令和二年東京都議会会議録第三号

○議長(石川良一君) 八十四番谷村孝彦君。
〔八十四番谷村孝彦君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○八十四番(谷村孝彦君) 初めに、多摩都市モノレールの延伸について質問します。
 このたび、小池百合子都知事から、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸に向けた事業をいよいよ着手することが表明されました。小池知事の大英断を高く高く評価するものであります。
 私はこれまで、四百万都民を抱える多摩地域は、二十三区の経済圏に過度に依存しない自立した多摩の発展を目指し、多摩の南北交通の整備推進を幾度となく主張してまいりました。
 このモノレール構想は、私の前任で八期三十二年間務められた萩谷勝彦元都議が推進され、全長九十三キロメートルにも及ぶ多摩地域を循環するものであります。私は、これを多摩地域の山手線、すなわち多摩手線としての早期整備を訴えてまいりました。
 一九九八年に立川北駅から上北台駅まで、続いて二〇〇〇年に立川北駅から多摩センター駅まで開業したことをもって、当時は全線開通と表現しておりました。しかし、全長九十三キロメートルの構想から見れば、わずか一七%の開通でしかありません。
 私は、その翌年の二〇〇一年に萩谷元都議からバトンを受け継ぎ、都議会で何度も上北台から箱根ヶ崎への延伸を主張し、幾度となく武蔵村山、東大和、瑞穂の三市町長とご一緒に関係副知事、都技監、局長等に要請してまいりました。
 二〇一二年、渋滞解消の名目で、軌道空間となる新青梅街道の拡幅へ用地買収がスタート。国の交通政策審議会の新たな答申に向けて、都が策定した広域交通ネットワーク計画の策定直前に当たる二〇一四年十二月には、米原義春会長を初めとするモノレールを呼ぼう市民の会の皆様の請願が、私が紹介議員となって、市民一万名の皆様の署名とともに都議会に提出され、採択されました。
 こうした取り組みを受けて、二〇一六年四月の交通政策審議会答申では、箱根ヶ崎への延伸は、導入空間となり得る道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体、鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべき路線と位置づけられました。
 その直後に誕生した小池知事が、二〇一八年二月、歴代都知事の中で初めて、米原会長など市民の会の代表と会っていただくことなどを通して、箱根ヶ崎への延伸など六路線の基金が創設されました。
 昨年の知事の施政方針表明では、計画の熟度を上げる、ことしはついに事業化に向けた調査に着手すると表明され、来年度予算案にも調査費が計上されております。
 そこで、改めて多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸に対する知事の見解を求めます。
 また、総事業費八百億円、報道では開業まで十二年とされていますが、長年、モノレールの延伸を待ち望んでこられたご高齢の方々からは、そんなに長くは待てないとのお声が数多く寄せられております。一日も早い事業化に向けて、都の今後の取り組みについて、佐藤都技監の見解を求めます。
 次に、都政情報のオープンデータ化について質問します。
 都が直面するさまざまな行政課題の解決には、広く都民の皆様の衆知を募る必要があります。その意味で、都庁各局のホームページなどに参考として掲載されているグラフや図表などの基礎数値を、そのままエクセルなどの数値管理ソフトで援用可能なCSVデータとして提供することが求められております。
 民間企業や研究機関のホームページでは、利用者の利便性を上げるための工夫を凝らしている事例も多く見受けられます。都民お一人お一人を都政に欠かすことのできない重要なパートナーとして捉える視点からも大変に重要であります。今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、都立高校の魅力発信について質問します。
 三年前、都議会公明党の推進で私立高校授業料の実質無償化が実現し、その結果として、都立高校離れが少なからず起こっております。事実、二〇二〇年度選抜の応募倍率は、前年度と同じく過去最低となっております。
 これまで、都立高校は、都議会公明党の要請を受け、進学重点校からチャレンジスクールまで、その時代のニーズを的確に判断し、設立してきた経緯があります。今後、都立高校の魅力に磨きをかけるためには、特に工業、商業、農業高校などの改善に力を入れていくべきであります。
 例えば、ソサエティー五・〇の実現に必要なIoT、AI、ビッグデータの活用などを支えるIT人材の不足が社会的課題にもなっております。こうした人材輩出を求められているのが工業高校であります。ホワイトハッカーを初め、新たな産業分野で活躍できるIT技術者を育成するための新しい教育プログラムを開発する必要があります。見解を求めます。
 また、ものづくりの熟練技術者の育成も一朝一夕には達成できません。熟練技術者から高度な技術を学ぶための現場訪問や、基礎的な制作体験も必要であります。将来の伝統工芸や、たくみといわれるわざを継承し得る人材を育成すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、西武線東村山駅周辺の連続立体交差事業について質問します。
 東村山市には九つの鉄道駅があり、数多くの踏切による東西南北の分断を解消することが、市の大きな課題となっております。
 私が二〇〇八年三月の予算特別委員会で取り上げ、当時の道家孝行建設局長に早期の対応を求めた結果、早速、都建設局と国交省との協議が開始。翌二〇〇九年四月、国交省から新規着工準備採択を得て、二〇一二年十月都市計画決定、二〇一三年十二月事業認可、二〇一五年一月工事着手となり、完成まであと五年となる折り返し点を迎えております。現在の進捗状況について見解を求めます。
 次に、村山貯水池、いわゆる多摩湖の堤体強化工事に合わせた車道拡幅と歩道設置について質問します。
 都が、二〇一三年に村山上貯水池堤体の耐震診断を行った結果、首都直下地震等を想定した場合、村山上貯水池管理用道路、いわゆる多摩湖中央の堤体道路が約二メートル下に沈むことが判明し、耐震補強工事を実施することが決まりました。
 二〇一五年一月に補強工事の素案が内示された際には、湖面近くまでおりなければ通れない歩道を上に上げるというだけの案で、車道幅はそれまでの六メートルのままというものでありました。
 多摩湖堤体道路は、東大和市と所沢市の都県境をまたぐもので、近くには西武ドームもあるため交通量も多く、大型バスが通過するための離合も難しく、物損事故も多く発生しております。
 私は、五十年に一度の工事になるので、この際、あわせて車道も拡幅していただきたいと粘り強く要請した結果、水道局では半年かけて技術的検討を重ねていただき、車道を現在の六メートルから九メートルへ一・五倍に拡幅、歩道は六メートル幅で設置できることとなりました。これを高く評価するものであります。
 これまでに、準備工事として貯水池の一部を締め切る工事が進められ、村山上貯水池の堤体強化工事は、二〇一九年七月に着工しました。堤体強化工事及び周辺整備工事に合わせた車道拡幅、歩道設置工事について、現在の進捗状況の説明を求めます。
 また、都の都市計画道路の整備方針、第四次事業化計画では、優先整備路線として、この多摩湖堤体道路と都道芋窪街道を接続していくことが決定しております。改めて着実な推進を求めるものであります。
 最後に、空堀川流域における雨水流域下水道の整備について質問します。
 東大和、武蔵村山、立川の三市の空堀川流域南部地域では、浸水被害がたびたび発生しております。
 私は、この三市にまたがる雨水流域下水道の整備を、都の責任で推進すべきと繰り返し要請してまいりました。
 その結果、都が広域雨水幹線を、三市がそれぞれ幹線に接続する枝線の整備を担うことが決定されるとともに、約十五年という長い事業期間が示されました。
 都は、この新たな事業化に取り組むことを、二〇一八年九月の都議会公明党代表質問に対する答弁で表明しております。現在の取り組み状況と、最初に着手される東大和市において事業効果を早期に発現するための検討内容について、改めて明らかにしていただくことを求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の一般質問にお答えをいたします。
 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸についてのご質問でございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁しておりまして、豊かな自然や良好な住環境に恵まれている、そしてまた、多くの大学や研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京に欠かすことができません。
 箱根ヶ崎方面への延伸を実現することで、開業区間と一体となりまして、南北方向の拠点を結び、多摩地域の活力や魅力をさらに向上させることができるものでございます。
 来年度、箱根ヶ崎方面の延伸に関する予算を新たに計上いたしまして、基本設計を行うなど、事業化に向けまして一歩踏み出すことといたしました。
 地元の期待も大きく、沿線の二市一町におきましては、延伸に向けたまちづくりに着実に取り組んでいます。
 引き続き関係者との協議、調整を進めまして、多摩地域におけます公共交通ネットワークのさらなる充実に向けて取り組んでまいります。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立専門高校におけるIT技術者を育成するための新しい教育プログラムの開発についてでございますが、都教育委員会は、今後のIT人材の育成に向け、昨年二月に策定をいたしました都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)に基づきまして、都立町田工業高校における企業や専門学校等と連携した新たな教育プログラムの開発に着手をしております。
 今年度は、学識経験者、日本IBM株式会社、日本工学院八王子専門学校等から成る検討委員会におきまして、教育の理念や育成すべき能力などについて議論を行っているところでございます。
 これらの検討結果を踏まえつつ、IT人材として必要となる専門性や、企業人としての素養の育成を目的とした、全国初となる工業高校から専門学校まで一貫した五年間の教育カリキュラムを開発してまいります。
 次に、伝統工芸などを継承し得る人材の育成についてでございますが、江戸東京の歴史や文化に根差したさまざまな伝統工芸や、たくみのわざといった東京の宝物について生徒の興味、関心を高めていくためには、直接、専門家等から指導を受け、そのよさや魅力を味わうことが重要でございます。
 都教育委員会では、地域の多様な産業界と連携し、生産から流通、消費までの過程を総合的に学ぶことを特徴とする産業学科である都立橘高校を設置しております。
 今後は、都立橘高校におきまして、伝統工芸やたくみのわざへの卓越した技術を持つ外部人材を活用した新しい系列を設置し、東京の伝統ある産品づくりや新たな価値の創造を担う、将来、ものづくりマイスターとなり得る人材を育成してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸についてでございますが、本区間の実現によりまして、開業区間と一体となって南北方向の拠点が結ばれることによって、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 事業化に向けまして、都は、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえるとともに、収支採算性の確保に向けたコスト縮減策や収入確保策などの検討を進めてまいりました。
 また、沿線の二市一町におきましては、一昨年、モノレール沿線まちづくり構想を策定いたしまして、着実にまちづくりに取り組んでおります。
 こうした状況を踏まえまして、都は、来年度予算において、現況調査及び基本設計等に着手することといたしました。
 引き続き、関係者との協議、調整を精力的に進めまして、多摩地域における交通インフラのさらなる充実強化に取り組んでまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 利便性の高いデータの提供についてでございますが、都では、東京都オープンデータ推進庁内ガイドライン、これを策定いたしまして、各局が保有するデータ等のオープンデータ化と、その利活用促進に向けた取り組みを推進しているところでございます。
 都の調査報告書などでは、近年、図表等を使うことが多くなっております。それらの内容の理解を深めていくためには、公表された図表等のもととなるデータだけではなく、さまざまな視点からの関連するデータも、掛け合わせて見ることが必要であると認識しております。
 このため、図表等の基礎となる数値等のオープンデータ化を進めるとともに、リンク設定やQRコードの活用など、新たな取り組みも含めまして、お話にありましたような、利用者が簡便にデータを取得できるような仕組みを検討の上、ガイドラインの改正等を行いまして、各局とも連携し、都庁全体に広げてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、鉄道を高架化することにより、府中街道など五カ所の踏切を除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、用地につきましては、取得率が全体の九割を超えており、取得完了に向け積極的に取り組んでおります。
 工事につきましては、駅部を中心に高架橋の構築などを実施してきており、来月には府中街道との交差部を含む区間におきまして仮線路への切りかえを行うなど、全線にわたり、さらなる進捗を図ってまいります。
 今後とも、地元市や鉄道事業者と連携し、地域の理解と協力を得ながら、本事業を着実に推進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 村山上貯水池堤体強化事業の進捗についてでございますが、本事業は、令和五年度の完成を目指し、現在、盛り土に必要な土を堤体周辺の局有地から現地調達するなどの準備工事を進めており、本年十月に盛り土工事による堤体の強化に着手する予定でございます。
 また、現在、同時に堤体上部に設置いたします車道の拡幅と歩道の整備につきまして、道路管理者等と調整を進めており、盛り土工事後に行う周辺整備工事の設計に反映をいたします。
 車道につきましては、拡幅して整備することによる対面交通の安全性向上とともに、北側交差点への右折レーン設置による渋滞の解消が期待されます。
 また、これまで湖面近くに設置されておりました歩道を車道と並行して整備するとともに、防護柵を設置することにより、安全で安心な通行が可能となるよう整備を着実に進めてまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 空堀川流域における雨水流域下水道の整備についてでございますが、都は、東大和市、武蔵村山市、立川市と連携して、流域下水道雨水幹線の早期工事着手に向け現在基本設計を進めており、来年度、実施設計に着手をいたします。
 雨水幹線が機能を発揮するためには、関係市が枝線を整備し、雨水幹線へ接続することが不可欠でございまして、お話のように、事業完了まで長い期間を必要といたします。
 そのため、都は、関係市と協力して、下流域である東大和市から上流に向かって雨水幹線を整備するに当たりまして、関係市が施行する枝線の整備状況に応じまして、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、事業効果の早期発現に向けた検討も進めてまいります。
 今後とも、関係市と密接に連携し、浸水被害の早期軽減に向けて取り組んでまいります。

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(橘正剛君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(橘正剛君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十八分散会

ページ先頭に戻る