令和二年東京都議会会議録第四号

○議長(石川良一君) 二十番龍円あいりさん。
〔二十番龍円あいり君登壇〕

○二十番(龍円あいり君) 私の最大の目標は、インクルーシブな社会を実現することです。インクルーシブは、包摂と訳されて、日本語で聞いてもわかりにくいんですが、大胆な意訳をすれば、仲間ということになると思います。
 仲間になれる社会を実現するに当たり、スペシャルニーズ、障害のある人たちを社会参画させてあげるというふうに、もともとは分断されているところから手を差し伸べることがその道だと語られがちなんですけれども、それでは本当の仲間にはなりにくいと思います。
 本当の仲間になるためには、子供時代からいつも一緒にいることで、違いを普通のこととして捉え、無理せず、自然に仲間になる心と方法を知っている大人が社会にふえていくことから始まると思います。インクルーシブ社会は子供時代から始まります。
 子供にとって最大の学びは遊びの中にあります。おととしの一般質問の中で、スペシャルニーズのある子とない子が一緒に安心して楽しく遊ぶことができるインクルーシブ公園を提案し、都は現在、砧公園と府中の森公園で取り組みを進めています。
 先日、砧公園に行くと工事中で、すてきな看板がありました。個性が尊重される多様性社会へと向かう今だからこそ、子供のときに多様性をポジティブに捉える体験が大切、この場所が多様性を身近に感じる新しい価値観との出会いになると書いてありました。ここがインクルーシブな地域コミュニティを形成する場所になってほしいと思います。
 そこで伺います。
 都立砧公園では、具体的にどのような工夫がされた遊具が設置され、整備されているのでしょうか。あわせて、今後は、インクルーシブなコミュニティ形成のために、どのように取り組んでいくのでしょうか。
 また、東京都は、砧、府中の森の二公園で終わりにせず、いろいろな機会を捉えて、引き続きインクルーシブ公園の整備を進めていただきたいと思いますが、都知事の見解を伺います。
 インクルーシブ社会の観点から見ると、身近な公園で地域の子供と遊ぶことが重要です。
 都は、区市町村もインクルーシブ公園を整備できるよう、今年度からノウハウの共有をし始めていて、それを受けて渋谷区と豊島区が来年度の整備を発表しています。ただ、インクルーシブ公園の整備は通常より予算がかかることから、補助金の創設を求める声やガイドラインがあると整備しやすい旨の要望をいただいています。
 そこで、区市町村の管理する公園での取り組みを加速させるために、来年度はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 そして、子供時代に最も大きな影響を受けるのは学校生活です。世界の潮流はインクルーシブ教育にあり、障害者権利条約を読み解くと、目標とするのはフルインクルージョンであり、その環境下において個別化された支援を提供することこそが、学びと社会性を最大限に伸ばすと示されております。
 今月十三日に都知事が招集した総合教育会議では、共生社会の実現を目指した学校におけるインクルージョンがテーマでした。スペシャルニーズ当事者である玉木幸則さんからは、社会生活は生まれた瞬間から始まっていて、五歳なり十歳なりの社会生活経験が必要、ほかの子たちから切り離された閉鎖された環境で社会生活は送れない、学校を卒業してから一から社会生活を始めるというのは手おくれだと、子供時代からともに学び育つことの重要さの訴えがありました。
 都知事は、インクルーシブシティー東京の実現には、教育の力は極めて大きいというふうに力強い発言をしてくださっております。
 未来の東京戦略ビジョンに掲げたインクルーシブシティー東京を実現するための教育のあり方について、都知事の見解を伺います。
 総合教育会議では、藤田教育長からも、これがキックオフとの発言があり、今後に期待しております。
 小中学校においてインクルーシブ教育を進めるに当たっては、区市町村との連携が重要ですが、都教育委員会は、令和二年度はどのような取り組みを行うのか、具体的に伺います。
 また、義務教育終了後も、インクルーシブな環境において学びを続けられることが重要です。現在、都立高校にもスペシャルニーズのある生徒が在籍しているとは聞いておりますが、どのような対応をしており、今後はどのように取り組むのか伺います。
 将来、東京にインクルーシブ教育が根づいて、違いを当たり前のことのように力に変えちゃう次の世代が育ってほしいと願ってやみません。引き続き、取り組みを進めていただけますようお願いいたします。
 さて、スペシャルニーズのある子供の親は、母子手帳で傷つくことがよくあります。成長曲線のはるか下に落ち込んでしまったりとか、首は据わったかなど、発達チェック項目のほぼ全てに、できない、できないというふうに答えることになるからです。親からすれば、小さな成長であっても祝福してあげたいのに、母子手帳からは異常ですよと事実を突きつけられます。
 公益財団法人日本ダウン症協会では、このような母子手帳のかわりに使える子育て手帳、しあわせのたねをつくっています。成長を記念日として記入したり、また、役立つ情報が書かれていたり、将来への見通しが持てて明るい気持ちになるような工夫がされています。不安でいっぱいの親の手元に、このぬくもりのある手帳が届くと、前を向いて頑張るきっかけになります。
 そこで、都立病院で出産し、不安になっている保護者らに、こちらの子育て手帳、しあわせのたねを手渡すなどして支援をしてもらいたいと思いますが、病院経営本部の見解を伺います。
 福祉保健局では、母子手帳を都独自に充実させた子供手帳モデルを作成していますが、どのようにスペシャルニーズに対応しており、どれくらいの区市町村で活用されているのでしょうか。また、今後、さらにいろいろなニーズに応えられるようにするべきだと考えますが、見解を伺います。
 そして、こちらのダウン症児向けの子育て手帳、しあわせのたねについても区市町村に周知していただきたいと思いますが、あわせて見解を伺います。
 今後、スペシャルニーズのある子でも使いやすいような母子手帳、または成長手帳を開発するなどして、全ての子供の誕生と成長が祝福されていると感じることができる取り組みを進めていただけますよう、要望させていただきます。
 さて、いよいよ東京二〇二〇大会の開会まであと半年となり、スペシャルニーズのある子供たちも観戦を楽しみにしております。しかし、特別支援学校に在籍するお子さんの中には、医療的なケアがあるなどの状況や体調によって、会場では観戦できないこともあると思います。
 都教育委員会では、訪問教育の生徒が分身ロボット、OriHimeを使って、自宅にいながら、クラスの活動等に参加できるという取り組みをしております。観戦においても、会場に行けなくとも、最新のバーチャル技術を活用した映像などで、臨場感を体感しながら観戦できるような工夫をしていただきたいと思います。
 都教育委員会では、特別支援学校に在籍する子供たちの観戦について、どのように取り組むのか伺います。
 話は変わりますが、この大会は、どれだけLGBTフレンドリーな大会になることだろうと、世界中の当事者が注目しています。都は、性自認及び性的指向による差別を禁止する条例を施行し、基本計画も策定しました。
 大会期間中、LGBTを初めとする性的マイノリティーの方など、さまざまな方が安心して観戦できる配慮をする必要があると考えますが、都の具体的な取り組みについて伺います。
 なお、プライドハウス東京は、組織委員会の東京二〇二〇公認プログラムに間もなく認証される見込みです。東京都としても、連携し、情報発信や啓発活動につなげていただけますよう要望させていただきます。
 私の地元の代々木公園には、大会期間中、最大規模のライブサイトが設置されて、毎日三万五千人が訪れる見込みです。地域住民からは、楽しみな反面、不安の声も聞かれています。
 多くの人が訪れる桜の季節の公園内は、至るところにうずたかくごみが積み上がっている風景が毎年見られます。基本的には、サイト内でごみを回収するということですが、訪れる人たちがサイトの外の公園内で飲食することも予想され、桜の時期のようなごみが期間中、発生するのではないかと懸念されています。
 また、公園内は渋谷区のたばこに関する条例で禁煙になっていますが、知らずに喫煙する方もいそうです。公園に子供と遊びに来る保育者らから、吸い殻や、そして煙を心配する声をいただいております。
 ライブサイト設置期間中、代々木公園でのごみ及びたばこ対策について、通常以上に丁寧な対応をするべきだと思いますが、見解を伺います。
 また、公園内の売店は現在も現金のみの対応なんですけれども、ぜひ大会に向けてはキャッシュレス対応が望まれます。都立公園におけるキャッシュレス化の取り組みについて伺います。
 大会期間中も公園が快適な空間として利用できるよう、オリ・パラ準備局と建設局とで連携して取り組んでいただけますようお願いいたします。
 続いて、親子の安全な移動についてです。
 去年の七月に都営地下鉄大江戸線にきかんしゃトーマスが装飾された子育て応援スペースが登場すると、メディアで紹介されたり、SNSで話題になるなど反響がありました。私も息子と一緒に乗りましたが、目が輝いて、笑顔のひとときになりました。
 都は、反響を受けて、二月一日から子育て応援スペースを設置した車両を三編成から七編成にふやしましたが、これまでに寄せられた意見がどのように反映されているのか、また、この取り組みを広げていくために、都営地下鉄線が乗り入れしているほかの鉄道会社とのコミュニケーションをとり、理解を促進するとともに、東京全域で親子が安心して移動できる支援の輪を広げてほしいと思いますが、見解を伺います。
 地元の話題が続きますが、渋谷区では、笹塚、幡ヶ谷、初台の頭文字をとったササハタハツプロジェクトが二年前に始まりまして、行政と地域住民らがまちづくりワークショップを行ってきました。そこで繰り返し要望されているのが、このササハタハツをつなぐ水道道路沿道におよそ一・五キロにわたって連なる都営住宅の一階部分の空洞のピロティーをコミュニティスペースとして利用したいということです。
 現在は居住者の自転車が置いてあるだけで、基本的には利用されておりません。そして、居住者は高齢化も進み、見守りのニーズも高まっています。
 一方、周辺は商店街があり、ファミリー世代も多い地域ですので、ピロティーで居住者と地域の住民のつながりが生まれることは、双方にとっていい効果があるはずです。
 都営住宅の居住者と近隣の人が交流する場所として、地域住民が都営住宅のピロティーなどのスペースを使えるようにすることが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 都が今後整備する都民の城について伺います。
 青山劇場と円形劇場は、東洋一ともいわれる舞台機構で、演劇界の歴史をつくり、愛されてきた場所です。四十億円以上かかるため、舞台機構は復元されないことが発表されましたが、この劇場の魂、スピリットを後世に残すことは重要だと思います。改修後の名前に劇場の二文字を残すとか、こけら落としは演劇からスタートするなどして、スピリットをレガシーとしてほしいと思います。
 都は、青山劇場と円形劇場がこれまで果たしてきた役割や意義を将来へどのようにつないでいくのか伺います。
 改修基本計画では、子供の機能を大切にし、遊びや学びのスペースができることも盛り込まれました。
 改修する際は、インクルーシブ公園と同様に、スペシャルニーズのある子とない子たちがともに利用できるよう、インクルーシブな視点を大切にしていただきたいと思いますが、見解を伺います。
 最後に、都民の城の裏の青山病院跡地については、都民の城の改修を待たずに、速やかに活用することを要望させていただきます。
 インクルーシブな社会の実現に向けてキックオフしてくださった都知事を初めとする東京都の皆さんに感謝を申し上げ、質疑を終えます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 龍円あいり議員の一般質問にお答えいたします。
 インクルーシブ公園の整備についてのご質問でございます。
 誰もが自分らしく輝くことができるダイバーシティーの実現に向けまして、障害の有無や年齢、性別、国籍にかかわらず、全ての人が楽しむことができますように、インクルーシブな公園を整備することは重要であります。
 このため、全ての子供たちが安全に楽しむことができる遊び場の整備を進めておりまして、来月にはその第一号、砧公園の遊具広場がいよいよ完成をいたします。
 今後さらに、他の都立公園におきましても、遊具の大規模な更新などの機会を捉えて、こうした遊び場を整備してまいります。
 さらに、トイレの洋式化、サインの多言語化を進めるとともに、多様な人々が楽しめるスポーツなど交流の機会を提供して、ハードとソフトの両面におきまして、さまざまな工夫を図ることで、インクルーシブな公園づくりを進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、多様な人々がともに支え合うインクルーシブシティー東京を実現してまいります。
 次に、インクルーシブシティー東京を実現するための教育のあり方についてでございます。
 東京で暮らす誰もがともに支え合う社会の実現に当たりましては、学校や地域などのさまざまな場面において、人々がともに活動する機会を充実させていくことが重要であります。
 先日、視察をいたしました都立の特別支援学校におきましては、障害のある子供たちが地域の小学生と一緒にボッチャを楽しんだり、保育所や公園の花壇を手入れするなどの活動を行っておりました。
 こうした同世代の子供同士の触れ合いや活動を初め、学校や地域社会の中において、子供たちが分け隔てなく交流し、お互いを認め合う取り組みが必要でございます。
 今後、このような場を数多く設けることによって、多様な人々が互いに尊重し合い共生する意識を高めていく教育を推進、インクルーシブシティー東京の実現を図ってまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、インクルーシブシティー東京の実現に向けた具体的取り組みについてでございますが、共生社会の実現のためには、障害の有無にかかわらず、個々の教育的ニーズに的確に応える多様な学びの場を創出するとともに、互いの違いを認め合い、相互理解を深める教育が重要でございます。
 そこで、都教育委員会は、地域の公立小中学校の取り組みを促進するため、令和二年度から、複数の自治体の協力を得て、学校内での特別支援学級と通常の学級の交流及び共同学習等の実践的研究に取り組んでまいります。
 あわせて、区市町村教育委員会等関係機関との協議会を立ち上げ、区市町村への支援のあり方について検討し、公立小中学校における教育の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における障害のある生徒への対応についてでございますが、学校は、入学した障害のある生徒が豊かで充実した学校生活を送れるよう、一人一人に応じた学習環境を整備することが必要でございます。
 現在、都立高校においては、生徒の障害の程度や状態に応じて、施設のバリアフリー化やICT機器等の整備を行うとともに、生徒の障害に起因する学校生活の困難さを補うため、非常勤の介護職員を配置しているところでございます。
 さらに、来年度からは、非常勤看護師の配置などを行い、安全確保を第一としながら、都立高校での医療的ケアを実施してまいります。
 都教育委員会は、今後とも都立高校における障害のある生徒への支援の充実に努めてまいります。
 最後に、特別支援学校に在籍する子供の競技観戦についてでございますが、東京二〇二〇大会は、子供にかけがえのない心のレガシーを残していくための貴重な機会でございまして、多くの子供たちが観戦することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、特別支援学校の子供たちにパラリンピック競技を直接観戦する機会を設けているところでございます。このことを通じて、子供たちが選手の活躍する姿から夢に向かって努力することの大切さに気づき、スポーツへの興味、関心を高めてまいります。
 また、直接観戦することが困難な子供たちには、先端技術を活用して、大会をリアルに楽しめる観戦の機会を提供できるよう検討しているところでございます。
 今後、直接観戦することが困難な子供も含め、全ての子供たちにとって、競技観戦を通して得た感動が人生の糧となるよう取り組みを一層推進してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立砧公園の整備内容や今後の取り組みについてでございますが、障害の有無や年齢、性別、国籍にかかわらず、全ての人が楽しむことのできる、いわゆるインクルーシブな公園づくりは重要でございます。
 体を支える力の弱い子が揺れる感覚を楽しめる遊具、車椅子で乗り込める遊具、音の出る遊具等、子供がその特性に応じて楽しめる遊具の設置を進めております。
 また、人混みで落ちつきを保つことの苦手な子が静かに過ごすことのできるシェルターや、急な飛び出しをしないための柵を整備しております。
 今後、指定管理者とも連携し、公園を訪れる人々に、障害の有無にかかわらず楽しむことができる遊びやスポーツなどを紹介するとともに、誰もが参加可能なイベントを定期的に開催することで、来園者間の交流を深めてまいります。
 次に、区市町村が管理する公園での取り組みについてでございますが、都立公園のみならず、身近な公園である区市町村が管理する公園で、全ての子供たちが安心して遊ぶことのできる遊び場の整備を推進していくことは重要でございます。
 今年度は、ガイドラインの作成に向けて、都及び区市町村職員向けの研修を実施し、遊具を選定する際の留意点や海外の先進事例などの情報を共有してまいりました。
 引き続き、令和二年度は区市町村と連携し、遊び場の設計に役立つガイドラインを作成いたします。
 あわせて、こうした遊具等の整備に対する補助制度の創設につきましても検討を進めてまいります。
 次に、ライブサイト期間中の代々木公園でのごみ及び喫煙対策についてでございますが、都立公園のイベント開催時は多くの来園者が見込まれるため、イベント主催者が十分にごみや喫煙対策を行うこととし、必要な場合には、公園管理者としても清掃などを強化し、園内美化に取り組んでおります。
 ライブサイト会場となる代々木公園では、会場内にごみステーションを設置し、確実にごみを回収いたします。
 また、会場周辺でも、ごみ投棄や喫煙を防止するため、イベント主催者と公園管理者が連携し、巡回や声かけ、清掃活動を適切に行います。禁煙などのルールにつきましても、外国人にもわかりやすいサインを表示するなど工夫を行います。
 おもてなしの場となる都立公園が快適な環境となるよう、引き続き関係局と連携して取り組んでまいります。
 最後に、都立公園におけるキャッシュレス化についてでございますが、公園利用者へのサービス向上のために、園内施設のキャッシュレス化を推進することは重要でございます。
 現在、動物園等の入場料につきましては、クレジットカードや電子マネーによる支払いが可能であり、令和二年度にはQRコード決済の導入など、キャッシュレス化のさらなる拡充に取り組みます。
 また、都立公園内の駐車場や売店におきましても、キャッシュレス化に順次取り組んでおり、七つの公園の駐車場では昨年十二月に先行導入し、他の駐車場にも今後拡大してまいります。代々木公園の売店では、本年三月からクレジットカードや電子マネーの利用が可能となる予定でございます。
 今後とも、キャッシュレス化の拡充に取り組み、都立公園における一層の利用者サービス向上を推進してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) ダウン症の子供の保護者に対する支援についてでございますが、現在、都立病院では、例えば小児総合医療センターにおきまして、医師及び看護師等で構成するチームが、ダウン症に関連する疾患とその治療方法、言葉の発達を促すための日常生活での接し方等について助言をするなど、育児に不安を持つ保護者への支援を行っております。
 お話の日本ダウン症協会の子育て手帳でございますが、ダウン症の子供を持つ保護者のメッセージを掲載するとともに、子供の発育に合わせて成長を記録できるなど、保護者の気持ちに寄り添う工夫が施されていると認識しております。
 今後は、産科、または周産期母子医療センターのある都立病院におきまして、医療的な支援に加えて、経験者の声を集めて作成された子育て手帳を保護者の方々に提供し、一層安心して育児に取り組めるよう、支援の充実を図ってまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 子供手帳モデルに関するご質問にお答えいたします。
 都は、平成二十九年度に母子健康手帳をもとに、低出生体重児等に対応する発育曲線や、寝返りやつかまり立ちをした時期などの成長の記録欄等を盛り込んだ独自の子供手帳モデルを作成いたしました。
 このモデルを活用して、母子健康手帳やアプリ、冊子等を作成する区市町村を包括補助で支援しており、これまで十区市が活用しております。
 お話の子育て手帳は、ダウン症の子供の特性や先輩ママの体験談、通園、通学の記録欄等を盛り込むなど、保護者に寄り添った内容となっており、今後、母子保健事業担当者連絡会等を通じて区市町村に情報提供してまいります。
 また、現在のモデルをさまざまなニーズのある子供に一層対応できるよう、この手帳も参考に内容の充実を検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) LGBT等の社会的少数者への配慮についてでございますが、東京二〇二〇大会では、多様性と調和を大会ビジョンの基本コンセプトとして掲げ、性的指向を初めとするさまざまな違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合う共生社会を育む大会を目指しております。
 都としては、新設する競技会場において、共用スペースに異性介助などのための男女共用トイレを整備するなど、さまざまな方に使いやすい施設となるよう配慮をいたしております。
 また、観客をご案内するシティキャストの研修においては、多様な性のあり方や何げない言葉遣いに注意することの重要性について、参加者に理解を深めていただいているところでございます。
 引き続き、組織委員会とも連携し、多様性が尊重され、開かれた大会の実現に向け準備を進めてまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 子育て応援スペースについてでございますが、都営地下鉄では、昨年七月から大江戸線三編成で、子育て応援スペースを設置した車両の運行を開始いたしました。
 運行開始後、子育て世代としては本当にありがたいといった感謝や賛同などの好意的なご意見とともに、運行本数の拡大とわかりやすい運行時刻への要望が多く寄せられました。
 そこで、二月一日より、設置車両を七編成に拡大いたしまして、一部の列車を毎日同じ時刻で運行するなど、お客様の利便性を高めました。
 来年度は、今後の子育て支援の取り組みに生かしていくため、幅広い方々を対象に調査を行うとともに、これらの調査結果をもとに、乗り入れしている他の鉄道会社との協議を進めてまいります。子育てをする方々が、公共交通機関を利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅のピロティーなどの活用についてでございますが、居住者の高齢化や単身化が進む都営住宅において、集会所や敷地等を交流スペースとして活用し、居住者と地域住民との交流促進を図ることは、コミュニティの活性化や緩やかな見守りの実現につなげる上で重要でございます。
 都営住宅の建物や敷地は、公営住宅の用途に使用する行政財産でございますが、住宅を管理する上で支障がなく、国または地方公共団体が公用または公共用に使う場合には、使用許可することができます。
 このため、ピロティーなどのスペースについて、お話の水道道路沿いの都営住宅を含め、地元区市等からの地域交流やコミュニティ形成の場としてのニーズに対しましては、可能な限り協力をしてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 仮称都民の城につきまして、二点のご質問をいただきました。
 まず、多目的ホールについてでございますが、多目的ホールは、かつての劇場と比べれば、機能面で一定の制約はあるものの、演劇などの芸術文化活動としましての利用も十分に可能でありまして、加えて講演会、発表会など、都民の皆様にとりまして、身近な幅広い利用に応えることができることから、より多くの方々に親しまれるものになっていくと考えております。
 また、将来的には、一体となった都有地を長期的に活用していくため、地元、まちづくりの専門家、文化関係者などを含めました有識者検討会を設置し、その活用案を検討していくこととしております。
 あらゆる視点から議論を重ねまして、都民にとってその価値を最大化できるよう、議員お話しのような、この地で培われてきた歴史的、文化的価値も踏まえて検討を進めていきたいと考えております。
 次いで、インクルーシブな視点についてでございますが、都民の城は、遊び、学び、仕事を通じて、子供を初めとした都民が交流し、成長できる場をコンセプトにしておりまして、このコンセプトに沿って、さまざまな機能を連携させ、誰もが利用でき、訪れた方々が交流し、成長することのできる施設にしていくことを目指しております。
 今後、改修工事を進めていく中では、施設全体のバリアフリー対策を着実に進めることとしております。
 あわせまして、各施設における具体的な事業内容につきましても検討を本格化させていくこととしており、そうした検討の中で、お話のインクルーシブの観点も含めまして、利用者の視点に立って、誰にとっても利用しやすい施設としてまいります。アドバイザーの知見も賜りつつ、庁内検討組織におきまして具体的な検討を進めてまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

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