令和二年東京都議会会議録第二十一号

   午後三時三十五分開議
○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番三宅正彦君。
〔百二十一番三宅正彦君登壇〕

○百二十一番(三宅正彦君) 初めに、世界の天文学史上特筆すべきニュートリノを初めて立証した名誉都民の小柴昌俊さんが、去る十一月十二日に逝去されました。また、元東大学長で文部相などを務めた物理学者で名誉都民の有馬朗人さんが、十二月六日に逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 今、新型コロナウイルス感染症の猛威が世界を大きく変容させ、その終息に向けて各国で懸命の取り組みが続いています。我が国は、コロナ第三波の渦中にあり、国民は未経験の日常に果断に取り組まざるを得ない状況が続いています。
 また、記録的な豪雨、台風により、毎年のように甚大な被害が発生し、コロナ禍が足かせとなって災害からの復興、再建も厳しい道のりとなっています。
 コロナ感染防止と経済回復は車の両輪です。我が党は、菅総理率いる国を初め、区市町村、各種団体、そして都民の皆様としっかり連携して、首都東京の持続的発展に向け、全力で取り組んでまいります。
 こうした視点に立って、令和二年第四回定例会に当たり、東京都議会自民党を代表して質問をいたします。
 最初に、長期戦略について伺います。
 都は現在、今後の都政の長期総合計画である長期戦略の検討を進めていますが、どんなに立派な計画であっても、策定するだけでは絵に描いた餅であり、計画としての意味がありません。行政計画は、都民生活の向上に資するものであり、効果的で実現性の高い施策を盛り込んだものでなくてはなりません。
 昨年、都は、長期戦略の土台となる未来の東京戦略ビジョンを作成しましたが、世の中の動きは複雑で激しく、一年先を見通すことさえ困難な状況です。
 加えて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、計画策定の前提条件となる社会の様相を大きく変貌させました。
 先を見通すことがますます困難な時代の中において、実効性ある長期戦略をどのように策定していくのか、知事の見解を伺います。
 ポストコロナを見据えた都の成長戦略において、国際金融都市東京の実現は大きな鍵を握っています。東京が国際的な金融ハブになることは、百年先も東京が世界と戦える確かな礎を築くことが可能になるからです。
 国際金融情勢が激しく変動している今こそ、東京が国際金融都市としての地位を確立する絶好の機会でもあります。上海、シンガポールなどのアジアの主要都市は、既に国際金融の分野に注力した施策を強力に展開しており、東京も、より迅速かつ強力な取り組みが必要であることはいうまでもありません。
 しかし、これまでの都や産業界の取り組みは、日本で国際金融都市となり得るのは東京しかないとの前提に立脚した楽観的なものであり、我が会派は、こうした危機感から、先般、経済主要団体に対して改めて働きかけを行いました。東京が戦うべき相手はロンドンであり、ニューヨークであるのです。
 東京が世界に冠たる国際金融都市としての地位を確立するためには、これまで以上に危機感とスピード感を持って取り組んでいく必要があります。
 そこで、都は、国際金融都市東京の実現に向け、民間と一体となり、早急に国への働きかけを行うなど取り組みを強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 今、世界各国は、ポストコロナ社会における主導権を握るため、ワクチン開発を初めとするイノベーションやデジタルトランスフォーメーションの推進などの国際競争にしのぎを削り、社会の変革を進めています。
 こうした転換期にある今こそ、東京は世界で一番の都市を目指すとともに、全国各地とも連携することで社会改革を進め、日本全体の成長を牽引していかなければなりません。
 新型コロナウイルス感染症を契機に、テレワークの普及拡大などが進み、東京都の人口は七月から四カ月連続で転出超過になるなどの動きも出ています。
 東京は、食料やエネルギーを地方に依存する一方で、大消費地として地方に貢献しており、人材や企業の交流も通じて、東京と地方はかたいきずなで結ばれています。そうした共存共栄の重要性は、ポストコロナ社会においても変わることなく、その取り組みを推し進めていく必要があります。
 そこで、都は、今後のポストコロナにおいて、地方との共存共栄をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 また、国境を抱えている東京という観点からお聞きいたします。
 本年十月、都は小笠原・国境離島担当を新設し、同時に知事は複数の大臣と面会されました。組織の新設及び大臣との面会を行った理由や目的のほか、組織新設を踏まえ、航空路の開設も含めて、今後どのように小笠原の諸問題に取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 さて、来年度に向け、各局の予算要求が示されましたが、コロナによる経済の痛みは大きく、さまざまな業界からも経済支援の要望が高まっています。今年度は約一・八兆円ものコロナ対策を講じていますが、いまだ感染拡大の終息の見通しは立っていません。都民、都内事業者には、社会活動の制約や経済的負担のしわ寄せが積み重なり、将来に対する不安と不信感が募っています。
 先日、構造改革プランも示されましたが、デジタル化への対応や受け売りの言葉を羅列したもので、財政回復への道筋は示されていません。
 我が会派は、都民、事業者の将来に対する不安を払拭すべく、長期戦を見据え、都財政の見通しをいち早く示すことを再三要請してまいりました。
 知事、財政当局は、これからの予算編成をどうするのか早急に示すべきと考えますが、都財政運営のかじ取り役である財務局長に伺います。
 次に、市町村への財政支援について伺います。
 多摩・島しょ地域では、各市町村がこれまでも、人口減少や少子高齢化、インフラの老朽化、頻発する自然災害など多岐にわたる課題の解決に取り組んでおり、市町村の財政負担は年々増しています。
 さらに、コロナ禍の中で、感染症防止と社会経済活動の両立、デジタルトランスフォーメーションの推進など、新たな課題への対応や地域医療の中核を担う公立病院への支援も求められており、市町村の財政負担が今後も増加することは確実な状況です。
 このような課題が山積する一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、地方税収の減少は避けられません。
 市町村は特別区と比べて財政基盤が脆弱であり、市長会、町村会からも、かつて経験したことのない財政危機に陥ることを危惧する声とともに、市町村総合交付金制度の充実強化などのさらなる財政支援を求める訴えが上がっています。
 そこで、市町村への一層の財政支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症の流行は長期化しており、この先の見通しも不透明な状況にあります。保健所を初め、過重労働の状況を軽減すべく、都は人員の補充に当たってきましたが、既存事業と並行してコロナ対策業務に当たっている職場も多数存在しています。
 感染の兆候が見られた時期からもうすぐ一年が経過する中で、既に職員の長時間労働、メンタルヘルスや他事業への悪影響が懸念されます。
 そこで、感染症への対応が長期化する中、職員への過剰な業務負担や各局事業へのしわ寄せを避けるため、感染症対策に係る執行体制については、さまざまな方策を柔軟に講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、高齢者福祉について質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症の流行により、介護事業所等における感染の発生、介護サービスの利用控え、通いの場やサロンの休止など、高齢者を取り巻く環境にはさまざまな影響が生じています。
 都は現在、第八期高齢者保健福祉計画の策定を進めていますが、長期化の可能性や公衆衛生の重要性が改めて問われる中、これまでのコロナ対策の取り組みを踏まえ、検討を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
 今回の営業時間の短縮要請は、感染拡大防止の観点からやむを得ないと理解しますが、飲食店の経営にとっては、年末の書き入れどきに大きな打撃となるものです。その上、事業者は、これから最も資金繰りが厳しい時期を迎えます。
 そうした状況に置かれた中小零細事業者は、国が約七割を負担する感染拡大防止協力金の一刻も早い支給を待ち望んでいます。
 都は、事業者に安心感や希望を与えるために、まず、支給開始時期を明確に示しておくべきです。さらに、金融機関は今月三十日まで営業しており、年末は目いっぱい営業する事業者も少なくありません。
 都には、年内にできる限り多くの事業者の手元に協力金を届けるため、精いっぱい力を尽くすよう求めておきます。
 また、我が会派は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や長期化に備え、国による緊急事態宣言以来、これまでに明らかとなった特措法の課題について早急に整理し、法改正もしくは必要な法整備を行うなどの対策を講じるよう政府に強く要望したところです。これからも国の動向を注視してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の影響が再び拡大する中、特に宿泊、飲食業などの業種において経営が大きな打撃を受け、そこで働く方々が数多く解雇や雇いどめとなるなど、雇用、就業環境は急速に悪化しています。
 都民が安心して働き続けることができる雇用の確保は重要な課題です。雇用不安を訴える切実な声が、我が党にも多く寄せられており、先般、都に対し、雇用の確保等に向けた緊急要望書を提出しました。
 一方、コロナ禍でも、情報通信産業や介護、建設業などは、これまでと変わらず人手不足が続いており、有効求人倍率を見ても他の業種と比較して高い数値で推移しています。
 今後の再就職支援に当たっては、こうした各業界における雇用環境の特徴に着目した支援が求められており、都は、雇用情勢のさらなる悪化も見据え、コロナ禍で解雇や雇いどめにより仕事を失った方々への支援を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都はこれまで、気候変動対策の観点から、省エネの推進、再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んできました。この取り組みについては、今後とも、技術革新の状況も踏まえながら、しっかりと進めてもらいたいと思います。
 一方で、東京が持続的に発展するためには、都民、事業者の活動を支えるエネルギー供給の安定化を図ることが不可欠です。また、東京は、大量に消費している電力の大部分を他県からの供給に依存していることから、供給地域への感謝の思いも忘れてはなりません。
 首都として、日本経済の中心地としての責務において、いかなる災害時においても電力が安定的に供給されるよう、国や電気事業者と連携し、都自身においても電力供給の強靭化などを意味する電力レジリエンスを高めていくことが必要です。
 災害時における電力の確保について、知事の見解を伺います。
 近年、全国各地で大規模水害が頻発しています。津波、高潮、内水氾濫、堤防決壊等による爪跡は、今なお深く残っています。
 区部東部低地帯を守るために、堤防の耐震強化等を進めていますが、上流部決壊等による出水では、堤防に囲まれた地域がまるで洗面器のような状態を生み出すことになります。最悪の場合には、二週間もの長期にわたり水が引かない事態になると予想されています。
 復旧活動を行う大前提が排水であり、できれば三日程度での完了を目指すとすれば、排水機能を大幅に強化する必要があります。
 十月に行われた知事ヒアリングにおいても、このことについて江戸川区長から知事に対し、直接要請がありました。
 大規模水害時の復旧に不可欠な、区部東部低地帯の排水機能強化をスピード感を持って進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 本年九月には、過去最強といわれた台風第十号の接近により、水害が危惧されました。特に昨年の台風第十九号は、東京都において初めて大雨特別警報が出され、浸水による甚大な被害が発生しました。
 近年頻発するこのような状況を踏まえると、浸水対策はこれまで以上に強力に推進しなければなりませんが、ハード対策に当たっては、コンピューター技術を活用し、より効率的な施策について検討すべきと考えます。
 区部における浸水対策の一層の強化に向けた下水道局の取り組みについて伺います。
 また、多摩地域の流域下水道における雨天時浸入水による浸水被害は、マンホールや道路舗装が破損するなどの被害はもとより、住宅への浸水もあり、対応が求められています。
 効率的、効果的に対応するには、公共下水道を管理する市町村との連携が重要であり、不可欠です。下水道局は、市町村と今後どのように連携して取り組んでいくのか伺います。
 昨年の台風十九号では、秋川を初め、都内各地七つの河川で溢水、そして、ことしも、熊本県の球磨川を初め、九州地方を中心に過去最大を記録するような豪雨によって大規模な浸水被害が発生しました。
 我が会派は、これまで繰り返し主張してきましたが、このような豪雨に対する備えは護岸や調節池等のインフラ整備のみならず、河川の目標整備水準を超える豪雨に対して、都民の避難等に資するソフト面での対策も進めるなど、ハード、ソフト一体となった取り組みを推し進める必要があります。
 そこで、東京都における中小河川の洪水対策、その取り組みについて伺います。
 東京都内には九十八の消防団が組織され、各団員は会社員、自営業、学生、主婦など本来の仕事や学業を持ちながら活動しています。地域に根差し、日ごろは消火、水防活動などの訓練を行い、火災、風水害、震災時には、都民の生命、財産を守るために献身的な活動を行う頼もしい存在です。
 近年、地震や台風などの大規模災害により各地で甚大な被害が発生していますが、地域防災力のかなめである消防団員は減少し続けており、特別区の団員についても、定員に対し充足率は八三%となっており、地域防災力の低下が懸念されています。
 こうした中、特別区消防団の組織力を強化するための方策について、特別区消防団運営委員会に諮問した結果、応急救護訓練や広報活動など、特定の活動や任務に従事する機能別団員の積極的な導入が必要との答申を受けました。
 消防団活動への支援は各団の意向や実情に沿って行うことが前提ですが、特別区消防団員の充足率を向上させるためのこれまでの対応と、そして今回の答申にある機能別団員のさらなる拡充に向けた取り組みについて伺います。
 また、答申には、大規模災害発生時は、平時以上に消防団の総合的な活動力は不可欠であり、消防団活動を支援する人員の確保も必要であることが示されています。そのため、団員OBや医療従事経験者などの避難誘導や救助活動の支援を行う大規模災害団員の導入についても提言されています。
 そこで、首都直下地震などの大規模災害時における消防団の活動力を向上させるための今後の取り組みについても伺います。
 我が会派は、あす起こるかもしれない大地震など自然災害への備えを急ピッチで進めるため、木造家屋密集地域の不燃化、耐震化などの加速や、特定整備路線と防災生活道路の整備を推進するなどの防災対策を提言してきました。
 都も、建築物の耐震診断や耐震改修を促進するため、平成二十八年に東京都耐震改修促進計画を改定し、マンションや戸建てなど住宅については、令和二年度までに耐震化率を九五%以上、令和七年度までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消するとの目標を設定しました。
 その中で、戸建て住宅等については、整備地域内での改修への助成や普及啓発に加え、平成三十年度からは、積極的な働きかけを行う区市町村を対象に、整備地域外にも助成を拡大してきました。しかし、令和元年度末における住宅の耐震化率について、平成三十年の住宅・土地統計調査を踏まえた国の推計に基づき算出したところ、九二%と目標達成に至っていないと聞いております。
 いつ起きるかわからない大震災時に都民の命を守るため、戸建て住宅等の耐震化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、都内の分譲マンションでは、建物の老朽化と居住者の高齢化の二つの老いが進行し、今後の大きな課題となっています。
 都は、この対応として平成三十一年にマンション管理条例を制定し、マンションにかかわる者の協力のもと、管理組合に対して行政が積極的にかかわり、マンションの管理不全を予防して適正な管理を促すよう、本年四月からマンションの管理状況届け出制度を開始しました。
 この届け出制度開始後、届け出の対象となったマンション約一万四千棟のうち、約六千八百棟から届け出があったと仄聞しています。
 届け出制度では、管理組合の有無、修繕積立金の有無や耐震診断の実施状況などの情報の届け出を求めており、これらは都が条例で示したマンションの社会的機能の向上や、良質なマンションストックと良好な居住環境の形成などに向けて、新たな施策を展開していくための基礎的な情報となると考えます。
 そこで、マンション管理状況届け出制度について、都はいまだ届け出を行っていないマンションに対して届け出を促すとともに、届け出制度により把握した個々のマンションの情報を効果的な施策展開に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都ではこれまで、都市づくりのグランドデザインや未来の東京戦略ビジョンのもと、十年先、二十年先の将来を見据え、活力とゆとりのある高度成熟都市の実現を目標に掲げています。
 一方、近年、MaaSや自動運転を初め、今後の都市のあり方に変革をもたらし得る技術革新が目まぐるしいスピードで進んでいます。
 これまでの都市整備を顧みると、例えば都市計画道路の整備では、事業化から完了まで何十年も要しており、こうした尺度で事業を実施していては、二十年先に目指す都市像の実現はおぼつきません。同時に、でき上がったまちや道路が、その時代の需要に合わないとも限りません。
 本年六月、国土交通省は、道路政策に関する中長期的なビジョンである「二〇四〇年、道路の景色が変わる」を公表しました。このビジョンでは、ポストコロナの新しい生活様式や社会経済の変革を見据えながら、おおむね二十年後の日本社会を念頭に、道路政策を通じて実現を目指す社会像や、その実現に向けた政策の方向性を示しています。
 都においても、スピード感を持って道路整備事業を進めると同時に、自動運転等の先端技術やMaaSなど次世代社会を見据えたまちづくりの観点からも事業に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年の台風では、多摩川等での浸水被害が生じるとともに、日野橋では橋脚が沈下し、約七カ月間にわたる通行どめを余儀なくされるなど、地域住民に多大な不便を強いることになりました。
 都内山間部や島しょ地域は、人の移動や物資の輸送のほとんどが道路を利用し、生活及び産業、経済、文化などの活動振興に重要な社会基盤となっています。自然災害に備えた道路整備はとりわけ重要です。
 山間・島しょ地域の道路整備について取り組み状況を伺います。
 かつての江戸東京は、都市を縦横に流れる川や運河が物流の動脈としての役割を担い、水の都であったといわれていました。多くの文学の舞台ともなった隅田川や多摩川を初め、全国の街道の起点である日本橋、江戸物流の重要河川で舟運によるにぎわいを見せた小名木川など、水辺が人々の生活の中に根差してきました。
 また、近代以降は、東京湾に向けて新たな運河や港が築かれ、世界都市としての東京の発展を支えてきました。
 しかし、陸上輸送が主流になった今、かつての物流としての舟運から、観光、防災としての舟運利用など、改めて水辺の活用の機運が高まっています。
 我が会派では、石原都政以来、関係局との勉強会を重ね、舟運活性化を推進してきました。こうした取り組みを経て、観光を目的とした社会実験のほか、昨年は通勤通学を目的とする社会実験を実施したことは評価しています。
 ハード面については、これまでも防災船着き場の一般開放を進めてきましたが、新規航路拡大のためには、利用できる防災船着き場をふやしていくことや利用者の安全・安心を確保することに加え、車椅子やベビーカーの利用も可能となるよう防災船着き場やその周辺を含めたバリアフリー化を推進していく必要があります。
 舟運の活性化に向けた都の防災船着き場における取り組みについて、見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会に関連して質問いたします。
 東京二〇二〇大会は、今、新型コロナという困難に直面しています。しかし、関係者が一丸となって、この難局を乗り越え、大会を成功させることで、世界のきずなを強めるとともに、現在の閉塞感、経済状況を打開する起爆剤になると考えます。
 今こそ東京、日本の力を結集し、コロナ禍にあって開催される東京大会を、五輪史に残る大会とすべきです。世界が新型コロナに揺れ惑うときだからこそ、大会の価値を改めて見詰め直し、開催への歩みを強めなくてはなりません。
 大会の成功に向け、第一に優先すべきコロナ対策については、国主導のもと、調整会議において議論を重ね、先日、中間整理が公表されたところです。開会式まで八カ月を切り、大会は検討から実務的な準備段階に入りました。
 中間整理を踏まえたコロナ対策について、大会までのスケジュール管理も含め、着実に進める必要がありますが、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 新型コロナ感染症の終息が見えない中、多くの業界や中小企業の皆様が必死に耐えておられます。大会は、コロナという闇を抜けた先の希望の光であり、経済回復の下支えとなるものです。
 また、海外からの観客を含め、安全・安心な仕組みをつくることは、コロナ禍における先進的なモデルとなり、インバウンドの回復につながるレガシーともなり得ます。大会の成功に不可欠な経費は将来への投資であり、開催都市としての責任を果たす必要があります。追加経費に関する今回の合意は、大会の成功に向けたかたい決意のもと、事務方の協議に始まり、都と国、組織委員会が一体となって取り組んだ成果であり、大きな前進であります。
 今回の合意を踏まえ、この先の困難な道のりをぶれることなく乗り越えていくためには、国内関係者を初め、IOC、IPCなどとも一層連携して取り組む必要があると考えますが、知事の認識を伺います。
 コロナ禍の中で、企業においてはテレワークやオンライン会議の導入が進み、職場環境は大きく変貌しました。また、家庭生活においても外出自粛が求められる中、SNSの利用を初め、物品の売買など、あらゆる場面においてICTを身近に利用する機会がふえています。
 新しい日常のもとにおいては、常に不正アクセスなどの脅威にさらされており、セキュリティー対策の甘さなど、脆弱性をつかれる情報セキュリティーリスクは、急激に広がるネットワーク環境に比例して大きくなってきているともいえます。
 我が会派は、これまでも再三にわたって多面的なサイバーセキュリティー対策の強化を要請してきました。
 コロナ禍において広がり続ける都民の生活インフラとなったネットワーク環境を守ることはもとより、開催が延期された東京二〇二〇大会に向けたサイバー攻撃対策について、どのような対策を講じ、取り組みを行うのか、警視総監の所見を伺います。
 新型コロナウイルスの影響を踏まえた今後の観光振興について伺います。
 見えざる敵である新型コロナウイルスとの長い闘いにより、都内の観光産業は大変厳しい状況にあります。渡航制限により外国人旅行者が大きく減少する中、国のGo Toトラベルを足がかりに、明るい兆しが見え始めた国内旅行も、足元で感染が急拡大したことで、その先行きは不透明な状況となりました。
 東京の観光産業がこの難局を乗り越え、成長軌道へと再び歩みを進めていくためには、まず、産業基盤の強化を図った上で、将来のインバウンド需要の回復も見据えて取り組むことが不可欠です。
 あと一月足らずでオリンピック・パラリンピックイヤーとなります。世界中の選手が困難を乗り越えて集う東京大会は、人類全体の再起と夢や希望の象徴であると同時に、世界に対して東京の観光の復活を示すアピールの場にもなると考えます。
 そこで都は、東京大会とその後を見据えつつ、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、今後の観光振興をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 現在、コロナ感染拡大の影響で、多くの学校で従来どおりの修学旅行が行われておらず、大切な教育機会を失った子供たちが多数います。
 しかし、修学旅行の教育的意義や子供たちの気持ちなどを踏まえ、子供たちには貴重な体験の機会が必要であると考えます。文部科学省も三月三十一日まで含め、改めて実施を検討するよう見解を示しました。
 さきの定例会において、我が会派が指摘をしたとおり、都内にはたくさんの観光資源があります。
 例えば、開催を控えたオリンピックで使用する国立競技場もあり、国としても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と調整し、仮設工事に影響させない範囲で、三月ごろまでスタジアムの一部を見学できるようにすると聞いています。
 こうした身近な資源を活用しながら、大切な思い出づくりができるよう、感染症対策を講じつつ、機会を見つけて修学旅行や修学旅行にかわる体験的な活動を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、国においては、三十人学級等の少人数指導体制の計画的な整備に向けた検討が行われています。文部科学省は、今後の児童生徒数の減少に伴う定数減を活用して、一定期間をかけ、計画的、段階的に進めれば、大きな追加的財政負担なく実現が可能であるといっています。
 今般の感染症対応やデジタル社会を生きる子供たちにふさわしい令和の時代の新しい学びを実現するには、一人一人の興味、関心やつまずき等に応じたきめ細やかな指導の充実を図ることが不可欠です。
 日本の未来を担う子供たちのために、今こそ東京都が率先して少人数学級を実現すべきだと考えます。
 都としても、少人数学級の推進に向けた方針を明示するとともに、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう国に対して要請すべきと考えますが、見解を伺います。
 都議会自民党は、新たな社会、ソサエティー五・〇に向けた教育を進めていくため、これまでもICT教育環境整備の重要性を主張してきましたが、今回のコロナ禍を受けて、その重要性はさらに高まっています。
 国も、一人一台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想の実現に向けた取り組みを加速しているところです。
 こうした観点から、幾つか質問いたします。
 知事が今年度中に策定予定の新たな教育施策大綱において、誰ひとり取り残さない視点に立って、社会全体で子供たちを支え、一人一人に着目した質の高い学びの実現を目指すと聞いています。既に、国のGIGAスクール構想やTOKYOスマート・スクール・プロジェクトの前倒しによって、公立学校の一人一台端末配備は大きく前進しています。
 こうした状況の中、これまでの学びのあり方や授業も、それに対応していかねばなりません。そして当然、これからの教員に求められる力も変化していくことが考えられます。
 そこで教育庁は、今後の子供たちの学びを支える教員の育成にどのように取り組むのか、見解を伺います。
 国の政策と連動して、現在、各自治体において一人一台端末や通信ネットワーク環境の整備が進められていますが、新型コロナウイルス感染症等の緊急時においても、子供たちの学びを保障するべく、都立学校におけるICT環境整備は早急に実現する必要があります。
 聞くところによれば、高等学校における端末整備については、令和二年度に新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用するなどして、一人一台を整備済みとなるところが十二自治体あり、また、計画的に端末整備を進めている自治体も多いようです。
 一方で、都立の高等学校における端末整備は全国平均からもおくれているのが実情です。
 そこで、都立学校の一人一台端末の今後の整備の考え方について伺います。
 あわせて、市区町村の整備状況についても的確に把握し、おくれている自治体があれば促していくことを要望いたします。
 また、一日でも早く生徒のもとへ端末が届くよう、その配備に向けた取り組みを加速させた後には、それにとどまらず、その端末が最大限活用されるよう、校内はもちろん、都立特別支援学校の寄宿舎等においても、通信ネットワーク環境の整備に万全を期すべきと考えますが、見解を伺います。
 公立学校では、GIGAスクール構想による補助を活用し、設置者である自治体の判断で財源を措置することで、一気に環境整備を進めています。
 一方、私立学校では、補助率が二分の一で、設置者の負担が生じるため、公立学校に比べて取り組みがおくれ、公私間格差のさらなる拡大が懸念されています。
 都は、平成二十七年度から私立学校におけるICT教育環境整備に対する支援を行ってきましたが、こうした状況や国との役割分担も踏まえながら、今後も支援を継続するとともに、さらに補助の拡充を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立工業高校の今後のあり方について伺います。
 近年、技術革新が急激に進み、日常のさまざまな場面でAI、IoTなど先端技術を活用した新しい物、サービスが見られるようになるなど、社会は大きな変化を遂げています。
 こうした変化の渦中において、東京のものづくりの基盤を支え続ける中小企業には、IT等による技術革新に対応できる人材がますます必要となります。
 これまで東京の中小企業を支えるものづくり人材を輩出してきた工業高校では、その役割をさらに発展させ、技術革新が加速度的に進んでいく社会で活躍する人材の育成を担うべきと考えます。
 今後の工業高校のあり方について、見解を伺います。
 ネット環境が進む中で、従前より、青少年が架空請求やネットいじめ、迷惑メール、有害サイトなどに巻き込まれ、被害者、加害者となる事件や報道がふえています。
 コロナ禍で日常の生活環境も変化し、ネットやスマホ、またSNSの利用がさらにふえる中、いじめやさまざまなトラブルに対する懸念が広がっています。
 都が開設しているネットのトラブルに関する総合的な窓口、こたエールに寄せられる相談件数は、一昨年と比較しても大幅に増加しており、その内容は、ネットいじめ、ネット依存、名誉毀損、交際、性的トラブルなど多様で深刻な内容も多くなっています。
 ネットやスマホの普及は生活の利便性を飛躍的に向上させる一方で、悪質な誹謗中傷により命を絶つ被害者が出るなど、光と闇の両面が存在します。
 今後も、ネットを利用する機会がますますふえることが見込まれますが、青少年をネット上のトラブルや被害から守るための啓発や対策を一層強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 本年四月、犯罪被害者等支援条例が施行されましたが、我が党は、被害者の方やそのご家族に対し、行政が丁寧に向き合い、具体的な支援の手だてを講じることが重要であると重ねて指摘してきました。
 被害者の方は身体的、精神的に困難な状況のもと、捜査や裁判、通院、行政への手続などの対応を求められ、生活はまさに一変します。そうした中、仕事や家事、育児、介護などを続けることは容易ではありません。
 だからこそ、被害者の方が日常生活を取り戻していく上で、生活面でのさまざまな支援を提供する区市町村の役割は極めて重要ですが、専門の窓口を置いている自治体も、いまだ一握りであるのが実情です。
 区市町村における取り組みの充実や支援スキルの向上に向けて、都が区市町村をしっかり支えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、都議会最大会派が提唱し、最終的に提案されなかった新型コロナウイルス感染症対策の罰則つき条例案に関連して意見を述べます。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、終息の兆しさえ見えず、感染者が拡大し続け、医療機関は逼迫した事態を迎えています。
 一方で、これから年末年始を控え、都民や各種事業者の皆様はさらなる自粛を余儀なくされている状況です。コロナ感染防止策に決定打がない中、コロナに打ちかつという都民の皆様の強い決意と粘り強い取り組みがあるからこそ、感染者数が高どまりとはいえ、東京は現在の状況を維持できています。
 都議会は、こうした都民の皆様の気持ちに寄り添い、浮き足立つことなく、コロナ対策に関する議論を深め、実効性のある、そして都民の皆様から信頼いただける施策を進めていかなければなりません。
 我々都議会自民党は、都民の声を聞き、都民の要請、期待にしっかりと応えるために全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 三宅正彦議員の代表質問にお答えいたします。
 長期戦略につきまして、我々は今、歴史の大きな転換点に立っております。不確実性が一層増している時代だからこそ、長期的な視点であるべき姿を描き、これまでの延長線ではない大胆な取り組みを推進する必要があります。
 未来の東京戦略ビジョンにおきましては、将来のビジョンを示し、そこから逆算してなすべきことを定めるバックキャストの手法を用いて、戦略やプロジェクトを掲げております。
 一方、目指す姿に到達する道筋ですが、一つではなく、時代や状況の変化に応じて戦略を組みかえていくアジャイルの視点が重要であります。
 新型コロナウイルスという未曽有の危機に直面している今、その厳しい闘いの中で生じた社会の変化や浮き彫りとなった課題を踏まえまして、戦略ビジョンをバージョンアップしてまいります。
 今回、改めて明らかになりました我が国の構造的な課題に対応するため、DX、デジタルトランスフォーメーションをてことして、都政の構造改革を断行いたします。
 また、人々の暮らしや価値観の大きな変化を踏まえまして、人中心のまちづくりや働き方改革の推進など、新しい日常にふさわしい政策や困窮する人々に寄り添った政策を強化いたします。
 具体的な取り組みを幅広く盛り込みました長期戦略として結実させるとともに、目指す未来の実現に向けまして、掲げた政策を推し進め、一つ一つ成果を積み重ねてまいります。
 次に、国際金融都市東京の実現についてのお尋ねがございました。
 世界に冠たる国際金融都市東京を実現していくためには、都として、国や民間と連携し、オール東京で対応することが不可欠であります。
 都は、平成二十九年度に構想を策定以来、さまざまな取り組みを展開してきており、今年度中におきましても、東京進出を検討する海外企業向けに、香港における相談窓口や、東京での調査に係るオフィス賃料等の一部を支援する制度を創設しております。
 また、幅広い民間事業者の参画を得まして、フィンシティー・トーキョーを設立、国内外でのプロモーション活動を実施するなど、民間と一体となった取り組みを展開しております。
 国に対しましては、これまでもさまざまな機会を捉まえまして、税制や規制の見直しに関する要望を行っております。現在、税制につきましては、見直しに向けた具体的な検討が進んでいると聞いております。引き続き、海外の金融系企業や人材の誘致に大きな弾みをつける改革を進めていただきたい。
 まさに今が国際金融都市東京を実現するビッグチャンスであり、ラストチャンスであります。金融関連事業者の集積という強みを有する東京がその持てる魅力を世界に発信するなど、民間と緊密に連携し、取り組みを一層強化してまいります。
 地方との共存共栄の取り組みについてであります。
 東京と全国各地がともに発展していくためには、それぞれの持つ魅力を高め、互いに協力し合うことで、ともに栄え、成長する、共存共栄を図ることが重要であります。
 都はこれまで、大都市としての強みを生かし、全国の中小企業の販路拡大、日本各地の魅力発信、国産木材の需要創出など、全国各地と連携した取り組みを展開しておりまして、未来の東京戦略ビジョンにおきましても、共存共栄の考えを位置づけております。
 また、全国知事会議でも、活力ある地方の実現に向けまして、四十七都道府県が連携し、相互に補完し合って、地域の課題解決に取り組むことを呼びかけております。
 今般のコロナ禍で浮き彫りとなりましたさまざまな課題を解決していくには、デジタルの力も活用しながら、距離と時間を超えてそれぞれの個性や強みをつなぎ、新たな価値を生み出していくことが求められております。
 今後とも、社会の変化を捉まえながら、東京の強みであります集積を生かして、全国各地との連携を深め、東京、そして日本全体の発展につなげてまいります。
 小笠原諸島への取り組みについてのご質問がございました。
 世界有数の海洋国家である我が国の地位を堅持するためには、排他的経済水域の根拠となります我が国最南端、最東端の国境離島である沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全は重要であります。
 私は、かねてよりこのことに問題意識を持ち、国境離島という観点も含めまして、小笠原諸島の諸課題に対しまして、これまで以上に精力的に検討を進めていくために、ことしの十月には総務局に新たに人員を配置し、執行体制も強化いたしました。
 この機会を捉えまして、私自身、海洋政策を担う小此木大臣や赤羽国土交通大臣、小泉環境大臣と直接お会いしまして、沖ノ鳥島、南鳥島につきましての緊密な情報共有やネットワーク構築のほか、村民の皆様の切なる願いである航空路の開設に向けましては、都と国との連携協力を要望し、認識を深めることができております。
 今後、国、小笠原村、関係機関などと緊密に連携をしながら、国境離島の維持保全に向けた取り組みと、実現可能な航空路案の検討をさらに前進させるなど、小笠原諸島の振興に力強く取り組んでまいります。
 感染症対策に係る執行体制についてのお尋ねであります。
 都民の命を守るため、そして、感染症対策の最前線で働く医療従事者の方々の負担を抑えるため、感染症対策に係る都の執行体制を着実に整備し、国難に打ちかつための施策を講じていかなければなりません。
 こうした認識のもとで、都は、全庁を挙げた職員の応援体制に加えて、令和二年七月には福祉保健局に感染症対策部を新設して執行体制を大幅に強化しました。
 また、当初、緊急的に職員が担っておりました宿泊療養施設などの業務の一部につきましては、必要な見直しを行いまして、非常勤職員や委託の活用等を実施しております。
 今後、令和三年一月には約二百名の任期付職員を採用いたしまして、事業執行力の強化を図ってまいります。
 引き続き、都政の各事業が円滑に進みますよう、全庁に目配りをいたしまして、状況に応じた機動的な対応を行って、持続可能な執行体制を構築してまいります。
 災害時における電力の確保についてでございます。
 日本の首都であり、電力の大消費地でもあります東京は、都市活動に欠かせない電力の多くを他県からの供給に支えられてきたことを忘れてはいけません。
 このため、都は、電力等を有効に活用する省エネルギーと再生可能エネルギーの地産地消の推進に取り組んでいく責務がございます。
 近年、日本各地で気候変動の影響とされます豪雨や台風によって大規模な停電被害が発生しており、災害時においても電力の確保を図ることは重要であります。
 都内への電力供給につきましては、電気事業者によりまして送電線ルートの二重化、電源の分散立地など供給網が整備され、レジリエンスの強化が図られております。
 私自身、東京電力中央給電指令所を視察した際に、災害時におけます電力供給に向けまして、事業者と連携を図っていくことを確認しております。
 また、都は、国に対しまして、さらなる電力の安定供給にも資する広域的な電力融通の実現について提案要求を行っております。
 さらに、災害時の停電にも対応できますよう、太陽光発電設備や蓄電池、ZEVの導入等を支援しまして、再エネの地産地消にもつながる自立分散型電源の確保を進めております。
 こうした多面的な取り組みを通じまして、災害時におきましても必要な電力が供給される持続可能で防災力の高いゼロエミッション東京を目指してまいります。
 大会の延期に伴う経費についてでございます。
 史上初の延期という困難な状況におきまして、大会を成功させるためには、組織委員会、国、東京都の三者がそれぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組む必要がございます。今回の合意に際しましては、こうした基本的な考え方を三者が共有した上で、主張すべきことは主張し、協議を行ってまいりました。
 まず、大会運営の主体である組織委員会は、IOCなどの協力を得まして、大会の簡素化による経費削減に取り組むとともに、スポンサー収入等によります追加収入の確保を図るなど、収入、支出両面にわたります可能な限りの努力を行ってきておりまして、その中で大枠の合意に基づく経費を負担することといたしております。
 また、国は、大枠の合意に基づく経費を引き続き負担するとともに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費について、二分の一の負担を基本としつつ、大会の感染症対策の中心的機能を果たすものにつきましては、全額を負担することとしております。
 さらに、国の役割といたしまして、関連する諸施策につきましても負担することとなっております。
 都は、開催都市として、大枠の合意やこれまでの関係者間での取り決めに基づく経費、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費の一部を負担することといたしました。
 これらをもとに新型コロナウイルス感染症対策関連の経費九百六十億円、それを除く追加経費一千七百十億円に係る三者の負担額につきまして、明らかにしたところであります。
 また、IOCは、組織委員会に対する支援の充実等のほか、大会開催に不可欠な各国オリンピック委員会、国際競技連盟等への支援を行うこととしています。
 今後は、今回の三者での合意をもとにいたしまして、引き続き、国、組織委員会を初め、IOC、IPCなど関係者が一層強く連携することによって、延期という困難を乗り越え、大会の成功に向けまして取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 警視庁におけるサイバーセキュリティー対策についてであります。
 東京二〇二〇大会では、大会運営の妨害等を目的とするサイバー攻撃の発生が懸念されることから、大会関連事業者等に対する継続的な管理者対策や共同技術訓練等を通じ、官民連携の強化を図っているほか、警視庁サイバー事案対処センターの設置による部門間連携の強化等を推進しております。
 また、コロナ禍で都民や企業のサイバー空間の利用が拡大し、サイバー関連事案の増加が予想されることから、テレワーク時のセキュリティー対策に関する実写版啓発映像等をSNS等により発信しているほか、中小企業へのサイバー攻撃を実機で体験できるセミナーやウエブセミナーなどにより、幅広く注意喚起を実施しております。
 今後も、官民連携や広報啓発活動を継続的に推進するほか、特にインターネット利用率が急増している高齢者への対策に取り組むなど、サイバー関連事案による被害の未然防止を図ってまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、修学旅行等の体験的な活動についてでございますが、修学旅行等の学校行事は、自然や文化に触れる体験を通して、子供たちによりよい人間関係を形成しようとする態度を育むことができる意義のある教育活動でございます。
 都教育委員会は、本年九月に都立学校に対して、来年一月以降に実施予定の修学旅行について、感染症対策を講じることや保護者の理解を得ることなど、安全に実施するための確認事項を示したところでございます。
 また、区市町村教育委員会に対しましては、都立学校の方針の周知とあわせて、ご発言の都立施設を活用して行う日帰り遠足や調べ学習等の代替行事の実施例も示したところでございます。
 今後、修学旅行等の実施への最大限の配慮を求める国の通知も踏まえ、子供たちにとってかけがえのない思い出につながる学校行事を安全に実施できるよう、各学校の工夫した取り組みを支援してまいります。
 次に、少人数学級に関する都の対応についてでございますが、学級編制は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、義務教育における一学級の児童生徒数の標準を定める公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき行うものと考えております。
 全国的には児童生徒数が減少傾向にございますが、都においては、今後も一定期間、増加が見込まれていることから、国に対し、少人数による指導体制の検討に当たっては、必要な教職員定数や教室整備に係る財源を的確に確保するとともに、地域の実情等に応じて柔軟な学級編制や教職員配置が行えるよう要望をいたしております。
 引き続き、国の動向を注視するとともに、学校設置者である区市町村の実情を丁寧に把握してまいります。
 次に、子供たちの学びを支える教員の育成についてでございますが、これからの時代を生きる子供たちには、みずから課題を発見し、情報を的確に選択して解決を目指す力や、他者と協働し、新たな価値を創造する力などを育成していく必要がございます。
 そのためには、ICTを活用しながら一人一人の理解度や進度に応じた個別最適化された学びや、主体的、対話的で深い学びの実現が求められております。
 こうした学びを担う教員には、ICTの特性や強みを生かした授業をつくり上げる力や子供の意欲を引き出す力、子供の成長を見守り支えていく力などがこれまで以上に必要となると考えております。
 今後、都教育委員会は、ICTを活用した授業実践を積み重ねる中で、養成手法を検討し、教員の資質、能力を高めてまいります。
 次に、都立高校の一人一台端末の整備についてでございますが、現在都立高校では、学校配備の端末と生徒所有のスマートフォンなどを併用し、全生徒に学習支援クラウドサービスのアカウントを付与し、学習を進めておりますが、生徒所有の機器の場合、画面の小ささや文書編集のしづらさなど、利用する上での課題が見られるところでございます。
 高校段階の学びに十分対応していくためには、関数や図形などの変化の様子を可視化したり、観察、実験中に動画等を使ってより深く分析、考察したりするなど、学習に適した性能を持つICT機器を活用し、一人一人の興味関心に応じた深い学びや社会とつながる協働的な学びを展開していく必要がございます。
 今後、都教育委員会は、こうした学びを早期に可能とする高校段階の一人一台端末の整備に向け、端末に求められる仕様や整備方法等を検討してまいります。
 次に、都立特別支援学校寄宿舎の通信環境の整備についてでございますが、現在整備を進めている児童生徒一人一台端末を教育活動に最大限活用するためには、都立高校、都立特別支援学校等における校内の通信環境の充実が不可欠でございます。
 そのため、都教育委員会は、今年度、都立学校全体の通信基盤を増強するとともに、特別支援学校七校を含む都立学校八十校で無線LAN設置に先行して着手をいたしたところでございます。
 引き続き、都立学校における無線LAN環境の整備を着実に進めるとともに、学校と一体的に運営される特別支援学校寄宿舎の環境整備についても、学校の実情を踏まえながら検討してまいります。
 最後に、都立工業高校の今後のあり方についてでございますが、技術革新により社会が急速に変化し続ける中、ものづくり分野においては先端技術の活用が必須となります。
 このため、工業高校では、専門的な技術力を基礎として、学び続ける意欲や主体的に取り組む力等の育成に加え、IT等を使いこなす能力を高めていくことが一層重要となっております。
 都教育委員会では、工業教育の充実等に向けた有識者会議を設置し、課題解決型学習の導入や、全工業高校での基礎的なIT、データ学習の展開等について提言を受け、本年度から指導法等の研究開発に着手をしております。
 今後、東京の成長を支える工業高校の将来像と教育内容の充実等についてさらなる検討を進め、高度IT社会を支える人材を輩出する魅力ある工業高校を目指してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、戸建て住宅等の耐震化についてでございます。
 耐震化を促進するためには、高齢化など、さまざまな事情を抱える所有者に丁寧な働きかけを行い、主体的な取り組みを促すことが重要でございます。
 都は、戸建て住宅等の耐震化を加速するため、整備地域外におきまして、平成三十年度から所有者への積極的な働きかけを行う区市町村への支援を拡充いたしました。これによりまして、個別訪問等に取り組む区市が年々増加いたしまして、耐震診断が促進されるなどの効果があらわれております。
 今後、区市町村に対しまして、さらに積極的な個別訪問を促すとともに、訪問する職員等が所有者の事情に応じた適切なアドバイスを行えるよう講習会を実施するなど、技術的支援を充実いたしまして、区市町村の取り組みを一層後押ししてまいります。
 これらによりまして、令和七年度末までに耐震性の不十分な住宅をおおむね解消という目標の達成を目指してまいります。
 次に、自動運転技術を活用した都市づくりについてでございます。
 少子高齢、人口減少社会となります二〇四〇年代に向けまして、道路空間におけるゆとりやにぎわいの創出にも資するよう、自動運転等の先端技術の活用や道路ネットワークの整備を進めていくことが重要でございます。
 都は、自動運転等の社会実装に向け、交通事故の減少や渋滞の緩和等に資する先端技術の展開のあり方と具体の方策につきまして、現在、有識者等から成る検討会を立ち上げ、検討をしております。また、人や物の円滑な移動に資する道路ネットワークの着実な整備を進めております。
 道路の整備状況も勘案しながら、先端技術を有効に活用いたしまして、人や物がスムーズに移動できるとともに、安心してまち歩きが楽しめるような都市づくりにスピード感を持って取り組んでまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 来年度予算編成についてでありますが、今後、都の財政環境が厳しさを増すことが想定される中にありましても、コロナ禍により疲弊した都民生活や経済の立て直しに向けて、都がなすべき役割を確実に果たしていくことが重要であります。
 具体的には、感染症対策のさらなる強化や東京二〇二〇大会の開催準備に加え、都民や中小事業者のセーフティーネット対策、東京の成長を促す取り組み等に対し、限られた財源を的確に振り向けていくことが必要でございます。
 このため、今後とも事業評価の取り組みを徹底し、必要な見直しを行っていくとともに、これまで培ってきた財政対応力を最大限発揮し、都民生活の安全・安心の確保や、東京のさらなる成長を図る取り組みを財政面から下支えするなど、持続可能な財政運営を行ってまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村への財政支援についてでございますが、都はこれまでも、市町村総合交付金により、市町村が実施する各種施策に要する一般財源の不足を補完することで、住民福祉の増進や市町村の健全な財政運営に寄与してまいりました。
 さらに、今年度は、新型コロナウイルス感染症への対応に当たりまして、地域の実情に応じた取り組みを進める市町村を支援するため、総額百億円の特別交付金の交付を行いました。
 また、市町村が円滑な資金繰りを行えるよう、六月には市町村総合交付金の概算交付額の割合を引き上げるなどの取り組みを行ってきました。
 今後とも、市町村のご意見を十分に伺いながら、都財政の状況を踏まえつつ、地域の課題に即した効果的な支援が行えるよう検討してまいります。
 次に、犯罪被害者等に関する区市町村への支援についてでございますが、区市町村は、住民に身近な自治体として多様な施策を実施しており、被害者支援を効果的に進める上で重要な役割を担っていることから、これまで都は、区市町村職員向けに被害者支援に関する研修等を実施してまいりました。
 条例の制定を契機に、さまざまな施策を被害者のニーズに応じて一層適切に提供していく必要がございます。
 そこで、都が、区市町村の職員と連携して被害者の困り事を直接お聞きし、必要な施策を持つ窓口につなぐほか、区市町村の支援担当者の実践力向上のため、事例集の作成やロールプレーイング演習を新たに実施してまいります。
 これらの取り組みにより、都と区市町村が連携して、質の高い被害者支援を行う体制の構築を図ってまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) コロナ対策を踏まえた高齢者施策に関するご質問にお答えいたします。
 高齢者は感染症による重症化リスクが高いことから、都は介護事業者等の感染対策を支援するため、施設での感染予防策などをわかりやすく紹介する動画や教材を作成するほか、マスクなど衛生資材の提供等を行ってまいりました。
 また、感染者や濃厚接触者が発生した事業所等には、消毒や割り増し手当に要する経費等を補助しているほか、在宅要介護者を緊急一時的に受け入れる体制整備に取り組む区市町村を支援しております。
 介護サービスは、高齢者の生活を維持する上で欠かせないものであり、感染症の流行時にあってもサービスの継続が重要なことから、現在進めております第八期高齢者保健福祉計画の策定に向けた検討の中で、これまでの取り組み等を総括し、今後の施策について議論をしてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、コロナ禍における再就職支援の強化についてですが、宿泊や飲食業など、コロナ禍で経営が大きな影響を受け、一時的に雇用が過剰となっている業界から、成長産業でございますITや、人材不足が継続しております介護業界などへの再就職を促進していくことは、効果的な支援でございます。
 このため都は、採用意欲の高いITや介護事業者などにおけるトライアルでの派遣就労を通じて正社員就職を目指す支援プログラムを実施しているところでございます。
 これまで約千三百名の求職者の方が派遣登録を済ませ、専任の就労アドバイザーが派遣先企業とのマッチングを進めているところでございます。
 今後、本事業の拡充とともに、業界団体と連携し、短期の職業講習と面接会を組み合わせた新たな就労支援の仕組みを構築するなど、対策のさらなる強化を検討してまいります。
 次に、感染症の影響を踏まえた観光振興についてですが、ウイズコロナ時代にあっては、感染防止対策を徹底した上で旅行需要を喚起していくことが重要となってございます。
 そのため都は、観光事業者等へのセーフティーネットを充実しつつ、非接触サービスなど新しい日常に対応した先進的な取り組みを支援することによりまして、経営力の強化や安全・安心な旅行環境の整備を促進しているところでございます。
 また、長期滞在型旅行やオンラインツアーなど新たな観光を推進するとともに、日本各地との連携強化により、国内観光の活性化を図っているところでございます。
 さらに、世界から注目が集まる東京大会を契機に、伝統文化や最新の観光施設など東京の魅力を強力に発信し、今後のインバウンド誘致につなげてまいります。こうした取り組みにより、東京の観光産業の持続的な成長を目指してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、大規模水害時の排水機能の強化についてでございますが、近年の激甚化、頻発化する台風や豪雨による水害に対し、東部低地帯において、大規模水害時に早期に復旧復興を図るためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要でございます。
 都は、現在、排水機場等の地震、津波に対する耐水対策に取り組んでおります。一方、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図におきましては、下水道のポンプ所等が相当数、浸水区域に位置していることから、その対応について、関係局で検討の場を立ち上げたところでございます。あわせて、都や国におきまして、高潮や荒川の洪水等による浸水に対する排水計画も検討しております。
 引き続き、浸水期間の短縮に向けました排水機能の強化について関係局で連携し、効果的な取り組みにつなげてまいります。
 次に、中小河川の洪水対策の取り組みについてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池の整備などのハード対策に加えまして、住民の避難等につながるソフト対策を進めることが重要でございます。
 ハード対策としては、現在、石神井川や谷地川など二十六河川で護岸の整備を進めております。また、年度内に城北中央公園調節池で本体掘削を開始するなど、新たな目標整備水準の達成に向けまして、八カ所の調節池等の整備を着実に推進してまいります。
 ソフト対策としては、想定し得る最大規模の降雨による浸水予想区域図の改定を進めておりまして、年度末までに、隅田川、新河岸川流域など二区域で改定を行いまして、都内全十四区域の公表を完了いたします。
 水害に強い都市東京の実現に向けまして、今後とも、中小河川の洪水対策を推進してまいります。
 次に、山間・島しょ地域の道路整備についてでございますが、道路は、地域の生活や産業経済を支える極めて重要な社会基盤でございます。一たび自然災害等により道路が寸断されますと、地域交通に甚大な影響を及ぼすため、避難、救援活動の生命線ともなるダブルルートの確保などにより、地域の孤立化を防止することが必要でございます。
 このため、防災力強化に向けました道路整備を進めておりまして、例えば、三宅島では、災害時の避難港でもある伊ヶ谷漁港へ接続する代替路を今年度内に事業化いたします。
 また、現在事業中の日の出町と青梅市を結ぶ梅ヶ谷トンネルは、来年春の貫通を目指して掘進を進めるとともに、その後、舗装や設備の工事などを実施してまいります。
 今後とも、地域振興や防災性向上に寄与し、命の道となる山間・島しょ地域の道路整備を着実に推進してまいります。
 最後に、舟運の活性化に向けました都の防災船着き場における取り組みについてでございますが、舟運の活性化を図るためには、防災船着き場を平常時においても有効に活用するとともに、誰もが容易に利用できる施設とすることが重要でございます。
 このため、都では、利用者のニーズを踏まえ、地元の理解を得られた防災船着き場から一般開放を行っておりまして、これまでに越中島など六カ所で実施してございます。
 また、現在、防災船着き場周辺におきましては、親水テラスへの既設スロープの活用や新設によりまして、緊急車両の通行を可能とするとともに、車椅子等でも利用できる通路の整備を検討しております。
 こうした取り組みによりまして、防災船着き場の利用を促進し、舟運を生かした水辺空間の魅力向上を図ってまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区部の浸水対策の一層の強化についてでございますが、都民の生命と財産を守るため、浸水対策の取り組みを強化していくことは重要でございます。
 激甚化する豪雨等を踏まえ、安全・安心の取り組みを一層推進するため、東京都豪雨対策アクションプランを本年一月に関係局とともに策定をいたしました。
 このアクションプランに基づき、七十五ミリの降雨に対応した施設を整備する地区等の追加について検討しており、最新の流出解析シミュレーション技術を活用し、区部全域で時間七十五ミリ降雨があった場合の下水道施設の能力検証を令和二年度末までに完了させ、その後の施設整備に生かしてまいります。
 次に、市町村と連携した雨天時浸入水対策についてでございますが、下水道局はこれまでも市町村と連携し、流量調査など、雨天時浸入水の発生原因等を調査してまいりました。
 ことし十月の台風第十四号の際には、令和元年東日本台風の経験を踏まえ、公園や学校など公共施設の屋外排水口を土のうで塞ぐなどの対策を市町村と連携して実施いたしました。
 さらに、水位情報をリアルタイムに測定する多機能型マンホールぶたを今年度から設置し、水位情報を市町村と共有することで、浸入箇所を特定し、対策のスピードアップを図ってまいります。
 引き続き、市町村との連携を一層強化し、近年、頻発化、激甚化する豪雨災害に備え、都民の安全・安心の確保に向け全力で取り組んでまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別区消防団員の充足率を向上させるための取り組みについてでございますが、東京消防庁ではこれまで、消防団の活動環境や処遇の改善を図るとともに、防災訓練や応急救護指導等の活動に限定した機能別団員制度を設けるなど、充足率の向上に努めてまいりました。
 また、特別区消防団運営委員会の答申を踏まえ、消防団員の負担軽減や、活動しやすい環境を整備するため、積極的な機能別団員の導入が必要であるとの対応方針を令和二年八月に特別区内の各消防団に示しました。
 今後とも、機能別団員の導入による効果的な事例等の周知を図るとともに、さらなる拡充に当たっては、消防団の意見を踏まえつつ、取り組んでまいります。
 次に、大規模災害時における特別区消防団の活動力向上についてでございますが、東京消防庁ではこれまで、地域の防災力向上を図るため、消防団員の確保と消防団の活動力の向上に努めてまいりました。
 とりわけ、震災等の大規模災害時には、同時多発する火災や救助事象に対応する必要があることから、特別区消防団運営委員会の答申を踏まえ、主に消防職員や消防団員のOBを対象とした、大規模な災害時に活動する消防団員の導入に係る対応方針を、令和二年八月に特別区内の各消防団に示しました。
 今後は、さらなる消防団の活動力向上を図るため、大規模災害団員の任務や処遇等について検討してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) マンション施策についてでございますが、都内では今後、着工から四十年以上たつマンションの急増が見込まれておりまして、その管理の適正化や再生に向けて、管理状況届け出制度の適切な運用と活用が重要でございます。
 このため、届け出のないマンションに対しましては、区市町と連携し、文書による督促や訪問調査等により届け出を促してまいります。
 一方、届け出がなされたマンションにつきましては、届け出情報により、管理不全の兆候や、耐震性の課題が明らかになった場合には、適正な管理や耐震改修等に関する合意形成に向け、今後もさまざまな専門家を活用して、きめ細かな助言を行いながら、一層効果的な支援を実施してまいります。
 届け出によって得た情報を取り組みに的確に生かすことにより、マンションの適正な管理や、まちづくりと連携した建てかえ等も含めた円滑な再生を促進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 二〇二〇大会における新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、大会の成功のためには、選手、大会関係者、観客など、全ての方にとって安全・安心な環境が提供できるよう準備を進めていくことが重要であります。
 そのため、国、組織委員会、JOC、JPCや感染症の専門家とともに、調整会議において幅広く議論を行い、中間整理を行ったところであります。
 これにより、各項目の課題が整理されるとともに、役割と工程表についても明確化されました。今後は、工程表に沿って、各主体が実務ベースでの対策の具体化を図るとともに、調整会議を随時開催し、確認等を行うことになっております。
 引き続き、安全・安心な大会の開催に向けて、関係者と連携して取り組んでまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 私立学校のICT教育環境整備についてでございますが、国のGIGAスクール構想では、私立学校については、タブレット等の教育用端末や高速大容量の通信ネットワークの整備に係る経費を対象に補助を行ってございます。
 しかしながら、教育用端末は小学校、中学校のみが対象でございまして、電子黒板等のICT機器は対象外となるなど、国の補助は限定的で、私立学校のニーズに十分に応えることができません。
 そのため、都はこれまでも、国の補助では対象外となる経費も含め、幅広く補助対象とすることで効果的な支援策となるよう、私立学校の多様なニーズに対応してまいりました。
 引き続き、学校現場の声を聞きながら、補助対象などについても検討し、私立学校のICT教育環境整備をさらに促進してまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 青少年のネットの安全利用についてでございますが、コロナ禍において、青少年のネットトラブルの相談が増加しており、青少年のネットを安全に利用できる環境の整備が一層重要となっていると認識しております。
 都では、ネットの適正利用の普及啓発のため、ファミリeルール講座を運営しており、コロナ禍における最新の社会情勢に即したテーマの設定を行うなどして、ネット上のトラブルや危険性を身近な問題として理解を深めてもらうよう取り組んでいるところであります。
 また、相談窓口、こたエールにおいては、青少年や保護者が気軽に相談できるよう工夫を凝らしつつ、教育、福祉、警察等との情報共有を行い、運営しているところであります。
 今後とも、青少年が安全にネットを利用できるよう、社会情勢を反映した効果的な取り組みを進めてまいります。

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