令和二年東京都議会会議録第二十二号

○議長(石川良一君) 四十五番中山ひろゆき君。
〔四十五番中山ひろゆき君登壇〕

○四十五番(中山ひろゆき君) まず、献血について伺います。
 病気やけがで輸血が必要な方々への治療には、献血でご提供いただいている血液からつくる輸血用血液製剤が使われております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、大学や企業等による出張献血の実施が困難な状況下にあり、ことしの四月から十月の都内の四百ミリリットルの献血者数が、前年比で約二万九千人減少し、特に十代、二十代の若年層の減少が顕著であると聞いております。
 献血にご協力いただく方の健康を守るためには、一人当たりの年間の献血回数や献血量には上限があります。
 今後も、出張献血の実施は困難と見込まれ、さらに、寒さによる体調不良の増加、インフルエンザの流行等で、寒い中行われる街頭での呼びかけにも応じる人が減るおそれもあり、さらなる献血者の減少が懸念をされております。
 こうした状況を受け、国際災害対策支援機構と神社が連携し、東京都赤十字血液センターの支援を行うこととなり、我がまちの浅草神社が全国の先陣を切って献血をスタートし、十一月二十三日にも実施されたところであります。
 こうした取り組みをさらに広げることが重要であります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の影響下であっても、安定的に血液製剤を病院に届け、多くの方の命を救うためには、より一層献血について都民の理解を深めることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 中小企業の資金繰りに関する相談支援について伺います。
 都は、新型コロナウイルスへの対応として、今年の三月に新たな融資制度を立ち上げて、中小企業の資金繰りを力強く支援してまいりました。
 本定例会に提出された補正予算にも、融資目標額を拡大するための預託金等が計上されており、これは年末年始の資金ニーズへの対応を図るという点からも的確な対応といえます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症対応融資には、メニューが四つあり、融資の対象や融資条件などが異なっているため、例えば、制度融資を初めて利用する事業者にとっては、複雑でわかりにくいのが実情であると聞いております。
 また、金融取引には、一定の金融リテラシーが必要であり、事業計画書や返済計画書の作成に手助けが必要な場合もあります。
 そこで、こうした方々にしっかりと制度の説明をして、適切に誘導することが重要であり、そのためには、年末などの中小企業の資金繰りに関して、相談支援を充実すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 観光振興について伺います。
 都の観光振興を考える有識者会議が、十一月十二日、コロナ禍での観光産業の復活に向けた方向性について意見を提出いたしました。
 インバウンドの回復を見据えて、来年に延期された二〇二〇大会を契機に、受け入れ体制を整備することなどが提言されており、ウイズコロナ時代の観光は、旅行先の安全・安心を伝えることが重要であると指摘しております。
 日本交通公社や政策投資銀行の調査によれば、コロナ終息後に旅行したい国や地域として、アジアや欧州、豪州では、いずれも日本が上位に入っております。
 また、日本の首都である東京は、安全・安心な都市であると世界にも評価をされております。
 そこで、今後のインバウンドも含めた観光再開に当たっては、感染症対策や東京の観光の安全性を世界に向け、しっかりと発信していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 ナイトライフ観光振興について質問いたします。
 ナイトライフ観光の施策展開については、これまで私たち会派は強く要望してきた施策であります。観光都市を推進する上で、多くの訪日外国人観光客より指摘されている点として、日本の夜はつまらないといわれてきました。事実、観光客における娯楽サービスの消費割合は、日本は約二・五%、アメリカは約一二%、フランスは約一一%と、数字にもあらわれております。
 私の地元台東区でも、将来の旅行者の回復時には、夜の時間をどう楽しんでいただくかが消費動向の鍵となっております。こうしたことを受け、ナイトライフ観光への支援は、都内でも大きな期待をされております。
 しかしながら、コロナ禍の中で、採択された団体事業者は中止を余儀なくされたり、感染拡大防止ガイドラインに沿った事業を模索している団体事業者もいます。
 そこで、都は、感染症の終息後を見据え、これまでに推進してきたナイトライフ観光など、新たな視点に立って観光振興に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ネットトラブル相談窓口、こたエールについて伺います。
 こたエールは、インターネット、スマートフォンの普及に伴い、青少年が架空請求やネットいじめ、迷惑メール、有害サイト等のトラブルに巻き込まれたり、被害者、加害者となるケースがふえていることを踏まえ、青少年やその保護者、学校関係者などがインターネットやスマートフォンに、各種トラブルについて、都では、多岐にわたって気楽に相談できる総合的窓口を開設しております。
 コロナ禍における相談件数は、相談事項も含めて全般的に増加傾向にあると聞いております。
 中高生は、緊急事態宣言下、休校や時差登校により、自宅で過ごす時間がふえましたが、同時に、スマホを使用する時間がふえていると感じております。
 実際、我が家でも、スマートフォンで夜中にオンラインゲームに没頭する様子を何度も目にしてきました。中高生になって突然ゲームやスマホを取り上げようとすると、反発することは想像にかたくありません。みずからの家庭の状況を議場で披露するのはちゅうちょいたしましたが、事実、これが普遍的な親の悩みであることも現実です。
 そこで、インターネット利用の増加により、子供がスマートフォンやオンラインゲームに没頭し、生活に支障が生じている例があります。保護者からこのような相談を受けた場合、どのように対応しているのか、また、こうした相談対応を通じて得られた問題解決に向けたノウハウを青少年に直接かかわる教育庁等の関係機関に情報提供し、有効活用してもらうべきと考えますが、現在の取り組みについて伺いたいと思います。
 次に、食品ロスについて伺います。
 我が国では、食料を海外からの輸入に大きく依存する中、年間六百万トン以上の大量の食品ロスが発生しております。これは、全国民、毎日お茶わん一杯分のご飯を捨てている膨大な無駄があり、食品ロス削減は、喫緊に取り組むべき課題であります。
 私の地元台東区では飲食店が多いため、事業者の協力を得て、自治体と連携した外食店での食べ切り運動など、食品ロス削減に向けた取り組みが進んでおります。
 このたび、食に係る事業者、消費者等で構成する食品ロス削減パートナーシップ会議では、各主体の連携による食品ロス削減に向けた取り組みの方向性について提言を取りまとめられました。
 提言によると、都内の食品ロス発生量の七割を事業系が占めているということであり、近年進化の著しいICT等の技術の活用により、食のサプライチェーン全体の取り組みを引き上げていくことが必要であります。
 そこで、都は、本提言を踏まえ、生産から消費に至るサプライチェーンの各主体の連携のもと、事業系の食品ロス削減を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、今後、中小、小規模事業者にも、食品ロス削減を促進するための施策展開を進めていかれるよう要望したいと思います。
 介護人材について伺います。
 都はこれまで、第七期高齢者保健福祉計画において、介護人材対策を重要事項と位置づけ、さまざまな対策を講じてきました。
 しかしながら、人口構造の推移を見ると、今後高齢化はますます進展し、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年、さらに団塊ジュニアの世代が六十五歳以上となる二〇四〇年に向けて、介護の担い手となる生産年齢人口の減少と介護ニーズの増大が見込まれております。
 今後、増大する介護ニーズに対応するためには、介護サービスを担う人材確保が重要であります。都は、現在、第八期高齢者保健福祉計画を策定中とのことでありますが、今後、都は、どのような介護人材対策に取り組むのか、見解を伺いたいと思います。
 最後に、水道施設の長寿命化について伺います。
 日本の水道普及率は九八%を超え、経済社会活動を支える社会インフラとして、日常生活はもちろんのこと、企業活動等においても欠かすことのできない重要なインフラの役割を果たしてまいりました。
 社会資本の多くは高度成長期に整備されており、国によると、二〇三三年には多くの社会資本が建設後五十年以上を経過すると試算をされております。
 今後、人口減少が進む中、限られた財源で、これら社会資本を適切に更新していくためには、さまざまな工夫や努力が必要になります。橋梁やトンネルでは、計画的な補修や補強を行うことにより、寿命を延ばし、工事費用の平準化と総事業費の縮減を進めていると聞いております。
 一方、水道事業においても、施設の老朽化や一斉更新及び人口減少による収入の減少は避けられない課題でもあります。そのため、水道施設においても、適切な予防保全管理による長寿命化に取り組むことで、更新時期の分散やダウンサイジングを図り、コストを抑制していくべきと考えます。
 こうした取り組みは、長期的には水道料金に還元することとなり、都民サービスの向上にもつながるわけであります。
 そこで、人口減少に伴う料金収入の減少が見込まれる中、水道施設の長寿命化について積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山ひろゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、献血についてお答えさせていただきます。
 病気やけがの治療などで輸血用血液製剤を必要とする方は数多くおられます。しかし、現在、機能を完全に代替できる人工血液はなく、長期保存することもできない、そのため、多くの都民の献血への協力は不可欠であります。
 これまで都は、東京都赤十字血液センターと連携をいたしまして、区市町村や学校等へのポスター配布、街頭ビジョン等での動画放映などの普及啓発に取り組んでまいりました。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によります外出の自粛やイベントの中止、さらには企業や学校等での出張献血の中止が相次いでいることなどから、献血者数が前年より少ない状況となっております。
 このため、都は、献血会場では感染対策が徹底されていることを周知するとともに、区市町村への献血実施への協力依頼や都庁舎内での臨時の職員献血を実施するなど、献血量の確保に取り組んでおります。
 輸血を必要とする方に血液を確実に届け、大切な命を救うため、今後、私からも、都民の皆様に献血への理解と協力を呼びかけてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の資金繰り相談についてですが、都はこれまで、新型コロナへの対応として、本年一月に相談窓口の機能を強化し、新型コロナ対応融資を初め、都のさまざまな融資メニューを紹介するほか、金融機関等への誘導を行ってきたところでございます。
 あわせて、国や区市町村が実施いたします融資制度や各種助成金を案内するなど、事業者の多様なニーズに沿った相談支援を実施しておりまして、本年一月から先月末までに受けた相談は一万一千件を超え、例年の四倍に及んでおります。
 この年末におきましても、相談体制を引き続き確保するとともに、中小企業の資金需要の高まりや利便性等を考慮いたしまして、相談時間の延長や休日対応を行うこととしております。
 今後とも、こうした相談対応と融資制度の両面から、中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいります。
 次に、安全・安心の取り組みのPRについてですが、外国人旅行者誘致に向けて、感染症対策等に関する正確な情報を世界に発信していくことは重要でございます。
 都は、海外メディアによるCM等の放映を通じて、東京全体で推進している安心して利用できる施設を示す感染防止徹底宣言ステッカーの取り組みや、密を避けながら楽しめる観光施設の取り組み等について、世界に向けて広く発信してまいります。
 また、こうした取り組みの詳細を公式サイトで紹介するほか、海外十五都市に設置しております東京観光レップも活用し、現地旅行事業者等のニーズに応じて、きめ細かな情報提供を行ってまいります。
 今後も、海外メディア等さまざまな媒体を効果的に活用しながら、安全・安心な観光都市東京についてPRの充実を図り、インバウンド需要の回復につなげてまいります。
 最後に、ナイトライフ観光の振興についてですが、夜の時間帯のさらなる活用を図ることは、旅行者の滞在時間の延長等により高い消費拡大効果が期待されることから、これまで都は、夜間の誘客イベントを支援してまいりました。
 しかしながら、感染が拡大する中、三月以降は全てのイベントが延期となり、感染防止対策を徹底した取り組みの推進が課題となっております。
 このため、密を回避する方法など、感染防止対策のさまざまな知見も踏まえ、区市町村や観光協会などとともに、安全・安心な環境のもとでの事業の実施方法を検討してまいります。
 さらに、旅行者に多様な東京の楽しみ方を提供できるよう、新たな観光資源として、夜間だけでなく、早朝の時間帯の活用などもあわせて検討してまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 青少年のネット利用に係る相談等についてでございますが、青少年のネット利用は増加の一途をたどっており、これに伴うトラブル防止の取り組みが一層重要となっております。
 都は、ネットトラブルの相談窓口、こたエールにおいて、保護者から、子供がネットに没頭し、生活に支障が生じている旨の相談を受けた場合、保護者がネットの接続時間を制限する機能や、子供自身の睡眠時間、ネットの使用時間などを見える化するチェックシートの活用などを提案し、家庭でのルールづくり等を支援しております。
 また、こたエールの運営を通じて得たトラブルの最新の状況や対応事例を、教育相談センターなどの相談機関も参画する情報連絡会などの場で共有しております。
 今後とも、青少年のネットトラブルの防止に向けて、関係機関とも連携しながら、適切に対応してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 食品ロス対策の取り組みについてでございますが、事業系の食品ロス削減に向けては、食のサプライチェーンと連携しながら、新たなビジネスモデルの創出や先進的技術の活用等を推進していくことが重要でございます。
 都は、期限の近い商品の購入者にアプリでポイントを付与するモデル事業を通じ、廃棄量三割減の効果を確認するなど、社会実装に向けた事業者の取り組みを支援してまいりました。
 また、今年度は、ICT等を活用した先駆的取り組みを行う事業者を公募いたしまして、天候や販売データなどのビッグデータをAI解析し、高度な需要予測により、サプライチェーン全体で余剰在庫削減を目指す実証事業に取り組んでございます。
 今後、小売店舗等での在庫の適正化や廃棄量削減などの効果を検証の上、得られた成果を広く事業者等と共有し、食品ロス削減に向けた取り組みを着実に推進してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 介護人材対策に関するご質問にお答えいたします。
 都は、介護人材の確保、定着、育成のため、職場体験や資格取得支援のほか、奨学金返済相当額の手当支給を行う事業者を支援するなど、さまざまな取り組みを実施しております。
 第八期高齢者保健福祉計画の策定に当たり、今後の介護人材対策を検討するために立ち上げた介護人材総合対策検討委員会では、都内の介護人材を取り巻く状況や課題、地域ごとの特性やこれまでの施策の効果等について調査、分析し、これまでの取り組みに加えて、地域の特色に応じた支援の拡充など、新たな方向性が示されております。
 第八期計画におきましても、介護人材対策の推進を重点分野の一つとし、区市町村の地域の実情を踏まえた取り組みへのさらなる支援など、対策の充実を図ってまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 水道施設の長寿命化についてでございますが、水道施設の更新は、長期にわたり多額の費用を要することが見込まれ、効率的な施設整備が必要となります。
 このため、浄水場については、コンクリート構造物の予防保全型管理により施設の長寿命化や更新の平準化を図ることで、更新期間を約六十年から九十年に、水道管路については、埋設状況等に基づく劣化予測により供用年数を定めることで、更新期間を法定耐用年数の四十年から最長九十年に見直し、年間事業費を抑制することとしております。
 今後、料金収入の減少が見込まれる中においても、このような長寿命化の取り組みを着実に実施し、施設の更新を計画的に進めることで、将来にわたって持続可能な水道システムを維持してまいります。

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