令和二年東京都議会会議録第四号

○副議長(橘正剛君) 十番山内れい子さん。
〔十番山内れい子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○十番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワークの山内れい子です。
 スウェーデンの高校生の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの行動と賛同する世界中の若者が多くの国を動かし、日本でも若者たちが活動を始めています。フライデーズ・フォー・フューチャー東京の若者たちは、世界中の都市とつながりながら、グローバル気候マーチを開催し、東京都に気候非常事態宣言をするよう求めました。
 昨年末、都は、ゼロエミッション東京戦略を策定し、知事は記者会見で、気候危機行動宣言を表明しました。ぜひ知事にも、若者たちに会って、意見交換をしていただきたいと思います。
 今、危機を迎えている気候変動問題への取り組みについて、改めて知事の決意を伺います。
 市民団体や新聞社が行った自治体の電力調達の状況に関する調査報告書によると、二〇一一年の原発事故以降、調達先を新電力に切りかえていた自治体が、ここ数年の間に大手電力会社が安売りで巻き返しを図り、戻されたケースが多くなっています。調達に関する環境配慮の要件も自治体によって違います。
 ゼロエミッション東京戦略では二〇三〇年までに都有施設の使用電力を再エネ一〇〇%にするとしており、それを実現するためには、電気を調達する条件が重要になります。都は、グリーン電気の入札参加条件を設定していますが、このままでは再エネ一〇〇%を実現することができないので、変更をする必要があると考えます。調達の方針について伺います。
 インクルーシブ社会の実現について質問いたします。
 先ごろ、東京都社会福祉審議会が二〇二五年以降の将来を見据えた東京の福祉施策のあり方について意見具申を行いました。
 日本の社会保障制度が前提としてきた、家族がともに生活する、多くの人が結婚する、経済成長し財政が安定するといった条件が揺らぎ、単身や未婚、生活困窮などの増加が背景にあります。
 提言では、インクルーシブな社会環境を実現することが重要であり、社会全体の仕組みを変えていくよう述べています。対象者を高齢者や障害者、貧困などに分けて支援していた従来の福祉の概念を見直し、対象者を限定しない居場所づくりを進めることを盛り込みました。これまで生活者ネットワークが主張してきたインクルーシブな場づくりがようやく動き出すと大変期待をしています。
 こうした提言についてどのように受けとめているのか、都の見解を伺います。
 インクルージョンの考え方は、縦割りでやってきたこれまでの行政の制度を変えることです。例えば、労働は産業労働局所管ですが、障害者の福祉的就労や生活困窮者の中間的就労は福祉保健局で、対象者だけでなく、同じ個人でも状況によって施策が違っています。ソーシャルファームは、まさに労働分野でインクルーシブな場をつくるため、労働と福祉の横断的な視点が必要です。
 地域では、多くのNPOや民間が高齢者や障害者の居場所づくりなどに取り組んでいます。また、就労が困難な人たちが、カフェなど居場所だけでなく就労の場として、多様な人たちがともに働いているNPOもあります。そのような活動への支援として、場所の提供や運営費の補助などが考えられるところです。
 今後進められるソーシャルファームには、こうした民間やNPOの活動も参考にする必要があると考えます。都のソーシャルファーム創設に向けた今後の取り組みについて見解を伺います。
 子育て支援について伺います。
 妊産婦の死亡原因のトップが自殺というショッキングな事実があります。この自殺数は同世代の一般女性の約三分の二に及び、妊娠二カ月、出産後は三、四カ月が多いという東京都の実態調査です。
 自殺する妊産婦の割合をイギリス、スウェーデンと比べると、日本人女性は突出しているのだそうです。こうした背景には、産前鬱、産後鬱があるといわれています。妊娠、出産による心身の変化に不安を抱くことは誰にでもあります。重篤にならないように、一人で抱え込まず、SOSを出しやすい状況をつくることが重要です。
 産前鬱を防ぐために、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
 出産後、生活は一変します。赤ちゃんが泣きやまない、夜寝てくれない、三時間置きに授乳しなくてはならないなど、想像以上にストレスとなります。その上、自分の体もホルモンバランスが急変するため、精神的に不安定になりやすいのです。
 家に来てくれる家事、育児のサポートや、昼間、お母さんが一休みできるデイサービスなど、子育てに寄り添う身近な支援として要望が特に高くなっています。
 しかし、生活者ネットワークが調べたところ、自治体の取り組みには格差があり、支援を受けられない現状があります。
 産後の支援を進めるための都の取り組みについてお伺いいたします。
 産後鬱を防ぐには、リスクが高まる出産から二週間後をピークに、およそ一月の短い期間に健診や訪問などをして早期発見することが重要だといわれています。
 産婦健康診査事業の目的と取り組みについてお伺いいたします。
 子育ての大変さは、多子、多胎児や共働き世帯も切実です。行政の支援メニューの情報や近所の人に支援を求める余裕もなく、孤立してしまいます。
 実際に、共働き家庭で子供の一人が突如入院という事態になったとき、病院で付き添いが求められ、残された子供の世話や職場への了解、保育園への送り迎えの手配など、さまざまな困難が一気に押し寄せました。自治体にはすぐに対応できるメニューはなく、夫婦で解決するしかないため途方に暮れてしまうのが現状です。不測の事態には、所得や家族状況などの制限なく、ベビーシッターを活用できるようにすることが必要です。
 都は来年度から、ベビーシッター利用支援事業を拡充するとのことですが、共働き世帯や多胎児世帯がより使いやすい制度とすべきと考えますが、見解を伺います。
 赤ちゃんが頭を打って病院に駆け込んだら、突如、子供が一時保護になり、親子分離される例が後を絶ちません。急性硬膜下血腫、眼底出血、脳浮腫の三症状があると、乳幼児揺さぶられ症候群で虐待が疑われるためです。
 小児脳神経外科の専門医によると、この症状は家の中で転んだり、倒れたりするときにも起こり得るため、虐待とは無関係でありながら親子分離されることは、子供の育ちに影響を与えるとのことでした。
 病院は、児童相談所に通告するルールがあり、児相が判断して親子分離となります。こうした不幸な事件を防ぐためには、突然の事故であっても、児相は家庭状況や子供の生育状況なども含めて、総合的かつ慎重に判断する必要があります。
 的確な判断には医療の専門職も活用し、医療機関への調査などを十分に行った上で対応することが重要と考えますが、見解を伺います。
 三つの区で、ことしいよいよ児童相談所が動き出します。各地域では準備が進められていますが、区児相が地域の子供を地域で支えることを実践すると同時に、都や他地域と連携していく必要があります。
 都は、広域という観点から、人材育成や施設の広域利用、個別事案に関する情報共有など、継続的な支援が必要です。準備段階と区設置後について、それぞれの支援のあり方について伺います。
 高校における知的障害のある生徒への支援についてお伺いいたします。
 中学校で知的障害特別支援学級を選択した場合、教科の成績がつかないので特別支援学校高等部しか進路の選択肢がなく、通常の高校受験はできないと思っている保護者がいます。特別支援学校の高等部を卒業しても高校卒業資格にはならず、特別支援学校の高等部の修了資格のみです。社会に出てから高卒資格がないことは、今の社会において大きなハードルとなっています。
 中学校の知的障害特別支援学級から高校の卒業資格を目指し都立高校に入学を希望している生徒、保護者がいますが、都立高校における知的障害のある生徒への指導と支援についてお伺いをいたします。
 都立のエンカレッジスクールやチャレンジスクールもありますが、倍率が高く、学ぶ意欲があっても特別支援学級の子供にはハードルが高い。結果として、多くの子供たちは高卒資格を得るためにサポート校のある私立通信制高校に通うため、学費が年間百万円以上かかるなど、経済的な負担が大きいと聞いています。私立通信制高校の生徒の相当数がサポート校を利用していると見られています。
 知事は、代表質問で、都認可以外の通信制高校の授業料負担軽減について検討すると答弁いたしました。
 改めて、都認可以外の通信制高校に在籍しサポート校を利用する生徒を、都の授業料実質無償化の対象とすることが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、外国にルーツを持つ子供の学ぶ権利について伺います。
 昨年の四定の文書質問の答弁で、文部科学省が実施した外国人の子供の就学状況等調査結果速報によると、都における学齢相当の外国人の子供の人数は二万五千二百七十一人、そのうち就学状況を確認できない子供は四千七人いるということが明らかになりました。日本語指導が必要な児童生徒が、実際に日本語指導を受けているのか実態も不明です。子どもの権利条約などを踏まえ、子供が学ぶ権利を保障し、教育環境を整えることは喫緊の課題です。
 外国人児童生徒の現況について、文部科学省の調査では把握し切れなかった事柄について、改めて都は、丁寧な調査を行い、課題を明らかにし、必要な対策を講ずる必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 義務教育制度は国によって異なるため、就学案内や促進には、言語だけでなく文化の違いも含めて丁寧に行う必要があります。区市町村からは、就学案内や教育制度、学校生活のガイダンスなどのパンフレット等について多言語対応が十分に行えない状況があると聞いています。
 区市町村で共通する情報などについて、都がひな形を提供することが必要と考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 最後に、羽田新飛行ルートについてです。
 都心の低空を通る新ルートは、反対する多くの声を無視して、三月二十九日から運用されます。先日、実機飛行が行われましたが、これまで関心のなかった人もそれに気づき、間近に飛ぶ飛行機の巨体に驚き、騒音のすさまじさに耳をふさぎました。命の危機を感じた住民の間に不安が高まり、日に日に中止を求める声が広がっています。
 地域住民の理解を得るためには、関係自治体との意見交換の場は欠かせません。各自治体から意見、要望が寄せられていると思いますが、その対応についてお伺いいたします。また、関係区市連絡会の開催状況についても伺います。
 住民が心配しているのは、騒音や落下物だけでなく、都心を急降下するのは技術的に難しく、墜落事故が起こるのではないかということです。
 住民の理解が得られない以上、新ルートについて計画の見直しを改めて求めるものですが、都の見解をお伺いいたします。
 以上、都議会生活者ネットワークの質問といたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山内れい子議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、気候変動対策への取り組みについてお答えをさせていただきます。
 近年、世界や日本において、記録的な猛暑、豪雨に見舞われるなど、気候変動の影響は既に私たちの身近に及んでおります。地球環境を取り巻く問題はまさに歴史的な転換点を迎えているといってもいいでしょう。
 こうした中、都民の生命、財産を守って、都市としてさらに発展を遂げるために、気候変動の危機に立ち向かうためのビジョン、具体的取り組み、ロードマップを取りまとめましたゼロエミッション東京戦略を昨年末発表いたしております。
 あわせまして、危機感を表明して訴えるだけではなく、行動を起こすことが重要との認識のもとで、気候非常事態という表現を超えて、気候危機行動宣言を表明いたしました。
 都民や企業を初め、多様な主体に共感と協働、ともに働くことを呼びかけて、ともに気候危機に立ち向かう行動を推進してまいります。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、都立高校における知的障害のある生徒への指導と支援についてでございますが、知的障害を含め、障害のある生徒が豊かで充実した学校生活を送るためには、障害の種類や程度を的確に把握した上で、一人一人に応じた学習環境を整えることが求められております。
 そのため、都教育委員会は、校長が教員の中から指名した特別支援教育コーディネーターを中心として、個に応じた指導内容や指導方法を検討し、学校全体で組織的、計画的に実施するよう指導しているところでございます。
 また、障害のある生徒を学校生活におけるさまざまな場面で支援するため、必要に応じて都立高校に非常勤の介助職員を配置しております。
 次に、外国にルーツを持つ子供の学びについてでございますが、都内外国人の児童生徒の就学実態を把握した上で、教育機会の確保に向けた取り組みを進めていくことは重要でございます。
 都教育委員会は、文部科学省が行いました外国人の子供の就学状況等調査の結果を受け、現在、幾つかの区市を選定し、ヒアリングを始めたところでございます。
 今後、国の調査や都教育委員会のヒアリング結果などを分析し、外国人の児童生徒を就学につなげる円滑な取り組み事例や課題等の洗い出しを行ってまいります。
 最後に、就学案内等の多言語での対応についてでございますが、外国人の児童生徒の就学を推進する手段の一つとして、区市町村が就学案内などの情報提供を多言語で行うことは有効でございます。
 都教育委員会はこれまで、外国人向けに就学に関する情報を日本語や英語によりホームページに掲載をしてまいりました。
 また、本年度からは、就学手続や学習指導の際、教職員と外国人の児童生徒やその保護者との会話を円滑にすることができる多言語翻訳システムの導入に対し、区市町村への補助を実施しているところでございます。
 今後は、就学手続や学校での生活などを、外国人の児童生徒に対し、区市町村教育委員会が多言語でわかりやすく案内できるよう取り組んでまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の機能強化に関する意見についてでございますが、都及び関係自治体は、機能強化に関する連絡会を設け、主に部長級の幹事会を活用して、率直な意見交換を重ねてまいりました。
 そこでの意見も踏まえて、国に対し、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を要請してきており、国は、五期にわたる住民説明会の実施や、低騒音機の導入促進を図るための着陸料の見直し、航空会社への世界的に類を見ない落下物防止対策の義務づけなど、総合的な対策を実施してまいりました。
 昨年の七月の連絡会で、改めて関係自治体の意見を取りまとめて国に提示し、その結果、国は、六期目の住民説明会の開催や、着陸高度のさらなる引き上げなど、より踏み込んだ対策を実施いたしました。
 引き続き、関係自治体と連携し、丁寧な情報提供や対策の着実な実施を求めてまいります。
 次に、羽田空港の新飛行経路についてでございます。
 東京の国際競争力の向上や東京二〇二〇大会の円滑な実施のため、羽田空港の機能強化は極めて重要でございます。
 これまでも都は、国に対して丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてきており、それを踏まえて、国はさまざまな対策を実施してまいりました。
 着陸時の進入角度を三度から三・五度に引き上げたことも騒音対策の一つであり、国は、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準にのっとっており、安全性が確保されるものとしております。
 都としては、都民の理解がさらに深まるよう、引き続き、国に対し取り組みの着実な実施を求めてまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 都有施設における再生可能エネルギー電力の調達方針についてでございますが、都は、入札等により電力を調達する際の環境配慮として、東京都グリーン購入ガイドにおいて、CO2排出係数や再エネ利用率等の水準を設定し、再エネ電力の調達を図っているところでございます。
 あわせて、来年度、都内産卒FIT電力等を利用した再エネ一〇〇%電力を複数の都有施設で導入する都庁電力プランを実施いたします。
 今後、こうしたさまざまな取り組み等を着実に進めながら、都有施設における再エネ電力の利用を拡大してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都社会福祉審議会の提言についてでありますが、今期の東京都社会福祉審議会では、二〇二五年以降の将来を見据えた東京の福祉施策のあり方をテーマに中長期的な視点から検討がなされ、今月十三日に意見が取りまとめられました。
 その中では、今後の福祉施策の構築に当たって踏まえるべき論点として、インクルーシブな社会環境の実現、地域生活課題への対応、人と人をつなぐ場や災害等に備える地域づくりなどが提言されており、都といたしましては、これを尊重し、今後、施策を検討する際の参考としてまいりたいと考えております。
 次に、産前鬱の予防についてでありますが、都では、妊娠相談ほっとラインで、妊娠や出産に関するさまざまな相談に看護師等の専門職が電話やメールで助言等を行っており、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげております。
 また、妊娠届け出時の面接等を通じて、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる区市町村を支援しており、来年度は、とうきょうママパパ応援事業を開始し、区市町村への支援を強化してまいります。
 次に、産後の支援についてでありますが、都は現在、産後ケア事業を行う区市町村に対し運営費等を独自に補助しており、来年度は、区市町村の事業への着手や事業内容の充実を促すため、とうきょうママパパ応援事業により、専門職による妊婦への面接等とあわせて本事業を行う場合、区市町村負担分を都が全額補助することとしております。
 また、一歳未満の子供を持つ家庭の育児負担を軽減するため、産後の母子に寄り添い、家事、育児を行うサポーターの派遣に取り組む区市町村への補助を開始するなど、産後の支援の充実を図ってまいります。
 次に、産婦健康診査事業についてでありますが、産婦健康診査事業は、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図ることを目的に、区市町村が、出産後間もない時期の産婦に対し、母体の身体的機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握等を行うものであります。
 都は、区市町村の取り組みを促すため、昨年度から、健診に係る費用を独自に支援する仕組みを開始いたしました。
 現在、医療機関での産婦健康診査の対応状況を把握するため、産後二週間健診の実施や産後鬱病質問票の活用等について調査を行っており、今後、区市町村に調査結果を提供し、事業の実施を促してまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてでありますが、都は平成三十年度、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するため、ベビーシッター利用支援事業を開始いたしました。
 来年度からは、本事業で養成している保育人材を有効に活用し、子育て家庭を幅広く支援するため、日常生活上のさまざまな事情による一時的な保育や、ベビーシッターと一緒に育児を行う共同保育を必要とする保護者を新たに助成対象としております。
 この助成単価は、保護者の負担が認可保育所等での一時預かりと同程度となるよう、一時間当たり二千五百円に設定し、都がその費用を負担いたします。
 また、育児にかかる負担が特に大きい多胎児家庭につきましては、利用時間の上限を拡大するなど、より使いやすい制度としてまいります。
 次に、乳幼児揺さぶられ症候群が疑われる際の対応でありますが、乳幼児揺さぶられ症候群は、頭部の受傷により後遺障害などを引き起こし、最悪の場合は死に至る場合もございます。
 児童相談所は、医療機関から揺さぶられによる虐待の疑いの通告を受理した際には、虐待に該当するかどうか等について丁寧な調査と慎重な判断を行っているところでございます。
 具体的には、保健師資格を持つ医療連携専門員が、必要に応じて児童福祉司とともに速やかに医療機関に赴き、医師や保護者等から、子供の病状把握、受傷に至った原因や経過等に関する情報を総合的に収集しております。
 また、児童相談所では、法医学、眼科、放射線科などの医師を協力医師として登録しており、こうした医師によるセカンドオピニオンを得た上で、児童の安全を第一に考え、援助方針を検討し決定しております。
 最後に、特別区の児童相談所への支援についてでありますが、都はこれまで、特別区からの求めに応じ、区の職員を派遣研修職員として児童相談所に受け入れるほか、児童相談行政について理解が深まるよう、虐待相談や非行相談、一時保護等に関する勉強会を実施してまいりました。
 来年度、三区が児童相談所を設置した後は、一時保護所や児童養護施設などを都区で広域的に利用するほか、児童相談センターで医師や心理職等により実施している治療指導事業について、区の児童相談所が対応する家庭も支援の対象といたします。
 また、地方自治体間の行政専用ネットワーク等を活用し、都区の児童相談所間で情報共有することとしており、今後とも、子供たちの安全・安心を確保する観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) ソーシャルファームについてですが、ソーシャルファームは、就労に困難を抱える方を多数雇用し、活躍する場を提供する新たな仕組みであり、その創設に向けて着実に取り組みを進める必要がございます。
 都は現在、支援対象とするソーシャルファームの認証基準と支援策を定める指針の策定に向けて、企業経営や就労支援の専門家等による検討会を設置し、検討を進めているところでございます。
 今後、検討会での議論を踏まえ、本年六月ごろを目途に指針を公表し、モデルとなる事業者を募集してまいります。
 こうした取り組みを進め、ソーシャルファームの創設を支援してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 通信制高校の授業料負担軽減についてでございますが、都認可の私立通信制高校に在籍する生徒の授業料に対しては、国の就学支援金と都の特別奨学金により、保護者の負担軽減を行っております。
 一方、都認可以外の私立通信制高校については、都の特別奨学金の対象となっていませんが、来年度から国の就学支援金が大幅に拡充され、年収約五百九十万円未満の世帯は授業料が実質無償化となります。
 なお、いわゆるサポート校は、通信制高校に通う生徒を授業とは別に学習面や生活面等で支援する民間施設であり、法令に規定する学校ではないため、授業料の負担軽減事業の対象外でございます。

○議長(石川良一君) 以上をもって質問は終わりました。

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