令和元年東京都議会会議録第二十号

○議長(石川良一君) 九十番おじま紘平君。
〔九十番おじま紘平君登壇〕

○九十番(おじま紘平君) 長期戦略を描く中で、都民に一番近い首長から意見を聞きたい、小池知事はこのように述べられ、都内区市町村長との個別会談をスタートしました。
 例年は、予算要望あるいは意見交換会として、グループ単位での知事との意見交換の場が設けられてきました。しかし、グループでは発言時間も限られて深い話はできない、都内の首長からはそのような本音も聞かれていたところです。
 都内区市町村における地域の実情や課題は、お隣同士でも全く違います。そのような中で、区長会の中で、市長会の中で、あるいは町村会の中で、利害が対立することもありますし、そのくくりの中ではいいたいこともいえません。やはり一対一で、お一人お一人個別に膝を突き合わせて、直接話をすべきではないかということは、私も、あるいは元稲城市長である石川議長も指摘をしてきたところです。
 六十一区市町村長との意見交換は、九月十九日の千代田区長から始まり、十一月十三日の青ヶ島村村長で終わりました。その様子は全て公開されており、今でもインターネット上で見ることができます。私の地元練馬区の前川区長も、大変有意義なものであったということでした。
 広域自治体たる都と、基礎自治体たる区市町村で役割は違うといえど、そこに住んでいるのは同じく都民であり、都民サービスの向上には、都と区市町村の連携は欠かせません。改めて、知事が各区市町村長と直接話をするということは極めて重要なことであり、来年度以降もぜひ継続していただきたいと考えているところです。
 まず、知事として、今回の意見交換会の意義についてどのように受けとめているのか所見を伺います。また、意見交換の成果を政策に反映させていくため、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 なお、今月に入り、都と区の間では、来年度の区に対する都区財政調整交付金の算定内容を決めるための協議、いわゆる財調協議が始まっています。昨年の財調協議は例年になく紛糾したと聞いていますが、そのメーントピック、最も課題となった話題は児童相談所についてでありました。
 広域調整を要する児童相談所行政において、基礎自治体がこの設置を進めていくべきなのか、都区それぞれの体制と連携強化により、都全体として進めていくべきなのか、自治体によっても考えはさまざまで、都区間でも財調の項目に算定されるべきなのかどうかまとまらないまま、ことしに持ち越されています。
 そもそも、事務配分や財源配分、財調についての議論は、都区のあり方検討委員会及びそれに準ずる会議体においてなされてきました。しかし、これが八年にわたりストップしたままになっており、さまざまな議論が棚上げになっていることは、ことしの予算特別委員会でも指摘をしたところであります。
 児童相談所においては、あり検で検討していたときとは違う形で法改正が行われました。また、あり検がストップしていても、財調算定は毎年行われているわけですが、やはり緊密な政策連携が求められる都区間において、都区のあり方というそもそも論が膠着状態、にらみ合いが続いている状態は好ましくないと考えます。
 都区双方が再びテーブルに着くための努力を続けていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 続いて、都政改革についてです。
 本年九月の都政改革本部会議にて、都は、新たな都政改革の始動を発表しました。
 二〇四〇年代を見据えた戦略的な政策展開を支える都庁を実現するため、これまでの二〇二〇改革で蓄積してきた都庁の生産性や職員の改革マインドをベースにしながら、都政改革を新たなステージへ進化させるとのことです。年末に発表される予定の長期戦略との連動も意識したもので、大いに期待をしているところです。
 一方で、改革は都民のために行うものであり、お題目だけであってはいけないし、単なるパフォーマンス、あるいは自己満足、いわゆる改革のための改革で終わってもいけません。都民ニーズを的確に捉えた、都民実感の伴う、実効性のあるものにしていただきたい。
 十一月に開催された都政改革アドバイザリー会議では、都民ニーズを先取りした政策を展開するために必要な改革をテーマに、都と民間企業との協働のあり方などが議論されました。政策課題の解決や新たな行政サービスの創造には、このオープンイノベーションの考え方も重要と考えます。
 一方、これまでの二〇二〇改革でも、仕事改革や見える化改革から見出された成果や課題をもとに、全庁的な制度や仕組みの改革も進めるなど、都の仕事のあり方を見直してきたものと認識をしています。職員みずからが、みずからのあり方を見直し、時には切り込む。この二〇二〇改革で培った自律改革の姿勢は、新たなステージにおいても生かされていくべきと考えます。
 そこで、まず二〇二〇改革の今後の方向性について、都の見解を伺います。
 次に、新たな都政改革についてです。
 さきに述べたように、改革は、ビジョンを掲げるだけでは意味がなく、いかに実行するかであります。
 一方で、昨年度に行った工業用水道事業の廃止のように、特に賛否や利害の分かれる改革については、苦渋の決断をしなければならないこともあります。中には、都庁内でもまとめることが難しい、局間利益、組織間利益が相反するようなこともあります。
 そのような中でも、抜本的な、時にはトップダウンで大なたを振るうような改革を行うためには、都政改革そのものの位置づけをちゃんとする。また、周辺の環境を整えていくことで、その実効性を担保する必要があります。
 また、今回の改革は二〇四〇年代を見据えた改革であり、二十年後の都庁を担う若手職員のアイデアを積極的に取り入れるなど、改革の裾野を広げることをお願いしたい。現状維持、事なかれ主義といった保守的思考は捨て、未来志向の改革に臨んでいただきたいと思います。
 この実効性の強化に向けて、新たな都政改革をどのように推進をしていくのか、都の見解を伺います。
 最後に、都立公園の整備計画と民間活用についてです。
 ことしの第一回定例会における我が会派の代表質問に対して、小池知事から、公園大改革における三つの視点が示され、民間との連携についての言及もありました。そして、現在、代々木公園、岸記念体育館の移転跡地、また、明治公園の再編整備において、公募設置管理制度、いわゆるパークPFIの導入が検討されているところです。都立公園としては初めての取り組みであり、官民連携、民間活用を進めていく上で重要なポイントです。
 都内には、都立公園が八十二カ所、港湾局が管理する海上公園が三十八カ所あり、また、区市町村が管理する公園は八千百六十八カ所にも上ります。公園の魅力を引き出していく公園大改革は、都民も身近に感じられるものでなければならず、例えばニューヨークやシンガポールのように、公園や緑を都市づくりの中核に据えた上で、長期計画を進めている都市もあります。
 公園大改革の皮切りとして、都立公園に関し、三つの視点を踏まえた取り組みを計画的に進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 続いて、練馬城址公園についてであります。
 としまえんといった方がなじみのある方も多いのではないでしょうか。日本最古のメリーゴーランドもある遊園地としまえんを中心とする一帯でありまして、もともとは旧東京府の北豊島郡上練馬村にあった練馬城の城址を公園として開発した土地であり、現在は、西武鉄道が所有しています。
 地元練馬区のシンボルとして広く認知されているとしまえんですが、公園として最初に都市計画決定されたのは約六十年前、昭和三十二年のことであります。その後、半世紀ほど事業化の動きはなかったこともあり、平成二十二年には練馬区が策定をした、ねりま未来プロジェクトのモデル事業として、としまえんの活用が位置づけられ、サッカースタジアムの建設やJリーグチームの誘致など、官民協働をテーマにさまざまな議論がされていたところでした。
 ところが、翌年、都市計画公園・緑地の整備方針において、防災機能の強化を図るため、平成三十二年度、現在でいえば令和二年度までに事業化を目指す優先整備区域に位置づけた旨の発表があり、今に至るという経緯です。
 以来十年がたち、都ではさまざまな検討が進められてきているようです。区としても、計画決定を踏まえた再検討を経て、ねりま未来プロジェクトで描いていたようなにぎわい機能を反映させるよう求めています。
 としまえんは一体どうなるのか。区民の関心事になっていることもあり、ぜひ夢のある開発をしていただきたいし、公園大改革で示されている民間活用も忘れてはならない視点であります。事業化のリミットも来年度に迫った今、少なくとも優先整備区域として設定されたエリアについては、都区間、または西武鉄道との調整を進め、早期に着手しなければなりません。
 そこで、練馬城址公園の整備計画について、練馬区とどのように連携をしながら検討を進めているのか伺い、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) おじま紘平議員の一般質問にお答えいたします。
 区市町村長との意見交換についてでございます。
 東京は、人口や企業が高度に集積する都心部から、自然に恵まれた西多摩・島しょまで、地域ごとにさまざまな特色を有しているとともに、課題にもそれぞれ特徴がございます。
 地域の多様な課題を解決し、都民が主役である都政を実現していくためには、地域の住民を代表しておられる区市町村長の皆様とコミュニケーションを深め、これまで以上に力を合わせて、施策を推進していくことは重要であります。
 こうしたことから、今年度は、区市町村の重要な施策と都に対して望むことをテーマといたしまして、区市町村長お一人お一人から直接お話を伺うこととしたものでございます。
 意見交換の中では、福祉やまちづくり、防災、産業振興など幅広い分野で、地域に根差したきめ細かな取り組みや、直面している喫緊の課題につきましてのご意見やご要望を頂戴したところであります。
 さらに、区市町村長の皆様からは、地域の将来に向けたビジョンについても語っていただき、大変参考になりました。また、有意義でもございました。
 今後、いただいたご意見、ご要望につきましては、年末に公表いたします長期戦略ビジョンや来年度予算の中で、政策としてできるだけ反映し、区市町村との連携協力をさらに強めてまいります。
 次に、都立公園におけます民間の活用でございます。
 都民の財産である都立公園がより親しみ、楽しみを感じる公園に生まれ変わることによりまして、東京の魅力を一層高めていくことは重要であります。
 都は、都立公園大改革によりまして民間事業者を活用したレストラン、カフェの設置に加えまして、スポーツステーションとカフェが一体となった従来にない新しいコンセプトの店舗の設置や、自宅や会社以外のいわゆるサードプレースの設置、誰もが快適に過ごせるようなトイレの洋式化、バリアフリー化などの取り組みを進めてまいりました。
 今後、こうした取り組みの評価を行いながら、計画的、効果的に改革を進めて、公園を訪れる都民、来園者、旅行者等のさまざまなニーズに応える都立公園大改革を強力に推進してまいります。
 残余のご質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二〇二〇改革の今後の方向性についてでございますが、二〇二〇改革では、仕事改革、見える化改革、仕組み改革の三つの改革を推進することで、都庁の生産性向上や組織の機能強化を進め、一定の成果を上げることができたと考えております。
 新たな都政改革は、これまでの二〇二〇改革の成果を踏まえ、急速な技術革新や少子高齢化の進展など、社会が大きく変化する中で、民と公の知恵を結集していく体制を整えるなど、都庁が担う役割や仕事そのものを変革し、戦略的に政策を展開していく都庁を実現するために実施をいたします。
 二〇二〇改革において浸透した職員の改革マインドを土台といたしまして、改革の取り組みをさらに発展させていくことで、都政改革を次なるステージへと進化させてまいります。
 次に、新たな都政改革についてでございますが、本年九月に、副知事を筆頭に、人事や財務、ICT等、全庁的な制度を所管する各局の理事等により構成する新たな都政改革推進チームを設置いたしまして、現在の制度や仕組みにとらわれない抜本的な改革案の検討を進めております。
 また、都政改革アドバイザリー会議において外部有識者の意見を伺うとともに、十一月からは、公募により集まった若手職員によるワークショップを開始いたしまして、新鮮な発想の改革提案を募り、部署をまたいだ改革ムーブメントの拡大に取り組んでいるところでございます。
 年内には新たな都政改革ビジョンを公表し、改革の方向性を示した上で、改革案を具体化した実行方針を策定し、推進チームを核として、全庁を挙げて都政改革に取り組んでまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 練馬城址公園の整備計画策定の検討状況についてでございますが、本公園は、民間の遊園地でもあるとしまえんを含む面積約二十六・七ヘクタールの都市計画公園であり、都市計画公園・緑地の整備方針において、避難場所として首都東京の防災機能の強化を目的に、重点化を図るべき公園として位置づけられております。
 これまでに、公園に導入する機能や施設の配置等を定める整備計画の策定に向けて、計画区域の地形や動植物の分布、文化財の状況等の調査分析を進めてまいりました。また、地元の練馬区とは、水と緑、防災の取り組みやにぎわいの創出など、公園の目指すべき姿について意見交換を進めております。
 引き続き、地元区と緊密に連携をとりながら、整備計画の策定に取り組んでまいります。

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