○議長(石川良一君) 四番平慶翔君。
〔四番平慶翔君登壇〕
○四番(平慶翔君) 冒頭、新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の議論の中で、よく出口戦略といわれますが、出口とは、ワクチンや治療薬が開発されて普及し、新型コロナウイルス感染症が普通の疾病となることであり、それまでの間、私たちは、新型コロナウイルスと共存し、第二、第三の波が来ないように警戒をしながら生活を営んでいかなければなりません。
そこで、私は、新しい日常、ニューノーマルについて質問を行います。
東京都は、五月二十二日、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップで、暮らしや働き方の新しい日常の絵解きを公表しており、都民の新しい日常生活様式についてのガイドラインの役割を果たしています。
東京都は、都民、区市町村及び関係機関等と連携し、協力して、都民や事業者が新型コロナウイルス感染症にかかわる新しい日常生活様式を実施し、支援するための環境整備を行い、都民や事業者に新しい日常を定着させるための工夫を凝らした取り組みを行うことが有効だと考えますが、知事の見解を伺います。
コロナの感染拡大期では、人が密集することを避けるため、都立公園内の遊具の使用制限や駐車場の使用停止、あるいは動物園や水族園の閉園など、公園の利用を制限してきましたが、新しい日常を定めた今、早期に公園の適切な利用のあり方を示すべきであると考えます。
これからは、戸外での楽しみ方もルールを守れば、屋内よりも感染リスクは圧倒的に低いと考えます。とりわけ広いスペースを持った都立公園の積極的な活用は、都民の健康を維持するために重要です。
また、動物園や水族館についても、密集状況をつくらないよう適切な入場者数管理などを導入しつつ開園できるように運用を定めるべきです。例えば、予約制や抽せん制など、これまでにない入園や観覧方法についても検討すべきと考えます。
今後、段階的に自粛が緩和されていく中で、都立公園及び都立の動物園や水族園は、適切な利用ルールを定めた上、コロナと共存する生活を強いられている都民が広く利用できるように開放していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
都には、それぞれの特性と魅力ある八十三カ所の都立公園があり、特にウイズコロナの時代にあって、都立公園は貴重な憩いの場所となります。
ソーシャルディスタンス、手洗いの励行、せきエチケット等新しい日常を踏まえた上で、都立公園の魅力をアピールするとともに、これまで都立公園と縁のなかった都民にも足を運んでいただけるよう、情報発信を展開してはどうかと考えます。見解を伺います。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止による自粛期間が長くなり、この間、ジムを退会した人は大勢おり、その中には、キッズクラブへ通う子供から高齢者まで幅広い層がいます。確かに、スポーツジムは密閉空間が多く、時間帯によっては密集となりますが、運動は継続したいという方々は数多くいらっしゃいますし、フレイル予防のためにも運動は必要です。また、スポーツジムの経営者だけでなく、インストラクターも仕事の場を失っています。
都の暮らしや働き方の新しい日常では、公園はあいている時間、場所を選ぼうと記述されている一方、都立公園には多種多様なニーズがあります。インストラクター及びスポーツジム運営者が都立公園の一部を使用して、キッズ体操、ヨガなどが開催できるようにし、都立公園の一層の活用を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
都立公園内ではこれまでも、イベント時など、キッチンカーやテントを組み立て、食品の販売を行うことがありました。飲食店は、新型コロナウイルス感染症に関連する自粛によって大きな打撃を受け、テークアウトメニューを考案し、販売することで運営を継続させていました。
そこで、飲食業者により多くのビジネス機会を提供するため、ビジネス街の近くなど公園に来る人々が多い場所などで、希望があれば、積極的にキッチンカーや臨時売店による飲食販売を認めることとしてはどうかと考えますが、都の見解を伺います。
イギリスでは、新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウン中、生活必需品の調達やエクササイズなどで、自転車人口が七〇%増加した地域もあったそうです。イギリスではこれまでも、自転車通勤を促す政策として自転車通勤スキームが実施され、公共交通機関の混雑緩和や自転車によるCO2削減を目指すものでしたが、現在は、コロナ対策の通勤手段として活用も進み、自転車の注文件数は二〇〇%ふえているとのことです。欧米を初め、世界中が自転車の活用に取り組んでいます。
一方、日本でも、新型コロナウイルス感染拡大後、感染予防として公共交通機関を避けて自転車で通勤する人がふえています。自転車のシェアリングサービスの利用時間は、三月に比べ三〇%増加、一回当たりの移動距離も三五%伸びているというデータが確認できているそうです。
国のポストコロナの基本的対処方針には、自転車通勤を促し、都の新しい日常にも自転車を利用しようと都民へ呼びかけています。
都の自転車活用推進計画は、昨年三月に策定され、計画期間が今年度までとなっています。日本においても、コロナ以降、自転車通勤への要望が高まっていることを受けて、計画改定に向けては、ポストコロナという観点から検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
昨日の代表質問でも触れましたが、我が会派は、感染症が課題となる以前より、プログラミング教育を初めとする次世代教育の基礎的なインフラとして、小中高等学校におけるICT環境整備の重要性を訴えてまいりました。
一方で、区市町村教育委員会で取り組みが広がらないなど、オンライン教育に関する課題もあります。
長期にわたる休校により学習の機会が奪われることで、成績の低下、社会人になった後、賃金が低下したと推定される事例が、海外では過去に報告されており、臨時休校は、学力の低下だけではなく、生涯所得への影響も大きい可能性があります。
昨日の我が会派の代表質問に対する答弁では、学校再開後、当面の間は分散登校が基本となるため、学校における対面指導と家庭におけるオンラインによる学習を適切に組み合わせて学びを進めるということでしたので、今後もさらにオンライン教育の取り組みを推進していく必要があります。
そこで、都教育委員会は、臨時休業中に都内公立学校で実施されたオンライン教育の取り組みを把握し、今後、さらに全ての学校でオンライン教育が円滑に推進されるよう取り組むとともに、区市町村教育委員会との連携を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
これからの時代は、大学生の就活で行われているように、オンラインでの試験や、社会に出てからもオンライン会議等も普通に行われるようになることを踏まえれば、オンライン授業は、デジタル時代の社会性を身につける上でも必須となります。
オンライン授業の実施やその体制整備などの教育のICT化を通じたソサエティー五・〇を実現するための教育に関する施策を、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の三に基づく教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱に定めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
アートにエールをプロジェクトを通じて、東京には、斬新なアイデアを持ち、映像や音楽に携わる人が多くいることがわかりました。今後、ウエブ動画はますます需要を伸ばすと考えられることに加え、若い世代へアプローチするために、動画の発信は効果的であることから、東京動画は閲覧数をふやすための創意工夫を行うべきです。
東京都には、都立公園や橋、貯水池やダムなど魅力あふれる施設が多数存在し、また、都市を構築してきた都には、多くの歴史資料も保管されています。
例えば、最新鋭のカメラやドローンを活用して施設を撮影した動画や、道路、まち並み等の資料と写真を組み合わせ、都の歴史の変化を紹介する動画を制作するなどして、東京の魅力を感じてもらうべきと考えます。
そこで、東京の魅力的な施設等の映像を、行政の発想を超えた柔軟な視点や発想も取り入れながら発信していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
我が会派はこれまでも、芸術文化に携わる人々に寄り添う予算を要望してきましたが、これに応えて、都がアートにエールをプロジェクトを予算化したことを大変評価しております。
私自身、学生のころに、ドラマ金八先生に生徒役で出演していた経験から、エンターテインメントに携わる方々との親交があり、日ごろからさまざまな意見を聞く機会があります。その中で、エンターテインメント系の動画配信とリアルな演奏とのコラボレーションが、さらに東京のアートの魅力を増すことになると感じています。
そこで、今般、アートにエールをに応募していただいたアーティストの方々の中から、代々木公園や日比谷野外音楽堂など野外ステージのある都の施設で、ミュージシャンなどにリアルなパフォーマンスをしていただくことで、さらに東京の芸術文化の層の厚さと東京のアートの定着を図ってはどうかと考えます。知事の見解を伺います。
最後に一言申し上げます。
四年前、小池知事は、東京大改革を掲げ、多くの都民の支持を力に都政へ光を当てました。東京をさらなる魅力ある都市へ発展させることができるのは小池都政であると私は信じております。
小池知事のますますのご活躍を心よりお祈りいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 平慶翔議員の一般質問にお答えいたします。
新しい日常の実践の支援についてのご質問がございました。
新型コロナウイルス感染症の脅威を乗り越えていくために、都と都民、事業者が一体となって、感染症の特性を踏まえた新しい習慣を定着させていく必要がございます。
そこで、都民向けには、暮らしや働く場での感染拡大を防止する習慣として、手洗いの徹底、マスクの着用、ソーシャルディスタンス、三つの密を避けて行動、この三点を基本に、シーン別に新しい日常を取りまとめております。
また、事業者向けには、事業者向け東京都感染拡大防止ガイドラインを策定いたしまして、事業者が事業を再開するに当たって必要な感染防止対策の基本的な取り組みを取りまとめたものとなっております。
今後、都民や事業者が自主的に新しい日常を実践できますように、SNSを通じて周知を図るとともに、事業者が講ずべき感染拡大防止策を具体的にまとめたチェックシートや、都民の方が安心して利用できる施設であることをお知らせするためのステッカーの作成、配布を進めてまいります。
これらの取り組みを行うとともに、区市町村などと連携をいたしながら、都民や事業者に対しまして、新しい日常のより一層の定着を図ってまいります。
次に、教育のICT化の重要性についてのお尋ねがございました。
これからの社会におきましては、生活のあらゆる場面で、デジタルの力によって人の生活の質を高めていく必要がございます。このため、都は、幅広い分野でデジタルトランスフォーメーションを加速させております。
教育の分野におきましてもICT化を推進させ、一人一人の能力を引き出す個別最適化された学びを実現してまいります。
そのために、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトの当初の予定を大幅に前倒しをいたしまして、都内全ての公立学校におけますオンライン教育の取り組みを一気に進めているところであります。
東京都教育施策大綱におきましては、東京都のこれからの教育の基本的な方向性を示すものでございまして、策定に当たっては、こうしたICT技術の進展などによります社会の変革を踏まえた新しい学びの形に関する議論を総合教育会議の場で行う必要がございます。
東京の子供たちが、ICT技術を使いこなしてソサエティー五・〇を主体的に生き抜いていけますように、子供の学び方や教育の教え方を転換してまいります新たな東京型教育モデルを教育委員会と力を合わせてつくり上げてまいります。
アートにエールを!東京プロジェクトにご参加いただいたアーティストについてのお尋ねでございます。
予想を超える多くの方々から応募がございましたことは、東京で活躍する多彩なアーティストなどを多くの都民が知るよい機会ともなったと考えます。
多くの方から評価をされました動画作品をつくられたアーティストの方々には、今後、都が主催いたします都立施設等での事業にご出演いただくことなども検討いたしております。
アーティストやクリエーターなどの方々の幅広い創作活動を支援いたしまして、東京の多彩な芸術文化を盛り上げてまいります。
その他のご質問は、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) オンライン教育についてでございますが、都教育委員会は、臨時休業中においても、全ての児童生徒の学びの機会を保障するため、ICTを活用し、家庭で学習できる環境整備を進めてまいりました。
これにより、都内公立学校では、分散登校中の学習手段としても活用できる授業動画の配信や双方向のホームルームなどの取り組みが始まっております。その中で、学校による取り組み状況の濃淡や教員の経験不足などもございまして、都教育委員会は、都内全公立学校の休業中のオンライン教育の実施状況などを把握するための調査を実施いたしました。
今後、調査結果を踏まえ、各学校の実情をさらに把握しつつ、参考となる好事例を周知してまいります。
加えまして、教員研修の充実や支援員の配置促進などを図り、全ての公立学校でオンライン教育を有効に実施できるよう、区市町村とも連携し、取り組みをさらに進めてまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕
○東京都技監(佐藤伸朗君) 自転車活用推進計画の改定についてでございます。
自転車は、身近な交通手段の一つであり、誰もが移動しやすく、環境に優しいまちづくりの実現に向け、自転車を活用していくことは重要な視点でございます。
都は、昨年三月に推進計画を策定し、通行空間の整備や自転車シェアリングなどの推進により、多様なニーズに対応した自転車利用環境の充実を目指しております。
パリ、ロンドンなど、自転車利用を推進してきた海外の主要都市では、今回の感染症を受け、自動車や公共交通機関にかえて自転車利用をさらに促進するよう、専用レーンの増設などが進められております。
都といたしましても、より一層自転車を利用しやすい環境の整備などについて検討を進め、推進計画を改定してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕
○建設局長(三浦隆君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、これからの都立公園の利用についてでございますが、これまで都立公園においては、動物園等の臨時休園や運動施設の利用中止など感染症拡大の防止に努めるとともに、飼育動物の様子をSNSで伝えるなどの取り組みを行い、パンダの動画は百万回以上再生されました。
公園利用を再開するに当たっては、混雑している場所を避けるなど新たな公園利用ルールを定め、感染防止対策を講じながら、運動施設の利用再開や多摩動物公園などの開園を順次行ってまいります。
また、上野動物園や葛西臨海水族園は、平日でも一万人を超える入場者が想定され、密集を発生させない対策が必要であり、新たに予約システムを導入し、入場者数を制限しながら今月中に再開する予定でございます。
感染症拡大防止を図りながら、都民が安心して都立公園や動物園等を利用できるよう取り組みを進めてまいります。
次に、新しい公園利用と魅力の情報発信についてでございますが、全ての都立公園が、それぞれの特性や魅力を発揮しながら利用促進を図っていくことは重要でございます。
その上で、より多くの方に公園を利用してもらう取り組みとあわせて、これからは感染予防への取り組みが求められるため、人との距離をとり、混雑を避けることや、家族などの少人数の利用にとどめることなどの新しい公園利用のルールを定めました。
公園のホームページやSNSなどを活用し、公園の見どころや楽しみ方とともに、この新たなルールについても情報発信を強化し、利用者の理解を深めてまいります。
多くの利用者が安心して都立公園を利用できるよう、一層取り組んでまいります。
次に、都立公園の活用についてでございますが、都は、都立公園大改革の方針のもと、都立公園の利用促進を図っており、日比谷野音での音楽祭やTokyo Tokyo FESTIVALとの連携イベントなど、民間事業者が主催する大規模イベントが、年間二百五十件以上開催をされております。
また、テニスや野球などの運動施設においては、一般の利用に支障とならない場合、公募によりまして、民間事業者によるスクール利用を認め、公園施設の有効活用を図っております。
今後、これらの仕組みを工夫して運用することで、お話の都立公園におけるスポーツ利用に対するさまざまなニーズに的確に対応し、都立公園の活用を進めてまいります。
最後に、都立公園における飲食販売についてでございますが、都立公園において、多様なニーズに対応し、公園利用者へのサービスの向上を図ることは重要でございます。
キッチンカーによる飲食の提供は、こうしたサービスの一つであり、公園利用者に適切にサービスを提供できるよう、指定管理者が民間事業者を公募し運営しております。昨年は、二十六の都立公園において、約二千百台のキッチンカーが飲食販売を行いました。
社会情勢の変化とさらなるサービス向上を図る観点から、今後、お話のような民間事業者による飲食サービス提供の仕組みを拡充する方向で検討してまいります。
公園利用者にとって、利便性の高い都立公園の実現に向けて取り組んでまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕
○生活文化局長(浜佳葉子君) 都有施設の魅力発信についてでございますが、都有施設の役割や魅力をわかりやすく都民に伝えるため、東京動画ではこれまでも、ドローンカメラなどさまざまな技術を活用し、施設を魅力的に紹介する映像を発信してまいりました。
今後は、これまで以上に積極的に映像による発信が行われるよう、各局の広報担当者を対象に、外部の専門家による最新技術等の研修を行います。
また、東京動画では、一定期間テーマを設定し、都民の方が制作した動画の投稿も受け付けており、多様な動画が寄せられております。東京の都市インフラをテーマにした動画を都民から募ることなどにより、行政の発想を超えたユニークな映像も発信してまいります。
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