令和二年東京都議会会議録第九号

令和二年五月二十七日(水曜日)
 出席議員 百二十名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
四番平  慶翔君
五番後藤 なみ君
六番藤井あきら君
七番内山 真吾君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十一番あかねがくぼかよ子君
二十二番保坂まさひろ君
二十三番鳥居こうすけ君
二十四番菅原 直志君
二十五番清水やすこ君
二十六番森澤 恭子君
二十七番斉藤れいな君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番舟坂ちかお君
三十一番三宅 正彦君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番白戸 太朗君
四十一番本橋ひろたか君
四十二番馬場 信男君
四十三番佐野いくお君
四十四番細谷しょうこ君
四十五番栗下 善行君
四十六番中山ひろゆき君
四十七番たきぐち学君
四十八番奥澤 高広君
五十番山崎 一輝君
五十一番神林  茂君
五十二番早坂 義弘君
五十三番高橋 信博君
五十四番西沢けいた君
五十五番米倉 春奈君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とくとめ道信君
五十九番遠藤  守君
六十番上野 和彦君
六十一番のがみ純子君
六十二番まつば多美子君
六十三番田の上いくこ君
六十四番両角みのる君
六十五番西郷あゆ美君
六十六番もり  愛君
六十七番岡本こうき君
六十八番米川大二郎君
六十九番森口つかさ君
七十番つじの栄作君
七十一番関野たかなり君
七十二番桐山ひとみ君
七十三番石川 良一君
七十四番中屋 文孝君
七十六番秋田 一郎君
七十七番吉原  修君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番清水ひで子君
八十一番とや英津子君
八十二番池川 友一君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十八番増田 一郎君
八十九番滝田やすひこ君
九十番おじま紘平君
九十一番木下ふみこ君
九十二番村松 一希君
九十三番福島りえこ君
九十四番ひぐちたかあき君
九十五番鈴木 邦和君
九十六番森村 隆行君
九十七番入江のぶこ君
九十八番柴崎 幹男君
九十九番清水 孝治君
百番大場やすのぶ君
百一番三宅しげき君
百二番中村ひろし君
百三番里吉 ゆみ君
百四番尾崎あや子君
百五番曽根はじめ君
百六番橘  正剛君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番山田ひろし君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番宇田川聡史君
百二十一番小宮あんり君
百二十二番鈴木 章浩君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 三名
三番    成清梨沙子君
二十番   龍円あいり君
八十七番  藤井  一君
 欠員
    八番 十五番 四十九番
    七十五番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事多羅尾光睦君
副知事梶原  洋君
副知事宮坂  学君
警視総監斉藤  実君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
政策企画局長山手  斉君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
消防総監安藤 俊雄君
主税局長塩見 清仁君
生活文化局長浜 佳葉子君
環境局長吉村 憲彦君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長村松 明典君
建設局長三浦  隆君
港湾局長古谷ひろみ君
交通局長職務代理者次長久我 英男君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長堤  雅史君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
監査事務局長河内  豊君

五月二十七日議事日程第一号
第一 第百十三号議案
令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)
第二 第百十四号議案
令和二年度東京都病院会計補正予算(第三号)
第三 第百十五号議案
東京都における新型コロナウイルス感染症のまん延の影響を受けた者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百十六号議案
東京都知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百十七号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百十八号議案
職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百十九号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第八 第百二十号議案
東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第九 第百二十一号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百二十二号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十一 第百二十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十二 第百二十四号議案
東京都食品安全条例の一部を改正する条例
第十三 第百二十五号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第十四 第百二十六号議案
食品製造業等取締条例を廃止する条例
第十五 第百二十七号議案
東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百二十八号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第十七 第百二十九号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十八 第百三十号議案
東京都立多摩産業交流センター条例
第十九 第百三十一号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第二十 第百三十二号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百三十三号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百三十四号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百三十五号議案
都立矢口特別支援学校(二)校舎棟改築工事請負契約
第二十四 第百三十六号議案
都立小中高一貫教育校(仮称)(二)新築工事請負契約
第二十五 第百三十七号議案
境川木曽東調節池工事その二請負契約
第二十六 第百三十八号議案
石神井川放射第三十六号線橋梁(仮称)(二)下部建設工事請負契約
第二十七 第百三十九号議案
土地の信託の変更について
第二十八 第百四十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第二十九 第百四十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第三十 第百四十二号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤)の買入れについて
第三十一 第百四十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十二 第百四十四号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第三十三 第百四十五号議案
東京都が管理する道路を神奈川県川崎市の区域に設置することに関する協議について
第三十四 第百四十六号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その一)について
第三十五 第百四十七号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その二)について
第三十六 第百四十八号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その三)について
第三十七 第百四十九号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その四)について
第三十八 第百五十号議案
特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れについて
第三十九 第百五十一号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その一)について
第四十 第百五十二号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その二)について
第四十一 第百五十三号議案
特種用途自動車(化学車)の買入れについて
第四十二 第百五十四号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その一)について
第四十三 第百五十五号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その二)について
第四十四 第百五十六号議案
特種用途自動車(救助車)の買入れについて
第四十五 第百五十七号議案
エンジン(CT七─二E一型(ヘリコプター用))の買入れについて
第四十六 第百五十八号議案
無線装置(固定用(多重無線装置))外八点の買入れについて
第四十七 第百五十九号議案
タブレット端末等の買入れについて
第四十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について
第四十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その一)についての報告及び承認について
第五十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その二)についての報告及び承認について
第五十一 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した個人防護具(ガウン等セット)の買入れについての報告及び承認について
第五十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したゴーグルの買入れについての報告及び承認について
第五十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したフェイスシールドの買入れについての報告及び承認について
第五十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したインナー手袋(天然ゴム製)外三点の買入れについての報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(石川良一君) ただいまから令和二年第二回都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十三番 菅野 弘一君 及び
   七十番 つじの栄作君
を指名いたします。

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和二年五月二十日付東京都告示第七百四十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案四十七件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分七件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、都議会説明員について、交通局長の職務については職務代理者が行うこととなったため、本定例会は、次長久我英男が出席するとの通知がありました。
 次に、令和元年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、令和元年度東京都一般会計予算外二件の事故繰越について及び令和元年度東京都病院会計予算外九件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について報告が二件ありました。
 内容は、有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の一部を改正する条例外三件の報告について並びに訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会及び第一回臨時会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(七ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月十日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○議長(石川良一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和二年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対しましての所信の一端を述べさせていただきます。
 冒頭、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に、改めて深く哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 都民の皆様とともにこの感染症を早期に乗り越えるべく、引き続き、全身全霊で対策に邁進をしてまいります。
 今月七日より、収束のための一カ月として延長されました国の緊急事態宣言は、一昨日、ここ東京におきましても解除となりました。都民、事業者の皆様には、二カ月近くにわたり、緊急事態措置として都が要請した外出自粛の徹底、施設の使用停止等を継続いただいたところであります。
 また、学校についても、年度末及び新学年の大切な時期に臨時休業となり、子供たちと保護者の皆様には多大なるご協力をいただきました。
 そして、感染症対策の最前線に立つ医療従事者の方々、私たちの日常を支える業務に携わられている方々など、多くの皆様のご尽力のもと、このたびの宣言解除へと至ることができました。
 自分を守る。家族や大切な人を守る。そのための一人一人の徹底した行動と医療提供体制の充実を初め、都が進めてきた数々の対策。これらはまさに自助、共助、公助の実践であり、東京が一丸となってこの感染症と闘ってきたあかしであります。都知事として改めて、皆様のご協力に心よりの感謝を申し上げます。
 しかしながら、忘れてならないのは、有効な治療薬やワクチンが実用化されない限り、このウイルスの拡大を防ぐ手だては、私たち自身の強い意思と行動のみという事実であります。
 今後とも、都は、万全の対策を講じてまいります。都民の皆様方におかれましても、これまでの努力を水泡に帰さないため、引き続き、感染しない、させないための行動にどうぞご協力をお願いいたします。
 ここで、新型コロナウイルス感染症への対策を推進すべく、先般実施いたしました専決処分について申し上げます。
 五月七日、都として緊急事態措置を延長するに当たり、総額四百四十九億円となる補正予算の専決処分を行いました。その八割近くを占めますのが、休業等により収入が減少した世帯に対しましての貸し付けの原資を増額する経費であります。緊急かつ一時的な生計維持や生活の立て直しのための資金貸付について、必要な方々に確実にご利用いただけますよう、追加の予算措置を行いました。
 また、臨時休業に伴って、家庭と学校をつなぎ、子供たちが学びを続けるための緊急措置として、区市町村立学校におけるオンライン学習の推進に向けた経費も計上いたしました。これは、学習用のパソコン等が家庭にない児童生徒に貸与する端末につきまして、区市町村にて不足する分を都が調達して貸し出すとともに、通信環境の確保のための経費も支援をするものであります。
 加えて、学童クラブの午前中からの開所への上乗せ補助、特別支援学校の休業に伴い利用が増加している放課後等デイサービスへの支援など、子供たちを支えるためにこれまで実施してきた取り組みについても、追加の経費をそれぞれ計上いたしました。
 続いて五月十三日には、医療機関、社会福祉施設等に提供するマスクや個人防護具などを緊急的に調達するため、約三十二億円の買い入れを行いました。これらの措置は、いずれも感染症対策として機を逃さず着手するべき取り組みであったことから、専決処分により対応を行ったものであります。都議会の皆様のご承認のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 知事就任以来、人が輝く東京の実現を目指し、人に焦点を当てた施策を推進してまいりました私にとりまして、都民の皆様の命と健康は何物にもかえられません。一人一人を守り抜くとの揺るぎなき信念のもと、この間、一貫して医療提供体制の強化に努めてまいりました。これまで重症、重篤、中等症等の方々向けに、合計三千三百床の病床を確保するとともに、軽症や無症状の方々を受け入れる宿泊療養施設につきましても、二千八百を超える部屋数を確保しております。
 また、検査体制につきましても、感染の有無を調べるPCR検査は、民間機関を合わせて一日三千件を超える処理能力を有しており、より短時間で判定が可能な抗原検査も医療機関での実施が始まりました。
 加えて、ウイルスに対する抗体の保有状況を調べる検査について、来月から、東京都医学総合研究所におきまして月三千件の規模で実施するとともに、別途、国と連携した検査も進めることで、都内の感染実態の一層の把握につなげてまいります。
 さらに、医療従事者の方々へ特殊勤務手当を支給するための助成や、一時休息等に利用する宿泊施設の借り上げ補助を行うなど、医療現場で最前線に立つ皆様を支える取り組みも引き続き推進いたします。
 現場に欠かせない物資の購入等に活用するための寄附金につきましては、昨日時点で三億五千万円を超える額をお寄せいただいておりまして、その一部は、このたび、医療機関等に追加で提供するマスクの購入費に充当をいたします。多くの皆様の温かいご支援に厚く御礼を申し上げます。
 先日には、区部、多摩地域それぞれにおいて、都立病院、保健所、検査機関など、命を守る現場に赴きまして、みずからの使命に邁進する職員を激励いたしました。今後とも、現場の実情を十分に踏まえながら、都民の命を守る施策に万全を期してまいります。
 感染拡大を食いとめるべく、四月十六日から五月六日までの間、都からの休業要請等に全面的にご協力をいただきました中小事業者の皆様には、今月十一日より順次、感染拡大防止協力金をお支払いしております。現在、約十万件の申請が寄せられておりまして、多くの事業者のご協力をいただいたことに改めて謝意を表したく存じます。
 先般の緊急事態措置の延長によって、再度の休業要請等を行うに当たりましては、東京の経済を支えていただいている事業者の皆様が直面する状況や、都議会の皆様からのご要望を踏まえまして、同様に協力金をお支払いすることといたしました。本定例会に提案した補正予算案には、そのための経費を計上しております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 次に、都民の生活や東京の経済活動を支える取り組みについて申し上げます。
 都民の生活に深刻な影響をもたらしている未曾有の非常事態下にありまして、一人一人の人の暮らしを支えていく、そのために、都は幅広く対策を講じてまいりました。
 例えば、子供や子育てへの支援として、ベビーシッター利用料の助成対象を臨時休園となった保育所等の利用児童にまで拡大をしたほか、テレビ番組やウエブサイトによりまして、学校の臨時休業中の家庭学習を支援いたしております。
 また、休業等により収入が減少した中小企業の従業員の方々に対する実質無利子の融資につきましては、件数をさらに拡大をして、生活の安定をしっかりと支えます。さらに、次代を担う大学生などが学業と生活を両立して希望ある未来を切り開いていけるよう、都としてアルバイトの機会を提供するとともに、オンラインによるキャリアカウンセリングやセミナーの実施など、アルバイト先の確保及び就職活動に対する支援を展開してまいります。
 東京の経済活動を支える鍵、それは中小企業への支援の充実であります。特に最優先の課題である事業資金の確保に向けましては、昨年度末からの十三カ月予算の編成によりまして、当面必要となる資金の緊急融資や、既存の保証つき融資の借入期間の延長など、切れ目のない支援を実施してまいりました。今月からは、これらの融資につきまして、一億円を上限として三年間無利子とすることで、資金繰り支援をさらに強化しております。
 また、生産性の向上や人と人との接触抑制を図るため、この機に大胆に進めるべきテレワークにつきましては、四月の緊急調査において、都内企業の導入率が前月から約二・六倍にふえまして六二・七%に達しました。各企業においてテレワークを実施する社員の割合も平均で約五割と、昨年十二月から二・五倍に増加したところであります。通勤混雑も緩和をされ、例えば、朝の通勤時間帯における都営地下鉄の四月以降の利用者数は、一月と比べておおむね六割以上減少しています。
 都はこれまで、二百五十万円を上限に必要な機器の整備経費を全額助成するなど、中小企業等におけるテレワーク導入を強力に後押ししてまいりました。引き続き、快適通勤の流れをとめないためにも、新たな働き方、新しい日常の定着を力強く推し進めてまいります。
 このほか、テークアウト、宅配、移動販売といった新しいサービスを開始する中小飲食事業者にその初期経費等を助成するなど、事業者の皆様にしっかりと寄り添いながら、多彩な支援を展開してまいります。
 そして、こうした都の幅広い施策はもとより、国による取り組みを含めて、ニーズに応じた支援をよりわかりやすく検索、閲覧できるよう、ナビゲーション機能がつきましたウエブサイトを立ち上げました。多彩なメニューをそろえるとともに、的確な情報が必要な方々に確実に届く仕組みを整えることで、今後とも、都民、事業者の皆様とともに、この感染症に立ち向かっていきたいと存じます。
 一定期間、この新しいウイルスとともに社会で生きていかなければならない。国の専門家会議のご指摘のとおり、この見えざる敵との闘いは長きにわたることが見込まれます。
 私たちは、感染症防止と経済社会活動とが両立した新たな社会の構築を目指さなければなりません。そのための取り組みや手順を都民、事業者の皆様と共有して、東京の総力を結集してこの脅威を乗り越えるためのロードマップについて、先週公表をいたしました。
 このロードマップでは、新規陽性者数、入院患者数、PCR検査の陽性率など、七つの指標を用いたモニタリングを常に実施をし、感染拡大を適切にコントロールすることとしております。
 休業要請の緩和につきましては、四つのステップを設けて、昨日よりステップワンの段階に入りましたが、今後、指標の数値や感染症対策審議会のご意見を踏まえ、経済活動を高める観点なども含めた総合的な判断によって、さらなる段階的な緩和を実施してまいります。
 一方で、指標に基づき感染拡大の兆候を把握した場合は、改めて東京アラートを発動して、都民の皆様に警戒を呼びかけるとともに、さらに状況が悪化した場合は、外出自粛や休業等の再度の要請を行ってまいります。
 また、都立学校につきましても、分散登校により段階的に再開し、学校での対面指導と家庭でのオンライン学習等を組み合わせながら、子供たちの学びを確実に確保してまいります。
 そして、備えよ常にの観点から、第二波に対する取り組みも進めなければなりません。国に対して水際対策のさらなる徹底を求めるとともに、都内全域における検査体制の充実、病床及び宿泊療養施設の確保、ガイドラインや動画の作成などによる院内感染防止対策の強化など、今後懸念される感染の再拡大期を見据えた備えを、この間、着実に固めてまいります。
 人と人との接触で広がるウイルスを封じ込めるためには、暮らしや働く場における新たな習慣として、新しい日常を定着させることが不可欠であります。人との距離を保つ。密閉、密集、密接を避ける。テレワークや時差出勤により人との接触を減らす。私たちは今、ウイルスとの闘いの出口を見出すために、新しい日常を根づかせる入り口にいるとの認識を、都民、事業者の皆様と共有しながら、感染拡大防止の徹底を図ってまいります。
 そして、新しい日常の定着によって、感染症防止と経済社会活動の両立を図るとともに、適切な医療が確立されることによって、私たちはこの難敵を乗り越えることができましょう。そのために、オンラインによる教育や医療、テレワーク、行政手続のデジタル化等を加速して、人と人とのつながりをより多様化させることで、さらに一歩進んだ社会の実現を目指してまいります。
 特にオンライン教育につきましては、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトに基づいて、教育のICT化を強力に推進している中、当初の予定を大幅に前倒しをして、先日、全ての都立学校において教員と生徒の双方向のやりとりが可能な学習支援サービスを導入いたしました。区市町村立学校につきましても、都から貸し出す学習用端末等の買い入れを行う議案を本定例会に提案したところであり、都内公立学校におけるオンライン教育をこの機会に一気に促進してまいります。
 また、海外では、感染者の濃厚接触者を特定するアプリの開発や、オンライン手続による補助金の迅速な給付など、行政がデジタル技術を最大限活用して、感染拡大防止策や住民への支援策を展開する先行的な例が多く見られます。
 都も来月、都民の利便性向上や窓口の混雑緩和につなげるべく、スマートフォン決済アプリを活用した新たなキャッシュレス納税の仕組みを開始いたします。
 加えまして、行政手続をいつでもどこでも完結できますよう、都の権限で見直しが可能な手続につきまして、順次デジタル化を図ってまいります。現在、都における行政手続は、条例等におきまして原則書面で行うことを定めておりますが、今後、これらの条例等の改正をてこといたしまして、あらゆる手続の原則デジタル化を推進してまいります。そして、デジタルの力で人の生活の質を高める、こうしたいわゆるデジタルトランスフォーメーションについて、さらなる加速を図るべく、今後、体制の強化を進めてまいります。
 ただいま申し上げましたこれらの取り組みは、この感染症を乗り越えたポストコロナも見据え、よりよい社会をつくり上げていく取り組みにほかなりません。そのような新たな社会を目指す、まさしく東京の構造改革について、今後、有識者のご意見を踏まえまして、都民、企業、大学、医療機関など、幅広い方々のアイデアもいただきながら検討を始めてまいります。
 これまで申し上げてまいりました、都民の命を守る、生活や経済活動をしっかり支える、そして、社会の変革を促し東京の未来につなげる。この三つの柱の取り組みを集中的、重点的に進めていくため、今般、都政の特別体制を構築いたしました。
 ライフライン及び都市インフラの維持や、これから出水期を迎える中での災害への備えなど、必要な対策を確保した上で、今なすべき対策に都の人的資源や財源を最大限に振り向ける。こうした体制のもと、新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越え、未来の東京を力強く切り開いてまいります。
 そして、そのための具体の施策を迅速かつ強力に推し進めるべく、本定例会には、総額五千八百三十二億円となる補正予算案を提案いたしました。
 まず、命を守るための感染拡大を阻止する対策といたしましては、さきに申し上げました感染拡大防止協力金のさらなる支給を行います。また、新型コロナ外来やPCR検査センターの運営経費の補助、重篤、重症患者から感染の疑いのある患者まで、症状に応じた受け入れ体制の確保など、医療提供体制の一層の強化を進めます。さらに、PCR検査に加えまして、新たに抗原検査の自己負担分も都が負担するなど、都民の皆様のさらなる安心を実現してまいります。
 次に、生活や経済活動を支えるためのセーフティーネットの強化につきましては、中小企業に対する制度融資や、休業等の影響を受けた世帯への生活資金貸付を引き続き推進するとともに、新たにひとり親家庭への生活支援を実施いたします。また、プロの芸術家の創作活動を応援するアートにエールを!東京プロジェクトは、非常に大きな反響をいただいたことから、都議会の皆様のご要望も踏まえまして、受け付け規模を大幅に拡充するとともに、新たな支援も進めます。さらに、島しょ地域の皆様の生活の安定を図るべく、定期航路、航空路の運航事業者に対する支援、農漁業生産物の輸送費に対する補助の引き上げなども講じてまいります。
 続いて、感染症防止と経済社会活動との両立などを図る取り組みといたしましては、密閉、密集、密接の回避など、新しい日常に対応するための中小企業の取り組みを後押しするほか、サーモグラフィーやアクリル板など、学校におけます感染症対策用品の導入を促進して、子供たちの安心につなげます。
 加えまして、社会構造の変革を促して危機を乗り越える取り組みとして、テレワークの一層の普及のための緊急支援を、受け付け件数を大幅に増加して継続をいたします。さらに、新たな取り組みとして、遠隔での教育、医療やリモートワーク等の分野におけますスタートアップ企業のイノベーションを後押しするなど、この間、浮き彫りになった東京の課題を克服して、未来につなげる取り組みを進めてまいります。
 この補正予算案の編成によりまして、令和二年度予算における新型コロナウイルス感染症対策の規模は一兆円を超えることとなります。引き続き、財政運営には十分に目配りをしながら、今なすべき取り組みを果敢に推し進めてまいります。
 東京二〇二〇大会につきましては、この夏の開催に向けて、都議会の皆様とともに準備を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりを受け、来年に延期されることとなりました。今はウイルスという見えざる敵との闘いに集中をして、この事態を一日も早く収束させるべき時であります。世界が一丸となってこの難局を乗り越え、人類がそのきずなをさらに強めた象徴となる。そのような希望あふれる大会の実現を目指しまして、まずは、この感染症との闘いに引き続き全力を尽くしてまいります。
 第七代東京市長を務めた後藤新平は、日清戦争後、コレラの上陸を防ぐために実施した大規模な検疫など、人の命を守る公衆衛生の確保に尽くしたことでも知られております。関東大震災後、内務大臣として担った復興事業もまた、災害から命を守る都市づくりによって、首都東京を近代都市として進化させるものでありました。その計画は大風呂敷とやゆされ、実現は一部にとどまりましたが、幅広の道路や近代的な橋梁など、このときに形成された都市としての骨格を礎に、東京はこれまで、世界有数の都市として発展を続けてきたのであります。
 今、私たちは感染症との闘いのただ中にあります。この闘いに打ち勝ち、その先の未来を果敢に切り開かなければなりません。まずは何よりも大切な都民の皆様の命と健康を守り、一人一人の生活や東京の経済活動を支える取り組みに万全を期してまいります。さらに、未来へと進化を遂げるべく、社会の構造的な課題に大胆に挑戦をする。こうした取り組みは、災害や感染症など都市を取り巻く脅威から都民を守るとともに、より暮らしやすく、働きやすく、学びやすい、まさに成長と成熟が両立した目指すべき都市へと東京を進化させる取り組みであります。
 後藤新平の復興計画の理念は、何度もやってくる地震に強い都市づくりを進め、東京、そして日本の持続可能な発展の基盤を築くものでありました。
 今後、この感染症は、第二波、第三波のおそれが懸念されています。さらには、新たな感染症がいつまたやってくるかもしれません。そうした中にあっても、東京大改革の旗のもと、首都東京が活力を持って将来への発展を続けていく、そのために、命を守り、未来につながる取り組みを進めてまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力、お願いを申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げましたものを含めまして、予算案二件、条例案二十件など、合わせまして五十四件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わらせていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(石川良一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十八日から六月一日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十八日から六月一日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月二日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

2財主議第121号
令和2年5月19日
東京都議会議長
 石川 良一殿
東京都知事 小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和2年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

上田令子議員
宮瀬英治議員
藤田りょうこ議員
西沢けいた議員
原のり子議員
山口拓議員
河野ゆりえ議員
とや英津子議員
里吉ゆみ議員
尾崎あや子議員
あぜ上三和子議員

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 児童相談所について
二 都型学童クラブ事業について
三 教育政策について
四 葛西臨海水族園について

一 児童相談所について
神戸市のこども家庭センター(児童相談所)で夜間対応にあたっていた委託相談員が、小学6年の女児を追い返した問題が発生しました。2月10日、深夜の午前3時半ごろ、センターを訪れて「家を追い出された」と訴えた女児に、委託相談員は警察へ行くよう伝え、市の担当職員にも報告せず、女児は近くの交番を訪れ、警察からの連絡でセンターが女児を保護したとのことです。
このように、「家を追い出された」と訴えて保護を求めてきた子どもに対して、保護しないのも問題ですが、いざ保護しても、子どもに対して必要な説明を十分にしないままであることも、子どもの権利を侵害していると疑われても仕方がない状況ではないか懸念するのです。そこで以下伺います。
1 夜間対応の在り方について
ア 東京都児童相談所における、現状の運用と正規、非正規、委託の状況も含め人員体制についてご説明下さい。
イ 現状の夜間対応における都の考え方、課題認識をご説明下さい。
ウ 新年度児童相談所が移管される、江戸川区、荒川区、世田谷区、さらに2021年に南青山に新設される港区についてもご説明下さい。なお、区が夜間対応を委託で実施している場合、委託の予算規模を把握していればお示しください。
エ 今後移管を進める場合における東京都の考え方をご説明下さい。
2 子どもへのリーガルサポートについて
児童相談所に虐待事案で保護された子どもや、養護施設で育っている子ども、あるいはその出身者にヒアリングすると、保護された時、あるいは施設に送られた時に、子ども本人が家庭裁判所に親権停止を請求できる権利があることを教えてもらえなかった子どもが少なからずいます。
職員が被虐待児に対して、子ども本人が家庭裁判所に親権停止の請求権があることをわかりやすく伝えなければならないし、そのほかにも子ども達が有する法的権限をわかりやすく伝え、行使したいとした場合には児童相談所は率先して子どもの支援をすべきと考えます。
ア 親権制限に関する停止請求権等、子どもが有する法律的権限についてどのようなものがあるのかご説明下さい。
イ アについてこれまで行使できた事例を、結果を含めて平成25年度以降の実績を権利別にご説明下さい。
ウ アについて、どのように子どもへ周知、しているのか、マニュアルなどは存在するのか、マニュアルがない場合はなぜなのか具体的にご説明下さい。
エ ウについて同様に児童養護施設において同様の取り組みをしているかどうか、していればその具体的な説明を、していなければその理由をご説明下さい。
オ こうした子どもが行使できる権利について、児童相談所職員及び児童養護施設職員においてどのような、教育・研修体制があるのかご説明下さい。
カ アについて、子どもの申し立てに係る弁護士支援体制、リーガルサポートについて、児童相談所担当弁護士となると行政サイドの立場もあり子どもの人権を最優先にする場合、利益相反が発生すると思料します。現状どのような支援体制となっているか、利益相反を回避するための支援体制はとられているかご説明下さい。
3 東京都児童虐待対応マニュアルについて
ア 同マニュアルにつき、過去の経緯からこれまでの取り組み状況につき具体的にご説明下さい。
イ 同マニュアルにつき児童相談所及び児童養護施設等福祉機関、区市町村、警察等関係各機関でどのように運用されているのか詳しくご説明下さい。
ウ 同マニュアルについて、都民へ虐待について対応や「虐待とはなにか」との理解を広く深めてもらうために東京都ホームページに公開するなど検討すべきと考えますが、予定の有無とその理由を含めた所見を伺います。
4 被措置児童等虐待について
児童福祉施設で生活している児童等(被措置児童等)に対し、施設職員・里親などが行う身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト・性的虐待などの虐待を、「被措置児童等虐待」といいます。
子どもは家庭で親などから虐待されて児童相談所に保護されても、一時保護所や社会的養護の施設の職員、里親などに再び虐待されているという現実があります。
厚労省は、全国の児童養護施設で次のような事例があったと発表しています。
・注意に反発する児童と口論になり、寮舎入口を施錠して児童を締め出した。
・夜勤時に夜遅くまで児童の悩みを聞いているうちに性的関係に至り、その後は夜勤の度に施設内の休憩室等で性行為に及んでいた。
・職員が複数回児童を自宅に誘い、性交渉を行った。
・職員と児童が恋愛関係に発展し性的な関係を持つようになり、施設外(ラブホテル)や施設内(職員が住んでいる部屋、児童の居室)で複数回性行為が行われていた。
これは事例報告のほんの一部にすぎませんが、決してあってはならないことです。
厚労省の発表によると、平成29年度に東京都で受け付けた被措置児童等虐待に関する届出・通告の受理件数は27件。虐待事例数は12件でした。
こうした虐待事例は、被虐待児の精神を壊し、自殺企図や自己評価の低さへと導く恐れの高いものです。話題になることも乏しいため、このまま放置される懸念も大きいです。そこで質問します。
ア 児童相談所に保護された子どもが、一時保護所、社会的養護の施設職員や里親などに虐待された時に備えて、相談できる連絡先を子どもに伝える取組については承知しているが、寄せられた相談にどのように対応するのか、刑事事件に該当する場合も含めご説明下さい。
イ 児童相談所に保護された子どもが、一時保護所、社会的養護の施設職員や里親などに虐待された時、それを認知した職員、並びに子ども本人などからの届出・通告された事例について、誰がどのような手法とプロセスでどの程度の期間をかけて調査を行い、虐待の事実を認定しているのか、ご説明下さい。
ウ 平成30年度に「被措置児童等虐待」として事実確認を行った事例のうち、全国では虐待の事実が認められた事例は33.3%と低いですが、東京都では何%なのかお示し下さい。
エ 「被措置児童等虐待」を相談する先は、児童相談所や自治体の福祉部門等になりますが、児童相談所の一時保護所で起きたかもしれない虐待について、該当職員に対する処分や教育・研修体制などは具体的にどのように行われているのかご説明下さい。
オ 「被措置児童等虐待」として事実認定された後も、加害者の職員や里親は、現場で社会的養護を続けられるのか否か運用と、代表的な事例に沿った事後対応をご説明下さい。
カ 「被措置児童等虐待」の被害に遭った児童に対しての東京都が実施しているケアとシステムをご説明の上、実際にどのようなケアが行われたのか代表的な事例に沿ってご説明下さい。
キ 今後、東京都では「被措置児童等虐待」をゼロにするために、どのような対応・対策を実施していくか、具体的な方法を教えてください。
ク キについて「被措置児童等虐待」及び「被措置児童等虐待」対応について「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」との関係性、条例を踏まえた考え方について所見をお示し下さい。

二 都型学童クラブ事業について
1 都と区の権限を含めた取り組みと、事業実施の実績についてご説明下さい。
2 23区の都型学童クラブの取り組み状況及び各区の取り組みについて説明下さい。
3 2における23区別補助金の交付状況を負担割合も含めてお示しください。
4 都型学童クラブと同等の取り組みをしている事業者に対し、区が補助を出さない事例はあるのか、あるとすればそのような区へ指導や助言をしないのか伺う。
5 これまで補助金を支払っていない事業者に対する、新型コロナウイルス対応支援の取り組みを補助金も含め伺う。

三 教育政策について
1 都立高校における指導について
ア 全都立高校における、単位未修得などによる、退学者、原級留置者、転学者、その占める割合の状況を過去5年にわたりご説明下さい。
イ 退学、原級留置に至る前に当然に、都立校としては生徒への助言ならびに指導をしているはずですが、現場の体制と具体的な指導について時系列でご説明下さい。
ウ 原級留置・退学に至るまでの経緯と基準を事前に生徒・保護者にどう説明しているかも含めお示しください。
2 東京都エンカレッジスクールについて
東京都は生徒一人一人の能力や特性、興味・関心、進路希望等に応じて学ぶことができるよう、既設の学校の特色化や多様なタイプの都立学校の開設を進めてきました。
中でも、エンカレッジスクールについては、小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校として、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的として、既設校の中から指定され、基礎・基本を徹底するとともに体験学習を重視されているとのことです。
ア その設置と目的と取り組みについてご説明下さい。
イ 同校は「小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校」としております。どのような教育、指導、サポートをしているのか説明下さい。
ウ エンカレッジスクールにおける原級留置・退学に至るまでの経緯と基準を、事前に生徒・保護者にどう説明しているかも含めお示しください。
エ 都立足立東高校において、なんら事前の対応もなく、また原級留置できるという情報提供もなく「進路変更(退学)やむなし」と生徒・保護者が受け止めざるを得ない指導を受ける事例が発生しました。エンカレッジスクールは、通常の都立よりもより丁寧な事前の支援や教育的助言が必要なはずです。同校において、どのように原級留置・進路変更(退学)にならないように「小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援」できていたのか、ご報告下さい。
オ エにつき、複数の教科・科目が未修得となり転学する生徒・保護者に対して、補講・補習を実施しない科目があることや、原級留置ができることについての説明をしたか、また、このような制度がある中で単位を落とさないための情報を事前に提供できていたのか伺います。
カ 担任が、生徒に対して適正な指導や情報提供を行い、補習や補講を受けることで原級留置を免れた場合と情報提供が行われなかったことが原因で原級留置または退学・転学となってしまう場合があると聞いているが、不公平はなかったのか伺います。
キ 全ての都立高校において、進級や原級留置に関する指導について、生徒・保護者に周知しているかも伺います。
3 新型コロナウイルス感染症対策にあたっての学校再開について
3月24日に文部科学省より「令和2年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について(通知)」が示されました。現時点の状況につき以下についてお尋ねします。
ア 再開にあたっての新型コロナウイルス対策及び、マスク、消毒液等衛生備品の学校現場での確保の状況につきご説明下さい。
イ 自治と多様性を考えれば都民一人一人の判断も大事ですが地方自治の判断を活かすことも重要です。子どもや保護者、家庭、地域の多様性を踏まえて一律に、再開につき判断しなければならない時期もありますが、地方自治を主体的に動く時期になっているのではないかと思料します。ついては、休校解除にあたって、区市町村それぞれの判断を尊重するのか、東京都で一律に判断をするのか考え方をお示し下さい。

四 葛西臨海水族園について
「葛西臨海水族園のあり方検討会」から、「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想」へ、そして現在「葛西臨海水族園事業検討会」に至り、葛西臨海水族園本館(既存施設)につき、水族園機能を奪い新設の検討を進めることにつき「長寿命化をすべきだ」という議論が続いてきました。昨年12月19日には、葛西臨海水族園本館の設計者であり、世界的建築家である谷口吉生氏も参加し、槇文彦氏はじめ名だたる建築家や設計施工、メンテナンスに携わった関係者、葛西臨海水族園元園長が集い、声をあげた「葛西臨海水族園の長寿命化を考える」シンポジウムが開催され、業界内外、国内外の関心が集まり、会場は満員となり熱気に包まれました。
その数日後の12月23日に開かれた第4回葛西臨海水族園事業計画検討会においては、既存本館の維持、長寿命化を求める委員が「既存施設について検討をすべき」「長寿命化を」という意見があったにも関わらず、新設ありきの報告書案が作成されました。さらに記者会見にかかる小池知事の「結婚式場に」発言が物議をかもし、権威ある日本建築学会から小池知事へ二通目、そして、ハーバード、イエール大教授らからのものを含めれば4通目の異例な、批判精神に富んだ要望書が今年に入って送達されました。これらの経緯はNHKでは「都立葛西臨海水族園の建て替えで議論 保存を求める声も」と取り上げられ、検討委員である「東京工業大学の安田幸一教授は「既存の施設を利用して長寿命化していこうという声が多い中、新しい施設に移ったあと、既存の施設の活用法を考えるという意見に終始しているのは問題だ」と話していました。」と報道されました。
このような経緯を経て2月5日に最後の検討会が開催されました。私も傍聴に行きましたが、明確に委員から「既存施設については、水族館機能の維持を含め、その利活用に関する検討会を設置すること」「長寿命化をすべき」「文末は“おわりに”ではなく“提言”とすべき」と意見が出て、ほぼ全員の委員がその内容を報告書に掲載することで意見が一致したにも関わらず、3月5日に公表された「葛西臨海水族園事業計画検討会報告書」には一切反映されることがないという由々しい事態が発生したのです。委員の意見が全く反映されないのであれば何のための検討会だったのでしょうか?つきましては以下を伺います。
1 報告書は委員の意見を取りまとめて、委員会が東京都へ提出することが前提ですが、その取りまとめの段階で、建設局の担当者が文言の取りまとめを行い、委員の意見を無視し、排除したことが伺われます。委員会に意見のまとめをさせず、建設局の職員が委員会から東京都へ提出し、都民に示す報告書を委員の声を反映せずに独善的にまとめた理由と経緯を伺います。
2 検討会委員のうち「お二方から、報告書の内容に賛成できないとの理由で、2月29日をもって辞任する旨記載した辞任届が、座長に提出されました。辞任されたのは、安田幸一氏、柳澤要氏で、いずれも建築の専門家です。事務局から内容についてご説明差し上げるほか、座長からも慰留に努めていただきましたが、残念ながら了承していただけず、辞任されました。」という報告を受けました。なぜ建築の専門家である2名もの委員が辞任に至ったのでしょうか。通常考えられない事態です。ついては、第5回葛西臨海水族園事業計画検討会後、「葛西臨海水族園事業計画検討会報告書」の公表に至る、建設局の事務局と全委員との交信記録に基づき、その経緯と理由を伺います。
3 都民の声がどうよせられ、局でどううけとめたか。「葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画(素案)」についてのパブリックコメントは1月25日に終了しており、すでに集計はされているはずです。その意見を計画に反映するべきと考えますが、その意見の数と内容及び、どのように計画に反映をするのか所見を伺います。
4 長寿命化の方が結果的にコストはかからないと思料するが、コロナ対策で法人2税が激減するであろうことが確実なのに新設をすることが本当に旧本館利用よりもコストダウンが図れるのか。本館の長寿命化と新設案のコストの比較を、イニシアルコストとランニングコストに分け、数字を示して所見を伺います。
5 平成27年に葛西臨海水族園を「改築」すると決裁した建設局ならびに財務局の庁議に関わる全ての経緯および理由を伺います。
6 平成27年11月4日に発注された「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託」の表題の「改築」の意味および、仕様書に示された東京都が提示した「基本コンセプト」における「改築」の東京都における定義を伺います。
7 平成28年3月の日本設計による「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託報告書」に用いられている「改築」の東京都における定義、および報告書のパースおよび配置図で示された、既存本館へのアプローチ、ゲート、水の広場などを解体撤去し既存施設を水族館として活用しない決断に至った根拠を伺います。
8 平成28年7月13日に発注された「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託(事業計画検討)」の表題の「改築」の東京都における定義および、入札概要に示した「葛西臨海水族園の改築について基本計画を検討し概算工事費等を算出する。」における「改築」の東京都における定義を伺います。
さらに平成29年3月の日本経済研究所による「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託(事業計画検討)報告書」に用いられている「改築」の東京都における定義、および報告書のパースおよび配置図で示された、既存本館へのアプローチ、ゲート、水の広場などを含め本館が解体撤去され芝生広場として計画されていることを踏まえ、既存施設を水族館として活用しない決断に至った根拠を伺います。
9 平成30年12月19日に発注された「葛西臨海水族園改築計画検討補助業務委託」の表題の「改築」の東京都における定義および、仕様書に示された委託概要の目的「葛西臨海水族園の更新に向け、改築の実現方策を検討する上での技術支援として」における「改築」の東京都における定義を伺います。
10 平成30年11月に公表された「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案(建設局)」の第4章に記載されている「実現に向けて。水族園地内に改築することを基本に検討を行うことを明記します」で記載された「改築」の東京都における定義を伺います。
11 平成31年1月に公表された「「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」に対する意見募集の結果」に記載された「基本構想素案で記述した「改築」とは、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すこと」とありますが、その「改築」の東京都における定義は、上記5から9までに使用された「改築」の東京都における定義と同じか。または別の東京都における定義で使用されたかを伺います。
12 「令和2年度東京都予算案の概要」の現状・課題で表記された「葛西臨海水族園 民間活力を活用した施設整備 の本文「新たな建物への水族園機能の移設(建替え)が必要です。」ならびに対応で表記された「建替えにあたっては」の「建替え」の東京都における定義を伺います。それは5から10までの「改築」と同じ東京都における定義で使用されたものか、または異なるか伺います。
13 建築基準法の「改築」とは建設省住宅局建築指導課長から国家消防本部総務課長宛に出された「改築の定義」によれば「改築とは、建築物の全部若しくは一部を除却し、又はこれらの部分が災害等によって滅失した後引続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てることをいう。従前のものと著しく異なるときは、新築又は増築となる。なお、使用材料の新旧を問わない。」とされています。上記の5から12までに用いられた「改築」または「建替え」は建築基準法の「改築」の東京都における定義と同意かまたは異なるか説明下さい。
14 東京都において、外部委員による「検討会」を実施する意義と委員の意見についての考え方と、東京都の方針や計画あっての形骸化した所謂お墨付きをもらうためだけの「検討会」となっていないかの所見も伺います。

令和2年第一回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 児童相談所について
1 夜間対応の在り方について
ア 東京都児童相談所における、現状の運用と正規、非正規、委託の状況も含め人員体制について伺う。

回答
都の児童相談所では、平日午前9時から午後5時まで相談を受け付けており、それ以外の時間帯や土日祝日については、児童相談所虐待対応ダイヤル189及び児童相談所相談専用ダイヤルで相談を受け付けています。
これらの電話相談は外部委託で実施しており、ローテーションにより常時7人又は8人体制で対応しています。相談の内容が子供の安全に関わるような切迫した場合は、相談員が警察に通報するとともに、児童相談センターの夜間緊急連絡窓口に連絡しています。
夜間緊急連絡窓口には、会計年度任用職員である夜間連絡調整員が毎日2名体制で対応しており、相談者や関係機関から緊急の連絡や相談等が入った場合に、児童相談所長等との連絡調整を行っています。
また、閉庁時間帯の来所相談は受けていませんが、一時保護所では夜間も職員が入所児童の支援を行っており、子供が保護所に直接来所した場合は、保護所の職員が対応することとしています。

質問事項
一の1のイ 現状の夜間対応における都の考え方、課題認識を伺う。

回答
子供や近隣住民等から児童相談センターの夜間緊急連絡窓口に一時保護を求める連絡等が入った場合、夜間連絡調整員が、子供の状況等を確認した上で、地域を担当する児童相談所長等に連絡することになっています。児童相談所長は、保護が必要と判断した場合は、児童福祉司や警察等と連絡調整して保護するなど、必要な対応を行っています。
子供が保護を求めて直接一時保護所に来所した場合は、保護所の職員が子供の状況等を確認し、保護所の管理職や児童相談所長等と連絡調整し、来所した保護所に入所させるなど、必要な対応を行うこととしています。
神戸市の報道事例については、保護所の監督職員の定例会議で共有し、子供が保護を求めて直接来所した場合の対応について、改めて確認しています。

質問事項
一の1のウ 新年度児童相談所が移管される、江戸川区、荒川区、世田谷区、さらに2021年に南青山に新設される港区について伺う。なお、区が夜間対応を委託で実施している場合、委託の予算規模を把握していれば、伺う。

回答
夜間の相談体制は、各区において、職員体制や都の児童相談所における相談実績など、それぞれの実情を踏まえて整備しており、世田谷区、荒川区及び江戸川区は、夜間の電話相談を外部委託で実施することとしています。
各区の外部委託の予算規模は把握していません。
港区については、現在、都区間で、夜間の相談体制を含め児童相談所設置計画の確認作業を行っています。

質問事項
一の1のエ 今後移管を進める場合における都の考え方を伺う。

回答
児童相談所を設置する自治体は、各自治体において、夜間を含め、相談に対応できる体制を整備する必要があります。
都は、児童相談所の設置を計画する区と、個別に計画案の確認作業を行っており、その中で夜間の相談受付体制を確認するとともに、都における体制や対応方法等について情報提供しています。

質問事項
一の2 子どもへのリーガルサポートについて
ア 親権制限に関する停止請求権等、子どもが有する法律的権限についてどのようなものがあるのか伺う。

回答
民法では、子供やその親族等は、親権の喪失、親権の停止及び管理権の喪失について請求することができることとされています。

質問事項
一の2のイ これまで行使できた事例を、結果を含めて平成25年度以降の実績を権利別に伺う。

回答
親権喪失審判の請求については、請求人数、承認人数ともに、平成29年度、平成30年度にそれぞれ1人となっています。
親権停止審判の請求については、平成25年度から平成30年度までの各年度で、請求人数が6人、2人、6人、6人、4人、8人であり、承認人数が1人、5人、3人、1人、4人、5人となっています。
管理権喪失審判の請求については、請求人数が、平成26年度に1人、承認人数が、平成25年度、平成26年度にそれぞれ1人となっています。

質問事項
一の2のウ どのように子どもへ周知しているのか、マニュアルなどは存在するのか、マニュアルがない場合はなぜなのか具体的な説明を求める。

回答
親権制限に関する子供への説明については、ケースワークの中で児童の心情やその後の親子関係等に配慮し行っています。
また、都では、児童虐待に関する基本的な対応の在り方について「子供虐待対応マニュアル」を作成しており、その中に、児童相談所による親権喪失等の申立ての方法や子供本人が申立てを検討している際の対応について記載しています。

質問事項
一の2のエ 同様に児童養護施設において同様の取り組みをしているかどうか、していればその具体的な説明を、していなければその理由を伺う。

回答
児童養護施設の職員は、入所児童から相談を受けた場合、児童に対して助言を行うとともに、必要に応じて児童相談所と連携して対応しています。

質問事項
一の2のオ こうした子どもが行使できる権利について、児童相談所職員及び児童養護施設職員においてどのような、教育・研修体制があるのか伺う。

回答
児童福祉司等に対しては、毎年度策定する研修計画に基づき、職員の経験等に応じて、幅広い内容の研修を実施しており、子供の権利行使に係る講義についても、新任職員研修において実施しています。
また、児童養護施設職員に対しては、東京都社会福祉協議会の児童部会等と連携し、権利擁護などの研修を実施しています。

質問事項
一の2のカ 子どもの申し立てに係る弁護士支援体制、リーガルサポートについて、児童相談所担当弁護士となると行政サイドの立場もあり子どもの人権を最優先にする場合、利益相反が発生すると思料する。現状どのような支援体制となっているか、利益相反を回避するための支援体制はとられているか伺う。

回答
子供本人が親権停止等の申立てを検討している場合は、児童の心情やその後の親子関係等に配慮し、児童福祉法第33条の7に基づき児童相談所長が申し立てることも検討することとしています。
その上で、子供自身が直接申立てを行う場合には、児童相談所が弁護士会を通じて弁護士を子供に紹介しています。

質問事項
一の3 東京都児童虐待対応マニュアルについて
ア 同マニュアルにつき、過去の経緯からこれまでの取り組み状況につき具体的な説明を伺う。

回答
都は、平成9年3月に、児童相談所長や経験豊富な児童福祉司、児童心理司等により、児童相談所職員が虐待相談に対応する際の実務的な事項を取りまとめた「子供虐待対応マニュアル」を策定しました。
それ以降、関連法令の改正、児童相談所や子供家庭支援センターの体制強化などを踏まえ、平成13年3月、平成20年12月及び平成30年4月に改正しています。
平成30年10月には、子供の安全確認の手法等を定めた「安全確認行動指針」を適切に運用するため、本マニュアルの一部を改正しました。

質問事項
一の3のイ 同マニュアルにつき児童相談所及び児童養護施設等福祉機関、区市町村、警察等関係各機関でどのように運用されているのか詳しい説明を伺う。

回答
都における「子供虐待対応マニュアル」は、都の児童相談所職員向けに、虐待相談における児童相談所の役割や、虐待対応の実務等についての手引として作成したものであり、他機関への周知は行っていません。

質問事項
一の3のウ 同マニュアルについて、都民へ虐待について対応や「虐待とはなにか」との理解を広く深めてもらうために東京都ホームページに公開するなど検討すべきと考えるが、予定の有無とその理由を含めた所見を伺う。

回答
都における「子供虐待対応マニュアル」は、都の児童相談所職員向けに、虐待相談における児童相談所の役割や、虐待対応の実務等についての手引として作成したものであり、広く公表することを目的に作成したものではありません。

質問事項
一の4 被措置児童等虐待について
ア 児童相談所に保護された子どもが、一時保護所、社会的養護の施設職員や里親などに虐待された時に備えて、相談できる連絡先を子どもに伝える取組については承知しているが、寄せられた相談にどのように対応するのか、刑事事件に該当する場合も含め説明を求める。

回答
児童養護施設等で生活する児童から虐待の相談を受けた児童福祉司や施設職員等は、東京都の担当部署の権利擁護担当に通知等を行います。
通知等を受理した権利擁護担当は、児童相談所と連携し、当該施設や児童相談所、一時保護所等において、本人や他の児童、施設職員から聴き取り調査を行います。
調査の結果、虐待が刑事事件に該当すると考えられる場合には、子供の最善の利益の観点から、警察と連携して適切に対応しています。

質問事項
一の4のイ 児童相談所に保護された子どもが、一時保護所、社会的養護の施設職員や里親などに虐待された時、それを認知した職員、並びに子ども本人などからの届出・通告された事例について、誰がどのような手法とプロセスでどの程度の期間をかけて調査を行い、虐待の事実を認定しているのか、伺う。

回答
通告等を受けた場合、緊急度等を踏まえ、子供の安全を速やかに確認するとともに、東京都の権利擁護担当が中心となって、児童福祉法に基づく調査を行い、他の児童の虐待被害の有無も含めて確認し、東京都児童福祉審議会に報告の上、虐待の事実を認定します。
具体的な手法・プロセス・期間については、ケースによって異なります。

質問事項
一の4のウ 平成30年度に「被措置児童等虐待」として事実確認を行った事例のうち、全国では虐待の事実が認められた事例は33.3パーセントと低いが、都では何パーセントなのか伺う。

回答
平成30年度に都において事実確認を行った事例のうち、虐待の事実が認められた事例の割合は、34.5パーセントとなっています。

質問事項
一の4のエ 「被措置児童等虐待」を相談する先は、児童相談所や自治体の福祉部門等になるが、児童相談所の一時保護所で起きたかもしれない虐待について、該当職員に対する処分や教育・研修体制などは具体的にどのように行われているのか伺う。

回答
一時保護所において、被措置児童等に対する虐待が疑われる場合には、調査を行い、虐待の事実が認められた場合には、服務義務違反や非違行為を行った職員に対し、地方公務員法に基づき厳正に対応しています。
都において発生した一時保護所における被措置児童等虐待事案は、平成27年度1件、平成29年度1件、平成30年度1件となっています。
また、被措置児童等虐待が発生した原因を、組織として検証し、再発防止策を講じるとともに、当該職員が現場に戻ることについては、状況に応じて判断しており、戻ることが妥当と判断される場合には、上司による面談、常勤の精神科医師による心理教育、現場での実習などにより再教育を行っています。

質問事項
一の4のオ 「被措置児童等虐待」として事実認定された後も、加害者の職員や里親は、現場で社会的養護を続けられるのか否か運用と、代表的な事例に沿った事後対応を伺う。

回答
都は、施設における被措置児童等虐待として事実認定された場合、当該施設に対して改善に向けて適切な対応を取るよう指導しており、施設では、虐待を行った職員等に対して、個別指導や研修、事案に応じた処分などを実施しています。
また、里親については、児童福祉法において、被措置児童等虐待を行った者等は里親になることができない旨規定しており、都は、里親がこれに該当することとなったときは、認定を取り消します。

質問事項
一の4のカ 「被措置児童等虐待」の被害に遭った児童に対しての都が実施しているケアとシステムを説明の上、実際にどのようなケアが行われたのか代表的な事例に沿った説明を求める。

回答
被害を受けた子供に対しては、児童福祉司との面接のほか、児童心理司との心理面接や心理検査等を通じ、トラウマへのアセスメントを行っています。
また、子供の年齢や状態等に応じて、各児童相談所や児童相談センター治療指導課において、プレイセラピーや心理教育、認知行動療法等のケアを行うほか、医療機関への通院なども行っています。

質問事項
一の4のキ 今後、都では「被措置児童等虐待」をゼロにするために、どのような対応・対策を実施していくか、具体的な方法を伺う。

回答
都は、ケアニーズが高い児童や支援の難しい児童に適切に対応できるよう、施設職員や里親に対し、被措置児童等虐待事例等を踏まえた研修を実施しています。
また、一時保護所の職員に対しては、運営の手引等に基づき、子供の権利擁護の推進に関する研修等を行っています。

質問事項
一の4のク 「被措置児童等虐待」及び「被措置児童等虐待」対応について「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」との関係性、条例を踏まえた考え方について所見を伺う。

回答
被措置児童等虐待については、児童福祉法において明確に禁止されています。
東京都子供への虐待の防止等に関する条例では、「何人も子供への虐待を行ってはならない」と明記しており、都においては、条例を踏まえ、被措置児童等虐待についても、子供への重大な権利侵害であるという考え方に基づき、対応しています。

質問事項
二 都型学童クラブ事業について
1 都と区の権限を含めた取り組みと、事業実施の実績について伺う。

回答
都型学童クラブ事業は、午後7時以降までの開所や常勤職員の配置などの要件を都が独自に実施要綱で定め、区からの申請に基づき、その運営に係る経費を補助する事業です。
令和元年度は、交付決定ベースで25区市、362クラブを支援しています。

質問事項
二の2 23区の都型学童クラブの取り組み状況及び各区の取り組みについて伺う。

回答
令和元年度の特別区における都型学童クラブ事業の取組状況は、交付決定ベースで9区157クラブであり、その内訳は、千代田区6クラブ、新宿区20クラブ、文京区3クラブ、台東区24クラブ、墨田区13クラブ、目黒区3クラブ、中野区36クラブ、練馬区49クラブ及び足立区3クラブとなっています。

質問事項
二の3 2における23区別補助金の交付状況を負担割合も含めて伺う。

回答
都型学童クラブ事業の負担割合は、都2分の1、区2分の1となっており、令和元年度の特別区に対する交付決定額は、合計で479,983千円です。

質問事項
二の4 都型学童クラブと同等の取り組みをしている事業者に対し、区が補助を出さない事例はあるのか、あるとすればそのような区へ指導や助言をしないのか伺う。

回答
学校等の公設の場において放課後に全児童を対象とする放課後対策事業を実施している等の理由で、民設民営の学童クラブを補助対象としていない自治体があることは把握しています。
学童クラブに対する補助は、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて判断し、実施するものです。

質問事項
二の5 これまで補助金を支払っていない事業者に対する、新型コロナウイルス対応支援の取り組みを補助金も含め伺う。

回答
都は、今般の新型コロナウイルス感染症防止のための学校の臨時休業に伴い、平日の午前中から開所する学童クラブに対し、独自に運営費の補助を実施しています。
本事業は、これまで区市町村が補助を行っていなかった学童クラブも対象としており、令和元年度は、10区市、390支援単位の学童クラブに対し支援しています。

質問事項
三 教育政策について
1 都立高校における指導について
ア 全都立高校における、単位未修得などによる、退学者、原級留置者、転学者、その占める割合の状況を過去5年にわたり伺う。

回答
全都立高校における、単位未修得などによる退学者、原級留置者、転学者とその占める割合
課程 平成
26年度 平成
27年度 平成
28年度 平成
29年度 平成
30年度
中途退学者数 全日制 1,230人 1,108人 1,229人 1,119人 1,289人
定時制 1,524人 1,222人 1,082人 1,199人 997人
中途退学率 全日制 1.0% 0.9% 1.0% 0.9% 1.0%
定時制 11.3% 9.5% 8.6% 9.7% 8.7%
原級留置者数 全日制 288人 291人 143人 234人 281人
定時制 221人 151人 130人 135人 157人
原級留置率 全日制 0.4% 0.3% 0.1% 0.2% 0.3%
定時制 3.8% 2.9% 2.7% 3.0% 4.1%
転学者数 全日制 1,107人 1,206人 1,183人 1,287人 1,620人
定時制 227人 249人 326人 324人 356人
転学率 全日制 0.9% 1.0% 0.9% 1.0% 1.3%
定時制 2.1% 1.9% 2.6% 2.6% 3.1%

質問事項
三の1のイ 退学、原級留置に至る前に当然に、都立校としては生徒への助言ならびに指導をしているはずだが、現場の体制と具体的な指導について時系列で伺う。

回答
都立高校では、卒業や進級に関わる校内規定を定めており、学校は、入学予定者説明会等の機会に、生徒と保護者に対して校内規定等を説明しています。
また、各教科・科目の学習状況を評価する観点等については、年度当初に、教科担当者が生徒に対して説明しています。
教科担当者は、生徒の定期考査等の成績、出席状況等の学習状況を基に、単位修得が認められない可能性がある生徒に対して、適宜、指導しています。
さらに、各学期の成績会議において、進級が認められない可能性があると判断された生徒に対しては、担任が生徒及び保護者に学習状況における課題について説明するとともに、必要に応じて、生徒に対して補講や再試験、レポートを課すなどの指導を行っています。

質問事項
三の1のウ 原級留置・退学に至るまでの経緯と基準を事前に生徒・保護者にどう説明しているかも含め伺う。

回答
各学年における課程の修了や卒業の認定は、校内規定に基づき、校長の責任と権限において行われるものです。したがって、校長が課程の修了又は卒業を認めなかった生徒は、原級留置となります。
原級留置が決定した生徒及び保護者に対しては、担任が原級留置に至った経緯の説明や、進路変更等の相談を行います。生徒が進路変更を希望した場合は、今後の進路希望を聞き取るとともに、転学について指導・助言を行います。また、退学希望の場合には、就職等に関する情報を提供するなどの指導・助言を行っています。

質問事項
三の2 東京都エンカレッジスクールについて
ア その設置と目的と取り組みについて伺う。

回答
エンカレッジスクールは、小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励ましながら、勉強や学校行事などを通して社会生活を送る上で必要な学力を身に付け、豊かな人間性を育むことを目的としています。
そのため、基礎学習を中心に体験学習や選択授業を大幅に取り入れた教育を行っています。

質問事項
三の2のイ 同校は「小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校」としている。どのような教育、指導、サポートをしているのか伺う。

回答
各校では、義務教育内容の学び直しや習熟度別・少人数での分かる授業の展開、生活指導の徹底、2人担任制の導入などを通して、きめ細かな、個に応じた指導に取り組んでいます。

質問事項
三の2のウ エンカレッジスクールにおける原級留置・退学に至るまでの経緯と基準を、事前に生徒・保護者にどう説明しているかも含め伺う。

回答
エンカレッジスクールにおいても、他の都立高校と同様に、進級・卒業に関する校内規定が定められており、学校は、原級留置が決定した生徒及び保護者に対して、担任が原級留置に至った経緯の説明や、進路変更等の相談を行います。生徒が進路変更を希望した場合は、今後の進路希望を聞き取るとともに、転学について指導・助言を行います。また、退学希望の場合には、就職等に関する情報を提供するなどの指導・助言を行っています。

質問事項
三の2のエ 都立足立東高校において、なんら事前の対応もなく、また原級留置できるという情報提供もなく「進路変更(退学)やむなし」と生徒・保護者が受け止めざるを得ない指導を受ける事例が発生した。同校において、どのように原級留置・進路変更(退学)にならないように「小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援」できていたのか、伺う。

回答
当該校は2人担任制を取るなど、個に応じたきめ細かな指導を行っています。また、生徒の集中力を維持・向上させるため、30分授業などの時間割編成を工夫するなど、分かる授業の確立を目指しています。
生徒の学習状況の評価については、定期考査に当たる確認テストの得点だけでなく、ノート等の提出や平素の学習状況にも重点を置いて行っています。
このような指導にもかかわらず、学習状況に課題のある生徒に対しては、教科担当や担任が、学期ごとにその状況を丁寧に説明するとともに、生徒本人の自覚を促す指導を行っています。
こうした対応を通して、当該校が掲げる、生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する指導を行っています。
御指摘の事例についても、当該校は当該生徒に状況の説明と生徒本人の自覚を促す指導を行ってきました。

質問事項
三の2のオ 複数の教科・科目が未修得となり転学する生徒・保護者に対して、補講・補習を実施しない科目があることや、原級留置ができることについての説明をしたか、また、このような制度がある中で単位を落とさないための情報を事前に提供できていたのか伺う。

回答
当該校は、進級が認められない可能性のある生徒に対しては、授業を受けている科目の履修や単位修得の状況を説明し指導を行っています。また、各学期末の通知表に学習状況等を記載するなど、学校と家庭が連携して生徒が進級に向けて努力することができるようにしています。
お尋ねの事例については、当該校は、保護者に対して、生徒の学習状況や原級留置について、十分には説明していないことが分かりました。
そのため、都教育委員会は当該校に対し、当該生徒に課題を与えたり再試験を実施したりすること、原級留置の選択肢を説明することなどについての改善を求め、適切に対応したことを確認しています。

質問事項
三の2のカ 担任が、生徒に対して適正な指導や情報提供を行い、補習や補講を受けることで原級留置を免れた場合と情報提供が行われなかったことが原因で原級留置または退学・転学となってしまう場合があると聞いているが、不公平はなかったのか伺う。

回答
当該校では、生徒の出席状況及び学習状況等を通知表に記載し、学期末ごとに生徒及び保護者に伝えています。
また、各担任は、学期末ごとに校内規定に定められた進級基準を満たしていない生徒の保護者に連絡を行っており、情報提供を行わなかった事例は確認できませんでした。
したがって、担任によって生徒及び保護者への対応に不公平はなかったと捉えています。

質問事項
三の2のキ 全ての都立高校において、進級や原級留置に関する指導について、生徒・保護者に周知しているかも伺う。

回答
都教育委員会は、各学校が生徒及び保護者に対して進級や卒業に関わる指導を適切に行うことができるよう、具体的な指導事例を記載した資料を用いて、指導上の留意点や指導体制の確立などについて、指導・助言を行っています。
各学校は、こうした指導・助言を踏まえ、校内規定に基づく進級・卒業に関する指導について、生徒及び保護者に周知しています。

質問事項
三の3 新型コロナウイルス感染症対策にあたっての学校再開について
ア 再開にあたっての新型コロナウイルス対策及び、マスク、消毒液等衛生備品の学校現場での確保の状況につき伺う。

回答
再開に当たっては、令和2年3月24日付け文部科学事務次官通知「令和2年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について(通知)」に基づき、手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染症対策の徹底、学校医等と連携した校内保健管理体制の整備、保護者や保健所等との日頃の連絡体制の確認を行うとともに、集団感染のリスクが高い三条件(換気の悪い密閉空間、多くの人が密集、近距離での会話や発声)が同時に重なることを徹底的に回避すること等により、児童生徒等が新型コロナウイルスに感染しないよう取り組むことになります。
学校で使用する衛生物品のうち、マスクと消毒用アルコールが入手困難となっていますが、学校間で、在庫を相互に融通していく予定です。さらに、ハンカチや袖で口と鼻を覆う咳エチケットを指導し、文部科学省によるマスクの自作方法などを紹介しています。また、消毒用アルコールの代わりに、石鹸と流水による頻回の手洗いの実施や、環境消毒に次亜塩素酸ナトリウムの使用を勧めています。これらの方法等により、手指衛生等が適切に保たれるように取り組んでいます。

質問事項
三の3のイ 休校解除にあたって、区市町村それぞれの判断を尊重するのか、都で一律に判断をするのか考え方を伺う。

回答
都教育委員会は、4月1日時点で、都内の感染状況が拡大傾向にあり、都として活動自粛を呼び掛けていることなどを踏まえ、子供の健康と安全を第一に考えて、都立学校については、原則として、春季休業の終了日の翌日から5月6日まで臨時休業を実施することとしました。
区市町村教育委員会に対しては、都全体における感染状況を踏まえて、都立学校の取組を参考とした感染拡大防止の取組への協力を要請しました。
その後、4月7日に緊急事態宣言が発出され、同月10日には都知事から都教育委員会に対して必要な措置を講じるよう要請があったことから、あらためて都立学校における対応を定め、区市町村教育委員会に対しても周知しました。
なお、区市町村立学校における休業の決定や学校の運営については、設置者である区市町村教育委員会の判断により行うこととなります。

質問事項
四 葛西臨海水族園について
1 報告書は委員の意見を取りまとめて、委員会が都へ提出することが前提であるが、その取りまとめの段階で、建設局の担当者が文言の取りまとめを行い、委員の意見を無視し、排除したことが伺われる。委員会に意見のまとめをさせず、建設局の職員が委員会から都へ提出し、都民に示す報告書を委員の声を反映せずに独善的にまとめた理由と経緯を伺う。

回答
建設局は、葛西臨海水族園事業計画検討会(以下「検討会」という。)の事務局の立場として、報告書作成作業の補助に当たってきました。検討会における各委員の発言は、本人確認後、会議資料とあわせて全面的にホームページで公開してきました。
さらに、検討会各回において出された意見を基に、資料を作成し、最終回の検討会終了後、座長及び副座長の確認を受けながら報告書最終案の作成補助作業を行い、全委員の確認を受けました。その際に委員から御意見をいただいた際には、座長が委員と調整を行い、最終的に座長から都へ報告書が提出されました。

質問事項
四の2 検討会委員のうちなぜ建築の専門家である2名もの委員が辞任に至ったのか。第5回葛西臨海水族園事業計画検討会後、「葛西臨海水族園事業計画検討会報告書」の公表に至る、建設局の事務局と全委員との交信記録に基づき、その経緯と理由を伺う。

回答
検討会委員2名が辞任に至った経緯等は以下のとおりです。
令和2年2月5日に、第5回検討会を実施しました。
2月5日から同月21日まで、事務局において、座長及び副座長の確認を受けながら報告書最終案の作成補助作業を行いました。
2月21日に、座長及び副座長の指示により、事務局から全委員に報告書の最終確認を依頼しました。
3月3日までに、建築の専門家である2名の委員から意見が提出され、座長が両委員と複数回にわたり調整しました。
3月4日に、建築の専門家である2名の委員から、それぞれ座長に対し、報告書の内容について賛成できないため、2月29日をもって辞任する旨記載した辞任届が提出されました。両委員は、自身の意見が両論併記ではなく、検討会としての提言にならない限り賛成しないとの御意見を持っており、座長が両委員に対し、再三にわたり慰留に努めましたが、応諾が得られず辞任に至りました。

質問事項
四の3 都民の声がどうよせられ、局でどううけとめたか。「葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画(素案)」についてのパブリックコメントは1月25日に終了しており、すでに集計はされているはずである。その意見を計画に反映するべきと考えるが、その意見の数と内容及び、どのように計画に反映をするのか所見を伺う。

回答
令和元年12月26日から令和2年1月25日までの募集期間中に寄せられたパブリックコメントは268通です。
御意見の例としては、水族園の新たな姿に関すること、今後の取組に関すること、事業手法に関することに加え、既存施設について、引き続き水族館としての活用や再生して利活用を望むこと等があります。
今後、検討会の報告書に基づき、パブリックコメントの御意見も参考に、事業計画を策定します。
御意見に対する都の考え方は、事業計画の公表に合わせて、お示しする予定です。

質問事項
四の4 長寿命化の方が結果的にコストはかからないと思料するが、コロナ対策で法人2税が激減するであろうことが確実なのに新設をすることが本当に旧本館利用よりもコストダウンが図れるのか。本館の長寿命化と新設案のコストの比較を、イニシアルコストとランニングコストに分け、数字を示して所見を伺う。

回答
葛西臨海水族園は、開園から30年が経過し、施設や設備の老朽化が進んでいます。
このため、大規模な工事が必要ですが、バックヤードが狭隘で作業場所が確保できないため、開園しながらの工事は困難です。さらに、配管や配線が過密に配置されており、段階的な改修も困難です。
工事に伴う長期休園によるサービス低下や、仮設施設の整備によるコスト増、飼育している8万5千点の生き物への影響を総合的に考慮すると、新たに建築する建物に水族園機能を移設することが必要です。
なお、新たな水族園については、PFI手法の活用により、施設整備費と維持管理費、長寿命化の経費の節減と工期の短縮が見込めます。

質問事項
四の5 平成27年に葛西臨海水族園を「改築」すると決裁した建設局ならびに財務局の庁議に関わる全ての経緯および理由を伺う。

回答
平成27年に葛西臨海水族園を「改築」すると決めた事実はありません。

質問事項
四の6 平成27年11月4日に発注された「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託」の表題の「改築」の意味および、仕様書に示された都が提示した「基本コンセプト」における「改築」の都における定義を伺う。

回答
御指摘の委託においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しています。

質問事項
四の7 平成28年3月の日本設計による「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託報告書」に用いられている「改築」の都における定義、および報告書のパースおよび配置図で示された、既存本館へのアプローチ、ゲート、水の広場などを解体撤去し既存施設を水族館として活用しない決断に至った根拠を伺う。

回答
御指摘の委託においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しています。
平成28年3月の報告書は、今後の検討の資料として作成したものです。

質問事項
四の8 平成28年7月13日に発注された「葛西臨海水族園改築基本計画策定委託(事業計画検討)」の表題の「改築」の都における定義および、入札概要に示した「葛西臨海水族園の改築について基本計画を検討し概算工事費等を算出する。」における「改築」の都における定義を伺う。さらに平成29年3月の日本経済研究所による葛西臨海水族園改築基本計画策定委託(事業計画検討)報告書」に用いられている「改築」の都における定義、および報告書のパースおよび配置図で示された、既存本館へのアプローチ、ゲート、水の広場などを含め本館が解体撤去され芝生広場として計画されていることを踏まえ、既存施設を水族館として活用しない決断に至った根拠を伺う。

回答
御指摘の委託においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しています。
平成29年3月の報告書は、今後の検討の資料として作成したものです。

質問事項
四の9 平成30年12月19日に発注された「葛西臨海水族園改築計画検討補助業務委託」の表題の「改築」の都における定義および、仕様書に示された委託概要の目的「葛西臨海水族園の更新に向け、改築の実現方策を検討する上での技術支援として」における「改築」の都における定義を伺う。

回答
御指摘の委託においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しています。

質問事項
四の10 平成30年ll月に公表された「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案(建設局)」の第4章に記載されている「実現に向けて。水族園地内に改築することを基本に検討を行うことを明記します」で記載された「改築」の都における定義を伺う。

回答
御指摘の資料においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しています。

質問事項
四の11 平成31年1月に公表された「「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案」に対する意見募集の結果」に記載された「基本構想素案で記述した「改築」とは、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すこと」とあるが、その「改築」の都における定義は、上記5から9までに使用された「改築」の都における定義と同じか。または別の都における定義で使用されたかを伺う。

回答
御指摘の資料においては、現在の水族園地内に、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」と表現しており、これは5から9までと同じ意味です。
なお、「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想」では「既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移す」とし、「改築」という言葉をより丁寧に表現しました。

質問事項
四の12 「令和2年度東京都予算案の概要」の現状・課題で表記された「葛西臨海水族園 民間活力を活用した施設整備 」の本文「新たな建物への水族園機能の移設(建替え)が必要です。」ならびに対応で表記された「建替えにあたっては」の「建替え」の都における定義を伺う。それは5から10までの「改築」と同じ都における定義で使用されたものか、または異なるか伺う。

回答
御指摘の資料においては、「新たな建物への水族園機能の移設」を建替え、と表現したものです。
この建替えについては、5から10までの回答における、「改築」と同じ意味です。

質問事項
四の13 上記の5から12までに用いられた「改築」または「建替え」は建築基準法の「改築」の都における定義と同意かまたは異なるか伺う。

回答
5から12までの回答のとおり、既存施設とは別の建物を建築し、水族園機能を移すことを「改築」または「建替え」としており、建築基準法上の「改築」とは異なります。

質問事項
四の14 都において、外部委員による「検討会」を実施する意義と、委員の意見についての考え方と、都の方針や計画あっての形骸化した所謂お墨付きをもらうためだけの「検討会」となっていないかの所見も伺う。

回答
葛西臨海水族園事業計画検討会(以下「検討会」という。)は、基本構想に基づき、都民共有の財産である新たな水族園の実現に求められる施設要件等を、多くの専門的見地から検討を行うため設置したものです。
検討会は、水族館・博物館の展示・教育普及、環境教育、官民連携、建築、現場の運営など様々な分野の専門家により構成しました。
検討会は公開により開催するとともに、資料には、当日の論点や、前回検討会での委員の御意見とその対応について記載しました。
また、議事録については、各委員に確認の上作成し、全て公開しています。座長は委員の意見を踏まえながら議論を進め、報告書をとりまとめました。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 少子化対策について
二 都営住宅について
三 犯罪被害者支援について
四 AEDについて
五 交通ルール等について
六 水道スマートメーターと見守り事業について
七 東武東上線大山駅周辺の再開発について
八 東京消防庁におけるパワハラについて
九 消防団の資機材について
十 都立学校における制服等について
十一 新型コロナウィルスについて
十二 東京2020オリンピックパラリンピック大会について

一 少子化対策について
少子化対策は喫緊の課題であるが、都の施策の多くが待機児童対策などの子育て支援に限られている。私はそれらも重要ではあるが、すそ野を広げるといった意味では出産前の取り組みが重要と考える。以下伺う。
1 都では結婚支援事業を行っているがその目的と予算、事業概要を伺う。
2 またそれぞれの事業目標数値および指標(KPI)、現状数値を伺う。
3 実際に都の取り組みによってどれだけの方々が成婚に至ったのか伺う。
4 妊娠から出産に至るまで平均的にどのぐらいの費用がかかっているのか伺う。
5 妊娠から出産に至るまで都の支援事業はどのようなものがあるのか伺う。
6 都の出生前診断についての見解を伺う。

二 都営住宅について
都営住宅は生活困窮者や低所得者に対して住宅を安価で提供しているが、一方、突発的な要因で住居を失う、または現在の住居に住めなくなる都民に対しても十分な手を差し伸べるべきである。以下伺う。
1 火災などの災害や犯罪やDV被害に遭われた都民に対し、都は都営住宅を一時住居として貸し出しているが、その概要と目的を伺う。
2 その際の家賃が都営住宅の本来入居者の使用料ではなく「近傍同種家賃」となり、すなわち市価になる。知人の自宅が火災に遭った際、とある都営住宅を紹介されたのですが、家賃が月13万円だと言われ、家のローンより高く現実的ではないと入居を断念されました。見解を伺う。
3 結果、災害(火災)に遭われた住民救済につながらないため、都営住宅であれば当然、災害(火災)に遭われた住民に対しても都営住宅の本来入居者の使用料で貸すべきと考えるが見解を伺う。
4 犯罪被害者支援が都により行われているが、被害者が転居を余儀なくされる場合、都営住宅を一時避難のために活用できるようにすべきと考えるが見解を伺う。

三 犯罪被害者支援について
都が先日実施した犯罪被害者等への実態調査において、二次的被害に関する結果をみると、被害者が二次的被害として傷ついたのは、加害者・加害関係者、友人・知人等に続き、捜査関係者として警察が挙げられている。その割合も犯罪被害者の3割、4割が警察官に被害にあっていることから、看過できない状態にある。この調査結果を踏まえ、「都は実態調査の結果を本年1月に公表した際、速やかに警視庁に提供した」との都の答弁があったが、警視庁の見解を伺う。また警視庁が現在行っている、警察学校での入校時に犯罪被害者等の心情を理解するための授業、昇任者を対象とした研修の実施、捜査員等を対象の講習において、公認心理士や遺族による講演等の実施だけでは改善が見込めない。新たな施策など抜本的な対策を求めるが見解を伺う。

四 AEDについて
私は常々コンビニエンスストアなどにAEDを設置することで稼働率を大幅に上げることを提案してきたが、財源に課題があると認識している。そこで以下伺う。
1 東京都や教育庁で保有しているAEDの台数をそれぞれ伺う。
2 その購入・契約形態およびその金額(総額)について伺う。

五 交通ルール等について
1 私の地元板橋区の東武練馬駅の近くにあるAEON(みずほ側)とハナマサの横の交差点では歩行者用信号機がない横断歩道のため車が停車をせず、歩行者が渡れないケースがよく見受けられる。このような事例は全国的にも多数あるときく。信号機の無い横断歩道の歩行者安全対策について徹底すべきと考える。さらには違反車両の取締り強化とドライバーに対する注意喚起など今後どのように行っていくのか伺う。
2 また自転車による車道上の法規違反について逆走や信号無視など道交法違反など今後どの様な取締りや対策を進めて行くのか伺う。
3 自動車が交通事故を起こし車両が大破した場合、その後の車両移動のための手配はどのような考え方に基づいて行われるのか見解を伺う。また警察署や管轄ごとに指定のレッカー移動業者が存在するのか伺う。

六 水道スマートメーターと見守り事業について
2015.11.12の公営企業委員会から始まり毎年、各委員会などあらゆる機会をとらえ水道メーターの自動検針及びスマートメーターの普及促進を求めてきた。とりわけ2017.12.21には知事に直接、都内全戸に設置するよう要望をしてきたが、改めて都の見解を伺う。また全戸への導入を促進する場合、費用やスケジュール、設置に向けた優先順位はどうなのか、さらには見守り事業などの福祉施策と連携するよう福祉保健局とさらに連携を加速すべきと考えるが見解を伺う。また戦略政策情報推進本部との連携はどうなっているのか伺う。

七 東武東上線大山駅周辺の再開発について
本地域では踏切除去に向けた鉄道立体化事業や木密不燃化事業として道路整備(補助26号線)が計画されている。その影響は甚大であることから地元住民など板橋区民やハッピーロード商店街などで商売を営む事業者の中に、賛否両論さまざまな意見が存在する。小池知事においては一度現場に足を運び地域をご自身の目で確認していただきたい。そのうえで様々な声に耳を傾ける機会を設けるべきと考えるが見解を伺う。

八 東京消防庁におけるパワハラについて
消防庁の署員によるパワハラによって自殺に追い込まれる同僚の方が後を絶たない。そこで以下伺う。
1 この5年間における東京消防庁におけるパワハラや不祥事についての内容と件数の推移について伺う。
2 また私のところにも現在、麹町署勤務の署長によるパワハラ(暴言・暴力)が行われているという多くの若手署員の切実な声が届いているが、事実であるのか?庁内のパワハラ担当部署に相談もあったのか伺う。
3 相談があった場合、どのような対応を取ったのか伺う。
4 パワハラ等の被害が後を絶たない今、どのような対策を過去行ってきたのか、さらには対策強化すべきと考えますが見解を伺う。

九 消防団の資機材について
消防団および消防団員の装備や備品などが毎年支給配備されている。以下確認する。
1 現場の消防団員の声やニーズをどのように汲み取っているのか伺う。また毎年各分団や団員に意向調査をすべきと考えるが見解および今後の予定を伺う。
2 今回、配備されるオリンピック用のポロシャツは、新しい被服を採用するか否かの団員に対するアンケートはありませんでした。どのような経緯で採用されたのか、また誰の要請で採用したのか伺う。また東京2020大会後はどのような場面で活用するのか伺う。
3 また予算はいくらを計上したのか伺うとともに、分団によってはパソコンやプリンターがあれば嬉しいと思っているところも少なくないため、同額程度の予算を使って、他に団員に対する支援は出来なかったのか伺う。

十 都立学校における制服等について
1 都立学校における学校制服等の選定について現状及び都の見解について伺う。
2 東京都での平均購入金額と他の道府県における平均購入金額について伺う。

十一 新型コロナウィルスについて
中国武漢で発生した新型コロナウィルスの対応について以下伺う。
1 昨今、コロナウィルスの脅威に対してそのリスクが増大しているにもかかわらず、都民が慣れてしまい危機感が薄れつつある。当事者意識を持ってもらうためにも都内の感染者を発表するだけではなく、23区、市区町村の名前を公表した方が良いと考えるが見解を伺う。
2 また現状を正しく理解してもらうためにも、1人あたりが生み出した2次感染者数である実効再生産数を都道府県別に出せるようにするためにも、まずは都が率先して公表すべきと考えるが見解を伺う。
3 さまざまな治療薬が各国で数字的なデータに基づいて検証されており、いいデータが出ているものは緊急承認増産がされている。都におけるワクチン、治療法開発に関する取り組みや今後の見込みについて伺う。
4 都の職員や都教職員に小さい子どもがいる場合、基本的に事故欠勤を取るよう勧められているが、一部では事故欠勤は全く話題にもならない職場や一部の特別支援学校では自宅勤務すら管理職が難色を示していると相談を受けた。事故欠勤が認められるケースとそうでないケースがあるが見解を伺う。
5 都内で、新型コロナウィルス感染症に関連したいじめやトラブルが生じている。都も様々な情報発信を行っているが子どもたちをはじめまだまだ都民にいじめ等の防止に関する啓発が十分に行われていない。見解を求める。

十二 東京2020オリンピックパラリンピック大会について
新型コロナウィルスによる甚大な影響をよそに、JOC、組織委員会、東京都も「中止も延期もありえない」と見解を述べた東京2020オリンピックパラリンピック大会が突如1年間延期されると報道された。そこで以下伺う。
1 1年延期の判断に際し、開催都市として東京都および小池知事はどのタイミングで把握したのか。またどのように意思決定が行われ、その過程にどのように関わったのか伺う。
2 1年延期という判断によりどのような具体的な影響が新たに生じるのか都の見解を伺う。またこのような事態を全く想定していなかったのか見解を伺う。
3 都民の関心が高い追加の費用負担について見解を伺う。
4 選手村に関しては1年後入居予定の購入予定者がいるがどのような対応を取るのか見解を伺う。また競技会場や施設においても場所の確保をどのように行うのか見解を伺う。
5 1年延期となった場合、7月8月では猛暑であることから改めて秋開催も提案できるよう先手を打って都から提案するべきと考えるが見解を伺う。

令和2年第一回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 少子化対策について
1 都では結婚支援事業を行っているがその目的と予算、事業概要を伺う。

回答
都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人を後押しするため、結婚に向けた気運の醸成に取り組んでいます。
結婚支援ポータルサイトでの情報発信やライフプランを考えるセミナーの開催、様々な主体との連携による出会いの機会の提供など、幅広く取組を展開しています。
令和2年度の予算は、66,887千円です。

質問事項
一の2 またそれぞれの事業目標数値および指標(KPI)、現状数値を伺う。

回答
都における結婚支援は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人を後押しするため、結婚に向けた気運を醸成することを事業目標としています。
KPIを用いた効果測定は、この気運醸成という捉えにくい目標の達成度合いの計測が必要となることから、なじみにくいものと考えており、実施していません。
しかしながら、事業効果を確認し改善につなげる取組は重要と考えており、ポータルサイトの閲覧数など把握可能な指標を用いながら、イベント等へ参加した都民の意見なども踏まえて今後の事業展開に反映させていくこととしています。
なお、令和元年度のポータルサイト閲覧数は、約51万ページビューです。

質問事項
一の3 実際に都の取り組みによってどれだけの方々が成婚に至ったのか伺う。

回答
都における結婚支援は、情報発信や出会いのきっかけ作りなどにより、結婚に向けた気運の醸成に取り組むもので、個別のお見合いや結婚のあっせん等は行っておらず、成婚数についても把握していません。

質問事項
一の4 妊娠から出産に至るまで平均的にどのぐらいの費用がかかっているのか伺う。

回答
国民健康保険中央会の出産費用の報告によると、平成28年度における正常分娩に係る妊婦合計負担額の中央値は、493,400円となっています。

質問事項
一の5 妊娠から出産に至るまで都の支援事業はどのようなものがあるのか伺う。

回答
都は、ゆりかご・とうきょう事業において、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し継続した支援を行えるよう、保健師等の配置や育児パッケージの配布を独自に支援しており、平成30年度は43区市町村に対し補助をしました。
保健師等の専門職の配置については、国制度に基づく区市町村負担分の一部に加え、複数名を配置するために必要な経費を補助しており、平成30年度の補助額は209,644千円となっています。
育児パッケージは、出産・子育てに向けた準備を支援するために配布するもので、平成30年度の補助額は719,479千円となっています。
また、保健上必要があるにもかかわらず、生活保護世帯や住民税非課税世帯など経済的な理由により入院助産を受けることができない妊産婦に対し、助産施設において助産を実施しています。
総経費のうち、都では、都立病院を除く区市における助産については4分の1を、町村及び都立病院における助産については2分の1を負担しており、平成30年度は530人の助産に対し、合計155,315千円を支出しています。

質問事項
一の6 都の出生前診断についての見解を伺う。

回答
国は、令和元年10月に母体血を用いた出生前遺伝学的検査の調査等に関するワーキンググループを設置し、検査の実施体制等の検討に資する必要なデータや事例の収集等を行い、その実態を把握・分析することとしており、都はこうした国の動向を注視していきます。

質問事項
二 都営住宅について
1 火災などの災害や犯罪やDV被害に遭われた都民に対し、都は都営住宅を一時住居として貸し出しているが、その概要と目的を伺う。

回答
都では、火災等の災害により自ら居住する住宅を焼失し、又は滅失し、現に住宅に困窮している方等の一時的な住まいの確保のため、地方自治法等に基づき、都営住宅を公営住宅法及び東京都営住宅条例に定められた用途以外に使用する目的外使用許可を行っています。
この場合、公営住宅法等に定める、収入基準や住宅困窮要件などの使用者の資格は適用されません。
また、使用期間については、原則として、3月以内で、特別な事情があると認められる場合は、1回に限り3月以内で更新できます。
さらに、使用料は、公営住宅法等に定める近傍同種の住宅の家賃としています。
なお、犯罪被害者やDV被害者に対しては、火災等の災害とは異なり、住宅支援の必要な期間が長く見込まれることから、目的外使用許可ではなく都営住宅の本来入居で対応しています。

質問事項
二の2 その際の家賃が都営住宅の本来入居者の使用料ではなく「近傍同種家賃」となり、すなわち市価になる。知人の自宅が火災に遭った際、とある都営住宅を紹介されたが、家賃が月13万円だと言われ、入居を断念した。見解を伺う。

回答
都営住宅の本来入居者の使用料は、公営住宅法等に基づき、入居者の収入及び都営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数等に応じて定められる、応能応益家賃制度が適用されます。
一方、罹災者の臨時応急措置としての都営住宅の一時使用は、公営住宅法等によらず、地方自治法等に基づく目的外使用許可であることから、使用料は、応能応益家賃制度が適用されず、近傍同種の住宅の家賃としています。

質問事項
二の3 結果、災害(火災)に遭われた住民救済につながらないため、都営住宅であれば当然、災害(火災)に遭われた住民に対しても都営住宅の本来入居者の使用料で貸すべきと考えるが見解を伺う。

回答
罹災者の臨時応急措置としての都営住宅の一時使用では、世帯収入の額や自宅所有の有無にかかわらず入居対象としており、公営住宅法等に基づく使用料を適用していません。
なお、災害により住宅を失った方で、都営住宅の使用者の資格を有する方は、火災の程度などの一定の条件を満たす場合、公募によらず緊急に都営住宅に入居することが可能です。その場合、公営住宅法等に基づき、入居者の収入等に応じた使用料が適用されます。

質問事項
二の4 犯罪被害者支援が都により行われているが、被害者が転居を余儀なくされる場合、都営住宅を一時避難のために活用できるようにすべきと考えるが見解を伺う。

回答
DV被害者及び犯罪被害者等については、平成16年及び平成17年の国土交通省通知において、公営住宅への優先入居及び目的外使用が可能である旨が示されています。
都においては、住宅支援の必要な期間が長く見込まれることから、目的外使用許可ではなく都営住宅の本来入居で対応しており、平成19年5月から、DV被害者世帯及び犯罪被害者世帯を対象に、当せん率が一般の5倍となる優遇抽せんを実施しています。
また、DV被害者や犯罪被害者を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録及び住宅情報の提供により、犯罪被害者等の居住の安定確保に努めています。

質問事項
三 犯罪被害者支援について
犯罪被害者等への実態調査において、二次的被害に関する結果をみると、被害者が二次的被害として傷ついたのは、加害者・加害関係者、友人・知人等に続き、捜査関係者として警察が挙げられている。警視庁の見解を伺う。また警察学校での入校時に犯罪被害者等の心情を理解するための授業、昇任者を対象とした研修の実施、捜査員等を対象の講習において、公認心理士や遺族による講演等の実施だけでは改善が見込めない。新たな施策など抜本的な対策を求めるが見解を伺う。

回答
警視庁では、東京都の「令和元年度犯罪被害者等の実態に関する調査報告書」において、御指摘のとおり、捜査関係者(警察)が、加害者・加害関係者、友人・知人等に次いで、二次的被害をもたらしている旨の報告があることは認識しています。
二次的被害を受けた犯罪被害者等は、精神的な苦痛や心身の不調を訴えるなど、更なる過酷な状況を強いられることを念頭に、その対応に当たる職員には、二次的被害の防止に係る留意事項等を十分に理解させることが重要です。
引き続き、あらゆる機会を通じて職員に対する研修を実施するとともに、関係機関との連携を一層強化して、犯罪被害者等の要望に沿った支援活動を実施していきます。

質問事項
四 AEDについて
1 都や教育庁で保有しているAEDの台数をそれぞれ伺う。

回答
東京都で保有しているAEDの台数は把握しておりません。
また、各都立学校にはそれぞれ複数のAEDを設置しており、令和元年度における台数は、全都立学校で530台です。

質問事項
四の2 その購入・契約形態およびその金額(総額)について伺う。

回答
都立学校で保有しているAEDの契約形態は競争入札による買取りであり、7年毎に順次入替えを行っております。
AED本体や付属品の更新にかかる1年毎の経費は、平成29年度から令和元年度までの平均で、約1,200万円です。

質問事項
五 交通ルール等について
1 信号機の無い横断歩道の歩行者安全対策について徹底すべきと考える。さらには違反車両の取締り強化とドライバーに対する注意喚起など今後どのように行っていくのか伺う。

回答
警視庁では、御指摘のような交差点を含め、横断歩道横断中の歩行者安全対策について、歩行者優先の交通ルールを徹底させるため、ドライバーに対し、横断歩行者妨害違反等の指導取締りを強化しているほか、交通安全教育や各種広報啓発活動において、歩行者保護意識の醸成に取り組んでいます。
今後も、指導取締りを徹底するとともに、交通安全教育などを通じた歩行者の安全確保に向けた各種取組を推進していきます。

質問事項
五の2 また自転車による車道上の法規違反について逆走や信号無視など道交法違反など今後どの様な取締りや対策を進めて行くのか伺う。

回答
警視庁では、信号無視、右側通行などの通行区分違反や、制動装置不良自転車運転、酒酔い運転等の悪質性・危険性の高い違反行為に対する交通切符等を適用した取締りのほか、交通ルールの遵守を目的として、自転車指導警告カード等による指導を実施しています。
また、自転車利用者に交通ルールを遵守させるため、各種メディアや広報媒体を活用した「自転車安全利用五則」等の広報啓発のほか、スタントマンによる交通事故の再現を活用した自転車安全教室や各種イベントを開催するなど、交通事故の危険性と交通ルールの周知に取り組んでいます。
引き続き、指導取締りを徹底するとともに、自転車の安全利用に向けた安全教育や広報啓発活動を推進していきます。

質問事項
五の3 自動車が交通事故を起こし車両が大破した場合、その後の車両移動のための手配はどのような考え方に基づいて行われるのか見解を伺う。また警察署や管轄ごとに指定のレッカー移動業者が存在するのか伺う。

回答
警視庁では、交通事故現場において事故車両のレッカー移動が必要な場合には、事故当事者の責任において手配したレッカー業者により、当該車両を移動させています。
また、事故当事者からの申出や緊急性を要する場合には、警察において現場からの緊急の要請に対応可能なレッカー業者をその都度手配し、事故車両の移動を行いますが、当庁が指定しているレッカー業者はありません。

質問事項
六 水道スマートメーターと見守り事業について
水道メーターの自動検針及びスマートメーターの普及促進を求めてきた。とりわけ2017.12.21には知事に直接、都内全戸に設置するよう要望をしてきたが、改めて見解を伺う。また全戸への導入を促進する場合、費用やスケジュール、設置に向けた優先順位はどうなのか、さらには福祉施策と連携するよう福祉保健局と連携を加速すべきと考えるが見解を伺う。また戦略政策情報推進本部との連携はどうなっているのか伺う。

回答
水道局では、2022年度からの3か年で10万個規模のスマートメータの設置を行う「トライアルプロジェクト」を皮切りに、市場形成を促してメータ価格の低下を図り、2030年代の全戸導入を目指していきます。
このプロジェクトでは、都営住宅等の建替竣工物件や、大口径メータ等の検針困難個所、無人時に漏水に気付きにくい学校や公園、災害時の首都機能回復や早期復旧が求められる首都中枢エリアなどへ導入し、効率的な維持管理やお客さまサービスへの活用に向けた効果検証を実施します。
また、都の積極的な導入に加えて、現在連携を行っている横浜市や大阪市のほか、他都市との連携を拡大することで、メータ価格の低下を促進していきます。
こうした取組を進め、プロジェクトの検証結果や市場価格の動向を踏まえ、今後、全戸導入に向けた設置場所の優先順位やスケジュールを決定していきます。
さらに、福祉保健局や、福祉を現場で担っている区市町と連携を図り、行政による高齢者の見守りサービスのニーズ等について検討を進めていくとともに、戦略政策情報推進本部と連携し、「未来の東京」戦略ビジョンで位置付けられた西新宿などのスマート東京先行実施エリア等へ積極的に導入することで、地域データと先端技術を活用した実証プロジェクトに貢献していきます。

質問事項
七 東武東上線大山駅周辺の再開発について
本地域では踏切除去に向けた鉄道立体化事業や木密不燃化事業として道路整備(補助26号線)が計画されている。小池知事には地域をご自身の目で確認していただきたい。そのうえで様々な声に耳を傾ける機会を設けるべきと考えるが見解を伺う。

回答
特定整備路線である補助第26号線大山区間は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において延焼遮断帯を形成し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る上で極めて重要な都市計画道路です。
本路線には、計画線の区域内に商店街が含まれていることから、店舗などの営業継続やにぎわいの維持向上を図りながら、再開発事業など沿道のまちづくりと一体的に道路整備を進めることが重要です。
これまで都は、沿道のまちづくりについて、区と連携し、商店街を中心としたまちづくりの勉強会に専門家を派遣するなど、地元の取組を支援しています。
また、本路線の整備に当たって、民間事業者のノウハウを活用した相談窓口を設置し、生活再建をきめ細かに支援してきました。
一方、東武東上線大山駅付近には、補助第26号線を含む8か所の開かずの踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっていることから、都は、鉄道立体化に関する地元説明会の開催など手続を進め、既に都市計画を決定し、地元要望でもある早期事業化に向けて、測量を進めています。
引き続き、地元の皆様に丁寧に説明し、理解と協力を得ながら、これらの事業に取り組んでいきます。

質問事項
八 東京消防庁におけるパワハラについて
1 この5年間における東京消防庁におけるパワハラや不祥事についての内容と件数の推移について伺う。

回答
不祥事の内容としては、飲酒に起因した粗暴行為、盗撮等の迷惑行為、ハラスメント行為等があります。
不祥事のうち懲戒処分の件数は、平成27年度が18件、平成28年度が17件、平成29年度が23件、平成30年度が8件、令和元年度が20件となっています。
このうち、パワーハラスメント関係の懲戒処分の件数は、平成27年度が3件、平成28年度が2件、平成29年度が3件、平成30年度が1件、令和元年度が1件となっています。

質問事項
八の2 私のところにも現在、麹町署勤務の署長によるパワハラ(暴言・暴力)が行われているという多くの若手署員の切実な声が届いているが、事実であるのか伺う。庁内のパワハラ担当部署に相談もあったのか伺う。

回答
パワーハラスメントに認定されるような言動はなかったものの、不適切な発言があったのは事実です。
署員から麹町消防署を通して、本庁の担当部署に報告されています。

質問事項
八の3 相談があった場合、どのような対応を取ったのか伺う。

回答
署長や申告者等に事実確認を行い、不適切な発言があったことが確認されたため、上司に当たる方面本部長から署長に対して厳重注意と指導を行い、署長から関係する署員に謝罪しています。

質問事項
八の4 パワハラ等の被害が後を絶たない今、どのような対策を過去行ってきたのか、さらには対策強化すべきと考えるが見解を伺う。

回答
ハラスメントの根絶を倫理教育の重点に定め、ハラスメントを未然に防止するための教養や研修を行っているほか、相談窓口等を設置し早期にハラスメントに対処する仕組みを整備しています。

質問事項
九 消防団の資機材について
1 現場の消防団員の声やニーズをどのように汲み取っているのか伺う。また毎年各分団や団員に意向調査をすべきと考えるが見解および今後の予定を伺う。

回答
特別区消防団の資機材整備等において、消防団員の声やニーズを把握することは重要であると認識しています。
東京消防庁では消防団員に対し、随時、被服等に関するアンケート調査を行うとともに、平成30年度には資機材や処遇等に関する幅広い意識調査を外部委託により実施し、意見等を反映させてきました。
今後とも、アンケート調査等により消防団員の意見、要望を調査し、資機材等の充実に努めていきます。

質問事項
九の2 今回、配備されるオリンピック用のポロシャツは、新しい被服を採用するか否かの団員に対するアンケートはなかった。どのような経緯で採用されたのか、また誰の要請で採用したのか伺う。また東京2020大会後はどのような場面で活用するのか伺う。

回答
東京消防庁では特別区消防団が夏季における警戒活動や応急救護訓練指導等において着用する夏用の制服や活動服を整備してきました。
本酷暑対策用のポロシャツは、東京2020大会開催決定後の平成28、29年度に審議された各区の特別区消防団運営委員会からの答申等を踏まえて整備するもので、デザインは消防団員の投票により決定したものです。
今後、東京2020大会中の各競技会場等の警戒時に着用するほか、大会以外においても酷暑時における地域の行事の警戒などに活用することとしています。

質問事項
九の3 予算はいくらを計上したのか伺うとともに、分団によってはパソコンやプリンターがあれば嬉しいと思っているところも少なくないため、同額程度の予算を使って、他に団員に対する支援は出来なかったのか伺う。

回答
酷暑対策用被服は、令和元年度予算として9,889万円が計上されており、近年、夏季の暑さが一層増している中、東京2020大会の消防団員による警戒活動時の酷暑対策のため、通気性のよいポロシャツ、Tシャツ及びメッシュタイプの帽子を優先して整備したものです。
今後とも、消防団員からの意見等を踏まえながら、装備資機材等の充実に努めていきます。

質問事項
十 都立学校における制服等について
1 都立学校における学校制服等の選定について現状及び見解について伺う。

回答
都立学校の学校制服等学校指定品の取扱業者の選定は、各都立学校で実施しています。
学校制服等の選定に当たっては、学校徴収金事務取扱規程等に従い、適正かつ適切に処理することとし、具体的には、複数の業者が応募できるよう、製造業者や販売業者が限定されない仕様とした上で公募し、その中から低廉な価格を提示した業者を指定しています。
引き続き、保護者の理解を得ながら学校制服等の適切な選定に努めていきます。

質問事項
十の2 都での平均購入金額と他の道府県における平均購入金額について伺う。

回答
平成28年度に実施した調査において、都立高校等168校の平均購入金額は、男子用の制服で39,704円、女子用の制服で40,624円となっています。
また、他の道府県における平均購入額については、把握していません。

質問事項
十一 新型コロナウイルスについて
1 昨今、コロナウイルスの脅威に対して危機感が薄れつつある。当事者意識を持ってもらうためにも都内の感染者を発表するだけではなく、23区、市区町村の名前を公表した方が良いと考えるが見解を伺う。

回答
都は、都内の医療機関から、新型コロナウイルス感染症の感染者の発生についての報告があった場合、感染拡大の防止のため、報道発表しています。
感染者数が急増したことを踏まえ、令和2年4月1日発表分以降は、都内の医療機関から報告された患者居住地の自治体別内訳の累計人数を公表し、都民に対し、より一層の注意喚起を図っています。
今後も患者の発生動向などを踏まえながら、必要な情報提供に取り組んでいきます。

質問事項
十一の2 また現状を正しく理解してもらうためにも、1人あたりが生み出した2次感染者数である実効再生産数を都道府県別に出せるようにするためにも、まずは都が率先して公表すべきと考えるが見解を伺う。

回答
実効再生産数は、感染症の流行が進行中の集団のある時刻における、一人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値ですが、これを作成し活用するためには、患者発生動向のデータを分析する専門的知見が必要となります。
そのため、専門知識を有する国の専門家が、都道府県から報告されたデータを分析し、国が設置する新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において、その結果を感染状況や対策の実施状況の評価に活用しています。
都は、国と協力して、実効再生産数など、様々なデータを活用しながら、対策を進めていきます。

質問事項
十一の3 さまざまな治療薬が各国で数字的なデータに基づいて検証されており、いいデータが出ているものは緊急承認増産がされている。都におけるワクチン、治療法開発に関する取り組みや今後の見込みについて進捗を伺う。

回答
都では、令和2年度から、公益財団法人東京都医学総合研究所において、現在流行している新型コロナウイルスだけではなく、今後新たなコロナウイルスが発生した場合にも対応可能なワクチンの開発に着手することとし、研究経費として1億円を予算計上しています。
医学総合研究所では、新型インフルエンザやデング熱に関するワクチン開発研究を行っており、これまで確立したワクチン開発技術を用いて、新たなワクチン開発の研究に取り組んでいきます。
ワクチンの開発は、単年度で成果を上げられるものではなく、数年単位での研究を要するものであり、医学総合研究所が行う基礎研究だけでなく、その後の民間企業による臨床試験なども必要になります。医学総合研究所では、これまで蓄積した研究技術を生かしながら、国立感染症研究所等、他機関との共同研究に取り組んでいきます。
なお、新型コロナウイルスの治療法の開発については、現在他の機関において研究が進められており、現時点において、都として治療薬の開発等に取り組む予定はありません。

質問事項
十一の4 都の職員や都教職員に小さい子どもがいる場合、基本的に事故欠勤を取るよう勧められているが、一部では事故欠勤は全く話題にもならない職場や一部の特別支援学校では自宅勤務すら管理職が難色を示していると相談を受けた。事故欠勤が認められるケースとそうでないケースがあるが見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症対策に伴う小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の臨時休業その他の事情により、子の世話を行うため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合には、事故欠勤として取り扱うことができます。なお、職場によってこの取扱いが異なるものではありません。

質問事項
十一の5 都内で、新型コロナウイルス感染症に関連したいじめやトラブルが生じている。都も様々な情報発信を行っているが子どもたちをはじめまだまだ都民にいじめ等の防止に関する啓発が十分に行われていない。見解を伺う。

回答
都教育委員会は、令和2年2月に区市町村教育委員会の担当者や都立学校の校長を対象とした連絡会において、新型コロナウイルス感染症を理由に、中国に国籍をもつ子供や、中国に滞在していた子供等に偏見を抱いたり、いじめにつながる言動がなされたりすることがないよう、学校における人権教育やいじめ防止の取組を確実に行うことを求めてきました。
また、令和2年3月26日には、文部科学省の「学校再開ガイドライン」を踏まえ、感染者、濃厚接触者やその家族に対する偏見や差別につながるような行為を許さないことなどを含む「都立学校版感染症予防ガイドライン」を作成し、全ての都立学校に配布するとともに、区市町村教育委員会にも情報提供を行いました。
今後とも、都内公立学校において、新型コロナウイルス感染症に関連したいじめにつながる行為が確認された場合には、区市町村教育委員会とも連携し、学校に対して適切に指導・助言を行っていきます。

質問事項
十二 東京2020オリンピックパラリンピック大会について
1 1年延期の判断に際し、開催都市として都および小池知事はどのタイミングで把握したのか。またどのように意思決定が行われ、その過程にどのように関わったのか伺う。

回答
3月24日に安倍総理大臣とバッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長との電話会談が開催され、会談には、森東京2020組織委員会会長、菅内閣官房長官、橋本東京オリパラ担当大臣等とともに知事が同席しました。
会談では、改めて中止はないこと、安全安心な大会を概ね1年程度延期することを軸として2021年の夏までに開催すること、東京2020大会の名称を維持すること、聖火を日本に留めることが一致され、IOCの理事会で承認されました。
その後の、3月30日に知事、バッハ会長、森会長、橋本大臣との会議で、東京2020大会開催期間は、オリンピックは2021年7月23日から8月8日まで、パラリンピックは8月24日から9月5日までと合意され、その後のIOCの臨時理事会において承認されました。

質問事項
十二の2 1年延期という判断によりどのような具体的な影響が新たに生じるのか見解を伺う。またこのような事態を全く想定していなかったのか見解を伺う。

回答
大会開催に向けた影響については、競技会場や宿泊場所の確保、ボランティア、経費など、様々な検討が必要と考えています。今後、それらの検討などを踏まえ、国、組織委員会、IOCなど関係機関と準備していきます。
また、新型コロナウイルス感染症対策について都では、全庁を挙げて感染防止に取り組むとともに、開催に向けて準備を進めてきました。
一方、世界的な感染に関しては、IOCも声明で、「前例のない予測不能な感染拡大による状況の悪化が、世界の他の地域において確認されている。(中略)世界中ほぼすべての国にわたり患者が記録されており、その数は刻一刻と増加している。」と述べており、困難な事態が起こったものです。

質問事項
十二の3 都民の関心が高い追加の費用負担について見解を伺う。

回答
大会の延期に伴ってどの程度の経費が必要になるか、組織委員会とともに試算を行っていきます。
今後、国、組織委員会、IOCなど関係機関とともに調整を図っていきます。

質問事項
十二の4 選手村に関しては1年後入居予定の購入予定者がいるがどのような対応を取るのか見解を伺う。また競技会場や施設においても場所の確保をどのように行うのか見解を伺う。

回答
選手村のマンション購入については、事業者である特定建築者とマンション購入者との間の契約に関することであり、現在の契約では2023年3月下旬の入居予定と聞いています。延期に伴う購入予定者への対応については、今後、特定建築者において適切に対応するものと考えます。
また、2021年に開催される東京2020大会の新日程が決定されたことを受け、今後、組織委員会とともに、選手村や競技会場などの確保に取り組んでいきます。

質問事項
十二の5 1年延期となった場合、7月8月では猛暑であることから改めて秋開催も提案できるよう先手を打って都から提案するべきと考えるが見解を伺う。

回答
3月30日に知事、バッハ会長、森会長、橋本大臣との会議で、東京2020大会開催期間は、オリンピックは2021年7月23日から8月8日まで、パラリンピックは8月24日から9月5日までと合意され、その後のIOCの臨時理事会において承認されました。
これは、競技日程、それに伴うチケットや会場の対応、ボランティア、輸送などこれまで準備してきたことも時期的に一致することから、スムーズに進められること、また、暑さ対策などの課題はあるものの、これまでの知見や取組を生かし、より一層の検討を進めていくとの考えから、都、IOC、組織委員会、国とで同意しました。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ

質問事項
一 新型コロナウイルスの検査体制について

一 新型コロナウイルスの検査体制について
都内でも、新型コロナウイルス感染症に罹患する方が増加する中、これ以上の感染拡大を防ぐことができるかどうか、重要な局面を迎えています。現在、PCR検査が保険適用となり、民間の検査会社の活用が進みつつあると思われますが、陽性反応が出た方の多くは、東京都健康安全研究センターによる検査となっています。また、積極的疫学調査のためのPCR検査は行政検査となるため、引き続き健康安全研究センターに検体が運ばれ検査が行われています。
1 都は検査体制の強化として、検査機器の購入により、健康安全研究センターの検査可能件数を倍の240件とすることにしました。また、民間の活用で100件を追加し、1日当たり合計で340件のPCR検査が実施できる体制としましたが、都民に必要なPCR検査の体制を1日340件とした経過を伺います。
さらに、PCR検査を受けるためには、保健所の役割は重要です。
発熱などの症状がある都民はまず、地域の保健所に設置されている「新型コロナ受診相談窓口」に電話して受診の相談を行います。相談を受けた保健所では、新型コロナ外来の紹介、検体の輸送、検査結果の連絡と積極的疫学調査の実施、陽性者の入院調整など、対応が多岐にわたっています。陽性者や入院先が他の自治体である場合は、その自治体の保健所との調整も必要です。
この間、都の保健所は統廃合が進められました。職員数もPCR検査をはじめとした感染症対策への取り組みに必要な人員が不足しているのが現状です。
2 今後も必要な感染症対策を確実に実施していくためにも、感染拡大防止策の中心的な役割を担う、都保健所職員の体制強化が必要であると考えます。東京都は感染症対策の中で、都保健所の増員についてどのように取り組んでいくのですか?
これからの感染症への取り組みでは、マンパワーの強化が欠かせません。改めて、健康安全研究センターの職員と、保健所職員の増員を求めるものです。

令和2年第一回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルスの検査体制について
1 都は検査体制の強化として、健康安全研究センターの検査可能件数を倍の240件とすることにした。また、民間の活用で100件を追加し、1日当たり合計で340件のPCR検査が実施できる体制としたが、都民に必要なPCR検査の体制を1日340件とした経過を伺う。

回答
感染の有無を確認する遺伝子検査は、新型コロナウイルス感染症対策の重要な柱の一つであり、都は、令和2年1月24日に、健康安全研究センターで、1日に10件まで検査を実施できる体制を整備しました。
その後、検査需要に対応できるよう、段階的に体制を整備し、2月半ばまでに、1日に120件まで実施する体制としました。
また、民間の検査機関を活用して、1日約100件の検査を追加実施できる体制を整備し、2月28日から1日に最大220件の検査が可能となりました。
さらに、令和2年度は、建築安全研究センターに検査機器等を追加整備して、センターの検査能力を増強し、1日に最大340件まで検査可能な体制を確保することとしています。

質問事項
一の2 今後も必要な感染症対策を確実に実施していくためにも、感染拡大防止策の中心的な役割を担う、都保健所職員の体制強化が必要であると考える。都は感染症対策の中で、都保健所の増員についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺う。

回答
都保健所は、八王子市及び町田市を除く多摩・島しょ地域を所管区域として、6所体制で運営しています。
多摩地域を所管する5所には、企画調整課、生活環境安全課、保健対策課を設置しており、島しょ保健所には、都庁舎内に総務課を、各島に出張所又は支所を設置しています。
感染症対策に係る業務は、多摩地域の5所では保健対策課が、島しょ保健所では出張所等が主に担当しており、管轄区域において感染症が発生した際には、医師及び保健師が、患者及びその関係者の健康診断や積極的疫学調査等を行っています。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、医師及び保健師が、陽性者の積極的疫学調査、新型コロナ外来等の医療機関との受診調整を適切に実施できるよう、各保健所では、保健対策課だけでなく、企画調整課や生活環境安全課の応援体制を構築し、住民からの電話相談や、疑い例の検体搬送に係る業務等に当たっています。
今後とも、感染症発生時を想定して保健所における体制を整え、適切に対応していきます。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 西沢けいた

質問事項
一 小池百合子知事の選挙時及びその前後の時期における公約等に係る発言について
二 事業評価について
三 下水道事業について
四 SOGIハラについて

一 小池百合子知事の選挙時及びその前後の時期における公約等に係る発言について
1 舛添問題の第三者委員会を設置するとしていたが、設置をされていない。設置しなかった理由を問う。
2 東京新聞アンケートに政治団体の支出を1万円以上を自主的に公開するとしていると回答しているが、自主公開をしているか問う。公開されているとしたらどこに公開しているか問う。公開されていない場合はその理由を問う。
3 政治資金規正法を強化するべきと発言をしているが、国への要請など、その取り組みをどのようにしているか問う。
4 舛添都政の点数を60点としたが、自身の1期の点数はどれくらいか。
5 舛添都政は「職員の士気の低下を招いた」としていたが、小池都政の職員の評価は舛添都政より低い。その理由はどのように考えるか。
6 満員電車の定義は、これまでの質疑で都市づくりのグランドデザインにある、国土交通省交通政策審議会答申にある混雑率、ピーク時180%を超えている状態という認識で間違いないか。またその定義とすると都営交通の満員電車の解消は達成しているという認識でよいか。
7 ペットの殺処分ゼロについて。小池知事就任後に始めた事業で成果を上げたものは何か問う。
8 多摩格差ゼロについて、例えば多摩と区部のどの格差をゼロにするのか伺う。また小池知事就任後にゼロにした多摩格差があれば何かを問う。
9 地下鉄一元化について、検討チームで答えをだすとしていたがその答えを問う。
10 五輪利権追及チームの設置を行うとしていたが、設置をしていない。その理由を問う。
11 町会消防団振興条例の制定をするとしていたが提案もされていない。その理由を問う。

二 事業評価について
事業評価は、事業の効率性を向上させる都にとって有効な取り組みであると考える。しかし、改良の余地もまだまだある。
事業評価による財源確保額として1,030億円としているが、「移管・終了」としている163件のうちの予算特別委員会で工事の終了に伴うものが27件で164億円であることが答弁により明らかになった。
1 さらに踏み込み、イベントや単発の事業などを含めると何件で財源確保額として計上している金額がいくらになるか問う。
そもそも単年度の工事や単発のイベントについて事業評価の財源確保額とすることは適切でないと考える。今後の工事の進め方やイベントのあり方については事業の効率性を向上させることにつながると思うが、効率の悪い手法に基づいて予算の積算を行ったほうが、見積額が大きくなるため、評価されてしまう。
2 例えば、単年度や単発の事業について評価の公表の項目を分けるなど工夫が必要と考えるが見解を問う。

三 下水道事業について
1 平成29年の都政改革本部で下水道事業の「民間事業者への包括委託や、コンセッションを積極的かつスピーディに導入することが有効である」と検討すべきこととされた。
これを受けて施設運営手法の検討がなされてきたが、現在の調査の進捗状況を伺う。
2 都政改革本部では将来的に大幅な赤字になると指摘されていた。具体的にどの程度の将来に、どの程度の“赤字”になるものなのか伺う。
3 運営手法調査報告によると、来年度以降の調査スケジュール案には「導入可能性調査」とある。導入を前提とした調査となっているのではないかと考えるが認識を問う。また、導入するとしたらどのようなスケジュールで導入するのか伺う。

四 SOGIハラについて
1 改正労働施策総合推進法に基づき、昨年新たな指針が厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会が答申を行った。
これにより、東京都を含む自治体や企業にSOGIハラ、アウティング防止を義務付けられることとなった。
東京都は本年6月より義務付けられることとなるが、より一層都は取り組みを進めていくべきと考える。この指針に基づき都はどのように進めていくのか見解を問う。
2 指針にある、周知・啓発に対し、都はどのように取り組んでいくか。例えば「性」に関する言葉には、歴史的に侮辱的な意味合いで使われてきた言葉などがあり、現状に合わない言葉がある。
特にそのような概念や懸念などについて、庁内にどのように周知・啓発をしていくのか見解を問う。

令和2年第一回都議会定例会
西沢けいた議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小池百合子知事の選挙時及びその前後の時期における公約等に係る発言について
1 舛添問題の第三者委員会を設置するとしていたが、設置をされていない。設置しなかった理由を問う。

回答
都政改革本部に設置した「内部統制プロジェクトチーム」において、海外出張など、舛添前知事の下で問題となった点について検証を行い、その結果を、「知事の海外出張及び公用車の運用のあり方に関する報告」にまとめています。

質問事項
一の2 東京新聞アンケートに政治団体の支出を1万円以上を自主的に公開するとしていると回答しているが、自主公開をしているか伺う。公開されているとしたらどこに公開しているか伺う。公開されていない場合はその理由を伺う。

回答
政治資金収支報告書への記載については、法に基づき、適切に対応しています。

質問事項
一の3 政治資金規正法を強化するべきと発言をしているが、国への要請など、その取り組みをどのようにしているか伺う。

回答
政治資金規正法のあり方については、国会で議論すべき問題と認識しています。

質問事項
一の4 舛添都政の点数を60点としたが、自身の1期の点数はどれくらいか伺う。

回答
都政の評価は、都民の皆様にしていただくべきことと認識しています。

質問事項
一の5 舛添都政は「職員の士気の低下を招いた」としていたが、小池都政の職員の評価は舛添都政より低い。その理由はどのように考えるか伺う。

回答
引き続き、職員の働きがいや職員との信頼関係を高めながら、職員と共に、都政の課題に邁進してまいります。

質問事項
一の6 満員電車の定義は、これまでの質疑で都市づくりのグランドデザインにある、国土交通省交通政策審議会答申にある混雑率、ピーク時180パーセントを超えている状態という認識で間違いないか。またその定義とすると都営交通の満員電車の解消は達成しているという認識でよいか伺う。

回答
満員電車は、通勤時などのピーク時間帯に混雑している電車と考えており、鉄道の混雑は、人口の動態、テレワークや時差出勤などの働き方改革の進展、鉄道ネットワークの更なる充実や輸送力増強など、様々な要因が複合的に作用しており、混雑率のみで把握できるものではないと認識しています。
概ね2030年頃を念頭においた国の答申では、東京圏における主要区間のピーク時1時間の平均混雑率を、150パーセントにするとともに、個別区間の混雑率を180パーセント以下にすることを目指すとしており、この数値も、混雑緩和の一つの目安と考えています。
鉄道の混雑の低減には、中長期的な取組が必要であり、平成29年に策定した都市づくりのグランドデザインにおいて、2040年代の都市づくりの挑戦の一つとして鉄道のピーク時の混雑を解消することを掲げています。
都としては、2040年代に鉄道のピーク時の混雑を解消することを目標に、都営交通も含め、快適な通勤環境の創出に向け、今後ともハード、ソフトの両面から総合的に取り組んでいきます。

質問事項
一の7 ペットの殺処分ゼロについて。小池知事就任後に始めた事業で成果を上げたものは何か、伺う。

回答
都は動物の引取数の減少に向け、終生飼養の普及啓発や地域における飼い主のいない猫対策の支援を行うとともに、知事就任後の平成28年度には独自に11月を譲渡推進月間に定め、以後毎年譲渡事業の認知度向上のためのPRイベントを開催しています。
平成29年度には、東京都動物情報サイト「ワンニャンとうきょう」を開設し、都やボランティア団体が保護した動物を譲り受ける方法や譲渡会情報などを発信しています。
また、飼育が難しい離乳前子猫の譲渡を進めるため、子猫の育成・譲渡に取り組むボランティアに対し、ミルクや哺乳瓶等を提供する取組を開始し、令和元年度末までに285頭を譲渡しました。
さらに、平成30年度には「ワンニャンとうきょう」をリニューアルし、飼い主に向けた情報提供の充実を図るほか、負傷して保護された犬や猫を飼育し譲渡するボランティア団体に、保護用具等の物資を提供する取組を開始し、令和元年度末までに犬7頭、猫54頭を譲渡につなげています。
このような取組が着実に成果を上げたことにより、平成30年度に動物の殺処分ゼロを達成しました。

質問事項
一の8 多摩格差ゼロについて、例えば多摩と区部のどの格差をゼロにするのか伺う。また小池知事就任後にゼロにした多摩格差があれば何かを伺う。

回答
従来からの、「公共下水」や「道路」などの課題について、これまで、都と市町村が連携し、解決に努めてきました。その結果、いわゆる「三多摩格差8課題」は、かなりの部分で解消していると認識しています。
一方で、多摩地域は、人口減少・少子高齢化への対応、道路・交通インフラの整備、産業振興など、地域それぞれの課題を依然として抱えています。
これらの課題の解決に向けて、多摩南北方向の道路等の幹線道路網の整備など、長い事業期間を要するものについては、従来からの取組を着実に進めています。
また、多摩都市モノレールの箱根ケ崎延伸に向けた調査、創業支援拠点やひとり親家庭支援センターの設置など、新たな取組を進めることで、多摩の振興に努めていきます。

質問事項
一の9 地下鉄一元化について、検討チームで答えをだすとしていたがその答えを伺う。

回答
東京の地下鉄は、都営地下鉄と東京メトロが一体となって、都心部を中心とする高密なネットワークを形成しており、両地下鉄のサービス改善・一体化は、利用者の更なる利便性向上を図る上で、重要と考えています。
経営一元化は、サービス改善・一体化を進める上で有効な方策であるものの、財務状況や組織形態など、様々な点について、関係者間で意見の隔たりが大きいと認識しています。
こうしたことから、まずは、都民をはじめとする利用者にとって東京の地下鉄が一層使いやすいものとなるよう、地下鉄全体のサービス向上や鉄道ネットワークの充実に向けて、関係局で連携して取り組んでいます。

質問事項
一の10 五輪利権追及チームの設置を行うとしていたが、設置をしていない。その理由を伺う。

回答
知事就任早々、都政改革本部を立ち上げ、この中に「情報公開調査チーム」「オリンピック・パラリンピック調査チーム」「内部統制プロジェクトチーム」を設置して、利権を生むことのない都政の透明化を進めてきました。また、働きかけの記録のルール化や、公益通報制度の実施など、利権を生まない仕組みづくりにも取り組んできたところです。

質問事項
一の11 町会消防団振興条例の制定をするとしていたが提案もされていない。その理由を伺う。

回答
都は、地域の様々な交流イベントや防災訓練など町会・自治会の活動を支援するため、地域の底力発展事業助成を実施しており、平成29年度からは予算を2億5千万円に増額しています。
また、企業での経験やノウハウを生かしたボランティアが課題解決に向けた支援を行う「地域の課題解決プロボノプロジェクト」を平成29年度から開始しました。町会・自治会からは、新たな視点を取り入れた活動ができたとの意見をいただいています。
これらにより、町会・自治会を中心とした地域力の向上を図っています。

質問事項
二 事業評価について
1 事業評価による財源確保額として1,030億円としているが、「移管・終了」としている163件のうちの予算特別委員会で工事の終了に伴うものが27件で164億円であることが明らかになった。さらに踏み込み、イベントや単発の事業などを含めると何件で財源確保額として計上している金額がいくらになるか伺う。

回答
令和2年度の予算編成における事業評価の事後検証による評価で「移管・終了」に区分されている163件のうち、工事の終了に伴うものは27件、164億円、単発の事業は工事を除いて71件、150億円になります。

質問事項
二の2 単年度の工事や単発のイベントについて事業評価の財源確保額とすることは適切でないと考える。例えば、単年度や単発の事業について評価の公表の項目を分けるなど工夫が必要と考えるが見解を伺う。

回答
事業評価は、予算編成の一環として実施しており、全ての事業について終期を設定し、その成果や決算状況を厳しく検証した上で評価を行い、その結果を翌年度の予算に反映させています。
単年度の工事であっても、当初の計画と実際の事業進捗を経費、工期等の面から検証することは重要であることから、事業評価の対象としています。
また、単発のイベントについても、事業の目的や成果、次年度以降の事業展開などの視点から検証することは重要であることから、事業評価の対象としています。
こうした取組により、既存事業を適切に終了させ、そこに充当されていた財源が翌年度の新規事業等に活かされることから、財源確保額として計上しています。
なお、事業の成果や決算状況などの分析、検証結果をどのような形で次年度予算に反映させ、事業の見直し・再構築を図ったのかなど、わかりやすく都民に説明していくことは重要であることから、引き続き、公表方法についても工夫を凝らしながら、事業評価の取組を徹底し、一つひとつの施策の効率性や実効性の向上につなげていきます。

質問事項
三 下水道事業について
1 平成29年の都政改革本部で下水道事業の「民間事業者への包括委託や、コンセッションを積極的かつスピーディに導入することが有効である」と検討すべきこととされた。これを受けて施設運営手法の検討がなされてきたが、現在の調査の進捗状況を伺う。

回答
下水道局では、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社との役割分担の見直しと併せて、直営や現在の業務委託も含め、包括委託やコンセッションなどの様々な施設運営手法について、安定性・経済性の確保や、技術力の維持向上といった視点から、平成30年度から令和2年度までの3年間で幅広く検討することとしています。
これまで、施設運営手法に関する国内外及び他事業の文献調査・現地調査、豪雨時や災害時等のリスクなどの分析・評価等を実施しました。

質問事項
三の2 都政改革本部では将来的に大幅な赤字になると指摘されていた。具体的にどの程度の将来に、どの程度の赤字になるものなのか伺う。

回答
平成29年12月の都政改革本部会議において、特別顧問等から「人口減少による料金収入減や設備更新ニーズの増大を考えると、将来的に下水道事業は大幅な赤字に陥る可能性がある」との意見が示されましたが、設備更新ニーズの増大については、下水道局ではアセットマネジメント手法を活用して事業を平準化するなど、計画的かつ効率的に再構築を行っていくこととしており、赤字の原因になるとは考えていません。
下水道局から報告した「見える化改革報告書」の将来推計では、2050年には458億円の累積資金不足の見込みとしていましたが、これは料金収入の減少や支出の増加について、より収支を厳しく見込み、通常行う企業努力の対策を何も講じない場合の推計をしたものです。
一方で、「経営計画2016」においても、建設から維持管理までのトータルコストの縮減で190億円、資産の有効活用で303億円、合わせて約500億円の企業努力を目指しており、今後も更なる企業努力を行うことで将来の資金不足は回避できると考えている旨を、都政改革本部会議で説明しています。

質問事項
三の3 運営手法調査報告によると、来年度以降の調査スケジュール案には「導入可能性調査」とある。導入を前提とした調査となっているのではないかと考えるが認識を伺う。また、導入するとしたらどのようなスケジュールで導入するのか伺う。

回答
下水道局では、直営や現在の業務委託も含め、包括委託やコンセッションなどの様々な施設運営手法について、安定性・経済性の確保や、技術力の維持向上といった視点から、幅広く検討しています。

質問事項
四 SOGIハラについて
1 昨年新たな指針が厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会が答申を行った。都は本年6月よりSOGIハラ、アウティング防止を義務付けられることとなるが、より一層都は取り組みを進めていくべきと考える。この指針に基づき都はどのように進めていくのか見解を伺う。

回答
都では、平成29年1月に「職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針」に性自認及び性的指向に関する規定を追加し、SOGIハラスメント防止に努めています。
具体的には、毎年12月のセクシュアル・ハラスメント防止月間に実施するチェックリストや平成31年3月に作成したSOGIハラスメントに関する啓発資料等により、アウティング防止を含めて周知啓発しています。
また、人権課題に関するeラーニングや、管理監督者向け研修等に加え、令和元年度は、職員の性自認及び性的指向に関する理解を深め、職場におけるSOGIハラスメント防止のための講演会を新たに実施しました。
さらに、令和2年3月には、職員理解推進のためのハンドブックを新たに作成し、今後、職員向けの研修等で活用していく予定です。
今後も、ハラスメントのない職場づくりに向け、こうした取組を着実に実施していきます。

質問事項
四の2 指針にある、周知・啓発に対し、都はどのように取り組んでいくか。例えば「性」に関する言葉には、歴史的に侮辱的な意味合いで使われてきた言葉などがあり、現状に合わない言葉がある。特にそのような概念や懸念などについて、庁内にどのように周知・啓発をしていくのか見解を伺う。

回答
都は、職員に対し、性自認及び性的指向に関するハラスメント防止のため、性に関する言葉の中には差別的なものがあり、そうした言葉を用いた言動がハラスメントになり得ることについて、啓発資料等の中で具体的な事例を挙げてわかりやすく周知しています。
今後も、これらの取組を着実に実施し、SOGIハラスメントに関する職員の理解を促進していきます。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 高齢者福祉施設の拡充と高齢者の権利保障について
二 都道の安全対策について

一 高齢者福祉施設の拡充と高齢者の権利保障について
1 2020年度の東京都予算案の大きな特徴は、特別養護老人ホーム整備費補助、老人保健施設整備費補助、認知症高齢者グループホーム緊急整備、地域密着型サービス等重点整備等を軒並み減額したことです。三つのCをかかげ、「チルドレン」「コミュニティ」と並んで「長寿」を位置づけたにもかかわらず、なぜ、高齢者福祉施設の整備費等は、軒並み削減するのでしょうか。
2 削減する分、何を強化するのでしょうか。
3 特別養護老人ホームへの申込者、いわゆる待機者は何人ですか。整備費を削減しても、解消できるのですか。
4 区市町村や事業者が、年度途中でも整備を検討したときには、対応するのでしょうか。
5 施設ができることで、地域の高齢者福祉サービスの拠点にもなります。在宅の高齢者、また介護するご家族を支援していくうえでも、施設整備をすすめることは必要不可欠ですが、都はどのように考えていますか。
6 とりわけ、ご本人やご家族の所得状況によって、受けられる福祉が左右されないように配慮すべきと考えますが、認識をうかがいます。
実際には、低所得の方が、必要な医療や福祉を受けられないケースが多々あります。
自営業のご夫婦は、80代のお母さん(要介護3)を在宅介護していました。認知症を発症し、精神保健福祉手帳1級と診断され、認知症の薬(メマリー)を病院で処方され、近くの特養ホームのショートステイやデイサービスを利用しながら、過ごしていました。が、認知症もすすみ、在宅で介護するのは限界の状態になっていきました。ケアマネージャーと相談し、特養ホームを希望するものの待機となり、介護老人保健施設に入ることになりました。
すぐに入れるとの話でしたが、高額のメマリーを飲んでいたことから、老健では用意できないとの話になり、「(当時入院していた病院から)一時帰宅して、薬をもらうことは可能か」と聞かれ、「それは構わない」と答えたそうです。
ところが、その後入所お断りの連絡があり、理由を聞くと薬のことだということなので、正当な理由なく断ってはいけないはずだと抗議しました。都に相談し助言をもらい、市に連絡し、市から施設に連絡が入り、文書が出されました。
そこには、判定理由として、「ご入所中の薬剤調整や変更などに対し承認を得ることができず、老健での医学的管理に支障が出る恐れがあるため。その後、薬剤調整の件についてはご家族の同意をいただきましたが、ご希望として、毎回、診察に同席し説明を受けたうえで薬剤調整に応じられると理解し、速やかな対応についての懸念からご入所にはいたりませんでした。」とのことでした。
そこでうかがいます。
7 介護老人保健施設において、服薬している薬を理由に入所を断ることは適切でないと考えますが、見解を伺います。
8 老健入所中の投薬は、だれが、どのように行うのか伺います。
9 老健において、認知症の入所者の診察に、家族が同席することは認められないことですか。
10 老健の入所に関わることや、運営が不適切な場合の相談や苦情解決の仕組みについて伺います。
11 老健入所中の医療費は、施設の負担となっているため、医療費が高額になる方の受け入れが進まないのではないでしょうか。都として、国に改善を要望すべきと考えますが、いかがですか。
12 結局、この方は、3か月間精神科病院に入り、その後、他県の施設に入ることになるそうです。住み慣れた場所で、安心して過ごすことがかなわないことは本当に胸が痛む事態です。そもそも、近くの特養ホームに入れない、特養ホームが足りないことが問題です。しかも、ユニット型の施設は金額が高く、この方の場合は入れないとのことです。
低所得でも入れる特養を増やす必要があります。都として低所得でも入れる多床室を、増加定員の30%を上限に支援していますが、さらに上限を引き上げていくことを求めますがいかがですか。
13 知事は、介護離職ゼロを公約に掲げています。しかし、自営の仕事をしながら介護していたが、認知症で目が離せなくなり、実際には自営の仕事を大幅に削減し、苦しい生活を強いられている方が少なくありません。自己破産に追い込まれるという例もあります。自営業の家族が介護している困難なケースに対する支援策はありますか。
14 介護をしながら自営で仕事をしている方々が、経営面で相談できる仕組みや支援策はありますか。
15 認知症対策に知事は力を入れるとしていますが、実際に認知症の方、とりわけ所得の低い方の住まいや居場所が少なすぎます。都として、認知症と診断された方たちへの支援をどうすすめてく考えですか。
認知症と認定された方が、適切な医療や福祉を受けられ、人権とくらし、ご家族を支える手立てを強化していくことが求められています。にもかかわらず、施設整備費等を減額することは逆行しています。そうした姿勢を転換することを強く求めます。

二 都道の安全対策について
1 都道4号線所沢街道の東久留米市ごみ対策課庁舎から前沢交差点まで、および、前沢交差点から南町4丁目9番交差点までの区間に関し、2017年4月に東京都と東久留米市が協定書を締結した歩道整備事業について、進捗状況と今後のスケジュールをうかがいます。沿道の市民の方々は、「いったいいつになったら説明があるのか」「いつまでに整備されるのか」と大変心配しています。具体的に、明快にお聞かせください。
2 この区間は、大変危険で、中央町4丁目14番先にあるブックオフ東久留米前沢店周辺では死亡事故まで起きています。にもかかわらず、改善されず放置されていることは大問題です。横断歩道と信号機の設置が必要と認識していますが、警視庁の見解を伺います。
3 清瀬市松山の都道226号線、複十字病院前では死亡事故が起きており、狭隘な歩道の拡幅や設置が必要です。複十字病院に協力を依頼し、早急に手立てをとる必要があると考えますがいかがですか。
4 都道15号線小金井街道の清瀬駅付近の踏切部分は、車も人も狭い中行きかい、大変危険です。バス誘導員の小屋もあり、遮断機が下りているときに人や自転車が待つ「たまり」もありません。対策が必要と考えますが、これまでどのような安全対策をおこなってきたのか伺います。

令和2年第一回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 高齢者福祉施設の拡充と高齢者の権利保障について
1 三つのCをかかげ、「チルドレン」「コミュニティ」と並んで「長寿」を位置づけたにもかかわらず、なぜ、高齢者福祉施設の整備費等は、軒並み削減するのか伺う。

回答
都は、高齢者が地域で安心して生活できるよう医療・介護・住まいなどが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向け、第7期東京都高齢者保健福祉計画において、7つの重点分野を定め総合的に施策を進めています。
介護サービス基盤の整備についても重点分野に位置付け、必要な予算を確保しています。

質問事項
一の2 削減する分、何を強化するのか伺う。

回答
高齢者が、介護が必要になっても可能な限り住み慣れた地域で生活できるようにするためには、適切な住まいを確保し、医療や介護、生活支援サービス等を地域の中で一体的に提供することが必要です。
このため都は、第7期高齢者保健福祉計画に基づき、介護サービス基盤の整備、認知症対策や介護人材対策の一層の推進など様々な施策を展開しています。

質問事項
一の3 特別養護老人ホームへの申込者、いわゆる待機者は何人か。整備費を削減しても、解消できるのか伺う。

回答
平成31年に都が実施した調査では、都内の特別養護老人ホームの入所申込者の数は、29,126人であり、そのうち在宅・要介護3以上でかつ入所の優先度が高い方は、3,820人となっています。
都は、第7期高齢者保健福祉計画において、特別養護老人ホームの定員を令和7年度末までに62,000人分まで増やす目標を掲げており、都有地の減額貸付けや土地賃借料の負担軽減、建築価格の高騰に対応した加算など、様々な独自の支援策を講じています。

質問事項
一の4 区市町村や事業者が、年度途中でも整備を検討したときには、対応するのか伺う。

回答
令和2年度は、特別養護老人ホームの整備費の補助協議を、3回受け付けることとしています。

質問事項
一の5 施設ができることで、地域の高齢者福祉サービスの拠点にもなる。在宅の高齢者、また介護するご家族を支援していくうえでも、施設整備をすすめることは必要不可欠であるが、見解を伺う。

回答
都は、特別養護老人ホームの整備に当たり、併設のショートステイについても補助対象としているほか、小規模多機能型居宅介護等の地域密着型サービスの事業所や、地域包括支援センターを併設する場合に、1床当たり最大50万円の加算を行っています。
また、災害時に要援護者の受入れが可能となる設備等を備えた防災拠点型地域交流スペースを整備する場合に、1施設当たり最大2,700万円の補助を行っています。

質問事項
一の6 とりわけ、ご本人やご家族の所得状況によって、受けられる福祉が左右されないように配慮すべきと考えるが、認識を伺う。

回答
介護保険制度では、月々の利用者負担額が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される高額介護サービス費の仕組みがあり、その上限額は所得等に応じて段階的に設定されています。
また、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、短期入所生活介護等の食費や居住費、滞在費について所得に応じた負担限度額を設定し、標準的な費用の額との差額を支給する補足給付の仕組みがあります。
さらに、低所得者に対する介護サービスの利用者負担軽減について、国の仕組みを基に、都独自に対象サービスや事業主体を拡大して実施しています。

質問事項
一の7 介護老人保健施設において、服薬している薬を理由に入所を断ることは適切でないと考えるが見解を伺う。

回答
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例等において、介護老人保健施設は、入院治療の必要がある場合や、入所者に対し自ら適切な介護保健施設サービスを提供することが困難な場合を除き、サービスの提供を拒んではならないとされています。

質問事項
一の8 老健入所中の投薬は、だれが、どのように行うのか伺う。

回答
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例等では、介護老人保健施設の入所者に対しては、施設の医師が必要な医療を行うが、入所者の病状から当該施設において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めたときは、協力病院等への入院や、他の医師の診療を求める等適切な措置を講じなければならないとされています。

質問事項
一の9 老健において、認知症の入所者の診察に、家族が同席することは認められないことか伺う。

回答
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例等に定める介護老人保健施設における診療方針では、施設の医師は、常に入所者の病状、心身の状況及び置かれている環境等の的確な把握に努め、入所者又はその家族に対し、適切な指導を行うこととされています。

質問事項
一の10 老健の入所に関わることや、運営が不適切な場合の相談や苦情解決の仕組みについて伺う。

回答
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例等において、介護老人保健施設は、入所申込者に対し適切な介護保健施設サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、当該施設の運営規程の概要や苦情処理の体制等を文書により懇切丁寧に説明を行うこととされています。
また、介護老人保健施設は、入所者及びその家族からの苦情に対応するための窓口を設置するほか、苦情に関して区市町村及び国民健康保険団体連合会が行う調査に協力するとともに、指導又は助言を受けた場合は、それに従って必要な改善を行わなければならないこととされています。

質問事項
一の11 老健入所中の医療費は、施設の負担となっているため、医療費が高額になる方の受け入れが進まないのではないか。都として、国に改善を要望すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
介護老人保健施設は、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする介護保険施設です。
施設の医師が、入所者の病状から当該施設において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めたときは、協力病院等への入院や、他の医師の診療を求める等適切な措置を講じなければならないとされており、介護老人保健施設では通常行えない一定の診療や投薬等を入所者が受けた場合は、医療保険の対象となります。

質問事項
一の12 都として低所得でも入れる多床室を、増加定員の30パーセントを上限に支援しているが、さらに上限を引き上げていくことを求めるが、見解を伺う。

回答
国は、特別養護老人ホームについて、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、個室で構成されるユニット型での整備を基本としています。
都は、特別養護老人ホームの整備に当たり、ユニット型での整備を基本としつつ、地域の実情に応じて区市町村が必要と認める場合には増加定員の30パーセントを上限に、多床室の整備に対して補助を行っています。

質問事項
一の13 自営業の家族が介護している困難なケースに対する支援策はあるか伺う。

回答
区市町村は、地域の相談支援の拠点として地域包括支援センターを設置し、高齢者やその家族への相談に対応しています。
都は、センター職員に対する研修や、センターの機能強化に取り組む区市町村への支援を行うとともに、介護支援専門員に対し、介護を担う家族等への支援技術を含め、資質の向上を図るための研修を実施しています。
また、ショートステイや小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護に独自の整備費補助を行うなど、介護サービス基盤の整備に取り組んでいます。

質問事項
一の14 介護をしながら自営で仕事をしている方々が、経営面で相談できる仕組みや支援策はあるか、伺う。

回答
都では、中小企業振興公社に設置しているワンストップ総合相談窓口において、個人事業主を含む中小企業の経営者から様々な相談に対応するとともに、相談内容に応じて各種専門家につなげるなどの支援を行っています。

質問事項
一の15 認知症対策に知事は力を入れるとしているが、実際に認知症の方、とりわけ所得の低い方の住まいや居場所が少なすぎる。都として認知症と診断された方たちへの支援をどうすすめていくか見解を伺う。

回答
都は、認知症高齢者グループホームの整備を促進するため、国制度による補助に加え、1ユニット当たり2,500万円の補助を行うほか、整備状況が十分でない区市町村等を重点的緊急整備地域に指定し、補助額を1.5倍の3,750万円としています。
また、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護についても、国制度に加えて定員数に応じた独自の補助を実施しています。
さらに、認知症の人やその家族を支援するため、認知症疾患医療センターなど医療機関と連携した認知症カフェ等の運営に取り組む区市町村を、高齢社会対策区市町村包括補助事業で支援しています。

質問事項
二 都道の安全対策について
1 都道4号線所沢街道の東久留米市ごみ対策課庁舎から前沢交差点まで、および、前沢交差点から南町4丁目9番交差点までの区間に関する歩道整備事業について、進捗状況と今後のスケジュールを伺う。

回答
都は、東久留米市南町四丁目から同市八幡町二丁目までの1.3キロメートルの区間について、東久留米市と歩道整備に関する基本協定を平成29年4月に締結しました。
この基本協定は、用地取得に関する業務を市が、構築に係る設計及び調査並びに工事に関する業務を都がそれぞれ行うことを定めたものです。
これまで、歩道の線形を決定するための航空測量や交通量調査を行っており、現在、事業化に向けた検討を進めています。

質問事項
二の2 この区間は、大変危険で、南町区域では死亡事故まで起きている。横断歩道と信号機の設置が必要と認識しているが、見解を伺う。

回答
警視庁では、横断歩道及び信号機の設置について、道路の幅員、横断歩行者の滞留スペース、交通量、横断歩行者数、沿道施設の状況、勾配の急な坂や見通しのきかない道路の曲がり角等の危険な場所の有無、交通事故の発生状況及び地域住民の要望等を総合的に勘案して、設置の適否を判断しています。
当該要望場所は、歩行者が安全に横断待ちをする場所等が確保できないことから、横断歩道と信号機の設置は困難と判断します。

質問事項
二の3 清瀬市松山の都道226号線、複十字病院前では死亡事故が起きており、狭隘な歩道の拡幅や設置が必要である。複十字病院に協力を依頼し、早急に手立てをとる必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
都は、自転車や歩行者の交通量、学校、病院など公共施設の立地状況や沿道状況等を総合的に勘案して道路拡幅により歩道整備を行っています。
都道226号線、複十字病院前の区間においては、過去に説明会を開催しましたが、地域住民の理解が得られなかった経緯があります。
当該区間の歩道整備に当たっては、地域住民の理解が得られるよう、線形などについて、地元市と協議が必要です。

質問事項
二の4 都道15号線小金井街道の清瀬駅付近の踏切部分は、車も人も狭い中行きかい、大変危険である。遮断機が下りているときに人や自転車が待つ「たまり」もない。対策が必要と考えるが、これまでどのように安全対策をおこなってきたのか、伺う。

回答
都は、歩行者の安全で円滑な通行を確保するため、歩道が狭隘な踏切や事故の危険性が高い踏切において、踏切内のカラー舗装や歩道拡幅などの安全対策に取り組んでいます。
都道小金井街道と西武池袋線が交差する清瀬第1号踏切については、歩行者の安全確保に向けて踏切内をカラー舗装するなど、可能な対策を実施してきました。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口拓

質問事項
一 防災対策について
二 複合災害について

一 防災対策について
1 住宅の耐震化率の向上について、平成24年に改定された耐震改修促進計画では、平成27年度末までに5年間で耐震化率を8.8上昇させ、90%にすることが目標とされていましたが、実際は平成23年3月末から平成27年3月末までの4年間で2.6%の上昇に終わりました。
平成28年の耐震改修促進計画では、平成32年度末すなわち令和2年度末までに95%以上が目標となっていました。耐震化率の進捗について伺います。
2 耐震化率の上昇には、自然更新が加味されています。令和2年度末までの目標達成のためには、これまでの自然更新や耐震化の進むペース以上に、どれくらい政策誘導により耐震化を図る必要があると見込んでいるのか。また、都の政策活用による、耐震化の実績はどうなっているのか伺います。
3 戦略ビジョンにも、防災関連のプロジェクトが書かれておりますが、レイヤーが多すぎてわかりにくく、耐震化の重要性が埋もれてしまっています。どれも重要ですが、私は、最前面に出して都民に訴えるべきと考えます。
私たちは、阪神淡路大震災を教訓に、と耐震化を訴えてきました。それは、家が倒れての死者が9割でほとんど即死、倒壊等で避難できず、煙にまかれて亡くなった方が多かったからです。阪神淡路を知る知事だからこそという政策を進めるべきです。
東日本大震災から9年が経ちますが、三陸地震等を経験したことなどもあり、地震動での家屋倒壊が少なかったため、高台に逃げられた方がいました。即死では、誰にも何にもしてあげられません。
防災の最優先課題はまずは建物の耐震化。都政の最重要課題に位置づけて、より具体的な目標を設定し、都民理解のもと政策を飛躍的に強化すべきですが、見解を伺います。
4 阪神淡路では高台の盛り土や切り土の教訓が残りましたが、熊本地震でも、土地が安全かどうかでウワモノの地震への耐力が変わり被害が出ました。
私は、東京山の手地域は台地で地盤が良いと根拠なく思い込まれており、ないがしろにされていることを懸念しています。
都の地盤情報GIS(Geographic Information System)は、土木や建築の際の地質調査の情報を集めてマップ化しています。これは網羅的に調査したものではありませんが、このマップを見ると川谷底と表示される低地が筋のように多数走っていることがよくわかります。
世田谷区も山の手で台地ですが、区内には、川や沢幾筋もあり、台地から川底にかけても切り土盛り土され市街地化しています。
私は、今まさに有識者から提言されているこうした点については、阪神淡路大震災や熊本地震の教訓を放置せず、地震のときの我が家の安全性という意味で、都民の関心を高めるアプリやHPの活用はもちろんのこと、購入時に本来知らされる告知事項になるべきと考えています。
建物の耐震性能だけでなく地盤とあわせ総合的に捉える必要があると考えますが、見解を伺います。
5 先般、崩壊した斜面の下敷きになり、女子高生が亡くなりました。
報道によると、当日を含め現場ではしばらく降雨がなく、乾燥していた中で突如崩れたようです。2011年に土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定はされていたものの、民有地であるため行政は直接管理はできず、現場に面する市道を管理する部署でも特段の指導をしていなかったとのことです。現場の所有者であるマンションは2004年の完成ですが、それ以前の土地造成履歴について、時期が古すぎて市にも記録が残っていないとのことであり、切り土盛り土はわからないとのことです。
このように、豪雨でない時でも人の命を奪う危険性のあるがけを放置することに対して、改めて認識を問うていく必要があると考えます。
都民も行政も、地盤に対する認識の甘さが人の命を奪う危険性について、根本的に見直すべきです。私は斜面の所有者が、その危険性を予めしっかりと把握し、対策を実施していれば防ぐことができた可能性があると考えています。
都も、昨年9月には土砂災害警戒区域の指定が都内全域で完了しましたが、多くの民有地が含まれています。所有者が危険性を把握し、一刻も早く対策をとるよう、都としてしっかりと周知すべきと考えますが、見解を伺います。
6 現状、土砂災害警戒区域内の民有地について、行政が直接関与することは難しい面もあるとはわかります。
しかし、大阪北部地震でブロック塀の下敷きとなり、小学生が亡くなった痛ましい出来事を受けて、ブロック塀耐震化助成制度ができました。都内には同様の地域が多数存在しており、がけ下に沿うように道路が付けられているところも多数あり、多くの都民が日々往来しています。また、がけ下にお住まいの方も多数いらっしゃいます。私は、所有者によるハード対策が進むように新たな取組みも必要だと考えます。
都が積極的にハード対策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

二 複合災害について
一のように震災時も安心な都市基盤を着実につくっていくことと同時に、しっかりと取組んで頂きたいことに、私がかねてより対策を求めてきた複合災害があります。
新型コロナウイルス感染症との戦いの真っ最中で、考えたくもない事態ですが、いつ起きてもおかしくないと言われる首都直下地震が明日、起きたら、水害が起きて避難しなければならなくなったら、新型コロナへの感染を恐れて避難が遅れないよう、都民はどうすればいいのか、適切な対応を検討していかなければなりません。
現在、避難所には十分な感染予防資材もなく、陽性者や軽症者との居住区分けも難しく、では専用避難所を設営できるかと言えば、かなり難しいと言わざるを得ません。都の施設の活用など、区市町村単体では対応が難しい、新型感染症の陽性者や軽症者の避難対応をバックアップする取組みも検討する必要があります。
さらに、震災発生時、都内では約15万人の負傷者が発生、うち2万人が重症と想定されています。新型感染症が猛威を振るっている中で、震災に襲われた場合には、医療体制をどう確保するのか、防災計画には何ら記載がありません。
こうした複合災害への備えについて、見解を伺います。

令和2年第一回都議会定例会
山口拓議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 防災対策について
1 住宅の耐震化率の向上について、平成28年の耐震改修促進計画では、令和2年度末までに95%以上が目標となっていた。耐震化率の進捗について伺う。

回答
都における住宅の耐震化率については、5年ごとに実施される住宅・土地統計調査を踏まえた国の推計に基づき算出しています。
現計画における令和2年度末までに95パーセント以上とする目標は、平成25年の住宅・土地統計調査を踏まえた国の推計に基づき設定したものです。
耐震化率の状況については、令和2年度に、平成30年の住宅・土地統計調査を踏まえた国の推計に基づき算出することとしています。

質問事項
一の2 耐震化率の上昇には、自然更新が加味されている。令和2年度末までの目標達成のためには、これまでの自然更新や耐震化の進むペース以上に、どれくらい政策誘導により耐震化を図る必要があると見込んでいるのか。また、都の政策活用による、耐震化の実績はどうなっているのか伺う。

回答
平成28年3月に改定した耐震改修促進計画では、目標達成のためには、平成26年度末から令和2年度末までに、自然更新や従来の施策による耐震化に加え、さらに新たな取組により約59万戸の耐震化を図る必要があるとしています。
耐震化については、耐震改修等への助成や普及啓発、情報提供など様々な取組により進めてきました。
その中でも、計画改定後の都による木造住宅等への耐震改修助成の実績は、新たな助成メニューを含め、平成28年度から平成30年度までの3年間で955件です。

質問事項
一の3 防災の最優先課題はまずは建物の耐震化。都政の最重要課題に位置づけて、より具体的な目標を設定し、都民理解のもと政策を飛躍的に強化すべきだが、見解を伺う。

回答
首都直下地震の発生が懸念される東京においては、住宅を含む建築物の耐震化は、喫緊の課題です。
地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守るだけでなく、都市の防災力の向上につながります。
このような考えの下で、耐震改修促進計画に住宅の耐震化を、重点施策の一つとして位置付けています。
また、令和元年12月に策定した「未来の東京」戦略ビジョンにおいても、大規模地震などの脅威から都民を守るため、人々の暮らしの基本である住宅を強靭化するとし、民間住宅の耐震化などを引き続き推進するとしています。
今後とも、住宅を含む建築物の耐震化を促進し、都民が安心して生活できるセーフシティの実現に取り組んでいきます。

質問事項
一の4 都の地盤情報GISを見ると低地が筋のように多数走っている。地震のときの我が家の安全性という意味で、都民の関心を高めるアプリやHPの活用はもちろんのこと、購入時に本来知らされる告知事項になるべきと考える。建物の耐震性能だけでなく地盤とあわせ総合的に捉える必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
首都直下地震など大規模な地震時に被害を最小限にとどめるためには、建物の耐震化とともに、宅地の安全性を確保することも重要です。
地盤の状況は建物の揺れ方に影響することから、都では、都民が地盤の状況を把握できるようにするため、例えば、国土地理院の地図情報を用いて作成した土地履歴マップをホームページに掲載し、切土地、盛土地等の分布を広く公開するなど、情報提供を行っています。
また、区市町村と宅地の耐震化に関する連絡会を毎年開催し、都から宅地耐震化に係る国の補助制度を周知するとともに、区市町村からは、擁壁設置への助成制度など、独自の取組について紹介してもらい、情報を共有化しています。
引き続き、区市町村と連携して適切に対応していきます。

質問事項
一の5 豪雨でない時でも人の命を奪う危険性のあるがけを放置することに対して、改めて認識を問うていく必要がある。都も、昨年9月には土砂災害警戒区域の指定が都内全域で完了したが、多くの民有地が含まれている。所有者が危険性を把握し、一刻も早く対策をとるよう、都としてしっかりと周知すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
土砂災害から都民の命を守るためには、土砂災害警戒区域の指定の内容について、当該地域の住民への周知を徹底していくことが重要です。
このため都は、土砂災害警戒区域の指定に先立ち、地元区市町村と連携して、住民説明会等を開催し、区域指定の目的や効果、土砂災害の危険性などをきめ細かく説明しています。
また、区域指定後は、その内容を都のホームページで公表するとともに、閲覧用の区域図を都庁や建設事務所はもとより、地元の役所、役場等に備えています。

質問事項
一の6 がけ下に沿うように道路が付けられているところも多数あり、がけ下にお住まいの方も多数いらっしゃる。所有者によるハード対策が進むように新たな取組みも必要だと考える。都が積極的にハード対策を実施すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都は、ハード対策として、土石流対策とがけ崩れ対策を実施しています。
土石流対策については、避難所の有無など、優先度を付けて、計画的に砂防堰堤等を整備しています。
がけ崩れ対策については、所有者等が実施することが基本であることから、個別相談会の場において、斜面対策事例の紹介などの助言をしています。
また、所有者等による対策が困難な場合、区市町村からの要望を受けて、急傾斜地法に基づき、がけ崩れを防止する法枠などを整備しています。
今後とも、土砂災害対策を着実に進めていきます。

質問事項
二 複合災害について
新型コロナウイルス感染症との戦いの真っ最中で、首都直下地震、水害が起きたら、都民はどうすればいいのか、適切な対応を検討していかなければならない。複合災害への備えについて、見解を伺う。

回答
災害対応においては、可能な限り想定外を無くし、実効性のある対策を講じることが重要です。
都は、首都直下地震や水害について、起こり得る最大規模の被害を被害想定報告書等で明らかにするとともに、セーフシティ東京防災プランなどに基づき、ハード・ソフト両面から対策を進めています。
また、新型インフルエンザ等の感染症については、「新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定し、国や区市町村、都民の役割分担や拡大防止策等を定めています。
現在のような状況下で仮に大規模災害が発生した場合には、それぞれの災害に対する現行計画を踏まえ、優先課題を見極め対応していきます。
発災時には、国や区市町村、関係機関とも緊密に連携を図りながら、避難者対策なども含めた様々な局面に対して臨機応変に対応し、被害の軽減に取り組んでいきます。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 葛西臨海水族園の更新について

一 葛西臨海水族園の更新について
2018年に、東京都建設局は、「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想・素案」を発表し、11月7日から1ケ月間、パブリックコメントを実施しました。その後、「葛西臨海公園事業計画検討会」での審議を経て、東京都建設局が出した「事業計画・素案」について、2019年12月26日から今年1月25日までパブリックコメントが行われました。2018年の「基本構想・素案」の時は、79通の意見が寄せられましたが、「事業計画・素案」へは、268通が寄せられたとのことですから、3倍以上となり、都民の関心の高まりを感じます。
私は、2018年に「基本構想・素案」について文書質問をしましたが、今年9月を目途に、東京都の「事業計画」が発表される予定であることから、再度、葛西臨海水族園の更新について、質問します。
1 1989年の開園以来、約30年の時を経た葛西臨海水族園の施設・設備が老朽化してきたこと、バリアフリー対応の改善が必要などのことが、更新の検討に入った理由とのことです。
現在、東京都は、コンクリート建造物の耐用年数については、予防保全型の管理で長寿命化を図るとの方針を持っています。葛西臨海水族園の建物自体は、堅固であり、2011年3月11日の東日本大震災の時も大きな損傷はなかったと記憶しています。シンボルとなってきた美しいガラスドームと、海と一体感を持つ葛西臨海水族園の設計は、世界の建築界からも高い評価を受けています。東京都は「施設の長寿命化」の方針を持っていますが、「葛西臨海水族園の建物の存続」を求める都民、専門家の意見が出ている中で、東京都は、どのように対応していくのでしょうか。お聞きします。
2 葛西臨海水族園は、海水、淡水等を合わせて、飼育生物数は940種、8万5千点を有しています。魚類、貝類、藻類などが生息している水槽の維持、管理は、多くの労を伴っていると想定します。水槽に水を送る配管の状況も老朽化が進んでいるとのことですが、飼育物の生存を守りながら、改修していく方策については、検討されたのでしょうか。建築資材が多様に開発されているなかで、水族園更新のコスト削減のためにも、新規建設の方法だけでなく、現在の配管の改修などの工夫について、専門家の意見も聞き、検討が必要と考えますが、いかがですか。
3 葛西臨海水族園は、東京湾の最奥に位置し、荒川、江戸川などの河川が流れ込み、そのことによって沖合2キロに及ぶ干潟がつづき、ラムサール条約にも登録され、魚介類、鳥類が数多く生息している自然豊かな所に位置しています。葛西海浜公園の人工渚は、「日本の渚100選」にも選ばれた歴史があります。
現在の葛西臨海水族園は、その名の通り、海を臨む最高の場所に位置する水族園で、周辺景観との調和が素晴らしいと高い評価を受けています。淡水池、汽水池が連続して配置されている鳥類園の存在も貴重です。
多面的角度から見て、自然との調和を保っている葛西臨海水族園について、東京都はどのような評価を持ち、守っていくおつもりですか。お聞きします。
4 自然との調和では、緑豊かな葛西臨海公園の中に位置していることも重要です。東京都の「葛西臨海水族園」の「事業計画・素案」では、まったく新規に、容量3,000トンの大水槽をふくめ、延床面積22,500平方メートルの新しい水族園を建設する計画です。そのために、せっかく生育した公園内の樹木の伐採が行われ、緑の喪失になってしまう懸念があります。SDGsの考え方に基づいた水族園にしていくとの考えが示されていますが、これでは、環境を大切にするとしたSDGsがめざす方向と違うのではないでしょうか。緑を守り、豊かにしていく計画が必要と考えます。いかがでしょうか。
5 「葛西臨海水族園事業計画検討会」の報告書には、施設の管理運営、事業手法について官民連携を謳い、指定管理者制度とPFI事業の両制度を併用するのが望ましい、と書かれています。
具体的には、飼育物の飼育、繁殖、展示などは専門性が必要で、根幹的業務だから、これまでのように指定管理者として動物園協会などを選定し、施設の整備や維持管理業務にはPFI-BTO方式を採用するというものです。
しかし、PFI方式の留意事項として、「要求水準書の自由度が減少するにつれて、コスト削減効果も縮減される可能性があるので、コストとクオリティの両立を目指すべき」「質の高い事業者を選定するため、選定方法を検討すべき」など数点の問題を指摘しています。事業計画検討会では、PFI-BTOについては、委員から批判的異論が出されていました。検討会の報告書に幾つも留意事項が書かれたのは、水族園が特殊性を持つ施設だからに外なりません。
全国では、PFI事業をめぐり体育館、観光施設、教育などの公共施設が経営破綻、事業者の撤退など、問題事例が数多く発生しました。
葛西臨海水族園は、世界で初めてクロマグロの群泳に成功し、飼育物の繁殖の表彰も数えきれないほど受賞するなど、優れた役割を果たしてきました。経済効率に重きを置くのではなく、葛西臨海水族園の歴史を踏まえた大切な役割を果たせるよう、設置者として、東京都は努力すべきです。
施設設置の公的責任、役割を認識して、PFI方式は再検討することを東京都に求めるものです。見解をお示しください。
6 入園料について、伺います。
現在、葛西臨海水族園の大人の入園料は700円(65歳以上の人は350円)で、中学生は250円、小学生以下は無料です。都立施設の大人の来園料を比較すると、井の頭自然文化園は大人400円、恩賜上野動物園は600円、多摩動物公園は600円です。中学生については、半額以下の入園料、小学生以下は無料です。事業計画検討会の報告書に、都内にある民設の水族館の入園料が列記してあります。すべて、2,000円を超える金額です。これでは、来園する人の足は、遠のいてしまいます。私の2018年の文書質問の入園料に関する質問に、東京都は「施設の維持に必要な経費などによって算定した原価を基本に、社会情勢の変化、教育的な配慮や他公共団体の同種施設の料金などを参考に、新たな入場料を設定する」と、答えています。値上げもありうる意図が見えてきます。
都民、地域社会に貢献する水族園であるべきです。子ども達や経済的にゆとりがない人も、入園しやすい料金設定にしていただきたいと思います。都立の他の動物園などと同じように入園者の立場に立った料金設定にされるよう、求めるものです。お考えをお示しください。
7 葛西臨海水族園の更新にあたっては、東京都として、目指すべき水族園像を明確にして、取り組むことが重要です。学びの場、わかりやすい展示、世代や分野を超えた人達との交流、研究、飼育、繁殖、採取等々、水族園の果たす役割は多様です。飼育物を守りながら、多面的役割を果たす水族園をつくる事業は困難も多いと思いますが、東京都の力を発揮していただくことが求められています。
そのためには、各分野の専門家の意見を十分に反映すること、また、水族園で働く職員等の意見を尊重することは欠かせません。東京都が目指す水族園の姿はどのようなものか、そして、それを実現するためにどのような努力をされるのか、お示しください。
8 まもなく、都の「事業計画案」に対してのパブリックコメントが集約されると思います。寄せられた268通の意見を検討、尊重するとともに、これまで検討会で議論を深められてきた委員の方々の意見にも十分に配慮していただくことが必要です。葛西臨海水族園の更新の取り組みに、必要な対策を講じていただきたいと要望します。
東京都は、どのようなご決意で、更新に事業に臨まれるか、お答えください。

令和2年第一回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 葛西臨海水族園の更新について
1 都は「施設の長寿命化」の方針を持っているが、「葛西臨海水族園の建物の存続」を求める都民、専門家の意見が出ている中で、都は、どのように対応していくのか伺う。

回答
都は、平成31年1月に策定した「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想」において、既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移設後、既存施設については、施設の状態等を調査の上、そのあり方について検討することとしています。この基本構想に基づき、新たな水族園の実現について検討するために設置した事業計画検討会において、多くの御意見をいただきました。その中で、既存施設の利活用に関しても御意見をいただきました。今後、事業計画検討会報告書に基づき、各方面からの意見も参考にしながら、事業計画を策定していきます。

質問事項
一の2 水槽に水を送る配管の状況も老朽化が進んでいるとのことだが、飼育物の生存を守りながら、改修していく方策については、検討されたのか。建築資材が多様に開発されているなかで、水族園更新のコスト削減のためにも、新規建設の方法だけでなく、現在の配管の改修などの工夫について、専門家の意見も聞き、検討が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
開園から30年が経過し、施設や設備の老朽化が進んでいます。これを踏まえて、平成30年10月に有識者により構成されたあり方検討会の報告書においては、建替えにより新たな水族園を整備するべきと示されています。現在の施設については、改修には大規模な工事が必要となりますが、バックヤードが狭隘で作業場所が確保できないため、開園しながらの工事は困難で、さらに、配管や配線が過密に配置されており、段階的な改修も困難です。
また、工事に伴う長期休園によるサービス低下や、仮設施設の整備によるコスト増、飼育している8万5千点の生き物への影響を総合的に考慮すると、新たに建築する建物に水族園機能を移設することが必要となります。
なお、新たな水族園については、PFI手法の活用により、施設整備費と維持管理費、長寿命化の経費の節減と工期の短縮が見込めます。

質問事項
一の3 多面的角度から見て、自然との調和を保っている葛西臨海水族園について、都はどのような評価を持ち、守っていくつもりか伺う。

回答
平成元年10月に開園した葛西臨海水族園は、これまでに延べ5千7百万人以上の来園者を迎えるとともに、新たな展示手法の開発や、希少動物の繁殖など、様々な成果を挙げています。引き続き、都立水族園として多くの方々に親しまれるよう取り組みます。

質問事項
一の4 都の「葛西臨海水族園」の「事業計画・素案」では、新しい水族園を建設する計画である。生育した公園内の樹木の伐採が行われ、緑の喪失になってしまう懸念がある。これでは、環境を大切にするとしたSDGsがめざす方向と違うのではないか。緑を守り、豊かにしていく計画が必要と考えるが見解を伺う。

回答
事業計画素案においては、新しい水族園は、様々な展示や教育プログラムなどにより、来園者が環境問題などについて楽しく学べる施設の実現を目指しています。また、樹木の伐採を最小限とするため、建設予定地を、芝生広場と想定しています。

質問事項
一の5 「葛西臨海水族園事業計画検討会」の報告書には、施設の管理運営、事業手法について官民連携を謳い、指定管理者制度とPFI事業の両制度を併用するのが望ましい、と書かれている。施設設置の公的責任、役割を認識して、PFI方式は再検討することを都に求める。見解を伺う。

回答
PFI事業の導入により、民間の自由な発想を取り入れた設計とともに、工期の短縮、コストの縮減を実現します。一方、動物の飼育や教育普及など、水族園独自のノウハウが必要な業務は、指定管理者制度を活用し、生き物の美しさ、多様性を感じながら環境問題について考える等、来園者に楽しく学んでいただける施設を実現します。これにより、財政面の効率化とサービス面の充実を目指します。

質問事項
一の6 子ども達や経済的にゆとりがない人も、入園しやすい料金設定にしてもらいたいと思う。都立の他の動物園などと同じように入園者の立場に立った料金設定にされるよう、求めるものである。見解を伺う。

回答
入園料は、受益者負担の考え方に基づき、原価を基本として、周辺類似施設の料金等を参考に設定します。

質問事項
一の7 葛西臨海水族園の更新にあたっては、都として、目指すべき水族園像を明確にして、取り組むことが重要である。都が目指す水族園の姿はどのようなものか、そして、それを実現するためにどのような努力をされるのか、伺う。

回答
現在、環境問題の深刻化に伴い、持続可能な社会の実現に貢献することや、野生生物の保全に向けた取組等、水族館に求められる役割が変化しています。そのため、展示やレクリエーションの機能をはじめ、収集・飼育・繁殖、調査・研究、学習・体験、環境保全への貢献の機能を発揮することに取り組んでいきます。

質問事項
一の8 まもなく、都の「事業計画案」に対してのパブリックコメントが集約されると思う。寄せられた268通の意見を検討、尊重するとともに、これまで検討会で議論を深められてきた委員の方々の意見にも十分に配慮していただくことが必要である。都は、どのようなご決意で、更新に事業に臨まれるか、伺う。

回答
令和元年12月26日から令和2年1月25日までに、268通の御意見をいただきました。御意見の例としては、水族園の新たな姿に関すること、今後の取組に関すること、既存施設に関すること、事業手法に関すること等です。今後、「葛西臨海水族園事業計画検討会報告書」に基づき、パブリックコメントの御意見等も参考にしながら、事業計画を策定します。また、この事業計画に基づき、新たな都立水族園が多くの方々に親しまれるよう取り組みます。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子

質問事項
一 都市計画公園「練馬城址公園」について
二 セクシャルマイノリティ支援について
三 外国籍と外国にルーツをもつ子どもへの支援について
四 公衆浴場について

一 都市計画公園「練馬城址公園」について
練馬区内にある、としまえん遊園地は九十年を超える歴史を持ち、多くの利用者に親しまれ、私も子どもを連れて何度も訪れた思い出の地です。その遊園地が今夏にも閉園し、ワーナーブラザーズによる「ハリーポッター」のテーマパークとしてオープン、残りのエリアを都立公園として整備する旨の報道がありました。都民からは遊園地の閉園を惜しむ声や防災機能はどうなるのか、なぜテーマパークなのかなどの疑問・意見があがっています。
もともと都は「としまえん遊園地」を1957年、いまから63年前に都市計画公園「練馬城址公園」として都市計画決定しています。その後東日本大震災が起きた2011年の「都市計画公園・緑地の整備方針」の改定で、防災機能強化等の視点から、計画面積26.7ヘクタールのうち21.9ヘクタールが優先整備区域として指定されました。
当時の公園緑地部長は「緑地が持つ本来の機能の発揮はもとより、本年三月に発生した東日本大震災を踏まえまして、防災機能強化等の視点から優先整備区域としております。」と答弁されています。
1 としまえんを含む地域を練馬城址公園として都市計画決定したのはいつか。その目的・背景はどのようなものだったのか。当時の検討記録は残っているか。
2 2011年の「都市計画公園・緑地の整備方針(改定)」で、「重点化を図るべき公園・緑地」として、練馬城址公園が選定され、「重点化した公園・緑地における優先整備区域」として、練馬区春日町1丁目、向山3丁目の21.9ヘクタールが設定された。それぞれの理由について、お答えいただきたい。
3 今後10年間で優先的に整備する公園とされたにもかかわらず、2020年3月現在整備に着手できていないのはなぜか。
4 「都民ファーストでつくる『新しい東京』 2020年に向けた実行プラン」では、2018年度に練馬城址公園の整備計画を策定するとしていたが、都としてどのように計画策定を進めていたのか、具体的に説明いただきたい。また、2020年3月現在で、計画案すら示されていないのはなぜか。
5 都は今後どのようなスケジュールで練馬城址公園の整備を進めていく予定か。
6 2011年の「都市計画公園・緑地の整備方針(改定)」の策定後、都建設局は、西武グループや株式会社豊島園の関係者と面談したり、協議したことはあるか。ある場合、いつ、どこで、どのような面談や協議をおこなったか。
7 としまえんが8月末から段階的に閉園すると報道されているが、都は認識しているか。また、認識している場合、いつ、どのようにしてその情報を把握したか。
8 としまえんの跡地の一部を、米国の映画大手企業がテーマパークにする方針であると報道されているが、都は認識しているか。また認識している場合、いつ、どのようにしてその情報を把握したのか。
9 都市計画公園内にある民有地の大部分が、他の目的のために売却されたり、長期間借地に出された場合、都市計画変更が行われるのか。としまえんの場合はどうか。
10 都市計画区域に、テーマパークのような除却しにくい構造物を建設するのは可能か。可能な場合、その準拠する法や制度について示されたい。
11 現在、練馬城址公園として都市計画決定されている26.7ヘクタールの地域は、将来的にすべて都市計画公園として開園をめざすのか。
12 都は、今年1月に西武鉄道グループに練馬城址公園の事業化の協力依頼をしたと聞くが、その範囲と面積を教えていただきたい。また、西武鉄道グループからはいつ、どのような回答があったのか。
13 西武鉄道グループからは敷地の一部を都立公園とは異なる形態で運用したいとの旨の回答があったと聞くが事実か。その場合、異なる形態での活用の内容について、都は西武鉄道グループに確認をおこなったか。
14 前問での「異なる形態」での活用が行われる場合、その区域が都市計画変更が行われることがあるのか。
15 としまえんは、長年にわたって練馬区民に憩いの場所を提供してきた。その値打ちを都はどのように認識しているのか。
16 としまえんには、数多くの樹木や草が茂り、住民のみなさんの昆虫調査では、65種類の昆虫が確認され、そのなかには、都のレッドデータにあげられているハグロトンボも含まれている。都は、これらの貴重な自然や生物をどのように保護・保全するのか。
17 遊園地など大規模な施設は「第二種特定工作物」としてアセスの対象になるが、テーマパークの整備にあたっては、環境影響評価は行われるのか。
18 練馬城址公園を整備するにあたって、都は練馬区民をはじめとする都民の意見をどのように計画に反映させるのか。
19 練馬城址公園のような地権者が1者である場合も、周辺住民への事業概要説明会、用地説明会などの説明会は開催されるのか。
20 都は、2017年3月と2018年3月の二度にわたって策定された「練馬城址公園整備計画資料」を今後策定する整備計画にどのように反映させるのか。
21 都は、練馬城址公園において、民間活力の導入を行う意向か。その場合、どのように進めていくのか。
22 としまえんは、都の指定する避難場所とされており、区域面積約23ヘクタール、避難有効面積約10ヘクタールで6万人を超える避難者を受け入れる計画となっている。としまえんの一部がテーマパークとなったり、今後整備される練馬城址公園の一部が民間事業者の賑わい施設となった場合においても、公園整備に当たって区域面積、避難有効面積を確保し、避難計画人口を受け入れられるよう取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
23 練馬城址公園を今後、防災公園としてどのように機能強化を進めていくのか。
24 都市計画道路133号線について、練馬城址公園との関係で、どのように位置づけているのか。
25 都市計画道路133号線の計画地となる練馬城址公園付近は、現道がなく閑静な住宅街である。都は、練馬城址公園整備にあわせて事業化する意向はあるか。事業化の是非もふくめ、地域住民から意見を聞くことが重要と考えるがいかがか。

二 セクシャルマイノリティ支援について
東京2020大会における3つのコンセプトの一つは、「多様性と調和」です。小池知事は総務局発行の冊子「多様性と調和を目指して」の冒頭で「国際オリンピック委員会(IOC)のオリンピック憲章には、オリンピズムの根本原則として、オリンピックは人権に配慮した大会であることがうたわれています。女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害のある方も、LGBTの方も、誰もが希望を持っていきいき生活でき、活躍できる都市。多様性が尊重され、温かくて、優しさにあふれる都市、それが私の目指す「ダイバーシティ」が実現した東京の新しい姿です。」と述べています。
人権施策推進指針では〔1〕人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京〔2〕あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透した東京〔3〕多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京とあり、私はこの理念が多くの都民・国民に浸透し、効果をもたらすことを期待します。
日本共産党都議団は、昨年第3回定例会および第4回定例会の代表質問で、同性パートナーシップ制度の確立と国際的なスポーツ大会に合わせて取り組まれているプライドハウス問題を取りあげました。
都は、パートナーシップ制度については、広範な国民的議論が必要な問題と答弁されています。またプライドハウスについては、連携の在り方を検討するとの答弁でした。
特にプライドハウスはオリパラ大会に合わせた期間限定の情報発信や交流拠点ですが、将来的に常設の居場所を設置する意向をもっています。
1 パートナーシップ制度について、総務委員会でのわが党の質問に対し、「広範な国民的議論が必要」との答弁がありました。
国民的議論は自然発生するものではなく、パートナーシップ制度の実現には都として積極的に実態調査や、議論を行うことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
2 また、セクシャルマイノリティの方々に対し、「都庁各局施策現場において、どのような配慮が必要か検討し、取り組みを推進」との答弁がありました。
こうした配慮は、各局での検討とともに、都庁全体での合理的配慮のガイドラインや実施要項などが必要と考えますが、都の見解を伺います。
3 東京都性自認及び性的指向に関する基本計画では「自らの性のあり方に悩み戸惑う当事者が、生き方のヒントを得ることができるよう、令和2(2020)年度には、若年層を中心とした当事者同士が安心して集い、交流できる場・機会を提供する、新たな取組を検討していきます。」とあります。
交流できる場は当事者の「居場所」として重要です。こうした交流の場は常設とし、専門の職員やカウンセラー等の配置も検討すべきですが、いかがですか。
4 性別不合の方の精神的苦痛は第二次性徴が始まる思春期にピークを迎えるといわれています。また、性に多感な時期であり、差別や偏見により自殺念慮が高まる時期であることから「若年層を中心」とする交流できる場・機会は重要と考えます。
一方で、若年層以外でも性自認・性的指向で交流できる場・機会を求めている方は少なくありません。
交流できる場・機会を提供は「若年層を中心」としたものの他に多様な世代が参加できる場も検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
5 プライドハウス東京は、新宿丸井アネックス館の1階を会場に開設される予定ですが、都として支援を検討していますか。
6 プライドハウス東京では3ステップを考えており、1ステップはラグビーワールドカップ、2ステップが2020東京大会、3ステップが常設の居場所となっています。
常設の居場所については、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画による「交流できる場・機会」としての役割を発揮することが期待されます。
プライドハウス東京が検討している常設の居場所について、都の支援を検討するべきですが、いかがですか。
7 性的指向・性自認に関して、当事者や家族などに対するアウトリーチ相談活動を行い、相談員の養成なども行うべきと考えますが、いかがですか。

三 外国籍と外国にルーツをもつ子どもへの支援について
東京で暮らす外国籍の人は約57万人にのぼり、H28年度の国の調査では、都内で日本語指導が必要な数は外国籍の児童・生徒は2,932人、日本国籍の児童・生徒は1,085人、合わせて4,017人にのぼります。
公立学校では、日本語教室が設置されていますが、設置されていない自治体もあり格差は顕著です。
そのため様々な困難を子どもたちがかかえています。日本語がわからないため、来日して日本の学校に転入しても、友だちが作れず、学校の勉強にもついていくことができないなど、学校や社会の中で「自分の居場所」を見つけ出すことができずにひきこもってしまう子どももいます。また、肌の色や瞳、髪の色が異なっていたりすることでいじめの対象となる子もいます。過去には、いじめを苦に外国にルーツを持つ小学生が自らの命を絶たざるを得なかった痛ましい事件も起きています。
NPO法人青少年自立援助センターの田中宝紀氏は、「海外ルーツの方々にたいする『いじめ』は、差別的言動を含め、大人の社会でも起きています。インターネット上にあふれるヘイトスピーチや、コンビニエンスストアで働く外国人の日本語をあざ笑うような内容のバラエティ番組など、私たちの社会の非寛容性が顕在化していると感じる事例は増えています。」と指摘しています。
外国籍や外国にルーツをもつ児童生徒にとって、言葉の壁は周囲の児童生徒の心の壁となり、より困難をもたらしていることは明らかです。
近年、日本語教育の推進に関する法律案の成立なども含め、海外にルーツを持つ子どもたちの教育環境の整備や、外国人保護者の子育て支援など、体制の整備が急ピッチで進められていますが、都としても独自に支援策を具体化することが求められています。
1 生活文化局では、2020年度予算で「やさしい日本語」普及・活用促進事業1,584万円が新規予算として計上されていますが、具体的な事業予定をお答え下さい。
2 また都内における地域日本語教育等実態調査1,044万円が新規事業として計上されています。都内にある300以上のボランティア日本語教室等の実態について調査するとありますが、いつからどのように調査をおこなうのでしょうか。
東京日本語ボランティアネットワークは2018年、「日本語ボランティア活動実態調査」を行っています。調査結果では、都内の300を超えるボランティアによる活動の9割が公共施設を使用しています。しかし、年間の優先登録で場所を確保できている教室は6割にとどまっています。ボランティアの方々からは、活動の最大の課題は教室の確保と教室使用料の無料化などで、行政の協力が必要との声があがっています。
3 都内ボランティア団体の調査を行ったうえで、公共施設を安定して活用できるよう支援をおこなうべきですがいかがですか。
現在都内のNPO法人では、新型コロナウイルス感染防止のため、子どもたちの指導をオンラインに切り替えている団体もあります。しかし、セルフコントロールできない児童生徒もいることから、毎日声掛けをしているそうです。
一方で、公共施設が使えないことで、開きたくても休室を迫られている日本語教室もあります。
4 新型コロナウイルス感染防止による公的施設休館のために活動場所を失い、日本語教室などの支援を行えない団体が増えており、外国にルーツをもつ子どもたちの日本語力の低下などが懸念されています。都として実態をつかんでいますか。
5 地域ボランティアによる日本語教室が長期間の休室になれば、再開しても日本語力が落ちてしまっており、最初からやり直ししなければならないと聞きます。このように地域を支える日本語教室などに対し、現在どのような支援を行っているか伺います。
6 政策企画局作成の「東京都区市町村の国際政策の状況」の中で、2017年度実績より日本語を母語としない小中学生を対象にした各区市町村における日本語教育の体制が公表されなくなっています。その理由をお答えください。また、もと通りの公表を求めますがいかがですか。

四 公衆浴場について
東京に店を構える銭湯の件数がピークに達したのは昭和43年だそうです。庶民にとって日々の銭湯通いはごく普通の日常だったと思います。私自身も地元の銭湯に通い、大阪に家族で数年間いたこともありますが、その時も銭湯が身近な存在でした。温泉療法専門医で東京都市大学教授の早坂信哉(しんや)氏は「豊富な水資源と温泉が身近にあったこと、それが日本人をお風呂好きにした最大の要因」だと言っています。最近ではNHKのEテレで銭湯が紹介されました。書籍も数多く出版され、自宅から遠い銭湯まで出かける若者もいます。さまざまな魅力を持つ銭湯ですが、内風呂の普及とともに減ってしまっているのが実情です。
1 銭湯の存続のため、様々な施策がありますが、2019及び2020年度予算で新規・拡充された事業の内容と金額をお答えください。
2 銭湯から寄せられる要望は多岐にわたりますが、その中でも最近課題になっているのが混浴年齢です。都の条例における混浴禁止の規定は、子どもの体位(性的発育度)、親から独立してひとりで入浴できる年齢等の観点から10歳という年齢を定めています。一方、肌を人前で晒すことに対する意識も変わり、実際に浴場では苦情も寄せられるといいます。
今日的課題としてとらえ、検討も視野にいれるべきではないでしょうか。

令和2年第一回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都市計画公園「練馬城址公園」について
1 としまえんを含む地域を練馬城址公園として都市計画決定したのはいつか。その目的・背景はどのようなものだったのか。当時の検討記録は残っているか、伺う。

回答
練馬城址公園の都市計画決定は、昭和32年12月21日に建設省告示されています。
東京都市計画公園緑地調査特別委員会報告資料(昭和32年4月)によれば、公園緑地の都市計画を定める際の基準となる「公園緑地再検討基準(案)」が示されており、その中で、追加決定するものの一つとして「民営であっても屋外レクリエーションエリヤである土地」が挙げられており、その中に練馬城址公園が含まれています。

質問事項
一の2 2011年の「都市計画公園・緑地の整備方針(改定)」で、「重点化を図るべき公園・緑地」として、練馬城址公園が選定され、「重点化した公園・緑地における優先整備区域」として、練馬区春日町1丁目、向山3丁目の21.9ヘクタールが設定された。それぞれの理由について、見解を伺う。

回答
「都市計画公園・緑地の整備方針(改定)」(平成23年12月)では、今後重点化を図るべき公園・緑地について、重点化の視点を定めており、練馬城址公園については、「防災」の震災対策(避難場所や避難路の確保、延焼の防止、防災拠点の整備等)に該当することから選定しました。
また、優先整備区域は、重点化を図るべき公園・緑地において、区域の重要性と整備効果の面から総合的に評価して設定しています。

質問事項
一の3 今後10年間で優先的に整備する公園とされたにもかかわらず、2020年3月現在整備に着手できていないのはなぜか伺う。

回答
事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元練馬区と、情報交換や意見交換を行ってきました。

質問事項
一の4 「都民ファーストでつくる『新しい東京』 2020年に向けた実行プラン」では、2018年度に練馬城址公園の整備計画を策定するとしていたが、都としてどのように計画策定を進めていたのか、具体的に伺う。また、2020年3月現在で、計画案すら示されていないのはなぜか、見解を伺う。

回答
公園の事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元練馬区と、情報交換や意見交換を行ってきました。
平成28年7月には、地元区と情報連絡会を立ち上げ、公園の目指すべき姿について意見交換を3回実施したほか、地元区と緊密な連携を図り、現在、整備計画の策定に向け取り組んでいます。

質問事項
一の5 都は今後どのようなスケジュールで練馬城址公園の整備を進めていく予定か伺う。

回答
「都市計画公園・緑地の整備方針」に基づき、整備計画の速やかな策定に向け取組を進めていきます。

質問事項
一の6 2011年の「都市計画公園・緑地の整備方針(改定)」の策定後、都建設局は、西武グループや株式会社豊島園の関係者と面談したり、協議したことはあるか。ある場合いつ、どこで、どのような面談や協議をおこなったか、伺う。

回答
事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元練馬区と、情報交換や意見交換を行ってきました。
令和2年1月には、両者に対して練馬城址公園の事業化の意向を伝えています。

質問事項
一の7 としまえんが8月末から段階的に閉園すると報道されているが、都は認識しているか。また、認識している場合、いつ、どのようにしてその情報を把握したか伺う。

回答
事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元練馬区と、情報交換や意見交換を行ってきました。
その過程で、西武鉄道株式会社から、としまえんが8月末から段階的に閉園する意向が伝えられました。

質問事項
一の8 としまえんの跡地の一部を、米国の映画大手企業がテーマパークにする方針であると報道されているが、都は認識しているか。また認識している場合、いつ、どのようにしてその情報を把握したのか伺う。

回答
事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元練馬区と、情報交換や意見交換を行ってきました。
その過程で、令和2年1月に西武鉄道株式会社から、新たな事業展開を検討していきたいとの意向が伝えられました。

質問事項
一の9 都市計画公園内にある民有地の大部分が、他の目的のために売却されたり、長期間借地に出された場合、都市計画変更が行われるのか。としまえんの場合はどうか伺う。

回答
都市計画公園・緑地の都市計画変更については、公園・緑地等の配置、地域における公園の充足状況、立地・規模に応じて重要となる機能などを勘案して行います。
土地の売却や貸借を理由に都市計画の変更を行うことはありません。

質問事項
一の10 都市計画区域に、テーマパークのような除却しにくい構造物を建設するのは可能か。可能な場合、その準拠する法や制度について伺う。

回答
都市計画公園・緑地内の建築物は、都市計画法で定める条件を満たす建築物であれば、建築可能です。
都市計画法第54条では、容易に除去できる木造、鉄骨造等の2階建てまでの建築物などは、建築を許可しなければならないとしています。

質問事項
一の11 現在、練馬城址公園として都市計画決定されている26.7ヘクタールの地域は、将来的にすべて都市計画公園として開園をめざすのか伺う。

回答
都市計画公園区域及び優先整備区域については、維持する考えです。

質問事項
一の12 都は、今年1月に西武鉄道グループに練馬城址公園の事業化の協力依頼をしたと聞くが、その範囲と面積を伺う。また、西武鉄道グループからはいつ、どのような回答があったのか伺う。

回答
事業化の意向を伝えたのは、優先整備区域の約22ヘクタールです。
西武鉄道株式会社からは応諾する旨と、新たな事業展開を検討していきたいとの回答がありました。

質問事項
一の13 西武鉄道グループからは敷地の一部を都立公園とは異なる形態で運用したいとの旨の回答があったと聞くが事実か。その場合、異なる形態での活用の内容について、都は西武鉄道グループに確認をおこなったか伺う。

回答
事業化の意向を伝えたのは、優先整備区域の約22ヘクタールです。
西武鉄道株式会社からは応諾する旨と、新たな事業展開を検討していきたいとの回答がありました。

質問事項
一の14 前問での「異なる形態」での活用が行われる場合、その区域が都市計画変更が行われることがあるのか伺う。

回答
都市計画公園・緑地の都市計画変更については、公園・緑地等の配置、地域における公園の充足状況、立地・規模に応じて重要となる機能などを勘案して行います。
土地を所有する民間事業者によって運用される形態を理由に、都市計画の変更を行うことはありません。

質問事項
一の15 としまえんは、長年にわたって練馬区民に憩いの場所を提供してきた。その値打ちを都はどのように認識しているのか伺う。

回答
整備計画の策定に当たっては、水とみどり、防災の取組やにぎわいの創出など、公園の目指すべき姿を生かすべく、地元練馬区と緊密に連携を図っていきます。

質問事項
一の16 としまえんには、数多くの樹木や草が茂り、住民の昆虫調査では、65種類の昆虫が確認され、そのなかには、都のレッドデータにあげられているハグロトンボも含まれている。都は、これらの貴重な自然や生物をどのように保護・保全するのか伺う。

回答
地域の自然環境の状況も踏まえながら、整備計画を策定します。

質問事項
一の17 遊園地など大規模な施設は「第二種特定工作物」としてアセスの対象になるが、テーマパークの整備にあたっては、環境影響評価は行われるのか伺う。

回答
一般的に、個別の事業について、その事業の内容が環境影響評価条例に定める対象事業の要件に示す種類や規模に該当する場合には、アセスの対象となります。
なお、第二種特定工作物の設置については、原則、事業区域面積40ヘクタール以上が対象となります。
本件については、事業の内容等を承知しておりません。

質問事項
一の18 練馬城址公園を整備するにあたって、都は練馬区民をはじめとする都民の意見をどのように計画に反映させるのか伺う。

回答
整備計画の策定に当たっては公園審議会での審議とパブリックコメントを実施し、併せて地元練馬区へ意見照会を行います。

質問事項
一の19 練馬城址公園のような地権者が1者である場合も、周辺住民への事業概要説明会、用地説明会などの説明会は開催されるのか伺う。

回答
必要に応じ、工事説明会等を実施します。

質問事項
一の20 都は、2017年3月と2018年3月の二度にわたって策定された「練馬城址公園整備計画資料」を今後策定する整備計画にどのように反映させるのか伺う。

回答
作成した「整備計画資料」も参考とし、整備計画を策定します。

質問事項
一の21 都は、練馬城址公園において、民間活力の導入を行う意向か。その場合、どのように進めていくのか伺う。

回答
整備計画は今後策定するものであり、民間活力の導入についても今後の検討となります。

質問事項
一の22 としまえんは、都の指定する避難場所とされており、区域面積約23ヘクタール、避難有効面積約10ヘクタールで6万人を超える避難者を受け入れる計画となっている。としまえんの一部がテーマパークとなったり、今後整備される練馬城址公園の一部が民間事業者の賑わい施設となった場合においても、公園整備に当たって区域面積、避難有効面積を確保し、避難計画人口を受け入れられるよう取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
現在、地元区及び西武鉄道株式会社とは、水とみどり、防災の取組やにぎわいの創出について、情報交換及び意見交換を行っています。

質問事項
一の23 練馬城址公園を今後、防災公園としてどのように機能強化を進めていくのか伺う。

回答
地元区と協議の上で、必要な防災機能を確保します。

質問事項
一の24 都市計画道路133号線について、練馬城址公園との関係で、どのように位置づけているのか伺う。

回答
都市計画道路補助第133号線は、環状第7号線と環状第8号線を補完して交通の分散を図るとともに、地域の安全性の向上に資する路線です。
このうち、放射第7号線から補助第172号線までを結ぶ区間は、生活道路への通過交通の流入を抑制することにより、地域の安全性を向上するとともに、避難場所となっている練馬城址公園の予定地へ接続するなど、防災性の向上にも寄与します。

質問事項
一の25 都市計画道路133号線の計画地となる練馬城址公園付近は、現道がなく閑静な住宅街である。都は、練馬城址公園整備にあわせて事業化する意向はあるか。事業化の是非もふくめ、地域住民から意見を聞くことが重要と考えるが、見解を伺う。

回答
都市計画道路補助第133号線のうち、放射第7号線から補助第172号線までを結ぶ約1.2キロメートルの区間は、平成28年3月に策定した第四次事業化計画において、令和7年度までに優先的に整備する路線として位置付けられています。
本区間の事業化に当たっては、地域の皆様から寄せられた御意見や、今後開催する地元説明会での御意見も踏まえ、丁寧に対応していきます。

質問事項
二 セクシャルマイノリティ支援について
1 パートナーシップ制度について、総務委員会でのわが党の質問に対し、「広範な国民的議論が必要」との答弁があった。国民的議論は自然発生するものではなく、パートナーシップ制度の実現には都として積極的に実態調査や、議論を行うことが重要と考えるが、見解を伺う。

回答
いわゆるパートナーシップ制度については、婚姻関係の在り方そのものに関わるものであり、婚姻に関する国民の権利及び義務は法令で規定されていることから、国において整理すべき課題であると認識しています。
都としては、様々な意見を踏まえ、人権尊重条例に基づき、都庁各局の施策現場において、当事者が直面する様々な場面での困り事を可能な限り解消していくため、引き続き必要な施策を展開していきます。

質問事項
二の2 セクシャルマイノリティの方々に対し、「都庁各局施策現場において、どのような配慮が必要か検討し、取り組みを推進」との答弁があった。こうした配慮は、各局での検討とともに、都庁全体での合理的配慮のガイドラインや実施要項などが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
東京都性自認及び性的指向に関する基本計画では、性自認及び性的指向に関する困難を抱える当事者が直面する困り事をできる限り解消していくため、それぞれの施策現場において事業の実情に即した検討を行い、これまでの取組や今後の方向性を示しました。
都としては、どのような配慮や工夫が具体的に可能であるかについては、様々な行政現場において、それぞれの実態や施策目的も踏まえながら個別具体的に検討し、必要な取組を進めていきます。

質問事項
二の3 東京都性自認及び性的指向に関する基本計画では「令和2年度には、若年層を中心とした当事者同士が安心して集い、交流できる場・機会を提供する、新たな取組を検討していく。」とある。こうした交流の場は常設とし、専門の職員やカウンセラー等の配置も検討すべきだが、見解を伺う。

回答
「交流の場・機会」の提供は、自身の性の在り方や生き方について一人で悩みを抱える性的マイノリティ当事者が、他にも同じ悩みを抱える者がいることを知り、今後の生き方をイメージできるよう、令和2年度複数回実施する予定です。
性的マイノリティの支援団体にも協力を頂きながら、具体的な内容を検討しています。

質問事項
二の4 交流できる場・機会を提供は「若年層を中心」としたものの他に多様な世代が参加できる場も検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
性的マイノリティ当事者にとって、多感な未成年期や学生時代において、同じ悩みを持つ当事者の存在を知ることや、ロールモデルを発見することが、自己肯定感を持つことにつながり、以後の生き方の糧となると考えます。
また若年層は、とりわけ他の当事者に出会う機会が限られるため、この年代を中心に、当事者同士が安心して集える場を提供し、ロールモデルの発見を支援していくこととしました。

質問事項
二の5 プライドハウス東京は、新宿丸井アネックス館の1階を会場に開設される予定だが、都として支援を検討しているか伺う。

回答
都の人権施策推進に寄与する様々な民間団体等の取組との連携の在り方等については、個別に検討しています。

質問事項
二の6 プライドハウス東京が検討している常設の居場所について、都の支援を検討するべきだが、見解を伺う。

回答
都では、自身の性の在り方や生き方について一人で悩みを抱える性的マイノリティ当事者が、他にも同じ悩みを抱える者がいることを知り、今後の生き方をイメージできるよう、令和2年度から「交流の場・機会」の提供を開始します。

質問事項
二の7 性的指向・性自認に関して、当事者や家族などに対するアウトリーチ相談活動を行い、相談員の養成なども行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
性的マイノリティ当事者が抱える悩みは多種多様であり、意図しないカミングアウトにつながらないよう十分に配慮するなど、相談事業を実施するに当たっては、慎重な対応が必要であると考えています。
相談事業については、令和2年度SNSを活用した専門相談を実施する計画となっています。

質問事項
三 外国籍と外国にルーツをもつ子どもへの支援について
1 生活文化局では、2020年度予算で「やさしい日本語」普及・活用促進事業1,584万円が新規予算として計上されているが、具体的な事業予定を伺う。

回答
在住外国人と日本人の双方に対する「やさしい日本語」の理解を広めるとともに活用を促進するため、区市町村や国際交流協会などの活用状況等に関する実態調査を行うほか、普及啓発動画等を作成していきます。

質問事項
三の2 都内における地域日本語教育等実態調査1,044万円が新規事業として計上されている。都内にある300以上のボランティア日本語教室等の実態について調査するとあるが、いつからどのように調査をおこなうのか伺う。

回答
地域日本語教育等実態調査については、令和2年度中に調査票やヒアリング等により実施することを予定しています。

質問事項
三の3 東京日本語ボランティアネットワークは2018年、「日本語ボランティア活動実態調査」を行っている。ボランティアの方々からは、活動の最大の課題は教室の確保と教室使用料の無料化などである。都内ボランティア団体の調査を行ったうえで、公共施設を安定して活用できるよう支援をおこなうべきであるが、見解を伺う。

回答
都内における地域日本語教育等実態調査を通じて、地域における現状と課題を把握していきます。

質問事項
三の4 新型コロナウイルス感染防止による公的施設休館のために活動場所を失い、日本語教室などの支援を行えない団体が増えており、外国にルーツをもつ子どもたちの日本語力の低下などが懸念されている。都として実態をつかんでいるか伺う。

回答
新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした公的施設の休館等により、外国人支援団体が活動できない場合もあると聞いています。
今後も随時聞き取りを実施するなど、実態把握に努めていきます。

質問事項
三の5 地域ボランティアによる日本語教室が長期間の休室になれば、再開しても日本語力が落ちてしまっており、最初からやり直ししなければならないと聞く。このように地域を支える日本語教室などに対し、現在どのような支援を行っているか、伺う。

回答
都は、NPOなど民間団体が実施する日本語や教科の学習等の事業に対し、1団体当たり5百万円を上限とした在住外国人支援事業助成により支援しています。

質問事項
三の6 政策企画局作成の「東京都区市町村の国際政策の状況」の中で、2017年度実績より日本語を母語としない小中学生を対象にした各区市町村における日本語教育の体制が公表されなくなっている。その理由を伺う。また、もと通りの公表を求めるが、見解を伺う。

回答
都では、毎年、都内の区市町村に対して国際政策の状況調査を行い、得られた回答を都のホームページ上で公表しています。
平成28年度実績調査までは、項目「日本語教育、適応指導者等の推進」の中で、外国籍児童等を対象とした「日本語指導員の派遣等」の取組と、在住・在勤の「外国人向け講座」の開催等の取組が混在していました。また、回答の内容も各区市町村により異なり、一目で分かりづらい公表内容となっていました。
そこで、平成29年度実績調査からは、項目の見直しを行い、「日本語指導員の派遣等」は「教育」の分類とし、「外国人向け講座」は「在住外国人支援」の分類とした上で、各区市町村における取組の有無が一目で分かるような改善を加え、公表を行っています。
今後も、都民にとって分かりやすい公表内容となるよう、項目や表記形式、記載方法を随時見直していく予定です。

質問事項
四 公衆浴場について
1 銭湯の存続のため、様々な施策があるが、2019及び2020年度予算で新規・拡充された事業の内容と金額を伺う。

回答
都は、令和元年度予算において、浴場の耐震補強工事に要する経費の一部を補助する「公衆浴場耐震化促進支援事業補助」を、3,600万円増の1億2,000万円に拡充しました。
令和2年度予算では、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が、地域において公衆浴場を健康増進や交流等の拠点として行う事業に対して経費の一部を補助する「地域交流拠点事業補助」の1件当たりの補助対象限度額を、450万円から600万円に引き上げています。

質問事項
四の2 都の条例における混浴禁止の規定は、子どもの体位(性的発育度) 、親から独立してひとりで入浴できる年齢等の観点から10歳という年齢を定めている。一方、肌を人前で晒すことに対する意識も変わり、実際に浴場では苦情も寄せられるという。今日的課題としてとらえ、検討も視野にいれるべきではないか。見解を伺う。

回答
混浴を禁止する年齢は、浴場業を営む者が講ずべき入浴者の風紀等に必要な措置として公衆浴場法に基づき都道府県等が条例等で規定しています。都道府県における規定の状況を見ると、12歳以上が6自治体、10歳以上が33自治体(都を含む。)、8歳以上が5自治体、7歳以上が1自治体となっており、2自治体では規定されていません。
年齢の規定については、子供の発達や生活・入浴環境の変化などを背景に様々な意見があることは承知しています。一方で、子供の発育には個人差があることや、安全の確保、家庭環境などへの影響等も考慮する必要があります。
昨年度の厚生労働省の特別研究事業において、「子どもの発育発達と公衆浴場における混浴年齢に関する研究」が行われており、都としては、今後の国の動向を注視していきます。
なお、都条例の混浴禁止年齢は、上限を規定しているもので、混浴の禁止について、施設側の判断で10歳未満の年齢を定め、利用者に案内することは可能です。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 京王線連続立体交差事業について
二 多摩川流域の水害対策について

一 京王線連続立体交差事業について
京王線連続立体交差事業について質問します。
京王線連続立体交差事業と複々線化事業は、2012年(平成24年)に都市計画決定された。区間は笹塚から仙川間の約7.2キロメートルで、現在の線路を高架化することで25か所の踏切を解消する計画です。事業年度は2022年までとしています。
開かずの踏切解消は、多くの地域住民の願いであり、同時にこの事業によって駅前や街がどのように変わるのかも、駅前商店街の方々をはじめ地域住民の関心事です。
もともと昭和44年に都市計画決定されていた4線高架を、2線高架2線地下方式による構造形式と一部区間の変更をしました。
都市計画変更にあたっての住民説明会では4線高架方式と地下方式、2線高架2線地下併用式の比較で用地買収や工事費などの比較により費用の少ない2線高架2線地下を決定したが、当時からその金額の内訳が黒塗りで住民が比較できないということが指摘されていた。
さらに線路が高架化されることで、中高層階の騒音被害が広がることや景観、高架化された鉄道による街の分断など様々な問題が指摘されました。特に世田谷区下高井戸1丁目付近では首都高速4号線と地上の甲州街道と鉄道の距離が100メートル程度という接近している地域もあり深刻です。都市計画に対して出された意見書の約8割は高架化に反対するものでした。反対の声を上げた地域住民は2013年に京王線地下化実現訴訟の会を立ち上げ、事業差し止めを求める裁判をたたかっている状況です。
現在、用地買収とともに8工区のうち4工区で工事着工と伺っていますが、その一方で地域には、地下化を求めるのぼり旗を掲げる家がいくつも見られます。
開かずの踏切解消のためには、地権者、地域住民の理解を得る努力が欠かせません。
1 2線高架2線地下方式で都市計画決定しましたが、事業認可を取得して工事を進めているのは高架化工事だけです。都として、京王線の複々線事業着工決定することの確認はしているのでしょうか。
通常、地下と高架の工事を同じ場所で行う場合、先に地下から工事するはずですが、今回は高架線を先に行うため、高架連立線の杭がのちに地下線を作るとき干渉して妨げとなり、高架の杭を受け変えて杭を切る「アンダーピニング工法」で行うことになるということが裁判の中で明らかになり、この工法への不安の声が上がっています。
2 上に高架化の線路があり、その下にこれほど長い区間でアンダーピニング工法を使って地下に鉄道などトンネルを通した例があるのか、伺います。
3 現在、京王電鉄は地下化の工事を行う経営判断を行っていませんが、地下化工事を行うとしたら、高架化工事が終わってからになるのか、同時に行うことも可能なのでしょうか。また、地下化の工事を始めるために、認可をとるための必要な手続きについて伺います。
4 高架化の工事にあたっては、用地買収や借地の提供が不可欠ですが、現在用地買収はどこまですすんでいるのでしょうか。また今後買収が進まない場合、用地の買収や借地はすべて、土地収用法を適用する事業となるのか、どういう場合に適用するのか、合わせて伺います。

二 多摩川流域の水害対策について
昨年の台風19号では多摩川からの溢水や家屋の浸水被害など世田谷区内でも甚大な被害が発生しました。今後、同程度もしくはそれ以上の大型台風や豪雨災害に備えることが重要です。
まず樋門への対策です。多摩川から中小河川などへの逆流を防ぐための樋門ですが、下水道の所有施設である等々力排水樋門については、台風当日、職員が樋門を閉じることができず、逆流を防ぐことができませんでした。
等々力排水樋門は、操作施設が川に近く豪雨の中樋門の操作が危険を伴うこと、また今回は停電もあったため、今後同様の台風があった場合の対策が求められます。
今後同じような事態を繰り返さないために、緊急の取り組みとして、樋門の転落防止対策と宅地側に遠隔操作施設をつくると伺っています。
1 等々力排水樋門の緊急対策とさらに今後の対応の具体化について伺います。
次に、都が所有する宇奈根排水樋門、谷川排水樋門、下野毛排水樋門、等々力排水樋門への排水ポンプの設置です。豪雨時に、降った雨が多摩川に排出されずに起こる内水氾濫を軽減するためには、水位の高くなった多摩川に、支流の水をポンプでくみ上げることが有効です。しかし、都の所有するこれら排水樋門にはいずれも排水ポンプが設置されていません。
2 都の所有する排水樋門には、排水ポンプの設置をすすめるべきです。見解を伺います。
世田谷区野川の鎌田付近では、多摩川の水が上がったことで野川の水が排水できずに、浸水被害が起きました。ここには、平成24年3月末まで使われていた仮排水機場がありますが、台風当日は、近隣の消防団が、川の水をせき止めるためバルブをしめ、さらに消防団の持っているポンプを使って排水するなどして被害を軽減することができたと、昨年の世田谷区内でひらかれた住民説明会で発言がありました。
3 仮排水機場は、使用していた時はポンプも動いていたそうですが、現在は使われていないため、電気も止まっています。今後この活用も求められていると思いますが、都の見解を伺います。

令和2年第一回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 京王線連続立体交差事業について
1 2線高架2線地下方式で都市計画決定したが、事業認可を取得して工事を進めているのは高架化工事だけである。都として、京王線の複々線事業着工決定することの確認はしているのか伺う。

回答
京王電鉄京王線(笹塚駅から仙川駅間)約7.2キロメートルについては、線増線を含む4線が高架構造となっていましたが、連続立体交差化を進めるため、在来線を高架式及び掘割式、線増線を地下式及び高架式の構造形式として平成24年10月に都市計画変更しました。
都市計画変更に当たっては、線増線についても事業化に向けて取り組むことを京王電鉄株式会社に確認した上で手続を進めました。

質問事項
一の2 上に高架化の線路があり、その下にこれほど長い区間でアンダーピニング工法を使って地下に鉄道などトンネルを通した例があるのか、伺う。

回答
鉄道高架橋の下にトンネルを構築する際、アンダーピニング工法を用いた事例としては、JR東北新幹線及び埼京線を支持する高架橋において、高速道路のトンネルが整備されています。

質問事項
一の3 現在、京王電鉄は地下化の工事を行う経営判断を行っていないが、地下化工事を行うとしたら、高架化工事が終わってからになるのか、同時に行うことも可能なのか。また、地下化の工事を始めるために、認可をとるための必要な手続きについて伺う。

回答
整備スケジュールについては、高架方式により計画している在来線の連続立体交差事業を先行して行い、まず、踏切を除却します。その後、鉄道事業者である京王電鉄が地下方式により計画している線増線の事業を行うこととなっています。
また、線増線事業の実施に必要な手続については、鉄道事業法第7条に基づく、「事業基本計画等の変更」の認可、同法第12条に基づく、「鉄道施設の変更」の認可を国土交通省から受けることとなります。

質問事項
一の4 高架化の工事にあたっては、用地買収や借地の提供が不可欠であるが、現在用地買収はどこまですすんでいるのか伺う。また今後買収が進まない場合、用地の買収や借地はすべて、土地収用法を適用する事業となるのか、どういう場合に適用するのか、合わせて伺う。

回答
平成31年3月末時点で約6割の用地を取得しています。
用地の取得については、関係権利者に丁寧に説明を行うとともに、生活再建についても十分に話し合いを行うことで、理解と協力を得ながら進めています。任意による取得が困難な案件については、事業効果の早期発現の観点から用地取得の進捗状況や工事スケジュールなどを勘案し、必要に応じて土地収用制度の活用により解決を図っていきます。

質問事項
二 多摩川流域の水害対策について
1 等々力排水樋門の緊急対策とさらに今後の対応の具体化について伺う。

回答
樋門操作時における安全を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の改良を実施しており、出水期までに完了する予定です。
また、堤防より川側でしか操作ができない樋門について、宅地側に操作盤を増設することで、遠隔化できるよう取り組んでおり、同様に出水期までに完了する予定です。

質問事項
二の2 都の所有する排水樋門には、排水ポンプの設置をすすめるべきである。見解を伺う。

回答
樋門への排水ポンプ設備の設置については、設置場所や区との役割分担等の困難な課題があります。

質問事項
二の3 仮排水機場は、使用していた時はポンプも動いていたそうだが、現在は使われていないため、電気も止まっている。今後この活用も求められていると思うが、見解を伺う。

回答
当該仮排水施設は、野川下流域の河川改修が完了したことから、役割を終えた施設ですが、地元からの要望を踏まえ、現在、世田谷区と協議を進めています。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 教員のパワーハラスメントについて
二 非常勤教員について

一 教員のパワーハラスメントについて
都内の教職員組合が職場でのパワーハラスメントについて「アンケート」に取り組みました。その結果、「ほかの教員がいる職員室で怒鳴りつけられた」「お前たちはやる気がないのか」「来年は担任をさせないなど怒鳴り散らされた」など不適切な言動、パワーハラスメントがあるなど深刻な実態が寄せられました。
そこで、いくつか質問します。
1 パワーハラスメントの定義について伺います。
2 校長が勤務時間外に主催する「塾」・「研修会」への出席を強要するのはおかしいと思いますが、見解を伺います。
3 校長が勤務時間外に自主的に開催している学習会『塾』に参加しなかった教員に対し校長から、「お前たちはやる気がないのか」「来年は担任をさせない」と言われ怒鳴りつけられたなどの実態が明らかになりましたが、このような管理職による暴言について、都の認識を伺います。
4 学校内のパワーハラスメントなどについての相談窓口、解決への対応などはどうなっていますか。
5 パワーハラスメントとして認定、または処分した過去の実績はありますか。
6 東京都教育委員会「公益通報弁護士窓口」は、2013年4月から設置されていますが、この間の実績はどうなっていますか。
7 東京都産業労働局は「職場におけるハラスメント防止ハンドブック」を作成し啓発しています。学校のいじめをなくす上でも、教職員のハラスメントをなくすことが求められます。教育庁として「学校でのハラスメント防止ハンドブック」などの作成や「学校でのパワハラ根絶宣言」を行うべきですが、いかがですか。
8 都として「教員のパワハラについての実態調査」を行うべきですが、いかがですか。

二 非常勤教員について
学級担任をしていた若い教員が退職してしまい、それを補うために非常勤講師が学級担任になっているという実態があり「非常勤講師が担任をやることができるのか」という疑問の声が上がっています。
そこで、非常勤教員について事実確認をします。
1 非常勤教員の職務内容はどう定義されていますか。
2 「若い教員がやめたため、非常勤教員が担任をやる」ということですが、月16日勤務の非常勤教員が担任をやることができるのですか。
3 退職が出た場合、都教委が期限付任用教員など常勤の教員を配置するはずだと思いますが、どうですか。

令和2年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教員のパワーハラスメントについて
1 パワーハラスメントの定義について伺う。

回答
職場におけるパワーハラスメントは、令和2年1月15日付厚生労働省告示第5号において、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項及び第2項に規定する「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」とされています。

質問事項
一の2 校長が勤務時間外に主催する「塾」・「研修会」への出席を強要するのはおかしいと思うが、見解を伺う。

回答
一般的には、校長が、自身の管理下にある教員の能力向上を図るため、学校などで勤務時間外に開催する自主研修会への参加を呼びかけ、促すことに問題は無いが、強要することは行き過ぎた行為と考えます。

質問事項
一の3 校長が勤務時間外に自主的に開催している学習会『塾』に参加しなかった教員に対し校長から怒鳴りつけられたなどの実態が明らかになったが、このような管理職による暴言について、都の認識を伺う。

回答
仮に、校長が業務上必要かつ相当な範囲を超えた発言をした場合は、行き過ぎたものと考えます。

質問事項
一の4 学校内のパワーハラスメントなどについての相談窓口、解決への対応などはどうなっているか伺う。

回答
都内公立学校では、各学校の校長や副校長が相談に応じるほか、各教育委員会に設置されている相談窓口等においても、相談を受け付け、対応しています。

質問事項
一の5 パワーハラスメントとして認定、または処分した過去の実績はあるか伺う。

回答
服務事故の事例で、これまでにパワーハラスメントとして認定し、懲戒処分としたものは、ありません。

質問事項
一の6 東京都教育委員会「公益通報弁護士窓口」は、2013年4月から設置されているが、この間の実績はどうなっているか伺う。

回答
都教育委員会の「公益通報弁護士窓口」は、教職員の職務の遂行に関する、法令違反等の不適正な行為が通報対象となります。
通報を受理した実績については、平成25年度は42件、平成26年度は35件、平成27年度は24件、平成28年度は36件、平成29年度は25件、平成30年度は29件、令和元年度は30件となっています。

質問事項
一の7 学校のいじめをなくす上でも、教職員のハラスメントをなくすことが求められる。教育庁として「学校でのハラスメント防止ハンドブック」などの作成や「学校でのパワハラ根絶宣言」を行うべきだが、見解を伺う。

回答
都教育委員会ではパワーハラスメントの防止を明記した冊子「教職員の服務に関するガイドライン」を作成し、全ての教職員に配布しています。
今後も引き続き、パワーハラスメント防止に向けた啓発に取り組むこととしています。

質問事項
一の8 都として「教員のパワハラについての実態調査」を行うべきだが、見解を伺う。

回答
都教育委員会では、教職員のパワーハラスメントに関する実態及び意識や捉え方等についての調査を予定しています。

質問事項
二 非常勤教員について
1 非常勤教員の職務内容はどう定義されているか伺う。

回答
非常勤教員の職務については、「都立学校等に勤務する日勤講師の取扱いに関する要綱」において、教員、養護教諭、管理職等の対象職種に応じた任用区分に基づき、校長が分掌した校務その他学校教育に関する職務に従事すると定めています。

質問事項
二の2 「若い教員がやめたため、非常勤教員が担任をやる」ということだが、月16日勤務の非常勤教員が担任をやることができるのか伺う。

回答
非常勤教員は、勤務日数に制限があるため、校務分掌上学級担任に指名されることはありませんが、学級担任の補助を行うことは可能です。

質問事項
二の3 退職が出た場合、都教委が期限付任用教員など常勤の教員を配置するはずだと思うが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、教員が年度途中で退職した場合には、原則として、期限付任用教員を配置しています。
なお、区市町村教育委員会や学校とも調整の上、時間講師を配置することもあります。
都教育委員会は、年度途中での教員の退職があった場合においても、教育活動を円滑に行えるよう、引き続き適切に対応していきます。

令和2年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 あぜ上三和子

質問事項
一 東部地域の医療ケアを必要とする重症心身障害児者療育施設について
二 私立幼稚園の事務負担の軽減について

一 東部地域の医療ケアを必要とする重症心身障害児者療育施設について
東部療育センターは、長期入所90床、短期入所24床、医療入院6床計120床の医療的ケアのある重症心身障害児者の保護、療育、訓練、生活等のための重要な施設です。東部地域にお住いの多くの重度心身障害児者、関係者の皆さんの運動が実り、2005年に開設したときには、大変歓迎されました。
今も、重度心身障害児者の医療や生活になくてはならない重要な役割を果たしています。しかし、時間の経過とともに東部療育センターの更なる充実を求める声があがっています。「入所施設に入りたいが、いつ入れるのか見通しがたたない」「利用者の増加で通所の日数を減らさざるを得ないが何とか増やしてほしい」など東部療育センターを利用している方々から切実な声が寄せられています。
東部地域の重度心身障害児者の家族も含めた命と暮らしを守り、安心して暮らし続けられるために施策の拡充を求め、何点か伺います。
1 医療的ケアを必要とする重症心身障害児者は増加しています。昨年4月9日時点で、東部療育センターの長期・短期入所者(総数107人)をみても、経管栄養の方は73人、モニター装着者の方は70人です。この10年で2倍、在宅の呼吸器装着者は10倍というスピードで増えているといわれています。都内の重症心身障害児者数をお示しください。
また、都内の入所施設数と定員について伺います。
2 東部地域には、医療的ケアのある重症心身障害児者のための外来、通所、入所のある総合療育センターは東部療育センター1つだけです。すでに長期入所は満床で、地域の保護者をはじめ関係者のみなさんから「医療的ケアのある入所施設を増設してほしい」と切実な声が寄せられています。また、東部療育センターの通所では、利用希望が多く、希望通りに利用できないとの声を聞いています。在宅では、家族は体力的にも限界にきている状況をどう受け止めていますか。
3 重症心身障害児者の入所施設の待機者は何人いますか。また、成人の待機者の平均年齢、年齢層について伺います。
4 東部療育センターのように濃厚な医療的ケアのできる重症心身障害児者施設を増設すべきと考えますが、いかがですか。
5 医療的ケアの必要な重症心身障害児者は医師と看護師両方の、適切な治療、指示、看護によって、安定した生活を過ごすことができます。一方、東部療育センターが満員で同センターを利用できない方々は、各区の施設(江東区塩浜福祉園、江戸川区みんなの家・虹の家等)に通うなどしていますが、そうした施設にいる医療関係者の常勤は看護師のみとなっています。各区の受け入れ施設には、東部療育センターの医師と看護師が巡回指導を行っており感謝されています。一方、東部療育センターの医師・看護師等人材確保が深刻で、利用者は、急な体調の変化に対応できるのか不安を抱えています。東部療育センターの医師と看護師の増員を求めますが、いかがですか。

二 私立幼稚園の事務負担の軽減について
教員の働き方改革が大きな課題となる中で、都教育委員会は、学校等に依頼する年間の調査件数が2017年度は947件あり、うち510件を見直しの対象とし、今年度10%の縮減目標は達成する見通しとのことです。
私たちのところに、私立幼稚園からも行政からの通知や連絡、調査が膨大にあり、減らしてほしいという切実な声が届いています。
1 私立幼稚園に対して、東京都は年間どのくらいの調査や通知を出していますか。
2 ある幼稚園では、昨年度は、都や市から年間364通のメールで通知や調査の連絡があり、1通のメールに複数のファイルが入っていることから実際の通知や調査の数はもっと膨れ上がるということでした。
また、今年度は新型コロナ対策に関するものや、幼児教育無償化の対応の関係で、さらに通知や調査の件数が増えていると伺っています。しかも、幼稚園の場合、園児が居住する自治体の数だけやりとりが必要になり、事務負担は膨大になっているということです。このような状況をどう認識されていますか。
3 幼稚園の事務負担についても、東京都として軽減するような取り組みが必要です。区市町村と協力しながら通知や調査については削減すること、合わせて事務に要する人件費補助を拡充するなど、働き方改革に資する取り組みが必要だと思いますが、いかがですか。

令和2年第一回都議会定例会
あぜ上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東部地域の医療ケアを必要とする重症心身障害児者療育施設について
1 医療的ケアを必要とする重症心身障害児者は増加している。都内の重症心身障害児者数を伺う。また、都内の入所施設数と定員について伺う。

回答
平成27年9月の国の社会保障審議会資料によれば、全国の重症心身障害児(者)の推計値はおよそ43,000人であり、全国人口に対する東京都人口の比率で計算すると、都内の重症心身障害児(者)は約4,300人と推計されます。
また、都内の重症心身障害児(者)入所施設は、令和2年4月1日現在9か所、定員は1,145人となっています。

質問事項
一の2 東部地域には、医療的ケアのある重症心身障害児者のための外来、通所、入所のある総合療育センターは東部療育センター1つだけである。すでに長期入所は満床で、「医療的ケアのある入所施設を増設してほしい」と切実な声が寄せられている。また、通所では、利用希望が多く、希望通りに利用できないとの声を聞いている。在宅では、家族は体力的にも限界にきている状況をどう受け止めているか、見解を伺う。

回答
在宅で生活する重症心身障害児(者)については、本人の加齢による身体機能の低下や、家族の高齢化等に伴う介護力低下などにより、支援が必要になることが考えられます。
都は、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、地域で安心して暮らせるよう、一時的に家庭での療育が困難になった場合に、施設等に短期間入所できる病床を一定数確保しています。
平成30年3月には、「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」を策定し、整備費の特別助成を行うなど、重症心身障害児(者)通所施設の整備を促進しています。
また、家族の休養等を目的に、看護師が自宅を訪問して家族に代わってケアを行う「在宅レスパイト事業」を実施する区市町村を包括補助で支援しています。

質問事項
一の3 重症心身障害児者の入所施設の待機者は何人いるか、伺う。また、成人の待機者の平均年齢、年齢層について、伺う。

回答
重症心身障害児(者)施設への入所を希望する場合、18歳未満は児童相談所、18歳以上は区市町村に申請した上で、待機者として登録されることとなっており、その人数は、平成30年度末で、526人となっています。
また、成人の待機者の平均年齢は約36歳で、その多くが20代から40代までとなっています。

質問事項
一の4 東部療育センターのように濃厚な医療的ケアのできる重症心身障害児者施設を増設すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都は、重症心身障害児(者)が、必要とするサービスを利用しながら、地域で安心して暮らせるよう、通所施設等の日中活動の場や短期入所などの地域のサービス基盤の充実を図っています。
また、重症心身障害児(者)の施設入所に当たっては、入所選考委員会を開催し、本人や家族の状況も踏まえて選考を行っており、今後も家庭の介護力や医療的ケアの状況に配慮しながら、必要な方が入所できるよう適切に対応していきます。

質問事項
一の5 各区の受け入れ施設には、東部療育センターの医師と看護師が巡回指導を行っており感謝されている。一方、人材確保が深刻で、利用者は、急な体調の変化に対応できるのか不安を抱えている。東部療育センターの医師と看護師の増員を求めるが、見解を伺う。

回答
職員については、児童福祉法や障害者総合支援法等の施設基準に基づく職員数を配置しています。
都は、重症心身障害児(者)施設で働く看護師を確保・育成するため、都立施設と民間施設が協力して採用活動や職員等への研修などを行う看護師確保対策事業を行っており、引き続き実施していきます。

質問事項
二 私立幼稚園の事務負担の軽減について
1 私立幼稚園に対して、都は年間どのくらいの調査や通知を出しているのか伺う。

回答
令和元年度、都が区市を通じて各園に周知した通知は204件、依頼した調査は20件です。

質問事項
二の2 ある幼稚園では、昨年度、都や市から年間364通のメールで通知や調査の連絡があり、今年度は新型コロナ対策や幼児教育無償化の関係で、さらに件数が増えていると伺っている。幼稚園の場合、園児が居住する自治体の数だけやりとりが必要になり、事務負担は膨大になっている。このような状況をどう認識しているか伺う。

回答
私立幼稚園に対して行う通知や調査は、教員免許状に関するもののほか、虐待事案の緊急点検や園児の集団移動経路の安全点検など、ほとんどが国から発出されたものですが、いずれも幼稚園を適切に運営するために必要なものであると認識しています。

質問事項
二の3 幼稚園の事務負担についても、都として軽減するような取り組みが必要だ。区市町村と協力しながら通知や調査については削減すること、合わせて事務に要する人件費補助を拡充するなど、働き方改革に資する取り組みが必要だが、見解を伺う。

回答
都が独自で行う調査等については、国との重複が生じないよう、あらかじめ国と調整しているほか、年度当初に区市に対して、その時期と調査内容を情報提供するなどの工夫を行っています。
また、事務職員の人件費については、私立幼稚園経常費補助等において、すでに補助対象経費としています。


2財主議第151号
令和2年5月26日
東京都議会議長
 石川 良一殿
東京都知事 小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和2年第一回東京都議会臨時会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

上田令子議員
山内れい子議員
宮瀬英治議員
中村ひろし議員

令和2年第一回都議会臨時会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策の現状と課題について
二 新型コロナウイルス感染症対策にかかる補正予算について
三 新型コロナウイルス感染症対策にかかる知事のトップマネジメントについて

一 新型コロナウイルス感染症対策の現状と課題について
1 保育園・学童保育対応について
ア 政府による緊急事態宣言の前後において登園自粛を実施している保護者に関して、保育園利用者に対する保育料の返金について各区市町村での対応にバラつきがあり、保護者が混乱する状況に陥りました。現時点の登園自粛にかかる、認可保育所、認証保育所、認可外保育施設それぞれの保育料返金の都の考え方と区市町村への対応をお示し下さい。
イ 現在、夫婦ともに医療従事者である、あるいは、ひとり親家庭で、働かざるを得ず、保育園・学童に通わせざるを得ない保護者等にも登園自粛要請があり、保護者並びに保育士を含む保育所に勤務する職員達の心労が重なっております。このような保護者の対応と、区市町村への通知等、都の対策と所見をお示し下さい。
ウ 感染リスクがある中、職業倫理に基づき業務に励む保育現場における、マスク・衛生備品等の提供等保育士等職員の感染防止策、保育士への特別手当等の対応が肝要であることが明らかになってきております。これまでの課題と解消に向けての現時点の防止策、手当等の対応・対策をご説明下さい。
エ 通常であれば、子ども達の人数によって事業所への補助や給付が行われますが、保育園・学童クラブにおいて、登園、通所自粛をした場合、その分支払われないとなると、運営の危機に陥るのではないか?と思料致します。事業者への支援対策について伺います。
オ 今般、緊急事態宣言をうけて、都型学童クラブの取り組みを行っていない区市町村の都型の民間学童クラブへも支援策が適用された。医療従事者等の保護者の貴重な保育資源となっていることから今後、都型学童クラブを実施していない区市町村で、都型学童クラブの承認を希望する事業者への門戸を広げる取り組みを行うべきと考えるが所見を伺う。
2 障がい者への支援体制について
ア 福祉作業所等においても感染拡大防止の観点から通所での支援を避けざるを得ない状況になっている。通常であれば、通所者人数によって事業所への補助や給付が行われますが、その分支払われないとなると、前述保育園等同様、運営の危機に陥るのではないか?と思料致します。通所自粛による工賃減少についても含め事業者へ支援対策について伺います。
イ グループホームにおいては、逆に福祉作業所等に通所しないとなれば、ホームで外出自粛することとなり、本来発生しない日中の職員人件費が発生してしまいます。この点の支援策について確認させて下さい。
ウ 放課後等デイサービス等の障がい児通所施設においては各事業者を通じて保護者へ利用自粛の依頼を行い利用者数は減ったものの、引き続き各事業者には電話等による支援が求められている。各施設の職員にも感染拡大防止の観点から在宅勤務等を推奨する為の事業者への支援対策について伺います。
3 休校措置について
ア オンライン学習環境整備ですが、12億円で全ての児童・生徒に、タブレット貸与を始めとした家庭学習支援がどのようにして行き渡るのでしょうか。また、教職員分についても包含されているのでしょうか。
イ オンライン学習には不可欠なタブレット端末等をどう用意していくのか、都の所見を伺います。
ウ 米国では教員が、勉強についていけない子どもの家の軒先で社会的距離をとって、ホワイトボードを使って教える、オンライン授業が出来る体制が整って無い地域では、毎週月曜日一週間分の勉強セットをドライブスルー形式で配っている等、工夫をしながらの学習支援を実施しているとのことです。今、東京においてもオンライン学習整備が整わない中で、出来ることをアナログでも実施することが肝要だと思います。現時点なされている公立小中学校、都立学校における学習支援をお示しの上、今後まずは出来ることをどうするかの都の所見を伺います。
エ 先んじてロックダウンや非常事態宣言を行った、欧米諸国において、家庭内暴力や虐待が急増との報道もなされています。学習支援と同時に、教員が社会的距離に十分に配慮しながら家庭訪問、電話、あるいはビデオ通話を駆使して、子どもの心身の健康及び、虐待の早期発見に努めるべきと考えますが、現時点の対応策を伺います。
4 子育て支援について
妊婦支援を10億円とした積算根拠と、どう妊婦に周知し、必要とした全ての妊婦に行き渡るのか、例えば10億円に達したら打ち切りにするのか、予算が足りない場合も含め対応を伺います。
5 休業要請及び感染拡大防止協力金について
業界団体に忖度せず個人に寄り添い、不正受給を防ぎ不公平のないスピード感をもった支払いを願うものです。補助金や助成金のような負担付き贈与ではなく、渡切りとなるのでしょうか。渡切りとするなら、不正受給対策はどうするのか、不正受給者へのペナルティーや返還請求はどうするのか詳細をご説明下さい。
6 医療体制について
ア 3月に入って直ぐに私は、感染症指定医療機関である都立病院でのマスク不足を指摘させて頂いておりました。節約しながらも問題はないという回答を得ていましたが、当該病院で院内感染ともとれる医療従事者・患者の感染者が報告されています。都立病院において、これまでどう対応し、現時点でのマスク等衛生備品の充足・不足等現状、異例の事態において調達先を柔軟に対応できているのか伺います。
イ 複数の感染者が発生していることを重く受け止め一日も早く、都立病院の全医療従事者のPCR及び抗体検査の実施をかねてより願っておりましたが、検討はしていないのか現時点の所見を伺います。
ウ 新宿区や墨田区で独自にPCR検査体制を整え始めています。都では都内各自治体が独自で進めているPCR検査の実施体制、および検査結果による医療機関や宿泊施設等への振り分けフローの構築状況や実施状況を各区・市の状況それぞれをどのように、またどこまで現状把握しているのか、その内容についての説明とともに、PCR検査の都の現時点の考え方と感染者対応につき伺います。
エ 東京都の新型コロナ感染症対策病床数の現時点の数字と充足・不足状況を医療機関への働きかけの状況を踏まえて伺います。
オ 宿泊施設活用事業について、現時点の施設数と病床数、稼働状況、医師、看護師、東京都職員か、委託か、ホテル従業員なのか内訳のわかる窓口対応体制、と稼働率、感染防止対策について伺います。
カ 新型コロナウイルス感染者の中で自宅待機もしくは自宅治療を続けている患者数の把握及び都の公表スタンスについて伺います。
キ 生命の危険がある救急患者以外の救急患者の受け入れについて新型コロナウイルス感染症を疑う症状を有する場合には、患者の緊急度等を踏まえて、都道府県調整本部と調整する事となっているが、具体的に東京都では現在までどの様な調整を行ってきたのか、また行っているのかについて伺います。
ク 都立病院において「東京都職員の特殊勤務手当に関する条例」により「第六条 防疫等業務手当は、次に掲げる場合に支給する。一 都立病院その他の機関に所属する職員が、感染症患者の治療、看護その他の業務に従事したとき、感染症病原体その他これに準ずるものに接触する業務に従事したとき、又は血液透析若しくはこれに伴う業務に従事したとき。」とし、「従事した日一日又は一勤務につき七百二十円」と定められています。医師不足も叫ばれて久しく、社会通念上も感染の危険をともなう業務にも関わらず720円の金額が妥当なのか、今般の事案を受けて見直すことはないのか、これまでの運用と現時点の所見を伺います。
ケ 看護師の中には、子どもが、母親が都立病院で働いていることを理由に、友達に避けられたり(友達の親に避けるよう仕向けさせられている)することがあるようです。職員は皆人間で、ストレスと闘いながら仕事を続けています。その心の糸は簡単に切れます。小池知事は毎日のようにメディア露出していますが、職員に対する風評被害を守るために東京都でできることを率先して実施すべきと考えますが現時点の検討していること、所見について伺います。
コ 都立病院において、今憂慮すべきは、院内感染が広がることによる患者や医療者の感染者の増大とそれによる死亡と、もう一つ、職業倫理によってのみ支えられてきた医療者の戦意喪失と、それによる大量の離職です。これは、病院の崩壊に直結します。すでに、病棟事務職員が多数離職したと仄聞しております。大量退職者を防ぐためには、個人防護具などを病院が準備し、職員を守る姿勢と行動を見える化することも大切です。多くの背景を持った様々な職員によって支えられていることを忘れてはいけないのではないでしょうか。マスク不足の指摘も、幹部職ではなく現場職員の声が世論を動かし社会問題になりました。本来日常からそうあるべきでしたが、有事にあって現場の医療従事者の意見や要望を反映すべきではなかったでしょうか?この点について、感染症医療機関を中心に、現在の都立病院のマネジメントのあるべき姿、所見について伺います。
7 マスクの調達について
予算が全額、速やかに執行できるよう、調達の目途が付いているのか、その質は検品などして無駄を防いでいるか確認します。また、予算成立後に調達手続きに入るとしたら、現場にはいつ頃、届けられるかについても伺います。
8 フリーランス支援について
ア 「フリーランスを含む個人事業主向け施策を紹介する特設サイト設置」とのことですが、目の前の生活費に事欠く方々への直接的な経済支援となるのか疑問です。東京都におけるフリーランスの経済支援の所見を伺います。
イ アーティスト支援について、4千人とした選定根拠は何か、4千人に達したら打ち切りにするのか足りない場合の対応をどうするか伺います。
9 外国人対応について
自らの感染を疑う外国人が、PCR検査等問い合わせをするも、言葉の障壁により手続きが理解できないなどの問題が発生しています。現時点の外国人対応につきご説明下さい。

二 新型コロナウイルス感染症対策にかかる補正予算について
1 補正予算の編成について
令和2年度4月補正予算(以下、「補正予算」といいます。)について伺います。
ア 補正予算編成の検討の着手の時期と議会への提案までのプロセスにつき、時系列でお示し下さい。
イ 補正予算は、「新型コロナウイルス感染症と都民生活や経済等への影響に対する「東京都緊急対策(第四弾)」に掲げる施策のうち、6月までに着手すべき事項について、予算上の措置を講じます。」と編成の考え方にありますが、事業の取捨選択について、ご説明下さい。
ウ 財源については、多くを財政調整基金の切り崩しで対応しています。有事においては致し方ないと考えますが、財政規律の観点から、何かを支出するということは、何かを削らないとなりません。出すばかりではない「溢れんばかりの贅肉をつけた」本予算の「マイナス補正予算」が喫緊に必要。まずはこの420件もの新規事業の中から不要不急事案は凍結すべきです。この点につき、今後の検討はどうするか、支出全体の見直しを含む補正を行うか、ご所見を求めます。
2 条例の制定について
「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」を議会にはからず専決した件についてですが、新型コロナウイルス感染症は、すでに1月末から深刻化する可能性がある問題がわかっていたわけですから、十分第1回定例会中に提案できたはずではなかったかという観点から、同条例について、伺います。
ア 条例の検討の着手の時期と議会への提案までのプロセスにつき、時系列でお示し下さい。
イ 本年第一回定例会中の提案を考えなかったのか、理由を含めてご説明下さい。
ウ 提案をオリンピック・パラリンピック競技大会延期決定まで待っていたようなことはないのか、お答え下さい。

三 新型コロナウイルス感染症対策にかかる知事のトップマネジメントについて
1 緊急事態宣言について
令和2年第一回定例会において、新型コロナウイルス感染拡大問題が急浮上している中、施政方針演説、代表質問・一般質問が行われました。大都市東京の児童・生徒を守るため、感染者の有無が確認される前に都教委も休校に舵取りをして欲しく、政府指示を待つのではなく都の率先した対応を求める会派がいることを期待したのですが、残念ながら最大会派都民ファーストを筆頭にどの会派も、全校休校の判断を求めるには至りませんでした。
そこで、2月27日午前、私は自由を守る会代表として、休校を求める緊急請願を小池百合子知事と藤田裕司教育長に提出したところ、同日夕方に急転直下で内閣総理大臣が全国小中学校休業要請を公表。元都職員である鈴木直道北海道知事が堂々「政治判断は結果がすべてなので、その結果責任は知事が負います」と表明した一方結局、小池知事は自ら「東京の子ども達をどうするか」率先した指針も示されず、休校においては「遅いくらいだ」と政府と総理を皮肉るような発言をし、都独自の対策も方針も示すこともありませんでした。
米国においては、サンフランシスコ市長は2月25日に、トランプ大統領は3月13日、スペインでは非常事態宣言、フランスでは3月17日に外出禁止令が出されている最中も、3月14日に小池知事は「五輪中止や無観客ありえない」と発言し、日本政府・IOC・東京都は、オリンピック・パラリンピックは「中止にはせず」「完全な形」で「違うシナリオ検討している」という謎解きのような言葉を繰り返し、3月14日に小池知事は「五輪中止や無観客ありえない」と発言され、抜本的なコロナ対策について具体的な対策の表明を、先送りにし続けました。
政府はこの際仕方ないとしても、地方分権の時代、法的根拠がないと批判をされても「緊急事態宣言」を発して感染防止を最小限にとどめようと奮迅された鈴木直道北海道知事、吉村洋文大阪府知事は県民・府民を守るために、厚労省資料を情報公開し、3月の3連休に外出自粛を求める等機動的な判断を下す一方、小池百合子東京都知事の動きは、オリパラ延期の方向性が明らかになってきた3月23日記者会見で突如として「首都封鎖ありうる。オーバーシュート発生か否かの分かれ道」、3月25日は今更ながら「感染爆発の重大局面」「週末の外出自粛要請」と言い渡し、都民はスーパーに殺到。3月30日の記者会見においては、ようやく腹をくくってくれるのかと期待していたところ「緊急事態宣言は国家の判断」と要請から逃げ「夜間から早朝にかけて営業しているバー、そしてナイトクラブ、酒場への出入りをお控え下さい」とするにとどまりました。
首長は、リコール制度と個人の賠償責任を負っており、執行責任を取れる範囲を超えた判断を渋る気持ちもわからないでもありません。もちろん、そもそもの特措法のしくみからすれば、都道府県知事になんら権限はなく、あくまでも緊急事態宣言を発令するのは政府であり、それを受けて動くのが知事であることは言うまでもありませんが、小池知事は他の知事より増して、総理と直接会談する機会が何度もあったわけですから、地方自治体が地域住民を守るために欧米並みの厳しい措置を講じられるよう日本の首都の「ガバナー」として「緊急事態宣言」を求めるべきでした。
また、元東京都職員の鈴木直道北海道知事のように、法的根拠があろうとなかろうと東京都独自にて2月末に「TOKYO緊急事態宣言」を発し現在のような「3密回避」「外出自粛」を都民に要請すべきだったのではないでしょうか。この一ヶ月のロスは非常に大きく、連日の感染者の増加、都立病院における院内感染、危機的な医療体制を鑑みれば致命的かつ、遅きに失したと私は断言させて頂きます。
これまで、知事が何に忖度し、3月23日まで「緊急事態宣言」を政府に要請せず、自ら独自決断もせず、対策・対処の先延ばしをしてきたのか、本日時点で感染者は3千人を超えて、医療体制も危機的状況目前となっている現状についての行政責任・政治責任・都民に対するあらゆる責任を感じていないのか知事のご所見を伺います。
2 小池知事のメディア露出について
都民より、連日の知事のTVCM、YouTube動画等につき「都民の税金で、予算数億で大量のTVCM、タレントとコラボ、専門スタッフのYouTube撮影、お手紙等々自らの懐は一円も痛めず、徹底的に自分の名前と顔を売り込む事実上の公費を使った選挙対策、自己アピールファーストではないか?」との声が上田のもとに届きました。私も、都バス、都営地下鉄あらゆる場で、小池知事個人の広告や動画が目につき、公費をつかった選挙活動ととらえかねないのではないか、と懸念するものです。
ア 注意喚起を促すのであれば、現場の医療従事者、奮迅する職員や専門家が心に訴えかけるはずですし、露骨なまでに知事ばかりが露出する必要性を感じません。つきましては、まず、感染防止の呼びかけにおける基本的な考え方と決定に至るまでの経緯、新型コロナウイルス感染防止対応について小池知事が登場する、これらすべての広告等の費用につき項目、支払い先も含めご説明下さい。
イ TVCMや都の広報番組では「東京都知事の小池百合子です。」と冒頭で述べ、「小池百合子」という字幕が同一画面に2か所も表示されるなど、知事の個人名が再三、強調されていますが、その必要があるのか、単に「東京都からのお知らせ(お願い)です。」と述べれば十分ではないか、知事のご所見を求めます。
ウ 本年7月5日には知事選挙が予定されていますが、イのような様態につき、公職選挙法等選挙関係法規上の留意点はないか、都選挙管理委員会の見解をお示し下さい。
3 小池知事の去就について
昨今、知事は安倍首相や政府・与党幹部と会合を持っていると報じられ、知事選挙に語られたともいわれておりますが、本年になってからの会合の頻度と内容、新型コロナ対策と知事選挙どちらに力点が置かれていたのかにつき、都民の疑念と不安をとく観点から、説明責任を果たして下さい。
4 新型コロナ流行下の選挙執行について
新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言が発出される中、4月19日には目黒区長選挙が執行されました。また、本年7月5日には都知事選・都議補選が予定されています。選挙運動はもとより、投開票事務における「3密」の回避は不可欠です。投開票所がクラスターになるようなことはあってはなりません。
ア まず、選挙事務における感染症予防対策の留意点をお示し下さい。
イ アにつき、区市町村への周知はされているか、現状と今後の取り組み・支援につき、ご説明下さい。
ウ 感染症や自然災害等の不可抗力により選挙の時期が変更されたり、投票所が閉鎖されたりした例をご説明下さい。
エ 選挙の時期の変更をするための手続きと判断基準につき、ご説明下さい。
オ 新型コロナ感染症の蔓延により選挙の執行が不能となった場合、誰がどの時点で判断するのか、その場合、それに代わる選挙をどのように執行するのか、現行法制の下、取り得る方法につき、ご説明下さい。また、判断基準があれば、お示し下さい。

令和2年第一回都議会臨時会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策の現状と課題について
1 保育園・学童保育対応について
ア 現時点の登園自粛にかかる、認可保育所、認証保育所、認可外保育施設それぞれの保育料返金の都の考え方と区市町村への対応を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症により認可保育所等が臨時休園等した場合の利用者負担額は、国の「新型コロナウイルス感染症により保育所等が臨時休園等した場合の「利用者負担額」及び「子育てのための施設等利用給付」等の取扱いについて」(令和2年2月27日付事務連絡)及び「新型コロナウイルス感染症により保育所等が臨時休園等した場合の「利用者負担額」の取扱いについて」(同年3月27日付事務連絡)により、保育の提供を受けた日数分の保育料を日割りにより計算して得た額とされています。
都は、国の事務連絡やFAQの受領の都度、速やかに区市町村へ周知するとともに、区市町村からの問合せ等に対応しています。
また、都は、臨時休園等を行った認証保育所に対し、利用者負担減額等のための経費を補助する区市町村を支援しており、この取組について区市町村に通知するとともに、都のホームページを通じて広く周知しています。
認可外保育施設は、利用者との直接契約により、各施設が利用料を設定しており、臨時休園等の場合の取扱いも、各施設が利用者との契約に基づいて判断しています。

質問事項
一の1のイ 保護者並びに保育士を含む保育所に勤務する職員達の心労が重なっている。このような保護者の対応と、区市町村への通知等、都の対策と所見を伺う。

回答
都は、緊急事態宣言を受けて医療、交通、金融、社会福祉等の社会生活を維持する上で必要なサービスについては、継続を要請することとし、こうしたサービスに従事しているなど、仕事を休むことが困難な保護者には、確実に保育等を提供するよう、令和2年4月9日付けで区市町村に協力を要請しました。
保護者が働いている家庭の子供たちが、安全・安心に過ごせるよう、区市町村と連携して保育所や学童クラブ等を支援しています。

質問事項
一の1のウ これまでの課題と解消に向けての現時点の防止策、手当等の対応・対策を伺う。

回答
今般のマスクの不足状況に鑑み、都は、都内の医療機関や社会福祉施設等での感染防止策の向上を図るため、今回議決いただいた補正予算34億円により、施設等にマスクを提供しています。
保育所や学童クラブ等の職員には、1日1枚2か月分を配布することとし、5月から順次発送しています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、保育所等が臨時休園等をした場合や、区市町村の要請により、保護者が児童の登園等を自粛した場合については、その期間、保育等の実施が継続されているものとして、通常どおり、施設型給付等を支給します。
また、臨時休園等により各種加算の要件を満たせない場合についても、要件が満たされているものとして、各種加算を支給します。

質問事項
一の1のエ 子ども達の人数によって事業所への補助や給付が行われるが、保育園・学童クラブにおいて、登園、通所自粛をした場合、その分支払われないとなると、運営の危機に陥るのではないかと思料する。事業者への支援対策について伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の影響で、保育所等が臨時休園等をした場合や、区市町村の要請により、保護者が児童の登園等を自粛した場合については、その期間、保育等の実施が継続されているものとして、通常どおり、施設型給付等を支給します。
また、臨時休園等により各種加算の要件を満たせない場合についても、要件が満たされているものとして、各種加算を支給します。

質問事項
一の1のオ 今後、都型学童クラブを実施していない区市町村で、都型学童クラブの承認を希望する事業者への門戸を広げる取り組みを行うべきと考えるが所見を伺う。

回答
学校等の公設の場において放課後に全児童を対象とする放課後対策事業を実施している等の理由で、民設民営の学童クラブを補助対象としていない自治体があることは把握しています。
学童クラブに対する補助は、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて判断し、実施するものです。

質問事項
一の2 障がい者への支援体制について
ア 通所自粛による工賃減少についても含め事業者へ支援対策について伺う。

回答
国は、「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について(第4報)」(令和2年4月13日付事務連絡)において、就労継続支援事業所等は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から通所での支援を避けた場合でも、利用者の居宅等でできる限りの支援の提供を行ったと区市町村が認めた場合には、報酬を算定することができるとしています。
また、「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について(第2報)」(同年3月2日付事務連絡)において、事業所の職員の処遇が悪化しない範囲で、事業所に支払われる自立支援給付費を工賃に充てることが可能とされており、都はこうした取扱いを区市町村及び事業所にメールでお知らせするとともに、都のホームページ「東京都障害者サービス情報」に掲載し、周知しています。

質問事項
一の2のイ グループホームにおいては、逆に福祉作業所等に通所しないとなれば、ホームで外出自粛することとなり、本来発生しない日中の職員人件費が発生してしまう。この点の支援策について伺う。

回答
グループホームの入居者が通所する障害福祉サービス事業所が休業要請を受けた場合等については、国から、「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第4報)」(令和2年4月9日付事務連絡)が示されています。
この中で、グループホームの職員が、入居者に対して昼間に必要な支援を行った場合、日中活動サービスを利用できない期間が月に3日以上あるときは、グループホームの「日中支援加算(Ⅱ)」の算定対象として差し支えないとされており、都はこうした取扱いを区市町村及び事業所にメールでお知らせするとともに、都のホームページ「東京都障害者サービス情報」に掲載し、周知しています。

質問事項
一の2のウ 放課後等デイサービス等の各施設の職員にも感染拡大防止の観点から在宅勤務等を推奨する為の事業者への支援対策について伺う。

回答
今般の学校の臨時休業に関連した放課後等デイサービス事業所の対応について、国の通知等では、事業所への通所サービスを縮小又は臨時休業する場合でも、児童の居宅等において、事業所が児童の健康管理や相談支援を行うことは、家庭の孤立化防止や、支援が必要な状況になった際の適切な介入のきっかけとなることから重要であるとされています。
また、児童の円滑な通所再開のためにも、事業所と保護者、児童がコミュニケーションを継続することが望ましいとされています。
このため、学校の臨時休業期間中は、通常の通所サービスではなく、児童の健康管理や相談支援について、居宅へ訪問するほか、感染の拡大を抑制するため、職員が在宅においても支援が可能な音声通話、Skype等により、代替的に提供したサービスについても報酬算定が可能とされており、都は、こうしたことについて、事業者へ周知しています。
なお、事業所が職員に在宅勤務をさせる際には、個人情報の管理を徹底し、情報の漏えい等が発生しないよう細心の注意を払うことが必要です。

質問事項
一の3 休校措置について
ア オンライン学習環境整備だが、12億円で全ての児童・生徒に、タブレット貸与を始めとした家庭学習支援がどのようにして行き渡るのか。また、教職員分についても包含されているのか伺う。

回答
学校の休業が続く中、都内公立小中学校の児童・生徒の家庭における学習を保障するためには、ICTを活用していくことが必要です。
文部科学省は、令和2年4月21日付2文科初第154号「新型コロナウイルス感染症対策のために小学校、中学校、高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について(通知)」において、「家庭のパソコンやタブレット、(中略)等の活用、学校の端末の持ち帰りなど、ICT環境の積極的な活用に向け、あらゆる工夫をすること。」と通知しています。
都教育委員会は、全ての児童・生徒の家庭におけるオンライン学習環境を整備するため、区市町村教育委員会に対し、まずは家庭のパソコン等の活用を促すこと、さらに、家庭にパソコン等が不足している場合は学校の端末を貸与することを依頼しています。また、こうした区市町村の取組を支援するため、学校の端末を家庭でも利用できるようにするための設定変更、通信のためのルータの貸出し、学習支援クラウドサービスの利用などの費用に対する区市町村への補助金として、令和2年第一回臨時会において約12億円を補正予算で措置しました。
なお、教職員については、学校の設置者が配備する端末で対応するものと考えています。

質問事項
一の3のイ オンライン学習には不可欠なタブレット端末等をどう用意していくのか、所見を伺う。

回答
臨時休業中の家庭学習を支援するため、都教育委員会は、家庭のパソコン等の活用を促すとともに、家庭の端末がない児童・生徒に対しては、学校にある端末の貸与を依頼し、区市町村教育委員会に必要な費用を補助しています。都教育委員会は、全ての児童・生徒の学習環境を整備できるよう、区市町村教育委員会を支援していきます。
また、国は、小中学校において1人1台端末などを整備するGIGAスクール構想を進めています。学校の臨時休業を受け、1人1台端末を早期に実現する必要があることから、当初、令和5年度までとしていた端末の整備計画を、国は4月30日に成立した補正予算において、令和2年度に前倒しできるよう予算を措置しました。
区市町村教育委員会は、端末に係る補助金の交付申請を、都を経由して国に行い、導入を進めていきます。都教育委員会は、端末の確保について国と連携するなどにより、区市町村教育委員会が令和2年度中に1人1台端末を速やかに導入できるよう、支援していきます。

質問事項
一の3のウ 東京においてもオンライン学習整備が整わない中で、出来ることをアナログでも実施することが肝要である。現時点なされている公立小中学校、都立学校における学習支援をお示しの上、今後まずは出来ることをどうするか、伺う。

回答
各学校においては、教科書及びそれと併用できる教材等に基づく学習課題を、郵送や電子メール等により配布したり、ホームページへ提示したりするなどして、児童・生徒が家庭学習に取り組めるよう支援しています。
その際、児童・生徒自らが1日ごとの学習計画を立てられるよう、計画性を持った家庭学習となるように指導しています。
今後も、電話や電子メール等を活用して教員が定期的に児童・生徒の学習状況を把握し、必要な支援を行っていきます。

質問事項
一の3のエ 学習支援と同時に、教員が社会的距離に十分に配慮しながら家庭訪問、電話、あるいはビデオ通話を駆使して、子どもの心身の健康及び、虐待の早期発見に努めるべきと考えるが、現時点の対応策を伺う。

回答
都教育委員会は、臨時休業期間となった当初から、各学校の学級担任等が中心となり、電話等を通じて、児童・生徒や保護者と定期的に連絡を取り、心身の健康状態を把握するとともに、個別の対応が必要な児童・生徒に対して、感染症対策を徹底した上で、学校において直接対面での相談や支援を行うことについても可能であるとの考えを示しています。
臨時休業が長期化している状況を踏まえ、令和2年5月5日付「新型コロナウイルス感染症対策における「緊急事態宣言」の延長に伴う都立学校の対応について(通知)」に基づき、特に、不登校傾向や児童虐待の疑いのある等の配慮を要する児童・生徒については、必ず1週間に1回以上の割合で、電話等を通じて連絡を取るとともに、必要に応じて、子供家庭支援センターや児童相談所などの関係機関と連携し、適切な支援を行っています。

質問事項
一の4 子育て支援について、妊婦支援を10億円とした積算根拠と、どう妊婦に周知し、必要とした全ての妊婦に行き渡るのか、例えば10億円に達したら打ち切りにするのか、予算が足りない場合も含め対応を伺う。

回答
都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して継続的な支援を行うゆりかご・とうきょう事業を、令和2年度に大幅に拡充し、とうきょうママパパ応援事業として新たに開始しました。今回、妊婦の新型コロナウイルス感染防止と不安解消の観点から、本事業を一部拡充しています。
具体的には、妊婦健診などの際のタクシー移動に使えるチケットや、マスクなど感染防止のための衛生資材等を育児パッケージとして配布し、必要な支援や状況把握等を行う区市町村を支援するものであり、費用を1万円と設定し、対象となる都内の妊婦を、近年の出生数を参考に10万人と想定して見積もっています。
実施主体である区市町村は、妊娠届時の説明や、ホームページ等により事業の周知を行います。
令和元年度に、ゆりかご・とうきょう事業を実施していた区市町村数は、19区27市町村であり、都は、本事業に取り組む全ての区市町村を支援していきます。

質問事項
一の5 休業要請及び感染拡大防止協力金について、補助金や助成金のような負担付き贈与ではなく、渡切りとなるのか。渡切りとするなら、不正受給対策はどうするのか、不正受給者へのペナルティーや返還請求はどうするのか詳細な説明を伺う。

回答
協力金は、負担金ではなく、報償費として支給を行います。
不正受給対策としては、申請に当たって営業実態や休業の状況に関する資料を求めるほか、税理士や青色申告会等の専門家による事前確認を経るなど、適正な審査を効率的に進めていく仕組みとしています。
また、協力金支給の決定後、申請要件に該当しない事実や不正等が発覚した場合は、協力金の支給決定を取り消すこととしています。この場合、申請者に対し、協力金の返金とともに、協力金と同額の違約金を求めることとしています。

質問事項
一の6 医療体制について
ア 都立病院において、これまでどう対応し、現時点でのマスク等衛生備品の充足・不足等現状、異例の事態において調達先を柔軟に対応できているのか伺う。

回答
都立病院においては、患者の診療に際して、サージカルマスクの着用及び手指消毒による標準予防策を徹底するとともに、特に新型コロナウイルス感染者に対しては、N95マスク、眼を防護するゴーグルやフェイスシールド、ガウン及び手袋を装着し、感染防止策を図っています。
感染の拡大による対応の長期化、感染者の増加により、医療従事者がマスク等の防護具を使用する頻度が増えており、全国的にマスク等の需要が増大する一方で、供給が不安定な状況になっています。こうしたことから、都立病院では、適切な使用方法の下、使用数の節約に努めていますが、現時点では、感染防止のために診療等で必要な防護具を着用できるよう確保しています。
このような状況において、都では、令和2年3月以降、過去に取引実績のない業者も含め約30社に取扱品目及び納入可否の照会を行い、サージカルマスクを約88万枚確保するなど、新たな調達先の確保にも取り組んでいます。
引き続き、都立病院における医療用資機材を確保していきます。

質問事項
一の6のイ 複数の感染者が発生していることを重く受け止め一日も早く、都立病院の全医療従事者のPCR及び抗体検査の実施を検討はしていないのか現時点の所見を伺う。

回答
一部の都立病院において、患者及び職員の新型コロナウイルス感染が多数発生していることを重く受け止めています。
PCR検査については、原則として厚生労働省の通知に定められる検査対象者の規定に従って実施されます。院内での感染者が確認された場合には、保健所の指導を仰ぎながら、感染症専門医の意見も踏まえてその対象を判断します。
また、全医療従事者の抗体検査については、4月末現在、国内において薬事承認されている検査キットが存在していないこと、今後、国や学会等で精度等の検証を重ねていく段階にあることなども考慮し、引き続き、その動向を注視していきます。

質問事項
一の6のウ 都では都内各自治体が独自で進めているPCR検査の実施体制、および検査結果による医療機関や宿泊施設等への振り分けフローの構築状況や実施状況を各区・市の状況それぞれをどのように、またどこまで現状把握しているのか、その内容についての説明とともに、PCR検査の都の現時点の考え方と感染者対応につき伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症が疑われる方には、新型コロナ外来等を受診いただき、医師による総合的な判断に基づいて必要な方にPCR検査を実施しています。
検査の実施状況は、東京都健康安全研究センターで実施しているものに加え、令和2年5月8日からは、医療機関の協力により、民間検査機関で実施している保険適用分の検査数も毎日報告いただき、都内の検査実施状況を日ごとに把握しています。
また、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」(令和2年5月8日付事務連絡)により、国から新たな相談・受診の目安が示され、必要な方には速やかに新型コロナ受診相談窓口やかかりつけ医に相談いただくよう、呼びかけが行われたことから、検査者数の増加も見込まれるため、都としても、新型コロナ外来や検査を集中的に実施する地域外来・検査センターでの受診体制を拡充することが必要と考えています。
現在、地域の実情に即した体制整備を速やかに進めるため、東京都医師会や保健所等と協議を行っています。
PCR検査の結果、陽性となった方で、入院が必要な場合は、各保健所から東京都新型コロナウイルス感染症対策調整本部へ報告され、医師による助言も得ながら、速やかに入院できるよう調整を行っています。
また、必ずしも入院治療が必要でないと医師が総合的に判断した無症状病原体保有者や軽症者は、都が設置した宿泊施設等で療養いただき、健康観察を行うこととしています。

質問事項
一の6のエ 都の新型コロナ感染症対策病床数の現時点の数字と充足・不足状況を医療機関への働きかけの状況を踏まえて伺う。

回答
都は、感染症指定医療機関や都立・公社病院をはじめ、高度医療を担う大学病院等や公立・公的医療機関、民間医療機関に新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるための病床確保を要請し、段階的に確保数を増やすこととしており、令和2年4月時点で約3,300床確保しました。
患者を受け入れる医療機関に対しては、設備整備の支援や空床確保料の支払等により、受入体制の充実強化を図り、体制整備を進めています。

質問事項
一の6のオ 宿泊施設活用事業について、現時点の施設数と病床数、稼働状況、医師、看護師、東京都職員か、委託か、ホテル従業員なのか内訳のわかる窓口対応体制、稼働率、感染防止対策について伺う。

回答
都は、令和2年4月7日から、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる宿泊療養施設の運営を開始し、5月5日時点で、5か所の施設合計約2,800室を確保しています。
宿泊療養施設は患者が退出した部屋を消毒する期間を設けて運用するなど、確保した部屋を同時に全て使用しない運用を行っているため、稼働率を算定することは困難ですが、5月19日までに累計で707人の方を受け入れています。
現在、宿泊療養を行っているホテルでは、療養者の健康観察は医師や看護師が行い、食事の準備や清掃などの生活支援は都などの職員やホテル従業員が対応しています。
医療従事者は、東京都医師会や大学病院、都立・公社病院、東京都健康長寿医療センター等に依頼し、派遣していただいています。都などの職員については、施設それぞれの規模や運営体制により異なりますが、日中は各施設10人程度が勤務しており、ホテル従業員については、業務内容により日によって人数が異なります。
感染防止対策については、防護具の着用が必要な業務に従事する職員及びホテル従業員には、事前に防護具の着脱訓練を含めた研修を実施しています。
施設内は、専門家の指導を受けて、清潔区域と汚染区域とに区分けし、スタッフは極力清潔区域内で活動し、食事の準備などやむを得ず汚染区域に入る際には、療養者との接触を避けるため時間差を設けることや、必要な防護具を装着するなどの感染防止対策を講じています。

質問事項
一の6のカ 新型コロナウイルス感染者の中で自宅待機もしくは自宅治療を続けている患者数の把握及び都の公表スタンスについて伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の患者のうち、入院が必ずしも必要でない無症状や軽症の方は、宿泊施設で療養いただき健康観察を行うことを基本としており、特段の事情により自宅で療養される場合も、各保健所が健康観察を行っています。
また、療養中に健康状態が悪化した場合には、速やかに医療機関を受診いただくこととしています。
現在、都内各保健所に都職員を派遣し、個々の患者の入退院の状況や宿泊療養先、自宅で健康観察中の方の情報等のデータを整理しており、この患者のデータを、都と保健所とで共有した上で、入院調整や患者支援を円滑に行う取組を進めています。また、陽性患者数については入院、宿泊療養、自宅療養等に区分して公表しています。

質問事項
一の6のキ 生命の危険がある救急患者以外の救急患者の受け入れについて新型コロナウイルス感染症を疑う症状を有する場合には、患者の緊急度等を踏まえて、都道府県調整本部と調整する事となっているが、具体的に都はどの様な調整を行ってきたのか、また行っているのかについて伺う。

回答
都は、東京都新型コロナウイルス感染症対策調整本部を設置し、患者や病院の空床等の情報を一元的に管理し、医師の助言を得ながら、病院や保健所と連携して入院調整を進めています。

質問事項
一の6のク 都立病院において「東京都職員の特殊勤務手当に関する条例」により「従事した日一日又は一勤務につき七百二十円」と定めている。医師不足も叫ばれて久しく、社会通念上も感染の危険をともなう業務にも関わらず720円の金額が妥当なのか、今般の事案を受けて見直すことはないのか、これまでの運用と現時点の所見を伺う。

回答
特殊勤務手当については、社会経済情勢や勤務環境の変化、国や民間、他団体との均衡等を考慮しつつ、これまでも不断の見直しを行っています。
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、感染の危険性の高い業務に従事する医療従事者等について、民間医療機関への支援策と同様に、特殊勤務手当の上限額を3,000円とする特例措置を実施することとし、令和2年第二回都議会定例会に条例改正案を提出する予定です。

質問事項
一の6のケ 職員に対する風評被害を守るために東京都でできることを率先して実施すべきと考えるが現時点の検討していること、所見を伺う。

回答
広報東京都4、5月号やホームページ「じんけんのとびら」、新型コロナウイルス感染症対策の動画を通じて、不確かな情報に惑わされて医療従事者等の人権侵害につながることのないよう、都民に対するメッセージを発信しています。

質問事項
一の6のコ 感染症医療機関を中心に、現在の都立病院のマネジメントのあるべき姿、所見について伺う。

回答
感染症医療は、法令等により対応が求められる典型的な行政的医療であり、新型インフルエンザやエボラ出血熱等の患者受入れはもとより、専門医療スタッフの確保や専用の設備、医療資機材等の整備など平時からの備えが必要となる医療として位置付けています。
こうした中、現在は、感染症指定医療機関である都立駒込、墨東、公社荏原、豊島病院の4病院を中心に、地域の医療機関では対応困難な患者や、量的な不足にも対応するなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の段階に応じて求められる役割を果たしていくことが重要と考えます。
また、日々、現場からのニーズを速やかに把握しつつ、患者対応に当たっている現場職員の安全管理や健康管理等にも十分に配慮するなど、今後も継続して安定的に感染症医療を提供する体制を確保していきます。

質問事項
一の7 マスクの調達について、予算が全額、速やかに執行できるよう、調達の目途が付いているのか、その質は検品などして無駄を防いでいるか確認する。また、予算成立後に調達手続きに入るとしたら、現場にはいつ頃、届けられるかについても伺う。

回答
都は、複数の業者から聞き取りや見積書の徴取を行い、6,400万枚の調達の目途を付けて契約手続を進めてきました。
仕様書では、マスクの形状や品質等のほか、納入したマスクに不良品があった場合は、業者が速やかに交換を行うことを定めています。
また、契約に当たっては、見本を都に提出させており、仕様書に定める品質を満たすことを確認しています。
買い入れたマスクは、5月から6月にかけて、医療機関や社会福祉施設等に、業者から直接又は区市町村を通じて順次配送しています。

質問事項
一の8 フリーランス支援について
ア 東京都におけるフリーランスの経済支援の所見を伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けているフリーランスを含む個人事業主の事業活動を支えるため、資金繰りや経営の面から様々な支援を実施しています。
具体的には、事業資金の円滑な調達を支援するため、緊急融資や緊急借換等を実施しており、あわせて信用保証料の全額補助を行っています。また、新たに利子補給を行うなど、更なる支援の強化を図っております。
さらに、資金繰りや経営面での課題について「フリーランスを含む個人事業主特別相談窓口」を設置し個別の相談にも対応しているほか、専門家を無料で派遣するなどのサポートを引き続き行っていきます。
これらの都の施策に加え国等で行っている各種支援策を集約し分かりやすく伝えられるよう、新たにウェブサイトを設け情報を発信していきます。

質問事項
一の8のイ アーティスト支援について、4千人とした選定根拠は何か、4千人に達したら打ち切りにするのか足りない場合の対応をどうするか伺う。

回答
募集人数は、都内芸術文化従事者のうちフリーランス約4万人を参考に設定しており、募集要項において、募集人数に達した段階で受付を中止する場合がある旨、記載しています。

質問事項
一の9 自らの感染を疑う外国人が、PCR検査等問い合わせをするも、言葉の障壁により手続きが理解できないなどの問題が発生している。現時点の外国人対応について伺う。

回答
都は、東京都外国人新型コロナ生活相談センター(略称:トコス)を設置し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う不安や生活への影響について、在住外国人からの多様な相談を受け、適切な情報提供を行うとともに、必要に応じて専門機関等に引き継いでいます。
保健所などの引継先が言語面で対応できない場合には、三者間通話等による通訳を行い、サポートしています。

質問事項
二 新型コロナウイルス感染症対策にかかる補正予算について
1 補正予算の編成について
ア 補正予算編成の検討の着手の時期と議会への提案までのプロセスについて、時系列で伺う。

回答
令和2年度4月補正予算は、4月8日に各局に対し補正対象事項を示した上で、各局からの予算要求を基に、財務局による予算の調整を経て、13日の知事査定の場において議論を行い決定したものを補正予算案として取りまとめ、17日の令和2年第一回都議会臨時会に御提案し、御審議いただいたものです。

質問事項
二の1のイ 補正予算は、「新型コロナウイルス感染症と都民生活や経済等への影響に対する「東京都緊急対策(第四弾)」に掲げる施策のうち、6月までに着手すべき事項について、予算上の措置を講じます。」と編成の考え方にあるが、事業の取捨選択について、伺う。

回答
「東京都緊急対策(第四弾)」は、直面する現下の課題に集中的に取り組む対策に焦点を絞り、「新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策」、「経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化」及び「社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組」の三つを柱としました。
対策の検討に当たっては、区市町村長、専門家、厳しい状況に直面する企業の皆様など、様々な方々の意見に耳を傾け、寄せられた要望を踏まえながら、6月までに着手すべき事項について、令和2年度4月補正予算により施策の具体化を図ったものです。

質問事項
二の1のウ 財政規律の観点から、何かを支出するということは、何かを削らなければならない。新規事業の中から不要不急事案は凍結すべきである。今後の検討、支出全体の見直しを含む補正を行うかについて、伺う。

回答
現在、都は、新型コロナウイルス感染症対策に都庁の総力を挙げて取り組んでいますが、こうした中にあっても、災害への備えや少子高齢化への対応など、都政が抱える様々な課題に対して、都として果たすべき役割が変わるものではありません。
このため、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止め、都民生活と事業者を守り抜く対策に集中的に取り組むとともに、そのほかの施策についても、必要性、緊急性を見極めながら、着実に実行していくことが重要です。
こうした観点から、予算の執行段階において、現下の状況を踏まえつつ、歳出の精査を徹底するとともに、創意工夫を凝らしながら必要な施策を着実に進めていきます。

質問事項
二の2 条例の制定について
ア 条例の検討の着手の時期と議会への提案までのプロセスにつき、時系列で伺う。

回答
都は、国による新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策本部の設置やこれに伴う基本的対処方針が発出されたことなどを踏まえ、国が緊急事態宣言を行った場合における都の対応等について、これを実施するための条例の制定等を含め、様々な検討を行ってきました。その後、国が4月7日に緊急事態宣言を行ったことを踏まえ、速やかに都の緊急事態措置を実施するため、条例を専決処分したものです。

質問事項
二の2のイ 本年第一回定例会の提案を考えなかったのか、理由を含めて伺う。

回答
都は、国による新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策本部の設置やこれに伴う基本的対処方針が発出されたことなどを踏まえ、国が緊急事態宣言を行った場合における都の対応等について、これを実施するための条例の制定等を含め、様々な検討を行ってきました。その後、国が4月7日に緊急事態宣言を行ったことを踏まえ、速やかに都の緊急事態措置を実施するため、条例を専決処分したものです。

質問事項
二の2のウ 提案をオリンピック・パラリンピック競技大会延期決定まで待っていたようなことはないのか、伺う。

回答
御指摘のような事実はありません。

質問事項
三 新型コロナウイルス感染症対策にかかる知事のトップマネジメントについて
1 これまで、知事が何に忖度し、3月23日まで「緊急事態宣言」を政府に要請せず、自ら独自決断もせず、対策・対処の先延ばしをしてきたのか、現状についての行政責任・政治責任・都民に対するあらゆる責任を感じていないのか知事の所見を伺う。

回答
国は、4月7日、現在の状況が、国民の生命等に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ、急速なまん延により国民生活等に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したとして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態宣言を行ったと認識しています。
都は、国の緊急事態宣言を待たず、スピード感を持って、都内における感染拡大の状況に対応してきました。具体的には、都主催のイベントの中止・延期、都民利用施設における休園・休館のほか、都民に対しては、咳エチケットなど基本的な感染症対策の実施や三密回避の呼び掛けを行うとともに、事業者に対しては、イベントの中止を要請するなど取り組んできたところです。

質問事項
三の2 小池知事のメディア露出について
ア 感染防止の呼びかけにおける基本的な考え方と決定に至るまでの経緯、新型コロナウイルス感染防止対応について知事が登場する、これらすべての広告等の費用につき項目、支払い先も含め説明を求める。

回答
新型コロナウイルス感染症の拡大防止には、都民への積極的な情報提供が重要です。特に緊急事態宣言が出された直後は、徹底した外出自粛の要請など、知事自身が直接強いメッセージを都民の皆様に至急お伝えし、御理解、御協力いただく必要があったことから、テレビ・ラジオCMなどを通じて、直接メッセージを発信することとしました。その後、大型連休に向けては、各世代に支持される著名人を活用し、若者から高齢者まで幅広い層を対象に広報を行いました。
テレビCMは広告代理店3社、ラジオCMは広告代理店2社と当初の緊急事態措置等の期間5月6日まで、ウェブ広告は広告代理店1社と5月20日まで契約しています。経費はテレビCMの電波料4.9億円、ラジオCMの電波料0. 8億円、ウェブ広告0.7億円、テレビ・ラジオCMの制作費は5社で450万円です。

質問事項
三の2のイ TVCMや都の広報番組では「東京都知事の小池百合子です。」と冒頭で述べ、「小池百合子」という字幕が同一画面に2か所も表示されるなど、知事の個人名が再三、強調されているが、その必要があるのか、単に「東京都からのお知らせ(お願い)です。」と述べれば十分ではないか、所見を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症の拡大防止には、都民への積極的な情報提供が重要です。特に緊急事態宣言が出された直後は、徹底した外出自粛の要請など、知事自身が直接強いメッセージを都民の皆様に至急お伝えし、御理解、御協力いただく必要があったことから、テレビ・ラジオCMなどを通じて、直接メッセージを発信することとしました。
御指摘の表示に関しては、聴覚に障害をお持ちの方にも御理解いただくため発言内容をテロップで表示することから、一時的に2か所に表示がなされるものです。

質問事項
三の2のウ 本年7月5日には知事選挙が予定されているが、イのような様態につき、公職選挙法等選挙関係法規上の留意点はないか、都選挙管理委員会の見解を伺う。

回答
公職選挙法上の選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。
個別具体の行為が公職選挙法に違反するかどうかは、都選挙管理委員会としてはお答えできる立場にありませんが、一般的に、地方自治体の長が行政の施策や事業を周知するために行うPRについては、選挙運動に該当しないと考えられます。

質問事項
三の3 昨今、知事は安倍首相や政府・与党幹部と会合を持っていると報じられ、知事選挙に語られたともいわれているが、本年になってからの会合の頻度と内容、新型コロナ対策と知事選挙どちらに力点が置かれていたのかについて、説明を求める。

回答
新型コロナウイルス感染症の早期収束を図るべく、この間、安倍総理をはじめ、政府及び国政与党幹部と面会を重ねてきました。具体的には、都の対応状況の報告、国による水際対策の徹底や財政支援等を求める緊急要望、感染拡大防止対策をさらに強化するための協議などを行ってきたものであり、引き続き国と緊密に連携しながら、見えざる敵に打ち勝つための対策を最優先として、迅速かつ効果的に推進していきます。

質問事項
三の4 新型コロナ流行下の選挙執行について
ア 選挙事務における感染症予防対策の留意点について伺う。

回答
選挙事務を遂行するに当たりましては、投票所及び開票所における事務従事者や立会人等に対して、マスクの着用、咳エチケット、手洗い・うがいの実施等を徹底していただくこととし、選挙人や事務従事者等の安全・安心の確保を図っていきます。

質問事項
三の4のイ アにつき、区市町村への周知はされているか、現状と今後の取り組み・支援について伺う。

回答
選挙の管理執行における新型コロナウイルス感染症への対応については、令和2年2月以降、総務省自治行政局選挙部長から6度にわたって、技術的助言に係る通知を受けており、その都度、都選挙管理委員会から区市町村選挙管理委員会に周知して、徹底を図っています。
今後も都知事選挙に向けて、こうした通知等も踏まえ、選挙人や事務従事者等の安全・安心の確保に必要な投開票事務を行う上での留意点等に関する情報を提供していきます。

質問事項
三の4のウ 感染症や自然災害等の不可抗力により選挙の時期が変更されたり、投票所が閉鎖されたりした例について説明を求める。

回答
平成22年2月28日に行われた青森県のおいらせ町長選挙では、投票日当日発表された大津波警報を受けて沿岸の3投票所を投票開始後に急遽閉鎖し、これらの投票所については、公職選挙法の規定により、翌週の日曜日である3月7日に再投票が実施された例があります。

質問事項
三の4のエ 選挙の時期の変更をするための手続きと判断基準について、説明を求める。

回答
選挙期日の告示前であれば、再度、選挙管理委員会が決定することにより、選挙期日の変更は可能です。
また、公職選挙法上、選挙期日の告示後に選挙期日を延期する「繰延投票」という制度がありますが、選挙を所管する選挙管理委員会がその可否を判断することとなります。
その事由としては、天災その他避けることのできない事故が原因で投票所が開設できない場合や、投票所への交通が遮断され、有権者が投票所に到達できないような場合とされています。

質問事項
三の4のオ 新型コロナ感染症の蔓延により選挙の執行が不能となった場合、誰がどの時点で判断するのか、その場合、それに代わる選挙をどのように執行するのか、現行法制の下、取り得る方法について、説明を求める。また、判断基準があれば、伺う。

回答
選挙期日の告示前であれば、再度、選挙管理委員会が決定することにより、選挙期日の変更は可能です。
また、公職選挙法上、選挙期日の告示後に選挙期日を延期する「繰延投票」という制度がありますが、選挙を所管する選挙管理委員会がその可否を判断することとなります。
その事由としては、天災その他避けることのできない事故が原因で投票所が開設できない場合や、投票所への交通が遮断され、有権者が投票所に到達できないような場合とされています。

令和2年第一回都議会臨時会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策について

一 新型コロナウイルス感染症対策について
1 PCR検査の拡充について
新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査がごく一部の人にしか実施されていないことは当初から指摘されてきました。
3月6日、PCR検査が公的医療保険の適用対象となり、「帰国者・接触者外来」の医師の判断で保健所を通さず検査が受けられるようになりましたが、一般の「かかりつけ医」などは、相変わらず保健所の判断を仰いでいるのが実情です。福祉保健局HPでは、「新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について」として、PCR検査をうけるまでのフローチャートが示されています。ところが、38度以上の発熱が続いた患者を診察したかかりつけ医が、コロナ感染を疑い保健所に検査を要請しても断られる。また、体調を崩した市民が、保健所にPCR検査をお願いすると、かかりつけ医に相談するようにと言われ、かかりつけ医は保健所に、さらに自治体の窓口に相談すると都の保健所にと、たらい回しにあい、結果、PCR検査をしてもらえないという事態が続いており、多くの市民から怒りの声が寄せられています。諸外国に比べても、日本の検査数は圧倒的に少ないです。これでは、だれが感染しているのか特定できず、院内感染や集団によるクラスターを防ぐことなど到底できません。
ア PCR検査の不足について、都はどのように認識しているのか伺います。
イ たらい回しが起こっている今、コロナ感染を心配する人は、かかりつけ医も診察してくれず、診てくれる医療機関すらないという状況になっています。心配する人が診てもらえる医療機関を都としてどのように確保するのでしょうか。
ウ 4月7日に専決処分した補正予算には、新型コロナ外来の受け入れ体制の強化を盛り込みました。検査が必要と判断されたときに検査する(検体を採取する)場所を補強しようというものです。新型コロナ外来の受け入れ体制の強化によって、外来患者は1日当たり何件分増えると見込んでいるのか、そして、それはいつまでに達成する予定か伺います。
エ PCR検査を拡充しようと、自治体独自や医師会も取り組み始めました。これらの取り組みによって1日当たり何件分増えると見込んでいるのでしょうか。
オ 専決の補正予算には、民間検査機関に対するPCR検査機器の導入支援の補助金も盛り込まれました。検査機器導入の補助により、検査の数が1日当たり何件増えると見込んでいますか。そして、それはいつまでに達成する予定でしょうか。
カ 民間も含めて検査機関が不足する中、都は民間20事業所を想定し機器導入を促していますが、ほかにも大学や民間研究所でもPCR検査の実施が可能と報道されています。このような機関にも依頼して検査体制を拡充する必要があると考えますが、見解を伺います。
2 多摩地域の対策について
ア 稲城市の市立病院は、都立保健所からの要請を受け、4月に入って病院棟に隣接する健診棟と駐車場のテントでPCR検査を開始しました。市立病院からストレートに検査を受けることはできず、保健所からの指示で検査を実施していると聞いています。
そこで、多摩地域で検査を受けられる場所が何か所あって、1日当たり何人分の検査を実施しているのか伺います。
イ 感染の疑い・不安を抱える市民に、PCR検査を実施できる体制を、地域の医師会の協力のもと、自治体ごとに設置すべきと考えます。そのために、都として、人件費や都有地の提供、施設整備費などの支援が必要と考えますが、見解を伺います。
ウ 多摩地域の無症状・軽症者用のホテルの確保について伺います。
エ 国分寺市のコロナ感染疑いの人が、明らかに症状が出ているのに検査してもらえず、保健所と押し問答の結果確認したら、以下の内容で返答がきたと聞いています。検査をする基準が、多摩地区はかなり厳しくしている。特に国分寺、小平、立川、府中、国立は、多摩総合医療センターの医療崩壊を防ぐためにPCR検査の対象を厳しく設定しているとのことでした。これまで、これらの自治体の感染者数が少ないことが疑問でしたが、検査を抑制していたのではないか、見解を伺います。
オ 多摩総合医療センター入り口の消毒用のアルコールが在庫不足のため設置されていない状況となっています。患者数はそれほど減っておらず、待合場所によっては密接・密集している状況もあって、間隔を取って座ることなどの対策や呼びかけが行われていないなど、心配する声を聞いています。
そこで、例えば、待合席を1メートル間隔にする、窓口にビニールシートを設置し飛沫感染を防ぐ、コロナ感染者との接触を避けるための導線を設ける、建物の換気対策など、コロナの指定医療機関としてどのような対策をとっているのか伺います。
カ 多摩総合医療センターの病棟医師が、医療資材不足を切実な課題と訴えています。都が用意したマスク・消毒液・防護服はどのように配布したのか、それぞれの枚数・本数はどのくらいだったのか伺います。また、今後の対応について伺います。
キ 今回の4月補正予算には、都立・公社病院における患者受け入れ体制の強化として、多摩総合医療センターの発熱外来も盛り込まれました。この事業について伺います。
ク 災害時の避難所でも新型コロナウイルス感染症対策が必要です。災害時に設置される避難所は、公共施設が多く、また体育館などに詰め込まれるケースがほとんどであり、感染防止ができません。避難者が相互に距離が取れ、換気などが考慮されなければなりません。感染防止策が図られた避難計画が必要と考えますが、見解を伺います。
3 新型コロナウイルスの影響を受ける人への支援について
新型コロナウイルスの影響は、長引く恐れが懸念されています。緊急対策の臨時会に出された補正予算案の総額は3,574億円。小池知事は、今後も追加対策を打ち出し、総額費用は過去最大規模の約8,000億円になると記者会見で公表しました。感染予防と事業支援が主立っていますが、総力を挙げるべきは生命の維持とともに、一人ひとりの命と持続可能な生活保障、つまりセーフティーネットの構築です。
ア 妊産婦への支援について
a 新型コロナウイルス感染症に関連して、妊婦からどのような不安の声が上がっているのか伺います。
b 感染に対する不安が増すなか、産前うつ・産後うつがさらに懸念されます。都は妊婦の不安の声を受け、どのような支援を行うのか伺います。
c 妊婦から、予定していた里帰り出産ができない、出産を予定していた病院が受け入れできなくなったなどの不安が寄せられています。都内で安心して出産できるようにする必要があります。都立病院での受け入れなどについて伺います。
d 仕事を休めずにいる働く妊婦から「休めない」「テレワークが認められない」などの窮状が届いています。働く妊婦が感染しないように、都は出勤停止を企業に要請し、休業補償も含めた具体的な支援をすべきと考えます。都の対応について伺います。
イ 子どもや女性への支援について
a 長引く在宅によるストレスなどから、DV、児童虐待が増加することは明らかで、家が安全な場所ではない人へ、逃げ場の確保や孤立させない取り組みが重要です。また家族が常にいることから声が上げにくいため、DV、児童虐待の潜在化が懸念されます。都が実施している相談窓口に寄せられる相談への対応について伺います。
b DVや虐待に関する支援を行っている民間団体へのマスクや消毒液の提供、シェルターの確保、財政支援が必要です。例えば、若年女性等を支援する民間団体への支援が必要であると考えますが、都の対応について伺います。
ウ 子どもの食の保障について
長引く休校により給食がないことによる低所得世帯への影響が深刻になっています。子どもの食を保障することは重要です。学校給食を利用して弁当を配布するよう自治体に協力要請するとともに、財政支援をするべきと考えます。都の見解を伺います。
エ 障がい者への支援について
a 障がい者が感染した場合、合併症などもあり重症化しやすいと言われています。感染した場合には、「本人の意思を大前提に希望を聞き、入院できるようにしてほしい」「介助者も不可欠なので派遣してほしい」との要望があります。無症状・軽症の場合の自宅療養も含めて、障がい者が感染した場合の対応について伺います。
b もともと介助者が不足しているうえ、感染拡大でさらに介助者不足は厳しい状況です。介助者の事業所は小規模が多く、マスクやアルコール消毒液の確保も難しくなっています。障がい者にとっては生死にかかわる問題です。障がい者、介助者、事業者を支えるためにも、感染予防のためのマスク、消毒液の配布、介助者の確保への協力が必要と考えます。都の見解を伺います。
オ 自宅療養への支援について
都では、感染者のうち無症状・軽症の場合は、入院を経ずに都が借り上げたホテルや、自宅で療養してもらう取り組みを開始しました。自宅療養の場合も、ホテル療養と同等に、病状の経過の医師・看護師との連絡や、外出しないよう求めるために弁当などの配達が必要です。都の見解を伺います。
カ 住宅確保の支援について
a 感染拡大にともない、仕事を失い住まいも失う人が急増しています。緊急事態宣言に対する対策として、ネットカフェ難民等支援策としてチャレンジネット事業を拡充しましたが、これまでの取り組みと今後のさらなる拡充について見解を伺います。
b 支援団体からは、チャレンジネット事業について、必要な人に情報が届いていないことが指摘されています。もっと積極的に広報をするべきと考えます。都の見解を伺います。
c 生活困窮者自立支援制度に基づく住居確保給付金の支給対象が拡大されますが、窓口にきちんと人を配置していない自治体も多くあります。自治体の体制づくりに都も支援するべきと考えますが、見解を伺います。

令和2年第一回都議会臨時会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症対策について
1 PCR検査の拡充について
ア PCR検査の不足について、都はどのように認識しているのか伺う。

回答
PCR検査は、発熱等の症状があり、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症が疑われる方や、保健所の積極的疫学調査で把握された濃厚接触者などを対象に実施されています。
都内では令和2年5月19日までに、約59,000件の検査が行われており、医師の総合的な判断に基づき必要な検査が実施されていると認識しています。

質問事項
一の1のイ たらい回しが起こっている今、コロナ感染を心配する人は、かかりつけ医も診察してくれず、診てくれる医療機関すらないという状況になっている。心配する人が診てもらえる医療機関を都としてどのように確保するのか伺う。

回答
都では、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の外来診療を担う新型コロナ外来を、医療機関の協力を得て約80か所確保しています。
また、東京都医師会等と協力し、PCR検査を集中的に実施するための地域外来・検査センターの整備を進め、受診・検査体制の拡充を図っています。

質問事項
一の1のウ 4月7日に専決処分した補正予算には、新型コロナ外来の受け入れ体制の強化を盛り込んだ。新型コロナ外来の受け入れ体制の強化によって、外来患者は1日当たり何件分増えると見込んでいるのか、そして、それはいつまでに達成する予定か伺う。

回答
都は、新型コロナ外来を設置している医療機関等に対し、感染が疑われる患者をより確実に受け入れ、診察や検査を行う体制を整えられるよう、診療時間の延長や診察ラインの増設など、診療体制の拡充に必要な医療従事者の配置に対して支援しています。
個々の医療機関の診療体制は様々であり、また、受診患者数は各地域の医療体制の状況の違いや流行状況によっても増減することが見込まれることから、現時点で患者数を予測することは困難ですが、都は、医療機関への支援を通じ、受診機会の拡大を図っていく考えです。

質問事項
一の1のエ PCR検査を拡充しようと、自治体独自や医師会も取り組み始めた。これらの取り組みによって1日当たり何件分増えると見込んでいるのか。

回答
国は、「帰国者・接触者外来の増加策及び対応能力向上策について」(令和2年4月15日付事務連絡)で、PCR検査を集中的に実施する「地域外来・検査センター」など新たな検査体制の創設とともに、新型コロナ外来の拡充策として、大型テントの設置やドライブスルー方式等による外来診療体制の整備を示しています。
これらの方式で感染防止を図りながら円滑に診療を行うためには、診療場所や医師等の医療従事者の確保、感染防止のための動線設定など、実施体制を確保するとともに、保健所や近隣医療機関等と連携するなど、地域の実情に応じた体制を構築することが必要であり、都は現在、都内各地域の関係機関と協議を進めています。
検査を実施する曜日や時間帯などは、各地域の実情により様々となることが想定されますので、現時点で1日当たりの検査数を予測することは困難ですが、都としては、地域の実情に応じた体制の構築を引き続き支援していきます。

質問事項
一の1のオ 専決の補正予算には、民間検査機関に対するPCR検査機器の導入支援の補助金も盛り込まれた。検査機器導入の補助により、検査の数が1日当たり何件増えると見込んでいるか。そして、それはいつまでに達成する予定か伺う。

回答
都内民間検査機関でのPCR検査の実施件数は、それぞれの人員体制や実施工程、稼動時間による違いなどがあり、また、近隣県等からの広域的な受注状況や流行状況により変動することから、現時点で検査数を予測することは困難ですが、都全体の検査処理能力の向上を図るため、都は、民間検査機関に対してPCR検査機器の導入を支援しています。

質問事項
一の1のカ 民間も含めて検査機関が不足する中、都は民間20事業所を想定し機器導入を促しているが、ほかにも大学や民間研究所でもPCR検査の実施が可能と報道されている。このような機関にも依頼して検査体制を拡充する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
都内でのPCR検査は、東京都健康安全研究センターで直接実施するもの及び都が民間検査機関に委託するもののほか、令和2年3月6日からは、新型コロナ外来を設置する医療機関等が保険を適用して民間検査機関を活用することができるようになっており、都は、民間検査機関に対し、検査機器の導入を支援しています。
また、国は、広域で対応が可能な体制を有する民間検査機関を把握し、都道府県に情報提供を行っており、都は、国の情報を適宜活用するとともに、都内の医療機関、保健所、検査機関等の関係者から構成される新型コロナウイルス検査体制部会を設置し、関係者による情報共有の方法等を協議し、関係各機関の検査能力を最大限発揮できるよう、より効率的な検査体制の整備を進めています。

質問事項
一の2 多摩地域の対策について
ア 多摩地域で検査を受けられる場所が何か所あって、1日当たり何人分の検査を実施しているのか伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症が疑われる方には、新型コロナ外来等を受診いただき、医師による総合的な判断に基づいて必要な方にPCR検査を実施しており、現在、多摩地域には、新型コロナ外来が26か所あります。
令和2年5月19日までに健康安全研究センターで実施した検査16,167件のうち、多摩地域の新型コロナ外来等の医療機関及び保健所からの依頼による検査件数は1,830件です。

質問事項
一の2のイ 感染の疑い・不安を抱える市民に、PCR検査を実施できる体制を、地域の医師会の協力のもと、自治体ごとに設置すべきと考える。そのために、都として、人件費や都有地の提供、施設整備費などの支援が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症対策を確実に進めるためには、PCR検査の実施体制を強化することが必要です。
都は、地域の医師会や医療機関、区市町村と連携しながら、かかりつけ医からの検査需要に対応できるPCR検査の実施体制の整備を進めており、検査を集中的に実施する地域外来・検査センターの施設整備費や運営費など必要な経費についても補助しています。

質問事項
一の2のウ 多摩地域の無症状・軽症者用のホテルの確保について伺う。

回答
都は令和2年4月7日から、新型コロナウイルス感染症の患者のうち、必ずしも入院治療を要しない軽症者等を受け入れる宿泊療養施設の運営を開始し、更に受入施設を確保するため、宿泊施設の公募を行いました。
多摩地域では5月1日から、公募に応募いただいたホテルを宿泊療養施設として運営を開始しています。

質問事項
一の2のエ コロナ感染疑いの人が、明らかに症状が出ているのに検査してもらえず、確認したら、検査をする基準が、多摩地区はかなり厳しくしている。特に国分寺、小平、立川、府中、国立は、多摩総合医療センターの医療崩壊を防ぐためにPCR検査の対象を厳しく設定しているとのこと。これまで、検査を抑制していたのではないか、見解を伺う。

回答
PCR検査の対象者については、医師が総合的に判断した結果、感染が疑われる者など、国から目安が示されています。
都は、国から示された考え方に則して検査が行われるよう、都内各保健所及び医療機関に、国からの通知を周知するとともに、担当者向けの説明会を繰り返し開催しています。
多摩地域でも、必要な検査が実施されていると認識しており、今後とも必要な方が確実に検査を受けられるよう、着実に施策を進めていきます。

質問事項
一の2のオ 多摩総合医療センター入り口の消毒用のアルコールが在庫不足のため設置されていない状況となっている。例えば、待合席を1メートル間隔にするなど、コロナの指定医療機関としてどのような対策をとっているのか伺う。

回答
多摩総合医療センターにおいては、令和2年2月下旬から病院玄関に案内を掲示し発熱のある患者を救急外来入口へ誘導するとともに、院内では外来への入口と外来からの出口を指定し患者の動線を区分しています。さらに、救急外来では、パーテーションを設置して、発熱のある患者の受付とそれ以外の患者の受付を別々に設置しています。3月中旬には外来入口前にサーモグラフィを設置し、発熱のある方を救急外来入口に案内しています。
また、4月上旬からは順次、受付カウンターにビニールカーテン等を設置するとともに、会計窓口や精算機に並ぶ際の間隔を床面へ表示することや、待合スペースの長椅子などに間隔を空けて座っていただくよう表示することで、飛沫感染防止を図っています。この他、来院時のマスクの着用や手洗い実施のお願い、面会の禁止など、様々な対策を実施しています。
なお、消毒用アルコールについては、入荷が不安定なため、病院入口への配置は中止しましたが、配置が必要な外来の複数個所及び病棟には設置しています。

質問事項
一の2のカ 多摩総合医療センターの病棟医師が、医療資材不足を切実な課題と訴えている。都が用意したマスク・消毒液・防護服はどのように配布したのか、それぞれの枚数・本数はどのくらいだったのか伺う。また、今後の対応について伺う。

回答
都においては、都自らの調達、国からの配布及び寄贈の受入れといった様々な方法により医療資材を確保しています。
多摩総合医療センターについては、自らの調達に加えて、4月末までにマスク約18万枚、防護服約1万枚、キャップ等の防護用具約2万枚を都から配布しています。
病院で使用する消毒液は医薬品の扱いとなっており、国内における需要が増大する中で、既に取引実績のある業者からは不安定ながらも病院への納品は行われています。都としては、ディーラー各社に対し都立病院への供給を働きかけるなどの取組を進めています。
病院においては、供給が安定するまでの間、品目によっては慣れない医療資材を使用することにもなりますが、引き続き供給ルートを確保していきます。

質問事項
一の2のキ 今回の4月補正予算には、都立・公社病院における患者受け入れ体制の強化として、多摩総合医療センターの発熱外来も盛り込まれた。この事業について伺う。

回答
多摩総合医療センターでは、発熱など感染症状のある患者は、これまで、救急外来の待合室内の一部を待合として利用していましたが、今回、一般患者との動線をより明確に分離するために、専用の待合室として屋外にプレハブを設置しました。

質問事項
一の2のク 災害時に設置される避難所は、公共施設が多く、また体育館などに詰め込まれるケースがほとんどであり、感染防止ができない。避難者が相互に距離が取れ、換気などが考慮されなければならない。感染防止策が図られた避難計画が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
発災時の避難所における感染防止対策として、都は「避難所管理運営の指針」の中で、適切な換気や手洗い、手指の消毒の実施を定めており、区市町村は同指針に基づき、適切な感染防止対策を行うこととしています。
また、国は、新型コロナウイルスがまん延する中で発災した場合に備えて、区市町村は通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図るとともに、ホテルや旅館の活用等も検討することや可能な場合は親戚や友人の家等に避難していただくことを周知することとしています。
都は、同通知を区市町村に周知するとともに、引き続き、区市町村と連携し、避難所における感染拡大を防止する措置について検討を進めていきます。

質問事項
一の3 新型コロナウイルスの影響を受ける人への支援について
ア 妊産婦への支援について
a 新型コロナウイルス感染症に関連して、妊婦からどのような不安の声が上がっているのか伺う。

回答
都は、「妊娠相談ほっとライン」で、土日祝日を含め、看護師等の専門職が電話やメールで妊娠や出産に関する様々な相談に応じています。
妊娠相談ほっとラインや「都民の声」には、新型コロナウイルス感染症に関連して、「マスクが購入できない」「感染が怖くて健診に行きたくない」などの声が寄せられています。

質問事項
一の3のアのb 感染に対する不安が増すなか、産前うつ・産後うつがさらに懸念される。都は妊婦の不安を受け、どのような支援を行うのか伺う。

回答
都は、妊娠届出時の面接等を通じて、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる区市町村の取組を支援しています。
令和2年度は、産後の支援を大幅に充実させたとうきょうママパパ応援事業を開始し、区市町村への支援を強化しています。
今回、妊婦の新型コロナウイルスの感染防止と不安解消の観点から、従来の育児パッケージに1万円上乗せし、妊婦健診などの際にタクシー移動に使えるチケットや、マスクなど感染防止のための衛生資材等を妊婦に配布し、併せて必要な支援や状況把握等を行う区市町村を支援していきます。

質問事項
一の3のアのc 妊婦から、予定していた里帰り出産ができない、出産を予定していた病院が受け入れできなくなったなどの不安が寄せられている。都内で安心して出産できるようにする必要がある。都立病院での受け入れなどについて伺う。

回答
都立病院においては、大塚病院、墨東病院及び多摩総合・小児総合医療センターが総合周産期母子医療センターの指定を受け、高度な医療が必要なリスクの高い周産期医療を提供しています。また、これらの病院のほか、広尾病院においても、地域の医療機関から紹介された妊婦に対する通常分娩に対応しています。
こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い里帰り出産等がキャンセルになった妊婦の受入態勢を整備するため、一般社団法人東京産婦人科医会がこうした妊婦の受入可能医療機関をリスト化し、ホームページで公開しています。このリストには広尾、墨東が掲載されている一方、大塚、多摩総合は掲載されていませんが、いずれもかかりつけ医等に相談していただいた上で都立病院に紹介があった場合には、受入枠の空き状況や各病院の周産期医療における役割・機能や地域特性等に応じ、里帰り先の総合周産期母子医療センターに予約をしていた患者をはじめ、新型コロナウイルス感染症の陽性患者や経済的な問題を抱える患者など、他の医療機関では対応困難な患者を中心に受入れを行っています。

質問事項
一の3のアのd 仕事を休めずにいる働く妊婦から「休めない」「テレワークが認められない」などの窮状が届いている。働く妊婦が感染しないように、都は出勤停止を企業に要請し、休業補償も含めた具体的な支援をすべきと考える。都の対応について伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、妊婦を含む企業の従業員の方が、テレワーク等の在宅勤務や有給の特別休暇等の勤務制度を活用できるようにするなど、出勤抑制の取組を経済団体に対して要請しています。
なお、令和2年5月7日に、国において、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置の指針が改正され、妊娠中の女性労働者が、新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスにより母体等の健康保持に影響があるとして、主治医などから指導を受けた場合、事業主は、この指導に基づき在宅勤務や休業等の必要な措置を講じなければならないこととされており、都として制度の浸透を図っていきます。

質問事項
一の3のイ 子どもや女性への支援について
a 長引く在宅によるストレスなどから、DV、児童虐待が増加することは明らかで、家が安全な場所ではない人へ、逃げ場の確保や孤立させない取り組みが重要である。都が実施している相談窓口に寄せられる相談への対応について伺う。

回答
配偶者等からの暴力に関する相談については、都の配偶者暴力相談支援センターである、東京ウィメンズプラザと女性相談センターで窓口と電話により対応を行っています。相談の内容や被害者の状況に応じて、区市町村や警察など関係機関と連携し必要な支援につなげるとともに、緊急の場合には女性相談センターで一時保護を行うなど適切に対応しています。
児童虐待については、令和2年度に児童相談所の児童福祉司や児童心理司等を更に増員するとともに、親子関係や子育ての悩みを気軽に相談できるLINE相談の対応時間を、平日は2時間延長し、午後11時まで実施するなど、相談体制の充実を図っており、SNS等で周知しています。
また、学校等の休業中の要支援児童の状況について、区市町村の子供家庭支援センターや学校など地域の関係機関と連携して把握しており、支援が必要な場合には適切に対応しています。

質問事項
一の3のイのb DVや虐待に関する支援を行っている民間団体へのマスクや消毒液の提供、シェルターの確保、財政支援が必要である。例えば、若年女性等を支援する民間団体への支援が必要であると考えるが、都の対応について伺う。

回答
都は平成30年度から、様々な困難を抱えた若年女性の自立を図るため、民間団体等と密接に連携しながら、アウトリーチ支援、居場所の提供に関する支援、自立支援を行う若年被害女性等支援モデル事業を実施しています。
事業の実施に当たっては、支援のノウハウを持つ3つの団体に委託しており、令和2年度の委託料は国の要綱等に基づき1団体当たり10,667千円となっています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、都は、この3団体にマスクを配布しています。

質問事項
一の3のウ 長引く休校により給食がないことによる低所得世帯への影響が深刻になっている。学校給食を利用して弁当を配布するよう自治体に協力要請するとともに、財政支援をするべきと考える。見解を伺う。

回答
区市町村立学校の休業期間中においては、学校施設を活用した児童等の居場所確保や昼食の提供等について、都教育委員会から区市町村教育委員会に特段の配慮をお願いしているところです。
都教育委員会は、新型コロナウイルス感染症に関する「緊急事態宣言」に伴う新たな取組として、予備費を活用して昼食の提供を支援する事業を新設し、4月8日に公表しました。
この事業は、休業時において、区市町村が学校施設を活用し、感染防止対策を講じながら児童等の居場所確保を行い、学校の管理下で在籍する児童等に昼食を提供する場合、その経費の一部を補助するものです。

質問事項
一の3のエ 障がい者への支援について
a 障がい者が感染した場合、合併症などもあり重症化しやすいと言われている。無症状・軽症の場合の自宅療養も含めて、障がい者が感染した場合の対応について伺う。

回答
新型コロナウイルスの感染が判明した場合には、医師の判断や患者の症状等を踏まえ、保健所が入院勧告や療養場所の確定を行っています。
国は、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養又は自宅療養の考え方について」(令和2年4月23日付事務連絡)において、宿泊施設が十分に確保されている地域では、無症状病原体保有者及び軽症患者は宿泊療養を基本としていますが、高齢者や基礎疾患を有する者等については、宿泊療養及び自宅療養の対象外とされており、合併症などがあり重症化しやすい障害者は、感染症指定医療機関等で入院治療を行うことになります。

質問事項
一の3のエのb もともと介助者が不足しているうえ、感染拡大でさらに介助者不足は厳しい状況である。介助者の事業所は小規模が多く、マスクやアルコール消毒液の確保も難しくなっている。感染予防のためのマスク、消毒液の配布、介助者の確保への協力が必要と考える。見解を伺う。

回答
都は、障害福祉サービス等事業所に対して、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための留意事項を周知し、手洗い等の励行や利用者の健康状態の把握など、事業所内感染対策の徹底について注意喚起を行っています。
また、マスクや消毒液等の必要な衛生資材の安定的な流通について、国への緊急要望や事業者団体への協力依頼を行うとともに、訪問系サービス事業所を含む障害福祉サービス等事業所に対し、区市町村を通じたマスク等の配布や、国による手指消毒用エタノールの優先供給の仕組みを活用した支援を行っています。
このほか、障害福祉サービス等事業所で、新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等により、一時的に人員基準等を満たすことができなくなる場合は、柔軟な取扱いが可能とされており、都はこうした取扱いの周知を図っています。

質問事項
一の3のオ 都では、感染者のうち無症状・軽症の場合は、入院を経ずに都が借り上げたホテルや、自宅で療養してもらう取り組みを開始した。自宅療養の場合も、病状の経過の医師・看護師との連絡や、外出しないよう求めるために弁当などの配達が必要である。見解を伺う。

回答
都は、令和2年4月23日に、国に対し、入院が必ずしも必要でない軽症者等の病院外での療養については、家庭内や近隣住民等への感染を防止することや、体調急変時に迅速に対応する必要があることから、原則として宿泊施設において療養することを国として示すことを要望し、これを受け、国は、同日、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養又は自宅療養の考え方について」(令和2年4月23日付事務連絡)により、宿泊療養を基本として対応することとしました。
都では、保健所と連携して対象者に宿泊療養の必要性を説明し、都が運営する施設で宿泊療養を行うよう求めています。一方、特段の事情により自宅療養を行っている方には、各保健所で健康観察を行い、体調悪化時には速やかに医療機関を受診いただくこととしています。
なお、都では、自宅療養を行っている方への食事等の提供は行っていません。

質問事項
一の3のカ 住宅確保の支援について
a 感染拡大にともない、仕事を失い住まいも失う人が急増している。緊急事態宣言に対する対策として、ネットカフェ難民等支援策としてチャレンジネット事業を拡充したが、これまでの取り組みと今後のさらなる拡充について見解を伺う。

回答
都は、住居を失いインターネットカフェ等に寝泊まりしながら不安定な就労をしている方を対象に、支援拠点であるTOKYOチャレンジネットにおいて、民間アパート等の一時利用住宅を提供し、利用者のニーズに対応した就労支援などを行っています。
ネットカフェ等への休業要請により、居場所を失った方には、緊急的な一時宿泊場所として、ビジネスホテルを提供しており、5月18日現在、延べ979人が利用しています。
また、5月5日に緊急事態措置を実施すべき期間を延長したことに伴い、緊急的な一時宿泊場所の利用期間についても5月31日まで延長しています。
今後、こうした方々に対しても、チャレンジネット及び区市の福祉事務所や自立相談支援機関において、生活状況や就労自立を目指す意欲などに応じて支援を行っていきます。

質問事項
一の3のカのb 支援団体からは、チャレンジネット事業について、必要な人に情報が届いていないことが指摘されている。もっと積極的に広報をするべきと考える。見解を伺う。

回答
都では、支援が必要な方にTOKYOチャレンジネットの情報が届くよう、ホームページ等を通じて広く情報を発信しています。
令和2年4月30日からは、SNSを活用した発信を行っており、ゴールデンウィークの開所予定についても広報しました。
今後も、必要な情報を積極的に周知していきます。

質問事項
一の3のカのc 生活困窮者自立支援制度に基づく住居確保給付金の支給対象が拡大されるが、窓口にきちんと人を配置していない自治体も多くある。自治体の体制づくりに都も支援するべきと考えるが、見解を伺う。

回答
住居確保給付金の受付窓口である自立相談支援機関の体制整備に係る経費は、生活困窮者自立相談支援事業等国庫負担金の対象となっており、区市の実情に応じた体制強化が可能となっています。

令和2年第一回都議会臨時会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 中国武漢で発生した新型コロナウイルスへの対応について

一 中国武漢で発生した新型コロナウイルスへの対応について
1 医療崩壊を防ぐため都内の感染症指定医療機関だけでなく、感染症指定医療機関以外の医療機関でも患者の受け入れを行う病床を都は増やしている。知事は2,000床から4,000床確保するとしているが、例えば病院ごと、もしくは区市町村や2次医療圏ごとに何床確保できているのか推移と進捗を伺う。また新たな患者を軽症、重症などに区分し、自宅待機している患者、ホテルなど隔離施設に入るべき患者、既に施設に入所済みの患者、入院すべき患者、既に入院済みの患者、退院した患者などその詳細を明らかにすべき。さらにその情報に加え、各病院や滞在施設の空きベッド状況等の情報がリアルタイムで追加されれば、状況が可視化され関係機関との協力がスムーズとなる。結果、迅速な救急救命活動が可能と考えるが、都の現在の取り組みと見解を伺う。
2 院内感染や医療崩壊を防ぐためには、病院治療が急務である患者と、そうでない患者を分ける必要がある。そのためドイツではホームドクターなどによるオンライン診断、イギリスでは人工知能によるいわゆるAI診断が行われ既に80万人が利用している。また神奈川県はLINEによるビックデータの活用やLINEに登録された医師300人がLINE上で県民の相談に乗りまずは対処にあたっている。このように都においてもテクノロジーを活用した対応を早急に実施すべきと考えるが見解を伺う。

令和2年第一回都議会臨時会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中国武漢で発生した新型コロナウイルスへの対応について
1 感染症指定医療機関以外の医療機関でも患者の受け入れを行う病床を都は増やしている。例えば病院ごと、もしくは区市町村や2次医療圏ごとに何床確保できているのか推移と進捗を伺う。また新たな患者を軽症、重症などに区分し、その詳細を明らかにすべき。さらに、各病院や滞在施設の空きベッド状況等の情報がリアルタイムで追加されれば、状況が可視化され関係機関との協力がスムーズとなる。結果、迅速な救急救命活動が可能と考えるが、現在の取り組みと見解を伺う。

回答
病床確保に当たっては、東京都全体を一つの単位として捉え、重篤・重症患者の受入れを都内12の感染症指定医療機関や高度医療を担う大学病院を中心に、中等症患者等の受入れを感染症入院医療機関やその他の民間医療機関に要請して、段階的に確保数を増やすこととしており、令和2年4月時点で約3,300床確保しました。
患者の入院や宿泊療養、自宅療養の状況については、新型コロナウイルス感染症対策サイトにおいて、日々、最新の感染動向を公表しています。
また、保健所から入院調整の要請があったものを対象に、東京都新型コロナウイルス感染症対策調整本部において、患者や病院の空床等の情報を一元的に管理し、医師の助言を得ながら、病院や保健所と連携して入院調整を進めているほか、病院間で情報共有が可能なポータルサイトを開設し、転院など医療機関間の連携を支援しています。

質問事項
一の2 院内感染や医療崩壊を防ぐためには、病院治療が急務である患者と、そうでない患者を分ける必要がある。都においてもテクノロジーを活用した対応を早急に実施すべきと考えるが見解を伺う。

回答
新型コロナウイルスの感染拡大で都民の不安が高まる中で、都は、令和2年3月27日からLINEを活用した24時間いつでも利用可能な相談・情報提供サービス「東京都新型コロナ対策パーソナルサポート」を開始しました。これは、利用者が年齢や職業などの基礎情報や健康状態などを入力すると、チャットボットが一人一人に応じた対処方法を紹介する仕組みであり、発熱や咳など一定の症状がある場合には、新型コロナ受診相談窓口へ相談するよう案内しています。
また、患者が外来診療を行う地域の医療機関で感染するリスクを避けるために、都は、かかりつけ医等によるオンライン医療相談・診療を推進することとし、令和2年度4月補正予算に、パソコン等、そのための環境整備に必要となる情報通信機器等の初期導入経費の補助事業を盛り込み、5月15日から補助金の申請受付を開始しました。
引き続き、院内感染の防止や医療提供体制の整備に取り組む医療機関を支援していきます。

令和2年第一回都議会臨時会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 新型コロナウイルス対策について

一 新型コロナウイルス対策について
1 東京都新型コロナウイルス感染症対策条例が専決処分されました。都の責務、都民の責務、審議会の設置等を緊急で定めたものです。その中で、基本的人権の尊重について定めたことは意義があります。法改正の際には私権の制限について注目されたため、条例で制限を必要最小限とすると定めたことは重要です。仮に制限する場合に、その趣旨を担保するため、意思決定過程の透明化と情報公開が必要となりますが見解を伺います。
2 意思決定過程の透明化と情報公開については、私権の制限の場合だけではなく、感染症対策全般についても必要であり規定を盛り込むべきではなかったかと考えます。東京都新型インフルエンザ等対策計画の対策上の留意点として、「記録の作成・保存」が記載され、「対応を検証して教訓を得るため、都対策本部における対策の実施に係る記録を作成・保存し、公表する。」とあります。これは大変重要であり、この内容を条文に入れるべきではなかったかと考えます。
現在、感染症への対応中であり、取り組みへの評価も時々で変化していますが、重要なのは、その対応について記録を作成・保存、公開することです。先々、感染症がおさまった後、次の感染症の流行に備える必要があり、今起きていることへの対応を歴史的に検証する必要があります。今は公開できない情報があっても、必ず資料を保存し、後日検証できるようにすることは、今の対応の是非を問うためというよりもむしろ、次の感染症に対応する際の教訓に必ずつながります。未曽有の感染症への対応について、記録の作成・保存、公表は必ず行う必要があり、後日、第三者により検証し、後世に継承することが必要ですが見解を伺います。
3 条例には、不当な差別的取り扱いの禁止も盛り込まれました。残念ながら、感染して氏名を公表した有名人がその行動を批判されていますが、批判すべきではありません。そういう風潮は次の感染者の公表に二の足を踏ませてしまいます。また、最前線で都民の命を守る医療関係者やその家族が差別や偏見を持たれることも残念なことです。都は2015年8月に策定した東京都人権推進指針で17類型の差別を例示しました。その中で、感染症については「HIV感染者・ハンセン病患者等」とはしていますが、今回のような状況は想定されていません。今回の条例の制定に伴い、見直す必要があります。2018年10月から順次施行された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例でも指摘していたようにLGBTとヘイトスピーチの2つだけに注力せず、あらゆる人権に対応した条例に改定することを含めて総合的な人権施策への展開が必要です。今回の条例制定を機に、より一層、差別や偏見をしないよう強く呼びかけ取り組みを強化するべきですが見解を伺います。

令和2年第一回都議会臨時会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルス対策について
1 東京都新型コロナウイルス感染症対策条例が専決処分された。法改正の際には私権の制限について注目されたため、条例で制限を必要最小限とすると定めたことは重要である。仮に制限する場合に、その趣旨を担保するため、意思決定過程の透明化と情報公開が必要となるが見解を伺う。

回答
都では、公文書管理条例に基づき意思決定過程の透明化を図るとともに、情報公開条例に基づき情報公開の推進を図るなど、適切に対応しています。

質問事項
一の2 現在、感染症への対応中であり、取り組みへの評価も時々で変化しているが、重要なのは、その対応について記録を作成・保存、公開することである。未曽有の感染症への対応について、記録の作成・保存、公表は必ず行う必要があり、後日、第三者により検証し、後世に継承することが必要であるが見解を伺う。

回答
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき都が策定した東京都新型インフルエンザ等対策行動計画においては、対策実施上の留意点として、新型インフルエンザ等が発生した際は、対応を検証して教訓を得るため、東京都新型インフルエンザ等対策本部における対策の実施に係る記録を作成・保存し、公表することとしています。
また、全庁的な公文書管理のルールを定めた公文書管理条例においては、公文書管理の理念と文書による事案決定の徹底や、政策の形成過程を明らかにする文書の作成義務等を規定しています。
今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る記録の作成や保存等については、こうした行動計画や規程等に基づき、適切に対応しています。

質問事項
一の3 条例には、不当な差別的取り扱いの禁止も盛り込まれた。2015年8月に策定した東京都人権推進指針で、感染症については「HIV感染者・ハンセン病患者等」とはしているが、今回のような状況は想定されていない。今回の条例の制定に伴い、見直す必要がある。今回の条例制定を機に、より一層、差別や偏見をしないよう強く呼びかけ取り組みを強化するべきであるが見解を伺う。

回答
新型コロナウイルス感染症に関連して、人権に配慮した冷静な行動をとるよう、都民に対するメッセージを広報東京都やホームページ、新型コロナウイルス感染症対策の動画を通じて発信するとともに、東京都人権プラザでは人権に関する一般相談に加え、弁護士による特別相談を実施しました。

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