令和二年東京都議会会議録第十号

○副議長(橘正剛君) 百二十番宇田川聡史君。
〔百二十番宇田川聡史君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十番(宇田川聡史君) 令和二年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症によりとうとい命を落とされた方々に、改めて哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 また、感染症医療の最前線で従事されている方々のご労苦に対しまして、改めて感謝の意を表します。
 さて、本年一月の末、都が新型コロナウイルス対策本部を立ち上げてから四カ月が経過しました。中国の武漢から始まった未知のウイルスとの闘いは世界へと広がり、今もなお、感染の拡大が続く国もあります。
 我が国では、過日、緊急事態宣言が全国的に解除され、第一波と呼ばれる感染の波を何とか食いとどめることができたとされていますが、この間の都の取り組みを振り返ると、国との関係や区市町村との連携など、第二波に備えて検証するべきことがまだまだ山積していると考えます。
 国の緊急事態宣言が発出される以前から、我々都議会自民党は、一千四百万都民を抱える首都東京の知事に対して、独自の検査体制の確立や病床の確保、緊急措置などが必要であると訴えてまいりましたが、しかし、残念ながら小池知事にはそうした危機管理意識が希薄であり、責任を負おうとする姿勢が見られないといわざるを得ません。
 小池知事によるコロナ対策は、この四カ月間にわたり、一貫してロックダウンやウイズコロナといったキャッチフレーズの連続であり、根拠や数字を示すこともなく、具体的な対応については明らかに言葉が不足しておりました。結果として、都民の不安をあおり、ただただ自粛を求める情緒的なものでありました。
 本来ならば、日々の検査数や陽性率など科学的根拠をもとに、感染の実態や傾向を都として把握し、予算に裏づけられた対策を講じたり、都民の理解と共感のもとに自粛の要請をするべきだったと考えます。
 小池知事は、コロナ対策の初動において、三十万着を超える都民の防護服を中国に提供することには熱心でありましたが、その後、三カ月にわたり検査の陽性率すら公表しない、できなかった、このことは失態ともいわれかねないものであります。
 今後は、感染状況の実態に基づいた発信が基本であると考えますが、知事の見解を伺います。
 また、今回のコロナ対策では、改めて区市町村との連携が非常に欠如していることが露呈いたしました。
 マスクなどの備蓄数や配布のあり方について、都の区市町村との調整は全く不足していました。検査を拡充するために、今でこそ区市などが設置を推進しているPCRセンターは、都としての主体性がないまま、基礎自治体がみずからの判断で設置を開始しました。
 この間、小池知事は、区市町村の代表者とコロナ対策に関する意見交換をテレビ会議で行ってきましたが、その回数は、特別区長会、市長会、町村会がそれぞれ三回ずつ、わずか三十分程度であります。これでは地域の実情を都の対策に反映するには事足りず、儀礼的な会議といわざるを得ません。
 知事は、今回の課題を踏まえ、今後の区市町村との連携に真摯に努めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
 次に、PCR検査体制の拡充について伺います。
 検査で重要なのは、入り口と出口をセットで考えることであります。
 都は、ロードマップの中で検査を受ける必要のある人が迅速に検査を受けられるよう体制を整備するとし、検査機会の拡大、いわゆる入り口をふやすために、新型コロナ外来を百カ所、PCR検査センターを三十八カ所に増設するとしています。
 PCR検査センターの設置に当たっては、検体採取を行う医師等の確保が必要です。国の通知により、感染拡大による医師等の不足に備え、歯科医師が検体採取に協力できることとなりましたが、その環境が整っていません。
 都は、そうした課題を解消するなど、PCR検査センターを確実に機能させていくことが重要であります。見解を伺います。
 また、検査を必要とする誰もが検査を受けられるためには、新型コロナ外来やPCR検査センターだけではなく、検体採取などを行う入り口をさらにふやしていくことも重要です。
 また今回、都は出口について、期限は明確となっておりませんが、第二波に備え、一日の検査の最大処理能力を一万件にするとしています。その実現のためには、都として民間検査機関に対し、人的にも物的にもさまざまな支援体制を構築することが肝要です。今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
 検査体制の充実を図るとともに、重要なのが病床の確保です。
 第一波といわれる今回の経験を通じて、医療崩壊をさせないことがどれだけ重要な対策の基本となるかを都は認識したはずです。
 今後は、第二波に備え、感染拡大の状況に応じて病床を確保するとともに、患者の重症度や特性に応じた受け入れができるよう体制を構築するとしていますが、都の要請に応じて病床を確保し続けることは、病院にとって大きな負担となります。そうした医療機関への財政的な支援を講ずべきと考えますが、見解を伺います。
 医療崩壊をさせないために都が急遽対策を講じたのが、軽症者を受け入れるためのホテルの確保でありました。
 都は、宿泊療養施設として、都内五つのホテルで百七十億円をかけて二千八百六十五室を確保しましたが、軽症者の多くは、介護や子育て、ペットがいるなどの理由で自宅療養を希望する方が圧倒的に多く、ホテルの利用につながらず、家庭内感染のおそれや急激な症状悪化への対応が難しいといった指摘がされております。
 そうした実態を受けて、厚生労働省は四月二十三日付で、宿泊施設と自宅で行ってきた療養体制について、宿泊療養を基本とするとの方針を示しましたが、今後その方針を徹底するためには、宿泊療養の必要性に対する理解の徹底や、利用促進のための取り組みを強化すべきと考えます。見解をお伺いいたします。
 また、ソフトの対策だけではなく、過日、厚生労働省が示したホテル等を臨時の医療施設に位置づける方針を都として積極的に活用できるよう取り組むべきです。ホテルの位置づけが臨時の医療施設となれば、法律に基づいた入院勧告や措置が可能となります。
 第二波の際の医療崩壊を防ぎ、軽症者の急変から命を守り、家庭内感染を防止するためにも、宿泊療養施設を臨時の医療施設として整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢者施設への感染症対策についてお尋ねをいたします。
 免疫機能が総じて低い高齢者は、コロナウイルスに感染すると重症化や死亡リスクが高く、こうした高齢者を守るためには、マスクの着用や手洗いなど標準予防策の徹底など、都としても支援しなければなりません。
 高齢者が利用する特別養護老人ホームなどの施設は、その社会的必要性から、緊急事態宣言下においても施設内感染が危惧される中で事業が継続されてきました。感染は入所者にとどまらず、事業継続に必要な施設で働く職員に及ぶ可能性も高く、慢性的な人手不足の現場では介護崩壊を招きかねないと危惧されています。
 第二波に備え、こうした高齢者施設への感染症対策を徹底的に講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 医療体制の充実とあわせて、今後、さらなる対策が求められるのが、経済活動再開に向けた支援策であります。
 さきに述べたとおり、この間の都のコロナ対策は、科学的根拠に基づかず、都民に対して行く先を示すことのない、出口戦略など描くことができない、まさに思いつきの施策が量産されてきた感が否めません。
 これまでコロナ禍における経済対策として、石原都政以来積み重ねてきた基金を取り崩し、約一兆円もの支援策を講じてまいりました。政策のスキームがあやふやなうちに突如として発表のみを先行させる、この手法は多くの混乱を生んでいます。
 中でも東京都感染拡大防止協力金は、いまだにその混乱が尾を引き、多くの都民が困惑しています。突然の発表に始まったこの制度は、曖昧な制度設計、煩雑な手続、つながらない窓口など、事業者は多大な苦労を強いられています。
 経済支援策は、現金が手元に届いてこそその効果を発揮しますが、一カ月以上が経過した今もなお約八割が未支給であることは大いに反省すべきであり、早期の支給を強く求めます。
 五月七日以降の延長分、第二弾の協力金を初め、今後もさまざまな申請と処理が控えています。第一弾の申請手続に対する事業者からの苦情をしっかりと受けとめ、迅速かつ円滑な手続処理を行うべきですが、都の取り組み状況を伺います。
 いち早く終息したかに見えた中国や韓国を初め、国内でも北九州市などで第二波の予兆が見え始めています。
 我々都議会自民党はかねてより、長期化を踏まえ、ばらまきではなく、コロナ禍で経済活動が共存するための支援、終息後の再興を見据えた支援、そして計画的な財源、これをセットとして準備すべきであると四月の補正予算特別委員会など機会あるごとに提言をしてまいりました。
 三月末時点で約一兆円あった財政調整基金も残りわずかとなる中で、おくれ続けている災害対策や社会活動の再開に伴う経費、医療体制の整備なども待ったなしで控えています。
 こうした都財政の中、都内のコロナ禍が再び拡大に転じた場合、外出自粛や休業要請を再度要請すると知事は明言していますが、その場合、協力金を初めとする経済支援は再度実施されるのか、財源はどうするのか、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する中、都内中小、小規模事業者への影響も深刻さを増しています。
 国は、中小企業に寄り添い、その深刻な窮状をしっかりと受けとめ、これまで持続化給付金や雇用調整助成金等の支援策を着実に講じており、固定費の負担に苦しむ中小企業の家賃への補助も行うこととしました。
 東京の産業を支える中小、小規模事業者がこの危機を一刻も早く脱し、再び成長の軌道へと歩みを進めていくためには、他の都市に比べ重い家賃負担の軽減を都として独自に図るとともに、さまざまな業種の事業者が、新しい生活様式のガイドラインに沿って事業を継続することが極めて重要です。そして、この対象の中には、公営企業に対して賃料に相当する使用料を支払っている事業者も含まれるべきと考えます。
 また、経営者の高齢化が進む中、このコロナ問題を契機とした廃業が一気に進むおそれもあり、円滑な事業承継を進めることが喫緊の課題となっています。
 都として、中小、小規模事業者への家賃補助や今後の事業展開をどのように後押ししていくのか、知事の見解を伺います。
 コロナ禍の終息がたとえ長期化したとしても、経済の地盤沈下を防がなくてはなりません。そのためには、目の前の事業継続支援はもとより、回復期を見据えた施策の検討についても早期に着手することが必要であることは再三指摘を続けてまいりました。
 しかし、現在まで、回復期の支援メニューはまだまだ十分ではありません。事業を円滑に再開するため、刻々と変化する経営環境と支援ニーズに即応できる柔軟な支援メニューこそが期待されています。
 また、災害対策やインフラ等の老朽化対策も、一刻の猶予もありません。長期自粛は、各種工期に影響が及んでいます。東京二〇二〇大会の延期によって生じた時間を有効に活用する必要があります。
 コロナにより傷ついた首都経済をどう立て直していくのか、経済再生への道筋について伺います。
 日本経済が正常化し、再び力強さを取り戻すためには、金融、財政、そして規制緩和の三つの政策が三位一体となり、相互に補完し合いながら重層的に取り組むことが必要です。
 とりわけ、人、物、金が集積する首都東京の経済を復活させ、コロナ後の世界をリードする都市としてさらなる飛躍を遂げるためには、規制緩和の取り組みが鍵を握っているといっても過言ではありません。
 新型コロナウイルスは、人々の価値観と社会経済活動に劇的な変化をもたらし、ソーシャルディスタンスなど、これまでにない新しい生活規範が求められています。今、行政がなすべきことは、こうした新たな日常を見据え、大胆な規制緩和を図ることではないでしょうか。
 一例を挙げれば、客足の減少に苦しむ飲食店がテークアウトへのシフトを加速していますが、道路や公園の有効活用を図り、規制緩和をさらに推進すれば、三密が避けられる屋外テラスの設置やキッチンカーの営業など、新たな活路を見出すことが可能だと考えます。ビジネスチャンスは何倍にも拡大し、財政負担も一切かかりません。経済を動かす原動力が規制緩和にあるのです。
 経済復興の道に向け、現下のピンチをチャンスに変えるべく、コロナ後の世界を見据え、幅広い分野にわたり、都として大胆に規制緩和を推し進めていくことが重要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 都民、事業者にとって、行政手続は作業に時間を要するだけではなく、心理的負担も大きなものとなっています。一方で、行政機関にとっても、業務時間や人件費負担は膨大なものであります。
 平成三十年に、国は、規制改革推進会議において、行政手続コストの数値化に取り組んでいます。その結果として、毎年七千七百万時間、一千九百五十八億円もの削減効果の見込みが判明したと聞いております。
 都も行政手続のコストを数値化し、削減効果を可視化すべきと考えます。今後、感染症防止と社会経済活動を両立させていくためには、行政手続のデジタル化等による都民や事業者の負担削減を早急に進めるべきです。
 都は、行政手続の効率化やコスト削減を実現させるため、どのような考え方のもと、デジタル化を推進していくのかを伺います。
 さて、感染拡大防止のため、都が先月二十五日まで、都民に対し外出自粛を要請してきた結果として、都民はスポーツを楽しむこと、体を動かす機会を制限されてしまいました。
 今後、段階的にスポーツ活動や施設の速やかな再開が期待されます。特に、障害者スポーツ振興についても着実な再開を強く求めておきます。
 今後も警戒が必要とされるコロナ禍において、都民のスポーツ実施率の向上に向け、特に配慮を必要とする高齢者や障害者が、感染防止を図りつつ、安全に施設利用の再開ができるよう、どのように取り組むのか見解を伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、営業自粛に伴う経済活動の停滞やコロナ便乗の特殊詐欺被害の発生など、健康被害以外にも社会全体に大きな影響を与えています。
 また、長期にわたる外出自粛や急激な日常生活の変化は、都民にも大きなストレスとなり、感染への不安も相まって、さまざまな心理的ゆがみを及ぼしてきています。
 こうした負の影響は、子供や若者にも及んでいます。アルバイト先の休業による経済不安や、児童生徒間のネット上のいじめやトラブルは、学校が休校中のため、把握や対応がおくれ、被害も大きくなっているようです。
 今後、学校や経済活動の再開に当たり、日常生活へ円滑に復帰ができるよう、メンタルヘルスへの取り組みは非常に重要だと考えます。
 進路や経済状況など、子供、若者の抱える不安や悩みの解消に向けた都の取り組みについて伺います。
 コロナ禍において、オンライン教育に対する期待、理解は一層高まってきています。
 都は、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを展開しており、知事も、都内公立学校におけるオンライン教育を、コロナ禍を機会に一気に促進すると所信で表明されましたが、大変憂慮する事柄も存在しております。
 オンラインはあくまでツールであり、現実に環境整備が加速されたとしても、子供たちにどんな教育を提供し、価値を創造するのかという本質が最も重要だということです。一言にオンライン教育といっても、幾つかの類型があり、学齢や習熟度、学習効果、現場の負荷なども踏まえながら、適切な組み合わせを丁寧に検討、検証すべきと考えます。
 都はどのようにICT教育を展開し、どのような教育効果を創出していかれるのかを伺います。
 オンライン教育の推進、拡大によって新たな教育格差が生じないよう、それぞれの課題に対する目配りの行き届いた施策も不可欠であります。一人一台端末や通信環境の支援など、オンライン教育の環境づくりが進んできております。こうした環境が整えば、近い将来、授業での活用はもとより、オンライン上での事前課題のやりとりや、習熟状況の確認まで展開されることも期待できます。
 一方で、ネットへの親和性が高くない家庭もあるのが現実であります。
 都教育委員会の認識では二割程度を想定しているようでありますが、こうした家庭が教育環境のオンライン化からこぼれることがないように、十分な配慮が必要だと考えます。
 オンライン教育への対応が困難な家庭が、導入の初期から活用に至るまでスムーズにつなげていくフォローアップが必要です。都の取り組みを伺います。
 学校再開に向けて、先月の二十八日、学校の新しい日常の定着に向け、コロナ禍における都立学校運営のガイドラインが示され、区市町村にも共有されたと聞いています。
 都内には五十六の都立特別支援学校があり、一万二千名を超える児童生徒が通学し、障害や疾病によっては重症化しやすいなど、配慮の必要な生徒もいるため、再開に当たっては、学校、寄宿舎、通学バスなど安全の配慮を徹底しなければならないことを指摘し、求めておきます。
 特別支援学校においても、今後、ICT活用が図られ、その成果に期待するところですが、障害の特性に応じた具体的な取り組みについて伺います。
 一方、オンラインでの対応が難しい障害児や、個別性の高い指導計画を必要とする生徒も多数おります。また、就労実習などでは、人との接触を通じて知識や技能を習得するカリキュラムも存在しております。
 こうした個別性の高い特別支援学校の児童生徒の教育機会の保障をどのようにフォローアップしていくのか、具体的な取り組みについて伺います。
 三月二日以来、約三カ月ぶりに学校が再開され、児童生徒のみならず、保護者や教職員にとっても、待ち遠しさと同時に、感染の不安を残しながらの再開でもあることを忘れてはなりません。
 今回示されたガイドラインの遵守はもとより、再開後に感染が発生した際の速やかな対応など、これ以上子供たちの教育機会が失われることのないよう、十分な検討、対策を求めておきます。
 感染抑止期間は、教育現場でもソーシャルディスタンスは不可欠でありますが、コロナを教訓として、次世代を担う子供たちへ公衆衛生に対する正しい知識と理解を醸成することを通じて、子供同士、家族間の心の距離を近づけるための教育機会にすべきと考えます。
 感染症に対する偏見や差別、いじめを生まないための教育を浸透すべく、都教育委員会の取り組みを伺います。
 島しょ地域においても、新型コロナウイルス感染症の影響はさまざまな産業に甚大な影響を及ぼしています。
 我々都議会自民党は、島しょ町村への支援を求めるとともに、さきの都議会臨時会では、既存の貨物運賃補助制度の補助率を引き上げるよう、いち早く求めてきました。
 島しょ地域では、来島者数そのものが日に日に減少しており、ゴールデンウイーク期間中の伊豆諸島航路については、乗船客が前年比九八%の減少となるなど、運航事業者の経営悪化が大変危惧されています。また、六月からは大島─熱海間航路などが運休されることとなりました。
 定期航路や航空路は、島民生活に欠かせない交通インフラであり、都はこれまでも、国の制度の枠組みで航路補助や航空路補助を実施してきました。しかし、現行の制度では国の補助対象外の航路もあり、このたびの未曽有の危機を乗り越えていくには、国を巻き込み、より踏み込んで運航事業者の支援を行っていく必要があります。
 そのため、都議会自民党は、国土交通大臣に対し、補助対象外航路を初め欠損額拡大を見越した補助金の財源確保を要望してまいりました。
 都においても、今後、離島航路、航空路の維持確保のため、国にも働きかけつつ、着実に運航事業者を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 これまで述べてきたとおり、コロナ対策は、新たに生じた医療、経済、教育支援など多岐にわたり、実に一兆円以上もの経費が費やされることとなりました。原資となった財政調整基金は底をつき、他県からの羨望のまなざしだった都財政は、一転して危機の瀬戸際にあります。
 非常時には後先を顧みない財政出動もいたし方ないかもしれませんが、コロナ対策とはいえ、もはや、この先も何でもありが許される財政状況ではありません。コロナ対策だけではなく、水害対策や震災対策など、都が喫緊に対処すべき課題が山積する一方、経済の落ち込みが長引けば、リーマンショックを超えるほどの税収減も現実味を帯びてきます。
 都財政を取り巻く環境が一変し、財政難に襲われる懸念も急速に高まる中、将来の財政見通しについて、知事の所見を伺います。
 加えて、将来の都財政に責任を持つため、今なすべきことは予算の見直しです。
 先般、都は、副知事から各局に対し、築地まちづくりや旧こどもの城など、事業を具体的に列挙しつつ、優先度の低い事業は休止するよう通達を出しました。
 あくまでも一時的な措置にすぎないとのことですが、これを貴重な機会として、直ちに不要不急の事業を選別し、今年度予算から見直しを図るべきです。効果が疑問視され、将来に責任を持てない事業をただ漫然と実施する、そのような無駄遣いを続ける時間は、都には残されていません。
 コロナ対策の中にも、客観的かつ合理的とは思えない積算根拠や、思いつきで事務処理が機能していないと見受けられる事業も幾つか散見されています。
 財政再建期に逆戻りしないためにも、早急にコロナ対策を含め必要な検証を行い、優先順位をつけ、不要不急の事業につぎ込む予算を財源基盤の一助につなげるべきです。都の見解を伺います。
 通達において具体の事例となった築地まちづくりについてお尋ねいたします。
 築地市場跡地の再開発については、さきの予算特別委員会における、一旦立ちどまり再考すべきという都議会自民党の質問に対し、内容を見直し公表すると知事から答弁がありました。紛れもない事実であります。
 その後、五月五日の新型コロナウイルス感染状況を踏まえた副知事発の依命通達において、再開発手続の休止が発表されました。新型コロナ対策とはいえ、優先度が低い事業として都が休止を表明したことを我々は肯定的に捉えております。
 かねてより我々都議会自民党は、築地跡地を民間に売却すべきと主張してきました。今まさに決断すべきときであります。
 新型コロナ対策を継続しつつ、都の財政基盤への影響を最小限に食いとめながら、築地地区の発展につなげていくためには、五千億円超の都税を投入したまま再開発するのではなく、築地市場跡地を計画的に売却していくことこそ有効だと考えます。
 築地跡地の開発をこれまでの方針や計画との整合性、延長線だけで考えるのではなく、今こそ大局的見地から、民間への売却を速やかに検討すべきと考えます。知事の見解をお尋ねいたします。
 見直すべきは、事業だけではありません。既に設置してあるさまざまな基金も、この際、一旦白紙に戻し、ゼロベースで考え直すべきと考えます。
 確かに財調基金はほぼ使い切った状態となりましたが、その他の特定目的基金は、いまだ数千億円が温存されています。にもかかわらず、その使途は設置目的に限られています。当然のことだと思います。
 ゼロエミッションなど、将来需要に備えること自体を否定するつもりはありませんが、今、優先して財源を振り向けるべきことがほかにあることは明白です。
 例えば、特定目的基金を統廃合し、財調基金に組み入れれば、一気に自由度の高い財源を手にすることができます。都財政が置かれた現状を考えれば、使い勝手がよく、活用しやすい財源の確保は重要であります。将来を見据え、ここは知恵を働かせ、戦略的に考えるべきです。
 機動的な財政運営の観点から、特定目的基金のあり方や活用についても、見直しを含め幅広く検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 日本は今、新型コロナとの闘いの中にあります。しかし、二〇二〇大会の準備をとめるわけにはいきません。
 我々都議会自民党はこれまでも、大会の成功とレガシーの重要性を一貫して主張してまいりました。今、社会経済情勢は、新型コロナの影響で非常に厳しい状況にあります。しかし、この難局を乗り越え、延期された大会を成功に導くことが、東京、そして日本のさらなる飛躍につながるものと確信をしております。
 東京大会は、コロナという闇を抜けた先の日本に不可欠な、経済再生の起爆剤としなければなりません。東京、日本の新たな姿を世界に示していくためにも、必要な対策は将来への投資として果敢に取り組むべきです。
 延期に伴う追加コストは、どうしても発生します。そして、費用の精査や抑制については、既に関係者間での議論がスタートしていると聞いています。その先の負担割合の議論については、知事みずから、まずIOCに対して応分の負担をはっきりと求めていただきたいこと、あわせて、不安に満ちた社会経済情勢だからこそ、東京大会を来年着実に開催するためのロードマップを早期に都民に示し、理解を得る必要があると考えます。知事の見解を伺います。
 また、来月の七月二十三日に新たな機運を盛り上げるための取り組みを組織委員会とともに行っていくべきと考えますが、あわせて知事の見解を伺います。
 コロナとの闘いは、都の災害対策についても再考を求められることとなりました。近年、都内でも豪雨や台風の災害は頻発しており、首都直下型地震や都を囲む活火山の活動期入りなど、甚大な災害がいつ起きてもおかしくない状況にあります。
 国が、災害時は避難所を可能な限り多く開設して、避難者の間隔を十分に確保するよう自治体に通知したのは四月一日のことであります。コロナ禍の中、こうした大災害が発生し、二つの脅威が重なる事態も十分想定していく必要があります。このことは我々も再三指摘してまいりました。災害対策は待ったなしであります。
 都は、区市町村向けに感染拡大防止に向けた対処方針をまとめましたが、都の役割はそれで終わりではないはずです。より多くの避難先を確保するにも、住民に周知するにも、相応の時間を要します。
 区市町村が避難所の運営体制を迅速に構築できるよう、都はどのような支援を行っていくのか取り組みを伺います。
 過去の大災害から、災害時には、限られた医療資源を有効活用することが必要という教訓を得ました。都は、有事に向けて、医療機関の役割分担のガイドラインを明確にするとともに、災害医療コーディネーターの指定を行ってきました。
 しかし、今回のコロナの対応では、福祉保健局が調整本部を設置したのですが、搬送困難な事例が発生するなど、現場は混乱したと聞いています。都が調整機能を果たしたとは、とてもいえる状況ではありません。
 不測の事態が続く災害時において、都の災害医療コーディネーター体制が機能するのかという懸念があります。災害時にどう機能させるのか見解を伺います。
 知事は、さきの第一回定例会の施政方針表明において、高台をふやすまちづくりなど、実効性ある対策を講じていくと述べられました。
 区部東部低地帯における高台は、大規模水害時に住民の命に直結する重要なインフラであり、ぜひ早急かつ積極的な施策展開を期待しているところですが、残念ながら、その後、具体的な取り組みは一切示されておりません。どのように進めていかれるのか、知事の見解を伺います。
 東日本大震災の津波被害を目の当たりにし、大規模水害対策が声高に叫ばれるようになりました。それを受ける形で、平成二十四年に整備計画が策定されたのが都立篠崎公園の高台化計画であります。
 私も議会において、十年以上前から、スーパー堤防ならぬスーパーパークとして推進すべきと主張を繰り返してまいりました。
 近年の日本各地での水害は、地球温暖化の影響もあり、被害が甚大化してきています。荒川等の大河川の上流部決壊による水害シミュレーションによれば、江東五区のほとんどは水没、大災害になる懸念は払拭できず、区域外への避難を余儀なくされる状況です。
 避難場所の確保のため、都立篠崎公園の高台化にスピード感を持って取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 一方で、公園等の高台化については、その整備に一定の期間を要することから、避難経路の確保も極めて重要であります。
 江戸川区の地勢は、北側、西側に同様のゼロメートル地帯、南側には東京湾、したがって東方面にしか逃げ場がありません。しかし、東側に横たわる江戸川を渡る橋の整備が遅々として進んでおりません。そうした中、補助一四三号線、いわゆる柴又街道の延長上の架橋について、早期の橋梁整備が望まれています。
 千葉県との協議が整いつつあると聞いておりますが、今後の整備計画について取り組み状況を伺います。
 次に、中央卸売市場について伺います。
 今回の緊急事態宣言のもと、市場関係者は、都の自粛要請により、主な顧客である飲食店が休業し販路が閉ざされる中、都の協力金を受けられないジレンマを抱えながらも、感染防止を徹底しながら営業を続けてきました。都民の食卓を支える使命があるとはいえ、その大部分が従業員十五名にも満たない小規模零細事業者の集まりであります。
 国は、第二次補正予算において、店舗の家賃負担を軽減するため、家賃支援給付金制度を新たに創設し、小規模零細事業者に大胆な支援策を講じました。市場使用料にも適用されるとのことですが、この支援策を市場関係者に浸透していただくことを、まず強く望みます。
 しかし、何でも国任せでは主体性がありません。市場の活気を早急に復元していくために、目ききにたけた市場関係者が活気と躍動感にあふれる市場を支える必要があり、そのことがすなわち都民の食卓を豊かにすることにつながるのです。
 緊急事態宣言下で火が消えた市場の活気を取り戻すために、都は独自にどのような取り組みを進めるのか、見解を伺います。
 生活様式の変容を迫られた中、生鮮食料品のネット購入にシフトしている消費者が多数おりますが、市場の食材がそのまま家庭での食卓に必ずしもマッチするわけではありません。日常のあらゆる場面で都民の食生活を支える基礎は、プロが介在する市場でのBツーB取引にあります。
 市場の活気の源泉は、熱気と勢いある取引そのものにあるといっても過言ではありません。こうした取引を持続的に発展させていくためにも、市場関係者によるBツーB取引の新たな販路開拓を支援していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、廃プラスチックの有効利用についてお尋ねいたします。
 アジア諸国における輸入規制を受け、国内では、廃プラスチックの保管量の増加や処理費の上昇、リサイクル施設での受け入れ基準の強化等が生じています。
 直近では、新型コロナウイルスにより経済活動が制限される中で、事業活動に伴う廃プラスチックの排出量は減少していると聞いていますが、一方で、来年一月には改正バーゼル条約が発効されることで、各国の廃プラスチックの輸入規制は一層厳しくなるものと見込まれています。
 都は、こうした状況の中、業界団体等と連携し、廃プラスチックをセメント工場で石灰の代替となる産業用原燃料として有効利用を図る実証事業を開始しました。
 これまで海外での処理に多くを依存してきた廃プラスチックについて、国内での有効利用を図ることは重要と考えますが、本事業の進捗と、生産量の落ち込んでいるセメント以外の利用方法に対する今後の取り組みについて伺います。
 知事が公約で掲げた多摩格差ゼロですが、多摩格差とは一体何かと職員に問うと、都としては多摩格差はない、多摩には地域ごとの課題があるということと、知事とは異なる認識が返ってまいりました。
 知事は、多摩格差という印象的なフレーズだけは掲げておきながら、結果として、この四年間、実態として多摩の格差とは何なのかを示すこともなく、その是正の具体策に取り組むこともありませんでした。残念でなりません。
 しかし、我々が従前より取り組んできた多摩地域の活性化、特に産業振興は確実に進めていかなければなりません。
 多摩地域は、飛行機メーカーを初めとするさまざまな大手企業の工場の城下町として発展してきました。その結果、もともと下請であった中小企業が独自の技術開発により、今や世界を相手に事業を展開していますが、近年、大手企業の工場が地方移転をすることにより、産業の空洞化が危惧されています。
 一方で、近年は高い開発力を有する大手企業や大学等の研究機関が多数存在する地域となりました。将来の多摩地域の産業振興を考えるとき、大手企業や大学、高い技術力を持つ中小企業が相互に交流し、ネットワークを形成することで、新しい価値を創造する土壌を多摩に醸成することが重要と考えます。都の取り組みを伺います。
 知事の四年間の任期は終わろうとしております。知事就任に際し、権限のない都議会の冒頭解散を宣言しましたが、このことはロックダウンという不可能を宣言したことに酷似していると思います。つまり、四年の間できないことを口にする、そうした姿勢には何の変化もなかったということです。築地に市場機能を残すといった発言も、まさにこれと同様でありました。
 コロナ対策においても、まず記者会見で大々的に発表するが、その施策のスキームは整っておらず、いたずらに混乱を引き起こしていたことは事実であります。協力金の申請や支払いの問い合わせが連日のようにあった議員は、私だけではないはずです。
 国難とまでいわれる事態です。だからこそ、決してパフォーマンスに終始することなく、地に足のついた実効性ある支援が求められているのです。
 我々都議会自民党は、都民の声を聞き、都民からの要請、期待にしっかりと応えるためにも、都政の中で変わらず全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、情報発信についてのご質問がございました。
 都民、事業者の皆様のご協力なくして、何よりも大切な一人一人の命、そして健康を守ることはできません。そうした危機感のもとで、三月初旬には新型コロナウイルス感染症対策サイトを立ち上げて、都民の皆様に日々最新の感染動向等を迅速にお伝えする体制も整えました。
 その上で、国の専門家会議が既に指摘をしておられましたロックダウンの可能性についてあえて言及をすることで、専門家の方々からは、効果的なメッセージであったとの評価もいただいているところでございます。
 さらに、大型連休期間におきましては、命を守るステイホーム週間の取り組みを展開して、一都三県による共同キャンペーンを実施するなど、この間、全ての皆様に感染を自分事として捉えていただけるよう、工夫を凝らしてきたところであります。
 あわせまして、生活資金の貸し付けや中小企業への制度融資等、都として都民の皆様の生活や東京の経済活動を支える取り組みを推進してまいりました。こうしたまさしく自助、共助、公助の取り組みにより、緊急事態宣言の解除に至ることができたものであります。都民、事業者の皆様の多大なるご協力に改めて心からの感謝を申し上げたい。
 そして、このウイルスとの闘いは、長きにわたることが見込まれております。感染拡大を防ぐべく、今後とも七つの指標によるモニタリングを継続しながら、刻々と変化する状況を的確に捉えまして、効果的な発信を行ってまいります。
 次に、区市町村長との連携強化についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症という見えざる敵との闘いで、さまざまな課題を解決し、きめ細かな対策を実施していくためには、地域の実情を十分に把握している区市町村とこれまで以上に緊密に連携を図る必要がございます。
 このため、三月以降、節目節目におきまして、都としてテレビ会議等を実施するなど、区市町村と緊密に意見交換を行って、各地域が抱える課題の共有に努めてまいりました。
 そして、区市町村との意見交換を踏まえまして、地域ごとの多様なニーズに応えるため、各区市町村の個別の取り組みにも対応できる柔軟な財政支援を行うことといたしました。また、保健所への職員派遣を行うとともに、区職員との共同による営業自粛要請など、区市町村と連携した新型コロナウイルス感染症対策につなげてまいりました。
 都といたしましては、引き続き区市町村との意見交換を丁寧に重ねていくことを通じて、地域の実情を踏まえました新型コロナウイルスの感染症対策を実施してまいります。
 協力金を初めとする経済支援についてのお尋ねでございます。
 国による緊急事態宣言のもと、都では、緊急事態措置等を講じまして、事業者の皆様に施設の休業等をお願いしてまいりました。
 とりわけ中小事業者は、これまでにない経済的打撃を受けており、こうした状況下におきましても、都の休業要請に応じていただいたことに対して支給するのが協力金でございます。
 今後、新型コロナウイルス感染症との長い闘いにおきましては、万全の医療体制、検査体制の整備を進めるとともに、感染症の防止と経済社会活動との両立を図ることで、この難局を乗り越えていくことが私の責務であります。
 このため、先月策定いたしましたロードマップに掲げた取り組みを着実に進めまして、新しい日常が定着した社会を構築してまいります。
 こうした社会の構築に向けまして、感染状況や経済情勢なども見きわめながら、東京の経済を支える事業者に対しまして多面的なサポートを推進してまいります。
 中小企業の事業展開への支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、都内の中小企業の経営は大変厳しい状況にあります。東京の経済活動を支える鍵は、中小企業の支援の充実であり、事業者の皆様にしっかりと寄り添いながら、着実な支援を展開していく必要がございます。
 そのため、今回の補正予算では、無利子融資などの中小企業の資金繰り支援や事業の譲受先の掘り起こしなどの事業承継の取り組みの強化、ガイドラインに基づきましてさまざまな感染症防止策に取り組む中小企業への支援などを盛り込んでおります。
 また、中小企業の家賃の負担を軽減するため、大都市の家賃水準も踏まえながら、今回の新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者に対して、国の施策と連携した効果的な支援策についても検討してまいります。
 これらの複合的な施策を展開することで、都内中小企業の活力を取り戻してまいりたい。
 また、東京の経済再生に向けました道筋についてのご質問がございました。
 新型コロナウイルスを克服し、その先の未来につなげていくためには、都民の生活や経済活動を下支えするのみならず、ポストコロナも見据え、よりよい社会をつくり上げていく必要がございます。
 重要なのは、従来の枠組みにとらわれず、これまでと違った生活様式、ワークスタイルの変革や人々の価値観の変化を新たな成長機会と捉えて、スタートアップやデジタルトランスフォーメーションの取り組みを大胆に加速させ、イノベーションの大きなうねりを巻き起こしていくことであります。
 こうした構造改革を実現するための取り組みを全力で推し進めて、都内経済の再生につなげてまいります。
 規制緩和の推進について触れられました。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが長期にわたることが見込まれる中、この戦後最大の国難ともいえる状況を社会変革の好機と捉えて、東京の持続可能な成長につなげていくため、改めて都民、事業者の視点に立った規制改革を推進していくことは重要であります。
 都は、新たな都政改革ビジョンにおきまして、規制改革に係る有識者会議を設置しまして、都民、事業者のニーズに即した規制改革に取り組んでいくことといたしました。
 縛る事前規制からサポート主眼の事後規制に発想を転換するとともに、民間の発想、技術、知見を行政運営に融合させて、都民ニーズをいち早く捉えた価値ある政策を発信していく。また、こうした取り組みに必要な法令改正を初めとした規制緩和を国に求めてまいります。
 今回新たに浮き彫りとなりました課題を踏まえ、規制改革に向けた取り組みを推進することで、新型コロナウイルス感染症を契機に社会構造の変革を促して、成長と成熟が両立した目指すべき都市へと東京を進化させてまいります。
 将来の財政見通しについてのお尋ねであります。
 新型コロナウイルス感染症は、経済全体に深刻な影響をもたらし、景気悪化に伴う税収減など、財政環境の悪化を想定しておくことは必要です。
 一方、ウイルスとの闘いはまだ続いておりまして、感染症防止と経済社会活動の両立に向けた取り組みを進めていく必要がございます。
 さらには、世界で例を見ない規模と速度で進む高齢化や、急速に進展する都市の老朽化への対応など、都財政が抱える財政需要は膨大であります。
 こうした中にありましても、都政に課せられた使命をしっかりと果たしていくために、予算執行段階での一層の創意工夫を行うなど、賢い支出に努めるとともに、決算剰余金に加えまして、基金や都債といったこれまで培ってきた都財政の対応力を最大限発揮するなど、戦略的な財政運営を行ってまいります。
 築地まちづくりについてのご質問でございました。
 築地再開発では、都心のまたとない広大な土地と地域のポテンシャルを生かして、民間の力を最大限に活用しながら、東京の持続的な成長につなげていく。
 長期的なまちづくりの観点から、土地を民間に売却することなく、都が所有し、有効活用するとともに、インフラの整備状況も勘案して段階的整備を進め、周辺への波及効果をもたらしながら、東京全体としての価値の最大化を目指す方針でございます。
 今後とも、こうした方針のもと、公共性、公益性、収益性も勘案しながら、中長期的に東京及び都民にとりましての価値の向上を図ってまいります。
 なお、さきの予算特別委員会での答弁でございますが、東京二〇二〇大会の延期という状況の変化を踏まえ、先行整備事業の実施方針について、その内容を見直すということを表明したものであります。
 東京二〇二〇大会についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って経済が危機的な状況に直面する中で、大会の開催に向けた準備を進めるためには、都民、国民の理解や共感が得られる大会である必要がございます。
 そのため、IOCとのエグゼクティブプロジェクトレビューという会議におきまして、大会経費につきましてはサービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を今後検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図るものとすることによって、IOC、国、組織委員会とともに認識を共有いたしております。
 今後とも、追加経費に係る負担も含めまして、IOCと組織委員会を含む日本側が共同で議論を行ってまいります。
 また、ロードマップにつきましては、そのプロジェクトレビューにおいて、運営計画の検討を行った上で作成することとしておりまして、現在、会場確保の状況等も踏まえながら、関係者間で検討を進めております。
 引き続き、組織委員会、国など関係者と連携して、安全で安心な大会の実現に向けて取り組んでまいるとともに、大会機運の醸成につきましてのご質問もありましたが、都民、国民の理解が必要である、そして、社会経済の状況に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
 そして、高台まちづくりについてのご質問でございます。
 近年、洪水を初めさまざまな大規模自然災害が相次いで発生をしており、東部低地帯の災害リスクの低減を図り、都民の命を守るため、水害に対しまして安全性の高い高台をふやしていくことは有効であります。
 ことし一月に国とともに設置した会議におきましては、私も赤羽国土交通大臣とともに参加をいたしまして、東部低地帯の水害対策などについて検討を始めております。
 これまでに、土地区画整理、公園、高規格堤防等の整備による高台づくりや、避難スペースを確保した建築物の整備、建築物から浸水区域外への移動を可能とする通路の整備など、幅広い議論を行っております。
 そして、今後の取り組み方策でございますが、国を初め地元区とも連携して早期に取りまとめまして、災害に対して強靭な首都東京のまちづくりを進めてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、ICT教育の展開と教育効果についてでございますが、都教育委員会が取り組むスマート・スクール・プロジェクトは、一人一台端末等を整備し、個別最適化された学びや主体的、対話的な学びを実現し、知識習得型から価値創造、課題解決型の学びへの転換を目指すものでございます。
 このプロジェクトで令和四年度までとしておりました小中学校のICT環境の整備を、休業が長期化する中で前倒すとともに、児童生徒が学習を継続できるよう、緊急対策として、家庭でのオンライン学習の環境整備を進めてまいりました。
 現在、集団、個別などの学習形態や発達段階に応じ、双方向の授業や動画配信などの取り組みが各校において工夫しながら始められているところでございます。
 都教育委員会は、休業中に得た知見や学校からの声を検証し、感染状況を見きわめつつ、学校と家庭の学習を適切に組み合わせ、子供の学びを確保してまいります。
 次に、ICT機器等に関する家庭への支援についてでございますが、分散登校と家庭学習を併用した学校の再開を円滑に進めるためには、家庭でオンラインによる学習が可能となる環境を整えていく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、端末や通信環境を必要としている家庭の児童生徒に対し、端末の貸与などの支援を行っております。
 さらに、ICT機器の操作や学習ソフト利用等について、保護者からの問い合わせに教員がきめ細かく対応できるよう、学校への支援員の配置を進めてまいります。
 都教育委員会は、引き続き、教員のICTスキルの向上を図り、全ての児童生徒の家庭における学びを支援してまいります。
 次に、特別支援学校におけるICTの活用についてでございますが、特別支援学校では、ICTの活用を推進する計画を前倒しいたしまして、今般の休業期間中に、障害種別に応じたICT機器を活用し、児童生徒が家庭等で行うことのできる心身の自立に向けた取り組みや学習への支援を行ってまいりました。
 具体的には、肢体不自由特別支援学校では、日常的にストレッチが必要な児童生徒に、家庭でできる体の動かし方に関する動画を配信したり、また、聴覚障害特別支援学校では、ウエブ会議システムを用いまして、教材と手話等を同時に画面に表示して学習を行っております。
 今後、都教育委員会は、障害の特性に応じた効果的な事例を収集し、指導資料にまとめ、各学校に周知するなど、オンラインを活用した家庭での指導の充実に取り組んでまいります。
 次に、特別支援学校における個に応じた指導についてでございますが、特別支援学校には、教員等と一緒に行動することで、生活の中での自立を促していくことが必要な児童生徒が在籍しております。
 そのため、都教育委員会は、フェースガードを都立特別支援学校の全教員に配布し、食事などの個別の指導がより安心して行われるようにいたします。
 また、就労を目指す生徒は、人とかかわる実体験から働くことの意義を学び、態度を身につけております。そのため、製品の販売や接客など当面行えない指導内容につきましては、直接的な対面を避けた電話でのやりとりで代替するなど、指導計画を工夫するよう学校に求めております。
 今後、各学校において感染症対策を踏まえ、個別指導計画の組みかえを行えるよう、年間指導計画のモデル例を提示し、一人一人に応じた指導を充実させてまいります。
 最後に、感染症に関する偏見を生まない指導についてでございますが、感染症にかかわる偏見やいじめ等を生じさせないようにするためには、子供に感染症に関する正しい知識と適切な行動について指導するとともに、改めて子供同士が豊かにかかわり合える教育を実施することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、学校再開後の最初の時間に、感染予防のための適切な行動が自分や周りの人の命を守ることにつながることの意味を、子供が理解できるよう指導することといたしました。
 また、互いに支え合い、困難を乗り越えることの大切さを伝える実践例を学校に示したところでございます。
 今後、感染症に伴ういじめを防止するとともに、感染防止に尽力する方々等への感謝の念を育むため、イラストを用いた教材を開発し、学校での積極的な活用を促すなど、人と人との心のつながりを重視する取り組みを推進してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、PCR検査における歯科医師の活用でございますが、国は、感染拡大によりPCR検査の必要性が増大している状況下において、検体採取に必要な医師、看護職員等の確保が困難である場合、新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔、咽頭拭い液の採取について、必要な研修を受けた歯科医師が、医師の適切な関与のもとで実施できる旨を通知いたしました。
 都は、第二波の感染拡大に備えて、PCRセンターの運営を担う地区医師会や、実施の際に協力を依頼することとなる歯科医師会の状況や意向を踏まえ、地域の実情に即したPCR検査体制を検討してまいります。
 次に、PCR検査の体制整備についてでございますが、都はこれまで、健康安全研究センターの検査体制の強化や民間検査機関の活用を図るとともに、新型コロナ外来やPCRセンターの設置を進めてまいりましたが、今後の第二波に備え、それぞれ百カ所、三十八カ所設置することとし、検査体制を順次拡充しております。
 また、院内感染防止等の観点から、新型コロナ外来の設置医療機関以外でも適切な感染対策が行われている場合は、入院患者等の検査を行えることとされており、都は引き続き、実施医療機関の拡大に向け、保険適用に係る手続を進めてまいります。
 同時に、検査能力を増強するため、民間検査機関の設備整備や人材育成を促進することとしており、こうした取り組みを通じ、検査を受ける必要がある人が迅速に検査を受けられる体制を充実してまいります。
 次に、医療提供体制の確保についてでございますが、都はこれまで、都内の感染症対策の中核を担う感染症指定医療機関のほか、都立、公社病院や公的医療機関を中心に、着実に病床を確保してまいりました。
 第二波に向け、患者の重症度や特性に応じて重点的に患者を受け入れる感染症入院重点医療機関を指定するとともに、早期に多くの病床を確保するため、病床確保のレベル設定を五段階から三段階に見直すことといたしました。
 また、病床をあらかじめ確保するための経費の補助や患者を受け入れた場合の謝金の支払いなど、国の動向も踏まえながら医療機関を支援することで、入院患者の受け入れ体制を強化してまいります。
 次に、宿泊療養の理解促進の取り組みについてでありますが、国は、入院治療の必要がない軽症者等について、家庭内感染の防止や症状急変時の対応が必要であることから、自宅療養ではなく宿泊療養を基本としてございます。
 都は、宿泊療養の必要性を理解していただくため、医療機関や保健所を通じまして、宿泊療養のご案内や患者向けのチェックリスト等を配布しております。
 また、子育てや介護等の個別事情を抱える患者に対しましても、安心して宿泊療養に専念できるよう、区市町村等と連携して支援するとともに、宿泊施設ごとに居室や食事等を紹介するリーフレットを配布するなど、利用促進を図っているところでございます。
 今後の宿泊療養施設の運営に当たりましては、より療養される方のニーズを踏まえ、一層工夫を図ってまいります。
 次に、臨時の医療施設についてでございますが、新型インフルエンザ対策特別措置法では、緊急事態宣言下において、病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずると認める場合、臨時の医療施設を開設できることとされてございます。
 先月の国通知で、ホテル等の宿泊施設を臨時の医療施設として活用することが可能とされましたが、ホテル等を活用する場合、関係法令に基づく手続の面で課題がございます。
 また、必要とされる医学的管理、医療安全の確保、人員、管理体制等について詳細がまだ示されていないことから、都は、国に対しまして、それらを早急に示すよう要望しているところでございます。
 次に、高齢者施設での感染症対策についてでございますが、高齢者は感染症にかかると重症化しやすいことから、各施設では、日ごろから手や指の消毒を徹底するなど、その予防や拡大防止に努めております。
 都は、今回の新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、職員が感染症対策を着実に行えるよう、手洗いの励行等の標準予防策や、感染が疑われる者が発生した場合の個別ケアの注意点、消毒の手順など具体的な対応方法について、動画や教材を作成し、周知してまいります。
 また、施設内での感染拡大を防止するため、国事業を活用し、多床室の個室化改修や居室への簡易陰圧装置の設置など環境整備に要する費用の補助を新たに実施するなど、高齢者施設の感染症対策を支援してまいります。
 最後に、災害医療コーディネーターについてでございますが、都は、二次保健医療圏ごとに地域災害医療コーディネーターを指定するとともに、都内全域を統括、調整する東京都災害医療コーディネーターを指定してございます。
 昨年の台風十九号が発生した際には、被害を受けた医療圏で医療対策拠点を立ち上げるとともに、東京都災害医療コーディネーターが東京DMATによる医療救護活動を統括、調整し、浸水で大きな被害を受けた医療機関の患者の転院搬送を行っており、引き続き、災害時にその機能を十分発揮できるよう体制整備を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の申請手続についてですが、協力金は全国に先駆けた取り組みであり、審査の進捗を踏まえて、早期支給に向け職員を増員するなど、必要な対応を図ってまいりました。
 その結果、申請受け付け分はほぼ全て審査に着手しており、今週末までには申請件数の約半数となります累計五万件を支給し、六月十五日の受け付け終了後、六月末におおむね支給完了の予定でございます。
 第二回では、提出書類が多い、手続が煩雑などの申請者の声を踏まえまして、第一回に引き続き休業している場合は、必要書類を最小限にするとともに、初めての方でも申請しやすいようウエブシステムを改善いたします。
 これらにより、迅速な支給につなげてまいります。
 次に、多摩地域の産業振興についてですが、多摩地域には、大手企業や大学等の研究機関、すぐれた技術力を持つ中小企業が集積しております。
 都はこれまで、IoTなど先端技術の研究会や商談会を行い、中小企業と大手企業等の研究機関による共同開発に結びつけることで、新技術や製品開発につなげてまいりました。
 今後、大企業に匹敵する技術力を持つ中小企業の共同開発グループを複数立ち上げ、技術開発から大企業とのマッチングまで一貫した支援を行っていくこととしております。
 多摩地域の持つポテンシャルやネットワークを活用し、多くのイノベーションを創出してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、行政手続のデジタル化についてでございますが、行政手続のデジタル化を進めるに当たっては、行政側の視点だけではなく、都民や事業者など申請者の視点に立ち、手続のフローそのものを見直していくことが重要でございます。
 このため、許認可や届け出などの手続における書類の作成、申請、審査、決定までの一連のプロセスごとの分析を具体的に行い、申請者の視点で、様式の簡略化、添付書類の削減、押印の見直しなどを実施することにより、都民負担の軽減と行政内部における事務の効率化を実現してまいります。
 こうした見直しを通じまして、行政と都民、事業者の双方における手続のコストを削減するとともに、利便性の向上を図ってまいります。
 次に、避難所を運営する区市町村への支援についてでございますが、地震や風水害時の避難所における新型コロナウイルス感染拡大防止対策を的確に進めるためには、区市町村との連携が重要でございます。
 そのため、都は、避難所が三密にならないよう、自主避難等を促す住民周知や、より多くの避難先の確保、避難所での感染症対策などの留意事項をまとめた対処方針を策定し、区市町村に周知をいたしました。
 また、区市町村との実務的な意見交換を定期的に実施し、課題の把握に努めるとともに、避難所に活用できる都立や民間の施設の紹介など、区市町村の取り組みを後押しいたします。加えて、感染症対策に有効なパーティションの調達に向け、新たに業界団体と連携した協定を締結するなど、ソフト、ハード両面から区市町村の避難所運営における感染症拡大防止の取り組みを一層支援してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 都のスポーツ施設の利用再開についてでございますが、都民の健康的な生活を維持する上で、都民が安全にスポーツに取り組み、楽しめる環境を早期に取り戻していくことは重要でございます。
 このため、今般、緊急事態宣言の解除を受けまして、都立スポーツ施設における感染拡大防止のためのガイドラインを作成し、都立施設の特性に応じて段階的に再開をいたしております。
 とりわけ高齢者や障害者につきましては、基礎疾患の有無の確認や、介助を行う施設スタッフの体調管理も徹底するなど、きめ細かに対応しまして、安全を確保いたします。
 加えまして、競技団体が競技の特性に応じて作成するガイドライン等を、順次、都民の皆様にも周知をするなど、感染拡大防止にしっかりと取り組んでまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 新型コロナウイルス感染症の影響による悩みや不安についてでございますが、子供や若者の悩みは、その時々の社会情勢を色濃く反映するものであり、相談者の状況を踏まえながら、丁寧に対応していくことが重要であると考えております。
 青少年やその保護者等を対象としたネットやスマートフォンに関する相談窓口、こたエールでは、本年三月、四月の相談件数が前年同期比で三割以上増加し、内容としては、ネット依存、誹謗中傷、不正アクセス等に関する相談がふえているところでございます。
 また、東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、コロナ関連の相談が一割程度寄せられており、今月からはLINE相談も開始したところであります。
 今後も、悩みを抱える子供、若者や保護者等がアクセスしやすく、相談者に寄り添った対応を継続してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 離島航路等の事業者への支援についてでございますが、離島航路及び航空路は、島民にとっての移動手段として、また、日用品や生産物の輸送手段として島民生活に欠かせないものでございまして、着実に維持していくことが重要でございます。
 これまで都は、国とともに、各島への唯一の定期航路や航空路について、運航事業者に対し欠損額補助を行ってまいりました。
 今般、新型コロナウイルス感染症の影響で旅客数が減少していることから、今回の補正予算案で拡大する欠損額への補助を実施するとともに、高速船と大型客船の複数が運航し、国の補助対象外である竹芝─神津島間の航路についても、さらに国に財源確保を働きかけながら支援を実施してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、予算の見直しについてでありますが、都はこの間、予算の執行段階におきまして、創意工夫等により見直すべきものは見直しを行い、歳出の精査に努めているところでございます。
 現在、新型コロナウイルス感染症の対策に全力で取り組んでおりますが、同時に、さまざまな課題への対応や、将来に向けた取り組みの実行も求められておりまして、各施策につきまして必要性、緊急性を検証しながら、着実に実行していくことが重要であります。
 このため、今年度予算の見直しにつきましては、これまでの取り組みを継続しつつ、来年度の予算編成作業と一体的に検証しながら適切に対応してまいります。
 次いで、特定目的基金についてでありますが、この基金は、都政の重要な課題に対しまして、将来の財政需要に備え、安定的かつ機動的に施策を展開していくため、それぞれの目的に応じて設置しているものであります。
 今回の補正予算案におきましても、福祉先進都市実現基金を抗原検査、抗体検査の実施、医療提供体制の強化等に充当するなど、この間の新型コロナウイルス感染症対策の財源として積極的な活用を図っております。
 今後とも、多岐にわたる都政の課題に対しまして、施策を着実かつ安定的に実施していくための貴重な財源として、それぞれの目的に応じて最大限活用してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、篠崎公園の高台化の取り組みについてでございますが、篠崎公園は、発災時の避難場所や救出救助の活動拠点に指定をされており、水害時に周辺住民が直ちに避難できるよう、高台化を行うことが重要でございます。
 そのため、計画区域の大部分において高台化を図り、あわせて江戸川堤防への避難動線を確保することとしております。
 江戸川に隣接する区域では、現在、国や地元区と締結した基本協定に基づき、盛り土工事の着手に向け、埋設物等の移設に関する調整を行っております。
 また、開園済みの区域を含む柴又街道沿いの広場においては、今年度、高台化に向けた基本設計を行ってまいります。
 今後とも、篠崎公園の防災機能の強化に取り組み、安全・安心なまちづくりを進めてまいります。
 次に、江戸川を渡る橋梁整備についてでございますが、行政区域を越えた橋梁整備は、洪水や地震など災害時のリダンダンシーを確保し、避難や緊急物資輸送等を確実に行う上で重要でございます。
 千葉県境の江戸川等では、補助第一四三号線など三路線の橋梁整備に向け、共同事業者となります千葉県の協力が得られるよう、地元区とともに働きかけてまいりました。
 このうち、橋梁取りつけ部の用地取得が比較的少なく、早期着手が可能な補助第一四三号線につきましては、令和四年度の事業化に向けて道路設計を進めるとともに、スケジュール等の調整を行ってまいります。
 今後とも、千葉県や地元区と連携しながら、千葉県境の橋梁整備に着実に取り組んでまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、市場の活気を促す取り組みについてでございます。
 新型コロナウイルス感染症により市場流通にも大きな影響が出る中、活力に満ちた市場機能を確保するためには、取引の担い手である市場業者を支えることが重要でございます。
 都は、今回の感染症の影響に伴い売り上げが減少した市場業者に対しまして、使用料と光熱水費の支払いを猶予しており、今後の取引状況等を踏まえてこの措置を継続するとともに、納付に当たりましては、分割納付を初め市場業者の経営に配慮した弾力的な運用を行ってまいります。
 また、都や国の支援メニューを市場業者にわかりやすく周知するとともに、社会保険労務士等の専門家を活用した経営相談を実施するなど、市場業者の経営を支え、市場の活気を維持してまいります。
 次に、市場業者の販路開拓への支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症による影響や市場法改正など卸売市場を取り巻く環境が大きく変化し、市場取引において、その相手方として基幹的な役割を担う実需者のニーズも多様化してございます。
 こうした中で市場機能を発揮するためには、環境変化を踏まえた市場業者の積極的な対応を促進していく必要がございます。
 このため、消費動向を捉えた新たな商材の開発や、市場業者それぞれが有する強みを生かした事業連携など、販路の多角化や経営基盤の強化に向けた取り組みにつきまして、都は、感染症による影響も考慮し、活性化支援事業の補助率をさらに拡充して支援をしてまいります。
 今後とも、意欲ある市場業者の先駆的な取り組みをしっかりと後押しし、卸売市場のさらなる活性化を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 廃プラスチックの有効利用についてでございますが、事業活動から生じる廃プラスチックの国内有効利用を進めるためには、CO2削減を図りながら、新たな資源循環ルートを確立することが重要でございます。
 都は、産廃処理業者五社の参加を得て、船舶等での共同輸送により、北海道と大分県のセメント工場で有効利用を図る実証事業を先月から開始しており、あわせて廃プラ破砕設備等の補助制度の申請を受け付けております。
 また、実証事業へ新たに参加を希望する事業者との調整を進めるとともに、工場での受け入れ拡大に向けた効果的な処理や輸送方法等の検証を行っております。
 今後、廃プラスチックの処理市場の需給状況や技術開発動向を注視しながら、業界団体と連携し、循環利用の拡大に向けた新たなリサイクル手法の確立を目指してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時二十八分休憩

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