令和二年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十六番増子ひろき君。
〔百十六番増子ひろき君登壇〕

○百十六番(増子ひろき君) 令和二年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び警視総監、教育長、都技監、関係局長に質問します。
 質問に先立ち、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、罹患された皆様に心よりお見舞いと一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
 いよいよ本年は東京二〇二〇大会が開催されます。都は、大会準備の総仕上げを行い、大会の成功に向けて万全な対応を進めなければなりません。あわせて、私たちは、大会後の東京、そして日本全体のあるべき姿を描き出し、東京二〇二〇大会をきっかけに、その実現に向けた歩みを加速させる責務を有しています。
 現在の東京は成熟の局面にある一方で、人口減少、少子高齢化、日本経済の国際競争力の低下、世界規模での地球温暖化など歴史的な転換点に直面しています。それに伴い、年功序列、終身雇用等に代表される従来の人生モデルも揺らぎ、価値観の多様化が進んでいます。
 一つの正解がない現在に求められるのは、多様な生き方を包摂し、都民一人一人の人が最大限力を発揮できる環境を整え、多様性を都市の成長につなげていくことです。そのためには、未来を見据えた戦略的な投資と無駄を省くめり張りのきいた財政運営を欠かすことができません。
 小池知事は自身の給料半減を継続されています。また、事業評価による四年間での財源確保額は三千五百億円以上に上ります。加えて、更新費用二千億円超と見込まれた工業用水道の廃止、都立施設の見直しによる約四百億円を初めとする東京二〇二〇大会経費の削減、マラソン、競歩の札幌移転に伴う都の経費負担ゼロの確保など、都民からお預かりしている税金のワイズスペンディングが徹底されています。
 しかし、先日、都が公表した財政収支の長期推計でも、都の財政の見通しは決して楽観視できるものではなく、また、国による不合理な都税収奪も繰り返されています。
 そして、都民の安全・安心を守るために、予測できない事態に対して迅速な対応が求められる場面もあります。小池知事は本定例会に先立ち、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、四百一億円の補正予算を編成し、都民の安全・安心の確保を目指すと表明しました。この補正予算に先立ち、私たちは小池知事に対し、検査体制の強化や中小企業支援など都民の不安払拭に向けた要望を三度にわたり行いました。これらの要望が反映された本補正予算が都民の不安払拭に貢献することが期待されます。
 東京が歴史的転換点を迎えている中、令和二年度予算案は東京二〇二〇大会の成功と大会後の東京における人と都市の姿を描き出し、その実現に向けた歩みを加速させるものである必要がありますが、本予算案の基本的な考え方について知事の見解を伺うとともに、今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案の基本的な考え方についてもあわせて伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 都内、国内においても感染者が日増しに増大していることに鑑み、感染の拡大抑止と感染した方への適切な治療といった両面の対策が求められています。
 感染拡大の抑止策としては、感染の疑いを持った方がちゅうちょなく相談でき、必要と認められた方が検査できる体制づくりが急務です。規模拡大のためには、民間の検査機関との連携強化をも視野に入れることが必要です。
 また、医療の現場における適切な情報共有も極めて重要です。医師会などと連携し、感染症に対する基本的な対応方法を簡易な動画にまとめるなどして、医療関係者が閲覧、確認できる方策も検討すべきと考えます。
 感染症に罹患した疑いを持った方が相談、検査を受けられる体制の充実、そして国、民間を含めた医療機関、受入体制の連携体制の確立や医療機関における基本的な対応方針の周知徹底など、感染者を受け入れる医療体制の強化が急務と考えますが、本日の対策会議を含め、都における新型コロナウイルス感染症対策についての知事の見解を伺います。
 なお、現在、都内全域でマスクなどの感染防止に資する資源が不足しています。東京マラソンを初め、都が関係する行事の延期、中止に当たっては、これらの資源の都民への提供など、都民の感染防止に役立つよう利用することの検討も求めておきます。
 新型コロナウイルスによる産業への影響の視点も欠かすことができません。感染症の不安を経済的な不安に拡大させないためにも、事業活動に影響を受けた中小企業への融資や観光産業にかかわる区市町村への支援が重要です。
 加えて、人混みによる感染拡大を防ぐ面で、これまで都が働き方改革、通勤混雑解消の観点から強力に取り組んできたテレワーク、時差出勤の意義が改めて注目されています。災害、感染症の際に事業活動を適切に継続する観点からも、テレワークの導入に向けた支援と都内企業への呼びかけが必要です。
 都内中小企業や観光産業への支援、そして都民の安全を守るためにも有益なテレワークの普及を一層強力に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策については、刻一刻と事態が急転し、今なお関係者の負担は甚大であると理解しています。感染症対策に当たられている都庁職員を含む関係者の皆様に心から敬意を表します。私たちも引き続き、都民の立場に立って対策に必要な提言、行動を行っていく所存です。
 子育て支援、女性活躍について伺います。
 私たちは、都の長期戦略への提言において、多様性を都市の成長につなげる取り組み、都市のデジタル化、都市と自然との融合を掲げ、合理的根拠に基づくEBPMの考え方で戦略を絶えず見直す視点を示しました。今回公表された戦略ビジョンでは、私たちの提案が数多く反映されていることを評価します。今後は、この戦略ビジョンを実現していくための具体的な政策や体制の構築が重要です。
 例えば、将来的な合計特殊出生率二・〇七とした目標に対して、仮称チーム二・〇七プロジェクトを立ち上げるとのことですが、抜本的な課題解決のためには、海外の事例も研究した上で、過去の政策の延長にとどまらない大胆な取り組みに挑戦し、政策の効果検証をしながら優先順位をつけて政策資源を投入していかなければなりません。
 合計特殊出生率二・〇七という意欲的な目標を含め、未来の東京戦略ビジョンの実現に向けた取り組みを今後一層具体化する必要がありますが、今後の長期戦略の策定及びその実現に向けた知事の見解を伺います。
 少子化を克服し、合計特殊出生率二・〇七を達成していくためには、安心して妊娠、出産、子育てができる環境を整備することが急務です。
 育児のプレッシャーを和らげる産後ケアの重要性は、東京都医師会、助産師会を初めとする多くの方からご指摘をいただいており、また、児童虐待死はゼロ歳が最も多く、産後の母親への支援は児童虐待防止の観点からも重要です。さらに、母子の状態把握を一層定期的に行うことの重要性や、子育ての負担が特に大きい多胎児初め多子世帯への配慮も強く訴えてきました。
 都が私たちの要望を受けて、これまで行ってきたゆりかご・とうきょう事業を継続、拡充し、とうきょうママパパ応援事業を新設したことは極めて重要です。
 より一層子育てがしやすい東京の実現に向け、これまで評価されてきた産前の取り組みの継続に加え、区市町村ごとの取り組みにばらつきが多い産後ケアの充実、多胎児初め多子世帯の支援強化、母子の状態把握を定期的に確認する取り組みの強化などにより、妊娠、出産、子育てに対する切れ目のない支援を一層強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 小池知事就任以来の待機児童対策の結果として、昨年四月一日現在の都内の待機児童数は、一昨年に比べて保育所等の利用申し込み数が大きく増加したにもかかわらず、四半世紀ぶりの水準となる三千六百九十人と公表されました。区市町村や保育事業者の方々とともに着実に進めてきた小池都政の非常に大きな成果であり、施策をさらに加速させる必要があります。
 一方、育児や働き方など家庭環境が多様化する中で、ベビーシッターの利用への期待の声は大きく、制度の使い勝手を一層向上させ、保育所だけでは対応できない育児の選択肢を補完するべきです。
 このようにベビーシッターに対する社会的期待が高まる中で、都からも繰り返し強く税制改正を求めていると理解していますが、都による助成を雑所得として課税する国の現在の税制は、残念ながら極めて不合理といわざるを得ません。
 待機児童対策の視点に加えて、子育て家庭のさまざまなニーズに応えながら、育児支援の選択肢としてベビーシッターの利用がさらに拡大するように、より使いやすい制度とすべきですが、知事の見解を伺います。
 保育の待機児童に合わせて、小一の壁といわれているように、保育所から小学校に上がった子供たちの放課後の居場所の充実が引き続き求められています。
 私たちは、さまざまな機会を捉えて学童クラブの充実について質問し、要望してきました。都は国に上乗せする形で、学童クラブの整備や都型学童クラブ事業に補助を行い、量の確保と質の向上を図ってきており、知事就任以降九千人以上登録者が増加しています。今後は、働く保護者のニーズに合わせ、午後七時以降まで開設する学童クラブを一層ふやすとともに、子供たちが放課後の時間を過ごす場としてのさらなる質の担保も重要です。
 都は、学童クラブの利用者枠をふやし、同時に質の拡充にさらに力を入れるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちが独自に実施した都民アンケート調査によると、子供が二人以上いる家庭の四割以上が多子世帯への財政支援が少子化対策に必要だと回答しています。私たちは国の幼児教育無償化に当たり、保育料における多子世帯支援を求め、都独自の支援が実施、実現されています。加えて、私たちの東京都長期戦略への提言では、一層の多子世帯支援を求めたところです。
 子育ての負担軽減に関しては、保育のみならず、教育の経済的負担の軽減も極めて重要です。
 私たちは令和元年第二回定例会の代表質問で、国の就学支援金の支給額の上限引き上げに合わせたタイミングで、私立学校の実質無償化の制度見直しを求めました。このたび、授業料負担軽減の対象世帯が都立高校と同じ年収約九百十万円未満に引き上げられ、公私間格差の是正が前進したことは重要ですが、少子化対策の観点からは、教育費に関する多子世帯への支援を強化する必要があります。また、こうした保護者負担軽減制度について、多くの都民に周知し活用を促すこともまた重要です。
 私立、都立の双方において、多子世帯における教育費の軽減を強力に推進するとともに、制度の周知を徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、多子世帯とは第三子以降がいる世帯に限られるものではなく、第二子がいる世帯も含まれるべきという点を指摘しておきます。
 また、教育の負担軽減には一層取り組むべきである一方で、幼児教育、保育の無償化の際にも一部指摘がなされた不合理な授業料の値上げの防止策なども、あわせて求めておきます。
 東京の離婚率は一・七〇で、全国平均を常に上回っており、平成三十年に親が離婚した二十歳未満の子供は、都内で一万七千四百六十五人いますが、養育費が支払われない事例が多く、ひとり親家庭の貧困率は約五〇%程度といわれ、大変厳しい状況にあります。
 都はこれまでも、ひとり親家庭支援センターにおける支援などに取り組んできましたが、これまで私たちが当事者から切実な声をいただいて都に求めてきたとおり、子供の利益を第一に考え、また、ひとり親家庭の貧困問題の実態に対応する上でも、養育費の確保には一歩踏み込んだ施策展開が求められます。
 都として、都内自治体と連携しながら、子供の養育費の確保のための施策展開をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国は昨年、女性活躍推進法を改正し、女性活躍の行動計画の策定義務を従業員百一人以上の中小企業に拡大することとしていますが、ノウハウを持たない中小企業が実効性のある計画づくりに取り組めるよう、きめ細かく支援することが必要です。
 私たちの女性活躍推進本部は、昨年二度にわたって行った女性のための政策要望の中で、女性就労者に対する待遇の改善をより多くの事業者に対して促すために、中小企業全体の実に四割が利用している制度融資のインセンティブを付与するなど、制度融資の活用を求めてきました。
 都は一層の女性活躍に向けて、中小企業が女性活躍推進に取り組めるよう行動計画の策定を支援するとともに、中小企業に対する制度融資を活用するなど、より多くの企業に対して影響力のある経営的なインセンティブを検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 未来を担う人の教育こそ、東京の成長に欠かすことはできないものです。昨年末に発表された未来の東京戦略ビジョンでは、人に着目し、人が輝く東京をつくり上げることを目指しています。
 そのためには、急速に変化し続ける時代の中で、子供たちが笑顔で健やかに育っていけるよう教育のあり方もまた変わっていくことが求められており、ICTを活用したスマートスクールやソーシャルインクルージョンの理念を教育の場で実現し、学びの個別最適化を進めることが重要です。
 そこで、未来の東京戦略ビジョンにおいて今後検討することとされている新たな東京型教育モデルについて、どのような方向を目指していくのか、知事の見解を伺います。
 学校教育の長時間労働は長らく社会課題化しており、私たちは校務のICT化や外部人材の積極活用を求めてきました。都も出退勤管理システムの導入やスクールサポートスタッフ等の外部人材の活用、時間外労働時間の抑制等に努めてきました。
 しかしながら、過労死ラインを超える残業をする教員は依然として存在しており、特に副校長については、小学校で三割、中学校で二割強に及んでいます。都は本定例会において、学校職員の勤務時間条例を改正するとともに、規則において、時間外労働時間の上限を規定するなどの取り組みを行うとしています。
 さらに、昨年七月に設立された東京学校支援機構では、令和二年度から人材バンクや学校法律相談デスクなどの事業を開始し、学校を多角的に支援していくこととしています。
 今後、教員が児童生徒と向き合う時間をしっかりと確保できるように、学校における働き方改革に向けた取り組みを一層進めていくべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 人生百年時代に向けた対応について伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 いよいよ四月一日から東京都受動喫煙防止条例及び改正健康増進法が全面施行となります。都が先日実施した調査結果によると、実に八割以上の都民が本条例の取り組みをよい、またはややよいと積極的に評価しているとのことです。
 これまで私たちは、啓発、指導、助言等に当たる人員体制の強化や区市町村と連携した共同キャンペーンなどを求めてきましたが、昨年八月には調布市長とともに、また今月上旬には受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンの一環として港区長とともに、知事みずから飲食店を訪問し、街頭でPR活動をするという共同キャンペーンを実施しました。都内全域での一体的な機運醸成のために、私たちが訴えてきた統一イメージのためのユニホームやのぼりなども導入が開始されており、都の積極的な取り組みを評価します。
 受動喫煙対策について都条例の実効性確保に向けた今後一層の取り組みを展開すべきですが、知事の見解を伺います。
 現在、受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンとして実施されている各区市町村の取り組みのうち、好事例については、まだ取り組みがされていない他の区市町村にも広げるため、都から積極的に働きかけるよう要望します。
 二〇二五年に東京都で暮らす認知症の方の推計は約五十六万人、約六人に一人が認知症になる時代がやってきます。私たちはこうした変化に備え、認知症疾患医療センターでの相談機能充実や認知症サポーターの活動促進などのさまざまな提言を行ってきました。
 今後は、地域で認知症の方が安心して暮らせる共生社会の実現とともに、AIやビッグデータ等を活用して認知症の予防に資する取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年、第三回定例会において、私たちは高齢者及びその予備軍に対し、その後のライフプランをイメージできるよう就業、社会参加、フレイル対策、介護等に関して適切な情報提供を行うことを求め、知事から、五十代から六十代前半の都民を対象とした読本の作成に取り組んでいく旨の答弁をいただきました。
 元気高齢者の活躍、フレイル予防、介護、支援等の情報提供など、五十代から六十代前半の都民を対象としたこの読本の作成、配布を通じ、都民が健康で活力ある暮らしを送れるよう支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 人生百年時代に向け、多くの高齢者が働き続けることを希望していますが、現状では六十五歳以上の方のうち就業している方は全体の四分の一にとどまっています。中小企業などでは雇う側にノウハウがなかったり、高齢者の働きやすい環境が整備されていなかったりすることから十分に取り組めていない状況です。
 都においては、昭和五十年から行ってきているシルバー人材センターに加え、さまざまなシニア就業応援プロジェクトを進めてきました。私たちはシニアを含む全ての人たちが生き生きと働くことのできる支援と環境づくりを継続して求めてきました。
 国において、令和三年度から、企業に七十歳までの就業確保の努力義務を課すことが見込まれている中、都としても、高齢者が活躍し続けられる社会の実現に向け、高齢者の雇用が一層進むよう就業支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 前定例会において知事から、都立、公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行する方針が示されました。
 私たちは平成十八年に独立行政法人化、平成二十六年に非公務員型に移行した大阪府立病院機構を視察し、理事長初め関係者の方々と意見交換を行いました。
 そこでは、行政的医療における役割を継続的に果たしつつ、医業収入を大幅に拡大しており、質の高い経営体制の確立に取り組んでいる状況について伺うことができました。さらに、医師、看護師などの人材を柔軟かつ機動的に確保するための採用制度や、職員のモチベーションを高めるための給与体系や、研究費配分の工夫が採用されていた点も重要と認識できました。さらに、医療や現場を熟知し、改革マインドを持った理事長や病院長の人選が非常に重要であるという点も感じたところです。
 今後、都立病院、公社病院において、現場で働く職員並びに都民及び地域の医療機関等の理解を得つつ、また行政的医療を安定的に提供し続ける体制を確保しながら、独法化への準備を進めていくべきと考えますが、今後の方針について知事の見解を伺います。
 企業のみならず医療機関においても、近年の大規模化する災害、特に風水害への備えが急務となっています。
 一般的なBCPが平時と同程度の事業継続、または早期回復を目標とするのに対して、医療機関においては、負傷者の発生等によって、平時以上の医療需要に対応する医療提供体制が求められます。特に、浸水想定区域では電源喪失リスクが高まるなど、診療機能を継続するための地域特性に応じた計画の策定が重要であり、私たちは水害版BCP策定の必要性を訴えてきました。
 現在、全ての災害拠点病院でBCPが策定されていますが、災害拠点連携病院での策定率は百三十八病院のうち約六割となっています。
 そこで、全ての災害拠点病院及び災害拠点連携病院でBCPを策定するとともに、今後予測される大規模な風水害のリスクを想定した医療機能を継続できる体制の構築を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ダイバーシティーの実現に向けた取り組みについて伺います。
 昨年の第一回定例会において、私たちから制定を提案した犯罪被害者支援条例の条例案が約一年の検討を経て、いよいよ本定例会に提出されました。被害者やそのご家族の方々からも、条例の制定を心待ちにしていたとの声を多く聞いています。
 そこでまず、本条例制定を決断した知事の思いを改めて伺います。
 条例の制定を契機として、被害者等に寄り添った支援を一層進めていかなければなりません。これまでも都は支援計画のもとで、相談や精神的ケアなどを実施してきました。しかし、医療費などさまざまな費用の負担、被害現場となった住まいからの引っ越しの必要性、自分でも気づかないトラウマなど、被害者等が日常生活を取り戻すための課題はさまざまです。
 また、都内で犯罪被害に遭われた外国人が相談できる環境の不足などを指摘する声もあり、こうした生の声をしっかりと酌み取っていく必要があります。
 都は、犯罪被害者の方々に対する経済的支援の充実を求める私たちの主張を受け、新年度から見舞金の創設などに踏み切りました。
 このような支援の手をこれまでの相談対応からさらにその先へと進め、見舞金、引っ越し費用や弁護士への法律相談費用などの経済的支援を初め、被害者のさまざまな困り事の解決をサポートする取り組みを一層充実させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 昨年の第四回定例会において、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例が制定されました。本条例により、就労に困難を抱える人たちと一般の人たちがともに働く場がふえ、お互いに理解を深めながら働くことで、共生社会の実現につながることが期待されます。
 今後、ソーシャルファームを創出し、東京ひいては日本全国に根づかせていくためには、実効性ある認証基準と効果的な支援策をつくることが重要なポイントであり、これらを定める指針の早期公表が待たれるところです。
 都は、指針の策定に向けて、就労に困難を抱える人たちへの支援が全国に広がるよう、国に新たな仕組みづくりや法の制定等を検討するよう要望することも含めて多面的に議論すべきであるとともに、指針の策定に向けた現在の取り組み状況と、日本で初となる公的な認証に向けたロードマップを明らかにし、ソーシャルファームの誕生に期待を寄せる都民に示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 いわゆる就職氷河期世代は、現在三十代半ばから四十代後半に至っており、今なお不本意ながら非正規雇用の状態に置かれている方などが多く存在し、支援が必要な方が約百万人いると見込まれています。
 私たちは、就職氷河期世代を対象とした都職員の採用を求め、また都民の雇用や就業を支援するための東京しごとセンターにおける支援強化を求めてきました。
 就職氷河期世代の方々の都庁における積極的な採用を進めるとともに、企業側の採用や育成などへの取り組みを促進することにより、就職氷河期世代の正規雇用化に向けた支援を一層強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域の生活課題が複雑化する中で、地域福祉の推進に重要な役割を果たしている民生児童委員への期待は一層高まっていますが、負担感の増大や担い手不足等が大きな課題です。
 私たちは、委員活動の多様化による経済的負担が早期退任や担い手不足の一因との指摘もある中で、負担感軽減のための実費の直接支弁や、地区の協議会に対する支援を求めました。知事も一日民生委員として活動され、都も令和元年に活動費の単価の見直しや年齢要件の緩和などの活動支援に取り組んできました。
 経済的困窮やひきこもり、認知症、虐待、いじめ、不登校など、複合的な課題や子供たちを取り巻く問題に対して、民生委員、児童委員自身の知識や能力の向上がますます求められている中で、民生委員協議会が実施している視察や勉強会などの研修に参加する際の自己負担を軽減させるなど、さらなる活動支援を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を機に、多くの外国人が東京を訪れ、多文化共生意識が高まるとともに、大会関連のボランティアが誕生して、ボランティア意識が醸成され、共助社会づくりの機運も高まっています。都は、こうしたレガシーを生かし発展させるために、コミュニティの活性化を支援する新たな財団を設立する方針を明らかにしました。
 私たちは、民間の知見の活用を分野にかかわらず訴えてきましたが、特に多文化共生については、従来、東京都国際交流委員会など民間の各種団体が中心的な役割を果たしてきました。コミュニティの姿が大きく変わりつつある今、これらの民間組織とより一層連携を進める方向性は重要ですが、一方で、財団設立の意義がしっかりと検証されなければならないとともに、都民から新財団の設立が天下り先の確保ではないかとの疑念を万が一にも抱かれないようにしなければなりません。
 これまで都と民間の任意団体である東京都国際交流委員会とがNPO団体などと連携して取り組んできた実績がある中で、新たに法人を設立する意義があるのか、国際交流委員会との関係も含めて伺います。また、民間人材の登用など、適切なガバナンス体制の確保が必須と考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 仮称都民の城について伺います。
 今回示された都民の城の改修基本計画では、改修に関する概算費用が約百三十六億円とされています。都民の城は将来的には、周辺都有地との一体的活用を目指す方針が示されていますが、そこでは今回の改修費用が、将来における一体的活用においても妥当な支出と判断されるよう検討が進められる必要があります。
 都民の城の検討とそれに続く都有地一体としての長期利用を進めるに当たっての有識者会議における議論を今後どのように進めていくのか、都の見解を伺います。
 スマート東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 AI、ビッグデータなど第四次産業革命のコアとなるテクノロジーの社会実装の面で、日本は世界から大きくおくれをとっているのが現実です。首都東京は危機感を持ち、都市のスマート化において、世界のモデル都市としての地位を確立することが急務です。
 都が先般公表したスマート東京実施戦略では、電波の道でつながる東京、公共施設や都民サービスのデジタルシフト、都庁のデジタルシフトを掲げ、東京のスマート化を強力に推進するとしています。デジタル化を通じて、都民生活の向上を図るべきとする私たちのこれまでの主張と軌を一にするものであり、都の今後の取り組みに大いに期待をするところです。
 都では、5Gアンテナ基地局等の設置加速に向けて、都有地などの都が保有するアセットを通信事業者等に開放するとともに、ワンストップ窓口を創設し、利用手続の簡素化に取り組んでいます。これは全国初の取り組みであり、通信事業者からも評価されていると聞いており、都の取り組みを日本全体のスマート化につなげることが重要です。
 5Gアンテナ基地局等の設置加速において、先行する取り組みを全国の自治体へも共有していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スマート東京実現のためには、全庁を挙げて局横断的に方向性を持って進める体制と、さらには、民間事業者とのコラボレーションができる体制の構築が急務です。
 これまで私たちは、局横断的に施策を実行する権限と責任を持つチーフ・デジタル・オフィサー、CDO等の設置も求めてきましたが、民間の情報通信企業のトップとして、さまざまな主体とコラボレーションして事業を進めてきた経験をお持ちの宮坂副知事にはCDO等としての働きが期待されます。
 デジタル化を通じた都民生活の質の向上のためには、システム導入、構築やデジタル化に関する都庁各局の施策を一体的にまとめながら、民間も含めたコラボレーションを推進する必要があると考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 現在、都市全体を3Dモデル化して都市開発や課題解決に利用する取り組みが生まれており、シンガポールでは、バーチャル空間に都市全体を3Dモデルとして再現し、そのモデルに、交通情報や水位、人間の位置情報などの各種のリアルタイムデータを統合した都市のデジタルツインが形成されています。
 各インフラを整備する計画の立案や太陽光発電パネルの設置場所の検討、アクセシビリティーの改善、渋滞の解消や公共交通機関の改善といったさまざまな利用が考えられ、今後の都市運営の基盤となり得るものです。現在検討を進めている官民連携データプラットホームと連動させ、民間も広く活用できるようにしていくべきです。
 そこで、都として都市のデジタルツイン構築に取り組むとともに、3D都市モデル上でさまざまなシミュレーションなどを実施し、その結果を還元することによって社会課題の解決や政策立案に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 これまでも私たちは、学校におけるICT環境整備の充実を強く求めてきました。都では令和二年度より、TOKYOスマート・スクール・プロジェクト、すなわち教育のICT化を強力に推進することとし、先般の私たちの代表質問に対しても、都立学校におけるICT環境の整備の強化が示されました。加えて、都内でのスマートスクールの実現のためには、都立学校に加え、区市町村立学校における取り組みを支援することが必須です。
 区市町村立学校におけるICT機器の整備支援に加え、現場でICT機器の導入活用を支援する人材の確保も強化すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 5Gの普及は、都内中小企業やスタートアップにとって関連市場に参入し事業拡大を図る絶好の機会であり、シェアリングエコノミーとの連動なども期待されます。生産分野での活用によるスマート化や新たなワークスタイル創出により企業の生産性を高め、そこで働く人のクオリティー・オブ・ライフの向上にも寄与する取り組みとしても期待され、都としても積極的に後押しすべきです。
 時期を逸することなく、都が率先して産業分野や働き方の分野で5Gの活用を広げるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちの島しょ振興政策研究会では、これまであらゆる東京の島しょ部を訪れ、現地の声を伺ってきましたが、大きな課題の一つが交通の利便性です。天候等により突発的に欠航が発生することがあり、また、運航事業者ごとに季節や曜日によってダイヤが異なります。そのため、島への旅行者にとっては、実際に目的地までどのようにすれば行けるのか、また、万が一欠航になった場合にどうすればよいのか、わかりづらいのが現状です。
 MaaSといわれる移動のサービス化の大きな流れの中、島しょにおける交通も、情報を一元化するポータルサイトアプリの開発に加え、チケットレス化や予約決済のデジタル化など、さらなる取り組みを進めていくべきです。
 将来的なMaaSも念頭に、島しょ地域の交通情報をわかりやすく提供することで、来島者の利便性を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 障害があると証明したり、各種割引を受けたりするのに必要な障害者手帳ですが、現在障害者手帳は紙製です。破れやすく劣化しやすい、外出先で取り出すのに手間取るなどの不便さから、障害者手帳のカード化は当事者の長年の要望でした。四月から交付主体の都道府県や政令指定都市、中核市の判断でカード型の手帳が発行できることになりました。
 都においても、利便性の向上や耐久性の向上が期待される障害者手帳のカード化を推進するとともに、さらなる利便性向上に向け、カード化に加えて、ICTの活用、例えば、スマートフォンなどで併用できるアプリなど、さらなる利便性向上策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 稼ぐ東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 知事は施政方針において、来年度、中小企業の支援のあり方を見直し、明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業と中小企業新戦略支援事業を新たに立ち上げ、技術、サービスの高度化に取り組む企業や、市場開拓、ICT化などに取り組む業界への支援の充実を図ることを表明されました。厳しい経営環境の中、懸命に頑張っておられる中小企業の経営者、業界の皆さんの実情に寄り添ったものであり、極めて意義深いものです。
 激動する世界経済、目まぐるしく進展する技術革新、さらには、人口構造を大きく変えていく少子高齢化の進行など、中小企業を取り巻く環境が劇的に変わる中、こうした変化に適応しながら、未来志向で挑戦を続ける中小企業への支援に都はしっかりと取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国では昨年、人手不足対策として外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格の創設なども行いましたが、都内中小企業における外国人材の確保に当たっては、海外に向けて、東京で働く魅力を発信するとともに、在留資格の手続や社内体制の整備等への支援に加え、文化や言語の違い等に起因する職場のトラブルの未然防止への対応など、受け入れ後も見据えたきめ細かな支援が必要です。
 都はこれまでも、中小企業に対し、外国人の採用に関する情報提供や外国人材とのマッチングなどの支援に努めてきましたが、外国人の雇用を取り巻く環境が劇的に変化する中、これまで以上に多様な施策を展開すべきです。また、外国人労働者の現状に詳しい外部の有識者などの意見を取り入れて、より効果的な事業展開を図っていくべきと考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 地域コミュニティの重要性が改めて見直される中、その核として人と人をつなぐなど大きな鍵を握る商店街の価値に改めて光を当てていくことが必要です。
 先日、知事は施政方針において、商店街の重要性に言及し、その魅力を広く発信するために、大東京商店街まつりを開催し、地域産業の活性化を図っていくとの方針を表明されましたが、これは私たちの主張とも軌を一にするものです。
 地域の活力の源泉である商店街の活性化に向け、その魅力や役割などを広く発信していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、市場を取り巻く環境が大きく変化し、また、厳しさを増している中で、市場運営の基盤となる市場会計をより強固なものとし、持続可能な経営を可能とするとともに、海外輸出やICTの活用など、時代に即した取り組みを市場業者とともに進めていくことが重要と訴えてきました。
 市場業者による創意工夫を後押しするため、都は今年度から、中央卸売市場活性化支援事業を実施しており、市場業者からは、新たな事業を実施するきっかけとなったなどの声をいただきました。
 一方で、資金的な余裕がなかったことや、補助金審査にかける時間的な余裕がなく、補助を受けずに事業を実施した事業者もいたとのことです。
 令和二年度は、より多くの市場業者に寄り添い、制度を利用していただくために、さらに使い勝手を向上させていくべきと考えます。令和の時代における中央卸売市場の活性化に向けて、市場業者の取り組みを後押しすべく、一層強力に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 セーフシティーの実現について伺います。
 都民の防災意識の向上に向け、これまで都は、町会、自治会等や子育て世代などに対する取り組みを重点的に行ってきました。例えば、パパママ東京ぼうさい出前教室などは、多くの応募があると聞いています。
 今後は、ターゲットをより明確にした取り組みが重要になります。例えば、都内の分譲マンションの総戸数は総世帯数の約四分の一に達していますが、昨年の台風第十九号の際には、高層マンション等の電源が浸水し、停電により上下水道やエレベーターが利用できない事態が発生するなど、マンション居住者特有の課題もあります。また、今後増加していく都内の外国人居住者や高齢者に対する取り組みの工夫も必要です。
 そこで、マンション居住者や外国人、シニア、子育て世代など、ターゲットをより明確にした上で、都民の防災意識の向上にさらに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちはかねてより、災害時の電力確保の重要性を訴えており、都が、私たちの求めに応じ、区市町村庁舎に対する非常用電源確保支援を行っていることを高く評価します。
 しかし、発災時の電力確保は十分とはいえません。もはや必要不可欠なインフラとなったスマートフォンなどの情報機器端末が災害時に使用できなくなる事態を回避するため、共助のかなめとなる町会、自治会等の自主防災組織の活動拠点等において、災害時に地域住民等が充電できる環境を整備していくことが必要です。
 発電機の中には百万円を超えるようなものもあるといいます。町会、自治会からは、一時的にとはいえ、こうした負担をすることは難しいという話を聞いており、自主防災組織が活用するためには一層の工夫が求められ、発災時の電力確保のための区市町村に対する支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本大震災の震災関連死の調査では、約三割の死因が、避難所などにおける生活の肉体、精神的疲労でした。災害による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならないとするスフィア基準の基本理念を念頭に、避難所の質の向上を図ることが重要です。
 特に簡易ベッドは、床にじかに寝るより体の負担が少なく、エコノミークラス症候群等の防止にも有効とされ、抵抗力の落ちたお年寄りや体調のすぐれない方が病気を発症しにくくなる効果も期待されています。
 日本でも、二〇一八年の西日本豪雨の避難所で段ボール製の簡易ベッドが導入されるなど、近年注目度が高まっています。
 そこで、大型台風や首都直下型地震に備えて、都としても段ボール製簡易ベッドを備蓄すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 国内外から多くの観光客が訪れる東京二〇二〇大会の成功には、テロや犯罪への対策が十分に機能することが不可欠です。
 テロ対策においては、さきの定例会でも答弁のありました大会関連施設における危険箇所の把握、専門部隊の対処能力の向上、官民連携の取り組み等の諸対策がありますが、大会の脅威は、テロにとどまらず、近年頻発する大量で無差別な犯行が大会をターゲットとして行われるリスクがあり、また、大会期間中に警備が手薄になる地域を狙った犯行についても、決して許してはなりません。
 新たに就任された斉藤実警視総監は、これまで長らく警備畑を歩んでこられた警備のエキスパートであり、昨年は警視庁副総監として、天皇陛下の御即位に伴う一連の儀式や、ラグビーワールドカップなどの警備の指揮もしてこられたものと聞いています。
 これまで積み重ねてきた東京二〇二〇大会の安全で円滑な開催に向けた諸対策を総動員しつつ、都全域の治安を維持し、首都東京の万全な警備を行うべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 本年は、東京二〇二〇大会が開催される年であり、また国内でのたび重なる凶悪事件の発生も踏まえ、防犯カメラの設置、維持管理、さらには運用に関する経費への支援を希望する声は一層多く寄せられており、私たちも都に一層の支援を要望してきたところです。
 今や必要不可欠な公的インフラとなっている地域の防犯カメラについて、設置促進に向けて支援を一層拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内における救急出場件数は、高齢化の進展、都民の救急ニーズの変化等により、十年連続で過去最多を更新し、年々増加の一途をたどっています。急病や事故については、例えば心停止から一分経過するごとに救命率が約一〇%ずつ低下することなどが知られており、一刻も早い心臓マッサージの実施等の必要性が明らかになっています。
 一人でも多くの命を救うためには、私たちとしてこれまで求めてきた救急隊の現場到着時間のさらなる短縮化に加えて、今後は、通報から出動までの時間を短縮し、また有効活用すべきと考えます。
 救急隊の傷病者への早い接触とバイスタンダーによる早期の応急処置が重要と考えますが、近年の東京消防庁の新たな取り組みについて伺います。
 都はこれまで、防災都市づくり推進計画のもと、震災時などに甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の不燃化十年プロジェクトを行うなど、令和二年度を一つの目標として、整備地域の不燃化を推進してきました。その目標達成に向けてはいまだ道半ばであり、地域ごとの進捗状況や、その課題に応じた整備プログラムの見直しや、新たな施策の展開が必要不可欠です。
 木密地域の解消に向けて、先般、私たちは小池知事に対し、木密地域不燃化十年プロジェクトの取り組みの延長や、基礎自治体への支援の一層の強化など、防災都市づくりの推進に向けた緊急要望を行いました。
 木密地域の不燃化を推進する新たな施策を展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 震災時に建物倒壊による道路閉塞を防ぎ、避難や救急消火活動、緊急物資輸送を円滑に進め、早期の復旧、復興につなげるためには、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化が必要不可欠です。
 これまで私たちは、建物所有者等への働きかけを強化するとともに、耐震改修等への各種支援の拡充を求めてきました。昨年末に公表された耐震改修促進計画改定素案では、新たな施策が盛り込まれています。そこでは個々の建物に着目した耐震化率だけでなく、通行機能確保の観点から、区間到達率や総合到達率といった新たな指標を用いた目標が設定されましたが、耐震化の実効的な促進につながるものにしなければなりません。
 そこで、特定緊急輸送道路の通行機能の確保のため、今後、区間到達率や総合到達率による新たな耐震化の目標達成に向けて効果的な施策を展開していくべきですが、都の見解を伺います。
 都市環境の整備について伺います。
 過去に経験したことのない豪雨、四十度を超える暑さなど、気候変動による影響は差し迫った深刻な状況です。
 そうした中、昨年五月に東京で開催されたU20メイヤーズ・サミットにて、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献すると小池知事が宣言し、さらに昨年末に、ゼロエミッション東京戦略として、気候変動に立ち向かう行動宣言をしたことは、世界諸都市のこれまでの気候非常事態宣言よりも一歩踏み込んだ決意と具体策を示したものであり、高く評価されるべきものです。
 日本政府が国際的な批判を受ける中で、都は都民、国民や経済界などの世論や協力を喚起し、日本、世界をリードしていく役割を担うべきであり、あらゆる場面を活用し、ゼロエミッション東京戦略の考え方を共有、浸透させていくべきです。
 ゼロエミッション東京戦略の意義を都民及び世界へ広く発信するとともに、その実現のため、都民や経済界を巻き込み、行動変容を起こしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ゼロエミッション東京戦略では、都は国の導入目標を上回る形で、二〇三〇年に新車販売台数の五〇%をZEVとする目標を設定しました。この目標達成に向けては、私たちも指摘してきたとおり、いかにZEVを利用しやすい環境を整備できるかというインフラ整備が大きな課題です。
 庁有車のEV導入拡大や、都有施設を活用した急速充電器の整備は評価できる取り組みですが、民間事業者等との一層の連携、そしてFCVの普及に不可欠な水素ステーションの多摩地域を含めた整備拡大などが必要です。
 今後建設されるビルや集合住宅において、一定規模以上の施設を中心に充電器設置の協力を促進するなど、ZEVの社会定着に向けた環境整備を民間事業者も巻き込み推進していくべきですが、都の見解を伺います。
 私たちが提言している自然と融合した都市環境の推進には、都市の緑化の一層の進展が必要です。
 いわゆる二〇二二年問題により、生産緑地のさらなる宅地化が懸念される中、東京都農業会議を初め、多くの方から、緑の確保、農地の保全に関するご意見をいただいてきました。私たちの要望を受け、今回の緑確保の総合的な方針の改定において、確保地の項目の中に特定生産緑地の項目が新設されたことを評価します。
 国の調査によると、生産緑地の指定を十年間延長できる特定生産緑地に移行しないとした都内農家が全体の二割おり、これらの農家からの早期の買い取り申し出が想定されます。しかしながら、区市にとっては財政的負担が大きいことがネックとなり、あるいは買い取り交渉がうまく成立せず、まだまだ実績が少ないのが現状であり、私たちが求めてきたとおり、都として強力な後押しが必要です。
 都市農地の減少を抑制するためには、区市による生産緑地の買い取りとその効果的な活用を後押ししていくことが重要ですが、都の見解を伺います。
 東京には世界でもトップレベルの高密な鉄道ネットワークが発達していますが、その強化は、国際競争力のさらなる強化や多摩地域の発展、ひいては日本全体の発展に寄与する極めて重要なものです。
 私たちも、空港アクセス線、多摩都市モノレールに代表される多摩南北交通、ベイエリアなど、都全体の鉄道ネットワークの強化を求めてきました。
 平成三十年度の鉄道新線建設等準備基金の創設に加え、来年度予算においても六路線等に関する検討に向けた調査費が計上をされており、鉄道ネットワークの整備促進についてさらなる進展が期待されます。
 多摩都市モノレールを初め、交通政策審議会答申でも進めるべきと示された六路線など、鉄道ネットワークの実現を早期に図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二七年を予定しているリニア中央新幹線の開通まで七年となりました。リニア中央新幹線は、品川駅─名古屋駅間を最短四十分で結び、日本の人、物の流れを大きく変え、世界に類を見ない巨大な経済圏を生み出すことが期待されます。
 都は、高輪ゲートウェイ駅や橋本駅といったリニア停車駅周辺の整備のみならず、両駅への広域的なアクセスや隣接地域のまちづくりをあわせて進めることで、リニア整備の波及効果を最大化しなければなりません。
 さらに、環状四号線、南多摩の大動脈の一つである南多摩尾根幹線など両駅周辺へとつながる道路交通ネットワークは、リニア開通に遅滞なく進めることが重要です。
 リニア中央新幹線の開通時期を見据え、品川駅周辺や橋本駅付近へのアクセス性の向上に資する道路整備を推進させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 日本橋周辺の首都高の地下化を前進させることは、単に老朽化対策や交通の円滑化にとどまらず、東京二〇二〇大会後の東京の姿として、歴史あふれる美しい水の都東京を世界に示すことにつながります。
 これまでも私たちは、日本橋周辺の首都高地下化に関し、安全・安心の観点、日本橋地域全体のにぎわいの観点、歴史や文化など日本橋らしさをどのように将来にわたって継承していくのか、また、経済的な合理性、災害時のライフラインの確保など、本事業の意義や効果について多くの理解と協力が得られるよう要望してきたところです。
 東京の魅力を高めるためにも、日本橋以外のエリアにおいても、日本橋のように、まちづくりと連携して首都高の地下化などの大規模更新を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 現在、都内の約四分の一の世帯がマンションに住み暮らす一方、建物の老朽化とともに、居住者の高齢化もあわせて進んでいます。
 これまで私たちは、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を進めるとともに、老朽マンション等の再生を促進していくことで、都民生活の質の向上、そして都市の再生につなげていくことを求めてきました。
 都道府県で初となるマンションの管理状況届け出制度が本年四月から施行されます。今後、この届け出制度を契機として、都においてマンションの適正管理とその再生がしっかりと進むよう、実効性ある施策を積極的に展開していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 地域の居場所づくりに関し、私たちからは、子供食堂の推進とともに、高齢者の地域活動との連携も求めてきました。
 都営住宅は都内各所にあり、集会所などの交流施設が設置されていることから、これらを活用した居場所づくりは、高齢化や単身化が進む都営住宅における緩やかな見守りの役割を果たすとともに、周辺住民も含めたコミュニティ活性化、ひいては安心して暮らし続けられる住環境の形成に資するものです。
 今後、東京みんなでサロンを展開する上では、高齢者だけでなく、地域に住む多世代の方々の居場所づくりにつながるよう工夫を凝らすとともに、都営住宅の居住者に限らず、例えば周辺住民に対する交流施設の積極的な開放など、地域に開かれた都営住宅の契機とすべきですが、都の見解を伺います。
 昨年のラグビーワールドカップは、日本代表の活躍もあり、日本中が熱狂に包まれました。ラグビー人気は大会後も継続していますが、ラグビーをできる場所が近くに確保できないという声が上がっており、私たちも、より多様な人々がラグビーに触れ、競技を楽しめるレガシーとしていくため、都として環境を整えることを求めてきました。
 他方、都立公園でラグビー場整備を進めるのは重要ですが、それにより他競技での利用を制限されるのではないかとの心配の声も届いています。
 都立公園において、ラグビーの裾野を広げる競技環境を整えていくに当たっては、他競技の利用と調和する形で整備されるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 行財政改革について伺います。
 小池知事の就任により開始された二〇二〇改革は、一貫して都庁の生産性向上、機能強化に取り組み、着実な成果を上げてきましたが、昨年末には、二〇二〇年以降を見据えた新たな都政改革ビジョンが公表されました。
 その中では、東京二〇二〇大会後を見据えた都庁組織の検討も含まれていますが、私たちは、大会後に多数の都職員が組織委員会から戻ることも踏まえながら、大会のレガシーをスポーツの振興にとどまらず、幅広く生かすとともに、長期戦略ビジョンの実現に適した組織への再編が必要と訴えてきました。
 さらに、これからの行政は、都民の顧客満足度をしっかりと定義し、それを最大化するという、民間企業に近い視点も求められます。あわせて、データに基づいた政策の効果検証を常に行っていくことで、真に都民のための都政を進めていくことが必要です。
 それこそが都民ファーストの視点だと考えますが、行政サービスの向上を追求し、都庁の人材や組織を変貌させていくという新たな都政改革に取り組むに当たっての知事の決意を伺います。
 今後、中長期的に水道料金収入が減収に向かい、一方で、老朽化した水道管の更新費用の増加や水道事業を担う人材の不足が見込まれるなど、都の水道事業の効率化は待ったなしの重要課題です。先日公表された東京水道長期戦略構想では、政策連携団体への業務移転の強化が示されました。
 水道事業はいうまでもなく、都民の生活に不可欠な、最も重要な社会インフラの一つであり、安定した水の供給に支障が出るような事態は決して許されません。損益管理やガバナンスなど、民間企業の利点を生かした政策連携団体の効率化、都との関係性、委託事業に対する責任の所在など、さらなる議論が必要です。また、政策連携団体に業務を移管することによって、事業に対する都民、議会のチェックが弱まることがあってはなりません。
 これまで私たちは、ワイズスペンディングの視点から、水道あんしん診断の実効性を根本から問うなど、今後の水道事業のあり方について、さまざまな問題提起を行ってきました。
 ICTの活用など、これまでにないさまざまな新しい発想を持って、水道事業の効率化を図ることはもちろん重要ですが、都民生活の根本である水道事業の責任は都が負うことを明確にし、しっかりと議会のチェックのもとで組織運営を図ることを徹底し、加えて、東京水道から民間事業者への委託、発注の公平性、透明性の一層の向上を図ることが安定した事業運営の継続のために極めて重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 虐待などの痛ましい事件が各地で発生する中、専門機関である児童相談所の果たす役割が極めて重要であることは、改めて指摘するまでもありません。法改正により、特別区も申し出により児童相談所を設置できるようになり、来年三つの特別区が区立児童相談所の開設を予定しています。
 こうした中、今回の都区財政調整協議では、特別区の財源配分割合を来年度に〇・一ポイントふやして五五・一ポイントとすることで合意しました。協議では、都と特別区の意見がまとまらず、協議期間を延長したとも聞いています。都区双方が粘り強く協議を行い、合意に至ったことは前向きに評価できるものです。
 今後の検討のためには、今回の議論の経緯が正確に理解されなければなりません。
 そこで、今回の都区財政調整協議では児童相談所についてどのような議論があったのか、また、どのように合意に至ったのか、今後の協議はどのようになるのか知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、世界中に興奮と感動を呼び起こすとともに、都民の記憶と誇りとなり、大会後の東京の成長につながるものにしなければなりません。そのためには、都が区市町村の主体的な取り組みを積極的に後押ししていく必要があります。私たちは、区市町村が行うコミュニティライブサイトやパブリックビューイング、聖火リレーやボランティア育成、スポーツ環境整備などへの支援の充実を訴えて、強く求めてきました。
 これらを踏まえて、都は、区市町村に対する支援を一層充実し、大会成功に向けてともに臨んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック教育の総仕上げである子供たちの観戦機会の確保に関し、これまでも私たちは、子供の年齢への配慮、車椅子対応、暑さ対策など、子供たちの個別の事情に十分に配慮することを求めてきました。公共交通機関を使った移動や、熱中症の懸念等についての学校、そして保護者の不安の声には、引き続きしっかりとした対応が必要です。
 夏のテストイベントの検証結果等も踏まえ、子供たちが集団で移動するという点を考慮した十分な安全対策、そして暑さ対策を行うべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 私たちは、チケットがなくても世界のトップスターを間近で感じられる機会の一つとして、駒沢公園に決定したサッカーの公式練習会場の公開を都に求めてきました。
 都は、こうした要望を受けて、選手にとって最もデリケートな公式練習会場の公開について、IOCやFIFA等と慎重な協議を重ね、公開の合意を取りつけました。さらには、サッカーを皮切りに、ほかにも練習会場の公開に前向きな競技があると聞いています。
 競技団体の理解を得ながら、子供たちに一生に一度の体験を提供すべく、関係機関と交渉を重ねた都の姿勢を評価します。
 今後は、練習風景の公開が、選手にとっては支障がなく、見学者にとっては最高の体験となって、東京二〇二〇大会のレガシーとなるように取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会のレガシーの一つが、容器包装の削減やリサイクルなどに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みです。プラスチック容器のリサイクルで表彰台を製作する取り組みも行われていますが、大会自体の持続可能性だけでなく、都民の行動変容や事業者の新たな取り組みを促すなど、大会後にも残るレガシーをつくることが重要です。
 東京二〇二〇大会を通じ、プラスチックの資源循環の実現に向けて、リサイクルに当たって、より付加価値の高いものを生み出すアップサイクルの考え方などに基づき、より高度なリサイクルにも挑戦し、レガシーとしていくべきですが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会の大きなレガシーに位置づけられるものが、障害者スポーツの環境整備です。今大会で培われたパラスポーツの灯を消さず、東京、そして日本におけるソーシャルインクルージョンの推進の大きな節目が東京二〇二〇大会であったと後世から評価されるよう、大会後に何をレガシーとして残すかが極めて重要です。
 障害者スポーツの環境整備など、大会後を見据えた障害者スポーツの振興をどのように進めていくのか知事の見解を伺います。
 都が直接支出した経費については、経費関係書類は公文書として保管され、適切に公開されますが、公益財団法人である組織委員会については、その限りではありません。また、組織委員会には経費書類のみならず、IOCとのさまざまな交渉記録なども残されていることから、重要書類が散逸しないように、都と組織委員会などで今後協議される予定の文書管理の仕組みを裏づける条例をつくり、事後検証を可能にすべきです。
 本定例会に提出しました東京二〇二〇大会に係る文書等資産の保管及び承継に関する条例案は、組織委員会から精算人に引き継がれた重要書類についても散逸がないように求めるもので、オリンピック史上極めて重要な取り組みであり、今後の開催都市にとってもレガシーになる条例です。
 小池知事は就任早々に、東京都公文書管理条例を制定し、文書の保管や情報公開の意義を強く訴えてこられました。
 そこで、東京二〇二〇大会後の経費の検証の必要性と大会関係文書の保管、承継の意義について知事の見解を伺います。
 昨年十二月に大会経費V4が公表されました。組織委員会の支出が収入を超え、負担し切れない事態に陥った場合には、最終的には東京都が責任を負うことになる以上、大会後も見据えた適切な費用対効果のあり方が引き続き検討されなければなりません。私たちはこれまで、開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対する関与の強化を繰り返し求めてきました。
 一方、組織委員会の収支が黒字となり、剰余金が生じた場合には、開催都市契約では、JOCが二〇%、IOCが二〇%、組織委員会が六〇%の割合で分配するとされています。しかし、組織委員会は東京都の出資等比率は五〇・〇%、常勤職員の三分の一以上が都派遣職員であり、その活動の多くが都のリソースに基づくものです。また、改めていうまでもなく、オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツ大会は、特定の誰かの利益のために開催されるものではありません。
 大会には都民の多額の税金が投入されており、大会経費が決して赤字となることのないよう、組織委員会と連携してコントロールしていくとともに、仮に剰余金が生じた場合には、都への適切な返還を求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えいたします。
 当初予算案と補正予算案の基本的な考え方についてのご質問がございました。
 世界中の視線が注がれる東京二〇二〇大会を大いなる成功へと導き、真に世界に誇る大会とすることは、開催都市東京に課せられた使命であります。同時に、大会が終了した後も、世界の中で輝き続ける東京を築き上げていかなければなりません。
 一方で、都政を取り巻く環境に目を転じますと、我が国の経済的地位の低下や、第四次産業革命のうねり、人口減少など厳しい状況に直面をしておりまして、このままでは世界から大きく取り残される、こうした強い危機感を持って予算編成に臨んだところでございます。
 いつの時代にありましても、危機を乗り越えるのは人の力であります。都市の活力の源泉であります人が輝く社会を築き、成長と成熟が両立した東京、日本の輝かしい未来をつくり上げていく、こうした思いを胸に、予算案を練り上げたところでございます。
 具体的には、当初予算案におきまして、人が輝くための施策でありますChildren、Choju、Community、三つのCや、スマート東京の実現などの施策を展開いたしまして、過去最高の四百二十件の新規事業を立ち上げるなど、積極的な施策展開を図ることといたしました。
 あわせまして、施策の効率性や実効性の向上に向けまして、施策の新陳代謝を図る事業評価の取り組みをさらに深化させるとともに、将来世代の負担を考慮いたしまして、引き続き都債の発行を抑制するなど、財政の健全性もしっかりと確保しているところであります。
 また、当初予算案の編成以降、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が大きく変化をいたしまして、現在、予断を許さない局面となっております。
 感染拡大に伴う都民の不安解消と都民生活の安全・安心の確保に向けまして、感染症対策を強化するとともに、経済活動への影響を最小限に抑える観点から、今年度と来年度をまたぐ補正予算案を同時に編成いたしまして、都がなすべき対策を機動的かつ効果的に講じていくことといたしました。
 これらの補正予算と当初予算が一体となり、いわゆる十三カ月予算として切れ目なく施策を展開することによって、首都東京の安全・安心を確保し、人が輝き、活気あふれる都市へと東京をさらに進化させていく、都議会の皆様とともに手を携えながら、確かな歩みを進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症への対策についてのご質問でございます。
 中国武漢市での感染拡大に端を発しました新型コロナウイルス感染症でございますが、我が国におきましても、患者、感染者の報告が相次いでおります。
 都におきましては、危機管理対策会議の開催や、私を本部長といたします対策本部の設置などを通じまして、新型コロナウイルス感染症対策に全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
 先月末には、都民の皆様に正確な情報を発信し、冷静に正しい行動をとっていただけますよう、都のホームページに専用サイトを設けまして、電話相談を受け付けますコールセンターを開設いたしました。
 また、感染の可能性がある方から、二十四時間体制で相談を受け付ける帰国者・接触者電話相談センターを設置いたしまして、感染が疑われる場合には、受け入れ体制が整備されました帰国者、接触者外来を受診する体制を、都内の保健所や医療機関と協力して整えております。
 東京都健康安全研究センターにおきましては、感染の有無を確認するためのPCR検査を一日に百二十件まで実施可能な体制に増強いたしまして、都内の医療機関から報告されます疑いのある患者の検査を迅速に実施しているところでございます。
 検査の結果、陽性となった方に対しましては、積極的疫学調査を実施するとともに、感染症指定医療機関等で入院治療を行っております。これらの医療機関には、院内感染防止のため防護服も提供をいたしております。
 現在は、国内での感染拡大を防ぐための重要な局面であります。
 都といたしまして、二月二十一日に開催いたしました対策本部会議におきまして、都主催のイベントの延期、中止の考え方や、隗より始めよで取り組みます都庁のテレワーク等の取り組みを初めといたしまして、基本的な方針をお示しいたしました。
 週末を挟んで全国的に感染経路が明らかではない患者が多く発生している状況にあって、この一、二週間が感染の拡大か収束かの瀬戸際とされております。
 本日、こうした状況を踏まえまして、短期間に集中的に取り組む対策を取りまとめました。具体的には、医療体制の充実、感染防止の拡大、広報の強化、徹底といった三つの視点を踏まえまして、さらなる感染拡大防止に向けて取り組むことといたしました。
 特に都立学校につきましては、授業の開始時間をおくらせる、春休みを前倒しにするなどの具体的な施策を指示したところでございます。
 引き続き、感染拡大の防止の観点から、多言語化や聴覚障害のある方へのファクシミリによる相談の受け付けを行うなど、より都民が利用しやすい電話相談体制などの充実を図りますほか、民間検査機関も活用して検査体制を一層強化するなど、徹底した取り組みを進めてまいります。
 都民の皆様方にもご不便をおかけすることもありましょうが、ご理解をいただきたいと存じます。
 また、あらゆる手段を講じまして、感染患者が増加するペースを可能な限り抑制する、医療体制の確保についてもスピード感を持って取り組んでまいります。
 今後とも、国や多くの医療関係者等と緊密に連携をいたしまして、医療体制の強化を迅速に進めて、都民の皆様や企業、関係自治体のご協力も得ながら、新型コロナウイルス感染症対策に全力を尽くしてまいります。
 同じく新型コロナウイルス感染症に係る経済対策についてのお尋ねでございます。
 新型コロナウイルスの流行が経済活動に与えます影響を最小限に抑える観点から、中小企業や観光産業へのきめ細かな支援を迅速かつ切れ目なく展開することが重要でございます。
 あわせまして、東京二〇二〇大会に向けて導入促進を図ってきたテレワークでございますが、公共交通機関や職場での感染防止対策にも有効でございます。
 私は、この機にテレワークが当たり前の社会を一気に実現させるとの思いを込めまして取り組んでおります。こうした認識のもとで、今回の補正予算にはさまざまな対策を盛り込んでおります。
 具体的には、観光客の減少やサプライチェーンの寸断等によりまして、事業活動に影響を受けている中小企業に対して、融資目標額を一千億円といたします緊急融資制度を新たに創設をいたします。この制度におきましては、信用保証料も全額補助することで、事業継続につながる経営支援を着実に行ってまいります。
 また、感染の拡大に伴って売り上げ減少などの影響を受けております中小企業に対しまして、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路の開拓支援も強化してまいります。
 さらに、事態の収束後、速やかにインバウンド需要を回復できますよう、都といたしまして、海外でのCM等を活用した積極的なPRを展開するとともに、区市町村の観光振興に資する取り組みもしっかりと支援をしてまいります。
 加えまして、この機会にテレワークの導入、拡大を図るために、業界団体等への働きかけを強化いたしますとともに、二〇二〇TDM推進プロジェクトへ参加する企業に対しましては、機器やソフトウエア等の導入を強力に支援をしてまいります。
 新型コロナウイルス感染症によります景気の停滞も懸念される中で、こうしたセーフティーネットの取り組みを総合的に進め、東京の経済の活力維持に万全を期してまいります。
 都の長期戦略についてのお尋ねがございました。
 今後、東京が迎えます大きな変化、変革を見据えまして、時代を切り開く人が大いに輝ける社会を確立することこそ、東京が未来へと発展し続ける鍵でございます。
 子供が社会で大切にされ、笑顔で元気に学び、伸び、育つ、長寿の方々が経験を生かして活躍する、女性や障害者、外国人など誰もが活躍できる環境を整える、こうした人に寄り添った政策を展開して、多様性や包摂性に富んだ人が輝く東京を実現してまいります。未来の東京戦略ビジョンは、こうした思いを込めて策定をいたしたものでございます。
 戦略ビジョンでは、明るい未来を切り開くため、二〇三〇年に向けました二十の戦略と戦略実行のための約百二十のプロジェクトを盛り込んでおります。ビジョンは描いて終わりではありません。スピード感を持って実行してこそ意味がございます。新年度を待つことなく、各プロジェクトに早期に着手をいたしまして、具体的に取り組むべき内容を明らかにした上で、施策の展開を図ってまいります。
 未来を担う子供に関しましては、子供の目線に立ったまちづくり、切れ目なく子供や家庭を支える、社会のマインドチェンジ、これらを柱とする子供の笑顔のための戦略を掲げております。
 子供への投資に本気で取り組む観点から、海外の事例や子供に関する調査を実施いたしまして、エビデンスに基づいて効果的な政策を練り上げる。また、組織横断のチームを立ち上げまして取り組みを推進するなど、各局が連携してプロジェクトの効果を高めてまいります。
 ビジョンに掲げます目標の実現に向けまして、今月には、経団連など産業界とも未来の東京について意見交換を行っております。東京に集積をする多様な主体の力を結集いたしまして、社会全体での取り組みを築き上げて、東京二〇二〇大会後に策定をいたします長期戦略に結実させてまいります。
 これまでの延長線にとらわれることなく、果敢な挑戦を積み重ねる東京大改革を通じまして、誰もが自分らしく、生き生きと活躍できる都市東京をつくり上げてまいります。
 妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援についてのご質問でございます。
 都は、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握をして、継続した支援を行う区市町村を支援してまいりました。
 来年度からは、子育て家庭が抱えるさまざまな悩みに、よりきめ細かく対応するため、産前産後の支援を大幅に充実したとうきょうママパパ応援事業を開始いたします。
 具体的には、区市町村における産後ケアの取り組みを促進するため、区市町村の負担分を全額補助するとともに、産後の母子に寄り添って、家事、育児を支援するサポーターの派遣や、多胎児を育てる家庭に対する移動支援などの取り組みを実施してまいります。
 また、歩き始めの時期や言葉の理解の程度などの個人差、自我の芽生えによりまして子育てに関する悩みが多くなる一方で、健診など行政がかかわる機会が少ない一歳前後の子供がいる家庭に対しまして、育児パッケージの配布を通じ、子育て支援等の情報提供や家庭状況の把握などを行います区市町村を支援してまいります。
 私は、この東京を、安心して子供を産み育て、子育ての喜びを実感できるまちにしていきたいと考えております。この実現に向けまして、区市町村と連携をいたしまして、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制のさらなる強化に取り組んでまいります。
 ベビーシッターの活用についてのご質問でございます。
 女性の力を引き出して、その活用を後押しするためには、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えていくことが必要であります。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、都独自にさまざまな取り組みを講じてまいりました。
 平成三十年度には、待機児童の対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するために、ベビーシッター利用支援事業を開始いたしております。
 この事業で養成している保育人材を有効に活用して、子育て家庭を幅広く支援するため、来年度は、日常生活上のさまざまな事情によります一時的な保育や、ベビーシッターと一緒に育児を行う共同保育を必要とする保護者を新たに助成の対象といたします。
 また、多胎児を育てる家庭につきましては、育児に係る負担が特に大きいことに配慮いたしまして、利用時間の上限を拡大してまいります。
 多様化する子育て家庭の保育ニーズに適切に対応できますように、区市町村と連携しながら、保育サービスの充実に全力で取り組んでまいります。
 次に、多子世帯の高校授業料の負担軽減についてのお尋ねでございます。
 全ての子供が将来の希望を持って育つ東京を実現するためには、子育てにかかわる負担を社会全体で支え、子育て世帯の経済的負担を軽減することは重要であります。
 このたび年収約九百十万円未満の世帯に対し、私立高校授業料の実質無償化を行うとともに、特に多子世帯におけます教育費負担の軽減を図るために、年収が九百十万円を上回る世帯でありましても、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上おられる場合は、私立や都立の高校に通う生徒の授業料について、新たな支援を行うことといたしました。
 また、新たな支援を広く都民にお知らせするために、東京都のホームページへの掲載、SNSでの発信などに加えまして、制度内容を記載したリーフレット等を作成いたしまして、学校を通じて配布するなど、あらゆる機会を活用して、より多くの方々に周知するよう努めてまいります。
 今後も、子供たち一人一人が安心して学び、育つことができる環境を整えて、子供の笑顔があふれる東京を実現してまいります。
 ひとり親家庭への支援についてのご質問でございます。
 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担うため、負担が大きく、世帯収入も両親がいる世帯と比較いたしますと低い傾向にございます。
 こうした生活実態を踏まえまして、都は、ひとり親家庭自立支援計画に基づいて、相談体制の整備、就労支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援の四つを柱といたしまして、ひとり親家庭への総合的な支援を実施しております。
 また、ひとり親家庭支援センターにおきまして、生活相談や就業相談などさまざまな支援を行っておりまして、お話の養育費につきましては、金額の取り決めや支払い履行などに関する相談に応じるとともに、家事事件に精通した弁護士が専門的な相談にも対応しております。
 来年度は、相談する都民の利便性に配慮いたしまして、多摩地域にも相談拠点を新たに開設をいたします。
 さらに、ひとり親家庭が元配偶者などからの養育費が不払いとなった場合に備えまして、都民からの提案に基づいて、民間保証会社と連携し、養育費の立てかえ保証を行う区市町村への補助を実施してまいります。
 ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができますよう、区市町村とも連携をしながら、ひとり親家庭への支援を一層推進してまいります。
 新たな東京型教育モデルについてのご質問でございます。
 これからの時代を切り開く鍵は人であります。とりわけ未来を担う子供たちは社会の宝、子供への投資を積極的に行って、社会全体で大切に育てていくことが重要であります。
 グローバル化が急速に進展をして、AIやビッグデータ等の先端技術の社会実装が進む中で、これからの変化の激しい時代を生きる子供たちには、みずからの生き方を選び、それぞれの人生を生き抜いていけるように自立性や創造力を培っていく必要がございます。
 子供の学ぶ意欲に応えて、子供が持つ力を最大限に伸ばしていくために、ICTを活用して学校内の情報をデータ化し、エビデンスベースの教育を展開することで、個別最適化された学びを実現するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを本格的に始動させます。
 また、東京におきましては、企業や大学等の社会資源が集積をいたしておりまして、多様な専門人材が数多く存在しております。こうした強みを生かしてイノベーションを生み出し、世界を舞台に活躍する人材を育成してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、全ての子供の教育的ニーズに的確に応えるインクルーシブな教育を促進するなど、一人一人の個性や成長に応じましたきめ細かなサポートを充実させてまいります。
 今後、教育委員会と力を合わせまして、東京ならではの教育モデルを確立し、子供たちが将来への希望を持ってみずから伸び、育つ東京の実現を目指してまいります。
 次に、受動喫煙対策についてのお尋ねでございます。
 受動喫煙防止条例を実効性あるものとするためには、都民、事業者の皆様の一層のご理解とご協力が必要でございます。
 都はこれまで、専門アドバイザーの派遣や、喫煙専用室の設置費等への補助など、事業者の取り組みを支援するとともに、公衆喫煙所の整備や専用の相談窓口の設置など、区市町村が実施をいたします地域の実情に応じた取り組みを支援してまいりました。
 昨年十二月に行いました調査では、八割以上の飲食店が、全面禁煙や喫煙室を設置予定と回答するなど、受動喫煙の防止に取り組む意識は高まっております。
 今月から開始いたしましたカウントダウンキャンペーンにおきましては、私もみずから街頭に出まして、区市町村と連携しながらPR活動を進めているところでございます。
 本年四月の条例の全面施行後も、都内の保健所が事務を円滑に実施できますよう、事業者への指導、立入検査などにつきまして、事例の共有や意見交換を進めてまいります。
 引き続き区市町村や関係団体、事業者の皆様のご協力をいただきながら、オール東京で受動喫煙対策を推進して、都民の健康ファーストを実現してまいります。
 次に、シニア予備軍向けの読本についてでございます。
 人生百年時代におきまして、誰もが元気で心豊かに自分らしく年を重ねることは大切でございます。
 そのため、都は、主に五十代から六十代前半の方々に早くからご自身の今後のライフプランを考えていただいて、高齢期を元気で生きがいを持って過ごせますよう、必要な情報を掲載した読本を作成いたしております。
 この読本におきましては、生涯現役で元気に活躍できますよう、仕事や社会貢献、学び、趣味の場を紹介いたしております。また、地元の子供たちとサッカーを通じて交流している方など、実際に活動しておられる方々の事例も掲載をいたしまして、自分らしいセカンドライフを考えたり、地域活動に参加するきっかけとしてもらう考えであります。
 さらに、運動や食事など、五十代から取り組めるフレイル予防につきまして、イラストを用いてわかりやすく伝えますほか、高齢期を迎えましても安心して暮らしていけますよう、困った時の相談窓口や必要な支援、サービスなどの情報も提供しております。
 来年度、区市町村や企業の皆様のご協力をいただきながら、さまざまな手段を講じまして、五十歳から六十四歳の都民の方を中心にお手元に届くようにいたしまして、誰もが幾つになっても安心して暮らし、生き生きと活躍できる、そんな東京を実現してまいります。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化についてのご質問でございます。
 感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは担うことが困難な行政的医療の提供は、都として果たすべき重要な役割でございます。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応におきましても、都立、公社病院は、患者の受け入れなどにおきまして、その役割を果たしております。
 行政的医療の提供は、都民のセーフティーネットであり、医療環境が大きく変わっていく中でも、公的な病院として担い続けなければなりません。
 そのために必要な経費は、地方独立行政法人化後も都が負担することで、行政的医療を将来にわたって確実に提供してまいります。
 また、行政的医療を初めとした医療は、多様な人材が支えておりまして、効果的な人材の確保や活用が医療の質に直結してまいります。このことから、医療課題や都民ニーズに対応いたしまして、機動的に人材を確保すること、職員が意欲と能力を最大限発揮できる制度づくり、これらが重要でございます。
 法人化によりまして、病院の現場にふさわしい独自の勤務制度などの構築が可能となってまいります。このメリットを生かしまして、職員の意見も聞きながら、職員がよりやりがいを持って働くことができるよう、具体的に検討してまいります。
 法人化の目的は、行政的医療を初め質の高い医療を提供して、患者サービスを向上させることにあります。
 引き続き、都議会の皆様や、都民やそして地域の関係者の方々のご理解を得ながら、法人への移行に向けまして、着実に準備を進めてまいります。
 次に、犯罪被害者等支援条例の制定についてのご質問でございます。
 誰もが犯罪に遭うことなく、安全で安心して暮らすことは都民全ての願いでございます。しかし、不幸にして犯罪に巻き込まれた犯罪被害者やそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えまして、精神的、経済的な負担、さらには周囲の理解不足による二次的被害に苦しめられることも少なくありません。
 都はこれまでも、犯罪被害者等支援計画を策定いたしまして、総合相談窓口の機能強化など充実を図ってまいりましたが、都の被害者支援の姿勢を明確に示すとともに、社会全体での取り組みを一層進めるために、この定例会におきまして条例案を提出したところであります。
 本条例では、被害者等が受けた被害の回復、または軽減、そして被害者等を社会全体で支えることなどを目的として規定をいたしまして、そのための方策として、相談体制のさらなる充実や経済的負担の軽減に加えまして、先般の京都市や川崎市における事件を教訓といたしました大規模被害への緊急支援など、都が実施する被害者支援の施策とその方向性を提示したものであります。
 今後、新たに制定される条例に基づきまして、被害者に寄り添った支援策を総合的に展開をして、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現に努めてまいります。
 同じく被害者等支援策の一層の充実についてであります。
 今回の条例の検討に当たりましては、パブリックコメントや被害者等を対象とした実態調査によって把握した被害者の切実な思いを踏まえまして、条例の施行に合わせて支援策の拡充等についても検討を行っております。
 具体的には、医師等の専門家によりますカウンセリングなど、性犯罪被害者への精神的なケアの充実を図るとともに、経済的な支援策として被害者のニーズが高かった見舞金の給付、法律相談、都道府県で初となる転居に要する費用の助成を来年度から新たに実施をいたします。
 これらの取り組みを着実に実施するとともに、被害者が安心して暮らしていけますよう、さらなる支援策についても検討いたしまして、令和三年度から始まる次期支援計画の改定を進めてまいります。
 次に、ソーシャルファームについてのお尋ねでございます。
 就労に困難を抱える方を多数雇用し、活躍する場を提供するソーシャルファームにつきましては、都民からの期待も大きく、その創設や認証に向けて、取り組みを加速させていく必要がございます。
 このため、現在、企業経営や就労支援の専門家などによります検討会を設置いたしまして、具体的な認証基準とともに、事業を立ち上げる際の助成制度など、経営支援策につきまして検討を進めているところであります。
 今後、検討会での議論を踏まえまして、六月ごろを目途に、認証基準と支援策を盛り込みました指針を公表いたします。この指針に基づいて、事業者を募集し、審査などの手続を経まして、来年度中にはモデルとなるソーシャルファームを東京に誕生させたいと考えております。
 あわせまして、ソーシャルファームの支援拠点を新たに開設いたしまして、創設を目指す事業者からの相談への対応や認証を行ったソーシャルファームに対します経営支援を実施してまいります。
 さらに、都の取り組みを全国に広げていくために、国に対しましても、ソーシャルファームの普及を働きかけてまいります。
 ソーシャルファームを社会に根づかせ、誰もが生き生きと働き活躍できるダイバーシティーの実現につなげてまいります。
 次に、就職氷河期世代に対する支援についてでございます。
 就職氷河期世代の方々は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っておられ、新卒時に希望する就職ができず、現在も不安定な就労や生活が続いているなど、困難な課題に直面している方々もおられます。
 今後、高齢期を迎えるこうした世代の方々に対しまして、将来の不安を解消し、安定的に働いていただくためには、都庁や企業におけます積極的な取り組みが重要であります。
 都庁におきましては、これまでも幅広い年齢層を対象として経験者採用を実施しておりますが、来年度から氷河期世代を主な対象といたしました採用試験の実施を予定いたしております。
 また、就職氷河期世代の方を正社員として雇用した企業に対しまして、キャリアアップの研修や指導育成の取り組みに対します助成金を新たに支給するなど、この世代の正規雇用化と定着を促進してまいります。
 誰もが生き生きと活躍できる東京の実現を目指しまして、氷河期世代への就業支援に取り組んでまいります。
 次に、民生児童委員への活動支援についてでございます。
 民生児童委員は、高齢者や障害者、ひとり親家庭など、支援を必要とする方の相談や見守り、関係機関への橋渡しなど、地域住民の皆様に大いに頼りにされており、地域社会を支える重要な役割を担われておられます。
 私も、昨年五月に開催されました普及啓発パレードに、一日民生児童委員として参加いたしましたが、民生児童委員の方々が、日ごろから熱意を持って、それぞれの活動に当たられていることを改めて認識をし、感銘を受けたところであります。
 地域住民の中には、経済的な困窮、認知症、ひきこもりなど、複合的な課題を抱えている方もおられることから、民生児童委員の相談対応能力を高めていくことは急務であります。
 このため、都は、平成三十年度に民生児童委員活動への支援や環境整備の充実に向けた検討を進めまして、昨年四月から地域の実情に応じた委員の確保や活動の活性化に向けました区市の取り組みを新たに支援するとともに、十月には活動費を増額いたしております。
 さらに、来年度は、ご要望のありました活動の基盤となっております民生委員協議会が自主的に行います研修等への支援を拡充して、今後、民生児童委員や区市等の関係者の意見も聞きながら、活動支援の強化に取り組んでまいります。
 5Gアンテナ基地局等設置に向けた都の取り組みの全国展開についてのご質問でございます。
 未来の東京戦略ビジョンで示しました都民のQOL向上を目指しますスマート東京、その実現の基盤となるのが電波の道、TOKYO Data Highwayでございます。
 都は、都保有アセットの開放をこの電波の道の構築に向けました重要な取り組みと位置づけまして、約一万五千件の都が保有する土地及び建物をデータベース化して公開をいたしまして、通信事業者等に開放をいたしております。
 また、ワンストップの窓口を設けまして、5Gアンテナ基地局等の設置に関します相談や申請の窓口を一本化することで、現地調査開始までの大幅な期間縮減等の効果が出ております。現在、第一期といたしまして、現地調査の申し込みのありました四十四の土地建物につきまして、通信事業者等が基地局設置の調査を進めておられます。通信事業者等から、継続的な都アセット活用の希望をいただくなど好評を得ております。
 これらの取り組みにつきましては、既に山梨県、埼玉県や大阪府、大阪市等からお問い合わせをいただいておりまして、意見交換を開始いたしております。
 今後は、全国知事会等の場も活用いたしまして、都のアセット活用の成功事例やノウハウを全国の自治体に広く共有してもらうことで、円滑な基地局整備を後押ししてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、5Gの環境整備を進めて、区市町村とも連携をいたしながら、5Gと先端技術を活用する施策を広く展開いたしまして、全国の共存共栄、日本の持続的な成長に貢献をしてまいります。
 次に、東京の中小企業振興についてのお尋ねでございます。
 都内の企業の九九%は中小企業でございます。そのすぐれた技術力やアイデアをもとに革新的な製品をつくり出し、地域の雇用や経済を支えて活力をもたらす原動力となっております。
 しかし、東京は現在、経済のグローバル化や第四次産業革命の進展といったパラダイムシフトに直面をしておりまして、中小企業、とりわけ小規模企業におきましては、従来の経営手法が通用しない、厳しい状況にさらされております。
 中小企業がこうした大きなうねりを乗り越えられるように、効果的に後押しをするためには、社会経済の変化に柔軟に対応しながら、支援策を不断に磨き上げる視点が重要でございます。
 そこで、来年度は、製造業のサービス化の進展やサービス産業の生産性の向上が求められている状況も踏まえまして、技術の高度化やサービス高付加価値化のための取り組み等への支援をさらに強化してまいります。
 また、第四次産業革命の中核でございますテクノロジーへの対応を、小規模な企業へも効果的に広げていくために、中小企業団体などがみずから取り組みますICT技術の活用を推進するとともに、戦略的な販路開拓モデルの構築を支援してまいります。
 こうしたさまざまな取り組みを強力に推し進めることで、都内中小企業の稼ぐ力を伸ばして、我が国経済を力強く牽引する東京の成長を後押ししてまいります。
 商店街の活性化に向けた支援でございます。
 消費者の買い物スタイルの変化や後継者不足に加えまして、キャッシュレスの広がりへの対応など、商店街を取り巻きます経営環境は非常に厳しさを増しております。
 商店街は、地域に密着した買い物の場のみならず、人々が顔の見える関係で交流をする地域コミュニティの中心として、安全や安心を生み出す重要な役割を果たしており、まさにまちの動脈でございます。
 厳しい状況の中にあってもなお、商店街が今後も持続的な発展を遂げていくためには、こうした商店街の魅力や地域におけます役割などを力強く都民へ伝えていく必要がございます。
 このため、東京二〇二〇大会後に、その盛り上がりの流れを生かしまして、大東京商店街まつりを、秋ごろを目途に区部と多摩地域の双方で開催をいたします。都内のさまざまな商店街を一堂に集めまして、世界に誇るべき多様な魅力や活動をアピールする大規模イベントとして実施をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都民の生活になくてはならない東京の宝物として、商店街を広く発信し、さらなる活性化につなげてまいります。
 防犯カメラの設置促進に向けた地域への支援についてのご質問がございました。
 都は、地域の防犯力向上のため、区市町村とともに、町会、自治会、商店街に対しまして防犯カメラの整備費用などの補助を行っております。
 お話のとおり、今年度は凶悪事件が起きたこともあり、地域の防犯意識が高まって、非常に多くの設置要望をいただいたことや議会でのご議論を踏まえまして、防犯カメラの整備補助について補正予算を設置したところでございます。
 令和二年度におきましては、東京を訪れる方の増加が見込まれるところから、都民や来訪者の安全・安心を確保するために、防犯カメラの設置を促進するとともに、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会、自治会、商店街等をより一層支援するために、電気料金や共架料などの防犯カメラの運用に係る経費につきましても、新たに補助を実施いたします。
 今後も、今年度新たに開始した保守点検費などの維持管理経費の補助とあわせまして、地域の安全・安心の確保に向けて、区市町村と協力をして、地域の防犯活動を支援してまいります。
 次に、木密地域の不燃化についてのご質問でございます。
 阪神・淡路大震災から二十五年、地震による火災が瞬く間に広がった光景を今も忘れることができません。近い将来、首都直下地震が東京を襲う可能性が高い中で、市街地の不燃化など、安全・安心のまちづくりの推進は喫緊の課題でございます。
 木密地域の不燃化を加速させていくため、一月、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案を公表いたしました。この改定案におきましては、整備地域の不燃領域率七〇%の目標達成に向けまして、不燃化特区制度のさらなる活用に加えて、無接道敷地での建てかえの促進や高齢者の住みかえの円滑化など、一歩踏み込んだ取り組みを新たに展開していくことといたしました。
 今年度末を目途に基本方針を定めまして、それを踏まえて区とも連携をして、来年度、地区ごとの具体的な取り組みを示します整備プログラムを取りまとめてまいります。
 災害の脅威から都民を守る強靭な東京の実現に向けていただいた要望も踏まえながら、今後も工夫を加えまして、燃えない、燃え広がらないまちづくりを強力に推進をしてまいります。
 次に、ゼロエミッション東京の実現に向けた取り組みについてでございます。
 世界全体が気候危機にある今、気候非常事態という表現を超えて、気候危機に立ち向かう行動を強く表明するため、私は、戦略とあわせまして気候危機行動宣言を行ったところであります。
 この戦略によって、東京が脱炭素化に向けた明確なビジョンを持って、具体的行動に踏み出していくことで、大きな効果を生んで全体を牽引する力となる。
 戦略策定後、業界団体や大学、関連事業者等に配布、周知をいたしまして、ご理解とご協力を呼びかけるほか、先日、日本経済団体連合会との意見交換会を開催いたしまして、引き続き連携を図りながら、気候変動対策に取り組んでいきますように要請を行ったところでございます。
 都の具体的な行動といたしまして、既に約一千の企業や都民が登録するチームもったいないを活用しまして、行動変容の輪を広げていくほか、自治体や企業、大学等と官民連携のアライアンスを組むことで、ムーブメントの醸成や技術、知見の共有を行って、取り組みの強化、推進を図ってまいります。
 さらに、企業による先進的、革新的なビジネスモデル構築への支援、都民に身近な区市町村との連携支援の強化など、社会システムの変革に向けた多様な施策を展開してまいります。
 今後、国内外の多様な主体に広く共感、協働を呼びかけて力を合わせ、この一大プロジェクトに取り組んで、魅力あふれる都市東京を実現してまいります。
 次に、六路線等の整備についてのご質問でございます。
 東京が持続的に成長して、全ての世代が生き生きと活躍していく、そのためには、誰もが快適に移動できますよう、都民の足となる鉄道ネットワークのさらなる充実が重要でございます。
 都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、国や地元自治体、鉄道事業者などと連携をいたしまして、需要、そして採算性の検証、事業スキームの構築に向けました検討などを実施してまいりました。
 このうち、多摩都市モノレールの整備につきましては、箱根ヶ崎方面の延伸に関します予算を新たに計上いたしまして、基本設計を行うなど事業化に向けまして一歩踏み出すことといたしました。
 地下鉄八号線などの各路線につきましても、未来の東京戦略ビジョンにおきまして、取り組みの方向性を示したところでございます。
 引き続き、関係者との協議、調整を加速して、鉄道ネットワークの充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、マンション施策の展開についてでございます。
 都内におきましては、高度経済成長期に建設されましたマンションの多くが更新時期を迎えております。また、着工から四十年以上が経過したマンションが今後急増することが見込まれておりまして、その適正な管理や再生を促進することは、重要な課題であると認識をいたしております。
 都は、本年四月から開始をいたします管理状況届け出制度の円滑な施行に向けまして、区市町村や関係団体等の協力も得ながら、対象となる全てのマンションに対しまして、届け出を促してまいります。
 制度の施行に当たりましては、行政職員、マンション管理士等から成るマンション適正管理啓発隊を発足させまして、管理不全の兆候がありますマンションを個別に訪問するなど、実効性を確保してまいります。
 これらにより把握した管理状況に応じまして、適正管理に必要な助言指導を行うとともに、再生に向けました合意形成を促す契機としてまいります。
 また、都独自の支援策でありますマンション再生まちづくり制度の活用によりまして、良好な市街地環境の形成にも寄与いたします老朽マンション等の再生を進めてまいります。
 さらに、今後十年間の具体的な施策を示します東京マンション管理・再生促進計画を年度内に策定をいたします。
 こうした取り組みによりまして、適正な管理から円滑な再生につながります切れ目のない施策を展開して、都民の豊かな住生活を実現してまいります。
 新たな都政改革の推進についてのご質問がございました。
 昨年末に策定をいたしました新たな都政改革ビジョンにおきましては、都庁の永遠のミッションは、都民の幸せを実現することであり、そのミッションを果たすために、都民の満足、いわゆるCSの向上を追求していくことを改革の基本に据えております。
 改革を推進していくためには、多様化する都民ニーズをいち早く捉え、民間と都庁が一体となって、新たな政策を生み出す都庁へと変えていかなければなりません。
 そのため、ビジョンでは、人材マネジメント、組織運営、行政サービス、この三つのアプローチで改革を進めていくことといたしております。
 具体的には、民間人材が都庁で活躍できる仕組みづくりや高度な専門性を持つ職員の育成などによって、政策を迅速に実施できる柔軟性、機動性の高い執行体制を確立してまいります。
 また、スタートアップ等の民間との建設的なコラボレーションによりまして、新たな視点や発想で課題を捉え、先進的な政策として実現をいたします。同時に、規制改革や行政手続のデジタル化などを進めまして、都民の利便性の向上を図ってまいります。
 来年度早期におきましては、中長期に取り組むべき課題と解決の方向性、新たな人材確保策、東京二〇二〇大会後の組織のあり方など、速やかに着手する具体策を示します実行方針を策定いたします。改革の具体策を順次打ち出していくことで、絶え間なく改革を推進いたしまして、東京の明るい未来を支える都庁へと変貌させてまいります。
 今年度の都区財政調整協議についてのご質問でございます。
 特別区が来年度から設置をいたします児童相談所の運営経費等の負担に関しまして、一区設置ごとに都区の配分割合を変更すべきとする特別区側の主張と、設置予定の半数、十一区の実績を見て議論すべきとする都側の主張が対立をいたしまして、協議は平行線となりました。
 児童相談所は、児童の健やかな成長を願って家庭とともに考えて問題解決する専門機関であり、未来を担う子供たちを守る重要な役割を果たしております。
 昨今、虐待や非行など困難な事案が増加しておりまして、初の区立の児童相談所の設置を控えて、その運営に関しましては、都区の連携協力を一層推進する必要がある中で、協議がまとまらないことは避けるべきとの考え方から、都区双方が歩み寄りまして、特例的な対応といたしまして、特別区の割合を〇・一ポイントふやすことで合意をしたものでございます。
 この特例的対応によります〇・一ポイント分も含めまして、来年度開設する三区の通年の実績が明らかになる令和四年度に、配分割合のあり方につきまして、改めて協議をしていくことといたしております。
 区市町村に対する支援の充実につきましては、東京全体で東京二〇二〇大会を盛り上げて成功につなげていくためにも、都と区市町村が緊密に連携をいたしまして取り組んでいくことは重要であります。
 このため、都は、これまでさまざまな機会を通じまして、区市町村と意見交換を行うとともに、大会に向けて区市町村が実施する機運醸成やスポーツの普及啓発、事前キャンプ受け入れのための施設改修工事など、財政的な支援に取り組んでまいりました。
 こうした都の支援策を活用して、区市町村では、オリンピアンやパラリンピアンなどを招いたイベントの開催や各国に対します事前キャンプの誘致に主体的に取り組んでこられました。
 来年度は、これらに加えて、区市町村が実施するパブリックビューイングや聖火リレーのセレモニー等にも助成を行ってまいります。
 また、大会の感動と記憶を後世に伝えるために、区市町村が、聖火リレールートや練習会場などに銘板等を設置できるように支援をしてまいります。
 さらに、大会を契機にスポーツへの関心が高まる中、より一層の区市町村によります身近な環境におけるスポーツ機会の創出であるとか、障害者を初め、誰もがスポーツに親しめる環境の整備に対する支援も創設してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、区市町村と十分連携をいたしまして、多くの都民が大会に参加したと実感できるよう、準備を確実に進めて大会を成功に導いてまいります。
 次に、大会後を見据えた障害者スポーツの振興についてのご質問でございます。
 私は、パラリンピックを成功させて、真の共生社会の実現につなげていきたいと考えております。そして、大会後に障害者スポーツをレガシーとしてしっかり根づかせたい。そのために、これまでチームビヨンド等を通じました障害者スポーツの魅力発信や身近な地域におけます場の開拓、支える人材の育成など、大会後につながるさまざまな取り組みを展開してまいりました。
 今後は、スポーツや福祉、医療等の多様な専門家の連携によりまして、障害のある方が身近な地域で安心してスポーツに親しめる環境づくりを行うとともに、障害者スポーツの場といたしまして、特別支援学校の活用をさらに拡大してまいります。
 また、障害者スポーツを支える体制をより強固なものとするために、コーディネーターの活用によりまして、企業等による持続的な障害者スポーツ支援の取り組みを後押ししてまいります。
 さらに、競技団体に対しましては、財政的支援に加えて、研修や会計士等の専門家によります相談、法人格の取得に向けた助言など、きめ細かな支援を行って、競技力の向上と裾野拡大を図ってまいります。
 そして、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツに親しむ環境を整備し、スポーツを通じました共生社会を実現してまいります。
 大会後の経費の検証と文書の保管、承継の意義についてのご質問でございます。
 都民とともに進める都政を実現させるためには、情報公開の基盤であります公文書の適正な管理が必須であり、その取り組みを進めるとともに、大会経費につきましては、透明性の確保に取り組んでまいったところでございます。
 東京二〇二〇大会の成功とともに、その成果を後世に引き継ぎ、レガシーを将来にわたって残していくためには、組織委員会の文書の保管、承継も極めて重要なことと認識をしております。そうしたことが、世界的なスポーツイベントの開催ノウハウの承継や大会後の経費の検証などに寄与するものと考えております。
 そのため、これまでも組織委員会には、大会後を見据えた文書の適切な保存、管理について働きかけてまいりました。大会後におきましても、組織委員会の経費に係る書類や活動記録などの重要な資産が適切に保存、管理されますよう、今後とも積極的に関与してまいります。
 大会におけます剰余金についてのご質問でございます。
 都民に支持される大会とするためには、大会経費が納得の得られるものとなるよう取り組む必要がございます。
 そのため、これまでも都立新規恒久施設の整備費用の削減や組織委員会と連携してIOCに対しまして要件緩和を求めるなど、大会経費の縮減に取り組むとともに、組織委員会に対しましてはできる限りの収入確保を求めてまいりました。
 こうしたことなどを反映して、今般の大会経費V4では、都におきましては、経費精査により生み出した百億円を緊急対応費として計上するとともに、組織委員会におきましては、増収努力により生み出した二百七十億円を予備費として計上しております。
 今後、組織委員会の収支につきましては、テストイベントの結果や大会直前の準備におきまして、新たな経費が必要となることが見込まれる中におきましても、赤字を出すことのないよう取り組んでいく必要がございます。
 そのために、新たに組織委員会の収入と支出につきましては毎月報告を受けて収支を確認するとともに、その内容を公表してまいります。
 仮に、組織委員会の収支が黒字となって剰余金が生じる場合には、大会経費を組織委員会、東京都、国が負担していることも踏まえまして、組織委員会及び関係者によって、その取り扱いを慎重に決めるべきものと考えており、都民のご理解がいただけますよう、取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
 以上です。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタル化の都庁全体での推進についてでございます。
 江戸期における水道網の構築や昭和初期の地下鉄整備など、最先端の技術を果敢に取り入れ、都民生活を豊かにする、これが我が東京の歴史であり、伝統であります。こうした先人たちの努力により、今では、東京は世界の都市総合力ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次ぐ第三位につけております。
 では、東京が今、取り入れるべき最先端技術は何か、それは情報技術であります。情報技術を都市に取り入れ、都民のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質を向上させ、東京のポテンシャルを解き放つ。
 先般策定したスマート東京実施戦略は、東京全体を俯瞰した初のデジタル戦略であり、私が先頭に立って、都庁の行政系職員とICT系職員、さらには外部の専門人材の三者でスクラムを組み、全ての事業系部門で縦割りを超えた部局横断的な取り組みを展開してまいります。
 また、スマート東京の実現に向けては、民間のグローバルなデジタル競争の中に身を置いてきた経験を最大限生かし、民間事業者とも強固なパートナーシップを築き、行政におけるデジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。
 こうした民間とのパートナーシップ、コラボレーションは、まずはスマート東京先行実施エリアでの取り組みから実践し、この相乗作用でお互いのスキルやノウハウの飛躍的な向上を図り、その輪を区市町村、都全体へ広げてまいります。
 私は、常に最先端技術を取り入れ、都民を幸せにするという東京の歴史と伝統をデジタルの時代においても継承していきたい。この強い決意を持って、東京でイノベーションを巻き起こし、デジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 大会警備と首都東京の治安の維持についてであります。
 東京二〇二〇大会につきましては、平和の祭典という雰囲気を損なうことなく、安全で円滑な開催に万全を期すことが警視庁に課せられた使命であると考えております。そのため、警視庁では、開催決定直後から対策本部を設置し、警備や交通など多角的な視点から諸対策を積み重ねてまいりました。
 そして、大会が目前に迫る中、それら諸対策を集大成させるべく、さらにギアを上げて取り組んでおります。
 他方で、議員ご指摘のとおり、大会期間中における都内の治安維持が重要であることはいうまでもありません。
 警視庁では、東京が開催都市となった要因の一つとされる首都東京の治安のよさを、都民の皆様はもとより、国内外から訪れる全ての方々にも体感、実感していただけるよう、全部門、全所属が総力を挙げて各種警察活動に取り組んでまいります。
 大会警備を初め、警視庁の取り組みには、都民の皆様のご理解とご協力が不可欠でありますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、学校における働き方改革についてでございますが、都教育委員会はこれまで、教員の意識改革や業務改善、部活動の負担軽減など、さまざまな取り組みを推進し、教員の時間外労働の状況について一定の改善を図ってきたところでございます。
 今後、さらに取り組みを強化していくため、来年度から、都立学校における統合型校務支援システム等の開発を行うなどICTの活用による校務の効率化を推進するとともに、スクールサポートスタッフや部活動指導員等の配置を拡充いたします。
 加えて、学校や区市町村教育委員会が、東京学校支援機構の人材バンクを活用することにより、質の高い外部人材を安定的に確保できるよう支援してまいります。
 こうした多様な取り組みを総合的に推進し、教員の負担軽減と教育の質の向上により一層努めてまいります。
 次に、小中学校のICT環境についてでございますが、子供たち一人一人の資質、能力を確実に育成するためのICT環境の充実は喫緊の課題であり、都教育委員会は、新たにTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを展開し、学校のICT活用を加速いたします。
 小中学校につきましては、国のGIGAスクール構想に基づき区市町村が行う校内通信ネットワーク整備費用のうち、国の補助に加えて都も一部を補助いたします。また、児童生徒の一人一台端末を整備するために国が補助を行いますことから、都といたしましては、端末導入支援員の配置費用を補助し、円滑な導入や効果的な活用をサポートしてまいります。
 これらにより、未来を担う子供たちが持てる力を最大限伸ばすことができるよう、区市町村のICT環境整備に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
 最後に、子供のオリンピック・パラリンピック競技観戦の安全対策等についてでございますが、競技観戦は、学校の教育活動の一環として行うものであり、子供たちの安全に十分配慮して実施していく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、安全対策といたしまして、各学校が円滑に移動できるよう、分散乗車や乗降時間について鉄道事業者と調整を行いますとともに、各学校の移動や観戦の状況を一元的に管理する運営本部を設置いたします。
 また、暑さ対策として、会場内にクールスポットを設置するほか、一人一人に熱中症を防止するための飲料水やグッズを配布いたします。
 加えて、現在、会場への円滑な入場のための子供専用ゲートの設置につきましても、関係機関と調整を行っているところでございます。
 こうした取り組みをさらに進め、競技観戦が子供たち一人一人の心にかけがえのない記憶として刻まれるよう、関係機関と連携を図り、安全対策等に万全を期してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特定緊急輸送道路沿道の耐震化の促進についてですが、震災時における救急活動などの通行機能を確実に確保するため、このたび耐震改修促進計画を改定し、より効果的に施策を推進していくことといたしました。
 新たな取り組みとしては、まず、特に倒壊の危険性が高い建築物の段階的な改修について、二回目以降の工事が未定の場合も対象とする補助要件の緩和を行います。
 また、テナントビルなどの耐震改修について、占有者にかかわる費用分を加算する補助の拡充を行います。
 さらに、新たに導入した指標である区間到達率を用いて路線ごとの通行機能の確保状況を見える化し、その進捗状況を公表するとともに、耐震化を重点的に進めるべき路線の建築物の所有者に対して働きかけなどを行います。
 こうした取り組みにより、耐震化をさらに推進してまいります。
 次に、首都高の大規模更新とまちづくりとの連携についてでございますが、東京を成熟した都市としていくためには、首都高の大規模更新の機会を捉えた日本橋周辺のまちづくりのように、円滑な交通と快適な環境の両立が重要でございます。
 首都高では、都心環状線の築地川区間において大規模更新が予定されており、国は同区間をモデルケースとして、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進することとしております。
 また、地元の中央区は、掘り割り構造となっている同区間の上部空間を活用することで、新たな都市空間を創出する考えを示しております。
 都といたしましても、まちづくりと連動して進める日本橋の取り組みも参考にしながら、築地川区間の大規模更新を促進してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、学童クラブについてでありますが、都は、学童クラブの整備を進めるため、施設の新設や改築等に係る経費を補助するとともに、賃貸物件を活用する場合の賃借料につきましても独自に補助を行っております。
 また、常勤職員を含めた二名の職員配置などを要件とした都型学童クラブ事業を実施し、質の向上に取り組む区市町村を支援しているところでございます。
 来年度は、学校敷地内で午後七時以降まで開所するなど一定の要件を満たす学童クラブを整備する場合、区市町村負担分を全額都が補助し、整備促進を図るとともに、学童クラブの職員の資質向上に向けた研修を開始いたします。
 令和六年度までに登録児童数一万六千人増を目指す考えであり、学童クラブの量と質の拡充に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、認知症対策についてでありますが、都は、認知症の専門医療、相談等を担う認知症疾患医療センターの設置など、認知症の人が地域で安心して暮らし続けられる体制の構築に取り組んでまいりました。
 来年度からは、世界アルツハイマーデーの都庁舎ライトアップや学生向けの学習会等を通じ、認知症に関する意識啓発を図るとともに、地域で認知症の人等の支援ニーズと認知症サポーター等をコーディネートできる人材を養成するなど、認知症との共生を進めてまいります。
 さらに、東京都健康長寿医療センターが蓄積してきた膨大なデータを活用し、認知症等の研究に利用できるデータベースや、医師の診断を補助するAI画像診断システムを構築するなど、早期からの対応や重症化予防等の認知症予防に向けた研究を推進してまいります。
 次に、風水害リスクを想定した医療救護体制についてでありますが、都は、近年の豪雨災害などによる浸水や停電等の影響を踏まえ、今年度から、自家発電機や受水槽等の浸水対策に取り組む災害拠点病院等に対する支援を開始いたしました。
 来年度は、地震以外の大規模な災害に備え、医療機関向けのBCP策定ガイドラインに、病院の規模や機能に応じた電力量、備蓄量等の例示や風水害対策を盛り込むとともに、新たに災害拠点連携病院向けのガイドラインを作成することとしております。
 また、病院に対し、防災訓練説明会等の機会を活用して風水害への備えを働きかけるとともに、BCPを策定する病院がアドバイザーを活用し、病院の状況に合った計画の策定を支援するほか、移動電源車による電源確保など、災害時の医療救護体制の充実を図ってまいります。
 最後に、障害者手帳についてでありますが、障害者手帳は、税の減免や交通運賃の割引などを受ける際の証明書や本人確認の身分証としても活用されており、障害の種別など特に配慮を要する個人情報が記載されております。
 今般の手帳のカード化に当たっては、利用者である障害当事者や障害者団体から多くの機能が盛り込めるICカードへの要望をいただく一方で、プライバシーへの配慮が必要との声も寄せられております。
 国は、障害者手帳を初め各種カード等とマイナンバーカードとの一体化等を検討する方針を示しており、都といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、適切に対応していく必要があると考えております。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業における女性の活躍推進についてですが、労働力人口が減少する中、女性の活躍推進は喫緊の課題であり、とりわけ人材不足が深刻化している中小企業においてその取り組みが進むよう支援する必要がございます。
 このため、都は、女性の採用やキャリアップ等の目標を定める行動計画を策定する中小企業に対して、研修等の実施により支援を行うとともに、来年度から新たに専門家を派遣し、各企業の実情に応じたきめ細かな助言を行ってまいります。
 また、中小企業の自発的な行動を促すため、制度融資では来年度、女性の活躍推進に取り組み、その状況を公開する場合に、融資利率を〇・四%優遇するとともに信用保証料の三分の二を補助する特例制度を創設いたします。
 これらの取り組みにより、女性の活躍を一層推進してまいります。
 次に、高齢者の就業支援についてですが、これまで都は、高齢者の希望や能力に応じた就業を推進するため、セカンドキャリアに向けて必要な知識を幅広く学べる講座を開催するとともに、再就職に必要なスキルをOJTで身につけられるよう、派遣社員として短期間トライアルで就業する事業を実施してまいりました。
 来年度は、セカンドキャリアの講座に現役世代向けコースを新設し、定年後の働き方を考えるきっかけを提供するとともに、トライアル就業の派遣規模を拡大いたします。
 また、高齢者が働きやすい環境整備を促進するため、短時間勤務など柔軟な勤務制度の導入や身体的負担を軽減する機器の活用等にモデル的に取り組む企業を支援し、その好事例を発信してまいります。
 こうした取り組みにより、高齢者の就業を一層推進してまいります。
 続いて、産業や働き方の分野での5Gの活用についてですが、5Gの普及により、東京の稼ぐ力が高まり、企業の生産性や働く人の生活の質の向上が期待されております。
 このため、都みずからローカル5G免許を申請し、都立産業技術研究センターで、中小企業やスタートアップの製品開発試験の支援を行う準備を進めているところでございます。この取り組みが中小企業等の早期の5G活用につながりますよう、先週、大学や通信事業者とも協定を結び、今後、産学公共同で技術開発を行い、事業化を後押ししてまいります。
 また、生産性向上や新しい働き方の創出に向け、スマート工場や次世代型テレワークのモデルとなる取り組みを支援するとともに、5Gを備えたシェアオフィスを整備し、働き方とシェアリングエコノミーの先進モデルを発信し、普及を図ってまいります。5Gの活用を促進し、産業や働き方のスマート化を実現してまいります。
 次に、中小企業の外国人材受け入れへの支援についてですが、労働力人口が減少していく中で、中小企業が持続的に成長していくためには、外国人材を効果的に受け入れ、その活用を図ることが重要でございます。
 このため、都は来年度、専門的な知識や技能を有する外国人材を都内企業に積極的に呼び込むためのプロモーションイベントを海外において実施いたします。
 また、外国人材の受け入れに関する総合相談窓口を開設するなど、中小企業の人材ニーズにきめ細かく対応してまいります。
 さらに、海外事情や外国人雇用に精通する専門家等による検討体制を構築し、その意見を踏まえ、外国人材に関する施策を展開するなど、その実効性を高めてまいります。
 これらの取り組みにより、中小企業における外国人材の効果的な活用を推進してまいります。
 最後に、生産緑地の保全についてですが、二〇二二年問題などによる生産緑地の減少を防ぐためには、営農継続に向けた農業者への支援に加え、農地の買い取りや活用に向けた区市への支援が重要となります。
 これまで都は、農業者の収益力を向上させるための新技術導入等を支援するとともに、特定生産緑地への移行に関する説明会をきめ細かく開催するなど、農業者の営農継続に向けて取り組んでまいりました。
 来年度はこうした取り組みに加えまして、区市の生産緑地買い取りや、その活用を支援する事業を開始いたします。
 具体的には、区市が生産緑地を買い取る場合に、その経費の半額を、また、当該生産緑地に福祉農園等を整備する際には、その施設整備費として五分の四を補助いたします。生産緑地の保全に取り組むことにより、東京農業の持続的な振興を図ってまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 新財団のあり方についてでございますが、都におけるコミュニティは、在住外国人の増加や都民の価値観の多様化を背景に変革期を迎えており、新たな視点を導入し、活性化を図っていく必要があります。
 そのため、これまで東京都国際交流委員会が行ってきた多文化共生社会づくりの取り組みを引き継ぎ発展させるとともに、ボランティア文化が定着し、相互に助け合う共助社会づくりを推進するための財団を設立して、柔軟な執行体制を確保し、コミュニティの活性化を支援してまいります。
 新財団では、地域に密着した専門人材を配置し、NPO等との継続的な連携を築くとともに、行政と異なる視点を有する役員等によるガバナンス体制を確保し、効果的な事業実施に取り組んでまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 仮称都民の城についてでございます。
 今般お示しした概算工事費は、都民の城を皆様にご利用いただくために必要な経費でございますが、都有地の将来の一体的な活用を見据えまして、この概算工事費を上限といたしまして、今後設計を進める中で、可能なものは最大限継続利用を図るなど、コスト面ではワイズスペンディングの考え方のもと、さらに徹底した精査を図ってまいります。
 また、有識者検討会におきましては、都民の城の活用状況や関係権利者との調整状況を踏まえまして、可能な場所から先行開発に着手することも選択肢に含め、あらゆる視点から価値の最大化を図ることが重要であると考えております。
 そうした中で、都民の城につきましても、どの程度の期間利用していくのかなど、その取り扱いを含めまして有識者検討会の中で具体的に検討を進め、目指すべき方向性を導いていきたいと考えております。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 3Dビジュアライゼーションの実証についてでございます。
 センサーなどから取得したデータをもとに、建物や道路などを仮想空間上に双子のように再現する、いわゆるデジタルツインでございます。これの構築につきましては、都市の状況をリアルタイムで把握できるようになるとともに、現実空間では困難な分析やシミュレーションを仮想空間で行うこともでき、さまざまな活用が期待されているものでございます。
 そこで、都は、こうした仮想空間上に再現した、いわばバーチャル東京、これにおきまして、例えば電車の車両ごとの混雑状況の把握や工事等に伴う交通状況への影響、あるいは来街者の消費行動など、さまざまなシミュレーションを実施し、さらにその結果を現実空間に還元することで、社会的課題の解決につなげる実証事業を開始するところでございます。
 今後は、関係各局とも連携を図りながら、都民の生活の質の向上とともに、お話にありました意思決定や政策立案等の場面での活用も目指してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 島しょ地域の交通アクセス情報についてでございますが、本土と島しょ地域を結ぶ航路や航空路は、季節で運航ダイヤが異なり、また、気象、海象条件で運航状況が変わりやすいため、最新の交通情報をわかりやすく発信するなど、利用者目線に立ったサービスの向上を図り、来島機会の増加につなげていくことが重要でございます。
 そこで、都は、MaaSの取り組みの進展も見据えて、各交通事業者の発信情報を集約いたしまして多言語で提供するポータルサイトやアプリの制作を進めております。これによりまして、外国人観光客も含め、欠航時の代替経路や島内の情報をスマートフォン等でスムーズに取得できるようにしてまいります。
 今後、開発を加速いたしまして、本年夏に運用を開始することで、交通アクセスの利便性向上を図り、島しょ地域の活性化につなげてまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 市場業者の取り組みへの支援についてでございます。
 市場条例の改正による規制緩和を契機に中央卸売市場を活性化するには、日々の取引を担う市場業者の意欲ある取り組みを一段と加速させることが重要でございます。
 都は今年度から、市場業者の先駆的な取り組みを支援しておりまして、ICTを活用した販売力強化を初め、現場のニーズを踏まえたさまざまな取り組みが、都内の全十一市場において行われております。
 来年度は、より多くの市場業者が機を逸することなく事業を行えるよう、中小事業者に対する補助率を三分の二へ引き上げるとともに、手続の簡素化などの改善を図り、一層の取り組みを促してまいります。
 時代の変化に即した創意工夫ある市場業者の取り組みを力強く後押ししていくことで、市場のさらなる活性化を図り、都民の豊かな消費生活を支えてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民の防災意識の向上についてでございますが、都はこれまで、「東京防災」の配布や東京都防災アプリ等で広く都民への普及啓発を行うほか、子育て世代や町会、自治会等を主な対象としたセミナーを開催してまいりました。
 来年度は、この子育て世代向けの出前教室と町会、自治会等向けのセミナーの規模を大幅に拡大し、取り組みをさらに強化いたします。
 加えて、年度内には、デジタル版の東京マイ・タイムラインを、英語版のほか、新たに八つの言語に対応させるとともに、東京都防災アプリに新たにマンション特有の課題をわかりやすく解説するコンテンツを追加し、内容の充実を図ってまいります。
 こうしたターゲットを絞ったさまざまな普及啓発を進めていくことにより、都民の防災意識のさらなる向上に取り組んでまいります。
 次に、発災時における電力確保のための区市町村支援についてでございます。
 災害時に、共助の中核を担う町会、自治会等の自主防災組織には、迅速な避難誘導や避難所の運営等で重要な役割を果たすことが期待されております。そのため、さまざまな情報収集や住民の安否確認に不可欠なスマートフォン等の電源を確保することが重要でございます。
 そこで、来年度から、自主防災組織が避難所等に非常用発電機を整備する際、支援を行う区市町村に対し、費用の二分の一を助成する制度を新設いたします。この制度は、区市町村みずから機器を購入し、自主防災組織に供与する場合も対象といたします。
 これらの取り組みにより、町会、自治会等の費用負担の軽減を図り、災害時における自主防災組織の電力確保を支援してまいります。
 次に、段ボール製の簡易ベッドの備蓄についてでございますが、長期の避難所生活では、健康に配慮した居住スペースの確保等避難所の生活環境を向上することは重要でございます。ご指摘の段ボール製の簡易ベッドは、呼吸器疾患の予防等のほか、誰でも簡単に組み立てが可能なことなどから、避難所での活用に適しております。一方で、保管に当たっては、湿気により劣化が生じることや広い保管スペースが必要となるといった課題もございます。
 このため、都は来年度、段ボール製簡易ベッドの調達先として、新たな民間事業者と協定の締結を図るとともに、避難所に対し、緊急に提供するために、二千台を備蓄いたします。
 これらの取り組みを通じまして、長期化する避難所生活者の生活の質、いわゆるQOLの向上を図ってまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 近年の増大する救急需要への取り組みについてでございますが、平成二十七年以降、救急隊の計画的な増隊を行うとともに、曜日や時間帯による救急需要の変化に応じて運用する救急機動部隊やデイタイム救急隊を整備してまいりました。
 その結果、救急隊の現場への平均到着時間は、平成二十六年の七分五十四秒と比較して、昨年は一分十九秒短縮し、六分三十五秒となりました。
 来年度は、救急隊三隊を増隊するほか、バイスタンダーに対してより的確に応急手当てのアドバイスが行えるよう、口頭指導体制を強化するとともに、通報者のスマートフォン映像を活用した口頭指導の有効性を検証してまいります。
 増大が予想される救急需要に、今後一層的確に対応し、到着時間をさらに短縮するなど、一人でも多くの命を救うための取り組みを推進してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、ZEVの社会定着に向けた環境整備についてでございますが、充電器等のインフラ整備の促進には、民間施設などへの導入を積極的に誘導していくことが必要でございます。
 都は、一定規模以上の新築等に当たり、環境配慮の取り組みを記載した建築物環境計画書の作成等を義務づけております。この中において、新たに本年四月より、充電器の設置状況についても評価項目といたします。
 また、先日開催いたしました充電インフラ拡大ミーティングにおいて、充電器設置に意欲的な企業の先進的な取り組みを共有し、知事からは、さらなる設置に向けた協力を求めました。
 今後、こうした企業の取り組みをホームページなどを通じて広く発信するなど、他の民間事業者にも積極的に設置を働きかけ機運の醸成を図ってまいります。こうした官民連携の取り組みを推進しながら、ZEVの普及を促進してまいります。
 次に、二〇二〇大会を通じたプラスチック資源循環についてでございますが、東京二〇二〇大会を契機として、資源を一切無駄にしないゼロウエースティングを目指し、持続可能なプラスチック利用を実現していくことは重要でございます。
 都は、組織委員会等と連携し、これまで再生利用が困難であった食品残渣が付着するプラスチック製弁当容器について、都内会場のボランティア等が使用したもの全てを再生樹脂としてリサイクルいたします。
 また、大会関連の装飾物などは可能な限り再生樹脂を活用し、大会後は二万枚程度のエコバッグへ加工するなど、新たな価値を生み出すアップサイクルにも取り組みます。
 こうした資源のリサイクルとリユースの新たな取り組みを、大会後のレガシーとして着実に継承し、プラスチックの循環的な利用を推進してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、品川駅周辺や橋本駅付近へのアクセス性の向上に資する道路整備についてでございますが、リニア中央新幹線の開業により他圏域との移動時間が劇的に短縮し、人々の広域的な交流が促進され幅広い経済波及効果が期待できることから、リニア新駅へのアクセス向上に資する道路整備を推進することが重要でございます。
 国際交流拠点が形成される品川駅周辺では、環状第四号線の旧海岸通りから北口駅前広場の区間で、リニア開業までの開通を目指し、来年度から橋梁工事に着手をいたします。
 南多摩尾根幹線と接続し、多摩地域から橋本駅付近への連絡機能を強化する町田三・三・五〇号線では、来年度に相模原市と連携し、同時に事業に着手いたします。
 リニア開業に向けた道路整備に全力で取り組み、都市間競争に打ち勝つ東京を実現してまいります。
 次に、都立公園における他競技の利用と調和する形でのラグビーができる場の整備についてでございますが、都立公園全八十二公園のうち、約五割には野球場やサッカー場、陸上競技場などさまざまな運動施設があり、広く都民に利用されております。
 このうち、ラグビーができる広さの確保が可能な代々木公園、府中の森公園におきまして、他競技の利用と調整を図りながら、令和二年度に改修のための設計に着手いたします。また、整備中の高井戸公園におきましても、他競技の利用と調整を図りながら、具体的な設計を進めてまいります。
 今後、地元自治体やスポーツ団体とも連携し、さまざまなスポーツが楽しめる場として、都立公園の一層の整備に取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅の東京みんなでサロンについてでございますが、未来の東京戦略ビジョンで掲げた、誰もが集い、支え合う居場所づくりを都営住宅において実現し、地域コミュニティの活性化を図ることは重要でございます。
 このため、都は、都営住宅の集会所等を活用し、居住者や近隣の方々が食事等を楽しみながら交流を深めることができる事業を実施することといたしました。実施に当たっては、大人から子供まで幅広く参加しやすいよう、事業名を東京みんなでサロンとし、参加者同士の交流を促すイベント等も工夫して、早期にモデル事業を開始いたします。
 今後、地域や参加者、時間帯等を変えて実施、検証しながら事業を拡大し、都営住宅が地域に開かれた居場所の拠点となるよう取り組んでまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 安定した水道事業運営の継続についてでございますが、都の水道事業は、広域水道の一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、基幹的業務を当局と政策連携団体が担うグループ経営を推進しております。
 今回の団体統合は、この東京水道グループの経営基盤を強化するものであり、持続可能な水道事業の実現に向けた改革の第一歩でございます。
 具体的には、最終的な責任を持つ水道局が、新団体に対する指導監督をさらに徹底するとともに、統合で業務を包括的に担えることとなる新団体が、より一層の責任と創意工夫のもと、効率的かつ効果的な業務運営を行ってまいります。
 また、こうしたグループ経営を客観的にチェックするため、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会におきまして、幅広い見地から検証を行うとともに、新団体は、政策連携団体では初めてとなる監査等委員会を設置し、業務を執行する取締役への監査体制を強化してまいります。
 さらに、新団体から民間事業者への発注につきましては、契約の公平性や透明性を確保するため、都と同様に、広く門戸を開き、競争契約を原則とした制度を運用してまいります。
 こうした取り組みに加え、東京水道グループ全体の事業運営に関する情報発信や新団体の契約情報を都と同様に公開することなどを通じまして、都民に対する説明責任をこれまで以上に果たしてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 東京二〇二〇大会の練習風景の公開についてでございますが、練習会場は、選手にとって試合前の最終調整の場であり、練習風景の公開には選手への配慮が求められます。
 一方、練習風景を見学する場を設けることにより、地元での大会機運醸成や将来を担う子供たちに、夢や希望を抱かせるすばらしい機会が創出されるところであります。
 そこで、都は、練習会場となる公立施設について、組織委員会を通じて国際競技団体との調整を進めておりまして、都立五施設では、指定された時間、会場において、都内小中学生の練習風景の見学等が可能となる見込みでございます。
 今後、各国チームやアスリートの意向を十分に踏まえた見学スケジュールとするとともに、見学に加えまして、選手との交流についても可能な範囲で取り組むなど、具体的な検討を進めてまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十六分休憩

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