令和二年東京都議会会議録第二十一号

○議長(石川良一君) 百七番高倉良生君。
〔百七番高倉良生君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百七番(高倉良生君) 初めに、ご逝去された名誉都民の小柴昌俊さん、有馬朗人さんに謹んで哀悼の意を表します。
 それでは、都議会公明党を代表して質問いたします。
 本定例会には、令和二年度として十二回目となる総額二千三百八億円の補正予算案が提案されており、都議会公明党の要望を踏まえ、医療提供体制の強化充実など、年末年始を含めた対策が盛り込まれています。その財源は約八割が国庫支出金であり、中小企業制度融資の預託金の財源として都債を活用するなど、都の基金残高を可能な限り確保する工夫がなされています。
 再び感染が拡大する中、引き続き、切れ目のない対策が重要ですが、経済が大きな打撃を受ける中、都税収入の大幅な減少も避けられない状況にあります。
 一方で、東京のデジタル化のおくれへの対応や、感染症対策も含めた東京の安全・安心の向上、コロナ禍での影響を踏まえたセーフティーネットの強化など、課題は山積しています。
 感染症との闘いの長期化が想定される中、さまざまな施策展開を支えるための財源確保の工夫がこれまで以上に重要です。
 国から必要な財源を引き出すとともに、これまで着実に培ってきた都債の発行余力の有効活用や決算剰余金、不用額の精査、事業評価の取り組みのさらなる強化も含め、中長期的な視点に立った、戦略的な財政運営が不可欠であると考えますが、知事の見解を求めます。
 新型コロナ感染拡大で明らかになった課題の一つが、東京のデジタル化のおくれです。先般、専門家らで構成する有識者会議から、東京が今なすべき構造改革に関して、貴重な提言がなされました。
 今後、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めていく中で、リカレント教育の充実やデジタルディバイド対策、人を中心としたまちづくりなど、SDGsの視点も踏まえて、新たな長期戦略の中で具体化を図るべきであります。
 また、それらの取り組みを大きく加速させるためには、都の組織体制の見直しのほか、民間の力の積極的な活用も必要と考えます。知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、知事への緊急要望で、新型コロナの年末年始の診療、検査体制の取り組みを求めました。現在、都は、我が党が要望した接触確認アプリCOCOAの通知による問い合わせを含めた発熱相談センターでの電話相談を二十四時間体制で実施しており、都内でふえている診療・検査医療機関やPCRセンターにつなぐ取り組みを進めています。
 この冬は、発熱等の症状が出た都民からの相談がふえてくることが予想され、特に年末年始における万全な対応が不可欠です。これまで発熱相談センターに寄せられた相談の状況と年末年始の見通し、それに対応する診療、検査体制の維持強化に向けた取り組みについて、知事の見解を求めます。
 我が党の提案により、感染者が発生した場合の影響が大きい特別養護老人ホームや障害者支援施設の職員や利用者への定期的なPCR検査への補助について、第三回定例会で補正予算が成立しました。今、その申請中でありますが、速やかに実行することが大事な事業であり、都の取り組みが重要です。現状の取り組み状況の説明を求めるとともに、来年度も、感染状況を踏まえた上で、高齢者、障害者施設に対しての感染防止の支援策を講じるべきであります。見解を求めます。
 医療崩壊を防ぐためには、民間を含む、都内病院全体での重症病床の増床が急務の課題です。
 都は、コロナ専用病院の新設を求めた我が党の緊急要望に沿い、旧都立府中療育センターを専用病院として整備し、今月十六日、開設する予定です。
 この施設は、都立多摩総合医療センターの病棟として運営するとのことですが、さきに開設した東海大学医学部付属東京病院とともに、主に中等症、軽症患者の治療に積極的に活用し、民間病院の負担の緩和に取り組むことを強く望みます。加えて、都立、公社病院でも、引き続き率先してコロナ病床の増床とともに、重症患者の対応にも積極的に取り組むべきであります。見解を求めます。
 知事は、既に先日の所信表明で、現在の百五十床を三百床に拡大すると表明しています。何としてもこれを急ぎ実現すべきです。
 あわせて、そのためには、専従の医療スタッフの増員が不可欠です。クルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス号」での活躍で注目された自衛隊医療班との連携を含め、都内全体の医療関係者の総力を結集して、重症病床の増員を支える専門医療スタッフの確保、育成を急ピッチで進めるべきです。知事の見解を求めます。
 これ以上の感染拡大を防ぐためには、業務負担が増大している保健所への支援の強化も欠かせません。
 都では現在、保健師、看護師、准看護師、事務職員を会計年度任用職員として採用された方々が、第一線で活躍されています。こうした方々は常勤職ではないものの、治療を必要とする人々を適切かつ迅速に専門的医療へと結びつける大事な役割を担っています。今後も、さまざまな場面での活躍が期待されており、潜在的有資格者の掘り起こしを含め、質、量にわたる人員の充実が求められています。
 そこで、業務経験を通じて身につけた感染症対策の知識、技能を、都が積極的に評価、認証して、モチベーションや社会的ステータスの向上に結びつけ、人員の確保を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 また、冬場は外気温の低下から換気頻度の減退が危惧されています。中でも、換気つき空調機などの設備が困難な状況にある店舗等での対策として、換気だけに頼らない新たな工夫として、先進技術の活用が注目されています。
 都は既に、我が党の提唱を受け、業界団体別のガイドラインに基づく室内感染防止を図る自助努力に対し、補助を実施しています。
 しかし、個々の業界団体が自力で先進技術の知見を収集し、ガイドラインの改定を適宜に図ることは極めて困難といえます。こうした課題解決のために、東京iCDCの専門家の活用によって、先進技術の効果を評価する場を整えるなど、先進技術の活用で室内感染の防止を図る取り組みを進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 加えて、このiCDCによる先進技術の評価制度が実現された際には、産業労働局が推進する店舗や事業所などの室内感染防止対策向けの補助事業の対象に加えていくべきと考えます。見解を求めます。
 日本感染症学会は本年二月、高齢者または基礎疾患のある方に対して、インフルエンザワクチンとともに肺炎球菌ワクチンの接種を呼びかけました。
 我が党はさきの第三回定例会の代表質問で、肺炎球菌ワクチンの補助を提案し、知事は、今後、接種率のさらなる向上を図る取り組みが必要であるとの認識を示しました。その後の検討状況について、知事の見解を求めます。
 都は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念される中で、今年度、区市町村を通じて、六十五歳以上の高齢者等に対するインフルエンザ定期予防接種の自己負担分を全額助成しています。
 これにより、例年よりワクチン需要が高まることが見込まれ、ワクチン不足が懸念されています。実際、医療機関から、もうワクチンがないと断られるケースが発生しています。
 都は、ワクチン偏在解消のための円滑な流通に向けて、これまで以上に医療機関や区市町村と情報共有、連携を図るべきです。見解を求めます。
 新型コロナの感染防止策として、COCOAなどのアプリをインストールしなくても、Wi-Fi電波の位置情報を活用することにより、地域の三密状況の把握や人の移動ルートのデータ解析を行うことで、陽性者の感染ルート、濃厚接触者の調査に生かすことができると聞いています。
 都内には、都が設置したWi-Fiスポットが既に七百五十カ所あり、その場所を利用してビーコンを新たに設置し、民間設置の千三百カ所とともに活用することにより、有効なデータ収集が可能となります。
 そこで、iCDCにおいて、例えば、こうした位置情報を活用して、クラスターの発生予防などの対策に生かしていくべきと考えますが、見解を求めます。
 テレワークや遠隔教育、オンライン診療などを強力に推進するためには、それらを支える第五世代移動通信システム、5Gを地域間で偏りなく整備することが重要です。特に、多摩地域で都が保有する行政財産の開放を積極的に推進するとともに、市町村が保有する行政財産についても開放を後押しすべきです。見解を求めます。
 コロナ禍の中、一部で偏見や差別など、自分勝手で卑劣な行為が見受けられます。
 我が党は、東京都人権尊重条例制定の際に、時代、社会の変化に応じて生ずる新たな人権課題についても、条例により位置づけて施策を推進していくことを求めました。これに対し知事は、国内外の情勢変化に応じて対応する考えを示しました。
 今後も起こり得る新型コロナウイルス感染症を理由とした不当な差別や偏見、誹謗中傷から感染者本人やその家族、医療従事者などを守るために、新型コロナウイルス感染症対策条例を改正し、都の責務としてコロナ差別の解消や都民及び事業者の責務の啓発など、必要な取り組みを推進すべきです。見解を求めます。
 次に、都議会公明党が知事への緊急要望で求めてきた地域振興券についてです。
 景気回復には、投資需要とともに消費需要を喚起、増加させる必要があります。そのための一つの手段として、プレミアムつきで期間が限定されている地域振興券が有効です。都内では現在、十七区市町が、このプレミアムつき地域振興券を、最長で来年二月までを期限として発行しており、中には発行したその日に完売をしたところもあります。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、ワクチンと治療薬が使用できるようにならなければ、現在の拡大状況は終息しないともいわれており、当面は、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策とともに、経済対策もあわせて実行していかなければなりません。とりわけ生活者の可処分所得をふやし、生活に必要な消費支出を増加させるためにも、区市町の発行期限が終了する来年三月以降については、新型コロナウイルス感染症対策で実施をした補正予算の剰余金などを活用し、都が主体となって、区市町村や地域の商工会議所、商工会と連携して、プレミアムつき地域振興券を発行するよう強く要望いたしておきます。
 国は、大企業などで活躍するプロ人材を中小企業に還流させるため、平成二十七年度よりプロフェッショナル人材事業を実施しています。
 都内の大企業には、長年かけて培ったスキルや実務経験を持つシニアが数多くおり、バブル世代の副業解禁や大量退職の時期に入っています。こうした人材を中小企業でも活用すべきです。
 そこで、都は、中小企業の経営支援としてのプロ人材の確保に向けた取り組みを検討すべきです。都の見解を求めます。
 また、現役世代の方が働きながら大学などで専門的な知識等を身につけるリカレント教育の重要性が高まっています。
 こうした取り組みを東京都立大学等において積極的に展開すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、私立高校授業料の実質無償化についてです。
 都は、都議会公明党の強い要請に応え、平成二十九年度から開始し、その後も、東京都認可の通信制高校に通う生徒や、生徒が寮など都外に在住している場合についても、新たに対象に加えました。
 今年度からは、さらに対象を年収約九百十万円未満世帯まで拡大するとともに、年収約九百十万円を上回る場合でも、扶養する二十三歳未満の子が三人以上いる多子世帯も新たに支援対象としていることを高く評価いたします。
 一方で、本制度においては、さきの各会計決算特別委員会で我が党が指摘をしましたが、所得要件等の審査が必要であることなどから、保護者が実際に補助金を受け取るまでに数カ月を要しており、改善が必要であります。
 補助金支給までの期間の短縮に加え、補助金と学費支払いとの相殺において、保護者の手を煩わせない工夫を急ぎ整えることを強く求めておきます。
 都は、さきの第三回定例会の我が党の代表質問に対し、都認可以外の通信制高校の状況を把握するため、都民の在籍生徒数などについて、本年六月から七月まで、各学校に対して調査を実施し、その調査結果等を踏まえ、新たな仕組みについて検討を進めていると答弁しました。
 都が実施した調査の結果を明らかにするとともに、新たな仕組みの検討状況について答弁を求めます。
 新型コロナ感染拡大により、全国の学校が一斉に臨時休業となった際、学習のおくれなど、保護者からは心配の声が数多く寄せられました。
 また、区市町村や学校によって、端末整備の進捗状況や家庭の通信環境に大きな差異があること、さらには、教員のICT活用のスキル等の課題が浮き彫りとなりました。
 これらを踏まえ、国は、全ての小中学校において、一人一台の端末と校内の通信環境を整備するGIGAスクール構想について、令和五年度までの計画を前倒しし、今年度末までに整備を完了するとしています。
 そこで、都内の小中学校におけるGIGAスクール構想について、取り組み状況を伺うとともに、残る課題を早期に解決していくべきと考えます。公立、私立、それぞれ見解を求めます。
 都立高校について、都教育委員会は、各校に固定式パソコンやタブレットパソコンを一定数整備するとともに、生徒所有のスマートフォン等を授業で活用する、いわゆるBYODを推進してきました。
 しかし、経済的な理由などから全ての生徒がスマートフォンを所有している状況ではないこと、また、スマートフォンでは画面が小さく、学習には適さないなどの課題も明らかになっています。
 そこで、学習機能を備えた一人一台端末を活用した学びが可能となるよう、例えば、東京都版都立高校GIGAスクール構想のような具体策を進めるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 公明党が推進してきた母子保健法の一部を改正する法律、通称産後ケア法が令和三年四月から施行されます。産後ケアの利用期間も、従来の出産後四カ月ごろまでの時期から、出産後一年へと拡充されました。
 新型コロナの影響で、産後鬱状態になる人が以前の二倍以上にふえているといわれています。我が党は、新制度を前倒しして、不安を抱える出産後一年以内の対象者が、産後ケア事業を利用できるよう都に求め、都は、実施主体の区市町村へ事業の周知を図ったところです。
 しかし、事業の担い手には専門性が求められているため、区市町村からは、従来の出産後四カ月までの利用で、利用枠がいっぱいになっていると聞いています。
 現在、保育ママや小規模保育室などは、待機児童の解消が進んだことから、定員割れの状況となっているところもあり、一時預かり事業に積極的に参加したいとの声も届いています。また、厳しい認定基準をクリアしたベビーシッターによるベビーシッター利用支援事業も役立ちます。
 こうした保育事業者による一時預かり事業を、産後の子育て家庭を支援するために活用すべきと考えますが、見解を求めます。
 産後の支援を進める上で、担い手を確保することも重要です。私の地元中野区では、産後の母子支援に、産後ドゥーラが活躍しています。ドゥーラの語源はギリシャ語で、他の女性を支援する、経験豊かな女性という意味があるとされ、サポートを受けた母親からは、身体的負担や疲労の軽減はもとより、子育てに関しての不安も解消されたとの声を聞きます。
 こうした専門性を有する人材の育成に取り組む区市町村を支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 我が党の要請に応え、都教育委員会は、令和二年度から、肢体不自由特別支援学校全校で人工呼吸器を使用する子供の校内での保護者付き添いをなくす取り組みを開始しました。
 さらに今月には、人工呼吸器が必要な子供が医療的ケア児専用通学車両への乗車が可能となるよう、専用通学車両ガイドラインを改定しました。これらを高く評価いたします。
 一方、医療的ケア児のケアの仕方を保護者から学校に引き継ぐため、保護者による付添期間が長期間にわたる傾向があります。
 そこで、この保護者付添期間を一層短縮することが必要と考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 今、コロナ禍からのグリーンリカバリーを掲げるなど、世界的に二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロに向けた取り組みが進められています。菅首相も二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言しました。
 これに先駆けて、都は、昨年五月、U20メイヤーズ・サミットにおいて、ゼロエミッション東京の宣言をするとともに、年末には、ゼロエミッション東京戦略を策定しました。
 ポストコロナにおいても、CO2排出削減に向かう意思を高めながら、復興をなし遂げていくサステーナブルリカバリーを進めることが必要です。そのため、再生可能エネルギーの利用拡大を都が率先して進めていくことは重要だと考えます。
 RE一〇〇を目指す民間企業や都民の再エネ利用を牽引するため、今年度実施している特別支援学校等の再エネ電力一〇〇%化の取り組みを、身近な都有施設である都立高校にも広げるなど、都の取り組みを進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 食品ロス削減については、事業者や消費者団体が一堂に会して対策を検討してきた食品ロス削減パートナーシップ会議で、各主体の連携やコロナ禍の影響を踏まえた取り組みの方向性などを提言しています。
 そこで、都は、新型コロナウイルス感染拡大により、食を取り巻く状況が変化する中においても、着実に食品ロス削減の対策を推進すべきと考えますが、今後の取り組みについて見解を求めます。
 微小粒子状物質、PM二・五は、昨年度、都内八十カ所全ての測定局において環境基準を達成し、平均濃度は一立方メートル当たり十・八マイクログラムであったとの報告がありました。
 都が測定を開始した平成二十三年度は、環境基準を達成したのは二十八局中わずか二局でしたが、十年足らずの間にここまで改善したのは、都民、事業者、行政の地道な取り組みの成果であり、高く評価いたします。
 PM二・五は、呼吸器系疾患のリスクを高め、循環器系への影響も指摘されています。ハーバード大学での研究でも、濃度が一立方メートル当たり一マイクログラム高くなると、死亡率が一五%増加するとしています。WHOでは、濃度一立方メートル当たり十マイクログラム以下となることを推奨しています。
 知事は、今後、WHOによる世界で最も厳しい指標の達成を目指していくとしています。そのためには、これまでの行政による規制だけでは限界があり、都民や事業者とともに機運を醸成し、自主的な取り組みを促すことも重要です。
 また、PM二・五などの大気汚染物質の削減は、都だけで対応できるものではなく、近隣自治体と連携し、取り組みを一層強化する必要があると考えます。知事の見解を求めます。
 次に、災害対策について質問します。
 近年、気候変動等の影響による台風などの大型化や激甚化が顕在化しています。東京都が平成三十年に公表した高潮浸水想定区域図では、想定し得る最大規模の高潮による浸水区域として、江東五区を含む十七区が想定され、その面積は約二百平方キロメートルに及び、人口は約四百万人にも影響するとしています。
 都議会公明党はこれまでに、平成二十八年の緊急提言を初めとして、平成三十年の第二回定例会や令和元年度予算特別委員会などにおいて、大規模水害時における排水計画の策定や、排水ポンプなどの施設の耐水対策の重要性を強く訴えてきました。
 これに対し、都は、高潮浸水想定区域図を受けた大規模水害時の排水計画の策定に当たって、委員会を立ち上げて検討を開始したところです。
 そこで、排水計画の現在の具体的な検討状況と今後の取り組みについて見解を求めます。
 東京の東部低地帯には、国が管理する荒川が流れており、昨年十月の台風十九号の際には、北区の岩淵水門付近で氾濫危険水位にあと五十センチというところまで上昇しました。
 この台風において、上流の埼玉県に位置する荒川第一調節池では、過去最大の約三千五百万立方メートルの洪水を貯留した効果もあり、洪水被害を逃れることができました。現在、国は、この調節池の上流域に、総容量約五千百万立方メートルの荒川第二、第三調節池の整備を進めています。
 本年五月には、荒川や利根川など関東の七水系で、既存ダムの事前放流により、治水に活用するため、河川管理者やダム管理者が治水協定を締結しました。
 荒川第二、第三調節池が完成するまでの間、上流域のダムだけでなく、既存の荒川第一調節池についても、利水容量の一部の事前放流を行うことで、治水機能を増強していくことが重要です。国と連携をとりながら取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 新型コロナの拡大により、住まいの確保に対する不安が増大しています。
 特に、住宅確保要配慮者が安心して暮らすには、住む場所の確保だけでは不十分であります。単身高齢者やひとり親、子育て世帯など要配慮者の状況はさまざまであり、求められる支援の内容もそれぞれ異なります。
 これからは、一人一人の要配慮者に適した支援が受けられる住宅となるよう、居住支援の充実にも力を入れ、居住の安定を確かなものにしていくべきです。
 豊島区では、国の補助を活用しつつ、空き家等を東京ささエール住宅に改修し、入居する要配慮者等が利用できる地域交流施設を整備する事業を実施しており、居住の質の向上に寄与する取り組みがなされています。
 そこで、都は今後、入居した要配慮者に向けた一歩進んだ居住支援の実現に取り組み、東京ささエール住宅における居住の質の向上を図っていくべきです。見解を求めます。
 都は、現在、新型コロナの対策として、都営住宅の年四回の定期募集において、当せん者の窓口審査を郵送対応に切りかえています。
 しかし、直接面会して相談したい方もおり、その場合、渋谷にあるJKKの窓口に出向くことになっています。多摩エリアの高齢者や障害者にとっては、一日がかりの行動となり、しかも、感染症対策の面からも、長時間公共交通を利用することへの配慮が必要です。
 そこで、窓口を多摩エリアにも設けるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 各地の都営住宅居住者や周辺住民から私どもに、団地の空き室状態が長期間にわたって多く目立つとの声が多数寄せられています。
 その理由の一つとして、年四回の定期募集においては、募集から入居まで、場合によっては一年程度かかり、結果として空き室状態になっていることが挙げられます。
 都では、都議会公明党の提案を受け、毎月募集や随時募集の導入を図り、空き室の解消に努めていることは評価しますが、さらなる改善に努めることが必要と考えます。
 そこで、都営住宅の定期募集において、募集から入居までの期間の短縮を図る工夫を行うべきと考えます。見解を求めます。
 次に、高齢者の運転免許証の更新について質問します。
 都議会公明党は、二〇一八年第四回定例会、二〇一九年と二〇二〇年の第一回定例会の三回の代表質問において、認知機能検査、高齢者講習について、数カ月先まで予約がとれない状態の改善の質問をしてきましたが、現状において、コロナの影響もあり、改善の方向性が依然として見えません。
 高齢者講習の通知は免許の有効期限の六カ月前に伝達されますが、検査や講習をスムーズに利用できないことに不満が高まっており、我々都議会議員のもとにもそうした声が多数寄せられています。高齢人口の増加は一層著しく、今後、高齢者講習の予約待ちがさらに悪化することは明らかです。
 都議会公明党は、七十五歳以上の高齢者講習の二時間への短縮、また、認知症検査については、病院検査による診断書提出も可能とすべきであると考えます。
 これまで各教習所が高齢者講習の受講人員枠を拡大できるよう努めると答弁をしてきましたけれども、その状況と、さらなる混雑緩和対策に取り組むべきであります。警視総監の見解を求めます。
 次に、外かく環状道路の大深度工事が行われている地域での道路陥没について質問します。
 十月十八日、大深度地下で、外かく環状道路のシールド工法による掘削工事が行われていた調布市東つつじヶ丘二丁目の市道で、突然、道路陥没が発生し、住民に不安が広がりました。
 我々都議会公明党は、陥没発生後、直ちに現地に赴き、状況を確認し、その翌日には都知事に緊急要望を行い、国並びに高速道路会社に対して、原因究明と事故への適切な対応を求めるよう強く要請しました。
 その後、工事を施工している高速道路会社の調査によって、周辺地域の地中に二カ所の空洞が発見され、住民の不安がさらに増幅されました。これらの陥没や空洞による地表面への影響を防ぐため、埋め戻し作業は終了したものの、再びこうした事態が発生しないかとの不安は払拭されていません。
 したがって、重要なことは、今後、国や高速道路会社が、さらに幅広い範囲でボーリング調査や音響トモグラフィー調査を行い、地中にこれ以上異常があるかないかを確認し、その結果も含め、住民の皆様に丁寧に説明すべきです。
 また、今回の事故の原因究明を進めると同時に、地上の家屋の状況を把握し、その対応についても検討すべきです。
 改めて都は、国土交通省と高速道路会社に対し、詳細な地中調査と原因究明、それらの結果についての地域住民の皆様への丁寧な説明、そして、地上の家屋への対応について強く要請すべきであります。都の見解を求めます。
 我が党は、コロナ禍において、飼い主が感染した場合のペットの対応について要望してきました。このたび、日本財団災害危機サポートセンターの提供を受け、仮設住宅をペット同伴者の療養施設としたことは高く評価いたします。
 先月、我が党の、動物との共生社会推進プロジェクトチームで、神奈川県動物愛護センターを視察しました。この施設では、動物を処分するための施設から、生かすための施設へと位置づけ、平成二十六年から達成した殺処分ゼロも維持しています。また、ペットのいのち基金を設置し、動物の治療を含めた保護施設の運営資金の一部に活用しておりました。
 都としても、小池知事となり、初めて殺処分ゼロが達成されました。この先も、殺処分ゼロを持続するためには、民間とも力を合わせ、都民に開かれたテーマパークのような拠点施設が必要であります。
 動物愛護相談センター整備に向け推進会議を設置するなど、その機能や候補地について具体的に検討を始めるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 本定例会に、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例が提出されました。しかし、同一の世帯に属する者という表現になっており、同性パートナーの慶弔休暇や職員住宅への入居などは対象になっておりません。早急に対象にするよう強く求めるものであります。
 また、我が党が強く求めてきた同性パートナーシップ制度の導入についても、いまだに取り組みが進んでいません。導入した自治体は六十以上となり、茨城県、大阪府に続き、三重県や群馬県も実施に向けて検討が始まりました。
 都は、昨年、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を施行し、多様な性の理解の推進として、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消を掲げています。
 また、都は、高度外国人材の受け入れ促進を図る上で、外国からの同性パートナーの在留手続などの特例措置を国に求めています。であるならば、受け入れ先の東京こそが、制度として同性パートナーシップを導入し、知事のいうダイバーシティーを文字どおり構築すべきであります。
 制度導入に向けて検討委員会を立ち上げるなどして、具体的な検討に入るべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、都立病院、公社病院等の地方独立行政法人化について質問いたします。
 都は、独法化により、感染症など行政的医療の充実と、地域医療充実への貢献を進めるとしています。
 現在、都立病院、公社病院は、使命感を堅持してコロナ禍に真摯に立ち向かい、人々のために一体となって、八面六臂の闘いをしてくださっております。
 コロナ禍を乗り越えようとしている現在、ウイズコロナのこの時期に、あえて独法化を進める必要性について、いかに考えているのか、また、公的医療機関としての感染症医療について、常に都民本位の医療を提供できるのか、以上二点について見解を求めます。
 全国のことしの自殺者数は、六月までは前年同月比で減少していましたが、七月以降、増加傾向に転じています。特に、女性の自殺増が目立つほか、若者の自殺もふえており、八月の高校生の自殺者数は過去五年間で最多となっています。
 我が党は、第二回定例会の代表質問で、相談体制の強化を訴えましたが、これに対し都は、電話相談とSNS相談の時間帯や回線数、相談員をふやして対応したほか、民間団体の相談事業も支援しており、今後も取り組みを一層強化すべきであります。また、自殺リスクを抱えた当事者が気持ちを打ち明けられる環境も必要です。
 都は、区市町村や関係機関と協力して、当事者にとって、職場や学校、地域など身近な環境や人間関係の中で、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応をとれる体制を強化すべきであります。あわせて見解を求めます。
 最後に、東京二〇二〇大会について質問いたします。
 大会は、新型コロナという未曽有の天災を前に、一年の延期となりました。東京二〇二〇大会の原点は、復興オリンピック・パラリンピックであるとともに、アスリートやボランティア、被災地を初め、観戦を待ち望んでいる多くの子供たちにとっての希望の灯であります。安全・安心な大会となるよう、新型コロナ対策に万全を期し、大会を成功させなければなりません。
 先週末、延期に伴い避けられない経費として一千七百十億円、新型コロナ対策に必要な経費として九百六十億円発生することが、国、都、組織委員会の三者協議により明らかになりました。これらについては、真に必要な経費かどうか、ぎりぎりまで精査する必要があります。
 都議会公明党はこれまでも、公費を負担している共同実施事業を厳しく管理するよう求めるとともに、都が主体となって組織委員会のコスト管理や執行状況を含め、経費全体を管理するよう主張してきました。
 そのため、組織委員会においては、引き続き経費を最小限となるように取り組むことが不可欠であります。
 さらに、コロナ禍で多くの都民、国民が生活に苦しむ中にあっては、これまで以上に厳しい審査、チェックを行う仕組みをつくり、真に必要な経費であることを明らかにしなければ、到底、都民の理解を得ることはできません。
 追加経費を含め、大会経費の執行に当たっての都の対応について、知事の見解を求めます。
 さきの第三回定例会では、東京都議会として、東京二〇二〇大会の開催と成功に向けて全力で取り組んでいく決議をしました。
 十一月八日に都内で開催された体操の国際親善大会で、プロ体操競技の内村航平選手は、五輪ができないではなく、どうやったらできるかを皆さんで考えて、どうにかできるように、そういう方向に変えてほしいと僕は思いますと語りました。
 どうやったらできるか、そのために万全を期していかなければならないのが新型コロナウイルス感染症対策であります。とりわけ大会時、海外からの来訪者への感染防止対策、また、選手を迎え入れるホストタウンや事前キャンプ受け入れ自治体での対策が重要であります。
 こうした点について、万全の感染症対策を講じていくべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の代表質問にお答えいたします。
 財政運営についてでございます。
 最新のGDPは一年ぶりのプラス成長となったものの、新型コロナウイルス感染症による落ち込みを回復するには至っておらず、都財政を取り巻く環境は今後厳しさを増すことが想定されます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症は再び急速に拡大しておりまして、都民の命や暮らしを守るための対策が待ったなしの状況でございます。
 こうした中で、医療提供体制の強化など、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、東京の発展をさらに進めていくためには、国際金融都市の実現に向けた取り組みや、AIやIoTを活用した新時代をつくる産業などの成長が見込まれる分野に、限られた財源を重点的、効率的に配分することが求められております。
 このため、基金や都債など、これまで着実に培ってまいりました都財政の対応力を最大限発揮してまいります。
 また、決算剰余金の活用や、予算執行段階での歳出の精査を行うとともに、国に対しましては、都の実情を踏まえた確実な財政支援を力強く求めていくなど、さまざまな手だてにより、財源の確保に努めてまいります。
 さらには、事業評価の取り組みを一層強化して、施策の効率性、実効性を向上させるなど、中長期的な視点に立って、戦略的かつ持続可能な財政運営に努めて、都に課せられました使命を確実に果たしてまいります。
 次に、構造改革についてのお尋ねがございました。
 戦後最大といわれる危機を乗り越えて、東京が選ばれる都市となるためには、新型コロナウイルスとの闘いの中で浮き彫りとなった構造的な課題に対しまして、スピード感を持って改革を推進していかなければなりません。
 このため、各界の有識者から成る会議を立ち上げまして、ポストコロナを見据え、東京が持続可能な都市として発展していくために何をなすべきか、大胆な視点と発想に立ちました議論を重ねていただいております。
 有識者からは、デジタルトランスフォーメーションを推進力として、産業構造の変化に対応したリカレント教育を充実していくことや、デジタルディバイドで取り残される人を生まない、きめ細かなサポートが必要であること、さらには、人間中心の都市への再構築を進めることなど、多岐にわたる提言をいただきました。
 これらはいずれも重要な視点であり、私が目指す多様性と包摂性にあふれた、人が輝く東京をつくり上げるために不可欠な要素でございます。
 いただきました提言をしっかりと受けとめて、都政のDXを強力に推進するため、仮称デジタル局設置の検討を進めるとともに、民間企業などさまざまな主体との連携、協働による効果的な政策を練り上げまして、戦略をバージョンアップ、長期戦略として結実させてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に係る年末年始の相談、診療体制についてのお尋ねでございます。
 都は、発熱した方でかかりつけ医のいない方へ、医療機関の紹介などを行います発熱相談センターを本年十月三十日に開設。センター開設後の相談件数の増加を踏まえまして、休日等における回線数を最大十五から三十にふやすなど、体制を強化いたしました。
 今後、年末年始の時期には、相談件数がさらにふえることが予測されますため、回線数を最大五十にふやすことといたしております。
 また、地域におきまして適切に診療や検査を受けられますように、三千二百カ所を超える都内の医療機関を診療・検査医療機関として指定をいたしておりまして、今回、年末年始に診療を継続いただける場合の協力金を補正予算案に計上しております。
 都民の皆様の安心を確保するために、医療機関の協力も得ながら、年末年始に向けて相談、診療体制のさらなる強化を図ってまいります。
 重症病床とそれを支える医療スタッフの確保についてのお尋ねでございます。
 今まさに正念場を迎えております新型コロナウイルス感染症対策におきまして、私は、死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ、この三つの柱を軸といたしまして、さまざまな危機に対する対策を全力で講じているところでございます。
 都内におきましては、感染の急速な拡大によりまして、特に重症化リスクの高い高齢者において新規陽性者数が増加して、重症者数も高い水準で推移するなど、予断を許さない状況にございます。
 都知事といたしまして、都民の皆さんの命を守るために、医療機関の逼迫を回避しながら重症者を確実に受け入れるための病床と医療スタッフを確保いたしまして、適切な医療を提供する体制を構築すること、これが最重要の課題と認識をいたしております。
 このため、都は、大学病院等の医療機関から、病床の状況や課題等の把握を行いまして、先週には、重症者の増加に対応するために重症者用病床二百床の確保を要請しておりまして、今後、三百床の確保を視野に入れた受け入れ体制の強化を進めております。
 また、こうした医療機関が重症患者等を確実に受け入れられますように、今定例会におきまして、医師や看護師等の配置を含めた病床確保の補助を、重症者を受け入れるICUにつきましては一日当たり約三十万円から約四十三万円に引き上げるほか、医療機関への支援を年度末まで延長するための補正予算案を提案いたしております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を何としても食いとめるために、あらゆる対策を講じてまいります。
 高齢者への肺炎球菌ワクチンの接種についてのお尋ねでございます。
 肺炎によります高齢者の死亡率が高く、日常的に生じる肺炎のうち四分の一から三分の一は肺炎球菌感染症が原因と考えられております。
 このため、国は、平成二十六年、高齢者の肺炎球菌感染症を定期予防接種を行う疾病に位置づけまして、六十五歳となる方などを対象に接種が行われておりますが、例年、都内における接種率は約三割にとどまっております。
 こうした現状を踏まえまして、都は、さらなる接種率の向上を図るために、実施主体であります区市町村の状況も把握しながら、現在、定期予防接種の対象者への新たな支援策の検討を進めております。
 高校段階における一人一台端末を活用した学びについてのご質問がございました。
 ソサエティー五・〇時代に生きる子供たちは、ICTを存分に活用して、膨大な情報から何が重要かを判断する力、みずから問いを立ててその課題解決を目指す力、他者と協働して新たな価値を創造する力などを身につけていく必要がございます。
 高校段階におきましては、義務教育段階での学びを踏まえまして、複数の情報から多面的、多角的な考察を行う学習や、学校の授業にとどまりません、海外の学生とオンラインでつながって双方向で探求型の学習を行うなど、より高度で多様な学習の場面でICTを効果的に活用していくことになります。
 そのため、端末には、マルチタスクに対応する高い性能を備えるとともに、教えやすさ、学びやすさにも配慮が必要となってまいります。
 今後、変化の激しい社会で必要となります資質や能力を備えた人材の育成に向けまして、高校段階の学びにふさわしい一人一台端末の整備に向けて、仕様、整備方法等につきまして着実に検討を進めてまいります。
 PM二・五についてであります。
 東京を世界から選ばれる都市とするためには、世界的に関心の高い大気汚染指標でありますPM二・五の濃度をさらに低減していく必要がございます。
 都はこれまで、ディーゼル車規制や工場等からの排出ガス規制などによりまして、PM二・五やその原因物質の削減など、大気環境の改善に取り組んでまいりました。
 その結果、令和元年度に都内にある全ての大気環境測定局で初めて、国の定める環境基準、一立方メートル当たり十五マイクログラム以下を達成いたしております。
 今後は、世界で最も厳しいWHOの指針、十マイクログラム以下を新たな目標といたしまして、この目標を実現するために、さらに取り組みを加速、深化させてまいります。
 そのため、ゼロエミッションビークルの普及促進に加えまして、工場などからの排出削減を促すとともに、最新技術を活用いたしましたモニタリング体制を構築してまいります。
 また、都民や事業者の機運醸成に向けまして、クリアスカイ促進事業等に取り組んで行動変容を促していくほか、九都県市で連携した広域的な施策を推進して、東京の大気環境のさらなる改善を実現してまいります。
 人と動物との共生社会の推進についてのお尋ねがございました。
 私は、二〇二〇年に向けた実行プランで、誰もが優しさを感じられるまちの実現を目指しまして、動物の殺処分をゼロとすることを目標に掲げて、平成三十年度に達成、その後も継続しております。
 人と動物との調和のとれた共生社会を実現するためには、引き続き、区市町村や関係団体等と連携いたしまして、普及啓発や動物譲渡の取り組みなどを一層進めていくことが必要であって、動物愛護相談センターは、そうした取り組みの中核を担う施設であります。
 現在、東京都動物愛護管理審議会におきまして、今年度末の動物愛護管理推進計画の改定に向けて、今後の施策の方向性について審議を行っており、その中で、動物愛護相談センターのあり方につきましても議論を行っております。
 センターの整備に当たりましては、必要な機能の確保や利便性、業務の効率性などを勘案することはもとより、都民の理解を得ながら、より親しみやすく、身近なものとして、動物愛護の取り組みを都民とともに推進するための施設としたい、そのように考えております。今後、さまざまなご意見を伺いながら検討を進めてまいります。
 同性パートナーシップ制度の導入についてのご質問がございました。
 同性パートナーシップ制度は、婚姻関係のあり方そのものにかかわるものでありまして、広く国民の理解を得ていくべき課題と認識をいたしております。
 都におきましては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの解消のために、昨年十二月、基本計画を策定、性的マイノリティーの方々に対しまして、都庁の各局でどのような配慮が必要なのか、個別具体的に検討いたしまして、必要な取り組みを推進しております。
 引き続き、国内外の動向や社会情勢の変化などを踏まえながら、広く都民や当事者の意見を把握するため、実態調査の実施を検討するなどして、当事者のニーズに即した施策を展開してまいります。
 今後とも、当事者の方々に寄り添う取り組みを強化することによりまして、誰もが生き生きと生活できるダイバーシティー東京を実現してまいります。
 大会の延期に伴う経費についてのご質問でございます。
 史上初の延期という困難な状況におきまして、大会を成功させるためには、組織委員会、国、東京都、この三者がそれぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組む必要がございます。今回の合意に際しましては、こうした基本的な考え方を三者が共有した上で、主張すべきことは主張して協議を行ったところでございます。
 まず、大会運営の主体であります組織委員会は、大会の簡素化による経費削減と追加収入の確保を図るなど、可能な限りの努力を行ってきており、その中で、大枠の合意に基づく経費を負担することとしております。
 また、国は、大枠の合意に基づく経費を引き続き負担するとともに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費につきましては、二分の一の負担を基本としながら、大会の感染症対策の中心的機能を果たすものにつきましては、全額を負担することとしております。さらに、国の役割として関連する諸施策につきましても負担することとなっております。
 都は、開催都市といたしまして、大枠の合意やこれまでの関係者間での取り決めに基づく経費、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費の一部を負担することといたしました。
 これらをもとに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費九百六十億円、それを除く追加経費一千七百十億円に係る三者の負担額につきまして明らかにしたところでございます。
 経費の執行に当たりましては、共同実施事業管理委員会のもとに、新型コロナウイルス感染症対策に関する新たな体制を整えて、確認や精査を行ってまいります。
 また、組織委員会のキャッシュフローにつきましては、継続的に確認するとともに、収入、支出の両面におけます月次での確認を、より厳密に行っていく仕組みを検討してまいります。
 今後とも、都民、国民の理解が得られますよう、組織委員会、国と連携いたしまして、大会経費の適切な執行に取り組んでまいります。
 残余のご質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 高齢者講習の混雑緩和対策についてであります。
 警視庁では、教習所における高齢者講習の実施枠拡大を図るため、教習所で行っておりました認知機能検査を警察施設において実施する取り組みを進め、本年四月からは、全ての対象者に対する認知機能検査を警察施設で実施できる体制を整えました。
 本年は、コロナ禍により、各教習所が約一カ月半閉鎖を余儀なくされましたが、業務を再開した六月から十月までの高齢者講習の受け入れ人員は、前年と比べ、一カ月平均で約一千二百人増加させることができております。
 また、高齢運転者の運転免許制度につきましては、本年六月に成立した改正道路交通法に基づき、国において、認知機能検査及び高齢者講習の合理化、効率化が検討されていると承知をしております。
 警視庁といたしましては、高齢運転者の免許更新が円滑に進むよう、引き続き関係機関への働きかけを行ってまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、GIGAスクール構想の実現に向けた取り組み状況等についてでございますが、各区市町村教育委員会においては、基本性能や携帯性、通信回線の有無などの観点から、導入に適した端末を選定し、小中学校における一人一台端末と校内の通信環境の一体的な整備を今年度中に完了する予定でございます。
 このため、都教育委員会では、教員の利活用のスキルを向上させ、授業におけるICT活用の定着を目的として、ICT支援員の配置支援を行いますとともに、教員向けに学習支援ソフトの具体的な活用方法などの研修を積極的に行っているところでございます。さらに、ICTを活用した家庭学習の推進に向け、国に対し、家庭での通信費負担に対する支援を要望しております。
 引き続き、都教育委員会は、子供たちの学びの充実に向け、ICTが効果的に活用されるよう取り組んでまいります。
 次に、都立特別支援学校の医療的ケア児の保護者の付き添いについてでございますが、医療的ケア児は、生活リズムや季節等により体調が変化しやすく、ケアの内容は、障害の状態等によって個々に異なりますことから、入学後、学校看護師に対処方法の引き継ぎを行うまでの間、保護者に付き添いを依頼しているところでございます。
 具体的には、一人一人の状況に応じて健康観察を行い、ケアの手順や体制等に関する実施手順書を作成しております。特に人工呼吸器など、高度なケアが必要な児童生徒の場合には、体調変化を詳細に把握し、対応する必要がございまして、付添期間が長くなるケースが生じているところでございます。
 今後、都教育委員会は、学校生活における児童生徒の自立と保護者の負担軽減を図るため、医療的ケア児の安全を確保しながら、医療的ケアの引き継ぎ方法の工夫など、ケアの実施体制の充実について検討してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者施設等における感染対策についてでございますが、都は、感染症に罹患すると重症化しやすい高齢者や障害者が入所する施設の感染対策を支援するため、新規入所者や職員への定期的な検査費等の補助を開始いたしました。
 本事業の対象期間は補正予算が成立した十月八日から年度末までであり、施設が速やかに補助を活用できるよう関係団体を通じた周知等を行い、多くの施設から申請に向けた問い合わせをいただいているところでございます。現在、交付申請を受け付けており、申請後に取り組み内容等に変更が生じた場合でも柔軟に対応することとしております。
 高齢者施設等でのクラスターの発生を防ぐため、こうした取り組みにより積極的な検査を支援するとともに、今後も新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえ、施設における感染拡大防止に万全を期してまいります。
 次に、産後支援への一時預かり事業等の活用についてでございますが、都はこれまで、育児疲れによる保護者の心理的、身体的負担の軽減等のため、専用のスペースを確保するほか、空きスペースを活用して、子供を一時的に預かる認可保育所や小規模保育事業所等を支援してまいりました。
 また、今年度から、ベビーシッター利用支援事業の助成対象を、日常生活上のさまざまな事情による一時的な保育を必要とする保護者にも拡大いたしました。
 産後の子育て家庭は育児に係る負担が大きく、安心して子育てができるようにするためには、支援をさらに充実させることが必要であり、今後、お話の産後ケア事業とあわせて一時預かり事業等の活用が一層進むよう、区市町村に対して積極的に働きかけてまいります。
 次に、産後の支援についてでございますが、都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、継続した支援を行う区市町村を支援しており、今年度から、産後ケアの取り組みをさらに促進するため、区市町村の負担分を全額補助するとともに、産後ドゥーラやベビーシッターなど、家事、育児を支援するサポーターを派遣する取り組み等を充実した、とうきょうママパパ応援事業を実施しております。
 また、産後の身体的、心理的負担を抱えている母親に寄り添い、きめ細かな対応ができるよう、サポーターに対する研修の実施など人材育成も支援しており、今後とも、より多くの自治体が産後の支援体制の整備に取り組むよう積極的に働きかけてまいります。
 最後に、自殺対策についてでございますが、コロナ禍において都民の心理的不安が増大する中、都はこれまで、電話やSNS相談の体制を強化するとともに、民間団体が実施する相談体制の拡充を支援してまいりました。
 また、地域や職場、教育などさまざまな場で、周囲の人々がゲートキーパーとして、困難を抱えている人の自殺のサインに気づき、支援につなぐことが重要であることを関係機関に周知しているところでございます。
 さらに、区市町村連絡会で、保健所と地域の大学が連携した大学職員向け研修の実施等の好事例を紹介するなど、地域の取り組みが進むよう支援しているところでございます。
 引き続き、これまでの相談内容を検証しながら、悩みを抱える方を社会全体で支える取り組みや相談事業の拡充、普及啓発の強化などの検討を進め、区市町村や関係機関と連携した施策の強化を図ってまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立、公社病院のコロナ病床についてでございますが、現在、都は、都内医療機関に対しまして三千床の病床確保を要請しております。都立、公社病院の病床数は都内全体の約六%でございますが、感染症医療を行政的医療として位置づけまして、十四病院全てで計八百床を確保し、患者を受け入れるとともに、新たに開設する専用医療施設のほか、今後の感染拡大状況に応じてさらなる増床も実施してまいります。
 また、重症患者にも対応するため、各病院の役割や機能に応じて二十五床を確保しておりますが、最大五十床程度の確保も見据え、準備を進めてまいります。
 今後も、感染拡大の動向に応じ病床確保に努めますとともに、感染症医療以外の行政的医療や一般医療等も含め、他の医療機関では対応困難な患者を受け入れることで、民間病院等の負担軽減を図るなど、都民が必要とする医療を受けられるよう対応してまいります。
 次に、独法化を進める必要性についてでございますが、都立病院はこれまで、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じまして率先して取り組んできた中で、幾つかの課題に直面をいたしました。
 具体的には、患者受け入れ体制の強化に必要な医療機器の整備につきまして、補正予算の議決をいただいた後に契約手続を行うため、導入まで時間がかかった事例がございました。
 また、人材確保の面では、コロナ対応の強化に向けまして、会計年度任用職員である医師の勤務日数を、本人の状況に応じて柔軟にふやすことが困難でございました。
 加えまして、コロナの受け入れ体制をつくるために院内から人材を確保いたしましたが、診療科によりましては、その後の人員を機動的に確保できず、地域から受け入れる新規患者の制限や手術の繰り延べをせざるを得なかった病院がございました。
 独法化後は、中期計画の範囲内で弾力的な予算執行や柔軟な人材確保が可能となりますことから、緊急事態にも機動的に対応できる体制を構築してまいります。
 最後に、感染症医療の提供についてでございますが、都立病院、公社病院の感染症医療を初めとした行政的医療を担う役割は、独法化後も変わるものではございません。
 このため、感染症発生時には、東京iCDCを司令塔として、都が実施する感染症対策を踏まえながら、一層機動的に対応してまいります。
 具体的には、緊急時において、例えば状況に応じて専門医や看護師等の人材を迅速に確保し、重症患者等の受け入れを強化いたします。また、平時におきましても、地域ニーズを踏まえ、保健所等とも連携しながら、専門人材を民間の介護施設等に派遣し、地域の感染症対応力向上に貢献してまいります。
 こうした取り組みを法人に確実に実施させるため、法人の根本原則である定款や中期目標に、都が対応を指示する旨を明記すべきと考えておりまして、独法化後も、都民の生命と健康を守る役割を果たし続けてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症対策を担う人材の確保についてでございますが、都は、業務負担が増大している保健所の支援を行うため、本年七月に保健所支援拠点を設置し、九月には感染症対策業務に従事する職員をトレーサーとして八名採用いたしました。さらに、先月には感染者の急増に備え、看護師等九名、事務職員三十九名、合計四十八名を増員いたしました。
 これらのトレーサーは、関係機関と連携した専門的な研修を受講した上で、保健所支援拠点や都の保健所におきまして、積極的疫学調査の支援等の業務に従事しております。
 また、トレーサーとして一定期間業務に従事し、さまざまな場面で感染症対策を担うレベルに達していると認められる看護師等を、感染症対策支援員として認証する予定でございまして、今後とも、感染症対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナ対策における先進技術の活用についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を効果的に進めていく上で、お話のような先進技術の活用を含め、科学的知見に基づいた対策を講じることは有効でございます。
 都は、本年十月に、東京iCDCを立ち上げ、疫学、公衆衛生や検査、診断、リスクコミュニケーションなど幅広い分野の専門家の方々に参画をいただく専門家ボードを設置し、専門家の知見を生かした取り組みを進めております。
 今後、さまざまな先進技術の動向に注視しながら、室内感染対策など民間で開発された技術の有効性に関して専門家が検証を行う場などについて、東京iCDCで検討するなど、科学的知見に基づいた感染防止対策を講じてまいります。
 次に、インフルエンザワクチンの供給についてでございますが、国は、本年度のワクチン供給予定量を六千六百四十四万人分相当としており、記録のある平成八年以降最大でございました昨年度の使用量と比べて約二割多くなってございます。
 都道府県別の供給量の目安といたしまして、都には約七百十四万人分が供給される見込みでございまして、希望する都民が十分に接種を受けられる量と考えております。
 また、都は、ワクチンの地域偏在による現場での不足を防ぐため、区市町村や医師会を通じて各医療機関の需給状況を随時把握し、流通を担う医薬品卸売販売業の団体と共有することで、確実な調達につなげることとしております。
 今後、本格的な冬の到来に向け、希望する都民が安心してインフルエンザワクチンを接種できるよう、関係機関と連携して、円滑な供給に万全を期してまいります。
 最後に、携帯電話等の位置情報などを活用いたしました感染症対策についてでございますが、国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されて以降、ICTを活用いたしましたさまざまな感染症対策のためのツールが開発されております。
 こうしたツールの活用に当たりましては、技術の有用性はもとより、個人情報保護の厳格性や関係機関間の役割分担などの効率性等を総合的に評価することが必要でございます。
 今後、東京iCDCを活用するなど、最新テクノロジーの開発動向や国の動きなどを注視しながら、感染症対策において効果が期待できる技術の活用策などを検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の感染防止対策への支援についてですが、中小企業がコロナ禍の中でも事業を継続できますよう、各業界の感染症防止ガイドラインに沿った自主的な取り組みを後押しすることは重要でございます。
 都は本年六月から、中小企業がガイドラインに沿った感染防止対策に必要となる設備等の導入を行う場合、その経費の三分の二を助成しているところでございます。さらに、冬場を迎えて、感染防止に有効な換気設備の工事について、助成限度額を二倍に引き上げるなど、制度の一層の充実を図ったところでございます。
 今後、感染防止対策の実効性をより高めるため、東京iCDCが有効性を認めた設備等の導入に対する支援についても検討してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業の事業活動を着実に支援してまいります。
 次に、中小企業の人材確保に向けた支援についてですが、労働力人口の減少やデジタル技術の進展を見据え、中小企業においては、業務のIT化を推進する人材に加え、ポストコロナ時代の新規事業の立ち上げを担う人材等を確保し、生産性や競争力の向上を図ることが重要となっております。
 これまで都は、人材確保相談窓口において、人手不足の中小企業に対し、採用活動等への助言を行うほか、セミナーを開催し、人材活用のノウハウ等を提供してまいりました。
 今後、中小企業の経営を人材面から支えていくため、相談窓口機能の強化を検討してまいります。
 具体的には、専門人材や経営の中核人材等の採用ノウハウを持つアドバイザーを新たに配置し、民間事業者やハローワークが行う就職マッチングにつなげるなど、経営に資する多様な人材の確保に向けた支援を強化してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長寺崎久明君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(寺崎久明君) 多摩地域におけるアセット開放についてでございますが、二十一世紀の基幹ともいうべき公共インフラは電波の道であり、高速モバイルインターネット網である5Gネットワークの構築は、多摩地域においても重要でございます。
 この構築を後押しするために、多摩地域におきましては、約六千三百件の都が保有するアセットを積極的に開放しているところでございます。
 これに加えまして、今後、政策連携団体が保有するアセットの掘り起こしなど、さらなる開放へ向けた検討を進めてまいります。
 また、現在、アセット開放や基地局設置ワンストップ窓口の取り組みにつきまして、ノウハウや知見のマニュアル化を進めております。このマニュアルは、通信事業者側のニーズも組み込むことで、より実践的なものにしてまいりたいというふうに考えております。
 今後、都区市町村IT推進協議会などの場を通じて本マニュアルを周知することで、市町村の取り組みを促してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナに関する差別解消への取り組みについてでございますが、コロナ禍におきまして、感染者や医療従事者等を誹謗中傷する事例が後を絶ちません。こうした差別は決して許されるものではなく、解消に向けた普及啓発は重要でございます。
 都は現在、啓発チラシ等各種広報媒体を活用し、都民に対して人権に配慮した冷静な行動をとるよう促すとともに、今月の人権週間キャンペーンでは、コロナ差別解消を含めた啓発活動を進めてございます。また、人権プラザにおいて、新型コロナに関連した不当な差別等についての相談に応じるとともに、弁護士による法律相談を実施してございます。
 今後、国会におけるコロナ差別解消に向けた法制化の動向も注視しつつ、感染症に対する正しい理解の促進や適切な相談対応などを行うことにより、感染者や医療従事者等の人権が守られるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、都立大学等におけるリカレント教育についてでございますが、デジタル技術の進展や雇用の流動化など、社会構造の大きな変化に対応するためには、働きながら知識やスキルを常にアップデートできる環境の整備が重要でございます。
 都立大学及び産業技術大学院大学では、マーケティングや財務分析など、経営に関する知識を身につけるための講座や、ICTやものづくり分野の最新動向を学ぶ勉強会など、現役世代へのリカレント教育を実施してございます。
 また、立地のよい都心での平日夜間、土曜日の開講やオンライン配信、関心のある科目のみを選択し履修できる仕組みなど、社会人にも学びやすい環境を整えてございます。
 今後は、社会からのニーズが高く実際のビジネスの場でも活用できる、AIやデータサイエンスなどの講座の新設を検討するなど、現役世代の学びを支援してまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都認可以外の通信制高校における授業料負担の軽減についてでございますが、全国にある都認可以外の通信制高校八十五校に対し調査を行いまして、その結果、六十三校に約一万四千五百人の都民の生徒が在籍していることや、その保護者が支払っている年間の平均授業料額が約二十四万円であり、都認可の通信制高校の補助の上限額と近い水準であること等がわかりました。
 また、都の負担軽減額の算定に必要となる、生徒個別の授業料額や就学支援金額の確定時期が、当年度の末ごろになる学校がある等の課題についても明らかになってございます。
 引き続き、これらの調査結果等も十分に踏まえながら、新たな仕組みの構築に向け、検討を進めてまいります。
 次に、都内の私立小中学校におけます国のGIGAスクール構想の取り組み状況についてでございますが、国は、私立小中学校における一人一台端末、校内通信環境の整備に係る経費への補助を行ってございまして、都は、各学校に対して補助事業の活用を促してまいりました。
 国は、今年度末までに整備を完了するとしておりますが、私立学校への補助は、設置者の費用負担が生じるため、設置者の状況によっては対応が難しい学校もございます。
 都はこれまで、電子黒板やタブレット等の教育用端末の整備に関する費用など、私立学校のICT教育環境整備に対して幅広い支援を行ってまいりました。
 今後は、国に対して支援の継続を働きかけるとともに、引き続き、学校現場の状況を踏まえながら、私立学校のICT教育環境整備が進むよう積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギーの都の率先利用についてでございますが、電力の大消費地である東京において、その電力消費量の一%以上を占める都が、再生可能エネルギー基幹電源化に向け、率先的に再生エネルギーの利用拡大に取り組んでいくことは重要でございます。
 このため、都は、二〇三〇年までに都有施設で使用する電力の再エネ一〇〇%化を目指し、現在、都内の卒FIT電気を含む再エネ一〇〇%電力を特別支援学校等の都有施設で活用する、都庁電力プランなどに取り組んでございます。
 今後、この対象を都立学校等へ拡充することや、さらに、島しょ地域において防災性向上の観点から、再エネ設備を新たに設置し、都有施設へ活用していくことを検討してございます。
 こうした取り組みを通じまして、RE一〇〇を目指す企業の後押しもしながら、都内における再エネ利用の拡大を牽引してまいります。
 次に、食品ロス削減の今後の取り組みについてでございますが、都はこれまで、関係団体等で構成する食品ロス削減パートナーシップ会議で議論を重ね、事業者との連携事業や、さまざまなキャンペーン等により、取り組みを推進してまいりました。
 先月、同会議から、新しい生活様式への転換など、コロナ禍の状況変化にも対応した取り組みや、廃棄量が多い外食産業等が、業種、業態に応じた効果的な優良事例を共有化し、新たな投資を伴わず、食品ロス削減を目指す取り組みを促進すべきなどの提言を受けたところでございます。
 都は、本提言を踏まえまして、年度内をめどに削減推進計画を策定し、施策の具体化を図ってまいります。
 また、テークアウトの利用等による自宅での食事の機会の増加を捉えまして、時期を逸することなく、区市町村等と連携したオンラインセミナーやウエブでの情報発信など、感染防止にも配慮した普及啓発にも積極的に取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、排水計画の検討状況と今後の取り組みについてでございますが、東部低地帯におきまして、大規模水害時に早期に復旧、復興を図るためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要でございます。
 このため、都は、国や関係局で構成いたします大規模水害時の排水作業準備計画検討委員会を設置して検討を進めておりまして、現在、排水機場などの耐水性や排水能力を精査いたしまして、浸水するエリアや深さ、継続時間等のシミュレーションを実施しております。
 今後、こうした結果を踏まえまして、想定される浸水エリアを、排水作業を考慮して河川や地形により分割し、必要となるポンプ車の配置や後方支援拠点からのアクセスルートなどを検討してまいります。
 引き続き、国や関係機関と連携して、排水計画策定に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、荒川第一調節池の活用についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、調節池などの整備とともに、既存施設の有効活用を図ることも重要でございます。
 本調節池は、荒川の洪水調節や水道への利水を目的として国が整備し、平成十六年に完成いたしました総容量約五千万立方メートルの調節池でございまして、そのうち千六十万立方メートルが利水目的で活用されております。
 大雨が予想される場合には、この利水容量を事前放流できるよう、関係の利水者等とも調整しつつ、必要な検討を行っていくと国から聞いてございます。
 今後、こうした検討経過も注視しながら、荒川の安全性の早期向上に向けまして、引き続き、国や地元区等関係機関と連携して取り組んでまいります。
 最後に、調布市内での地表面陥没に対する今後の取り組みについてでございますが、今回の地表面陥没と外環工事との因果関係は不明でございますが、国など事業者が、有識者委員会に意見を伺いながら、原因究明などを行っております。
 具体的には、陥没箇所周辺におきまして、地盤状況などを確認するための調査や重点的な監視が実施されております。
 さらに、地盤調査中に空洞が確認されたことを受けまして、調査範囲を拡大し、十メートル程度の深さまでの地盤状況を把握する物理探査などが行われます。
 また、住民などの声を受けまして、希望者に対し、建物等の損傷状況などを確認する家屋調査が実施される予定でございます。
 都は、引き続き、事業者に対し、早急な原因究明と、住民の不安の払拭に向けた丁寧な説明や対応など、住民の安全・安心の確保に向けた取り組みを求めてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京ささエール住宅の居住の質の向上についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定をより確かにするためには、個々の要配慮者の状況に応じたきめ細かい居住支援を行うことが必要でございまして、特に高齢者につきましては、見守り等の安否確認に加え、生きがいの発見や孤立の防止という視点も重要でございます。
 都はこれまでも、居住支援法人や不動産団体との意見交換を通じ、要配慮者の多様なニーズの把握に努めておりまして、さらに現在、必要としている支援について、都独自に入居者等に対する調査を実施しているところでございます。
 今後、東京ささエール住宅の居住の質の向上に向け、区市町村等との連携を一層深めるとともに、さきの調査結果や地域での支援事例も踏まえまして、要配慮者が生き生きと暮らせる居住支援のあり方について幅広く検討してまいります。
 次に、都営住宅募集における窓口の設置についてでございますが、都営住宅の募集におきまして、都民サービス向上の観点から、その手続の改善を図っていくことは重要でございます。
 現在、感染症対策における臨時対応として、資格審査や入居説明会などの入居手続等を対面から郵送に切りかえ、問い合わせや質問等は電話でも受け付けております。
 また、昨年の台風第十九号における都営住宅の一時提供に際しましては、東京都住宅供給公社の立川窓口センターで多摩地域の被災者の入居手続等を行いました。
 今後、コロナ後の新たな生活様式への対応も踏まえまして、入居手続等の郵送対応の原則化とあわせ、対面での対応を希望する方の負担軽減を図るため、来年度から、立川に臨時窓口を設置し、都民サービスの向上に努めてまいります。
 最後に、都営住宅募集の入居までの期間短縮についてでございますが、都営住宅では、申し込み受け付け後、当選者等の資格審査を行い、入居説明会等を経て入居となります。
 この中で、都は、真に住宅に困窮する低額所得者に都営住宅を的確に提供できるよう、入居収入基準や住宅困窮度などの資格審査を対面で行っております。
 その対象件数は、二月と八月のポイント方式等による募集で、それぞれ約一千二百件、五月と十一月の抽せん方式で、それぞれ約二千五百件であり、これらを公正かつ厳正に審査するため、一定期間を要しております。
 今後、資格審査や入居説明会等における郵送対応の原則化、審査書類の削減、簡素化、募集のオンライン化や、さらに今後、AIの活用の検討など、手続の効率化、迅速化を順次進めまして、募集から入居までの期間短縮に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 二〇二〇大会時の新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、国、都、組織委員会等で構成いたします調整会議における中間整理では、選手の水際対策の徹底、移動ルール、選手村等での対策に加えまして、感染症対策センターの設置等により、迅速な対応を一元的に行うこととしております。
 海外からの観客につきましては、入出国時等の適切な防疫措置のほか、競技会場等における体調不良者発生時の対応について検討を進めていくこととしております。
 また、ホストタウン等については、それぞれの受け入れ自治体において、選手の移動や宿泊など場面ごとの対策を定めたマニュアルを作成することとしております。
 都といたしましては、国によるさらなる支援を求めているところであります。
 今後とも、調整会議の議論を踏まえまして、関係者と協力して、安全・安心な大会に向けた準備を着実に進めてまいります。

○副議長(橘正剛君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時二十八分休憩

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