敷地周辺に止水板を設置する技術、床下を密閉構造にして絶対に床下浸水させない技術など、メーカー各社によって新たな水害対策技術が続々と開発されています。
 これらの新しい技術は、潜在的に大きな需要があるにもかかわらず、これまで住宅に水害対策を施すことが一般的ではなかったため、企業は普及の第一ステップを踏み出すのに苦慮しているといいます。
 都では、耐震工法、地震に強い家をつくるための技術については、民間企業から技術の募集を行い、それらの技術について、都民への広報冊子をつくるなどの取り組みを長年続けてまいりました。これが、メーカー各社による耐震技術の普及、都民の意識啓発にも大きく寄与してきたところであります。
 水害対策についても、対策の技術が存在することを都民に知らしめていくためにも、住宅政策におけるこれまでの取り組みに加え、住宅の耐水工法について、耐震工法と同様に普及の取り組みを行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、インターネット上の不当表示について質問をします。
 この二十年間で、インターネットは国民生活に根づき、今や生活に必要不可欠な存在となりました。黎明期より、インターネット上の不当表示は大きな消費者問題を引き起こし、都も消費者庁と連携して対策に取り組んできましたが、近年、モバイル端末の爆発的な普及によって、新たな問題が生じております。
 それは、オンラインゲームの課金システムにおける不当表示の問題です。スマートフォンが普及したことで、子供からお年寄りまで、かつてよりもはるかに幅広い年齢層の方々がオンラインゲームを楽しむようになりました。近年、オンラインゲーム市場は急拡大し、昨年の市場規模は約一兆三千億円、実にこの十年間で四倍以上に急拡大をしています。
 こうした中で、オンラインゲーム開発、運営企業の収益源となっている、いわゆるガチャやセールといった課金システムにおける不当表示の問題が深刻化をしております。提供されるアイテムやキャラクターについて、事実と異なった記載で宣伝をする優良誤認広告や、価格や条件を実際のものよりも著しく有利に宣伝をする有利誤認広告、市場の変化のスピードや外国企業の席巻も相まって、景品表示法に違反をしている広告が多数存在をしているのではないかと指摘があります。
 これらの広告について、数多くの相談が消費者庁に寄せられていますが、是正をするための指導や措置命令は、全く追いついておりません。
 都はこれまでも、消費者庁と連携をしながら、都民を被害から守るために、さまざまな商品やサービスのインターネット上における不当表示の対策を行ってきました。
 オンラインゲームにおける不当表示についても、消費者庁と連携をしながら対策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、雇用対策について質問します。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、経済の先行きが見通せない中、雇用情勢も深刻さを増しております。有効求人倍率や失業率といった各種の雇用指標を見ても悪化の一途をたどっており、多くの都民の方が雇用不安を抱える状況となっています。
 コロナ禍の雇用情勢では、観光業や飲食業などの非正規雇用の方々が数多く解雇や雇いどめとなっていますが、感染が再拡大している状況では、同じ業種で仕事を探してみても求人自体が縮小しており、早期の再就職は困難であります。
 一方、建設や設備関係のものづくり分野を初め、IT分野や医療、介護分野などの求人は比較的多く、再就職先として有望です。しかし、経験業種ではない求人に応募することは、心理的に抵抗もあるため、都が職業能力開発センター等で実施をしている職業訓練によって、就職に必要な知識、技能を付与し、業界でも求められる人材として育成をした上で、就職を支援することが重要と考えます。
 職業訓練は、コロナ禍における雇用対策として重要性を増しています。今後、職業訓練の一層の充実を図り、離職を余儀なくされた、より多くの方々に訓練機会を提供し、再就職を後押ししていくべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 栗下善行議員の一般質問にお答えいたします。
 展示会等への支援策についてであります。
 新型コロナウイルス感染症は都内の経済に甚大な影響を及ぼしており、中小企業の生産や営業の活動はさまざまな制約を受け、深刻な状況にございます。
 中小企業の販路開拓の場であります展示会が数多く開催されてまいりました東京ビッグサイトにおきましても、これまでの間、感染症の影響により、イベントの中止や延期を余儀なくされています。
 こうしたことから、東京ビッグサイトでは、主催者が安全かつ安心してイベントを開催できるよう、サーモグラフィーなど感染防止対策に必要な器具の貸し出しを行うほか、感染症を理由にイベントを中止する場合には、施設使用料を返還する対応を行っております。
 ウイズコロナの状況におきましても、製品などに実際に触れることのできるリアルの展示会に加え、時間や場所を選ばないバーチャルも活用して、中小企業の支援に取り組んでまいります。
 こうした取り組みとともに、東京ビッグサイトに対しまして、コロナ禍という厳しい状況を十分に踏まえ、主催者に寄り添った対応を行うように働きかけてまいります。
 残余のご質問につきましては、関係局長からの答弁といたします。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京ビッグサイトの災害時の会場費についてですが、東京ビッグサイトでは、近年、台風等の被害が拡大していることから、都内に大雨や暴風などの特別警報が発表され、かつ公共交通機関の計画運休が実施された場合には、通常は徴収しているキャンセル料を徴収しない取り扱いとすることとしたと聞いております。
 来場者の安全確保を最優先に、主催者がイベント等を運営できる支援を行っていくこととしております。
 次に、感染症の影響による会場費の返還についてですが、都が本年三月に策定いたしました新型コロナウイルス感染症に関連した都民利用施設等の対応についての考え方では、イベント中止に当たって、施設運営事業者が主催者から既に受け取っている施設使用料を返還するか否かは、事業者の経営責任に基づいて自主的に判断することとなっております。
 東京ビッグサイトでは、九月までに感染症を理由とする中止の申し出があったイベントにつきましては、施設使用料を返還してきたところでございます。今回の感染症の再拡大を考慮いたしまして、今後、イベント中止の申し出があった場合の施設使用料の返還につきましても、実施する方向で現在検討していると聞いております。
 最後に、コロナ禍における求職者に対する職業訓練の充実についてですが、技能の習得を通じて職種の転換を図り、再就職を促進する職業訓練は、雇用への影響が業種によって大きく異なるコロナ禍において、効果的な就業支援でございます。
 都は、職業能力開発センターにおいて、ものづくり分野等の訓練を行うとともに、民間教育機関のノウハウを活用した委託訓練において、介護業務や医療事務など、業界の求人ニーズを踏まえた多様な訓練を実施しているところでございます。
 今後、コロナ禍の深刻な雇用情勢を踏まえ、より多くの方が訓練を受講できますよう、オンライン訓練の推進やデジタル化に対応した新たな訓練科目の創設、対象年齢の柔軟な運用等について検討を進めてまいります。また、IT等の成長分野や、人手不足の介護分野等への再就職を後押しする委託訓練の拡充も検討してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 住宅政策における水害対策についてでございますが、都は、災害に強い都市づくりを推進しておりまして、住宅政策におきましても、水害対策を含めた防災対策は重要でございます。
 都はこれまで、住宅政策における水害対策として、マンション管理ガイドブックでのマンションの風水害対策の普及啓発や、都営住宅等の空き住戸を水害時の緊急避難先として活用する取り組みなどを行っております。
 お話にございました住宅の耐水工法についてでございますが、ハウスメーカーと国の研究機関との共同の取り組みなどがあることは承知しておりまして、今後、こうした民間の技術開発の動向などにつきまして注視をし、情報収集に努めてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) オンラインゲームの不当表示対策についてでございますが、都内の消費生活センターには、オンラインゲームの課金トラブルや表示内容に関する相談が寄せられてございます。
 消費者庁による過去の行政処分では、ゲームの運営事業者がアイテム等を有料の抽せんで提供する、いわゆるガチャの提供割合を実際よりも高く表示したり、キャラクターの仕様を実際よりもすぐれているように表示していた事例がございます。このように消費者を誤認させる表示が行われた場合には、法令に違反するおそれがございます。
 都は現在、消費者庁と連携しながら、若者を中心に普及しているオンラインゲームを含む商品、サービス等の不当表示の監視などを進めており、法令に違反する表示を行う事業者に対しましては、表示の差しとめや再発防止を求める措置命令を行うなど、厳正に対応してまいります。

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