令和二年東京都議会会議録第二十二号

○副議長(橘正剛君) 五十八番とくとめ道信君。
〔五十八番とくとめ道信君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○五十八番(とくとめ道信君) 新型コロナ感染拡大はとまりません。さらなる経済の悪化が予想されるもとで、非正規労働者など七万人を超える解雇、雇いどめが広がり、中小企業でも廃業、倒産などが急増しています。
 私が地元板橋で話を聞いた七十六歳のタクシー運転手は、持病を抱え、タクシー内でのコロナ感染のリスクから仕事に復帰できずにいます。そのため、現在の収入は一カ月で七万五千円の年金だけです。住居確保給付金を利用しているものの、月七万円を超える家賃は払い切れず、二十二万円も滞納しています。このままではタクシーの仕事も住まいも失いかねない状況で、切迫しています。
 所信表明で、何よりも大切な都民の命を守り抜くと述べた知事の覚悟と都政の真価が問われています。
 コロナ危機が拡大する中で、住まいを失ったり、失いかねない人が急増しています。知事、都民の住まいを守り抜き、住まいを失う都民を一人も出さないという立場に立つ必要があると思いますが、いかがですか。
 福祉事務所の職員からは、住まいの確保ができない方は福祉の支援につながりにくい、住まいは福祉の大前提だと伺いました。さらに、十万円の特別給付金の支給経験からも、住まいがないと十万円も届けられなかったと実感を込めて語っていました。私は、住まいは生活の基盤であり、生きていく上での土台だと実感しました。
 知事は、安定した住まいが、就労支援、福祉施策など、これを生かす土台であるという認識はありますか。知事、それぞれお答えください。
 住まいを失わないためのセーフティーネットとなっているのが住居確保給付金です。都内では、今年度の住居確保給付金の支給決定者が昨年度の約七十倍です。これは全国の三割以上で、最も多く、都民の三万四千人が利用しています。
 住居確保給付金は、住まいを失わないための重要な役割を果たしていますが、どう認識していますか。
 住居確保給付金が受けられるのは、原則三カ月、最長九カ月です。ことしの四月以降申請者が急増し、この年末年始で期限が切れるため、多くの方が一気に住まいを失う事態にならないよう、我が党やさまざまな支援団体は延長を求めてきました。
 こうした中、厚労省が昨日、住居確保給付金の支給期限を延長すると正式に発表したことは重要です。しかし、これで問題が解決するわけではありません。
 住居確保給付金は、原則一回限りです。これを給付要件に当てはまる場合には、再度受給できるように改善すること、また、コロナ災害のもとで離職、廃業などと同程度の状況の方も対象とするよう緩和された現在の制度を維持するなど、制度の改善を要望すべきです。いかがですか。
 家賃が払えず、住居確保給付金を受けていても、実際の家賃には足りない方が多くいます。それは、給付額が生活保護の住宅扶助基準額となっており、ひとり暮らしだと五万三千七百円だからです。そのため、緊急小口融資を受けて、給付金で足りない分の家賃を補っている方がほとんどだと福祉事務所の職員は話してくれました。本当に切実です。
 二〇一八年に都が行った調査でも、東京の借家の家賃は全国の家賃平均の一・七倍になっています。知事は、東京の家賃水準が高いことを認めて、中小企業への家賃支援給付金は、国の給付金の額に都として独自に上乗せしました。
 国に対して、低過ぎる生活保護の住宅扶助基準額を東京の家賃水準に見合った額に引き上げることを求めるとともに、都としても住居確保給付金に上乗せすべきですが、いかがですか。
 同時に、都営住宅を積極的に活用して、安心の住まいを確保することが重要です。
 私の住む板橋区では、都営双葉町団地の百戸が現在建てかえ中です。しかし、戻り入居者は数戸の予定です。これをそのままにしておくのは、もったいない話です。都営双葉町団地は公募に出すべきと思いますが、いかがですか。
 都営住宅の空き住戸について、住まいを失ったり、失いそうになっている方々への活用を進めていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
 緊急事態宣言のとき、都がビジネスホテルを確保し提供したこと、ことしの年末年始に千室のビジネスホテルを確保することは重要です。
 私は、東日本大震災直後から、最大の被災地の一つである宮城県石巻市で一年近く泊まり込みながら、被災者の皆さんにお困り事ありませんかと声をかけながら救援活動に当たりました。実感したのは、被災者が抱えるさまざまな困難は自然現象による災害であり、決して自己責任ではないということです。だからこそ、被災者の気持ちにとことん寄り添い、政治の責任を明確にして支援することが重要であることを学びました。
 被災者の気持ちに寄り添った支援が、被災された方々の安心感、将来への希望につながります。今回のコロナ災害でも同様だと思います。
 この年末年始、都が真っ先にやるべきは、都が具体化している支援の内容についての情報を、必要としている全ての方々に周知徹底し切ることです。
 小池知事がみずからこの場で発信することが、生活に困窮している方々に一番届きます。小池知事の発信力を生かして、ぜひ都民の皆さんに、困っている方はどなたでも遠慮なく相談に来てくださいとのメッセージをぜひ発信してください。知事、いかがですか。
 ビジネスホテルを確保したことを、多様な手段で多くの方に広報することが重要です。知事の記者会見、テレビ、ラジオ、SNSなどの活用、ネットカフェ、コンビニエンスストアへの掲示など、誰もが情報を得られるように広報することが重要ですが、いかがですか。
 通常は役所の窓口が閉まる年末年始ですが、コロナ災害のことしは例年になく相談体制を整えることが重要です。
 都は、区市町村と連携して、年末年始でも切れ目なく相談を受けられるよう体制を整えることが求められていますが、いかがですか。
 宿泊場所の確保とともに、命をつなぐ食事の提供も重要です。
 大事なことは、年末には年越しそば、正月には雑煮など、年末年始らしい食事提供など、温かく激励する支援です。どの支援につながった方に対しても、三食が提供できるように丁寧に対応すべきですが、いかがですか。
 ビジネスホテルを活用したり、緊急一時宿泊につながった方が、その後に安定した居宅での生活に移行できるよう、丁寧な相談と支援を行う必要があると思いますが、いかがですか。
 コロナ災害で浮き彫りになったのは、住宅政策の貧困です。日本では、住宅問題は自己責任とされ、都営住宅に当せんするのは宝くじ並みといわれ、家賃補助もほとんどありません。これらは国際基準から見て余りにもおくれています。
 二〇一五年に、誰ひとり取り残さないことを掲げ、国連で採択されたSDGsは、十七の目標があります。その一つが、持続可能な都市及び人間居住の実現です。その翌年に開かれた第三回国連人間居住会議、ハビタットⅢは、国や地方自治体が居住の権利の保障を目指すことを宣言しています。居住権の保障こそ、今求められていることです。
 知事は、日本政府も含め各国が参加したハビタットⅢの合意に基づいて、今後の都の住宅政策を大きく改革していくべきですが、いかがですか。
 今こそ、これまでの住宅政策を転換し、都営住宅の増設、借り上げによる都営住宅の提供、家賃補助の創設など、住まいは人権の立場で取り組むことを強く求めます。
 最後に、板橋区でも有名なハッピーロード大山商店街を分断する特定整備路線補助二六号線大山区間の見直しについてです。
 五百六十メートルにわたりアーケードがあるハッピーロード大山商店街は、雨のとき、強風のとき、そして猛暑のときも安心して買い物を楽しめる商店街です。このアーケードは、補助二六号線に反対の意思表示のため、四十二年前に商店街組合員の協力で建設されたことを知事はご存じでしょうか。
 補助二六号線を建設すると、商店街と重なるために、商店街中心部分のアーケードを百七十メートル撤去しなければなりません。こんなことになれば、みんなで盛り上げてきた商店街を東京都が台なしにして、地域経済にも大きな打撃を与えることになります。
 しかし、都は、商店街や住民が出す要望をできないと切り捨ててきました。補助二六号線大山区間については、地権者の反対で用地取得率は三割にとどまっています。また、商店街関係者や周辺住民にも根強い反対の声があります。
 ──(三十四字削除)──

○議長(石川良一君) 時間です。

○五十八番(とくとめ道信君) ──(十九字削除)──
○議長(石川良一君) 時間です。

○五十八番(とくとめ道信君) ──(二十八字削除)──
○議長(石川良一君) 時間です。

○五十八番(とくとめ道信君) ──(十四字削除)──
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) とくとめ道信議員の一般質問にお答えいたします。
 住まいを失うおそれのある方についてでございます。
 年の瀬を迎える中、コロナ禍で仕事を失い、生活や住居に困窮されている方に対しまして、住まいや就労のサポートをしていくことは、感染症への対策とともに重要であります。
 そのため、今回の補正予算案には、休業等の影響を受けました世帯への生活福祉資金の貸し付けや年末年始において住まいを失った方に一時住宅等を提供するために必要な経費を計上しております。
 生活に困窮している方の相談についてでございます。
 都におきましては、住居を失い、不安定な就労に従事する方への総合的な相談窓口、TOKYOチャレンジネットを活用した支援に取り組むほか、福祉事務所や自立相談支援機関などでさまざまな相談に対応いたしております。
 今後の住宅政策でございますが、都はこれまでも、東京都住宅基本条例に基づいて住宅マスタープランを定め、総合的かつ計画的に住宅に関する施策を推進してまいりました。
 本年七月には、二〇四〇年代を見据えまして、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開につきまして、東京都住宅政策審議会に諮問をし、現在ご議論をいただいております。
 答申は来年秋ごろにいただいて、都としては来年度末までに新たな住宅マスタープランを策定する予定でございます。
 なお、日本政府も出席いたしました平成二十八年の第三回国連人間居住会議、ハビタットⅢでございますが、こちらで人間居住に関するニュー・アーバン・アジェンダが採択されたことについては承知をいたしております。
 残余のご質問につきましては、関係局長からのご答弁といたします。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、住居確保給付金についてでございますが、国は離職等により住居を喪失するおそれのある方等に対して、家賃相当分の給付金を支給する住居確保給付金について、本年四月から新型コロナウイルス感染症の影響による休業等に伴う収入減少により住居を失うおそれが生じている方も支給の対象としております。
 四月から十月までの都内における申請件数は約三万七千件となっており、生活に困窮した方が住まいを失わないよう支援が行われていると認識しております。
 次に、住居確保給付金の制度改善についてでございますが、都は本年五月に住居確保給付金の円滑な支給のため、申請手続の簡素化等を国に提案要求しており、引き続き国の動向を踏まえて対応してまいります。
 次に、住宅扶助及び住居確保給付金についてでございますが、都は生活保護法に基づく住宅扶助基準額について、住みなれた地域で生活を継続できるよう大都市の生活実態を踏まえたものとすることを、毎年国へ提案要求しております。
 また、生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の支給限度額については、法令により国が定めるものでございます。
 次に、一時的な宿泊場所の提供の広報についてでございますが、年末年始の期間に、新型コロナウイルス感染症の影響による失業等により、住居を失った方への一時的な宿泊場所の提供については、補正予算成立後、都のホームページやSNS等により広く周知することとしております。
 次に、年末年始の相談体制についてでございますが、都は先月の国の通知を受け、福祉事務所等において生活に困窮する方への年末年始の相談体制の確保など、地域の実情に応じて対応するよう、区市に対して既に通知しております。
 あわせて、住居を失い、不安定な就労に従事する方への総合的な相談窓口であるTOKYOチャレンジネットを活用し、関係機関と連携して対応してまいります。
 次に、食事の提供についてでございますが、年末年始に住居を失った方への一時的な宿泊場所における食事の提供については、TOKYOチャレンジネットや区市の相談支援機関等において、相談来所者の状況に応じて個別に対応しております。
 最後に、居宅移行への相談支援についてでございますが、年末年始に一時的な宿泊場所を利用された方への生活相談等については、TOKYOチャレンジネットや区市の相談支援機関等において、個々の状況に応じて対応いたします。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営双葉町アパートの建てかえについてでございますが、建てかえ事業を円滑に進めるため、団地の建てかえにおける最終期の住棟は、次に区内で建てかえに着手する団地の居住者の移転先として活用することとしておりまして、居住者の移転の状況を見ながら、公募住宅としての活用も図ってまいります。
 双葉町アパートにつきましては、建てかえ工事に着手したところであり、今後、工事の完了に合わせて、仮移転中の居住者の戻り移転の意向などを勘案しながら適切に対応してまいります。
 次に、都営住宅の空き住戸の活用についてでございますが、都営住宅では、年四回の定期募集などで入居を促進しておりまして、高齢者や障害者、生活保護受給世帯など、特に居住の安定を図る必要がある世帯に対しては、ポイント方式や優遇抽選によって優先入居を図っております。
 さらに、TOKYOチャレンジネット事業に都営住宅の住戸を提供しております。この事業では、住まいを失った方の一時利用住宅として、現在六十戸を活用しておりまして、今後とも、関係局と適切に連携してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

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