令和二年東京都議会会議録第四号

○議長(石川良一君) 百番大場やすのぶ君。
〔百番大場やすのぶ君登壇〕

○百番(大場やすのぶ君) 初めに、5G推進に邁進されていらっしゃいます宮坂副知事にお尋ねします。
 人材確保などに大変なご苦労をされていらっしゃるようにお見受けします。トップの方からの支えはあるのでしょうか、ないのでしょうか。少なくとも私には見えません。
 都民与党である我が党といたしましては、七月三十日以降も見据えまして、ヤフー時代から自民党にとても近いお立場で宮坂副知事が孤軍奮闘されていらっしゃる状況を見過ごすことはできません。
 真の先進都市東京の実現に向けた副知事の今後の事業展開に係るお考え、ご決意など、都議会自民党を初めとする我々に対して忌憚なくお聞かせいただきたいと思います。
 次に、高齢者の居場所づくりについてお伺いします。
 都内ではひとり暮らしの高齢者が増加しております。中でも、退職された男性などで、現役時代の人間関係が途切れてしまい、人と全く話をしない日がある方など、相当数いらっしゃると聞きます。
 こうした方々にとりまして、気軽に通える場所が自宅から身近なところにあり、何かしら参加できる機会が設けられているのは大変ありがたいことです。
 私の地元の世田谷区では、都の介護予防による地域づくり推進員配置事業の活用による有志の高齢者が立ち上げた男性対象の体操グループなど、さまざまな介護予防の取り組みを住民が主体的に行っています。このような地域の活動こそ、全都的にふやしていく必要があると考えます。
 都は、今後、介護予防のために区市町村が行う多様な通いの場づくりの取り組み、どのように支援していくのかお伺いします。
 また、都は、介護予防はもとより、高齢者の生きがいづくりや地域での居場所となるサロン等の取り組みを支援することにより、多様な高齢者ニーズに対応していくべきと考えます。都の支援策についてお伺いします。
 東京における児童養護施設出身者の大学、専門学校などへの進学率は、全国平均に比しては高いですが、全体の進学率と比べますと、まだまだ低い実情があります。
 生まれ育った家庭状況にかかわらず、意欲や能力のある子供に対しては、進学につながる学習環境づくりに対する行政の支援は必須と考えます。
 また、学習習慣に欠ける子供や勉強の苦手な子供など、特別な配慮が必要な子供に対しては、個別のサポートによる良好な学習環境の提供など、きめの細かいケア施策による学習支援、進学支援が求められていると考えます。見解をお伺いいたします。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、日本の若者が海外に目を向け、積極的に世界中の人々と交流を図る絶好の機会であります。世界都市東京が将来にわたって持続的に発展していくためには、未来を担う若者が豊かな国際感覚を持った人材へと成長できる環境を創出することが極めて重要であります。
 都議会自民党はこれまでも、私立学校のグローバル人材育成を支援するため、私立高校生の海外留学支援制度を初め、さまざまな施策を実現させてまいりました。
 大会後も、こうした施策を着実に推進していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 昨年発生した台風十五号、十九号は、関東地方に深刻なダメージをもたらしました。
 都内でも、島しょ部を中心に、強風等による家屋被害が多数生じました。この場をかりまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 老朽化した空き家がそのまま放置されておりますと、大規模台風時などには、資材の脱落や飛散などにより、周囲の家屋などに被害をもたらすおそれがあり、地域の住民の方々は常に脅威と同居していることになってしまいます。
 平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家は約八十一万戸であり、うち腐朽や破損がある空き家は約十二万戸に上り、平時における老朽空き家対策は、防災の視点からは喫緊の課題です。
 都では、そのような老朽空き家に対して具体的にどのような防災対策を講じているのか。また、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 さて、都内の救急出動件数は、十年連続で過去最多を更新し、昨年中も八十二万五千件を超えています。高齢化の進展により、救急需要は今後も増加傾向が継続すると見込まれます。
 このような状況の中、傷病者の救命のためには、その場に居合わせた方、いわゆるバイスタンダーによる一次的な手当てが極めて効果的であり、迅速かつ適切な応急手当てを促進することが重要と聞いております。
 しかしながら、世論調査によれば、あなたができる応急手当ては何かとの設問に対して、何もしないと回答された方の内訳を見ますと、何をしたらよいかわからない、自信がないといった回答が多い状況です。このことから、一般都民が、バイスタンダーとして自信を持って応急救護可能なよう積極的に取り組む必要があると考えます。
 それにはまず、東京消防庁が実施する救命講習の受講者数をふやすことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 各国で頻発している大規模な山火事や干ばつ、我が国における大型台風による河川氾濫等による浸水や道路の崩落など、世界的な気候変動リスクにより、人々の生活を脅かす甚大な被害が発生しています。
 こうした中、都は、昨年十二月に気候変動適応方針を公表しましたが、国は既に平成三十年十一月に気候変動適応法に基づく気候変動適応計画を策定済みであり、都の動きは国の後塵を拝しております。
 早急に関係各局が連携して、法の趣旨を踏まえた気候変動適応計画を策定し、具体策を強力に推進すべきです。
 今後、どのように計画をまとめ、適応策に取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 水道局では、平成二十六年一月に、指定工事事業者の利便性向上や負担軽減を目的として、建物へ水道を供給するための給水装置工事に電子申請の仕組みを導入いたしました。残念ながら、その対象工事が限定されている、システム操作が難しいなどにより、現状では利用率が低迷しているようです。
 今般、条例改正により、指定業者の指定の更新制が導入されましたが、この更新制の目的の一つに、事業者の資質向上がございます。
 都は、指定業者の施工能力向上に向けて取り組みを進めるとともに、給水装置工事の電子申請の普及促進により、指定事業者の利便性向上や負担軽減、給水装置業務の効率性を一層推進していくことが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、東京都の危機管理責任者である小池知事にお伺いいたします。
 昨日、安倍総理から、新型コロナウイルス感染症対策として、週明けの三月二日から春休みまでの間、全国の小中学校、高等学校、特別支援学校に休校を要請する方針が示されました。感染症対策としてはやむを得ないことでありますが、一方で、学齢期の子供を抱える保護者からは不安の声が上がっています。
 学校での感染症対策を徹底するには、さまざまな家庭状況を考慮し、支援することに加え、雇用する企業や社会全体の理解を得ていくことが大切です。
 また、要請の趣旨を踏まえて、子供や各家庭には、不要不急の外出は極力控えるなど、家庭での過ごし方のガイドラインを示していくことも必要なのではないかと指摘をさせていただきます。
 ところで、大手企業を中心に、社内感染を防ぐべく、一定期間の在宅勤務を開始するなどのニュースが相次いでいます。また、愛知県の金融機関では、行員の一人に感染が判明したものの、こうしたケースのBCPを日ごろより想定しており、翌日には通常業務に戻っているとの報道でした。ある自治体では、職員に感染者が発生した場合、全庁閉鎖も含めて検討するといった具体策の議論も既に始まっているようです。
 大変多くの都民が利用する都庁や出先機関においても、こうした事態は十分想定されます。都においても、小池知事のもと、当然、万全の危機管理体制を構築していると思いますが、都職員に感染者が発生した場合、どのような手順でどのように対応することになっているのか、小池知事にお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えをいたします。
 ご質問に、ご通告いただけていなかったご質問でございますが、大事な点でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 職員が新型コロナウイルスの感染症を発症した場合には一体どうするのかというご質問だったかと存じます。幾つかの段階もあろうかと思います。
 例えば、まずは速やかに都庁舎内での感染の拡大の防止策を講じるというのが一点。
 それから、都民の命を守るという大目的がございまして、そしてまた都市の機能を継続させなければいけない、そしてライフラインの業務を継続させなければならない。ここはまさに都政としてのBCPの部分であります。
 それから、感染者が発生をした職場の業務の維持も続けていかなければなりません。どこでそれが発生するかわからないということでございますので、それぞれの職場において、起こった場合ということで、危機管理の体制を組んでまいります。
 そして、そのためには、全庁的な応援体制も築いていかなければならない。そして、弾力的、機動的に事業継続を行うことによって、都政の停滞を防ぐ。そしてまた、機能を確保しながら、都民の皆様方へのサービスを継続していくということが必要なんだろうと思います。
 幾つか申し上げましたけれども、職員も現場で、例えば病院、そしてまた公共機関などなど、ある意味感染を防がなければならない、そういう役、またそういう場で働いているところでございますので、職員の安全を確保しながら、都民の命、そして都市機能の維持を図るということが必要かと存じます。そういう意味では、全力を挙げまして都政の機能の維持に努めていくのは、組織の長といたしまして重要な役目かと存じます。
 考えてみれば、三・一一、御党の総務会長として、先頭の一人に立たせていただきました。地元国会議員として、阪神大震災の地元の対応に当たらせていただきました。中越沖地震においては防衛大臣として、自衛隊の責任者として、現場に立ちました。
 これまで、考えてみれば、いろいろな危機管理を担当させていただいたことによって、今回の有事ともいえるこの新型コロナウイルス感染症対策、ここは都民の皆様方のご協力を得、そしてまた都議会の皆様方のご協力を得、この有事をどうやって乗り越えていくかというのは、東京都政においても重要な課題でございます。
 どうぞ皆様、最後までご協力のほどよろしくお願いを申し上げたく存じます。
 残余のご質問につきましては、担当の関係局長からお答えをさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 今後の5Gにかかわる事業展開についてでございますが、韓国、米国、中国等では、既に二〇一九年より5Gの商用利用が始まっており、世界が先を行く中、先端技術の面でおくれをとりつつある日本の状況に、私は民間時代から強い危機感を持っておりました。
 こうした中、小池知事から、東京のデジタルシフト推進に向けて、行政経験が全くない身ではありますが、インターネットの世界で培ってきた経験を生かしてほしいと参与就任の要請をいただき、私と同じく日本の状況を憂う知事の熱意にほだされまして、民間のいろんなポジションとかもあったわけでございますが、全てを捨てて行政の世界で頑張ってみようと思って、こちらの方に参りました。
 副知事就任から五カ月、これまで、知事の強力なリーダーシップのもと、都庁各局の皆様と連携しながら、デジタルの力を使って課題を解決し、行政サービスの質を向上させるため、施策の構築などに取り組んでまいりました。
 二〇二〇年度予算においては、二〇二〇年度を、東京のデジタルトランスフォーメーションに着手するスマート東京の元年と位置づけまして、百五十八億の予算を計上するとともに、今月にはスマート東京実施戦略を策定いたしました。
 また、実施戦略を着実に推進するための執行体制の確保に向け、高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を採用しないといけないと。二〇二一年度からのICT新職種の採用開始を決定するなど、組織人員体制の強化を図り、そして私も先頭に立って、採用のイベント等、採用に関しては全力でやっぱり力を入れていきたいと思って参加をさせてもらっております。
 今後も、スマート東京の実現に向けて、こうした取り組みを通じて、都民ファーストの視点に立って、全庁横断的にさまざまな施策を展開してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護予防の通いの場への支援についてでありますが、都は現在、高齢者が体操等を行う通いの場の運営ノウハウの提供やボランティアの養成などを行う地域づくり推進員を配置し、住民主体の介護予防の取り組みを進める区市町村を支援しております。
 来年度からは、この推進員に対しまして、介護予防、フレイル予防や通いの場の研究を行ってきた東京都健康長寿医療センターの知見を生かした研修を実施し、社会参加の促進や低栄養の予防など、フレイル予防の観点を加えたプログラムの普及を図ってまいります。
 今後、体操に限らず、高齢者がそれぞれの興味や関心、健康状態等に応じて参加できる多様な通いの場を身近な地域にふやしていけるよう、区市町村への支援を強化してまいります。
 次に、高齢者の生きがいづくり等への支援についてでありますが、都は、第七期高齢者保健福祉計画におきまして、地域で支え合いながら安心して暮らし続けることができる東京を理念に掲げ、高齢者が、みずから望む生き方をさまざまな選択肢の中から主体的に選ぶことができるまちづくりを推進しております。
 現在、高齢者を対象とした文化、教養、スポーツや地域コミュニティに関する講座など、生きがいづくりや自己実現につながる多様な活動の実施や、高齢者が気軽に立ち寄り交流できるサロンの設置、運営等に取り組む区市町村を支援しているところでございます。
 今後も、多様なニーズを持つ高齢者の生きがいづくりや居場所づくり等に取り組む区市町村を支援してまいります。
 最後に、児童養護施設での学習支援についてでありますが、施設では、自習室の設置など学習環境を整えるほか、大学生等のボランティアを活用し、児童の状況に合わせた学習支援や進学支援を行っております。
 都は、中学生以上の学習塾や大学進学等に要する経費の一部を支援するほか、入所児童の自立支援や進学準備から退所後の継続的な相談援助を行う専任のコーディネーターを配置する施設を支援しております。また、集団学習が困難など、個別のサポートが必要な児童に対しましては、家庭教師等による個別学習の支援を行っております。
 来年度は、十分な学習機会を確保するため、高校生の塾代の実態を踏まえ、都独自に上乗せして補助することとしており、社会的養護のもとで育つ児童一人一人の状況に合わせた学習支援や進学支援に取り組んでまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 私立学校におけるグローバル人材の育成についてでございますが、東京が国際都市としてさらなる飛躍を遂げるためには、次代を担う国際感覚豊かな人材の育成が重要であり、特色ある教育活動を行っている私立学校の役割は大きいものでございます。
 そのため、都は、高校生の海外留学への支援を初め、外国語指導助手を活用する学校への補助、教員を海外研修に派遣する際の補助、生徒の英語四技能をはかる外部検定試験料の補助といったさまざまな施策を行ってまいりました。
 また、現場の声も聞きながら、これらの施策が使いやすいものとなるよう、制度の見直しなども行ってまいりました。
 今後も引き続き、こうした施策を通じて、私立学校におけるグローバル人材の育成を支援してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 防災面からの老朽空き家対策についてでございますが、空き家対策は、地域の実情を把握している区市町村の取り組みが重要であり、都はこれまでも、区市町村に対し、空き家の除却や改修等の財政支援、技術的助言等を行っております。
 また、今年度からは、区市町村の創意工夫を生かした企画提案に基づく事業への支援を開始し、跡地利用を条件としない老朽空き家の除却、適正管理のための修繕等、防災につながる取り組みも支援しております。
 さらに、都は、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会において、これらの先進的な取り組み事例の情報共有や都の支援事業の活用を促しております。
 来年度拡充を図る予定であります区市町村支援事業も活用しながら、引き続き、防災面からの老朽空き家対策を進めてまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 救命講習の受講者をふやす取り組みについてでございますが、東京消防庁では、より多くの都民が応急手当ての知識、技術を習得できるよう、救命講習を積極的に推進しており、毎年二十万人以上が受講しております。
 さらなる受講促進のため、ホームページや消防アプリで講習案内を行うとともに、インターネットによる講習受け付け、eラーニングを活用した講習時間の短縮などを行っているほか、講習会場を駅の近くに設定するなど、受講者の利便性向上に努めてまいりました。
 また、普通救命講習や上級救命講習のほか、小学校高学年以上を対象とする、短時間でAEDの使用方法を学べる救命入門コースを平成二十八年から設けております。
 今後とも、政策連携団体である公益財団法人東京防災救急協会と連携し、都民ニーズに即した講習を充実させ、受講者数の増大を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 気候変動影響への適応についてでございますが、気候変動による深刻な影響は私たちの身近な生活にも及んでおり、CO2排出を削減する緩和策に加え、影響を回避、軽減する適応策にも取り組むことが重要でございます。
 適応策は、自然災害や健康、農林水産業など幅広い分野にわたるため、都は既に、昨年五月に庁内検討会議を設置し全庁的に検討を進めており、ゼロエミッション東京戦略に基づき、緩和策と適応策を総合的に進めることを踏まえ、基本的な考え方を示す気候変動適応方針を昨年末に策定いたしました。
 今後も、庁内各局と連携し、長期戦略とも整合させた上で、国等の関係機関とも連携し、豪雨対策や暑さ対策等の具体的な取り組みを盛り込んだ計画を策定いたします。
 また、適応に関する情報発信等の拠点となる気候変動適応センターの設置を進めるとともに、住民に身近な区市町村の取り組みも支援しながら、適応策を推進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 給水装置工事の電子申請についてでございますが、電子申請は、指定給水装置工事事業者が、工事申請を局の受け付け時間外にも申請することができるとともに、来庁回数を減らすなど、事業者の利便性向上と負担軽減につながる効果的な取り組みでございます。
 しかし、現状では、電子申請で申請できる工事を限定していることや、システム操作が難しいなどの理由により、利用率が低迷しており、利用促進を図る必要がございます。
 このため、来年度から、電子申請の対象を給水装置工事全体に拡大をいたします。
 また、現在行っている講習会の開催頻度を高め、システムの操作習熟の機会を増加させるとともに、職員などが事業者を個別に訪問し、操作に関する指導を行うなど、サポート体制のさらなる充実を図ってまいります。

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