令和二年東京都議会会議録第十号

   午後三時三十分開議

○副議長(橘正剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十三番中山信行君。
〔八十三番中山信行君登壇〕

○八十三番(中山信行君) 都議会公明党を代表して質問いたします。
 新型コロナウイルス感染者は、ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、世界中で六百十六万人を超え、死者数は三十七万人に及んでいます。我が国でも感染者数は一万七千人に近づき、お亡くなりになられた方は約九百人に及んでいます。心からお悔やみ申し上げますとともに、お見舞いを申し上げます。
 さて、先ほど、新型コロナウイルス感染症に関して、本日の新規陽性者数が三十人を超えるとの報道がございました。このところ増加傾向にありましたが、三十人以上となるのは五月十四日以来であります。これを受けてどう対応するのか、小池知事の見解を求めます。
 緊急事態宣言は一月半で解除されたものの、この間、新型コロナによって多くの事業所が廃業や倒産をし、一万五千人を超える失業者が新たにふえるなど、経済的損失ははかり知れないものがあります。
 消費が激減する需要面のショック、サプライチェーンが寸断される供給面のショック、さらには終息が見通せないという三重苦を東京は断じて乗り越えていかなければなりません。
 これまでの歴史の中でも、人類は未知の感染症との闘いを無限の知恵で乗り越え、今日の世界、あらゆる分野の発展へとつなげてきました。
 第二波に備えて万全を期す一方で、新しい日常をしっかりと定着させ、まずは眼前の感染症を乗り越え、社会構造の変革や生活の工夫、デジタルトランスフォーメーションなど、新しい社会経済システムを目指していくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越えるために今定例会に提案されているのが、総額五千八百億円に上る大型補正予算であります。感染症対策としては今回の補正で五回目となります。刻々と変わる感染症拡大の影響に即応し、財源を工夫しながらの的確な対応であったと思います。
 また、我が党が申し入れてきた医療体制の強化、都民の暮らしを守る支援など、幅広い分野にわたる施策として積極的に予算化してきたことを高く評価いたします。
 今後も、感染拡大第二波にも備えた継続的な施策や経済活動の本格的な立て直しを図る支援策が必要であり、それに投入する予算の確保は感染症との闘いの帰趨にも影響を与えかねません。このため、都がこれまで培ってきた財政手法を駆使して、必要な予算を十分確保する財政運営とするべきです。
 例えば、用途は限定されているものの、三つのシティー実現に向けた合計約七千億円の特定目的基金の的確な活用や、前年度の余剰金を繰越金として次年度の歳入に組み入れている約一千億円から二千億円の剰余金の活用も十分検討するべきです。さらに、優先度の低い事業の縮小や延期措置を大胆に断行し、財源を感染症対策に振り向けていくべきです。
 この非常事態に際し、しっかりと財源を確保し、都民の命を守るための切れ目のない感染症対策を実行していくことが重要と考えます。知事の見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染にかかわる具体策について質問します。
 初めに、事業と雇用を守り抜く支援についてであります。
 先日、知事は、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップを示されましたが、一足飛びに経済活動をもとに戻すことは困難であります。
 都は、既に事業者の資金繰りや休業の協力金など緊急対策を打ち出しており、中小業者は、これらも活用し経営を維持しようと懸命に取り組んでおります。しかし、毎月の固定費が負担となっており、とりわけ家賃負担が最も重荷となっています。
 国では、事業者への賃借料助成の実施に向け、検討を進めているところではありますが、東京の家賃水準を考慮すれば、もう一歩踏み込んだ支援が不可欠です。
 このたび、国の第二次補正予算において、二兆円の地方創生臨時交付金の予算が盛り込まれました。我が党はこれまで、交付金の増額へ、知事と協力しながら強く要望を行ってきました。国の臨時交付金などを活用し、国の賃借料助成への上乗せによる支援を行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 都内中小企業者にとって、都の感染症対応融資はかなめとなる施策であり、我が党は再三にわたり取り組みの強化を求めてきました。
 それを受けて都は、既存債務の返済や利子支払いの負担軽減の観点から、制度の拡充を図ってきました。特に無利子融資について我が党は、国の制度を横引きせずに利便性の高い独自基準にすべきと指摘し、都は、利子補給融資の上限額を一億円まで上乗せしました。無利子融資に移行する前の旧制度により融資を受けた事業者も含め、多くの中小企業にこの支援を活用していただくべきであります。
 そこで、都が無利子融資を導入するまでの取り組みを明らかにするとともに、今後、旧制度の利用者に対し、無利子融資への借りかえを積極的に働きかけるべきと考えますが、見解を求めます。
 都は、我が党の休業店舗等に対する経済支援の求めに応じ、全国に先駆けて感染拡大防止協力金を実施し、緊急事態宣言延長に伴う第二弾も速やかに決定したことを評価します。
 ところが、五月末の時点では、申請の件数約十万件に対し、実際に支給できているのが約二万件と、一時期に比べ進んではいますが、申請開始から既に一カ月ということを考えれば、さらなるスピードアップが必要です。
 そこで、さまざま課題はあるにせよ、休業協力金第一弾の審査、支給業務のさらなる充実と迅速化、第二弾についても、継続や新規にかかわらず、申請の簡略化と支給の迅速化を進め、都民の不安を払拭すべきと考えます。見解を求めます。
 全国の解雇や雇いどめの件数は、二月、三月は数百件であったものの、四月は三千件近く、五月は早々と七千件を超えるなど、急激に増加しています。事実、四月以降、雇用調整助成金を活用した休業手当の支給に取り組む企業数が明らかに減っています。
 緊急事態宣言以降の自宅待機は、雇用主都合による待機指示に当たらず、休業手当の支払いは労働基準法上の義務とはならないことが原因の一つとされています。しかし、国は、休業手当を支払う企業には雇用調整助成金を支給すると、我が党の国会質問に答えています。
 都は、国の方針を積極的に周知し、四月、五月の自宅待機中も含めて、雇用調整助成金を活用した休業手当の支給を進め、より多くの企業が雇用を維持していけるよう注力すべきです。
 加えて、我が党はさらに、申請書類の簡素化や助成率の引き上げ、申請に際しての専門家の活用、事業所へのインセンティブの付与などを推進し、実現に結びつけました。都は、改善の内容を積極的に周知するべきと考えます。あわせて知事の見解を求めます。
 都の職業訓練能力開発センターは、緊急事態宣言によって中断されていた訓練を速やかに再開していますが、感染症によってもたらされた新たな課題にも積極的に対応していく必要があります。
 コロナの影響による長期の自宅待機や転職なども、これを好機と捉え、就職や人生設計に有利な技術や資格の習得に取り組むことは、大変有益な逆転の発想であります。
 そこでまず、都は、職を失った都民向けの訓練に加え、会社に在籍する従業員向けの訓練をオンラインで行えるよう対応するべきと考えます。
 加えて、都は、我が党の要望に応え、訓練費や訓練中の生活費の補助を受給できない都民に対して、手厚い支援策を展開してまいりました。生活困窮者に制度内容をPRするなど、職業訓練の取り組みを積極的に展開すべきであります。あわせて見解を求めます。
 感染症の影響により、今後の就職戦線は、来春に卒業を予定している若者などにとっては極めて厳しい状況が予想されます。
 しかし、あの就職氷河期世代のような悲劇を再び繰り返してはなりません。求職側、求人側の双方に寄り添って、都が雇用、就労の新たな取り組みを開始するべきと考えます。
 また、この間、多くの学生はコロナ禍により大学と十分に連携を図れず、就職活動に必要な情報やアドバイスの不足に直面してきました。この点でも都による支援が必要です。
 加えて、アルバイト先の休業などによって多くの学生が学費や生活費を賄えず、学業の継続が困難となっています。学生のアルバイト先の確保に向けた支援を行うべきです。あわせて知事の見解を求めます。
 外出自粛が続き、家庭ごみの排出量が増加し、エッセンシャルワーカーである清掃作業員の方の感染リスクが懸念されています。区市町村と同様にごみ収集を行っている委託業者や資源回収業者、病院等の廃棄物を扱う産業廃棄物処理業者からは、感染予防に必要なマスクなどの保護具等の調達が難航し、不安を訴える声が寄せられています。
 今回、都が発表した緊急対策事業は、現場の声を踏まえた我が党の緊急要望に応えるものとして評価します。
 都は、感染症の流行を踏まえたごみの出し方などの清掃事業者の安全対策について、改めて都民への情報発信を強化するとともに、現場のニーズに合った支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 都は、ことしの第一回臨時会で成立した補正予算の中で、タクシー、ハイヤーや観光バス向けに、運転席と後部座席とを隔離する飛沫感染防止への補助を打ち出しました。
 一方、路線バスは観光バス以上に乗客と運転士との会話の機会が多く、飛沫感染防止の取り組みが必要です。透明ビニールシートなどでの応急的な措置が実施され始めていますが、アクリルボードなどによる恒久対策の必要性を感じ始めている事業者の声もあります。
 路線バスの運行を担う運転士も大事なエッセンシャルワーカーであり、乗客とあわせて、その安全は最大限に保護されるべきであります。路線バスに対しても飛沫感染防止の取り組みを促進するべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都民の暮らしを守る支援策について質問します。
 感染拡大で経済的に逼迫する都民を救う手だての一つが、社会福祉協議会による緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付です。
 我が党の要請に応えて、国は、貸付上限額、据置期間、償還期限の優遇や無利子、無保証の拡大などで大幅な改善を実施しました。非常に好評であるため、区市町村社会福祉協議会の窓口が混雑しており、郵送受け付けや労働金庫などの窓口拡充が進められています。
 一方、審査、決定を担う東京都社会福祉協議会では、一日当たりの取扱件数が当初は五百件程度でありましたが、現在では一日三千件までふえています。貸付原資としても、五月七日の専決処分で三百三十七億円、今回の補正予算案で五百七十四億円が計上され、枠組みが大幅に拡充されています。
 そこで、我が党は、四月二十二日の知事緊急要望で、事務処理体制の強化を求めたところであります。支援を必要としている都民には非常に重要な事業であり、さらなる周知と、より迅速に融資が実行されるよう、体制拡充を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、感染症の流行に対応する住宅政策について質問します。
 住まいの確保は暮らしの根幹です。インターネットカフェで寝泊まりをしていた方々は、緊急事態宣言に基づく休業要請によって住む場所を失い、その受け皿としてホテルなどを提供しているのがTOKYOチャレンジネット事業であります。
 都議会公明党は四月の臨時会で、このチャレンジネット事業が都内在住六カ月以上の方を対象としている点を課題として指摘し、六カ月未満の方への支援を強く求めました。
 これを受けて都は、都内での生活期間が六カ月未満の場合であっても、東京都健康プラザハイジアが窓口となっている支援事業の対象に加えることといたしました。
 また、我が党の求めに応じ、ビジネスホテルに加え、民間住宅や都営住宅を確保し、都民の安全な生活に寄与するとしています。
 今後は、チャレンジネットを利用された方が、コロナ禍の終息にめどが立つまでの間、適切な支援を受けられるようにするべきと考えます。
 そこで、これまでの支援策の実施状況と拡充について見解を求めます。
 三年前にスタートした東京ささエール住宅制度について、我が党は提言を重ねてまいりました。今回も都は、我が党の求めに応じて、家計への新型コロナの影響に対処するべく、家賃の低廉化を図る補助の拡充を打ち出しており、評価いたします。
 この補助の拡充については、感染拡大による影響の長期化に備えて、余裕を持った期間設定を行い、より多くの賃貸住宅で新たな登録が進むよう配慮すべきと考えます。
 加えて、東京ささエール住宅制度を通じたコロナ対策の普及には、都内区市の協力が不可欠です。そのためにも、区市の負担増を最大限に抑えつつ、都補助の拡充を果たすべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 東京ささエール住宅制度への登録の促進を図るため、都は今年度から、我が党の要望に応え、貸し主と不動産事業者に報奨金を支払う制度を開始しています。今後は、これに加え、住宅の魅力向上につながるような設備の導入を図ることが登録の促進につながるものと考えます。
 Wi-Fiなどの通信環境や宅配ボックスなどの生活利便性への配慮、ヒートショックを防止する設備、防犯や省エネ機能の向上などを通じて、東京ささエール住宅の付加価値の増強を図るとともに、制度の普及に努め、一層の登録につなげていくべきです。見解を求めます。
 保育所などが、エッセンシャルワーカーのお子さんに限らず、広く保育活動を再開していくためには、保育活動の実態に即した三密解消への支援が必要です。とりわけ密接状態になりやすい遊戯の時間帯などでの工夫が必要であるほか、きめ細かな消毒にも人手が必要です。
 そこで、都は、必要な臨時職の雇用の増強を図るための支援に取り組むべきです。
 加えて、高齢者や医療的ケアが必要な家族が同居する場合などでは、感染リスクから、保育所の再開後も通園を控えたいと考える保護者も出てくることが予想されます。
 また、勤め先によっては今後もテレワークを続ける必要があるなど、通園家庭の事情もさまざまであり、それに対する保育所の反応も、三密回避の観点から通園の自粛を求めるなど、さまざまであります。
 そこで、都は、感染リスクや在宅ワークなどが理由で通園が困難となっている家庭に対しては、保育所の再開後もベビーシッターの活用が可能となるような工夫を凝らしていくべきと考えます。
 加えて、その際には、現在の制度では六月末が期限となっているベビーシッターの活用の延長を図るべきです。あわせて見解を求めます。
 現在、都が保育所に対して行っている事業に、保育サービス推進事業があります。保育所が在園児以外の地域の子育て家庭に対し、地域貢献としてサービスを提供する事業であり、実施する保育所には都の運営費が加算されます。育児不安の軽減や出産を迎える親の体験学習、保育所体験などが盛り込まれており、虐待防止にもつながります。
 しかし、こうした事業は、来園し対面で行われるのが原則であるため、現在は全てが中止です。事業者からは、親が地域でのつながりから離れて孤立し、ますます不安を抱えることになるのではないかと心配の声が上がっています。
 こうした課題を解決するため、保育所が行うオンラインでの支援を加算の対象に加えるべきです。見解を求めます。
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、妊婦の方の多くが感染への不安を抱えながら働かざるを得ない状況となっています。
 国は五月、男女雇用機会均等法に基づく母子健康管理の措置として、新型コロナウイルスの感染に不安を抱えて働く妊婦が、短時間勤務や勤務内容の変更、在宅勤務、休業などを、医師や助産師の指導を得て勤務先に求めた場合には、これを認めることを企業に義務づけました。
 さらに、国は、公明党の要望に応え、新型コロナウイルス感染症への不安から休業する妊婦のための補填の仕組みを設け、特別な強化を認める企業に対して、一社当たり最大二百万円を助成するとしています。
 都としても、妊娠中の方が休業を希望する場合には積極的に企業が応じられるよう、事業主に対し国制度を周知するとともに、都としても支援すべきと考えます。見解を求めます。
 また、国の新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業を踏まえ、都として、不安を抱える妊婦への分娩前のPCR検査の実施や里帰り出産が困難な妊産婦への支援など、対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 感染拡大の影響が生活問題にまで及び、社会の屋台骨である年代層や若者の自殺リスクが高まっています。相談業務にかかわる相談員や職員が、政府及び都が行う各種支援策の一覧を活用して、情報をわかりやすく伝えていけるよう支援することが重要です。
 また、感染の危険性が低い非対面型相談事業であるSNS相談や、こころといのちのほっとライン等の強化を図るとともに、相談員の感染防止が必要です。
 都は、区市町村や関係機関と協力して、自殺対策と各種支援策の連携を図り、対策に万全を期すべきです。知事の見解を求めます。
 長期休校期間中に発生したSNS等を使ったいじめに対処するとともに、休み明けの自殺リスクに対しても万全の策を講じていくべきです。
 また、家庭内での虐待リスクも踏まえ、学校と保健所、児童相談所等が連携して、子供からのSOSを迅速かつ確実に受けとめて支援につなぐことが重要です。
 そこで、非対面型相談事業であるSNS相談や教育相談一般、いじめ相談ホットライン等を強化するべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 昨年秋、東京は相次ぐ台風や風水害によって多くの都民が被害に遭いました。出水期の風水害に加えて、最近頻発している地震にも警戒が必要であります。
 都は、新型コロナ禍における自然災害との複合災害について、避難方法や避難所のあり方などの対処方針とともに、実際に避難所を開設する際のわかりやすいガイドラインを示すなど、早急な取り組みが必要と考えます。見解を求めます。
 また、避難所における三密を回避する観点から、都は、都立施設を積極的に活用するとともに、ホテル、旅館などの宿泊施設の確保、調整に取り組むべきです。
 そして、コロナ禍における複合災害時の避難所の確保に向けて、区市町村と連携した取り組みを進めるべきです。見解を求めます。
 また、我が党は昨年の第四回定例会の代表質問で、都営住宅の空き室等を活用した水害時の避難機能の強化を提案していたところであります。豪雨期を前に進捗の成果を明らかにすべきと考えます。見解を求めます。
 さきの定例会において、我が党は、災害時に対応できる人員体制を強化する観点から、非常勤職員の活用について質問し、都は、災害時における業務内容を検討すると答弁していました。
 災害時対応に際して事故などにより負傷した場合には、非常勤職も常勤職と同様に、公務災害補償の対象となります。その上で、災害時の対応をあらかじめ明文化して準備しておけば、公務災害の発生を予防できるだけでなく、災害時の混乱の回避にもつながります。
 そこで、非常勤職員の災害時対応について、都は、想定される業務を示すことなどを通し、都庁各局や各区市町村に対して実効性のある取り組みを促すべきと考えますが、見解を求めます。
 指定管理者制度を導入している施設では、指定管理者側が担うべき役割が協定書に明記されており、その費用は協定内容に応じた金額になっています。しかし、災害時に帰宅困難者や避難者を一時的に受け入れる施設では、災害時の運営や避難者への対応は全て指定管理者が担うことになります。
 ある指定管理事業者によると、昨年の台風十九号以来、負担感という点で、従来とは全く異なる業種になったと実感しているとのことでありました。
 災害時における指定管理者の積極的な対応を促すためにも、災害時に指定管理者がとるべき対応を協定書に明記すること、災害対応に必要な設備改善や備蓄増に努めること、災害時対応に見合う人件費の単価増を図ること、災害時に発生した追加対応への支払いに柔軟に応じることなどへの善処が必要です。
 加えて、平時からの備えとして、指定管理者による損害賠償責任保険契約への加入促進を図ることも重要です。あわせて見解を求めます。
 高齢者の積極的な社会参加のために、シルバーパスが果たしてきた役割は大変に大きいといえます。コロナによる影響が続く中にあっても、病院や買い物など、シルバーパスは高齢者の移動支援策として必要です。毎年九月に約四百七十会場で更新の手続が行われますが、三密が懸念されています。
 そこで、郵送による手続を検討すべきと考えます。加えて、郵送で一斉更新を図る際には、わかりやすい案内とすべきです。さらに、多様な媒体を活用した広報に力を入れるべきと考えます。これら三点について、都の見解を求めます。
 あわせて、都が実施したシルバーパス利用者実態調査をもとに、より一層利用しやすい制度として拡充していくことを求めておきます。
 次に、修学旅行のキャンセル料支援について質問します。
 都議会公明党は三月の予算特別委員会において、新型コロナウイルスの影響で修学旅行の中止が相次いでいる中、保護者負担が発生するキャンセル料について負担軽減を図る支援策を講じるべきと質問しました。
 四月に成立した国の補正予算において、修学旅行の中止や延期に伴うキャンセル料等への予算が盛り込まれたところでありますが、こうした国の予算も活用し、都としてもキャンセル料の保護者負担を軽減する支援を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違いによる悲惨な交通事故を踏まえ、都は、都議会公明党の要請を受け、七十歳以上の高齢者への安全運転支援装置の購入、設置を補助する制度を昨年夏から推進してきました。
 具体的には、ことし八月三十一日までは九割を都が補助し、九月一日からの補助割合は五割となっています。しかし、昨年秋の台風被害に加えて、感染症の流行による外出自粛などもあって、せっかくの支援策が行き届いていない実態があります。
 また、八丈島など地域によっては、最近になってから協力事業者の手が挙がり、この支援事業が始まったばかりの状況にあります。
 そこで、都は、高齢者の運転をサポートし、交通事故から都民の命を守る本事業の利用を促進するとともに、九割補助期間の延長を検討すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療、介護、福祉へのさらなる支援策について質問します。
 まず、感染のリスクと隣り合わせの中で、命を守る業務に取り組んでおられる全ての医療従事者の皆様に感謝と敬意を表したいと思います。
 医療従事者支援として、都は四月から、感染者の診察や治療に携わる関係者への特殊勤務手当や深夜勤務等に伴う宿泊経費の補助等を支援し、今回の補正予算案でも引き続き同規模の手当の予算を計上しています。
 医療従事者の中には、直接の感染症対応部門ではない診療科に勤務していても感染症患者等の受け入れを応援することもあることから、やむを得ず自己負担でホテル等に宿泊している方もいます。こうした医療従事者も宿泊支援の対象とすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 さらに、感染リスクと常に隣り合わせの業務に携わっている東京消防庁の救急隊員への支援も必要です。
 専用の特殊救急車で感染者の移送業務を担うほか、普通救急車による搬送でも、結果として新型コロナウイルスの感染者であったことが後でわかるなどの事例も発生しています。しかし、医療従事者の特殊勤務手当のような制度はありません。配慮すべきと考えますが、消防総監の見解を求めます。
 都は、陽性患者の受け入れ体制を拡充する中で、我が党の要望に応え、ホテルを確保し、軽症者等の受け入れを進めました。
 一方、重症者への対応は、ICUなどの医療設備や医療スタッフの十分な確保など、手厚い対応が必要です。新たな感染者が減少している今こそ、次の大きな感染再流行に備え、重症者や中等症の患者受け入れの体制を万全にしておく必要があります。
 そのために、ICUのさらなる拡充を図るとともに、診療の効率化を図るため、都内の医療機関について役割分担を明確にしておくべきと考えます。
 さらに新たな取り組みとして、都内に新型コロナ専用病院を開設し、中等症の患者を重点的に診療するなどして、重症者の病床を圧迫しない体制づくりを早急に進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 WHO、世界保健機関は、ヨーロッパで新型コロナウイルスの感染により亡くなった人の半数近くが長期滞在型の介護施設の入所者であると指摘しています。アメリカでも高齢者入所施設での死亡が全体の四割を占めているとされています。
 東洋大学の早坂聡久准教授は、日本でも高齢者施設での感染や死亡がさらにふえていくおそれがあると指摘しています。
 厚生労働省は、高齢者施設での感染及び死亡者の数を発表していませんが、共同通信の配信では、五月八日現在で、国内の高齢者入所施設で、入所者と職員で合わせて七百人が感染し、うち七十九人の入所者が亡くなっています。介護の現場は三密、濃厚接触が避けられず、一たび感染者が出ると一気に広がり重症化するおそれがあります。
 このため、介護事業者は、感染拡大の防止に細心の注意を払っていますが、マスク、手袋、ゴーグルやフェースガード、エプロン、ガウン、消毒剤等が不足し、入手困難な状況に置かれています。
 また、介護職員を確保するための手当や、通所介護事業者が訪問サービスに取り組む際の車両の購入やリースなど、新たな負担が必要となっています。
 そこで、介護崩壊を防ぐためにも、介護事業者に対し十分な支援策を講じるべきです。見解を求めます。
 緊急事態宣言のもと、障害者が通う就労継続支援施設では、A型、B型の違いを問わず、十分な感染防止への配慮を条件に、請負作業の継続が認められてきたところであります。
 しかし、感染への危惧などから、グループホームなどの居住施設側の判断で欠勤する利用者が多く、加えて、就労継続支援施設の側としても、三密を避けたフォーメーションを組む必要があるため、納期を守れない事例がふえています。
 今後もこうした傾向は一定期間続くものと思われ、都は、作業を依頼する発注者側に対し、格別の理解と配慮を求める周知を積極的に行うべきと考えます。
 加えて、発注者と作業を請け負う支援施設の双方にとってストレスの少ない受発注や納品が進むよう、都は、区市町村と連携して取り組むとともに、必要な際には広域でマッチングを担うなど、受発注の調整に努めるべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 感染が懸念されたことによる欠勤は、体調不良による欠勤ではないため、国は通所による作業を居住施設内での内職に切りかえて、工賃支払いの対象とすることを認めています。
 しかし、支援施設への欠勤イコール体調不良と捉え、利用者本人や支援事業者側の意向には応えようとせずに、居住施設での内職を認めないグループホームの事例があったと伺っています。作業所への出勤や欠勤を体調のよしあしと結びつける認識が固定化していることが原因とも考えられ、都による是正が求められています。
 加えて、就労継続支援A型の作業所は雇用契約が基本であり、雇用調整助成金の活用が可能です。しかし、都内のA型作業所の中には、利用者が求めても雇用契約を締結しない場合や、雇用契約を締結していても雇用調整助成金に結びつかない事例も見られます。
 都は、雇用調整助成金の活用が進むよう、制度の周知や課題の改善に取り組むべきです。あわせて見解を求めます。
 都は、文化のともしびを絶やさないため、アートにエールを!東京プロジェクト事業を立ち上げました。
 このプロジェクトは、感染拡大を防ぐためにイベントなどが中止となり、自粛せざるを得ないアーティストに、ウエブ上で配信する作品を募集し、都民が文化芸術に触れる機会を提供するというものであります。
 五月十五日に応募受け付けを開始しましたが、夕方六時までに一万六千人を超える応募があり、当初予定していた四千人を大きく上回る状況となりました。都議会公明党は、想定数を超えた希望者も参加できるよう適切な対応を都に要望し、補正予算案に都はプロジェクトの拡充費用を計上しています。
 一方、このような支援は大変ありがたいが、近隣への配慮から、自宅で演奏するのが困難などの理由で参加できないとの声や、やはり舞台等でパフォーマンスを見せたいとの要望も多く聞いております。
 また、ホール等の運営事業者や舞台等の裏方で働くスタッフにも厳しい影響が広がっており、支援の強化が必要です。
 都は、現在のプロジェクトの募集枠を拡大するとともに、今後、新型コロナウイルス感染症対策の段階に合わせた新たな支援を行うには、こうした視点を踏まえるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、例えば子供たちは在宅を余儀なくされる事態となるなど、さまざまな社会的課題が生じています。NPO法人や社会的な企業家と呼ばれる事業者の方々の中には、こうした新たな社会的課題の解決に積極的に取り組もうとする動きがあります。
 しかし、事業活動において制約を受け、資金調達など法人経営においてさまざまな面で困難に直面しているのが実情であり、都議会公明党はそうしたNPO等への支援の必要性を指摘してきました。
 現在の極めて資金繰りが厳しい事業環境下にあっても、社会的な課題の解決を図るソーシャルビジネスに積極的に取り組もうとしている、意欲あるNPO等の事業者を後押しするため、都はしっかりと支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。
 今回の感染症による影響を一つの嚆矢として適切に環境を整えていけば、新たなビジネス分野の伸展につながります。
 特に、第四次産業革命と呼ばれるデジタル技術の活用は、ECサイトでの販売やVR、オンラインサービスの提供などの新しい業態に取り組むための効果的な社会基盤、新しい産業インフラとなるものであり、誰もが急速に売り上げを伸ばすチャンスをつかむことを可能とします。
 感染リスクに直面する中、こうしたデジタル技術などを活用しながら、新たなビジネス環境の構築に積極的に踏み出す中小企業を都として支援していくべきと考えます。見解を求めます。
 事務所や店舗での従前に近い活況を可能にしていくためには、三密の解消が欠かせません。
 店舗などでは、客席の距離の確保や透明ボードなどで飛沫を防ぐ取り組みが始まっています。さらには、窓や裏口などを開放し、風通しの改善を図るほか、換気装置を導入するといった事例も見られています。営業中の店舗のレイアウト変更であれば、数万円の経費で一定の効果を上げることも可能と聞きます。
 国は、我が党などの推進により、レイアウト変更などの助成や高機能換気設備の導入助成を打ち出しています。これらの制度の活用を促す意味でも、国制度と併用して利用できる三密解消の取り組みの呼び水ともなる助成制度を都として整えるべきと考えます。見解を求めます。
 三密解消の取り組みが求められているのは、店舗等の事業者だけではありません。イベントなど多くの人が集まる事業を担う中小事業者は、今後、段階的に開催規模を拡大させていく上で、三密を避ける効果的な方法を考えていかなければなりません。具体的な手法をつくり上げるには、新しい生活様式に対応した先進的な事例を参考にする必要があります。
 このため、中小事業者がイベントなどを行う場合に、三密を避けながら新しい生活様式に対応したモデル事業を都が後押しすべきと考えます。見解を求めます。
 新型コロナウイルスという目に見えない敵と直接勇敢に闘ってくださっている医療従事者への感謝とエールを送るメークイットブルーの運動が世界中に広がっています。都は、こうした医療機関や従事者等を支えるために、国の支援策に加え、都独自の取り組みも展開していることを評価します。
 一方、医療機関関係者からは、コロナ患者を受け入れることによって、他の患者の不急の手術を延期したり、外来や救急の受け入れを制限せざるを得ないため、病院の経営に影響が出ているとの声が寄せられています。
 とりわけ新型コロナ患者が急激に増加していった二月から三月にかけての医療機関での必死の対応に対しては、前年度会計内のため現行の支援策が及びません。
 そこでまず、今回の補正予算に計上されている医療従事者に対する特殊勤務手当への支援ですが、都立、公社病院職員は、武漢からのチャーター便を受け入れた一月二十四日時点にさかのぼって措置される一方で、民間病院へは四月一日までしかさかのぼらないことになっています。こうした支援は、公や民間の格差があってはならず、民間病院についても、患者を受け入れた時点から支援するべきと考えます。
 加えて都は、新型コロナ患者を積極果敢に受け入れた医療機関の経営状況の実態を踏まえて、さらなる支援策を講じるべきと考えますが、あわせて知事の見解を求めます。
 さらに、非常事態の中で医療機関が経験した貴重な教訓やノウハウ、人材育成、医療用具の備蓄などの課題を整理し、ガイドラインとして今後に生かしていくべきと考えます。見解を求めます。
 また、今後の対策を迅速かつ柔軟に行えるよう、基金を積んでいくべきと求めておきます。
 学校教育の再開に当たっては、感染防止の方針に沿った三密の対策のもと、分散登校や分散通園などを経て、安心できる再開の体制を急ぎ整える必要があります。
 グループを分けた授業や校内活動を実施する上でも、指導する教員の増員が必要であり、さまざまな校内活動に応じた学校内の消毒の実践には、教員以外の人員の確保も求められます。都教育委員会の見解を求めます。
 また、学校再開後も感染リスクから子供を学校に登校させたくないと考える保護者などの個別事情について、一定期間は区市町村の教育委員会と連携して丁寧に対応し、これまでのオンライン学習の進展の成果を生かすべきと考えます。
 感染のおそれから登校できない児童生徒への学習保障について、都教育委員会の見解を求めます。
 現在、洋式化工事が段階的に取り組まれつつある各学校のトイレにおいて、衛生面への配慮から、手洗い用の水道蛇口を自動水栓に取りかえていく取り組みも大事な課題となってきます。我が党は昨年度末の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、都としての善処を求めたところであります。
 トイレの手洗い用の水道蛇口の自動水栓型への切りかえを促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、学校トイレの洋式化工事でありますが、令和二年度が東京都の補助期限とされています。しかし、各学校では、夏季休業期間の短縮等によって授業を実施するなどの対応を予定する事例が多いと聞いております。このため、夏休みに予定していた改修工事を延期せざるを得ない学校がふえています。
 そこで、こうしたケースについては、来年度も補助金を受けられるように期限を延長すべきと考えます。見解を求めます。
 ポストコロナの社会構築に向けて、社会のあらゆる場面でデジタルトランスフォーメーションを進める必要があるなど、これまでの常識も大きな変化を余儀なくされています。
 一方で、大きな変革期にあるからこそ、変化させてはならない価値をしっかりと見きわめることもまた重要です。誰ひとり取り残さない包摂的な社会をつくっていくというSDGsの理念は、これからも変わらず都政が目指すべき目標であります。
 例えば、感染拡大の脅威の中にあっても、オンライン教育の導入により、多様な教育の機会の創出を一層進め、障害者や高齢者の介護などでも、生活に必要なサービスが途切れることのない社会の実現を図るべきです。
 そこで、都の予算編成において、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図り、新しい日常を定着させるとともに、SDGsの視点から都の事業を整理し、東京の未来をつくる取り組みを推進していくべきと考えますが、知事の決意を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山信行議員の代表質問にお答えをいたします。
 冒頭お尋ねがございました本日の新型コロナウイルス陽性者に関してでございます。
 本日の陽性者数は三十四人に上りまして、他のモニタリング指標もこの数日厳しくなっております。
 この数値を受けまして、東京アラートを発することも含めまして、専門家の意見も踏まえて早急に検討してまいります。このアラートは、都民の皆様に東京の感染症拡大の状況をわかりやすくお伝えするものでございます。
 現在のステップを直ちに変更するものではありませんが、より一層、外出、特に夜のまちへのお出かけを控えていただくことなど、お願いしていくものでございます。
 次に、新たな社会への取り組みについてのご質問がございました。
 ご指摘のとおり、人類は長きにわたる歴史におきまして、多くの感染症を乗り越えて今日までの発展を続けてまいりました。
 また、我が国は二度のオイルショック、公害問題など、負の経験もばねにしながら、環境、省エネルギー技術を研ぎ澄ましてまいりました。危機を乗り越えて未来につなげる、これまでも幾度となく発揮されてきた日本の底力で、この難局も必ずや乗り越えられるとの確信のもとで、都は、第二波への備えや新しい日常の定着に向けた取り組みを果敢に進めてまいります。
 具体的には、都内全域におけます検査体制の充実、病床及び宿泊療養施設の確保、院内感染防止対策の強化などを着実に進めるとともに、感染拡大を防ぐ新たな習慣を根づかせることで、この見えざる敵に何としても打ちかつ決意でございます。
 そして、その先に何を目指すのか。この間、浮き彫りとなりました東京の課題を克服すべく、デジタルの力を最大限に活用して人の生活の質を高めるデジタルトランスフォーメーションの加速、テレワークのさらなる定着、オンラインによる教育、医療の推進など、より暮らしやすく、働きやすく、学びやすい、さらに一歩進んだ未来を目指さなければなりません。ポストコロナも見据えまして、東京の構造改革に向けた検討を進めていくなど、常に活力に満ち、発展を続ける都市へとさらなる進化を遂げるべく、道を切り開いていきたいと考えております。
 次に、感染症対応の財政運営についてのご質問であります。
 国の緊急事態宣言は解除されたものの、有効な治療薬やワクチンが実用化されない限り、ウイルスとの闘いはまだまだ続いており、今後も感染症防止と経済社会活動の両立を図ることが必要となってまいります。
 このような状況におきまして、都民の命を守り、そして都民の暮らしを守るために財源を確保し、必要な施策を途切れることなく実行していくことが知事としての私の責務でございます。
 この定例会では、財政調整基金に加えまして、福祉先進都市実現基金なども活用しながら、感染拡大防止協力金の支給や、抗原検査、抗体検査の実施、中小企業制度融資のさらなる拡充、学校再開に向けた感染症対策などを盛り込んで、総額約五千八百億円の補正予算を提案しているところでございます。
 今後も、都として課せられた使命を確実に果たしていくために、決算剰余金の活用はもとより、基金や都債といったこれまで培ってきた財政の対応能力を最大限に発揮をするとともに、予算執行段階での一層の創意工夫を行うなど、財政運営にしっかり目を配りながら、東京の経済、都民の暮らしを全力で守り抜いてまいります。
 次に、家賃に対する支援についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、都内の多くの中小企業は売り上げが急減し、経営が大変厳しい状況にあります。
 こうした中で、国は、売り上げが減少した事業者に対しまして、半年分の家賃の一部を給付する全国一律の支援とともに、地域の実情に応じた地方自治体の独自の取り組みを地方創生臨時交付金で支援する方針が打ち出されています。
 家賃の水準が高い大都市では、影響はとりわけ深刻です。臨時交付金は、こうした実態を踏まえた配分が必要であって、お話にありましたご協力もいただき、先日、私みずから国に対して要望を行ってまいりました。
 家賃の支援につきましては、国の財源をしっかり活用しながら、国の施策と連携した効果的な支援策について早急に検討してまいります。
 次に、雇用調整助成金の活用促進についてのお尋ねであります。
 新型コロナウイルス感染症により企業経営は厳しさを増しております。雇用環境にも深刻な影響が及ぶ中で、働く方々の雇用の維持は喫緊の課題でございます。
 都は、こうした状況を踏まえまして、緊急の労働相談窓口を設置し、派遣労働者の雇いどめや休業時の賃金の支払いなどの問題に対する助言を行うとともに、雇用調整助成金の申請手続のサポート、さらには助成金の決定を受けた企業が雇用環境整備に取り組む際の奨励金の支給など、さまざまな対策を講じております。
 一方、国におきましても雇用調整助成金について申請書類の簡素化を初め、助成率や上限の引き上げ、さらには支給対象要件の拡大など制度の拡充が図られております。
 都としましては、拡充された雇用調整助成金が効果的に活用されますように、中小企業団体等に広く働きかけるとともに、助成金の対象要件や申請手続などをわかりやすく解説するオンラインセミナーを新たに実施いたします。
 また、助成金の活用を図りながら雇用を維持した企業の事例をホームページで発信、PRするなどの取り組みもあわせて行ってまいります。
 国とも連携しながら、これらの取り組みを進めることによって、全力を挙げて働く方々の雇用を守ってまいります。
 次に、大学生の就職活動などへの支援に関してでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、新規の採用を取りやめる企業や説明会を中止する企業が出ていることに加えて、大学などの休校によって就職活動を支援するキャリアセンターも十分に利用できない状況にあるなど、来年度の就職を目指す新卒者は現在極めて厳しい事態に直面をしております。
 次世代を担う新卒の若者を第二の就職氷河期世代とすることなく、個性や能力を生かした職につけるよう支援することは、今後の東京の持続的な成長を図る上で重要です。
 このため、都は、新卒者の就職活動を支援する専用のウエブサイトを立ち上げまして、キャリアカウンセリングや就職活動セミナー、企業説明会などのサービスをオンラインで提供する新たな雇用、就業支援を展開してまいります。
 また、大学等に対しましては、こうした就活ウエブサイトの活用を働きかけるなど、新卒者の支援について連携して対応してまいります。
 あわせまして、大学生が学業と生活を両立していけるように、SNSを活用したアルバイト探しの相談を行い、また業態の転換によって新たにオンライン授業を行う学習塾などの求人を開拓してマッチングを図ります。
 こうした感染の防止に配慮した支援策によって、大学生の就職活動等、全力で後押しをしてまいります。
 続いて、自殺対策についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症への対応による経済的なダメージは生活に大きな影響を及ぼしており、生活困窮などを原因とする自殺リスクの高まりが懸念されております。
 自殺リスクを抱える方を支援するためには、福祉、医療、経済、教育等の多様な分野が幅広く連携をして、自殺対策を推進することが重要であります。
 都におきましては、相談機関に新型コロナウイルス感染症に関連する各種支援策の情報を提供しております。
 また、感染症の流行に伴う心理的不安に対応するために、今月からSNS自殺相談と深夜、早朝時間帯などにおける電話相談の回線数や相談員をふやしまして、相談者の悩みに応じて支援策を案内しております。
 さらに、区市町村や関係団体が相談事業を実施する上で、相談員の感染リスクを最小限にするように、感染防止策の徹底についても周知をいたしております。
 引き続き、区市町村、関係団体、民間団体と連携しながら、新型コロナウイルス感染症による影響を把握して、具体的な対策の検討を進めて、自殺対策に全力で取り組んでまいります。
 今後の医療提供体制の確保についてのお尋ねでございます。
 東京は、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症によって、かつて経験したことのない闘いの中におります。
 都民や事業者の方々にご協力をいただいて、国による緊急事態宣言の解除には至りましたが、安心して経済社会活動を維持できるよう、今後予想される第二波に備えて、医療提供体制を強化する必要がございます。
 都はこれまで、患者の重症度に応じた病床を確保するほか、軽症者を受け入れる宿泊療養施設を順次開設してまいりました。
 これに加えまして、感染者が増加して重症者の病床が逼迫する事態となった際に備えて、中等症の方向けの臨時的な専用医療施設を新たに確保するため、準備を開始いたします。
 あらゆる事態を想定しまして、万全の医療提供体制を確保して、東京の総力を結集して、この難局を乗り越えてまいりたいと考えております。
 アートにエールを!東京プロジェクトについてのご質問であります。
 芸術文化は人々の創造性を育み、暮らしに安らぎや潤いをもたらすもので、東京の魅力の源泉でもございます。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響で芸術文化に携わる多くの方が活躍の場を失っており、こうした方々への支援は重要でございます。このため、都は、アートにエールを!東京プロジェクトを行うことといたしました。
 そして、先月、自宅等で動画作品を制作するアーティスト等の個人を対象に募集を行ったところ、予定を大幅に超える申し込みがございましたため、募集人数を四千人から二万人に拡大いたします。
 今後は、感染症対策の段階に応じて劇場、ホールなどが再開されてまいりますことから、こうした施設を利用して、無観客や入場制限で開催をして、一定期間、動画を無料配信する公演に対して、一公演につき二百万円を支援する新たな取り組みを行います。
 新たな取り組みで、アーティストやクリエーターだけでなく、音響や照明、舞台監督などの技術スタッフ、さらには劇場、ホール等への支援にもつなげまして、東京の芸術文化の担い手を広く支援してまいります。
 医療機関への支援策についてでございます。
 中国武漢市での患者発生に端を発しました新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界各地へと広がりました。
 我が国におきましても、政府チャーター機による帰国者の受け入れ、横浜港のクルーズ船の対応など、一月、二月から多くの医療機関が患者を受け入れるなど、感染症診療の最前線で対応いただいたものであります。
 新型コロナウイルス感染症との闘い、既に数カ月にわたっております。現場で懸命の努力をしていただいている医療従事者の皆様には、ただただ感謝の言葉しかございません。
 都といたしましては、こうした実態も十分に踏まえまして、医療従事者に対する特殊勤務手当の支給や、新型コロナ外来に対する支援等につきまして、実際に対応を行っていただいた時期にさかのぼって支援の対象とするなど、都民の生命を守る医療機関をしっかりと支えてまいります。
 ポストコロナの予算編成についてのご質問がございました。
 世界は今まさに新型コロナウイルス感染症との闘いの最中にあります。百年に一度ともいわれるこの感染症の脅威を乗り越えるべく、都は、第二波に備えました医療提供体制の強化や、都民、事業者のセーフティーネットの充実とともに、感染症防止と経済社会活動とが両立をいたしました新たな社会の構築、すなわち新しい日常の定着に向けまして、今なすべき取り組みを果敢に推し進めております。
 新しい日常を定着させ、東京の未来をつくるためには、デジタルの力で人の生活の質を高めるなど、社会の変革を進める取り組みも重要でございますが、変革を進める中にありましても、誰ひとり取り残さないSDGsの視点を踏まえまして、共生社会の実現にも取り組んでいくことが重要であります。
 今後の予算編成におきましては、こうした観点から、改めて都の取り組みを整理いたしまして、施策をより磨き上げることで、未来の東京を力強く切り開いてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、学校の休業に伴う子供の心のケアについてでございますが、年度末や年度初めの重要な時期に、長期間の休業によりまして学校に通えないという、これまで経験したことのない状況の中で、子供たちは大きな不安を抱えながら過ごしてきたところでございます。
 そうした子供たちを支えるため、都教育委員会は、教員による子供への定期的な連絡を通した状況把握や、福祉等の機関との連携など、学校での取り組みの徹底を図ってきたところでございます。
 さらに、スクールカウンセラーの派遣回数をふやし、子供や家庭への支援を強化いたしました。
 また、学校再開直後は、友人関係など新学期に生じやすい悩みに加えまして、学習についていけるかという焦りや感染へのおそれなど、通常とは異なるさまざまな不安を多くの子供たちが抱えているということを十分に踏まえまして、最優先で心のケアを行っていく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、学校の再開に当たり、全ての子供のストレスの状況を把握し、心配な様子が見られる子供やその保護者と早期に面接を行うよう求めるとともに、都内全ての公立学校を通じて、子供や家庭に、改めて相談機関の連絡先等をご案内したところでございます。
 今後、学校再開に伴う緊急の対応といたしまして、都教育相談センターが二十四時間受け付けております電話相談や、中高生対象に実施をしているSNS相談におきまして、それぞれ相談員をふやしてまいります。
 こうした相談機能を一層充実させることによりまして、かけがえのない子供の命を全力で守ってまいります。
 次に、修学旅行のキャンセル料の支援についてでございますが、国は、本年三月に行った学校に対する一斉休業の要請に伴い、昨年度内に実施予定でありました修学旅行の中止等により発生したキャンセル料等について、一人当たり一万二千六十円を上限に補助することを四月に決定いたしました。
 都立学校におきましては、既に今年度前半の修学旅行等の計画が進んでおりましたことから、こうした国の補助制度の活用に加え、補助対象期間を本年六月までといたしました。
 また、都立高校の修学旅行のキャンセル料の補助上限額を一万七千二百円とし、海外への語学研修や芸術鑑賞教室等についても補助対象に加えたところでございます。
 今後、これらの補助制度を活用し、保護者の負担軽減を図ってまいります。
 次に、学校再開における人員確保についてでございますが、学校の段階的再開に当たりましては、学校運営に関するガイドラインに沿って、施設の衛生管理など徹底した感染症対策に取り組みますとともに、三つの密を回避するため、グループに分かれた学習など、身体的距離を確保した教育活動を行う必要がございます。
 都教育委員会は、こうした取り組みを学校が円滑に実施できるよう、教科指導に必要な時間講師を追加で配置するなど、校内体制の整備を図ることといたしました。
 これに加えまして、教材の準備や消毒作業など、教員以外でもできる業務に対応するため、都立学校では大学生等を非常勤職員として活用し、小中学校ではスクールサポートスタッフの追加配置を行います。
 こうした取り組みにより、各学校における児童生徒の安全と円滑な教育活動を支援してまいります。
 次に、感染のおそれから登校を控える児童生徒への対応についてでございますが、保護者から感染が不安で子供を休ませたいとのご相談がありました場合には、不安となっている事情を丁寧にお伺いするとともに、これに対する学校の対策を十分に説明いたしまして対応しているところでございます。その上で、校長の判断により欠席扱いとしない、柔軟な取り扱いをすることが可能となっております。
 こうした児童生徒につきましては、教員が家庭と連絡をとり、健康状態や学習状況を把握いたしますとともに、臨時休業中におけるICT機器を用いた家庭学習のノウハウを生かし、学校の授業内容や学習課題をオンラインにより提供するなど、個別に対応してまいります。
 今後、保護者の理解と協力を得ながら、これらの取り組みにより、児童生徒の学びを進められるよう、都立学校や区市町村教育委員会に周知を図ってまいります。
 次に、トイレの手洗いへの自動水栓の設置についてでございますが、都教育委員会は、トイレ整備を行う区市町村に対し、平成二十九年度から補助を実施しておりまして、トイレ全体の改修工事の一環として行う自動水栓の設置も補助対象としております。
 今後、区市町村の衛生的なトイレ環境整備の促進に向け、現在、自動水栓を導入している学校の実践例を収集しており、感染リスクを踏まえた整備のあり方や、導入に際しての配慮事項などの情報も含めて、速やかに提供してまいります。
 最後に、トイレ整備支援事業についてでございますが、学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所でありますとともに、災害時には避難所となりますことから、安全で衛生的なトイレ等の環境整備が重要でございます。
 公立小中学校におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための長期にわたる臨時休業により、夏季休業期間の短縮が見込まれるなど、予定していた工事の来年度への延期を含めた見直しを検討している区市町村がございます。
 今後、都教育委員会は、こうした状況を把握し、令和二年度に補助金の交付を受けて実施する予定のトイレ改修工事で、新型コロナウイルス感染症の影響により、来年度に延期せざるを得ない場合にも着実な整備ができるよう対応してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 路線バスにおける飛沫感染防止についてでございます。
 路線バスは、都民の日常生活や地域の活力を支えるインフラであり、その運行の維持に向け、乗客、乗員の安全・安心を確保していくことは重要でございます。
 路線バスでは、乗客が乗りおりする際に運転手と近接し、会話が行われることもあるため、飛沫感染の防止が必要でございます。
 このため、都内バス事業者は、当面の対策として、運転席と乗客スペースとの間にビニールカーテンを設置するなどの対応をしてきております。
 今後、新しい日常が定着していく中で、バス車内における感染予防策が持続的なものとなるよう、ご指摘も踏まえ、都として安全性や耐久性の観点から代替方策の実証的な検証を行うなど、事業者によるさらなる取り組みを支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症に対応した制度融資についてですが、都は、三月に緊急融資を開始して以降、中小企業を取り巻く経営環境を踏まえ、制度の充実を図ってまいりました。資金繰りが厳しくなる年度末に向け、返済期間の延長を可能とする緊急借りかえを創設するなど支援を強化し、四月末まで約二万一千件、約六千七百億円の融資を実行したところでございます。
 先月には、借り入れ後三年間の無利子融資を創設しており、今後のさらなる資金需要に対応するため、緊急融資等に係る今年度の目標額を二兆五千億円まで引き上げることといたしました。
 また、無利子融資の開始前に借り入れを行った中小企業に対して、金融機関を通じた周知を徹底し、新制度の活用を促してまいります。
 こうした取り組みによりまして、都内中小企業の資金繰りをしっかりと支えてまいります。
 次に、協力金支給の迅速化についてですが、協力金は、厳しい経営状況にありながらも休業要請に応えていただいた中小事業者に対し支給するもので、前例のない取り組みでございます。
 そうした中、一刻も早く支給できるよう、職員を約五百名と大幅にふやすなど、体制を構築いたしました。これにより、申請受け付け分はほぼ全て審査に着手しておりまして、今週末までには申請件数の約半数となる累計五万件を支給し、六月十五日の受け付け終了後、六月末におおむね支給完了の予定でございます。
 第二回では、第一回から引き続く休業の場合は必要書類を最小限とし、申請者の負担軽減を図ることとしております。
 また、初めて申請する方でも記入方法が容易にわかる様式に見直すほか、間違いやすい箇所をウエブサイトに掲示するなど、丁寧な周知を図ってまいります。
 これらによりまして、協力金の迅速な支給につなげてまいります。
 次に、職業訓練の一層の推進についてですが、感染症の拡大防止と経済社会活動の両立が求められる中、中小企業の従業員や求職者の方々が、オンラインにより効率的、効果的にスキルアップを図れるよう支援していくことが重要でございます。
 このため、都は、新入社員や管理職などの階層別に行う研修や、高度で専門的なスキルアップ講座など、中小企業が従業員に対して行うさまざまなeラーニングの受講経費を助成するとともに、求職者等の知識、技能の向上や資格取得等の支援によって、早期に再就職ができますよう、eラーニングによる民間委託訓練を実施いたします。
 また、職業訓練期間中の生活を支援する給付金制度を広報誌やホームページで周知することにより、多くの求職者が訓練を受講できるよう取り組んでまいります。
 次に、母性健康管理措置の改正指針についてですが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、国は、事業主に対し、医師等の指導に基づいて、妊娠中の女性労働者に休業等の必要な措置を講ずるよう、先月、母性健康管理措置の指針を改正いたしました。
 都は、この改正指針への取り組みを促していくため、賃金規定等を整備し、妊娠中の女性労働者を有給で休業させた企業に対して奨励金を支給いたします。
 また、これらの企業につきましては、就活情報を発信する都の冊子において、女性に優しい企業としてPRするほか、女性求職者向けのイベントや合同就職面接会への参加機会を提供するなど、人材確保に向けた支援もあわせて行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、指針に基づく妊娠中の女性労働者の休業取得の促進を図ってまいります。
 次に、社会的課題に取り組むNPO法人等への支援でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により顕在化した社会的な課題を解決するため、多くのNPO法人等がソーシャルビジネスに取り組んでおります。
 このため、都では、新しい日常が定着した社会の構築に向けて、こうしたNPO法人等の活動に対する支援を開始いたします。
 具体的には、オンラインを活用した子供の学習支援やカウンセリングシステム等の開発に必要な経費やPR経費等につきまして助成を実施いたします。
 また、クラウドファンディングによる事業資金の調達をより一層支援するため、現行の手数料補助を拡充いたします。
 これらにより、より多くのNPO法人等が着実に事業を実施し、社会的課題の解決に必要なきめ細かいサービスを提供できるよう後押ししてまいります。
 次に、新たなビジネス環境の構築支援についてですが、今回の感染症の拡大により、中小企業はいわゆる三密回避を前提とした事業展開を求められるなど、その経営環境が大きく変化しております。
 このため、都は、感染症防止と経済社会活動の両立に向けて、非接触型サービスの導入による業態転換を図る中小企業に対する助成を開始いたします。
 具体的には、インターネットによる通販サイトの開設や、オンライン配信による学習塾の授業、VRを活用したバーチャルイベントの開催などに必要な機器の導入費用やPR経費等を助成してまいります。
 都内中小企業が、非接触型のコミュニケーションを活用した新たなビジネスモデルの構築に取り組めますよう、強力に支援してまいります。
 次に、いわゆる三密解消の取り組みへの助成についてですが、感染症防止のため、都や業界団体等が策定したガイドラインでは、密閉空間を避けるための換気、一人当たりのスペースをふやすための座席配置や屋内施設の入場制限などの対策が示されております。
 このため、都は、中小企業がオフィスや店舗で取り組むガイドラインに沿った対策に対して支援を開始することといたしました。
 具体的には、空気の流れを考慮した換気装置などの設置に要する費用、ソーシャルディスタンス確保のための店舗内のレイアウト変更や休憩スペースの増設に係る内装工事費などを助成いたします。
 また、国の制度も含め、事業者に対して積極的なPRを行ってまいります。
 こうした取り組みにより、感染症防止と新たな生活様式に対応した中小企業の事業活動との両立を積極的に後押ししてまいります。
 最後に、感染症防止に配慮した事業モデルについてですが、感染症拡大の影響によって経営環境が大きく変化する中、中小企業の一刻も早い業績回復に向けて、事業の新しい実施方法の構築が必要でございます。
 お話のイベント等の再開に当たりましては、施設の座席や利用場所の工夫による人と人との間隔の確保、入場者数や滞在時間の制限などが求められているところでございます。
 こうした対応を広く浸透させていくため、新たな事業実施に関するノウハウを蓄積し、モデルを構築した上で、広く発信していくことが必要でございます。
 今後、感染症防止と経済活動の両立を図る中小事業者のモデルづくりの取り組みへの支援を検討してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 廃棄物処理業者等の安全確保についてでございますが、廃棄物の処理や再資源化は、都民生活を維持する上で不可欠な機能であり、事業の安定継続が重要でございます。
 都はこれまで、家庭ごみの出し方等を情報発信するとともに、業界団体へのヒアリング等を通じ、マスクなど保護具等の調達状況など、現場の実態把握に努めてまいりました。
 今後とも、区市町村と連携し、適切なごみの出し方の普及啓発を強化するとともに、業界団体と連携し、収集時等における安全対策について事業者への周知徹底を図ってまいります。
 あわせて、感染リスクの長期化に鑑み、当面のマスク等保護具や消毒液などを都が一括調達し、感染リスクが懸念される廃棄物処理業者や資源回収業者へ配布することに加え、業界団体に対し、調達ルートの確保に向けた支援を行い、現場の安全確保を後押ししてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 十二点のご質問にお答えいたします。
 まず、生活福祉資金についてでございますが、国は本年三月から、生活福祉資金制度に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入の減少等があった世帯を対象とした特例を設けております。
 緊急小口資金は、貸付上限額が二十万円に引き上げられ、据置期間や償還期限が延長されました。また、総合支援資金は、据置期間が延長され、保証人がなくても無利子での貸し付けを行うこととされております。
 さらに、償還時に、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯につきましては、償還免除ができることとされております。
 都内では、受け付けを開始した三月二十五日からの二カ月で、七万六千件を超える申請を受理し、約五万五千件、百七億円を送金してございます。
 審査、送金を担う東京都社会福祉協議会では、昨年度一年間で千七百件余りだった生活福祉資金の申請件数が、特例貸付だけで一日三千件程度まで急増したため、職員を大幅に増員し、現在は十日程度で送金してございます。
 先月からは、お話の労働金庫に加え、新たに郵便局でも申請が可能となっており、都は、こうした情報をホームページに掲載するなど、さらなる制度の周知に努めているところでございます。
 また、協議会に対し、都職員や、緊急対策として雇用した学生アルバイトによる業務支援を実施しており、今後も迅速に貸し付けを行えるよう、事務処理体制の強化を図ってまいります。
 次に、TOKYOチャレンジネットについてでございますが、都は、ネットカフェ等に滞在していた方への緊急的な一時宿泊場所としてビジネスホテルを提供しており、五月三十一日までに延べ千七十二人を受け入れ、そのうち五十八人は都内居住六カ月未満の方でございます。
 その後の居住の場となる一時利用住宅につきましても、利用期間を原則三カ月から四カ月に延長するとともに、都営住宅の活用や民間不動産会社等との連携により、従来の百戸から三百七十四戸まで拡大し、現在、百五十二人の方が入居してございます。
 今後、一時利用住宅を五百戸まで拡大するほか、区市の福祉事務所等を経由してビジネスホテルを利用中の方も含め、チャレンジネットの賃貸物件情報を活用し、居住の場の確保に努めるなど、継続的な支援に取り組んでまいります。
 次に、保育所等の新型コロナウイルス対策についてでございますが、都はこれまで、保育所等での児童の健康と安全を確保するため、手洗いなど基本的な感染症対策を徹底するよう周知するとともに、マスクを購入し、配布してきました。
 こうした取り組みに加えまして、現在実施している保育士の負担軽減のための保育補助者等の雇用助成につきまして、設備や遊具の消毒、清掃など、感染防止対策に従事する人材の雇い上げにも活用できることを区市町村に周知しております。
 また、ベビーシッター利用支援事業につきましては、区市町村から登園を控えるよう協力要請を受けて、自宅で保育する児童等が対象となることを改めて周知するとともに、協力要請の状況等を踏まえ、今月までとなっている実施期間の延長を検討しております。
 次に、保育サービス推進事業についてでございますが、都は、地域の子育て家庭を対象に、育児不安軽減のための保育所体験や育児相談等を行う保育所の取り組みを独自に支援しております。
 新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、来所による実施は困難となっておりますが、保護者が悩みを抱え込まないよう、引き続き支援していく必要がございます。
 このため、オンラインを活用して、親が遊び方や離乳食の食べさせ方などを学び、体験できる取り組み等も補助の対象に加えることとし、地域の子育て家庭が安心して育児を行えるよう、保育所の取り組みを支援してまいります。
 次に、妊産婦への支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、自身のみならず、胎児、新生児の健康等について不安を抱えながら生活している妊産婦がいると聞いております。
 今般、国の第二次補正予算案に、お話の出産前のPCR検査の実施など、妊産婦に対する総合的な支援が盛り込まれました。
 都といたしましては、妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、国事業を踏まえ、PCR検査を希望する方を支援するとともに、里帰り出産が困難な妊産婦への育児支援サービスの提供等を行う区市町村と連携するなど、不安を抱える妊産婦への支援に取り組んでまいります。
 次に、避難所の感染症対策についてでございますが、都は、避難所管理運営の指針の中で、適切な換気や手洗い、手や指の消毒の実施を定めており、区市町村はこの指針に基づきまして、避難所の適切な感染防止対策を行うこととしております。
 新型コロナウイルス感染症対策に当たりましては、四月に発出された国の通知を周知するとともに、都として避難対策全般にわたる留意事項を整理した対処方針を通知いたしました。
 今後、対処方針をもとに、防災対策と感染症対策の部署が連携し、区市町村の職員や避難所開設に当たる地域の方などに向け、具体的な避難所内のゾーニングや動線、必要な物資の確保等に関する事例や、イラストを盛り込んだわかりやすいガイドラインを早急に作成してまいります。
 次に、シルバーパスの一斉更新についてでありますが、例年九月に、都内各地に会場を設置し、約九十万人のシルバーパス利用者に新しいパスを発行しておりますが、今年度は、会場での新型コロナウイルス感染症の感染リスクを考慮いたしまして、八月中に更新案内等を発送し、九月末までに新しいパスを郵送することとしております。
 更新案内は、フローチャートやイラストを用いまして手続や注意点を説明するなど、わかりやすい内容といたします。
 また、利用者が適切に更新手続を行うことができるよう、事業の実施主体である東京バス協会とともに、「広報東京都」やホームページ、ポスターなどのさまざまな媒体を活用した広報を展開してまいります。
 次に、医療従事者への支援についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に当たりまして、医療従事者は、感染リスクもある環境のもとで、長時間にわたる勤務に従事しております。
 感染症への対応が長期化する中にありまして、医療提供体制を維持するためには、従事者それぞれの負担に十分に配慮し、体調管理を適切に行えるようにしなければなりません。
 そのため、都は、深夜勤務への対応や一時休息のためにホテル等を借り上げる医療機関を支援することといたしました。
 宿泊施設の活用方法は、医療機関によってさまざまでございまして、都といたしましては、その実情を踏まえながら柔軟な制度運用を図り、医療従事者の勤務負担の軽減につなげてまいります。
 次に、介護事業者に対する支援についてでございますが、都は、介護施設、事業者等に対しまして、マスクを三月下旬に六十万枚、五月下旬以降に順次、約九百四十万枚提供するとともに、国の優先供給の仕組みを活用して、手や指の消毒用エタノールの購入を希望する事業者等を支援してございます。
 また、利用者などに感染者や濃厚接触者が発生した場合でもサービスを継続できるよう、国制度を活用し、感染防止に必要な衛生用品や車両、設備備品の購入、人材確保のための割り増し手当等の支給など、平時には想定されない経費に対する補助を新たに実施いたします。
 さらに、感染防止効果があるとされている手袋、エプロン等を調達し、事業所等に提供することを検討してまいります。
 次に、就労継続支援事業所に対する支援についてでございますが、お話のように、就労継続支援事業所では、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、作業のフォーメーションの変更等が余儀なくされており、生産活動等に影響が生じている場合がございます。
 こうした状況について、発注者の理解が得られるよう、障害者就労施設が受注可能な物品や役務の情報リストを掲載しているホームページに、納期などへの配慮を求める内容を新たに記載することといたしました。
 また、納期等、受注に関する相談につきまして、工賃向上を目的としたネットワークや関係機関等と連携いたしまして対応するよう依頼するとともに、一つの自治体で対応できない場合は、他のネットワークなどの相談先を紹介するなど、区市町村等と連携した支援を行ってまいります。
 次に、居住施設での支援及び助成金の活用についてでございますが、グループホームに居住しながら就労継続支援B型事業所等に通所している方の中には、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で通所を控えている方もいらっしゃいます。
 その場合でも、就労継続支援B型事業所が、居宅やグループホームでできる限りの支援を提供したと区市町村が認めた場合には報酬算定が可能とされており、都は、こうした支払いを周知するとともに、利用者や各事業者の状況等に応じてサービス提供を柔軟に行うよう依頼しております。
 また、就労継続支援A型事業所における雇用調整助成金の活用に関する国通知を区市町村や事業所に周知しておりまして、今後、助成金の活用状況について調査等を行い、実態を把握してまいります。
 最後に、教訓等を生かした今後の医療提供体制についてでございますが、今般の新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、各医療機関には、これまでにない対応を迫られる中、試行錯誤や独自の工夫も行いながら、多くの患者を受け入れ、診療を行っていただきました。
 その際、医療機関が行った、疑い例を含む患者への具体的な対応方法、適切なベッドコントロールや専用病棟の開設手順、陽性患者とその他の患者の動線設定、院内感染防止等の研修、医療物資の確保など、そのノウハウは大変貴重なものでございます。
 都は、これらの情報を取りまとめまして医療機関等に周知し、今後の医療提供体制の強化につなげてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京ささエール住宅における家賃低廉化補助の拡充についてでございますが、この補助は、貸し主に対し、区市町村の定める額を限度額として、国とあわせ、都と区市町村が家賃を低廉化するために行うものでございます。
 国が先般公表した緊急経済対策では、感染症の影響を受け、一時的に収入が減収している世帯を支援するため、補助の国費限度額を従来の月額二万円から四万円に引き上げ、総額が、月額で最大八万円となるよう拡充されました。
 これを受けまして、都におきましても、既に限度額の引き上げを行ったところでございまして、区市町村に追加の財政負担が生じないよう、二年間、拡充分全額を都が負担することといたしました。
 今後、都は、本制度がより広く活用されるよう、区市町村に対する積極的な働きかけを行ってまいります。
 次に、東京ささエール住宅への設備導入等についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により生活に困窮する住宅確保要配慮者に対し、住まいの面からも支援を実施することは重要でございます。
 このため、都は、東京ささエール住宅の貸し主が、ヒートショック対策設備や宅配ボックス等の住宅設備を導入する場合、一戸当たり十万円を上限に、当該費用の三分の二を今年度末まで貸し主に直接補助する予定でございます。
 これにより、住宅確保要配慮者の安全性や住宅の利便性の向上を図りますとともに、東京ささエール住宅の魅力を高め、貸し主の登録意欲をさらに向上させてまいります。
 今後、都は、不動産専門誌への広告掲載や、わかりやすいチラシの作成など、積極的に制度を周知し、一層の登録促進を図ってまいります。
 最後に、水害時の都営住宅空き住戸の活用についてでございますが、水害のおそれのある地域におきまして、都営住宅の上層階の空き住戸を緊急避難先として活用することは、災害時における都民の安全・安心の確保に資するものと考えております。
 本年一月以降、複数の区から、緊急避難先としての都営住宅の利用について相談を受けておりまして、都、区の役割分担や鍵の受け渡し、室内の点検、清掃など、実務的な課題の解決に向けて調整を重ねてまいりました。
 現在、浸水が発生するおそれが生じたときに、区に空き住戸を速やかに提供できるよう、具体的な手続等を定める協定について検討を進めております。
 今後、調整が進んだ区との間で早急に協定を締結し、台風や大雨による浸水被害に備えてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナウイルスに対する避難所の確保についてでございますが、災害時に避難所に大勢の住民が集まり、避難所内が過密状態にならないよう、区市町村は、ホテルや旅館を新たに活用するなど、避難者の分散化を図るため、より多くの避難所を確保することが必要でございます。
 一方で、都内におけるホテル等の立地状況は地域によってさまざまであり、また、区市町村による個別のホテル等との調整には時間も労力も要します。
 このため、都があらかじめ、費用負担などホテル等の活用に関する基本的な条件について整理し、宿泊団体と包括的な協定を締結してまいります。
 こうした取り組みを通じて、区市町村によるみずからの行政区域を越えたホテルや旅館を含む避難所の円滑な確保を支援してまいります。
 次に、非常勤職員の災害時の対応についてでございますが、災害発生時には、都民の安全・安心を守るため、非常勤職員は、迅速かつ的確な災害対応を行う必要がございます。
 具体的な業務内容としては、被害の把握の補助や、避難所、一時滞在施設における電話対応、受け付け名簿の作成、施設利用者への情報提供、職員の安否確認に係る連絡調整など、多岐な業務が想定されております。
 今後、各局に対して、災害時における対応について明記するよう、非常勤職員の設置要綱を改正するとともに、それぞれの職務実態に応じて、あらかじめ業務内容を検討していくことを指導してまいります。あわせて、区市町村にも都の取り組みについて情報提供をしてまいります。
 こうした取り組みを通じて、都と各区市町村における災害時の人員確保の強化につなげてまいります。
 最後に、災害時における指定管理施設の対応についてでございますが、指定管理施設の管理については、都と指定管理者との間で、あらかじめ業務分担や業務実施に伴う経費等について十分な協議を行った上で、協定を結び実施しております。
 災害時の応急対応等については、この業務分担の中で指定管理者が対応しているところではございますが、災害対応により取り決めていた業務内容に大きな変動が生じた場合には、都と指定管理者との間で改めて経費負担等についての協議や、ご指摘にございました協定の見直しを行うなど、適切に対応してまいります。
 また、施設損害賠償責任保険につきましては、指定管理施設の特性や業務リスクを踏まえた活用等を促進し、平時においても災害時においても、指定管理施設に対する都民の期待に応えられるよう取り組んでまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 安全運転支援装置設置補助制度についてでございますが、都は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすため、昨年七月に緊急対策として、安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を開始し、昨年度は約一万六千台の設置を支援いたしました。
 補助事業者からは、四月、五月は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた営業時間の短縮や、外出自粛等で設置件数が減少する見通しであること、また、現在は通常営業を再開し、現時点の想定では、八月末にかけ設置需要の増加に対応可能との報告を受けております。
 都は、今後、交通機関でのポスター掲示など、本制度の広報を集中的に実施し早期の設置を促進することとしており、九割補助の期間の延長については、新型コロナの影響や設置促進の取り組み実績を踏まえ、検討してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 新型コロナウイルスに係る特殊勤務手当についてでございますが、東京消防庁では、先般の武漢市からの政府チャーター機による帰国者への対応を初め、新型コロナウイルス感染症患者や感染の疑いのある方からの救急要請等に対し、保健所及び福祉保健局と連携して、医療機関等への移送及び搬送を行っております。
 このような感染危険等が伴う消防活動に対しては、高度な専門的知識、技術が求められることから、従事する職員の士気の維持向上を図る上で、遡及して特殊勤務手当の支給が必要であると認識しており、具現化に向けて関係部局との協議を進めてまいります。
 今後も、前例のない災害等に対し、隊員の士気を高める環境を整備し、都民生活の安全の確保に努めてまいります。

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