令和二年東京都議会会議録第三号

○議長(石川良一君) 九十八番柴崎幹男君。
〔九十八番柴崎幹男君登壇〕

○九十八番(柴崎幹男君) 昨日、東京で新型コロナウイルスの感染からお一人亡くなられました。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。そして、罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。
 初めに、練馬城址公園について伺います。
 本年二月十三日に、都市計画公園・緑地の整備方針改定案が公表されました。令和二年度から十一年度に事業化する優先整備区域として、約二十二ヘクタールを設定する計画が示され、練馬城址公園の整備に着手し、避難場所として確保することとされています。
 この地域は、大正十五年以来としまえんがあり、多くの人々が行楽で楽しむなど、地域ににぎわいをもたらしてきました。
 練馬城址公園整備については、平成二十三年三月の東日本大震災を踏まえ、平成三十二年度までに都が事業化するという方向性が打ち出されています。今回の方針案でも、引き続き優先整備区域に設定し、整備に着手するとのことです。
 こうした中で、ハリー・ポッターのテーマパークがオープンするという報道がありました。練馬区やとしまえんを経営する西武鉄道グループと協議を進め、練馬城址公園を事業化していく必要があると考えますが、所見を求めます。
 また、避難場所となる練馬城址公園を防災公園としての機能を最大限発揮し、防災性の向上を図るためにも、これに接続する補助第一三三号線の整備は必要不可欠です。この道路は、平成二十八年三月に策定された東京における都市計画道路の整備方針において、令和七年度までに優先的に整備すべき路線に位置づけられています。
 公園の事業化に合わせて、一三三号線の整備を早急に進めるべきと考えますが、取り組み状況を伺います。
 また、都が昨年十二月に策定した未来の東京戦略ビジョンでは、水と緑あふれる東京の実現に向けて整備方針を改定し、都市計画公園等の事業化に集中して取り組むとあります。
 石神井川が流れるとしまえん周辺を整備していく上で、周辺のまちづくりの中において、公園、河川、道路、全てが建設局の事業となります。それぞれがばらばらではなく、調和のとれた統一的なコンセプトのもとで整備が進められることを要望しておきます。
 次に、西武新宿線の鉄道立体化について伺います。
 都内では、いまだに千カ所以上の踏切が残されています。こうした踏切の存在は、交通渋滞や事故の原因になるなど、都民生活や経済活動に大きな影響を与えているほか、地震などの災害時には、救急活動の妨げになるおそれもあります。スムーズで安全な道路交通を実現していくためには、踏切による課題を抜本的に解決する連続立体交差事業が重要になってくると考えます。
 特に西武新宿線は、都内の鉄道の中でもあかずの踏切が数多く残されている路線で、一昨日も踏切内で電車と車の事故が発生したところです。練馬区内だけでも十三カ所の踏切があり、地域の方からも一日も早い鉄道立体化を望む声があります。また、区においてもまちづくりを積極的に行っているところです。
 こうした中、昨年二月には、西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の都市計画素案説明会が開催されています。
 そこで、西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の鉄道立体化の現状の状況及び今後の取り組みについて伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 平成二十七年に都市農業基本法が成立し、都と連携して、都市農地保全推進自治体協議会が、生産緑地の面積要件の緩和、貸借に関する条件緩和、直売所や農業用施設の適用の拡大等について国に要望し、実現をしてきたところであります。
 これらの制度改正を都市農地の保全に十分に活用し、農業の生産基盤を強固にすることが重要です。そして、こうした基盤の上で、それぞれの農家の経営力を高めていくことが大きなテーマとなります。
 その意味で、我が党の代表質問でも触れさせていただいた東京都GAPの取得に加え、団体認証によりJGAPを取得した団体も出ており、今後、GAPの取得を契機に、収益力向上につながることが期待されます。
 今後、個々の農業者の収益力を高め、東京農業の一層の振興を図っていくことが重要と考えますが、都の取り組みについて所見を伺います。
 次に、伝統文化事業について伺います。
 従来から、東京大茶会を初めとした事業は、日本の伝統文化に触れることができるとともに、日本人の精神に触れることができる貴重な体験として、国内外でも話題となっております。
 そして、本年開催となる東京二〇二〇大会では、スポーツの祭典であるとともに文化の祭典でもあります。中でも都は、日本の伝統文化を多くの方に伝えるため準備を進めており、日本の伝統文化に取り組んでいる各団体の皆様方にも、本大会の精神を深く浸透させるべく協力を呼びかけてきました。
 こうした取り組みが、東京二〇二〇大会を文化の面から盛り上げるだけでなく、伝統文化を次世代に継承していくためにも重要であると考えます。都の見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 初めに、都立高校に関して伺います。
 先日、都立高校の入学選抜試験が行われました。ことしの一般入試の最終倍率は一・四〇倍で昨年と同じでした。生徒数が減少している中ではあるものの、応募人員は減少しています。つまり、都立高校離れともいわれる傾向はことしも続いているわけです。
 現在の都立高校は、都民からの大きな期待、信頼を受けていますが、それは累次にわたる都立高校改革により築き上げてきたものであります。したがって、その地位は、将来にわたって守り通していくため、都立高校の魅力をさらに高める必要があります。
 今後どのように対応していくのか、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、修学旅行を通じた学習について伺います。
 修学旅行の行き先は、平成三十年度では、ほぼ半数の高校が沖縄を選択しています。沖縄県を選んだ場合、歴史や文化、そして自然環境等を学ぶことはもちろん重要です。そして、米軍基地については、普天間基地を辺野古へ移設する必要性について、日米安全保障条約等とあわせて学習することが必要になってきます。
 修学旅行に選択した地域の歴史や文化等、生徒に事実を忠実に伝える学習が求められています。そのことは、修学旅行が高校生にとって人生に豊かな影響を与える大切な学習の場と考えるからです。
 そこで、都教育委員会として修学旅行の意義と、修学旅行を通した学習について伺います。
 次に、島しょ在住の特別支援学校の児童生徒について伺います。
 島しょに在住する特別な支援が必要な子供たちが特別支援学校で学ぶ場合、帰省する際の本土と島の間の送迎にかかる経費の一部は保護者が負担しており、経済的負担の軽減を求める声が出ていました。我が党からの求めに応じ、都教育委員会はこれまでも、保護者の経済的負担の軽減に取り組んできています。
 さらに、我が党はこうした声を受けとめ、今年度十一月の文教委員会において、大島に帰省する際の航空便の利用が認められていないこと、そして、宿泊費の支給額の上限を超えた部分の持ち出しが生じてしまうことについて、一層の保護者の負担軽減を求めてきました。都教育委員会の見解を求めます。
 最後に、社会的養育推進計画について伺います。
 国は、新しい社会的養育ビジョンで、里親委託率について就学前の児童で七五%、学童期以降五〇%という目標を示しました。現在策定中の都の推進計画案では、令和十一年度までに里親等委託率三七・四%を実現するとのことであります。国の目標より低いのですが、現状の一四・三%と比較すると相当開きがあります。
 こうした中、国は、児童養護施設や乳児院においても家庭に近い環境を実現するものとして、原則、グループホームへ移行するとしています。そのため、施設を建てかえる場合は現状より小規模なものにしないと、国からの施設整備費について交付されないと聞いています。
 グループホームへの移行が実現できないと、建てかえ時に小規模化だけが進み、ひいては、手厚い支援が必要な児童の受け皿としての施設の定員は大幅に減少します。
 そこで、新しい養護推進計画のもとでも社会的養護需要に応えられるよう、都として児童養護施設に対して支援すべきと考えます。都の見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終了いたします。(拍手)
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 柴崎幹男議員の一般質問にお答えいたします。
 三点のご質問をいただきました。
 初めに、都立高校のさらなる魅力向上についてでございますが、都教育委員会では、難関国立大学等への進学を目指す進学指導重点校を指定し、生徒の進路希望の実現を図るなど、都立高校の魅力化、活性化の取り組みを進めてまいりました。さらにその取り組みを加速させるため、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)に基づきまして、本年度から、高大連携を積極的に推進しているところでございます。
 具体的には、各大学の教育力、研究力を生かして、高校教育の改善充実を図るとともに、それらを通じて習得した学びを大学での学びにつなげることで、大学進学やその後の社会や職業を見通した教育を充実してまいります。
 来年度以降、高校から大学まで連続した教育プログラムの開発を進める予定としております。その成果を普及、展開していくことで、都立高校の魅力のさらなる向上を図ってまいります。
 次に、修学旅行の意義と修学旅行を通した学習についてでございますが、修学旅行は、日常と異なる生活環境で、集団生活を通して人間関係を深めるとともに、自然や文化、歴史などについて実体験を通して学ぶ有意義な機会でございます。
 平成三十年度の都立高校等の修学旅行先は沖縄県が最も多く、生徒は事前学習を行った上で史跡や基地周辺等をめぐり、沖縄の歴史や現状を学ぶほか、自然や伝統芸能等のさまざまな体験活動を行っております。
 今後とも、都教育委員会は、各学校において生徒が旅行先についてさまざまな見方や考え方ができるよう、事前事後学習で多面的、多角的な考察を促す指導を行うとともに、修学旅行の実体験が各教科や総合的な探求の時間等の学びと関連づけられるよう、指導助言をしてまいります。
 最後に、特別支援学校に通う島しょ地区の児童生徒の保護者の負担軽減についてでございますが、島しょ地区の児童生徒が、島外の特別支援学校において安心して学習できる条件を整えることは大切であります。
 このため、都教育委員会は、国の基準では船便の利用しか認められていなかった大島への帰省にかかる交通費について、令和二年度から都の単独事業として、航空便の利用を認めることといたしました。
 また、やむを得ず宿泊する場合の本人と付添人の宿泊費につきましても、令和二年度から上限額を引き上げることとしたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、保護者の負担軽減を図ってまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の鉄道立体化についてでございますが、本区間にはあかずの踏切が十二カ所あり、外環ノ2など、都市計画道路が五カ所で交差することとなり、連続立体交差化による踏切の解消が必要でございます。
 都は、都市計画決定に向けた手続を進めておりまして、昨年二月に都市計画素案の説明会を開催し、今後、都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催予定でございます。
 引き続き、駅前広場計画など、地元区市が行うまちづくりとも連携しながら、鉄道立体化を着実に進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、練馬城址公園の事業化についてでございますが、本公園は、練馬区の中央部に位置する都市計画公園であり、このうち二十一・九ヘクタールを、令和二年度までに事業に着手する優先整備区域に設定しております。
 これまで、公園の整備計画の策定に向けて、計画区域の地形等の調査分析を進めるとともに、地元の練馬区と、水と緑、防災、にぎわいなどの公園の目指すべき姿について意見交換を進めております。
 また、土地を所有する西武鉄道とも、公園の事業化につきまして協議を進めております。
 現在実施している意見募集を踏まえて策定される都市計画公園・緑地の整備方針に基づき、練馬城址公園の事業化に取り組んでまいります。
 次に、練馬区内の都市計画道路補助第一三三号線についてでございますが、本路線のうち、放射第七号線から補助第一七二号線までの区間は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけられております。
 本区間の整備により、生活道路への通過交通の流入を抑制するとともに、避難場所となっている練馬城址公園の予定地へアクセスするなど、防災性の向上にも寄与いたします。
 本区間は、石神井川と交差し、高低差もあることから、現在、地形状況を踏まえ、道路の概略設計を実施しております。
 今後とも、地域の安全性向上に資する道路整備に着実に取り組んでまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 農業者の収益力向上に向けた支援についてですが、東京の農業の持続的な発展には、農業者の生産性を高め、高収益な農業を実現することが重要でございます。
 このため、都は、本年四月に開設する東京農業アカデミーにおいて、さらなる経営のレベルアップを目指す意欲の高い農業者に対し、高度な栽培技術や経営力強化に向けた研修を実施してまいります。
 加えまして、ICTなど先進技術を活用した栽培施設の導入や六次産業化に向けた加工施設等の整備、農産物等の販路開拓などを引き続き支援していくことで、農業者の生産性向上を後押ししてまいります。
 こうした取り組みにより、東京農業のさらなる振興につなげてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 伝統文化を次世代に継承することについてでございますが、都はこれまでも、都内の無形文化財を活用した地域の文化活動への助成や、東京大茶会などでの体験機会の提供など、伝統文化の維持発展を支援してまいりました。
 東京二〇二〇大会前にも、神楽坂や八王子などにおいて、地元の自治体や団体と連携し、まち中で和楽器の演奏や講談などを気軽に楽しめる事業を展開いたします。
 また、大会期間中は、ライブサイトなどにおいて華道、茶道を初めとした伝統文化の魅力を親しみやすく発信する場を設定いたします。
 こうした取り組みを通じて、多くの人に伝統文化、伝統芸能の魅力を伝え、理解してもらうことで、古くから引き継がれた江戸東京の奥深い文化を次世代に継承してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 児童養護施設等への支援に関するご質問にお答えいたします。
 児童養護施設等には、虐待などを受けた児童や発達障害などの課題を抱えるケアニーズが高い児童が多く入所しており、その養育や自立を支援するに当たって、施設は大きな役割を果たしております。
 都は、望ましいサービス水準を確保するため、国基準を上回る職員配置や知的障害等の個別的な援助が必要な児童のケアなどを行う施設を支援しております。
 さらに、児童への専門的なケアを充実するため、精神科医と心理職員を配置する専門機能強化型児童養護施設に対する支援も行っております。
 今後とも、施設等で養育が必要な児童を確実に受け入れられるよう定員数を確保するとともに、児童に対する治療的、専門的ケアが実施できるよう支援してまいります。

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