令和二年東京都議会会議録第二十号

令和二年十一月三十日(月曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番内山 真吾君
四番龍円あいり君
五番保坂まさひろ君
六番関野たかなり君
七番福島りえこ君
八番森澤 恭子君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番やまだ加奈子君
十二番西野 正人君
十三番林あきひろ君
十四番藤井とものり君
十五番原田あきら君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番米川大二郎君
二十一番菅原 直志君
二十二番清水やすこ君
二十三番白戸 太朗君
二十四番木下ふみこ君
二十五番増田 一郎君
二十六番斉藤れいな君
二十七番伊藤しょうこう君
二十八番田村 利光君
二十九番柴崎 幹男君
三十番舟坂ちかお君
三十一番清水 孝治君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番米倉 春奈君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番本橋ひろたか君
四十一番馬場 信男君
四十二番佐野いくお君
四十三番細谷しょうこ君
四十四番栗下 善行君
四十五番中山ひろゆき君
四十七番田の上いくこ君
四十八番奥澤 高広君
四十九番大場やすのぶ君
五十番小宮あんり君
五十一番神林  茂君
五十二番早坂 義弘君
五十三番高橋 信博君
五十四番西沢けいた君
五十五番河野ゆりえ君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とくとめ道信君
六十番上野 和彦君
六十一番のがみ純子君
六十二番まつば多美子君
六十三番両角みのる君
六十四番西郷あゆ美君
六十五番森口つかさ君
六十六番鳥居こうすけ君
六十七番村松 一希君
六十八番ひぐちたかあき君
六十九番つじの栄作君
七十番後藤 なみ君
七十一番岡本こうき君
七十二番桐山ひとみ君
七十三番石川 良一君
七十四番川松真一朗君
七十五番小松 大祐君
七十六番中屋 文孝君
七十七番鈴木あきまさ君
七十八番山口  拓君
七十九番曽根はじめ君
八十番清水ひで子君
八十一番とや英津子君
八十二番池川 友一君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番おじま紘平君
八十九番あかねがくぼかよ子君
九十番もり  愛君
九十一番平  慶翔君
九十二番成清梨沙子君
九十三番藤井あきら君
九十四番鈴木 邦和君
九十五番滝田やすひこ君
九十六番森村 隆行君
九十七番入江のぶこ君
九十八番菅野 弘一君
九十九番鈴木 章浩君
百番宇田川聡史君
百一番吉原  修君
百二番中村ひろし君
百三番里吉 ゆみ君
百四番尾崎あや子君
百五番あぜ上三和子君
百六番橘  正剛君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番山田ひろし君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番秋田 一郎君
百二十一番三宅 正彦君
百二十二番山崎 一輝君
百二十三番三宅しげき君
百二十四番高島なおき君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 二名
四十六番  たきぐち学君
五十九番  遠藤  守君

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事多羅尾光睦君
副知事梶原  洋君
副知事武市  敬君
副知事宮坂  学君
警視総監斉藤  実君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長中嶋 正宏君
総務局長山手  斉君
消防総監安藤 俊雄君
財務局長潮田  勉君
生活文化局長野間 達也君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長吉村 憲彦君
福祉保健局健康危機管理担当局長初宿 和夫君
産業労働局長村松 明典君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
住宅政策本部長榎本 雅人君
中央卸売市場長黒沼  靖君

十一月三十日議事日程第一号
第一 第百八十九号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百九十号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百九十一号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百九十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十七号議案
令和二年度東京都一般会計補正予算(第十三号)
第六 第百八十八号議案
職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十二号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十三号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百九十四号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十七号議案
東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第十二 第百九十八号議案
東京都災害廃棄物処理基金条例
第十三 第百九十九号議案
東京都公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十五 第二百一号議案
東京都東村山福祉園(二)改築工事請負契約
第十六 第二百二号議案
神津島港津波避難施設(二)新築工事その三請負契約
第十七 第二百三号議案
都営住宅二H─一〇七東(北区浮間三丁目)工事請負契約
第十八 第二百四号議案
都営住宅二H─一一二東(足立区花畑七丁目)工事請負契約
第十九 第二百五号議案
雑司が谷環状第五の一号線トンネル(仮称)(二)立坑築造工事その二請負契約
第二十 第二百六号議案
中川護岸耐震補強工事(その五十一)請負契約
第二十一 第二百七号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その一)について
第二十二 第二百八号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その二)について
第二十三 第二百九号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その三)について
第二十四 第二百十号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その四)について
第二十五 第二百十一号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その五)について
第二十六 第二百十二号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その六)について
第二十七 第二百十三号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その七)について
第二十八 第二百十四号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その八)について
第二十九 第二百十五号議案
東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その九)について
第三十 第二百十六号議案
当せん金付証票の発売について
第三十一 第二百十七号議案
土地の信託の変更について
第三十二 第二百十八号議案
東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第三十三 第二百十九号議案
東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第三十四 第二百二十号議案
東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第三十五 第二百二十一号議案
東京都船形学園の指定管理者の指定について
第三十六 第二百二十二号議案
東京都八街学園の指定管理者の指定について
第三十七 第二百二十三号議案
東京都勝山学園の指定管理者の指定について
第三十八 第二百二十四号議案
東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
第三十九 第二百二十五号議案
東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
第四十 第二百二十六号議案
東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
第四十一 第二百二十七号議案
東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
第四十二 第二百二十八号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第四十三 第二百二十九号議案
東京都立産業貿易センター台東館の指定管理者の指定について
第四十四 第二百三十号議案
東京都立多摩産業交流センターの指定管理者の指定について
第四十五 第二百三十一号議案
晴海客船ターミナル外四施設の指定管理者の指定について
第四十六 第二百三十二号議案
竹芝客船ターミナル外一施設の指定管理者の指定について
第四十七 第二百三十三号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外七施設の指定管理者の指定について
第四十八 第二百三十四号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第四十九 第二百三十五号議案
二見漁港桟橋(1)外八施設の指定管理者の指定について
第五十 第二百三十六号議案
東京都八丈島空港の指定管理者の指定について
第五十一 第二百三十七号議案
東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十二 第二百三十八号議案
東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十三 第二百三十九号議案
東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第五十四 第二百四十号議案
東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第五十五 第二百四十一号議案
東京都立横網町公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百四十二号議案
東京都立葛西臨海公園の指定管理者の指定について
第五十七 第二百四十三号議案
東京都八重洲駐車場外四駐車場の指定管理者の指定について
第五十八 第二百四十四号議案
東京都板橋四ツ又駐車場の指定管理者の指定について
第五十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第十二号)の報告及び承認について

   午後一時開会・開議
○議長(石川良一君) ただいまから令和二年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   五番   保坂まさひろ君 及び
   七十二番 桐山ひとみさん
を指名いたします。

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和二年十一月二十日付東京都告示第千四百十二号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案五十八件の送付がありました。
 次に、本定例会に提出するため送付された議案について、令和二年十一月三十日付で変更の通知がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民小柴昌俊氏は、去る十一月十二日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(石川良一君) この際、令和二年十月二十八日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職二十年以上、高島なおき君、吉原修君。
 在職十五年以上、高橋信博君、河野ゆりえさん、神林茂君、石毛しげる君、宇田川聡史君、中屋文孝君、秋田一郎君、早坂義弘君、尾崎大介君、鈴木あきまさ君。
 在職十年以上、三宅正彦君、小宮あんりさん。
 ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
〔拍手〕

○議長(石川良一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともにご送付しておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一〇ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員をご紹介いたします。
 東京都技監都市整備局長兼務上野雄一君。
〔理事者挨拶〕

○議長(石川良一君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(石川良一君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る十一月二十七日付をもって、お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。
〔常任委員所属変更名簿は本号末尾(一二九ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) 会期についてお諮りいたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十六日までの十七日間といたしたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(石川良一君) 起立多数と認めます。よって、会期は十七日間と決定いたしました。

○議長(石川良一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和二年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 十一月十二日、名誉都民である小柴昌俊さんが逝去されました。改めて、ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 まずは、まさに正念場を迎えております新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 都内では今、感染が急速に拡大をいたしております。特に、重症化リスクの高い高齢の新規陽性者数が増加し、重症者数も高い水準で推移するなど、予断を許さない状況であります。都民の皆様の命を守るため、そして、感染症対策の最前線で働く医療従事者の方々の負担を抑えるため、これ以上の感染拡大は何としても阻止しなくてはなりません。
 都は現在、一日当たり最大約六・八万件の検査体制を整え、重症者用三百床の確保を視野に入れた患者受け入れ体制の強化や、宿泊療養施設のさらなる活用を図っておりまして、来月十六日には、旧都立府中療育センターを活用した新たな専用医療施設を開設いたします。陽性者を早期に特定し、速やかに入院、宿泊療養へとつなげることで、感染の広がりや重症化を抑えてまいります。
 何よりも大切な都民の命を守り抜く。これまで一貫して申し上げてきた都知事として最も重要な使命を果たすべく、死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ、この三つの柱を軸として、引き続きなすべきことに邁進してまいります。
 あわせて、都民、事業者の皆様のご協力こそ、一人一人の命を守るための生命線であります。都民の皆様には、マスク着用や小まめな手洗い、換気、消毒など、東京iCDCの専門家ボードから示された基本的な対策を改めて徹底いただくようお願いをいたします。
 また、一昨日から来月十七日までの二十日間、区部及び多摩地域において、酒類を提供する飲食店及びカラオケ店の皆様に、営業時間の短縮を要請しております。大きなご負担をおかけしておりますが、今ここで感染の広がりを食いとめなくてはなりません。何とぞご理解をいただきたく存じます。
 全面的にご協力をいただいた中小事業者の方々には、協力金をお支払いすることといたしておりまして、先般そのための補正予算について専決処分を行ったところであります。
 加えて、この期間、都民の皆様には不要不急の外出をお控えいただき、外出する場合は感染の予防と対策に万全を期すようお願いをいたします。都民、事業者の皆様とともに、この正念場を早期に乗り越える。そのために、感染対策短期集中の覚悟で、あらゆる対策を講じてまいります。
 そして、本定例会には、医療提供体制及びセーフティーネットの強化充実を柱とした総額二千三百八億円の補正予算案を提案いたしました。
 引き続き、医療従事者への慰労金の支給や、休業等の影響を受けた世帯への生活福祉資金の貸し付け等を進めます。
 加えて、都議会の皆様のご要望も踏まえ、年末年始における対策として、診療検査体制の確保、中小企業の資金需要への対応、住まいを失った方々への一時住居の提供など、きめ細かな取り組みを展開し、区市町村とも連携しながら、都民の皆様の安心を確保してまいります。
 また、感染症対策としても有効なスムーズビズをさらに促進してまいります。経済団体、労働団体とともにテレワークの一層の普及を目指す東京ルールにつきましては、来週より実践企業宣言制度を開始いたします。みずからルールを策定し、テレワーク推進を宣言した企業に対して、新たな融資制度等により支援を行うことで、都内企業におけるテレワークの定着を強力に進めます。
 また、あすからは、昨年度に続きまして冬のスムーズビズ実践期間を開始するなど、改めて、新しい日常における働き方として、テレワーク、時差出勤の浸透を図ってまいります。都民、企業等の皆様のご協力、よろしくお願いを申し上げます。
 都民の命を守り抜く。そのためには、ウイルスから命を守ることはもとより、コロナ禍で仕事を失われた方、生活に困窮されている方、将来に不安を抱いている方、こうした方々の命を守ることも決して忘れてはなりません。
 引き続き、さまざまな境遇にある皆様に寄り添いながら、セーフティーネットの構築に向けた取り組みを一層強化することで、一人一人のかけがえのない命をしっかりと守ってまいります。
 新型コロナウイルス感染症との闘いに力を尽くしてきた二〇二〇年。今もなお、世界中で対策の暗中模索が続く、人類にとって試練の一年であります。戦後七十五年、この間、日本は幾度かの大きな困難に見舞われながらも、そのたびに力強く立ち上がり、社会そのものも進化を遂げてまいりました。オイルショックを教訓とした省エネルギー技術の進展や、阪神・淡路大震災後の耐震化の加速などは、その代表例といえましょう。
 また、今般、都の感染症対策サイトの構築にも活用した、ITの力で市民が社会的課題を解決するシビックテックの取り組みも、東日本大震災を契機に少しずつ広がりを見せたものであります。
 今、戦後最大といわれる危機を迎えている私たちは、都民の命と東京の経済を守ることを最優先としながら、その先の未来へと羽ばたくべく、コロナ禍で浮き彫りとなった課題を克服する構造改革を大胆に進めなければなりません。
 これまで議論を重ねてきた社会の構造改革につきましては、先月末、有識者の皆様方から、前向きな変革を生み出すための多彩な提言をいただきました。デジタルトランスフォーメーションで新しい未来を実現する。最も重要な価値は安全・安心である。社会のセーフティーネットを強化するとともに、多様性を圧倒的に高める。アジアで一番の経済金融都市を目指す。東京が進むべき方向性として示されたこれらの至言を踏まえ、よりよい社会を築くための具体の改革を推進してまいります。
 また、東京が変わる、そのために都政を変えるを信念とする都政の構造改革につきましては、現在、最優先で進めるべきコアプロジェクトに邁進しております。
 都庁の生産性を飛躍的に向上させるため、最先端のデジタル業務環境を整える。都が保有するデータをオープンデータとして徹底的に公開し、官民の英知を持ち寄って東京の課題解決を図っていく。都民の期待を上回る価値を提供するためのこれらの取り組みについて、先日、進捗状況を公表いたしました。
 今後、各局におけるリーディングプロジェクトを展開し、国、区市町村、民間とも連携しながら、全庁一丸で改革のスピードアップを図ってまいります。
 社会の構造改革と都政の構造改革。この両輪をサステーナブルリカバリーの観点を取り入れながら力強く前へと進めていく。その先に、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフと都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスをともに高めることで、誰もが幸せを実感できる都市を実現していきたいと思います。
 こうした構造改革の肝となるのは、バーチャルの世界を効果的に活用していくデジタルトランスフォーメーション、DXであります。
 コロナ禍からの経済回復の速度は、デジタル競争力にも左右されるといわれる中、東京は今こそ、DXを一気に加速していかなければなりません。都はその牽引役となるべく、都政のDXに向けた機能や体制を備えた新たな局を立ち上げることといたしました。
 ICT人材を豊富に活用し、先端技術による全庁的な業務改革を先導するとともに、全職員のデジタル能力の底上げを図るなど、DXを力強く推し進める核となる組織であります。来年の第一回定例会に条例案を提案し、現在の戦略政策情報推進本部を改組する形での設置を目指してまいります。
 加えて、私は、リアルの世界で活躍する人の力をもっと輝かせたいと思います。人と人がつながり、知恵や技術を結集して付加価値を生み出すことで、東京はこれまで、世界有数の大都市として発展を続けてまいりました。
 今後とも、東京が誇るべき人の力を最大限に引き出すとともに、大いなる可能性を秘めるデジタルの力を徹底的に活用する。このデジタルの力はまた、人の力を一層高めることにもつながります。
 そして、このリアルとバーチャルのハイブリッドによって、新たな価値を創造し続けることこそ、東京が激化する世界の都市間競争に打ち勝つとともに、誰もが心豊かに暮らせる都市へとさらに進化するための要諦なのであります。
 デジタル化で新しい成長を遂げる東京。人が輝く東京。この実現に向けた東京大改革二・〇は、まさにその進化のための取り組みであり、これを果敢に推し進め、成長と成熟が両立した世界に輝く都市東京をつくり上げてまいります。
 都民、国民の皆様のご理解とご協力のもとに開催を目指す東京二〇二〇大会については、新型コロナウイルス感染症対策を徹底するべく、国、組織委員会等とともに精力的な検討を行っております。年内には中間整理を取りまとめ、アスリート、観客、ボランティアなど、誰もが安心できる大会運営のための準備を着実に講じてまいります。
 現時点で約三百億円の経費削減効果を見込む大会の簡素化に向けた見直しにつきましては、国際競技連盟や各国オリンピック委員会など関係者とさらなる努力を重ねるとともに、延期に伴う追加経費の負担のあり方を含め、IOC、国、組織委員会と協議を進めてまいります。
 先月には、延期していた東京アクアティクスセンターの完成披露式典を実施いたしました。これを含め、都が整備した六つの新規恒久施設は、現在、競技団体や都民を初め、広くご利用いただいております。
 今月からは、大会への希望の道を照らす聖火が日本各地で展示され、その火をつなぐリレートーチも都内の全区市町村をめぐる展示を開始いたしました。こうした取り組みを通じて、都民、国民の皆様に改めて大会を身近に感じていただき、機運を盛り上げていきたいと存じます。
 努力を続ければ、トンネルの出口を聖火が照らしてくれるであろう。先日、東京二〇二〇大会に向けた連携を直接確認したIOCバッハ会長の言葉を胸に、引き続きオリンピック・パラリンピック成功への道のりを一歩一歩着実に歩んでまいります。
 感染拡大の封じ込めとともに、今なすべきは、疲弊した経済を立て直し、明るい未来へと力強く歩むための活力と希望を取り戻すことであります。感染拡大防止を大前提としながら、東京がさらなる進化を遂げるための新しい成長を実現するべく、取り組みを推進してまいります。
 国際金融都市として、アジアナンバーワンの地位を不動のものとする。これは、我が国の成長の牽引役であり、金融エコシステムが圧倒的に集積している東京の使命であります。都市間競争が熾烈さを増す中、東京が世界から選ばれる都市としてプレゼンスを発揮するには、今がラストチャンスといっても過言ではありません。この機を捉え、アジアからの金融系企業の誘致を加速するべく、先月、海外初となるビジネスコンシェルジュ東京を香港に設置したほか、東京進出をうかがう外国企業に都内オフィスの一時提供を行うなど、積極的に施策を展開しております。
 今月からは、新たな有識者会議を立ち上げまして、国際金融都市東京構想の改定に着手をいたしました。SDGsやデジタル技術等、新しい視点からの議論を進めており、国際情勢や時代の変化を踏まえた実効性ある取り組みを練り上げ、手を緩めることなく推進してまいります。
 喫緊の課題でありますデジタルトランスフォーメーションを加速する上で、5Gによるイノベーションを生み出すスタートアップの成長は欠かせません。今般、都は、地方自治体で初めてローカル5G基地局の免許を取得し、都立産業技術研究センターに5G環境を備えたDX推進センターを開設いたしました。デジタル技術を用いた付加価値の高い製品の実証の場として、中小企業やスタートアップに大いに活用していただき、東京の新しい成長に向けた産業力強化を図ってまいります。
 また、画期的な製品やサービスをつくり出すスタートアップと協働いたしまして、都政の課題解決につなげる拠点を年明け、西新宿に開設いたします。行政、民間、スタートアップの交流を通じまして、従来の枠にとらわれない斬新なアイデアを掘り起こし、新たな官民連携モデルを確立してまいります。
 販路開拓や受発注の拡大など、中小企業のビジネスチャンスのフィールドを提供してきた産業交流展は、この冬、その舞台を丸ごとバーチャルの世界に移し、国内最大級のオンライン展示会として開催いたします。ウイズコロナ時代における展示会の新しい形として成功に導き、各企業の持続可能な成長へとつなげてまいります。
 一方で、リアルの世界における中小企業の人材確保も重要な課題であります。特に、語学力はもとより、専門的技能を磨いた外国人材の活用が進めば、海外への販路拡大など新たなビジネスチャンスが広がり、都内産業の成長を底上げすることにもつながります。
 今週末には、外国人材採用ナビセンターを新たに開設し、採用から定着まで、中小企業の多様な人材確保をきめ細かく支援をいたします。まさしくリアルとバーチャルの両面から、東京の経済と雇用を支える中小企業の発展を力強く支えてまいります。
 先端技術を活用した東京型スマート農業を実現し、農業の稼ぐ力も高めてまいります。先般、その推進基盤として、民間や研究機関、生産者など多様な主体で構成する研究開発プラットフォームを開設いたしました。
 年明けには、ローカル5Gを活用した遠隔指導など、新しい農業技術の実装を目指した取り組みを開始いたします。産官学の知恵、そして技術を結集し、東京農業の発展を促すイノベーション創出を目指してまいります。
 デジタル化の波に乗りおくれた我が国は、世界との競争から取り残されつつあります。こうした強い危機感から、世界にも通用するIT人材を早期に育て上げるべく、来年四月より、民間等と連携した新たな教育プログラム、Tokyo P-TECHを開始いたします。
 全国で初となる、工業高校から専門学校まで一貫した五年間のカリキュラムについて、最先端技術を持つIT企業の全面的なバックアップを受け、専門的、実践的な学びを提供いたします。都立町田工業高校で先行して実施をし、将来的にはさらなる拡大を図ることで、技術の力で新たな価値を創造する人材の育成を加速していきたいと思います。
 人々の移動や社会経済活動が制約を受ける中、東京の経済の一角を担う観光産業をいかに支えていくか。今こそ、この間の環境変化を踏まえた今後の観光振興の方向性について、明確なビジョンを持たなければなりません。
 先日、ウイズコロナ時代における観光施策の基本的な考え方につきまして、有識者会議の意見がまとまりました。誰もが安全・安心に旅行できる環境の整備を初め、多摩・島しょ地域の魅力活用、長期滞在向けのコンテンツの充実など、未来を見据えた貴重な提言のもと、感染症対策を的確に講じながら新しい観光の形をつくり上げてまいります。
 次に、東京の社会経済活動を強固に支え、安全・安心や新しい成長の礎となる魅力と強さを兼ね備えたまちづくりについて申し上げます。
 まずは、命を守る強靭な都市をつくるための災害対策についてであります。
 先月、三宅村及び御蔵島村におきまして、大雨特別警報が発表されました。都は、地元自治体と連携して対応に当たり、幸い大きな被害は生じませんでしたが、私たちは、七年前に大島町で発生した大規模な土砂災害を忘れてはなりません。
 さらに、昨年は台風が立て続けに猛威を振るうなど、風水害がまさに激甚化、頻発化する中、都はこれまで、防災事業の緊急総点検や大規模風水害検証会議の設置によりまして、全庁を挙げて対策のグレードアップを図ってまいりました。
 今般、それらの検証結果や、感染症との複合災害に備える視点等を反映させた地域防災計画風水害編の修正素案を取りまとめたところであります。
 引き続き、都民の皆様のご意見や都議会での議論を踏まえまして、検討を深めてまいります。
 防災事業の進化に向けて検討を進めております八つの河川の新たな調節池につきましては、今月、武蔵野市及び西東京市にまたがる石神井川上流第一調節池の基本設計に着手いたしました。総容量約三十万立方メートルに及ぶこの調節池は、完成すれば多摩地域で最大規模となります。
 引き続き、事業を着実に推進するとともに、他の河川におきましても、候補地や構造形式の選定を進めて、早期の事業化を図ってまいります。
 昨年の台風十五号では、千葉県を中心に都内も含め約二千本の電柱が損壊し、停電が長期化した地域も見られました。今後、台風がますます強大化することも考えられる中、無電柱化の大義は増すばかりであります。
 このさらなるスピードアップを図るべく、年明け以降、新たな無電柱化加速化戦略を策定いたします。技術面、財政面での区市町村支援の拡充や、コスト縮減に向けた技術開発の促進などを通じまして、その面的な展開を推し進めてまいります。
 二〇四〇年代の東京を描いた都市づくりのグランドデザインの実現に向けましては、改定の検討を進めてきた都市計画区域マスタープランについて、先週、有識者の意見を踏まえました新たな提案を取りまとめました。サステーナブルリカバリーの視点を踏まえ、包摂的社会の形成や多様な住まい方、働き方、憩い方の実現にもつながる、これからの都市づくりの基本的な考え方を盛り込んでおります。
 今後、都市計画審議会への付議を経まして、成長と成熟を支える都市づくりに向けた具体の取り組みを推進してまいります。
 皇居外堀や河川、運河など、過去から連綿と受け継がれてきた水辺の空間を生かし、美しい東京を築き上げる。そうした取り組みの象徴ともいえる首都高日本橋区間の地下化は、今月、第一歩となる地下埋設物の移設工事が始まりました。かつての堂々たる景観がよみがえり、水と緑に親しむ人々が盛んに行き交う東京の顔、日本橋を実現するべく、事業の着実な推進を図ってまいります。
 あわせて、自動車の専用道路としての役割を終えることとなる東京高速道路、いわゆるKK線につきましては、先般、有識者等から成る検討会より、歩行者中心の緑豊かな公共的空間として再生すべきとの提言をいただきました。車中心から、人中心の歩いて楽しめる空間へ。このコンセプトを踏まえ、地域全体としての価値や魅力を最大限に引き出すための取り組み方針を年度内に公表してまいります。
 魅力あふれるまちづくりには、快適な都市環境の実現も欠かせません。先般、都は、大気中のPM二・五につきまして、都内八十カ所全ての測定局にて国が定めた環境基準を達成いたしました。
 引き続き、大気環境のさらなる改善を図るべく、二〇三〇年度までにWHOによる世界で最も厳しい指標の達成を目指してまいります。
 今後、自動車環境対策やVOC削減等の施策をさらに加速、深化させ、世界最高水準の大気環境を実現することで、環境面からも世界から選ばれる都市へと飛躍したいと思います。
 昨年末、ゼロエミッション東京戦略を策定し、気候危機に正面から立ち向かう行動宣言をしてから約一年。東京は実効性ある取り組みを加速し、行動で世界をリードしてまいります。
 テレワークの浸透などにより在宅時間が増加傾向にある中、ゼロエミッション東京の実現に向けましては、家庭における省エネルギー対策が一層重要となります。
 こうした観点から、省エネ性能の高い家電への買いかえを促す、いわゆる東京ゼロエミポイント事業について、来年度も継続して実施したいと考えております。CO2排出量の削減、省エネ投資による経済の活性化、電気代節減による家計支援の三つの側面を持ち、まさに大義と共感を備えたこの施策を通じまして、家庭におけるゼロエミッション行動を促進してまいります。
 また、本定例会には、火災予防条例の一部改正を提案いたしました。都が働きかけた省令改正に基づいて、高出力の急速充電設備につきまして規制を緩和し、設置しやすくすることで、電気自動車の普及をさらに後押しするものであります。
 世界に目を転じれば、例えば中国は、二〇三五年までに新車販売の全てを環境対応車とすることを検討しており、イギリスに至っては、これまでの計画を五年前倒しして、二〇三〇年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を禁止することを表明しました。
 ここ数カ月、世界の動きは極めて速く、都は、この潮流におくれることなく、むしろ牽引していけるよう、都内を走る全ての自動車のゼロエミッション化を早期に実現していかなければなりません。
 こうした目指すべき姿に向け、国や自動車メーカー等と連携して、充電器などインフラの整備拡大や車両の開発促進、利用機会の拡大による機運醸成等を通じまして、ゼロエミッションビークルの普及をさらに本格化してまいります。
 さきのアメリカ大統領選挙では、民主党のジョー・バイデン前副大統領が勝利宣言を行い、アメリカはもとより、世界の環境政策も大きく変容することが見込まれます。この機を捉え、私自身、副議長を務めるC40など国際的なネットワークも活用しながら、気候変動に対する東京発の世界的ムーブメントを起こしていきたいと思います。
 東京が誇る人の力をさらに高めるため、そして何よりも、都民一人一人が夢や生きがいを持って幸せに暮らせる社会を築くため、人が輝く東京に向けた取り組みをさらに推進してまいります。
 生涯現役を合い言葉に、シニアの方々が学びと交流を深める都立大学のプレミアム・カレッジは、来年度、開設三年目を迎えます。
 これまで一年目の本科、二年目の専攻科と学びを進めてきた受講生の強い意欲に応えるべく、さらに最大二年間学べる研究生コースを新設いたします。シニアの方々の熱意あふれるキャンパスは、長寿の都市東京の一つの象徴であり、引き続き充実した学生生活を後押ししてまいります。
 超高齢社会の到来や新しい日常への対応など、私たちの生活を取り巻く状況が大きく変わろうとする中、地域生活を支える公共交通もまた、その時代にふさわしい役割を果たしていかなければなりません。
 二〇四〇年代における地域公共交通の目指す姿を描くべく、先般、新たな検討会を立ち上げました。精力的な議論を重ね、高齢者や障害者を初め誰もが移動しやすく利便性の高い、まさに人が輝く都市を実現するための基本方針を取りまとめてまいります。
 また、交通不便地域の解消のため、利用者の希望に応じまして柔軟に運行するデマンド交通の普及に向けましては、東久留米市による取り組みを支援するなど、区市町村の導入を後押しいたします。
 さらに、年明けには、民間とともにデジタルの力で交通利便性を向上させるMaaSの実証実験を開始するなど、多彩な施策を展開して、円滑な移動が豊かな暮らしを支える、活力ある東京をつくり上げてまいります。
 就労に困難を抱える方々が社会の担い手として働き、活躍する場となるソーシャルファームの普及は、人が輝く東京を実現するかなめの一つであります。
 その創設を目指す高い志を持った事業者を力強く後押しするべく、先月、雇用ノウハウの提供や経営相談など、きめ細かなサポートを行う拠点を開設いたしました。事業者の挑戦をしっかりと支えながら、モデルとなるソーシャルファームを、今年度中にここ東京に誕生させてまいります。
 加えて、コロナ禍において、解雇や雇いどめにより離職を余儀なくされた方々を対象に、労働者派遣制度を活用し安定就労につなげる新たなプログラムを展開するほか、早期の再就職に向けたマッチング機会の拡大などを図ります。
 また、先月には、出産、子育て等により離職した女性の再就職支援窓口、女性しごと応援テラスについて、多摩地域の方々の身近な窓口となる多摩ブランチを開設いたしました。厳しい雇用情勢にある中、マザーズハローワークとも連携しながら、切れ目のない支援を行ってまいります。
 同じく先月、多摩地域におけるひとり親家庭支援の拠点として、はあと多摩を設置いたしました。生活のさまざまな場面で困難に直面するひとり親家庭をきめ細かく支えるため、こうした相談体制の整備に加えまして、就業支援、子育て・生活支援、経済的支援、この四つの観点から施策を展開し、誰もが安心して活躍できる社会を実現してまいります。
 犯罪に遭われた方やそのご家族を社会全体で支えるべく、新たに制定した犯罪被害者等支援条例のもと、見舞金の給付や転居費用の助成など、多彩な施策を展開しております。
 今後とも、被害者に寄り添った取り組みを推進するため、今般、第四期となる支援計画の素案を公表いたしました。途切れることなく支援を届けるための関係機関との連携強化、オンラインカウンセリングの実施等、支援、相談体制をさらに充実させる施策を盛り込んでおります。
 引き続き、丁寧な議論を重ねた上で、二月を目途にこの新たな計画を策定してまいります。
 今月八日、国立代々木競技場におきまして、体操の国際大会が開催されました。コロナ禍におきまして、オリンピック競技として初めて国内で開かれた国際大会は、四カ国のトップアスリートによる力とわざの競演に会場が一体となって、スポーツが紡ぐきずなを改めて感じるものとなりました。
 同時に、日本企業が開発したAIによる自動採点システムが初めて採用され、我が国が誇る技術を世界に発信する場ともなったところであります。
 連日のPCR検査や行動制限、マスク着用など、選手一人一人の協力を得ながら、安全・安心な大会運営に尽力された関係者の皆様に心からの敬意を表します。まさしく友情ときずなの名にふさわしい大会の成功は、オリンピック・パラリンピック開催への大きな後押しともなるものでありました。
 このほか、パラスポーツにおきましても、自転車、車椅子マラソン、馬術等におきまして全国大会が開催されるなど、大規模なスポーツ大会は着実に復活しつつあります。こうした経験を積み重ねながら、スポーツを心置きなく楽しめる環境を確立し、安全・安心な東京二〇二〇大会の実現へとつなげていきたいと思います。
 一九一八年から世界で流行したスペイン風邪は、世界人口が約十九億人の時代に患者数は六億人に上り、五千万人とも一億人ともいわれる方々が亡くなりました。一九二〇年のオリンピック・アントワープ大会は、このスペイン風邪が終息に向かう中、また、第一次世界大戦で焦土と化したヨーロッパが復興しつつある中、開催された大会であります。史上初めてオリンピック旗の掲揚や選手宣誓が行われるなど、まさしく危機の後の連帯と復興の象徴でありました。
 それから百年プラスワンの二〇二一年、東京二〇二〇大会も人類が新型コロナウイルス感染症に打ちかったあかしとして、そしてまた、原点である復興オリンピック・パラリンピックとして、成功へと導いてまいります。
 大会までの貴重なプラスワンの日々。引き続き、組織委員会、国、IOC、IPCを初めとする関係者の方々、そして都議会の皆様、都民の皆様とまさに一体、一つとなって、サステーナブルリカバリーを目指すオリンピック・パラリンピックの新たなモデルを示すべく、力を尽くしてまいります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案一件、条例案十三件など、合わせて五十九件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 最後に、改めて申し上げます。
 何よりも大切な都民の命を守り抜く。そのために、感染対策短期集中で、この正念場を早期に乗り越えていく決意であります。都議会の皆様、都民の皆様方のご理解、ご協力をお願いいたします。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(石川良一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(村松一希君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入られることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入ることに決定いたしました。

○議長(石川良一君) 日程第一から第四まで、第百八十九号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外議案三件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事武市敬君。
〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) ただいま上程になりました四議案についてご説明申し上げます。
 第百八十九号議案から第百九十一号議案まで及び第百九十六号議案は条例案でございます。
 これらの議案は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与を改定するものでございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
○議長(石川良一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案については、地方公務員法第五条第二項の規定により、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 人事委員会の回答は、第百八十九号議案から第百九十一号議案及び第百九十六号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
二人委任第一二二号
令和二年十一月二十七日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
 東京都議会議長 石川 良一殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 令和二年十一月二十四日付二議事第三一七号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百八十九号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第百九十号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
三 第百九十一号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第百九十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○六十七番(村松一希君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております第百八十九号議案外三議案については、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、第百八十九号議案外三議案は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(村松一希君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十二月一日から七日まで七日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十二月一日から七日まで七日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

2財主議第425号
令和2年11月19日
東京都議会議長
 石川 良一 殿
東京都知事
小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和2年第三回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

上田令子議員
山内れい子議員
藤井とものり議員
斉藤まりこ議員
奥澤高広議員
星見てい子議員
とくとめ道信議員
中村ひろし議員
尾崎あや子議員
白石たみお議員
和泉なおみ議員

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
二 新型コロナウイルス感染症対策について
三 財政政策について
四 教育政策について
五 子ども・子育て支援策について

一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
1 調布飛行場墜落事故東京地裁判決を受けて
調布市で2015年、東京都調布飛行場から離陸した直後の小型プロペラ機が住宅街に墜落した事故に巻き込まれて死亡した被害者遺族が、飛行場を運営する都と小型機の管理会社など2社に計約9,500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7月16日、2社の賠償責任を認め、計約7,500万円の支払いを命じる一方、都への請求は棄却する判決を下しました。これに対し、原告は、判決後、宏子さんは「違法な飛行を事前に防止する権限が都にはないという判決に驚いた。憤りを感じる」との談話を出し、都側勝訴の判決に不服を述べています。
事故は2015年7月26日の日中に発生しました。5人乗りの小型機が調布飛行場を離陸直後に住宅地に墜落し、機長ら2名と被害者が死亡しました。休日に自宅にいた被害者にとっては、突然、何ら防御の術もなく事故に巻き込まれました。国の運輸安全委員会は、重量オーバーなどが原因で墜落した可能性が高いと指摘しています。
調布市、府中市、三鷹市に加え、発着経路の下にある小金井市の住民の不安は、拭われておりません。
ア 同判決に対するご所見をお示しください。
イ 被害者・地域への対応・説明の状況をご説明ください。
ウ 慣熟飛行の状況と、乗員をパイロットに限っているか、その確認方法も含め、事故後の対応状況をご説明ください。
エ 事故後、空港使用届出を行い離着陸した事案はあるのか、件数・事由をご説明ください。
オ 事故後の小金井市を含む周辺自治体・議会からの要望・要請の状況とそれらへの対応・協議の状況を時系列でご説明ください。
カ 同飛行場の安全・騒音対策につき、今後の取り組みと予算措置につき、どのようにしていくのか、ご説明ください。
2 専決処分のあり方、運用について
今年になり、知事により予算や条例制定の専決処分が繰り返されています。
ア 今年になってからの専決処分の状況とその理由をお示しください。
イ 専決処分は、議会の権限に属する事項を、長がやむを得ない場合にかわって行う制度であって、例外的な位置づけの団体意思決定手段とされています。この点につき、ご所見をお示しください。
ウ 2006年や2012年施行の地方自治法改正により、制度本来の趣旨に即した要件の明確化・厳格化が図られました。これら法改正の趣旨と法改正前後の専決処分の運用につき、どのような変化があったのか留意点は何か、二元代表制や専決処分制度の趣旨を逸脱することがないようどのような手当がなされてきたのか、ご説明ください。
エ 地方自治法第179条第1項の「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」の要件につき、知事のご所見をお示しください。
オ 専決処分により、本年7月30日には新型コロナウイルス感染症対策条例の一部改正が、8月3日には一般会計補正予算が決定されました。7月27日まで第二回臨時会が開かれていたのですから、会期延長を求め同臨時会に送付できなかったのか、見通しが甘かったのではないか、臨時会閉会直後の専決処分は議会軽視ではないのか、特に前者は、事業者・都民の努力義務を規定していることからも、知事のご所見をお示しください。
カ 自由を守る会では8月18日に知事宛てに「臨時会招集を求める緊急請願書」を提出いたしましたが、回答期限が徒過して本日まで何らの回答は示されておりません。同請願書の内容につき、知事のご所見をお示しください。
3 小池知事及び東京都のCM等の広報について
小池知事は感染拡大防止対策の一環として「虹ステッカーで埋め尽くす」と指針をだされましたが、感染拡大防止協力店舗で、クラスタが発生し感染者が出たことをうけ「貼っているだけのところ」と切り捨てるような発言をされました。
緊急事態宣言が発出され「Stay home」の最中に「東京都知事の小池百合子です」と都知事選を直前に控え、テレビCM、都営交通内デジタルサイネージ等に頻繁に登場し、「公選法の理念に抵触しないか?」「そもそも広告費出してやることなのか」「いくらかかっているのか」と都民からも多数声がよせられました。
そこで調査したところ、
○テレビCM・ラジオCMの電波料
・株式会社電通(テレビ・ラジオCM) 2.8億円
・株式会社博報堂(テレビ・ラジオCM) 2.8億円
・株式会社ADKマーケティングソリューションズ(テレビCM) 30万円
 電通、博報堂については、テレビ・ラジオCMとして一括で契約しています。
○テレビ・ラジオCMの制作費
・株式会社電通 90万円
・株式会社博報堂 60万円
・株式会社ADKマーケティングソリューションズ 60万円
・株式会社キッズ 180万円
・株式会社文化工房 50万円
○ウエブ広告
・株式会社アドフロンテ 0.7億円
合計 約6億4,000万円
との公金の支出が判明しております。
この件についても、メディアで指摘され世間の批判も耳目も集まっており、抑制的になってくれるかと期待したものの、都外に出られなかった「特別な夏」が始まるとまたしても家にいてテレビを見るであろうことを見はからってか、大量のCMに小池知事は登場し始めました。
前回はヒカキンさん、今回はフワちゃんとのコラボCMでしたが、協力して下さった有名人の方々には感謝こそすれまったく問題はありませんが、問題なのは都民の一大事に血税を使ってやることなのかということです。こちらについても都民より「あのCMいくらかかってるか」と問い合わせがあり以下をつまびらかにしました。
○テレビCM(電波料)(令和2年5月7日から9月30日まで)
・株式会社博報堂 約1億3,700万円
・株式会社電通 約9,400万円
○Web広告費(令和2年5月15日から9月2日まで)
・株式会社読売広告社 約6,400万円
・株式会社アドフロンテ 約700万円
○動画制作費 8本(フワちゃん動画を含む。)
・株式会社I&S BBDO 約1,800万円(一本約225万円×8本)
合計 3億2,000万円
また、8月19日に財務局より「広告に係る予備費」1億5,000万円が明らかにされました。
これらを積算しますと少なくとも10億円以上の公金が広告宣伝経費に費やされたことになります。
ア 広告代理店の言い値で支払うことを回避するため通常GRP(Gross Rating Point)「延べ視聴率」の想定を代理店に出させて発注するはずですが、緊急事態発出時は仕方なかったとしても、以降は提出させているのでしょうか?この点を踏まえて明記の上、広告の起案から発注にいたるまでの経緯につき具体的に時系列でご説明ください。
イ これまで投じてきた広告費の費用対効果について、感染者数抑制、感染拡大防止にいかに貢献したのか、できてなかったのか評価と分析につき具体的にご説明ください。
ウ 今後の広告費のあり方・予定についての詳細をご説明ください。
エ 他府県に比べ特出して広告費に税金を投入をしている件について、都民益につながっているのか、今後も広告を発注、打ち続けるのかについて費用対効果の観点を踏まえて、知事の見解を求めます。
4 昨今、刊行された注目の都政関係書籍について
ア 多くの国民・都民に読まれている30万部に及ぶ『女帝 小池百合子』や『築地と豊洲』は読了されましたでしょうか?
イ ことに『築地と豊洲』の著者澤章氏は異例の短期間で外郭団体の理事長を退任されておられる一方で、都民ファーストの会代表をつとめつつ知事特別秘書を兼ね、退任後、現在は東京水道株式会社社長に就任している野田数氏は、平成27年と同様の不祥事が本年も発生しているにもかかわらず、その去就については議論にもなされず、公営企業委員会へ出席しての陳謝も説明も実現されておりません。外郭団体トップ人事の去就についての小池知事の判断基準はどこにあるのか所見をお聞かせ下さい。

二 新型コロナウイルス感染症対策について
1 これまでの補正予算事業の効果について
4月、7月、8月、9月と講じてきた補正予算の各事業効果について、現時点での包括的な効果についてうかがいます。
2 医療従事者等の現状と支援について
ア 医療現場の現時点の状況について東京都の各種支援事業が効果をだしているか、コロナ対策による物理的経済的逼迫を踏まえ現状と課題について伺います。
イ 東京都新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業の申し込み及び活用状況と課題について現時点のご報告をお願いします。
3 重点医療機関等の体制について
先の補正予算で成立した「重点医療機関等の体制整備」事業の実施状況と、これまで都は、重症患者用100床、中等患者用に2,700床の確保を目指し医療機関に申請、7月末で2,400床確保したとのことですが、現状とニーズの充足状況についてご報告下さい。
4 軽症者向けホテル等宿泊療養施設について
事業実施から現時点までにおいて、過不足ないか充足状況を伺います。
5 PCR等検査体制の現状について
ア 都は、7月末時点で1日当たり8,600件の検査処理能力とし、民間検査機関や大学病院などにおける、より効率的な検査機器の導入を支援することにより検査処理能力の拡大を進めているが、その後の状況を伺います。
イ PCR等検査結果について
都は、新規陽性者に係る情報の連絡については、これまでファクシミリによる送受信をしていましたが、保健所と都の双方において情報の確認や共有が滞った状況となったことから、都は5月に改めて保健所に対し、発生届の提出とともにオンラインの感染症発生動向調査システム(NESID)への入力の徹底を依頼し、8月には、国が新たに導入した新型コロナ感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への入力を徹底するよう依頼し、これらのシステムを活用して陽性者の情報を把握しているとのことです。
また、入退院の状況や宿泊療養の状況など陽性者の詳細な情報について、都から業務支援のため各保健所へ派遣している職員を通じ、都庁内に設置した患者情報管理センターに集約し、都独自のデータベースを構築して保健所と情報を共有することにより、一体的な取組を進めているとのことですが、各システム導入と活用の進捗と「一体的取組」の現状についてご説明下さい。
6 福祉保健局健康危機管理部門について
ア 同部門発足の経緯から業務内容と人員体制について7月に就任したばかりの健康危機管理担当局長交代、8月末感染症危機管理担当部長退職、健康危機管理監設置見送りの事実も含めた現状についてご報告下さい。
イ どのような組織運営をしているのか、また、「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議」、東京版「iCDC」との連関についてもご説明下さい。
7 iCDCについて
10月1日に「東京iCDC」構想に基づき、「東京iCDC専門家ボード」(座長:賀来満夫氏 東京都参与、東北医科薬科大学特任教授、東北大学名誉教授)が設置されました。「東京版CDC」は、小池百合子知事の2期目の都知事選の公約としてかかげたものでありました。次から次に実態の伴わぬ各界著名人を登用した新しい組織を作って、存在感をしめし注目を集め「やった感」を出すのは、小池知事が得意とするところで、豊洲市場移転問題でも、「市場問題プロジェクトチーム」、「市場のあり方戦略本部」等の論点をはぐらかし「前向き感」を演出するだけの会議体を乱立させ、都政と都民に著しい混乱を生じさせた過去の失政と重なり屋上屋を重ねる愚策ではないかと懸念するものです。そもそも、「東京iCDC」については、都知事選の目玉公約として注目を浴びるためだけの米国の模倣をして横文字を使いたかっただけのようにしか思えず、単なる専門家会議体とどこが違うのかまったく不明なことから、具体的な実効性、職務や権能・機能、他部署、政府、区市町村、関係各機関との業務調整について確認するものです。
ア どのような獲得目標をもってこの組織体が、感染症拡大防止、撲滅に向け機能するのかご説明下さい。
イ 保健所や医療機関、研究機関からどのような需要があって設立したのか説明下さい。
ウ 専門家リスト及び人選の経緯と過程を時系列でご説明下さい。
エ 専門家の各専門分野とウイルス対策に関しての実績・成果を人員体制と実効性につきご説明ください。
オ 「健康危機管理監」の設置理由及び今般見送った理由、すでに局長部長も転任退職していることからもそもそも必要なのか、時系列で必要性の判断がどのように変化していたのか意思形成過程を踏まえてお答えください。
8 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議について
発足、専門家選定、専門家の詳細、東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーと同会議体の関係性も含めこれまでの経緯を時系列でご説明下さい。また「東京iCDC専門家ボード」との関連性と連携体制、人員体制についてご説明下さい。
9 コロナ対策に従事する所管外部署に勤務する体制について
福祉保健局以外からコロナ対策事業に兼任・応援・支援・派遣されている他局の職員の全容について業務内容、職務権限、当該業務にあたる時間数と、本来業務との調整及び影響や時間外勤務の状況についてご報告下さい。
10 今後の福祉保健局の組織体制について
私は、今秋以降予想される感染再拡大に備えて、本腰を入れて新型コロナウイルス対策をするのであれば、まずは福祉保健局の抜本的再構築による専門性の確立と即応性の確立ではないかと考えます。屋上屋をかさねる組織や会議体を乱立するのではなく、既存の体制強化を優先し、政府や区市町村、保健所との連携強化、保健所そのものの支援と拡充をまずはすべきと考えます。新たな組織が出来るたびに疲弊するのは都職員ことに幹部職、そして最終的に割を食うのは都民であるからです。目新しい場当たり的な組織新設に飛びつくのではなく、退職者や退任者の出ない福祉保健局の抜本的再構築をもとめるものですが、現状の体制、新設組織、保健所の現実を踏まえ知事のご所見を求めます。
11 オゾン機器の導入推進について
8月26日、藤田医科大学により濃度の低いオゾンガスにも、新型コロナウイルスの感染リスクを減らす効果があることを世界で初めて発見したと発表され、大きな注目を集めました。政府においては「地域公共交通感染拡大防止対策(地域バス関係)」にあたり二次補正予算で国交省が、確認させていただきましたが、東京都及び東京観光財団による「バス事業者向け安全・安心確保緊急支援事業(新型コロナウイルス感染症緊急対策)補助金」につき、オゾン機器も対象にならないか確認させていただいておりました。
ア つきましては、都の補助金対象にオゾン機器を対象にするかどうか所見を伺います。
イ 都立病院・公社病院などの医療現場、都立学校現場、都バス・都営地下鉄などの公共交通機関での活用を検討していないか所見を伺います。
ウ オゾンは0.1ppm以上の高濃度では人体に影響があるとされ0.1ppm以下に設定されているものを採用することも肝要です。オゾン機器の品質管理及び選定基準をどのようにするかの所見も伺います。

三 財政政策について
1 基金残高について
現時点の各種基金残高見通しをうかがいます。
2 今年度予算事業費の見直しについて
都は「都税収は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う相当程度の減収に直面するリスクが高まっており、今後の財政環境は一層厳しさを増すものと認識」され「令和2年度予算の執行についても、必要な見直しを行う」としております。令和3年度予算編成の前に今年度の事業費見直し・削減を求めるものですが現時点具体的に対象となっている事業や検討事項等現状につきご報告下さい。

四 教育政策について
今年7月、萩生田文部科学大臣は国会でわいせつ教員を「非常に重要な問題」と述べ、教員免許制度の見直しを表明しました。文科省は、子どもたちにわいせつ行為をした教員は、原則として懲戒免職とするよう教育委員会などに要請しています。懲戒免職となったり、禁錮以上の刑が確定したりすれば、免許は失効するが、現行法では懲戒免職となれば3年後、禁固刑以上の刑に処されれば刑の執行を終えてから10年後に再取得が可能です。政府は6月、性犯罪・性暴力対策の強化方針を決定し、教員免許も見直しを検討するとしました。また、新聞報道でもわいせつ教員の実態数が報じられるなど世論からも厳しい目がようやく注がれるようになってきました。性暴力は人間の尊厳を著しく毀損するものであり、都としてもいち早く対応が求められます。ついては以下伺います。
1 都における教員免許の失効・取上げの件数につき、過去5年、ご報告ください。
2 性犯罪をはじめとする非違行為により教員免許を失効・取上げとなった者(他道府県を含む)が再び教壇に立ち、教育現場に関わることがないのか、教育委員会の対応状況・実績をお示しください。
3 私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)や民間フリースクールにおける、性犯罪をはじめとした非違行為により教員免許が失効・取上げとなった者の採用防止につき、現状と都としての対応状況をご説明ください。
4 都立大学のハラスメント対策について
「腐ったミカン置けない」と外部講師が発言した大学でのハラスメント問題が問題視されており、都立大学においても決して発生してはならないと考えます。
ア 制度・対策について
都立大学におけるパワハラ、アカハラなどの相談から解決までの体制はどのようになっているのか、相談者の人権などがどう守られているのか被害者に寄り添った適正な調査や解決体制が取られているか、制度をどのように周知しているのか伺います。
イ 利用・活用状況について
過去3年間における、東京都公立大学法人ハラスメント防止委員会への申立件数及び相談員への相談件数状況をお示し下さい。
ウ 相談実態について
都立大学のハラスメント件数について、過去3年間、ハラスメント防止委員会における調査・検証の結果を確認したところハラスメントに該当すると判断し、処分及び公表した案件は1件とのことでした。かなり少ないように思えます。ハラスメント防止委員会が申立を受理する前に、同委員会の事務局が実質的な認定審査をする等恣意的な相談の排除をおこなっていないのか、つまり、事務局が独自の判断で「ハラスメントに該当しない」と判断し、申立希望の正式な受理を拒んで門前払いにしている事案が少なからずあるのではないか、懸念するものです。つきましては以下伺います。
a 同委員会の事務局が何らかの理由をつけて正式な申立として受け付けなかった件数が含まれていないのではないかと懸念するものです。正式な申立の一歩手前に相当する「申立希望」の件数と、同委員会の事務局が何らかの理由をつけて正式な申立として受け付けなかった件数を分けてのご報告をお願いします。出来ない場合はその理由について、根拠を踏まえてご説明下さい。
b 申立件数、認定件数については、申立人及び被申立人等の関係者の名誉、プライバシーなどの人格権の保護のため、申立ての有無を含め、非公表にしているということですが、件数を公開することで関係者のプライバシー等を侵害するとは考えられません。情報公開法及び同条例に基づいて公開すべきと考えますが、公開するとどのような支障が生じるのか、それは申立人と被申立人のどちらに及ぶのか、改めて所見を伺います。
c 「東京都行政手続条例」は、ハラスメント防止委員会の事案解決手続におよぶのかご説明ください。
d 前述の質問では「教員によるわいせつ行為」につき質させて頂きました。今、学校現場のハラスメントは全国的な注目を集め厳しい対応が求められています。都立大学におけるハラスメント対策や制度が実効的なものとなり、裁量権で門前払いされ泣き寝入りさせられることがないようすべてを機械的に受け付けて正式に大学及び委員会にもちこまれ議論されるべきと考えます。これまで講じてきた対策は学内規程に沿った対応だと思料いたしますが、被害者保護や問題の再発予防には役立っておらず、社会的な理解が得られるものではないとかかる実態をみるにつけ断じざるを得ません。今後、学生、教職員(非常勤も含む)全ての被害者が、安心して利用できる制度とするために都立大学は、今後どのような取り組みをしていくのか、申し立て受付体制の改善も含めご所見をお示しください。

五 子ども・子育て支援策について
1 キッズラインについて
去る6月12日に、目黒区のマンションで5歳の女の子への強制わいせつ行為で、東京都がベビーシッター利用支援事業を認定している株式会社キッズラインが提供する、マッチングアプリを通じて派遣されていた30歳の男性ベビーシッターAが警視庁に逮捕されました。
同社のアプリ事業では許しがたいことに別の29歳の男も、「昨年11月、東京都中央区のマンションで5歳の男の子の体を触るなど、わいせつな行為をしたとして、ことし4月に逮捕されたほか、去年9月と11月、足立区に住む別の保育園児の男の子にもわいせつな行為をしたとして、10日、再逮捕」(NHK)されています。
警視庁によると「今年4月下旬から先月にかけて、ベビーシッターとして派遣されていた目黒区のマンションなどで5歳の女の子の体を触るなど、わいせつな行為をしたとして、強制わいせつの疑いが持たれています。当時、女の子の母親は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をしていたため、ベビーシッターを紹介するマッチングアプリを通じて、8回にわたってA容疑者の派遣を依頼」「母親の目が届かないマンション内や近くの公園のトイレで繰り返し女の子の体を触ったとみられています。調べに対し、容疑を認めたうえで、「気持ちをおさえきれなかった」と供述しているということです。」「容疑者は保育士の資格を持っていて、去年7月ごろマッチングアプリに登録され、これまでにおよそ80人の子どもの保育にあたっていたということです。」(いずれもNHK)
かねてより私どもは同社代表取締役においては、東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT)に参加している点についても懸念を持ち公明・公平性につき質しておりました。
現在、17区市町村が本事業を実施、小池知事鳴り物事業であったにもかかわらず昨年度利用者は290名にとどまり、同社も含め16社が認定されております。昨年の強制わいせつ事件が発生した際に「認定取り消しはしないのか」上田が確認したところ「都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者として、株式会社キッズラインを認定。なお、都が認定した事業は、株式会社キッズラインの事業の内、「請負型事業者」に係る事業であり、「マッチングサイト」に係る事業ではない」から、問題はないということでしたが、児童のされたゾッとするような行為とその計り知れない精神的苦痛、肉体的被害を鑑みれば「子どもの権利条約」、児童福祉法、児童虐待防止法、「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」等の理念や個別規定に反する極めて重大な子どもへの性的虐待(暴力)事件です。
リニア中央新幹線工事をめぐる談合事件で大手建設会社幹部が逮捕された際、都発注の公共事業ではなかったものの、都の事業指名停止となる厳しい基準が設けられ、厳格に適用されていました。公共事業以上に大切な子どもの命、心身の健康・成長発達、人権を守り、子どもの最善の利益を最優先に確保するために早急に、ベビーシッター利用支援事業においても、入札参加者指名停止基準に準じた同様の対応が求められるものです。
つきましては、
ア 株式会社キッズラインの東京都ベビーシッター利用支援事業の認定取り消しも含めて、東京都は事件後適切な措置を講じたか、進捗についてご報告下さい。
イ 株式会社キッズラインはマッチング契約の場合は手数料30%を毎回取りながらも、「一切の法的責任をとらない」としています。利用者に責任の全てを押し付けるシッター事業者に東京都は認定を出していることにより「マッチングサービス」も東京都のお墨付きだと多くの利用者は誤解することとなっていることを都は把握していないのでしょうか?実際にそうして事件が発生しました。同じマッチングであるスマートシッターは「法的責任はスマートシッター側にある」としています。マッチングサービスだから責任を取らないというのは詭弁に過ぎずこのような保育理念の事業者に引き続いて東京都がベビーシッター利用支援事業の認定を与えることに大きな危機感を持っております。
a 認定事業者の中で株式会社キッズラインの他に「マッチングサービス」事業を運営している事業者はいるのでしょうか?都としての把握の状況を伺います。
b 強制わいせつ事件を起こした当該シッターは東京都ベビーシッター利用支援事業にて、シッターとして働いたことがあるのか、伺います。
c 「マッチングサービス」事業の場合でも子どもの命と尊厳にかかわることですし、実際に重大事故を発生させた会社が法的責任を負うと思料しますが、事業における責任の所在につき、都の所見を伺います。
d 今般事件を受けて、参加事業者認定基準を見直すべきと考えますが、現時点の福祉保健局の所見を確認します。
e 株式会社キッズラインの役員の中に、保育の専門家は存在しておらず、同社も認めていますが、保育施設に関しては厳しい基準があるなか誰でも適正が確認されることなくシッター事業を開業していいということは今般の重大事件を踏まえて許されないと考えます。保育の専門家・有資格者を必ず社内におくなど、国に先んじても都に独自の基準を設けるべきと考えますが、対応状況と所見を伺います。
f 株式会社キッズラインは現在全国4,500名のシッターが登録されている。同社の東京都登録数は9月30日現在、HP上で確認できるだけで1,812人のシッターが登録しています。一方同社社員は約20名です。一人で90名のシッターを管理することになります。この組織体制では、シッターの質のチェックや育成、保育の安全性は担保できるか危惧をするものです。例えば、社員数に応じて、登録させるシッター数の上限を必ず設けるなどのあらたな取り組みを求めるものですが、都の対応状況と所見を伺います。
g ベビーシッター利用支援事業サービス提供約款「第17事業者の認定取消し部分」に認定事業者において、子どもへのあらゆる暴力事件等が発生した場合、認定取り消しとする等、厳しい条項を盛り込むべきと考えますが、検討状況につき報告ください。
ウ 知事の任命責任について
株式会社キッズライン代表取締役社長は、小池知事鳴り物入りの東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT)の一期生でもありました。支援事業にエントリーしながら、補助をうけるということには早くから警鐘を鳴らしていたところの今回の2件もの強制わいせつ事件が発生しました。知事はかねてより「子どもファースト」と標榜され、保育園待機児童問題には力を入れてきたところであります。一方拙速な受け皿を増やすことで子どもが犠牲になる事案は後を絶ちません。現在、都は同社の新規利用を停止しているようですが保育の質と子どもの安全を守る枠組みへの責任を果たすべく東京都や保育にかかる関係各機関を含めた抜本的な改善講じる必要があります。断固として対応しなければ、喉元過ぎれば熱さを忘れると事業者は油断をし反省することもなく復帰し、新たな被害が必ずや及ぶことでしょう。今般、当該児童に甚大な被害が及び社会的悪影響を及ぼした点につき、同社の認定取り消しを含めた厳峻な処断を知事に求めるものです。所見を伺います。
2 虐待対策について
都は、国の通知等に基づき、不登校傾向や児童虐待のある等の配慮を要する児童・生徒については必ず週一回以上の割合で電話等を通じ連絡を取るとともに、必要に応じて子ども家庭支援センターや児童相談所等関係機関と連携し適切な支援を図ってきたところです。
ア 学校休校以降、直近の虐待件数の推移と、課題に対して都が講じた具体的な対策について伺います。
イ 子どもが性暴力の被害などにあうのを防ぐための教育の在り方について、政府の検討が始まりました。都における性暴力被害の対策の現状と政府の動きを見据えた取り組みを伺います。
ウ 本年大田区で重大な死亡事案が発生した。本件について都の関与の状況を伺うとともに、その他の死亡事案における検証などの対応についてご説明下さい。
エ 本年、区へ移管した児童相談所の状況と課題、改善した点などについてご報告下さい。

令和2年第三回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小池知事のガバナンス・トップマネジメントについて
1 調布飛行場墜落事故東京地裁判決を受けて
ア 同判決に対する所見を伺う。

回答
判決では、事故機の飛行について都が調布飛行場の使用停止等を命じなかったことが著しく不合理であると認められないとのことから、都への請求を棄却しています。
都は、これまで被害者の生活再建支援を行ってきましたが、引き続き、安全対策に万全を期し、地域住民の不安解消に努めていきます。

質問事項
一の1のイ 被害者・地域への対応・説明の状況を伺う。

回答
航空機墜落事故による被害者の生活再建支援制度を平成30年8月に創設し、被害者支援に努めてきました。
また、調布飛行場の地元市である調布市、三鷹市、府中市において、住民説明会を開催する等、飛行場管理運営の徹底や安全対策の強化、自家用機の分散移転の推進、事故被害者への支援制度等について説明を行ってきました。

質問事項
一の1のウ 慣熟飛行の状況と、乗員をパイロットに限っているか、その確認方法も含め、事故後の対応状況を伺う。

回答
慣熟飛行については、「技量維持のための飛行」、「特定操縦技能審査のための飛行」、「航空機の空輸のための飛行」など、飛行目的をより明確にするよう見直しています。
乗員は、事前登録した操縦者と搭乗者であることを飛行当日に確認しています。

質問事項
一の1のエ 事故後、空港使用届出を行い離着陸した事案はあるのか、件数・事由を伺う。

回答
平成30年9月の自家用機運航自粛解除後の自家用機離着陸回数は、平成30年度は69回、令和元年度は196回で、事由は搭乗者や貨物の輸送、操縦者の移動等です。
なお、このほかに定期便や事業用機の離着陸もあります。

質問事項
一の1のオ 事故後の小金井市を含む周辺自治体・議会からの要望・要請の状況とそれらへの対応・協議の状況を時系列で伺う。

回答
調布飛行場の地元市である調布市、三鷹市、府中市と周辺自治体である小金井市からは、調布飛行場の管理運営の徹底や安全対策強化、自家用機の分散移転推進等の要望が合計18回あり、それぞれの要望に対応するとともに、その内容は住民説明会等でも説明してきました。地元3市との協議は、平成27年度から令和元年度までに15回行いました。
なお、小金井市については、必要に応じて意見交換を行っています。

質問事項
一の1のカ 同飛行場の安全・騒音対策につき、今後の取り組みと予算措置につき、どのようにしていくのか、伺う。

回答
調布飛行場では、操縦士や整備士等への安全講習会の開催、航空機専門員による離着陸重量のチェック等、調布飛行場独自の安全対策を継続しており、それらに必要な経費を確保しています。
また、騒音対策についても必要な経費を確保し、騒音防止工事に関する補助を実施しています。

質問事項
一の2 専決処分のあり方、運用について
ア 今年になってからの専決処分の状況とその理由を伺う。

回答
令和2年1月から9月までにおいて、条例の制定又は改正に関する事案3件、補正予算に関する事案5件、買入れに関する事案6件、合計14件の事案について、地方自治法第179条第1項に基づき専決処分しました。
その中で、条例改正に関する事案1件が法改正に伴うものであり、その他の13件については、新型コロナウイルス感染症に関する事案です。

質問事項
一の2のイ 専決処分は、議会の権限に属する事項を、長がやむを得ない場合にかわって行う制度であって、例外的な位置づけの団体意思決定手段とされている。この点につき、所見を伺う。

回答
地方自治法第179条第1項は、議会の議決すべき事件に関して、必要な議決が得られない場合において補充的手段として、普通地方公共団体の長に専決処分を認めたものとされています。
同項の専決処分の要件のうち、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」とは、絶対に議会の議決を得ることが不可能な場合ではないが、当該事件が特に緊急を要し、議会を招集してその議決を経ている間に、その時期を失するような場合とされています。

質問事項
一の2のウ 2006年や2012年施行の地方自治法改正により、制度本来の趣旨に即した要件の明確化・厳格化が図られた。これら法改正の趣旨と法改正前後の専決処分の運用につき、どのような変化があったのか留意点は何か、二元代表制や専決処分制度の趣旨を逸脱することがないようどのような手当がなされてきたのか、伺う。

回答
平成18年の地方自治法の改正では、専決処分の要件を明確にする観点から、従来、「議会を招集する暇がないと認めるとき」とされていたものが、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」に改められました。
また、平成24年の同法の改正では、条例又は予算に関する専決処分について議会が不承認としたときは、長は速やかに必要と認める措置を講じ、議会に報告しなければならないこととされました。

質問事項
一の2のエ 地方自治法第179条第1項の「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」の要件につき、知事の所見を伺う。

回答
「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」とは、絶対に議会の議決を得ることが不可能な場合ではないが、当該事件が特に緊急を要し、議会を招集してその議決を経ている間に、その時期を失するような場合とされています。

質問事項
一の2のオ 専決処分により、本年7月30日には新型コロナウイルス感染症対策条例の一部改正が、8月3日には一般会計補正予算が決定された。7月27日まで第二回臨時会が開かれており、会期延長を求め同臨時会に送付できなかったのか、見通しが甘かったのではないか、臨時会閉会直後の専決処分は議会軽視ではないのか、特に前者は、事業者・都民の努力義務を規定していることからも、知事の所見を伺う。

回答
東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の一部改正については、7月23日に新規陽性者数が366人となり、27日には入院患者数も1,260人と前日より大幅に増加するなど、感染状況や医療提供体制が危機的な状況に陥るおそれがあると認められたことから、これ以上の感染拡大を抑え込むため、7月27日の臨時会の閉会後、ステッカーの取組等を努力義務化する内容の条例改正に着手し、7月28日に知事が了承しました。
その後、モニタリング会議等のデータ分析や感染症対策審議会における専門家の意見等を踏まえ、7月30日に専決処分を行いました。
補正予算については、感染拡大を防止するため、都内の酒類の提供を行う飲食店及びカラオケ店の事業者等に対して、8月3日から同月31日まで営業時間の短縮を要請したことに伴い、予算措置を行う必要が生じたことから、8月3日に専決処分を行ったものです。

質問事項
一の2のカ 自由を守る会は8月18日に知事宛てに「臨時会招集を求める緊急請願書」を提出したが、回答期限が徒過して本日まで何らの回答は示されていない。同請願書の内容につき、知事の所見を伺う。

回答
地方自治法第179条第3項は、専決処分について、次の議会で報告し、承認を求めなければならない旨を定めています。
これに基づき、専決処分後、直近の議会である第三回定例会に報告し、承認を受けております。
なお、請願法による請願について、裁判例(東京高裁平成23年6月8日)は、「請願をしたことにより、請願者と請願を受けた官公署との間に、特別な公法上の法律関係を生じさせるものではなく(請願者による官公署に対する希望、意見、提言等の陳述に過ぎない。)、また、請願者に対し、当該官公署に請願の内容について審理を求め、あるいは、その採否や結果の通知等を求める権利を生じさせるものではない」と判示しています。

質問事項
一の3 小池知事及び東京都のCM等の広報について
ア 広告代理店の言い値で支払うことを回避するため通常GRP(Gross Rating Point)「延べ視聴率」の想定を代理店に出させて発注するはずであるが、緊急事態発出時は仕方なかったとしても、以降は提出させているのか。この点を踏まえて明記の上、広告の起案から発注にいたるまでの経緯につき具体的に時系列で伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症拡大の防止を呼び掛けるため、緊急事態宣言解除後において、4件のテレビCM放送契約を締結しました。
これらの契約に当たっては、各社から延べ視聴率の獲得見込みをあらかじめ確認しています。
4件の契約の起案及び契約年月日については、次のとおりです。
・契約期間 令和2年6月3日から同年9月30日まで
 起案年月日 令和2年5月20日
 契約年月日 令和2年6月2日
・契約期間 令和2年8月8日から同年10月30日まで
 起案年月日 令和2年7月30日
 契約年月日 令和2年8月7日
・契約期間 令和2年8月8日から同年10月30日まで
 起案年月日 令和2年7月30日
 契約年月日 令和2年8月7日
・契約期間 令和2年9月29日から令和3年3月31日まで
 起案年月日 令和2年9月3日
 契約年月日 令和2年9月28日

質問事項
一の3のイ これまで投じてきた広告費の費用対効果について、感染者数抑制、感染拡大防止にいかに貢献したのか、できてなかったのか評価と分析につき具体的に伺う。

回答
広報効果については、例えばテレビCMにおいては、獲得視聴率、ウェブ広告においては、性別や年齢層などの広告表示回数やクリック率等により把握しており、それらのデータの分析を進めています。

質問事項
一の3のウ 今後の広告費のあり方・予定についての詳細を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けては、感染状況に応じて正確な情報を迅速に都民に届けるとともに、ターゲットを意識した戦略的な広報を行うことが重要です。
今後も感染状況を踏まえ、広報誌やホームページ、SNS、ウェブ広告等、多様な媒体による広報を展開していきます。

質問事項
一の3のエ 他府県に比べ特出して広告費に税金を投入している件について、都民益につながっているのか、今後も広告を発注、打ち続けるのかについて費用対効果の観点を踏まえて、知事の見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の拡大防止には、都民や事業者の方々に、正確な情報を迅速に届けるとともに、東京都の各種施策について、御理解・御協力をいただくことが重要です。
今後も、適切なメディアを活用し、適正な経費の下で、戦略的に情報発信を行っていきます。

質問事項
一の4 昨今、刊行された注目の都政関係書籍について
ア 多くの国民・都民に読まれている30万部に及ぶ『女帝小池百合子』や『築地と豊洲』は読了されたか伺う。

回答
当該書籍については、読んでおりません。

質問事項
一の4のイ 『築地と豊洲』の著者澤章氏は異例の短期間で外郭団体の理事長を退任した一方で、東京水道株式会社社長に就任している野田数氏は、平成27年と同様の不祥事が本年も発生しているにもかかわらず、その去就は議論もなされず、公営企業委員会へ出席しての陳謝も説明も実現されていない。外郭団体トップ人事の去就についての小池知事の判断基準はどこにあるのか所見を伺う。

回答
政策連携団体をはじめとした各団体の役員人事については、団体自らの経営判断により、決定すべきものであり、これまでも団体の自主的判断により役員を任用しています。
また、都職員の活用が求められている団体については、本人がこれまでに培ってきた経験等に応じて、適切な人材を推薦しているところです。
その上で、都の事務事業と密接な関連を有する業務を担っている政策連携団体については、都のガバナンスを確保し、都政と連動した効果的な運営を図る観点から、必要に応じて、適切な人材を推薦しています。
なお、各団体の役員人事に関しての推薦理由については、各団体の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため、お答えしかねます。

質問事項
二 新型コロナウイルス感染症対策について
1 4月、7月、8月、9月と講じてきた補正予算の各事業効果について、現時点での包括的な効果について伺う。

回答
これまで、新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策については、速やかに対策を講じるものとして、医療提供体制等の強化・充実や、都民生活や経済活動を支えるセーフティネットの強化・充実に向けた取組などを実施するとともに、現下の困難な状況を乗り越えつつ、将来も見据えた対策として、社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組など、様々な観点から補正予算を編成したところです。
これまでも、各局において、補正予算に計上された事業の効果の早期発現に向けて、速やかな予算執行に努めているところであり、今後とも、確実に成果が上がるよう、全庁一丸となって取り組んでいきます。

質問事項
二の2 医療従事者等の現状と支援について
ア 医療現場の現時点の状況について東京都の各種支援事業が効果をだしているか、コロナ対策による物理的経済的逼迫を踏まえ現状と課題について伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、診療やPCR検査を行う医療現場で個人防護具の入手が困難となる状況が生じたことから、令和2年2月以降、都が備蓄している個人防護具を医療機関等に無償提供してきました。令和2年9月末までの提供実績は、防護服200万着、N95マスク133万個、ゴーグル18万個であり、現在は充足しています。
今後も医療現場のニーズを把握しながら、引き続き必要な医療用物資を調達・提供していきます。
また、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるためには、人員体制の確保や設備整備等の経費が必要になることから、経営基盤を包括的に支援するための臨時支援金を交付するとともに、9月末までの病床確保や新型コロナ外来の運営等に係る経費について、概算で交付しました。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制確保のために必要な支援を行っていきます。

質問事項
二の2のイ 東京都新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業の申し込み及び活用状況と課題について現時点の状況を伺う。

回答
東京都新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業の支給対象は、医療分が医療機関約24,900か所、介護分が事業所等約26,900か所、障害分が事業所等約19,100か所、救護施設分が8か所であり、令和2年9月末までの受付分の支払実績は、医療分が延べ14,352か所の約26万2千人分、介護分が延べ11,102か所の約16万5千人分、障害分が延べ3,807か所の約4万3千人分、救護施設分が全8か所の439人分となっています。
本事業は、慰労金を迅速に給付するための仕組みとして、事業所・施設を通じて一括して申請することとしていますが、国のコールセンター等に「職員が慰労金の申請を希望しているのに、事業所・施設が慰労金を申請してくれない」、「事業所・施設が派遣労働者や受託業務従事者分を申請してくれない」といった意見が寄せられたことから、令和2年8月に国は、各都道府県に「職員や派遣労働者、業務受託者の従事者の希望を踏まえて慰労金の申請を行うこと」、「派遣会社、受託会社と連携・調整の上、とりまとめて申請を行うこと」について、事業者・施設に丁寧な周知等を行い、対象となる方に慰労金が確実に届くよう、配慮を依頼する通知を発出しました。
都は、ホームページを通じ国の通知を周知するほか、関係団体の会議等を通じて協力を依頼しています。

質問事項
二の3 「重点医療機関等の体制整備」事業の実施状況と、これまで都は、重症患者用100床、中等患者用に2,700床の確保を目指し医療機関に申請、7月末で2,400床確保したとのことであるが、現状とニーズの充足状況について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症患者が確実に入院できるよう、重症者用100床、中等症患者用2,700床の確保を医療機関に要請しており、令和2年10月7日現在で、重症者用150床及び中等症等用2,490床の計2,640床を確保しています。同日現在の入院者数は976名であり、現状で入院が必要な患者のための病床は確保されています。
引き続き、中等症患者用に2,700床を確保できるよう医療機関に働きかけるとともに、今後とも、入院者数等の動向を注視しつつ適切に病床を確保していきます。

質問事項
二の4 軽症者向けホテル等宿泊療養施設について、事業実施から現時点までにおいて、過不足ないか充足状況を伺う。

回答
宿泊療養施設については、令和2年11月15日現在、区部及び多摩地域の合計9施設で3,251室を借り上げており、施設の運用を考慮した受入可能数は、1,910室となっています。
11月15日時点の入所者数は602人で、受入可能数に占める割合は約32パーセントとなっています。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数等の状況を踏まえて施設規模を維持しながら感染拡大に備えていきます。

質問事項
二の5 PCR等検査体制の現状について
ア 都は、7月末時点で1日当たり8,600件の検査処理能力とし、民間検査機関や大学病院などにおける、より効率的な検査機器の導入を支援することにより検査処理能力の拡大を進めているが、その後の状況を伺う。

回答
民間検査機関等への検査機器の導入支援等により、令和2年10月30日時点で、1日当たりの検査処理能力は、約25,000件を確保しています。
その内訳は、東京都健康安全研究センター・保健所が約800件、民間検査機関が約20,000件、医療機関が約4,600件です。

質問事項
二の5のイ 都は保健所に対し、感染症発生動向調査システム(NESID)、新型コロナ感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への入力を徹底するよう依頼し、これらのシステムを活用して陽性者の情報を把握しているとのことであった。また、陽性者の詳細な情報について、都庁内に設置した患者情報管理センターに集約し、都独自のデータベースを構築して保健所と情報を共有することにより、一体的な取組を進めているとのことであるが、各システム導入と活用の進捗と「一体的取組」の現状について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)により感染者の情報を把握するとともに、業務支援のために各保健所に派遣している職員が感染者の療養状況などの詳細な情報を追加で収集し、都に設置した患者情報管理センターに集約することで、独自のデータベースを構築しており、その情報は日々の報道発表や「新型コロナウイルス感染症対策サイト」による情報発信にも活用しています。
また、各保健所においてHER-SYSの導入が円滑に進むよう、令和2年5月から説明会を開催するとともに、国が定めた200以上にわたる入力項目のうち、都として特に必要な項目をあらかじめ示すなど、保健所の負担に配慮した支援を行い、現在、都内全ての保健所で、感染症発生動向システム(NESID)からの移行が完了し、運用が開始されています。
都は、HER-SYS及び患者情報管理センターデータベースの情報を保健所と共有することにより、一体的な取組を進めています。

質問事項
二の6 福祉保健局健康危機管理部門について
ア 同部門発足の経緯から業務内容と人員体制について7月に就任したばかりの健康危機管理担当局長交代、8月末感染症危機管理担当部長退職、健康危機管理監設置見送りの事実も含めた現状について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の第2波に備えた検査・医療体制の構築や保健所との連携強化などを図るため、令和2年7月13日、福祉保健局に感染症対策部を新設するとともに、感染症対策等を迅速かつ的確に進めるため、福祉保健局に健康危機管理担当局長を設置しました。
感染症対策部は、部内の総合調整を担う計画課、防疫業務や保健所支援などを行う防疫・情報管理課、検査や宿泊療養等の体制整備を行う事業推進課で構成しており、宿泊療養施設や保健所で勤務する者を除いた感染症対策部の職員数は、令和2年10月1日現在、各局からの応援も含めて212名です。
健康危機管理担当局長は、令和2年7月13日からは岩瀨和春、同年8月28日からは人事異動により初宿和夫となっており、感染症危機管理担当部長は、同月31日付けで吉田道彦が退職したことにより、同年9月1日から杉下由行となっています。
また、同年10月1日には効果的な感染症対策を一体的に担う司令塔として「東京iCDC」を立ち上げ、疫学・公衆衛生、感染症診療など4つの専門分野からなる専門家ボードを設置しました。
「東京iCDC」は、早期の本格運用を目指して順次体制を整備しており、健康危機管理監(仮称)については、同年9月25日に示した「東京iCDC構想」で感染症対策の知見を有する外部人材を登用することとしています。

質問事項
二の6のイ どのような組織運営をしているのか、また、「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議」、東京版「iCDC」との連関についても伺う。

回答
福祉保健局感染症対策部は、都の組織の一部として、東京都組織規程などに基づき運営されています。
「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議」は、都における新型コロナウイルスの感染の状況等について、専門家による分析結果を基に、現状の評価を行い、都としての必要な対応について検討することとしており、感染症対策部は、モニタリング会議の資料となる分析シートやグラフのデータ更新などを行っています。
「東京iCDC」は、新型コロナウイルス感染症をはじめ様々な感染症に対して、都、保健所、医療機関、研究機関が持つそれぞれの情報を分析・評価し、都民に正確な情報発信を行うとともに、有事には的確な判断に基づき効果的な対策を推進していく常設の司令塔としての機能を担うもので、感染症対策部は、こうした「東京iCDC」の機能のうち、情報発信、保健所への支援、宿泊療養体制の確保などの業務を実働部隊として担っています。

質問事項
二の7 iCDCについて
ア どのような獲得目標をもってこの組織体が、感染症拡大防止、撲滅に向け機能するのか伺う。

回答
都は、令和2年9月に公表した「東京iCDC」構想で、都、保健所、医療機関、研究機関が持つそれぞれの情報を分析・評価し、都民に正確な情報発信を行うとともに、有事には的確な判断に基づき効果的な対策を推進していく新たな拠点の形成を目指すこととしています。
この構想に基づき、感染症対策を効果的に推進していく常設の司令塔として、新たな拠点となる「東京iCDC」を令和2年10月1日に立ち上げ、感染症対策全般についての専門的助言を行う「東京iCDC専門家ボード」に専門分野ごとのチームを設置して検討を開始するとともに、福祉保健局に「健康危機管理対策本部」を設置しました。加えて、病院や高齢者施設等での感染拡大を防止するため、専門家による「感染対策支援チーム」を設置しました。
こうした体制と併せ、都民が現状を的確に把握するための情報発信や、感染拡大の防止及び医療提供体制の確保などの対策について、福祉保健局感染症対策部が実働部隊として担っていきます。
今後の感染症流行期を控え、危機に対する備えを講じていくため、順次体制の整備を進め、「東京iCDC」構想の実現を目指していきます。

質問事項
二の7のイ 保健所や医療機関、研究機関からどのような需要があって設立したのか伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の第1波への対応で得た知見を踏まえ、組織体制、検査体制、医療提供体制について検討した「第2波対策検討ワーキング」や「東京版CDC準備検討委員会」での議論を踏まえて「東京iCDC」構想を取りまとめ、この構想に基づき、令和2年10月に「東京iCDC」を立ち上げました。
「第2波対策検討ワーキング」や「東京版CDC準備検討委員会」には、保健所や医療機関、研究機関に所属している方々にも委員として参画いただき、院内・施設内感染対策の重要性や、専門家集団への期待、東京版CDCへの期待などの御意見を頂いています。

質問事項
二の7のウ 専門家リスト及び人選の経緯と過程を時系列で伺う。

回答
「東京iCDC専門家ボード」では、専門分野ごとのチームを設置して具体的な検討を進めていくこととしています。
また、専門家ボードが調査・研究する事項に関して、客観的な立場から知見を生かした助言を頂くために、外部アドバイザーを置いています。
令和2年9月25日に、感染症に関する高度な知識と経験、幅広い人脈を有する東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授を座長とする専門家ボードの設置を公表し、同年10月1日に、専門家ボードの座長に就任いただきました。
また、同日付けで17名のチームメンバーと3名の外部アドバイザーを選任しています。

質問事項
二の7のエ 専門家の各専門分野とウイルス対策に関しての実績・成果を人員体制と実効性につき伺う。

回答
10月1日時点の専門家ボードのチームメンバー及び外部アドバイザーは、順不同で次の20名です。
「疫学・公衆衛生」を専門分野とするチームの構成員は、鈴木基氏、中島一敏氏、谷口清州氏、西浦博氏及び西田淳志氏です。「感染症診療」を専門分野とするチームの構成員は、大曲貴夫氏、四柳宏氏、永井英明氏及び石田直氏です。「検査・診断」を専門分野とするチームの構成員は、石井良和氏、宮地勇人氏、三鴨廣繁氏及び柳原克紀氏です。「リスクコミュニケーション」を専門分野とするチームの構成員は、奈良由美子氏、武藤香織氏、小坂健氏及び田中幹人氏です。外部アドバイザーは、脇田隆字氏、舘田一博氏及び田中耕一氏です。これらの方々はそれぞれ研究職や医師、教授などでの知見を生かし、論文の発表や各種会議等での発言などを行っています。
都側の人員体制は、福祉保健局感染症対策部計画課が事務局となります。
この専門家ボードは、知事や健康危機管理担当局長へ提言等を行うこととしており、適宜必要な検討を行い、都における実効性のある施策につなげていきます。

質問事項
二の7のオ 「健康危機管理監」の設置理由及び今般見送った理由、すでに局長部長も転任退職していることからもそもそも必要なのか、時系列で必要性の判断がどのように変化していたのか意思形成過程を踏まえて伺う。

回答
都は、令和2年7月の「第5回第2波対策検討ワーキング」で示した「東京版CDC構想(素案)」及び同年9月に公表した「東京iCDC」構想の策定過程で、「健康危機管理監(仮称)」の設置を検討してきました。
これらの構想では、健康危機管理監(仮称)は、感染症対策の知見を有する外部人材を登用することとしており、専門家ボードの座長として専門家の意見を取りまとめることや、調査・研究部門の業務について指導・助言をすること、危機管理監等と連携し、知事の政策決定をサポートすることをその役割としています。
今後、東京iCDCが順次体制を整備しながら本格運用を開始していくことと併せ、健康危機管理監(仮称)の設置についても検討することとしています。

質問事項
二の8 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議について、発足、専門家選定、専門家の詳細、東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーと同会議体の関係性も含めこれまでの経緯を時系列で伺う。また「東京iCDC専門家ボード」との関連性と連携体制、人員体制について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、令和2年4月6日に東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーを設置しました。
アドバイザーは、救急医療や感染症医療に精通した医師等の専門家で構成しており、都に対して医療提供や入院受入調整などについて助言し、感染状況及び医療提供体制状況の分析を行うこととしています。
東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議は、感染状況等を継続的に監視することを目的として令和2年5月22日に設置し、同年7月1日には、設置目的を改め、上記専門家の分析結果を基に、現状の評価を行い、東京都としての必要な対応について検討することとしました。
東京iCDC専門家ボードは、同年10月1日に設置し、疫学・公衆衛生、感染症診療、検査・診断、リスクコミュニケーションの専門家で構成し、モニタリング会議のデータなどの情報も把握しながら対策を検討し、都の政策につながる提言を行うこととしています。

質問事項
二の9 福祉保健局以外からコロナ対策事業に兼任・応援・支援・派遣されている他局の職員の全容について業務内容、職務権限、当該業務にあたる時間数と、本来業務との調整及び影響や時間外勤務の状況について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症対策として、全庁的な応援体制を構築しており、令和2年10月1日現在、福祉保健局感染症対策部には、各局からの応援による兼務・併任職員が、宿泊療養施設に勤務する者を含め、管理職37名、一般職員117名、計154名在籍しています。
兼務・併任職員は各課に配属され、各課長等の指示の下、部の庶務事務、防疫業務、保健所支援業務、検査関連業務、医療機関との調整業務、宿泊療養施設の運営業務などの各種業務に従事しています。配属の状況は別紙のとおりです。
兼務等の期間中は、兼務・併任元と感染症対策部の双方の業務に従事する場合と、感染症対策部の業務に専任で従事する場合がありますが、双方の業務に従事する時間数は職員や時期によって様々であることから、一律には把握していません。
一般職の兼務・併任職員の超過勤務時間は、令和2年8月実績では、一人平均30.7時間となっています。

感染症対策部(宿泊療養施設勤務を含む)に係る他局兼務・併任職員数(管理職及び一般職員)
令和2年10月1日時点
事項 計 管理職 一般職員 備考
計画課 部の庶務事務
東京感染症対策センター業務 11 4 7 (管理職)政企4
(一般職員)政企1、主税2、建設1、水道2、下水1
防疫・情報管理課 患者情報管理、モニタリング等防疫業務
保健所支援業務
保健所支援拠点業務 27 3 24 (管理職)戦略1、環境1、生文1
(一般職員)主税5、生文5、オリ3、環境5、建設1、会計3、水道1、下水1
事業推進課 検査関連業務
医療機関との調整業務
宿泊療養施設の開設・運営支援
宿泊療養の調整業務 69 4 65 (管理職)戦略1、病本1、総務1、交通1
(一般職員)戦略2、総務3、財務3、主税12、住政6、市場3、建設4、会計1、交通8、水道5、下水13、労委1、選管1、監査2、議会1
宿泊療養施設運営 47 26 21
The b 池袋 3 3 0 (管理職)港湾3
デイナイスホテル東京 3 3 0 (管理職)総務3
イーストタワー(品川プリンスホテル) 10 4 6 (管理職)オリ4
(一般職員)オリ6
東横INN新宿歌舞伎町 3 3 0 (管理職)水道3
東横INN東京駅大橋前 2 2 0 (管理職)建設2
アパホテル<浅草 田原町駅前> 3 3 0 (管理職)主税3
日本財団災害危機サポートセンター 9 3 6 (管理職)交通2、下水1 (一般職員)交通3、下水3
東横INN府中南武線南多摩駅前 14 5 9 (管理職)都整5
(一般職員)都整9
計 154 37 117
  職種は、事務職、土木職、建築職など

質問事項
二の10 今秋以降予想される感染再拡大に備え、本腰を入れて新型コロナウイルス対策をするのであれば、既存の体制強化を優先し、政府や区市町村、保健所との連携強化、保健所そのものの支援と拡充をまずはすべきと考える。目新しい場当たり的な組織新設に飛びつくのではなく、退職者や退任者の出ない福祉保健局の抜本的再構築をもとめるものであるが、現状の体制、新設組織、保健所の現実を踏まえ知事の所見を伺う。

回答
都は、これまで、現場での新型コロナウイルス感染症対策を支援するため、区市の保健所に応援職員を派遣するなどの取組を行っており、令和2年10月1日現在、99人の事務職等が保健所で業務に当たっています。
また、感染症対策の更なる強化のため、令和2年7月に福祉保健局に感染症対策部を設置するとともに、同年10月1日には感染症医療等の専門家からなる「東京iCDC」を立ち上げました。
「東京iCDC」の設置に伴い、これまで都内の感染状況や医療提供体制等に関してモニタリング会議等で助言を頂いてきた「新型コロナウイルス感染症医療アドバイザー」については「東京iCDC」において、感染症に関する特定の事項に関して検討を行う「タスクフォース」のメンバーに位置付けるとともに、医療関係者や国の研究機関の研究者などに加え、区市の保健所長などもタスクフォースとして加わることで、関係機関との協力体制を一層強化しながら対策を進めています。

質問事項
二の11 オゾン機器の導入推進について
ア 都の補助金対象にオゾン機器を対象にするかどうか所見を伺う。

回答
バス事業者向けの安全・安心確保緊急支援事業では、オゾン発生器のうち日本オゾン協会の認定基準等を満たす機器を補助対象としています。

質問事項
二の11のイ 都立病院・公社病院などの医療現場、都立学校現場、都バス・都営地下鉄などの公共交通機関での活用を検討していないか所見を伺う。

回答
都立・公社病院における新型コロナウイルスの感染防止策としては、医療従事者は、ガウン、マスク等の個人用防護具の装着と手指消毒を徹底しています。また、病院の入口等では来院者の検温等を行い、発熱が確認された場合には通常とは別の動線へ誘導しています。さらに、感染症患者が入院する病棟においては、汚染区域と清潔区域に分けるゾーニングを厳格に実施しています。加えて、全ての都立・公社病院において、国がコロナウイルスに対する有効性を認めている紫外線照射による減菌機器を既に導入しています。
オゾンガスを発生させる機器の効果については、国はその効果を明確に示しておらず、都立・公社病院への導入は検討していません。
都教育委員会では、オゾンによる新型コロナウイルスの不活化などの研究が行われていることや、様々な抗菌機器が製造されていることなどは承知しています。
現在、都立学校では、東京都教育委員会が策定した「新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドライン」に基づき、適切な換気の実施や日常的に手を触れる場所の消毒、飛沫感染防止のためのアクリル板等の設置などの対策や、「3つの密」の回避、手洗いの励行、マスク着用による咳エチケットの徹底など、感染症対策と学校運営の両立に取り組んでいます。
感染症対策の実施に当たっては、引き続き情報の収集に努めるとともに、都内の感染状況や国の動向等を注視しつつ、費用対効果なども考慮の上、校内衛生の適切な管理に努めていきます。
交通局では、新型コロナウイルス感染症対策への社会的関心が高まる中、オゾン機器を含め、抗菌・抗ウイルスのための様々な製品が販売されていることは承知しています。
現在、都営交通では、業種別ガイドラインに基づき感染症対策に取り組んでいますが、今後も情報収集に努め、新型コロナウイルスへの効果や安全性、費用等を勘案しながら、安心して都営バスや都営地下鉄を御利用いただける環境整備に努めていきます。

質問事項
二の11のウ オゾンは0.1ppm以上の高濃度では人体に影響があるとされ0.1ppm以下に設定されているものを採用することも肝要である。オゾン機器の品質管理及び選定基準をどのようにするかの所見も伺う。

回答
バス事業者向けの安全・安心確保緊急支援事業では、オゾン発生器のうち日本オゾン協会の認定基準等を満たす機器を補助対象としています。また、補助対象者が製品の使用条件等に基づき適切に使用することを条件としています。

質問事項
三 財政政策について
1 現時点での各種基金残高見通しを伺う。

回答
令和2年度9月補正予算を反映した令和2年度末の基金残高見込みは、財政調整基金が1,718億円、特定目的基金が9,036億円となっています。

質問事項
三の2 都は「令和2年度予算の執行についても、必要な見直しを行う」としている。令和3年度予算編成の前に今年度の事業費見直し・削減を求めるものであるが、具体的に対象となっている事業や検討事項等現状を伺う。

回答
令和2年度予算については、令和2年4月1日付けの予算執行に係る副知事依命通達により、全ての事業の執行過程において不断の見直しを行うよう求めており、一つ一つの事業の必要性や緊急性を見極めながら、令和3年度の予算要求を踏まえて一体的に見直しを行っていきます。

質問事項
四 教育政策について
1 都における教員免許の失効・取上げの件数につき、過去5年、伺う。

回答
東京都教育委員会における教育職員免許状の失効・取上げ件数は、平成26年度は失効14件、取上げ2件、平成27年度は失効18件、取上げ3件、平成28年度は失効18件、取上げ5件、平成29年度は失効16件、平成30年度は失効30件、取上げ2件です。

質問事項
四の2 性犯罪をはじめとする非違行為により教員免許を失効・取上げとなった者(他道府県を含む)が再び教壇に立ち、教育現場に関わることがないのか、教育委員会の対応状況・実績を伺う。

回答
教育職員になるためには、学校教育法等の規定により、教育職員免許状が必要となります。
また、非違行為等で教育職員免許状を失効又は取上げとなった者については、教育職員免許法の規定により、その免許状の種類、失効等の事由、氏名及び本籍地を官報に公告しなければならないことになっています。
都教育委員会では、この法の規定に基づき官報に掲載するとともに、他道府県教育委員会で掲載した失効等の情報についても、最新のものを収集しており、教育職員免許状を失効又は取上げとなっている者については、採用していません。
引き続き、教員の適切な任用に努めていきます。

質問事項
四の3 私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)や民間フリースクールにおける、性犯罪をはじめとした非違行為により教員免許が失効・取上げとなった者の採用防止につき、現状と都としての対応状況を伺う。

回答
私立学校における教員の採用については、学校を設置する法人等の責任と判断において行っています。
都では、文部科学省が提供している、官報に公告された教員免許状の失効・取上げ情報を検索するツールについて、私立学校に周知しています。
なお、都が認可した学校ではない民間フリースクールの教員の採用については、都は把握する立場にありません。

質問事項
四の4 都立大学のハラスメント対策について
ア 都立大学におけるパワハラ、アカハラなどの相談から解決までの体制はどのようになっているのか、相談者の人権などがどう守られているのか被害者に寄り添った適正な調査や解決体制が取られているか、制度をどのように周知しているのか伺う。

回答
都立大学を含む東京都公立大学法人では、相談窓口として、当該法人が設置する学校の各キャンパスにハラスメント相談員を複数配置し、対面や電話、メールなどにより、どの相談員にも相談できる体制を整えています。
また、事案解決の組織として、ハラスメント防止委員会を設置し、苦情の申立てがあった場合は、事情聴取等により事実関係を明らかにした上で、調査結果等を申立人に通知するとともに、必要に応じて、被申立人への事案解決に向けた対応要求や、学長等への懲戒処分の勧告等を行っています。
相談者をはじめ関係者の名誉及びプライバシーなどを侵害することがないよう、相談員等には守秘義務を課し、慎重な行動と十分な配慮を求めるとともに、当該委員会において、公平、公正な立場で調査し、解決に向けた対応を行っています。
なお、これらの制度について、年度当初の学生向けガイダンス等におけるリーフレットの配付や、定期的に行う教職員向け研修における説明に加え、ホームページにより広く周知しています。

質問事項
四の4のイ 過去3年間における、東京都公立大学法人ハラスメント防止委員会への申立件数及び相談員への相談件数状況をお示し下さい。

回答
東京都公立大学法人における過去3年間のハラスメント相談員への相談件数は、平成29年度は17件、平成30年度は21件、令和元年度は19件となっています。
なお、東京都公立大学法人ハラスメント防止委員会への申立件数については、申立人及び被申立人等の関係者の名誉及びプライバシーなどの人格権保護の観点から、当該法人では公開していません。

質問事項
四の4のウ 相談実態について
a 同防止委員会の事務局が何らかの理由をつけて正式な申立として受け付けなかった件数が含まれていないのではないかと懸念する。正式な申立の一歩手前に相当する「申立希望」の件数と、同委員会の事務局が何らかの理由をつけて正式な申立として受け付けなかった件数を分けて伺う、出来ない場合はその理由について、根拠を踏まえて伺う。

回答
東京都公立大学法人ハラスメント防止委員会は、当該法人が設置する組織に所属する全ての教職員、学生及び法人の業務を請け負う受託事業者等の関係者(以下「構成員」という。)の間に発生したハラスメント事案解決のための組織として、構成員から対応を求められた全ての苦情の申立てを受理しています。
そのため、過去3年間における実績においても、構成員からの苦情の申立てを事務局が受理しなかったことはないとのことです。
なお、ハラスメント防止委員会への正式な苦情の申立ての一歩手前に相当する「申立希望」という手続はありませんが、当該法人では、苦情の申立てに至らない相談などについては、相談窓口を設置し、ハラスメント相談員による対応を行っています。

質問事項
四の4のウのb 申立件数、認定件数について、情報公開法及び同条例に基づいて公開すべきと考えるが、公開するとどのような支障が生じるのか、それは申立人と被申立人のどちらに及ぶのか、改めて所見を伺う。

回答
行政機関の保有する情報の公開に関する法律では、地方公共団体は、法律の趣旨にのっとり、保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、実施するよう努めなければならないとされており、また、東京都情報公開条例では、都が設立した地方独立行政法人は、当該法人が行う事業に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう、情報公開の推進に努めるものとされています。
一方、ハラスメント事案への対応に当たっては、申立人及び被申立人等の関係者(以下「申立人等」という。)の名誉及びプライバシーなどの人格権を侵害することがないよう十分な配慮が求められます。
申立件数や認定件数自体は、特定の個人を識別できるものではありませんが、公開することで、周囲の詮索などにより申立人等が特定されることや、誤った情報が流布されるきっかけとなるなど、申立人等の名誉及びプライバシーなどの人格権を害するおそれがあるため、当該法人では公開していません。

質問事項
四の4のウのc 「東京都行政手続条例」は、ハラスメント防止委員会の事案解決手続におよぶのか伺う。

回答
東京都行政手続条例は、都知事や行政委員会等の条例等に基づき処分権限を有する者、又はその権限に属する事務を委任された者が行った処分や、これらに対する届出に対して適用されます。
東京都公立大学法人のハラスメント防止委員会の事案解決手続については、上記に該当しないことから、本条例が及びません。

質問事項
四の4のウのd 都立大学におけるハラスメント対策や制度が実効的なものとなり、裁量権で門前払いされ泣き寝入りさせられることがないようすべてを機械的に受け付けて正式に大学及び委員会にもちこまれ議論されるべきと考える。今後、学生、教職員(非常勤も含む)全ての被害者が、安心して利用できる制度とするために都立大学は、今後どのような取り組みをしていくのか、申し立て受付体制の改善も含め所見を伺う。

回答
都立大学を含む東京都公立大学法人では、ハラスメントの相談窓口となる相談員を配置するとともに、事案解決の組織としてハラスメント防止委員会を設置し、全ての教職員、学生及び法人の業務を請け負う受託事業者等の関係者(以下「構成員」という。)から寄せられた全ての相談及び苦情申立てに適切に対応しています。
当該法人では、今後も引き続き、相談者をはじめ関係者の名誉及びプライバシーなどに配慮しながら、適切な制度運用を行うとともに、全ての構成員が、安心して制度を利用できるよう、リーフレットの配付や研修等を通じて、制度の周知を図っていくこととしています。

質問事項
五 子ども・子育て支援策について
1 キッズラインについて
ア 株式会社キッズラインの東京都ベビーシッター利用支援事業の認定取り消しも含めて、東京都は事件後適切な措置を講じたか、進捗について伺う。

回答
都は、お尋ねの事業者に対して、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款に基づく立入調査を実施し、その結果、認定事業者は、本事業に従事するベビーシッターに、保育の質の向上、事故防止等の研修及び指導を受ける機会を提供し、常にサービスの質の向上に努めなければならないとするサービス提供約款第8の第2項等に適合しない事実を確認したため、速やかな改善を指示しました。
あわせて、改善までの間は、本事業における新規の利用契約を停止し、保育の質向上等に優先して取り組むよう指導しています。

質問事項
五の1のイ マッチングサービス提供事業の現状と責任について
a 認定事業者の中で株式会社キッズラインの他に「マッチングサービス」事業を運営している事業者はいるのか。把握の状況を伺う。

回答
都は、ベビーシッター利用支援事業の事業者として、令和2年10月末時点で17事業者を認定しています。
そのうちマッチングサイトを運営しているのはお尋ねの事業者のみです。

質問事項
五の1のイのb 強制わいせつ事件を起こした当該シッターは東京都ベビーシッター利用支援事業にて、シッターとして働いたことがあるのか、伺う。

回答
都は、お尋ねの事業者からの報告により、強制わいせつ容疑で逮捕されたベビーシッター2名のうち1名が、ベビーシッター利用支援事業に従事していたことを確認しています。

質問事項
五の1のイのc 「マッチングサービス」事業の場合でも子どもの命と尊厳にかかわり実際に重大事故を発生させた会社が法的責任を負うと思料するが、事業における責任の所在につき、都の所見を伺う。

回答
マッチングサイトを通じたベビーシッターの利用は、マッチングサイトの利用規約及びベビーシッターと保護者による個人間の契約等に基づくものであり、事故が発生した際の法的責任については、その利用規約等により規定されるものと認識しています。

質問事項
五の1のイのd 今般事件を受けて、参加事業者認定基準を見直すべきと考えるが、現時点の福祉保健局の所見を伺う。

回答
都は、認定事業者への指導監督を強化するため、令和2年9月11日付けで、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款を改正し、立入調査から認定取消しまでの指導等の手順を明記しました。
具体的には、指導を行っても改善されない場合の改善勧告、改善勧告に従わなかった場合のその旨の公表や、認定取消し要件の追加等の改正を行っています。

質問事項
五の1のイのe 株式会社キッズラインの役員の中に、保育の専門家は存在しておらず、同社も認めているが、保育施設に関しては厳しい基準があるなか誰でも適性が確認されることなくシッター事業を開業していいということは今般の重大事件を踏まえて許されないと考える。保育の専門家・有資格者を必ず社内におくなど、国に先んじても都に独自の基準を設けるべきと考えるが、対応状況と所見を伺う。

回答
都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者について、保育の提供体制、保育の質、事業の安定的運営、利用者支援の四つの観点から、都独自の認定基準を設けて審査しており、保育事業者としての適性を確認した上で認定しています。
また今回、認定事業者への指導監督を強化するため、サービス提供約款を改正し、立入調査から認定取消しまでの指導等の手順を明記しました。

質問事項
五の1のイのf 株式会社キッズラインは現在全国4,500名のシッターが登録されている。同社の東京都登録数は9月30日現在、HP上で確認できるだけで1,812人のシッターが登録している。一方同社社員は約20名である。1人で90名のシッターを管理することになる。この組織体制では、シッターの質のチェックや育成、保育の安全性は担保できるか危倶をする。例えば、社員数に応じて、登録させるシッター数の上限を必ず設けるなどのあらたな取り組みを求めるものであるが、都の対応状況と所見を伺う。

回答
都は、ベビーシッター利用支援事業の参画事業者の認定基準に、本事業を統括する責任者及び保育の質の管理や保育中の不測の事態等への対応等を行う管理者の配置を規定しています。
管理者等がその役割を担えていないことが判明した場合、都は、認定事業者に対して、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款に基づく指導を行います。

質問事項
五の1のイのg ベビーシッター利用支援事業サービス提供約款「第17事業者の認定取消し部分」に認定事業者において、子どもへのあらゆる暴力事件等が発生した場合、認定取り消しとする等、厳しい条項を盛り込むべきと考えるが、検討状況を伺う。

回答
都は、認定事業者への指導監督を強化するため、令和2年9月11日付けで、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款を改正し、認定取消しの要件に都の指導監督に従わなかった場合等を追加しました。

質問事項
五の1のウ 株式会社キッズライン代表取締役社長は、小池知事鳴り物入りの東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT)の1期生でもあった。今般、当該児童に甚大な被害が及び社会的悪影響を及ぼした点につき、同社の認定取り消しを含めた厳峻な処断を知事に求める。所見を伺う。

回答
都は、お尋ねの事業者に対して、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)サービス提供約款に基づく立入調査を実施し、その結果、サービス提供約款に一部適合しない事実を確認したため、速やかな改善を指示しました。
あわせて、改善までの間は、本事業における新規の利用契約を停止し、保育の質向上等に優先して取り組むよう指導しています。
今後、改善状況を確認するため、改めて立入調査を実施し、必要に応じて指導していきます。

質問事項
五の2 虐待対策について
ア 学校休校以降、直近の虐待件数の推移と、課題に対して都が講じた具体的な対策について伺う。

回答
都の児童相談所における令和2年3月から7月までの虐待対応件数は、3月2,886件、4月1,657件、5月1,475件、6月2,020件、7月2,610件です。
学校の休業等により、児童の生活環境が変化する中、都は、地域の関係機関が把握している要支援児童等について、学校や保育所等が週1回程度状況を確認するよう区市町村等に要請し、必要に応じて児童相談所等が適切に支援しました。
また、児童相談所では、在宅指導中の全てのケースについて、改めて、対面等で状況を把握するとともに、連絡が取れない場合等については、緊急性を判断した上で立入調査等による安全確認を徹底しました。
学校再開後は、各学校等に対し、把握した児童の情報について、子供家庭支援センター等と適切に共有し、必要な支援につなげるよう依頼しました。

質問事項
五の2のイ 子どもが性暴力の被害などにあうのを防ぐための教育の在り方について、政府の検討が始まった。都における性暴力被害の対策の現状と政府の動きを見据えた取り組みを伺う。

回答
都教育委員会は、都内全ての公立学校において、安全教育の実践的な指導資料として毎年度作成している「安全教育プログラム」の活用等を通して、危険を感じたらすぐに助けを呼ぶことや、暗くて人通りの少ない道の通行を避けることなど、子供が犯罪の被害を回避する行動を身に付けられるようにするための教育を計画的に実施するよう指導・助言を行っています。
また、平成28年度から、子供を対象に定期的に実施するアンケートの例として、家庭や家族に関する項目を示し、学校において、家庭での不安や悩みについても把握できるようにしました。さらに、虐待を受けたと思われる子供については、児童相談所等への通告を徹底すること、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携して支援を行うことなどを学校に求めています。
虐待を受けた児童に対しては、児童相談所において、児童精神科医や心理職などによる心のケアを実施しています。
国の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」における検討状況については、今後とも注視していきます。

質問事項
五の2のウ 本年大田区で重大な死亡事案が発生した。本件について都の関与の状況を伺うとともに、その他の死亡事案における検証などの対応について伺う。

回答
令和2年6月に大田区で発生した3歳女児の死亡事例について、児童相談所の関与はありませんでした。
本事例については、大田区が検証を行い、9月に報告書が取りまとめられました。
都は、児童福祉審議会の下に児童虐待死亡事例等検証部会を設置し、重大な虐待事例について検証を行っており、令和2年度に発生した事例については令和3年度に検証を行う予定です。

質問事項
五の2のエ 本年、区へ移管した児童相談所の状況と課題、改善した点などについて伺う。

回答
令和2年4月に世田谷区及び江戸川区、7月に荒川区が児童相談所を開設しました。
三区の児童相談所の運営状況等については、全区市町村が参画する東京都児童相談体制等検討会で共有することとしています。
9月に開催した検討会で、世田谷区からは、児童相談所と子供家庭支援センターをそれぞれ運営しており、保健所や保育所などで職務経験があり、地域資源をよく知る職員がいるため、地域の関係機関と連携が取りやすいこと等の利点がある一方、児童相談所と子供家庭支援センターの役割分担に応じた職員の専門性の向上など、人材育成等に課題があると報告がありました。
江戸川区及び荒川区からは、児童相談所と子供家庭支援センターを一体的に運営しており、従来の子供家庭支援センター部門と児童相談所部門が合同会議を実施できること等の利点がある一方、経験の浅い職員が多く、知識や経験の蓄積等に課題があると報告がありました。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 コロナ対策における区市町村への支援について
二 都営住宅について
三 プラスチック削減について
四 子どもの性被害防止について
五 「東京都つながり創生財団」と多文化共生について

一 コロナ対策における区市町村への支援について
新型コロナウイルスに感染した場合、同居家族に子ども、高齢者、障がい者がいると、その家族を残して安心して入院、宿泊療養ができないという問題があります。家庭内感染を防ぐうえでも大きな課題です。生活者ネットワークは、これまでも行政が同居家族に対し個々に応じたヘルパーの派遣、短期的な入所先などをコーディネートする必要があると指摘してきました。保護者が感染した場合に子どもの預け先をどうするか大きな話題となったことを受け、例えば杉並区では、廃園になった保育園を活用して子どもや要介護者を一時的に預かる体制を整えました。
1 新型コロナウイルス感染症の陽性者に、子育てや介護が必要な同居家族がいる場合、都はどのような支援をしているのか。また、子どもや要介護者を受入れる区市町村に対しどのような支援をするのか伺います。
2 宿泊施設や自宅で療養中の陽性者に「みだりに外出しないよう」求める努力義務を課す「新型コロナウイルス対策条例」を一部改正します。外出をしないよう求めるのであれば、都と区市町村が連携して、毎日の食事や不足した日用品を届けるなど生活に即した支援が必要です。都の見解を伺います。
3 23区、八王子市、町田市の保健所とは異なり、多摩地域の保健所は都が所管しています。陽性者の要望にきめ細やかに対応するためには、居住している自治体の協力が必要となります。自治体との情報共有について伺います。

二 都営住宅について
1 有料駐車場の地域住民への開放について
地域に暮らす車いす利用者から、車いす利用者の車は、乗降の際にドアの開閉に幅を取るため、「乗降のたびに他の車の出入りや通行人の迷惑にならないように気を使う」「民間駐車場は車幅が狭いため1台分では非常に不便」「2台分を借りるのは費用負担が大きいためむずかしい」など問題が多く、ちょうどよい駐車場を確保することが大変難しいと聞いています。ちょうど近隣の都営住宅の敷地内の駐車場の空き区画の募集があったので借りたいと申請をしたところ、障がい者用の区画は地域開放には貸し出していないと断られたということです。
ア 都営住宅等の敷地内にある有料駐車場の貸出事業について伺います。
イ 東京都には障がい者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例があり、合理的配慮の提供を義務付けています。障がい者用の区画は貸し出していないと断ったのは残念です。地域開放している駐車場には相当数の空きがあるので、障がい者用に2台分の区画を1台分にするなど創意工夫して、利用できるようにすべきです。駐車場確保に困っている障がい者等から相談があった場合にていねいに対応するとともに、都は率先して都営住宅の駐車場を提供すべきと考えますが、見解を伺います。
ウ 今回は都営住宅の駐車場に関する事案についての要望ですが、障がい者や関係者からは、障がい者の差別解消に関する相談であれば、どのような内容であっても総合的に一括して相談できる窓口が必要だという声があります。都は、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例で、専門相談体制を整備し、相談を受け付けるとしています。障がいを理由とする差別を受けた場合の相談体制とその解決に関して、都はどのように取り組んでいるのか伺います。
2 同居親族要件について
2012年の公営住宅法改正で、同居親族要件が削除されましたが、東京都には、都営住宅条例の同居親族要件がまだ残っているために、同性パートナーが入居できない現状があります。公営住宅への同性パートナーの入居を認める自治体も増えています。
ア 公営住宅法改正で同居親族要件が削除されたにもかかわらず、都営住宅条例の同居親族要件を削除しない理由について伺います。
イ 同性パートナーが入居申請できるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
3 都営住宅募集のオンライン化について
行政のデジタル化の一つとして、都は都営住宅の募集についてオンライン化を進めていくと聞いています。
ア 都営住宅の募集のオンライン化に関するスケジュールについて伺います。
イ オンライン申請ができる環境にいない人や障がい者が申請をあきらめたり、不利益になったりしないようにする必要があります。これまで通りの手書き申請についても継続する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

三 プラスチック削減について
昨年12月、都は、ゼロエミッション東京戦略にあわせてプラスチック削減プログラムを策定しました。ところが、これが動き出した矢先に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こりました。感染対策のため、外食の自粛、学校の一斉休校や在宅勤務などにより、家族が家にいる時間が長くなって、テイクアウトや個別包装が増え、家庭ごみにはプラスチック容器がふえてしまいました。
1 こうしたなかで、7月から予定どおりレジ袋有料化が始まりました。コンビニでもレジ袋を辞退する人が増えており、75%を超えているということです。レジ袋は使い捨てプラスチックのごく一部ですが、使い捨てプラスチック削減に向けた契機となり、リユース容器の導入やばら売り、量り売りなどもすすめていく必要があると考えます。使い捨てプラスチック削減をさらにすすめるために実施している都の取り組みについて伺います。
2 ペットボトル削減に向けて、生活者ネットワークはマイボトルに入れられる給水スポットを都内各所に増やすよう働きかけてきました。マイボトルを持ち歩く人も増えています。水道局が設置する冷水が出る水飲み栓は、マイボトルキャンペーンにはうってつけで、設置を広げることを期待しているところです。現状と今後の取り組みについて伺います。
3 プラスチックのリサイクルは、回収から加工、リサイクル素材の利用、そして販売と、循環がきちんとまわるようなしくみが必要です。先進的な企業はすでに動いており、例えばアディダスでは丸ごと100%リサイクルするスニーカーを発売すると発表し、ファッション業界でも衣類のリサイクルをすすめるなど、企業活動の中で取り組みを始めています。国は製品プラスチックと容器包装プラスチックの一括資源回収という方針を示しました。まだ具体的な方法は模索中であり、一括回収には解決すべき課題もあります。まずは、現在あるしくみのなかで容器包装プラスチックのリサイクルをすすめるために、分別収集を都内全域で実施すべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
4 マイクロプラスチックについては、これまでもプラスチックごみの減量とともに、微細なマイクロビーズやマイクロカプセルが下水道からも河川を通して海に流れるため対策が必要であることを指摘してきました。最近、人工芝や化学繊維から破片が水に流出したり、繊維くずやマイクロカプセルが空気中に浮遊するなど、さまざまなプラスチック汚染が問題になっています。便利なプラスチックを使いすぎている生活の見直しが必要になっているのです。マイクロプラスチックを含む海ごみ対策として、都が実施している取り組みについて伺います。
5 紙おむつは、介護用を中心に需要が増大しています。使用済み紙おむつについて、国土交通省は下水道に流す研究を始めたと聞いていますが、水使用の増加や下水処理場の負担、河川への影響から、流すのではなくリサイクルに向けた施策を推進していく必要があると考えます。実際にリサイクルに取り組んでいる企業もあり、課題を解決しながらすすめていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

四 子どもの性被害防止について
子どもへのわいせつ行為などの性被害が後を絶ちません。特に、教員や保育士、ベビーシッターなど、学校や保育の場面で力関係が歴然としているなかで行われる行為は、見つかりにくく子どもがSOSを出しにくいこともあり、深刻な事態を招くこともあります。
1 最近教員のわいせつ行為に関する報道が相次いでいます。児童生徒に対するわいせつ行為が発覚した場合、教員への処分はどのようになっているのか、公立・私立それぞれについて伺います。
2 認可保育園の保育士がわいせつ行為を行った場合はどうか伺います。
3 処分された教員や保育士について、他県で資格を再取得し、また子どもへの被害が報告される事例も聞きます。性犯罪は再犯性が指摘されており、国でもこの問題について検討を始めています。例えば、加害者への治療や更生プログラムとともに、異なる職業を選択するよう促す必要もあるのではないでしょうか。現状はどのようになっているのか伺います。
4 ベビーシッターによるわいせつ行為の事件も相次ぎました。都の補助事業を実施している事業者が運営するマッチングサイト利用者でも6月に事件が発覚しました。マッチングサイトは、都の事業と違い、都は指導できないことになっています。しかし、サイトを見ている人には違いがわかりません。シッター登録者の質の確保を民間のマッチングサイト事業者に、どのように実現させるのかが課題です。ベビーシッターには資格がないため、研修の義務づけだけでなく研修内容をチェックするなど、都の関与を強めるべきではないかと考えます。ベビーシッター利用支援事業において、保育の質の確保に向けた取り組みとともに、今回の事件におけるマッチングサイトを運営している都の認定事業者に対して、どのように対応しているのか伺います。
5 性被害から子どもたちが身を守るには性教育が欠かせません。子どもにわかりやすくするために、水着で体を覆う部分はプライベートゾーンだから、人には見せない、触らせないこと、相手がだれであっても嫌なことをされたら「やめて!」と断ることができるようにすることが重要です。このような性教育が必要と考えますが、見解を伺います。

五 「東京都つながり創生財団」と多文化共生について
これまで国際交流委員会が担ってきた都内在住の外国人への支援は、新たにできた財団が引き継ぎ、さらに充実させていくとしています。生活者ネットワークは、かねてから外国人との共生をめざし「やさしい日本語」を取り入れることや、子どもが高校進学するために必要な日本語教育などさまざまなサポートを拡充するよう求めてきました。今後の支援充実について伺います。
1 国際交流財団を17年前に廃止して、今回新たな財団を設立した目的は何か伺います。
2 これまで多くのボランティアが担ってきた子どもへの日本語教育や学習支援は、財団によってどのように拡充されるのか伺います。
3 財団が実施する「やさしい日本語」の普及に向けた具体的な事業内容とその方法について伺います。

令和2年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 コロナ対策における区市町村への支援について
1 新型コロナウイルス感染症の陽性者に、子育てや介護が必要な同居家族がいる場合、都はどのような支援をしているのか。また、子どもや要介護者を受入れる区市町村に対しどのような支援をするのか伺う。

回答
高齢者や障害者を介護している家族や児童を養育している保護者が新型コロナウイルスに感染した場合でも、要介護者や児童が生活を続けられ、り患した家族が安心して療養に専念できる環境を整える必要があります。
このため都は、こうした場合に、要介護者等を地域で一時的に受け入れられるよう、介護施設の空きベッドの確保、自宅から施設等への搬送など、要介護者等の状況に応じて必要な取組を行う区市町村を支援していきます。
今後、区市町村がこうした取組を円滑に進められるよう、モデルとなる取組事例を示すほか、必要な情報提供を行い、地域における在宅要介護者等の受入体制の整備を進めていきます。

質問事項
一の2 宿泊施設や自宅で療養中の陽性者に「みだりに外出しないよう」求める努力義務を課す「新型コロナウイルス対策条例」を一部改正する。外出をしないよう求めるのであれば、都と区市町村が連携して、毎日の食事や不足した日用品を届けるなど生活に即した支援が必要である。見解を伺う。

回答
都は、今後の感染拡大期も見据え、令和2年第三回定例会で東京都新型コロナウイルス感染症対策条例を改正し、医療機関への入院、宿泊療養施設への入所、自宅療養を行うことなどが患者等の努力義務であることを明記しました。
また、改正条例では、都の責務として、検査体制の整備、療養環境の整備や医療提供体制の確保などに取り組むこととしており、現在、自宅療養者が安心して療養できるよう、LINEを活用した健康観察システムの都保健所への導入を進めています。

質問事項
一の3 23区、八王子市、町田市の保健所とは異なり、多摩地域の保健所は都が所管している。陽性者の要望にきめ細やかに対応するためには、居住している自治体の協力が必要となる。自治体との情報共有について伺う。

回答
都は、市町村からの要望を踏まえ、令和2年9月から、各市町村に居住する新規陽性患者の年代、性別や療養状況に関する情報を週1回提供しています。
10月からは、これらの情報について、土日祝日を除く毎日提供しており、今後とも、市町村と情報共有を図りながら、感染の拡大防止に努めていきます。

質問事項
二 都営住宅について
1 有料駐車場の地域住民への開放について
ア 都営住宅等の敷地内にある有料駐車場の貸出事業について伺う。

回答
都営住宅の駐車場は、公営住宅法等に基づき、都営住宅居住者の共同施設として設置しています。設置に当たっては、区市が定める附置義務等に基づき、身体障害者用の駐車スペースを含め、居住者に必要な区画数を整備しています。
駐車場に空き区画が生じた場合は、車いすを使用する居住者の利用見込み等も勘案し、居住者の利用に支障のない範囲で、地域住民向けの貸出しやコインパーキングの設置など有料駐車場として、その利用の拡大を図っています。

質問事項
二の1のイ 地域開放している駐車場には相当数の空きがあるので、障がい者用に2台分の区画を1台分にするなど創意工夫して利用できるようにすべきである。駐車場確保に困っている障がい者等から相談があった場合にていねいに対応するとともに、都は率先して都営住宅の駐車場を提供すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
地域開放型駐車場の利用に際して、障害者からの申込みがあった場合は、受付窓口において、駐車場の利用状況等を踏まえ、適切に対応しているところであり、今後とも、車いす利用の方をはじめ相談をいただいた際は、丁寧に対応していきます。

質問事項
二の1のウ 都は、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例で、専門相談体制を整備し、相談を受け付けるとしている。障がいを理由とする差別を受けた場合の相談体制とその解決に関して、都はどのように取り組んでいるのか伺う。

回答
都は、平成30年10月に施行した東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例に基づき、東京都障害者権利擁護センターに、差別解消に関し知識経験を有する広域支援相談員を設置しました。
広域支援相談員は、障害者や事業者からの障害者差別に関する相談に対し、双方から話を聞き取り、助言や関係者間の調整を行うなど、丁寧に対応しています。
令和元年度に東京都障害者権利擁護センターに寄せられた相談は、飲食店や公共交通機関利用時の対応に関することなど様々であり、その総数は363件となっています。
なお、相談による解決が見込めず、障害者等からあっせんの求めがあった場合には、事実を調査し、必要に応じて、学識経験者、障害当事者、事業者等で構成される調整委員会にあっせんを付託することとしています。

質問事項
二の2 同居親族要件について
ア 公営住宅法改正で同居親族要件が削除されたにもかかわらず、都営住宅条例の同居親族要件を削除しない理由について伺う。

回答
都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としています。
公営住宅法改正により同居親族要件が削除されましたが、都営住宅については、既存のストックを活用しながら公平かつ的確に供給することを基本としており、入居資格を拡大した場合、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えることから、同居親族要件を維持しています。

質問事項
二の2のイ 同性パートナーが入居申請できるようにすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都営住宅では、使用者の資格の一つとして、東京都営住宅条例で同居親族要件を定めており、入居の際、親族関係については住民票により確認していますが、同性パートナーについては、親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
東京都性自認及び性的指向に関する基本計画も踏まえ、他の自治体における動向や入居資格の確認方法等の課題を調査しており、都営住宅の管理制度等における取扱いについて、引き続き検討していきます。

質問事項
二の3 都営住宅募集のオンライン化について
ア 都営住宅の募集のオンライン化に関するスケジュールについて伺う。

回答
都営住宅の入居者情報等を一元管理している既存システムの安全性等を確保しながら、これと相互にデータ連携させる募集オンライン申請システムの構築に向け、速やかに取り組んでいきます。

質問事項
二の3のイ オンライン申請ができる環境にいない人や障がい者が申請をあきらめたり、不利益になったりしないようにする必要がある。これまで通りの手書き申請についても継続する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
都営住宅募集のオンライン化では、都政のクオリティ・オブ・サービスの向上の観点から、募集手続の改善を図っていくこととしており、その視点から適切に取り組んでいきます。

質問事項
三 プラスチック削減について
1 リユース容器の導入やばら売り、量り売りなどもすすめていく必要があると考える。使い捨てプラスチック削減をさらにすすめるために実施している取組について伺う。

回答
過剰な使い捨て製品や容器包装のリデュース、リユースなど、3Rの取組は、一層重要となっています。
都は、令和2年度から、プラスチックの持続可能な利用に向けた先駆的なビジネスモデル構築を目指す事業者と連携し、オフィス街の飲食店等でリユース容器により弁当等を販売する取組や、これまで再生利用出来なかった洗剤等の詰め替えパウチを、新たな技術でリサイクルする取組を支援し、プラスチックの循環的な利用を促進しています。
また、ウェブ等により都民・事業者への使い捨てプラスチック削減の分かりやすい普及啓発にも取り組むなど、脱使い捨ての生活様式への転換を促していきます。

質問事項
三の2 ペットボトル削減に向けて、生活者ネットワークはマイボトルに入れられる給水スポットを都内各所に増やすよう働きかけてきた。水道局が設置する冷水が出る水飲み栓は、マイボトルキャンペーンにはうってつけで、設置を広げることを期待している。現状と今後の取り組みについて伺う。

回答
都が供給している安全でおいしい水道水を街中でマイボトルに給水して飲んでいただくことは、高品質な水道水の理解促進とともに、ワンウェイプラスチックの削減を通じた環境配慮行動の促進につながるものと認識しています。
そのため、都では、現在、東京国際フォーラムに水道水を気軽に給水できる、ボトルディスペンサー式の水飲栓を設置しており、年間を通して多くの方に利用されています。また、都内の公共施設等に設置されている水飲栓に東京水のロゴをデザインしたステッカーを貼付するとともに、その場所をマップ化してホームページに掲載することで、街中の給水スポットを御紹介しています。
今後、ボトルディスペンサー式の水飲栓を、都内10か所程度の公共施設等に増設するとともに、イベント等においてこの給水スポットのマップの周知を図り、マイボトルによる水道水の飲用及び環境配慮行動の促進を図っていきます。

質問事項
三の3 国は製品プラスチックと容器包装プラスチックの一括資源回収という方針を示した。まだ具体的な方法は模索中であり、一括回収には解決すべき課題もある。まずは、現在あるしくみのなかで容器包装プラスチックのリサイクルをすすめるために、分別収集を都内全域で実施すべきと考えるが、都の取組について伺う。

回答
都は令和元年、「プラスチック削減プログラム」を策定し、プラスチックの3Rに係る施策の方向性を示すとともに、2030年までに家庭や大規模オフィスビルから排出される廃プラスチックの焼却量を2017年比で40パーセント削減する目標を掲げました。
また、令和2年度から、これまで収集品目を白色トレイなどに限定してきた区市町村が全てのプラスチック製容器包装を収集対象とする場合や、既に分別収集に取り組んでいる区市町村が更なるリサイクルの高度化に取り組む場合に財政支援を行う、プラ製容器包装・再資源化支援事業を立ち上げました。
今後とも、本制度を活用し、プラスチック製容器包装のリサイクル促進に向けた区市町村の取組を後押ししていきます。

質問事項
三の4 マイクロプラスチックについては、微細なマイクロビーズやマイクロカプセルが下水道からも河川を通して海に流れるため対策が必要であることを指摘してきた。マイクロプラスチックを含む海ごみ対策として、都が実施している取組について伺う。

回答
都は、これまでホームページや動画に加え環境学習用のガイドやテキストを作成し、広く都民に海ごみ問題を普及啓発してきました。また、令和元年度には、東京湾へ流入するマイクロプラスチックを含む河川ごみのモニタリング手法を実地検証しました。
令和2年度は、TOKYO海ごみゼロアクションとして、普及啓発を強化するほか、荒川や多摩川から東京湾に流入するごみの実態把握に向け、河川ごみの量を推計するとともに組成を調査し、情報を発信することとしています。本調査ではマイクロプラスチックも採取し、個数の計測や組成分析を実施します。
今後、こうした取組を継続し、都民の理解と協力を得ながら、東京湾の海ごみを減らす取組を推進していきます。

質問事項
三の5 使用済み紙おむつについて、国土交通省は下水道に流す研究を始めたと聞いているが、水使用の増加や下水処理場の負担、河川への影響から、流すのではなくリサイクルに向けた施策を推進していく必要があると考える。実際にリサイクルに取り組んでいる企業もあり、課題を解決しながらすすめていくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
高齢化の進展に伴い紙おむつの使用量は増加しており、そのリサイクルは資源の循環利用を促進する観点から重要です。
そこで、都は、令和2年度、使用済み紙おむつのリサイクルに向けて、リサイクル設備の設置・運用や、使用済み紙おむつの効率的な収集・運搬手法を検証する実証事業を実施します。令和2年10月には、都と共同で事業を遂行する事業者2者を選定しました。
今後、本実証事業を通じて、技術的な課題や事業採算性などを検証し、得られた成果を区市町村等とも情報共有を図るなど、リサイクルに向けた取組を推進していきます。

質問事項
四 子どもの性被害防止について
1 最近教員のわいせつ行為に関する報道が相次いでいる。児童生徒に対するわいせつ行為が発覚した場合、教員への処分はどのようになっているのか、公立・私立それぞれについて伺う。

回答
東京都公立学校では、「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」に基づき、教員が児童・生徒に対し、同意の有無を問わず、性行為を行ったりキスをした場合は免職とする等、厳正に処分しています。
私立学校における教員の処分については、学校を設置する法人等の懲戒規定に基づき、法人等の責任と判断において行っています。

質問事項
四の2 認可保育園の保育士がわいせつ行為を行った場合はどうか伺う。

回答
認可保育所における保育士の処分については、保育所を運営する法人等の懲戒規定に基づき、法人等の責任と判断において行っています。

質問事項
四の3 処分された教員や保育士について他県で資格を再取得し、また子どもへの被害が報告される事例も聞く。性犯罪は再犯性が指摘されており、国でもこの問題について検討を始めている。例えば、加害者への治療や更生プログラムとともに、異なる職業を選択するよう促す必要もあるのではないか。現状はどのようになっているのか伺う。

回答
現行の教育職員免許法等の規定により、懲戒免職等により教育職員免許状が失効・取上げとなった者については3年間、禁錮以上の刑に処せられた者については刑の執行を終えてから10年間は教育職員免許状を再取得することができません。
また、児童福祉法の規定に基づき、保育士が禁錮以上の刑に処せられた場合などは、欠格事由に該当するため、保育士の登録を取り消され、刑の執行を終えてから2年間、保育士となることができない仕組みとなっています。
わいせつ行為等を行った教員への厳正な対応に関しては、現在、国において教育職員免許状の再取得も含めた管理の厳格化等について検討を行っています。あわせて、保育士についても同様の検討を行っています。
都としては、国の検討状況を注視していきます。

質問事項
四の4 ベビーシッターによるわいせつ行為の事件も相次いだ。シッター登録者の質の確保を民間のマッチングサイト事業者に、どのように実現させるのかが課題である。ベビーシッターには資格がないため、研修の義務づけだけでなく研修内容をチェックするなど、都の関与を強めるべきではないかと考える。ベビーシッター利用支援事業において、保育の質の確保に向けた取組とともに、今回の事件におけるマッチングサイトを運営している都の認定事業者に対して、どのように対応しているのか伺う。

回答
ベビーシッター利用支援事業について、都は、保育の質を確保するため、参画する事業者を都独自の基準で審査、認定するとともに、従事する全てのベビーシッターに対して都が実施する研修の受講を義務付けています。
お尋ねの事業者は、本事業の認定事業者であるほか、本事業とは異なる個人間で契約するマッチングサイトも運営しています。
お話しの事件は、マッチングサイトで起きたものですが、当該事業者のサービス提供約款の遵守状況に疑義が生じたため、サービス提供約款に基づく立入調査を実施しました。
その結果、サービス提供約款に一部適合しない事実を確認したため、速やかな改善を指示するとともに、改善までの間は、本事業における新規の利用契約を停止し、保育の質向上等に優先して取り組むよう指導しています。

質問事項
四の5 性被害から子どもたちが身を守るには性教育が欠かせない。子どもにわかりやすくするために、水着で体を覆う部分はプライベートゾーンだから、人には見せない、触らせないこと、相手がだれであっても嫌なことをされたら断ることができるようにすることが重要である。このような性教育が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
性教育におけるプライベートゾーンの扱いについては、平成31年3月に改訂した「性教育の手引」に指導事例を示しており、平成30・31年度に取り組んだ中学校における産婦人科医を外部講師として招へいしたモデル授業でも取り上げています。
都教育委員会は、今後とも、これらの取組を区市町村教育委員会の担当者連絡会や保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知し、児童・生徒が性に関する正しい知識を身に付け、適切な行動を選択できるよう、各学校における人間尊重の精神に基づいた性教育の適切な実施を支援していきます。 

質問事項
五 「東京都つながり創生財団」と多文化共生について
1 国際交流財団を17年前に廃止して、今回新たな財団を設立した目的は何か伺う。

回答
東京都つながり創生財団は、東京都において多文化共生社会づくり及び共助社会づくりを推進する事業を実施し、人と人とのつながりを育むことにより、地域コミュニティの活性化を図り、もって都民一人一人が輝ける社会を実現することを目的としています。

質問事項
五の2 これまで多くのボランティアが担ってきた子どもへの日本語教育や学習支援は、財団によってどのように拡充されるのか伺う。

回答
東京都つながり創生財団では、都が令和2年度に実施する地域日本語教育等実態調査を踏まえ、日本語教室等の情報を発信し、外国人が身近な地域で日本語を学べる環境づくりに取り組んでいきます。
また、地域における日本語教育や学習支援を担っている区市町村や国際交流協会、日本語教室等のネットワークを強化するとともに、支援の仕組みを構築していきます。

質問事項
五の3 財団が実施する「やさしい日本語」の普及に向けた具体的な事業内容とその方法について伺う。

回答
東京都つながり創生財団では、都が令和2年度に作成した普及啓発動画を活用して、財団ホームページにおいて「やさしい日本語」に関する情報を発信するなど、地域における普及を促進していきます。
あわせて、都が実施する実態調査も踏まえ、区市町村等に対し、「やさしい日本語」の活用を働きかけていきます。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤井とものり

質問事項
一 公文書管理について

一 公文書管理について
専決タイミングの判断の一つとなった専門家による感染予測文書の行方に関連して以下伺う。
1 3月17日に健康安全研究センターにて行われた打ち合わせ会議の概要と参加したメンバーの人数、参加者全員の肩書きについて伺う。またその際に使用された資料である感染予測文書を破棄しているが、なぜ破棄したのか、また破棄した正確な日付について伺う。
2 3月19日に専門家から都の部長宛に送られたメールの概要とメールの宛先の他メンバーの人数、宛先全員の肩書きについて伺う。またそのメールをなぜ破棄したのか破棄した正確な日付について伺う。
3 3月20日に知事は副知事から感染予測文書とともに説明を受けたとしたが、その会議の概要と会議に参加したメンバーの数、参加者全員の肩書き、議事要旨の有無について伺う。またその3月20日の知事への説明会議に向けて事前に副知事が感染予測文書の説明を受けていたと推測されるが、副知事が説明を受けた会議はあったのか伺う。また受けていたのであればその概要を伺うとともに、その際の参加メンバー、参加者全員の肩書き、議事要旨の有無について伺う。
4 3月21日に知事はじめ都幹部職および専門家による意見交換会議が行われていたが、その際の議事録・議事要旨は非公開とされている。その理由及びコロナ対策に関する会議が他に非公開になっているものがあるのか全て伺う。
5 5月中旬に感染予測文書に対して情報公開請求がなされたが、いつ請求されたのか、また不開示とした日付を伺う。
6 破棄された感染予測文書を取り寄せた日付と公文書とした日付を伺うとともにその理由について伺う。
7 3月17日から7月1日の間に感染予測文書に関する会議や打ち合わせが他に行われたかについて伺う。

令和2年第三回都議会定例会
藤井とものり議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 公文書管理について
1 3月17日に健康安全研究センターにて行われた打ち合わせ会議の概要と参加したメンバーの人数、参加者全員の肩書きについて伺う。またその際に使用された資料である感染予測文書を破棄しているが、なぜ破棄したのか、また破棄した正確な日付について伺う。

回答
令和2年3月17日の打合せには、東京都感染症アドバイザーであり、厚生労働省クラスター対策班にも所属する押谷仁氏、東京都福祉保健局感染症危機管理担当部長、東京都健康安全研究センター所長が参加しました。
また、このほかに、東京都健康安全研究センターの職員、押谷氏の随行者が同席しました。
その際に示された文書については、試算過程における不完全な資料と考え、共有すべき文書でないとの判断の下、行政文書としての取扱いを行っていません。
また、廃棄の詳細な日付については、確認できません。

質問事項
一の2 3月19日に専門家から都の部長宛に送られたメールの概要とメールの宛先の他メンバーの人数、宛先全員の肩書きについて伺う。またそのメールをなぜ破棄したのか破棄した正確な日付について伺う。

回答
当該メールでは、感染者予測の試算過程における推計値が示されました。メールの宛先や廃棄した正確な日付については、確認できません。
また、当該メールは、速やかに正しいデータに基づく資料に差し替えるとの話があったため、行政文書としての取扱いを行っていません。

質問事項
一の3 3月20日に知事は副知事から感染予測文書とともに説明を受けたとしたが、その会議の概要と会議に参加したメンバーの数、参加者全員の肩書き、議事要旨の有無について伺う。またその3月20日の知事への説明会議に向けて事前に副知事が感染予測文書の説明を受けていたと推測されるが、副知事が説明を受けた会議はあったのか伺う。また受けていたのであればその概要を伺うとともに、その際の参加メンバー、参加者全員の肩書き、議事要旨の有無について伺う。

回答
令和2年3月20日は、知事、副知事及び特別秘書により、新型コロナ対策の論点整理を行い、その中で不完全な推計値についても示されました。
公文書管理条例上、議事要旨の作成については、所管各局が政策の形成過程を明らかにすることを念頭に置いており、本件の議事要旨については、作成していません。
また、所管局から副知事に対して、推計値の報告をしていますが、政策の形成過程ではないため、議事要旨は作成していません。

質問事項
一の4 3月21日に知事はじめ都幹部職および専門家による意見交換会議が行われていたが、その際の議事録・議事要旨は非公開とされている。その理由及びコロナ対策に関する会議が他に非公開になっているものがあるのか全て伺う。

回答
当該意見交換会については、非公開とすることで専門家等に率直な意見交換を行っていただいたものであり、公開していません。
議事録・議事要旨の非公開については、審議事項の内容等に応じ、個々に判断されます。

質問事項
一の5 5月中旬に感染予測文書に対して情報公開請求がなされたが、いつ請求されたのか、また不開示とした日付を伺う。

回答
厚生労働省クラスター対策班等から都に提出された資料について、令和2年5月22日付けで開示請求があり、同年6月19日付けで却下通知を行いました。

質問事項
一の6 破棄された感染予測文書を取り寄せた日付と公文書とした日付を伺うとともにその理由について伺う。

回答
所管局に積極的な情報開示の観点から再度文書を入手し開示するよう指示し、令和2年8月14日に公文書として収受し、同月24日にホームページで公開しました。

質問事項
一の7 3月17日から7月1日の間に感染予測文書に関する会議や打ち合わせが他に行われたかについて伺う。

回答
令和2年3月21日付けの「厚生労働省クラスター対策班による都における現状分析・推計」及びそれに至るまでの二つの推計値に関わる文書について、行われた会議はありません。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ

質問事項
一 都営住宅の建て替えとエレベーターの設置について

一 都営住宅の建て替えとエレベーターの設置について
都営住宅の建て替えの計画について伺います。都では、築50年から40年が経過し、老朽化している都営住宅を順次建て替えをしています。入居者の高齢化が進み、耐震度不足やエレベーターが設置されていない都営住宅が多く残されているなかで、建て替えは全都的な課題です。
1 まず基本的な確認ですが、建て替え対象の団地の基準と、建て替え順位の基準について伺います。
2 都では年間でいくつの団地の建て替えを行なっているのか、また、現在、建て替えに向けて、事業中の都営住宅の団地数を伺います。
3 足立区内で、築50年から40年が経過し、建て替えの検討の対象になっている都営住宅と、それぞれの進捗状況について伺います。
4 大規模な団地で、一団地指定をされているところでは、新しい住棟の建設と、居住者の転居を数回にわたって行なっていく必要があり、一団地指定の都市計画を変更し、地区計画を再設定するために、地元の区市町村との協議が必要です。足立区の辰沼町アパートは築40年が経過しているため、今後、建て替えをしていくことが見込まれますが、全部で14棟ある辰沼町アパートでは足立区との地区計画策定に係る協議はいつ始まるのか、また、足立区との協議の開始からすべての棟の建て替えが完了するまで、どのようなプロセスで、どのくらいの期間がかかるのか、伺います。
辰沼町アパートのような大規模な団地の建て替えの場合は、すべての住棟を一度に建て替えることは不可能なため、工期を数回に分けて、入居者の一時的な転居先を確保し、新しい住棟が完成してから入居するということを繰り返すことになります。すべての住棟の建て替えが完了するまでに10年以上かかることもある状況です。一方で、高齢化が進み、階段の登り降りの負担が入居者の日々の生活を困難にしているなか、時間のかかる建て替えよりも、一刻も早くエレベーターをつけてほしいという切実な声があります。
辰沼町アパートの13号棟の方々が、エレベーターの設置を求める入居者全員の署名を集めて、2018年7月に当時の都市整備局の所管に提出しました。入居者の多くが70代80代の高齢者で、4階、5階と階段を上がっていくことが「大きな負担で毎日外に出ていけない」、「団地内の友人との交流ももうできない」、「早くエレベーターを設置してほしい」、という切実な訴えを直接届けています。都はその声を受け止めて、建物の躯体構造や外周などの現地調査をすぐに行いました。2020年3月には署名をしていた自治会長からあらためて、エレベーターの設置を求める要望が都に提出されています。
5 今後、13号棟のエレベーターの設置工事が着手されれば、どのくらいの期間で完成するのか伺います。
2018年7月に入居者全員の署名が提出されてから、都は現地調査を行い、エレベーターの設置が可能だということを示したにもかかわらず、それから2年近くが経っても、いまだにエレベーターの設置が決定されていません。その間にも、体調悪化が進んだり、「目が見えなくなってきた」など、高齢な入居者の暮らしの厳しさは増し、「せめて自分が亡くなる前にエレベーターに乗りたい」という悲痛な声があらためて寄せられています。救急搬送も増えているなか、救急隊員が入居者を背負って狭い階段を降りなくてはならない実態や、寝たきりの方はどうしたらいいのか、という不安の声が広がっています。
6 高齢者が圧倒的に多く、エレベーターを設置してほしいと全員が署名で訴えている団地に対してエレベーターを付けない状況は、もはや人道的に大きな問題があると指摘しなければなりません。都の認識を伺います。
7 辰沼町アパートでは、9号棟、10号棟、12号棟でも住民の要望から、階段室型住棟も含めてエレベーターがすでに設置されています。その経過の中で、13号棟の方々はエレベーターにかかる電気代が住民負担になることは理解した上でエレベーターの設置を求めていますが、実際に13号棟にエレベーターが設置された場合の電気代はどの程度か伺います。
辰沼町アパートの13号棟の入居者の方々は、たとえ団地の建て替えがあるとしても、まだ地区決定もされず、いつ建て替えになるのかもわからない状況のなかで、それを「待ち続けることはできない」、「一刻も早くエレベーターを設置してほしい」と繰り返し、訴えています。
8 国庫補助を使ってエレベーターの設置を行なった場合は、10年間は建て替えができなくなりますが、たとえ今後に建て替えが決まっても、工期を工夫することで、13号棟に早期にエレベーターを設置し、活用することが可能です。入居者の総意と切実な声に応えて、辰沼町アパートの13号棟のエレベーター設置に早期に着手するべきですが、いかがですか。

令和2年第三回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅の建て替えとエレベーターの設置について
1 建て替え対象の団地の基準と、建て替え順位の基準について伺う。

回答
都営住宅の建替えに当たっては、昭和40年代以前に建設された住棟を対象に、老朽化の度合いや居住者の移転先の確保の状況、まちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に事業を進めています。

質問事項
一の2 都では年間でいくつの団地の建て替えを行なっているのか、また、現在、建て替えに向けて、事業中の都営住宅の団地数を伺う。

回答
都では、年間3,800戸の建替えを計画しており、令和元年度は3,289戸の建替えを行っています。
また、令和2年9月末現在、建替事業を具体的に検討する、基本設計着手以降の段階にある事業中の団地は、95団地です。

質問事項
一の3 足立区内で、築50年から40年が経過し、建て替えの検討の対象になっている都営住宅と、それぞれの進捗状況について伺う。

回答
足立区内で昭和40年代以前に建設されたものは、46団地あります。
また、令和2年9月末現在、建替事業を具体的に検討する、基本設計着手以降の段階にある事業中の団地は、19団地です。

質問事項
一の4 足立区の辰沼町アパートは築40年が経過しているため、今後、建て替えをしていくことが見込まれるが、全部で14棟ある辰沼町アパートでは足立区との地区計画策定に係る協議はいつ始まるのか、また、足立区との協議の開始からすべての棟の建て替えが完了するまで、どのようなプロセスで、どのくらいの期間がかかるのか伺う。

回答
都営辰沼町アパートについては、一団地の住宅施設の都市計画が定められており、建替えに当たっては良好な居住環境を確保するため、新たに地区計画を定める必要があります。
地区計画の策定に向けて、令和2年度より足立区と協議を開始しました。
今後、区による地区計画の都市計画決定を経て、建替住棟の基本設計及び実施設計等を行い、建築工事に着手することになります。
建替完了までの期間については、住棟の配置及び規模、建替えの工区分けなど、具体的な設計等を進める中で検討していくこととなります。

質問事項
一の5 辰沼町アパートについて、今後、13号棟のエレベーターの設置工事が着手されれば、どのくらいの期間で完成するのか伺う。

回答
辰沼町アパート13号棟は、5カ所の階段室がある、大規模な階段室型住棟です。
一般的に、このような規模の住棟にエレベーターを設置するとした場合には、工事に先立って行う、敷地の形状、建物の構造、建築基準法上の規制などの調査及び地盤調査に約1年、実施設計に約1年かかると想定されます。
また、工事の契約事務手続及び施工に約1年かかると想定されます。

質問事項
一の6 高齢者が圧倒的に多く、エレベーターを設置してほしいと全員が署名で訴えている団地に対してエレベーターを付けない状況は、もはや人道的に大きな問題があると指摘しなければならない。認識を伺う。

回答
既存住棟へのエレベーター設置については、高齢者、障害者等へのバリアフリー対策の向上を図るため実施しており、設置に当たっては、使用可能年数等を勘案しながら検討を行うことが必要と考えています。

質問事項
一の7 13号棟の方々はエレベーターにかかる電気代が住民負担になることは理解した上でエレベーターの設置を求めているが、実際に13号棟にエレベーターが設置された場合の電気代はどの程度か伺う。

回答
辰沼町アパートに設置されている階段室型のエレベーターでは、1基当たりの電気代は月額約4,000円から6,000円となっています。

質問事項
一の8 国庫補助を使ってエレベーターの設置を行なった場合は、10年間は建て替えができなくなるが、たとえ今後に建て替えが決まっても、工期を工夫することで、13号棟に早期にエレベーターを設置し、活用することが可能である。辰沼町アパートの13号棟のエレベーター設置に早期に着手するべきであるが、見解を伺う。

回答
辰沼町アパートについては、建替えに向けて、令和2年度より足立区と地区計画の策定に係る協議を開始したところです。
階段室型住棟へのエレベーターの設置に当たっては、廊下型住棟と比べて、設置費が割高となること等から、より長期間の使用が見込まれる住棟への設置が望ましいと考えています。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 奥澤高広

質問事項
一 コロナ禍における家庭での学びの実態調査について
二 性教育について
三 部活動について
四 緊急避妊薬(アフターピル)について
五 精神科医療機関におけるオンライン診療について
六 東京都青少年健全育成審議会について
七 建設現場における新型コロナ対策と熱中症対策について
八 セーフティネット住宅への入居状況について
九 マイナスイメージの払しょくについて
十 超過勤務縮減の取組について

一 コロナ禍における家庭での学びの実態調査について
諸外国の研究では、臨時休校がもたらす学力や学歴、生涯所得への影響は小さくないとの報告もあり、新型コロナウイルス感染症の影響下における児童・生徒の学びの実態を調査することは、今後の教育施策を構築していく上で重要であると考えます。例えば、埼玉、福岡、千葉、兵庫などでは、コロナ禍による休校中、子どもの家庭での学びを学校がどれくらい支えられたのかをつかむ調査に取り組んでいます。そこで、浮かび上がったのは、ネット環境に恵まれない子への支援不足や、多くの子が家庭学習だけでは内容を理解できていないという実態であったとのことです。
「未来の東京戦略ビジョン」では、子供たち一人ひとりの個性や能力に向き合う、新たな「東京型教育モデル」を目指し、2024年にはエビデンスベースの学習を全校で実現するとしています。そこで、コロナ禍における家庭での学びの実態調査を実施するなどして、子供一人ひとりの置かれた状況や個性、能力に寄り添った学びの実現へ繋げていくべきと考えますが、見解を伺います。

二 性教育について
新型コロナウイルス感染症の影響による休校で、性教育に関する授業が後回しになることや削られてしまうことを懸念します。コロナ禍で若年層からの性に関しての悩み相談や妊娠相談が増加する中、正しい知識とそうではない知識の混在するインターネットの情報を鵜呑みにしてしまう可能性もあります。
都教育委員会では、中学校において、産婦人科医を外部講師として招へいした性教育の授業を支援しているが、コロナ禍においても、延期や中止とされることなく取組を着実に実施していただきたいと考えます。児童生徒に正しい性の知識を伝えられるよう、また、生徒たちが正しい性の知識に基づいた行動をとることが可能になるよう、都教育委員会として積極的に進めるべきであると考えますが、今年度の取組について伺います。

三 部活動について
中学校・高等学校において、生徒に対して部活動に加入するよう強く指導している事例があると聞いています。そこで、公立中学校と都立高校における部活動加入状況と、部活動の在り方に関する都教育委員会の見解を伺います。

四 緊急避妊薬(アフターピル)について
コロナ禍で若年層からの妊娠相談が増加する中、緊急避妊薬のアクセス改善を目指す市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現するプロジェクト」に賛同する約6万7,000筆の署名と要望書を国に提出されました。
コンドームの破損で避妊に失敗したり、性暴力を受けたりした際、72時間以内に服用して妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」ですが、日本では産婦人科などでの受診や処方が必須であり、また、価格も高いことは以前から指摘されています。
令和2年第二回定例会一般質問において、「厚生労働省が作成する緊急避妊への対応が可能な産婦人科医療機関等のリンクを妊娠相談ほっとラインのホームページに掲載する」としたことは評価いたしますが、まだまだ入手のハードルは高いと言わざるを得ません。そこで、予期しない妊娠への不安を抱える方が、緊急避妊薬(アフターピル)を入手するハードルを下げるよう相談や情報提供に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

五 精神科医療機関におけるオンライン診療について
新型コロナウイルス感染症の影響により、外出自粛期間が長引き、新しい暮らしになじめず、さらに社会全体の先行きが不透明になることで、精神面で不安定な状況に陥る方も数多くいます。特に、高齢者や基礎疾患のある方は、新型コロナへの感染リスクへの不安から、精神科への診療をためらうケースもあるとのことです。また、もともと精神疾患のある方などにとっては、外出自体の負担が大きくなり、定期検診を受けることができずにいるとのことです。
東京都では、東京都オンライン医療相談・診療等環境整備補助事業を実施していましたが、その交付をうけた精神科医療機関の数を伺うとともに、精神科におけるオンライン診療の有効性や課題について、見解を伺います。

六 東京都青少年健全育成審議会について
東京都青少年健全育成審議会において不健全図書の指定がなされると、区分陳列棚を持たない書店から当該図書が姿を消すばかりでなく、eコマース事業を展開するネット書店からも姿を消す事例もあり、その影響力は大きくなっているとの声が寄せられています。より一層慎重かつ公正な審査を求められる中、諮問図書の選定や審査が個人の価値観や主観に左右されることのない仕組みが必要です。
そこで、諮問図書の選定にあたっては、諮問図書とそうならなかった図書を委員に対して公開するなど、選定プロセスの見直しが必要と考えますが、見解を伺います。
また、審査に先立って開催されている業界団体ヒアリングの結果を重要視するなど、その審査の方法についても見直しを図るべきと考えますが、見解を伺います。

七 建設現場における新型コロナ対策と熱中症対策について
本年8月に、都内で熱中症で亡くなった人は187人と統計開始以来最多となり、8月の搬送者数は累計で4,250人とのことです。特に土木や建築などの建設現場では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を優先するがあまり、休憩所での熱中症対策が不十分であったケースもあったと聞きます。来年の夏も新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策を同時に行う必要があると考えられますが、今年の対策状況を伺います。

八 セーフティネット住宅への入居状況について
東京都では、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅、いわゆるセーフティネット住宅の登録を進めており、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画によると、2025年度までに3万戸の登録を目指すとのことです。東京都では、国のセーフティネット法で定める低額所得者、被災者、高齢者、身体障害者、知的障害者、精神障害者、その他の障害者、子ども(高校生相当以下)を養育している者に加え、児童養護施設退所者などを対象としていることは意義深いことであると考えます。
そこで、令和二年度九月末時点でのセーフティネット住宅の登録戸数を伺うとともに、これらセーフティネット住宅が住宅確保要配慮者の住宅確保にいかに繋がっているのかを把握していくべきと考えますが、見解を伺います。

九 マイナスイメージの払しょくについて
都では、感染拡大防止を図る取組を支援し、イベント開催施設においても感染拡大防止の取組が広がってきましたが、一方で、時短営業の要請を行うなど、夜間経済については厳しい措置をとってきました。結果として、都内15のライブハウスが閉店を決定するなど、東京の魅力の一つである夜間経済や文化産業の打撃は計り知れません。
国では、GoToトラベル、イートに続き、「GoToイベントキャンペーン」が実施される方向で検討が進んでおり、感染拡大防止と文化芸術やスポーツに関するイベントの需要喚起の両立を図るとのことですが、規制が緩和されたから、あるいは、補助事業があるからといってお客が増えるわけではありません。都の時短営業の対象となっていた施設やライブハウスなどの個別具体の名前が出ていた業種、あるいは各種イベントについて、客足が戻るようにマイナスイメージを払拭していくべきと考えますが、見解を伺います。

十 超過勤務縮減の取組について
東京都では、新型コロナウイルス感染症に起因して、出勤抑制などの措置が取られた一方で、休日も含めて業務に奔走するなどしていた職員も数多くいると聞きます。特に、超過勤務手当の対象外である管理職の職員に業務が集中していた様子もあり、残業時間と業務実態が一致していないのではないかと推察されます。
東京都では、「都庁働き方改革」を推進し、20時完全退庁を目指す取組を進めていますが、一部の職員に業務が集中するような状況は働き方改革とは言えません。そこで、コロナ禍の対応状況もふまえ、知事部局等の超過勤務の縮減に向けてどのように取り組んでいるのか伺うとともに、今後どのように対応していくのか、見解を伺います。

令和2年第三回都議会定例会
奥澤高広議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 コロナ禍における家庭での学びの実態調査について
  「未来の東京戦略ビジョン」では、子供たち一人ひとりの個性や能力に向き合う、新たな「東京型教育モデル」を目指し、2024年にはエビデンスベースの学習を全校で実現するとしている。そこで、コロナ禍における家庭での学びの実態調査を実施するなどして、子供一人ひとりの置かれた状況や個性、能力に寄り添った学びの実現へ繋げていくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、学校が臨時休業中においても、全ての児童・生徒の学びの機会を保障するため、ICTを活用し、家庭で学習できる環境整備を進めてきました。
また、学校・家庭での学びの実態を把握するために、都内全公立学校の休業中におけるオンライン教育実施状況等を調査し、いくつかの学校については、訪問して学習方法の確認を行いました。
今後、「『未来の東京』戦略ビジョン」で掲げる、子供たち一人一人の個性に着目し、自立性や主体性、課題解決力を伸ばす教育の在り方などについて、子供たちの実態を踏まえつつ検討していきます。

質問事項
二 性教育について
  都教育委員会では、中学校において、産婦人科医を外部講師として招へいした性教育の授業を支援しているが、コロナ禍においても、延期や中止とされることなく取組を着実に実施していただきたいと考える。児童生徒に正しい性の知識を伝えられるよう、また、生徒たちが正しい性の知識に基づいた行動をとることが可能になるよう、都教育委員会として積極的に取組を進めるべきであると考えるが、今年度の取組について伺う。

回答
都教育委員会は、中学校において、産婦人科医を外部講師として招へいしたモデル授業を、平成30年度は5校、令和元年度は10地区10校で実施し、学習指導要領に示されていない内容を含む授業や、そうした授業を実施するに当たって保護者の理解を得る方法等について検証しました。
令和2年度は、産婦人科医を活用した性教育の授業を実施する学校の募集枠を30校に拡大し、29校から応募がありました。これらの学校においては、新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、産婦人科医の講話を収録した映像資料を活用して授業を実施することとしており、引き続き、性教育の適切な実施を支援します。

質問事項
三 部活動について
  中学校・高等学校において、生徒に対して部活動に加入するよう強く指導している事例があると聞いている。そこで、公立中学校と都立高校における部活動加入状況と、部活動の在り方に関する都教育委員会の見解を伺う。

回答
部活動は、好ましい人間関係の構築や、自己肯定感、責任感、連帯感、創造性の涵養に資するなど教育的意義が大きく、人間形成や健全育成の面で有益な教育活動であり、公立中学校では約9割、都立高校では約8割の生徒が部活動に参加しています。
都教育委員会は、「部活動に関する総合的なガイドライン」の中で、部活動の在り方について、生徒のバランスのとれた心身の成長や学校生活に配慮しながら、生徒の自主的・自発的な参加により行われるよう示しています。

質問事項
四 緊急避妊薬(アフターピル)について
  「緊急避妊薬(アフターピル)」は、日本では産婦人科などでの受診や処方が必須であり、また、価格も高いことは以前から指摘されている。予期しない妊娠への不安を抱える方が、緊急避妊薬(アフターピル)を入手するハードルを下げるよう相談や情報提供に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都では、予期しない妊娠などに関する相談に看護師等の専門職が電話やメールで応える妊娠相談ほっとラインを実施しています。
この窓口では、相談内容に応じて、緊急避妊薬の使用や効果等に関する情報を提供するとともに、処方のための受診可能な医療機関について具体的に助言しています。
また、妊娠相談ほっとラインのホームページに、厚生労働省が作成している、緊急避妊に係る診療が可能な産婦人科医療機関等一覧のリンクを掲載して情報提供しています。

質問事項
五 精神科医療機関におけるオンライン診療について
  都では、東京都オンライン医療相談・診療等環境整備補助事業を実施していたが、その交付をうけた精神科医療機関の数を伺うとともに、精神科におけるオンライン診療の有効性や課題について、見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関の受診が困難となりつつある状況を鑑みた時限的・特例的な対応として現在実施されている、電話や情報通信機器を用いて患者の診察及び診断等を行うオンライン診療について、国は、医師が医学的に可能と判断した範囲において実施することを認めています。
都は、かかりつけ医等がオンライン医療相談・診療等を行うための専用の情報通信機器等の整備を支援するため、令和2年4月に東京都オンライン医療相談・診療等環境整備補助事業を創設しました。これまで、この補助金の交付決定を行った医療機関は、都全体で533か所、そのうち、精神科の診療を行っている医療機関は22か所です。
オンライン診療は、受診の際の感染リスクを避けることが可能である一方、対面診療に比べて診察する医師が得られる患者の心身の情報が限定されるなどの課題があります。
このため、国は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、原則として3か月ごとに精神科を含めた医療機関からの実績報告に基づき、医療機関等における対応の実用性や実効性の確保、医療の安全性の観点から、改善のための検証を行っており、都は、その結果を踏まえながら、適切にオンライン診療を推進していきます。

質問事項
六 東京都青少年健全育成審議会について
  諮問図書の選定にあたっては、諮問図書とそうならなかった図書を委員に対して公開するなど、選定プロセスの見直しが必要と考えるが、見解を伺う。また、審査に先立って開催されている業界団体ヒアリングの結果を重要視するなど、その審査の方法についても見直しを図るべきと考えるが、見解を伺う。

回答
不健全な図書類の指定に当たっては、「東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「条例」という。)」第18条の2第1項に基づき、指定を行おうとする図書類について、東京都青少年健全育成審議会に諮問し、意見を聴いています。
なお、諮問する図書類は、都において、購入した図書類を個別に検討し、条例第8条に基づき、条例施行規則第15条で定める基準に該当するものを選定しています。
また、条例第18条の2第2項に基づき、諮問する図書類については、自主規制を行っている団体から意見を聴いており、その結果について、審査の参考としていただくため、審議会に提出しています。

質問事項
七 建設現場における新型コロナ対策と熱中症対策について
  土木や建築などの建設現場では新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を優先するがあまり、休憩所での熱中症対策が不十分であったケースもあったと聞く。来年の夏も新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策を同時に行う必要があると考えられるが、今年の対策状況を伺う。

回答
夏季の建設現場においては、高温下での作業が予想されるため計画的な熱中症予防対策の徹底が必要です。
このため、都の発注工事では、作業用大型扇風機や給水器設置などの対策費用を工事費に計上するとともに、例年夏季を迎える前に受注者へ計画的な予防や対策の徹底を求める注意喚起を行っています。
令和2年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止と併せて熱中症対策を図る必要があることから、「東京都における公共工事の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策ガイドライン」を一部見直しして、受注者へ感染症対策を講じる際の熱中症リスクについて周知を行うなど、建設現場において感染症拡大防止と熱中症対策が両立する環境づくりに努めました。

質問事項
八 セーフティネット住宅への入居状況について
  令和二年度九月末時点でのセーフティネット住宅の登録戸数を伺うとともに、これらセーフティネット住宅が住宅確保要配慮者の住宅確保にいかに繋がっているのかを把握していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都内のセーフティネット住宅である東京ささエール住宅は、令和2年9月末時点で2,550戸が登録されています。
東京ささエール住宅への入居状況については、現在、国の登録システムにおいて、登録に際して入居状況の入力が任意となっており、多くの事業者等が入力していないことから、住宅確保要配慮者を含めその状況を的確に把握することは困難です。
一方で、事業者等に対し、その時々の入居状況を的確に報告するよう求めることは、過度な負担を生じさせることとなるため、現時点においては、入居状況の把握よりも、要配慮者向けの住宅の受け皿となる東京ささエール住宅の登録促進に努めています。
要配慮者の入居状況の把握については、今後、事業者等の負担等を踏まえ、その方法等を検討していく必要があると考えます。

質問事項
九 マイナスイメージの払しょくについて
  都の時短営業の対象となっていた施設やライブハウスなどの個別具体の名前が出ていた業種、あるいは各種イベントについて、客足が戻るようにマイナスイメージを払拭していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都は、ガイドラインに沿った感染防止策を実施する事業者に「感染防止徹底宣言ステッカー」を発行し、都民にはステッカーを掲示している施設等の利用を呼び掛けています。
今後も、総合支援事業やアドバイザリー事業等により感染防止対策に意欲的に取り組む事業者を支援するとともに、動画やポスターをはじめとした様々な発信の機会を通じて、安心の目印であるステッカーを掲示する施設等を利用するよう、積極的に都民に呼び掛けていきます。

質問事項
十 超過勤務縮減の取組について
  都では、新型コロナウイルス感染症に起因して、休日も含めて業務に奔走するなどしていた職員も数多くいると聞く。特に、管理職の職員に業務が集中していた様子もあり、残業時間と業務実態が一致していないのではないかと推察される。コロナ禍の対応状況もふまえ、知事部局等の超過勤務の縮減に向けてどのように取り組んでいるのか伺うとともに、今後どのように対応していくのか、見解を伺う。

回答
知事部局等においては、平成31年4月から超過勤務命令の上限時間を設定し、事前命令及び事後確認を徹底するとともに、管理職が客観的な記録等も参考にしながら、職員の在庁状況を把握し、必要に応じて、業務配分の工夫を講ずるなど、超過勤務縮減につながるようマネジメントに努めています。 
管理職については、平成31年度から超過勤務状況の把握及び管理を行うこととしています。
また、新型コロナウイルス感染症対策に重点的かつ集中的に対応するため、局間の柔軟な応援体制を構築し、全庁を挙げて取り組んでいますが、様々な職場で業務量が増加していることから、令和3年1月に任期付職員の採用を予定しています。
安定的な人員体制を確保しつつ、ライフ・ワーク・バランスの推進に向けて、改めて超過勤務縮減の取組を徹底していきます。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 星見てい子

質問事項
一 都立中央図書館の「対面音訳サービス」の全面再開について
二 都立中央図書館の雨漏り等の修繕と災害対策の推進について
三 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」について
四 子どもの食の確保・子ども食堂への支援の継続について
五 都営目黒一丁目団地27号棟跡地について

一 都立中央図書館の「対面音訳サービス」の全面再開について
都立中央図書館は、視覚障がい者等を対象に、「対面朗読サービス」をおこなってきました。各分野の専門用語に詳しい音訳者の朗読は、大変聞きやすく理解しやすいと頼りにされています。書籍以外でも、電化製品の取扱い説明書や請求書等も対面で読み上げるなど、視覚障がい者の生活と仕事を支えるサービスになってきました。
しかし、新型コロナウイルスで都立中央図書館は休館し、同サービスも一時停止になりました。6月22日から、再開されましたが、都は、コロナ禍での対面による音訳サービスは安全が確保されないとして、別々の音訳室に利用者、音訳者が入り内線電話や無線のインターホーンで話す方法となりました。もともとは4室ある音訳室で、同時に4人までサービスを受けることが可能でしたが、1人のみになり、1人が受けられるサービスも1日1枠2時間、週2回まで、利用時間も夜間縮小と制限が設けられました。このため、「希望の時間に予約がとれない」「時間が不足し読んで欲しい物を全部読んでもらえない」「機械を通しての声は聞き取りづらく、神経を消耗してしまうことがある」と利用者から声が出され、改善の要望が寄せられていました。
都立中央図書館ホームページに10月2日付で、10月12日からは、1枠3時間、各回2名、利用時間は夜9時までに拡大するとのお知らせが掲載されました。
そこで以下、質問します。
1 対面音訳サービスが導入された経緯と、その位置づけ・役割を伺います。
2 6月22日から再開した「音訳サービス」の希望数と利用数を、7月、8月、9月の各月ごと、利用枠ごとに伺います。
3 従来は無かった利用時間や回数の制限によって、生活や仕事に支障が出ている都民が生まれています。特に、夜間の利用時間の短縮は、働く都民のサービス利用を著しく困難にしています。
10月12日から、21時まで利用可能に戻りますが、夜間の利用時間を短縮した理由を伺います。
4 聞き取りづらかった内線電話方式を、マイクとスピーカー利用方式に変更したことは、都民に歓迎されています。新設したのはいつからですか。また、その設備費用を伺います。
5 10月12日から「音訳サービス」は、元の対面音訳サービス4ブースをすべて活用して同時に2枠2名が利用できるようになりますが、新たに開始する1枠の内線電話方式の改善も望まれています。改善に向けての取り組みを伺います。
6 「音訳サービス」は、部分的に拡大されますが、対面方式は復活していません。図版やグラフ、記号等は、音訳できず、レーズライターや拡大読書機などを活用できる対面サービスが必要です。現下のコロナ禍で、どのような部屋や設備があれば、対面でのサービスが可能になると考えていますか。
7 対面でのサービスが可能になる部屋を、図書館全体のスペースで検討したことはありますか。
8 視覚障害者サービス室の中庭に、プレハブの部屋を建設することは、問題がありますか。
9 10月5日に、都立中央図書館を視察しました。コロナ禍で、「対面音訳サービス」は、視覚障がい者等の生活を支え、命を守るうえで、いっそう重要なサービスになっていると改めて実感しました。本サービスの重要性に鑑み、感染防止対策をとりながら、直ちに全面再開に向けた検討が必要と思いますが、認識を伺います。

二 都立中央図書館の雨漏り等の修繕と災害対策の推進について
2018年、大雨により都立中央図書館で、閲覧室の本棚上の天井から雨漏りが起きました。同年12月に現地視察をした結果、図書館内で度重なる雨漏りが起きていることが判明し、早急な施設修繕を求めました。都は、その後、修繕のために対策工事を続けています。
2019年度は、台風15号、台風19号など、東京都でも多大な被害が相次ぎました。文部科学省によると、台風19号で浸水や雨漏りなどの被害が報告された公立図書館は、13都県で計108施設に上ります。地下の保存書庫まで泥水が流れ込み、約8万3千冊の蔵書が被害を受けた大学もあります。
このような大雨災害や震災等が増えている中で、老朽化している都立中央図書館の早急な修繕とともに、貴重な蔵書を守るための災害対策が求められています。そこで、以下、質問します。
1 都立中央図書館での雨漏りは、改善されたのでしょうか。2019年以降の状況をお聞きします。
2 コロナ禍で、都内では建設資材購入や流通等に支障が出ていますが、都立中央図書館の雨漏り対策工事への影響を伺います。また、この工事の費用を伺います。
3 都立中央図書館の書庫や保管庫の一部は地下になっています。貴重な蔵書を水や火災、建物の崩壊等から守るための災害対策の検討状況を伺います。また、ガイドラインやマニュアル等も、どのように整備されているのか伺います。
4 都立中央図書館は、計画的に蔵書を増やしていますが、保管庫がいっぱいです。災害を考慮した上で保管庫を今後、どのように確保するのかを伺います。

三 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」について
都教育委員会は、都立高校入試に英語「話すこと」の評価を導入するために、「スピーキングテストの問題及び評価の在り方、具体的な実施・運営方法等について検証する。検証結果を踏まえ、平成31年度以降に実施予定であるプレテストの確実かつ円滑な実施に資する。」として、2018年度、都内公立中学校8校に在籍する第3学年の全生徒1,035名を対象に英語「話すこと」の評価に関するフィージビリティ調査(実行可能性調査)を実施しました。
2019年度は、株式会社ベネッセ・コーポレーションと「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」事業について、基本協定(有効期間:令和5年度末日まで)を締結し、都内公立中学校の一部抽出校で第3学年生徒約8,000人を対象にテストが行われました。
スピーキングテストの今後のスケジュールは、2020年度に都内公立中学校の第3学年の全生徒約8万人で確認プレテストを実施、2021年度は、都内公立中学校の第3学年全生徒と私立中学等の都立高校受験予定者を対象に実施し、この結果を2022年度の都立高校入試の配点の一部として活用する計画でした。
しかし新型コロナウイルスの影響で、2020年度の確認プレテストは一年先延ばしにすると、都教委は6月11日に公表しました。
そこで以下、質問いたします。
1 今年度は、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う中学校等における臨時休業の影響や、教育活動再開後の学校運営に対する配慮の必要性」から予定等を変更するとしながらも、500人程度のスピーキングテストを実施する理由を伺います。また、対象の500人はどのように選ばれるのですか。テストの日程と会場についても伺います。
2 500人程度でも、コロナ禍でのスピーキングテストは、生徒や学校現場に負担を強いることになります。中止すべきではありませんか。
3 3月の予算特別委員会での私の質問に教育長は、2019年度に実施したプレテストの採点を、ベネッセの協力会社である株式会社学力評価研究機構がフィリピンで行っていることを答弁し、都教育委員会が今年度以降、採点を行っている現地を直接訪問し、確認すると答弁しました。現地フィリピンでの確認はできましたか。また、今年度の採点は、誰が、どこで行う予定ですか。
4 最も公平公正に行われる必要のある高校入試の採点を海外で行うことの問題はこれまでも指摘してきました。加えて、新型コロナウイルスのパンデミックで、都教育委員会の採点地フィリピンでの確認は困難を極めています。また、海外の政治情勢にも左右される可能性があります。都立高校入試に活用する採点を、海外で行うリスクをどのように考えていますか。
5 都教育委員会は、この英語スピーキングテストの名称を、ベネッセとの実施協定の締結をもって「中学校英語スピーキングテスト Supported by GTEC」とすることにしました。都が監修して作っていると表明しながら、ベネッセ・コーポレーション(株)のスコア型英語4技能検定の名称である「GTEC」を名称にした理由を伺います。
また、プレテストの問題等の公表についての都教育委員会ホームページで、「掲載する場合は、『ⓒ2019 中学校英語スピーキングテスト Supported by GTEC』を必ず表記してください」と、しなければならない理由を伺います。
6 私は予算特別委員会で、ベネッセが進研ゼミ中学講座で入試や検定合格につながるとして英語のスピーキング教材を販売していることは、関連教材にあたるのではないかということ、また保護者から英語スピーキングテストは進研ゼミをやっている子が有利になるのではと心配の声があることを指摘しました。これに対する見解を伺います。
7 都教育委員会は8月に、「東京都中学校英語スピーキングテスト事業検討委員会」を新たに設置しました。「事業の在り方等を検討するため」として、今年度末までに2回程度の検討会を開催するとなっています。検討委員は、外部有識者などを招いており、内容は公開されるべきと考えます。議事録等の公開は行いますか。また、検討結果は、どのように活用されるのですか。
国の大学入試改革では、英語4技能(読む・聞く・書く・話す)を評価するための民間試験活用や、思考力や表現力を試す目的での国語と数学での記述式導入とその採点の民間委託などの「入試改革」が頓挫しました。その方向性を練り直すために設置された文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は、9月30日に、提言をとりまとめる時期を当初予定の2020年末から21年に延期すると決めました。
8 都立高等学校の入試に、英語のスピーキングテストを導入するかは、教育現場や保護者・生徒の意見を踏まえ、慎重な検討が必要です。英語の学識経験者からは、「スピーキングは、生活格差が出やすく入試ではかるのはふさわしくない」との意見や、中学校英語教師からは「受験実技としてスピーキングが導入されると、英語を楽しく話す態度を養う上で、ゆがみが生じる」との心配の声も出ています。
都教委は、「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」事業について、中止を視野に入れた凍結を行うべきです。見解を伺います。

四 子どもの食の確保・子ども食堂への支援の継続について
2017年第4回定例会で、「子ども食堂」への支援を求めた私の一般質問に、知事が支援を表明し、2018年度から区市町村補助・直接補助として全額都費負担の「子ども食堂」への支援制度がスタート、2019年度から包括補助に移行しました。都内の「子ども食堂」に、1か所、最高で年間24万円を補助する制度です。
今年・2020年度は、新型コロナウイルスによる学校休業や保護者の収入が激減する家庭が生まれる中で、子どもの食の確保が課題として浮き彫りになっています。こうした現状を受け、都は、「子ども食堂」等への支援を、「『子供の食の確保』緊急対応策」の事業として拡充させました。
目黒区では、この制度を活用し、今年度、「めぐろ みんなで楽しいごはんプロジェクト」を立ち上げ、学校休業中や土、日、祝日の昼食や夕食を提供する事業を行っています。区内の「子ども食堂連絡会」参加の8団体が、各々の地域でレストラン等の飲食店と協力して、子ども100円弁当の販売や子ども参加のランチクッキングなどが取り組まれています。
コロナ禍の終焉が見えない中、子どもの食の確保への支援は、引き続き重要な課題であり、よって、以下、質問します。
1 昨年度、都内の子ども食堂等を対象とした「新型コロナウイルス感染症及び学校の臨時休業等に伴う『子供の食の確保』緊急対応策」を活用した区市町村ごとの子ども食堂の箇所数をご提示ください。
2 昨年度の「新型コロナウイルス感染症及び学校の臨時休業等に伴う『子供の食の確保』緊急対応策」事業に続き、今年度の「『子供の食の確保』緊急対応策」事業は、当初、学校休業中の期間を想定していましたが、本年度末まで延期されました。その理由を伺います。
3 本事業の補助基準額は、1食堂当たり年間170万円を上限にしていますが、どのような積算の結果ですか。また、都内で何団体を想定しているのかを伺います。
4 新型コロナウイルスの感染の収束の目途はいまだに見えず、保護者の就労環境は、年末からのさらなる悪化が心配されています。こうしたもとで、子どもの食の確保は、いっそう重要な課題になっていると考えますが、見解を伺います。
5 本事業は、今年度末が終期となっています。その場合、新年度からは、「子供食堂推進事業」として都費負担5割の区市町村包括補助事業の扱いになり、区市町村が事業から撤退することもありえます。コロナ禍の中で、子どもの食の確保のために奮闘している子ども食堂等の地域活動を存続させるために、新年度も、都の全額補助事業として本事業を継続させることが重要と考えます。都の見解を伺います。

五 都営目黒一丁目団地27号棟跡地について
令和2年3月18日までの契約期間であった都営目黒一丁目団地27号棟跡地に伴う「都営目黒一丁目団地基本計画」業務委託の結果について伺います。
1 設計の概要として、「新築工事、鉄筋コンクリート造 共同住宅 20戸程度」として算定を求めていますが、出された算定を伺います。
2 「接道部分の既存擁壁の診断及び概算工事費を算出すること」とありますが、出された既存擁壁の診断結果と算定を伺います。
3 本「都営目黒一丁目団地基本計画」が提出されたのち、都営目黒一丁目団地27号棟跡地の活用を誰がどのように検討するのかを伺います。
4 都営目黒一丁目団地27号棟跡地の今後の調査予定を伺います。

令和2年第三回都議会定例会
星見てい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立中央図書館の「対面音訳サービス」の全面再開について
1 対面音訳サービスが導入された経緯と、その位置づけ・役割を伺う。

回答
都立図書館における対面音訳サービスは、昭和45年に、都立日比谷図書館(当時)において我が国における初の対面朗読の実施例として開始しました。
中央図書館においても、昭和48年1月の開設時から、対面音訳を実施しています。
本サービスは、視覚障害者の方などに対して資料の音訳を行い、利用者の多様な学習活動や調査研究活動を支援する役割を担うものです。

質問事項
一の2 6月22日から再開した「音訳サービス」の希望数と利用数を、7月、8月、9月の各月ごと、利用枠ごとに伺う。

回答
6月22日から再開した対面音訳サービスでは、従来利用者と音訳者が一つの音訳室の中で対面して実施していたものを、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、2部屋に分かれてPHSとコードレスフォンを用いて音声のみで提供することとしました。利用枠については1回2時間までとして、午前1枠、午後2枠、平日には夜間1枠を設定しました。
利用は予約制で、利用者が希望する利用枠が予約済の場合には、利用者の希望に沿って他の利用枠を紹介し、予約を受け付けています。
音訳サービスの利用数は、7月は10時から12時の利用枠で17人、12時半から14時半の利用枠で10人、15時から17時の利用枠で6人、17時半から19時半の利用枠で1人、8月は10時から12時の利用枠で11人、12時半から14時半の利用枠で3人、15時から17時の利用枠で5人、17時半から19時半の利用枠で利用実績なし、9月は10時から12時の利用枠で16人、12時半から14時半の利用枠で8人、15時から17時の利用枠で8人、17時半から19時半の利用枠で利用実績なしとなっています。

質問事項
一の3 従来は無かった利用時間や回数の制限によって、生活や仕事に支障が出ている都民が生まれている。特に、夜間の利用時間の短縮は、働く都民のサービス利用を著しく困難にしている。10月12日から、21時まで利用可能に戻るが、夜間の利用時間を短縮した理由を伺う。

回答
現在、対面音訳サービスは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、PHSとコードレスフォンを用いてサービスを行っており、機器のセッティングなどの対応が必要となることや、室内の消毒や換気等を行う時間を確保することを考慮した上で、平日夜間の利用枠については17時半から19時半までの設定としました。
10月12日からは、利用者サービスの充実の観点から1回の利用時間を2時間から3時間に延長し、平日夜間の利用時間を21時までにするとともに、同じ時間帯で2人まで対応可能として、一日全体の利用枠を6枠とすることとしました。

質問事項
一の4 聞き取りづらかった内線電話方式を、マイクとスピーカー利用方式に変更したことは、都民に歓迎されている。新設したのはいつからか。また、その設備費用を伺う。

回答
対面音訳サービスの提供については、音質改善の観点からPHSとコードレスフォンを用いた方式をマイクとスピーカーを利用する方式に変更し、9月19日に試行的に開始しました。
利用者と音訳者が入るそれぞれの部屋にマイク1本及びスピーカー2台を設置し、その購入に要した費用は、周辺機器を含めて58,872円です。

質問事項
一の5 10月12日から「音訳サービス」は、元の対面音訳サービス4ブースをすべて活用して同時に2枠2名が利用できるようになるが、新たに開始する1枠の内線電話方式の改善も望まれている。改善に向けての取組を伺う。

回答
10月12日からの利用枠の拡大に伴い、2枠目が利用する部屋についても10月21日にマイクとスピーカーの設置を完了しています。

質問事項
一の6 「音訳サービス」は、部分的に拡大されるが、対面方式は復活していない。図版やグラフ、記号等は、音訳できず、レーズライターや拡大読書機などを活用できる対面サービスが必要である。現下のコロナ禍で、どのような部屋や設備があれば、対面でのサービスが可能になると考えているか。

回答
対面音訳サービスは、静穏な環境の求められる図書館の中で、雑音が入ることなく、かつ外部にも音が漏れないよう、密閉性の高い音訳室で提供する必要があります。音訳室内は、狭く、十分な換気ができない構造となっており、音訳は発話を長時間に渡って続けることから、現下の状況で対面方式とすることは困難です。
また、対面音訳サービスにおける図版やグラフ、記号等を伝えるためのレーズライターや拡大読書器の使用については、これらの用具を利用者と音訳者が共用することとなるため、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から現時点では活用は困難です。
当館の音訳者は、音声で内容を伝えるための研修を受講しており、接触を避けながら、音訳サービスの提供に取り組んでいるところです。

質問事項
一の7 対面でのサービスが可能になる部屋を、図書館全体のスペースで検討したことはあるか伺う。

回答
対面音訳は、静穏な環境の求められる図書館で実施されるものであること、また、音訳する資料は利用者の思想・信条などを示すもので、プライバシーにも十分配慮して行う必要があることから、外部に音が漏れないよう、密閉性の高い音訳室で行う必要があります。他の部屋の使用も検討しましたが、この条件を満たす部屋がないため、音訳室2部屋に分かれてサービスを行う方式としています。

質問事項
一の8 視覚障害者サービス室の中庭に、プレハブの部屋を建設することは、問題があるか伺う。

回答
都立中央図書館3階にある視覚障害者サービス室に囲まれた屋上部分へのプレハブの設置に関しては、現行法令上、都立中央図書館の延床面積を増加させることとなり困難です。

質問事項
一の9 10月5日に、都立中央図書館を視察した。コロナ禍で、「対面音訳サービス」は、視覚障がい者等の生活を支え、命を守るうえで、いっそう重要なサービスになっていると改めて実感した。本サービスの重要性に鑑み、感染防止対策をとりながら、直ちに全面再開に向けた検討が必要と思うが、認識を伺う。

回答
対面音訳サービスは、視覚障害者の方などに対して資料の音訳を行い、利用者の多様な学習活動や調査研究活動を支援する役割を担うものです。
現下のコロナ禍において、対面方式を直ちに全面再開することは困難ですが、今後とも、感染防止対策を講じつつ、可能な限りサービス提供に取り組んでいきます。

質問事項
二 都立中央図書館の雨漏り等の修繕と災害対策の推進について
1 都立中央図書館での雨漏りは、改善されたのか。2019年以降の状況を伺う。

回答
都立中央図書館の雨漏りへの対策として、令和元年度から令和2年度にかけて、外壁その他改修工事を行いました。工事完了後は、雨漏りの被害はありません。

質問事項
二の2 コロナ禍で、都内では建設資材購入や流通等に支障が出ているが、都立中央図書館の雨漏り対策工事への影響を伺う。また、この工事の費用を伺う。

回答
都立中央図書館の雨漏りへの対策として、令和元年度から令和2年度に外壁その他改修工事を実施し、コロナ禍による影響はありません。契約金額は30,137千円です。

質問事項
二の3 都立中央図書館の書庫や保管庫の一部は地下になっている。貴重な蔵書を水や火災、建物の崩壊等から守るための災害対策の検討状況を伺う。また、ガイドラインやマニュアル等も、どのように整備されているのか伺う。

回答
都立中央図書館においては、災害から蔵書を保護するため、書庫においては、水を用いるスプリンクラーではなく、二酸化炭素を用いた消火設備を設置し、火災による蔵書の被害を最小限とする対策を講じています。また、水害に関しては、港区の浸水ハザードマップによると、図書館の敷地全体は、大規模な浸水の可能性は低いとされているが、集中豪雨が発生し、雨水等が溜まった際は、揚水ポンプにより雨水をくみ上げ、大規模な浸水を未然に防ぐ設備を整えています。さらに地震に関しては、平成29年度に耐震診断調査を実施し、その結果、必要な耐震強度を有しています。
また、都立中央図書館においては、「東京都立中央図書館災害対策要綱」により災害応急対策について非常時の体制や役割等、必要な事項を定め、「危機管理(防災)マニュアル」により火災や地震、風水害等の災害発生時の対応について定めています。

質問事項
二の4 都立中央図書館は、計画的に蔵書を増やしているが、保管庫がいっぱいである。災害を考慮した上で保管庫を今後、どのように確保するのかを伺う。

回答
都立中央図書館の蔵書については、増加冊数に相当する資料を毎年度計画的に都立多摩図書館の収蔵庫に移送し収蔵能力を確保しています。
都立多摩図書館は、平成29年1月に新築開館し建物は必要な耐震性を有しており、収蔵庫は地上2階、3階に配置し、台風や豪雨などの風水害に強い構造となっています。

質問事項
三 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」について
1 今年度は、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う中学校等における臨時休業の影響や、教育活動再開後の学校運営に対する配慮の必要性」から予定等を変更するとしながらも、500人程度のスピーキングテストを実施する理由を伺う。また、対象の500人はどのように選ばれるのか。テストの日程と会場についても伺う。

回答
令和2年度の確認プレテストは、出題内容及び試験の申込みから結果返却に至る流れなど、令和4年度以降の本実施の円滑な運営に向けた準備として必要な事項を検証するために実施します。
具体的には、地域性や校種等を考慮して協力を依頼し、区部や多摩地区から実施を希望する中学校及び特別支援学校を選定し、令和2年10月下旬から11月下旬にかけて、都内の大学及び専門学校等を会場として実施しています。

質問事項
三の2 500人程度でも、コロナ禍でのスピーキングテストは、生徒や学校現場に負担を強いることになる。中止すべきではないか。見解を伺う。

回答
授業の一環として教員が生徒を引率し、新型コロナウイルス感染症対策を講じた会場において、事業者から派遣されたスタッフが準備・監督等を行うなど、希望を踏まえて選定した学校を対象に適切に実施しています。

質問事項
三の3 3月の予算特別委員会での私の質問に教育長は、2019年度に実施したプレテストの採点を、べネッセの協力会社である株式会社学力評価研究機構がフィリピンで行っていることを答弁し、都教育委員会が今年度以降、採点を行っている現地を直接訪問し、確認すると答弁した。現地フィリピンでの確認はできたか。また、今年度の採点は、誰が、どこで行う予定か伺う。

回答
令和2年3月に予定していた現地の採点拠点の訪問は、新型コロナウイルス感染症の影響のため中止しましたが、オンラインにより、採点体制及び採点状況の確認を継続的に行っています。引き続き、現地の状況を把握するとともに、入国が可能になり次第、現地を視察する予定です。
なお、令和2年度の採点は、令和元年度と同様に、常勤の専任スタッフがフィリピンで行います。

質問事項
三の4 最も公平公正に行われる必要のある高校入試の採点を海外で行うことの問題はこれまでも指摘してきた。加えて、新型コロナウイルスのパンデミックで、都教育委員会の採点地フィリピンでの確認は困難を極めている。また、海外の政治情勢にも左右される可能性がある。都立高校入試に活用する採点を、海外で行うリスクをどのように考えているのか伺う。

回答
事業者との緊密な連携の下、情報セキュリティ等の観点から、リスク管理を徹底し、情勢に左右されることなく確実に採点業務を行っていきます。

質問事項
三の5 都教育委員会は、この英語スピーキングテストの名称を「中学校英語スピーキングテストSupported by GTEC」とすることにした。ベネッセ・コーポレーション(株)のスコア型英語4技能検定の名称である「GTEC」を名称にした理由を伺う。また、プレテストの問題等の公表について「©2019中学校英語スピーキングテストSupported by GTEC」を必ず表記しなければならない理由を伺う。

回答
本スピーキングテストは、都教育委員会が、資格・検定試験の実施実績のある民間事業者のノウハウを活用し、事業者との協定に基づいて実施するものです。本事業の募集に当たっては、既に事業者が実施している資格・検定試験の名称等の一部を用いることを可能としています。これを受けて、令和元年度の実施協定では、事業名を「中学校英語スピーキングテストSupported by GTEC」とすることを承認しました。
また、令和元年度の問題等については、都教育委員会のホームページに公表しており、これを転載利用する場合に限り、「©2019中学校英語スピーキングテストSupported by GTEC」と付記することとしています。テスト実施の際の画面や結果返却書類等には、「中学校英語スピーキングテスト」と表示しています。令和2年度以降の問題等の公開の際には「Supported by GTEC」は使用しないこととしています。

質問事項
三の6 私は予算特別委員会で、べネッセが進研ゼミ中学講座で入試や検定合格につながるとして英語のスピーキング教材を販売していることは、関連教材にあたるのではないかということ、また保護者から英語スピーキングテストは進研ゼミをやっている子が有利になるのではと心配の声があることを指摘した。これに対する見解を伺う。

回答
事業者の教材は、英語力向上に関する一般的な教材であるため、本テストの関連教材には当たりません。
また、本テストは、中学校学習指導要領に準拠した新たなテストであり、日々の授業で行われる言語活動や課題に取り組んでいれば十分に対応できる内容であり、本テストの問題は、学習の指針となるよう公開します。
したがって、特定の外部教材を使用している生徒が有利になるという御指摘は当たりません。

質問事項
三の7 都教育委員会は8月に、「東京都中学校英語スピーキングテスト事業検討委員会」を新たに設置した。検討委員は、外部有識者などを招いており、内容は公開されるべきと考える。議事録等の公開は行うか。また、検討結果は、どのように活用されるのか伺う。

回答
東京都中学校英語スピーキングテスト事業検討委員会は、事業の在り方や新型コロナウイルス感染症対策、プレテストの結果検証、出題及び運営に係る方針等の検討を行うことを目的として設置しています。その設置要項に基づき、会議は非公開ですが会議要旨を公開します。また、委員会での検討結果は、出題方針や運営体制等に反映させていきます。

質問事項
三の8 都立高等学校の入試に、英語のスピーキングテストを導入するかは、教育現場や保護者・生徒の意見を踏まえ、慎重な検討が必要である。都教委は、「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」事業について、中止を視野に入れた凍結を行うべきである。見解を伺う。

回答
本事業は、生徒が「使える英語力」を身に付けるため、主体的に英語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養い、自分の考えや気持ちを伝え合う力を育成することなどを目的として実施するものです。
義務教育修了時点における「話すこと」に関する能力を客観的に把握し、中学校における英語指導の充実を図るとともに、スピーキングテストの結果を高校入試に活用することで、中学校と高校とを円滑に接続し、高校における英語4技能の総合的な育成に向けた授業改善につなげていきます。
引き続き、本事業の着実な実施に向けた準備を進めていきます。

質問事項
四 子どもの食の確保・子ども食堂への支援の継続について
1 昨年度、都内の子ども食堂等を対象とした「新型コロナウイルス感染症及び学校の臨時休業等に伴う『子供の食の確保』緊急対応策」を活用した区市町村ごとの子ども食堂の箇所数を伺う。

回答
令和元年度に「新型コロナウイルス感染症及び学校の臨時休業等に伴う『子供の食の確保』緊急対応策」事業を活用した区市町村別の子供食堂の数は、港区1か所、文京区1か所、台東区1か所、江東区3か所、品川区2か所、大田区2か所、世田谷区5か所、杉並区2か所、豊島区8か所、板橋区1か所、足立区1か所、葛飾区1か所、江戸川区2か所、八王子市4か所、昭島市1か所、調布市3か所、多摩市6か所、あきる野市5か所及び西東京市1か所の合計19自治体50か所です。

質問事項
四の2 昨年度の「新型コロナウイルス感染症及び学校の臨時休業等に伴う『子供の食の確保』緊急対応策」事業に続き、今年度の「『子供の食の確保』緊急対応策」事業は、当初、学校休業中の期間を想定していたが、本年度末まで延期された。その理由を伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、緊急対策として、家に閉じこもりがちな子供やその保護者を対象に、調理した弁当や食材の宅配等を行う子供食堂等を、区市町村を通じて支援しています。

質問事項
四の3 本事業の補助基準額は、1食堂当たり年間170万円を上限にしているが、どのような積算の結果であるか。また、都内で何団体を想定しているのかを伺う。

回答
「『子供の食の確保』緊急対応策」事業の補助基準額1食堂当たり年額170万円の内訳は、配食及び宅食並びに子供食堂運営に係る経費として年額120万円、食中毒防止対策や感染防止対策等に必要な経費として年額50万円を想定しています。
本事業は、団体数の上限は設定せず、子供家庭支援区市町村包括補助事業の予算の範囲内で区市町村に補助を行います。

質問事項
四の4 新型コロナウイルスの感染の収束の目途はいまだに見えず、保護者の就労環境は、年末からのさらなる悪化が心配されている。こうしたもとで、子どもの食の確保は、いっそう重要な課題になっていると考えるが、見解を伺う。

回答
子供が健やかに育つためには、栄養面でバランスのとれた食事や安心して過ごせる居場所があることが重要であり、子供食堂は、食を通じて、子供と地域とのつながりを作る大切な場となっています。
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、緊急対策として、家に閉じこもりがちな子供やその保護者を対象に、調理した弁当や食材の宅配等を行う子供食堂等を、区市町村を通じて支援しています。

質問事項
四の5 本事業は、今年度末が終期となっている。その場合、新年度からは、「子供食堂推進事業」として都費負担5割の区市町村包括補助事業の扱いになり、区市町村が事業から撤退することもありえる。コロナ禍の中で、子どもの食の確保のために奮闘している子ども食堂等の地域活動を存続させるために、新年度も、都の全額補助事業として本事業を継続させることが重要と考える。見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための緊急対策である「『子供の食の確保』緊急対応策」事業は、令和2年度末までが補助対象期間となっています。

質問事項
五 都営目黒一丁目団地27号棟跡地について
1 設計の概要として、「新築工事、鉄筋コンクリート造共同住宅20戸程度」として算定を求めているが、出された算定を伺う。

回答
業務委託の結果では、本敷地における現況地盤面での整備戸数は、最大22戸と算定されています。

質問事項
五の2 「接道部分の既存擁壁の診断及び概算工事費を算出すること」とあるが、出された既存擁壁の診断結果と算定を伺う。

回答
業務委託の結果では、既存の擁壁はコンクリート強度等の状況から、現状のままで差し迫った危険性はないと考えられますが、建物の建設に当たっては、擁壁の再整備が必要になるとされ、その費用は、概算で約1億6,000万円と算定されています。

質問事項
五の3 本「都営目黒一丁目団地基本計画」が提出されたのち、都営目黒一丁目団地27号棟跡地の活用を誰がどのように検討するのかを伺う。

回答
都営住宅経営部と東部住宅建設事務所が、業務委託の成果物等をもとに、本敷地における都営住宅の建設の可否等について検討していきます。

質問事項
五の4 都営目黒一丁目団地27号棟跡地の今後の調査予定を伺う。

回答
現在、隣地との境界確定のための測量を実施中であり、その結果を踏まえ、改めて今後の予定について検討していきます。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とくとめ道信

質問事項
一 米軍横田基地における新型コロナ感染実態と感染防止対策について
二 米軍横田基地での危険な訓練の激化と落下事故などへの対応について
三 沖縄県での有害物質を含む泡消火剤の大量漏出事故を踏まえた、横田基地での泡消火剤の対応について
四 板橋区の特定整備路線・補助26号線建設などの進捗状況について

一 米軍横田基地における新型コロナ感染実態と感染防止対策について
米軍横田基地の新型コロナ感染防止対策は、米軍関係者の移動が激しい横田基地の現状からも、また沖縄県の米軍基地内のクラスター発生が、市中感染につながったことをみても極めて重要です。周辺の自治体・住民の感染防止のためにも、基地関係者の感染状況の公表と感染防止対策は、命と健康を守るうえで不可欠です。
横田基地では、7月から感染者公表が実施されているものの断片的です。感染者数の累計は公表されず、感染実態は不明のままです。
2013年の日米合同委員会で確認された「覚書」では、感染症が確認されたら、米軍基地内の病院、周辺地域の保健所はお互いに報告し合い、防疫措置が必要となれば、緊密に連携・協力することになっています。
沖縄県では、基地内でクラスターが発生し、玉城知事が沖縄の米軍トップの四軍調整官などと、「感染者数などの速やかな公表」を直接談判し、米軍は「沖縄県が、海軍病院からの情報を公表することを防げない」と回答し、実数を公表しています。
さらに玉城知事は、「PCR検査の詳しい実施状況や、行動履歴の速やかな情報提供、基地外に住む軍人・軍属への感染防止対策」も米軍に求めています。
1 横田基地外の米軍居住者を含む米軍関係者の最新の感染者数と検査数の累計、陽性率はどのように掌握されていますか。
2 最大の感染国の米国内や、国内米軍基地からの自由な移動が可能な状況で、感染者の感染経路は掌握されているのですか。その実態を教えてください。
3 沖縄県のように日米合同委員会の「覚書」にもとづく、横田基地内の感染防止対策及び基地内の米軍病院と西多摩保健所などとの連携・協力は、具体的にはどのようになっているのですか。

二 米軍横田基地での危険な訓練の激化と落下事故などへの対応について
米軍横田基地では、住民の安全を無視した住宅密集地域でのCV22オスプレイや、輸送機などによるパラシュート降下訓練が、これまでにない回数と危険な内容によって、降下訓練などが頻繁に強行され、部品などの落下事故も頻発しています。
米軍機の訓練中の部品落下事故が6月、7月に3回も発生し、福生市長は、「人命に関わりかねない大変重大な事故」、米軍の対応は「看過できない」と怒りの抗議を行っています。市議会も全会一致の初めての抗議決議をあげ、CV22オスプレイの配備増強によって「横田基地の状況は機能強化が進展し、昼間・夜間の航空機の離発着訓練や人員降下訓練の状況」が、今回の落下物事故の原因と述べています。
横田基地での訓練の激化と頻発する事故は、2015年の安保法制・戦争法強行以来、2018年のCV22オスプレイ5機配備、さらに今後の増強など横田基地の本格的な海外派兵「出撃拠点化」と一体のものです。
今年6月には、同基地で初めて陸海空の米軍特殊作戦部隊の参加した大規模演習が行われました。
福生市の市長や全会一致の市議会の抗議は、こうした横田基地の現状への多くの住民の怒りや不安など、悲痛な叫び声を反映したものです。
1 東京都はこうした抗議を真剣に受け止めて、都民の命と安全に責任をもつ立場から、東京都自身が米軍に厳重に抗議し、政府にも強く要請すべきではないですか。なぜ都は強く抗議をしていないのですか、理由を教えてください。
2 その後も、横田基地では、平然と同じように危険な軍事訓練が激化しています。一連の落下事故をはじめ、住民を巻き込み、安全・安心を脅かす事故の再発防止のためにも、東京都が真剣な立場にたって、米軍基地への抗議や政府へ強く要請を行い、危険な訓練は中止を求めるべきではないですか。いかがですか。

三 沖縄県での有害物質を含む泡消火剤の大量漏出事故を踏まえた、横田基地での泡消火剤の対応について
昨年の12月と、とりわけ今年の4月に沖縄県の普天間基地内での有害物質が含まれる泡消火剤の大量漏出の事故をきっかけに、米軍基地内の流失場所などの調査が米軍、防衛省、自治体などの合同で実施する動きが生まれています。
米軍横田基地でも同じような過去の事故の経験から、有害物質の土壌や地下水の汚染などについて、立ち入り調査を求める自治体や住民の動きも広がっています。
こうした中で、今年5月には、東京も参加する米軍基地が存在する都府県の「渉外知事会」が、「米軍基地における泡消火剤の漏出事故に関する緊急要請」が米国、在日米軍基地、政府・防衛省に行われています。
米軍横田基地をかかえて、関連する事故、環境汚染などが発生する中で、都の泡消火剤への認識と、対応のあり方も問われています。有害物質を含む泡消火剤への今後の対応に関わって質問します。
1 普天間基地での有害物質を含む泡消火剤の大量漏出に関わって、「沖縄タイムス」4月11日付の報道によると2018年の米国防総省文書において、米軍の格納庫消火システムでは、原則使用禁止の有害物質PFOSを含む泡消火剤は、基地内の格納庫の消火システムに保管できることになっていることが明らかになりました。
こうした事態が、当然のように米軍基地内の格納庫などで広く存在するなら、普天間基地と同じような事故が発生しかねないということです。今年の第二回定例会の私の文書質問への答弁では、「平成28年(2016年)以降、国からはPFOS等を含む泡消火剤は使用していないと、聞いていることから、現時点では立ち入りは困難と考える」という答弁でした。都としては従来の答弁とは違う事態について、米軍に確認とともに調査すべきですが、いかがですか。
2 「沖縄タイムス」9月24日付は、「米議会ではすでに成立した国防権限法で、すべての米軍基地でPFOSなどを含む泡消火剤の保有、訓練での使用を段階的に廃止し、2024年10月1日までに全面使用禁止とするよう定めている」との報道です。米軍基地内の危険性は、今後も続くことになります。都として、沖縄の普天間基地のような事故が発生しないよう、米軍横田基地にも確認すべきと思いますが、いかがですか。
3 「渉外知事会」の「緊急要望」にあるように米軍横田基地内においてPFOS等の有害物質を含む泡消火剤などが存在するならば、代替品交換を早急に完了させ、交換終了までは、漏出防止など安全管理に万全を尽くすよう、改めて都として独自に働きかけるべきですが、いかがですか。

四 板橋区の特定整備路線・補助26号線建設などの進捗状況について
板橋区のハッピーロード大山商店街を分断する特定整備路線の補助26号線については、地域住民や商店街から、反対の声や疑問の声が広がるとともに、建設計画の中止を求める裁判も行われ、引き続き「商店街や街づくりはどうなっていくのか」、今後の見通しについて不安の声が寄せられています。
そこで現時点で最新の補助26号線などの建設の進捗状況に関わって、いくつかの項目で質問します。
1 2018年の二定の文書質問において、「2020年度までに完成できるかどうかの判断」について伺ったことに対して、「平成32年度(2020年度)の整備に向け、取り組んでいく」ということでしたが、現時点で完成していません。
現時点での進捗状況はどうなっているのか。最新の境界立会率、用地取得率はどうなっているのか。完成の見通しはどうなっているのか、説明してください。
2 2018年の二定の文書質問において、「工事に関わってアーケードを一時的に撤去しなければならない部分が発生するのかどうか、また発生するとすれば、具体的にどの場所になるのか」の質問に対して、「一時的に撤去が生じるか否かは、商店街振興組合の判断」という答弁でしたが、現時点でいつ、どの場所になるのか、決まっているのかを示してください。
3 アーケードの撤去の手法が決まっている場合、都の負担の内容について教えてください。撤去の手法が決まっていない場合は、いつごろまでに決まるのか、見通しを教えてください。
4 補助第26号線大山区間は、大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業と交錯し、補助26号線の一部が含まれています。この部分の事業の最新の進捗状況は、それぞれどうなっているのですか。変更はないのですか。完成の見通しや事業相互の関係など具体的に教えてください。
5 都と区や関係者などが参加する定期的な開催の「大山駅周辺地区都区情報連絡会」の開催日程と、その内容について教えてください。

令和2年第三回都議会定例会
とくとめ道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 米軍横田基地における新型コロナ感染実態と感染防止対策について
1 横田基地外の米軍居住者を含む米軍関係者の最新の感染者数と検査数の累計、陽性率はどのように掌握されているか伺う。

回答
在日米軍が、各施設・区域において公表している感染者数の情報によれば、横田基地における米軍関係者の感染者数の累計は、令和2年11月12日時点で28人となっています。
また、それらの情報の中に、米軍関係者の居住地、検査数、陽性率に係る情報は含まれていません。

質問事項
一の2 最大の感染国の米国内や、国内米軍基地からの自由な移動が可能な状況で、感染者の感染経路は掌握されているのか。その実態を伺う。

回答
感染者が発生した場合に、在日米軍が各施設・区域について公表している情報及び国から提供される情報には、感染者の感染経路の詳細な内容はありません。
なお、横田基地においては、現在も、任務上不可欠な移動を除き、新型コロナ感染症の拡大から基地所属の人員及び家族を守るため、東京都心部等への移動を制限しています。

質問事項
一の3 沖縄県のように日米合同委員会の「覚書」にもとづく、横田基地内の感染防止対策及び基地内の米軍病院と西多摩保健所などとの連携・協力は、具体的にはどのようになっているのか伺う。

回答
令和2年4月に在日米軍司令部が発令した「公衆衛生緊急事態宣言」が継続する中、横田基地においては、現在、東京都心部等への移動制限のほか、移動制限のない地域であっても、必要不可欠でないサービスを提供する施設の利用を制限するなど、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための対策が継続されています。
平成25年の在日米軍と日本国の衛生当局間における情報交換についての日米合同委員会合意に基づき、在日米軍の病院の指揮官と当該病院が所在する地域を管轄する保健所長との間で特定の感染症について必要な情報共有を行い、感染拡大防止のために緊密に連携していくことを確認しています。
これに基づき、西多摩保健所は、横田基地から基地内における新型コロナウイルス感染症などの感染症の発生状況に関する報告を受けるとともに、患者の療養方法などに関する問合せへの対応や、保健所管内の発生状況の提供など、情報の共有に努めています。

質問事項
二 米軍横田基地での危険な訓練の激化と落下事故などへの対応について
1 米軍機の訓練中の部品落下事故が6月、7月に3回も発生し、福生市長は怒りの抗議を行っている。市議会も全会一致の初めての抗議決議をあげた。都はこうした抗議を真剣に受け止めて、都民の命と安全に責任をもつ立場から、都自身が米軍に厳重に抗議し、政府にも強く要請すべきではないか。なぜ強く抗議をしていないのか、理由を伺う。

回答
都は、地元自治体と共に、国や米軍に対し、令和2年6月のCV-22オスプレイの部品遺失事故、同年7月の立川市へのパラシュート落下事故及び福生市へのフィンの落下事故という、人命に関わりかねない重大な事故が短期間に3回も発生したことに対し、これまで要請してきた経緯を踏みにじるもので、極めて遺憾であり、強く抗議する旨の要請を、福生市議会の決議より前に、米軍の司令官に直接手交しています。 

質問事項
二の2 一連の落下事故をはじめ、住民を巻き込み、安全・安心を脅かす事故の再発防止のためにも、都が真剣な立場にたって、米軍基地への抗議や政府へ強く要請を行い、危険な訓練は中止を求めるべきではないか。見解を伺う。

回答
安全保障に関することは国の専管事項ですが、訓練を含む米軍の運用に当たっては、周辺住民の生活に最大限の配慮が払われなくてはなりません。
都は、既に、地元自治体と共に、落下事故の原因や再発防止策に関わる関係自治体への説明を行うことや、安全な訓練の実施に関する教育の徹底を求めるとともに、それまでの間、同様の訓練を行わないよう、強く抗議、要請しています。

質問事項
三 沖縄県での有害物質を含む泡消火剤の大量漏出事故を踏まえた、横田基地での泡消火剤の対応について
1 「沖縄タイムス」4月11日付の報道によると2018年の米国防総省文書において、米軍の格納庫消火システムでは、原則使用禁止の有害物質PFOSを含む泡消火剤は、基地内の格納庫の消火システムに保管できることになっていることが明らかになった。今年の第二回定例会の私の文書質問への答弁では、「平成28年(2016年)以降、国からはPFOS等を含む泡消火剤は使用していないと、聞いていることから、現時点では立ち入りは困難と考える」という答弁であった。都としては従来の答弁とは違う事態について、米軍に確認とともに調査すべきであるが、見解を伺う。

回答
令和2年の第二回定例会の文書質問においてお答えしたとおり、都は、国に対し、横田基地等におけるPFOS等を含む泡消火剤の使用保管状況等について問合せを行い、その後、国からは、在日米軍施設において、PFOSを含む製品の製造禁止等の規制が始まる前に製造された泡消火剤は、現在も、火災などの緊急時に使用するために消火設備に充填されたものや、廃棄のために保管されているものが残っていると承知していると聞いており、横田基地内への立入調査については、現時点においても困難と考えています。

質問事項
三の2 「沖縄タイムス」9月24日付は、「米議会ではすでに成立した国防権限法で、すべての米軍基地でPFOSなどを含む泡消火剤の保有、訓練での使用を段階的に廃止し、2024年10月1日までに全面使用禁止とするよう定めている」との報道である。米軍基地内の危険性は、今後も続くことになる。都として、沖縄の普天間基地のような事故が発生しないよう、米軍横田基地にも確認すべきと思うが、見解を伺う。

回答
国からは、平成28年以降、訓練時にはPFOS等を含む泡消火剤を使用しておらず、また、PFOSを含む製品の製造禁止等の規制が始まる前に製造された泡消火剤は、現在も、火災などの緊急時に使用するために消火設備に充填されたものや、廃棄のために保管されているものが残っていると承知していると聞いています。
都としては、既に、令和2年5月の渉外知事会緊急要請において、代替品への交換の早急な完了と、交換を終えるまでの間、漏出防止など安全管理に万全を期すことを求めています。今後も、関係自治体と連携しながら、必要なことを働き掛けていきます。

質問事項
三の3 「渉外知事会」の「緊急要望」にあるように米軍横田基地内においてPFOS等の有害物質を含む泡消火剤などが存在するならば、代替品交換を早急に完了させ、交換終了までは、漏出防止など安全管理に万全を尽くすよう、改めて都として独自に働きかけるべきであるが、見解を伺う。

回答
米軍の基地対策に関わる要請については、同じ懸案を抱える関係自治体と連携して取り組むことが有効かつ効果的と考えており、今後とも、他の関係自治体と連携しながら、代替品への交換の早急な完了及び交換終了までの間の漏出防止など安全管理の実現に向けて、様々な場面を通じ、国に働き掛けていきます。

質問事項
四 板橋区の特定整備路線・補助26号線建設などの進捗状況について
1 2018年の二定の文書質問において、「2020年度までに完成できるかどうかの判断」について伺ったことに対して、「平成32年度(2020年度)の整備に向け、取り組んでいく」ということだったが、現時点で完成していない。現時点での進捗状況はどうなっているのか。最新の境界立会率、用地取得率はどうなっているのか。完成の見通しはどうなっているのか、説明を求める。

回答
補助第26号線大山区間について、令和2年3月末時点における境界立会率は約95パーセント、用地取得率は約30パーセントです。
引き続き、完成に向けて関係権利者の方々に丁寧に説明し、理解と協力とを得ながら取り組んでいきます。

質問事項
四の2 2018年の二定の文書質問において、「工事に関わってアーケードを一時的に撤去しなければならない部分が発生するのかどうか、また発生するとすれば、具体的にどの場所になるのか」の質問に対して、「一時的に撤去が生じるか否かは、商店街振興組合の判断」という答弁だったが、現時点でいつ、どの場所になるのか、決まっているのかを伺う。

回答
商店街のアーケードにおいて、一時的に撤去が生じるか否かについては、現在、商店街振興組合で検討中です。

質問事項
四の3 アーケードの撤去の手法が決まっている場合、都の負担の内容について伺う。撤去の手法が決まっていない場合は、いつごろまでに決まるのか、見通しを伺う。

回答
商店街のアーケードについて、除却等に必要な経費は都が補償します。
速やかに補償金の概算額等を説明できるよう、補償金算定等を進めていきます。

質問事項
四の4 補助第26号線大山区間は、大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業と交錯し、補助26号線の一部が含まれている。この部分の事業の最新の進捗状況は、それぞれどうなっているのか。変更はないのか。完成の見通しや事業相互の関係など具体的に伺う。

回答
補助第26号線大山区間については、平成27年2月に事業に着手し、現在、用地取得を進めています。引き続き、完成に向けて関係権利者の方々に丁寧に説明し、理解と協力とを得ながら取り組んでいきます。
大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業については、令和元年6月に大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発組合が設立し、令和2年6月に権利変換計画の認可を受け、現在は既存建物の解体工事に着手しているところです。
今後は、令和3年4月に建築工事に着手し、令和5年12月にしゅん工する予定であり、事業の施行期間は令和6年3月までとなっています。
市街地再開発事業の事業区域内には補助第26号線の一部が含まれていることから、それぞれの事業の進捗状況に合わせて、工事等の必要な調整を行っていきます。

質問事項
四の5 都と区や関係者などが参加する、定期的な開催の「大山駅周辺地区都区情報連絡会」の開催日程と、その内容について伺う。

回答
「大山駅周辺地区都区情報連絡会」については、事務局である板橋区が都及び区の関係部局を構成員として設置し、平成31年2月に第1回の、令和元年10月に第2回の情報連絡会が開催されました。
都は、これらの情報連絡会において、区が進めるまちづくりに対してアドバイスなどを行っています。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策について
二 災害対策について
三 障がい者施策について
四 決算の情報公開のあり方について
五 都道における歩道の整備について
六 行政手続きのデジタル化について

一 新型コロナウイルス感染症対策について
1 保健所は、新型コロナウイルス感染症について最前線で対応しています。しかし、23区と八王子市、町田市には自治体ごとに保健所があり、都は、その他の多摩地域に5か所、島嶼部に1か所の保健所があります。とりわけ多摩府中保健所は6市で100万人以上の人口を担当しており、きめ細かな対応が難しい状況にあります。かつては三鷹市や武蔵野市にはそれぞれ東京都の保健所があり、感染症の脅威が小さくなるとともに統廃合されてしまいました。しかし、国際化の進展や気候変動の影響もあり、今後、新型コロナウイルスだけではなく、未知の感染症の対応も可能性があります。新型コロナへの対応は現在の保健所に都から応援を派遣して対応していますが、都として三鷹市に保健所を設置するなど再配置を検討する必要がありますが、見解を伺います。
2 都は、PCR検査の1日の検査能力1万件に向けて取り組んできました。しかし、今後、冬の本格的な感染拡大の予測もある中で、これでは十分ではないとも言えます。感染者の周辺で濃厚接触者ではない方も、希望すれば公費負担で検査ができるようにすること、そのためにも検査能力の拡充が必要です。都として、さらにPCR検査の拡充の必要がありますが、見解を伺います。
3 新型コロナウイルスの陽性となっても軽症や無症状の場合には感染拡大を防ぐためホテル療養を要請しています。しかし、食事を受け取りに行く以外にはホテル内といえども客室から出られず、精神的に厳しい状況にあるとのことです。その状況下で外出しないことを強制したり罰則を課す前に、ホテル内でストレスの発散ができるよう療養環境の改善を図るべきです。見解伺います。
4 感染者が都の要請に応ぜず家族の事情で在宅療養せざるを得ない場合もあります。すでに保健所設置区市では、健康管理と食料配布を行っているところもありますが、保健所のない市町村は感染者の個人情報がなく対応できていません。保健所のない市町村に情報を提供し在宅療養者の健康管理と食料配布について協力を求めることが必要ですが見解を伺います。
5 都と市区町村の協議会ができましたが、全市区町村で1つの協議会では個別に対応ができません。都は当初、夜の街対策を自治体とともにきめ細かく行う方針でしたが、途中で全都一律にステッカーを貼る方針に変わりました。しかし、引き続き各市区町村と連携してきめ細かな対応が必要です。今後、各市区町村ごとに担当を置くなどきめ細かな対応を行う必要がありますが見解を伺います。
6 新型コロナウイルスの感染拡大のため、病院に行くのを控える方も多く、がん検診などの健康診断の受診率の低下が懸念されます。新型コロナへの感染を防ぐため、それ以外の病気にならないとも限りません。通常の健康診断やがん検診を受けるよう推奨することが必要ですが、見解を伺います。
7 健康診断やがん検診の受診控えと同様に、新型コロナウイルスの感染を防ぐためとして病院に行かない傾向は、子どもを持つ保護者にもあり、子どもの予防接種が行われないことがあるのも懸念されます。子どもの予防接種を受けるよう推奨することが必要ですが、見解を伺います。
8 国の包括支援の予算により、医療、介護、障がい福祉で働く人に慰労金が支払われました。しかし、高齢者集合住宅(シルバーピア)のように都独自の制度は対象外とされました。施設内でのクラスターを防ぎ、危険を顧みず入居者と接する方々で国の制度から漏れている方々を都独自の制度を新たに創設し慰労金を支給することが必要ですが、見解を伺います。
9 高齢者が自宅に閉じこもり、介護予防やフレイル対策ができなくなったことによる、健康への影響が心配される。高齢者の介護予防、フレイル対策について、都は今後どうしていくのか見解を伺います。
10 福祉現場においてアルコールが不足しています。マスクなどのように流通で入手可能なものは現物支給ではなく施設の実情に合わせて購入する際に補助を行えばよいのですが、流通では入手できないアルコールなどは現物支給することが必要です。入手の困難度合いで資金の補助か現物支給かを分ける方が施設の実態にあっていますが、見解を伺います。
11 感染拡大防止のために一定の距離を保つことは不可欠ですが、その距離について、「ソーシャル(社会的)」ディスタンスという言葉が使われています。しかし、地域では社会的にはつながる必要があり、物理的な距離をとればよいのに、人間関係が空疎化する一因となっています。そのため、「フィジカル(物理的)」ディスタンスという用語に変えてはどうかという意見があります。単なる用語の問題だけではなく、コロナ禍が長期化する中で、地域の再結合を図る必要があります。都が積極的に用語の使い方を改め、地域の再結合を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
12 地域で社会福祉などについて活動するボランティア団体が活動資金集めのチャリティーバザーなどができず資金難になっています。また、地域のボランティアが意気消沈しています。地域ボランティアの意欲向上や資金の援助などの支援を行うことが必要ですが見解を伺います。
13 新型コロナウイルスへの対応として、情報収集やデータベース化、システム化が求められます。クラスター発生場所とPCR検査者、陽性者、ホテル(滞在日数)、入院(滞在日数)、重症、死亡の紐づけなどの分析を可能にすることが必要です。都の取り組み状況を伺います。
14 コロナ関連業務の全体を一元把握管理し、最適化を図ることが必要です。10月1日から東京感染症対策センターが設置されましたが、従来の福祉保健局もあり、役割分担が分かりにくくなっています。どの部署が全体を把握し最適化を図るのか伺います。また、膨大な業務の中で、都が自ら行うもの、PCR検査、病院の利用状況把握、データ入力業務など民間委託でも可能なものを仕分けして、個人情報保護は当然の前提としつつ、迅速かつ効率的に取り組む必要がありますが、見解を伺います。
15 新型コロナウイルスの感染が続く中で景気が厳しく、失業者が増えています。仕事は生活そのものなので、都としてはさらなる雇用対策が必要です。とりわけ、就職氷河期世代対応はコロナ禍前に厳しい状況のためようやく対策を始めたところでしたが、コロナ禍でさらに状況は悪化していると推察され、さらなる取り組みが求められます。就職氷河期世代のコロナ禍における雇用の状況と今後の対策について伺います。

二 災害対策について
都は災害時の避難場所については市区町村の仕事としてガイドラインをつくるだけですが、新型コロナウイルス感染において、早急に感染症に対応した避難場所の準備が必要です。体育館のエアコン設置、個人的な空間整備などを市区町村が整備する際の費用の補助の拡充が必要ですが見解を伺います。あわせて業務の担当について、福祉保健局ではなく日常的に市町村と関わる総務局総合防災部が担当するほうが望ましいのですが、見解を伺います。

三 障がい者施策について
都は東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例を制定し、第7条に「障害を理由とする差別の禁止」を規定したことは評価します。罰則を伴わない条項ですが、差別解消から差別禁止に大きく踏み込んでいます。条例制定により差別はなくなったのか、現状と取り組み状況、課題を伺います。

四 決算の情報公開のあり方について
1 都が編成する予算案については、資料が充実し、事業についての予算や数値目標が掲載されています。都においても予算同様に決算も重要なため法律で求められている資料だけではなく、予算書に対応した各事業の決算と実績を示す必要があります。情報公開は最低限決められたものを公開するだけではなく、都民が知りたいことを積極的に公開していくことです。予算書に対応した決算書の作成が必要ですが、見解を伺います。
2 都の事業は大規模なものも多く単年度で終わらないものも多くあります。そこで、当該年度の決算の法的に求められる情報ではありませんが、複数年にわたる事業のうち、その年度中に完了した大型事業については、資料として事業に係る総額と成果を公開することが必要ですが見解を伺います。

五 都道における歩道の整備について
現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都の様々な事業が中止や延期になっています。道路整備事業についても用地の買収など所有者との交渉が必要な事業は遅れがあると聞きます。しかし、日々、多くの都民が利用する道路において、狭隘な場合の歩道設置など交通安全の視点から迅速に対応が求められる事業もあります。そこで、三鷹市近隣における以下の都道の事業について質問します。
1 人見街道、東八道路以南の都道114号線、都道117号線は都市計画道路になっていない一方で、交通量が多く、また歩道が狭く、大変危険な箇所が多く見られます。とりわけ、第一小学校交差点以北の人見街道は児童の登下校時に大変危険であり早急な対策が求められます。これら都道における歩道の拡幅整備や無電柱化事業の推進に取り組む必要がありますが、現状と今後の取り組みについて伺います。
2 都道134号線(連雀通り)の牟礼団地入口交差点について、杏林大学井の頭キャンパスが開校し、日本無線株式会社三鷹製作所の移転による大規模マンションや大型商業施設の設立に伴い、交通量が増加し大変危険な状況になっています。早急に交差点改良事業等の実施が必要ですが、現状と今後の取り組みについて伺います。
3 三鷹市都市計画道路3・4・7号線(連雀通り)の南浦交差点から狐久保交差点については、拡幅事業が行われていますが、より早急な対応が必要になります。さらに、拡幅だけではなく、まちづくり協議会等の意見を聴きながら、まちづくりと一体となった整備を着実に進めることが必要ですが、現状と今後の取り組みを伺います。また、南浦交差点から連雀コミュニティセンターの区間の都施行拡幅事業についても迅速な対応が必要ですが、現状と今後の取り組みを伺います。
4 三鷹市都市計画道路3・2・6号線(調布・保谷線)と3・4・7号線(連雀通り)の交差部(塚交差点)において、連雀通りを東から西に向かって交差点に入る場合に右折禁止になっています。両方の道路とも幹線道路なので、右折ができないことで生活道路への通過交通の流入が問題になっています。右折レーンの設置による交差点の早期の改善が必要ですが、現状と今後の取り組みについて伺います。
5 三鷹市都市計画道路3・4・7号線(連雀通り)とかえで通りとの交差点付近(井口3丁目1番地)の交通安全施設事業区間より西は事業決定していません。都道と並行している生活道路がないため、連雀通りを通らざるを得ないため、歩道が狭く危険な状況になっています。早期の歩道の拡幅が地域からも求められています。この区間の都市計画道路の整備について、現状と今後の取り組みを伺います。

六 行政手続きのデジタル化について
1 官公庁への許認可の申請等がオンライン化されますが、高齢者や生活困窮者などの情報弱者にとってはパソコンやインターネットが使えず配慮することが必要です。都としてどのように取り組むのか見解を伺います。
2 高齢者は一般的にインターネットなどをうまく使えないと言われます。しかし、高齢者にあわせて、最低限の必要な機能を備えた、使いやすい機器があれば、むしろ外出できない高齢者などにとっても大変助かります。高齢者に使いやすい機器の開発を企業に促すことが必要になりますが、見解を伺います。
3 許認可の代理申請を業として行うことができる資格は行政書士ですが、オンラインでの申請システムを構築する場合には、代理権を持って行政書士が申請できるシステムを構築することが必要です。それがないと本人の名義で申請することになり、行政書士の資格のない人がなりすましで申請をすることが懸念されます。行政書士の代理行為を前提としたシステムを構築する必要がありますが、見解を伺います。
4 オンラインでの申請に順次切り替わっていきますが、現在の手続きでも添付書類が多く必要でないと思われる書類や重複しての提出など煩雑な手続きが散見され、早急に改善が求められます。オンライン化は効率化の手段であり、すぐにでもできる非オンラインの段階でも手続きの簡素化も可能な限り行うことが必要ですが見解を伺います。

令和2年第三回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策について
1 かつては三鷹市や武蔵野市にはそれぞれ都の保健所があり、感染症の脅威が小さくなるとともに統廃合されてしまった。新型コロナへの対応は現在の保健所に都から応援を派遣して対応しているが、都として三鷹市に保健所を設置するなど再配置を検討する必要があるが、見解を伺う。

回答
多摩地域にある都の保健所は、二次保健医療圏における広域的・専門的・技術的拠点として、健康危機管理や市町村支援等、重要な役割を担っています。
今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応では、庁内各局からの応援職員の配置、会計年度任用職員や人材派遣の活用などにより、保健所の負担軽減に取り組み、健康危機への対応力の強化を図っています。
今後、今回の感染拡大から収束に至るまでの保健所の取組について検証した上で、その在り方を検討していきます。

質問事項
一の2 都は、PCR検査の1日の検査能力1万件に向けて取り組んできた。しかし、これでは十分ではないとも言える。感染者の周辺で濃厚接触者ではない方も、希望すれば公費負担で検査ができるようにすること、そのためにも検査能力の拡充が必要である。都として、さらにPCR検査の拡充の必要があるが、見解を伺う。

回答
国は、次のインフルエンザの流行も見据え、令和2年9月15日付けで「新型コロナウイルス感染症に関する検査体制の拡充に向けた指針」を示しました。
都は本指針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症固有の検査需要に加えて、インフルエンザの流行に伴う発熱患者等の検査需要も考慮した検査体制整備計画を10月に策定しました。
引き続き、必要な方が迅速に検査を受けられるよう、検査体制の整備を進めていきます。

質問事項
一の3 新型コロナウイルスの陽性となっても軽症や無症状の場合には感染拡大を防ぐためホテル療養を要請している。しかし、食事を受け取りに行く以外にはホテル内といえども客室から出られず、精神的に厳しい状況にあるとのことである。ホテル内でストレスの発散ができるよう療養環境の改善を図るべきである。見解を伺う。

回答
宿泊療養は、新型コロナウイルス感染症に感染した方の療養とともに、他者への感染防止の観点から行っており、各居室内での療養を原則としています。
居室内にはテレビが備え付けられ、自由に鑑賞することができ、また、無線LANの設備も備えられており、自身のスマートフォンなどを利用することもできます。
入所に際しては、危険物や酒類・タバコ等の療養を妨げるもの以外は、書籍など療養期間中に利用するものの持込みも可能であり、不足するものについては、家族等からの差入れも可能となっています。
引き続き、宿泊療養の目的を踏まえ、宿泊療養者が快適に療養期間を過ごせるよう配慮していきます。

質問事項
一の4 感染者が都の要請に応ぜず家族の事情で在宅療養せざるを得ない場合もある。保健所のない市町村は感染者の個人情報がなく対応できていない。保健所のない市町村に情報を提供し在宅療養者の健康管理と食料配布について協力を求めることが必要であるが見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症に感染した方のうち、無症状者及び軽症者については、宿泊療養が基本となりますが、家族の介護や子育てなど、やむを得ない事情がある場合には、外出しないことを前提に自宅療養を行っていただいています。
都は、現在、こうした方々が安心して自宅で療養できるよう、LINEを活用した健康観察システムの都保健所への導入を進めています。
また、市町村からの要望を踏まえ、令和2年9月から、各区市町村に居住する新規陽性患者の年代、性別や療養状況に関する情報を週1回提供しており、同年10月からは、土日祝日を除いて毎日提供しています。

質問事項
一の5 都と市区町村の協議会ができたが、全市区町村で1つの協議会では個別に対応ができない。各市区町村と連携してきめ細かな対応が必要である。今後、各市区町村ごとに担当を置くなどきめ細かな対応を行う必要があるが見解を伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、地域の実情をより把握している区市町村と連携して感染拡大防止対策を強化するため、令和2年7月、都と区市町村との協議会を設置し、各地域が抱える課題や、その解決に向けた方策等について意見交換を行いました。
また、10月には、特別区及び多摩・島しょ地域の二次保健医療圏毎に実務者連絡会を開催し、新たに開始する「区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業」の概要説明や患者情報に関する情報提供等についての意見交換を行いました。
都と区市町村は、これまでの取組におけるノウハウや知見、それぞれの地域が抱える課題を共有し、一体となって感染症拡大防止対策を推進する体制を構築していきます。

質問事項
一の6 新型コロナウイルスの感染拡大のため、病院に行くのを控える方も多く、がん検診などの健康診断の受診率の低下が懸念される。通常の健康診断やがん検診を受けるよう推奨することが必要であるが、見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症禍における検診等については、国の緊急事態宣言解除を受け、都は区市町村に対し、感染防止対策を徹底した上で実施するとともに、その受診機会の確保に努めるよう通知しました。
さらに、令和2年6月以降、がん検診や特定健診の実施状況調査を行い、全ての区市町村で実施又は準備がされていることを確認しています。
また、乳幼児健診では、個別健診で実施する場合の留意点等について区市町村に周知しています。
都民がより安心して検診等を受診できるよう、引き続き、SNSなどを活用し、がん検診や各健診の受診の重要性等を発信するとともに、今後、受診状況等を把握しながら、様々な機会を通じて区市町村に感染防止を徹底した検診等の実施を働きかけていきます。

質問事項
一の7 健康診断やがん検診の受診控えと同様に、子どもの予防接種が行われないことがあるのも懸念される。子どもの予防接種を受けるよう推奨することが必要であるが、見解を伺う。

回答
都は、子供の定期予防接種が適切に行われるよう、定められた時期に予防接種を受けることの重要性をホームページで周知するとともに、新型コロナウイルス感染症の流行後に、外出自粛要請などの影響で予防接種を受けることができなかった場合の対応等を記載したリーフレットをホームページに掲載するなど、情報発信を行っています。
なお、麻しん・風しんの予防接種については、やむを得ない事情により接種を受けることができなかった2歳以上18歳以下の子供に対し、接種を実施する区市町村を医療保健政策区市町村包括補助で支援しています。

質問事項
一の8 国の包括支援の予算により、医療、介護、障がい福祉で働く人に慰労金が支払われた。しかし、高齢者集合住宅(シルバーピア)のように都独自の制度は対象外とされた。国の制度から漏れている方々を都独自の制度を新たに創設し慰労金を支給することが必要であるが、見解を伺う。

回答
令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の慰労金は、医療機関、介護サービス事業所・施設及び障害福祉サービス施設・事業所等に勤務する職員が、感染すると重症化するリスクが高い利用者との接触を伴うこと、継続して提供することが必要な業務であること及び医療機関等での集団感染の発生状況から、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、業務に従事していることに対して支給するものです。
慰労金支給の対象となる職員の勤務先施設等は、国の実施要綱において、全国一律に規定されています。

質問事項
一の9 高齢者が自宅に閉じこもり、介護予防やフレイル対策ができなくなったことによる、健康への影響が心配される。高齢者の介護予防、フレイル対策について、都は今後どうしていくのか見解を伺う。

回答
今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴う外出自粛等により、高齢者の心身機能の低下が懸念されています。
このため、都は、新型コロナウイルス感染症の感染を防ぎながら、高齢者が健康的な生活習慣を保てるよう、室内でも実践可能な運動等を、区市町村を通じて周知したほか、ホームページで関連動画の配信等を行ってきました。
8月に都が実施した調査では、多くの区市町村で、地域住民が集い、運動や交流を行う通いの場が再開されています。
さらに、10月には、高齢者が感染リスクに注意しながら、外出や適度な運動、十分な栄養摂取を行えるよう、新たにリーフレットを作成しており、今後とも区市町村等と密接に連携し、高齢者のフレイル対策の取組を進めていきます。

質問事項
一の10 福祉現場においてアルコールが不足している。流通では入手できないアルコールなどは現物支給することが必要である。入手の困難度合いで資金の補助か現物支給かを分ける方が施設の実態にあっているが、見解を伺う。

回答
手指消毒用エタノールについては、国が医療機関や高齢者施設等向けの購入専用サイトを運用しており、介護・障害福祉サービス事業所等は、当該サイトを通じて購入することが可能となっています。
介護・障害福祉サービス事業所等が感染症対策のために消毒液等の衛生用品を購入した場合に、都は、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等を活用して補助しています。

質問事項
一の11 感染拡大防止のために一定の距離を保つことは不可欠であるが、その距離について、「ソーシャル(社会的)」ディスタンスという言葉が使われている。しかし、物理的な距離をとればよいのに、人間関係が空疎化する一因となっている。そのため、「フィジカル(物理的)」ディスタンスという用語に変えてはどうかという意見がある。コロナ禍が長期化する中で、地域の再結合を図る必要がある。都が積極的に用語の使い方を改め、地域の再結合を支援すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
国は、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」等の中で、人と人との距離を取るという意味で「ソーシャルディスタンシング」という表現を用いています。
都は、暮らしや働く場での感染拡大を防止する「新しい日常」の中で、身体的・物理的な距離を保つ意味で「ソーシャルディスタンス」という表現を用いています。
用語の使用については、国や関係機関の動向や都民への定着状況等を踏まえ、対応していきます。

質問事項
一の12 地域で社会福祉などについて活動するボランティア団体が活動資金集めのチャリティーバザーなどができず資金難になっている。また、地域のボランティアが意気消沈している。地域ボランティアの意欲向上や資金の援助などの支援を行うことが必要であるが、見解を伺う。

回答
都では、新しい日常下において様々な知恵や工夫により活動を継続する団体の取組をポータルサイトやSNS等で紹介するとともに、家にいながらでも、集まらなくてもできる支援を「どこでも共助」として広く都民に発信しています。
また、都が運営費補助により支援を行っている東京ボランティア・市民活動センターにおいては、新型コロナウイルス感染拡大防止の中での活動方法や資金調達といった団体運営に関する相談対応をはじめ、ホームページや広報紙等で団体への寄付を募り、団体に対し助成金等の情報を提供するなど支援を行っています。

質問事項
一の13 新型コロナウイルスへの対応として、情報収集やデータベース化、システム化が求められる。クラスター発生場所とPCR検査者、陽性者、ホテル(滞在日数)、入院(滞在日数)、重症、死亡の紐づけなどの分析を可能にすることが必要である。都の取組状況を伺う。

回答
都は、国が新たに導入した新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)や都が独自に構築した患者情報管理センターのデータベース等を通じて、陽性者の発生動向や個別の患者の入退院等の情報を収集しています。
これらの情報は、「新型コロナウイルス感染症対策サイト」で公表するとともに、「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議」でも活用しており、新規陽性者数、入院患者数、重症患者数などの情報を感染状況及び医療提供体制のモニタリング項目として専門家が分析し、感染状況等の把握につなげています。

質問事項
一の14 10月1日から東京感染症対策センターが設置されたが、従来の福祉保健局もあり、役割分担が分かりにくくなっている。どの部署が全体を把握し最適化を図るのか伺う。また、都が自ら行うもの、PCR検査など民間委託でも可能なものを仕分けして、迅速かつ効率的に取り組む必要があるが、見解を伺う。

回答
令和2年10月の東京感染症対策センター(東京iCDC)立ち上げ時の取組の一つとして、健康危機管理担当局長をトップとする、「健康危機管理対策本部」を福祉保健局内に設置しました。
この「健康危機管理対策本部」の設置は、これまでの体制を強化し、福祉保健局内の各部がそれぞれに担う保健所支援、入院調整などの「東京iCDC」の機能を、より機動的に発揮するためのもので、事務局は福祉保健局感染症対策部が担っています。
また、都はこれまで、コールセンター業務や新型コロナウイルス感染症の検査陽性者の搬送業務などにおいて、民間事業者への委託を行っており、今後も民間事業者への業務委託を適切に活用していきます。

質問事項
一の15 新型コロナウイルスの感染が続く中で景気が厳しく、失業者が増えている。とりわけ、就職氷河期世代対応はコロナ禍でさらに状況は悪化していると推察され、さらなる取り組みが求められる。就職氷河期世代のコロナ禍における雇用の状況と今後の対策について伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の影響により、解雇等見込み労働者数が増加するなど雇用情勢は深刻化しており、就職氷河期世代の方も厳しい状況におかれていると考えています。
都は、就職氷河期世代の方に対し、労働者派遣制度を活用したトライアル就労を通じて、正規雇用を目指す支援プログラムを実施するとともに、本事業を活用した求職者を正社員として採用する企業に対し、助成金を支給することとしています。
また、こうした支援に加えて、コロナ禍における雇用情勢の悪化を踏まえ、ITや福祉・介護など採用意欲の高い企業との就職面接会の実施により、マッチング機会の充実を図るなど、就職氷河期世代の方も含めた求職者の早期の再就職を支援していきます。

質問事項
二 災害対策について
  新型コロナウイルス感染において、早急に感染症に対応した避難場所の準備が必要である。体育館のエアコン設置などを市区町村が整備する際の費用の補助の拡充が必要であるが見解を伺う。あわせて業務の担当について、福祉保健局ではなく日常的に市町村と関わる総務局総合防災部が担当するほうが望ましいが、見解を伺う。

回答
都は、区市町村の職員や避難所開設に当たる地域の方等に向け、具体的な避難所内のゾーニングや動線、必要な物資の確保等に関する事例やイラストを盛り込んだ、「避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を令和2年6月に作成し、区市町村に提供しています。
また、避難所の快適性の向上を図るため、体育館のエアコン設置や、避難所で使用するスポットクーラーなどの導入を支援しています。
なお、区市町村の避難所運営体制整備の支援等については、現行の「東京都地域防災計画」で、福祉保健局の役割と位置付けられており、災害対応全般を担う総務局と連携しながら対応しております。

質問事項
三 障がい者施策について
  東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例を制定し、第7条に「障害を理由とする差別の禁止」を規定したことは評価する。罰則を伴わない条項だが、差別解消から差別禁止に大きく踏み込んでいる。条例制定により差別はなくなったのか、現状と取組状況、課題を伺う。

回答
東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例では、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律で努力義務とされている事業者の合理的配慮の提供を義務化するとともに、相談・紛争解決の仕組みを整備しました。
また、漫画やイラストを入れた分かりやすいパンフレットを作成し、事業者向けに配布したほか、説明会を実施するなど、普及啓発に取り組んでおり、事業者から都に寄せられる相談件数が増加するなど、障害者差別解消に対する関心が高まっているものと認識しています。
今後とも、こうした取組を通じて、障害者差別の解消に向け、更なる普及啓発に取り組んでいきます。

質問事項
四 決算の情報公開のあり方について
1 都が編成する予算案については、資料が充実し、事業についての予算や数値目標が掲載されている。予算同様に決算も重要なため法律で求められている資料だけではなく、各事業の決算と実績を示す必要がある。予算書に対応した決算書の作成が必要であるが、見解を伺う。

回答
決算参考書の作成については、東京都会計事務規則に基づき、各会計決算総括表や款別決算概要説明など8種類の資料を、会計管理者が作成し知事に提出することとしています。
令和元年度決算における決算参考書作成については、令和2年5月25日に会計管理局が各局に対し款別決算の執行概要、増減説明書、決算説明書の作成を依頼しています。
決算書の作成に当たっては、今後とも、都民にとって分かりやすいものとなるよう努めていきます。

質問事項
四の2 都の事業は大規模なものも多く単年度で終わらないものも多くある。そこで、当該年度の決算の法的に求められる情報ではないが、複数年にわたる事業のうち、その年度中に完了した大型事業については、資料として事業に係る総額と成果を公開することが必要であるが、見解を伺う。

回答
都では、事業評価の一環として、平成18年度より、一般会計決算見込みの発表と併せ、大規模プロジェクトの進捗状況を公表しています。
具体的には、ハード整備の事業費100億円以上、ソフト事業の事業費50億円以上、かつ事業期間が5年以上のもので、都民生活に直接影響する事業を選定し、目標や進捗状況、今後のスケジュールを明らかにしています。
また、完了した事業については、終期を迎えた事業として事業評価の対象とするとともに、大規模プロジェクトの進捗状況の公表に併せ、執行累計額や事業の効果について公表しています。

質問事項
五 都道における歩道の整備について
1 人見街道、東八道路以南の都道114号線、都道117号線は、大変危険な箇所が多く見られる。とりわけ、第一小学校交差点以北の人見街道は早急な対策が求められる。これら都道における歩道の拡幅整備や無電柱化事業の推進に取り組む必要があるが、現状と今後の取り組みについて伺う。

回答
都市計画道路以外の都道の歩行空間の確保に当たっては、自動車や歩行者の交通量、学校、病院など公共施設の立地状況や沿道状況等を総合的に勘案して整備箇所の選定を行い、拡幅による歩道整備を進めています。
また、無電柱化については、「東京都無電柱化推進計画」に基づき、歩道幅員2.5メートル以上の都道において整備を進めるとともに、拡幅を行う際、同時に実施しています。
既に密集した市街地が形成され、マンションなど堅牢な建物や店舗が緊密に立ち並んでいる都市計画道路以外の都道については、拡幅による歩道整備や無電柱化は困難なため、歩車道の分離やカラー舗装による歩行部分の明示を行うなど、歩行者の安全確保に努めています。

質問事項
五の2 都道134号線(連雀通り)の牟礼団地入口交差点について、交通量が増加し大変危険な状況になっている。早急に交差点改良事業等の実施が必要であるが、現状と今後の取り組みについて伺う。

回答
三鷹3・4・7号線の三鷹3・4・12号線から三鷹3・4・14号線付近までの区間は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置付けられています。
本区間は、市施行である三鷹3・4・13号線との接続により、交通が転換され、連雀通りの渋滞緩和に寄与することが期待されており、道路構造等について概略設計を行ってきました。
今後、三鷹3・4・7号線の事業化に向けては、地元市等との協議を行うとともに、牟礼団地入口交差点を含め、道路構造等の検討を進めていきます。

質問事項
五の3 三鷹市都市計画道路3・4・7号線(連雀通り)の南浦交差点から狐久保交差点については、拡幅事業が行われているが、より早急な対応が必要になる。さらに、まちづくり協議会等の意見を聴きながら、まちづくりと一体となった整備を着実に進めることが必要であるが、現状と今後の取り組みを伺う。また、南浦交差点から連雀コミュニティセンターの区間の都施行拡幅事業についても迅速な対応が必要であるが、現状と今後の取り組みを伺う。

回答
三鷹3・4・7号線の狐久保交差点付近から連雀コミュニティセンター付近までの約780メートルの区間は事業中であり、現況の幅員8メートルから16メートルへの道路の拡幅や無電柱化に取り組んでいます。
これまでに、75パーセントの用地を取得しており、狐久保交差点付近において、排水管や電線共同溝の設置工事を実施しました。
また、地元のまちづくり協議会等からの意見を伺うとともに、丁寧に情報提供を行いながら整備を進めています。
引き続き、地元の理解と協力を得ながら、残る用地の早期取得に努めるとともに、その進捗に合わせて順次工事を実施し、着実に整備を推進していきます。

質問事項
五の4 三鷹市都市計画道路3・2・6号線(調布・保谷線)と3・4・7号線(連雀通り)の交差部(塚交差点)において、連雀通りを東から西に向かって交差点に入る場合に右折禁止になっている。両方の道路とも幹線道路なので、右折ができないことで生活道路への通過交通の流入が問題になっている。右折レーンの設置による交差点の早期の改善が必要であるが、現状と今後の取り組みについて伺う。

回答
三鷹3・4・7号線の三鷹3・4・17号線付近から三鷹3・4・18号線付近までの区間は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置付けられています。
本区間は、現道を拡幅することで、自動車交通の円滑化による渋滞緩和や歩行者空間の確保に寄与することが期待されるため、事業化に向けて道路構造等の検討や関係機関等との協議を進めていきます。

質問事項
五の5 三鷹市都市計画道路3・4・7号線(連雀通り)とかえで通りとの交差点付近(井口3丁目1番地)の交通安全施設事業区間より西は事業決定していない。都道と並行している生活道路がないため、連雀通りを通らざるを得ないため、歩道が狭く危険な状況になっている。早期の歩道の拡幅が地域からも求められている。この区間の都市計画道路の整備について、現状と今後の取り組みを伺う。

回答
都は、おおむね10年ごとに、都市計画道路の事業化計画を策定し、優先的に整備すべき路線を定め、計画的・効率的な道路整備に取り組んでいます。
三鷹3・4・7号三鷹国分寺線のお尋ねの区間は、平成28年3月に策定した第四次事業化計画において優先整備路線に位置付けられていないため、現在、事業化の予定はありません。
優先整備路線以外の都市計画道路の事業化については、今後の社会経済情勢の変化や、周辺の都市計画道路の整備状況を勘案しながら、適切に対応していきます。

質問事項
六 行政手続きのデジタル化について
1 官公庁への許認可の申請等がオンライン化されるが、高齢者や生活困窮者などの情報弱者にとってはパソコンやインターネットが使えず配慮することが必要である。都としてどのように取り組むのか見解を伺う。

回答
今般の第三回定例会で成立した「東京デジタルファースト条例」では、利用のための能力等が十分でない方に対する適正な配慮がされることを確保することとし、また、格差の是正を図るために必要な施策を講じなければならない旨を定めており、具体的な施策については、今後検討を進めていきます。

質問事項
六の2 高齢者にあわせて、最低限の必要な機能を備えた、使いやすい機器があれば、外出できない高齢者などにとっても大変助かる。高齢者に使いやすい機器の開発を企業に促すことが必要になるが、見解を伺う。

回答
高齢者等が使いやすい情報機器の開発については、都のみならず、社会全体の課題です。このため、国では、平成30年には、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」を制定し、障害者、高齢者等が、円滑に必要な情報を取得し、及び利用することができるよう諸施策を進めており、都も、国と連携し、引き続き適切に対応していきます。

質問事項
六の3 オンラインでの申請システムを構築する場合には、代理権を持って行政書士が申請できるシステムを構築することが必要である。それがないと本人の名義で申請することになり、行政書士の資格のない人がなりすましで申請をすることが懸念される。行政書士の代理行為を前提としたシステムを構築する必要があるが、見解を伺う。

回答
なりすまし等の防止対策としては、国において、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」を策定し、本人確認の必要性の検討の実施から、手続の性質上、必要となる本人確認レベルに合わせたオンラインでの具体的な認証方法を示しています。
都の手続においても、これを踏まえつつ、必要となる本人確認レベルに合わせたオンラインでの認証方法を採用しており、例えば、都と区市町村が共同で運営している「東京共同電子申請・届出サービス」においては、一部の手続において代理人による申請を認めていますが、申請時には委任者及び受任者の両者に対して電子署名を求め、受任者であることを認証する仕組みを構築しています。
今後の手続のオンライン化に当たっても、国のガイドライン等を踏まえつつ、各手続にとって適切なデジタルでの認証手法を採用し、安心してオンライン等による手続を行えるように努めていきます。

質問事項
六の4 現在の手続きでも添付書類が多く必要でないと思われる書類や重複しての提出など煩雑な手続きが散見され、早急に改善が求められる。オンライン化は効率化の手段であり、すぐにでもできる非オンラインの段階でも手続きの簡素化も可能な限り行うことが必要であるが見解を伺う。

回答
行政手続については、オンラインによる申請においても、それ以外の申請においても、簡素化や効率化を進めていくことが重要です。
そこで、都は、令和2年3月に、申請者の負担軽減に資する手法等をまとめた「行政手続コスト削減ガイド」を作成し、各局等へ周知しました。
さらに、同年10月に、「DX推進に向けた5つのレス徹底方針」を策定し、手続の申請時に慣習的に求めてきた押印の原則廃止など、仕事の進め方や制度の抜本的な見直しに取り組むことで、都民の利便性向上に努めていきます。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 特別養護老人ホーム入所にかかわる問題について

一 特別養護老人ホーム入所にかかわる問題について
2018年1月12日付けの「朝日新聞」が、特別養護老人ホームの入所枠について「ベッド買い」があると報道しています。
「ベッド買い」は特別養護老人ホーム不足が表面化してきた1980年代に始まったと言われています。しかし、2000年4月1日から介護保険制度が導入され、特養ホームは入所者個人と施設との個別契約になり、介護保険から介護費用を負担することから、施設側はどこからの入所申し込みでも平等に扱うことになりました。
また、「ベッド買い」をめぐっては、2002年7月の津地裁で「入所の確保は介護保険法上許されず、協定は違法」とし、返還を命じました。
そこで、事実確認のためにいくつか質問します。
1 特別養護老人ホームの施設整備について、都の補助金はどのような仕組みになっていますか。
2 東村山市内にある第二万寿園の増改築の補助金の交付年度はいつですか。
3 特別養護老人ホームの補助金申請があった場合、施設所在地以外の自治体が補助金を交付し、入所枠を確保する、いわゆる「ベッド買い」の状況が確認されれば、都はどのような対応をしていますか。
4 都は「ベッド買い」について、どのように認識していますか。
5 2018年1月12日付け「朝日新聞」の報道には、介護保険が導入された後(2000年)に、特別養護老人ホームと調布市は、2,000万円の助成金を出して15床を確保する20年間の「協定」を結んだとあります。この事例は、「ベッド買い」に当たるのかどうか、伺います。
6 2018年1月12日に当時の加藤厚労大臣は、記者会見で「複数の自治体が他の市町の特別養護老人ホームの入所枠を、補助金を支払って確保する“ベッド買い”をしている実態が明らかになりました。“ベッド買い”は、過去に介護保険法上許されないという判決も出ておりますが、大臣の所感と今後の厚生労働省としての対応についてお聞かせください」との質問に、「必ずしも適当ではないと思っております。したがって、基準省令に従って、適切に対応していくように、各自治体に周知徹底を図っていきたいと思っております。実態がどうなっているか調査していきたいと思います」と述べています。
「特別養護老人ホームの入所の判断基準について」、厚労省からの直近の文書は、どのような内容になっていますか。
7 特別養護老人ホームの指導検査は、どのように行っていますか。「ベッド買い」についても検査調査の項目はあるのですか。
8 東京都は、特別養護老人ホームの入所の判断基準について、周知はどのようにしていますか。

令和2年第三回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特別養護老人ホーム入所にかかわる問題について
1 特別養護老人ホームの施設整備について、都の補助金はどのような仕組みになっているか、伺う。

回答
都は、特別養護老人ホームの創設や増改築等を行う社会福祉法人等に対し、整備定員数に応じて、その整備費用の一部を補助しています。
補助に当たっては、事業者から事業計画や資金計画、整備予定地の区市町村の長の意見書などの提出を受け、補助対象事業としての妥当性を審査しています。

質問事項
一の2 東村山市内にある第二万寿園の増改築の補助金の交付年度はいつであるか、伺う。

回答
当該施設の増築及び改築については、平成20年度から平成23年度までにおいて、各年度の工事出来高に応じた補助金を交付しています。

質問事項
一の3 特別養護老人ホームの補助金申請があった場合、施設所在地以外の自治体が補助金を交付し、入所枠を確保する、いわゆる「ベッド買い」の状況が確認されれば、都はどのような対応をしているか、伺う。

回答
整備費補助の審査に当たっては、事業者から資金計画の提出を求め、区市町村からの補助の有無を含め、適切に財源が確保されていることを確認しています。
疑義が生じた場合は、事業者に是正を行うよう指導します。

質問事項
一の4 都は「ベッド買い」について、どのように認識しているか、伺う。

回答
特別養護老人ホームの入所は、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」等により、介護の必要の程度、家族の状況等を勘案して判断することとされており、入所に関する指針は区市町村・施設が定めることとされています。
国は、補助金の有無にかかわらず、自治体が管外に立地する特別養護老人ホームにおいて、介護の必要の程度等を考慮せずに居住地のみをもって入所できるようになっているなど、自らの住民しか入所できない排他的な優先入所枠を設けることは、介護保険法の趣旨に照らし不適切としています。
他方、優先入所の取扱いについて、当該自治体と特別養護老人ホームが所在する自治体との間での協議を行うとともに、原則として介護の必要の程度と家族等の状況を勘案し、入所の必要性を判断しつつ、特別養護老人ホームの所在自治体が入所指針に評価への勘案方法を規定した上で、ある自治体に居住するか否かを考慮する場合までは、介護保険法の趣旨を逸脱しているとは言えない、としています。
都は、この国の方針を徹底するよう、区市町村や施設に周知しています。

質問事項
一の5 2018年1月12日付け「朝日新聞」の報道には、介護保険が導入された後(2000年)に、特別養護老人ホームと調布市は、2,000万円の助成金を出して15床を確保する20年間の「協定」を結んだとある。この事例は、「ベッド買い」に当たるのかどうか、伺う。

回答
市と施設が結んだとされる協定については、都の補助金交付事務に関わるものではなく、具体的内容を承知しておりません。

質問事項
一の6 「特別養護老人ホームの入所の判断基準について」、厚労省からの直近の文書は、どのような内容になっているか、伺う。

回答
特別養護老人ホームの入所について、厚生労働省からは、平成29年3月に「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の改正通知が発出されており、平成30年3月の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料では、入所の判断基準が示されています。
それらの通知等では、特別養護老人ホームは、介護の必要の程度と家族等との状況を勘案し、入所の必要性が高いと判断された者から入所させるべき旨が示されています。

質問事項
一の7 特別養護老人ホームの指導検査は、どのように行っているか。「ベッド買い」についても検査調査の項目はあるのか、伺う。

回答
都は、特別養護老人ホームをはじめとする介護保険施設に対し、介護保険法などの法令や国通知等に基づき、検査の目的や実施方法を定めた指導検査要綱や、施設種別ごとの指導検査基準を策定し、指導検査を実施しています。
指導検査基準には、運営管理、利用者サービス及び会計経理について、それぞれ検査項目を設けており、基準を満たしていないことが確認された場合には指摘し、改善を指導しています。
特別養護老人ホームの入所については、「サービス利用度に応じた優先的入所」を検査項目に設け、サービスを受ける必要性の高い方を優先的に入所させているか、入所申込者名簿や入所検討委員会の記録等により確認しています。

質問事項
一の8 都は、特別養護老人ホームの入所の判断基準について、周知はどのようにしているか、伺う。

回答
都は、入所の判断基準に係る国通知及び全国課長会議資料について、各施設に周知するとともに、区市町村にも説明会等で周知し、適切に対応するよう依頼しています。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 白石たみお

質問事項
一 議会での知事の答弁について
二 PCR検査について
三 新型コロナ感染症対策条例について
四 人権尊重について

一 議会での知事の答弁について
知事は所信表明で、「都議会の皆様と力を合わせ、議論を尽くしていきたい」と述べました。
ところが、2020年第3回定例会の代表質問で、日本共産党都議団の4問にわたる知事への再質問に対し、知事は一問も答弁しませんでした。
「議論を尽くしていきたい」と言いながら、なぜ、答弁に立たないのですか。知事の答弁を求めます。

二 PCR検査について
知事は5月に、「1日1万件」の検査能力確保という目標を表明しました。わが党は、その検討経過、検討内容、積算根拠、決裁文書など関連文書すべて(メモ、メールを含む)の開示請求を7月30日に行いました。
ところが、開示期間が1カ月延長されたうえ、9月28日、小池百合子知事名で、「対象文書が存在しない」ので請求した公文書の「全部を開示しない」という通知書が来ました。
驚くべきことです。小池都政のもとで、こういう、ブラックボックスの政策決定が繰り返されています。
知事が表明した、PCR検査「1日1万件」という目標は、いつ、どこで決定したのですか。なぜ、検討経過などの公文書が、まったく存在しないのですか。
知事の答弁を求めます。

三 新型コロナ感染症対策条例について
1 知事が、7月30日に専決処分で決めた、新型コロナ感染症対策条例改正の内容は、都民の権利を制限し、新たな義務を課すものです。
こうした条例の専決処分は、異例中の異例です。知事は、その自覚がありますか。知事、お答え下さい。
2 政府見解である行政実例が、議会を開かず専決処分する理由は、知事の自由裁量ではなく、明確な根拠がない場合は違法である、としていることを、知事は、専決処分をした時に、認識していたのですか。あるいは、認識していなかったのですか。
知事、認識していたか、いなかったのか、お答え下さい。
3 今回のような専決処分の乱用・濫用は、議会が決定し、知事を長とする行政機関が執行するという、地方自治体の二元代表制の否定につながるものです。
知事の猛省を求めるものです。知事いかがですか。

四 人権尊重について
1 小池知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を中止して以来、追悼式典を挑発する集会が開催されるようになりました。その集会での言動が、今年8月3日の人権尊重条例審査会で、ヘイトスピーチだと認定されました。
2010年12月、当時国会議員だった小池知事は、今回ヘイト認定された言動を行った団体が主催した講演会で、講演しています。
知事は、1期目の知事選立候補会見で、この講演会への出席が事実か質問され、「いろんな講演会に招かれることはしばしばございます」と言うだけで、はっきり答えませんでした。
改めて知事に伺います。今回ヘイト認定された言動を行った団体が主催した講演会で、講演したのは事実ですか。
2 この団体の言動が今回ヘイト認定されたことを、知事は、どう受け止めていますか。知事、お答え下さい。

令和2年第三回都議会定例会
白石たみお議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 議会での知事の答弁について
  知事は所信表明で、「都議会の皆様と力を合わせ、議論を尽くしていきたい」と述べた。ところが、2020年第3回定例会の代表質問で、日本共産党都議団の4問にわたる知事への再質問に対し、知事は一問も答弁しなかった。なぜ、答弁に立たないのか。知事の見解を伺う。

回答
PCR検査の質問については、実務的な内容を含む答弁であることから、健康危機管理担当局長が答弁しました。
知事が行った専決処分は、地方自治法に基づき適正に行われたものであることから、総務局長が答弁しました。
また、ヘイトスピーチの認定に関わる質問がありましたが、人権尊重条例の規定は、発言者に対する制裁ではなく、不当な差別的言動の実態を広く都民に伝え、いわゆるヘイトスピーチは許されない旨、啓発していくことを目的としており、概要等の公表に当たり、団体名を示していないことから、条例の運用上の問題と認識し、総務局長が答弁しました。

質問事項
二 PCR検査について
  知事が表明した、PCR検査「1日1万件」という目標は、いつ、どこで決定したのか。なぜ、検討経過などの公文書が、まったく存在しないのか。知事の見解を伺う。

回答
PCR検査については、令和2年5月に1日当たりの検査処理能力を1万件とする目標を立て、10月までに目標を達成しました。
また、同年9月15日付けの国の事務連絡に基づき、新たな目標を含む検査体制整備計画を10月に策定しました。
1日当たり1万件の目標については、局内・庁内で議論を重ねた上で「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」に定め、同年5月22日に東京都文書管理規則にのっとり、知事が決定しました。
同年7月30日に受理した検査目標の検討経過等に関する開示請求に対しては、東京都情報公開条例第11条第2項の規定により、「当該件名に係る公文書は作成しておらず、対象公文書が存在しないため」として、公文書の全部を開示しない決定を行いました。

質問事項
三 新型コロナ感染症対策条例について
1 知事が、7月30日に専決処分で決めた、新型コロナ感染症対策条例改正の内容は、都民の権利を制限し、新たな義務を課すものである。こうした条例の専決処分は、異例中の異例である。知事は、その自覚があるか。知事の見解を伺う。

回答
過去5年間の専決処分の範囲においては、御指摘のような事例はありませんが、7月の専決処分は、同月27日の臨時会の閉会後、感染状況や医療提供体制が危機的な状況に陥るおそれがあると認められたことから、一刻を争う事態に緊急に対応するために、都民や事業者の努力義務を定める専決処分を行ったものです。

質問事項
三の2 政府見解である行政実例が、議会を開かず専決処分する理由は、知事の自由裁量ではなく、明確な根拠がない場合は違法である、としていることを、知事は、専決処分をした時に、認識していたのか。あるいは、認識していなかったのか。知事の見解を伺う。

回答
当時、新規陽性者数が大幅に増加する傾向が続くとともに、全世代に感染が広がり、島しょを除く都内全域に感染が拡大するなど、更に大きく感染が拡大するおそれのある危機的な状況となっていました。
こうした事態に緊急に対応するため、ガイドラインやステッカーを活用した施策を直ちに行い、努力義務を課す都民及び事業者に速やかに周知し、一刻も早く効力を発生させる必要がありました。このような状況を根拠に、議会を招集する時間的余裕がなく、特に緊急であると認め、感染症対策審議会等における専門家の意見も聞いて、地方自治法の規定にのっとり専決処分を行いました。

質問事項
三の3 今回のような専決処分の乱用・濫用は、議会が決定し、知事を長とする行政機関が執行するという、地方自治体の二元代表制の否定につながるものである。知事の猛省を求める。知事の見解を伺う。

回答
当時は、新規陽性者数が大幅に増加し、医療提供体制のひっ迫のおそれから感染拡大を抑え込んでいく必要がありました。議会を招集する時間的余裕がなく、特に緊急であると認め、都民及び事業者の責務を定める専決処分を地方自治法の規定にのっとり行い、先の第三回定例会に報告し、承認を頂いたものです。

質問事項
四 人権尊重について
1 2010年12月、当時国会議員だった小池知事は、今回へイト認定された団体が主催した講演会で、講演している。知事は、1期目の知事選立候補会見で、この講演会への出席が事実か質問され、「いろんな講演会に招かれることはしばしばございます」と言うだけで、はっきり答えなかった。改めて知事に伺う。今回へイト認定された言動を行った団体が主催した講演会で、講演したのは事実であるか、伺う。

回答
人権尊重条例では、不当な差別的言動そのものを認定することとしており、個人や団体を認定しているものではないため、個別の事案については回答を差し控えます。

質問事項
四の2 この団体の言動が今回へイト認定されたことを、知事は、どう受け止めているか。知事の見解を伺う。

回答
今般、「犯人は不逞朝鮮人、朝鮮人コリアンだったのです。」「不逞在日朝鮮人たちによって身内を殺され、家を焼かれ、財物を奪われ、女子供を強姦された多くの日本人たち」「その中にあって日本政府は、不逞朝鮮人ではない鮮人の保護を」という言動を不当な差別的言動に該当すると認定しましたが、特定の民族や国籍の人々を排斥するいわゆるヘイトスピーチは、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から許されないものです。

令和2年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 よつぎ療育園について

一 よつぎ療育園について
よつぎ療育園は、医療的ケアが必要な重症心身障害者の方で、地域の作業所や施設などへの通所が難しい18歳以上の方、就学前で地域の通園施設に通うのが困難な方が、利用しています。この方たちにとって、日常的な健康管理や基本的な生活の支援などとともに、レクリエーション、季節の行事等を楽しむことができる通所施設と、診療、リハビリテーション、相談等が行える外来診療が一体的に整備されている療育園は、なくてはならない重要な施設です。
重症心身障害児者は、医療から切り離して生きていくことはできません。こうした方たちの地域生活を医療と福祉の両面から支えてきたのが療育園です。
さらに、保護者にとっても、悩みを打ち明け、相談に乗ってくれる仲間のいる療育園は、困難の多い介助生活の大きな支えとなっています。
しかし、新型コロナウイルス感染防止のために、通所日数が減らされ、本人と家族の生活と健康に重大な影響が出ています。
葛飾区にある、四つ木療育園は、東大和療育センターの分園として平成8年に開設されました。それまで、区部東部には北療育医療センターの城北分園が足立区にあるのみで、重症心身障害児(者)の診療、通所を一体で支援する施設は、きわめて不十分でした。
このような背景をうけてつくられたのが、四つ木療育園です。しかし、22階建ての都営住宅の一階部分にあり、本院の東大和療育センターのような入所施設はありません。また、開設当初から出入口は1か所で、診療所と通所施設の利用者の動線が分かれた作りにはなっていません。施設も狭隘で、幼児の療育の場は、以前トイレだった場所を改装して確保し、バス運転手の休憩所は駐車場にプレハブを作って確保しています。職員の休憩場所もなく、会議室もないため、保護者の皆さんは、保護者会の場所の確保にも苦労されてきました。
また、24年前の開設当初に比べ人工呼吸器を使う利用者が増え、コードを差し込むコンセントも足りません。このような条件の中で、職員は、施設の不十分さ、療養を行う上での不自由さを、さまざまな工夫で補ってきました。
しかし、新型コロナ感染防止への対応で、狭隘な施設の不十分さを補うことが、もはや困難な状態です。
132平方メートルしかない生活通所施設では、感染防止のために一定の距離を保とうとすれば、定員20名のところに9人しか入ることができず、6人乗りのバスにも3人しか乗れません。以前は週4日通えていた通所支援に、週2日しか通えなくなっています。
ある方は、子どもの呼吸器の点検や、導尿の管理などで、夜も約2時間おきに起きなければなりません。3時間まとまって睡眠をとったことはないといいます。それでも週4日通えていたときは、昼間、不足している睡眠を補ったり、必要な買い物や手続きを行うことができていたが、今はそれさえもできないといいます。
また、ある方は、5年前に夫がくも膜下出血を起こし車いすとなりました。さらに、同居して何かと支えてくれていた85歳の義母も認知症が進み始め、頼れないばかりでなく、介護が必要な状況です。療育園に週2日しか通えないことで、睡眠不足と、疲れが積み重なり、いつもぼーっとしている状態だといいます。
それでも保護者の皆さんは「今、自分が倒れたら誰がわが子を見てくれるのか」と自分より重い障害を持ったわが子のことを心配しているのです。
相次ぐ社会保障の後退や、福祉施策の不十分さが、コロナ禍のもとで、社会的に弱い立場にいる方たちに最も大きなひずみとなって、大変な困難を背負わせているのです。
保護者会の方たちが、取り組んだアンケートでも、「子どもが一日中ボーっとしている」「本人、介助者ともに昼夜逆転している」「夫の通院や買い物ができない」「用事をすませる間、一人で置いていくのが心配」など、切実な声が寄せられています。
以下、伺います。四つ木療育園が都立施設であることの都としての責任を踏まえ、お答えください。
1 週に2日しか通えない状況が、保護者と本人の心身の健康状態を悪化させる事態です。さらに、少なくとも今年度いっぱいは、週2日が継続されると通告されています。先が見えないことが、保護者の精神的負担をさらに悪いものにしています。
都立施設である療育園で、半年以上も利用者の通所が半分に減らされ、さらにこの先も、いつまで続くかわからない状況を放置するのですか。都の責任は大きいと考えますが、どのように認識しているか伺います。
2 本人と家族にとって、ほかに代わる施設はありません。この状況を早急に改善させるのは都としての責任だと考えます。緊急に対策をとるべきですが、都の見解を伺います。
3 保護者の方たちは、療育園の上の都営住宅の空き住戸などを、療育の場に使うなどで、通所の日数が確保できるようにしてほしいと、切実に願っています。この喫緊の課題を都は正面から受け止め、対策をとるべきではありませんか。
4 新型コロナウイルスの感染防止をはかりながら、療育を適正に行うためには車いすと車いすの間隔にも十分な距離が必要です。もともと、施設が狭隘である現状を根本的に解決することは、都の責任として行うべきではありませんか。
5 未利用の都有地などを活用した移設を検討するべきですが、いかがですか。

令和2年第三回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 よつぎ療育園について
1 週に2日しか通えない状況が、保護者と本人の心身の健康状態を悪化させる事態である。さらに、少なくとも今年度いっぱいは、週2日が継続されると通告されている。都立施設である療育園で、半年以上も利用者の通所が半分に減らされ、さらにこの先も、いつまで続くかわからない状況を放置するのか。都の責任は大きいと考えるが、どのように認識しているか伺う。

回答
よつぎ療育園の利用者は重症心身障害児(者)であり、新型コロナウイルス感染症にかかると重症化するリスクが高いことから、保護者の負担がこれまで以上に重くなっていると認識しています。
よつぎ療育園の運営に当たっては、感染予防対策の徹底が必要であり、感染者が発生した場合には長期にわたりサービスを提供できなくなる可能性もあるため、保護者に丁寧に説明した上で、感染防止に必要な範囲内で利用人数を制限しています。
都はこれまで、必要な衛生用品の提供など、指定管理者が行う感染予防対策を支援しており、今後とも、利用者の安全を最優先に考えて事業を継続していきます。

質問事項
一の2 本人と家族にとって、ほかに代わる施設はない。この状況を早急に改善させるのは都としての責任だと考える。緊急に対策をとるべきであるが、見解を伺う。

回答
よつぎ療育園の運営に当たっては、利用者の安全を最優先に考えて事業を継続していく必要があると認識しています。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染による重症化のリスクを踏まえ、感染予防対策を徹底しながら運営していきます。
なお、重症心身障害児(者)等の家族の休養を目的に、看護師が自宅を訪問し、一定時間のケアを行う「重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業」の提供回数について、新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえ、柔軟に対応しています。

質問事項
一の3 保護者の方たちは、療育園の上の都営住宅の空き住戸などを、療育の場に使うなどで、通所の日数が確保できるようにしてほしいと、切実に願っている。この喫緊の課題を都は正面から受け止め、対策をとるべきではないか。見解を伺う。

回答
よつぎ療育園の運営に当たっては、感染予防対策について様々な工夫をしながら、利用者の安全を最優先に考えて事業を継続しています。
重症心身障害児(者)が身近な地域で安心して生活するために、通所施設は重要な生活基盤であり、都は、「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」により、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うことで、整備を促進しています。

質問事項
一の4 新型コロナウイルスの感染防止をはかりながら、療育を適正に行うためには車いすと車いすの間隔にも十分な距離が必要である。もともと、施設が狭隘である現状を根本的に解決することは、都の責任として行うべきではないか。見解を伺う。

回答
よつぎ療育園の運営に当たっては、利用者の安全を最優先に考えて事業を継続していく必要があると認識しています。
そのため、よつぎ療育園においては、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、利用者間や職員などとの接触の機会を可能な限り回避すること等により感染リスクを低減させることが必要と判断し、保護者に丁寧に説明した上で、感染防止に必要な範囲内で利用人数を制限しています。

質問事項
一の5 未利用の都有地などを活用した移設を検討するべきであるが、見解を伺う。

回答
よつぎ療育園は、東大和療育センターの分園として平成8年に開設しました。
移転等については、現在検討していません。

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