令和二年東京都議会会議録第十一号

   午後三時二十五分開議

○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十一番関野たかなり君。
〔七十一番関野たかなり君登壇〕

○七十一番(関野たかなり君) 新型コロナの影響による休校により、学習保障やグローバルの観点などから、九月入学についての議論が起こり、全国知事会の飯泉嘉門会長は、どの知事も大きな日本の課題であるという点において否定はなかったとの報道がありました。
 また、現状、文科省からは、一斉実施案、段階的実施案、ゼロ年生期間を設ける案の三案が示されているところです。
 もちろん、今一番大切なことは、できるだけ早く子供たちに学習できる機会を与えることや、今までのおくれを取り戻すための学習が重要であり、第一優先で対応が必要ですが、それだけにとらわれず、今後の新しい教育の方法についても議論すべきと考えます。
 世界では、日本と同様の四月入学もあれば、九月入学もあり、また、年四回の入学がある国や誕生日の翌日から入学する国もあります。十年前にも東京大学が九月入学について検討しましたが、経済界からはよい声がない状況でした。が、今回のコロナ禍では秋入学への移行を含め、大学のグローバル化に向けた議論が深まることを歓迎する考えと表明しており、議論をするタイミングは今であると考えます。
 もちろん、九月入学だけを議論するのでなく、年二回の入学や通年入学などと同様に、飛び級制度についても議論が必要と考えます。
 また、私の考えとして、タブレットを使った授業となれば、録画方式の授業も行えると同時に、授業を録画していれば、数年で全ての授業の録画が完了し、それだけの授業録画データが整えば、どのタイミングで入学しても、個人の状況に合わせた録画方式での授業も可能となります。
 また、授業の録画も、先生によっては、説明のうまい先生、苦手な先生などあるところですが、説明のうまい先生や、また、外部講師に授業の録画を依頼したり、AI、ICTなどの技術を使うことで、各自の習熟度などが一目でわかるシステムの導入など、教師は各個人の習熟度により、わからない部分について、よりよい対応ができると考えています。もちろん、不登校の児童に対しても、家などで授業に参加しての習熟も可能となります。
 また、飛び級制度についてですが、現在の仕組みでは、習熟度、理解度の早い生徒は、理解している授業でも受けなければならない状況です。個性を伸ばす教育、グローバルに物事を考え、新しい生活様式となるならば、新しい教育様式としての方法の検討をし、知事会などで意見を集約して国に要望することを都には要望をしておきます。
 次に、貸出用モバイルルーターの通信費についてですが、都は、通信環境が不足している区市町村立小中学校の児童生徒に対し、モバイルルーターの貸し出しを行う区市町村教育委員会への支援を始めていますが、このような都の支援により、区市町村立小中学校におけるオンライン学習において、学校の担任と家庭の児童がオンライン朝会でつながる学習クラウドサービスを活用して課題に取り組むなど、さまざまな取り組みが始まっていると聞いております。
 今般、国により緊急事態宣言が解除され、学校が再開されましたが、オンライン教育を進めていくため、貸出用モバイルルーターの通信費について、延長して支援すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 また、区市町村の財源状況により通信費の契約内容が変わることで、家庭で児童生徒ができること、できないことに差が出れば、教育の平等が失われ、格差が起こる可能性があります。
 そこで、オンライン授業などに係る家庭でのネット環境の充実について、都として対応すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、オンライン授業を進めるに当たって、マイクの性能が悪いと教育の質の確保につながらないなどの問題があるとの声もあります。オンライン授業を進めるに当たっては、ヘッドセットの活用を検討するなど、現場の声を聞きながら、教育の質の確保についても取り組むことを要望しておきます。
 次に、無電柱化推進に向けた区市町村への支援強化についてです。
 昨今の頻発する自然災害により倒壊した電柱は道路を塞ぎ、救助活動の妨げの要因になるとともに、大規模な停電を発生させるなど、改めて無電柱化の取り組みの重要性を認識しているところです。
 このような自然災害に備え、都市防災機能を向上させるためには、都内全域で無電柱化を進めることが重要であり、そのためには、都内の道路の大半を占める区市町村道の無電柱化を促進することが重要でありますが、既に都は、チャレンジ支援事業など、区市町村への支援制度を構築しておりますが、東京都の無電柱化の推進に向けてさらなる支援を行うことについて、知事の見解をお伺いします。
 次に、新青梅街道立川都市計画道路三・二・四号線は、東京の中心部と多摩を結ぶ重要な幹線道路であり、人や物の流れなど、都民生活を支えるだけでなく、災害時には緊急輸送道路として重要な役割を担っております。
 都は現在、東大和市内の多摩都市モノレール上北台駅付近から西側の区間において都市計画道路の整備を実施しておりますが、一方、東大和市清水五丁目交差点付近では、都市計画道路が未整備のため、車道幅員は確保されているが、歩道幅員が狭く、歩行者が安全に通行するための道路空間が確保されていない状況です。
 そこで、当該区間の整備について、建設局の見解をお伺いいたします。
 次に、プラ製容器包装・再資源化支援事業についてです。
 昨日、我が会派の代表質問においても、都が区市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集の導入、拡大に向けた取り組みを支援する事業を今月開始すると答弁がありました。
 本事業において、都が、新たに開始する自治体だけでなく、既に実施している自治体のレベルアップに向けた取り組みも支援対象としたことは評価いたします。
 私の住む多摩地域の自治体は、これまで長年にわたり、さまざまな努力を重ねた結果、プラスチック製容器包装の分別収集について、全国でもトップクラスであり、さらなる実績向上のためには、従来の発想によらない創意工夫を行うことが必要です。
 一つの例として、私が市議会時代に、きれいにした容器包装などは販売店舗へ持っていくなど、拡大生産者責任の観点を取り入れたり、ペットボトル回収のプロジェクトとして、セブンイレブンと日本財団の協力により、市内のセブンイレブンにペットボトル自動回収機を設置していただくことにより、自治体が回収するのではなく、排出した生産者が処分する拡大生産者責任という考え方も一つであります。
 さて、このたび導入していただいたプラ製容器包装・再資源化支援事業において、直接、市の担当者へのヒアリングを行いましたが、目標値に近い状況にあるため利用しにくいや、可能なら柔軟な支援をお願いしたいなどの声を聞いているところです。
 このため、自治体が検討しやすいように、また利用しやすいように具体的な取り組み事例を示すとともに、自治体の独自の発想に基づく事業を支援できるよう取り組んでいくべきと考えますが、環境局の見解をお伺いいたします。
 次に、社会福祉施設や介護職員の処遇改善についてです。
 現在、福祉施設への介護職員が集まらないなどの声が上がっていますが、福祉施設についても、普通の会社でも、すぐにやめられる会社には、やめてしまう理由があり、長年働いている会社では、働きやすい環境や従業員とのコミュニケーションがあるなど、働き手のことを考えた経営者であるなど、さまざまな要因があります。
 今回の質問は、長年働いている福祉の介護職員やその対応をしている事業者には、それなりの介護報酬がプラスされるなどの対応が必要と考えた質問であります。
 現在は、キャリアパス導入促進事業やアウトカム評価導入、また介護職員処遇改善加算などがありますが、例えば、介護職員処遇改善加算であれば、キャリアパス要件を満たしている介護職員がいれば加算できる仕組みでもあるし、キャリアパス導入促進事業は最長五年で終了してしまうという事業であったりと、介護職員の育成、定着を図るためには、長年働いている介護職員とその対応を行っている事業者に対しての処遇改善加算のような形で継続的に支給する事業が必要です。
 もちろん、東京都としても、介護事業者が介護人材の確保、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬を行うことや、良質な介護サービスの提供等に資する介護報酬にすることなどを国に対して要望しているのは承知しておりますが、国の動きは遅い状況にありますので、ぜひ経験や技能を生かす介護職員を評価し、処遇できるよう、介護事業者のキャリアパス導入などのようなものを一層支援することを要望いたします。
 その上で、介護職員が長く働くことができるよう、その育成、定着に向けた支援を充実すべきと考えますが、福祉保健局の見解をお伺いします。
 次に、自転車などの安全運転講習や取り締まり強化についてです。
 三・一一の震災時に帰宅できなかったことにより、自転車通勤がふえ、今回の新型コロナでは、新しい生活方法の一つとして、外出自粛による自転車やバイクでのデリバリーが多く普及することになりました。しかし、危険な運転が目につきます。
 現状、自転車のマナー啓発などは行っていることは承知しておりますが、啓発やマナーなどのイベントに来られる方は基本的にマナーのよい方が多く、マナーの悪い方、知らない方はほとんどといってよいほど参加されていないのが現状であります。
 都民安全推進本部では、事業者に対して、自転車安全利用推進事業制度を条例の努力義務としていたり、自転車安全利用TOKYOセミナーを実施しておりますが、あくまで事業者の自主的な参加を前提とするものであるため、全ての方が受講するわけではありません。
 やはり、業をなす自転車、バイク、車両については、努力義務ではなく、受講しなければ行えない仕組みなどの検討が必要と考えます。
 もちろん、その事前対策として、自転車等への指導取り締まりを行えば、悪質、迷惑性の高い自転車等の走行は制御され、少なからずマナーもよくなるところですので、まず、警視庁には継続した効果の上がる指導取り締まりを要望しておきます。
 一方、東京都自転車条例を所管する都民安全推進本部には、自転車等マナーをさらに浸透させるため、自転車等利用者への各種セミナーや制度受講の義務化を前提とした関係局との検討を求めることを強く要望をいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関野たかなり議員の一般質問にお答えいたします。
 無電柱化の推進でございますが、私は知事に就任して以来、都道府県では初となる無電柱化推進条例を制定し、都道の全線におきまして電柱の新設を禁止するとともに、無電柱化推進計画を策定し、整備を進めました。そして、電柱をふやさない取り組みと、電柱を減らす取り組みの両方を推進してまいったところでございます。
 昨年度末には、センター・コア・エリアの都道における整備がおおむね完了するなど、着実に成果を上げてきております。
 無電柱化を面的に進めるには、都内の道路の約九割を占めます区市町村道における取り組みも重要であります。
 電柱をふやさない取り組みにつきましては、都道の新設電柱禁止を区市町村道にも広めていくために、その意義、効果、ノウハウを共有して働きかけを行ってまいりました。こうした取り組みもございまして、新設電柱禁止の区域指定が、日の出町に続きまして、本年、中野区、清瀬市、渋谷区にも進んでいるところであります。
 また、電柱を減らす取り組みにつきましては、道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業などに対しまして全額補助をいたします無電柱化チャレンジ支援事業を創設するとともに、頻発する自然災害への備えとして、防災に寄与する路線につきましても、昨年度から補助率を引き上げ、区市町村に対する強力な財政支援を進めてまいりました。
 今後でありますが、新たに無電柱化加速化戦略を策定して、都道のみならず、区市町村道に対します支援の強化にも取り組んで、都内全域の無電柱化を全力で推進をしてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、そして関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、貸出用モバイルルーターの通信費の支援の延長についてでございますが、都教育委員会は、学校の臨時休業が長期化する中、児童生徒の学びをとめないよう、家庭におけるオンライン学習の取り組みを推進するための緊急対策を講じてきたところでございます。
 具体的には、家庭に端末や通信環境が不足する場合、学校が保有する端末や通信費を含めたモバイルルーターの貸与に対する支援を行っております。通信費につきましては、休業中及び分散登校期間に対応できるよう予算を確保しているところでございます。
 都教育委員会は、今後の都内の感染状況を見きわめつつ、当面、こうした支援の取り組みを継続してまいります。
 次に、家庭でのネット環境の充実についてでございますが、今回、都教育委員会が実施をいたしましたモバイルルーターの通信費の支援につきましては、年度末から年度初めにかけ、子供たちにとって進級や入学の節目となる重要な時期に、長期にわたり学校に通えないという状況の中、子供たちの学びを継続するための緊急対策として行ったものでございます。
 今回、新たな動きといたしまして、国は、生活保護法の被保護世帯に対し、新型コロナウイルス感染症対策等による学校の臨時休業中のICTを活用した教育に係る家庭での通信費につきまして、教材代として新たに認めることとなりまして、通知を発出しております。
 今後、都教育委員会は、国の動向を注視してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 立川都市計画道路三・二・四号線、新青梅街道の整備についてでございますが、多摩北部地域の道路ネットワークを形成することで交通の円滑化を図るとともに、歩道の整備や無電柱化により、歩行者の安全性を向上させるためにも、本路線の整備は重要でございます。
 本路線のうち、東大和市の清水五丁目交差点を含む、清水六丁目から狭山五丁目の約一キロメートルの区間を、平成二十八年に策定した第四次事業化計画に位置づけております。
 今後、現在事業中でございます多摩都市モノレール上北台駅付近から西側区間の道路拡幅の進捗状況を踏まえながら、事業化を目指してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) プラ製容器包装・再資源化支援事業についてでございますが、都は、二〇三〇年までに家庭等から排出される廃プラスチックの焼却量を四〇%削減する目標の達成に向け、本事業を今月中旬から開始いたします。
 このうち、既にプラ製容器包装の分別収集を実施している自治体を対象とするレベルアップ支援では、補助対象経費の二分の一を上限一千万円まで補助いたします。
 今後、区市町村の検討に資するよう、排出時の分別促進に向けた普及啓発や、事業者と連携した店頭回収等モデル事業、収集運搬時における不適物の排除や開封調査、中間処理の選別工程の強化など、具体例を示してまいります。
 加えて、これらにとどまることなく、区市町村の創意工夫に基づく、地域の実情に応じた独自の取り組み等、実績の向上につながる事業を積極的に支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 介護職員の育成、定着に向けた支援に関するご質問にお答えいたします。
 都は、国のキャリア段位制度を活用して、キャリアパスの導入に取り組む事業者を支援しており、これまで、補助期間を延長するほか、離職率の低下等の成果に応じた助成金の創設、経営コンサルタントを活用したリーダー研修や賃金体系等に関する個別アドバイスの実施など、支援内容の充実を図ってきております。
 今年度、住宅費負担の軽減による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化とを目的とした、職員宿舎借り上げへの補助の上限戸数を四戸から利用定員に応じて最大二十戸に拡充するほか、新規受け付け期間も令和五年度まで三年間延長しておりまして、今後、介護職員の育成、定着に向けた事業者の取り組みを支援してまいります。