令和二年東京都議会会議録第十号

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十四番荒木ちはるさん。
〔百十四番荒木ちはる君登壇〕

○百十四番(荒木ちはる君) 東京都議会第二回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事、副知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたします。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 新型コロナウイルスは、世界で感染者が六百万人を超え、三十七万人の死者が発生しています。また、その影響による経済不況はリーマンショックを超えて、九十年前の世界恐慌に匹敵する規模です。過去に幾度も人類を脅かした感染症のパンデミックという歴史的な危機に、今、私たちは直面をしています。
 ここ東京でも三月下旬から感染者が急増し、一時は感染爆発の危機にありました。そうした危機に対して、小池都知事を初めとした都庁の迅速な対応と、多くの都民や事業者の方々のご協力によって、流行の第一波は終息に向かいつつあります。
 何よりも、日々の現場で感染のリスクと向き合いながら、目の前の患者の命を救うため、必死に治療を続けてこられた医療従事者の方々に対して、都民を代表して心より感謝を申し上げます。
 しかしながら、新型コロナウイルスは今もなお市中に存在しており、その脅威は過ぎ去っていません。今、私たちに求められているのは、都民一人一人の努力によって生まれたこの貴重な期間に第一波の課題を検証し、第二波を見据えて体制を再構築していくことです。同時に、およそ二カ月にわたる緊急事態宣言によって、仕事を失ってしまった人々や、事業の先行きが見えなくなってしまった人々が、将来への希望を閉ざしてしまうことのないよう支えていかなければなりません。
 もはや新型ウイルス以前の社会には戻りません。人々の価値観、行動基準も根底から変わることになります。人が集積することで価値を生んできた都市システムや、数十年続いてきたグローバル化は一部転換を迫られるでしょう。
 だからこそ、今は失われた時を戻すのではなく、ウイズコロナ、アフターコロナの時代の新しい東京の姿を描くことこそが私たちに課せられた使命と考えます。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、新型コロナウイルスの対策に全力で取り組むとともに、次の時代の東京に向けて提案を重ねていくことを改めてお誓い申し上げ、質問をいたします。
 都は、新型コロナウイルス感染症対策として、まず令和二年度予算の追加補正を行い、企業の資金繰り需要への備えや医療提供体制の強化、学校休業への対応など緊急対応を行いました。その後も刻々と変化する状況に合わせて、四月の専決、臨時会での補正予算、五月の専決、今定例会での二次補正予算と、機動的に危機に対応してきました。
 今後は、感染を防止しながら、都民生活や経済活動を両立させていく新しい日常の定着が重要であり、これまで明らかになった社会的な課題について、将来を見据えた取り組みをしていくべきです。
 そこでまず、感染拡大の防止と停滞している経済の回復に向けて、今回の補正予算の編成における知事の決意を伺います。
 また、休業要請の緩和を進めていますが、本格的な経済の回復の道のりは長く、あらゆる事業者がさらに厳しい経営環境にさらされる環境に変わりはありません。
 民間の予測平均では、四月から六月期のGDPは、年間換算で戦後最悪のマイナス二一%となっています。また、四月の景気ウオッチャー調査でも、小売、飲食、サービス、住宅、製造業、非製造業、雇用の全分野で大幅な悪化を示しています。そのような中で、先般、国でも二次補正予算を編成したところです。
 都としても、今回、五千八百三十二億円の補正予算にとどまらず、経済再生に重点を置いたさらなる支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 目下、感染症対策と経済対策においては、財政調整基金などを活用し、危機対応のために必要な対策をちゅうちょしてはなりません。
 一方で、中長期では都財政の見込みも勘案し、各局事業において一層効率的な事業運営を行うとともに、優先順位をつけて取り組んでいく新たなワイズスペンディングの取り組みが求められています。
 今回のいわゆるコロナショックが、経済、そして都財政に与える影響は、リーマンショック以上に大きなものと想定されます。都財政の危機に備え、今後の都税収入の影響を早期に推計すべきと求めておきます。
 都の財政運営の重要性が増す中、先般、国は総額一兆円の臨時交付金について配分を決定いたしました。しかし、都への交付限度額は約百三億円にとどまりました。
 医療需要も勘案した交付金であるにもかかわらず、財政力が高ければ最終的な額が少なくなる仕組みに設計されており、感染者数が多く、経済面での影響も甚大な東京都の感染実態にはそぐわない交付額となっています。
 国内外との結節点である首都東京の感染拡大防止に万全を尽くし、また、経済のエンジンでもある東京から経済の回復を求めることが、日本全体にも最善の道であるはずです。感染実態から乖離した国の交付金のあり方は、日本全体の正常化に向けた歩みをもおくらせることになりかねず、問題があるといわざるを得ません。そのため我が会派からは、国政政党に対しても増額の必要性を強く働きかけてまいりました。
 都内のみならず日本全体の感染拡大防止や経済回復のためにも、国の臨時交付金を都の実情に即した配分とすることが不可欠であり、その増額に向けて機を逸することなく国に訴えていくべきですが、知事の見解を伺います。
 国連の予測によると、ことしの世界の経済成長率は前年比マイナス三・二%となり、経済不況は一九三〇年代の世界恐慌以来の景気後退になるとしています。日本の雇用情勢においても、失業者が二百六十五万人増加し、失業率は戦後最悪の六・一%に上昇するとの民間予測もあります。
 この歴史的な大不況に対峙する上で、かつての米国のニューディール政策に倣い、大胆な雇用創出策が求められています。その上で、今必要とされる雇用創出策とは、単にコロナ前の時代に戻すものではなく、アフターコロナの世界を見据えて、次世代の産業へと人材を転換していくためのものであるべきです。
 経済産業省の試算では、二〇三〇年までにICT人材が国内で四十五万人不足する見込みであり、現状でも多くの民間企業がエンジニア不足で悩まされています。例えば、こうしたICT人材などを東京の十年先、二十年先を見据えて大胆に育成していくべきと考えます。
 そこで、アフターコロナの時代を見据えた都内産業の転換のために、今後は、職業訓練と再就職支援をセットとした大胆な雇用創出策を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、我が会派では、かねてより、ICT人材の厚みを増すための行政計画の策定や、戦略政策情報推進本部のさらなる強化などを求めてまいりました。こうした提言を踏まえ、都は昨年度、専門助言員や特定任期つき職員の採用を開始し、今後はICT職を新設して、新卒、既卒者向けの採用を行うとしています。
 加えて、我が会派が五月五日に行った小池都知事への経済対策の提言の中では、大胆な雇用創出策を実施することや、デジタル局を設置して、行政のデジタル化に寄与する人材を一時的に雇用するなど、従来の発想を超えた大胆な施策を求めています。
 今後、雇用情勢がさらに悪化し失業者が増加するケースを想定しながら、都としてみずから雇用を生み出していく取り組みも不可欠であります。
 そこで、行政のデジタル化のための業務などを切り出し、失業者や、アルバイトを失った大学生を非常勤職員として採用するなど、都として雇用の受け皿を創出していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 アフターコロナの社会を考えるに当たっては、変革を促し新たな形で経済を成長させることが求められています。デジタル化とともに環境を重要な柱とする経済成長を目指すべきです。世界でも、欧州委員会の策定した経済対策などで、環境を軸に据える動きが出てきています。
 元環境大臣でもある小池知事の誕生以来、LED照明や再生エネルギーの普及促進等、都の環境政策は年々強化されてきました。さらに昨年には、ゼロエミッション東京戦略を策定し、都として、二〇五〇年代に実質CO2排出ゼロとする挑戦的な目標を掲げました。
 我が会派はかねてより、東京が国や他の自治体に先んじて、世界の各国の都市と連携し、気候変動対策に取り組むべきと主張してまいりました。アフターコロナを見据えた経済対策においても、環境投資を重視する取り組みを進め、リーダーシップを示すべきではないでしょうか。
 そこで、ゼロエミッション東京戦略をさらに強化し、コロナ後の経済活動、社会活動を持続可能な姿へ誘導するための施策を展開すべきですが、知事の見解を伺います。
 都では、平成三十一年度税制改正における九千二百億円規模の国による不合理な都税収奪に対して、我が会派の提案を受けて、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、その対策を検討いたしました。
 新型コロナウイルスによる経済的な影響はリーマンショック以上と見込まれる中、日本の牽引役である東京において、実効性の高い対策を迅速に講じることが期待されます。ウイルスとの闘いで得た経験を踏まえ、都民生活のさらなる向上や、東京の競争力を高める経済の再興に向けた取り組みについても検討することが極めて重要です。
 その際、キャッシュレス決済やテレビ会議など、人や物との接触を減らす生活スタイルや、場所や距離にとらわれないコミュニケーションなど、社会の変化を捉える必要があり、産官学の東京の英知を結集して取り組むべきです。
 さきの所信表明で、知事は、有識者から意見を伺いながらポストコロナを見据えた検討を進めるとのことでしたが、今後、東京はどのような課題に挑戦していくべきか、そして、検討結果を都政運営にどう生かしていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、感染症対策における第二波への備えについて質問いたします。
 約二カ月に及ぶ緊急事態宣言期間において、都民の皆様の多大なるご協力をいただき、新規感染者だけではなく、闘病中の重軽症患者も減少をいたしました。感染拡大の第一波を抑制し、医療崩壊の危機を一旦は回避することができたといえます。
 しかしながら、今後想定される第二波、第三波において感染爆発が起こり、医療体制が再度危機にさらされる可能性があり、警戒を緩めることはできません。
 経済活動の段階的な再開を行いつつ、感染拡大防止の両立を図ることは極めて重要です。また、感染状況が落ちついている間に課題を整理して、そして医療体制の強化を進めておかなければなりません。
 有効な治療薬がなく、ウイルスの特性も不明な中で、新型コロナウイルス感染症の対応は非常に難しいものがありました。そのような中で、国に先駆けて外出自粛を強く要請するなど、都は当初から危機感を持って対応してきました。
 都は、世界からも注目されたコロナ専用サイトの開設や、全国に先駆けて休業要請に対する独自の感染拡大防止協力金を創設するなど、専決や補正予算を駆使して、迅速かつ多角的な支援制度を用意してきました。
 加えて、急拡大する陽性患者に対応しながら、医療機関等とともに、病床や療養ホテルの確保に努めるとともに、人工呼吸器、ECMOなどの医療器材の拡充も進めてきました。
 この間、我が会派においても二十七回にわたりさまざまな角度から緊急要望を行いましたが、特に医療崩壊を起こさないという視点から、指標についても重点を置いて提案をしてまいりました。
 今後、感染爆発を防ぎながら、経済活動との両立を図っていく上では、より正確で迅速に市中感染状況を把握し、先んじた警戒と対策をとることが不可欠であります。
 都がロードマップで基準の一つとして示した新規感染者数はもちろんですが、PCR検査の陽性率、相談件数のほかにも、さまざまな調査手法を駆使して感染者の増加兆候を捉え、リスクを予想すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、医療崩壊リスクを予測しながら対応するという観点では、人工呼吸器、ECMO、病床数、重症者用病床数に関して、実質的に確保できている数と、その稼働率を迅速かつ正確に把握できていることが重要です。実質的な確保をどのように定義するかも含めて、仕組みづくりを強く要望しておきます。
 一方で、医療体制の拡充に関しては、これまで取り組んできた各医療機関等での対応強化に加えて、抜本的な取り組みとして、コロナ専用医療機関などを設置できるよう検討し、備えておくことも求めておきます。
 そこで、第一波におけるこれまでの取り組みやこれに伴う課題などを検証し、第二波への対応に生かしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、感染症対策に平時から取り組むことの重要性についても、改めて認識をされました。米国では、常設の疾病対策予防センター、いわゆるCDCが設置されており、常時独立して感染症に関する研究や世界情勢の分析を行うことで、エビデンスに基づいた感染症対策の根幹を担っています。
 常時独立して、強力に感染症に対応する東京版CDCの設置を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第二波を抑制する上で、海外からの感染の再流入は大きな懸念であり、さきの特別委員会でも指摘させていただきましたとおり、水際対策は非常に重要です。
 三月下旬に東京で感染が広がった要因の一つには、そのころに海外から帰国した方々を起点に、欧米型のウイルスが広まったともいわれています。今後、政府は段階的に出入国を緩和していく方向にありますが、この際、これまでの水際対応が適切であったのか、国とともに検証が必要です。
 第二波の主要な感染経路となり得る海外からの再流入に対して、水際対策は入国時だけでなく、その後の国内移動まで連携しなければ機能しないことからも、国任せだけではなく、都も主体的に国と連携して取り組む必要があると考えますが、今後の取り組みについて見解を伺います。
 先般、都は、休業要請の緩和に向けたロードマップを改定し、クラスター歴のあるスポーツジムやカラオケ店についても緩和の対象としました。また、ライブハウス等についても、今後、業種別の感染拡大予防ガイドラインが定められていく見込みであり、早晩対応を求められることになります。
 そこで、国が改定した基本的対処方針に基づいて、都はどのようにロードマップに反映させたのか、経緯を伺います。
 あわせて、いまだガイドラインが示されていない業種について、今後、都は休業要請の緩和をどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
 あわせて、厚生労働省のクラスター班がこれまで収集、分析した感染経路などのエビデンスとなる情報については、都への提供を国に求めるよう要望をしておきます。
 新型コロナウイルスを早期に抑え込んだ台湾では、デジタル技術を活用して濃厚接触者を追跡するデジタルコンタクトトレーシングが成功の要因の一つとされています。我が会派も早期実装を要望してまいりました。
 国で開発しているアプリに加え、不特定多数の人が訪れる場所やイベントの開催などにおいて、都独自のアプリなどを入場要件とすることも、各業界などと連携して手法を検討していくべきです。
 今後、国の接触確認アプリの実装と六割以上の普及に向けて、都民に丁寧な理解と協力を求めるとともに、都独自のアプリも用途に応じて検討していくべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 各保健所では、相談コールセンターを設置し、多くの住民からの問い合わせなどに応じるとともに、帰国者、接触者外来への対応、濃厚接触者の確認、自宅療養者の経過観察など、感染症対策における現場の最前線として、多くの業務を担ってきました。
 我が会派は、緊急要望や、さきの特別委員会において、実情に応じた人員の補強やデジタル化などによる業務の効率化などの取り組みを求めてまいりました。都がこうした要望を受け、百二十名を超える職員を区市の保健所に派遣するとともに、患者の予防管理データベースを設置し、患者情報の集約業務を改善したことを評価いたします。
 今後、第二波に備えて、改善すべき課題を派遣職員などからヒアリングを行うなどにより、保健所の支援やあり方を検証すべきと考えますが、見解を伺います。
 厚生労働省は、唾液を採取し、検体として使用するPCR検査の方法について、まさに本日、使用を認める通知を行いました。患者の負担が軽く、医療従事者の感染リスクも少ない方法として期待がされています。
 また、PCR検査の大幅な効率向上が期待される全自動検査装置についても、国内メーカーの検査用試薬の認可など、導入に向けた取り組みが進んでいます。
 今後、唾液によるPCR検査を早期に実装するとともに、各地域の拠点病院がPCR検査機器を導入する支援を行うなど、PCR検査体制をさらに拡充していくべきと考えますが、見解を伺います。
 日本病院会などの調査によると、東京の陽性患者受け入れ病院のみならず、民間病院でも医業収入が大きく減少しています。
 都は、医療機関に対する受け入れ謝金等の拡充を予算化しておりますが、感染症対策の直接的な経費のみならず、外来患者の減少や感染防止のために他の患者を絞る必要があるといった間接的な影響も鑑みて経営支援を行うべきです。
 今後、コロナ患者対応の最前線を担う医療機関については、経営状況も注視し、病院経営を維持、継続できるようあらゆる手段を講じていくべきですが、知事の見解を伺います。
 冒頭でも述べましたが、改めて、医療機関、医療従事者の皆様が命を守る必死の取り組みをしていただいたことに改めて感謝を申し上げ、しっかりと支えていけるよう、我が会派として、支援の充実に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
 高齢者施設における感染防止策について質問いたします。
 重症化リスクの高い高齢者施設におけるクラスターを防止するため、例えば、専門家の監修のもとで動画を作成しネット上に公開することや、施設に専門家を派遣するなど、施設内の感染防止の手順を周知徹底するべきです。
 また、高齢者の命を守るため、強い不安とストレスにさらされている介護職員などに対して、我が会派は、施設内感染を予防するためにも、マスクやアルコール消毒液などの提供をしていくべきと要望してまいりました。
 そこで、改めて高齢者施設における感染防止策を徹底するとともに、高齢者施設などで働く介護職員などへの支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、高齢者施設等において、施設における水際の対策はクラスター対策に有効です。今後は、抗原検査や唾液によるPCR検査も可能となり、検査が迅速、簡易になることが見込まれていることから、入所の際などに検査ができる仕組みについても検討を求めておきます。
 家庭での巣ごもり消費の拡大により、家庭ごみの排出量が増加しており、例えばテークアウトの際に使われるプラスチック容器の廃棄量が増加しています。
 また、家庭ごみとして排出される使用済みマスク、そしてペットボトルや缶、瓶など、資源ごみに付着したウイルスによる感染から、資源回収や収集運搬事業者などを守る取り組みは、重要な課題であります。
 一方で、新型コロナウイルスに対峙する中で、生活習慣の見直しが進むなど、変化が生じています。ごみの排出削減、リサイクルの推進、加えて感染防止に配慮したごみの排出について、都民、基礎自治体、事業者で連携して取り組んでいくべきです。
 そこで、都民の生活を支えるエッセンシャルワーカーである資源回収や収集運搬業者などを守る衛生資材等の供給などの支援を行うとともに、区市町村のリサイクル推進の取り組みを一層支援し、家庭のごみ排出を見直す契機としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 災害時の避難所の感染リスクを減らすため、一人当たりの避難スペースを拡大し、スクリーンやカーテンなどを利用して、空間を区切るといった工夫が必要です。
 これまで我が会派は、避難者における健康を守るため、段ボール製簡易ベッドの導入などを提案し、都は今年度から、段ボール製簡易ベッドの調達について、民間事業者と新たな協定を締結し、備蓄を始めることとしています。
 また、熊本の震災ではテント村が設置され、スフィア基準に基づいた適切な空間の広さとプライバシーの確保を避難所で実現する取り組みも行われました。このテント村の設置は、避難所の感染症対策としても有効と考えられることから、検討を強く求めておきます。
 今後、懸念される首都直下地震や多発する大規模な水害に備え、避難所における新型コロナウイルスの感染リスクを防ぐため、避難所を運営する区市町村に対し、都としても一層支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、生活支援策について順に伺います。
 休校措置と休業要請の双方の影響を受け、多くのひとり親が収入の減少と育児負担の増大を背負い、生活の困窮をきわめています。
 特に、母子世帯においては、半数以上がパート、アルバイトや派遣社員など非正規職員として働いており、平均年収は二百万と、そもそも大変厳しい状況にあります。
 加えて、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの行ったアンケート調査によると、半数以上が収入の減少、あるいはなくなるとの見通しと回答しており、支援は待ったなしの状態です。
 我が会派としても、小池都知事への要望書で、ひとり親世帯への財政的な支援などを一貫して求めてまいりました。その結果、補正予算案には、十四億円の支援予算が盛り込まれました。
 そこで、新型ウイルス感染拡大防止に取り組む中、経済的影響を受けやすいひとり親に対し、支援を打ち出した知事の所見を伺います。
 妊産婦支援について伺います。
 妊産婦は二つの命を抱え、多くの心配事を抱えている中で、感染拡大防止のために各種教室や相談などの事業が中止や延期となり、一層の不安を与えています。我が会派では、こうした状況を踏まえ、議会質疑や小池都知事への緊急要望を通じて、その対策の必要性を強く訴えてまいりました。
 感染拡大防止のため、支援が行き届きにくくなった妊産婦や子育て中の母親たちの不安を解消するために、助産師へのオンライン相談窓口を設置するとともに、産後ケア事業を一層活用すべきですが、知事の見解を伺います。
 待機児童について伺います。
 昨年四月一日現在の待機児童数は、四半世紀ぶりに三千人台の水準となり、これは小池知事就任直後の二〇一七年四月、八千五百八十六人と比較すると、約六割の歴史的減少であり、子育てに優しい都市東京、女性活躍の推進に資する小池都政の非常に大きな成果です。
 しかし、まだ三千人以上の待機児童がおり、また、昨年十月にスタートした幼児教育、保育の無償化による保育ニーズの増加などの影響が予測されたことから、引き続き保育サービスの拡充と、質の確保に向けた取り組みを支援するよう求めてまいりました。
 こうした取り組みにより、本年四月一日の待機児童の状況はどうなったのか、今後、待機児童を死語にするためにも、施策の手を緩めず、支援を加速するべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 家計急変を理由として、修学を諦める生徒を出さないようにすることも必要です。
 都は、私立学校に対する経常経費補助の仕組みの中で、家計状況または家計急変による授業料を減免する各校の制度を補助していますが、この制度を利用した減免制度を整えている学校は、小中高校で約六割、幼稚園は約二割にとどまっており、必要な家庭に支援が行き届かない状況が生まれています。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、修学を諦めなければならない生徒を出さないように、都の補助率を高めることとあわせて、全ての私立学校に減免制度の整備を促すとともに、必要な家庭に対しても制度が周知されるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 都内には、七十五万人もの大学生がいます。我が会派が五月に実施をした大学生への緊急調査では、八割もの学生が経済的不安を抱え、九割の学生が将来や就職への不安を抱えていることがわかり、小池都知事に対しまして、直接、大学生に関する緊急要望をいたしました。
 こうした状況に対し、大学生を対象に、非常勤職員として最大六百人を採用する緊急雇用対策を都が発表したことは評価をいたしますが、その規模は十分ではありません。
 また、学生時代のアルバイトは、単に収入を得るだけでなく、社会の一員として働くという学業では得られない貴重な経験を培うとともに、将来の職業選択の一助となるものです。
 現在、経済的にも厳しい状況にある大学生に対し、新たなアルバイト先の確保に向けて、都としてさらなる支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 自粛要請の長期化により、多くのアーティストやスタッフ等も活動が限られ、苦しい生活を余儀なくされています。芸術文化の灯を絶やさないとの思いで、我が会派は継続して、アーティストやスタッフ等に対する支援を要望してまいりました。
 これに応えて東京都は、他の道府県に先駆けて芸術文化活動支援事業、アートにエールを!東京プロジェクトを公表しました。都のホームページ上に作品を公開し、一名当たり十万円、グループで上限百万円まで出演料を支払う本事業は、公表直後から問い合わせが殺到し、申し込み当日に四千人の枠を大きく上回ったと聞いています。
 まずは、ニーズに応えられるよう、募集人数を拡大すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、今後は自粛要請の段階的緩和に伴い、スタジオや劇場等の文化施設で行われる活動にも支援の対象を広げるなど、東京の芸術文化の灯を絶やさない取り組みをすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派では、厳しい経営環境に置かれる中小企業や休業要請に協力していただいた事業者等に対するさまざまな経済支援を求め、緊急融資や借りかえ、二度にわたる感染拡大防止協力金などを実現してきました。国の動きが緩慢な中で、前例のない本制度を英断し、かつてない速さで迅速に制度設計したことについては、改めて高く評価をいたします。
 一方で、申請の煩雑さや支給までの事務処理において、大きな課題を残したことは指摘せざるを得ません。
 スピード感と失敗を恐れないアジャイルの視点、また、不正受給を減らす観点などは大切でありますが、平時ではない危機時においては、申請の簡潔さと支給までのスピードが何よりも優先であるべきで、今後の危機時の支援のあり方は検証が必要ではないでしょうか。
 一刻も早い協力金の支給に向け、五月十九日に概要を発表した第二弾の運用に当たって、申請から支給までのスキームの見直しと工夫が必要と考えますが、見解を伺います。
 緊急的な経済対策の中でも、制度融資は根幹をなす重要な施策です。多くの中小企業にとって、売り上げが急増する一方で、家賃や人件費などの固定費の負担は重く、当座の資金繰りを制度融資で支えることは、事業の継続と雇用の維持の双方から求められるものです。
 我が会派は、事業者が十分な借り入れをできるよう、制度融資の拡充と迅速な融資実行を要望してきました。しかし、都がいち早く前例のない規模での融資に取り組んできたことを高く評価します。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、苦しい事業環境にある中小企業に対し、制度融資を拡充するなど、支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、資金繰りに苦しむ中小企業にとって、できる限り現金支出を抑え、手元資金を厚くするための支援も重要です。我が会派からは、制度融資の拡充に加えて、税の支払いの猶予や上下水道料金の支払いにも猶予制度を導入すべきと提案してまいりました。それを受けて、三月より支払い猶予制度が速やかに導入されたと承知をしています。
 上下水道料金の支払いを猶予することは、資金繰りに苦しみ、支援を必要とする中小企業や低所得者を初め、あらゆる個人や事業者に対し、直ちに適用できる極めて有効な資金繰り救済策であり、一層の周知を図り、積極的に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 売り上げが減少する事業者にとって、最大固定費である家賃負担は非常に重く、何らかの公的支援を求める声が数多く届いています。都としては、ビルオーナー等に対して、家賃支払い猶予を求める取り組みなどを行ってきましたが、オーナー側にも借り入れの返済や諸経費の支払い負担があり、テナント側の負担軽減は十分に進んでいるとはいえない状況にあります。
 現在、国の第二次補正予算案では、売り上げが一定程度落ち込んだ事業者を対象に、賃料の三分の二を半年間、一社当たり最大六百万円を給付する特別家賃支援給付金制度が示されています。
 東京はいうまでもなく、賃料相場が全国で一番高く、また自粛要請期間も長い中で、実態に合わせて支援を拡充することも必要です。
 そこで、都の家賃相場の実態を反映する形で、国の家賃補償の上乗せ給付を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 市場業者の皆様の経営を支えるべく、我が会派の重ねての要望に基づき、都は、市場使用料などの支払い猶予や経済、金融支援、特に移転の負担がある豊洲市場の事業者へは利子補給追加など、対応してきました。
 加えて、先ほどの国の家賃支援給付金は、市場売り場や店舗などのいわば家賃ともいえる使用料にも適用されます。
 都には申請や事務負担の軽減を図り、円滑に給付が受けられるよう、市場業者に寄り添う丁寧なサポートを強く求めておきます。
 一方、市場業者の中にはオンライン販売など、危機を乗り越えようとする取り組みもあります。
 改正卸売市場法の施行など食品流通環境の変化、感染症への対応に向け新たな販売先の獲得、販売方法の多様化など、市場業者の経営改善につながる仕組みをしっかりと後押ししていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症に対する有効な新薬やワクチンはいまだ登場しておらず、集団免疫の獲得にも時間がかかるといわれる中で、ウイルスの脅威と共存しなければならない期間は今後も中長期に及ぶと予想されます。
 感染症防止と経済活動を両立させる三密回避を前提とした新しい日常にのっとったビジネスモデルへの転換が、あらゆる事業者に求められます。
 そこで、コロナ禍の影響で厳しい状況にある多くの中小企業が、回復と新たなビジネスモデルに向けた足取りを着実に進められるよう、都は積極的に支援を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内飲食店は、引き続き時短営業が要請されている中で、事業者はテークアウト、宅配、移動販売を新たに実施するなど、経営努力を進めることで売り上げの減少を補完しています。
 こうした取り組みを促すため、我が会派の強い要望を受け、都は、助成限度額百万円を上限とする業態転換支援事業を実施しています。販売促進や資機材の調達、宅配サービスの利用料や宅配バイクのリースなど、幅広い経費が対象となるもので、新しい日常への対応策としても、今後一層、多くの中小飲食事業者に活用いただくことを期待するものであります。
 今後は、事業そのものや支援内容の詳細をわかりやすく周知、また拡充することで、より多くの中小飲食事業者にこの事業を利用いただくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都はこれまでも、テレワークの推進やサテライトオフィスの普及など、ライフワークバランスの向上に取り組んできましたが、感染症の拡大は、経済活動のあり方と働き方を改めて根本から問い直すこととなりました。
 こうした事態を踏まえ、都の事業継続緊急対策助成金が、今回の補正予算で大幅に拡充されることを高く評価いたします。
 ウイルスと共存しなければならない期間が当面続いていく中で、ウイズコロナの新しい働き方を促進することは極めて重要です。都として、テレワークの普及を含めたリモートワーク推進策について、目標を改めて設定した上で、施策を総合的に展開すべきです。
 そこで、今回の危機を奇貨として、より前向きにテレワーク普及に取り組み、東京の働き方改革を前進させるとともに、リモートワーク推進を新しい時代への社会構造変革へと結びつけていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、島しょ地域においては、農作物や水産物の市場価格の下落や根幹を占める観光産業の急激な落ち込みにより、島しょ経済は極めて厳しい状況にあります。また、本土との船舶、航空路線も大幅な旅客の減少により、経営環境が悪化をしています。
 我が会派は、島しょ地域からのこうした声を直接お聞きし、これまで都に速やかな支援を求めてまいりました。本土との交通網の維持、農業、漁業支援の強化、市町村総合交付金の活用を通じた宿泊や観光関連など、打撃を受けている地域の事業者支援など、幅広く島しょ経済を支える必要があります。
 今後、島しょ地域の生活や経済を守るために、都として一層の支援を検討すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 また、西多摩地域においても、宿泊や観光に依拠しているなど同様の課題があることから、今後、感染症対策を講じながら、域内ツーリズムから段階的に促進することや、地域状況に合った支援に自治体が取り組めるよう求めておきます。
 都は現在、東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針案を策定し、パブリックコメントに付しています。指針案の策定に当たっては、我が会派から小池知事に提出した認証基準、審査、支援策のあり方について要望が反映されており、高く評価するものであります。
 就労に困難を抱える方々を雇用するソーシャルファームを早期に生み出すために、とりわけ厳しい経済情勢下においては、新規事業に踏み出す事業者のリスクを軽減し、幅広い事業者に認証取得に向けた検討を促すことが重要です。
 また、条例の理念に賛同する方々への情報提供や支援など、裾野を広げる取り組みを進め、東京からムーブメントをつなげていくことが非常に重要です。
 そこで、指針の策定に当たっては、参入障壁をできる限り下げ、より多くの事業者の事業意欲を喚起するような認証基準や支援策を示し、条例の理念や目的に沿った事業へつなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、学校再開に関連して伺います。
 長い休校期間が明けましたが、今後も中長期的に感染拡大を予防しながら学習機会を確保していかなければならず、毎日の通学を前提とした平時の学校運営に戻ることは、当面厳しいといわざるを得ません。
 我が会派は、感染症が課題となる以前より、次世代教育の基礎的なインフラとして、小中高等学校におけるICT環境整備の重要性をこれまでも訴えてまいりました。休校措置がとられたその日のうちに、休校中のオンライン教育の実施に向けた新たな支援や端末の貸与などを要望するなど、ボトルネックの解消を提案してまいりました。
 そのような中で、都は五月初旬に、端末やルーターの確保、家庭に貸与する際の導入作業やオンライン授業をサポートするオンライン支援員の配置など、会派の要望に応える施策を整え、迅速に予算編成したことを評価します。
 知事はこれまで、オンライン教育の重要性を述べ、学校の臨時休業の長期化に対応するため、緊急予算の措置を行ってきました。今般、学校は再開しましたが、オンライン教育の重要性は変わらないものと考えます。
 改めて、オンライン教育に対する知事の思いを伺います。
 今後、オンライン教育を普及させていく意義は、当面の感染症対策というだけではありません。これまでの授業を単純にオンライン化するのではなく、例えば、知識習得は専門の講師がつくった動画や教材を活用し、体験や他者との協働などの課題解決型学習に先生は集中するといったことで、効率を向上させながら、一人一人の個性や能力に向き合う教育、新たな学びのあり方につなげていくことが重要です。
 都内公立学校では、臨時休校が終了し、分散登校が開始され、オンライン学習を登校日以外の学習手段として活用していますが、当面の感染症対策としてだけではなく、対面指導とオンラインを効果的に組み合わせた学習により、児童生徒の資質や能力の向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 また、学校再開に向け、児童生徒が安全かつ安心して学校に通学できるよう、サーモグラフィーやアクリル板などの資材、人的措置など、感染症対策を万全に行えるよう支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 休校が長く続いた中で、進路決定を控え大きな不安を抱えている卒業年次の子供たちと、その家庭に対しての配慮は特に重要です。
 文部科学省が出した高校入試に関する通知では、スポーツ、文化関係の行事、大会や資格検定試験等に出られないことや、出席日数の不足や学習評価の内容等に記載するものが少なくなることで不利益をこうむることがないよう配慮するとともに、入学試験においては、出題範囲の工夫や、選択制の問題、面接や作文等の方法を用いることなどが促されています。
 子供たちや家庭の不安を大きくするのは、どのようになるのか見通せないことや、自分たちの学校や家庭環境が不利になるのではないかといった懸念にあります。できる限り早期に方向性を明確にすることが不安を減らし、準備に専念する環境につながります。
 中学生が安心して進路を選択し準備を進められるようにするためにも、文部科学省の通知も踏まえ、都立高校の入学者選抜において実施する配慮について、具体的でわかりやすい指針を早期に示すべきですが、見解を伺います。
 これまで都は、東京都新型コロナ対策サイトによるわかりやすいデータ提供や、小池都知事の毎日のユーチューブ等による動画のライブ配信、LINE等のSNSの積極的な活用など、従来の発想を超えた情報発信の取り組みを行ってきました。こうした危機時の行政による的確な情報発信やデータ公開は極めて重要です。
 我が会派から当初より要望していたPCR検査実施件数について、民間分も含めてほぼ毎日開示するようになり、陽性率が示されるようになったことは評価していますが、一方で、開示までに相当の時間を要し、また、五月六日以前の陽性率は民間検査を含められず誤解を与えかねないと指摘されるなどの課題もありました。
 特に、今回のような未知のウイルスと闘う上では、正しいデータに基づいて戦略を立案し、情報を公表することで都民の共感を得て行動を促していくことこそが、結果的にウイルスによる被害を最小限にするはずです。
 今後、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトの開示すべきデータを精査し、スピード感を持ってアジャイルに改善できる体制とするためにも、公開するデータの充実について、宮坂副知事が局横断的にイニシアチブをとって取り組むべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 感染症対策を契機として、各種支援制度のオンライン申請が進み、都民にも浸透したことは極めて前向きな社会の変化です。
 一方で、さきの質問でも触れましたが、協力金などの支援において、申請の煩雑さ、支給までのスピードに課題があり、これを今後の糧としなければなりません。
 これまで経験のない困難に直面し、都政においても、これまでの仕事の進め方の見直しや前例にとらわれない仕事の進め方が求められています。
 そのような中、対策を迅速に講じるとともに、試行錯誤しながら、スピード感を持って、まさにアジャイルの視点で都政を進めていくことが必要です。
 そして、これまで民間企業のトップとして、こうした姿勢でさまざまなシステムや制度の見直しを強力に進めてきた宮坂副知事の見解を求めます。
 我が会派では、協力金の申請サイトについて、使い勝手やシステムエラーを改善する提案を行ってまいりましたが、こうした申請プロセスは、ユーザーの視点に立ってサービスを構築することが何よりも大切です。
 また、申請がオンラインで行えることは最初のステップであり、都庁内部の業務プロセスまで効率化され、特に支援策であれば、支給までのスピードが劇的に向上するように、運用も含めて設計されることで、デジタルトランスフォーメーションになります。
 そうしたマインドを都庁内の各局各部署が意識できているか、改めて意識改革を行うとともに、組織体制にも組み込んでいくべきです。
 今後、新型コロナウイルスによる都の対策を進めるに当たり、各局施策の業務プロセスを最適化し、ユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスの設計やオンライン申請のノウハウを共有するなど、局横断的なデジタルトランスフォーメーションの取り組みが必要ですが、知事の見解を伺います。
 昨年五月にいわゆるデジタルファースト法が成立をし、国や地方自治体が行政手続の原則デジタル化に取り組むことが定められました。
 デジタル化が実現すれば、市民の利便性は大きく向上するとともに、日本のビジネス環境の改善も期待できます。また、今回の感染症への対応においても、各種申請の窓口が混雑し感染リスクが高まっていることや、補助金の申請に時間がかかるなど、行政手続のデジタル化が急務であることが顕在化しました。
 これまで我が会派は、行政手続のコスト削減やデジタル化を繰り返し提言をしてきました。提言も踏まえて、都は、昨年九月に行政手続コストの削減に関する計画を策定し、所管する約三千の手続で、年間千件以上の受け付けがある百六十九の手続について、二〇二一年末までに見直すことを公表いたしました。これは件数ベースで全体の九八%を占めるもので、取り組みのインパクトは非常に大きいものです。
 今後、新型コロナウイルスに関連して発生した窓口業務は原則オンラインにするとともに、行政手続のコスト削減及びデジタル化に関する全体の計画を前倒しして進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 行政と外部の会議などにおけるオンライン化も課題です。
 緊急事態宣言以降、多くの審議会や住民説明会などが中止や書面開催になっています。専門家や民意を適切に反映するオンライン活用方法など、審議会や住民説明会などの今後のあり方については、規定の改定も含め、各局で十分に検討すべきと指摘をしておきます。
 東京の都市づくりは、都市づくりのグランドデザインや未来の東京戦略ビジョンのもと、十年先、二十年先の将来を見据え、活力とゆとりのある高度成熟都市の実現を目標に掲げてきました。そのもとで、今年度は、都の都市計画をつかさどる東京都都市計画区域マスタープランの改定を進めています。
 一方で、新型コロナウイルス感染症に対峙する中で、人々の生活スタイルや働き方も変容を迫られており、アフターコロナ時代を見据えた都市のあり方も、新たに求められてきています。
 人が集積することで価値を生んできた大都市システムは、一部転換を迫られるかもしれません。
 そのような中で、東京がアフターコロナの時代においても、むしろ国際的な競争力をさらに高め、魅力と安全性を兼ね備えた都市であるための方策について検討していくべきではないでしょうか。
 今後の都市づくりに当たっては、新型コロナウイルス感染症に留意すべきと考えますが、見解を伺います。
 知事は、築地再開発の先行整備事業について、状況の大変化を踏まえて内容を見直すと表明をしました。
 知事はこの答弁の中で、先行整備事業の実施方針については見直すとしており、築地の整備計画全体を見直すと答弁をしたわけではないと理解をしています。
 また、先行整備の内容見直しに当たっては、平成二十九年六月の基本方針で示した築地市場を五年後を目途に再開発をするという当初のスケジュールを含め、状況の変化に対応していくべきと考えます。それぞれについて見解を伺います。
 首都高速日本橋区間地下化に伴う大型車交通対策として、東京高速道路、KK線について、構造を強化する案が一時俎上に上りましたが、最終的には地下に別路線が整備される方針となりました。
 別路線の整備に伴い、KK線の今後のあり方については、都が昨年十月に設置した東京高速道路(KK線)の既存施設のあり方検討会において検討することとなっています。
 一方、貨物線跡地を緑地化した米国ニューヨークのハイラインやフランスのプロムナードプランテなども参考として、地元中央区では、地下化に合わせ、KK線を緑化し、遊歩道へと再生する案を公表、先月二十二日には、区の検討調査業務の委託先が決定したところです。
 高速道路空間を活用して、銀座エリア外周部に緑地帯を整備する緑のプロムナードが実現すれば、銀座地区の新たなにぎわい創出、そして、アフターコロナの東京を描く上で、新たなシンボル、魅力となるのは間違いなく、推進していくべきです。
 そこで、東京都においても、KK線の今後のあり方について検討を加速していくべきと考えますが、先日開かれた第二回あり方検討会の内容を含め、現在の検討状況と今後の見通しについて伺います。
 オリンピック・パラリンピックの二〇二一年への延期に伴い、会場費を初め、さまざまな多額の追加支出が懸念をされます。
 我が会派は、延期が決まる以前から、大会経費や関連支出が肥大化することのないよう、厳しい精査を求めてまいりました。
 組織委員会の収支報告について、本年度から毎月とすることを実現し、加えて、さきの定例会では、資料の散逸などを防止し、事後検証できるよう、議員提案の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例を制定いたしました。
 これも、組織委員会で緊張感を持った適切な運営がなされるよう後押しをするものです。
 新型コロナウイルスの感染拡大前に想定していた平時における大会を、そのまま一年後に再現するということではなく、コロナとの長い闘いを乗り越えた状況下で開催する大会とはどうあるべきか、コンセプトやその工程を整理した上で経費を精査し、支出の増加を最小化していくべきですが、見解を伺います。
 最後に、東京大改革について伺います。
 小池都政では、待機児童数の歴史的減少を初めとする女性活躍、国より大きく踏み込んだ都独自の受動喫煙防止条例、社会のマイノリティーに光を当て、共生社会を実現する取り組みなど、これまでの都政には十分に反映されてこなかった都民一人一人の人の声を反映する取り組みが行われてきました。
 また、知事給与の半減を初め、いわゆる政党復活予算の廃止、更新費用二千億円超といわれた工業用水道事業の廃止、絶え間ない事業の評価による四年間で約三千億円の新規財源の確保など、めり張りのついた財政運営も行われてきました。
 このような取り組みを重ねてきたからこそ、私たちが強く求め、実現に至った、休業等にご協力をいただいた都内事業者への協力金の交付など、新型コロナ対策として必要な財政出動も可能となっているものです。
 海外や、他の国内都市の例を見れば明らかなとおり、いつ東京を新型コロナの第二波、第三波が襲ってくるかわかりません。
 都民の命、暮らし、雇用、そして東京の経済を守り抜くために、都による継続的な力強い対応が必要不可欠です。
 また、新型コロナの影響で明らかになったとおり、日本はもはやIT後進国といっても過言ではなく、小池都政で推進されてきたテレワークの定着、そして東京のデジタルトランスフォーメーションをまさしく爆速で進めなければなりません。
 さらに、多様性を力に変えるソーシャルファームの取り組み、有事に迅速に対応可能となる都庁組織の構造改革など、都政の課題はいまだに山積しており、改革は道半ばです。
 新型コロナを乗り越え、東京を次なる成長のステージに導き、東京大改革と都民ファーストの都政を改めて加速させるため、小池知事は、七月の東京都知事選に出馬する責務があると考えますが、知事の見解を伺います。
 東京大改革についても一言述べさせていただきます。
 私たちはこれまで、古い議会を新しく、自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へなど、真に都民の利益を代弁する都議会となるべく活動を続けてまいりました。
 委員会のインターネット中継の実施拡大、そして議員公用車の大幅削減、ペーパーレス化の推進、議員提案条例の成立など、各会派の皆様のご協力をいただきながら、都議会の機能と透明性を強化する取り組みを推進し、都議会に対する外部からの評価も高まっているところです。
 私たちが進めてきた東京大改革、都民ファーストを体現する多くの施策が盛り込まれた東京都の予算に賛同された都議会会派も新たにふえましたが、これは私たちが進めてきた東京大改革の正しさを示すことにもつながり、大いに歓迎するものです。
 私たちは常に、都民の利益にかなうか否かを判断の軸に据え、新型コロナとの闘いなど、多くの課題を抱える都政の着実な推進のため、都民ファーストの都政の継続に全力で取り組んでまいりますことを改めてお誓い申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 議会のお取り決めにのっとりまして、マスクは外させていただきます。
 荒木ちはる議員の代表質問にお答えをいたします。
 補正予算についてのお尋ねがございました。
 これまで都は、医療体制の強化やセーフティーネットの強化に向けて、数度にわたり補正予算を編成、対策を迅速に講じてまいりました。
 一方で、ウイルスとの長い闘いを見据えますと、感染拡大の第二波への備えに万全を期すとともに、暮らしや働く場における新しい日常を根づかせていくことが都に課せられた使命でございます。
 こうした考えのもとで、今般、感染拡大の阻止やセーフティーネットの強化、社会構造の変革を促す取り組みに加えまして、新たに、感染症防止と経済社会活動の両立を図る取り組みを盛り込んだ総額五千八百三十二億円の補正予算案を編成いたしました。
 具体的には、緊急事態宣言の延長に伴う休業要請などに対しまして、営業自粛などでご協力いただいた企業等に協力金をお支払いするとともに、感染拡大を阻止するために、抗原検査、抗体検査を加速させてまいります。
 また、経営環境の厳しい中小企業に対しまして、資金繰りを支えます制度融資の大幅な引き上げや、大きな反響をいただいておりますアーティストを支援するアートにエールを!東京プロジェクトの拡充を図ってまいります。
 さらには、中小企業の三密を回避する取り組みへの支援、学校における感染防止対策の強化、オンライン教育の推進などの取り組みを強化してまいります。
 この補正予算をてこといたしまして、新型コロナウイルス感染症を乗り越えて、新しい日常が定着した社会を実現するとともに、社会構造の変革を促して、東京大改革によって未来の東京を力強く切り開いてまいるよう、都民ファースト、すなわち都民第一の視点から全力で取り組んでまいります。
 経済再生に向けたさらなる支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症は、世界や日本各地で広がりを見せて、まさに国難ともいうべき事態をもたらしております。
 東京におきましては、これまでの都民が一体となった取り組みが実を結び、先月の緊急事態宣言の解除へと至ることができました。
 この間、都は、経営に大きな影響を受けている中小企業等に対します資金繰り支援を初め、経済活動の下支え策を速やかに実行し、都としてなすべき手だてを積極的に講じてきたところであります。
 しかしながら、依然として都内の経営環境は先行きが不透明であり、予断を許さない状況であることから、とりわけ中小企業等の事業継続に向けた対策や経営環境が特に厳しい業種に対する支援が必要であると認識をいたしております。
 東京の経済活動を早期に回復させるとともに、都民の雇用を確実に守り抜くためにも、東京の経済の再生に向けました積極的なさらなる手だてについて、検討を加速させてまいります。
 次に、地方創生臨時交付金についてのご質問でございます。
 国際社会における都市の重要性が高まる中で、東京は世界から人が集まり、日本各地とをつなぐ結節点として、我が国の経済活動の中心を担っております。
 新型コロナウイルス感染症を乗り越え、日本経済全体の復活への道筋を確かなものとするためには、首都東京での感染拡大を確実に食いとめる、東京の経済をしっかりと下支えする、そのことが極めて重要であります。
 しかしながら、先般、国から示されました第一次分の交付限度額ですが、財政力が高い自治体への配分を抑える算定方式が採用されましたことで、感染者数が全国最多である都の実態が十分に反映されなかったわけでございます。桁違いに少なかったということであります。
 今後、感染拡大を抑えながら東京の経済を早期に回復軌道に乗せていくためには、国の交付金も活用しながら、中小企業等に対するさらなる支援などに積極的に取り組む必要がございます。
 今般、国の二次補正予算におきまして、臨時交付金が積み増しされることが示されたわけでありますが、今回の配分に当たりましては、大都市の実情を的確に反映した配分となりますよう、改めて強く要望いたしているところでございます。
 今後とも、都議会の皆様とも連携しながら、必要かつ十分な財源が配分されますよう、私みずから先頭に立ちまして、国に対して強力に訴えてまいります。
 次に、ポストコロナを見据えた雇用対策についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって、都内企業の経営環境は厳しさを増しております。内定の取り消し、雇いどめ、解雇の増加など雇用情勢も急速に悪化をいたしております。
 一方で、今後のポストコロナの社会におきましては、オンラインサービスや行政手続のデジタル化などが一層進展していくことから、こうした非接触型の産業を支えるIT関連企業の人材確保に向けた支援の強化が求められております。
 こうした状況を踏まえまして、東京の経済を回復軌道に乗せていくためには、離職を余儀なくされた方々に対し、ITの分野において職業訓練による人材育成を図るとともに、強力な再就職支援を実施しまして、都内の産業を次世代の成長産業へと転換していくことが急務となっております。
 このため、都は、民間事業者のノウハウを活用して、プログラミング等の実践的なITスキルを付与する職業訓練と、訓練生の希望や適性を踏まえました求人開拓などの再就職支援を一体的に行う新たな取り組みを実施いたします。
 今後、東京のさらなる産業振興に向けまして、将来を見据えた産業人材の育成を進める雇用対策の充実を図ってまいります。
 次に、都としての緊急雇用についてのご質問でございます。
 感染症の影響による雇用情勢の悪化を踏まえまして、都庁もみずから率先をいたし、雇用を維持する施策を講じる必要がございます。
 都におきましては、感染症の影響で内定を取り消された方や離職された方、アルバイト先の休業などに伴って経済的に困難な状況にある大学生などを対象として、緊急雇用対策としての非常勤職員の採用を行っておりまして、これまでに六百名を超える方々を雇用しております。
 採用された職員は、各職場におけます文書の電子化、学校のオンライン授業の教材作成の補助など、新しい日常を見据えまして、都政のデジタルシフトに向けて増大する業務の一部を担っております。
 また、感染拡大防止協力金の支給など感染症対策に関連いたしまして、新たに必要となった事務につきましても、非常勤職員の雇用につなげております。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって雇用情勢が悪化する中で、都民の雇用を守るため、今後の状況を踏まえまして追加募集を検討するなど、都庁の職場も積極的に活用し、迅速かつ的確な雇用対策に取り組んでまいります。
 ポストコロナを見据えましたゼロエミッション東京戦略における施策展開についてでございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症から都民の命を守り、都民の生活や東京の経済活動をしっかり支えることに都庁の総力を挙げて取り組んでおります。
 一方で、我々は世界的に、もう一つの課題である気候危機にも直面をいたしております。また、既に、経験したことのない暑さ、台風、豪雨などによる被害が生じておりまして、今後も人命を脅かす自然災害などの影響が拡大することが指摘されております。
 感染症からの復興に当たりましては、健康や環境、経済など都民生活を脅かすさまざまな危機への対応力を高めながら、持続的に成長する都市づくりが不可欠であり、それに向けた都市生活、経済活動へと社会変革するサステーナブルリカバリーを目指していく必要がございます。
 都は、昨年十二月末、ゼロエミッション東京戦略を策定いたしましたが、ウイルスとの闘いの中で、エネルギー消費構造、プラスチックなど資源の利用、人の移動や物流、食事などの生活様式が大きく変化しつつあります。
 こうした行動変容を契機として、社会経済の回復とともに、その投資や活動を気候変動対策に貢献するものとすべく、ゼロエミッション東京に向けた施策をバージョンアップしながら、災害や感染症に立ち向かう強靱で持続可能な都市を構築してまいります。
 ポストコロナを見据えた取り組みについてのご質問でございます。
 新型コロナウイルスの終息に向けまして、都民の皆様への外出自粛要請や事業者の皆様への休業要請など、東京の総力を結集して一丸となって感染拡大防止に取り組んでまいりました。この間の皆様のご協力に深く感謝を申し上げるところでございます。
 同時に、新型コロナウイルスとの闘いにおきまして、外出自粛や在宅勤務など非接触、非対面での仕事や生活を送る中で、行政や企業のデジタル化のおくれなど、我が国が抱えるさまざまな課題も浮き彫りとなっております。
 これまでに経験したことのない困難に直面している今だからこそ、従来の考えにとらわれることなく、東京大改革の旗のもと、こうした課題に大胆に挑戦をして、新たな社会をつくり上げるきっかけにしていかなければなりません。
 ポストコロナも見据え、デジタルトランスフォーメーションの加速、テレワークの進展による働き方の見直しや快適通勤の定着など、これまで課題となっていた社会システムの大きな変革を促すため、各界の有識者など幅広い方々から斬新で先鋭的な意見を頂戴しながら、日本と東京の新たな成長の原動力につながる構造改革について、議論を深めてまいります。
 こうした成果を都民ファーストの視点に立って長期戦略の策定に生かすなど、感染症を乗り越えた先のさらなる飛躍に向けまして英知を結集し、東京の未来を切り開いてまいります。
 次に、これまでの課題の検証を踏まえた第二波への対応についてでございます。
 見えざる敵、新型コロナウイルスとの闘いは、東京がかつて経験したことがないものであり、都民の生命や健康のみならず、生活や経済活動に深刻な影響を与えております。
 この間、都民や事業者の皆様の外出の自粛や休業要請等へのご協力によりまして、緊急事態宣言の解除へと至ることができたものの、これで新型コロナウイルスへの感染の危険がなくなったわけではありません。
 また今後、新たな感染症が発生、流行する脅威も想定しなければなりません。これらに備えるための危機管理体制に終わりはありません。
 今般、新型コロナウイルス感染症の対応におきましては、軽症者などの宿泊療養施設への入所、検査、相談体制の充実、マスクや消毒液などの衛生資材の備蓄、行政手続におけるデジタル化の推進など、多くの課題が浮き彫りとなったところでございます。
 今後、私を本部長といたします東京都新型コロナウイルス感染症対策本部を司令塔に、各局におきましても、こうした課題を検証して、感染症対策のさらなる充実強化に生かすことで、今後懸念されます第二波への備えを、スピード感を持って的確に行ってまいります。
 感染症に対する組織力の強化でございます。
 新型コロナウイルスという未知の敵との闘いにおきましては、感染拡大の状況や症状を的確に把握して、科学的知見に基づく分析を進めた上で、迅速な対策を講じていくことが重要であります。
 アメリカでは、連邦政府機関として、CDC、疾病対策予防センターが設置をされておりまして、多くの感染症の専門家による高度な研究が進められ、これまでも世界のさまざまな感染症対策において大きな貢献を果たしてきました。
 こうした事例に学んで、感染症の専門家のアドバイスに基づき、適切な検査、医療体制の提供、都民への具体的な行動変容の呼びかけなど、的確な感染症対策を講じていくための体制の整備拡充が求められております。
 都におきましてはこれまで、検査や疫学情報分析を行う健康安全研究センターと感染症対策部門が連結した取り組みを進めてまいりました。また、患者情報管理センターを開設いたしまして、保健所との連携強化を進めております。
 今後、こうした取り組みをさらに充実させる観点から、国内の医療、研究機関と連携をいたしまして、専門家によるアドバイザー機能を強化するとともに、その実働部隊として、保健所や医療機関からの情報収集や分析を行う組織につきましても抜本的な充実を図ってまいります。
 新型コロナウイルス感染症の水際対策についてのご質問がございました。
 都におきましては、新型コロナウイルスについて、七つの指標を用いて、感染状況を注視しながら、休業要請の緩和を段階的に進めております。
 国では今後、入国制限対象地域を緩和していくことが考えられますが、入国者への対応をおろそかにしますと、これまでの努力が水の泡となりかねません。備えよ常にの観点から、第二波を見据え、水際対策に万全を期すとともに、入国者の行動歴を確実に把握することは極めて重要でございます。
 この取り組みを推進していくためには、羽田、成田の国際空港、東京、横浜、川崎、千葉などの国際港湾を擁します一都三県と国が共同して取り組む必要があります。
 このため、先月、国に対しまして、水際対策のさらなる徹底強化、入国者、帰国者の検査及び健康監視時の連絡の徹底、入国者の行動追跡の実施につきまして緊急要望を行ったところでございます。
 今後とも、一都三県で手を携え、国とも連携しながら、この水際対策、次なる感染の波に備えてまいります。
 次に、ロードマップ改定の経緯とガイドラインで示されていない業種の今後の取り扱いについてでございます。
 都は、五月二十二日、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップを策定して公表したところでございます。
 その後、二十五日に、国が東京を含みます全国の緊急事態宣言を解除いたしまして、これに伴って国の基本的対処方針が改正されるとともに、都道府県の対応に関します事務連絡が発出されております。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法でございますが、施設の使用停止などにつきましては、基本的に都道府県対策本部長の権限と規定しておりますが、一方で、国による総合調整権が認められているところであります。
 このため、都は、基本的対処方針等の改定に合わせまして、スポーツジムやカラオケの取り扱いについてロードマップを改定し、休業要請の緩和のステップを変更したところでございます。
 六月一日からは、改正後のロードマップに基づきましてステップ二に移行しまして、自動車教習所や映画館、商業施設などの施設について、休業要請の緩和を行ったところでございます。
 また、ライブハウスなどにつきましても、業界団体におけるガイドラインが策定される予定で、今後、これらの施設の休業要請の緩和につきまして判断をしてまいります。
 東京都におけます施設の使用制限等、その緩和につきましては、全国に与える影響が大でございますので、引き続き国との連携を図りながら、都の地域特性も十分に配慮した上で、適切な感染拡大防止と経済社会活動の両立を図ってまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れていただいている医療機関への支援についてでございます。
 姿の見えない感染症との闘いに日々向き合って、ただ一心に患者の生命を守っていただいている医療従事者の方々は、全ての都民にとりましてかけがえのない財産でございます。新型コロナウイルス感染症の都内の患者数は減少傾向にはございますが、第二波への備えを怠ることはできません。
 このため、都は、感染の疑いがある患者を含めまして、新型コロナの患者を受け入れる病院への謝金や、患者受け入れ用の病床をあらかじめ確保する際の補助など、引き続き医療提供体制の確保を図ってまいります。
 また、医師、看護師等への特殊勤務手当の支給、ECMOや人工呼吸器などの整備に対しましての補助を行いますほか、院内感染防止の観点から動画を作成するなど、医療機関への支援の拡充を図ってまいります。
 今後も都民の生命を守るため、医療機関の対応力強化に向けました支援を進めて、患者の生命を守る医療機関の皆様の取り組み、全力で支えてまいります。
 ひとり親家庭への支援についてのご指摘がございました。
 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担っているため負担が大きい、そして世帯収入も両親がいる世帯と比較いたしますと低い傾向にあります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴います学校等の臨時休業、事業所の休業などによりまして、ひとり親の負担は増大をしており、こうした家庭への支援は不可欠でございます。
 先日、都民ファーストの会のご要望を受けまして、私自身、直接、ひとり親家庭を支援する団体の方々にお会いをいたしました。収入が減る中で、一斉休校によって昼食代や教材費の出費増に苦しんでいるなど、家庭の厳しい実情についてお話を伺ったところであります。
 こうした状況を踏まえまして、都は、生活資金の緊急貸付や納税の猶予など、感染拡大による影響でお困りの方が利用できるさまざまな制度や相談先をまとめたサイトを、ひとり親家庭支援センターのホームページに新たに開設をいたしました。
 さらに、区市町村と連携をいたしまして、児童扶養手当を受給する全てのひとり親家庭を対象に、食料品など必要な物品を入手できますよう支援することといたしておりまして、この非常事態にあっても、ひとり親家庭が子供を健全に育むことができるよう、全力で支援をしてまいります。
 次に、妊産婦への支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症との長期戦が見込まれる中で、自身と胎児への影響の不安を抱えながら生活しておられる妊婦の方も多いと存じます。
 都は、妊娠や出産に関する相談に専門職が電話やメールで応じる妊娠相談ほっとラインで、新型コロナウイルス感染症に関します不安や悩みにも対応しております。
 また、都民ファーストの会のご要望を受けまして、感染予防のため外出を控えている妊婦さんに対しまして、よりきめ細かく効果的な支援を行うために、助産師によるオンラインの対面相談を五月十六日から新たに開始いたしました。
 さらに、区市町村が助産師などを活用しまして、退院直後の母子の心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケア事業につきまして、現場の声も踏まえて、電話やオンラインなど、感染リスクの少ない方法を積極的に検討するよう働きかけております。
 こうした取り組みに加えまして、国事業を踏まえ、希望する妊婦の方に対するPCR検査も新たに実施することといたしておりまして、区市町村ともしっかり連携しながら、妊産婦の方の不安解消に取り組んでまいります。
 待機児童対策についてのご質問でございます。
 私は平成二十八年八月の就任以降、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育の実施主体である区市町村や保育の現場の皆様と力を合わせて保育サービスの拡大を図ってまいったところでございます。
 その結果、本年四月の都内の待機児童数の速報値でございますが、近々発表の運びとなっておりまして、大幅な減少が見込まれているところでございます。
 この間、待機児童数がゼロとなった自治体がある一方で、依然として待機児童が残る自治体もございます。また、年齢別では、ゼロ歳児が減少し、一歳児の占める割合が増加傾向となるなど、状況は変化しております。
 こうした状況を踏まえまして、今年度は区市町村の保育所整備を後押しするため、整備費補助のさらなる拡充を図りますほか、認証保育所におけます一歳児の受け入れを促進するための支援を開始いたしました。
 待機児童を死語にするという東京の姿を目指しまして、区市町村としっかり連携しながら、保育所等の整備の促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、これら三つを柱に全力で取り組んでまいります。
 次に、大学生のアルバイト先の確保に向けた支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響によります飲食店や学習塾などの休業に伴いまして、そこでアルバイトとして働く多くの大学生は、学費や生活費に充てる収入を絶たれるなど、深刻な事態に直面しておられます。
 都内には大学が集積していて、次代を担う大学生が学業を継続し、希望ある未来を切り開いていけるように支援をしていくことは重要でございます。
 このため、都みずから感染拡大防止協力金の支給を初めとして、各局における庶務事務など、六百名を超える学生にアルバイトの機会を直接提供しております。
 また、新たなアルバイト先の確保に向けまして、SNSを活用いたしましたアルバイト先の相談を行うとともに、業態の転換で新たにデリバリーなどを行う飲食店や、オンライン授業を行う学習塾などの求人を開拓いたしまして、マッチングを図ってまいります。
 これらの取り組みを通じまして、大学生が学業と生活を両立していけますように、全力を挙げてサポートしてまいります。
 次に、アートにエールを!東京プロジェクトについてでございます。
 芸術文化は都市の魅力を形成する要素となるだけではございません。人々に感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにする極めて重要なものでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で多くのイベントや展覧会が中止となって、アーティストやアートにかかわる方々の創作や発信の場が失われております。
 このため、都は、活動を自粛せざるを得ないプロのアーティストなどの活動を支援するとともに、在宅でも都民が芸術文化に触れられる機会を提供するアートにエールを!東京プロジェクトを開始いたしました。
 先月募集を行ったところ、募集人数四千人を大幅に上回る一万六千人の方々から申し込みをいただいたために、受け付けを一旦終了しております。この方々につきましては、個人登録の要件を満たしたならば、全員が企画に応募していただけるようにするとともに、再募集を行って、募集人数を合計二万人へと拡大をしてまいります。
 新たな支援の取り組みでございますが、現在実施をしておりますプロジェクトは自宅などで動画作品を制作するプロのアーティストなどの個人に出演料相当をお支払いするものでございます。
 今後は、公演を中止や延期せざるを得なかった演劇やコンサートなどの主催者が、劇場、ホールなどで無観客や入場制限によって開催をして、一定期間、動画を無料配信する公演に対しまして、一件二百万円の新たな支援を行うというものでございます。
 東京の芸術文化を担う多くの方々の新しい日常における創作活動を支えて、東京の文化の灯を絶やさないための支援、積極的に行ってまいります。
 家賃への支援についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、都内の経済活動は大きな打撃を受けております。各事業者は、家賃などの毎月の固定費の支払いによって経営が圧迫されております。
 こうした状況が長期化する中で、大都市の高い水準の家賃負担に耐えかね、事業の継続を諦めて廃業する事業者も出かねないといった声も、経済団体との意見交換の場を含めまして、各方面から伺っております。
 こうした中で、一刻も早い経済の回復につなげていくためには、地域経済の基盤であります中小企業の事業継続を下支えして、きめ細かな支援を迅速に展開していくことが必要であります。
 現在、国では、売り上げが大幅に急減した事業者に対しまして、半年分の家賃の一部を給付する制度を創設して、今国会で補正予算の審議が行われているところであります。
 都としましても国に要望しておりまして、厳しい状況にある事業者を着実に支えるため、国の施策と連携した効果的な支援策について、早急に検討してまいります。
 テレワークのさらなる普及についてのお尋ねでございます。
 スムーズビズの推進や感染症の拡大防止に向けました緊急対策など、都のこれまでの取り組みによって、都内企業のテレワークの導入率は約六割に達しております。利用する社員の割合も大幅に増加するなど、テレワークは急速に拡大をいたしております。
 この勢いをとめることなく、テレワークの導入の加速化を図るため、今回の補正予算におきましては、緊急対策の助成金の規模をニーズを踏まえて拡充をしまして、導入が十分進んでいない小規模な企業等への支援を継続して実施をしてまいります。
 また、今後の新しい日常の中でテレワークの定着を図って、働き方改革を促進していくために、助成金を活用した企業等からヒアリングを行いまして、非常時の事業継続や育児、介護との両立、生産性の向上など、テレワークの有効な活用事例を取りまとめて、都内企業に広く発信をしてまいります。
 さらに、自宅以外の場所におきましてもテレワークを行える環境の整備を進めるために、多摩地域において、職住近接を実現するサテライトオフィスをモデル的に整備するなど、テレワーク環境のインフラを整えてまいります。
 こうした総合的な取り組みによりまして、テレワークを新たなワークスタイルとして社会に根づかせてまいります。
 次に、ソーシャルファームの指針についてのお尋ねでございます。
 ソーシャルファームは自律的な経済活動のもとで、就労に困難を抱える方々の雇用の場の拡大と自立を促進する新たな枠組みでございます。
 このため、事業者がソーシャルファームを創設し、活動を展開していくためのいわば道しるべとなる指針につきましては、ソーシャルファームに期待されるこうした役割を十分に発揮できるような認証基準と支援策を示していくことが重要でございます。
 そこで、今回の指針案でございますが、就労に困難を抱える方の実情に応じた雇用管理やサポートを適切に行うことを事業者に求めるとともに、障害のある方、ひとり親の方など、多様な就労困難者の方々の雇用拡大につながる認証基準を設定いたしております。
 また、より多くの事業者にソーシャルファームの創設を促していくために、事業所の改修費への助成や専門家による経営相談、資金調達の支援など、事業活動におけますきめ細かな支援策を構築いたしております。
 さらに、ご提案も踏まえまして、事業の理念や目的に賛同する事業者に対しまして、就労困難者の雇用ノウハウの提供に関する相談を行うなど、認証に向けた支援を実施しまして、ソーシャルファームの裾野を広げてまいります。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって雇用環境が厳しい状況にあることも踏まえまして、就労困難者の雇用の拡大に向けて今年度中にソーシャルファームを誕生させてまいります。
 次に、オンライン教育についてでございます。
 これからの変化の激しい時代を生きる子供たちは、地球規模の課題に向き合って、世界のさまざまな人々と協働して解決していく力を身につけなくてはなりません。
 そのためには、ICTを積極的に活用して、時間や空間の制約を超えた学びを進めることが必要でございます。
 都は、今般の学校の臨時休業に伴いまして、教育のICT化を推進するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトの当初の予定を大幅に前倒しをいたしました。この機会に、都内全ての公立学校におけますオンライン教育の取り組みを一気に進めてまいります。
 先日、福生市の小学生たちのオンライン朝の会に私も都庁から参加をいたしました。子供たちとの会話は楽しいものでありました。子供たちはタブレットを使いこなして、学校の教室にいるのと同じように、先生や友達とコミュニケーションをとっていた。そして、改めて、ICTを活用したオンライン教育の大きな可能性を感じたところでございます。
 今後、教育委員会と力を合わせまして、ICTを活用した新しい学びの形をつくり上げて、社会のさまざまな課題に主体的に取り組んで、グローバルに活躍できる人材を育ててまいります。
 次に、局横断的なデジタルトランスフォーメーションについてのご質問でございます。
 デジタルの力で都民の生活の質を高めていくためには、利用者の目線でサービスをつくり上げていくことが重要でございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症への対応に当たりまして、感染拡大防止協力金などの申請において、オンラインの仕組みを取り入れましたが、海外では、業務プロセス自体を効率化して、補助金等を迅速に給付するなど、さらに一歩進んだ取り組みを展開しています。
 都におきましても、先進的な事例や技術的なノウハウを局横断的に共有をして、より一層利用者目線に立ったシステムやウエブサイトの開発を進めるために、宮坂副知事のもとで、ICT専門人材を中心に、戦略政策情報推進本部、政策企画局、総務局の関係局が連携したチームを早急に設置をいたします。
 さらに今後は、激化する世界の都市間競争に打ち勝つために、海外の先駆的な取り組みも踏まえながら、都におけますデジタルトランスフォーメーションを推進するための体制を強化してまいります。
 行政手続のデジタル化についてでございます。
 都が、新型コロナウイルス感染症の防止と社会経済活動の両立を図りながら、新しい日常を構築していくためには、デジタルトランスフォーメーションの加速など、社会構造の変革を促す取り組みを進めなければなりません。
 そこで、都は、行政手続をデジタルで完結することを目指しまして、申請から審査、決定までの非接触化、効率化を徹底し、都民の皆様や事業者の方の判こレス、ペーパーレス、キャッシュレスの三つのレスの実現に向けて取り組んでいるところであります。
 推進体制といたしましては、先ほどお話しした宮坂副知事をトップとするチームが各局と共同しながら、申請件数の多い主要な手続につきまして、事務フローの見直しやデジタル化の取り組みを今年度集中的に進めて、可能な限り前倒し、爆速で実現に努めるところであります。
 こうした取り組みを促進するためのいわばてことなりますよう、デジタル手続の通則を定める条例の改正に向けた検討に着手をいたしました。
 具体的には、現在各局の条例や規則等に基づきまして書面で行っております都の行政手続について、デジタルでの実施を原則とするなどの転換を図ることといたしております。
 次期定例会におきましては、デジタル化を強力に推し進めるための本条例の改正案の提出を目指し、検討を早急に進めております。
 都は、今回の新型コロナウイルス感染症への対応をめぐりまして明らかになりました課題を的確に捉えて、行政手続のデジタル化の取り組みを推進することによって、社会構造の変革を牽引してまいります。
 次に、築地地区の先行整備事業についてのお尋ねでございます。
 さきの予算特別委員会での答弁は、築地まちづくりの方針の見直しを表明したものではございませんで、先行整備事業の実施方針について、その内容を見直すことを表明したものでございます。
 従来、第ゼロ段階として、船着き場周辺エリアにおいて五年以内の着工を目指しておりましたが、東京二〇二〇大会の延期に伴い、当初の想定スケジュールがおくれざるを得なくなりました。
 先行整備事業の実施方針の内容につきましては、不透明な社会経済状況の推移なども見ながら、検討を進めてまいります。
 次に、東京高速道路、いわゆるKK線についてのお尋ねでございます。
 日本橋周辺の首都高速道路の地下化に伴って、これまで担ってきた自動車専用の道路としての役割にかわって、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな公共空間としての役割が求められております。
 学識経験者などで構成される検討会におきましては、KK線の今後のあり方について広域的な回遊性を高めまして、にぎわい、魅力を創出し、交流を促進するという観点から、歩行者系機能の施設として活用する方向で検討していくことといたしました。
 銀座などの都心を訪れる誰もが憩い楽しめる緑豊かな歩行者中心の新たな空中回廊として再生をして、地域全体の価値や魅力の向上が図れますように、さらに検討を進めてまいります。
 大会の延期に伴います経費についてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会は、これまでの復興オリンピック・パラリンピックの位置づけに加えまして、新型コロナウイルスによる難局を世界が一丸となって乗り越え、人類がそのきずなをさらに強めた象徴となる、希望あふれる大会を開催するという、これまでの大会にはない意義がございます。
 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、経済が危機的な状況に直面する中で、大会の開催に向けました準備を進めるためには、都民、国民の理解や共感が得られる大会が必要でございます。
 そのため、IOCとのエグゼクティブプロジェクトレビューという会議におきましては、大会経費について、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を今後検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図るものとすることで、IOC、国、組織委員会とともに認識を共有しているところでございます。
 また、ロードマップにつきましては、そのプロジェクトレビューにおいて、運営計画の検討を行った上で作成することといたしておりまして、現在、会場確保の状況等も踏まえながら、関係者間で検討を進めております。
 今後とも、大会のありようも含めまして、IOCと組織委員会を含みます日本側が共同で議論を行って、安全で安心な大会の実現に向け取り組んでまいります。
 最後に、七月の選挙についてのご質問がございました。
 この間、何よりも大切な都民の皆様の命と健康を守って、一人一人の生活や東京の経済活動を支えるために、粉骨砕身、新型コロナウイルス感染症への対策に邁進してきたところでございます。こうした姿勢は、緊急事態宣言が解除となった今でも全く変わるところはございません。
 さらなる対策を迅速かつ強力に推し進めるべく、この定例会におきまして、総額五千八百三十二億円の補正予算案を提案したところでございます。
 この確実な成立に向けまして、都議会の皆様への説明責任をしっかりと果たしていかなければなりません。そして、第二波への着実な備え、新しい日常の定着、さらにはポストコロナを見据えました東京の構造改革の検討など、今、目前に集中すべき課題が山積をしているところでございます。
 そのため、選挙につきましては、適切な時期に判断をしていくこととしたいと考えております。
 以上であります。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 初めに、デジタルコンタクトトレーシングの実装についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑止するためには、スマートフォンを通じた行動変容の意識づけや陽性者との接触情報の通知が受けられるデジタルコンタクトトレーシングの実装が重要でございます。
 国では現在、接触確認アプリの開発を進めておりますが、より多くの都民の皆さんがこのアプリを有効に活用することにより、みずから感染リスクを早期に把握し、そして他者への感染を最小限に抑えることが期待できます。
 このため、アプリ完成後は、その有効性や使い勝手等を十分に分析、検証、理解した上で、都民の皆さんのご理解と協力を得られるよう国とも連携し、アプリの普及に向け必要な対策を講じるなど、都としても貢献してまいります。
 一方、都におきましても、都民利用施設が順次再開されるのに伴い、来訪者の皆さんに安心いただくための機能を提供していくことを検討しております。
 具体的には、利用者の方にQRコードを用いて連絡先を登録してもらい、万が一重大な感染リスクが発生した場合には、登録された方へメール等で迅速に情報提供を行うなど、都独自の新たな見守りサービスとシステム構築を目指します。
 あわせて、多くの都民の皆さんが利用されているSNSの活用なども検討し、利便性の向上を図ってまいります。
 人と人との接触に着目した国の接触確認アプリと、訪れた場所に着目した東京版新型コロナ見守りサービスの双方を活用し、市中感染リスクの低減や早期の相談につなげることにより、新しい日常の定着とともに、第二波への備えを強化してまいります。
 続いて、戦略的な情報発信とデータ公開についてでございますが、今回の新型コロナウイルス感染症対策では、さまざまな局面でビッグデータや客観的な数値データが活用されております。
 データに基づく情報の発信は、都民の皆さんに現状を正しく伝えるとともに、行動変容を促す説得材料となるなど、大変重要な役割を担っております。
 一方で、公表するデータの一部について、情報の収集や精査がおくれるなどの事態も生じました。
 このため、現地現場を最もよく知る都庁の各局が収集、保有する情報や講じる対策について、局横断的な連携を迅速に図り、絶えず情報発信の進化、充実を戦略的に行うなど、改善を図っていく必要がございます。
 三月に立ち上げた対策サイトでは、世界中からの改善提案をもとに、大小合わせて約千件以上の改善に取り組んでまいりました。最近では、緩和、再要請を判断する際に用いるモニタリング指標を都民の皆様に新たにお示ししたところです。
 また、東京都と国の支援情報を都民や企業の皆さんが横断的に検索することができる支援情報ナビを開設し、情報発信を一層強化いたしました。
 引き続き、ウエブサイトのアクセス解析ツールなども利用し、利用者ニーズの把握やサイトの改善に役立ててまいります。
 情報、数値データは新型コロナウイルスに立ち向かうために、力、武器になります。私は、都民の皆さんがその時々に望む情報をわかりやすい形で迅速に届けるという基本に立ち、情報技術に詳しい人間として専門性を発揮していきたいと思います。
 そして、東京大改革の視点に立ち、縦割りの壁を乗り越え、現地、現場をよく知るチームと情報技術に詳しいチームがともに連携してタッグを組み、私自身がイニシアチブをとって、情報、数値データの適切な発信や改善に力を尽くしていきたいと考えております。
 最後に、アジャイルの姿勢での都政の推進についてでございます。
 今回の新型コロナウイルスは未知な部分が多く、都政を取り巻く環境やニーズも目まぐるしく変化するなど、事前の想定が難しい事態が次々に起こっております。
 こうした状況下では、より一層アジャイルの視点が重要となってきており、例えば情報システムやサイトの構築においては、リリースした後、どれだけ改善できたかという点が肝心であると私は考えております。
 施策を講じる際には、都民の方に活用していただいた上で、都民の皆さんが何を求めているのか真摯にその声を聞いて、検証や反省、改善を繰り返し、改めるべきことは直ちに見直すとともに、ニーズを踏まえて充実を図るなど、改善、改良を絶え間なく続けていく必要があります。
 今後も、ウイルスの脅威から都民の皆さんの生命と健康を守り、東京の活力維持を図っていくため、リスクや失敗を恐れないといった積極果敢な姿勢で、ご指摘のとおりアジャイルで、都庁一丸となってこの困難な課題に立ち向かってまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校再開後の効果的な学習についてでございますが、再開後の都内の公立小中学校及び都立学校では、当面の間、分散登校を基本とし、学校における対面指導の日数が制限されますことから、家庭でのオンラインによる学習を適切に組み合わせて、児童生徒の学びを進めているところでございます。
 都立学校のICTパイロット校では、インターネットを活用した学校での協働学習や探求学習、家庭での個別学習を行ってまいりました。臨時休業中には、これまでの実践をもとに、動画や課題配信を中心とした家庭学習の取り組みを進めました。
 指定校の教員からは、家庭での時間は知識の習得に、また、学校での時間は思考力、判断力、表現力等の育成に向けた学習が有効であるとの声が聞かれているところでございます。
 都教育委員会は、こうした実践に基づき、今後、効果的な学習方法を都立学校及び区市町村に周知してまいります。
 次に、公立学校の再開に向けた感染症対策についてでございますが、児童生徒が安全・安心な学校生活を送るためには、感染症対策に係る校内体制を整備することが重要でございます。
 都教育委員会は、学校の再開に向け、この間、都内の公立小中学校及び都立学校のマスクや手指消毒液等、保健衛生用品整備への支援を進めてまいりました。
 加えて、今回の補正予算におきましては、登校時の児童生徒の体温検知のためのサーモグラフィーや飛沫感染防止のためのアクリル板等、新たな感染症対策物品の整備に要する経費について計上をしたところでございます。
 また、都立学校では、施設の衛生管理や事務補助等を行うため、大学生等を非常勤職員として活用を始めております。
 こうした取り組みを早急に行い、都内の公立小中学校及び都立学校における感染症対策の徹底を図ってまいります。
 最後に、都立高校の令和三年度入学者選抜での配慮についてでございますが、学校の臨時休業が長期化したことや、部活動が中止になり、競技大会、コンクールなども全国的に開催されていないことから、来年受検をする中学生が抱えている不安を払拭する必要がございます。
 このため、都教育委員会は、国からの通知も踏まえ、現在、出題範囲や推薦選抜における配慮事項について検討を進めているところでございます。
 今後、六月中旬を目途に、入学者選抜に当たって配慮する事項の内容を具体的に定め、各学校での学習指導の参考となるよう、区市町村教育委員会へ通知いたしますとともに、ホームページ等により、保護者を初め広く都民に周知を図り、中学生が安心して学習に取り組める環境を整備してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 東京の都市づくりについてでございますが、都は、本格的な少子高齢、人口減少社会となる二〇四〇年代に向け、東京を持続的に発展させていくため、都市づくりのグランドデザインにおいて、例えば、最先端技術等を活用しながら、鉄道の混雑緩和、テレワークの普及などに応じた居住の場や働く場の整備、開放的な緑の空間の確保などを推進していくこととしております。
 現在、感染症拡大に伴い、新しい日常にも対応した、こうした都市づくりが加速している方向にございます。
 都市計画の上位計画である都市計画区域マスタープランの今回の改定では、都市計画審議会の意見も聞きながら、こうした都市づくりの方向性等も位置づけ、感染症にも配慮の上、関係者と連携しながら具体的な取り組みを充実し、経済成長とも両立した東京の都市づくりを推進してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染者の増加兆候についてでございますが、都は、今般策定したロードマップで、適切なモニタリング等を通じて、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図ることとしております。
 休業要請等の緩和、再要請等の判断に当たりましては、感染状況、医療提供体制、モニタリングの観点から、七つの指標項目を設定して常に監視を行い、感染拡大の兆候を把握した場合には、都独自に東京アラートを発動し、都民に警戒を呼びかけることとしております。
 なお、この指標の運用につきましては、国の動向や感染者の状況等に応じて柔軟に実施することとしております。
 感染者の状況等の把握のためには、引き続き専門家の意見も伺いながら、より適切な調査方法や新たな検査手法についても検討してまいります。
 次に、保健所への支援についてでございますが、感染症対策を確実に実施していくためには、最前線を担う保健所がその機能を十分に発揮することが必要でございます。
 今回の流行では、患者数が急増する中で、発生届の受理や疫学調査等を担う保健所と、都内全体の情報を集約する都の双方の業務が増大し、情報の確認や共有などが滞る状況も生じました。
 このため、特別区や八王子市、町田市を含む各保健所に都職員を派遣して、業務支援を行うほか、患者情報を一括管理するセンターを立ち上げ、患者情報のデータベースを整備いたしました。
 今後、第二波に備え、患者が急増した場合の情報把握、相談対応等に係る課題を保健所や都派遣職員等を交えて改めて検証し、国の新たな情報共有システムの導入を含め、都内全保健所と一体となって、情報管理体制等の強化や業務の効率化等を進めてまいります。
 次に、PCR検査体制についてでございますが、都は、より効率的な検査の実施が可能となるよう、国に対しまして、唾液を用いたPCR検査の早期普及を求めてまいりましたが、本日から保険適用されることとなりました。
 この唾液を用いた検査では、患者本人による検体採取が可能となり、医療従事者の感染リスクが軽減され、検体採取の効率化によるPCR検査の拡充が期待されております。
 今後は、こうした新たな検査手法の普及や、大学病院等に対し短時間で処理が可能な検査機器の導入支援策の活用を働きかけることなどによりまして、都内の検査処理能力の拡充を図り、必要な方が速やかにPCR検査を受けられる体制を強化してまいります。
 最後に、高齢者施設等の感染防止対策についてでございますが、都は、新型コロナウイルス発生後、感染拡大防止の留意点等の周知やマスクの配布を行うほか、衛生資材を安定的に供給するよう、国や業界団体に働きかけてまいりました。
 お話のように、施設内での感染防止を徹底し、職員が安心して利用者のケアに当たれるようにすることは重要であり、今後、日ごろからの感染予防策のほか、感染が疑われる者が発生した際の防護具の着脱や消毒、清掃などの手順をわかりやすく紹介する動画と教材を作成してまいります。
 また、感染拡大防止のため、個室化や簡易陰圧装置等の設置への補助を新たに実施するとともに、万一、感染者や濃厚接触者が発生した場合等は、衛生用品の購入や人材確保のための割り増し手当の支給などを支援し、施設等の感染防止策の充実を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 家庭ごみの排出とリサイクルについてでございますが、エッセンシャルワーカーである廃棄物の収集、リサイクル事業者の方々の安全を確保しながらリサイクルを推進することは重要でございます。
 都は今後、区市町村と連携し、感染リスクを防ぎながらリサイクルが可能となるよう、ペットボトルなどは一週間程度置いて捨てることなどの周知を強化いたします。
 あわせて、マスクなど感染防止に必要な物品を事業者に配布する等により、現場の安全対策を支援してまいります。
 区市町村の分別収集の導入拡大に向け、今月新たに開始いたしますプラ製容器包装・再資源化支援事業では、緊急事態宣言下で高まった都民のごみ分別意識のさらなる向上を目指し、例えばアプリを活用したわかりやすい分別方法の周知等、普及啓発を促進いたします。
 加えて、安全性を確保したより高度な選別工程の構築等にも取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難所での感染防止策に関する支援についてでございますが、避難所運営における新型コロナウイルス感染症への対応は喫緊の課題でございます。
 このため、都は、避難所以外への避難行動を促すための住民への周知や、ホテルなどの活用、避難所での感染症対策など、留意事項をまとめた対処方針を策定し、区市町村に周知をいたしました。
 また、都立施設を風水害時の避難先として活用するため、区市町村との協定締結に向けた取り組みを進めております。
 さらに、今月中に新たな事業者と協定を締結し、避難所の居住環境改善や感染防止に有効な物資であるテントや段ボール製簡易ベッド、パーティション等につきまして、今出水期に調達が可能となる体制を構築してまいります。
 今後、区市町村と具体的な対策について情報交換を行い、その避難所運営を支援してまいります。
 次に、島しょ地域への支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う来島自粛等により、島しょ地域の基幹産業である観光、農業、漁業は大きな影響を受けております。
 そこで、都は、地域の生活と経済を支えるため、今回の補正予算案において、これまで補助の対象となっていなかった路線を含めた定期航路や航空路の運航事業者に対し、旅客数の減少により拡大する欠損額を補助いたします。
 また、各島から本土への農業や漁業生産物の出荷などに必要な費用のうち、海上貨物運賃に対する補助率を、四月に遡及いたしまして、十二月までの間、五〇%から一〇〇%に引き上げをいたします。
 加えて、島しょ地域の町村等が事業者に対し独自の支援を行う場合、一般財源を補完する市町村総合交付金を活用することにより、その取り組みを支援してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 私立学校の授業料減免制度の整備についてでございますが、都はこれまでも、私立学校経常費補助において、家計急変を理由とした授業料等の減免制度を持つ学校が減免を行った場合、減免額の一部に対し補助を行ってまいりました。
 私立学校における授業料の減免につきましては、家庭の状況等を踏まえ各学校において実施していますが、新型コロナウイルス感染症の影響で生徒が修学を諦めることがないよう、各学校の取り組みを促進していく必要がございます。
 そこで、家計急変を理由とした今年度の減免額に対する補助率を五分の四から十分の十へ引き上げるとともに、私学団体とも連携して、各学校に対し、減免制度の整備や活用を強く働きかけてまいります。また、生徒の保護者等に対しても、都の取り組みをしっかりと周知してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の支給についてですが、協力金は感染拡大防止の徹底を図るために実施する全国に先駆けた前例のない取り組みでございまして、審査の進捗に応じて体制を強化するとともに、申請の簡略化を図るなど、迅速な支給に向け必要な対策を講じてきたところでございます。
 この結果、申請受け付け分は、ほぼ全て審査に着手しておりまして、今週末までには、申請件数の約半数となる累計五万件を支給し、六月十五日の受け付け終了後、六月末におおむね支給完了の予定でございます。
 第二回では、第一回に引き続き休業している場合は、既に確認済みである営業業種や本人確認書類を不要とするなど、必要書類を最小限にするとともに、初めての方でも申請しやすいよう、ウエブシステムを改善いたします。こうした改善によりまして協力金の迅速な支給につなげてまいります。
 次に、感染症に対応した制度融資の拡充についてですが、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が依然として続く中、都内中小企業に対し、切れ目のない金融支援を行っていくことが重要でございます。
 都は、三月に開始した緊急融資等について、知事の専決処分や四月の臨時会での補正予算を通じて必要な預託金等を措置してまいりました。厳しい環境下にある多くの中小企業の利用があり、四月末までの二カ月で約二万一千件、総額で前年同期の制度融資実績の三・五倍に当たります約六千七百億円の融資を実行したところでございます。
 先月には、融資額一億円までの無利子融資を創設しておりまして、今後も多くの利用が見込まれるため、緊急融資等に係る今年度の目標額を二兆五千億円まで引き上げることとしております。緊急融資等を着実に実施することにより、都内中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいります。
 次に、中小企業の回復に向けた支援についてですが、感染症防止と経済活動の両立が求められる中、中小企業がいわゆる三密対策を徹底するとともに、新しい社会の動きを的確に捉えた事業を展開することが重要でございます。
 このため、感染症防止対策については、都や業界団体等が作成いたしましたガイドラインの普及促進を図るとともに、中小企業が行うレイアウト変更等の内装工事や、備品購入等に要する費用への助成を新たに開始いたします。
 また、新たなビジネスモデルへの転換につきましては、例えば店舗での無人接客ロボットの活用など、さまざまな非接触型サービスを提供する事業者に対して、システム開発や通信機器導入費用などを助成いたします。こうした支援を進めることで、新しい日常に対応した中小企業の事業活動を後押ししてまいります。
 最後に、飲食事業者に対する支援についてですが、感染症による影響の長期化が見込まれる中で、厳しい経営環境にある飲食事業者の事業継続を後押ししていく必要性は一段と高まっているものと認識しております。
 このため、都では、四月から行っておりますテークアウトや宅配などへの業態転換に係る経費の助成につきまして、ご提案も踏まえ事業規模を大幅に拡充し、支援の充実を図っていくことといたしました。
 また、より多くの飲食事業者の方々に支援策を周知していくため、好事例を掲載したリーフレットの作成やポータルサイトの立ち上げなど、より一層のPRの強化を進めてまいります。
 こうした取り組みを進めることで、厳しい状況にある飲食事業者の経営をしっかりと支えてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 水道、下水道料金の支払い猶予についてでございますが、都では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、水道、下水道料金の支払いが一時的に困難になったお客様を支援するため、申し込みから最長四カ月間の支払い猶予を三月二十四日から実施しております。
 支援を必要とするお客様に対しまして、この制度が確実に認知されますよう、都や局のホームページでの発信や「広報東京都」への掲載、知事のユーチューブ動画の配信など、さまざまな手法を用いて広報を行ってまいりました。
 その結果、開始から約二カ月たちました五月末の時点では、約一万三千五百件のお申し込みがあり、現在も毎日約二百件ずつふえております。
 今後、支払い猶予につきましては一層の周知を図りますとともに、申込実績を分析し、都内の経済活動の状況等も踏まえつつ、個々のお客様の事情に寄り添いまして、さらにきめ細かな対応を行ってまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 市場業者の経営改善への支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症による影響が、食品流通全体に及ぶ中、基幹的なインフラとしての市場機能を維持するためには、法改正による影響も含め、流通環境の変化に柔軟に対応できるよう、市場業者の経営を強化する必要がございます。
 このため、都は、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越え、将来の経営改善にもつながる意欲ある市場業者の先駆的な取り組みを積極的に支援してまいります。
 具体的には、市場業者が行うEコマースの活用等による販売方法の多様化や、販路の多角化に向けた商品開発等の取り組みを、中央卸売市場活性化支援事業の補助率のさらなる拡充などにより力強く後押ししてまいります。
 また、これらのさまざまな取り組み事例を周知することなどを通じて、広く市場業者の経営改善を促してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

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