令和二年東京都議会会議録第二十一号

   午後一時開議
○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民有馬朗人氏が逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十五番小山くにひこ君。
〔百十五番小山くにひこ君登壇〕

○百十五番(小山くにひこ君) 令和二年第四回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 初めに、過日、名誉都民である小柴昌俊さん、有馬朗人さんがご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 国内外において、新型コロナの第三波というべき状況が到来しています。東京でも多くの新規陽性者が発生し、重症者数の推移も予断を許さない状況です。医療崩壊を起こさせないため、新型コロナ対応に当たってくださっている医療従事者、医療機関への支援を一層強化しながら、これまでの知見を踏まえた、めり張りのついた対策を進め、感染拡大の防止をまずはしっかりと行いながら、社会経済活動との両立を図っていく必要があります。
 一方、世界は、コロナ禍の影響により、これまでの社会システムの根本的な見直しが迫られるグレートリセットともいうべき状況を迎えています。さらに、世界規模で分断や格差拡大への不安も生じる中、東京の強みの一つである安全・安心が世界的に改めて評価をされています。
 これまで、日本化として、日本が長期停滞の象徴として語られる状況が存在してきましたが、都が先頭に立ち、日本化の意味を、コロナ禍を早期に乗り越え、新たな社会の構築につなげたと変えていかなければなりません。
 そのためには、デジタル化やイノベーションによる人口減少、超高齢化社会への対応やサステーナブルリカバリーの発想に基づいて、コロナ後の社会を見据え、東京の新しい成長に向けた取り組みを加速させていく必要があります。
 我が会派は、新型コロナ対策に全力で取り組むとともに、次の時代の東京に向けて積極的な提案を重ねていくことを改めてお誓い申し上げ、質問をいたします。
 都はこれまで、令和二年度において十二回に及ぶ補正予算を編成するなど、新型コロナ対策に取り組んでまいりました。一方で、足元では再び感染が拡大をしており、一層の取り組みが必要な状況にあります。
 我が会派が十月下旬に行った第四十回目となる緊急要望では、中小企業に対する年末年始の資金繰り支援に万全を期すことや、各種支援策の期間の延長を求めたことを受け、都が迅速に対応したことを評価いたします。
 また、第四十一回目となる緊急要望として、年末年始の診療や検査体制の確保を初めとした医療体制の充実や、新型コロナの影響を受けた企業や個人に対する経済対策の大胆な実行を求めたところであります。
 今回の補正予算により、医療提供体制及び経済活動と都民生活を万全の体制で守り抜くべきと考えますが、今後どのように取り組むのか、先日の専決処分に至った状況等を含め、知事の見解を伺います。
 他の自治体では自衛隊の派遣要請が行われるなど、医療提供体制の危機は極めて深刻な状況です。我が会派は、冬の大幅な感染拡大をあらかじめ想定し、幾度となく、特措法、感染症法の改正を訴え、対策の実効性を高める都独自の措置の検討を進めてまいりました。残念ながら十分な国の動きは見られませんが、今後、冬の寒さが本格化する中で、さらなる感染拡大の懸念があります。
 感染爆発を未然に防ぎ、都民の命と健康を守るために必要な対策を推し進めることが、都議会議員に課せられた責務です。
 改めて申し上げますが、感染拡大の防止と社会経済活動の両立のために極めて重要であるのは、医療崩壊を起こさせないという視点であり、医療提供体制の確保、充実に全力で取り組んでいかなければなりません。
 感染が再拡大する中、年末年始も含め、都内で新型コロナ対応に当たっている医療機関、医療従事者への支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナと初期症状が類似していますインフルエンザが同時流行することで、さらに保健所や医療機関を圧迫する可能性が懸念されております。既に都は、我が会派の求めに応じ、特に重症化のリスクが高い高齢者に対して、インフルエンザの予防接種の無償化を実施しました。これは同時流行のリスクを軽減する極めて重要な取り組みです。
 インフルエンザの患者数は、現在のところ例年に比べ大幅に少ない状況にありますが、感染が再拡大する中で、医療崩壊を起こさせないため、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備えた相談、検査、医療提供体制を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 感染拡大の第三波の襲来により業務が逼迫しているのは、医療機関にとどまりません。都内の各保健所も同様です。都はいち早く保健所に対して派遣職員による応援を実施しており、我が会派のもとにも、都からの行政事務経験のある職員の応援は大変ありがたいとの声が届いています。既に派遣が数カ月に及んでいますが、保健所からは、感染が拡大している緊急時の今は、これまでの対応を通じてノウハウを有する職員の派遣を延長してほしいとの切実な声が聞かれます。
 そこで、都には、保健所への職員派遣の交代のタイミングで、業務のノウハウが失われることのないようにするとともに、今後の感染状況を踏まえて、派遣職員の増員を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 家庭内感染を防ぐためには宿泊療養を原則とすべきでありますが、実際には、やむを得ない事情により自宅療養を選択される方も多数いらっしゃいます。そうした自宅療養者の健康面の効率的なフォローアップや、家庭内感染等の自宅療養者からの感染拡大を防止する体制は重要であります。
 そうした観点から、都保健所において導入されたLINEアプリによる健康管理、食料品等の配送、自宅療養者からの医療相談に二十四時間対応する自宅療養支援フォローアップセンターの設置による自宅療養への支援体制は極めて重要な取り組みです。
 そこで、都保健所で開始をされました自宅療養への支援体制を、区部や保健所設置自治体の保健所にも拡大をすべきと考えますが、見解を伺います。
 無症状でも、他人への感染力を有する新型コロナにおいて、早期の検査受診は、早期発見による重症化を防ぐだけでなく、感染拡大の防止として極めて重要です。
 しかしながら、東京iCDCが先月発表しました都民意識に関する予備調査によれば、周囲に感染者が出ても検査を受けたくないと回答した人が一一・八%、保健所の調査には協力したくないと回答した人が九・八%にも上りました。
 この背景には、陽性であると判明した場合に差別されるのが嫌だからのほかに、仕事を休まなければならないからといった理由や、個人事業主で、自分が休むと仕事を失い、家族を養えなくなるからといった切実な事情もうかがえます。
 感染拡大を防ぐためにも、こうした、差別されるのが嫌だからといった声もある中で、新型コロナウイルス感染症に関連した差別が助長されることがないよう、都として一層取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、検査を受ける方々の生活への不安を解消するため、生活福祉資金の特例貸付についての周知徹底を図るなど、都として対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 先般、都は我が会派の要望を受け、中小企業等を対象としたさまざまな補助金の申請期限を延長し、本年十二月末までとしました。厳しい経営環境が続く中小事業者にとって、まさに必要な手だてを講じたものであり、高く評価をいたします。
 一方、都は現在、飲食店等への営業時間の短縮要請を行うなど、事業者への協力を呼びかけておりますが、経営の先行きに不安を抱える中小事業者の切実な声が、私たちのもとに数多く寄せられております。
 こうした中小事業者の方々に安心してご協力いただくためには、都が、感染防止のためのさまざまな対策や新たな社会のニーズを取り入れた事業展開への支援を引き続き強力に行い、感染拡大防止と経済活動の両立に向けた道筋を中小事業者に明確に示すことが重要です。
 そのためには、年末に期限を迎える現在の多様な支援策を来年一月以降も継続するとともに、必要な財源措置を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 先日、我が会派で最新鋭のPCR抗原検査機械を視察をさせていただきました。その技術の進展には目をみはるものがあり、検体を機械にセットしてからわずか三分、前工程を含めて約十五分で結果が判明するということでありました。
 大規模イベントの主催者からは、こうした機器を活用して、来場者に安心してイベントに参加していただけるようにしたいという意見が寄せられております。
 一方で、無症状者への検査を広めるに当たっては、陽性が判明した方への対応により、保健所等への負担が増大することを考慮した体制が必要となります。
 そこで、都が中心となり、こうした大規模集団を対象とした検査についてのルールを策定し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済活動の両立を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、本年三月から、公共料金の支払いが困難な事情がある方に対する支払い猶予の受け付けを開始し、九月三十日に受け付けを終了するまでの間に、個人からは約一万件、法人からは約八千件の申し込みがあり、支払い猶予の総額は、上下水道合わせて九億八千万円規模となったと聞いております。
 感染の終息が見えず、経済への影響も長期化、深刻化している中で、加えて年末から年度末にかけては、資金需要が大きくなる時期でもあります。
 都民の皆様にこの厳しい冬を乗り切っていただくためにもさらなる支援が必要であり、先般、我が会派から支払い猶予の受け付け再開を緊急要望したところであり、都が迅速に応え、十一月十六日より受け付け再開をしたことは、まさに感染の再拡大が起きている中で、時宜を得た対応であったと高く評価をしております。
 そこで、この支払い猶予制度を、新型コロナウイルス感染症の影響で経済的にお困りの方に利用していただくため、改めて都民への周知を徹底するとともに、猶予期間終了後の料金支払いについても、経済状況による個別の事情に応じた対応をするなど、きめ細やかな支援に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 経済への影響が長期化していることに加え、とりわけ日雇いの仕事などが激減する年の瀬から年明けにかけて、生活や住まいに困難を抱える方々が増加することが予想されます。
 我が会派は、五月に緊急事態宣言が延長された際に、当時、休業要請対象となっておりましたネットカフェ等で寝泊まりしながら就労している方々に対する支援制度について延長を求めるなど、コロナ禍における生活者のセーフティーネットの充実に努めてまいりました。
 この現状に鑑みて、改めて一歩踏み込んだ取り組みを行い、厳しい寒さの中で苦しむ方々の不安を払拭する必要があると考えます。
 年末年始を迎えるに当たり、生活に困窮し、住まいのない方々への支援を強化するとともに、これまでの支援を通じて得られた知見に基づき、必要な人に必要な支援が行き渡るよう、運用の強化、改善をすべきでありますが、見解を伺います。
 失業率は増加傾向にあり、特に若年男性の失業率は五%を超えており、深刻です。また先日、大学新卒の就職内定率についても六九・八%まで下落したとの報道がありました。感染の終息はいまだ見えず、長期化し、雇用への一層深刻な影響が生じることも想定しなければなりません。
 既に我が会派の提案を受け、ICT分野における職業訓練と再就職支援を一体的に行う新たな取り組みについて開始していることを評価しております。
 一方、リーマンショックの際には、都においても、介護、医療、農林、環境等を成長分野として、緊急雇用創出事業等を実施し、大規模に雇用創出を行いました。それ以来となる大規模な雇用創出の取り組みが必要であります。
 当時の事業では、単純労働が中心となり、その後の長期的な雇用に結びついていないといった課題もあったことから、十分な規模感とともに、その後の就労につながる仕組みとすることが極めて重要であります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の長引く影響により、失業率がこれからさらに上昇していくことが見込まれる中で、制度改善や新たな成長分野等の再定義を行った上で、リーマンショックの際の緊急雇用創出事業等を踏まえた、コロナ禍における大規模な雇用創出を実施していくべきですが、知事の見解を伺います。
 また、産業構造の転換、人材の移動を促し、都民の稼ぐ力の向上を強力に後押しすべきであります。求職者に対する就労支援に加え、働きながらスキルアップを考えている方に対する支援の強化も必要です。都立職業能力開発センターで提供されているプログラムに関し、社会のニーズに応じた内容の見直しや、オンライン化や受講スケジュールの柔軟化など、受講のハードルを下げ、都民のスキルアップ、就労支援を強化する取り組みについて検討を求めておきます。
 自殺と失業率には高い相関関係があると指摘されておりますが、国内の自殺者数は、七月以降四カ月連続で増加、十月には二千百五十八人となり、昨年の同時期に比べて約四割増加しております。コロナ禍で心身に過重な負担を抱えたり、周囲から不当な差別的扱いを受けたりするなどして、自殺に追い込まれることがないよう、対策の強化が急務であります。
 これまで我が会派は、啓発、相談体制の強化や、自殺の危険を抱えた人に気づき、適切にかかわるゲートキーパーの周知など、具体的な提言を行ってまいりました。また、都もこの間、自殺対策東京会議を臨時で開催し、相談体制を強化させるなど、取り組みが前進したことを評価いたします。
 一方、他自治体の工夫では、子供の対策チームを設置し、弁護士やカウンセラーが巡回する多職種が連携した取り組みや、自殺未遂者や不眠に焦点を当てたサポート相談体制の強化など、未然に兆候を捉える対策を強化し、成果を上げている事例もあります。
 コロナ禍において想定される自殺と失業率の課題に対し、大胆な雇用対策とともに、こうした事例も参考に、失業や廃業等を自殺に結びつけない取り組みの両輪が必要であります。加えて、女性の自殺が増加している傾向にも留意した対策が必要であります。
 今後の失業率のさらなる上昇などの雇用情勢も鑑みて、雇用対策等ともセットにした、踏み込んだ自殺対策に取り組むべきでありますが、知事の見解を伺います。
 ある調査では、コロナ禍において約四割の入所系医療、介護施設で、介護サービスの制限等により、認知症者に影響が生じたとしております。
 さらに在宅者では、半数以上が認知機能の低下、身体活動量の低下等の影響が見られたと回答をしております。コロナ禍における高齢者のフレイルの進行や認知症の悪化への対応は、重要な課題であります。
 加えて、在宅の高齢者、特にひとり暮らし高齢者において、見守り活動は大変重要な取り組みでありますが、コロナ禍により、近隣住民同士のつながりが弱まり、孤立を深めていることや、従来の戸別訪問等による見守りが思うようにできないことは、喫緊の課題であります。
 我が会派は、こうした課題に対して、高齢者が安心して運動や交流ができる環境づくりや、デジタルを活用した地域活動の後押しなど、コロナ禍に対応した新たな支援策の実施をかねてから求めてまいりました。
 そこで、長期化するコロナ禍に対峙する中で、デジタルを活用した地域活動の後押しなど、コロナ禍におけるフレイルや認知症の予防対策を支援すべきであり、見解をお伺いするとともに、あわせて、在宅高齢者の見守りの必要性が高まっていることから、区市町村の見守りの取り組みを改めて支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、高齢者の見守りや防災等の地域における共助を担ってきた町会、自治会において、多くの活動が中止や縮小を余儀なくされており、地域コミュニティが打撃を受けております。
 コロナ禍においても、感染防止対策を初めとした地域に根差した町会、自治会の活動は重要であり、町会、自治会を支えていく支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、コロナ禍で開催できない子供食堂が多い中で、子供食堂による配食や宅配の食事の取り組みは、食事の提供にとどまらず、支援が必要な家庭の把握に重要な役割を果たしております。子供食堂によるそのような活動に対して支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍における自然災害に備えて、分散避難に対する支援策の強化や、避難所等における感染防止対策の物資をさらに配備することが必要であります。
 都は、今年度、段ボールベッドの備蓄を一部開始し、調達に関する協定を締結しましたが、現在、段ボールベッド等を備蓄している区市町村は二十団体にとどまっております。また、食料、生活必需品の備蓄が十分でない自治体もある中で、さらに感染症対策の物資を備蓄することは、区市町村の財政的課題となる可能性があります。
 こうした課題を踏まえ、我が会派は、十月十三日に小池知事に対する第三十九回の緊急要望を行い、スフィア基準を踏まえた屋内テント等の感染防止機材の配備などの対策の強化を要望してまいりました。
 都として、区市町村の避難所や一時滞在施設において、スフィア基準を踏まえた屋内テント等の感染防止機材配備の促進を強力に図るとともに、避難所以外に避難する都民に対する支援のあり方についても対応を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 激甚化、頻発化する自然災害から都民の生命、財産を守るため、災害情報をタイムリーに集約し、災害対応のあらゆる場面において迅速かつ的確な判断につなげていくことが必要であります。
 カメラ性能の劇的な向上、ドローンの登場、高速伝送技術などにより、映像や音声情報の収集もかつてよりはるかに容易になりました。また、都民が発信するSNS等の情報についても、その把握や分析は重要であります。
 こうした膨大な情報について、近年劇的に進化を遂げている情報通信技術を最大限活用し、効率的に収集、把握、分析することにより、行政の迅速な災害対応に活用するとともに、個々の都民の場所や状況に応じた適切な災害行動が行えるよう、最適化された情報発信を進めていく必要があります。
 発災初期の情報が不足する中にあっても、迅速な応急対策や被災した都民のニーズに即した情報発信を実現できるよう、都庁の防災情報インフラをデジタルトランスフォーメーションの時代にふさわしいものへとアップグレードするべきと考えますが、見解を伺います。
 豪雨水害対策などにおけるデジタルトランスフォーメーションについて、下水道局、建設局、都市整備局など、それぞれ取り組みを進めていただいておりますが、各局の取り組みの蓄積と並行して、総合的な目指す姿を共有しながら進められるよう、総務局や戦略政策情報推進本部とともに、連携のもと、対策を進めていくことを強く求めておきます。
 近年、災害が甚大化する傾向にある状況に対し、地域の防災のかなめである消防団の皆様が献身的な活動に当たってくださっており、改めて心から敬意を表するものでございます。
 その消防団員の活動の拠点となりますのが分団本部でありますが、災害時の団員の早期の災害情報の共有や遠隔会議による対応方針の検討などは、適切かつ効果的な警戒活動のため極めて重要であります。そこで、我が会派は、本年の予算特別委員会で分団本部へのWi-Fiの設置を都に求めております。
 災害時に消防団員がいち早く災害情報を共有し、効果的な警戒活動を実施するに当たり、Wi-Fi環境を整備するなど、分団本部の通信環境の強化が必要であり、来年度に向けて取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 なお、多摩地域の消防団においても、装備や通信環境の整備が区部同様に強化されていくよう、市町村を通じた支援をさらに講じることを強く求めておきます。
 我が会派は、かねてから、民間からのCIOの起用やデジタル専門組織の設置など、都政のデジタル化を強く推進してまいりました。都政においては、コロナ前から体制を整えてデジタル化を推進してきましたが、いまだ道半ばであります。加えて、新型コロナウイルス感染症と対峙する中で、我が国のデジタル化のおくれが、社会、行政双方において改めて浮き彫りとなっております。
 東京が世界から選ばれる都市となるため、デジタルトランスフォーメーションを徹底し、これまでと一線を画した大胆な発想と視点で、構造的な部分にまで切り込む改革が必要であります。そうした観点から、我が会派は、二〇二〇大会後の東京の成長やデジタルトランスフォーメーションを一層進める視点から、大胆な組織改編についても提案をしてまいりました。
 今般、知事の所信表明において、仮称デジタル局の設置に向けて準備を進めていく旨の発言がありました。
 デジタル局の設置は、これまでの戦略政策情報推進本部での取り組みを発展的に強化し、デジタル調達の一元化や人材面でも機能の強化集中などを行っていくべきでありますが、デジタル局設置を進める狙いについて、知事の見解を伺います。
 一方、新型コロナの影響で、今後、都の財政運営は厳しい状況が見込まれております。こうした困難な状況を乗り切るため、小池知事がこれまで進めてきたワイズスペンディングの取り組みをさらに進化させる必要があります。
 都では、二〇二〇改革に基づいて各局が取り組んだ見える化改革を制度的に継続させるため、令和元年度から政策評価の取り組みを開始しました。また、予算査定の中では、毎年五千以上ある各事業について事業評価が行われております。
 しかし、ワイズスペンディングの観点からも、また、事業局の業務負担の合理化の観点からも、これらの各評価の連携の強化が必要であります。
 さらなるワイズスペンディングの実現に向けて、今後、政策評価は事業評価など既存の評価と連携を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、官民連携データプラットホームの準備会を通じ、プラットホーム構築にかかわる具体的な課題把握や方向性など、さまざまな観点から検討を進めてまいりました。
 世界で先進的なスマートシティーとして知られるオランダのアムステルダムでは、官民連携のデータプラットホームの運営組織をつくり、二百以上の官民共同プロジェクトを推進しております。特に運営組織は、民間企業にとってもメリットのあるプロジェクトを設計し、民間データの収集、活用に努めているのが特徴であり、参考とすべき取り組みであります。
 デジタルトランスフォーメーションを推進し、さまざまな社会的課題を解決に導くとともに、経済を発展させていくためには、官と民とがしっかり連携したデータプラットホームの構築が重要であると考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都は、基礎自治体や基礎自治体の医師会、民間企業と連携しながら、データを活用した都民の健康増進に向けた取り組みを進めており、極めて重要な取り組みと考えます。医療、介護、健康など、ウエルネスの分野を超高齢社会に合わせて再構築していくことは、コロナ前からの東京の大きな課題の一つであり、都としてさらなるイノベーションの後押しを求めておきます。
 都では、TOKYO Data Highway構想の施策として、本年、都有アセット開放による5G基地局整備と、先行実施エリアでの5Gの活用を進めています。
 まずは、西新宿や南大沢等の先行実施エリアでの知見を深めるとともに、より一層の都有アセットの開放ができるよう、課題解決を進め、民間事業者の取り組みを後押しすべきであります。さらには、その知見を積極的に他の自治体に共有し、展開していくべきであります。
 今後、都は、二十一世紀のインフラである電波の道を整備するため、通信事業者によるアンテナ基地局設置の加速化に向けて、街路灯や地下鉄出入り口など、都が保有するアセットのさらなる開放を行うべきですが、見解を伺います。
 一方、デジタル化の推進に当たり、シニアの皆様に利用、活用していただくための取り組みや工夫も重要であります。デジタル機器になじみのない方々にその恩恵を享受できるようにしなければ、デジタル化を通じた格差が広がるばかりでなく、結果的にデジタル化の歩みをおくらせることにもなりかねません。
 例えば、担い手の不足などの課題を抱える地域の見守りに関して、デジタル技術を活用して人の目を補う仕組みや、行政との双方向の情報発信による新たなつながる仕組みなど、技術の活用による課題解決が考えられます。
 今後、都のデジタル化を加速していくに当たって、高齢者等のデジタル対応支援にもスピード感を持って取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、スマート東京の推進について伺います。
 テレワークなど働き方の変化に伴い、通信関係費用を初め、さまざまな経費が家計や中小企業の新たな負担として生じています。また、自宅でのテレワーク勤務の定着により、在宅時間が長くなる中で、女性の負担だけ増加することがないよう、男性の家事、育児への参画についてこれまで以上に後押しが必要であります。
 都は、長期戦略ビジョンで、家事、育児負担の軽減プロジェクトとして、男女差を半減すると掲げておりますが、家事、育児に要する時間そのものをテクノロジーの力で合理化する観点も極めて重要であります。合理化に向けて、スマート家電の家庭への導入を支援すべきであります。
 ビジネスパーソンはテレワーク対応、子育て世代はスマート家電、学生はオンライン教育の端末や通信費、シニアはデジタルディバイド対応としてのスマートフォンの普及など、スマート東京の実現には、広く都民のデジタル対応を後押しすることが必要であります。結果的に長期的な行政コストの合理化がなされ、需要喚起などの経済的な効果も期待をされております。
 さまざまな分野における都民のデジタル対応を強力に後押しするために、都民に対する各種機器の購入支援、企業と連携した安価な機器の開発、行政情報提供アプリの採用など、多角的に取り組みを進めることが必要でありますが、都民のデジタル対応を推し進めるためにも、スマート東京振興キャンペーンなど、都民個々人へのアプローチにつながる取り組みを大規模に実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、ポストコロナの成長戦略について伺います。
 都は、ゼロエミッション東京戦略を策定し、気候危機行動宣言を掲げておりますが、ポストコロナの経済対策において新たにサステーナブルリカバリーの考え方を打ち出す中で、具体的かつ実効性のある取り組みの構築が必要であります。
 都内事業者の動きを見渡せば、環境分野におけるCO2の削減や、医療分野における感染症対策など、社会課題の解決に資する製品や技術へのニーズが高まっており、実際に多くの中小企業が開発に取り組んでおられます。こうした製品の開発と普及の促進は、すなわち新たな成長産業を生み、東京の競争力の向上につながるものであります。
 今後、こうした市場拡大が見込める分野に都内中小企業が参入し、成長性の高い、すぐれた製品やサービスが生み出されていくよう、転換を促していくことが極めて重要です。
 さきの定例会でも、我が会派の質問に対して、知事より、サステーナブルリカバリーの視点で力強い答弁を得たところでありますが、改めて、感染症対策も含め、こうした成長産業に発展し得る領域において、中小企業による新しい製品や技術の開発、販路開拓に向けた支援に戦略的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ゼロエミッション東京の実現のためには、化石燃料から脱炭素エネルギーへの転換が不可欠であり、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素を本格的に活用していくことが重要です。一方、水素関連市場はいまだ黎明期であり、現状ではコストも高く、技術革新の途上にあるため、制度面、財政面での後押しが必要になります。
 そこで、都は、燃料電池自動車やバスの導入支援を行うなど、水素活用を進めてきており、本年十月にプレ運行が開始されましたBRTでも、燃料電池バスが導入をされました。我が会派からも、FCバスの普及や水素ステーションの整備を進めるよう、提言を続けてきたところであります。
 都においては、水素エネルギーの活用を東京二〇二〇大会のレガシーとしていくとともに、サステーナブルリカバリーの観点から、水素エネルギーのさらなる利用拡大を図るべきですが、知事の見解を伺います。
 また、各国で自動車の脱炭素化の動きが加速しており、先般、国において、二〇三〇年代半ばを目標に取り組むことが報じられました。既に英国では、二〇三〇年にガソリン車等の新車販売を禁じる方針を打ち出しております。
 都は、二〇三〇年までに新車販売の五〇%をZEV化する目標を掲げていますが、知事もさきの所信表明で、ゼロエミッションビークルの普及をさらに本格化すると述べておられ、取り組みの加速を期待いたしております。
 そこで、自動車等の脱炭素化について、世界的に加速する動きを見据えて、都民や事業者にもその意義を共有しながら、東京が世界を牽引する姿勢を示し、具体的な行動を起こしていくべきでありますが、知事の見解を伺います。
 再生可能エネルギーの普及における主要課題の一つとして、供給が不安定である点が指摘をされております。太陽光発電や蓄電池など、小規模な設備をデジタル技術でネットワーク化し、一定のエリア全体でエネルギーマネジメントを行うことで、需要と供給を一致させる発電所の機能を提供するVPP、バーチャル・パワー・プラントは、エネルギーの効果的な利用と再生可能エネルギーの普及に寄与することが期待され、都も本年調査を実施しております。
 そこで、VPP、バーチャル・パワー・プラントの普及やスマートグリッドの導入支援など、スマートエネルギーマネジメントを通じた再生可能エネルギーの普及を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 日本国内の大学の国際競争力の低下が続いておりますが、人材育成、知の集積、そして新たな富の創出の拠点でもある大学の国際競争力を高めることは、都市の競争力の強化に直結をいたします。
 都立大学では、大学院で九月入学を一部実施しているとのことでありますが、国際競争力を向上させるためにも、留学生、帰国子女の受け入れや、留学の派遣に積極的に取り組むとともに、その仕組みの一つとして、九月入学を学部でも着実に進めるべきであります。
 都立大学において、現状の春入学も維持しながら、学部の秋入学枠の創設、拡大、英語を活用した教育体制の強化などを実施し、都立大学の国際競争力を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国際競争力の強化に加えて、新たな知や富を生み出す源泉となるリカレント教育の重要性が再認識される中で、都立大学が核となり、全庁的にリカレント教育を推進していくとともに、民間企業と連携しながら、ICT人材の育成など、社会情勢の変化に応じた施策の強化を求めておきます。
 また、デジタル人材の不足は国家的な課題となっておりますが、日本国内だけで十分な規模と時間軸で育成できるのか疑問であります。海外の大学や企業からデジタル人材を招くこともちゅうちょなく取り組むべきであり、検討を求めておきます。
 デジタル教科書及びデジタル教材の普及により、毎日の通学において重い紙の教材を全て持ち歩くことは不要となります。また、AI教材等により生徒一人一人の学習状況を分析し、生徒の理解と習熟の度合いに応じた個別最適化学習も可能となります。
 国において昨年法改正が行われ、デジタル教科書を使えるようにしたものの、授業時数の二分の一未満とする条件や、無償化の対象となっていないことなどが普及の課題となっております。こうした課題に対して、国は四年後の令和六年までに検討するとしておりますが、海外各国では、既に多くの国がデジタル教科書等の導入が進んでいることに対しても、極めて動きが遅いといわざるを得ません。
 国の対応の加速を促すことに加えて、都として実現可能な部分については、先行してデジタル教科書の部分的な導入やデジタル副教材の導入を、都内公立小中学校も含めて進められるよう取り組むべきであります。
 そこで、都内公立小中学校では、来年四月には児童生徒一人一台端末の体制が整うことから、学習用デジタル教科書やデジタル副教材等の早期導入、普及により、子供たちの学習環境の向上を先駆けて進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 芸術文化は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであるとともに、都市に人を引きつける魅力を形成する重要な要素であります。
 我が会派では、コロナ禍において、芸術文化を担う皆様が受ける影響がとりわけ甚大であることから、いち早く支援策の創設を提案し、都が、アートにエールを!東京プロジェクトを立ち上げ、さまざまな文化芸術におけるアーティストや、演劇やコンサート等の関係者の皆様の活動の場を提供したことを高く評価しております。
 さきの定例会の我が会派の代表質問では、同事業から得られた知見や成果をもとに、芸術文化の今後の施策に生かすことを提案させていただき、知事から、アーティストのさらなる飛躍に向けたステージの提供を検討する旨の答弁がありました。
 そこで、アートにエールを!東京プロジェクトでは、若いアーティストが多く参加するなど、次代の東京の文化を担う原石の発掘にもつながったとのことでありますが、東京の文化をより多様なものとしていく上で、そうした次代の担い手がさらに磨かれる新たな支援を行うべきと考えますが、今後の取り組みについて知事の見解を伺います。
 東京の緑は、景観形成、二酸化炭素の吸収、ヒートアイランド現象の緩和など、多くの役割を持っておりますが、都内全域の緑は依然として減少傾向にあります。加えて、いわゆる生産緑地の二〇二二年問題により、都市農地としての緑もさらに減少する懸念があります。
 今後、東京全体で緑を保全するというより広い視点に立ったとき、開発区域内だけではなく、開発区域外の緑の保全、創出に対しても容積率を緩和するなどの新たな対応が求められます。
 また、多様な緑を確保するとともに、都心においては身近なスポーツや遊び場となる場所が限られていることから、そうした機能を備えた緑地やオープンスペースも確保、創出されていくよう制度運用をしていくべきであります。
 今後、開発区域のみならず、開発区域周辺における緑の保全、創出の取り組みを公共貢献とみなす新たな仕組みを構築し、東京の緑を一層充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、さきの定例会では、東部低地帯の水害対策として、垂直避難に資する民間建築物に対する都市開発諸制度の活用を提案いたしており、あわせて対応を強く求めておきます。
 都内の空き家数は約八十一万戸あるといわれ、全国平均に比べて割合は低いものの、住宅ストックの一割を超えています。さらに、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年以降、本格的な大量相続時代が到来し、今後、一層の空き家の増加が懸念をされます。
 そうした懸念に対して、我が会派は、民間事業者による先端技術を活用した対策や空き家による地域のコミュニティ支援、各種専門家の活用など、民間の力や知見を最大限に生かした重層的な空き家対策の必要性を訴えてまいりました。
 今後、空き家対策をより効果的に進めていくためにも、区市町村の取り組みに対する支援をさらに充実させるとともに、民間事業者等多様な主体との連携をより一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍において、自転車利用に注目が集まっています。特に、フードデリバリーやシェアサイクルの利用者が急増するなど、新しい日常の中で交通サービスの利用形態も変化してきております。
 こうした中で、都内の自転車事故自体は減っているものの、仕事で自転車に乗る人による交通事故はむしろ増加となっており、自転車利用者やフードデリバリー事業者等に対する交通ルールの遵守の徹底は不可欠であります。
 フードデリバリーやシェアサイクル利用者の急増に対して、安全利用のための普及啓発や事業者と協力した取り組みなど、新たな利用形態を踏まえた自転車の安全対策に一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、そもそもの交通環境を整備していくことが重要であります。ニューヨーク、ロンドン、パリなど、海外主要都市では、かねてから自転車走行空間の確保を進めていたことに加えて、コロナ禍において仮設の自転車レーンを確保するなど、迅速な取り組みを行っております。
 都においても、将来の交通量の変化を見据えた道路空間のリメークや、河川空間を利用し骨格的な自転車専用道を整えるなど、安全性と快適性を兼ね備えた自転車走行のネットワークを整えていくべきであります。
 また、自転車の走行区間と駐停車車両が両立できる環境整備やルールの明確化が必要であり、駐輪場の付置については、駐車場付置義務の見直しも見据え検討すべきであります。
 さらには、自転車専用レーン、ナビライン、河川沿いの走行空間など、それぞれが連続的につながっていないことや、自治体により注意表記が共通となっていないことなどの課題もあり、協議会を設ける等の区市町村と連携した取り組みも必要であります。
 そこで、今後、区市町村との広域的な連携や、自転車通行空間や駐輪場の整備を重視した新たな自転車活用推進計画を策定していくべきと考えますが、見解を伺います。
 ニューヨークのハイライン、パリのプロムナードプランテなど、海外には、高架鉄道等の跡地が観光地や遊歩道へと再生した好事例があります。東京でも、銀座を囲むように位置する自動車専用道のKK線に対し、先般、有識者等から成る検討会において、高架道路の形態を生かして大規模な緑のネットワークを構築し、歩行者中心の公共的空間として再生する方向性の提言がなされました。
 今後、同提言を踏まえ、都の取り組み方針を公表していくとのことでありますが、提言では、目指すべき将来像の目標年次を二〇三〇年から二〇四〇年代としており、これでは実際に都民が体験できるまで非常に長い年月がかかってしまいます。
 例えば、ニューヨークのハイラインの事例では、既に廃線となっていた状況ではあるものの、二〇〇四年に当時の市長が鉄道高架の撤去計画をした後、二〇〇九年には南側の一部がオープンするなど、わずか五年で運用開始に至っております。
 都も、こうした海外事例を踏まえ、コロナ後の人を中心とした新しいまちづくりの象徴的な場所として、運用開始の時期を前倒しし、二〇二〇年代半ばの実現を目指すべきであります。KK線を活用した空中回廊、東京スカイコリドーについて、早期に都民が利用できるよう、部分開放などの工夫も含めて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、平成二年度から、個性豊かで魅力的な道路景観整備を行うとして、シンボルロード整備事業を実施してまいりました。
 一方、事業開始から三十年余りが経過し、時代の経過とともに人や物の流れが変化し、都内各所で新たな都市開発が進むなど、地域の状況は大きく変化しております。また、都市づくりや道路整備においても、人を中心とした歩きやすく、歩いて楽しい快適なまちづくりを志向するよう変わってまいりました。
 そうした変化を踏まえて、かねてより我が会派では、本事業の整備手法等について再検討し、事業エリアや事業内容を改定するよう求めてまいりました。
 先日、本事業を見直し、新たに東京ストリートヒューマンファースト事業として計画の素案が公表されましたが、今後どのように道路の景観整備を進めていくのか、都の見解を伺います。
 十月に調布市内の道路の陥没がありました。工事との因果関係はいまだ明らかではありませんが、外環道のシールドマシンの工事が行われている上部における陥没であり、シールドマシンをとめ、原因を調査していると聞いております。
 工事区間の住民の不安は大きいものであります。整備効果の高い重要な道路であり、早期開通を望んでおりますが、安全な工事であることが大前提であります。
 この事業は、国、NEXCO東日本、NEXCO中日本が主体となって実施している事業でありますが、都としても不安を払拭する努力を最大限行うべきであり、事業者に対しては、再度、安全を最優先にした工事を要請すべきと考えます。
 現在も有識者の意見を伺いながら、事業者による調査が進められていますが、まずは徹底した調査を行い、早急に原因を究明し、必要な対応策をとった上で事業を進めるべきと考えますが、今回の地表面陥没を受けて今後どのように対応するのか、知事の見解を伺います。
 我が会派では、臨海部のまちづくりに当たり、海上公園の魅力向上や舟運による水辺を生かした移動のネットワークづくりを目指すべきとしており、かねてより代表質問や各委員会での質疑等において提案を重ねてまいりました。
 海上公園については、今般、民間活用の第一弾として、晴海ふ頭公園において、飲食店、コワーキング、コミュニティスペースの複合施設を開設していくと、さきの経済・港湾委員会でも答弁があり、今後、他の海上公園においても、民間活用による魅力的な海上公園づくりをスピード感を持って進めることが重要であります。
 加えて、二〇二〇年大会後を見据えた海の森公園の取り組みが課題であります。交通アクセスの課題について改善を図っていくことに加えて、住宅やオフィスなどから離れた立地を生かして、例えば野外音楽フェスなどの新たな開催地とするなど、逆転の発想で工夫を凝らすことも重要であります。
 二〇二〇大会後を見据えた海の森公園の取り組みにおいて、水上競技場との連携や、船着き場を活用した舟運ネットワークにつながるアクセスの改善など、大会後も積極的に活用されるよう、海辺と森が共存した環境を生かした魅力の創出に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 今月、神津島が、光害のない暗く美しい夜空を保護するために設立された認定制度である星空保護区に認定をされました。これは、二〇一八年に暫定認定されております沖縄県西表島の西表石垣国立公園に次ぐ国内二カ所目となります。島しょ部には、島それぞれの魅力や固有の自然があり、これらは東京の大切な財産であります。
 我が会派として強力に推進してまいりました島の多様な魅力を振興へとつなげる取り組みにおいて、今回の認定は、環境保護、地域振興、観光振興へと直結するものであり、大いに期待をいたします。
 神津島村が星空保護区に認定されたことを受け、都としても、こうした取り組みをきっかけに島しょ地域の一層の振興につなげていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 令和二年に生まれる子供の数は、一八九九年の統計開始以来で最少の八十四万人台となる見通しであり、五年連続で過去最少を更新することになります。さらに、コロナ禍の影響により、来年の出生数は七十万人台まで落ち込む懸念も指摘をされております。
 我が会派はかねてより、待機児童の解消、都独自の保育料支援、産前産後ケアの充実、保育士や助産師、産後ドゥーラといった人材への支援など、さまざまな少子化対策を要望し、都も取り組みを強化してまいりました。
 コロナ禍の影響により、孤独な中での出産への不安の声や、衛生資材の購入などにより子育てに関する追加の経済的負担も生じております。そのような中で、都の実施したママパパ応援事業への上乗せ支援や、オンラインでの助産師相談への支援には多くの感謝の声が寄せられております。
 都は、合計特殊出生率二・〇七を東京の目指すべき姿として掲げていますが、その実現には、当事者目線に立った政策が欠かせません。少子化対策のトップに若手職員を起用するなど、推進体制から大胆に再構築することも視野に入れる必要があります。
 このような状況の中で、国は、児童手当の見直しなどを検討していると報道されております。これまでの国の取り組みの結果が現在の少子化を招いているにもかかわらず、そのしわ寄せをさらに子育て世代に押しつけようとする今回の国の動きを許容することはできません。
 コロナ禍の中で子育て環境がさらなる厳しい状況に追い込まれ、子供をつくることを悩む家庭もあると思います。
 そこで、都独自の出産、子育てへの支援をさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 少子化対策には、子育てに必要となる費用全体の検証が必要であります。特に子供が二人以上いる家庭では、教育費用等の家計への負担は極めて大きなものとなります。都として、公立学校の教育力の一層の強化と、少子化対策の視点も入れた私立高校の授業料支援のさらなる強化を求めておきます。
 我が会派は、さきの定例会の代表質問で、学齢期の障害児の母親が就労することが困難であることから、就労支援策を講じるべきと指摘し、小池知事から、障害児を持つ家庭へのさらなる支援のあり方について検討するとの答弁を得ました。
 これは全ての障害種別の保護者が直面する課題であり、その中でも医療的ケア児は、都立特別支援学校への医療的ケアの引き継ぎまで、保護者が長期間、長時間付き添う必要があることや、放課後等デイサービスで受け入れが難しいことなどから、母親の就労継続は不可能に近い状況にあります。
 先日、我が会派の求めで医療的ケア児の保護者と知事との面談が実現し、放課後等デイサービスが医療的ケア児を受け入れ、長時間預かりができるようにしてほしいことや、都立特別支援学校で保護者の代理人として看護師が付き添いをする費用が高額なため、保護者が負担できないこと、さらには、移動そのものが体調への負担となる子が多いことから、学校内で放課後を過ごせるような支援が必要であることなどの切実な声がありました。
 都はこうした当事者の切実な声に寄り添い、医療的ケア児が就学した後も、保護者の就労の継続につながる支援等について対策を講じるべきでありますが、知事の見解を伺います。
 また、医療的ケア児や重症心身障害児は、体調が不安定なことが多く、別施設に移動すること自体が負担となることから、都立特別支援学校内で放課後を過ごせるような支援が必要でありますが、教育長の見解を伺います。
 なお、医療的ケア児のみならず、あらゆる障害児の保護者の就労継続は課題となっており、一層の支援の強化に取り組むよう要望しておきます。
 全国の児童相談所で対応した二〇一九年の児童虐待数の速報値が発表され、十九万三千件と過去最多を記録しました。コロナ禍による影響を受けて、家庭の中で一番立場の弱い子供たちへの虐待やネグレクト、虐待相談件数はさらにふえる懸念があります。
 コロナ禍で自宅で過ごす時間が長い中で、子供を取り巻く環境、問題が家庭の外に見えづらい現状があり、予防的支援の強化に向け、地域によるネットワークの強化を行い、子育て家庭を孤立させない取り組みが重要であります。
 これまで我が会派では、児童虐待を未然に防ぐため、親の体罰を禁じた東京都児童虐待防止条例の制定やLINE相談等の相談体制の充実、児童相談所の体制強化などを強く訴え、実現をしてまいりました。
 増加する児童虐待相談に対応するためには、問題が顕在化する前に行政の支援を届けることが重要でありますが、支援が必要な家庭の早期発見や相談体制のさらなる強化など、虐待の未然防止、重篤化防止に向けた取り組みを一層強化すべきでありますが、見解を伺います。
 一方、乳幼児揺さぶられ症候群、いわゆるSBSによる虐待疑いについては、実際には虐待がないにもかかわらず虐待が疑われ、長期にわたり親子分離が行われてしまう事例が多数あり、東京を初め、全国で問題が出ております。
 我が会派も厚生委員会で取り上げておりますが、SBSの疑いで一時保護した場合でも、総合判断の結果、入所措置をせずに親元へ乳児を帰すことや、面会等を行い、愛着関係構築を行えるようにすべきであります。
 また、SBSの疑いについては医師の見解も分かれていることから、今後は脳神経外科等も含めた多角的な観点からの判断を強く求めます。
 乳幼児揺さぶられ症候群による虐待疑いに関して、慎重な判断や対応が必要であることを考慮した上で、一時保護期間において、面会謝絶ではなく、面会交流を可能としたり、保護者と乳幼児の状態を共有するとともに、保護者や親族、関係者などの状況を総合的に勘案した上で、一時保護期間の短縮化に努め、今後の見通しなどを説明するなど、保護者への丁寧な対応を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派の求めに応じて成立した東京都犯罪被害者等支援条例に基づき、新たな支援として、見舞金の給付、無料法律相談、転居費用の助成が、令和二年四月一日以降に発生した犯罪被害を対象として開始されました。経済的支援の充実は、これまで我が会派が提案し続けてきたところであり、都の対応を高く評価しております。
 今後、弁護士の法律相談後の支援活動に関しても費用を補助するなど、経済的支援のさらなる強化を求めます。
 今後、被害者等へのさらなる効果的な支援を行うために、ワンストップで被害者に寄り添ったサポートを行う機能が重要ですが、都の総合相談窓口は、現在一カ所の設置にとどまっており、また、平日のみの開所となっております。来所をちゅうちょされることもあると聞いております。
 そこで、多摩地域への相談窓口の設置など、アクセスの負担を軽減するとともに、関係機関をつなぎ、被害者に寄り添ったサポートを担うハブとなる機能を整えるべきでありますが、知事の見解を伺います。
 我が会派は、誰もががんにかかる可能性がある中で、がん検診など、がんの予防、患者の年齢、性別、心身の状態等に応じた適切な医療や緩和ケアの提供、がん罹患後も就学、就労及び地域社会での生活ができる、がんとの共生等の施策を総合的かつ計画的に推進することをこれまでも強く求めてまいりました。
 また、我が会派では、公益財団法人日本対がん協会を初め、厚生労働省がん対策推進協議会の委員経験者である、認定NPO法人希望の会や一般社団法人CSRプロジェクトの代表ら、がん患者の会五団体とのヒアリングを重ね、がん対策の重要性を共有してまいりました。その中で、これら全ての団体から、都のがん対策のさらなる推進のために、がん対策推進条例の必要性が指摘をされております。
 がん対策推進条例は、四十七都道府県中四十二の道府県で制定されており、未制定は東京都を含む五都県のみであります。
 団体の皆様からは、条例があることで、都だけではなく、さまざまな主体とつながることができる、事業主のがん患者への配慮義務が計画だけでは課せられていないといった課題など、さまざまなことが指摘をされました。
 また、喫緊では、コロナ禍において、がん検診やがん治療などの予防、治療対策の後退が懸念されており、実態把握に基づいた対策が急務であります。
 コロナ禍における取り巻く環境の変化に伴うがん患者の実態把握について、改めて見解を伺うとともに、事業主のがん患者への配慮義務が十分でないといった指摘に対し、どのように事業主等を巻き込んで、実効性あるがんとの共生等の施策を進めていくのか、都の見解を伺います。
 近年、ライフステージに応じたがん対策の推進が注目される中で、我が会派は、AYA世代のがん患者に対する支援をこれまでも要望しており、妊孕性の温存等、多様なニーズに応じた環境整備や負担軽減の支援の必要性を指摘してまいりました。
 AYA世代のがん患者のニーズに応じた妊孕性の温存に対して経費助成などの支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派はかねてより、東京二〇二〇大会はアスリートファーストの視点で大会環境の整備を進めながら、開催を期待している子供たちを初め、多くの都民、国民のための大会であるべきと申し上げてまいりました。また、開催に当たっては、都民、国民の理解が得られる大会であるべきと主張をしてまいりました。
 先日、IOCのバッハ会長が来日され、東京二〇二〇大会の成功に向けた日本側との連携が改めて確認をされましたが、都民、国民の理解が得られる大会の開催に向け、引き続き最大限の取り組みが必要であります。
 都民、国民の理解を得るためには、説明責任の強化を欠かすことができません。議員提案により成立をいたしました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例は、ことしのマニフェスト大賞において優秀成果賞を受賞いたしました。
 一年延期や新型コロナウイルス感染症対策に伴う変更に関しても、都民、国民に対する説明責任をしっかりと果たしていかなければなりません。特に重要な課題である延期に伴う追加費用について、都民の理解が得られる費用、そして負担割合でなければなりません。IOCや政府による合理的な負担も当然に求めるべきであります。
 東京二〇二〇大会の延期費用の詳細に関し、都民に対する説明責任をしっかり果たすことに加え、都民の理解と共感を得る中で大会の開催を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 過日、延期に伴うチケットの払い戻しも先日実施をされました。やむなくチケットの払い戻しをされ、大会観戦を諦めた方が国内外で多数いらっしゃることが想定をされます。そのような国内外の多くの方に対し、映像等で東京大会を体感し、東京大会と東京の魅力を感じることができるようにすべきであります。
 例えば、東京大会や東京、日本の魅力を伝えるVR等を活用したコンテンツの作成や、世界各国への提供、ARによる選手情報の提供や立体音響技術による新たな観戦価値の提供、参加アスリートを中心に東京の魅力を母国で伝えていただき、訪都意欲を喚起するための映像など、さまざまな取り組みが考えられます。
 そこで、最先端技術等も活用しながら、東京二〇二〇大会時を契機に東京の魅力を世界に発信し、世界中の人々に、将来改めて東京に来たいという訪都意欲を喚起する取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 最後に申し上げます。
 国難というべき、この新型コロナウイルス感染症という危機を克服し、その先にポストコロナの新たな時代を見据え、東京の未来をつくり、都民の安全と安心を守るため、引き続き私ども都民ファーストの会東京都議団は全力を尽くしてまいりますことを改めてお誓いを申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げます。
 名誉都民である有馬朗人さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 小山くにひこ議員の代表質問にお答えいたします。
 補正予算についてでございます。
 これまで都は、新型コロナウイルス感染症対策として、一兆六千億円を超える補正予算を編成してまいりました。都民の命と健康を守り、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るためには、足元の感染状況を踏まえ、切れ目のない対策を迅速に講じていくことが重要でございます。
 こうした考えのもとで、御会派からの要望も踏まえまして、医療提供体制の強化充実、経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットなど、年末年始を含めた万全の対策等を実施するため、総額二千三百八億円の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行による診療等の増加を見据えまして、年末年始期間中も診療を継続する医療機関に協力金を支給すること、さらに医療従事者への慰労金の支給や患者受け入れ体制の確保、救急医療機関等における感染拡大防止対策などにつきまして、年度末までに必要となる予算を追加で措置し、医療の最前線の現場をしっかりと支えてまいります。
 また、年末の中小企業の資金需要への備えといたしまして、制度融資をさらに拡充するほか、休業等の影響を受けました方々への生活福祉資金の貸付原資の追加、さらには、失業等に伴い住居を失った方に年末年始の緊急的な一時宿泊場所を確保するなど、さまざまな対策を強化してまいります。
 一方、都内では、感染が急速に拡大しております。重症者数も高い水準で推移するなど、予断を許さない状況にあります。そのため、これ以上の感染拡大を何としても阻止すべく、事業者の皆様には大変なご負担をおかけいたしておりますけれども、先般、特別区及び多摩地域の飲食店等に対しまして営業時間短縮のご協力をお願いするとともに、感染拡大防止協力金をお支払いするための補正予算について専決処分を行いました。
 何よりも大切な都民の命を守り抜くため、これらの取り組みをてこといたしまして、都民、事業者の皆様のご協力をいただきつつ、感染対策短期集中でこの正念場を乗り越えていく決意でございます。
 次に、医療機関、医療従事者への支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線で、日々患者の命を守っていただいている医療従事者の方々は、都民にとりましてかけがえのない財産であります。
 私自身も先日、医療の現場を訪問いたしまして、医療従事者の方々への感謝の気持ちをお伝えいたしました。また、その際にお話もございましたが、通常の診療体制や経営を圧迫することなく、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるための支援策を講じるよう、厚生労働大臣に直接要望をいたしております。
 都内におきましては、非常に厳しい感染状況が続いて、特に重症者数が高い水準で推移するなど、予断を許さない状況にございます。
 本格的な冬の到来に向けまして、都民の命を守ることを最優先に対策を進めていくためには、その根幹を支える医療機関、医療従事者の方々の負担を抑えられるよう支援することが重要であります。
 都は、新型コロナの患者を受け入れる医療機関が、患者受け入れ用の病床をあらかじめ確保する際の補助や、医療従事者などの特殊勤務手当の支給に対する支援を引き続き行ってまいります。
 さらに、お話の年末年始におきましては、診療、検査体制の確保に万全を期すため、ご協力いただける医療機関への支援に要する経費を今回の補正予算案に計上しております。
 知事といたしまして、都民の命を守り抜くため、医療従事者の方々の負担を抑え、通常の診療体制との両立を図りながら医療提供体制の崩壊を回避できますよう、感染対策短期集中の覚悟であらゆる対策を講じてまいります。
 次に、新型コロナに関する差別解消の取り組みについてでございます。
 新型コロナウイルスに感染された方やそのご家族、医療従事者の方々等への誹謗中傷や不当な差別的扱いは、決して許されるものではありません。また、感染拡大を防ぐためにも、差別や偏見は断じてあってはなりません。
 差別等をなくすためには、都民一人一人が正しい情報に基づいて、冷静な行動をとることが大切であります。このため、都は、人権に配慮した行動をとりますよう、ホームページなどで都民の皆様に呼びかけてまいりました。
 また、闘うべき本当の相手は人ではなくウイルスであることを訴えるため、私自身、動画を通じましてメッセージを発信するとともに、店舗などで掲出していただけますようポスターも作成いたしました。
 加えまして、今月の人権週間キャンペーンでは、まず「広報東京都」十二月号におきまして、第一面の全面に掲載するとともに、テレビCMや電車内広告などを通じまして、コロナ差別解消を働きかける啓発活動を進めているところでございます。
 感染症に関連した差別や偏見があってはならないという人権意識が広く都民に浸透いたしますよう、今後もさまざまな手段を活用いたしまして、繰り返し全力で発信をしてまいります。
 次に、大規模な集団を対象とした検査についてでございます。
 感染拡大防止と経済活動との両立を図る上で、来年の東京二〇二〇大会開催も見据えまして、大規模イベントなどにおけます感染防止対策を推進することは重要であります。
 都は、イベント主催者を初め、事業者が行う感染防止対策の基本的な取り組み例をまとめた感染拡大防止ガイドラインを策定いたしまして、適切な感染防止策の実施を呼びかけております。
 今後、イベントにおけますスクリーニング検査の指針の策定や、大規模イベントなどでのモデル実施も含めまして検討してまいります。
 次に、コロナ禍におけます雇用の創出についてであります。
 感染症の影響が長期化する中で、雇用を維持することが困難となる企業もふえており、多くの方々が解雇や雇いどめで離職を余儀なくされ、先の見えない不安を抱いておられます。
 これまで都は、補正予算の編成を通じまして、マッチングや職業訓練の拡充など、多様な雇用対策を実施してまいりました。今後は、経済の回復のおくれも想定いたしまして、大胆な雇用創出を含む新たな対策を講じていく必要がございます。
 雇用の創出に当たりましては、ITなどの成長産業や高齢社会においてサービス提供を担う介護事業など、東京の持続的な発展を支える分野におきまして、人材を確保、育成していくという視点が重要です。
 都は今後、こうした分野の求人企業を重点的に開拓をいたしまして、トライアルでの派遣就労の機会を大幅に拡充するなど、離職を余儀なくされた方々に大規模な雇用の場を提供する対策を検討いたします。
 これに加えまして、ITや医療、介護などの職業訓練の充実とともに、人手不足の業界団体と連携した新たな就労支援スキームの構築について、あわせて検討を進めてまいります。
 都民生活の基盤となる雇用確保に向けまして、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
 自殺対策についてであります。
 都内の自殺者数は、本年六月以降、前年と比べまして増加傾向にあります。また、特に女性の自殺者がふえていることに、私は非常に心が痛むところであります。今後も、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用情勢の悪化などによりまして、自殺リスクの高まりが懸念されております。
 自殺の背景には、就労や働き方の問題を初め、健康問題や経済問題などさまざまな要因が複雑に絡み合っております。
 都はこれまで、福祉、医療、経済、教育などの関係機関や区市町村などから成ります自殺総合対策東京会議で、コロナ禍におけます自殺の未然防止策の検討を重ねたところであります。その結果を踏まえまして、六月にSNS相談と電話相談の体制を強化するとともに、失業などの自殺の背景となる相談に対しまして、相談者の悩みに応じた支援策を案内するなどの取り組みを実施しております。
 今後、悩みを抱える方を社会全体で支える取り組みや相談事業の拡充、普及啓発の強化など、都民の心理的な不安に寄り添った対策を検討してまいります。
 さらに、女性の自殺者の数の増加など、都内の自殺の動向も分析をしながら、スピード感を持って施策の強化を図って、区市町村や労働相談窓口などの関係機関と一丸となって、都民のかけがえのない命を守る取り組みを推進してまいります。
 コロナ禍における町会、自治会への支援についてでございます。
 町会、自治会は、地域コミュニティの中核として、防犯、防災、高齢者見守りなど、都民生活の安全・安心の確保、魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を果たしております。
 コロナ禍におきましても、さまざまな工夫を凝らしながら、地域のために活動を続けている町会、自治会に対して敬意を表するところであります。
 一方、三密の回避や会食を控えるなど住民同士の交流が制約されて、地域コミュニティにも大きな影響を及ぼしていることから、人の集まる活動を控えている団体があることも承知をしております。
 このような状況におきましても、町会、自治会が人と人とをつなぐ機能を発揮して、コミュニティの活性化を果たすことが重要であります。
 このため、緊急対策として、新たに町会、自治会が感染防止対策を施しながら地域における感染防止等の普及啓発を円滑に行えるように支援をしてまいります。
 新型コロナウイルス感染症などを踏まえました避難対策についてであります。
 新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、大規模災害との複合災害に備えて、避難生活を過ごす住民の安全確保と適切な支援を確実に進める必要がございます。
 都はこれまで、災害時に多くの住民が集まる避難所や一時滞在施設におけます感染防止に向けまして、区市町村に対し、感染症対策に関する留意事項やガイドラインを示してまいりました。
 また、地震や風水害等の災害の状況に応じまして、住民が適切な避難行動をとれますように、在宅避難や縁故避難などの分散避難の重要性について周知を図ってまいりました。
 今後、こうした取り組みを一層加速するため、区市町村の避難所や民間等の一時滞在施設におけます屋内テントの配備など、必要な資材の充実に向けた新たな支援策の検討を進めてまいります。
 さらに、災害時にご自宅や知人宅、ホテルなど避難所以外で避難生活をされる住民に物資や情報など必要な支援が届きますよう、避難者の支援ニーズの把握や行政からの情報発信のあり方などにつきまして、区市町村と連携をいたしまして、検討を進めてまいります。
 災害時における新型コロナウイルス感染症対策と、避難者に対する支援策の充実強化に向けまして、私自身が先頭に立って、全力を挙げて取り組んでまいります。
 仮称デジタル局の設置についてでございます。
 今、戦後最大といわれる危機を迎えている私たちは、都民の命と東京の経済を守る対策を講じることはもとより、その先の未来へと羽ばたくべく、コロナ禍で浮き彫りとなりましたさまざまな課題へ果敢に取り組んでいかなければなりません。
 とりわけ、都庁のDXの実現は、行政サービスの質、いわゆるQOS、クオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させて、東京の明るい未来を切り開く大きな鍵と考えております。
 こうした認識のもとで、都政のデジタル化の旗振り役といたしまして、組織変革への実行力を高めるため、今般、仮称デジタル局の設置準備を開始いたしました。
 新組織では、各局のデジタルサービスを開発から実行段階まで技術的にサポートすることや、デジタルに関する全庁統括、民間を含むICT人材の結集と都庁職員の育成など、前例にとらわれず、新たな取り組みにも挑戦をしてまいります。
 今後、新組織を核といたしまして、長期戦略のてことなる都政の構造改革を推し進めまして、デジタルトランスフォーメーションによります新しい東京の実現を目指してまいります。
 政策評価についてであります。
 新型コロナウイルス感染症が急速に拡大している中で、今なすべきことは、感染拡大の封じ込めと疲弊した経済を立て直し、明るい未来へと力強く進むため、歩むための活力、希望を取り戻すことであります。
 そのためには、制度や仕組みの根本にまでさかのぼった都政の構造改革を強力に進め、東京がさらなる進化を遂げるため、新しい成長を実現すべく、取り組みを推進していくことが重要であります。
 こうした考えのもと、ワイズスペンディングの取り組みを一層深化させていくため、成果指標の視点を取り入れた政策評価と、予算編成と密接に連動している事業評価とを一体的な取り組みとして、新たに実施をいたします。
 この取り組みで、一つ一つの事業が成果指標の達成に向けましてどのような効果を与えているのか多面的に検証することで、事業内容や仕事の進め方の見直しにつなげまして、都政の行政サービスの質、いわゆるQOS、クオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させてまいります。
 スマート東京についてであります。
 都民の誰もが快適な生活を送ることのできる、活力に満ちたスマート東京を実現するためには、東京のデジタルトランスフォーメーションの実現が重要な鍵となります。
 デジタル化の推進に当たりまして、都民にデジタル化の必要性や意義を理解していただくためには、都民に分かりやすくしっかりと伝え、実感してもらうことが必要であります。
 都はこれまでも、申請手続のデジタル化への取り組みや、都民からの問い合わせへのチャットボットの導入、ICTを活用した遠隔手話通訳などを行うなど、都民一人一人にアプローチするデジタル技術を活用した取り組みを実施してまいりました。
 今後は新たに、都民が5GやICTなどを活用したサービスを実感、体験できますアウトリーチ型のイベントの開催のほか、利用者それぞれのニーズに応じた情報提供や、オンラインによる行政手続窓口などの機能を備えましたポータルサイトの構築など、都民のQOSの向上を目指す取り組みを検討してまいります。
 都民の皆様が、スマート家電などでデジタル活用による生活の変化、向上を体験、実感していただけますよう、都民生活に直結する身近な取り組みを新たに実施し、東京のデジタルトランスフォーメーションを加速してまいります。
 環境分野などにおける産業の育成であります。
 近年の気候変動は深刻さを増しており、甚大な自然災害の発生や記録的な猛暑など、私たちの身近な生活にもその影響が及んでおります。また、新型コロナウイルス感染症という新たな危機にも見舞われており、これまでに経験したことのない難局に直面をいたしております。
 東京には優れた技術力、アイデアを持つ中小企業やスタートアップが数多く集積しております。そして、社会課題の解決を図るため、こうした企業の力を活用することは有効であります。
 そのため、都は現在、環境や医療など社会的ニーズの高い分野における中小企業の育成に向けまして、大企業や大学との連携によってイノベーションを促進するとともに、環境改善や感染症対策に資する新製品などの開発を資金面や技術面から一貫して支援をしております。
 また、完成した製品などの販路拡大が重要で、マーケティング戦略の策定に対するサポートの充実や、新たな商談機会の創出に取り組んでまいります。
 こうした支援に加えまして、省エネ促進税制の活用によりまして、環境性能に優れた製品等の導入促進を図っており、今後新たに環境分野等の新製品や新サービスを都が導入しまして、その効果を普及させる取り組みを検討してまいります。
 東京が直面するさまざまな社会課題を産業の力で克服して、将来に向けて輝き続ける都市東京を実現してまいります。
 水素エネルギーのさらなる利用拡大についてであります。
 水素エネルギーは、エネルギー供給の多様化に資するほか、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能であります。再生可能エネルギー大量導入時の調整力として期待されるなど、将来の脱炭素社会実現の柱となるものであります。
 現在は、水素エネルギーの普及に向けまして、初期需要の創出が必要な段階であることから、都は一台当たりの水素充填量が大きい燃料電池バスの普及に力を入れておりまして、今後一層の導入を促すため、コスト面での課題を軽減する方策を検討しております。
 また、燃料電池バス導入を検討しているバス事業者の営業所がある区市などと水素ステーション整備に向けた協議を進めるとともに、ガソリンスタンドへの水素ステーションの併設などに向けまして、事業者への働きかけを積極的に行いながら、民間事業者による新たな投資を呼び込んでまいります。
 あわせて、水素ステーションの整備に係る規制をガソリンスタンド並みに近づけるべく、国に対して提案要求を行っておりまして、新たな規制緩和への動きも見られるところであります。
 さらに、大会後の選手村では、環境先進都市のモデルとして、東京二〇二〇大会後のレガシーとなるまちの形成に向けまして、民間事業者と連携して水素ステーションを整備して、車両への供給に加えて、実用段階では日本初となるパイプラインによる各街区への水素供給を行って、発電した電力を住宅の共用部などで活用してまいります。
 こうした取り組みによって、脱炭素社会の実現に向け、サステーナブルリカバリーの視点も踏まえ、水素関連市場の活性化を促しながら、水素エネルギーの利用拡大を図ってまいります。
 自動車等の脱炭素化に向けた取り組みについてでございます。
 世界のCO2排出のうち運輸セクターが約二割を占めております。そして、その多くは自動車等に由来することから、これらのゼロエミッション化を進めることが、気候変動に立ち向かう世界の大都市共通の責務でございます。
 都はこれまで、二〇三〇年までに都内乗用車新車販売の五〇%ZEV化を目指しまして、電気自動車や燃料電池自動車等の購入費補助やインフラ整備に対する支援など、さまざまな普及促進策を展開しております。ここ数カ月、世界の各国や都市に加えまして我が国におきましても、自動車のゼロエミッション化に向けました動きの強化や前倒しが相次いでおります。
 こうした中、新たに都は、都内で新車販売されます乗用車を二〇三〇年までに、二輪車を二〇三五年までに一〇〇%非ガソリン化することを目指しまして、世界の潮流を牽引してまいります。
 このため、電気自動車のF1と呼ばれますフォーミュラEや燃料電池自動車、電動二輪車を用いた世界的なレースの開催など、象徴的な取り組みを通じまして、ゼロエミッションビークルの意義について都民に訴えかけ、ムーブメントを起こしてまいります。
 国や自動車メーカー等と連携をいたしまして、都が率先的な行動を加速することで、二〇五〇年のゼロエミッション東京という目指すべき未来の実現に向けまして、新たな産業の革命ともいえます自動車等のゼロエミッション化を強力に推し進めてまいります。
 都立大学の国際化についてのお尋ねがございました。
 グローバル社会で活躍できる人材をいかに育成、輩出していくか、この課題に正面から取り組むことこそ、東京が世界の都市間競争に打ち勝つための重要な鍵となります。
 その担い手でもある都立大学では、これまでも、六十を超える海外大学との交換留学はもとより、大学院におけます秋入学の実施や、留学を必修とする国際副専攻コースの設置など、国際感覚あふれる人材の輩出に努めてまいりました。
 一方で、経済のグローバル化やデジタル技術の急速な進展、成長著しいアジア新興国の台頭など、国際情勢はもとより、一層厳しさを増しておりまして、従来の延長線上の取り組みでは世界の潮流から取り残されてしまいます。
 こうした強い危機意識を持ちまして、グローバルスタンダードな教育環境の整備や、早期に国際性を身につけることができる魅力的なカリキュラムの構築など、都立大学の国際競争力の抜本的強化に向けました改革に取り組んでいくことが重要であります。
 そのため、今後、英語で学位が取得できるカリキュラムの整備拡充を初め、優秀な留学生などの確保を見据えました学部における秋入学導入に向け検討してまいります。また、政治、経済、文化などの各分野における世界の最新動向を肌で感じ、グローバル社会で求められる教養を学ぶ新たな授業の企画にも取り組んでおります。
 都立大学を世界水準の大学へと進化させ、東京、そして日本の成長を支える人材の育成、輩出に貢献できますよう、都は大学の取り組みを全力で支援してまいります。
 若手アーティストへの支援についてであります。
 都がコロナ禍で行ったアートにエールを!東京プロジェクトにおきましては、音楽、演劇、映像、美術、伝統芸能など、幅広い分野で才能あるアーティストが参加しております。この中には、東京の未来を担う原石ともいえるアーティストの創作が多数見受けられました。
 こうした原石を磨いて、担い手の裾野を広げていく取り組みが必要であり、新鮮な感性を持つアーティストたちの潜在的な力を伸ばす環境づくりが重要であります。
 活動歴の浅い若手アーティストは、活動資金の調達も難しく、活躍の場も限られています。今後、新たに必要な活動費の助成に加えまして、都のイベント等への出演や、経理などの事業者としての必要な知識を習得できる機会を提供するなど、パッケージとしての支援を検討してまいります。
 こうした取り組みによりまして、若手アーティストにエールを送って、芸術文化都市東京の魅力を高めてまいります。
 地表面陥没を受けた都の対応でございます。
 今回の陥没と外環工事との因果関係は不明でございますが、国など事業者が原因究明に向けて取り組んでおります。
 沿線住民の方々の不安を払拭することは重要であると認識をしておりまして、都は陥没発生後、速やかに事業者に対しまして早期の原因究明、そして住民の不安払拭に向けた丁寧な説明や対応などを要望して、私みずから赤羽大臣に要請もしたところでございます。
 その後も、都は、事業者からの状況報告の機会におきまして、要請を重ねております。
 現在、事業者が現地におきまして重点的な監視を行いつつ、調査範囲を拡大し、ボーリング調査などを進めており、その結果を踏まえ、速やかに有識者委員会で原因等について議論が行われる予定でございます。
 都は、外環道の必要性は変わらないと認識をしておりまして、引き続き、国など事業者に対しまして早期の原因究明と丁寧な説明や対応など、安全・安心を確保するための取り組みを求めてまいります。
 神津島村の星空保護区認定についてのお尋ねがございました。
 神津島の美しい星空を保護する取り組みが国際的にも認められたことを大変うれしく思っております。
 これまで都といたしましても、神津島村の取り組みを東京宝島事業として全面的にサポートしておりまして、七月には私から直接、村長に認定申請に必要な賛同書をお渡しいたしました。
 神津島の美しい星空は、まさにきらりと光る島の宝物であり、この星空保護区認定を都としても積極的に情報発信してまいります。
 これを契機に国内外の多くの方々に神津島の魅力を知っていただくとともに、東京宝島ブランド化の成功事例の一つとなるように、さらに取り組みを後押ししてまいります。
 今後も、島それぞれの積極的な取り組みを支援し、島しょ地域の一層の活性化と持続的な発展につなげてまいります。
 出産、子育てに関する支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、閉塞的な環境のもとで、不安やストレスを抱えながら乳児を育てているご家庭も多いことと存じます。
 都は、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、継続した支援を行う区市町村を支援しており、今年度から産後の支援を大幅に充実した、とうきょうママパパ応援事業を実施しております。
 また、本年四月の補正予算によりまして、妊婦の新型コロナウイルス感染防止等の観点から、従来の育児パッケージに上乗せをしまして、健診の際の移動支援や衛生資材の提供などを行う区市町村を支援しております。
 こうしたに取り組みに加えまして、コロナ禍のもとで日々懸命に乳児を育てている家庭の負担を軽減するとともに、妊娠、出産を望む家庭を応援するため、さらなる支援策を検討してまいります。
 医療的ケア児の就学後の支援についてであります。
 私は、誰もが自分らしく、生き生きと働き、活躍できる東京を目指しております。
 先日、重い障害のあるお子さんを育てながら就労を続けておられる保護者の方々とお会いして、お話を伺いました。保育所等にお子さんを預けて働いていたが、小学校に入学すると、お子さんが安心して過ごせる放課後の預け先がなく、仕事を続けることが難しいなど、改めてそうしたご家庭の厳しい現状を強く感じたところであります。
 こうした家庭を支援するため、看護師等専門職の手厚い配置や送迎サービスなど、医療的ケア児が放課後の時間を安全に安心して過ごせる場の確保に向けまして、区市町村等のご意見も伺いながら検討を進めております。
 また、現在、国では、令和三年度の障害福祉サービスの報酬改定に向けました検討が進められており、放課後等デイサービスにつきましては、その結果も踏まえまして必要な支援を検討いたします。
 就労を希望する障害児の保護者が子育てと仕事を両立し、安心して働き続けることができる社会の実現に向けまして、引き続き取り組んでまいります。
 犯罪被害者支援における関係機関との連携強化や相談体制の充実についてであります。
 犯罪被害者やそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えて、精神的、経済的に苛酷な状況に置かれており、被害の直後から途切れることのない支援を提供することが重要であります。
 そのため、第四期支援計画の策定に当たりましては、どの関係機関で相談を受けましても適切な支援に結びつけられるような連携体制の構築や、相談窓口へのアクセスの向上が必要であります。
 そこで、都といたしまして、新たに一人一人のニーズの全体像を把握して、必要な支援機関につなぐコーディネーターの配置や、都の総合相談窓口の多摩地域への設置などを検討してまいります。
 こうした方策を通じまして、被害者の方々に一層寄り添った取り組みを推進するとともに、区市町村や民間団体との連携を強化いたしまして、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現に努めてまいります。
 AYA世代のがん患者の支援についてのお尋ねがございました。
 思春期や若年成人のAYA世代のがん患者は、進学や就職、結婚などの時期と治療の時期が重なって、治療の影響による不妊等への対応など、世代特有の多様なニーズがございます。
 生殖機能の温存につきましては、現在さまざまな取り組みが始まっておりますが、患者や家族に知識が不足していること、医療保険の適用外であること、医療機関によって方法や費用が異なることなど課題がございます。
 都はこれまで、AYA世代のがん患者への支援策を検討するため、都内の医療機関や患者、家族を対象とした実態調査や、他の自治体における支援策等についての調査を行ってまいりました。
 これらの調査結果を踏まえまして、AYA世代のがん患者の治療に伴う負担や将来への不安を軽減していけますように、生殖機能温存に係る新たな費用助成制度や、患者の意思決定支援のあり方につきまして検討を進めてまいります。
 大会の延期に伴う経費についてのお尋ねでございます。
 史上初の延期という困難な状況におきまして、大会を成功させるためには、組織委員会、国、東京都の三者がそれぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組む必要がございます。今回の合意に際しましては、こうした基本的な考え方を三者が共有した上で、主張すべきことは主張し、協議を行ってまいりました。
 まず、大会運営の主体であります組織委員会は、IOCなどの協力を得まして、大会の簡素化を図り、三百億円の経費削減効果を得て公表するなど、その過程を明らかにしながら取り組んでまいりました。
 さらに、スポンサー収入などによる追加収入の確保を図るなど、収入、支出両面にわたります可能な限りの努力を行ってきており、その中で大枠の合意に基づく経費を負担することといたしました。その上で、今後も経費の削減と収入の確保に取り組んでいくことといたしております。
 また、国は大枠の合意に基づく経費を引き続き負担するとともに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費につきまして、二分の一の負担を基本としつつ、アスリート等の検査体制の整備など、大会の感染症対策の中心的機能を果たすものにつきましては、全額を負担することとしております。
 さらに、国の役割として、関連する諸施策につきましても負担することとなっております。
 都は、開催都市として、大枠の合意や、これまでの関係者間での取り決めに基づく経費、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費の一部を負担することといたしました。
 これらをもとに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費九百六十億円、それを除く追加経費一千七百十億円に係る三者の負担額について、明らかにしたところであります。
 また、IOCは、組織委員会に対する支援の充実等のほか、大会開催に不可欠な各国オリンピック委員会、国際競技連盟等への支援を行うこととしています。
 今回の合意を踏まえまして、年内には組織委員会が大会経費バージョンファイブを策定いたしまして、大会経費の全体像を明らかにすることとしております。
 今後も、できる限り丁寧な説明を行うことによって、都民、国民の理解と共感を得られますよう準備を進めてまいります。
 そして、アスリートの方々、ボランティアの皆様、子供たち、そして大会を心待ちにしている全ての人々のために、二〇二〇大会を未来への希望をともす祭典として成功させてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 官民連携データプラットホームの構築についてお答えします。
 現在、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、社会全体でデータを本格的に利活用する動きが加速しております。都では、データ利活用を重視し、都政の構造改革においてオープンデータ徹底活用プロジェクトを打ち出しました。
 また、都内には、官民問わず膨大な数のデータが存在しておりますが、これらは組織やシステムごとに分断されており、データ同士がつながっておらず、効果的な利活用の妨げとなっております。
 こうした状況を克服するため、官と民とのデータを流通させるかけ橋となるのが官民連携データプラットホームであります。このプラットホームでは、官民のデータを幅広く取り込み、そして、オープンデータとして積極的に利活用できるよう準備を進めております。
 今年度の取り組みとしては、例えば、ウイズコロナ時代の三密回避に向け、混雑情報を収集、配信する企業等、約四十者が集まる施設系混雑ワーキンググループを設置し、そのうち一部事業者とは先行して混雑データを提供する協定を締結するなど、民間との積極的なコミュニティ形成を図っております。
 このように、データ流通を促進する一方、セキュリティーやプライバシーを守り、安心してデータ利活用できる社会としていくことも不可欠であります。
 そこで、外部の専門家を委員としたポリシー策定委員会を設置し、都民に安心していただくためのデータ収集や提供等にかかわるルール整備の検討を進めております。
 今後は、都政の構造改革全体を先導するオープンデータ化などの取り組みをスピード感を持って推進するとともに、広く利用者ニーズを把握するため、アイデアソンやマッチングイベント等の開催を検討するなど、官民で連携したデータ利活用の枠組みをさらに発展させてまいります。
 これらの取り組みを通じて、しっかりと行政や民間が保有するさまざまなデータの流通を加速させるとともに、社会経済状況や国の動向等を踏まえながら、適切な時期にプラットホームの運営組織を立ち上げ、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスの向上につなげてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、デジタル教科書やデジタル教材の導入についてでございますが、デジタル教材等は一人一台端末のもとで、習熟度に応じた学習や特別な配慮を必要とする児童生徒の効果的な学習を可能とし、全ての子供の学習意欲や学力の向上に有効でございます。
 こうした教材等の活用に当たりましては、発達段階や各教科の特色に合わせた活用方法、紙の教科書や各種学習教材との組み合わせ方などが、指導上重要となります。
 そのため、都教育委員会は、今年度から都立学校において、デジタル教科書と関連する映像や課題等の一体的な利用、図形の回転による理解促進など、活用研究に着手しております。
 今後、さらに区市町村教育委員会と連携し、小中学校においても学びの充実に向けた効果的な活用方法を研究するなど、実践的な事例を積み重ね、早期の導入に向け取り組んでまいります。
 次に、医療的ケア児等の放課後の過ごし方への支援についてでございますが、医療的ケア児や重症心身障害児を心豊かに健やかに育んでいくためには、関係機関等が互いに連携し、安全・安心な環境づくりを行うことが必要でございます。
 都教育委員会はこれまでも、児童生徒が円滑に放課後等デイサービス事業所に通うことができるよう、事業者と学校との連絡会の設置など、民間事業者等との連携を図ってきたところでございます。
 医療的ケア児等が都立特別支援学校内で放課後を安全に過ごすためには、運営形態のあり方、生活の場として必要となる施設、設備の確保や、ケアを行う人材の専門性等の検討が必要でございます。
 今後、こうした課題も含めて、幅広い観点から医療的ケア児等への支援策のあり方について、関係機関等と連携を図ってまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緑の保全、創出への新たな仕組みについてでございます。
 美しい緑に彩られた都市空間の創出に向けましては、民間活力をより一層生かして、都市づくりのさまざまな機会を捉え、緑を保全、創出していくことが重要でございます。
 都はこれまで、容積緩和を可能とする都市開発諸制度を活用し、開発区域内での質の高い緑を生み出してまいりましたが、広域的観点からの骨格的な緑の強化や、それらに囲まれた地の緑の充実のためにも、民間開発を効果的に誘導していく必要がございます。
 このため、区市町村のマスタープラン等におけます市街地環境向上の観点からの位置づけも踏まえまして、開発区域外においても緑の保全、創出等を促進できますよう、現在、都市開発諸制度の運用の見直しを検討しております。年内を目途に本制度の活用方針等を改定しまして、あらゆる場所で緑を感じられる都市をつくってまいります。
 次に、自転車活用推進計画の改定についてでございます。
 自転車は身近な交通手段の一つでございまして、車中心から人中心の環境に優しいまちづくりを進める上で、自転車を活用していくことは重要でございます。
 さらに、今回のコロナ禍を契機といたしまして、自転車利用環境の一層の充実を図ることが求められております。
 パリやロンドン等、従来から自転車利用を推進しておりました海外主要都市では、コロナ禍を受け、自転車通行空間の整備の前倒し等が進められております。
 都といたしましても、区市町村と連携しまして、通行空間ネットワークの形成や地域ニーズに対応した駐輪場整備の促進、交通安全対策の推進ができますよう、今後、学識経験者を交えて議論を重ね、計画を改定し、コロナ禍も踏まえ、多様なニーズに対応した自転車活用の推進を図ってまいります。
 最後に、東京高速道路、いわゆるKK線についてでございます。
 先般、有識者等から成る検討会から、歩行者中心の公共的空間に再生すべきとの提言を受けまして、都としての取り組み方針を年度内に取りまとめる予定でございます。
 その後さらに、事業化に向けまして、具体的な整備内容や事業スキームなどにつきまして検討、調整を進めてまいります。
 その際、KK線は現在、広域交通を担う首都高と一般道をつなぐ役割などを担っておりますことから、再生の時期を前倒しするためには、それに合わせてKK線の自動車道を廃止しても交通機能の面で支障がないか、十分に検証する必要がございます。
 こうした検討を進めるとともに、周辺まちづくりと連携した段階的整備による一部区間の早期開放も検討するなど、可能な限り早期の空中回廊の創出に向け取り組んでまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナとインフルエンザの同時流行への備えについてでございますが、都は、本格的な冬の到来に向け、東京iCDCでの議論を踏まえ、医療体制等の強化に取り組んでおります。
 まず、発熱などの症状があり、かかりつけ医がいない方などを対象に、二十四時間体制で相談に応じます東京都発熱相談センターを十月に設置いたしました。
 また、身近な診療所などで新型コロナの診療や検査が適切に受けられるよう、三千二百カ所を超える診療・検査医療機関を指定するとともに、御会派のご要望も踏まえ、検査体制につきましては、民間検査機関等への検査機器の導入支援を行うことで、目標を上回ります一日当たり最大六万八千件の処理能力を確保しております。
 さらに、年末年始の診療、検査体制を確保できますよう、今後、診療等を行う医療機関への新たな協力金を創設し、医師会とも連携しながら体制整備を進めてまいります。
 次に、自宅療養の支援体制についてでございますが、都は、保健所の負担軽減を図りますために、都保健所が管轄いたします多摩地域におきまして、九月からLINEの健康観察アプリを活用しました日々の健康管理や、自宅への食料品の配送など、新型コロナウイルス感染症で、自宅で療養される方の健康面と生活面を一体的に支援しております。
 現在、この取り組みの実施状況を検証し、より効果的な支援に向けた見直しを行いますとともに、保健所を設置しております特別区、八王子市、町田市に対しまして、都の取り組みを説明し、活用に向けました意向調査を実施しております。
 今後、この調査結果を踏まえながら、希望する区市への導入を進めてまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都職員の保健所への派遣についてでございますが、新型コロナ感染症対策の最前線を担う保健所への支援については、これまで保健所支援拠点の設置やトレーサー班の配備など、さまざまな手だてを講じてまいりました。中でも、都職員を全保健所で合計百二十名程度常時派遣しており、保健師の効率的な業務遂行に寄与しております。
 この派遣に関しましては、事前に保健所の意向を把握した上、事業の繁閑を踏まえた計画的な派遣者の選任により、三カ月以上の派遣期間を確保するように努めてまいりました。
 今後、職員の交代時には、通常よりも長い二週間程度の引き継ぎ期間を設け、業務のノウハウを確実に引き継いでまいります。
 また、各保健所の派遣ニーズを定期的に把握し、必要に応じて派遣規模の拡大を含めてしっかりと対応を図り、保健所の持続的な機能発揮を支えてまいります。
 次に、災害時における情報通信技術の活用についてでございますが、災害が頻発し、被害も甚大になる中、最新の情報通信技術をより一層活用し、迅速な応急対策や必要な情報を的確に発信していくことが不可欠でございます。
 都は現在、防災行政無線による災害情報システムを活用し、区市町村等との情報共有を行うとともに、都民が必要とする防災情報の積極的な発信を行っております。
 今後新たに、国や東京消防庁のシステムと連携し、近隣県の道路被害情報や火災発生情報等の入手により、救助部隊の最適なルート選定や物資の効率的な調達、住民の安全な避難に生かしてまいります。
 また、SNS分析ツールを導入し、デマ等の誤情報を排除した正確な情報を迅速に発信してまいります。先端デジタル技術を最大限取り入れ、情報収集力と発信力を強化し、東京の防災力をさらに向上させてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、検査を受ける方の生活不安についてでございますが、国は、感染症の影響で収入が減少し、生活に困窮した方への支援として、生活福祉資金の特例貸付や生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の対象者の拡大などの支援策を実施しております。
 都は、生活福祉資金の貸し付けが円滑に行われるよう、実施主体である東京都社会福祉協議会を支援するとともに、都のホームページで本制度を広く周知しております。
 お話のように、都民が安心して検査を受けられるよう、陽性が判明した場合の生活の不安を軽減することは重要であり、必要な方が生活福祉資金などの支援制度に速やかにつながるよう、今後、制度の内容や相談窓口などについて、SNS等の多様な媒体の活用や、都民と直接接する保健所等関係機関との連携などにより、さらなる周知を図ってまいります。
 次に、生活困窮者への支援についてでございますが、都は、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した方等に、生活福祉資金の特例貸付が確実に行われるよう、必要な貸付原資を確保してまいりました。
 また、ネットカフェの利用者等が住宅に困窮した際、ビジネスホテルや一時利用住宅を提供できるよう、TOKYOチャレンジネットを活用しております。
 今回の補正予算案には、年末年始に向けて、当面必要となる生活福祉資金の貸付原資を追加するとともに、失業等により住居を失った方に、一時的な宿泊場所として最大千室を提供するための経費を計上しております。
 今後、こうした支援が有効に利用されるよう、予算成立後、速やかにホームページやSNS等により広く周知するとともに、区市や関係機関とも連携し、居住の場の確保など、自立に向けた支援に取り組んでまいります。
 次に、在宅高齢者への支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛により、高齢者の心身機能の低下が危惧されております。
 このため、都は、新型コロナウイルス感染症の感染を防ぎながら、高齢者が適度な運動や十分な栄養摂取など健康的な生活習慣を保てるような、簡単な体操などを紹介した動画や、社会参加の際の感染症対策をわかりやすく示したリーフレットなどにより、普及啓発を行っております。
 また、従来の面会や戸別訪問など、対面を前提とした見守り活動が困難となっているため、非接触型の見守りなどの地域での実践を踏まえ、コロナ禍における見守り方法について新たに検討を開始いたしました。
 今後、こうした課題に対するオンラインツールの活用支援も検討し、在宅高齢者が安心して暮らせるよう取り組みを進めてまいります。
 次に、子供食堂への支援についてでございますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、子供食堂を開催することが難しくなったことから、都は、緊急対策として、家に閉じこもりがちな子供やその保護者を対象に、調理した弁当や食材の宅配などを行う場合にも、区市町村を通じて支援することといたしました。
 お話のように、子供食堂は食事の提供を通じて家庭の生活状況を把握することができ、必要に応じて支援につなげる役割を担うことが期待されております。
 こうした役割を十分に果たしてもらうには、子供や保護者と接するスタッフが虐待の予防等に関する知識を習得できるよう支援することが必要であり、今後、子供と家庭に対する地域の見守り機能を一層強化できるよう、子供食堂への支援の拡充を検討してまいります。
 次に、児童虐待の未然防止、重篤化防止についてでございますが、都は、援助や見守りが必要な家庭を早期に発見して、適切な支援につなげるため、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、切れ目のない支援を行うとうきょうママパパ応援事業や、子育て広場等での育児相談など、区市町村のさまざまな取り組みを支援しております。
 本年七月に立ち上げた児童福祉審議会専門部会では、子育て支援サービスの充実とともに、区市町村と連携して予防的支援のモデルを確立すべきとの意見や、虐待の早期対応強化のため、子供家庭支援センター内に児童相談所のサテライトオフィス設置を推進し、都と区市町村の連携を一層強化すべきなどの意見が出されました。
 今後、こうした議論も踏まえ、虐待の未然防止、重篤化防止に向けた具体的な取り組みについて検討してまいります。
 次に、乳幼児揺さぶられ症候群についてでございますが、児童相談所は、医療機関から揺さぶられによる虐待疑いの通告を受けた際には、医師や保護者から受傷原因等の情報を収集するほか、小児科、脳神経外科等によるセカンドオピニオンなどにより、虐待に該当するかどうかについて丁寧な調査と慎重な判断を行っております。
 また、都は昨年度、児童の福祉実現のための適切な一時保護に向けた考え方を示した要領で、保護を必要最小限の期間とする旨を明示するとともに、児童相談所長会で乳幼児揺さぶられ症候群に係る対応を改めて確認いたしました。
 こうしたことを踏まえ、一時保護委託中であっても、個々の状況に応じて面会交流を進めるとともに、保護者に調査の進捗状況や子供の健康状態を伝えるなど、子供と保護者の愛着形成に配慮した丁寧な対応を行ってまいります。
 最後に、がんとの共生等による推進についてでございますが、都はこれまで、がん患者の治療と仕事の両立を推進するため、がん治療の基礎知識などをまとめた企業向けハンドブックや社員研修用のDVDを作成し配布するなど、事業者への働きかけを行ってまいりました。
 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、テレワークや時差出勤など就労形態にも変化が見られ、がん患者の受療行動に影響が生じていることが想定されることから、今年度中に、がん診療連携拠点病院等でその実態を調査いたします。
 その調査結果を踏まえ、東京都がん対策推進協議会の就労支援ワーキンググループで、がん患者が治療を受けながらその人らしく働き続けられるよう、新たな支援策等を検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業への感染症に係る支援策についてですが、感染が再び拡大し、都内経済の回復におくれが生じる中、感染防止策を講じた上で事業の継続を図る中小企業への支援が極めて重要となっております。
 これまで都は、感染症防止ガイドラインに基づく事業者の取り組みに対する支援や、飲食店が宅配等のサービスを開始する上で必要となる経費の助成など、感染症防止と経済活動の両立に向けた支援を強化しつつ、事業実施期間も延長してきたところでございます。
 今後、都内経済の立て直しに向けては、こうした感染症に対応した取り組みを数多くの中小企業に浸透させていく必要があることから、事業実施期間の再度の延長や、感染状況に応じて適切に支援を実施するための措置について検討してまいります。
 次に、大会を契機とした東京の魅力発信についてですが、東京二〇二〇大会は、コロナ禍後、世界で初めて開催されるメガイベントであり、開催都市東京の魅力を広く世界に発信するチャンスでございます。
 都はこれまでも、三百六十度動画などの最新技術を積極的に取り入れながら、東京の豊かな観光資源を効果的に発信してまいりました。
 今後はさらに、競技会場周辺及び都内各地の魅力の紹介や、バリアフリー観光ルートを疑似体験できる映像の作成などによりまして、海外でもオンラインで東京の観光を楽しめる取り組みを検討いたします。
 また、VR等、新技術などを活用したオンラインツアーを造成する事業者の取り組みも支援してまいります。
 大会への注目度を活用しながら、東京の魅力や徹底した感染防止対策を国内外に広く発信することで、訪都意欲の喚起につなげてまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 水道、下水道料金の支払い猶予についてでございますが、都では、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響が依然として懸念されている状況を踏まえ、本年十一月十六日から支払い猶予の新規受け付けを再開いたしました。
 この制度を、支援を必要としているお客様に確実に知っていただくため、報道機関を通じた広報や、局ホームページ及びSNSでの周知を行ったほか、今後、「広報東京都」や検針票のPR欄も活用し、広く周知してまいります。
 また、水道局の営業所等におきましても、制度を個別に案内するなど、きめ細かな周知も実施しております。
 さらに、猶予期間終了後の支払いにつきましても、期間一年以内の分割支払いなど、お客様の状況等を踏まえた個別の相談に応じることとしており、引き続き、お客様に寄り添って対応してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 特別区消防団の災害情報の共有についてでございますが、災害発生時に消防団が効果的に活動を実施するためには、団本部及び分団本部との情報共有体制が重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、分団本部施設等にモバイルWi-Fiを整備し、携帯型端末の活用により、災害現場の状況やインターネット等から収集した情報を団本部と分団本部間で共有することで、効果的な指揮及び分団活動に反映できる体制について検討しております。
 今後、これらの検討を踏まえ、より安全かつ効果的な消防団活動を実施するための災害情報の収集及び共有体制の構築に取り組んでまいります。
〔戦略政策情報推進本部長寺崎久明君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(寺崎久明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都保有アセットのさらなる開放についてでございますが、都は、通信事業者による5G環境の早期構築を図るため、積極的に都有施設の開放をすることで、つながる東京の実現に向けましてアンテナ基地局の設置を後押ししております。
 通信事業者からは、こうした都独自の取り組みが、5Gネットワーク構築をスピード感を持って進める上で効果的であるとのご意見をいただいております。
 今後、ネットワーク構築の上でかなめとなるエリアにつきましては、アセットの開放をさらに強力に推し進めてまいります。
 具体的には、西新宿エリアの工作物のトライアル設置における耐荷重等の検証も踏まえつつ、新たに、このエリア以外におきまして、通信事業者からニーズの高いターミナル駅周辺などの街路灯や地下鉄出入り口等の開放に向け、関係局と検討を進めてまいります。
 次に、高齢者等のデジタル対応支援についてでございますが、デジタル社会の実現に向けましては、ICTを活用していく中で、高齢者を含む全ての方が、その便益を享受できることが求められております。
 そのためには、デジタル化の推進と同時に、格差の是正に取り組んでいく必要がございます。また、その対策につきましても、来年四月の条例施行を待つことなく、今年度からシームレスに対応していくことが重要でございます。
 このため、高齢者等に身近なサービスを提供する区市町村との連携を視野に入れ、今年度中に自治体の先駆的な取り組み等についてヒアリングなどを実施し、自治体の手続の電子化の取り組みにおきまして、来年度早期に効果的な支援策の実施ができますよう検討を前倒しで行ってまいります。
 今後、ICTの積極的な活用と高齢者等への支援を両輪といたしまして、スピード感を持ってデジタル化に取り組んでまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) スマートエネルギーマネジメントを通じた再生可能エネルギーの普及についてでございますが、再エネ大量導入時代を見据えると、電力の送配電網に大きな負担をかけることなく、地域の再エネを無駄なく活用するエネルギーシェアリングの推進が重要でございます。
 そのため、都は今年度、地域やエネルギー需給等の特性を踏まえまして、商業施設や大学などで太陽光パネルや蓄電池、EVなどの組み合わせにより、電力の最適な需給調整を行うバーチャル・パワー・プラントなど、新たな技術の活用について、実現可能性調査を行っているところでございます。
 今後、新たにこうした技術を活用しまして、防災性向上にも資する地域での再エネシェアリングの実現に向けた検討を行ってまいります。
 このような取り組みを通じまして、将来の地域RE一〇〇の実現に向け、再エネの効率的な利用と普及拡大を進めてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 空き家対策の推進についてでございますが、空き家対策を進めるためには、地域の特性を踏まえた区市町村の取り組みを効果的に支援するとともに、NPO法人や企業等、多様な事業主体との連携が重要でございます。
 このため、都は、区市町村による実態調査や計画策定、改修等を支援するとともに、今年度から、民間事業者等が取り組む空き家対策に直接補助する事業を開始いたしました。
 今後は、区市町村への補助要件の緩和など、より活用しやすい制度へ見直してまいります。
 さらに、民間事業者等と連携し、空き家の活用希望者を所有者とマッチングする仕組みの整備や、テレワークに対応したコワーキングスペースなど新たな働き方の推進に資する活用への支援等を検討してまいります。
 こうした取り組みを通じ、多様な主体と一層緊密に連携し、空き家対策を重層的に展開してまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 新たな利用形態を踏まえた自転車安全対策についてですが、コロナ禍により、自転車の事業利用に係る事故が増加し、死亡事故も発生するなど、自転車の安全対策は極めて重大な課題であります。
 都は、フードデリバリーを含む事業者向けの自転車安全利用に関するセミナーを開催するなど、個別事業者の安全確保に向けた取り組みを支援しております。
 加えて、デリバリー事業者の団体に対し、交通安全に関する情報提供を行うなど、業界全体の安全意識の向上も促進しております。
 今後は、警視庁等と連携し、実際に配達に従事する者への実技指導を伴う講習会を継続して開催することなど、実効性のある対策を事業者とともに引き続き検討してまいります。
 さらには、デリバリーの従事者一人一人の安全な自転車利用が着実に進むよう、さまざまな手段、媒体を活用し、自転車の安全対策を強力に推進してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 道路の景観整備についてでございますが、快適な道路環境を創出し、美しさや潤いのある道路づくりを進めるため、道路の景観整備は重要でございます。
 お話のとおり、近年、都市再生などによる個性的で魅力的なまちづくりが進められたことで、まち並みと調和した道路の修景が求められており、新たに東京ストリートヒューマンファースト事業に取り組むことといたしました。
 具体的には、日比谷通りや府中街道等の十九路線におきまして、沿道や地域のまちづくりの状況に合わせ、歩道舗装、道路照明等を洗練されたデザインにより整備してまいります。加えて、透水性ブロックやLED照明の採用により環境にも配慮いたします。
 今後、パブリックコメントを経て整備計画を策定いたしまして、多様な人々が集う首都東京にふさわしい、快適で魅力ある道空間の創出に取り組んでまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 海の森の魅力の創出についてでございますが、海の森は、都民との協働により森づくりを進めており、都心からほど近く、海の眺望を楽しめる自然豊かな公園として、東京二〇二〇大会後の開園を目指し整備を進めております。
 開園後は、東京二〇二〇大会のレガシーとなります水上競技場とも連携し、多くの方々が来訪するにぎわいの拠点として、その魅力を高めていくことが重要でございます。
 そのため、海の森の理念に賛同する企業、団体のアイデアやノウハウを最大限活用しながら、環境学習から大規模な音楽フェスまで、多様で魅力的なイベントを開催するなど、このエリアのにぎわい向上を図ってまいります。
 あわせて、開園に向け、誰もが来訪しやすい環境となりますよう、舟運を活用したアクセスの向上に取り組んでまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

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