令和二年東京都議会会議録第二号

   午後四時開議

○副議長(橘正剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 第一回定例会に当たり、都議会公明党を代表して質問します。
 二〇二〇年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催される記念すべき年です。大会招致への苦しい道のり、そして招致決定に涙した瞬間、さらに大会成功に向けて万全の準備に取り組んできた長い日々を経て、この新たな年を迎えました。
 多くの人々が積極的にかかわってきた東京大会は、復興五輪の使命を果たすためにも、何としても成功させねばなりません。開催の年を迎えた今、最後まで気を引き締めて準備に取り組んでまいりたいと考えます。
 一方、新しい年の開幕とともに私たちが直面しているのが、新型コロナウイルスによる感染症の拡大という事態です。現在、市中感染という新たなフェーズに入っています。まだまだ厳しい試練が続きますが、東京はこれを断じて乗り越えていかなければなりません。感染の拡大を食いとめ、終息させるまで、私たち都議会公明党は、都や都民と力を合わせ対策に取り組んでまいります。
 まず、新型コロナウイルス対策について質問します。
 都議会公明党は、都内での新たな感染が報告されたことを受け、二月十七日、知事に直接会って三度目の緊急要望を行いました。これらの要望を踏まえ、知事が迅速に補正予算を編成したことを評価いたします。
 知事に緊急要望した同じ日、政府は、医療機関の新たな受診基準を発表しました。これにより、都のコールセンターや各保健所の電話相談窓口への相談は大幅に増加しつつあります。
 そのため、専門機関とも協力しながら、二十四時間の相談体制を構築するなど、より一層の強化を図るべきです。知事の見解を求めます。
 都は、相談後の対応として、感染が疑われる人に対して外来診療を行う医療機関や、入院が必要な患者を受け入れる医療機関の体制をしいていますが、今後、都内での流行が進むことを想定し、先手を打って体制拡充を早急に進めるべきと考えます。また、これら以外の民間医療機関では、診察に来る感染者に直面する可能性があることから、必要な医療資機材の提供を推進することも急務です。あわせて知事の見解を求めます。
 感染症に対応できる多摩総合医療センターは、現在、感染症指定医療機関になっていません。国は、二次医療圏に一カ所設置でよいとしていますが、機能の強化を図り、感染症指定医療機関の指定に向けて取り組みを進めていくべきです。知事の見解を求めます。
 武漢市から帰国された方々の受け入れ施設の確保は容易ではありませんでした。また、
今回の新型コロナウイルスの感染では、クルーズ船で多くの感染者が出ました。東京では、ことし新たな国際クルーズターミナルが開業し、今後、多くの客船の寄港が見込まれます。
 今回の教訓を踏まえれば、将来に備え、千人規模で感染症の経過観察ができる施設を既存施設の改修も含めて検討すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 中国での感染拡大は日本経済にも大きな影響を及ぼしており、特に観光業やサプライチェーンを含めた事業にかかわる中小零細企業への支援が必要です。
 都発注案件でも、部品調達が間に合わないため、納期に対応できない事業者への柔軟な対応が必要です。こうした取り組みについて、あわせて知事の見解を求めます。
 重篤化しやすい高齢者の感染を考慮すれば、都内の介護施設など高齢者関連施設に対しマスクや消毒薬等の支援をしていくべきです。都の支援だけでなく、区市町村が備蓄するマスクの活用も働きかけるべきです。
 また、学校、幼稚園、保育園などに通う子供たちのことも心配です。予防に必要な対応とともに、子供や教職員に発症者が出た場合、速やかに対処できるよう、あらかじめ準備しておくべきと考えますが、それぞれ知事の見解を求めます。
 本定例会で審議される令和二年度当初予算案には、私立高校授業料無償化の拡充や子育て支援を初め、これまで都議会公明党が本会議や各委員会での質問、予算要望などを通して都に実施を求めてきた内容が随所に反映されており、評価いたします。
 当初予算を編成するに当たり、我が党はかねてより決算の重要性を指摘してまいりました。それを受けて、昨年の決算特別委員会の審査では、都議会史上初めて知事が出席し、令和二年度予算を編成する上で非常に重要な審議が展開されました。今後も、決算審査をより充実させていくことが必要です。
 さらに、健全な財政基盤を維持しながら、絶えず事業等の見直しを行い、時代の変化にも迅速的確に対応していく上でも、決算についての議論を翌年度の予算編成に生かしていくことが重要でありますが、知事の見解を求めます。
 次に、私立高校授業料の実質無償化について質問します。
 都議会公明党は、家庭の経済状況によって子供の教育の機会が奪われてはならないと、私立高校の授業料の実質無償化を世帯年収九百十万円未満の世帯まで実施するよう、二〇一六年に知事に政策要望いたしました。
 これを受けて都は、第一段階として、二〇一七年度より年収約七百六十万円未満世帯まで私立高校授業料の実質無償化をスタートし、保護者より大変に喜ばれています。
 そして、このたび、公明党の推進により、国において、ことし四月から年収五百九十万円未満世帯の私立高校授業料の実質無償化がスタートすることから、その財源を活用し、所得制限を九百十万円未満世帯まで拡充するよう、昨年の第二回定例会代表質問等で求め、今般の予算案に九百十万円未満世帯に拡充することが盛り込まれました。
 あわせて、我が党の提案により、多子世帯の授業料負担軽減制度の創設が盛り込まれたことも高く評価いたします。
 そこで、私立高校授業料の実質無償化と多子世帯への私立高校及び都立高校の授業料負担軽減制度について、経緯と具体的な内容について知事の見解を求めます。
 その上で課題なのが、通信制高校です。通信制高校については、国において、都道府県認可の全ての通信制高校を年収五百九十万円未満世帯まで無償化の対象としています。
 しかし、都は、今回の拡充対象はもともと対象になっている都認可の八校のみとして、他の道府県認可校は対象から外れたままになっています。
 他の道府県認可とはいえ、都内に自校の施設があるなど、都民にとっては違いがわかりづらく、同じ通信制高校であることはいうまでもありません。他の道府県認可の通信制高校に通う生徒の家庭まで都の実質無償化の対象に加えるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、子育て支援について質問します。
 昨年十二月に公表した都の未来の東京戦略ビジョンで、チルドレンファースト社会の創出を目的として、社会のマインドチェンジを図るとしています。
 都は、来年度予算案で、ゆりかご・とうきょう事業をとうきょうママパパ応援事業として拡充、発展させるとしており、その取り組みを評価します。
 特に、都議会公明党が提案した多胎児支援を新たに明確に打ち出しています。
 また、ベビーシッター利用支援事業においても、在宅家庭も対象に加える方針を明らかにしました。
 そこで、多胎児支援の具体的な内容の答弁を求めるとともに、双子や三つ子など多胎児の家庭が利用しやすく、多胎児家庭に寄り添った制度とすべきと考えます。都の見解を求めます。
 次いで、双子ベビーカーの移動についてです。
 我が党は、多胎育児のサポートを考える会の皆様とともに、昨年十一月にはアンケート調査を交通局に提出し、意見交換、次いで、東京バス協会との懇談、本年一月には、知事に直接双子を育てる保護者の声を聞いていただきました。
 また、さきの第四回定例会代表質問では、まず、交通局に対し、双子ベビーカーを折り畳まずに都バスに乗ることができるよう、検討を進めることを要望いたしました。
 国土交通省では、双子ベビーカーを折り畳まずにバスに乗車するに当たっての安全性の検証を進めており、近くその検証結果を取りまとめると聞いています。
 交通局としての具体的な取り組み状況について見解を求めます。
 次いで、不育症への支援についてです。
 都議会公明党は、都に対し、不妊症に悩む方々への支援はもとより、妊娠しても流産や死産を繰り返す不育症についても支援を行うよう質問してきました。
 これを受け、都は、本年一月より不育症検査費助成を開始しました。
 また、都職員の病気休暇制度においても、ことしの一月から、不妊症と不育症の検査や治療、療養を対象に加えており、都庁の中でも取り組みが進んでいます。
 都は、不育症の方々への支援をさらに充実させるべく、仕事と治療の両立支援について、企業の職場環境整備を後押しすべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、予防接種についてです。
 小児がん、白血病等の子供たちが、抗がん剤治療や骨髄移植等の医療行為を受けた場合に、既に受けた予防接種の免疫が消失、あるいは減少してしまうことがあります。罹患患者は、体全体の免疫力が落ちており、改めて予防接種を受けることは重要です。
 現在、小児を対象にした定期予防接種は、十三疾病に対応した十種類ですが、全額自己負担だと二十万円ほどかかる状況です。現時点で、都内では十五自治体、全国でも九十を上回る地方自治体が支援を実施しています。
 昨年の第一回定例会で、都議会公明党が紹介議員となった同趣旨の請願が趣旨採択となりました。
 予防接種の再接種について検討している国に対して、結論を急ぐよう強く求めるとともに、先行して支援を実施する市区町村に対しては、来年度から速やかに支援を実施すべきです。都の見解を求めます。
 次に、犯罪被害者等支援条例について質問します。
 都は、今定例会に犯罪被害者等支援条例を提出しましたが、この条例策定に当たって、都議会公明党は、先進県の事例視察を重ねて、本会議や委員会で具体的な提案を行ってきました。
 今回提案された犯罪被害者等支援条例の中で、新たに設ける支援制度として、法律相談への助成を行うことを明らかにしました。
 また、我が党の提案により、犯罪被害者や遺族への転居費用を助成する制度を新たに盛り込みました。これは、自宅が犯罪現場であった場合、被害者や遺族が精神的な負担により、自宅では住めないケースがあるからです。
 この転居費用の助成を行うのは、都道府県では都が初めてと聞いています。
 そこで、助成の具体的な内容について見解を求めます。
 現在、犯罪被害者には国から給付金が支給されますが、申請から支給まで約六カ月かかります。そのため、我が党は、犯罪被害により、当面必要となる経費を給付することで経済的な負担を軽減し、被害者等が日常生活や社会生活を早く回復できるよう、見舞金制度をつくるべきと訴えてきました。
 都が今回、亡くなられた犯罪被害者等に見舞金を支給する決断をしたことを大いに評価します。
 そこで、見舞金制度を導入した経緯と具体的な内容について明らかにすべきです。知事の見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて質問します。
 まず、学校連携観戦についてです。
 学校連携観戦事業は、オリンピック・パラリンピック競技の観戦機会を提供するため、都内の小中高生、また、幼稚園、保育園児を招待するものです。公立、私立学校合わせて約九十万人を超える大規模なものとなっていますが、安全な観戦に向けた対策が求められています。
 最寄り駅から競技会場までのいわゆるラストマイルは混雑が予想されており、特に競技の開始や終了の時間帯は、子供たちが混雑に巻き込まれるリスクも想定されます。
 そのため、低学年児童が利用するバス駐停車場の確保やラストマイルの混雑緩和など、安全対策が求められていますが、都教育委員会の対応について見解を求めます。
 次いで、各会場に入った後の暑さ対策についてです。
 会場には、学校連携観戦用の空調つきスペースであるクールスポットを整備し、熱中症対策を進めていると聞いています。
 特に、東京スタジアムなどは一セッション当たり最大で一万五千人という多くの子供たちが来場を予定するとのことですが、クールスポットを一度に利用できる人数に上限があることから、観戦の時間帯を調整するなど、会場内の暑さ対策に万全を期していくべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、ライブサイトの暑さ対策についてです。
 暑さ対策としては、水分補給とともに直接体を冷やすことも有効です。夏の時期、テーマパーク等では、水を使ったイベントが開催され、子供たちに大変好評です。
 そこで、暑さ対策として、水遊びや水を浴びることができるエリアの設置や、シャワーを放水するキャストを配置するなど、多様な取り組みが効果的と考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、東京オリ・パラ大会のレガシー施設についてです。
 都議会公明党は、一九六四年大会のレガシーを含め、東京オリ・パラ大会の記憶を後世に長く伝える記念施設の整備を繰り返し求めてきました。特に、世界初の二回目の夏季パラリンピックを開催した都市として、パラリンピックの記録とパラスポーツの魅力を後世に伝えていくことが重要です。
 昨年九月にJOCが開設した日本オリンピックミュージアムは、オリンピックの歴史や日本とのかかわりを紹介する展示などがある一方で、パラリンピックの展示は極めて限られています。
 そこで、都においては、例えば、都庁展望台や東京スポーツスクエアなど多くの人が集まる施設を活用して、パラリンピックも含む東京オリ・パラ大会の記念施設を整備すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、大会経費の課題です。
 昨年十二月末に東京オリ・パラ大会の大会経費バージョンフォーが公表され、最終的な大会収支の見通しが示されました。その中では、新たに予備費として二百七十億円が計上されています。
 今後、新型コロナウイルスなど、予期し得なかった事態への対応が求められる可能性もあります。そうした際に、収入確保と執行管理の強化とあわせて、予備費を活用し、都民、国民の不安を払拭し、安全・安心な大会を実現するため、機動的に必要な措置を講じることができるようにしておく必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 その上で、大会が黒字となり、剰余金が発生した場合の取り扱いについては、開催都市契約に定めがあり、IOCが二〇%、JOCが二〇%、組織委員会が六〇%の割合で配分することになっています。そのうち組織委員会の六〇%については、開催国のスポーツの全般的利益のため使用するとなっています。
 開催都市契約締結後に、大会の役割と費用分担を整理した大枠の合意において、都が六千億円、国が一千五百億円を大会経費として支出することになっています。それを考えると、組織委員会が受け取る六〇%の剰余金は、大会経費を支出した国と都が、その負担割合で受け取ることが本来の筋です。
 都は、大会の決算において剰余金が生じた場合の取り扱いについて、担っている責任に相応していくべきと組織委員会に主張すべきです。知事の見解を求めます。
 なお、本定例会に都議会公明党は、東京二〇二〇大会にかかわる文書等資産の保管及び承継に関する条例案、いわゆる五輪文書管理条例案を共同で提出しています。
 これは、東京二〇二〇大会の歴史的価値を継承するとともに、その開催経費等を大会後も検証可能とするため、東京都が大会組織委員会に対し、文書保管、承継のために必要な指導、調整を行うことを求め、JOCその他の関係機関に対しては、必要な協力を要請することを定めるものです。各会派のご賛同を求めるものであります。
 次に、都立、公社病院について質問します。
 さきの第四回定例会で、知事から、都立、公社病院を一体的に、地方独立行政法人への移行準備を開始する旨の表明がありました。
 また、昨年末には、地方独法化への移行準備に至る考え方、そして、独法化することで充実する医療などを示した新たな病院運営改革ビジョン(素案)が公表されました。
 都立、公社病院は、行政的医療の安定的、継続的な提供や地域医療の充実への貢献といった役割を将来にわたって果たし続け、都民の生命と健康を守り、都民が期待する医療を提供し続けていかなければなりません。
 公表されたビジョンでは、この役割を担い続けていくために独法化を必要としています。病院経営本部の広報誌を見ても、独法化しても都立病院でなくなることはないといった記載がありますが、なぜ独法化するのかということがわかりにくいとの声が寄せられています。
 また、ビジョンでは、都民ニーズに迅速かつ効率的、効果的に応え続けるため、制度的制約を解決するにふさわしい経営形態に見直す必要があるとしています。この制度的制約とは何か、都立病院の現在の経営形態でいかなる課題があって独法化する判断に至ったのか、明快な説明を求めます。
 病院運営は、医療技術の高度化に伴い、より専門性の高い人材確保が今後とも必要になります。そのため、医療環境の変化や求められるニーズに即応するには、機を逃さずに必要な人材を確保することが重要です。
 都立病院ではこれまでも、その必要に応じて人員を拡充してきましたが、ビジョンでは、職員定数は地方自治法による予算単年度主義に伴い、予算の裏づけとともに条例で定めることが原則であるため、医療課題の変化に対応し、迅速かつ柔軟な人材の確保が困難であるとしています。都立病院の現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について具体的な答弁を求めます。
 医療人材確保に加え、医療の高度化、多様化にも対応した施設設備の整備も重要です。今後、AIやIoT等の新技術の社会実装化による医療技術の変化にも対応していくことが求められています。
 ビジョンでは、新たな医療機器を整備するに当たっても、毎年度、自治体の予算調整等の手続を経る必要があり、医療課題の変化に対して迅速な対応が困難であるとしています。現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について、具体的に答弁を求めます。
 次に、住宅確保要配慮者に向けた取り組みについて質問します。
 都内の賃貸住宅では、今なお多くの空き家を抱えていますが、本制度の実情として、登録住宅数の令和七年度までの目標三万戸に対し、この二月現在で千七百六十二戸にとどまっているという厳しい現状があります。
 さらに、専用住宅などに向けた補助については、平成二十九年十月の制度発足以来、家主に対する制度を設けているのは二市四区のみであります。
 都議会公明党は、こうした状況を改善するため、家主と長年にわたって信頼関係を構築してきた不動産業者などへのインセンティブの付与を提唱してきました。令和二年度の新年度予算案では、この点の具現化が図られるとのことですが、その詳細を明らかにしていただきたいと思います。
 加えて、こうした公費投入を図る際には、何よりも納税者である都民の理解と賛同が重要であります。本制度は、都民、利用者から見て信頼に値する事業者によってこそ、活用されていくべきと考えます。一層の登録促進に向け、あわせて見解を求めます。
 市区町村の中には、補助制度を設けない理由として、家主側からの要望が少ないことを挙げる例もあるとのことです。
 しかし、家主には、バリアフリー改修や家賃低廉化に役立つ補助金であることが余り知られていません。加えて、家賃債務を保証する補助制度まで整えられていることなどは、ほとんど知られていません。こうした内容が広く認識されるようになれば、補助制度の発足を求める声は大きく高まるものと考えます。
 このたび都は、住宅確保要配慮者のためのセーフティーネット住宅という国制度について、東京ささエール住宅という都独自の愛称を決めました。
 この機を生かし、市区町村の担当者はもちろんのこと、さまざまな広報ツールなどを用いて、広く都民に制度の周知を積極的に図るべきです。見解を求めます。
 次に、都営住宅での自己資金により取りかえる風呂釜の取り扱いについて質問します。
 都議会公明党は、新規入居者における取り扱いとは異なり、自己資金で風呂釜や浴槽などを整えた従前からの居住者だけが、故障した場合の買いかえにおいても自己資金での調達を強いられている不公平を指摘し、改善を求めてきました。
 知事からは、昨年の第一回定例会の代表質問で、執行体制の整備を機に、計画的、効果的な進め方について検討してまいりますとの答弁が初めて示され、第二回定例会での代表質問では、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証を行うとの住宅政策本部長答弁がありました。
 かつて、自己資金で浴室設備を購入した居住者の高齢化は著しく、経済的にも買いかえは困難です。こうした現状を踏まえれば、新規入居者との不公平は一日も早く是正されるべきであります。
 加えて、老朽化した住棟の建てかえでは、全ての浴室設備が一新されますが、建てかえまで長期間を要する住棟も多く、その間の経年劣化に伴う修繕費の支払いはできないなど、不安の声が多く届いています。
 そこで、令和二年度の新年度予算では具体的な対策を開始すべきと考えます。詳細について見解を求めます。
 次いで、都営住宅における東京みんなでサロンについてです。
 都営住宅では、六十五歳以上の世帯が約七割を占め、その半数が単身高齢者世帯です。コミュニティの活性化が喫緊の課題になっています。今回都が、都営住宅の集会所等を活用して、東京みんなでサロンという多世代交流の場を設け、居場所づくりを進めることとしたことは、フレイル対策にもつながり、大変意義があることだと考えます。
 こうした交流の場は、町会やNPO法人などが中心になって、地域で取り組んでいる例も少なくありません。それらの活動も生かしながら、東京みんなでサロンを展開していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、買い物弱者対策についてです。
 近隣に店舗等のない都営住宅の高齢の居住者からは、買い物に行けず困っているとの声が数多くあります。食事や食料品を届けてもらうサービスだけに頼ると、外に出る機会もなくなり、孤立化を招きかねません。こうした課題を解決するために、都は、移動販売サービスの誘致に取り組んでいます。
 一方、URの団地では、居住者の利便性の向上と団地の活性化を図るために、連携協定を結び、UR団地内にコンビニ店舗を設置する事例もあります。
 都営住宅が第一種低層住居専用地域にある場合、店舗の出店に制約がありますが、国では、同専用地域にも店舗が設置できるよう、規制緩和をする動きもあります。
 そこで、今後の超高齢社会を見据え、買い物弱者対策として、都営住宅においても店舗等を活用すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、交通不便地域の移動支援について質問します。
 都議会公明党はこれまで、高齢者や障害者がさまざまな交通手段を利用して、安心して移動できる環境整備を強く求めてきました。我が党は、横浜市や小平市の取り組みを調査するとともに、今月には、都が臨海副都心エリアで実証実験をしたMaaSを視察しました。
 この実証実験は、多言語対応のアプリを使って、デマンド型シャトルや公共交通、さらにはシェアサイクルなど、多様な交通手段を切れ目なく利用して目的地に行けるようにするもので、利用料金の決済もアプリで自動的に行われます。
 そこでまず、デマンド型シャトルのような新しい移動サービスを活用して得られた今回の実証実験の成果や課題について明らかにすべきです。見解を求めます。
 デジタルテクノロジーの利点を生かした移動サービスは、都内の交通不便地域での有効な移動手段になると考えます。今回の実証実験を踏まえ、都内の交通不便地域において、MaaSのような新しい移動サービスの社会実装に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、警視庁による認知機能検査と高齢者講習について質問します。
 昨年末の都内教習所における平均予約待ち日数が、認知機能検査で約五十日、二時間の高齢者講習が約六十三日、三時間の高齢者講習が約六十六日と、依然長い状況にあります。
 都議会公明党は、昨年の第一回定例会において、七十五歳以上の免許更新で必要な認知機能検査が、都内四十六カ所の教習所の多くで数カ月先まで予約がとれない状態にあり、結果、検査後の高齢者講習においても長い受講待ちを余儀なくされている実態を取り上げました。
 そして、埼玉県の事例を取り上げ、警視庁においても、認知機能検査は公的機関中心の体制に切りかえ、教習所が高齢者講習に可能な限り専念できるよう、早期に改善をすべきと提案しました。それに対し警視総監は、警視庁による認知機能検査の実施枠の拡大を図り、各教習所が高齢者講習の受講人員枠を拡大できるよう努めると答弁いたしました。
 その後一年が経過いたしましたが、改善に向けた警視庁の取り組みについて警視総監の説明を求めます。
 次に、木造住宅密集地域の対策について質問します。
 都内に多く存在する木密地域は、火災の延焼を防ぎにくいなどの課題を抱えています。
 そのため、都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化を着実に進めてきました。
 しかし、整備地域の不燃領域率は二〇一七年度末時点でようやく六二・五%に達したものの、目標の七〇%の達成には、今なお隔たりがあります。
 改善が進みにくい要因にはさまざまな事柄が考えられます。中でも、十分な幅員の道路に接していないために建てかえが進みにくい建造物や、所得的に余裕のない高齢者の入居者が多い賃貸住宅などでの対応が重要です。
 都は、今後のスケジュールを含む目安となる期限を示し、防災都市づくり推進計画の改定に取り組む中で、決め手となる対策の具体化を急ぐべきと考えますが、見解を求めます。
 木密地域の不燃化対策は、住民の積極的な協力が何よりも肝要です。
 しかし、相続の機会にしか不燃化を伴う建てかえが進まないなど、遅々とした状況が続いています。
 こうした現状を打破するためには、地域住民がこぞって建てかえに関心を寄せるような魅力あるまち並みの創出や、新たな客足につながる商店街のリニューアルなど、夢や希望が膨らむ木密対策への転換を図るべきと、都議会公明党は強く求めてきました。
 そのためにも、防災対策の枠組みを超えて、良質な景観の形成や商店街振興などの他分野などとも連携する、新しいステージに立った木密対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、民間病院での非常用発電装置の整備についてです。
 都は、都議会公明党の求めに応じて、災害拠点病院向けの補助制度を既に実現させ、さらに、連携病院も視野に入れた補助制度の拡充を検討しているところです。令和二年度は、連携病院についてもさまざまな施策に取り組むと聞いています。
 そこで、災害拠点連携病院の機能強化に向けた今後の取り組みについて見解を求めます。
 重油などを燃料とする発電装置の稼働は、基本三日間の稼働を想定したものになっています。停電で長期化した場合には対応が不可能になってしまいます。しかも、三日程度の稼働という想定は、平常時の六割程度の電力使用を想定したものであり、不眠不休のフル稼働ともなれば、一日で燃料の貯蔵が底をつくおそれがあります。追加供給の協定を結ぶ実例もふえつつありますが、災害時に供給に携わる要員の確保は、どの地域でも大きな課題です。
 この点、都市ガスを燃料とする発電装置の場合、中圧管を用いたものであれば、災害発生時も低圧管とは異なり、ガス供給がストップされることはなく、安定した発電が望めます。
 その一方で、中圧管は都内でも細かく敷設されておらず、国や都の補助制度も、敷地内でのガス管敷設にしか適用できません。病院まで中圧管を敷設する工事に、発電装置の購入や設置以上の費用を要してしまうため、二の足を踏む事例も多いと聞いています。
 そこで、都は、都市ガスを燃料とする自家発電機への燃料供給についてみずからも調査を実施するなど、検討に取りかかるべきであると考えますが、見解を求めます。
 次いで、河川護岸強化についてです。
 昨年、東京を襲った台風十九号は、都内の多摩西部を中心に浸水被害が発生しました。特に、秋川や平井川では護岸崩壊等が数多く発生しており、我が党も被災直後から現場に足を運び、つぶさに調査を行い、地元の声を聞いてまいりました。
 今回の台風では、河川の湾曲部で護岸崩壊や道路崩壊が発生し、集落の孤立化や長引く避難生活を招く結果となりました。
 そこで、今回の被災を教訓に、川の流れに最も影響がある土砂や樹木を含めて、改めて川全体のチェックを行い、護岸の強化対策を実施すべきであります。あわせて、国管理の多摩川河川強化を要望するなど、多摩の河川の安全性を早急に向上させていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、中小企業における5Gの活用について質問します。
 IoTやロボットの活用などデジタル技術の高度化が進む中、新たな通信規格である5Gは、高速大容量等の利点を生かした自動化や遠隔操作等により生産性が飛躍的に向上し、中小企業のものづくりの現場をも劇的に変えていく可能性を有しています。
 一方、中小企業の現場では、5Gの活用の必要性は理解していても、具体的にどのように活用していけばよいか迷っているのが実態であります。5G技術の実用化はようやく緒についたところであり、今後、中小企業が5Gの活用方法やその活用効果を具体的にイメージできるようにすることが肝心です。
 そこで、都は、中小企業での導入モデルを広く公募し、具体的な事例を創出するとともに、その効果を検証し、中小企業に幅広く発信していくべきと考えますが、見解を求めます。
 5Gの技術は、中小企業の生産現場にとどまらず、社会のさまざまな現場で活用されることが期待されています。
 例えば、遠隔医療が実現されれば、高度医療が不足している地域へより質の高い医療を提供することができます。
 また、人手不足が深刻化している建設現場においては、5Gによる遠隔操作だけでなく、自動施工との組み合わせにより、現場全体での人手不足に対応する省力化や効率化が可能となります。
 さらには、教育現場や災害対策、福祉の現場、農業改革など、さまざまな場面で5G技術を活用し、社会的な課題解決が期待されます。
 このことを具現化していくためには、革新的なアイデアを持つスタートアップの知見を生かし、既存の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの展開が求められています。
 そこで、都は、5G技術を活用し、新たな製品やサービスの開発に取り組むスタートアップへの支援を本格的に進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、ユニバーサルデザインタクシー、通称UDタクシーの普及について質問します。
 環境性能にすぐれ、車椅子の高齢者や障害者も利用しやすいUDタクシーの普及は、環境と人間優先都市東京の構築にとって重要であり、我が党は強力に推進してきました。
 都内のUDタクシーは、国や都の補助金もあって、二〇一六年度から二〇二〇年度まで五年間の目標である一万台を昨年前倒しで達成し、これに都の来年度予算案に計上されている助成分六千台の入れかえが加わると、都内タクシーの約四万七千台の三分の一がUDタクシーとなります。
 しかし、補助事業が二〇二〇年度で終了することから、タクシー事業者は、二一年度以降の導入計画が立てにくいという課題を抱えています。
 さらに、環境性能をより向上させた車両の導入も求められています。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、二〇三〇年までに都内の乗用車の新車販売に占めるゼロエミッションビークル、すなわちCO2や排出ガスを出さない車の割合を五〇%まで高めるという目標を掲げています。このため、現行のハイブリッドUDタクシーが、ゼロエミッションビークルのUD車へ移行することも念頭に置かなければなりません。
 UDタクシーを中小タクシー事業者も含めて計画的に普及させていくためには、二〇二一年度以降の都の支援計画を早急に打ち出すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 一方、UDタクシーに対しては、乗車拒否や車椅子の乗車に時間がかかるなどの指摘もあります。
 こうした課題を解消するには、都の補助金交付の条件としているドライバーの講習と、事業所ごとの車椅子乗車練習を徹底すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、就職氷河期世代の方を対象にした就労支援策について質問します。
 国は、就職氷河期世代へ、就労支援策の積極的な展開を予定しています。都としても、国と連動して、これまでしごとセンターで実施してきた事業などの充実を図り、氷河期世代への支援を一層強化すべきと考えます。
 就職氷河期世代で未就労や低賃金就労の状態にある方は、長年にわたる低収入や無収入状態などから、支援サービスの利用に必要な交通費を工面できない可能性があります。
 そこで、我が党は、政府に交通費を支援対象に加えるよう働きかけ、国会質疑でもその旨の明快な答弁を得ました。
 都においても、国の支援メニューも踏まえて、交通費はもちろんのこと、就職氷河期世代の方が支援プログラムを受けている間に生活に困窮することがないよう、生活実態を踏まえた支援に踏み出すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、就活中のセクハラ対策について質問します。
 昨年、就職活動中の若者などをターゲットにしたセクハラ事件が相次ぎ、対策の強化が求められています。
 この問題は他国でも課題となっており、国際労働機関、ILOでは、昨年六月、就活中のセクハラ防止策の推進を含む条約案が審議されました。その際、日本は、政府と労働団体の代表は賛成票を投じたものの、残念ながら、企業団体の代表は評決を棄権する意思表示を行っています。条約を批准した国は、まだ一つもない状況にあります。
 そうした中、我が国において、政府は、就活中のセクハラ対策を雇用中のセクハラ対策と同格に扱うことが望ましいとする指針を明記しました。
 都は、都内の各企業団体と連携して、企業側の自主規制が本格化するよう積極的に取り組みを進めるとともに、国に対しても、早急に企業側と連携して対策の推進を求めるべきです。
 加えて、被害の危険性を感じたり、被害に遭ったりした際に、若者が抵抗感少なく相談できるように、LINEなどのSNSを活用した相談体制をつくるべきです。
 就活セクハラの根絶に向け、国と連携を図りながら、企業側と若者双方への効果的な取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、学校体育館の空調設置について質問します。
 都議会公明党が提案、推進する学校体育館の空調の設置については、市区町村の小中学校において、令和元年度に約三割の五百八十五校で事業が実施され、迅速に整備が進められています。
 こうした中、昨年の台風十九号では、多くの地域で避難勧告等が出され、学校などに開設された避難所に都民が避難している現場を目の当たりにしました。こうした事態を踏まえ、今後、市区町村が新たな学校体育館等の空調設置を追加し、実施する可能性が大いにあると考えられます。
 現在、令和三年度までの空調設置の整備計画を、昨年六月に市区町村が提出することを条件として、国の補助金が獲得できなかった場合に、都独自の加算や上乗せ補助の対象としていますが、今後、市区町村が追加する整備計画の内容も補助対象とすべきであります。都立高校の学校体育館の空調設置状況とあわせて、都の見解を求めます。
 次に、教員間のパワーハラスメント対策について質問します。
 昨年、神戸市の小学校の教員間において、身体的な暴力や暴言、性的な嫌がらせ等を内容とするハラスメント行為が行われていた問題が大きく取り上げられました。子供たちを指導する立場の教員がこのような問題を起こすことは言語道断であり、絶対にあってはならないことです。
 現在、都では、教職員間のパワーハラスメント相談窓口として、都立学校では学校経営支援センター、市区町村立学校では各教育委員会に設置した相談窓口において、教職員からの相談を受け付けている現状ですが、早期解決のためには、さらに相談しやすい環境整備が必要です。
 そこで、来所または電話による受け付けに加えて、新たに電子メールでの相談受け付けを設置すべきであります。教育長の見解を求めます。
 また、パワーハラスメント防止対策について、令和元年六月五日、改正法が公布され、施行は公布後一年以内となっています。
 都の労働相談情報センターへの平成三十年度の都内の労働相談件数は、平成十八年度以降、五万件を超え、パワハラを含む職場の嫌がらせの相談が初めて最多となりました。この状況を踏まえれば、教育現場においても、ハラスメントに悩む教職員が多数存在していると考えます。実際、我が党にも教育現場におけるパワハラ相談が多く寄せられています。
 今般の法制化を受け、国が公表した対策マニュアルでは、職場のパワーハラスメント防止対策を効果的に進めるためには、まずは各教職員の実態を把握するための取り組みが必要であると示されています。都教育委員会でも、学校におけるパワーハラスメントについて、各教職員の状況を把握するため、調査をすべきであります。教育長の見解を求めます。
 次に、地域力向上について二点質問します。
 一点目は、都が二〇〇七年度に立ち上げた地域の底力発展事業についてです。
 同事業はこれまで、町会、自治会のイベント等に、延べで約四千七百件が活用されています。助成額は、例えば単一町会であれば、一回目が上限二十万円の満額、二回目からはその二分の一を助成してきました。二〇一六年度からは特例措置として、オリンピック・パラリンピック関連イベントであれば、単一町会が毎年行っても、一回二十万円の満額の助成が行われています。
 しかし、この特例措置は、東京オリ・パラ大会終了時までの期間限定であります。町会、自治会からは、地域力をさらに向上させるために継続してもらいたいとの声が強く出されています。
 このため、近年急増している外国人のスムーズな地域受け入れなど、都が緊急に取り組むべき施策につながる地域の取り組みについては、地域の底力発展事業の特例措置として手厚い支援を継続すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 二点目は、地域に設置されている防犯カメラの維持管理費負担についてです。
 都議会公明党は、地域における防犯カメラの設置を強力に推進し、新規設置や保守点検、修繕費に対する支援策も充実させてきました。
 しかし、地域の防犯カメラの電気料金や電柱への設置に係る共架料は補助対象外となっており、設置者である町会、自治会、商店街が負担をしています。このため、東京都町会連合会から我が党に対し、防犯カメラの維持費がかさむほか、増設にも二の足を踏まざるを得ないとの切実な声が寄せられました。
 これを受けて我が党は、知事に対する来年度予算要望の際に、重点的に取り組むべき課題として迅速な対応を求めました。
 防犯カメラの整備は、犯罪抑止や事件の早期解決に大きな力を発揮する、非常に公共性の高い取り組みであり、都は町会、自治会、商店街の維持管理費負担を軽減すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、外堀の水質改善について質問します。
 都は、未来の東京戦略ビジョンの中で、外堀浄化プロジェクトとして外堀の対策に取り組むことを表明しました。
 都議会公明党はこれまで、都に対し、関係する国、都、地元区と連携するための協議体をつくることを初め、外堀の水質改善の具体策について、多摩川など河川からの水を、玉川上水を活用して外堀に導水することなど、さまざまな提言を行ってきました。
 この対策が実現すれば、外堀の水質改善だけでなく、江戸の昔の水の流れを取り戻し、また、玉川上水の分水網にも今以上の水量を通水することができれば、東京全体の水環境向上だけでなく、首都直下地震時の延焼拡大防止や、飲み水、トイレ用水を確保する緊急水利システムの構築につなげることもできます。
 我が党としても、プロジェクトの実施により、都のシンボルの一つである外堀の美しい姿がよみがえることを大いに期待しています。
 そこで都は、今後、外堀での対策を速やかに実施することが不可欠であると考えますが、今後の取り組みについて知事の見解を求めます。
 最後に、気候変動について質問します。
 災害の激甚化にあらわれているとおり、気候変動は地球規模で環境に大きな影響を及ぼしており、対策は待ったなしの現況にあります。
 都は昨年五月、二〇五〇年のCO2排出量実質ゼロを目指すゼロエミッション東京を宣言し、昨年末、実現へのロードマップを盛り込んだゼロエミッション東京戦略を発表しました。あわせて、戦略と密接な関係にある気候変動適応方針、プラスチック削減プログラム、ZEV普及プログラムも公表しました。
 気候変動対策に果敢に取り組むべき都として、これらの計画を着実に進めていく必要があります。特に、ゼロエミッション東京戦略に盛り込んだ目標は、断固達成をしていかなければなりません。
 そのために、毎年度の進捗状況や目標達成の見通しをゼロエミッション東京白書として明らかにし、進捗状況に応じて適切な見直しも図る必要があると考えます。都の見解を求めます。
 都は、ゼロエミッション東京戦略の発表に合わせて、気候危機行動宣言を発表しました。世界各地の自治体では気候非常事態を宣言し、行動を呼びかける動きが広がっており、国内でもその動きが始まっています。今回、気候危機行動宣言を出した都は、こうした諸都市とも緊密に連携し、取り組みのリーダーシップを担っていくべきと考えますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の相談体制についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症は、中国を中心に短期間で急速な広がりを見せており、いまだ未解明の部分も多い感染症であることから、都民の皆様に正しい情報を伝え、不安を解消していくことが重要でございます。
 このため、都におきましては、都民の皆様に冷静な正しい行動をとっていただけますよう、都のホームページに専用サイトを設けまして、トップページにバナーを掲載したほか、電話で相談を受け付けますコールセンターを開設いたしております。
 また、感染の可能性がある方からの相談を二十四時間体制で受け付ける帰国者・接触者電話相談センターを設置いたしまして、感染が疑われる場合には、他の患者との接触を避けて受診することが可能な帰国者、接触者外来で受け入れる体制を整えております。
 さらに、二月二十八日からは、コールセンターにつきまして、より多くの都民の皆様方からの相談に対応できるように回線を増設するとともに、英語、中国語、韓国語による対応や、聴覚に障害のある方へのファクシミリによる相談の受け付けを開始するなど、体制を充実させます。
 今後の感染の状況も踏まえながら、関係機関とも連携いたしまして、より都民が利用しやすい、新型コロナウイルス感染症に関します相談及び正確な情報発信に努めてまいります。
 なお、本日午前中に開催をいたしました対策本部会議におきましては、短期間に集中的に取り組む対策を取りまとめたところでございます。
 民間検査機関の活用による検査体制の強化、あすから都庁展望室を閉鎖するなど、感染拡大の防止に向けた取り組み、特別広報チームや専門ホームページの立ち上げなどによります広報の強化、徹底などを進めていくことといたしておりまして、ここを正念場として、スピード感を持って対策を講じてまいります。
 今後の感染拡大を想定した医療体制についてのご質問でございます。
 都は今月、新型コロナウイルス感染症の発生以降、入院患者を受け入れる感染症指定医療機関や、帰国者、接触者外来を開設する診察協力医療機関に加えまして、指定二次救急医療機関等を対象にして説明会を二回開催し、患者の受け入れ体制の確保を働きかけております。
 このうち、受け入れ体制を確保しております医療機関に対しましては、医療従事者用の防護服を提供いたしております。
 現在、都内におきましては患者数が増加しつつあり、感染源が不明な患者や重症患者も発生しているところであります。
 こうした状況を受けまして、先般の対策本部におきまして、東京都医師会などの有識者から、今後の感染拡大の可能性を見据えて、速やかに医療体制を整備するようなご意見をいただいております。
 また、昨日、国は、新型コロナウイルス対策本部で感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定いたしております。
 今後、これらを踏まえながら、国や多くの医療関係者等と緊密に連携をいたしまして、医療体制の強化を迅速に進めてまいります。
 あわせまして、マスクや消毒薬等の安定的な流通につきましては、引き続き国に働きかけていくとともに、医療機関との調整の上、必要な防護服を提供するなど、医療従事者の安全を確保して、患者を確実に診療する体制を構築してまいります。
 次に、多摩総合医療センターの感染症指定医療機関への指定についてのご質問でございます。
 現在、都内には、感染症法に基づきます感染症指定医療機関は十二ございまして、これらの医療機関を中心に感染症医療体制を構築しているところであります。
 一千三百万人の都民が暮らし、海外との往来が活発な大都市である東京におきましては、海外から感染症が侵入して拡大するリスクが高うございます。
 このため、将来の新興、再興感染症の発生に備えまして、感染症医療提供体制をさらに強化していくことが必要でございます。
 今回の補正予算でございますが、多摩総合医療センターにおけます施設を改修して、一部の病床において二類感染症相当の感染症患者を受け入れることのできる設備面の整備を図ることといたしております。
 今後、多摩総合医療センターの感染症指定医療機関としての指定に向けまして、準備を進めてまいります。
 感染症に対する今後の備えについてでありますが、今回の新型コロナウイルス対策に当たりましては、中国の武漢市から帰国された在留邦人の方々や、大型クルーズ船に乗船されていた方々に対しまして、国内で適切に経過観察を行う施設の確保について課題があったと考えております。
 こうした認識のもとで、今後新たに発生する感染症への備えの一つといたしまして、感染の疑いがある方々に対して経過観察可能な施設の整備について、来年度から検討を進めてまいります。
 具体的には、経過観察可能な施設として必要な機能や規模、施設の立地条件やコスト、平時における活用方法や運営体制等につきまして、年内を目途に調査検討を実施してまいります。
 都民の皆様方や東京を訪れる方々の生命と健康を守っていくために、新型コロナウイルス感染症対策のさらなる強化を行いながら、今回の事態を教訓として将来を見据えた取り組みにも目を向け、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症に対して、中小企業の支援についてでございます。
 感染症の流行に伴って懸念されますサプライチェーンの寸断といった経済への影響を最小限に抑えるという観点から、中小、小規模企業への支援を迅速に進めていくことは重要でございます。
 そのため、中小企業の資金繰りや経営に関する特別相談窓口を直ちに設置するとともに、私みずから、中小企業団体の方々から厳しい経営の状況を直接伺うなど、日々刻々と変化する現場の実態を把握してまいりました。
 こうした声を真摯に受けとめまして、切れ目なく対策を進める必要がございますので、今回、さらなる支援の充実を図ったものでございます。
 資金面からの支援におきましては、融資目標額を一千億円とする緊急融資制度を創設いたしまして、信用保証料の全額を都が補助するなど、中小企業の大幅な負担軽減を図ってまいります。
 この融資におきましては、感染症による影響が広範にわたっていることを踏まえまして、一定の売り上げ減少などがある幅広い中小企業が利用できるようにするとともに、資金の使途につきましても、当面の運転資金や設備投資など、さまざまな活用ができることといたしております。
 また、感染拡大に伴って厳しい状況に直面しております中小企業に対しまして、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路開拓支援も強化してまいります。
 加えまして、都発注工事の工期の延伸につきましては、受注者から申し入れがありました場合は必要に応じて延伸を行うなど、円滑な工事の進捗に努めてまいります。
 こうした支援を速やかに開始いたしまして、都内の中小企業が安心して事業活動を継続できますよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、高齢者施設での感染対策への支援についてでございます。
 先日、都内の介護施設の職員が新型コロナウイルスに感染する事例が発生をいたしました。
 高齢者は感染症で重症化しやすいため、それぞれの施設では、感染対策委員会を設置して、感染症対策のための指針を策定して職員への周知を図るなど、日ごろから感染症の予防や拡大防止に取り組んでいるところであります。
 都におきましては、毎年、感染症の流行に備えまして、施設の管理者や看護師などを対象として研修を実施いたしております。
 今回の新型コロナウイルス発生後は、国の通知やマニュアルに基づきまして、マスクの着用や手洗いなどの励行、職員や入所者の健康状態の把握など、施設内感染対策の徹底につきまして、注意喚起を行っているところでございます。
 都は、マスクや消毒薬等の必要な衛生資材の安定的な流通につきまして、国に緊急要望を行っており、患者数の増加を踏まえて、高齢者施設等につきましても、現場の状況を把握するとともに、衛生資材が安定的に供給されますよう、改めて国に働きかけてまいります。
 さらに、衛生資材を取り扱います業界団体に対しましては、高齢者施設等への優先供給を要請するとともに、区市町村に対しましても、必要に応じて備蓄資材の提供など、適切な支援を行うように協力を求めてまいります。
 新型コロナウイルスに関しましての学校、幼稚園、保育所等への対応についてでございます。
 新型コロナウイルスの感染を予防するためには、まずは、手洗いやせきエチケットなどの基本的な感染症対策の徹底が重要でございます。
 都はこれまでも、国や区市町村と連携をしながら、学校、幼稚園、保育所等におきましても、子供や教職員がこのような対策を講じるように周知をしてまいりました。
 また、保護者との緊密な連携のもとで健康観察を徹底して行って、子供に発熱等の風邪の症状が見られますときは、無理をせずに自宅で休養するように促して、教職員にも同様の対応を求めております。
 さらに、感染のおそれが生じました場合には、学校や幼稚園については保健所、学校及び設置者の間で情報を共有するとともに、子供には出席停止の措置をとって、教職員には出勤を抑制することといたしております。
 保育所等につきましては、都、保健所を設置する市または特別区が、登園や出勤を避けるよう要請することといたしております。
 都立学校におきましては、始業時間の繰り下げなど、公共交通機関の混雑時を避けた登下校を実施するほか、学年末考査を終了した学校から順次春休みを前倒しするとともに、卒業式の参列規模の縮小、時間短縮を図るなどの対応を行ってまいります。
 今後、都は、状況の変化に的確に対応いたしまして、感染の拡大防止に努めるとともに、発生をいたしました場合には、学校の一部または全部、感染者がいない学校の臨時休業等を含めまして速やかに対応いたしまして、子供たちの安全・安心を守ってまいります。
 次に、時代の変化に的確に対応する予算編成についてのご質問でございます。
 激甚化する自然災害への備えや、人口減少、少子高齢化への対応など、都政を取り巻きます課題に的確に対応していくためには、絶えず施策の見直しを図っていくことは不可欠であります。
 私も出席いたしました先般の決算特別委員会におきましては、現場の実情を踏まえました真摯な議論が行われましたが、一つ一つの事業に磨きをかけて施策を進化させるためには、決算なども踏まえまして、各事業の効果を検証し、浮かび上がってきました課題に対しまして的確に策を講じていくことが重要であります。
 令和二年度予算では、これまでに明らかになりました課題を踏まえまして、例えば、ICTやAI等の最先端技術を活用した水門等の遠隔監視制御に関する検討を初めとする豪雨災害への備えや、子育てにおきまして多くの課題を抱えます多子、多胎児世帯への支援を充実するなど、取り組みの強化を図っております。
 今後とも、事業評価におけます事後検証の徹底等を含めまして、決算から予算編成、事業の執行に至りますPDCAサイクルを有効に機能させることで、一つ一つの事業を磨き上げ、健全な財政基盤を確保するとともに、時代の変化に的確に対応した積極的な施策展開を図ってまいります。
 次に、高校授業料の負担軽減についてでございます。
 家庭の経済状況によりまして子供たちの将来の希望が閉ざされてはなりません。
 都は、私立高校等に在学する生徒の保護者の経済的な負担を軽減するために、平成二十九年度に特別奨学金制度を大幅に拡充、年収約七百六十万円未満の世帯まで授業料の実質無償化を実現いたしましたが、対象となる世帯の範囲は都立高校と異なっておりました。
 そこで、このたび国の就学支援金制度が拡充されましたことから、この財源を活用いたしまして、都の特別奨学金の対象を、既に都立高校において授業料無償化の対象となっている年収約九百十万円未満の世帯まで拡大することといたしました。
 また、多子世帯におけます学費の負担を考慮いたしまして、年収約九百十万円を上回る世帯でも、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上いる場合には、私立高校や都立高校に通う生徒一人当たり、公立高校授業料の半額相当の授業料負担を軽減することといたしました。
 これからも、東京の未来を切り開く人に焦点を当てた支援によりまして、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えてまいります。
 東京都認可以外の通信制高校の授業料の負担軽減についてでございます。
 通信制高校につきましては、履修単位数に応じまして生徒一人ずつ異なる授業料等を正確に把握する必要がございますため、特別奨学金は、指導監督権限のある都認可の通信制高校に在籍する生徒を対象にしております。
 一方、都民の中には、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒も少なからずおりまして、施策の公平性の観点から、こうした生徒も特別奨学金の対象にしてほしいとの声がございます。
 しかしながら、都の指導監督権限が及ばない都認可以外の通信制高校からは、特別奨学金の支給に必要な生徒一人一人の授業料等の情報を得ることは、実は困難でございます。
 こうしたことから、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒の授業料負担の軽減を行うためには、新たな仕組みが必要でございまして、今後、その方策について検討してまいります。
 次に、犯罪被害者等への見舞金制度についてのお尋ねでございます。
 犯罪の被害に遭われました方及びそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えまして、身体的、精神的、経済的に困難な状況に直面しておられ、被害直後から途切れることのない支援が重要でございます。
 条例案の検討に合わせて行いました被害者等への実態調査等におきましては、犯罪に遭った結果、医療費や裁判費用等の支出を余儀なくされた、あるいは、収入が減り生活が苦しくなったなどの理由によって、行政による経済的な支援を望む声が多数寄せられたところでございます。
 こうした状況や都議会公明党を初めとする各会派からのご要望を踏まえまして、見舞金制度を新たに創設し、国による犯罪被害者給付金の支給までの間、当面必要となる経費に充てるために、被害者遺族に対して三十万円、重症を負った被害者本人に十万円を給付するというものであります。
 この取り組みによりまして、被害者等の生活再建の第一歩を後押しして、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現につなげてまいります。
 次に、大会におけます剰余金についてのお尋ねでございます。
 大会経費につきましては、大枠の合意に基づいて、組織委員会、東京都、国、それぞれの役割分担、経費負担を担いながら連携して大会の準備を進めてまいりました。
 一方で、開催都市契約におきましては、剰余金の分配についてJOCに二〇%、IOCに二〇%、組織委員会に六〇%とされておりまして、これはJOCと協議の上、日本におけるスポーツの全般的な利益のために使用することとされております。大会における剰余金が生じる場合には、こうしたことを踏まえまして対応する必要があると考えております。
 組織委員会の収支につきましては、今後、大会本番の運営など、さまざまな業務が具体化をいたしまして、新たな経費が必要となることが見込まれる中におきましても、まずは赤字を出すことのないよう取り組んでいく必要がございます。
 そのため、新たに組織委員会の収入と支出につきまして毎月報告を受け、収支を確認するとともに、その内容を公表してまいります。
 仮に組織委員会の収支が黒字となって、剰余金が生じる場合には、大会経費を組織委員会、東京都、国が負担しているということも踏まえまして、組織委員会及び関係者により、その取り扱いを慎重に決めるべきものと考えておりまして、都民のご理解がいただけますように取り組んでまいります。
 次に、UD、ユニバーサルデザインタクシーについてのご質問でございます。
 世界に誇る日本の環境技術とおもてなしの心を集約したユニバーサルデザインタクシーの普及は、東京二〇二〇大会のレガシーともなる重要な取り組みでございます。
 令和二年度予算案に計上いたしております補助金の執行によりまして、来年度には都内タクシー台数の約三分の一に相当いたします一万六千台がユニバーサルデザインタクシーに切りかわる見込みであります。
 これによりまして、誰もが利用しやすく、CO2排出量の少ない都市交通が実現されますが、環境負荷の低減に向けましては、さらなる普及や、ご指摘のような将来のユニバーサルデザインタクシーのZEV化なども視野に入れていく必要がございます。
 今後とも、業界団体の意見も十分に聞きながら、長期的な視点に立ちまして、環境にも優しいユニバーサルデザインタクシーの普及に努めてまいります。
 次に、就職氷河期世代への就労支援についてでございます。
 就職氷河期世代には、長期にわたって非正規雇用が続くことなどによって、スキルアップの機会に恵まれないことに加えまして、経済的に不安定な状況に置かれている方が数多くおられ、こうした状況を踏まえた支援を行っていく必要がございます。
 このため、都は、しごとセンターにおきまして、氷河期世代の方が基本的な職務スキルを身につけて、正規雇用を目指す支援プログラムを実施しており、経済的な心配をせずにプログラムに参加できますよう、交通費等に活用できる奨励金を支給いたしております。
 さらに、来年度からは、氷河期世代の方が実際の企業現場で派遣社員としてスキルを磨いて、派遣先企業で正規雇用として就職ができますよう、新たな支援事業を開始いたします。この事業の実施に当たりましては、氷河期世代の方の生活面をサポートするため、派遣期間中の賃金と交通費をあわせて支給してまいります。
 これらのきめの細かい支援によりまして、就職氷河期世代の方の安定した就労を後押ししてまいります。
 次に、就職活動中のセクシュアルハラスメントについてのご質問でございます。
 セクハラは、働く方の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であり、労働者はもとより、就職活動中の学生等に対しましても、あってはならないものでございます。
 今般、国が改正した指針におきましても、事業主に対して、就業活動中のセクハラ防止に関して適切な対応を求めております。
 都は、この指針の実効性を高めていくため、国に対し、事業主への助言指導など、対策の一層の強化を働きかけるとともに、都におきましても独自の対策を講じてまいります。
 まず、事業主に対しましては、経済団体等と連携をいたしながら、新たに就職活動中のセクハラ防止に関しますセミナーの開催、啓発冊子の配布など、普及啓発を進めてまいります。
 また、就職活動中の方に向けましては、学生などが利用しやすいように、SNS等を活用して相談に応じる仕組みを新たにつくり上げまして、国とも連携をして、事業主に対して相談内容を踏まえた対応を図ってまいります。
 これらの対策によりまして、就職活動中のセクハラ防止を強力に推進してまいります。
 次に、地域の底力発展事業助成の特例措置についてのご質問でございます。
 町会、自治会は、防犯、防災、高齢者見守りなど、都民生活の安全・安心の確保、魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を果たしておりまして、また、都内におけますオリンピック・パラリンピックの機運醸成についても多大なご協力をいただいているところであります。
 お話のように、現在都内に住む外国人は五十七万人を超えておりまして、今後さらに増加が予想されるところであります。こうした中で、地域によりましては、ごみ出しや騒音の問題など、トラブルも発生していると聞いております。これは生活習慣や文化の違い、コミュニケーション不足などが原因と考えられるところであります。
 多文化共生社会づくりを推進していくためには、地域コミュニティの中核であります町会、自治会が中心となって、在住外国人を地域の一員として受け入れる意識を高めていくことが重要でございます。
 このため、こうした町会、自治会の多文化共生社会づくりに資する活動に対しまして、地域の底力発展事業助成の補助率に関する特例措置を適用いたしまして、その取り組みを支援してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、日本人も外国人も仲よく暮らす社会を築き、地域コミュニティを活性化してまいります。
 外堀の水質改善についてのご質問でございます。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることは重要でございます。
 十二月に公表いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきましては、東京の歴史的財産である外堀の水質改善を進め、都心で働く人々に癒しの場を提供するとともに、品格ある景観の形成による地域全体の活性化を図る外堀浄化プロジェクトを提示したところであります。
 外堀の水質浄化に向けましては、これまでも庁内関係局が連携をいたしまして、効果的な改善方策を幅広く検討して、河川水等の導水の有効性など確認をしてまいりました。
 今後は、外堀に導水するための水源、水量の確保、導水路の整備方法等につきまして検討を進めるなど、国や地元区などとも連携をいたしまして、外堀浄化プロジェクトを着実に進めて、水の都にふさわしい、まちに潤いを与える東京を実現してまいります。
 最後に、気候危機に対します諸都市との連携についてのご質問でございます。
 気候変動の問題に立ち向かうためには、危機感を表明し、訴えるだけではなく、行動を起こすことが重要でございます。
 このため、都は、気候の危機的な状況を広く発信する気候非常事態という表現を超えまして、その状況に立ち向かう行動をより強く表明をする、そのために気候危機行動宣言を表明いたしたところでございます。
 ゼロエミッション東京戦略において取りまとめましたビジョン、具体的な取り組み、ロードマップをもとに対策を講じまして、都民や企業を初め、国や区市町村など、あらゆる主体に共感と協働を呼びかけまして、ともに気候危機に立ち向かう行動を推進してまいります。
 気候変動対策には、バウンダリー、つまり境がなく、国、都市、それぞれが対策を進めなければ間に合いません。
 都は、世界の大都市の責務としてリーダーシップを発揮いたしまして、私自身、副議長を務めておりますC40やイクレイなどのグローバルネットワーク、また、国内の広域都市連携の枠組みも活用しながら、都の先進的な取り組みの共有、連携の強化を図りまして、国内外の脱炭素化に向けて行動を起こしてまいります。
 なお、残余のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 高齢者講習の受講人員枠の拡大に係る取り組みについてであります。
 警視庁では、従来、教習所において実施をしていた高齢者講習及び認知機能検査のうち、認知機能検査を警察施設において実施することで、教習所における高齢者講習の実施枠の拡大を図ってまいりました。
 昨年五月には、江東運転免許試験場、十月には警視庁滝野川庁舎においても認知機能検査を新たに実施したところであり、本年四月中には、八王子市内の警察施設においても開始をする予定であります。
 これらの取り組みにより、本年四月以降は、全ての対象者に対する認知機能検査を警察施設で実施できる体制が整う予定であります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。
 初めに、子供の競技観戦における安全対策についてでございますが、競技観戦はオリンピック・パラリンピック教育の一環として行うものでございまして、安全を第一優先に実施してまいります。
 そのため、都教育委員会は、ラストマイルの混雑緩和を図ることを目的として、一般客の来場が集中する時間帯を避け、学校ごとに時間差を設けて入退場できるよう割り振りを行うことといたします。
 また、会場への動線や救護所の所在等を含む、観戦に係る情報を引率者向けに解説をした観戦の手引を配布し、全校対象の説明会を実施するなど、学校の安全な引率体制を支援してまいります。
 さらに、区市町村が行う会場近辺までのバス移動につきましては、利用希望の状況を把握し、駐停車場の確保等に向けて、引き続き関係機関と調整を図ってまいります。
 次に、会場内の暑さ対策についてでございますが、競技観戦に当たり、暑さの影響を受けやすい低年齢の子供に対しては、原則として暑さの和らぐパラリンピック期間の屋内競技を割り当てることとしております。
 また、引率教員が会場内の動線や救護所などを確認することができる機会を事前に設定をいたしまして、子供たちの安全な引率に向けた準備を着実に行ってまいります。
 観戦当日は、子供専用のクールスポットを設置し、入場前に涼む場とするとともに、競技観戦中、ぐあいが悪くなった子供の休憩場所としても活用いたします。さらに、熱中症を予防するため、一人一人に暑さ対策グッズと飲料水を配布することといたしております。
 こうした取り組みを着実に進め、関係機関と連携を図りながら、暑さ対策のより一層の徹底を図ってまいります。
 次に、学校の体育館等の空調設置についてでございますが、学校体育館等は、児童生徒が日常的に活動する場でありますとともに、非常災害時には避難所等としての役割も果たしますことから、安全性の確保や防災機能の強化への取り組みを促進させることが重要でございます。
 都立高校の体育館につきましては、昨年夏までに二十校で整備を完了しており、本年夏までにさらに百校程度における整備完了を目指し、現在、導入機種や設置場所の確認等の準備を進めております。
 一方、区市町村立小中学校には、令和三年度末までを事業期間とした計画的な整備に対し、着実な支援を実施しているところでございます。
 都教育委員会は今後、区市町村がこれまでの整備計画に、新たな学校体育館等を加えて空調設置する場合にも整備が行えるよう、具体的な対応策を検討してまいります。
 次に、教職員向けのパワーハラスメント相談についてでございますが、学校において、ハラスメントはあってはならないことでございます。悩みを抱える教職員がいつでも安心して相談できる環境を整備し、早期に対応することが重要となります。
 現在、都内公立学校では、各学校の校長や副校長が相談に応じるほか、各教育委員会に設置されている相談窓口等におきましても、来所や電話により相談を受け付けております。
 今後は、都教育委員会におきまして、さらに相談しやすい環境を整えるため、令和二年度から全ての公立学校教職員を対象といたしまして、電子メールによる相談受け付けを開始いたします。受け付けた相談につきましては、区市町村教育委員会等と情報共有し、事情を丁寧に聞き取った上で、早期解決に向けて適切に対応してまいります。
 最後に、学校におけるパワーハラスメントに係る調査についてでございますが、パワーハラスメント対策に当たりましては、教職員の状況を把握した上で、その結果を未然防止や問題解決の取り組みに生かすことが重要でございます。
 都教育委員会ではこれまでも、区市町村教育委員会に対して相談窓口設置を初めとした対応策の強化を促しますとともに、教職員向けに啓発資料を作成するなど、あらゆる機会を通して対策を進めてまいりました。
 こうした取り組みに加えまして、今後、都教育委員会では、教職員のパワーハラスメントに関する実態及び意識や捉え方等について調査を実施することで、教職員の意識啓発を図りますとともに、調査結果を活用し、各職層向けの研修や相談体制を充実するなど、パワーハラスメントの防止と解決に努めてまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密対策についてでございますが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化に取り組んでまいりました。その取り組みをさらに進めるため、先月、推進計画の基本方針の改定案を取りまとめ、不燃化特区制度のさらなる活用に加え、無接道敷地での建てかえの促進や高齢者の住みかえの円滑化など、一歩踏み込んだ取り組みを新たに展開していくことといたしました。今年度末を目途に基本方針を定めるとともに、来年度に整備プログラムを取りまとめてまいります。
 今後、区に対し、新たに各整備地域内の不燃化の現状や将来の見通しなどを詳細に示した地域別カルテを提供するとともに、目標達成に向けて強化すべき事業の実施などを促して、地区ごとの特性に応じた実効性のある取り組みの展開につなげてまいります。
 次に、新しいステージに立った木密対策についてでございます。
 都内に約八千六百ヘクタール存在する木密地域の改善に当たりましては、改善後の魅力的なまち並みの将来像を描くことが重要であり、都は、基本方針案におきまして、地域特性を生かしたまち並みづくりを促進する考え方を示しました。
 この考えを早期に具体化するために、都は、計画の改定に先立ち、来年度から防災性の向上とあわせて、地域特性を生かしたまち並みづくりのモデル的な取り組みを行う区への支援を新たに開始いたします。
 また、商店街など地域の持続的な発展のため、建てかえや事業継続の際に、経営面での課題等に対応できる専門家を派遣するなど、ソフト面の支援においても関係部局とより密接に連携してまいります。
 こうした取り組みにより、災害の脅威から都民を守る強靭で美しい東京を実現してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、多胎児を育てる家庭への支援についてでありますが、多胎児を育てる家庭は、同時に二人以上の育児をすることに伴うさまざまな困難に直面する場合も少なくございません。
 そのため、都は来年度から、多胎児家庭に対しまして、予防接種や乳幼児健診など、母子保健事業を利用する際の移動経費の支援、家事、育児や外出時の支援を行うサポーターの派遣、ベビーシッターを活用した一時預かり等の支援のほか、多胎育児の経験者との交流会等を行う区市町村の取り組みへの支援を開始いたします。
 多くの多胎児家庭にこれらの支援が届き、負担軽減を実感していただけるよう、区市町村に対しまして早期の事業実施に向けて積極的に働きかけるとともに、申請方法の工夫など利便性への配慮についても求めてまいります。
 次に、治療により免疫が消失した方の再接種についてでありますが、予防接種の実施に当たりましては、使用するワクチンの有効性や安全性が確認されていることが重要であり、都は、昨年から国に対し、再接種の扱いについて、安全性や有効性の観点から必要な検討を進め、早期に考え方を示すよう提案要求を行っております。
 国は現在、再接種の定期接種化に関し、対象となる方への支援のあり方や接種の努力義務についての考え方、接種年齢など、さまざまな観点から検討を行っており、都は国に対して、引き続き早期に考え方を示すよう求めてまいります。
 また、既に再接種に関して助成を行っている区市町村に対して、来年度から都としても支援を開始し、治療後の再接種を行う方々の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 次に、災害拠点連携病院の機能強化についてでありますが、災害拠点連携病院は、大規模災害発生時に災害拠点病院を補完し、主に中等症患者または容体の安定した重症患者の収容等を行う役割を担っております。
 近年の大規模化、多様化する自然災害の状況を踏まえ、都は、災害拠点連携病院がより円滑に多数の傷病者を受け入れられるよう、来年度から新たにBCPの策定や待合室等での医療処置に使用する医療用ガス配管の整備などへの支援を実施いたします。
 また、長時間にわたる停電時においても病院機能を維持できるよう、可搬型発電機等の資器材や自家発電機、移動電源車からの給電を可能とする電源接続盤の整備を支援するとともに、都におきましても移動電源車の確保を図るなど、災害時の医療提供体制の強化を進めてまいります。
 最後に、病院の自家発電機への燃料供給についてでありますが、現在、多くの病院では、災害時に備え、重油などの液体燃料を使用する自家発電機を導入しておりますが、一部の病院では、地震にも強いとされる中圧ガス管を敷設し、自家発電機に都市ガスを供給する方式を導入しております。
 ご指摘の中圧ガス管を活用した燃料供給は、安定的な供給を確保する上で重要な課題と受けとめており、病院で導入した事例を把握するとともに、ガス事業者から情報収集を行ってまいります。
 今後は、ガス事業者から得た情報や自家発電機の燃料確保に係るさまざまな取り組み事例につきまして、防災訓練説明会等の機会を活用し紹介するなど、病院がそれぞれの土地や建物の強度などに応じて、災害時に備えた体制を整備できるよう支援してまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 双子用ベビーカーのバスへの乗車についてでございますが、双子用ベビーカーを利用されているお客様より、ベビーカーにお子様を乗せたままバスに乗車させてほしいとの声が寄せられている一方、その際の安全性につきましてはいまだ確認されていないことから、交通局では、国土交通省に検証を行うよう申し入れてまいりました。
 これを受けまして、子育て関連団体等も参加した国の実証実験が行われることとなり、交通局では、営業所の敷地や車両を提供するなど、必要な協力を行ったところでございます。
 現在、国土交通省が試験結果を踏まえまして、学識経験者等の意見も聞きながら、安全にご乗車いただくための統一的なルールを取りまとめていると聞いておりまして、交通局といたしましても、事業者としての知見を提供するなど、引き続き積極的に協力してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不育症と仕事の両立への支援についてですが、不育症は、検査、治療に時間を要し、本人の体力的な負担も大きいことから、不妊症と同様に、その治療と仕事が両立するよう、職場の環境整備や理解の促進を図ることが重要でございます。
 このため、都は、不妊治療と仕事の両立を図る休暇制度を整備する企業への奨励金について、来年度から、不育症のための制度整備も対象に加え、奨励金を十万円加算するとともに、支援企業の規模を拡大いたします。
 さらに、不育症に対する都民や企業の理解促進に向けて、女性活躍を進めるイベントのほか、トレインチャンネルやSNSを活用して普及啓発を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、不育症の方が検査や治療を受けながら仕事を続けられる環境づくりを進めてまいります。
 次に、中小企業の工場等における5Gの活用についてですが、5Gは工場における機器類のリアルタイムでの一元的管理などに活用することで、ものづくり分野での生産性を飛躍的に向上させる可能性がございます。
 こうした中、多くの中小企業にその活用を促していくためには、導入モデルを示して、そのメリットを実感できるようにすることが重要となっております。
 こうしたことから、都は来年度、モデル企業を創出するため、自社工場に5Gを先駆的に導入する中小企業に対しまして、無線設備の整備等に必要な経費の五分の四を最長三年にわたり、一億二千万円を上限に支援いたします。
 あわせて、モデル企業での導入成果を積極的に情報発信し、中小企業の5G導入による生産性の向上等を促進してまいります。
 最後に、5Gを活用するスタートアップへの支援についてですが、経済のグローバル化や高齢化等に伴い東京が直面する課題を解決するためには、5Gを活用した新たなビジネスを生み出すスタートアップへの支援が重要でございます。
 このため、都は来年度、5Gの通信環境を提供できる大手キャリアと連携し、スタートアップ支援の新たなプロジェクトを開始いたします。プロジェクトでは、都が医療や福祉などの課題を示して選定した複数のコーディネーターを通じて、有望なスタートアップを掘り起こし、大手キャリアの協力のもと、都を中心に三者が一体となり開発支援を行うこととしております。
 スタートアップによる5Gの技術を活用した製品、サービスの創出を加速し、誰もが快適で質の高い生活を送れる東京を実現してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 犯罪被害者等への転居費用の助成についてでございますが、有識者懇談会の議論や実態調査等により、自宅が殺人事件の現場となった場合や、性犯罪事件において、自宅を知る加害者からさらなる被害を受けるおそれがある場合等、被害者が自宅に住み続けられない状況に置かれているにもかかわらず、転居費用を捻出できない例が少なくないという実態が明らかになりました。
 このため、都は、都道府県として初めて、被害者等が転居を余儀なくされる際に必要となる費用の助成制度を導入することとし、殺人、性犯罪等身体犯の被害者及びそのご家族に対し、二十万円を上限に転居費用の実費を支給することといたします。
 これにより、犯罪被害者等が安心して住める住居を確保し、速やかに生活再建ができるよう支援してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ライブサイトの暑さ対策についてでございますが、屋外の会場におきましては、水分補給を適切に行うこととともに、外部からも体を冷やすことは有効でございます。
 これまでも、都ではさまざまなイベントにおいて暑さ対策に取り組み、昨年夏のテストイベントでは、冷風機やミストシャワー等を設置したほか、過去大会時のライブサイトにおいては、大会パートナーの協力による水遊びコーナー等を設けたところでございます。
 二〇二〇大会時には、多くの観客でにぎわうことが見込まれます大規模会場にミストシャワーを設置するほか、全ての野外会場で携行型ミストを導入するなど、幅広い対応を検討いたします。
 引き続き、さまざまな主体の協力も得ながら、誰もが安心してライブサイトを楽しめることができるよう取り組んでまいります。
 次に、大会の記憶を伝える施設についてでございますが、メダルや聖火リレーのトーチ等の記念品や記録等のアーカイブ資産を、大会を象徴する資産として将来に引き継いでいくことは重要であります。
 こうした資産を保存、展示し、大会の感動と興奮を分かち合うことはもとより、大会を契機に取り組んできた持続可能性や東京の文化の発信など、開催都市としての多様な施策をレガシーとしてさまざまな場面で都民等へ発信してまいります。特に、パラリンピックを契機としたパラスポーツの振興等の取り組みを効果的に伝える展示等を検討いたします。
 今後、都におけるアーカイブ資産の展示のあり方について、多くの方に魅力を感じていただけるよう、スポーツ関連の都有施設の活用なども含め、JOC等関係機関との調整のもと、具体的に検討し、方針を策定してまいります。
 最後に、大会経費における財政面での対応についてでございます。
 大会経費につきましては、これまでも、都立新規恒久施設の整備費用の削減や、組織委員会と連携してIOCに要件緩和を求めるなど、経費の縮減に取り組むとともに、組織委員会に対しては、増収努力を行い、収入確保を図るよう求めてまいりました。
 そうした中で、大会経費V4においては、組織委員会の増収が図られ、これを財源として、今後予期せずに発生し得る事態等に対処するため、予備費が計上されております。
 今後、大会が間近に迫る中で、安全・安心を確保し、大会を成功させていくためには、こうしたことを踏まえ、引き続き、コスト管理や執行統制を行うとともに、状況に応じて機動的な対応が図れるよう、組織委員会とともに取り組んでいく必要があると考えております。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の地方独立行政法人化についてでございますが、都立病院は、感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療等を着実に提供し、都民の生命と健康を守る使命を果たし続けていかなければなりません。
 そのためには、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が深刻化していく中でも、医療環境の変化や都民ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる病院運営を実現することが必要不可欠でございます。
 こうしたことから、都立病院はこれまでも、都民の医療ニーズに対応するため、地方自治法や地方公務員法等の範囲内においてさまざまな工夫を凝らし、医療提供体制の強化や患者サービスの充実に取り組んでまいりました。
 しかし、現行の経営形態には法令等の制度的制約があり、医療ニーズの変化に応じたタイムリーな人材確保の面や、設備整備の面で機動的な対応が困難な状況にございます。
 行政的医療等を着実に提供し続けるためには、こうした制度的制約を一体的に解決しなければならないことから、地方独立行政法人が最もふさわしい経営形態であると判断いたしました。
 医療環境の変化に確実に対応できるよう、地方独立行政法人への移行に向け、準備を着実に進めてまいります。
 次に、人材確保の課題と解決策についてでございますが、現行の経営形態では、人員は毎年度の要求、調整を経て、東京都職員定数条例により年度末に次年度の定数が決定されるため、医療ニーズに機動的に対応した人材確保が困難であり、職員を配置するまでタイムラグが生じております。
 例えば、二年に一度行われる診療報酬改定において、民間医療機関等が改定時期に合わせて人員体制の整備を図るところ、現在は、診療報酬が改定された年度に人員増を要求し、翌年度に定数措置がなされるため、採用選考を経て実際に職員が配置されるまでに、診療報酬改定から約一年を要しているのが現状でございます。
 また、薬剤師など職種によりましては、定数措置された年度の採用選考となりますことから、配置されるまでにさらなる時間を要しておりまして、新たな体制での診療を迅速に行えないケースが生じております。
 地方独立行政法人化することで、より柔軟な人員配置や、医療現場の実情に合った勤務制度の構築など今以上に働きやすい勤務環境の整備等により、機動的な人材確保が可能となるため、今後、その仕組みの具体化を進めてまいります。
 最後に、医療機器整備の課題と解決策についてでございますが、現行の経営形態では、予算は、地方自治法による予算単年度主義のルールのもと、定数と同様に、毎年度の要求、調整を経て、議会の議決により次年度の予算が決定されております。
 このため、医療ニーズに対応した迅速な医療機器の整備が困難でございまして、設置までに一定の期間を要しております。
 例えば、手術用支援ロボットなど高額医療機器を導入する場合、定められた時期に導入費用の予算要求手続を行い、予算措置の裏づけのもと、翌年度に契約手続を行っております。結果的に、予算要求から機器が設置されるまで一年以上を要しているのが現状でございまして、医療ニーズへの迅速な対応が困難となっております。
 地方独立行政法人化することで、中期計画の範囲内での整備時期の変更や、年度をまたぐ契約手続を柔軟、機動的に行うこと等が可能となるため、今後、具体的な制度設計を進めてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、セーフティーネット住宅の登録促進についてでございますが、登録の促進に当たっては、貸し主や不動産事業者の登録に向けた協力を促すため、インセンティブの付与など、効果的な施策が必要でございます。
 都は来年度から、空き家等の専用住宅への登録を条件に、貸し主や事業者に対し、それぞれ一戸当たり五万円の報奨金を交付する制度を開始する予定でございます。
 本制度の適正な運用を図るため、都の居住支援協議会の構成員である不動産団体への所属や、居住支援法人との連携を報奨金の申請条件とすることなど、信頼性の高い事業者等に利用されるような仕組みとしてまいります。
 今後、貸し主の不安を軽減するための施策とあわせ、本制度を積極的に展開していくことにより、セーフティーネット住宅の登録をさらに促進してまいります。
 次に、住宅セーフティーネット制度の周知についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保するためには、制度の認知度向上を図り、都民の理解を深め、制度が活用されやすい環境を整備することが重要でございます。
 都は、わかりやすいパンフレット等を作成し、不動産団体等の協力を得て周知を図るとともに、区市町村に補助制度導入を促しております。特に、貸し主には広報東京都で登録メリットを解説するなど、登録意欲の向上を図っております。
 今後は、先行する自治体の取り組み事例の紹介等、区市町村への働きかけを効果的に行ってまいります。また、住生活月間等のイベントも活用するとともに、SNSや広報誌等さまざまな媒体において、都独自につけたセーフティーネット住宅の愛称、東京ささエール住宅を用いたPRを展開するなど、都民向け広報をさらに充実させてまいります。
 次に、都営住宅の浴室の設備更新についてでございますが、これまで都は、建てかえや空き家修繕の際に浴室設備を更新してまいりましたが、それ以前から居住者が住み続けている住戸では、いまだに更新が済んでいないものが残っております。
 このため、居住中の住戸につきましても、浴室設備を都設置に切りかえる事業を来年度から試行いたします。事業を計画的、効果的に進めるため、建てかえ対象ではない、昭和五十年代及び耐震改修済みの昭和四十年代の住棟のうち、バリアフリー化された、またぎの低い浴槽の設置が可能な住棟を対象に、都による更新を行います。
 あわせて、故障した浴室設備につきましても、当面は優先順位を設け、住戸ごとに都による更新を行います。
 今後、試行結果を検証した上で、居住者が設置した浴室設備の更新に努めてまいります。
 次に、都営住宅の東京みんなでサロンについてでございますが、世帯の高齢化、単身化が進む都営住宅において、居住者や地域の方々が食事等を楽しみながら交流を深める東京みんなでサロンは、地域コミュニティの活性化や、緩やかな見守りの実現に資するものでございます。
 実施に当たりましては、地域活動を担う団体や社会貢献事業に取り組む民間事業者などが行っているコミュニティ活性化の取り組みを生かして、それぞれの地域の実情に合わせた居場所づくりにつながるよう工夫を凝らし、早期にモデル事業を開始いたします。
 今後、地元区市等との連携を図り、お話のフレイル対策に資するイベント等も積極的に取り入れながら、東京みんなでサロンを展開してまいります。
 最後に、都営住宅における買い物弱者対策についてでございますが、都営住宅において、団地内、または近隣の店舗等の閉店等により買い物をする場所がなくなり、高齢の居住者等が不便を感じている団地もございます。
 このため、居住者の日常生活の利便性向上とコミュニティの活性化のため、地元自治体と連携して移動販売を実施しており、今後も、移動販売サービスの周知や地元自治体への働きかけなどにより、拡大を推進してまいります。
 お話のコンビニエンスストア等の店舗の設置につきましては、店舗事業の採算性、公有財産上の取り扱いなど課題がございますが、都営住宅における地域の居場所づくりを検討していく中で、今後重要となる買い物弱者への支援の観点も含め、事業者ヒアリング等の調査を行ってまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、移動サービスに係る実証と成果についてでございますが、MaaSにより移動の利便性の向上を図るためには、地域特性を踏まえて、さまざまな移動サービスを組み合わせることが重要でございます。こうした認識のもと、今年度、都は、臨海副都心エリア及び竹芝エリアにおきまして、相乗り移動サービスを取り入れた実証実験を実施したところでございます。
 この実証実験の実施者からは、来街者の回遊性を向上させるための新たな移動サービスとして非常に有効であると、そういった評価をいただいており、利用者からも、具体的な感想といたしまして、これまで勝どきからお台場まで行きにくかったところであるが、座れて行けるようになって便利であった等の好意的な声をいただいております。
 今回の実証実験は、無料で移動サービスを提供しニーズを把握すること等に力点を置いておりますが、今後は、料金設定等、ビジネスとして成立する条件の整理が課題になってくるものと考えております。
 次に、交通不便地域における移動サービスについてでございますが、今後、都内では、人口減少や路線バス、タクシーの運転者不足による移動サービス水準の低下、これが懸念されておりまして、特にご指摘のように交通不便地域におきましては、移動手段の確保が求められているものでございます。
 こうした状況において、MaaSの社会実装による新たな移動サービスの提供を都が支援していくこと、これは重要であると考えております。
 今後は、現在国が検討しているタクシーの相乗り制度、あるいは将来実用化が見込まれる自動運転システム等の活用を含めまして、交通不便地域における新しい移動サービスを取り入れたMaaSの社会実装モデルを早期に構築し、普及を図ってまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 多摩地域を流れる河川の強化についてでございますが、台風第十九号で被災した多摩の河川につきましては、護岸崩壊箇所の出水期までの本復旧に加え、各河川の特性を踏まえ、安全性の早期向上を図ることが重要でございます。
 このため、溢水が発生した南浅川を初め七河川では、河道の蛇行区間や狭あい箇所等を把握する調査に着手しており、その結果を踏まえ、局所改良によるボトルネック解消や湾曲部の護岸の強化に取り組んでまいります。
 また、洪水時の川の流れに支障がないよう、樹木の伐採や堆積土砂のしゅんせつを適切に実施いたします。さらに、多摩川などを管理する国に対しまして、洪水処理能力向上のため、河道掘削などの推進を求めてまいります。
 今後、多摩地域を流れる河川のさらなる安全性向上に向け、着実に取り組んでまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、ユニバーサルデザインタクシーへの車椅子の乗降についてでございますが、国は、車椅子利用者に対する乗車拒否は、道路運送法に違反するものであり、厳正に対処することを業界団体へ通知しております。また、メーカーでは、スロープの設置が容易になるよう改善を行っているところでございます。
 都は今年度より、乗務員が車椅子利用者のスムーズな乗降支援方法を学ぶ認証機関による研修の修了と、定期的な社内研修の実施を補助条件に追加いたしました。
 今後とも、補助申請受付時に実施している研修修了の確認を確実に行うとともに、国や業界団体とも連携して社内研修の実施状況を適切に把握し、必要に応じて改善を求めてまいります。
 次に、ゼロエミッション東京戦略の進捗状況の公表と取り組みの見直しについてでございますが、気候危機に立ち向かうためには、戦略に基づき、一つ一つの政策を着実かつスピード感を持って実行していくことが重要と認識しております。
 このため、毎年度、戦略に掲げる目標や取り組みの進捗状況等を把握し、報告書として取りまとめ、公開、周知することで、都民や事業者などの理解と行動を促進いたします。
 また、環境審議会等の専門家の意見もお聞きしながら、進捗状況を多角的に分析、検証し、時期を逸することなく見直し等を検討いたします。
 今後、PDCAサイクルの持続的な取り組みにより、目標や施策のバージョンアップを図りながら、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 防犯カメラの維持管理費負担の軽減についてでありますが、地域の防犯力の向上のためには、多くの防犯ボランティア人材を育成するとともに、町会、自治会、商店街等による防犯カメラの設置を促進するなど、多様な見守りの目をふやしていくことが効果的であります。
 都はこれまでも、町会、自治会、商店街等に対し防犯カメラ設置費用などの一部を補助してまいりました。
 これに加え、来年度は、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会、自治会、商店街等の負担を軽減するため、お話の電気料金や共架料などの経費の一部について新たに補助を実施いたします。
 今後とも、犯罪が起こりにくく、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指し、区市町村と連携しながら、地域の安全・安心の取り組みを積極的に支援してまいります。

○副議長(橘正剛君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十五分休憩

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