○議長(石川良一君) 四十八番奥澤高広君。
〔四十八番奥澤高広君登壇〕
○四十八番(奥澤高広君) 無所属東京みらいを代表して一般質問を行います。
新型コロナウイルス感染症は私たちの生活を一変させましたが、それはもともとあった課題がより大きく顕在化したものであり、これからの都政につなげていくことが最も重要であると考えます。
まず、外出自粛や学校休校、登園自粛がもたらした影響について伺います。
千五百を超える回答を得た独自調査では、ステイホーム期間中に約三割の家庭にネガティブな変化が起きたとのことです。暴言や暴力に発展しているものも散見され、課題の芽を見逃すことなく早急に対策を打つべきです。
全国の配偶者暴力相談支援センターには、四月に、昨年比約三割増の一万三千二百七十二件の相談が寄せられました。内閣府は、外出自粛や休業要請などで生活不安やストレスが高まったことなどを要因としており、四月下旬にSNS相談を開始しています。
一方、都においては、相談件数は変わらないと聞きますが、被害がふえていないのではなく、外出自粛によりパートナーが家にいて、電話での相談が難しいなどの状況を想像しなければなりません。第二波への備えやテレワークが推奨される新しい日常において、見逃してはならない課題です。
そこで、DV被害に関するSNS相談体制を一刻も早く構築すべきと考えますが、現在の取り組み状況とあわせて見解を伺います。
厚生労働省の速報値によると、東京都児童相談所には、三月に昨年比約三割増の二千九百八件の相談が寄せられ、うち警視庁からの虐待通告件数は、昨年比約五割増の八百十一件でした。
児童虐待の未然防止には、児童虐待の予兆、つまり家庭内での小さな変化を見逃さずに、適切な支援につなげることが重要であり、平時は学校や保育施設等がその役割を果たしてきたことを改めて認識しています。
文部科学省では、小中高校に対して、休校期間中もおおむね二週間に一回程度、全ての児童の心身の健康状態について電話等を用いて把握するよう通知を出しています。
一方で、約三百名が回答した独自アンケートでは、休校期間中に特に連絡がなかったという方が一割近く存在し、また、電話での連絡があったのは三割程度にとどまっています。
そこで、休校期間中における学校と生徒、保護者のコミュニケーションの実態について把握するとともに、学校再開後も、学習面のみならず、生徒や保護者の心理面でのサポートについても注力すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、保育については、地域、園ごとの登園基準や施設類型ごとの保護者負担、育児休暇の延長期間などの対応が異なることについて、利用者から多くの問題意識が寄せられました。また、在宅勤務と育児の両立は困難との声も数多く聞こえています。
一つ一つの課題について、国や区市町村との調整を図っていただいたことには感謝をいたしますが、新しい日常においては、短時間勤務や時差通勤、在宅勤務など多様な働き方が広がることが予想され、この変化に対応した保育が求められます。
そこで、今般の新型コロナへの対応を踏まえ、柔軟な保育体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、予期せぬ妊娠について伺います。
妊娠相談を行う複数の民間団体によると、外出自粛期間中の相談件数は増加傾向にあり、特に十代の相談件数が大きく増加しているとのことです。予算特別委員会において、十代から二十代前半の人工妊娠中絶の数が突出して高い東京都の現状について問題提起を行いましたが、女性の健康を最優先で考える必要があります。
そのような観点から、妊娠してしまったかもしれないと不安に思う方にとって、産婦人科への相談や緊急避妊薬の入手を容易にすることは重要です。
そこで、妊娠相談ほっとラインにおける予期せぬ妊娠の相談件数を伺うとともに、産婦人科への相談や緊急避妊薬の入手につながるよう、どのように取り組むのか見解を伺います。
学校休校の長期化に伴う教育格差について伺います。
独自アンケートでは、約四割の小中学生が、学習塾のオンライン授業を受けていたと答えています。また、学校からの宿題について、家庭の協力を前提としている場合が多く、その負担の大きさについて、保護者から強い問題意識が寄せられています。
このようなことから、休校期間は、学びがとまった期間ではなく、家庭環境による教育格差が拡大した期間であったと私たちは捉えています。
そこで、長く続いた臨時休校が終わり、学校を再開するに当たって、この間の子供たちの学習状況に対応するために、学校はどのように取り組むのか、見解を伺います。
なお、諸外国の研究では、臨時休校がもたらす学力や学歴、生涯所得への影響は小さくないことも報告されており、今、より丁寧な対策を講じることが必要です。
大阪市では、全中学生の約半数が対象となる塾代助成事業で、学校以外での学びや体験も後押ししています。学校だけではなく、民間教育機関やNPO等と連携した学びの支援を導入すべきと申し述べておきます。
次に、ソーシャルインクルージョンを実現するための取り組みについて伺います。
新型コロナにより、一気に広がりを見せるテレワークですが、厚生労働省では、先進事例集を作成するなど、障害者就労におけるテレワークの有効性を提唱しています。通勤というハードルがなくなることで、就労困難者、とりわけ障害者の雇用拡大が期待されるものと考えます。
一方で、リモートでの業務管理や指導、メンタルケア、ご家族の負担などの難しさとともに、テレワークを念頭にした業務の切り出しが行われておらず、業務量そのものが少ないという課題も指摘されています。こうした課題の解決に向けては、まずは、都内の事業者においてより一層の理解を広めていく必要があります。
そこで、これを機に、障害者雇用におけるテレワーク導入を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
文化芸術支援については、文化と都民の新たな接点をつくることで、都民みずからが文化の価値を深く理解し、適切な対価を支払い、文化を支えていくような機運へとつなげていくことが重要であると考えます。
アートにエールを!東京プロジェクトについて、今回、新たに無観客配信への支援も開始するとのことで、第一弾では届かなかった施設等もその対象になることは歓迎すべきものです。
一方で、さきの特別委員会では、プロ認定の難しさを指摘し、公演中止などの事実関係の確認をもとに、本当に支援を必要とする方に届くような制度にすべきと提案しました。結果的には、応募が殺到し、申し込みすらできなかったという文化芸術関係者からの声も数多く届いています。
そこで、今回加わる無観客配信への支援については、コロナ以降の公演中止など一定の基準を設けるとともに、企画や内容については、外部専門家等による審査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
また、無観客配信支援の対象となる作品については、既に完成間近となっていたものの、新型コロナの影響で公開できなかったものである可能性もあり、それまでの制作費やリハーサル費用に鑑みた対応が必要です。
そこで、応募作品については、都のホームページにおける公開は限定的とするなどコンテンツの保護を行うとともに、著作権は、作者や申請団体等に帰属するものとし、有料配信やDVD販売などの収益事業を自由に行えるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
なお、無観客配信を行うに当たっては、著作権などの一時的な緩和や新たな法整備が必要になるとの指摘もあり、そのような面からも事業者やアーティストの創意工夫を支えていただきたいと申し述べておきます。
現在、新型コロナを乗り越えようと、さまざまな企業や民間団体、個人がスピード感を持って課題解決に乗り出しており、行政にも軌を一にした取り組みが求められています。
官民双方のノウハウやアイデアを共有することで、社会課題解決型の新たな産業の活性化や適切な官民の役割分担を推進することになります。これにより、必ずしも大規模な財政出動によらない創意工夫によって都政課題の解決を図るというこれからの都政に欠かせない大きな流れができると考えます。
そこで、新型コロナと共存していくために、新たな都政改革ビジョンに示された民間とのスクラムで政策イノベーションを生み出す都庁へと歩みを進めることが重要であり、積極的かつさまざまな手段で官民の協業を図るべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、これまでの対策の下支えとなった財政面の備えを講じてきた都庁、都議会の皆様に対して改めて敬意を表するとともに、この難局を乗り越えるために、官民のかけ橋となり、全力を尽くすことをお誓いし、質問を終わります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) 奥澤高広議員の一般質問にお答えいたします。二点のご質問をいただきました。
初めに、学校再開後の子供や保護者への支援についてでございますが、休業の長期化に伴い、通常と異なる状況の中、さまざまな不安を多くの子供たちが抱えていることを踏まえ、学校は保護者と連携をして、丁寧に心のケアを行っていく必要がございます。
これまで都教育委員会は、学校に対し、臨時休業中に教員による子供への定期的な連絡を通した状況把握やスクールカウンセラーによる面接等により、相談体制を強化することや保護者の状況等に応じて、福祉等の機関と連携して支援することなどの取り組みの徹底を図ってまいりました。
一方で、対面による相談が困難であった場合も見受けられましたことから、改めて学校再開時に、全ての子供のストレスの状況を把握し、心配な様子が見られる子供やその保護者と早期に面接するよう求めているところでございます。
今後とも、各学校の取り組みを支援し、子供が安心して過ごせる環境を充実させてまいります。
次に、子供たちの学習状況への対応についてでございますが、臨時休業中、各学校は、学習を計画的に進めるための時間割表や教科書に基づいて作成したプリント等を配布することで、家庭学習が充実するよう努めてまいりました。
学校再開に当たり、都教育委員会は、夏季休業日の短縮や土曜日の活用等により授業日を確保するよう求めますとともに、学校で行う学習と家庭学習を計画的に配置した年間指導計画例を示すことにより、各学校が効果的、効率的な指導を行うことができるよう支援しております。
また、各学校では、子供たち一人一人の学習内容の定着状況を丁寧に確認した上で、授業中における個別の声かけや反復練習等の補充的な学習を充実させてまいります。
引き続き、区市町村教育委員会と連携し、一人一人に寄り添う指導を確実に行えるよう各学校を支援してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕
○生活文化局長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、配偶者暴力に関する相談についてでございますが、被害者が一人で悩まず相談できるよう、誰もが相談しやすい環境整備が必要でございます。
SNSによる相談は、若年層が利用しやすいというメリットがある一方、加害者に相談内容を知られるなどのリスクもございます。
このため、現在、東京ウィメンズプラザにおいて、LINE相談の試行実施に向けて取り組んでおり、試行結果を踏まえて運用方針等を検討してまいります。
次に、アートにエールを!東京プロジェクトについてでございますが、新たな支援の対象といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策の影響により、予定していた公演が中止、延期となった団体を想定しております。
審査に当たりましては、外部の有識者の活用を予定しております。
最後に、動画作品の著作権についてでございますが、既に進めているプロジェクトと同様に、公演主催者に帰属することとし、動画作品は、都のサイトにおける無料配信のほかに、主催者みずからの活用も可能とする方針でございます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕
○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、多様な保育ニーズへの対応についてでございますが、都はこれまで、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育など多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいりました。
平成三十年度からは、短時間勤務などにより待機児童となっている保護者が利用可能なベビーシッター利用支援事業を実施しており、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時休園した保育所の利用児童等も対象といたしました。
今後とも、多様化する保育ニーズに柔軟に対応するため、この間の新型コロナウイルス感染症に係る保育所等の対応や今後の課題につきまして、区市町村や関係団体との意見交換を進めてまいります。
次に、予期しない妊娠に関する相談についてでございますが、都では、妊娠相談ほっとラインで、妊娠や出産に関する相談に、看護師等の専門職が電話やメールで対応しており、このうち予期しない妊娠に係る相談件数は、平成三十年度は二百二十七件、令和元年度は三百二十六件、本年四月は二十九件でございます。
また、厚生労働省では、緊急避妊を希望する方が医療機関を選択する際の参考となるよう、対応可能な産婦人科医療機関等の一覧を作成しており、妊娠相談ほっとラインのホームページにリンクを掲載するなど、都としてもまずは情報提供に努めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕
○産業労働局長(村松明典君) テレワークによる障害者雇用の促進についてですが、テレワークの導入は、ライフワークバランスの実現に向けた働き方改革の推進とともに、通勤等に困難を伴う障害者の雇用を促進する上でも有効な取り組みでございます。
このため、都は、障害者雇用の促進に向け、障害者を正社員として採用し、テレワークの導入等に取り組む企業に奨励金を支給しております。また、障害者雇用に初めて取り組む中小企業等を対象に、テレワークを活用して障害者雇用を実現している企業の見学会を実施しまして、その雇用ノウハウを紹介しているところでございます。
こうした取り組みに加え、テレワーク機器への助成金等により、企業における環境整備を進めることを通じまして、障害者雇用を後押ししてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕
○総務局長(遠藤雅彦君) 官民協業の推進についてでございますが、都民ニーズをいち早く捉え、価値ある政策を発信するためには、民間の発想、技術、知見を行政運営に融合することは重要でございます。
こうした認識のもと、新たな都政改革ビジョンでは、民間が有する最新技術やアイデアを行政サービスに結びつけ、民間との共同プロジェクトやオープンイノベーションを円滑に実施するための仕組みを整備していくこととしております。
引き続き、新たな都政改革ビジョンに掲げました民間との協業に向けた取り組みを着実に進め、新型コロナウイルス感染症防止と経済社会活動との両立を図ってまいります。
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