令和二年東京都議会会議録第四号

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例四件、知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 二十四番菅原直志君。
〔二十四番菅原直志君登壇〕

○二十四番(菅原直志君) 昨日、突如政府から全国の公立小中高を三月二日から春休み明けまで臨時休校させるとの方針が示されました。新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐという趣旨には賛同するものではございますが、現場の学校、自治体と十分な協議、調整をすることなく、突如週明けから休校という政策決定は、対応に追われる自治体にさらに大きな混乱を引き起こすものといわざるを得ません。
 今回の唐突な政府の対応は、都民生活に多大な影響を及ぼすものです。小学校低学年の子供を持つ共働き家庭やひとり親は、一日中小さい子供を家に一人にすることはできません。仕事を休まざるを得ず、その結果、所得、給料の減少というしわ寄せを負いかねないものです。小学校高学年、中高生に関しても、卒業式や入学試験を初め、さまざまな個別の事情を抱えております。
 臨時休校の検討に当たっては、感染拡大を抑える資材の重点配備などの措置を強化、徹底した上で、学童保育を臨時的に長期休暇期間中と同様に、一日中対応できる体制にするなど、働く親の実態に即した対応が必要と考えますが、公立小中高の臨時休校に関する見解を伺います。
 さらに、特別支援学校に通う子供は、突如専門性を有した学校による支援が受けられなくなり、一層深刻な課題を抱えると考えられ、特別支援学校特有の事情に即した対応が必要と考えますが、見解を伺います。
 政府の休校要請に基づき、最も大きなしわ寄せが行きかねないのが、非正規雇用で働く方々です。特に、ひとり親で小学校低学年のお子さんを育てている非正規雇用の保護者の皆さんは、勤務日数が減ることで収入が減り、生活費を賄えないような事態に陥りかねません。
 国の危機を乗り越えるに当たって、社会的、経済的に弱い立場にある方に最も大きな負担を強いるようなことがあってはなりません。
 そこで、この休校に伴い、派遣切りや非正規雇用の解雇などがないようにすることはもちろん、収入面でも不安が生じないように、都として国に求めるとともに、都としても対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 今回の国の決定には、保育園や学童保育所、幼稚園は今回の措置の対象に含まれてはいないということですが、一部自治体では独自にこれらの施設も休ませる動きも見られます。都内の感染の状況を踏まえた慎重な検討が必要です。
 都内の感染状況を踏まえた方針を早期に示すとともに、開園を続ける保育園や学童保育所、幼稚園がある場合には、親の不安を軽減する取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 学校の休校要請を受けて、幼稚園、保育園が突如休園になるのではないかと不安が広がっています。どのような場合に休園にするのか、データに基づく基準をあらかじめ示すように、都は国に対して要請すべきと考えます。
 また、先行して休校を実施した自治体においては、それに伴い、医療関係者が出勤できず、医療機関が休まざるを得ない状況に追い込まれた例もあるとのことです。働くことが困難となる親、医療や学童、保育園などの関係者など、厳しい対応を迫られる現場の方々など、今回の国の一連の措置により、都民に多大な影響が出るものであり、国に対しては必要な補償も求めるべきとつけ加えておきます。
 女性活躍推進の一つの入り口に育児休暇の取得があります。都庁で働く男性の取得率は、平成二十八年で四・三%、平成二十九年で七・〇%、平成三十年度は一〇・六%と飛躍的に高まってまいりました。
 対して、平成三十年度の消防庁の男性の育児休暇取得率、これは一・八%、警視庁の警察官の男性に至っては〇・三%、そして警視庁の行政職の男性、これは〇%ということです。
 育児休暇の取得は一つの指標です。都は、女性活躍推進の観点から、新たな施策を予定していることを確認し、評価をいたします。都が昨年末に公表した未来の東京戦略ビジョンにおいて、二〇三〇年に向けた政策目標として、男性の育休取得率の向上とともに、家事、育児関連時間の男女差の半減を掲げております。
 女性活躍推進の実現のため、男性の家事、育児参画に向けた機運の醸成が重要と考えますが、都知事の見解を伺います。
 改正がん対策基本法により、がん対策は、予防、医療に加え、共生の概念が展開されることになりました。がん患者の生活を丸ごと支える取り組みが求められます。
 AYA世代のがん対策では、がん治療によって生殖機能に影響を及ぼす可能性もあることから、卵子、精子の凍結に助成金を求めてまいりました。昨年十二月末の現在で、助成金を実施しているのは十二都道府県、検討中が十三都道府県です。
 生殖機能温存のための費用助成を含め、AYA世代のがん患者への支援を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 がんと就労の両立は、法に定められた共生の概念の柱の一つです。
 都のがん患者調査では、がんと診断されたときに、就労していた人の二四・七%が退職をしています。また、昨年度の実態調査では、都内に三十六あるがん診療拠点病院の全てにがん相談窓口があるにもかかわらず、その存在が知られていないということもわかってまいりました。
 がんと就労については、患者、家族、医療機関、企業など全ての関係者に向けた普及啓発が必要と考えますが、見解を伺います。
 子供の貧困には三つの要素があるといわれております。まずは一つ目、経済的な貧困、二つ目、社会関係性の貧困、これは頼ったり、または頼られたりする、そういう関係性のことです。そして三つ目、これは文化の貧困です。いい音楽を聞いたり、または新聞を読んだり、本を読む、そういう文化的な人生に深みをもたらすということです。これが貧困である。
 経済的には貧困でも、社会関係性が豊かだったり、または経済的に厳しくて、また友達がいなくても、文化的な要素が満たされていることが重要です。生きる力はそこから生まれます。
 今回はスタディークーポンについて伺います。東京都は今後、生活保護世帯に対するスタディークーポン事業を進める計画です。この事業を早く立ち上げて、来年度の早い段階から子供たちに届けられるようにしていくべきと考えます。
 貧困の中、社会的体力の少ない子供たちにとって、学ぶことはリスクが少なくて、投資効果も見えて、一人でも戦える、貧困から脱出する近道なのです。スタディークーポン事業への取り組みと早期の立ち上げへの見解を伺います。
 歩車分離信号について伺います。本日はご遺族の了解も得て、二つの交通事犯の例を紹介いたします。
 平成四年、八王子市上川町で悲しい交通事故が起こりました。小学校五年生だった長谷元喜君は、青信号を渡っている横断歩道で、同じく青信号を左折してきたダンプカーにひかれて、とうとい命を失いました。私も何度か現場に足を運んで、ご遺族の話を伺ってきました。この事件を検証する中で、日本の歩車分離信号の運動がスタートいたしました。
 平成十五年、品川区の戸越交差点でも、青信号を渡っていた佐藤菜緒ちゃん、当時の六歳、この少女が青信号を左折してきたダンプカーにひかれました。私はご遺族と一緒に裁判傍聴を続け、事件の詳細を知ることになります。
 どちらも、青信号を渡っている子供たちが、青信号を左折してきたそのダンプカーにひかれたという事例でございます。警察庁は、平成十四年、全国百カ所の交差点を指定して、歩車分離信号の実証実験を行いました。その結果、交通事故が四〇%減少し、そして、渋滞も二%減ったという検証結果が出ました。それを受けて、全国での導入が進んできたのです。
 現在の東京都の歩車分離信号の設置は一〇%程度です。数値目標を再設定したり、区市町村への説明会を拡充するなど、さらに導入を進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 ゾーン三十について伺います。
 平成十八年、埼玉県川口市で起こった事故です。園児、保育園児が三十三人、そして五人の保育士、この列にライトバンが突っ込んだんです。二名が死亡、そして十四人が重軽傷を負う事件がありました。
 私は、この事件の遺族とも連絡をとって、そして犯罪被害者の仲間として社会に訴える活動をしてまいりました。事件に心を痛めた川口市は、組織を挙げて道路の安全確保の検討を進めました。その検討の中から生まれたのがゾーン三十という考え方なんです。
 自動車の速度が三十キロを超えると致死率が上がります。生活道路のスピード抑制は、地域の事故のリスクを下げます。命を守る道路は、その地域全体の価値を上げるのだと思います。ゾーン三十の導入は、区市町村での温度差を感じます。警視庁として、区市町村への説明や連携を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 歩車分離信号も、ゾーン三十も、とうとい命の犠牲があって、その反省から施策が展開されているということを忘れてはいけません。そのことを確認して、本日の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅原直志議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、学校の臨時休業、休校についてのご質問がございました。新型コロナウイルスの感染状況につきましては、刻一刻と変化をし続けております。その都度、適切な判断、そして対応が求められているところであります。
 昨日、全国一斉の臨時休業、休校を求めます国の発表がございました。都といたしましても、速やかに対応を進めてまいりますが、多くの都民や保護者の皆様方が心配される声があるなど課題もございます。実施に当たりましては、子供の在宅に伴って、保護者が休業せざるを得ない状況が発生するなど、さまざまな影響が生じるところでございます。
 そうした課題につきましては、また、今回、臨時休業の対象外となっております幼稚園や保育所が、開所に伴って感染防止のために必要となる措置に関する支援について、既に国の方に緊急の要望を行ったところでございます。
 その上で、都立学校におきましては、来週から春休みの間、全都立学校において臨時休業、休校することとして、既に各学校へ通知をしたところでございます。
 一方、特別支援学校に関してでございますが、保護者の都合によって、自宅等で過ごすことが困難な子供たちには、福祉等と連携をいたしました支援体制が整うまでの間、学校で過ごせるようにするなど、子供や保護者の安全や安心が守られますように、柔軟な対応を行ってまいります。
 区市町村に対しましては、この方針を基本といたしまして、小中学校の対応を要請いたすとともに、日中の居場所を必要とする低学年の子供たちへの対応につきましても、学校施設の活用など、特段の依頼をするとともに、都としても支援をしてまいります。
 また、お尋ねにございました非正規雇用を含む労働者の雇用と生活についてでございますが、雇用と生活の安定のため、国におきまして、雇用調整助成金の特例制度を実施することも要望をいたすとともに、都でも、解雇や休業時の賃金の支払い等に関します緊急の労働相談ダイヤルを設けております。
 今後、さらなる状況の変化に対しましても、適切な対応策を迅速に打ち出しまして、感染拡大の防止、子供たちの安全の確保、保護者の不安の払拭に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、保育所等の対応についてのご質問でございます。
 保育所や学童クラブは、保護者が働いていて、留守番をすることが困難な年齢の子供さんが利用するなど、学校とは異なるものであることから、国は昨日、学校が臨時休業、休校している期間につきましても、原則として開所する考えを示したところであります。
 都は国の対応方針を踏まえまして、感染の予防に留意した上で、保育所等を開所するよう、本日、区市町村に協力を要請をいたします。保育所や学童クラブにつきましては、仕事を抱える保護者が安心して子供を預ける場でございまして、重要な役割を担っております。
 また、幼稚園も就学前の子供たちにとりまして大切な場でございます。こうした状況下にありましても、子育て家庭が安心して保育所等を利用できますように、本日、必要な対応をとるように国に要望をいたしました。
 都といたしましても、引き続き感染症に関します正確な情報提供に努めまして、区市町村や事業者等を支援してまいります。
 次に、男性の家事、育児参画に向けた機運の醸成についてのご質問でございます。
 女性がみずからの希望に応じた生き方を選択して、自分らしく輝いている東京を実現するためには、男性も女性も家事、育児などをともに担えるよう、社会の意識や行動の変革を目指すことは重要でございます。
 都はこうした考えに立ちまして、広く社会に向けて男性の家事、育児を後押しする企業や団体等を表彰して紹介するなど、働き方の転換を推進いたしております。
 先日開催いたしましたシンポジウムには私自身も出席をいたしまして、男性ゲストと企業の先進的な取り組みや家庭での体験談を語り合いながら、男性の家事、育児参画を応援するメッセージを伝えたところであります。
 来年度は、ウエブサイト、パパズ・スタイルでの情報発信に加えまして、多様な媒体を駆使しながら、マネジメント層、シニア、若者などターゲットに応じた具体的な情報を発信してまいります。
 都庁におきましても、隗より始めよということで、私を先頭に全ての管理職がイクボス宣言を行うなど意識改革を進めております。職員が育児と仕事を両立できる柔軟な働き方を引き続き強力に推進をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、男性の家事、育児参画のさらなる機運醸成を図りまして、社会のマインドチェンジを力強く牽引をしてまいります。
 残余のご質問は、警視総監、福祉保健局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、歩車分離式信号機のさらなる導入についてでありますが、平成三十年度末現在、都内に整備されている信号機一万五千八百五十二カ所のうち、約一〇%に当たる一千五百二十七カ所を歩車分離式信号機としております。今後も、過去の交通事故発生状況に加え、通学路等の安全確保の必要性や地域住民の要望等のほか、交差点の形状や交通量など歩車分離化の効果と影響を総合的に勘案し、交通の安全と円滑を考慮した整備を推進してまいります。
 次に、ゾーン三十の整備についてでありますが、警視庁では、通学路や公共施設等の周辺を重点に、交通事故の発生状況、道路交通環境、地域住民等の要望、意見等を踏まえつつ、区市町村と連携の上、整備を推進しております。
 引き続き、警視庁から区市町村に対して積極的な働きかけを行い、ゾーン三十の必要性が高い区域について整備を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、AYA世代のがん患者への支援についてでありますが、AYA世代のがん患者は、治療の影響による不妊等の晩期合併症や、進学や就職等の世代特有の課題がございます。
 昨年度、AYA世代のがん患者や家族、医療機関を対象に都が実施した実態調査では、小児科と成人診療科間や多職種間での患者情報の共有、相談支援の充実、生殖機能温存に係る費用の助成などが必要とされていることが明らかとなったところでございます。
 このため、都は今年度から、AYA世代のがん患者の診療を担う複数の診療科間の連携強化や、相談支援の充実を図るモデル事業を実施しており、来年度からは、専門家等で構成される会議で、生殖機能温存に係る費用助成制度等に関する検討を進め、AYA世代のがん患者に対する支援の充実を図ってまいります。
 次に、がんの治療と仕事の両立に係る普及啓発についてでありますが、がん患者が治療と仕事を両立するためには、職場での理解や配慮に加え、患者や家族を初めとした都民のがんに対する正しい理解が重要でございます。
 都はこれまで、がん治療の基礎知識等をまとめた企業向けハンドブックや社員研修用のDVDを作成し配布するなど、治療と仕事の両立に向けた取り組みの推進を企業に働きかけてまいりました。
 また、患者等の相談に応じるため、がん診療連携拠点病院等における相談体制を充実させてきたところでございます。
 今後は、あらゆる世代の都民にがん患者の治療と仕事の両立支援への理解が一層進むよう、東京都がん対策推進協議会のもとに設置した就労支援ワーキンググループで普及啓発の方法等について検討を進めてまいります。
 最後に、生活保護世帯の子供に対する学習支援についてでございますが、都は、生まれ育った環境にかかわらず、自立に向けて進路が選択できるよう、生活保護世帯の子供を対象に、生活保護費の支給対象とならない学習塾の費用や大学等の受験料を助成する区市に対し、包括補助で独自に支援しております。
 来年度は、学生ボランティア等を活用した家庭訪問による学習相談と地域の学習塾等を利用できるクーポン券を給付する取り組みについて、新たに包括補助で支援することとしており、こうした事業の立ち上げに向けて、区市に対し周知を図ってまいります。

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