令和二年東京都議会会議録第四号

○議長(石川良一君) 七十二番桐山ひとみさん。
〔七十二番桐山ひとみ君登壇〕

○七十二番(桐山ひとみ君) 二〇二〇年、その先には超高齢社会が待っています。東京の人口は二〇二五年をピークに減少し、四十年後には平成二年と同規模となりますが、高齢者の人口は三倍の増加、社会保障費も大幅に増加する見込みです。早急に健康寿命を延伸していく取り組みが重要です。
 スポーツなど身体活動は、疾患の発症リスクを軽減させ、高齢者の認知機能や運動機能など、社会生活機能低下への抑制効果もあり、研究等で明らかになっています。
 欧米では既に推奨されている考え、運動は薬であるというエクササイズ・イズ・メディシン、この取り組みも重要になってきます。
 古くは古代ギリシャの医学の祖、ヒポクラテスは、歩くことが最良の薬という言葉を残したと伝えられ、歩くと頭が軽くなる、筋肉を十分に使っている人は病気にかかりにくく、いつまでも若々しいなどという格言を残しています。
 また、日本の厚生労働省のスローガンでも、一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬と、一に運動を推奨しています。適度な運動こそが健康寿命を延ばす医療そのものであり、東京二〇二〇大会のレガシーとして、地域で日常的に運動ができる環境が重要です。
 そこで、高齢社会が到来する将来の東京を見据え、スポーツや運動を通じた健康長寿社会の実現について、知事の考えをお伺いいたします。
 障害のある方の健康増進のため、スポーツは極めて有効です。しかし、そもそも障害のある方の健康を考えたときに、身体活動及びスポーツをする機会も少ない現実に直面をしています。少しでも体を動かす機会の提供が必要です。
 地域には学校という資源があり、そこをスポーツの場として積極的に活用すべきだと考えます。都は、障害者のスポーツ環境を整備するため、特別支援学校の体育施設の活用モデル事業として取り組んでいます。我が会派の先日の代表質問で、実施校は現在二十校から来年度は拡大実施とのこと。モデル期間が終了しても、ぜひさらなる拡大を検討していただきたいと思います。
 こうした障害者スポーツの拠点が身近な地域でさらに広がるよう、地域に開放できるような施設構造にするなど、課題をしっかりと整理していただき、モデル事業で活用しやすい環境を整備していくことを、施設を所管する教育庁に要望しておきます。
 このモデル事業の中で実施している体験教室は、レクリエーションスポーツを中心に実施していますが、障害者の健康づくりのためには、気軽に安心して参加できるレクリエーションや遊びから体を動かす楽しさを知る機会の提供が大切です。特別支援学校の体育施設が地元の障害者のスポーツの拠点となっていってほしいと考えます。
 そこで、特別支援学校の体育施設の活用に当たり、体験教室の実施に際して地元と連携するなど、特別支援学校を地域の障害者のスポーツの拠点としていくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 人生百年時代を見据え、高齢者一人一人に対してきめ細やかな保健事業と介護予防を実施していくことは大変重要です。高齢者は、複数の慢性疾患の罹患に加え、要介護状態に至る手前であっても、身体的、精神的及び社会的な特性であるフレイル状態になりやすい傾向があります。
 しかし、現行では、七十四歳までの高齢者の保健事業は医療保険者である区市町村国保、七十五歳以上は後期高齢者医療広域連合が実施、介護予防事業は区市町村の介護保険担当が実施するなど、制度の実施主体や組織がまたがり、高齢者の健康課題に一体的に対応できていない課題がありました。その課題に対応するために、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するための関連規定が盛り込まれ、令和二年四月から施行されます。
 また、来年度からはフレイルなど、高齢者の特性を踏まえた質問票に変更され、フレイル状態にある高齢者を適切な医療や介護サービスにつなげることで、疾病予防、重症化予防を目指すことになります。
 そこで、こうした取り組みや国保データベースシステム、いわゆるKDBデータ分析などを通して、区市町村が高齢者一人一人の健康状態を把握し、通いの場への参加を促すなど、必要なサービスにつなげることが求められていますが、区市町村における高齢者の保健事業と介護の一体的な取り組みに向けて、都はどのような支援をしていくのかお伺いをいたします。
 国保制度を持続可能なものとしていくためには、増大する医療費の伸びを抑制する取り組みが欠かせません。そのために、区市町村では、国保データベースシステムを活用し、被保険者の健診、医療費のビッグデータの分析に基づき、効果的な保健事業を展開していくことが求められています。
 さきに述べた保健事業と介護の一体化の中でもこのデータ活用が挙げられており、KDBデータの本格活用が盛り込まれています。しかし、区市町村の国保所管部署では、データ分析に必要なノウハウや専門知識を有する職員が不足していると聞いています。
 昨年度、都では、KDBを活用し、区市町村別データ分析結果を取りまとめ、来年度はデータヘルス計画の中間評価を行う年でございます。
 そこで、区市町村が適切に事業評価を行い、データ分析に基づき地域の健康課題に見合った事業の企画立案ができるよう、都は、KDBデータ分析等に関する人材育成を含めた技術的支援を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 今月開催された東京アビリンピックを視察いたしました。特別支援学校の生徒も出場されており、日ごろ培った技能を披露し、活躍する姿を拝見する中で、生徒の多様な可能性を感じたところです。今後は、技能大会を目指す特別支援学校の生徒への支援が必要だと考えております。
 さて、ことしの東京二〇二〇大会、オリンピック・パラリンピック大会の翌年、二〇二一年十二月、ここ東京で技能五輪全国大会と全国アビリンピックの二大会が同時開催されることが決定しています。
 全国アビリンピックは、障害者の職業能力の向上等を図ることを目的として、障害者が日ごろ培った技能を競い合う大会であり、今月、東京大会の基本計画が発表されたところです。
 会場は東京ビッグサイトで、全国から約四百人の選手が集い、四日間にわたり二十以上の種目で実施されます。喫茶サービスやビルクリーニングなど、花形競技や障害者が活躍している職域の種目が多数あり、競技において全国の障害者がすぐれた技能を大会の来場者に対して披露することを通じて、都における障害者雇用の促進を図るまたとない機会であります。
 そこで、全国障害者技能競技大会、通称アビリンピックの東京開催を障害者雇用のさらなる促進につなげていくことが重要と考えますが、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、流域下水道の財政運営について伺います。
 流域下水道は、東京都が基幹施設である流域下水道幹線や水再生センターなどを設置管理しており、市町村は、各家庭から幹線までの管渠などを設置管理しています。流域下水道の導入により、市町村との連携協力のもと、多摩地域の下水道普及率も上がり、河川の水質も大幅に改善をされました。
 そこで、多摩地域で流域下水道が果たしてきた役割と効果について、改めてお伺いいたします。
 また、流域下水道は、事業運営に必要な経費は市町村からの負担などで賄われており、市町村との連携のもとで成り立っている事業です。多摩地域の水環境の維持向上のためには、流域下水道の安定的な経営が必要ですが、平成三十年度決算では維持管理収支が約十億円の赤字となっており、令和二年度の予算案でも赤字で計上されています。
 これまでの経緯も含め、その原因と対策については議会の場で今後厳しくただしてまいります。これまで経営努力をしてきていないとは申し上げませんが、あらゆる角度から、まず努力できる方策を検討すべきであると考えます。
 今後、施設の老朽化が進んでいくことを考えると、抜本的な対策が必要な時期に入ってきているのではないかとをしています。これらの状況に適切に対応するためには、事業のパートナーである市町村にはしっかりと情報提供し、より一層丁寧な対応と協議を進めていくことを要望しておきます。
 そこで、流域下水道の財政基盤強化に向けたこれまでの取り組みと今後の対応について、都の見解をお伺いいたします。
 都は、一昨年に実施した防災事業の緊急総点検を受け、神田川等八河川において、新たな調節池の事業化に向けて、候補地や構造形式について検討を実施していると聞いています。その中でも、本定例会における知事の施政方針において、来年度、石神井川と境川で事業に着手する旨の方針が示されました。
 地元西東京市を流れる石神井川の上流部においては、都立東伏見公園の整備と一体的に護岸整備を実施しておりますが、特にこの区間においての浸水防止対策は地元でも課題として挙げられており、南町調節池付近でも水位が上昇し、周辺住民の不安は拭えません。
 そこで、今後、この石神井川の河川上流周辺の整備について、どのような対策がとられていくのかお伺いをいたします。
 次に、西東京市内の都市計画道路について、西東京都市計画道路三・四・一一号線は、調布保谷線から都道保谷志木線までの区間で、東京都第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業を活用し、整備促進を図っています。既に用地測量、基本設計も終えていると市からも聞いているところです。
 この計画道路上には都有地が重なっており、これまで、都有地活用については搬入路の確保ができないなどで、都有地活用はありませんでした。しかし、過去に調布保谷線の代替地として一部都有地を提供した事例もあることから、今後、用地取得に際し困難を要する場合など、市側の要請に対し相談対応していただけますよう要望しておきたいと思います。
 今後は、この整備により保谷駅からひばりヶ丘駅までの道路アクセス性が格段に向上し、さらに、道路沿道になる都有地の活用も、今後価値のある場所になることから、まちづくりにおいて周辺住民からも期待されております。
 そこで、西東京三・四・一一号線の取り組み状況についてお伺いいたします。
 西東京三・四・一二号線について伺います。
 これは、保谷駅南口のまちづくりにとって大変重要な路線です。西武池袋線保谷駅南口を東西に走る都道二三三号線のバイパス機能を果たす道路です。
 駅前の主要道路である都道二三三号線は幅員が狭く、バスを初め、車や自転車が頻繁に通る非常に危険な道で、私自身も市議会でたびたび取り上げ、事業進捗について質疑をしてきました。地元は早期整備促進を要望しており、悲願の道路です。
 この都市計画道路が整備された際には、保谷駅周辺の都道二三三号線の一部市への移管を含め、都道二三三号線を安心して買い物ができるコミュニティ道路として整備することと期待されています。
 平成十年の事業着手以来、都は用地取得を進め、残画地はあとわずかとなっていますが……。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 スポーツを通じた健康長寿社会の実現についてのお尋ねでございます。
 スポーツは、スポーツをすること自体、喜びや楽しみを感じることができるほか、健康な身体を育み、健康の維持増進に寄与するものでございます。
 また、スポーツは人と人とをつないで、日々の生活に夢や目標をもたらすなどの多様な力を秘めております。健康長寿や共生社会の実現など、東京が抱えるさまざまな課題の解決にも資するものと考えております。
 これまで都といたしまして、さまざまなスポーツ体験やウオーキングイベントの開催などを通じまして、スポーツをする機会の創出等に取り組んでまいりました。私も、いつでもどこでもできるラジオ体操や、さまざまなパラスポーツの体験を通じまして、わずかな時間でも体を動かす楽しさと心身のリフレッシュを実感しております。
 これからの人生百年時代を見据えまして、幾つになりましても住みなれた東京で元気で心豊かに暮らすことのできる長寿社会をつくり上げてまいります。
 そのため、東京二〇二〇大会のレガシーを最大に生かしまして、都民の日常生活にスポーツが溶け込んで、まちの至るところでスポーツをする、見る、支えることができるスポーツフィールド東京の実現を目指してまいります。
 残余のご質問は、担当局長からお答えをいたします。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 地域における障害者スポーツの拠点についてでございます。
 都は、平成二十八年度から、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめるよう、特別支援学校の体育施設を活用し、誰もが参加できる体験教室を実施しております。
 実施に際しては、レクリエーションスポーツ団体に加え、地域スポーツクラブ等とも連携し、プログラムの企画方法のほか、障害特性に応じた支援方法等について事前に習得いただく機会を設け、運営ノウハウの共有を図っております。
 また、一部の実施校では、住民の方にも体験教室を支えるボランティアとしてご参加いただけるよう、地元区が実施する人材育成事業と連携をして募集を行っております。
 こうした取り組みなどを広げまして、特別支援学校の体育施設が地域における障害者スポーツの拠点として根づくよう、区市町村等と連携しながら取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、保健事業と介護予防の一体的な取り組みについてでありますが、健康保険法等の改正により、本年四月から、高齢者の心身の状況に応じたきめ細かな支援を行うため、区市町村が後期高齢者医療及び国民健康保険、介護保険の事業を一体的に実施することとなります。
 区市町村は、事業のコーディネートやデータ分析、通いの場等での支援を担う医療専門職を配置することとされており、都は、昨年十二月に、具体的な取り組み方法等について説明会を開催いたしました。
 来年度は、健康長寿医療センターの専門的知見を生かし、区市町村が実施する介護予防活動に低栄養などフレイルを予防する視点を加えるとともに、地域特性に応じた多様な通いの場を普及できるよう、人材育成や相談支援等を実施いたします。
 今後、区市町村の保健事業と介護予防の一体的な取り組みを支援してまいります。
 次に、国保データベースシステムの活用についてでありますが、国民健康保険の被保険者の健康を保持増進し、医療費の適正化を図るためには、区市町村がレセプト、健診データ等を分析し、地域の健康課題を明確にした上で、生活習慣改善指導などの保健事業を効果的に実施していくことが必要でございます。
 都は現在、医療費分析を行っている区市町村への財政支援のほか、関係機関と連携し、国保データベースシステムに基づく健康課題の抽出や分析方法等に関する研修を行っております。
 来年度は、データ分析に基づく事業評価、データヘルス計画の策定、見直しが行えるよう、専門家を区市町村に派遣する予定であり、今後も効果的な保健事業の実施に取り組む区市町村を支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 全国アビリンピックについてですが、二〇二一年に東京で開催する本大会の機会を捉え、障害者の技能の向上を図り、そのすぐれた技能への企業の理解を深め、障害者雇用を促進することが重要でございます。
 このため、都は、大会を契機とした障害者の技能向上に向けて、企業や特別支援学校等において、大会出場を目指す選手の技能実習経費等を助成しておりまして、来年度はその規模を拡充してまいります。
 また、企業の障害者雇用に向けた意欲の向上を図るため、経済団体等と連携し、広く企業に大会のPRを行うとともに、競技出場選手のすぐれた技能をアピールするほか、特別支援学校の生徒による技能の実演を行う場の設置について検討してまいります。
 全国アビリンピックの東京開催に向けて、これらの取り組みを着実に進め、障害者雇用を一層促進してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、流域下水道の果たしてきた役割と効果についてでございますが、下水道は原則、市町村事務でございますが、多摩地域では効率的な下水道の普及、運営を図るため、都が流域下水道として水再生センター等の基幹施設を整備し、市町村の区域を越えて広域的に下水を処理するという役割を担っております。
 公共下水道を整備する市町村と都が一体的に事業を運営することにより、普及率は流域下水道事業が始まりました昭和四十四年度の二〇%程度から、平成二十二年度には九九%にまで達しております。
 その結果、多摩川で年間一千万尾以上のアユが遡上するなど、多摩地域における水環境は大幅に改善いたしたところでございます。
 また、市町村と連携しました水質調査の共同実施や、市町村職員の人材育成への支援を行うなど、多摩地域全体の下水道サービスの充実にも貢献しております。
 次に、流域下水道の財政基盤の強化に向けたこれまでの取り組みと今後の対応についてでございますが、これまで、下水道の普及による増収効果に加え、省エネ機器の導入や水再生センターの委託内容の見直しによる経費縮減等、可能な限りの経営努力を行ってきました。これにより、市町村の維持管理負担金単価を四十年近くにわたり据え置くことができたところでございます。
 しかし、普及率が九九%に達し、さらなる増収が期待できない中、東日本大震災以降の労務単価や電気料金等の上昇により、厳しい財政状況が続いております。
 今後、施設の老朽化にも適切に対応しながら安定的に事業運営をしていくため、一層の経営努力に努めるとともに、財政負担のあり方につきまして、市町村と情報共有を図りながら検討し、丁寧に協議を重ねてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、石神井川上流部の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るには、護岸や調節池等の整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 現在、都は、坂下橋下流から柳沢橋上流間で護岸整備を実施しており、都立東伏見公園予定地内では、水辺を身近に感じることができる公園と一体となった緩傾斜護岸の整備に向け、用地取得などを行っております。
 さらに、令和二年度には、既存の南町調節池の敷地や青梅街道の地下などを活用した総容量約三十万立方メートルの地下トンネル式の新たな調節池を事業化し、関係機関との協議をさらに進めながら、基本設計を実施いたします。
 水害に強いセーフシティーの実現に向け、石神井川の整備を道、水、緑の連携により推進してまいります。
 次に、西東京市内の都市計画道路についてでございますが、西東京三・四・一一号線は西東京市域を東西に結び、地域交通の円滑化を図るとともに、歩道の整備や無電柱化により、歩行者の安全性の向上に寄与する路線でございます。
 このうち、調布保谷線から主要地方道保谷志木線までの延長八百十メートルの区間は、第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業に位置づけ、都と西東京市が連携協力して整備するものであり、西武池袋線ひばりヶ丘駅へのアクセス性が向上いたします。
 これまで、西東京市が設計や調査、測量等を実施しており、来月には事業認可を取得する予定でございます。
 引き続き、地元市と連携しながら多摩地域の道路整備を推進してまいります。

ページ先頭に戻る